本発明の原稿読取装置、その制御方法および自動原稿給紙装置の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の原稿読取装置は、自動原稿給紙装置および画像読取装置から構成され、画像形成装置に接続される。
(原稿読取装置の構成)
図1は実施の形態における原稿読取装置の構成を示す断面図である。原稿読取装置500は、画像読取装置(リーダ)200、自動原稿給紙装置(ADF)100およびコントローラ部400(図4参照)から構成される。
図1には、原稿Sが原稿トレイ30にセットされた直後の状態が示されている。なお、本実施形態のADF100は、原稿搬送パスが比較的短いADF、すなわち分離後センサ12から原稿読取位置までの搬送距離が所定距離よりも短いADFである。具体的に、この搬送距離は、主に使用されるA4サイズの短い方の長さ(210mm)よりも短いので、原稿搬送時の搬送モータのクロック計測等による測定では、原稿読取位置に原稿が到達するまでに、原稿の送り方向の長さを確定することができない。
(ADFからの原稿給紙処理)
このADF100を使用した原稿の画像読取動作について説明する。ADF100による原稿画像読取ジョブが開始されると、スキャナユニット209が基準白色板219の直下の位置まで移動し、シェーディング動作が行われる。
シェーディング動作が行われた後、スキャナユニット209は、流し読みガラス201の直下の位置まで移動し、原稿が読み取り位置に到達するまで待機する。
図2A、図2Bおよび図2Cは原稿読取動作を示す図である。ADF100では、図2Aの(a)に示すように、ジョブが開始されると、まず、複数枚の原稿からなる原稿束Sの原稿面に給紙ローラ1が落下し、回転を開始する。これにより、原稿束の最上面の原稿S1が給紙される。
ADF100は、原稿束Sを積載する原稿トレイ30から最上面の原稿S1を1枚ずつ給紙・搬送する際、原稿束Sから最上面の1枚の原稿以外の原稿が重なって搬送されることを規制する分離ローラ2、分離パッド8および給紙ローラ1によって、給紙・搬送を行う。
給紙ローラ1によって給紙・搬送された原稿S1は、分離ローラ2と分離パッド8の作用によって1枚に分離される。この分離は周知の分離技術によって実現されている。
図2Aの(b)に示すように、分離ローラ2と分離パッド8によって分離された原稿S1は、レジストローラ3に搬送され、レジストローラ3に突き当てられる。これにより、原稿先端側にループが形成され、原稿S1の搬送における斜行が解消される。レジストローラ3の下流側には、原稿読取前ローラ4が設けられている。この原稿読取前ローラ4により原稿流し読みプラテンガラス201の方向に原稿S1を搬送する給紙パスが配置されている。
図2Aの(c)に示すように、給紙パスに送られた原稿S1は、レジストローラ3により原稿読取前ローラ4に送られる。さらに、この原稿S1は、原稿読取前ローラ4を通過し、原稿読取プラテンローラ5の近傍にある原稿流し読みプラテンガラス201の原稿読取位置を通過するように搬送される。
なお、原稿が原稿流し読みプラテンガラス201の原稿読取位置に搬送される際、原稿読取先端位置を検知するため、リードセンサ14により原稿の先端が検知される。ADF100は、リードセンサ14のONタイミングから、原稿が原稿流し読みプラテンガラス201の原稿読取位置に達するまでの時間を、原稿読取前ローラ4および原稿読取プラテンローラ5の駆動源となる搬送モータ(図示せず)のクロックにより計数する。
このように、ADF100は、原稿流し読みプラテンガラス201上の原稿読取位置に原稿先端が到達するタイミングを予測する。この予測された原稿先端到達タイミングで、スキャナユニット209により原稿表面の流し読み画像取り込みが行われる。
図2Bの(d)に示すように、ADF100は、分離後センサ12で原稿S1の後端を検知した際、原稿トレイ30における次原稿の有無を原稿有無検知センサ16で検知する。原稿S1の後端が原稿読取プラテンローラ5及びローラ6を通過し、さらに搬送されると、排紙センサ15により原稿S1の後端が検知される。この排紙センサ15による原稿後端検知タイミングをトリガとし、さらに、排紙ローラ7から原稿排紙トレイ31に原稿S1が排出されると(図2Bの(e)参照)、原稿1枚の片面原稿読取搬送シーケンスは終了となる。
