JP2011037677A - 組成物およびカーボンナノチューブ含有膜 - Google Patents

組成物およびカーボンナノチューブ含有膜 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブが分散媒体中に均一に分散されており、成膜性および成形性に優れ、かつ、簡便な方法で基板に塗工することができる組成物、ならびに該組成物から形成されたカーボンナノチューブ含有膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る組成物は、(A)カーボンナノチューブと、(B)BET法を用いて測定される比表面積および滴定により測定されるシラノール基量から算出されるシラノール基密度が1〜8個/nmであるシリカ粒子と、(C)分散媒体と、を含有する。また、本発明に係るカーボンナノチューブ含有膜は、前記組成物から形成されたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブを含有する組成物、およびこれを用いて形成されたカーボンナノチューブ含有膜に関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう。)は、一様な平面のグラファイトを丸めて円筒状にしたような構造を有している。CNTの両端は、フラーレンの半球のような構造で閉じられており、必ず5員環を6個ずつ有している。CNTは、このような独特の構造を有するため様々な特性を具備しており、広範な分野において応用が検討されている。
具体的には、CNTは電場をかけると5員環から電子が放出されるため、電子放出電極としての応用が検討されている。また、CNTは内部に筒状の中空空間を有しているため、該空間に様々な分子を内包させることにより、燃料電池用電極としての応用が検討されている。さらに、CNTを分散させた導電性コンポジットのように膜としての応用が検討されている(特許文献1参照)。
CNTを膜として用いる場合、CNTを分散媒体中に分散させた塗工液を利用することが簡便である。例えば、共役系重合体の溶液中にCNTを分散させる方法等が提案されている(特許文献2参照)。
特開2008−166591号公報 特開2008−88341号公報
しかしながら、CNTは、相互に凝集する性質を有するため、分散媒体中に均一に分散させることが困難であった。また、長期に亘りCNTの分散安定性を有し、かつ、良好な成膜性および成形性を有する塗工液を得ることも困難であった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題を解決することで、CNTが分散媒体中に均一に分散されており、成膜性および成形性に優れ、かつ、簡便な方法で基板に塗工することができる組成物、および該組成物から形成されたカーボンナノチューブ含有膜を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る組成物の一態様は、
(A)カーボンナノチューブと、
(B)BET法を用いて測定される比表面積および滴定により測定されるシラノール基量から算出されるシラノール基密度が1〜8個/nmであるシリカ粒子と、
(C)分散媒体と、
を含有する。
[適用例2]
適用例1において、
前記(B)シリカ粒子のBET換算粒子径は、10nm以上150nm以下であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記(B)シリカ粒子は、ICP発光分析法またはICP質量分析法による元素分析から測定されるナトリウムおよびカリウムの含有量が、ナトリウムの含有量:0.1〜5000ppb、カリウムの含有量:0.1〜10000ppbの関係を満たすことができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記(A)カーボンナノチューブの平均長さは、0.1μm以上2μm以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記(A)カーボンナノチューブの平均直径は、0.8nm以上100nm以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例において、
前記(C)分散媒体は、少なくとも水を含有することができる。
[適用例7]
本発明に係るカーボンナノチューブ含有膜の一態様は、
適用例1ないし適用例6のいずれか一例に記載の組成物から形成されたものである。
本発明に係る組成物は、分散媒体中にカーボンナノチューブが均一に分散されているため、長期の貯蔵安定性を確保することができる。また、本発明に係るカーボンナノチューブ含有組成物は、成膜性および成形性に優れており、基板上に簡便な方法で塗工することができる。
上述した組成物から形成されたカーボンナノチューブ含有膜は、カーボンナノチューブの特性を損なうことなく、成膜性(特に平坦性)に優れた膜となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例をも含む。
1.組成物
本実施の形態に係る組成物は、(A)カーボンナノチューブと、(B)BET法を用いて測定される比表面積および滴定により測定されるシラノール基量から算出されるシラノール基密度が1〜8個/nmであるシリカ粒子と、(C)分散媒体と、を含有する。
以下、本実施の形態に係る組成物を構成する各成分について説明する。
