以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明のレンズ駆動装置を備えたカメラモジュールの斜視図である。図2は、本発明のレンズ駆動装置を備えたカメラモジュールの断面図である。
図1のように、本実施形態のカメラモジュール1は、メカニカルシャッタ(シャッタ部)2、レンズユニット(レンズ駆動部)3と、撮像ユニット4とが、光軸方向にこの順に積層された3層構造である。また、本実施形態のカメラモジュール1では、図2のように、メカニカルシャッタ2と、レンズユニット3との間に、磁気遮蔽板5が設けられている。以下の説明では、便宜上、メカニカルシャッタ2側を上方、撮像ユニット4側を下方とする。
<メカニカルシャッタ2>
図3は、メカニカルシャッタ2の断面図であり、上段が光路を開放した状態、下段が光路を遮断した状態を示している。メカニカルシャッタ2は、ムービングマグネット形式により、レンズユニット3に設けられた撮像レンズに入射する光をON/OFF制御するためのものである。すなわち、メカニカルシャッタ2は、スミアの原因となる光を遮断することにより、スミアの発生を防ぐものである。
具体的には、メカニカルシャッタ2は、裏面(レンズユニット3側の面)の中央部に、凹部21が形成されている。そして、この凹部21の両側に、複数枚(図3では2枚)のシャッタ羽根22,23と、シャッタ羽根22,23を駆動するための駆動機構24,25が配置されている。
シャッタ羽根22,23および駆動機構24,25は、中空のケース26内に収容されるとともに固定されている。このケース26自体が、裏面の中央部に、凹部21が形成された構造となっている。また、ケース26の天面には、異物の侵入を防止する等の目的で蓋26aが設けられている。
ケース26の中央部には、光を透過させて光路(図中の一点鎖線)を確保するために、開口27が形成されている。シャッタ羽根22,23にも同様に、光路を確保するために、開口28,29形成されている。駆動機構24,25が駆動すると、駆動機構24,25を軸として、シャッタ羽根22,23が光路に対して垂直な面上を回動(揺動)する。そして、図3の上段に示すように、ケース26に形成された開口27と、シャッタ羽根22,23に形成された開口28,29とが重なると、光路が開放される。これにより、外部の光が、メカニカルシャッタ2を通過して、レンズユニット3に入射する。
一方、図3の下段に示すように、ケース26に形成された開口27と、シャッタ羽根22,23に形成された開口28,29とが重ならないときは、外部の光が遮断され、レンズユニット3に入射しない。このようにシャッタ羽根22,23を駆動することによって、メカニカルシャッタ2は、レンズユニット3に入射する光をONまたはOFFに制御する。
なお、シャッタ羽根22,23は、開口28,29が形成された構成に限定されるものではなく、シャッタ羽根22,23自体が、光路を遮断する位置にあるか、光路を開放する位置にあるかによって、レンズユニット3に入射する光をONまたはOFFに制御する構成であってもよい。
また、シャッタ羽根22,23の一方を、ND(Neutral Density)フィルタに交換することによって、フィルタ機能の有無を切り替える構成にすることもできる。また、シャッタ羽根22,23およびNDフィルタの合計は、2枚に限定されるものではなく、1枚でもかまわないし3枚以上であってもよい。
駆動機構24,25の構造の詳細については、後述する。なお、本実施形態カメラモジュール1では、メカニカルシャッタ2(ケース26)の裏面全域に、磁気遮蔽板5が取り付けられている。
<レンズユニット3>
次に、レンズユニット3について説明する。図4は、レンズユニット3および撮像ユニット4の断面図である。レンズユニット3は、被写体像を形成する撮像光学系である。つまり、レンズユニット3は、外部からの光を撮像ユニット4の受光部(撮像面)へ導く。レンズユニット3は、光軸方向に可動する可動部と、可動部を内部に収容する収容部と、この可動部を光軸方向に移動させる駆動部とから構成されている。
具体的には、図4のように、レンズユニット3は、複数のレンズ(撮像レンズ)31を内部に保持したレンズバレル32が、レンズホルダ33の内部に固定されており、これらが、ベース39,ヨーク34,およびカバー35により形成された空間内に、収容された構成となっている。なお、本実施形態では、複数のレンズ31を搭載したレンズバレル32をレンズホルダ33に固定している。しかし、レンズバレル32およびレンズホルダ33の一方におねじ、他方にめねじを形成しておき、レンズホルダ33に対してレンズバレル32の高さを調整可能にしてもよい。
レンズバレル32は、内部にレンズ31を保持するための枠体である。一方、レンズホルダ33は、レンズ31を保持したレンズバレル32を、内部に保持している。レンズ31は、レンズバレル32およびレンズホルダ33の中央部に配置される。レンズバレル32およびレンズホルダ33は、いずれも中空(筒状)の部材である。
後述のように、レンズ31の先端部(レンズ31およびレンズバレル32先端部)は、レンズユニット3の天面(カバー35の上端面)よりも突出した突出部31aを構成している。この突出部31aは、上述したメカニカルシャッタ2の凹部21内に収容される。
なお、後述のように、レンズ31,レンズバレル32,および、レンズホルダ33は、光軸方向に移動可能となっており、可動部を構成する。そして、この可動部は、収容部に収容される。具体的には、この収容部は、ベース39,ヨーク34,およびカバー35から構成される。ベース39は、レンズユニット3の底部を構成する。つまり、ベース39は、レンズユニット3の光出射側に配置される。
ヨーク34は、筒状の部材であり、レンズユニット3の側面部を構成している。ヨーク34は、内部に可動部を収容する。ヨーク34はベース39上に固定されている。本実施形態では、ヨーク34の上方に、カバー35が設けられている。カバー35は、レンズユニット3の上部(天面)を構成している。なお、ヨーク34自体が、カバーの役割を果たすことで、カバー35を省略してもかまわない。この場合、開口35aは、ヨーク34の内径となる。
ベース39の中央部には、開口39aが存在する。また、カバー35の中央部にも、開口35aが形成されている。開口39aおよび開口35aは、光を透過させるためのものであり、光軸方向に形成されている。このように、収容部には、光軸方向に、光路を確保するために、光入射側に開口35a、光出射側に開口39aが形成されている。このため、レンズ31,レンズバレル32,およびレンズホルダ33の一部が、この開口35aから露出している。