ADF100は、ジョブ設定で枚数設定分だけを読み取る場合を除き、基本的に原稿トレイ30に原稿がなくなるまで、前述したような、原稿給紙、原稿画像取り込みおよび原稿排出を繰り返す。図2Bの(d)に示すように、ADF100は、原稿の後端を分離後センサ12により検知した際、原稿無しが検知された場合、搬送中の原稿を最終原稿と判断し、最終原稿が原稿排紙トレイ31に排出されるまで待つ。そして、最終原稿が原稿排紙トレイ31に排出されると、ADF100は、各ローラの駆動源となる搬送モータを停止し、給紙ローラ1を元の位置に戻す。これにより、原稿読取ジョブは終了する。
(両面原稿読取時の原稿給紙処理)
原稿の両面読取時における原稿の搬送について説明する。図2Aの(a)〜(c)、図2Bの(d)、(e)に示すように、原稿読取装置500は、原稿の表面読取時、片面原稿の読み取りと同様、原稿S1を搬送し、レジストローラ3により斜行補正を行い、排紙ローラ7まで搬送する。表面読取終了時、原稿S1の後端によって排紙センサ15のOFFが検知された後、原稿読取装置500は、さらに、原稿S1の後端が排紙ローラ7の手前18mmのところに到達するまで原稿を搬送し、その後、原稿S1の搬送を停止させる(図2Cの(f)参照)。
つぎに、原稿S1の裏面を読み取るために、原稿読取装置500は、原稿S1の表裏を反転させる。図2Cの(g)に示すように、排紙ローラ7に原稿S1を噛ませた状態で、排紙ローラ7を逆転させ、排紙フラッパ21を切り替える。この排紙ローラ7を逆転方向に駆動することにより、原稿読取装置500は、原稿を反転パス20(戻し搬送経路)に搬送し、上流に位置するレジストローラ3に突き当て、斜行補正を行う。
その後、原稿読取装置500は、レジストローラ3を駆動し、排紙ローラ7を離間させ、排紙ローラ7の駆動を停止する。ここで、排紙ローラ7を離間させて停止させる理由は、原稿サイズがA3サイズのように大きい場合、反転中の原稿の後端が排紙ローラ7に残った状態で原稿が反転し、裏面読取中の原稿の先端が排紙ローラ7に再度突入する場合が想定されるためである。この場合、排紙ローラ7を離間させておかないと、排紙ローラ7で原稿の先端側と後端側とのすれ違いが発生するので、排紙ローラ7がニップを形成した状態で押しつけていると、搬送中の原稿の先端と後端の衝突が発生する。このため、このような衝突が発生しないように、排紙ローラ7を離間させておくのである。
図2Cの(h)に示すように、原稿読取装置500は、原稿S1の先端が原稿読取前ローラ4を通過すると、原稿読取プラテンローラ5により再び原稿S1を流し読みガラス201に移動させる。そして、原稿読取装置500は、原稿S1の裏面を流し読みガラス201上の原稿読取位置で読み取る。
なお、表面読取時と同様、原稿読取装置500は、リードセンサ14のONタイミングから原稿流し読みガラス201の原稿読取位置へ原稿先端が到達するタイミングを原稿読取プラテンローラ5の駆動源となる搬送モータのクロックにより計数する。
このように、原稿読取装置500は、原稿流し読みガラス201上の原稿読取位置への原稿先端の到達タイミングを予測し、この予測されたタイミングでスキャナユニット209により原稿裏面流し読みによる画像の取り込みを行う。
原稿裏面画像の読み取りが終了した後、原稿読取装置500は、このまま排紙トレイ31に原稿を排紙するのではなく、再度、反転パス20を用いて原稿を反転させて排紙する。これは、原稿を排紙トレイ31に排紙し、全ての原稿の読み取りが終了した際、原稿のページの順番が元の原稿束Sと同じ順番になるようにするためである。
(原稿サイズ検知のための原稿幅・原稿長さの検知)
本実施形態のADFの原稿サイズ検知では、AB規格サイズ、inch規格サイズといった定型サイズの中から、いずれのサイズであるかを検知することが行われる。図3は原稿トレイ30に配置された各種のセンサを示す図である。原稿トレイ30には、原稿の搬送方向に直交する幅方向において、積載された原稿束Sの幅方向にスライド可能なガイド規制板18が設けられている。また、このガイド規制板18に連動して幅方向における原稿の長さ(原稿幅)を検出するガイド規制板原稿幅検知センサ(図示せず)が設けられている。
このガイド規制板18は、ユーザが原稿をADF上にセットする際、セットされた原稿が傾いた状態にならないように、手動で原稿を幅方向の両側から挟み込み、しっかりと押さえるようにして規制する。
原稿束Sが全て同じサイズの原稿から構成される場合、原稿トレイ30に積載された原稿束Sの原稿サイズはつぎのように判別される。すなわち、ガイド規制板原稿幅検知センサから得られる原稿幅情報と、原稿トレイ30上のトレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11により検出可能な原稿搬送方向長さ情報とから、原稿束Sの原稿サイズが判別可能となる。なお、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11を、それぞれトレイセンサ10およびトレイセンサ11ともいう。異なるサイズの原稿が混在している原稿束Sの読取モード(同幅/異幅原稿混載読取モード)の詳細については後述する。
