JP2011037679A - 複合酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、複合酸化物非晶質膜及びその製造方法、並びに、複合酸化物結晶質膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗率が低く、光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜を提供すること。
【解決手段】主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、上記複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫及びストロンチウムの原子数の比が、それぞれ0〜0.3及び0.0001〜0.05であり、相対密度が97%以上であり、平均粒径が7μm以下である、複合酸化物焼結体。
【選択図】なし
【解決手段】主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、上記複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫及びストロンチウムの原子数の比が、それぞれ0〜0.3及び0.0001〜0.05であり、相対密度が97%以上であり、平均粒径が7μm以下である、複合酸化物焼結体。
【選択図】なし
Description
本発明は、複合酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、複合酸化物非晶質膜及びその製造方法、並びに、複合酸化物結晶質膜及びその製造方法に関する。
酸化物透明導電膜は、可視光域における高い透過率と導電性を有し、液晶表示素子や太陽電池等の各種受光素子の電極に利用されている。また、自動車用・建築材用の熱線反射膜、帯電防止膜、或いは冷凍ショーケース等に用いられる防曇用発熱体等にも利用されている。なかでも酸化インジウム膜は、錫を添加したITO膜や、亜鉛を添加したIZO膜として広く利用されている。
近年、酸化インジウム膜としては、酸化錫と酸化珪素を添加した高抵抗透明導電膜が提案されている(特許文献1)。また、酸化錫と酸化珪素を含有する酸化インジウム系透明導電膜であって、結晶化していないものが提案されている(特許文献2)。
液晶等の表示素子や太陽電池等の各種受光素子の電極等に使用される透明導電膜としては、抵抗率が低く、光透過性に優れること求められる。また、多様な形態に対応するためには、パターニング性(パターニングとは、所定形状を形成することをいう。)に優れることが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の高抵抗透明導電膜では、十分に低い抵抗率が得がたく、特許文献2に記載の酸化インジウム系透明導電膜では、結晶化していないためパターニング性に優れるものの、光透過性が十分ではなく、加熱により結晶化すると抵抗率が著しく上昇してしまう、という問題点がある。
そこで本発明は、抵抗率が低く、光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜を提供することを目的とする。本発明の目的はまた、容易に結晶化して当該複合酸化物結晶質膜を形成可能な複合酸化物非晶質膜、当該複合酸化物結晶質膜を成膜可能なスパッタリングターゲット、及び当該スパッタリングターゲットとして使用可能な複合酸化物焼結体を提供することにある。本発明の目的はさらに、複合酸化物非晶質膜の製造方法及び複合酸化物結晶質膜の製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、上記複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫及びストロンチウムの原子数の比が、それぞれ0〜0.3及び0.0001〜0.05であり、相対密度が97%以上であり、平均粒径が7μm以下である、複合酸化物焼結体を提供する。なお、本発明の複合酸化物焼結体は、微量の不可避不純物を含有しうるものである。
このような複合酸化物焼結体は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜を成膜可能な、スパッタリングターゲットとして有用である。また、当該スパッタリングターゲットによれば、複合酸化物の非晶質膜を成膜することもできる。この複合酸化物非晶質膜は、加熱により容易に結晶化し、低抵抗率で、且つ可視光領域だけでなく赤外領域においても高い光透過性を有する複合酸化物結晶質膜になる。そのため、この複合酸化物非晶質膜をエッチング等により所定の形状にパターニングした後、加熱することで、所定の形状を有する複合酸化物結晶質膜が得られる。
すなわち本発明は、上記複合酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットを提供する。このようなスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる。また、このようなスパッタリングターゲットは、成膜時の異常放電が少なく、放電特性に優れる。本発明のスパッタリングターゲットは、中心線平均粗さが3μm以下であることが好ましく、これにより成膜時の異常放電の回数を一層抑制することができ、安定して複合酸化物膜を成膜することができる。