1.1.(A)カーボンナノチューブ(CNT)
本実施の形態で用いられるCNTとしては、炭素によって作られる1枚の六員環ネットワーク(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層のシングルウォールカーボンナノチューブ(以下、「SWCNT」という。)、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれたダブルウォールカーボンナノチューブ(以下、「DWCNT」という。)、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれたマルチウォールカーボンナノチューブ(以下、「MWCNT」という。)等が挙げられる。本実施の形態では、SWCNT、DWCNT、MWCNTをそれぞれ単独で使用してもよいし、複数種組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、導電性および半導体特性において優れた性質を有する観点から、SWCNTおよびDWCNTがより好ましく、SWCNTが特に好ましい。
上記のようなCNTは、例えばアーク放電法、レーザーアブレーション法、化学気相成長法(以下、「CVD法」ともいう。)等によって好ましいサイズに作製される。本実施の形態で用いられるCNTは、いずれの方法を用いて作製されたものであってもよい。
上記の方法でCNTを作製する際には、フラーレンやグラファイト、非晶性炭素が同時に副生成物として生成される場合があり、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウム等の触媒金属が残存する場合があるので、これらの不純物をできるだけ精製して除去することが好ましい。不純物を除去する方法としては、硝酸、硫酸、フッ酸等による酸処理またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、アンモニア、水酸化カリウム等による塩基処理と共に超音波処理を行う方法が有効であり、さらにフィルターによる分離または遠心分離による分離操作を併用することが純度を向上させる観点から好ましい。
本実施の形態において、CNTは、上記の精製後そのまま使用することもできるが、塗工膜(カーボンナノチューブ含有膜)が半導体として利用される場合には素子電極間の短絡を防ぐために、素子電極間の距離よりも短いCNTを使用することが好ましい。通常CNTは、紐状で形成されているため、短繊維状で使用するにはあらかじめカットしておくことが望ましい。CNTを短繊維状にカットするには、硝酸、硫酸等による酸処理と共に超音波処理する方法が有効であり、さらにフィルターによる分離操作を併用することにより純度を向上させることができる。なお、本実施の形態においては、カットした短繊維状CNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製されたCNTを用いてもよい。
上述したような短繊維状CNTは、例えば以下のようにして作製することができる。まず、基板を用意し、該基板上に鉄、コバルト等の触媒金属を形成させる。次いで、その基板の表面にCVD法を用いて700〜900℃で炭素化合物を熱分解して気相成長させる。これにより、前記基板表面に垂直方向に配向した形状のCNTが形成される。得られた短繊維状CNTは、基板から剥ぎ取る等の方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTは、ポーラスシリコンのようなポーラスな支持体またはアルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、それらの表面にCVD法にて成長させて得ることもできる。また、触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVD法を用いることによって基板上にCNTを作製する方法でも、配向された短繊維状CNTを作製することができる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向させた短繊維状CNTを得ることもできる。
カーボンナノチューブ含有膜が半導体として利用される場合には、CNTの平均長さは、電極間距離にもよるが、好ましくは0.1μm以上2μm以下、より好ましくは0.5μm以上1.5μm以下である。CNTの平均長さが前記範囲内であると、素子電極間の短絡を防ぐことができる。なお、CNTの平均長さは、CNTを含有する水分散液をシリコンウエハー上に塗布した後に乾燥させて、シリコンウエハー上のCNTをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、画像解析により50点の計測を行い長さの平均値を算出した値である。
CNTの平均直径は、特に限定されないが、好ましくは0.8nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以下、特に好ましくは15nm以下である。CNTの平均直径が前記範囲内であると、CNTの分散安定性に優れた組成物を得ることができ、該組成物を用いて形成されたカーボンナノチューブ含有膜の成膜性が良好となる。なお、CNTの平均直径は、CNTを含有する水分散液をシリコンウエハー上に塗布した後に乾燥させて、シリコンウエハー上のCNTをAFM(原子間力顕微鏡)により観察し、画像解析により50点の計測を行い長さの平均値を算出した値である。
