JP2011025655A - ボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法 - Google Patents

ボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ボールペンチップ先端に形成した樹脂被膜を取り外して筆記して得られる初期の筆跡が変色していることなく、良好な熱変色機能を示す筆跡を形成可能なボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法を提供する。
【解決手段】 有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含むインキ6を収容したボールペンレフィル1のボールペンチップ2先端を、温度tを超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬して先端にペン先乾燥防止用の樹脂被膜7を固着させ、次いで、温度t未満の温度に冷却するボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法に関する。更に詳細には、加熱により変色するインキを収容したボールペンレフィル、出没式ボールペンのチップ先端部に樹脂被膜(シールピール)を設けたボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法に関する。
従来、ボールペンチップ先端部に熱溶融したホットメルト接着剤を付着させることにより、略球形の樹脂被膜を形成し、チップ先端部のボールと、ボール抱持部と、ボールとボール抱持部の間隙を覆うように固着することにより、チップ先端部の乾燥防止及びインク中の溶剤の揮発防止を図る試みが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前述したチップ先端部に樹脂被膜を設ける構成は、未使用状態で先端部が長期間放置されるボールペンレフィルや出没式ボールペンに有用である。
一方、加熱により変色するインキを収容したボールペンレフィルを収容し、且つ、摩擦部材を備えたボールペンが開示されている(例えば、特許文献2参照)。前記ボールペンを用いて被筆記面に形成された筆跡は、摩擦部材で擦過することにより生じる摩擦熱で変色させることができる。
前記加熱により変色するインキを収容したボールペンレフィル、或いは、前記ボールペンレフィルを収容した出没式ボールペンのボールペンチップ先端部に樹脂被膜を設ける場合、熱溶融したホットメルト接着剤を付着させた際にボールペンチップ先端近傍に位置するインキが変色する。そのため、使用時に樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は変色後の色調が視認されるといった不具合を生じる。
特開2001−225584号公報 特開2005−213361号公報
本発明は、前記加熱により変色するインキを収容したボールペンレフィル、或いは、前記ボールペンレフィルを収容した出没式ボールペンのボールペンチップ先端部に樹脂被膜を設けても初期の筆跡は変色前の色調が視認されるボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は接続部材を介して装着したインキ収容管内に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包し、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となり、前記温度tと温度tの間の温度域で着色状態と無色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、剪断減粘性付与剤を含むビヒクルから少なくともなるインキ組成物を収容したボールペンレフィルのボールペンチップ先端を、温度tを超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬して先端にペン先乾燥防止用の樹脂被膜を固着させ、次いで、温度t未満の温度に冷却するボールペンレフィルの製造方法、前記ボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒前端開口部からボールペンチップを出没可能に構成した出没式ボールペンの製造方法、或いは、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は接続部材を介して装着したインキ収容管内に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包し、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となり、前記温度tと温度tの間の温度域で着色状態と無色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、剪断減粘性付与剤を含むビヒクルから少なくともなるインキ組成物を収容したボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を、温度tを超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬して先端にペン先乾燥防止用の樹脂被膜を固着させ、次いで、温度t未満の温度に冷却する出没式ボールペンの製造方法を要件とする。
本発明は、ボールペンチップ先端に熱溶融したホットメルト接着剤を付着させて樹脂被膜を形成し、使用時に樹脂被膜を取り外して筆記して得られる初期の筆跡が変色していることなく、良好な熱変色機能を示す筆跡を形成可能なボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法を提供できる。
本発明に用いられる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 本発明のボールペンレフィルに樹脂被膜を設ける前の状態を示す説明図である。 本発明のボールペンレフィルに樹脂被膜を設けた直後の状態を示す説明図である。 本発明のボールペンレフィルに樹脂被膜を設けた後、冷却した状態を示す説明図である。 本発明の他のボールペンレフィルに樹脂被膜を設ける前の状態を示す説明図である。 本発明の他のボールペンレフィルに樹脂被膜を設けた直後の状態を示す説明図である。 本発明の他のボールペンレフィルに樹脂被膜を設けた後、冷却した状態を示す説明図である。 本発明の出没式ボールペンに樹脂被膜を設ける前の状態を示す説明図である。 本発明の出没式ボールペンに樹脂被膜を設けた直後の状態を示す説明図である。 本発明の出没式ボールペンに樹脂被膜を設けた後、冷却した状態を示す説明図である。
前記ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させて形成したボール抱持部にボールを抱持したチップ、金属材料のドリル等による切削加工して形成したボール抱持部にボールを抱持したチップ、金属又はプラスチック成形体内部に樹脂製のボール受け座を設け、ボールを抱持したチップ等が挙げられる。
また、前記チップはバネ体によりボールを前方に付勢させる構成であってもよい。
前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm径程度のものが適用できるが、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1.0mmのものが用いられる。
加熱により変色するインキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
前記ボールペンチップとインキ収容管は、直接又は接続部材を介して嵌合される。
