JP2011038957A - 抗原抗体測定装置、抗原抗体の測定方法 - Google Patents

抗原抗体測定装置、抗原抗体の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型の抗原抗体測定装置を提供する。
【解決手段】抗原抗体測定装置10は、大気中の浮遊微小物質を吸引捕集し、溶媒を用いて捕集された前記浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させる反応槽31を含む捕集部30と、カタラーゼ標識抗体と前記抗原とを抗原抗体反応により抗原抗体複合体を生成する第1反応部(マイクロ流路62に相当)と、抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離するマイクロチャンネル分離部40と、分離された前記抗原抗体複合体に過酸化水素を加え、前記カタラーゼ標識抗体により過酸化水素を酸素と水とに分離させる第2反応部(抗原抗体複合体流路66に相当)と、溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計と、が備えられ、溶存酸素濃度によって抗原抗体の量を測定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、抗原抗体反応を用いた抗原抗体測定装置と、抗原抗体の測定方法に関する。
従来から、生体高分子等の反応・分析手段として、反応固相としての固体微粒子と導入された抗原及び標識抗体の固体微粒子上での反応を行い、未反応物をマイクロチャンネル分離部で分離し、光熱変換分析により分析する抗原抗体分析装置(免疫分析装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、生体高分子の一つとしてのスギ花粉によるアレルギー症状に対して各種の分析・測定装置が提案案されている。例えば、大気中の浮遊微小物質(スギ花粉)を捕集し、この浮遊微小物質を濃縮し、蛍光体標識を用いて抗原抗体反応させた後、抗原抗体反応後の蛍光物質を励起し、蛍光分析によりスギ花粉の測定をする浮遊微小物質測定装置というものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−4628号公報 特開平11−14511号公報
上述した特許文献1は、抽出された抗原を吸着した固体微粒子上で抗原抗体反応を行うものであって、大気中の浮遊微小物質(例えば、スギ花粉等)を直接捕集して抗原の検出を行うことができないというような課題がある。
また、特許文献2は、浮遊微小物質の捕集、濃縮・反応、検出をそれぞれ別装置で行うものであって、短時間で抗原の検出をすることは困難である。また、抗原の検出は蛍光色素による標識が必要とされるが、この蛍光色素標識による試料ダメージも考えられる。
さらに、特許文献1及び特許文献2では、検出・測定装置として熱レンズ顕微鏡、蛍光分析、化学発光等の光熱変換分析手段を用いることから携帯可能な小型測定装置を実現することは困難である。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る抗原抗体測定装置は、大気中の浮遊微小物質を吸引捕集し、溶媒を用いて捕集された前記浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させる反応槽を含む捕集部と、カタラーゼ標識抗体と前記抗原とを抗原抗体反応により抗原抗体複合体を生成する第1反応部と、前記抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離するマイクロチャンネル分離部と、分離された前記抗原抗体複合体に過酸化水素を加え、前記カタラーゼ標識抗体により過酸化水素を酸素と水とに分離させる第2反応部と、溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計と、が備えられ、溶存酸素濃度によって抗原抗体の量を測定することを特徴とする。