本実施の形態に係る組成物中における(A)CNTの含有量は、必要に応じて設定できるが、組成物100質量部に対して、好ましくは0.00001〜10質量部、より好ましくは0.0001〜1質量部である。
なお、本実施の形態において、CNTは、組成物中に添加される前に、あらかじめ表面処理を行ってもよい。表面処理としては、例えばイオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理等が挙げられる。
1.2.(B)シリカ粒子
本実施の形態で用いられる(B)シリカ粒子は、BET法を用いて測定される比表面積および滴定により測定されるシラノール基量から算出されるシラノール基密度が1〜8個/nmである。
(B)シリカ粒子としては、特に制限されないが、気相中で塩化ケイ素等を酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたヒュームドシリカ;金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ;精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカ等が挙げられる。これらの中でも、(B)シリカ粒子としては、精製により不純物を除去した無機コロイド法等により合成されたコロイダルシリカが好ましい。
本実施の形態におけるシリカ粒子の「シラノール基」とは、シリカ粒子の表面のケイ素原子に直接結合したヒドロキシル基をいい、立体配置または立体配位については特に限定されない。また、シラノール基の生成条件等も問わない。
本実施の形態における「シラノール基密度」とは、シリカ粒子表面における単位面積当たりのシラノール基数であり、シリカ粒子表面の電気的特性または化学的特性を表す指標となる。シラノール基は、組成物中ではSiOHのHが解離してSiOの状態で存在するため、通常マイナスにチャージしている。これにより、シリカ粒子の電気的特性または化学的特性が発現する。シラノール基密度の単位は、個/nmで表される。
シラノール基密度は、BET法を用いて測定される比表面積と、滴定により測定されたシラノール基量と、から算出することができる。
本実施の形態において、BET法を用いて測定される比表面積は、好ましくは50〜500m/g、より好ましくは50〜480m/g、特に好ましくは50〜450m/gである。シリカ粒子の比表面積は、例えば、流動式比表面積自動測定装置「micrometrics FlowSorb II 2300(島津製作所社製)」を用いて測定することができる。
本実施の形態において、シラノール基量は、一般的に知られている電位差滴定する方法や、2005年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集p847〜848に記載されているようなシリカ粒子水分散体を水酸化ナトリウムのような公知の塩基で滴定する方法により測定することができる。
本実施の形態に用いられる(B)シリカ粒子は、上述したBET法を用いて測定される比表面積およびシラノール基量から算出されるシラノール基密度が1〜8個/nmであり、好ましくは1.1〜7.5個/nmであり、より好ましくは1.2〜7.0個/nmである。シラノール基密度が前記範囲内であると、CNTの表面にシリカ粒子が付着するようになる。そして、当該シリカ粒子の表面は、上述したように通常負の電荷を帯びている。そのため、シリカ粒子が付着したCNTは、その表面電荷により反発し、分散安定性が向上するものと考えられる。また、一般的にCNTは、束のように集合した安定な形態(以下、「バンドル」という。)を形成して凝集する傾向があるが、CNTとは形状の異なるシリカ粒子が組成物中に存在すると、CNTが凝集する際にシリカ粒子と共有した凝集体を形成せざるを得ないため、CNTのバンドルの形成を阻害することができる。これにより、CNTの凝集を抑制することができるものと考えられる。
以上のように、シラノール基密度が前記範囲内にあるシリカ粒子を含有する組成物は、CNTおよびシリカ粒子の相互作用によりCNTの分散安定性が格段に向上しているため凝集体を形成しずらい。そのため、該組成物を塗工する際にCNTの凝集体によって発生する欠陥が発生しにくい。
本実施の形態に係る(B)シリカ粒子のBET換算粒子径は、好ましくは10〜150nm、より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは10〜50nm、特に好ましくは10〜30nmである。本実施の形態における(B)シリカ粒子のBET換算粒子径は、上述したBET法を用いて測定される比表面積から下記の方法により算出することができる。
シリカ粒子の形状を真球状であると仮定し、シリカ粒子の直径をd[nm]、比重をρ[g/cm]とする。シリカ粒子n個の表面積Aは、A=nπdとなる。粒子n個の質量Nは、N=ρnπd/6となる。比表面積Sは、粉体の単位質量当たりの全構成粒子の表面積で表される。そうすると、シリカ粒子n個の比表面積Sは、S=A/N=6/ρdとなる。この式に、シリカ粒子の比重ρ=2.2を代入し、単位を換算すると、下記式(1)を導き出すことができる。
BET換算粒子径[nm]=2727/S …(1)
なお、本明細書中におけるシリカ粒子のBET換算粒子径は、全て上記式(1)に基づいて計算している。