次に、レンズユニット3の駆動部は、電磁力によりレンズ31を光軸方向に駆動するために、コイル36と永久磁石37とを備えている。具体的には、本実施形態では、コイル36に電流を流すことによって発生させた磁界を、永久磁石37に作用させることによって、レンズ31(レンズホルダ33)を光軸方向に駆動することが可能となる。コイル36は、レンズホルダ33のフランジ部に固定されている。コイル36は、光入射側(開口35a側)に延設されている。一方、このコイル36と対向するように、ヨーク34の内側面には、永久磁石37からなる磁気回路が配置されている。永久磁石37の着磁方向は、メカニカルシャッタ2のシャッタ羽根22,23が光路を遮断する方向に設定されている。
さらに、本実施形態のレンズユニット3では、レンズホルダ33の上下面(天面および底面)には、板ばね38a,38bが設けられている。板ばね38a,38bは、可動部を光出射側に押圧する押圧部である。板ばね38a,38bは、渦巻状のパターンを有している。各板ばね38a,38bは、一端が可動部に、他端が収容部に固定されていればよい。本実施形態では、板ばね38a,38bは、一端がヨーク34またはベース39に、他端がレンズホルダ33に固定されている。板ばね38a,38bは、弾性力により、補助的にレンズホルダ33を光軸方向に可動に支持している。
<撮像ユニット4>
次に、撮像ユニット4の構成について説明する。撮像ユニット4は、図4のように、レンズユニット3の底面側に設けられており、レンズユニット3によって形成される被写体像を、電気信号に変換する撮像部である。つまり、撮像ユニット4は、レンズユニット3から入射された入射光を光電変換するセンサデバイスである。
撮像ユニット4は、図4に示すように、配線基板41上に、固体撮像素子42を備えている。また、固体撮像素子42は、配線基板41上に設けられたホルダ43内に収容される。なお、ホルダ43の上部には、固体撮像素子42を覆う透光性部材44が配置されている。本実施形態では、ホルダ43の下側面は、設計上は配線基板41と固体撮像素子42との両方に接している。ただし、ホルダ43の寸法公差によって、配線基板41のみに接する場合もあれば、固体撮像素子42のみに接する場合もある。
配線基板41は、図示しないパターニングされた配線を有する基板である。この配線によって、配線基板41と固体撮像素子42とが互いに電気的に接続される。配線基板41は、例えば、プリント基板,またはセラミック基板などである。
固体撮像素子42は、レンズユニット3で形成された被写体像を、電気信号に変換するものである。つまり、レンズユニット3のレンズ31を通して受光した光信号を電気信号に変換するセンサデバイスである。固体撮像素子42は、例えば、CCDまたはCMOSセンサーICである。固体撮像素子42の表面(上面)には、複数の画素がマトリクス状に配置された受光部(図示せず)が形成されている。この受光部は、レンズユニット3から入射される光を結像する領域であり、画素エリアとも言い換えられる。
固体撮像素子42は、この受光部(画素エリア)に結像された被写体像を電気信号に変換して、アナログの画像信号として出力する。つまり、この受光部で、光電変換が行われる。固体撮像素子42の動作は、図示しないDSPで制御され、固体撮像素子42で生成された画像信号は、DSPで処理される。
透光性部材44は、固体撮像素子42の受光部を覆っており、ガラスなどから構成されている。なお、本実施形態では、透光性部材44の表面に、赤外線遮断膜(IRカット膜)が形成されている。このため、透光性部材44は、赤外線を遮断する機能も備えている。
<磁気遮蔽板5>
次に、磁気遮蔽板5について説明する。本実施形態のカメラモジュール1では、レンズユニット3からの漏洩磁界の大きさを調整するために、磁気遮蔽板5を設けている。なお、磁気遮蔽板5は、カメラモジュール1に必須の構成ではなく、レンズユニット3からの漏洩磁界が大きい場合に設けることが好ましい。
磁気遮蔽板5は、レンズユニット3の漏洩磁界の大きさ、メカニカルシャッタ2側の磁界耐性の大きさによって、厚さや面積を任意に調整することができる。磁気遮蔽板5の詳細については後述する。
このように、本実施形態のカメラモジュール1は、電磁力を駆動源とする、メカニカルシャッタ2およびレンズユニット3を備えている。このため、メカニカルシャッタ2(シャッタ羽根22,23)には、駆動機構24,25からの磁界に加えて、レンズユニット3からの漏洩磁界も作用する。その結果、シャッタ羽根22,23による光路の開閉動作に影響を及ぼし、スミアが発生する可能性がある。特に、カメラモジュール1では、メカニカルシャッタ2およびレンズユニット3が、光軸方向に積層され、互いに近接しているため、互いの磁界が影響を受けやすい。このため、スミアが発生する可能性も高い。
具体的には、図5は、駆動機構24の平面図であり、図5の(a)は、駆動機構24の回転子52に作用する磁界と、レンズユニット3からの漏洩磁界とが、同一方向である場合を示しており、図5の(b)は、これらの磁界が逆方向である場合を示している。なお、駆動機構25も同様の構成である。なお、駆動機構24の回転子52に作用する磁界と、レンズユニット3からの漏洩磁界とは、完全に平行である場合に限定される訳ではなく、両者が角度を有していてもかまわない。
駆動機構24,25は、ムービングマグネット形式により、シャッタ羽根22,23を駆動するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、上述した特許文献3(図11参照)等に開示された従来公知のものを適用できる。
図5のように、メカニカルシャッタ2の駆動機構24は、軸51,軸51に対して回転可能に配置された回転子52,略U字形をしたヨーク53,コイル54などから構成されている。回転子52は、二極着磁された永久磁石である。つまり、メカニカルシャッタ2は、回転子(永久磁石)52を駆動源とする、ムービングマグネット形式のシャッタである。すなわち、駆動機構24は、電磁力に駆動する回転子(永久磁石)52によってシャッタ羽根22を駆動させる。ヨーク53の二つの脚部53a、53bの先端が磁極部となり、脚部53a、53bは、回転子52を挟み込むように配置されている。コイル54は、一方の脚部53bに巻回されている。
駆動機構24では、図5の(a)のように、コイル54に対して、所定の方向に電流を流したときに、矢印で示すように、脚部53bから脚部53aへの磁界55が作用することにより、回転子52が、シャッタ羽根22(図3参照)を、光路を閉ざす方向に回転させるとする。このとき、レンズユニット3からの漏洩磁界56の方向が、磁界55と同一方向に作用している。これにより、漏洩磁界56は、メカニカルシャッタ2(駆動機構24)の磁極部から作用する磁界55に対してバイアス磁界として加算されることになる。つまり、回転子52には、駆動機構24から本来作用する磁界55よりも大きな磁界が作用することになる。その結果、レンズユニット3からの漏洩磁界56が無い場合に比べて、シャッタ羽根22による光路の閉じ速度を速めることができる。