本適用例によれば、溶媒を用いて浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させることから、上述した特許文献1のように予め浮遊微小物質から抗原を抽出しておくということは必要ない。従って、任意のタイミングで大気中の浮遊微小物質に含まれる抗原の検出・測定を行うことができるという効果がある。
また、抗原抗体複合体に含まれるカタラーゼ標識抗体によって、過酸化水素を酸素と水とに分離し、溶存酸素濃度として抗原抗体を検出・測定する。溶存酸素濃度は抗原抗体濃度によって決定されることから、正確な抗原抗体(つまり、抗原)の検出・測定を行うことができる。
さらに、大気中の浮遊微小物質の捕集から抗原抗体の測定に至るまでの各機能要素を流路で連続接続していること、抗原抗体の検出には小型化可能な溶存酸素濃度計を用いるため携帯可能な小型の抗原抗体測定装置を実現することができる。
また、本適用例による抗原抗体測定装置は、専門的な知識がない一般ユーザーにも使用可能であり、特に、スギ花粉等のアレルギー症を有する人にとって、任意の時間帯または任意の場所でアレルゲンの検出・測定により予防策を講ずることを可能にするという効果がある。
[適用例2]上記適用例に係る抗原抗体測定装置において、前記捕集部には、吸引された浮遊微小物質を含む大気を乱流させるためのフィンが備えられていることが好ましい。
フィンは、外部から浮遊微小物質を含む大気を吸引捕集する際、乱流を発生させ、または外部と反応槽との間において短絡流の発生を防止する目的で設けている。このことによって、浮遊微小物質を反応槽内に分散捕集し、その後の抗原溶出を一様に促進することができる。
[適用例3]上記適用例に係る抗原抗体測定装置において、前記反応槽の内面に前記浮遊微小物質を静電吸着するための吸着層が設けられていることが望ましい。
ここで、吸着層としては、例えば吸着シートまたは吸着膜であって、電荷を印加することで、浮遊微小物質を静電吸着させて反応槽内に効率よく捕集し、電荷を除去することによって、吸着層から浮遊微小物質を分離させて溶媒との反応を促進させることができる。
[適用例4]上記適用例に係る抗原抗体測定装置において、前記反応槽と前記第1反応部との間にフィルターが設けられていることが望ましい。
フィルターを設けることにより、ほぼ一定サイズの抗原よりも大きな不純物(抗原以外の浮遊微小物質等)を除去することができ、第1反応部以降に不純物が流動することを防止できる。
[適用例5]上記適用例に係る抗原抗体測定装置において、前記マイクロチャンネル分離部が、傾斜型電気泳動によって抗原抗体複合体と未反応抗体の分子量または電化量の差を利用して分離することが好ましい。
傾斜型電気泳動(T型電気泳動と表すことがある)については、後述する実施の形態で説明するが、抗原抗体複合体と未反応抗体とは、分子量または電荷量が異なるため、電気泳動法により分離することができる。しかし、従来の二次元電気泳動法に対して電極間距離を短くしても同等の分離能力が得られるという効果がある。
[適用例6]上記適用例に係る抗原抗体測定装置において、前記溶存酸素濃度計の測定結果を表示する表示部がさらに備えられていることが望ましい。
このようにすれば、使用者は抗原抗体をリアルタイムで認識し、必要な処置を講ずることができる。例えば、抗原がスギ花粉アレルゲンであれば、スギ花粉量を認識して予防処置を講ずることが可能となる。
[適用例7]本適用例に係る抗原抗体の測定方法は、大気中の浮遊微小物質を捕集する工程と、溶媒を用いて前記浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させる工程と、前記抗原とカタラーゼ標識抗体との抗原抗体反応により抗原抗体複合体を生成する工程と、前記抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離する工程と、分離された前記抗原抗体複合体に過酸化水素を加え、前記カタラーゼ標識抗体により過酸化水素を酸素と水とに分離させる工程と、分離された前記酸素の溶存酸素濃度から抗原抗体の量を測定する工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、大気中の浮遊微小物質の捕集、抗原の抽出、抗原抗体複合体の生成から抗原抗体の測定に至るまでの工程を同一測定装置内で連続して行うことから、短時間で、しかも正確な測定を行うことができる。