(スキャナユニットによる読取処理)
リーダ200は、原稿台ガラス202に載置された原稿を、光学スキャナユニット209が図1に示す矢印a方向(副走査方向)に走査することで、原稿に記録された画像情報を光学的に読み取る。
また、ADF100は、原稿トレイ30に積載された原稿を1枚ずつ原稿読取位置に搬送する。一方、リーダ200は、光学スキャナユニット209を原稿流し読みガラス201の原稿読取位置に移動させ、その位置で搬送中の原稿を読み取る。
ADF100に積載された原稿、あるいは原稿台ガラス202に載置された原稿は、原稿流し読みガラス201あるいは原稿台ガラス202を介して光学系により読み取られる。この光学系は、光源ランプ203と折り返しミラー204を有するスキャナユニット209、折り返しミラー205、206、レンズ207およびCCDセンサユニット210を備える。CCDセンサユニット210によって読み取られた画像情報は、光電変換され、コントローラ部400(図4参照)に画像データとして入力される。
基準白色板219は、シェーディング補正処理における白レベルの基準データを作成するための白板である。原稿画像読取ジョブの開始直後、リーダ200は、スキャナユニット209を基準白色板219の直下まで移動し、基準白色板を読み取ることで、シェーディング補正処理を行う。
(制御系の構成)
図4はADF100、画像読取装置200およびコントローラ部400の構成を示すブロック図である。ADF100は、中央演算処理装置である制御部(以下、CPUという)300、リードオンリメモリ(以下、ROMという)301、ランダムアクセスメモリ(以下、RAMという)302、出力ポートおよび入力ポートを備える。
ROM301には、制御用プログラムが格納されている。RAM302には、入力データや作業用データが格納される。出力ポートには、各種搬送用のローラを駆動するモータ303、ソレノイド306、クラッチ307などが接続されている。入力ポートには、各種センサ304が接続されている。各種センサ304として、リードセンサ12、排紙センサ13、排紙センサ15、原稿幅検知センサ17などが設けられている。
CPU300は、バスラインを介して接続されたROM301に格納された制御プログラムに従って、原稿搬送を制御する。また、CPU300は、画像読取装置(リーダ)200内の中央演算処理装置(CPU)321と制御用通信線351を介してシリアル通信を行い、画像読取装置200との間で制御データの授受を行う。また、原稿画像データの先端の基準となる画先信号も、制御用通信線351を通して画像読取装置200に通知される。
画像読取装置200内のCPU321は、画像読取装置200の制御を行う。CPU321には、プログラムを格納するROM322およびワークRAM323が接続される。光学系モータドライブ部326は、光学系駆動モータを駆動させるためのドライバ回路である。
画像読取装置200には、ランプ327およびCCDセンサユニット210が接続されている。CCDセンサユニット210には、カラー画像読取用CCD211およびCCDコントローラ部212が設けられている。CPU321は、光学系モータドライブ部326を制御し、画像処理部325を介してCCDセンサユニット210を制御することで、画像読取処理を行う。
原稿搬送を実現するために、CPU321は、ADF100の紙搬送制御用CPU300に制御用通信線(通信ライン)351を介して紙搬送制御コマンドを指示する。CPU300は、紙搬送制御コマンドが指示されると、搬送パスに設置されている各種センサ304をモニタし、負荷である搬送用のモータ303、ソレノイド306およびクラッチ307を駆動し、紙搬送制御を行う。
このように、CPU321は、ADF100による原稿搬送制御および画像読取装置200における画像読取制御を行う。
原稿間隔補正処理部324は先行の原稿に対する後続の原稿の搬送間隔(先行原稿と後続原稿との距離)の補正を行う。レンズ207を介してCCDセンサユニット210に結像された原稿の反射光像は、デジタル画像データに変換される。この変換されたデジタル画像データに対し、さらに、画像処理部325でシェーディング補正処理や、画像データ上のスジ画像等を検知して除去する不要画像除去処理等の各種画像処理が施される。各種画像処理が施さされた画像データは、ライン画像メモリ部329に書き込まれる。