本発明はまた、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物非晶質膜、並びに該複合酸化物非晶質膜を加熱してなる複合酸化物結晶質膜を提供する。このような複合酸化物非晶質膜はエッチング等により容易に加工でき、且つ加熱等により容易に結晶化できる。そのため、該複合酸化物非晶質膜から、所望の形状に成形された複合酸化物結晶質膜を容易に得ることができる。そして上記複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れたものとなる。上記加熱は200℃以上の加熱であることが好ましい。これにより複合酸化物非晶質膜の結晶化が充分に進行し、より低い抵抗率、並びに、可視光領域及び赤外領域におけるより優れた光透過性が得られる。
本発明はまた、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより、加熱された基板上に成膜された複合酸化物結晶質膜を提供する。このような複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる。上記加熱は200℃以上の加熱であることが好ましい。これにより上記の効果が一層有効に得られる。
上記複合酸化物結晶質膜は、Cuを線源とするX線回折測定において、ビックスバイト型構造の回折パターンを示すことが好ましい。ここでビックスバイト型構造の回折パターンを示す、とは、2θ=20〜40°の範囲内に検出される回折ピークが、酸化インジウムのビックスバイト型構造の(211)面、(222)面、(400)面、(411)面に指数付けられるピークであることを表す。このような回折パターンを示す複合酸化物結晶質膜は、低抵抗で可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性が良好であり、特に近紫外領域〜可視光領域の280〜500nmの波長範囲での光透過性が一層優れるようになる。
本発明は、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜する、複合酸化物非晶質膜の製造方法を提供する。本発明はまた、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物非晶質膜を加熱する、複合酸化物結晶質膜の製造方法を提供する。このような方法によれば、低抵抗で、且つ可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性が良好な複合酸化物結晶質膜を、簡便に得ることができる。
本発明によれば、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜を提供することができる。また、容易に結晶化して当該複合酸化物結晶質膜を形成可能な複合酸化物非晶質膜、当該複合酸化物結晶質膜を成膜可能なスパッタリングターゲット、及び当該スパッタリングターゲットとして使用可能な複合酸化物焼結体を提供することができる。さらに、複合酸化物非晶質膜の製造方法及び複合酸化物結晶質膜の製造方法を提供することができる。
(複合酸化物焼結体)
本実施形態に係る複合酸化物焼結体は、主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、上記複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫及びストロンチウムの原子数の比が、それぞれ0〜0.3及び0.0001〜0.05であり、相対密度が97%以上であり、平均粒径が7μm以下である。このような複合酸化物焼結体は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜を成膜可能な、スパッタリングターゲットとして有用である。また、当該スパッタリングターゲットによれば、複合酸化物の非晶質膜を成膜することもできる。この複合酸化物非晶質膜は、加熱により容易に結晶化し、低抵抗率で、且つ可視光領域だけでなく赤外領域においても高光透過性の複合酸化物結晶質膜になる。そのため、複合酸化物非晶質膜をエッチング等により所定の形状にパターニングした後、加熱することで、所定の形状を有する複合酸化物結晶質膜が得られる。
本実施形態に係る複合酸化物焼結体は、主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、上記複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫及びストロンチウムの原子数の比が、それぞれ0〜0.3及び0.0001〜0.05であり、相対密度が97%以上であり、平均粒径が7μm以下である。このような複合酸化物焼結体は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜を成膜可能な、スパッタリングターゲットとして有用である。また、当該スパッタリングターゲットによれば、複合酸化物の非晶質膜を成膜することもできる。この複合酸化物非晶質膜は、加熱により容易に結晶化し、低抵抗率で、且つ可視光領域だけでなく赤外領域においても高光透過性の複合酸化物結晶質膜になる。そのため、複合酸化物非晶質膜をエッチング等により所定の形状にパターニングした後、加熱することで、所定の形状を有する複合酸化物結晶質膜が得られる。
主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体とは、複合酸化物焼結体を構成する原子の総数基準で、インジウム、ストロンチウム及び酸素の総数が85%以上であることを示す。この合計が90%以上であると好ましい。