また、専門的な知識がなくても一般ユーザーが容易に使用することが可能であり、特に、スギ花粉に代表されるアレルゲンの検出に有効である。
実施形態1に係る抗原抗体測定装置を示す概観図。 抗原抗体測定装置の主たる構成を示す構成説明図。 マイクロチャンネル分離部を模式的に表す説明図。 捕集部の1例を示し、(a)は部分断面図、(b)は封止蓋体を示す側面図。 リザーバーと溶存酸素濃度計の関係を模式的に示す部分断面図。 抗原抗体測定装置による抗原抗体の測定方法を示す説明図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、以下の説明で参照する図は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る抗原抗体測定装置を示す概観図である。図1において、抗原抗体測定装置10は、主たる機能要素が収容される筐体20と、筐体20の内部に連通する吸引開口部33を封止する蓋体32が筐体20から突設された捕集部30と、液晶表示体等からなる表示部120と、抗原抗体測定装置10の操作を行う操作部110と、を有して構成されている。
なお、詳しくは後述するが、蓋体32は捕集部30に対して装脱可能な構成である。また、操作部110は複数のスイッチ等から構成されている。
続いて、抗原抗体測定装置10の機能要素の構成について図面を参照して説明する。
図2は、抗原抗体測定装置の主たる構成を示す構成説明図である。図2において、抗原抗体測定装置10は、溶媒を収容する溶媒収容容器71と、大気と大気に含まれる浮遊微小物質とを吸引捕集する捕集部30と、捕集された浮遊微小物質を取り込む反応槽31とを有している。
溶媒収容容器71と反応槽31の間には、溶媒送液ポンプ82が設けられ、溶媒を反応槽31の内部に送液する。溶媒送液ポンプ82と反応槽31とは、溶媒送液流路61によって連通されている。
捕集部30には、外部の大気(空気)を反応槽31内に取り込む吸引ポンプ81が接続されている。
反応槽31内では、前述した溶媒を用いて浮遊微小物質に含まれるスギ花粉等の生体高分子の抗原を溶出させる。
反応槽31にはマイクロ流路62が接続され、マイクロ流路62の途中には抗原及び溶質の混合液体を下流側に送液する送液ポンプ85が設けられている。
また、マイクロ流路62には、マイクロ流路64が連通されている。マイクロ流路64は、カタラーゼ標識抗体を収容する抗体容器72と、抗体容器72からカタラーゼ標識抗体をマイクロ流路62に送液するための抗体送液ポンプ83と、が接続されている。
さらに、マイクロ流路62はマイクロチャンネル分離部40に連通されている。マイクロチャンネル分離部40は、分離流路63を有し、下流側において未反応抗体流路65と抗原抗体複合体流路66とに分岐されている。
ここで、マイクロ流路62にカタラーゼ標識抗体を送液することにより、溶出された抗原とカタラーゼ標識抗体との抗原抗体反応により抗原抗体複合体が生成される。従って、マイクロ流路62とマイクロチャンネル分離部40との間が、抗原抗体複合体を生成する第1反応部である。この際、分離流路63には、抗原抗体複合体と、カタラーゼ標識抗体と反応しななかった未反応抗体とが存在する。
抗原抗体複合体と未反応抗体とは、マイクロ流路62(第1反応部)を通ってマイクロチャンネル分離部40に送液され、マイクロチャンネル分離部40において抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離される。
未反応抗体流路65は、バルブ131を介して廃液容器74に連通されている。一方、抗原抗体複合体流路66の途中には、マイクロ流路78が接続されている。マイクロ流路78には、過酸化水素(H)を収容する容器73と、過酸化水素を抗原抗体複合体流路66に注入するための注入ポンプ84が接続されている。
抗原抗体複合体に過酸化水素を加えることで、カタラーゼ標識抗体により過酸化水素が酸素と水とに分離され、これらを含む液体はリザーバー51に送液される。従って、抗原抗体複合体流路66とマイクロ流路78との接続部からリザーバー51の間が、過酸化水素を酸素と水とに分離する第2反応部である。