ライン画像メモリ部329に書き込まれたデータは、順次、画像転送用クロック信号線を含むコントローラインターフェース画像通信線353を通してコントローラ部400に送信される。
さらに、原稿画像データの先端の基準となる画先信号は、CPU321によってタイミングが調整され、コントローラインターフェース制御通信線352を通してコントローラ部400に通知される。また、ADF100からの通信ライン351で通知される画先信号も、同様に、画像読取装置200内のCPU321によってタイミングが調整され、コントローラインターフェース制御通信線352を通じてコントローラ部400に通知される。
コントローラ部400は、制御部401、変倍回転等の画像制御回路402、補正回路403、画像メモリ404および操作部405を有し、画像読取装置200および自動原稿給紙装置100を含む画像読取システム(原稿読取装置)500の全体を制御する。ユーザは操作部405から原稿混載読取モードを選択することができ、原稿混載読取モードを選択すると、更に、同幅だけの原稿であるか異幅の原稿が混在しているかを選択するように構成されている。
CPU321は制御バスラインに接続された画像処理部325を制御する。さらに、CPU321は、画像処理部325を介して制御用通信線354から制御信号をCCDセンサユニット210に伝達し、CCDセンサユニット210を制御する。
CCDセンサユニット210によって原稿画像を走査する過程で、カラー画像読取用CCDセンサ211による読み取りの1ラインごとに、アナログ画像信号が通信線213を介してCCDコントローラ部212に出力される。
CCDコントローラ部212でアナログ画像信号がデジタル画像データに変換される。デジタル画像データは、画像転送用クロック信号線を含む画像データ情報通信線355からライン画像メモリ部329を経由してコントローラ部400に送信される。
画像制御回路402により変倍・回転等の画像処理が施された後、画像信号(画像データ)は、補正回路403に送信される。補正回路403は、画像信号に対して補正処理を行い、画像メモリ404に書き込む。上述した様々な処理が施された画像データは、原稿の読取画像として扱われる。
(自動用紙選択機能)
自動用紙選択機能は、原稿読取装置500が画像形成装置(図示せず)の給紙カセットに収納された記録媒体のサイズ、原稿のサイズ及び読取倍率とに基づいて画像形成に使用する記録媒体を自動的に選択する機能である。この場合、読取倍率はユーザにより設定される。
例えば、A4サイズの原稿を、搬送方向側が長くなるように横置き(横置きのサイズをA4Rとする)にADF100にセットし、ユーザが読取倍率を141%に設定して読み取る場合、A4Rサイズの原稿は141%に拡大されて読み取られる。これにより、読み取られた原稿の画像の出力サイズは、A3サイズとなるので、画像形成装置にA3サイズの記録媒体があれば自動的にA3サイズの記録媒体が選択されて、A3サイズの記録媒体に複写される。
このように、自動用紙選択機能は、リーダ200およびADF100で原稿画像を読み取る前に原稿サイズを決定し、コントローラ部400に原稿サイズ(出力画像サイズ)の情報を通知しないと、成立しない機能である。
(自動倍率選択機能)
自動倍率選択機能は、主にサイズの異なる原稿が混在した原稿束を一律の特定サイズの用紙にコピー出力するような場合に使用される機能である。このため、原稿読取装置500は、画像形成装置で画像を形成する記録媒体のサイズに合うように、原稿の読取倍率を自動的に決定し、決定した倍率で原稿を読み取る。この読取倍率は、リーダ200あるいはADF100にセットされた原稿束Sの原稿1枚毎の原稿サイズ情報と、画像形成で使用する記録媒体としてユーザが選択する記録媒体のサイズ情報とにより決定される。
このように、自動倍率選択機能は、原稿サイズ情報と記録媒体のサイズ情報とから自動で読取倍率を選択する機能である。
例えば、コピーする原稿がA3サイズであり、読み取った原稿の画像をA4サイズの記録媒体にコピーする場合を例として挙げる。この場合、リーダ200内のCCDセンサユニット210で読み取られた原稿の画像データを縮小・回転しないと、A4サイズの記録媒体に画像データをコピーすることはできない。
従って、縮小倍率を自動で計算する際、原稿読取装置500で原稿を読み取る前に原稿サイズを確定することが必要である。さらに、原稿読取前に、読み取った後の処理である回転処理等、コントローラ部400による画像処理の準備等も行う必要がある。。