また、複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫の原子数の比は、好ましくは0.01〜0.25であり、より好ましくは0.05〜0.2であり、さらに好ましくは0.07〜0.17である。複合酸化物焼結体中の錫の含有量が上記範囲内であることで、得られる複合酸化物結晶質膜の抵抗率並びに可視光領域及び赤外領域における光透過率がより良好になる。また、このような複合酸化物焼結体から得られる複合酸化物非晶質膜は、加熱により結晶化した複合酸化物結晶質膜になる。
また、複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、ストロンチウムの原子数の比は、好ましくは0.0005〜0.045であり、より好ましくは0.001〜0.04である。複合酸化物焼結体中のストロンチウムの含有量が上記範囲内であることで、当該複合酸化物焼結体をスパッタリングターゲットとして成膜される複合酸化物膜の抵抗率並びに可視光領域及び赤外領域における光透過率がより良好になる。
相対密度は、以下の算出方法により得られる値を示す。
複合酸化物焼結体中のインジウム、錫及びストロンチウムを、それぞれ酸化インジウム(In2O3)、酸化錫(SnO2)及び酸化ストロンチウム(SrO)として換算して重量比率を求める。ここで求めたIn2O3、SnO2及びSrOの重量比率を、それぞれa%、b%及びc%とする。次に、真密度を、In2O3は7.18g/cm3、SnO2は6.95g/cm3、SrOは4.7g/cm3として、下記式(I)から理論密度A(g/cm3)を算出する。
A=(a+b+c)/((a/7.18)+(b/6.95)+(c/4.7)) (I)
複合酸化物焼結体中のインジウム、錫及びストロンチウムを、それぞれ酸化インジウム(In2O3)、酸化錫(SnO2)及び酸化ストロンチウム(SrO)として換算して重量比率を求める。ここで求めたIn2O3、SnO2及びSrOの重量比率を、それぞれa%、b%及びc%とする。次に、真密度を、In2O3は7.18g/cm3、SnO2は6.95g/cm3、SrOは4.7g/cm3として、下記式(I)から理論密度A(g/cm3)を算出する。
A=(a+b+c)/((a/7.18)+(b/6.95)+(c/4.7)) (I)
また、複合酸化物焼結体の焼結密度B(g/cm3)を、JIS−R1634−1998に準拠してアルキメデス法により測定する。
このようにして得られた理論密度A及び焼結密度Bから、下記式(II)により相対密度(%)が得られる。
相対密度(%)=(B/A)×100 (II)
相対密度(%)=(B/A)×100 (II)
複合酸化物焼結体の相対密度は、97%以上であり、98%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましい。これにより、得られる複合酸化物結晶質膜がより低抵抗になり、且つ可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性がより良好になる傾向がある。
平均粒径は、例えば、複合酸化物焼結体の一面について、鏡面研磨及び塩酸溶液によるケミカルエッチングを行って観察面とし、当該観察面を走査型電子顕微鏡で観察して、その観察写真等から測定することができる。
複合酸化物焼結体の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下である。これにより、得られる複合酸化物結晶質膜がより低抵抗になり、可視光領域のみならず赤外領域の光透過性にも一層優れるようになる。また、平均粒径が上記上限値以下である複合酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットは、異常放電の一因となるノジュールの発生を効果的に低減することができる。一方、平均粒径は、通常0.001μm以上である。平均粒径が0.001μm未満の複合酸化物焼結体を得るためには、例えば、1次粒径の平均値が0.001μm未満の原料粉末を用いることとなる。このような原料粉末を用いた場合、成形が非常に困難となり、製造効率が低下する傾向にある。
次に、本実施形態に係る複合酸化物焼結体の製造方法について説明する。
複合酸化物焼結体は、例えば、インジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する錫及びストロンチウムの原子数の比が上記範囲内となるように原料金属化合物を混合し、混合物を焼成して得られる。
原料金属化合物としては、金属酸化物(酸化インジウム、酸化錫、酸化ストロンチウム及びこれらの複合酸化物等)、金属硝酸塩、金属塩化物、金属炭酸塩、金属アルコキシド、金属水酸化物等を使用できる。これらのうち、取扱性が良好であり複合酸化物焼結体を効率よく製造できるため、インジウム源としては酸化インジウム、錫源としては酸化錫、ストロンチウム源としては酸化ストロンチウム及び炭酸ストロンチウムが、それぞれ好ましい。
原料金属化合物は、粉末状であることが好ましく、取扱性が一層良好になることから、平均粒径が1.5μm以下であることが好ましく、0.1〜1.5μmであることがより好ましい。このように原料金属化合物の平均粒径を調製することで、上記所定の範囲内の相対密度を有する複合酸化物焼結体が得られやすくなる。
原料金属化合物の混合は、乾式又は湿式混合により行うことができ、混合方法は特に限定されるものではない。混合方法としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、ナイロン樹脂等のボールやビーズを用いた乾式、湿式のメディア攪拌型ミルや、メディアレスの容器回転式混合、機械撹拌式混合等の混合方法が挙げられる。より具体的には、ボールミル、ビーズミル、アトライタ、振動ミル、遊星ミル、ジェットミル、V型混合機、パドル式混合機、二軸遊星撹拌式混合機等が挙げられる。