一方、シャッタ羽根22により光路を開放する(シャッタを開く)場合、コイル54に対して逆方向の電流を流すと、回転子52に、図5の(a)の磁界55と逆向きの磁界が作用する。このとき、レンズユニット3からの漏洩磁界56の方向が、図5の(a)の磁界55と逆向きの磁界と逆方向に作用している。このため、レンズユニット3からの漏洩磁界56は、メカニカルシャッタ2(駆動機構24)の磁極部から作用する、図5の(a)の磁界55と逆向きの磁界に対して逆バイアス磁界として作用する。つまり、回転子52には、駆動機構24から本来作用する図5の(a)の磁界55と逆向きの磁界よりも小さな磁界が作用することになる。その結果、レンズユニット3からの漏洩磁界56が無い場合に比べて、シャッタ羽根22による光路の開放速度は遅くなる。メカニカルシャッタ2は、スミアの原因となる強い光を遮断することによって、スミアの発生を防ぐという機能を果たす。この機能を考慮すると、光路を開放する時間は、光路を遮断する時間に比べて重要度は低い。つまり、光路を開放する動作自体に支障がなければ(光路を開放することさえできれば)、光路の開放速度が遅くなったとしても大きな問題とはならない。
これに対し、図5の(b)のように、漏洩磁界57が、図5の(a)の漏洩磁界56と逆方向である場合は、漏洩磁界57がない場合に比べて、シャッタ羽根22による光路の閉じ速度が遅くなってしまう。すなわち、レンズユニット3からの漏洩磁界57は、メカニカルシャッタ2(駆動機構24)の磁極部から作用する磁界55に対して逆バイアス磁界として作用する。つまり、回転子52には、駆動機構24から本来作用する磁界55よりも小さな磁界が作用することになる。その結果、レンズユニット3からの漏洩磁界57が無い場合に比べて、シャッタ羽根22による光路の遮断速度は遅くなる。しかし、光路を遮断する速度が遅くなると、メカニカルシャッタ2がスミアの発生を防ぐ機能が低下する。つまり、図5の(b)のように、メカニカルシャッタ2にとっての重要なスペックである光路の閉じ時間(光路の遮断時間)に対して、悪影響を与えるような漏洩磁界57を作用させることは好ましくない。なお、図5の(b)の場合、光路の開放時間は、図5(a)の場合と逆に、速くなる。
そこで、カメラモジュール1では、レンズユニット3から漏洩した磁界がメカニカルシャッタ2の駆動機構24に作用したときに、シャッタ羽根22が光路を遮断する方向に作用するように、レンズ31を駆動するための磁界が設定されている。つまり、駆動機構24が、図5の(a)のような構成となっている。図6は、駆動機構24が、図5の(a)および図5の(b)の構成である場合の、シャッタ羽根22の開閉動作を確認した結果を示すグラフである。図6の(a)は、図5の(a)の駆動機構24の結果を示し、図6の(b)は、図5の(b)の駆動機構24の結果を示している。つまり、図6の(a)および図6の(b)のグラフは、メカニカルシャッタ2の回転子52に作用する漏洩磁界56,57の方向を、それぞれ逆にした場合の光路の閉じ時間を縦軸に、漏洩磁界56,57の大きさを横軸にとって示したものである。
図6の(a)のように、図5の(a)の駆動機構24の場合、漏洩磁界56が大きくなるにしたがって、光路の閉じ時間が小さくなっている。つまり、光路の遮断速度が速くなっている。なお、図6(a)でプロットした範囲では、光路の開放動作も実現できている。
これに対し、図6の(b)のように、図5の(b)の駆動機構24の場合、漏洩磁界57が大きくなるにしたがって、光路の閉じ時間が大きくなっている。つまり、光路の遮断速度が遅くなっている。
このように、図5の(a)の駆動機構24を備えていれば、レンズユニット3からの漏洩磁界56が存在しても、メカニカルシャッタ2にとっての最重要スペックのひとつである、光路の閉じ時間に対して悪影響を与えない。かえって、漏洩磁界56が作用しない場合と比べて、メカニカルシャッタ2の閉じ時間を早めることができる。それゆえ、メカニカルシャッタ2、ひいてはカメラモジュール1の高機能化にもつながる。
以上のように、カメラモジュール1によれば、レンズ31を駆動するための磁界は、レンズユニット3から漏洩した磁界がメカニカルシャッタ2の駆動機構24,25に作用したときに、シャッタ羽根22,23が光路を遮断する方向に作用するように設定されている。このため、シャッタ羽根22,23には、駆動機構24,25からの磁界に加え、レンズユニット3からの漏洩磁界も作用することになる。これにより、たとえ、レンズユニット3から磁界が漏洩したとしても、その漏洩磁界56は、光路を遮断する方向に作用する。言い換えれば、その漏洩磁界56は、シャッタ羽根22,23による光路の閉じ速度を速める方向に作用する。従って、電磁力を駆動源とする、レンズユニット3およびメカニカルシャッタ2を備えたカメラモジュール1であっても、スミアの発生を防ぐことができる。
また、カメラモジュール1は、レンズユニット3を備えるため、レンズ31を光軸方向に移動させて焦点調整機能を実現することができる。
さらに、本実施形態のカメラモジュール1は、図2のように、メカニカルシャッタ2とレンズユニット3とが光軸方向に積層されている。つまり、レンズユニット3とメカニカルシャッタ2とが、近接して配置されている。これにより、レンズユニット3からの漏洩磁界が、メカニカルシャッタ2に作用しやすくなる。従って、より確実にスミアの発生を防ぐことができる。
また、カメラモジュール1では、レンズユニット3の永久磁石37は、光軸に対して垂直な方向(図の横方向)に着磁されている。このため、このような積層構造の場合、レンズユニット3からの漏洩磁界は、メカニカルシャッタ2の駆動機構24,25に対しても、光軸に対して垂直な方向に作用することになる。一方、メカニカルシャッタ2を動作させるための磁界も、光軸に垂直な方向となっている。このため、互いの磁界が影響しやすい構成となる。カメラモジュール1では、このように磁界の影響を受けやすい場合であっても、確実にスミアの発生を防ぐことができる。
上述のように、カメラモジュール1では、レンズユニット3からの漏洩磁界が、シャッタ羽根22,23が光路を遮断する方向に作用する。このため、漏洩磁界が大きすぎると、シャッタ羽根22,23が光路を遮断する速度が速くなるものの、逆にシャッタ羽根22,23により光路を開放することが困難になることがある。
すなわち、レンズユニット3からの漏洩磁界の方向が、シャッタ羽根22,23による光路の閉じ動作を速める方向に設定されている場合、裏を返せば、シャッタ羽根22,23の光路の開放動作が遅くなる。メカニカルシャッタ2において、光路の開放動作の速度は、それほど重要ではないものの、所定の電流を流しても光路が開放されないという現象は望ましくない。すなわち、レンズユニット3からの漏洩磁界によって、光路の閉鎖速度を速めるからといって、漏洩磁界がいくら大きくても良い訳ではない。
そこで、漏洩磁界が大きすぎる場合には、磁気遮蔽板5を設けて、漏洩磁界を所望の大きさまで減少させることが好ましい。これにより、磁気遮蔽板5によって、レンズユニット3からメカニカルシャッタ2への漏洩磁界の一部が遮蔽される。このため、たとえレンズユニット3から過剰の磁界が漏洩したとしても、漏洩磁界の一部が、磁気遮蔽板5によって遮蔽される。つまり、磁気遮蔽板5が、その漏洩磁界を減少させることができる。従って、過剰の磁界が漏洩したとしても、シャッタ羽根22,23により光路を開放することができる。