前記インキ組成物は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる加熱により消色する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料と、剪断減粘性付与剤を含むビヒクルとから少なくともなる加熱により変色するインキ組成物である。
前記マイクロカプセル顔料としては、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料が好適に用いられる(図1参照)。
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち0℃以下、好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−40〜−10℃、且つ、完全消色温度tをアイロンやヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50℃以上に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
また、後述する摩擦体を適用する場合は、完全消色温度tを摩擦熱により得られる温度、即ち、50℃〜90℃、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定することが好ましい。
以下に前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3´,6´−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。前記(ハ)成分としては下記一般式(1)で示される化合物を用いることができる。
Figure 2011025655
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 2011025655
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2011025655
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2011025655
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2011025655
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセル顔料の表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
ここで、可逆熱変色性組成物:壁膜=7:1〜1:1(質量比)、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たすことが好ましい。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記ビヒクルは、有機溶剤と、剪断減粘性付与剤と、必要により各種添加剤とからなる油性ビヒクル、水と、剪断減粘性付与剤と、必要により有機溶剤、各種添加剤とからなる水性ビヒクルが挙げられる。
前記有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することにより、マイクロカプセル顔料の凝集、沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、良好なマーキングを形成できる。
更に、前記インキをボールペンに充填した際、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
更に、必要により紙面への固着性や粘性付与のためにアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を添加することもできる。
前記ビヒクル中には必要により各種添加剤を加えることができる。
前記添加剤として、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
更に、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩等の硫黄系極圧添加剤を含有させることにより、インキのpHが酸性或いはアルカリ領域であっても、一度凍結したインキが再度解凍された後に生じるマイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制でき、インキ粘度の上昇やそれに伴う筆跡カスレや淡色化を防止することができると共に、ボールの腐食を防止することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を添加してもよい。
前記インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体を充填することもできる。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
前記樹脂被膜(シールピール)を形成するためのホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を含み、加温溶融し、冷却固化するものであれば特に限定されることなく用いられる。
具体的には、ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン・イソブチルアクリレート共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよび共重合体、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、合成ゴム系樹脂等の樹脂と、カルバナワックス、天然ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックスとの混合物が挙げられる。
また、テルペン系樹脂やロジン系樹脂、エステルガム、クマロン樹脂、フェノール樹脂などの粘着性付与剤、パラフィン系オイルなどの軟化剤、カーボンブラック、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、無機又は有機顔料などの充填剤、ゼオライト、シリカゲル等の吸着剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を必要に応じて添加することもできる。
ホットメルト接着剤を加温溶融し、前記ボールペンレフィルの筆記先端部を浸漬した後、取り出して冷却固化することにより樹脂被膜が形成される。
前記樹脂被膜が形成されたボールペンレフィルのボールペンチップ先端近傍に位置するインキは、温度t(完全消色温度)を超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬することにより変色した状態になる。そのため、温度t(完全発色温度)未満の温度に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び変色前の状態に戻すことにより、使用時に樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡を変色前の状態とすることができる。
前述したホットメルト接着剤は、不要時には樹脂被膜がチップ表面に残存することなく容易に除去できると共に、夏場等の高温環境下でも樹脂被膜が容易に剥離しない機能を備える必要があるため、通常、100℃を超える温度で溶融する接着剤が用いられる。従って、溶融したホットメルト接着剤によって、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料がボールペンチップを介して完全消色温度tを越える温度に加温されることを回避することは製造上困難である。よって、本発明のボールペンチップ先端に熱溶融したホットメルト接着剤を付着させて樹脂被膜を形成した後、可逆熱変色性組成物内包したマイクロカプセル顔料の完全発色温度t未満の温度に冷却することは可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いるインキ組成物を収容したボールペンレフィル、前記ボールペンレフィルを軸筒内に収容したボールペンには重要な要件である。