湿式法のボールミルやビーズミル、アトライタ、振動ミル、遊星ミル、ジェットミル等により混合した場合、混合物を乾燥させてから焼成を行うことが好ましい。また、液相法により原料金属化合物を混合した場合、すなわち金属塩溶液やアルコキシド溶液を原料として用いた場合には、溶液中から析出させた沈殿類(主に原料金属の水酸化物の混合物)を回収し、乾燥させてから焼成を行うことが好ましい。乾燥方法は特に限定されるものではなく、濾過乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等により行うことができる。
上記混合により得られる混合物は、焼成を行う前に、仮焼してもよい。仮焼温度は、500〜1200℃が好ましく、仮焼時間は1〜3時間が好ましい。仮焼して得られる仮焼粉末は、解砕して平均粒径を0.1〜1.5μmとしておくことが好ましい。また、仮焼粉末は、造粒処理等により、以降の工程での操作性を向上させてもよい。特に原料金属化合物が金属塩である場合、又は液相法により混合物を調製した場合、このような仮焼を行うことが好ましい。
また、上記混合物は、必要に応じて仮焼した後、所望の形状に成形することが好ましい。成形方法は、プレス成形法、鋳込み成形法等、所望の形状に成形できる成形方法を適宜選択することができ、特に限定されるものではない。成形時の圧力は、クラック等の発生が無く取扱が可能な成形体が得られる圧力であることが好ましい。また、成形体の密度が、できる限り高くなるように成形することが好ましく、この観点からは冷間静水圧成形(CIP)等の方法により成形することが好ましい。
成形方法において、必要に応じて成形性を向上させるための有機系添加剤を用いることもできる。このような添加剤を用いて成形した場合、成形体中に残存する水分や有機系添加剤を十分に除去することが好ましく、除去の方法としては成形体を加熱する方法等が挙げられる。なお加熱温度は、残存する水分量、残存する有機系添加剤量、有機系添加剤の種類等に応じて、適宜選択することができ、好適には80〜500℃である。
焼成は、複合酸化物焼結体の相対密度及び平均粒径が上述の数値範囲を満たす条件で行えば特に限定されず、例えば、昇温速度10〜400℃/時間(好ましくは、10〜200℃/時間)、焼結保持温度1400℃以上1650℃以下(好ましくは、1500℃以上1650℃以下)、焼結保持時間1時間以上(好ましくは、5〜20時間)、降温速度10〜500℃/時間(好ましくは、焼結保持温度から1200℃までは100〜500℃/時間、1200℃からは10〜100℃/時間)、の条件で行うことができる。これらの条件は適宜変更してもよいが、昇温速度及び降温速度が上記範囲内であることで、焼成時間の短縮及び複合酸化物焼結体の割れ防止という効果が奏される。また、焼結保持温度が上記範囲内であることで、酸化インジウム格子中への酸化錫の固溶が促進され、本発明の効果をより良好に得ることができる。さらに、焼結保持時間が上記範囲内であることで、高密度の複合酸化物焼結体が得られやすくなる。
焼成は、酸素含有雰囲気下で行うことが好ましく、酸素気流中で行うことがより好ましい。さらに、酸素気流中での焼成においては、炉内に酸素を導入する際の酸素流量(L/min)の値と上記混合物の仕込み量(kg)の値との比が、仕込み量/酸素流量で1.0以下となるように炉内に酸素を導入することが好ましい。これにより、高密度の複合酸化物焼結体が得られやすくなり、本発明の効果が一層良好に奏される。
なお、相対密度97%以上、平均粒径7μm以下である複合酸化物焼結体は、例えば、原料金属化合物の平均粒径を0.1〜1.5μm、焼結保持温度を1500〜1650℃、焼結保持時間を2〜10時間、且つ、焼結時の降温速度を焼結保持温度から1200℃までは100〜500℃/時間、とすることで容易に製造することができる。
(スパッタリングターゲット)
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、上記複合酸化物焼結体からなることを特徴とする。このようなスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる。また、このようなスパッタリングターゲットは、成膜時の放電特性に優れるため、安定して複合酸化物膜を成膜することができる。本実施形態においては、複合酸化物焼結体をそのままスパッタリングターゲットとしてもよく、複合酸化物焼結体を所定の形状に加工してスパッタリングターゲットとしてもよい。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、上記複合酸化物焼結体からなることを特徴とする。このようなスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる。また、このようなスパッタリングターゲットは、成膜時の放電特性に優れるため、安定して複合酸化物膜を成膜することができる。本実施形態においては、複合酸化物焼結体をそのままスパッタリングターゲットとしてもよく、複合酸化物焼結体を所定の形状に加工してスパッタリングターゲットとしてもよい。