このように、磁気遮蔽板5は、漏洩磁界の作用を軽減することを意図して設けられる。また、磁気遮蔽板5は、メカニカルシャッタ2とレンズユニット3との間に配置する構成が望ましい。これにより、確実に漏洩磁界の作用を軽減することができる。
また、本実施形態のカメラモジュール1は、レンズ31の先端部(レンズ31およびレンズバレル32先端部)は、(レンズ31およびレンズバレル32先端部)は、レンズユニット3の天面(カバー35の上端面)よりも突出した突出部31aを構成している。しかも、この突出部31aが、レンズユニット3の天面(カバー35の上端面)から突出している。言い換えれば、レンズユニット3の天面(カバー35の上端面)は、レンズ31の突出部31aよりも低い位置にある。さらに、レンズ31の突出部31aは、メカニカルシャッタ2の裏面に形成された凹部21内に収容される。このため、レンズユニット3の天面にメカニカルシャッタ2を積層した後のメカニカルシャッタ2およびレンズユニット3の厚さ(見かけ上の厚さ)は、積層前のメカニカルシャッタ2およびレンズユニット3の各々の厚さの合計よりも、レンズユニット3の天面がレンズ31の突出部31aよりも低い分、小さくなる。従って、レンズユニット3上にメカニカルシャッタ2を積層しても、カメラモジュール1が厚くなりすぎない。
すなわち、カメラモジュール1は、レンズ31およびレンズバレル32の一部(先端部)が、レンズユニット3の上端面よりも突出しており、メカニカルシャッタ2の凹部21内に配置された構成である。このように構成することにより、メカニカルシャッタ2のデッドスペースを有効活用し、単純にメカニカルシャッタ2とレンズユニット3とを積層する場合に比べて、カメラモジュール1の厚さを薄くすることができる。また、メカニカルシャッタ2とレンズユニット3とを積層配置しているので、従来のようにレンズユニット3の側方にメカニカルシャッタ2の駆動機構を配置する構成と比べて、カメラモジュールの小型化が可能となる。
従って、メカニカルシャッタ2とレンズユニット3とを備えたカメラモジュール1は、小型化および薄型化を同時に実現することができる。
ここで、図2は、レンズユニット3の駆動部が駆動していないカメラモジュール1の状態(定常状態;ホームポジション)を示している。一方、図7は、レンズユニット3の駆動部が駆動し、レンズ31(レンズホルダ33)が最高位置に移動した状態を示す断面図である。
また、本実施形態のカメラモジュール1は、図7のように、レンズユニット3が、レンズ31の全可動範囲内において、レンズ31とメカニカルシャッタ2とが互いに接触しないように、レンズ31を駆動するようになっている。
このようにレンズ31を駆動すると、レンズ31の全可動範囲において、レンズ31とメカニカルシャッタ2とが互いに接触しない。つまり、レンズ31とメカニカルシャッタ2との間には、常に隙間が形成される。これにより、焦点距離を調整するためにレンズ31を光軸方向に移動させても、レンズ31が、メカニカルシャッタ2に接触しない。従って、レンズ31の位置ずれ(焦点調整のずれ)を防ぐことができる。
しかも、本実施形態のカメラモジュール1は、レンズユニット3が、レンズ31の全駆動範囲内において、レンズ31と磁気遮蔽板5とが互いに接触しないように、レンズ31を駆動するようにもなっている。
このようにレンズ31を駆動すると、レンズ31の全可動範囲において、レンズ31と磁気遮蔽板5とが互いに接触しない。つまり、レンズ31と磁気遮蔽板5との間には、常に隙間が形成される。これにより、レンズ31が、磁気遮蔽板5に接触しない。従って、レンズ31の位置ずれ(焦点調整のずれ)を防ぐことができる。
このように、本実施形態のカメラモジュール1では、レンズ31が、焦点距離を長くする方向(図の上方向)に駆動されたとき、所定のストローク量にて、レンズユニット3のストッパー機構が働くようになっている。具体的には、図7の例では、レンズホルダ33の上面に固定された板ばね38aと、カバー35とが当接することにより、ストッパー機構として作用する。この状態が、レンズ31が最も高い位置となる。そして、この状態において、レンズバレル32とメカニカルシャッタ2(ケース26)との間、および、レンズバレル32と磁気遮蔽板5との間には、隙間が確保されるようになっている。つまり、レンズバレル32に直接、衝突による衝撃力が加わらないようになっている。レンズバレル32に衝撃力が加わると、レンズ31のフォーカス位置が変化する可能性がある。しかし、カメラモジュール1では、そのような衝撃力が加わらないため、フォーカス位置が変化することを防ぐことができる。
なお、本実施形態のカメラモジュール1では、磁気遮蔽板5には、光路上に開口5aが形成されており、この開口5aの直径が、レンズユニット3に形成された開口35aの直径よりも小さく、かつ、レンズ31の突出部31aの直径よりも大きくなっている。言い換えれば、開口5aの直径は、メカニカルシャッタ2の凹部21の径と同等またはほぼ同等である。
ここで、磁気遮蔽板5は、撮像ユニット4上にレンズユニット3を設けた後に、レンズユニット3上に配置する方法と、レンズユニット3およびメカニカルシャッタ2の一方に磁気遮蔽板5を接着させておき、レンズユニット3上へのメカニカルシャッタ2の配置と、レンズユニット3上への磁気遮蔽板5の配置とを同時に行う方法とが考えられる。製造工程を簡略化する上では、後者の方法が好ましい。
しかし、レンズ31を保持したレンズバレル32は、撮像ユニット4上に、ベース39等を接着させた後に、レンズホルダ33にはめ込まれる。図5のように、磁気遮蔽板5の開口5aの直径を、レンズユニット3に形成された開口35aの直径よりも小さく、かつ、レンズ31の突出部31aの直径よりも大きくするには、メカニカルシャッタ2の裏面に磁気遮蔽板5を接着させておき、レンズユニット3上へのメカニカルシャッタ2の配置と、レンズユニット3上への磁気遮蔽板5の配置とを同時に行うことになる。
そして、図7のように、磁気遮蔽板5の開口5aの直径を、レンズユニット3に形成された開口35aの直径よりも小さく、かつ、レンズ31の突出部31aの直径よりも大きくすれば、磁気遮蔽板5の開口5aの直径を小さくすることができる。つまり、磁気遮蔽板5の面積を広くすることができる。従って、磁気遮蔽板5による磁気遮蔽効果を高めることができる。なお、この場合、磁気遮蔽板5はメカニカルシャッタ2側に先に装着しておき、レンズユニット3にレンズバレル32を装着し、フォーカス調整、固定等の作業を実施した後、最後に、メカニカルシャッタ2および磁気遮蔽板5をレンズユニット3の上にかぶせるように配置すればよい。