リザーバー51には溶存酸素濃度計50が配設されており、このリザーバー51内の酸素濃度(溶存酸素濃度)を抗原抗体濃度として測定する。なお、溶存酸素濃度及び溶存酸素濃度計については後述する。
また、リザーバー51の下流側は、バルブ132を介して廃液容器74に連通されている。
さらに、抗原抗体測定装置10は、電源としての電池90と、抗原抗体測定装置10の駆動制御を行う制御回路部100と、使用者が抗原抗体測定装置10の起動または停止等の操作を行うための操作部110と、測定結果を表示するための表示部120とを備えている。
ここで、電池90としては、乾電池やリチウム二次電池等を採用し、制御回路部100に電力を供給する。また、制御回路部100には、前述した各ポンプの駆動制御回路、マイクロチャンネル分離部40の荷電制御回路、溶存酸素濃度計50の測定回路、表示部120の表示制御回路、操作部110の操作制御回路、及びタイマー等が備えられている(図示は省略)。
続いて、マイクロチャンネル分離部40の構成及び作用について図面を参照して説明する。
図3は、マイクロチャンネル分離部を模式的に表す説明図である。図3において、マイクロ流路62、分離流路63、未反応抗体流路65、抗原抗体複合体流路66、リザーバー51のそれぞれは、ガラス基板またはセラミック基板または樹脂基板等からなる下基板26に穿設され、上基板25で封止されている(図示は省略するが、図4を参照する)。
次に、マイクロチャンネル分離部40について説明する。マイクロチャンネル分離部40は、分離流路63と、未反応抗体流路65と抗原抗体複合体流路66との分岐部67とから構成されている。そして、分離流路63の幅方向両側には、未反応抗体流路65側に電極68a、抗原抗体複合体流路66側に電極68b、下流方向には電極68c,68dが設けられている。
なお、電極68aと電極68cには+電位が印加され、電極68bと電極68dには−電位が印加される。ここで、抗原とカタラーゼ標識抗体とが結合された抗原抗体複合体の分子量V1と、未反応抗体の分子量V2と、を比較するとV1≠V2である。また、それぞれの電荷量S1,S2の関係もS1≠S2となる。
図示したように、分離流路63には、電極68a〜68dが設けられており、電極68bと電極68cとが+電荷であるため、分離流路63内では、図中において二点鎖線69で模式的に示すような電位勾配が生ずる。
従って、分子量または電荷量の差によって抗原抗体複合体と未反応抗体とが分離される。本実施形態では、抗原抗体複合体は抗原抗体複合体流路66側に流動し、未反応抗体は未反応抗体流路65に流動するよう分離される。このような分離現象を一般に電気泳動と呼称されるが、本実施形態のようなマイクロ流路における傾斜電位勾配を利用したものを傾斜型電気泳動または、T型電気泳動という。
次に、捕集部30について図面を参照して説明する。
図4は、捕集部の1例を示し、(a)は部分断面図、(b)は封止蓋体である。図4(a)において、捕集部30は、上基板25の上面に固着された機枠28と、機枠28の上端部に固定される捕集部本体27と、捕集部本体27のと蓋体32とから構成されている。
捕集部本体27には、中央部に反応槽31が穿設されている。この反応槽31には溶媒送液流路61と吸引流路79が連通され、溶媒送液流路61は溶媒送液ポンプ82が接続されている。一方吸引流路79は吸引ポンプ81に接続されている。
反応槽31の上部開口部にはフィン150が配設されている。フィン150には、複数の貫通孔151が設けられている。フィン150は捕集部本体27に対して着脱可能である。なお、貫通孔151は大気導入路である。フィン150は、外部から浮遊微小物質を含む大気を吸引捕集する際、乱流を発生させ、または外部と反応槽31との間において短絡流の発生を防止する目的で設けられている。また、フィン150は、捕集部本体27と蓋体32との間において挟着されている。
蓋体32の中央部に吸引開口部33が開口された筒状部材であって、外周部には螺子が設けられ、捕集部本体27に螺着される。
また、捕集部本体27の反応槽31の底面には、吸着層としての吸着シート35が貼着されている。なお、吸着層としては吸着膜を形成してもよく電荷を印加することで帯電する材質が選択される。