(B)シリカ粒子は、ナトリウムおよびカリウムから選択される少なくとも1種を含有してもよい。(B)シリカ粒子がナトリウムを含有する場合において、該ナトリウムの含有量は、好ましくは0.1〜5000ppb、より好ましくは1〜1000ppb、特に好ましくは10〜500ppbである。(B)シリカ粒子がカリウムを含有する場合において、該カリウムの含有量は、好ましくは0.1〜10000ppb、より好ましくは1〜5000ppb、特に好ましくは200〜2000ppbである。なお、ナトリウム、カリウムの含有量は、(B)シリカ粒子の重量に対するナトリウム、カリウムの重量である。(B)シリカ粒子のナトリウム、カリウムの含有量が前記範囲内であると、シリカ粒子の分散安定性をさらに高めることができると共に、CNTの表面電荷とシリカ粒子の表面電荷との相互作用により組成物の分散安定性がさらに良好となるため好ましい。
なお、上述した(B)シリカ粒子のナトリウムおよびカリウムの含有量は、ICP発光分析法(ICP−AES)またはICP質量分析法(ICP−MS)を用いて定量することができる。ICP発光分析装置として、例えば「ICPE−9000(島津製作所社製)」等を使用することができる。ICP質量分析装置として、例えば「ICPM−8500(島津製作所社製)」、「ELAN DRC PLUS(パーキンエルマー社製)」等を使用することができる。
また、(B)シリカ粒子に含まれるナトリウム、カリウムは、それぞれナトリウムイオン、カリウムイオンであってもよい。ナトリウムイオン、カリウムイオンの含有量を測定することで、(B)シリカ粒子中のナトリウム、カリウムの含有量を定量することができる。
本実施の形態に用いられる(B)シリカ粒子の作製方法は、特に制限されず、従来の公知の方法を適用することができる。例えば、特開2003−109921号公報や特開2006−80406号公報に記載のシリカ粒子分散液の製造方法に準じて作製することができる。また、公知の方法として、ケイ酸アルカリ水溶液からアルカリを除去することによりシリカ粒子を作製する方法がある。ケイ酸アルカリ水溶液としては、一般に水ガラスとして知られているケイ酸ナトリウム水溶液、ケイ酸アンモニウム水溶液、ケイ酸リチウム水溶液、ケイ酸カリウム水溶液等が挙げられる。また、ケイ酸アンモニウムとしては、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウム水酸化物からなるケイ酸塩が挙げられる。
以下に、本実施の形態に用いられる(B)シリカ粒子の具体的な作製方法の一つについて説明する。シリカを20〜38質量%含み、SiO/NaOのモル比が2.0〜3.8であるケイ酸ナトリウム水溶液を水で希釈し、シリカ濃度が2〜5質量%の希釈ケイ酸ナトリウム水溶液とする。続いて、希釈ケイ酸ナトリウム水溶液を水素型陽イオン交換樹脂層に通過させ、ナトリウムイオンの大部分を除去した活性ケイ酸水溶液を生成させる。このケイ酸水溶液を撹拌下、pHを通常7〜9にアルカリで調整しながら熱熟成し、目的とする粒子径となるまで成長させコロイド状のシリカ粒子を生成する。この熱熟成中、さらに活性ケイ酸水溶液や小さい粒子のコロイダルシリカを少量ずつ添加することにより、例えば平均粒径が10〜100nmの範囲で目的とする粒子径のシリカ粒子を調製することができる。このようにして得られたシリカ粒子分散液を濃縮してシリカ濃度を20〜30質量%とし、続いて再度水素型陽イオン交換樹脂層に通過させ、ナトリウムイオンのほとんどを除去しアルカリでpHを調整することにより、ナトリウムを0.1〜5000ppb、カリウムを0.1〜10000ppb含有するシリカ粒子を作製することができる。
また、(B)シリカ粒子のナトリウムおよびカリウムの含有量は、(B)シリカ粒子を含有する組成物を、遠心分離、限外濾過等の分離手段により(B)シリカ粒子を回収し、回収したシリカ粒子中に含まれるナトリウムおよびカリウムを上述した方法で定量することにより求めることができる。
(B)シリカ粒子は、できる限りナトリウムおよびカリウム以外の不純物金属を排除しておくことが好ましい。不純物金属としては、上述したナトリウム、カリウム以外の鉄、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。(B)シリカ粒子の不純物金属の含有量は、シリカ粒子全重量に対して、好ましくは10ppb以下、より好ましくは5ppb以下、さらに好ましくは3ppb以下、特に好ましくは1ppb以下である。
(B)シリカ粒子の形状は、略球状または略楕円球状であることが好ましい。かかる形状において、その長径をRmax、その短径をRminとした場合、長径と短径との比率Rmax/Rminは、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.5、特に好ましくは1.0〜2.0である。
本実施の形態に係る組成物中に含まれる(B)シリカ粒子の含有量は、必要に応じて定められるが、組成物100質量部に対して、好ましくは0.00001〜10質量部、より好ましくは0.0001〜1質量部である。シリカ粒子の含有量が前記範囲内であると、CNTの表面電荷とシリカ粒子の表面電荷とが相互作用することで、貯蔵安定性が良好となる。また、塗工時の急激な濃度変化に対しても分散安定性を損なうことなく、良好な塗膜を作製することができる。
1.3.(C)分散媒体