なお、レンズユニット3の天面に磁気遮蔽板5を接着させておき、レンズユニット3上へのメカニカルシャッタ2の配置と、メカニカルシャッタ2の裏面への磁気遮蔽板5の配置とを同時に行う場合、図8のような構成となる。図8は、本発明の別のカメラモジュールを示す断面図である。図8の磁気遮蔽板5の開口5bは、図7の磁気遮蔽板5の開口5aよりも、大きくなる。つまり、磁気遮蔽板5の開口5bは、レンズバレル32の外径(レンズホルダ33の内径)よりも、大きくなる。このため、図7の開口5aよりも、開口5bの直径が大きくなる。つまり、磁気遮蔽板5の面積が狭くなる。従って、図8の磁気遮蔽板5による磁気遮蔽効果は、図7の磁気遮蔽板5による磁気遮蔽効果よりもやや劣る。
ただし、図7の構成の場合、磁気遮蔽板5の裏面が、レンズユニット3の天面から露出した部分があるのに対し、図8の構成の場合、磁気遮蔽板5がむき出しになっている部分がほとんどない。つまり、図8の構成の場合、磁気遮蔽板5の上面(おもて面)および下面(裏面)が、全域にわたり、メカニカルシャッタ2の裏面またはレンズユニット3の天面と接している。このため、図8の構成では、たとえ磁気遮蔽板5が金属光沢のある部材であっても、磁気遮蔽板5からの反射光が迷光となるリスクがほとんどない。
このように、図8の構成の場合、レンズバレル32をレンズユニット3に装着する前に、磁気遮蔽板5をレンズユニット3の天面に取り付けることになる。そして、この場合、磁気遮蔽板5には、レンズバレル32の装着が可能なように、レンズバレル32の外径よりも大きな径の開口5bが形成される。
なお、図7のように、本実施形態のカメラモジュール1では、レンズユニット3は、光軸方向の両端部に、開口(光入射側の開口35a,光出射側の開口39a)が形成されている。このため、光入射側の開口35aを介して、外部から、レンズユニット3内に異物が侵入する可能性がある。また、レンズユニット3内から異物が発生することもある。さらに、このような異物は、光出射側の開口39aから出て行く可能性がある。
具体的には、カバー35に形成された開口35aから異物が侵入した場合、あるいは、レンズユニット3内から異物が剥がれ落ちた場合、これらの異物が、コイル36と、ヨーク34または永久磁石37との隙間、および、板ばね38a,38bのパターンの隙間等を通って、ベース39上にまで達する可能性がある。ベース39上に達した異物が、光出射側の開口39aから出て光路内に入ると、シミ不良の原因となる。
そこで、レンズユニット3には、このような異物対策が施されている。すなわち、レンズユニット3は、このような異物対策として、レンズホルダ33に突起33aが形成されている。突起33aは、レンズホルダ33の底面に環状に形成されている。すなわち、この突起33aの内径は、ベース39に形成された光出射側の開口39aよりも大きい。しかも、この突起33aは、開口39aを取り囲むように、開口39aの全周にわったって形成されている。これにより、開口39aへの異物の移動空間が狭くなる。つまり、突起33aが、ベース39上から開口39a側への異物の移動を妨げる。従って、レンズユニット3内の異物が、開口39aから抜け出る可能性を大幅に低減することができる。
なお、異物が開口39aから抜け出て、下側に落下した場合、レンズユニット3の下側に設置される固体撮像素子42、あるいは透光性部材(カバーガラス)44に付着する。このため、付着した異物が画像として認識され、シミの原因となる。突起33aは、このようなシミの発生を大幅に低減することが可能となる。
このように、レンズユニット3では、突起33aが、光入射側の開口39aを包囲している。さらに、この突起33aは、開口39aから異物が出ていく経路を遮断するように形成されている。従って、開口39aから異物が出ていくのを低減することができる。
しかも、本実施形態のレンズユニット3は、レンズ31(レンズホルダ33)が電磁力により、光軸方向に移動する構成である。上述のように、図2は、駆動部が駆動しておらず、レンズ31(レンズホルダ33)が移動していない状態(定常状態;ホームポジション)を示している。一方、図7は、駆動部が駆動し、レンズ31(レンズホルダ33)が最高位置に移動した状態を示している。つまり、図2の状態は、レンズ機能の未使用状態であり、図7の状態は、レンズ機能の使用状態であるといえる。
レンズユニット3では、図2の定常状態時に、電磁力が作用すると、レンズ31(レンズホルダ33)が光軸方向に移動する。これにより、図7のように、レンズホルダ33が、カバー35に近接、あるいは接触するまで持ち上がる。そして、レンズユニット3では、図2のように、レンズ機能の未使用状態である定常状態時に、突起33aと、ベース39とが互いに接触している。つまり、駆動部の非駆動時間に、突起33aと、ベース39とが互いに当接する。これにより、定常状態時に、突起33aが、異物の移動経路を遮断する。従って、開口39aから異物の出ていくのをより確実に低減することができる。
しかも、レンズユニット3は、図2の定常状態時に、突起33aがベース39に当接しつつ、板ばね38a,38bの弾性力により、レンズホルダ33が下方向に与圧がかけられている。つまり、板ばね38a,38bが、レンズホルダ33を光出射側に押し付けるように与圧を加える。このため、突起33aと、ベース39とを確実に当接させることができる。これにより、突起が、異物の移動経路をより確実に遮断する。従って、各開口からの異物の出入りをより確実に低減することができる。従って、開口39aから異物の出ていくのをより確実に低減することができる。
なお、図7の状態では、突起33aによって、ベース39上の開口39aへの異物の移動経路を遮断する効果(開口39aに対する蓋効果)はなくなる。しかし、実際のカメラモジュール100では、レンズ機能の使用時間(例えば、オートフォーカスの動作時間)よりも、未使用時間の方が圧倒的に長い。つまり、大半の時間は、レンズ機能の未使用状態である。このため、少なくとも定常状態時に、突起33aが、異物の移動経路を遮断していればよい。これにより、開口39aから異物の出ていくのを十分に低減することができる。また、固体撮像素子42、あるいは透光性部材(カバーガラス)44側への異物の落下を防ぐこともできる。
さらに、カメラモジュール1では、ベース39の上面の、永久磁石37およびコイル36の直下近傍には、溝39bが形成されており、溝39b内には粘着性のダストトラップ剤40が塗布されている。具体的には、レンズユニット3では、ベース39は、レンズホルダ33の底面との対向面に、溝39bが形成されている。さらに、この対向面上には凸部も形成されており、この凸部に、板ばね38bが配置されている。このように、ベース39が凹凸形状になっていれば、ベース39上から光出射側の開口39aへの異物の移動経路が複雑になる。従って、光出射側の開口39aから異物が出ていくのを確実に防ぐことができる。
なお、溝39bおよび凸部は、開口39aの周囲の全域に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。また、凹凸形状を複雑にすればするほど、開口39aから異物が出ていくのを確実に防ぐことができる。