次に、加熱により変色するインキ組成物を収容したボールペンレフィルを軸筒内に収容した出没式ボールペンの製造方法について説明する。
加熱により変色するインキ組成物の調製は前記と同様であり、ボールペンレフィルを構成するボールペンチップ、インキ収容管についても前記と同様である。
前記のようにして得られるボールペンレフィルは、チップが外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造を備えてなる。
出没機構としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧にすることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に
設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
ボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を、前記と同様の加温溶融したホットメルト接着剤に浸漬した後、取り出して冷却固化することにより樹脂被膜が形成される。
前記樹脂被膜が形成された出没式ボールペンのボールペンチップ先端近傍に位置するインキは、温度t(完全消色温度)を超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬することにより変色した状態になる。そのため、温度t(完全発色温度)未満の温度に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び変色前の状態に戻すことにより、使用時に樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡を変色前の状態とすることができる。
前述したホットメルト接着剤は、不要時には樹脂被膜がチップ表面に残存することなく容易に除去できると共に、夏場等の高温環境下でも樹脂被膜が容易に剥離しない機能を備える必要があるため、通常、100℃を超える温度で溶融する接着剤が用いられる。従って、溶融したホットメルト接着剤によって、可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料がボールペンチップを介して完全消色温度tを越える温度に加温されることを回避することは製造上困難である。よって、本発明のボールペンチップ先端に熱溶融したホットメルト接着剤を付着させて樹脂被膜を形成した後、可逆熱変色性組成物内包したマイクロカプセル顔料の完全発色温度t未満の温度に冷却することは可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いるインキ組成物を収容したボールペンレフィルを備えた出没式ボールペンには重要な要件である。
前記インキ組成物を収容したボールペンレフィルを備えた出没ボールペンにより形成される筆跡は、摩擦体の適用により消色させることもできる。
前記摩擦体としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような摩擦体が用いられる。
前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)が好適に用いられる。
前記摩擦体は出没式ボールペンと別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせてボールペンセットを得ることもできるが、出没式ボールペンに摩擦部材(摩擦体)を固着させることにより、携帯性に優れる。
前記摩擦部材を固着する箇所は、軸筒開口部近傍、或いは、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)が挙げられる。
本発明のボールペンレフィル、出没式ボールペンの製造方法について説明する。
なお、実施例中の配合は質量部を示す。
ホットメルト接着剤の調製
エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂〔セメダイン(株)製、商品名:HM200〕98.57部、青色染料〔保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:SOT BLUE−2〕0.03部、紫外線吸収剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:Tinuvin 328)1部、光安定剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:Tinuvin 123)0.4部を加温混合してホットメルト接着剤を得た。
実施例1
マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン2.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は1.8μm、完全消色温度は55℃、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
インキ組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を青色に発色させたもの)12.5部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.3部、尿素10部、グリセリン10部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、トリエタノールアミン0.5部、水65.4部からなるインキ組成物を調製した。
ボールペンレフィルの作製
前記インキ組成物6をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管5に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)4を介して0.7mmステンレス鋼ボール3を先端に抱持したボールペンチップ2と連結させた。
次いで、前記ポリプレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させてボールペンレフィル1を得た(図2参照)。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、ボールペンレフィルのチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜7を形成した(図3参照)。
次いで、ボールペンレフィルを−20℃以下に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び発色させた(図4参照)。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は青色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例2
マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.3μm、完全消色温度は58℃、完全発色温度は−20℃であり、温度変化によりピンク色から無色に変色する。
インキ組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料12.5部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.3部、尿素10部、グリセリン10部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、トリエタノールアミン0.5部、水65.4部からなるインキ組成物を調製した。