スパッタリングターゲットは、スパッタ面の表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。これにより成膜時の異常放電の回数を一層抑制することができ、安定して複合酸化物膜を成膜することができる。中心線平均粗さは、複合酸化物焼結体のスパッタ面を番手を変えた砥石等で機械加工する方法、サンドブラスト等で噴射加工する方法等の方法により調整することができる。また、中心線平均粗さは、例えば、測定面を表面性状測定装置で評価することにより求めることができる。
(複合酸化物結晶質膜)
本実施形態に係る複合酸化物結晶質膜は、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜されることを特徴とし、このような複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる。
本実施形態に係る複合酸化物結晶質膜は、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜されることを特徴とし、このような複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性に優れる。
複合酸化物結晶質膜は、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により成膜されことが好ましい。スパッタリング法としては、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を適宜選択することができ、これらのうち、大面積に均一に、且つ高速成膜することが可能であるため、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
複合酸化物結晶質膜は、上記スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物非晶質膜を、加熱して製造することができる。このようにして製造された複合酸化物結晶質膜は、抵抗率が低く、可視光領域及び赤外領域における光透過性に一層優れる。加熱温度は200℃以上の加熱であることが好ましい。これにより複合酸化物非晶質膜の結晶化が十分に進行し、より良好な抵抗率並びに可視光領域及び赤外領域における光透過性が得られる。
複合酸化物非晶質膜は、可視光領域及び赤外領域における光透過性に優れ、エッチング等により容易に加工できる。そのため、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜され、さらにエッチング等によりパターニングされた複合酸化物非晶質膜を、加熱することにより、所定の形状を有する複合酸化物結晶質膜を製造することができる。
複合酸化物非晶質膜の成膜は、膜の結晶化が起こらない成膜温度、例えば、室温(約25℃)〜150℃以下で行う。成膜温度としては、上記上限値以下の温度から、基板等の特性にあわせて適宜選択することができるが、低温である方が装置上、材料上の制約が少なくなるため、100℃以下が好ましい。
複合酸化物非晶質膜は、200℃以上に加熱することにより結晶化し、複合酸化物結晶質膜となる。この加熱は、大気中で行ってもよく、窒素やアルゴン等の非酸化性ガス雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、真空中で行ってもよい。加熱時間は、加熱温度や雰囲気とのかねあいによるが、通常数時間以内で結晶化が完了する。
また、複合酸化物結晶質膜は、スパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより、加熱された基板上に成膜することでも製造することができる。このようにして製造された複合酸化物結晶質膜は、膜全体が結晶質であり、抵抗率が均一に低くなり、可視光領域及び赤外領域における光透過性に一層優れる。基板の加熱温度は、200℃以上であることが好ましく、これにより上記の効果が一層有効に得られる。
ここで、複合酸化物結晶質膜とは、膜を構成する複合酸化物が実質的に結晶構造を有している膜を示す。また、複合酸化物非晶質膜とは、膜を構成する複合酸化物が実質的に結晶構造を有していない膜を示す。なお、本実施形態において、実質的に結晶構造を有するとは、X線回折測定において結晶構造由来の回折パターンが観測されることを表し、実質的に結晶構造を有していないとは、X線回折測定において結晶構造由来の回折パターンが観測されないことを表す。
複合酸化物結晶質膜は、Cuを線源とするX線回折測定において、ビックスバイト型構造の回折パターンを示すことが好ましい。ここでビックスバイト型構造の回折パターンを示す、とは、2θ=20〜40°の範囲内に検出される回折ピークが、酸化インジウムのビックスバイト構造の(211)面、(222)面、(400)面、(411)面に指数付けられるピークであることを表す。このような回折パターンを示す複合酸化物結晶質膜は、ビックバイト型の結晶構造を有し、低抵抗で可視光領域だけでなく赤外領域においても光透過性が良好であり、特に近紫外領域〜可視光領域の280〜500nmの波長範囲での光透過性が一層優れるようになる。
複合酸化物結晶質膜がビックバイト型の結晶構造を有することでこのような効果が奏される理由は、必ずしも明らかではないが、電子軌道の重なりが良好となり、キャリア密度が適切な量となることで、280〜500nmの波長範囲での光透過性が一層優れるようになるものと考えられる。
本実施形態に係る複合酸化物結晶質膜は、低抵抗で、且つ可視光領域だけでなく赤外領域においても良好な光透過性を示すため、液晶等の表示素子や太陽電池等の各種受光素子の電極等に使用される透明導電膜として好適に利用できる。
本発明を、実施例と比較例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1〜6)