本実施の形態で用いられる(C)分散媒体は、(A)CNTおよび(B)シリカ粒子を均一に分散させることができ、カーボンナノチューブ含有膜の成膜時に速やかに揮発する成分であれば特に限定されない。(C)分散媒体としては、例えば水、アルコール系分散媒体、ケトン系分散媒体、アミド系分散媒体、エステル系分散媒体および非プロトン系分散媒体から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの分散媒体の中でも、50〜300℃の沸点を有するものが好ましく、80〜250℃の沸点を有するものがより好ましい。さらに、(C)分散媒体としては、安全面の観点から、水を含有する媒体が好ましく、水(特に脱イオン水)がより好ましい。前記例示した分散媒体を用いることにより、カーボンナノチューブ含有膜を成膜する際に必要となる特性、すなわち適度な蒸気圧および蒸発速度、基板への濡れ性、ならびに粘度等を付与することができる。
1.4.添加剤
本実施の形態に係る組成物は、必要に応じて以下に示すような添加剤を加えてもよい。
1.4.1.有機ポリマー
本実施の形態に係る組成物は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体および(メタ)アクリル系重合体から選択される少なくとも1種の有機ポリマーを添加してもよい。
本実施の形態に係る組成物においては、モノマー組成、分子量等を適切に選択することによって窒素雰囲気下において80〜250℃における示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上となる有機ポリマーを用いることが好ましい。また、本実施の形態に用いられる有機ポリマーは、分解後の残渣がCNTの性質に影響を及ぼさないものが好ましく、解重合により分解されるものがより好ましい。
本実施の形態に係る組成物中に含まれる有機ポリマーの含有量は、(A)カーボンナノチューブ100質量部に対して、好ましくは0.01〜99質量部、より好ましくは0.1〜80質量部である。
1.4.2.界面活性剤
本実施の形態に係る組成物は、CNTの分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤のいずれの界面活性剤を使用してもよい。アニオン系界面活性剤としては、例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
1.4.3.pH調整剤
本実施の形態に係る組成物は、pH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、アンモニア等の塩基性物質が挙げられる。本実施の形態に係る組成物においては、分解性または揮発性を有する塩基性物質であって、窒素雰囲気下において30〜250℃での示差熱熱重量分析による重量減少率が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上のものを用いるとよい。重量減少率が90%未満であると、カーボンナノチューブ含有膜を250℃以上の温度で加熱した場合に多量の分解物(残渣)が残留するので、良好な成膜性が得られない場合がある。なお、重量減少率は、窒素雰囲気下30℃で1時間乾燥させた試料を、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、30℃から250℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(250℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で計算される値である。
1.4.4.その他の添加剤
本実施の形態に係る組成物には、必要に応じて、さらに分散剤、粘度調整剤、塗面調整剤、保存剤等の各種添加剤を添加してもよい。
1.5.組成物の製造方法
本実施の形態に係る組成物は、(C)分散媒体中に(A)CNT、(B)シリカ粒子、必要に応じて添加剤を混合し、均一に分散させることによって得ることができる。添加する順序は、特に限定されず、全ての原料を一括して混合してもよいし、各成分を所望の順に混合してもよい。分散させる方法についても、特に限定されず、均一に分散させることができればどのような方法でも構わない。
各成分を均一に分散させる方法としては、CNTを分散媒体中で超音波照射により予備分散した後シリカ粒子を添加し分散させる方法、またはCNTとシリカ粒子とを分散媒体中に混合した後超音波照射により分散する方法等が好ましい。ここで、超音波照射は、超音波洗浄機、超音波破砕機等を用いて行うことができる。
上記の方法は、シリカ粒子が少なくとも一部に付着したCNTにも応用することができる。なお、「シリカ粒子が少なくとも一部に付着したCNT」とは、CNT表面の全部または一部をシリカ粒子が被覆した状態を意味する。かかる状態は、元素分析によって付着物の存在およびCNTに対する付着物の重量比を測定することによって同定することができる。すなわち、「シリカ粒子が少なくとも一部に付着したCNT」を別の表現に言い換えると、例えばCNTの重量1gに対するシリカ粒子の重量比が0.1等である状態ということもできる。上記のシリカ粒子が少なくとも一部に付着したCNTを分散媒体中に分散させることによって、本実施の形態に係る組成物が得られる。分散媒体中への分散手段としては、撹拌、超音波照射分散、振動分散等の手段から選択することができる。なお、シリカ粒子がCNTの表面に吸着していることは、種々の分析法、例えば元素分析、表面分析装置で確認することができる。