また、溝39bの形成部位は特に限定されるものではないが、レンズユニット3のように、コイル36、永久磁石37の真下に形成されていることが好ましい。つまり、溝39bは、レンズホルダ33のフランジ部およびコイル36と、永久磁石37との間に、光軸方向に形成された隙間の真下に形成されていることが好ましい。このように溝39bが形成されていれば、隙間を経由してベース39上に落下した異物を、落下直後に、溝39bに捕獲することができる。
さらに、ベース39の表面(レンズホルダ33の底面との対向面)には、粘着材として、ダストトラップ剤40が塗布されていることが好ましい。特に、ダストトラップ剤40は、レンズユニット3のように、溝39b内に塗布されていることがより好ましい。これにより、ベース39上に移動した異物を、ダストトラップ剤40によって捕捉することができる。従って、光出射側の開口39aから異物が出ていくのを確実に防ぐことができる。さらに、溝39bにダストトラップ剤40が塗布されていれば、溝39bに異物を滞留させることができる。つまり、上記の隙間を経由してベース39上に落下した異物を、落下直後に、溝39bに滞留させることができる。
すなわち、レンズユニット3では、ベース39上のコイル36および永久磁石37の直下近傍にダストトラップ剤40が塗布されている。このため、コイル36と永久磁石37との間の隙間を通ってきた異物がそのまま落下すれば、このダストトラップ剤40上に落下することになる。これにより、ダストトラップ剤40が、異物を捕捉する。
ダストトラップ剤40は、異物の経路中に塗布されていれば、異物を捕捉することができる。また、レンズユニット3では、突起33aによって異物の経路が遮断される直前に、ダストトラップ剤40を塗布されている。このため、行き場のなくなった異物の大半をダストトラップ剤40で捕捉することが可能となる。
なお、ダストトラップ剤40は、粘着材を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、半固体状(または固体に近い状態)の油脂や樹脂を適用することができる。例えば、グリースが好適である。グリースは、半固体状または液体に近い、油脂の一種であり、例えば、半固体状(または固体に近い状態)、または、ペースト状の潤滑剤から構成することができる。グリースは、例えば、二硫化モリブデン系潤滑剤,白色系潤滑剤,シリコーン系潤滑剤,パーフルオロポリエーテル系潤滑剤などを用いることができる。また、グリースは、鉱油を主成分とする鉱油系グリース,ポリα−オレフィン油を主成分とするポリα−オレフィン系グリース,シリコーンオイルを主成分とするシリコーン系グリース,フルオロシリコーン系グリース,パーフルオロポリエーテルを主成分とするパーフルオロポリエーテル系グリースなどを用いることができる。これらのグリースは、単独または2種以上を混合して用いることができる。また、グリースは、例えば、リチウム石鹸,カルシウム石鹸,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、グリース用の添加物を含むものであってもよい。
なお、レンズユニット3では、レンズホルダ33に突起33aが設けられていた。しかし、ベース39に突起を形成することもできる。また、レンズ機能の使用状態に関係なく(駆動部の駆動状態に関係なく)、開口39aへの異物の移動経路を遮断する構成とすることもできる。
図1のカメラモジュール1は、以下の構成とすることも可能である。図13および図14は、別のカメラモジュール(図2のカメラモジュール1の変形例)を示す断面図である。
図2のカメラモジュール1は、ホルダ43の底面に形成された凹部に、固体撮像素子42がはめ込まれた構成であった。このため、ホルダ43の部材公差によって、ホルダ43が固体撮像素子42に接触するのか、ホルダ43が配線基板41に接触するのか、あるいは、ホルダ43が固体撮像素子42および配線基板41のいずれにも接触するのか、ケースバイケースとなる。
これに対して、図13のカメラモジュール1aでは、ホルダ43と固体撮像素子42とが積極的に接触するように寸法設定されており、ホルダ43と配線基板41との間には隙間が生じるようになっている。ホルダ43と配線基板41との間に生じた隙間には、接着剤(図示せず)が充填される。
カメラモジュール1aにおいて、レンズ31の焦点位置は、固体撮像素子42の撮像面(表面)を基準にして設定される。例えば、カメラモジュール1aでは、レンズユニット3のベース39の底面をホルダ43の上面に当接させた状態で、レンズ31(レンズバレル32)を光軸方向に駆動し、固体撮像素子42の撮像面を基準にして無限遠端の焦点距離が調整される。焦点距離の調整には、例えば、レンズバレル32およびレンズホルダ33に形成されたねじ機構が用いられる。具体的には、レンズバレル32およびレンズホルダ33の一方におねじ、他方にめねじを形成しておき、レンズホルダ33に対して、レンズバレル32の高さを調整する。カメラモジュール1aでは、ホルダ43が、焦点距離の起点となる固体撮像素子42の受光面に当接している。また、このホルダ43の上面にレンズユニット3の底部(ベース39の底面)を当接させた状態で、レンズ31が光軸方向に移動する。従って、固体撮像素子42の受光面に対するレンズ31の高さの誤差(焦点距離の誤差)を低減することができる。
このようにレンズ31の高さの誤差が低減されると、上述のようなねじ機構により、レンズホルダ33に対してレンズバレル32をねじ込む量も少なくて済む。このため、ねじ込み量のばらつきを低減することができる。レンズホルダ33のストローク量は、このねじ込み量のばらつきに基づいて設定される。このため、ねじ込み量のばらつきが小さければ、レンズホルダ33のストローク量を小さくすることができる。これにより、レンズユニット3に要求される推力が、低減される。レンズホルダ33のストローク量を小さくできれば、レンズ31を駆動するためにレンズユニット3に設けられた永久磁石37の磁力を弱めることができる。その結果、永久磁石37の小型化、および、コイル36のコイルターン数の削減が可能となる。従って、レンズユニット3の低消費電力化等のメリットが生じる。さらに、永久磁石37の磁力を弱くすれば、メカニカルシャッタ2への漏洩磁界を抑制することができる。従って、漏洩磁界がメカニカルシャッタ2の特性に影響するのを低減することができる。
一方、図14のカメラモジュール1bは、図13のカメラモジュール1aをさらに改善した例である。カメラモジュール1bにおけるカメラモジュール1aとの最大の相違点は、レンズユニット3のベースと、撮像ユニット4のホルダ43とが一体になっている点である。つまり、ベース39が、ホルダ43を兼ねており、単一部材となっている。このため、カメラモジュール1aよりも部品点数を削減することができ、低コスト化が図れる。また、ベース39とホルダ43とが一体化されていれば、互いに独立した部材の場合よりも、光軸方向におけるホルダ43の厚さのばらつきと、光軸方向におけるベース39の厚さのばらつきとの累積誤差が低減される。これにより、ベース39の上面(レンズホルダ33の突起33aが当接する面)と、下面(固体撮像素子42の受光面に当接する面)との間の厚さの精度が高まる。従って、カメラモジュール1bでは、カメラモジュール1aよりも、固体撮像素子42の受光面に対するレンズ31の高さの誤差(焦点距離の誤差)を、より一層低減することができ、レンズ31の高さ位置の高精度化を図ることができる。また、カメラモジュール1aと同様に、レンズユニット3の小型化や低消費電力化、メカニカルシャッタ2の特性へのレンズユニット3からの漏洩磁界の影響の低減、等が可能となる。