インジウム、錫及びストロンチウムの原子数の比が表1に記載の値となるように、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化インジウム粉末、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化錫粉末及び純度99.9%、平均粒径1μmの炭酸ストロンチウム粉末を、乾式ボールミルで混合した。次いで、大気中、1000℃で2時間仮焼した後、乾式ボールミルで解砕した。得られた粉末を3.0ton/cm2でCIP成形し、純酸素雰囲気焼結炉内に設置して、以下の条件で焼結して複合酸化物焼結体を得た。
インジウム、錫及びストロンチウムの原子数の比が表1に記載の値となるように、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化インジウム粉末、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化錫粉末及び純度99.9%、平均粒径1μmの炭酸ストロンチウム粉末を、乾式ボールミルで混合した。次いで、大気中、1000℃で2時間仮焼した後、乾式ボールミルで解砕した。得られた粉末を3.0ton/cm2でCIP成形し、純酸素雰囲気焼結炉内に設置して、以下の条件で焼結して複合酸化物焼結体を得た。
[焼結条件]
・昇温速度 :50℃/時間
・焼結温度 :1600℃
・保持時間 :5時間
・焼結雰囲気:昇温時の室温から降温時の100℃まで純酸素ガスを炉内に導入
・酸素流量 :仕込重量(kg)/酸素流量(L/min)=0.8
・降温速度 :100℃/時間
・昇温速度 :50℃/時間
・焼結温度 :1600℃
・保持時間 :5時間
・焼結雰囲気:昇温時の室温から降温時の100℃まで純酸素ガスを炉内に導入
・酸素流量 :仕込重量(kg)/酸素流量(L/min)=0.8
・降温速度 :100℃/時間
得られた複合酸化物焼結体の特性を、以下のように評価した。評価結果を表1に示す。
[複合酸化物焼結体の焼結密度の測定方法]
複合酸化物焼結体の焼結密度は、JIS−R1634−1998に準拠してアルキメデス法で測定した。この焼結密度から、上述の方法により相対密度を求めた。
複合酸化物焼結体の焼結密度は、JIS−R1634−1998に準拠してアルキメデス法で測定した。この焼結密度から、上述の方法により相対密度を求めた。
[複合酸化物焼結体の平均粒径の測定方法]
複合酸化物焼結体を適当な大きさに切断した後、観察面を鏡面研磨し、次に塩酸溶液でケミカルエッチングを行った。この観察面を、走査型電子顕微鏡等を用いて観察し、観察写真から平均粒径を求めた。
複合酸化物焼結体を適当な大きさに切断した後、観察面を鏡面研磨し、次に塩酸溶液でケミカルエッチングを行った。この観察面を、走査型電子顕微鏡等を用いて観察し、観察写真から平均粒径を求めた。
次に、複合酸化物焼結体を4インチφサイズに加工し、ダイヤモンド砥石を用いた平面研削盤による機械加工によりスパッタ面を作製して、スパッタリングターゲットを得た。得られたスパッタリングターゲットについて、以下のように中心線平均粗さと放電特性を評価した。評価結果を表1に示す。
[スパッタリングターゲットの中心線平均粗さの測定方法]
スパッタリングターゲットのスパッタ面を測定面とし、当該測定面を表面性状測定装置(ミツトヨ社製、SV−3100)で評価し、中心線平均粗さを求めた。
スパッタリングターゲットのスパッタ面を測定面とし、当該測定面を表面性状測定装置(ミツトヨ社製、SV−3100)で評価し、中心線平均粗さを求めた。
[スパッタリングターゲットの放電特性の評価]
下記スパッタリング条件下で、1時間当りに発生した異常放電の回数を観測した。
<スパッタリング条件>
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製)
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素の占める体積割合が0.5%)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・スパッタリング時間 :30時間
下記スパッタリング条件下で、1時間当りに発生した異常放電の回数を観測した。
<スパッタリング条件>
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製)
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素の占める体積割合が0.5%)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・スパッタリング時間 :30時間
次に、得られたスパッタリングターゲットをターゲットとし、DCマグネトロンスパッタリング法により、下記の条件で成膜して複合酸化物膜を得た。さらに、得られた複合酸化物膜を、大気中、250℃で1時間加熱した。
[スパッタリング成膜条件]
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製)
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素の占める体積割合(%)を、酸素量として表2に記載した。)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・膜厚 :150nm
・使用基板 :無アルカリガラス(コーニング社製#1737ガラス)