浮遊微小物質がスギ花粉のような生体高分子の場合、これらは負電荷を帯びているため、吸着シート35に正電荷を印加させることで浮遊微小物質を吸着させる。電荷を除去すれば、浮遊微小物質は反応槽31内で自由移動可能となる。さらに、反応槽31の内外を連通する孔には、エアベントフィルター141が設けられている。エアベントフィルター141は、液体の通過を閉鎖し気体のみを通過させる目的で設けられている。
反応槽31と、上基板25と下基板26によって形成されるマイクロ流路62とは、チューブ等の細管によって連通されている。そして、細管の途中にはフィルター140が介設されている。フィルター140は、ほぼ一定サイズの抗原よりも大きな不純物(抗原以外の浮遊微小物質等)を除去することができ、マイクロ流路62(第1反応部)以降に不純物が流動することを防止する目的で設けられている。
具体的には、フィルター140は、大気中の浮遊微小物質のうち、測定対象物の粒径に合わせて選択される。例えば、抗原粒径が3μm程度の場合は、抗原が通過可能な5μm程度の通過孔を設けることにより、5μm以上の粒径の塵埃等の不純物を除去することができる。なお、フィルター140は装脱可能とすることがより好ましい。
なお、図4(a)では、捕集部30は浮遊微小物質を捕集する際における蓋体32を装着した場合を表しているが、浮遊微小物質捕集後では、封止蓋体36を捕集部本体27に装着して用いる。図4(b)に封止蓋体36を示す。
封止蓋体36は、蓋部36aと螺子部36bと封止部36cとから構成される棒状部材である。封止部36cは、フィン150の外形形状に相当する形状を有し、封止蓋体36を捕集部本体27に螺合することで反応槽31を密閉する。
次に、リザーバー51と溶存酸素濃度計50について図面を参照して説明する。
図5は、リザーバーと溶存酸素濃度計の関係を模式的に示す部分断面図である。図5において、溶存酸素濃度計50の測定端子部50aがリザーバー51の内部に挿入されている。測定端子部50aには、陽極と陰極とが設けられている(図示せず)。
抗原抗体複合体流路66には過酸化水素が注入されると、抗原抗体複合体に含まれるカタラーゼ標識抗体によって、過酸化水素を酸素と水とに分離し酸素が抗原抗体複合体流路66に溶出し、リザーバー51内に分離された酸素を含む液体が貯留される。すると溶存酸素濃度に対応した電流が、陽極と陰極の間に流れる。発生する酸素は、カタラーゼ標識抗体の量(つまり、抗原の量)によって決定される。従って、溶存酸素濃度は抗原抗体濃度に相当する。この電流値を抗原の量とキャリブレーションしておけば、抗原抗体(抗原)を検出・測定することが可能となる。
続いて、以上説明した抗原抗体測定装置10を用いた抗原抗体(抗原と置き換えることができる)の測定方法について図6を参照して説明する。なお、図1〜図5も参照する。
図6は、本実施形態に係る抗原抗体測定装置による抗原抗体の測定方法を示す説明図である。
まず、大気と共に浮遊微小物質の捕集を行う(ST10)。まず、捕集部30には蓋体32を装着する(図4(a)に表す)。そして、操作部110のうちの起動スイッチを操作して吸引ポンプ81を駆動し、大気を反応槽31内に吸引する。この際、吸引ポンプ81以外のポンプは停止させておく。
また、吸着シート35には電荷を印加し捕集された浮遊微小物質を吸着シート35に吸着させる。そして、所定時間(例えば、20分〜30分)後、吸引ポンプ81を停止した後、蓋体32及びフィン150を取り外して封止蓋体36を挿着し反応槽31を密閉する。封止蓋体36の装着タイミングは、制御回路部100に内蔵されるタイマーにより表示部120で表示する。
次に、操作部110のうちの溶媒送液ポンプ駆動スイッチを操作して溶媒送液ポンプ82を駆動して、溶媒を反応槽31に注入し反応槽31内に充填させる(ST20)。溶媒の注入量は、予め設定された流速で所定時間注入することで決定される。この際、溶媒送液ポンプ82を駆動に連動して吸着シート35の電荷を除去する。
反応槽31内では、吸引された浮遊微小物質と溶媒とが混合され、溶媒の働きによって抗原を溶出させる(ST30)。