2.カーボンナノチューブ含有膜およびその製造方法
本実施の形態に係るカーボンナノチューブ含有膜の製造方法は、(a)基板の少なくとも一方の面に、上述した組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、(b)前記塗膜を乾燥させる工程と、を含む。
以下、本実施の形態に係るカーボンナノチューブ含有膜の製造方法の一例について具体的に説明する。
まず、上述した組成物を基板上に塗工して塗膜を形成する(工程(a))。基板としては、ガラス、シリコンウエハー、構造材等の無機物のみならず、フィルム、繊維、織物膜、板、紙等の種々の材質が挙げられる。塗膜の形成方法としては、キャスト法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ブレードコート法、ディップ法、バーコーター法、滴下法等の一般的な方法を使用することができる。
次に、前記塗膜中に残存する分散媒体等を揮発させて、前記塗膜を乾燥させることにより、基板上にカーボンナノチューブ含有膜を作製する(工程(b))。本工程では、室温で放置して自然乾燥させてもよいが、加熱処理することが好ましい。加熱処理としては、例えば50〜150℃の温度で0.5〜2分間塗膜を予備乾燥させた後、250〜400℃の温度で5〜20分間本乾燥させるとよい。基板上にカーボンナノチューブ含有膜を形成することで、導電性や半導体特性等の機能を付与することができるようになる。
本実施の形態に係るカーボンナノチューブ含有膜を電界効果型トランジスタの半導体層として用いる場合には、以下のようにして作製するとよい。まず、絶縁層で覆われたゲート電極上に上述した組成物をスピンコートして塗膜を形成し、該塗膜中に残存する分散媒体等を揮発させることによってゲート電極上にCNTが均一に分散された半導体層を形成する。この半導体層の上にソース電極とドレイン電極とを対峙させて形成することによって、電界効果型トランジスタ構造が作製される。また、上述した組成物をスピンコートして形成された塗膜を加熱焼成することで得られた多孔質膜をスイッチング素子として用いることもできる。また、基板上にカーボンナノチューブ含有膜のパターンを形成する場合には、感光性レジストを用いてフォトリソグラフィー法によってパターンを形成することができる。
上述した組成物からカーボンナノチューブ含有膜を得る他の方法としては、ある支持体の上に一旦カーボンナノチューブ含有膜を形成し、得られたカーボンナノチューブ含有膜を他の支持体に写して形成する方法を用いることもできる。例えば、上記組成物をフィルターに通過させて、該フィルター上に堆積したCNTを別の基板上に写し取る方法、またはフィルム上に塗布して得られたカーボンナノチューブ含有膜を別の基板上に写し取る方法等がある。これらの方法を採用する場合、カーボンナノチューブ含有膜の付着したフィルターやフィルムをそのカーボンナノチューブ含有膜が別の基板上に付着するように接触させることで、カーボンナノチューブ含有膜を別の基板上に写し取るができる。この際使用するフィルターやフィルムは、カーボンナノチューブ含有膜の剥離性が良好なものが好ましい。カーボンナノチューブ含有膜の剥離性が良好なフィルターやフィルムの材質としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等が挙げられる。さらに、フィルターやフィルムのカーボンナノチューブ含有膜が形成されていない方の面から圧力を加えたり、少量の溶媒で湿潤させたりすることで、カーボンナノチューブ含有膜を良好に写し取ることができる。
また、上記のようなカーボンナノチューブ含有膜を写し取る方法においては、あらかじめ必要なパターンを支持体に施しておくことでパターン形成をすることができる。例えばフィルター上にカーボンナノチューブ含有膜を形成する場合には、フィルターの上面にパターンの型を抜いたフィルム等を重ねておくことで、所望のパターンを得ることができる。また、フィルム上にカーボンナノチューブ含有膜を形成する場合には、別の支持体との間にパターンの型を抜いたフィルムを挟んだり、または上記組成物と親和性の異なる材料を用いてパターン形成しておくなどして、所望のパターンを得ることができる。
本実施の形態に係るカーボンナノチューブ含有膜は、その膜厚が好ましくは1〜10000nm、より好ましくは2nm〜200nmであるとよい。特に膜厚が2nm〜200nmである場合には透明性に優れている。膜厚が2nm〜200nmであれば可視光透過率が50%T以上となり、膜厚が2nm〜100nmであれば可視光透過率は80%Tを超える。カーボンナノチューブ含有膜は、膜厚が厚いほど抵抗を小さくできるが、同時に光の透過率が小さくなるので、目的に応じた膜厚を調製するとよい。より低抵抗で、かつ高透過率の透明導電体を得るためには、1本の長さがより長いCNTを用いたり、より細いCNTを用いたり、CNT分散時に用いる撹拌や超音波照射などの条件をより強力にする方法などが好ましく用いられる。
本実施の形態に係るカーボンナノチューブ含有膜の密度は、好ましくは0.5〜3.0g/cm、より好ましくは0.7〜2.0g/cmである。上記のような密度を有するカーボンナノチューブ含有膜を作製するために、必要に応じて加熱処理等の工程を別途設けてもよい。