厚さ0.7mm
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製)
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素の占める体積割合(%)を、酸素量として表2に記載した。)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・膜厚 :150nm
・使用基板 :無アルカリガラス(コーニング社製#1737ガラス)
厚さ0.7mm
加熱前後の複合酸化物膜の特性を、それぞれ以下のように測定した。測定結果を表2に示す。
[複合酸化物膜の組成]
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、ICP発光分析法により、インジウム、錫及びストロンチウムの定量を行った。定量の結果、複合酸化物膜におけるインジウム、錫及びストロンチウムは、複合酸化物焼結体製造時の原子数の比とほぼ同様の比で含有されていた。
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、ICP発光分析法により、インジウム、錫及びストロンチウムの定量を行った。定量の結果、複合酸化物膜におけるインジウム、錫及びストロンチウムは、複合酸化物焼結体製造時の原子数の比とほぼ同様の比で含有されていた。
[複合酸化物膜の結晶性評価]
下記の測定条件でX線回折試験を行い、ビックスバイト型構造の回折パターン(具体的には、2θ=20〜40°の範囲内に検出され、(211)面、(222)面、(400)面、(411)面に指数付けられるピーク)が観測されたものを結晶質、観測されなかったものを非晶質として評価した。なお、ビックスバイト型構造以外の結晶構造を示す回折パターンは観測されなかった。
<測定条件>
・X線源 :CuKα
・パワー :40kV、40mA
・走査速度 :1°/分
下記の測定条件でX線回折試験を行い、ビックスバイト型構造の回折パターン(具体的には、2θ=20〜40°の範囲内に検出され、(211)面、(222)面、(400)面、(411)面に指数付けられるピーク)が観測されたものを結晶質、観測されなかったものを非晶質として評価した。なお、ビックスバイト型構造以外の結晶構造を示す回折パターンは観測されなかった。
<測定条件>
・X線源 :CuKα
・パワー :40kV、40mA
・走査速度 :1°/分
[複合酸化物膜の抵抗率の測定]
日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製HL5500を用いて、四探針法により複合酸化物膜の抵抗率を測定した。
日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ社製HL5500を用いて、四探針法により複合酸化物膜の抵抗率を測定した。
[複合酸化物膜の光透過率の測定]
基板を含めた光透過率を、分光光度計U−4100(日立製作所社製)でした。測定範囲は、波長240nmから2600nmとした。測定結果のうち、400nm、550nm及び1200nmにおける光透過率を、表2に示す。
基板を含めた光透過率を、分光光度計U−4100(日立製作所社製)でした。測定範囲は、波長240nmから2600nmとした。測定結果のうち、400nm、550nm及び1200nmにおける光透過率を、表2に示す。
[複合酸化物膜の結晶化温度の評価]
基板上に成膜した複合酸化物膜を、100℃、150℃、200℃、250℃で1時間加熱した試料について、それぞれ上記の結晶性評価を行い結晶化の有無を観測した。
基板上に成膜した複合酸化物膜を、100℃、150℃、200℃、250℃で1時間加熱した試料について、それぞれ上記の結晶性評価を行い結晶化の有無を観測した。
(実施例9〜10、比較例7〜8)
インジウム、錫及びストロンチウムの原子数の比が表3に記載の値となるように、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化インジウム粉末、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化錫粉末及び純度99.9%、平均粒径1μmの炭酸ストロンチウム粉末を、乾式ボールミルで混合した。次いで、大気中、1000℃で2時間仮焼した後、乾式ボールミルで解砕した。得られた粉末を3.0ton/cm2でCIP成形し、純酸素雰囲気焼結炉内に設置して、以下の条件で焼結して複合酸化物焼結体を得た。
インジウム、錫及びストロンチウムの原子数の比が表3に記載の値となるように、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化インジウム粉末、純度99.99%、平均粒径0.5μmの酸化錫粉末及び純度99.9%、平均粒径1μmの炭酸ストロンチウム粉末を、乾式ボールミルで混合した。次いで、大気中、1000℃で2時間仮焼した後、乾式ボールミルで解砕した。得られた粉末を3.0ton/cm2でCIP成形し、純酸素雰囲気焼結炉内に設置して、以下の条件で焼結して複合酸化物焼結体を得た。
[焼結条件]
・昇温速度 :50℃/時間
・焼結温度 :1600℃(実施例9及び10、比較例8及び9)
1300℃(比較例7)
・保持時間 :5時間(実施例9及び10、比較例7及び9)
24時間(比較例8)
・焼結雰囲気:昇温時の室温から降温時の100℃まで純酸素ガスを炉内に導入
・酸素流量 :仕込重量(kg)/酸素流量(L/min)=0.8
・降温速度 :100℃/時間