一定時間経過後、溶媒送液ポンプ82を停止し、送液ポンプ85を駆動し抗原をマイクロ流路62に流動する。続いて、抗体送液ポンプ83を駆動しカタラーゼ標識抗体をマイクロ流路62内に注入し(ST40)、溶出された抗原とカタラーゼ標識抗体との抗原抗体反応をさせ(ST50)抗原抗体複合体(測定目的物質)を生成する。マイクロ流路62内には抗原抗体複合体と未反応抗体とが混在する。
抗原抗体複合体及び未反応抗体の混合液は、送液ポンプ85と抗体送液ポンプ83との送液圧力によってマイクロ流路62を介して分離流路63に送液される。そして、マイクロチャンネル分離部40の傾斜型電気泳動(T型電気泳動)により、抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離する(ST60)。
分離された未反応抗体は未反応抗体流路65に送液されて廃液容器74に排出される(ST70)。
また、分離された抗原抗体複合体流路66に、注入ポンプ84を駆動して過酸化水素を注入する(ST80)。抗原抗体複合体流路66内では、カタラーゼ標識抗体の働きによって過酸化水素が酸素と水とに分離され、溶存酸素濃度計50を用いて溶存酸素濃度を抗原抗体濃度として測定する(ST90)。つまり、抗原抗体濃度は単位容積あたりの抗原量に相当するため抗原量を測定したことになる
測定結果は、表示部120に表示される。測定結果の表示内容としては、抗原抗体濃度そのもの、または抗原抗体量(抗原量)を数値表示する。測定対象物がスギ花粉であれば、使用者(被験者)のスギ花粉による影響度をインジケーター表示してもよい。
溶存酸素濃度測定後、抗原抗体複合体は廃液容器74に排出される(ST100)。
未反応抗体排出流路及び抗原抗体複合体排出流路と廃液容器74との間にはそれぞれバルブ131,132が備えられ、必要なタイミングで開放される。
以上説明した一連の工程を終了した後、電源がOFFされる。そして、封止蓋体36を取り外し、再測定の準備をする。つまり、フィン150を洗浄して捕集部本体27に装着し、続いて蓋体32を装着することで、再測定の準備が終了する
なお、上述したST20〜ST100の工程は、制御回路部100の記憶回路に格納されているプログラムに従って行われる。
従って、本実施形態によれば、溶媒を用いて大気中の浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させることから、上述した特許文献1のように予め浮遊物から抗原を抽出しておくということは必要ない。従って、任意のタイミングで大気中に含まれる抗原抗体の検出・測定を行うことができるという効果がある。
また、分離された抗原抗体複合体に過酸化水素を加え、カタラーゼ標識抗体により過酸化水素を酸素と水とに分離させ、溶存酸素濃度を測定する。溶存酸素濃度は抗原抗体濃度によって決定されることから、正確な抗原抗体(つまり、抗原)の検出・測定を短時間で行うことができる。
さらに、大気中の浮遊微小物質の捕集から抗原抗体の測定に至るまでの各機能要素を流路で連続接続していること、抗原抗体の検出には小型化可能な溶存酸素濃度計50を採用するため携帯可能な小型の抗原抗体測定装置を実現することができる。
また、本実施形態による抗原抗体測定装置10の構成及び測定方法によれば、専門的な知識がない一般ユーザーも使用可能であり、特に、スギ花粉等のアレルギー症を有する人にとって、任意の時間帯または場所でアレルゲンの検出・測定により予防策を講ずることを可能にするという効果がある。
また、捕集部30には、フィン150を備えている。フィン150は、外部から浮遊微小物質を含む大気を吸引捕集する際、乱流を発生させ、または外部と反応槽31との間において短絡流の発生を防止することが可能であり、このことによって、浮遊微小物質を反応槽31内に分散捕集し、その後の抗原溶出を一様に促進することができる。
また、反応槽31の内面には浮遊微小物質を静電吸着するための吸着シート35を設けている。吸着シート35に電荷を印加することで、浮遊微小物質を静電吸着させて反応槽31内に効率よく捕集し、電荷を除去することによって、吸着シート35から浮遊微小物質を分離させて溶媒との反応を促進させることができる。