本実施の形態に係る組成物から形成されるカーボンナノチューブ含有膜およびそれを加熱焼成した多孔質膜は、CNT本来の導電性(例えば、スイッチング素子など)や半導体特性に近い特性(例えば電界効果型トランジスタに使用した場合には高いキャリア移動度)を備えており、かつ、面内均一性が高いため、例えば電子放出素子の電子放出源として好ましく用いることができる。以上のように、本実施の形態に係るカーボンナノチューブ含有膜およびそれを加熱焼成した多孔質膜は、面内均一性を高くすることができるので面内いずれの箇所においても均一に電界を印加することができ、スイッチング素子として利用する場合には安定したスイッチング性能を発現することができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.シリカ粒子分散体の作製
3号水硝子(シリカ濃度24質量%)を水で希釈し、シリカ濃度3.0質量%の希釈ケイ酸ナトリウム水溶液とした。この希釈ケイ酸ナトリウム水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂層を通過させ、ナトリウムイオンの大部分を除去したpH3.1の活性ケイ酸水溶液とした。その後、すぐに撹拌下10質量%水酸化カリウム水溶液を加えてpHを7.2に調整し、さらに続けて加熱し沸騰させて3時間熱熟成した。得られた水溶液に、先にpHを7.2に調整した活性ケイ酸水溶液の10倍量を6時間かけ少量ずつ添加し、シリカ粒子のBET換算平均粒子径を29nmに成長させた。
次に、前記シリカ粒子を含有する分散体水溶液を減圧濃縮(沸点78℃)し、シリカ濃度:32.0質量%、シリカ粒子のBET換算平均粒子径:29nm、pH:9.8であるシリカ粒子分散体を得た。このシリカ粒子分散体を、再度水素型陽イオン交換樹脂層を通過させ、ナトリウムの大部分を除去した後、10質量%の水酸化カリウム水溶液を加え、シリカ粒子濃度:28.0質量%、pH:10.0であるシリカ粒子分散体Aを得た。
なお、シリカ粒子のBET換算平均粒子径は、BET法を用いて測定された比表面積の値を上記式(1)に代入して算出したものである。比表面積の測定には、流動式比表面積自動測定装置「micrometrics FlowSorb II 2300(島津製作所社製)」を用いた。
シリカ粒子分散体Aから遠心分離によりシリカ粒子を回収し、希フッ化水素酸で回収されたシリカ粒子を溶解し、ICP−MS(パーキンエルマー社製、型番「ELAN DRC PLUS」)を用いてナトリウムおよびカリウムを測定した。その結果、ナトリウム含有量:88ppb、カリウム含有量:5500ppbであった。
BET法測定した。
シリカ粒子分散体Aをイオン交換水にて0.01%に希釈し、メッシュサイズが150μmのCuグリットを有するコロジオン膜に1滴載せ、室温にて乾燥させた。こうして、Cuグリット上に粒子形状を崩さないように観察用のサンプルを調製した後、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「H−7650」)を用いて撮影倍率20000倍にて粒子の画像を撮影し、その50個のシリカ粒子の長径および短径を測定し、その平均値を算出した。長径の平均値(Rmax)および短径の平均値(Rmin)から、その比率(Rmax/Rmin)を算出したところ1.1であった。
シリカ粒子分散体Bは、テトラエトキシシランを原料としたゾルゲル法を用いて公知の方法により作製した。具体的には、純水9.2g、28%アンモニア水5.7g、メタノール73.5gをフラスコに投入し均一に混合し、テトラメトキシシラン(TMOS)9.3g、メタノール2.4gの混合液を、液温を35℃に保ち、30分かけて滴下しシリカゾルを得た。得られたゾルは適宜純水を加えながらエバポレーターにてメタノールおよびアンモニアを除去し、pH7.6、シリカ固形分10%の水分散体コロイダルシリカを得た。
シリカ粒子分散体C〜Fは、アンモニア量、純水量、縮合反応温度を適宜制御することによりシリカ粒子分散体Bの作製方法と同様の方法にて作製した。
シリカ粒子分散体Gは、上記のシリカ粒子分散体Bの作製方法と同様の方法により分散体を得た後、さらに水熱処理(加圧容器に充填し、200℃×3時間の加熱処理)を行って作製した。
シリカ粒子分散体Hは、上記のシリカ粒子分散体Bの作製方法と同様の方法により分散体を得た後、さらに水熱処理(加圧容器に充填し、200℃×6時間の加熱処理)を行って作製した。
表1に作製したシリカ粒子分散体A〜Hの物性値についてまとめた。
Figure 2011037677
3.2.組成物の調製
[実施例1]
CNT(SWCNT:サイエンスラボラトリーズ社製、純度95%)1gをイオン交換水99gに加え、これを超音波破砕機(東京理化器械(株)製「VCX−502」、出力250W、直接照射)を用いて60分間超音波照射することで、1%CNT水分散液を調製した。得られた1%CNT水分散液10gと、シリカ粒子分散体A0.357g(シリカ固形分として0.1g)と、イオン交換水89.6gと、を100mLのサンプル管に入れ、これを超音波破砕機(東京理化器械(株)製「VCX−502」、出力250W、直接照射)を用いて60分間超音波照射することで、CNTを含む組成物を調製した。
[実施例2〜6、比較例1〜2]
シリカ粒子分散体を表2または表3に示すものに変更し、(A)CNTおよび(B)シリカ粒子の含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
[実施例7]