・昇温速度 :50℃/時間
・焼結温度 :1600℃(実施例9及び10、比較例8及び9)
1300℃(比較例7)
・保持時間 :5時間(実施例9及び10、比較例7及び9)
24時間(比較例8)
・焼結雰囲気:昇温時の室温から降温時の100℃まで純酸素ガスを炉内に導入
・酸素流量 :仕込重量(kg)/酸素流量(L/min)=0.8
・降温速度 :100℃/時間
得られた複合酸化物焼結体の特性を、上記の方法により評価した。評価結果を表3に示す。
次に、複合酸化物焼結体を4インチφサイズに加工し、ダイヤモンド砥石を用いた平面研削盤による機械加工によりスパッタ面を作製して、スパッタリングターゲットを得た。このとき、ダイヤモンド砥石の番手を適宜調整することで、スパッタリングターゲットの中心線平均粗さを調整した。得られたスパッタリングターゲットについて、上記の方法により中心線平均粗さと放電特性を評価した。評価結果を表3に示す。
次に、得られたスパッタリングターゲットをターゲットとし、DCマグネトロンスパッタリング法により、下記の条件で成膜して複合酸化物膜を得た。さらに、得られた複合酸化物膜を、250℃で1時間加熱した。
[スパッタリング成膜条件]
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製)
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素の占める体積割合を、酸素量として表4に記載した。)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・膜厚 :150nm
・使用基板 :無アルカリガラス(コーニング社製#1737ガラス)
厚さ0.7mm
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置(アルバック社製)
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素の占める体積割合を、酸素量として表4に記載した。)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・膜厚 :150nm
・使用基板 :無アルカリガラス(コーニング社製#1737ガラス)
厚さ0.7mm
加熱前後の複合酸化物膜の特性を、それぞれ上記の方法により測定した。測定結果を表4に示す。
以上のように、複合酸化物焼結体中の錫及びストロンチウムの原子数の比、相対密度及び平均粒径を所定の値とすることにより、複合酸化物の非晶質膜を得ることができ、この非晶質膜は容易に結晶化でき、低抵抗でかつ可視光領域だけでなく赤外光領域においても光透過性に優れる複合酸化物結晶質膜が得られる。さらに、このような複合酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットは、安定した放電特性を有するようになる。
Claims (11)
- 主として、インジウム、ストロンチウム及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、
前記複合酸化物焼結体中のインジウム、ストロンチウム及び錫の総原子数に対する、錫及びストロンチウムの原子数の比が、それぞれ0〜0.3及び0.0001〜0.05であり、相対密度が97%以上であり、平均粒径が7μm以下である、複合酸化物焼結体。 - 請求項1に記載の複合酸化物焼結体からなる、スパッタリングターゲット。
- 中心線平均粗さが3μm以下である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
- 請求項2又は3に記載のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された、複合酸化物非晶質膜。
- 請求項4に記載の複合酸化物非晶質膜を加熱してなる、複合酸化物結晶質膜。
- 前記加熱は、200℃以上の加熱である、請求項5に記載の複合酸化物結晶質膜。
- 請求項2又は3に記載のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより、加熱された基板上に成膜された、複合酸化物結晶質膜。
- 前記加熱は200℃以上の加熱である、請求項7に記載の複合酸化物結晶質膜。
- Cuを線源とするX線回折測定において、ビックスバイト型構造の回折パターンを示す、請求項5〜8のいずれか一項に記載の複合酸化物結晶質膜。
- 請求項2又は3に記載のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜する、複合酸化物非晶質膜の製造方法。
- 請求項2又は3に記載のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリングにより成膜された複合酸化物非晶質膜を加熱する、複合酸化物結晶質膜の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013080995A1 (ja) * | 2011-11-28 | 2013-06-06 | 日東電工株式会社 | 透明導電性フィルムの製造方法 |
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-
2009
- 2009-08-13 JP JP2009187772A patent/JP2011037679A/ja active Pending
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