以上のように、本発明のカメラモジュールは、メカニカルシャッタとレンズ駆動装置とを積層配置するとともに、撮像レンズあるいはレンズバレルの一部を、メカニカルシャッタの中央に設けられた凹部に配置することで、カメラモジュールの厚さを低減する。また、レンズ駆動装置により撮像レンズを駆動した場合に、レンズバレルに直接、衝撃力が加わらないよう、レンズバレルとメカニカルシャッタ、あるいは磁気遮蔽板との隙間を最適に設定している。また、レンズユニットのストローク量を低減するため、固体撮像素子上に直接、固体撮像素子をカバーするためのホルダが搭載されている。
なお、本実施形態のカメラモジュールは、カメラ付き携帯電話,ディジタルスチルカメラ,セキュリティカメラなどの撮影可能な電子機器に好適である。本実施形態のカメラモジュールは、小型、薄型を実現したものであるため、携帯電話に搭載することが最適である。携帯電話に搭載する場合、携帯電話内部にも磁性体、あるいは永久磁石が搭載される可能性がある。これらの磁性体や永久磁石によって、レンズユニットからの漏洩磁界の方向、大きさが若干、影響を受ける場合もあるが、これらトータルで、漏洩磁界がメカニカルシャッタの閉じ速度に悪影響を与えず、かつ、開き動作が可能な大きさに設定されることが望ましい。
本発明は、以下のように表現することもできる。
〔1〕内部に保持した撮像レンズを光軸方向に駆動するためのレンズ駆動部と、光路を遮断または開放して、撮像レンズに入射する光量を制御するシャッタ部と、撮像レンズを通して受光した光信号を電気信号に変換する撮像素子とを備えたカメラモジュールであって、前記レンズ駆動部とシャッタ部にはともに電磁駆動手段が用いられており、かつ、前記シャッタ部は永久磁石が可動部となるムービングマグネット形式であり、前記レンズ駆動部からの漏洩磁界が、シャッタの閉じ速度を速める方向に作用していることを特徴とするカメラモジュール。
上記の発明によれば、シャッタ部(メカニカルシャッタ)を備えているため、スミアの発生を防ぐことができる。さらに、レンズ駆動部を備えるため、撮像レンズを光軸方向に移動させて焦点調整機能を実現することができる。
上記の発明によれば、ムービングマグネット形式のシャッタ部と、VCMタイプのレンズ駆動部とを備えたカメラモジュールにおいて、レンズ駆動部からの漏洩磁界が、シャッタの閉じ速度を速める方向に作用するように、レンズ駆動部に用いられている永久磁石の着磁方向を適切に設定されている。このため、シャッタ部(シャッタ羽根)にとって最も重要な閉じ速度に対して悪影響を及ぼすことがなく、かえってVCMからの漏洩磁界を活用してシャッタの閉じ速度を速め、シャッタ部を高機能化することが可能となる。
このように、本発明のカメラモジュールは、レンズ駆動部からの漏洩磁界がシャッタ部(メカニカルシャッタ)の閉じ速度を速める方向に作用するように、レンズ駆動部内の永久磁石の着磁方向を設定した構成である。それゆえ、メカニカルシャッタとレンズ駆動部とを備えたカメラモジュールにおいて、レンズ駆動部からの漏洩磁界がシャッタの閉じ動作に悪影響を与えないという効果を有する。つまり、ムービングマグネット形式のシャッタとVCMを組み合わせた場合でも、シャッタの閉じ動作に悪影響を与えないカメラモジュールを実現することが可能であるという効果を奏する。
〔2〕前記シャッタ部と前記レンズ駆動部とは、前記光軸方向に略積層された構造であることを特徴とする〔1〕に記載のカメラモジュール。
上記の発明によれば、シャッタ部とレンズ駆動部とが光軸方向に積層されたことで、レンズ駆動部の側面部から漏れ出た漏洩磁界が、シャッタ部の駆動部(第2駆動部)の近傍位置では、ほぼ光軸に垂直な方向の磁界となる。一方、シャッタ部の磁極部からの磁界もほぼ光軸方向に垂直であるため、お互いの磁界の影響度が高い構成と言える。そのため、レンズ駆動部からの漏洩磁界の方向が、シャッタ羽根の閉じ動作を速める方向になるようにすることで、閉じ速度の加速効果がより高められる。
〔3〕前記レンズ駆動部とシャッタ部との間に、磁気遮蔽板が設けられていることを特徴とする〔2〕に記載のカメラモジュール。
レンズ駆動部からの漏洩磁界の方向が、シャッタ羽根の閉じ動作を速める方向に設定されている場合、裏を返せばシャッタの開き動作を遅くすることになる。開き動作の速度はそれほど重要ではないものの、所定の電流を流しても開かないような現象は望ましくない。
上記の発明によれば、磁気遮蔽板を設けることで、シャッタ部に入るレンズ駆動部からの漏洩磁界を減少させることができるため、漏洩磁界が大きすぎてシャッタが開かないという現象を防ぐことができる。
〔4〕〔1〕ないし〔3〕に記載のカメラモジュールを備えた電子機器。
〔1〕ないし〔3〕に記載のカメラモジュールは、小型、薄型を実現したものであるため、携帯電話等の電子機器に搭載することが最適である。
本発明のカメラモジュールは、上記の課題を解決するために、内部に保持した撮像レンズを、電磁力により光軸方向に駆動するレンズ駆動部と、光路を遮断または開放するシャッタ羽根によって、撮像レンズに入射する光量を制御するシャッタ部と、撮像レンズを通して受光した光信号を電気信号に変換する撮像素子とを備えたカメラモジュールであって、上記シャッタ部は、電磁力により駆動する永久磁石によってシャッタ羽根を駆動させるムービングマグネット型の駆動機構を備えており、レンズ駆動部から漏洩した磁界がシャッタ部の駆動機構に作用したときに、シャッタ羽根が光路を遮断する方向に作用するように、撮像レンズを駆動するための磁界が設定されていることを特徴としている。
本発明のカメラモジュールは、電磁力を駆動源とする、レンズ駆動部およびシャッタ部を備えている。このため、シャッタ部の永久磁石には、駆動機構からの磁界に加えて、レンズ駆動部からの漏洩磁界も作用する。その結果、シャッタ羽根による光路の開閉動作に影響を及ぼし、スミアが発生する可能性がある。
そこで、上記の発明によれば、撮像レンズを駆動するための磁界は、レンズ駆動部から漏洩した磁界がシャッタ部の駆動機構に作用したときに、シャッタ羽根が光路を遮断する方向に作用するように設定されている。このため、シャッタ羽根には、駆動機構からの磁界に加え、レンズ駆動部からの漏洩磁界も作用することになる。これにより、たとえ、レンズ駆動部から磁界が漏洩したとしても、その漏洩磁界は、シャッタ羽根が光路を遮断する方向に作用する。言い換えれば、その漏洩磁界は、シャッタ羽根による光路の閉じ速度を速める方向に作用する。従って、電磁力を駆動源とする、レンズ駆動部およびシャッタ部を備えたカメラモジュールであっても、スミアの発生を防ぐことができる。