(A)CNTとして、Nanocyl社製のDWCNT(純度90%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
[比較例3]
(B)シリカ粒子を添加しないこと、および(A)CNTの含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
[比較例4]
(A)CNTとして、Nanocyl社製のMWCNT(品番「NC7000」、純度90%)を用いたこと、シリカ粒子分散体Fを使用したこと、および(A)CNTおよび(B)シリカ粒子の含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
3.3.評価方法
3.3.1.カーボンナノチューブ含有膜の平滑性評価
上記「3.2.組成物の調製」で得られた組成物を、8inchシリコンウエハー上にスピンコートし、引き続きホットプレートで100℃/60秒間乾燥した後、さらに窒素雰囲気下300℃で10分間加熱することによりカーボンナノチューブ含有膜を形成した。形成されたカーボンナノチューブ膜について、50倍の光学顕微鏡を用いて平滑性を観察した。その結果を表2および表3に示す。表2および表3の平滑性の評価項目において、平滑で欠陥のない良好なカーボンナノチューブ膜である場合を「○」、カーボンナノチューブ膜の一部に欠陥が認められる場合を「△」、カーボンナノチューブ膜の全面に欠陥が認められる場合を「×」と評価した。
3.3.2.組成物の保存安定性評価
上記「3.2.組成物の調製」で得られた組成物を100ccのガラス管に入れ、25℃で6ヶ月静置保管し沈降の有無を目視により確認した。その結果を表2および表3に示す。表2および表3の保存安定性の評価項目において、粒子の沈降および濃淡差が認められない場合を「○」、濃淡差のみが認められた場合を「△」、粒子の沈降および濃淡差のいずれも認められた場合を「×」と評価した。
Figure 2011037677
Figure 2011037677
3.4.評価結果
実施例1〜実施例7の結果より、(A)CNTと、(B)シラノール基密度が1〜8個/nmであるシリカ粒子と、(C)分散媒体としての水と、を含有する組成物は、25℃で6ヶ月間静置保管しても粒子の沈降および濃淡差が認められず、良好な保存安定性を示した。また、実施例1〜実施例7に係る組成物を用いて作製されたカーボンナノチューブ含有膜は、欠陥のない平滑な膜であることが認められた。
一方、比較例1に係る組成物は、(B)シリカ粒子のシラノール基密度が1個/nm未満であるため、25℃で6ヶ月間の静置保管により粒子の沈降および濃淡差が認められ、保存安定性が不良であった。また、比較例1に係る組成物を用いて作製されたカーボンナノチューブ含有膜は、粒子の凝集に由来する表面欠陥が一部に認められた。
比較例2に係る組成物は、(B)シリカ粒子のシラノール基密度が8個/nmを超えているため、25℃で6ヶ月間の静置保管により濃淡差が認められた。また、比較例2に係る組成物を用いて作製されたカーボンナノチューブ含有膜は、粒子の凝集に由来する表面欠陥が全面に認められた。
比較例3に係る組成物は、(B)シリカ粒子を含有しないため、25℃で6ヶ月間の静置保管により粒子の沈降および濃淡差が認められ、保存安定性が不良であった。また、比較例3に係る組成物を用いて作製されたカーボンナノチューブ含有膜は、CNTの凝集に由来する表面欠陥が認められた。
比較例4に係る組成物は、(B)シリカ粒子のシラノール基密度が8個/nmを超えているため、25℃で6ヶ月間の静置保管により濃淡差が認められた。また、比較例4に係る組成物を用いて作製されたカーボンナノチューブ含有膜は、粒子の凝集に由来する表面欠陥が一部に認められた。

Claims (7)

  1. (A)カーボンナノチューブと、
    (B)BET法を用いて測定される比表面積および滴定により測定されるシラノール基量から算出されるシラノール基密度が1〜8個/nmであるシリカ粒子と、
    (C)分散媒体と、
    を含有する、組成物。
  2. 請求項1において、
    前記(B)シリカ粒子のBET換算粒子径は、10nm以上150nm以下である、組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記(B)シリカ粒子は、ICP発光分析法またはICP質量分析法による元素分析から測定されるナトリウムおよびカリウムの含有量が、ナトリウムの含有量:0.1〜5000ppb、カリウムの含有量:0.1〜10000ppbの関係を満たす、組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記(A)カーボンナノチューブの平均長さは、0.1μm以上2μm以下である、組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記(A)カーボンナノチューブの平均直径は、0.8nm以上100nm以下である、組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記(C)分散媒体は、少なくとも水を含有する、組成物。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の組成物から形成された、カーボンナノチューブ含有膜。
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