ボールペンレフィルの作製
前記インキ組成物6(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料をピンク色に発色させたもの)をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管5に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)4を介して0.5mmステンレス鋼ボール3を先端に抱持したボールペンチップ2と連結させた。
次いで、前記ポリプレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させてボールペンレフィル1を得た(図2参照)。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、ボールペンレフィルのチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜7を形成した(図3参照)。
次いで、ボールペンレフィルを−20℃以下に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び発色させた(図4参照)。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡はピンク色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例3
マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として6′−(ジペンチルアミノ)−2′−〔(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ〕−スピロ〔イソベンゾフラン−1(3H),9′−(9H)キサンテン〕−3−オン5.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.0部、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.0部、(ハ)成分としてカプリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.0μm、完全消色温度は58℃、完全発色温度は−22℃であり、温度変化により黒色から無色に変色する。
インキ組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料12.5部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.3部、尿素10部、グリセリン10部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、トリエタノールアミン0.5部、水65.4部からなるインキ組成物を調製した。
ボールペンレフィルの作製
前記インキ組成物6をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管5に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)4を介して0.4mmステンレス鋼ボール3を先端に抱持したボールペンチップ2と連結させた。
次いで、前記ポリプレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、−22℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させてボールペンレフィル1を得た(図2参照)。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、ボールペンレフィルのチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜7を形成した(図3参照)。
次いで、ボールペンレフィルを−22℃以下に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び発色させた(図4参照)。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例4
マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセル顔料を単離した。
前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は2.0μm、完全消色温度は60℃、完全発色温度は−20℃であり、温度変化により橙色から無色に変色する。
インキ組成物の調製
前記マイクロカプセル顔料12.5部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.3部、尿素10部、グリセリン10部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、トリエタノールアミン0.5部、水65.4部からなるインキ組成物を調製した。
ボールペンレフィルの作製
前記インキ組成物6をポリプロピレン樹脂からなるインキ収容管5に吸引充填し、樹脂製接続部材(ホルダー)4を介して0.4mmステンレス鋼ボール3を先端に抱持したボールペンチップ2と連結させた。
次いで、前記ポリプレン製パイプの後端よりインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させてボールペンレフィル1を得た。
なお、前記ボールペンレフィルに収容されたインキ組成物中のマイクロカプセル顔料は無色の状態である(図5参照)。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、ボールペンレフィルのチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜7を形成した(図6参照)。
次いで、ボールペンレフィルを−22℃以下に冷却してインキを発色させた(図4参照)。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
比較例1
実施例1と同様にして得たボールペンレフィルのチップ先端に前記と同様のホットメルト接着剤を用いて樹脂被膜を形成した。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は無色であり、筆跡を形成できなかった。
比較例2
実施例2と同様にして得たボールペンレフィルのチップ先端に前記と同様のホットメルト接着剤を用いて樹脂被膜を形成した。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は無色であり、筆跡を形成できなかった。
比較例3
実施例3と同様にして得たボールペンレフィルのチップ先端に前記と同様のホットメルト接着剤を用いて樹脂被膜を形成した。
前記ボールペンレフィルの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は無色であり、筆跡を形成できなかった。
実施例5
実施例1と同様にして得たボールペンレフィル1を、軸筒8内に組み込み、出没式ボールペン9を得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である(図8参照)。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜7を形成した(図9参照)。
次いで、出没式ボールペンを−20℃以下に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び発色させた(図10参照)。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は青色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例6