なお、撮像レンズを駆動するための磁界の方向と、レンズ駆動部から漏洩する磁界の方向とは、互いに同一方向であってもよいし、互いに異なる方向であってもよい。磁界の方向は、磁界を発生させるためのコイルの向き,コイルに流れる電流の向きを変えることによって、変更することができる。
本発明のカメラモジュールでは、上記レンズ駆動部とシャッタ部とが、光軸方向に積層されていることが好ましい。
上記の発明によれば、レンズ駆動部とシャッタ部とが、光軸方向に積層されている。つまり、レンズ駆動部とシャッタ部とが、近接して配置されている。これにより、レンズ駆動部からの漏洩磁界が、シャッタ部に作用しやすくなる。従って、より確実にスミアの発生を防ぐことができる。
なお、「レンズ駆動部とシャッタ部とが光軸方向に積層されている」とは、レンズ駆動部とシャッタ部とが、光軸に対して平行に配置された状態に限定されるものでなはなく、光軸に対してやや斜めに配置された状態、つまり光軸に対して略平行に配置された状態であってもよいことを示す。
本発明のカメラモジュールでは、上記レンズ駆動部とシャッタ部との間に、レンズ駆動部からシャッタ部へ漏洩する磁界の一部を遮蔽するための磁気遮蔽板が設けられていてもよい。
上述のように、漏洩磁界は、シャッタ羽根が光路を遮断する方向に作用する。このため、漏洩磁界が大きすぎると、シャッタ羽根が光路を遮断する速度が速くなるものの、逆にシャッタ羽根により光路を開放することが困難になる。
そこで、上記の発明によれば、磁気遮蔽板によって、レンズ駆動部からシャッタ部への漏洩磁界の一部が遮蔽される。このため、たとえレンズ駆動部から過剰の磁界が漏洩したとしても、漏洩磁界の一部が、磁気遮蔽板によって遮蔽される。つまり、磁気遮蔽板が、その漏洩磁界を減少させることができる。従って、過剰の磁界が漏洩したとしても、シャッタ羽根により光路を開放することができる。
なお、「レンズ部からシャッタ部へ漏洩する磁界の一部を遮蔽」とは、レンズ駆動部からの漏洩磁界が、光路を遮断する方向に作用しつつ、光路を開放することができる程度に、漏洩磁界を遮蔽することを示す。
本発明のカメラモジュールでは、撮像レンズが、先端部に、レンズ駆動部の天面から突出した突出部を有しており、
シャッタ部は、レンズ駆動部の天面上に設けられており、
シャッタ部の裏面に、撮像レンズの突出部が内部に収容される凹部が形成されている構成であってもよい。
上記の発明によれば、シャッタ部が、レンズ駆動部の天面上に設けられている。このため、シャッタ部を設けてもレンズ駆動部の幅が広がらない。従って、シャッタ部を設けてもカメラモジュールが大型化しない。
しかも、上記の発明によれば、撮像レンズは、突出部を有しており、撮像レンズの先端部が、レンズ駆動部の天面から突出している。言い換えれば、レンズ駆動部の天面は、撮像レンズの突出部よりも低い位置にある。さらに、撮像レンズの突出部は、シャッタ部の裏面に形成された凹部内に収容される。このため、レンズ駆動部の天面にシャッタ部を積層した後のシャッタ部およびレンズ駆動部の厚さ(見かけ上の厚さ)は、積層前のシャッタ部およびレンズ駆動部の各々の厚さの合計よりも、レンズ駆動部の天面が撮像レンズの突出部よりも低い分、小さくなる。従って、レンズ駆動部上にシャッタ部を積層しても、カメラモジュールが厚くなりすぎない。
それゆえ、メカニカルシャッタとレンズ駆動部とを備えたカメラモジュールにおいて、小型化および薄型化を同時に実現することができる。
本発明のカメラモジュールでは、レンズ駆動部は、撮像レンズの全可動範囲内において、撮像レンズとシャッタ部とが互いに接触しないように、撮像レンズを駆動することが好ましい。
上記の発明によれば、撮像レンズの全可動範囲において、撮像レンズとシャッタ部とが互いに接触しない。つまり、撮像レンズとシャッタ部との間には、常に隙間が形成される。これにより、撮像レンズが、シャッタ部に接触しない。従って、撮像レンズの位置ずれ(焦点調整のずれ)を防ぐことができる。
本発明のカメラモジュールでは、レンズ駆動部は、撮像レンズの全駆動範囲内において、撮像レンズと磁気遮蔽板とが互いに接触しないように、撮像レンズを駆動することが好ましい。
上記の発明によれば、撮像レンズの全可動範囲において、撮像レンズと磁気遮蔽板とが互いに接触しない。つまり、撮像レンズと磁気遮蔽板との間には、常に隙間が形成される。これにより、撮像レンズが、磁気遮蔽板に接触しない。従って、撮像レンズの位置ずれ(焦点調整のずれ)を防ぐことができる。
本発明のカメラモジュールでは、撮像レンズが、先端部に、レンズ駆動部の天面から突出した突出部を有しており、上記磁気遮蔽板は、光路上に開口が形成されており、
上記磁気遮蔽板の開口の直径(内径)は、レンズ駆動部に形成された撮像レンズを保持するための開口の直径(内径)よりも小さく、撮像レンズの突出部の直径(外径)よりも大きいことが好ましい。
上記の発明によれば、磁気遮蔽板の開口の直径は、レンズ駆動部に形成された撮像レンズを保持するための開口の直径よりも小さく、撮像レンズの突出部の直径よりも大きい。これにより、磁気遮蔽板の面積を広くすることができる。従って、磁気遮蔽板による磁気遮蔽効果を高めることができる。
本発明のカメラモジュールでは、上記撮像素子の受光部を避けて、上記撮像素子を覆うホルダを備えており、上記ホルダは、上記撮像素子の受光面に当接しており、上記レンズ駆動部は、上記ホルダの上面にレンズ駆動部の底部を当接させた状態で、上記撮像レンズを光軸方向に駆動することが好ましい。
上記の発明によれば、ホルダが、焦点距離の起点となる撮像素子の受光面に当接している。また、このホルダの上面にレンズ駆動部の底部を当接させた状態で、撮像レンズが光軸方向に移動する。従って、撮像素子の受光面に対する撮像レンズの高さの誤差(焦点距離の誤差)を低減することができる。
本発明のカメラモジュールでは、上記レンズ駆動部は、レンズ駆動部の底部を構成するベースを備えており、上記ホルダとベースとが、一体になっていることが好ましい。
上記の発明によれば、撮像素子の受光面に当接したホルダと、レンズ駆動部の底部を構成するベースとが、一体化(共通化)されている。つまり、レンズ駆動部のベースがホルダを兼ねている。このため、単一部材から構成されたホルダとベースとを、同時に形成することができる。これにより、光軸方向におけるホルダの厚さのばらつきと、光軸方向におけるベースの厚さのばらつきとの累積誤差が低減される。従って、撮像素子の受光面に対する撮像レンズの高さの誤差(焦点距離の誤差)を、より一層低減することができる。
本発明の電子機器は、上記の課題を解決するために、前記いずれかに記載のカメラモジュールを備えていることを特徴としている。従って、電磁力を駆動源とするレンズ駆動部と、ムービングマグネット形式のメカニカルシャッタとを備えた場合でも、スミアの発生を防ぐことのできる電子機器を提供することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。