また、反応槽31と第1反応部としてのマイクロ流路62の間にフィルター140を設けていることにより、ほぼ一定サイズの抗原よりも大きな不純物(抗原以外の浮遊微小物質等)を除去することができ、第1反応部以降に不純物が流動することを防止できる。
また、マイクロチャンネル分離部40が、傾斜型電気泳動(T型電気泳動)によって抗原抗体複合体と未反応抗体との分子量または電化量(その両方を含むことがある)の差を利用して分離している。抗原抗体複合体と未反応抗体とは、分子量または電荷量が異なるため、電気泳動法により分離することができる。しかし、従来の二次元電気泳動法に対して電極間距離を短くしても同等の分離能力が得られるという効果がある。
また、溶存酸素濃度計50による測定結果を表示する表示部120をさらに備えている。このことにより、抗原抗体をリアルタイムで測定し、必要な処置を講ずることができ、例えば、抗原がスギ花粉アレルゲンであれば、予防処置を講ずることが可能となる。
10…抗原抗体測定装置、30…捕集部、31…反応槽、40…マイクロチャンネル分離部、50…溶存酸素濃度計、51…リザーバー、61…溶媒送液流路、62…抗原抗体複合体送液流路、63…分離流路、65…未反応抗体流路、66…抗原抗体複合体流路。

Claims (7)

  1. 大気中の浮遊微小物質を吸引捕集し、溶媒を用いて捕集された前記浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させる反応槽を含む捕集部と、
    カタラーゼ標識抗体と前記抗原とを抗原抗体反応により抗原抗体複合体を生成する第1反応部と、
    前記抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離するマイクロチャンネル分離部と、
    分離された前記抗原抗体複合体に過酸化水素を加え、前記カタラーゼ標識抗体により過酸化水素を酸素と水とに分離させる第2反応部と、
    溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計と、が備えられ、
    溶存酸素濃度によって抗原抗体の量を測定することを特徴とする抗原抗体測定装置。
  2. 請求項1に記載の抗原抗体測定装置において、
    前記捕集部には、吸引された浮遊微小物質を含む大気を乱流させるためのフィンが備えられていることを特徴とする抗原抗体測定装置。
  3. 請求項1に記載の抗原抗体測定装置において、
    前記反応槽の内面に前記浮遊微小物質を静電吸着するための吸着層が設けられていることを特徴とする抗原抗体測定装置。
  4. 請求項1に記載の抗原抗体測定装置において、
    前記反応槽と前記第1反応部との間にフィルターが設けられていることを特徴とする抗原抗体測定装置。
  5. 請求項1に記載の抗原抗体測定装置において、
    前記マイクロチャンネル分離部は、傾斜型電気泳動によって抗原抗体複合体と未反応抗体との分子量または電化量の差を利用して分離することを特徴とする抗原抗体測定装置。
  6. 請求項1に記載の抗原抗体測定装置において、
    前記溶存酸素濃度計の測定結果を表示する表示部がさらに備えられていることを特徴とする抗原抗体測定装置。
  7. 大気中の浮遊微小物質を捕集する工程と、
    溶媒を用いて前記浮遊微小物質に含まれる抗原を溶出させる工程と、
    前記抗原とカタラーゼ標識抗体との抗原抗体反応により抗原抗体複合体を生成する工程と、
    前記抗原抗体複合体と未反応抗体とに分離する工程と、
    分離された前記抗原抗体複合体に過酸化水素を加え、前記カタラーゼ標識抗体により過酸化水素を酸素と水とに分離させる工程と、
    分離された前記酸素の溶存酸素濃度から抗原抗体の量を測定する工程と、
    を含むことを特徴とする抗原抗体の測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015210178A (ja) * 2014-04-25 2015-11-24 国立大学法人 岡山大学 大気窒素酸化物測定法及び大気窒素酸化物測定キット

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