実施例2と同様にして得たボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜を形成した。
次いで、出没式ボールペンを−20℃以下に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び発色させた。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡はピンク色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例7
実施例3と同様にして得たボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜を形成した。
次いで、出没式ボールペンを−22℃以下に冷却してボールペンチップ先端近傍に位置するインキを再び発色させた。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例8
実施例4と同様にして得たボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
樹脂被膜の形成
前記ホットメルト接着剤を180℃に加温して均一溶融状態とし、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより樹脂被膜を形成した。
次いで、出没式ボールペンを−22℃以下に冷却してインキを発色させた。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は、SEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
比較例5
実施例5と同様にして得た出没式ボールペンのチップ先端に前記と同様のホットメルト接着剤を用いて樹脂被膜を形成した。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は無色であり、筆跡を形成できなかった。
比較例6
実施例6と同様にして得た出没式ボールペンのチップ先端に前記と同様のホットメルト接着剤を用いて樹脂被膜を形成した。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は無色であり、筆跡を形成できなかった。
比較例7
実施例7と同様にして得た出没式ボールペンのチップ先端に前記と同様のホットメルト接着剤を用いて樹脂被膜を形成した。
前記出没式ボールペンの樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は無色であり、筆跡を形成できなかった。
実施例9
実施例1で得たボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後端部に設けられた出没機構(ノック機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は青色を呈していた。
なお、前記筆跡は、軸筒先端開口部の周囲に設けたSEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例10
実施例2で得たボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後部に設けられた出没機構(回転機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡はピンク色を呈していた。
なお、前記筆跡は、軸筒後端部に設けたSEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
実施例11
実施例3で得たボールペンレフィルを、軸筒内に組み込み、出没式ボールペンを得た。
なお、前記出没式ボールペンは、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、軸筒後部に設けられた出没機構(スライド機構)の作動によって軸筒前端開口部から筆記先端部が突出する構造である。
出没機構の作動により軸筒前端開口部からボールペンチップを出没させた状態で樹脂被膜を取り外し、筆記して得られる初期の筆跡は黒色を呈していた。
なお、前記筆跡は、軸筒後端部に設けたSEBS樹脂製の摩擦体を用いて摩擦することにより消色させることができる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全発色温度
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の発色開始温度
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の消色開始温度
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全消色温度
1 ボールペンレフィル
2 ボールペンチップ
3 ボール
4 接続部材
5 インキ収容管
6 インキ組成物
7 樹脂被膜
8 軸筒
9 出没式ボールペン

Claims (5)

  1. ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は接続部材を介して装着したインキ収容管内に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包し、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となり、前記温度tと温度tの間の温度域で着色状態と無色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、剪断減粘性付与剤を含むビヒクルから少なくともなるインキ組成物を収容したボールペンレフィルのボールペンチップ先端を、温度tを超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬して先端にペン先乾燥防止用の樹脂被膜を固着させ、次いで、温度t未満の温度に冷却するボールペンレフィルの製造方法。
  2. 前記温度tが50乃至90℃であり、温度tが−50乃至−5℃である請求項1記載のボールペンレフィルの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒前端開口部からボールペンチップを出没可能に構成した出没式ボールペンの製造方法。
  4. ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は接続部材を介して装着したインキ収容管内に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる加熱により消色する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包し、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となり、前記温度tと温度tの間の温度域で着色状態と無色状態が選択的に保持されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、剪断減粘性付与剤を含むビヒクルから少なくともなるインキ組成物を収容したボールペンレフィルを軸筒内に収容し、軸筒前端開口部から出没させたボールペンチップ先端を、温度tを超える温度で溶融してなるホットメルト接着剤に浸漬して先端にペン先乾燥防止用の樹脂被膜を固着させ、次いで、温度t未満の温度に冷却する出没式ボールペンの製造方法。
  5. 前記温度tが50乃至90℃であり、温度tが−50乃至−5℃である請求項4記載の出没式ボールペンの製造方法。
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