(同幅/異幅原稿混載読取モード)
つぎに、同幅/異幅原稿混載読取モードについて説明する。前述した自動用紙選択機能および自動倍率選択機能は、異なるサイズの原稿が混在した原稿束の原稿を1枚ずつ原稿サイズを検知する原稿混載読取モードが設定された際、主に使用される機能である。
従来、原稿1枚毎に原稿サイズを確定するために、原稿読取装置500は、両面読み取り時に原稿を反転するために使用される反転パスを用いて、原稿の画像を読み取ることなく、原稿を搬送し、搬送中に原稿搬送方向の長さ(原稿長さ)を検知していた。そして、原稿読取装置500は、この検知された原稿長さと原稿の幅とから原稿サイズを決定し、この原稿サイズを決定した後も、さらに反転パスを使用し、再度、読取対象面が読取位置にくるまで、2回反転搬送(空回転)を行っていた。
このように、原稿サイズを決定するために、原稿1枚毎に余計な空回転(反転)を2回分実行すると、原稿混載読取モードの設定における読み取り生産性が低くなってしまう。
そこで、本実施形態では、原稿読取装置500は、原稿サイズを決定する際、搬送される原稿について得られる情報から原稿サイズを予測することにより原稿サイズを仮決定し、この仮決定された原稿サイズが正しい場合、そのまま原稿読み取りを継続する。
一方、仮決定された原稿サイズが実測の結果と比較して異なっていた場合、原稿読取装置500は、仮決定された原稿サイズが間違っていたと判断し、原稿を空回転させて正しい原稿サイズの検知を行う。原稿サイズの仮決定を行う際に、仮決定した原稿サイズが間違っていて空回転を行う必要が生じても、原稿読取装置500は、後述するように、空回転時間が短くなるように原稿サイズを仮決定する。
つぎに、同幅/異幅原稿混載読取モードにおいて、原稿読み取り時の原稿サイズを決定するまでの処理を説明する。なお、同幅原稿混載読取モードと異幅原稿混載読取モードとを総称して原稿混載読取モードと称す。
(搬送原稿から得られる情報)
前述した図3(a)には、搬送カバー32を閉じた状態のADF100が示されている。また、図3(b)には、搬送カバー32を開いた状態のADF100が示されている。
原稿トレイ30に積載された原稿束の幅方向の両端を規制する搬送ガイド規制板18(規制部材)は、原稿トレイ30に一対に設けられ、それぞれ図3の矢印fに示すように幅方向に可動自在である。搬送ガイド規制板18の位置は不図示の第1の検知部(センサ)により検知される。また、搬送ガイド規制板18は、通常、原稿束の幅に合わせた位置にユーザが移動させて使用される。
前述したように、給紙ローラ1は原稿を1枚ずつ原稿束から剥離させて給紙する。分離ローラ2は、複数枚の原稿が重なって搬送されないように、最上位の原稿とその下の原稿とを分離する。レジストローラ3は、搬送中の原稿(シート)の斜行を補正し、所定のタイミングで原稿を搬送する。
原稿有無検知センサ16は原稿トレイ30上の原稿の有無を検知する。トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11は、原稿が原稿トレイ30にセットされた際、原稿搬送方向の長さを判断する。
通常、同じサイズの原稿からなる原稿束が原稿トレイ30にセットされる場合、定型の原稿サイズであれば、原稿束としての幅と搬送方向長さとからその原稿サイズを決定することが可能である。すなわち、搬送ガイド規制板18で検知される原稿幅情報と、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11で検知される原稿長さ情報とから、定型の原稿サイズを決定することが可能である。これは、全ての原稿が同じ原稿サイズである場合、原稿幅および原稿長さについては、これらのセンサで検知される情報が全ての原稿で共通するからである。
一方、原稿幅と原稿長さの異なる原稿が混在した原稿束を原稿トレイ30にセットする場合、原稿幅は、原稿束の中で最大幅を有する原稿の幅に依存して検知されることになる。また、原稿搬送方向長さは、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11により、原稿束の中で最大の原稿搬送方向長さを有する原稿の長さに依存して検知されることになる。
図5は原稿サイズとこれに対応するトレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11のON/OFFとの関係を示すテーブルである。このテーブルはROM322に格納されている。同図(a)はAB規格の定型サイズ(AB仕向けのサイズ)の場合を示す。同図(b)はinch規格の定型サイズ(inch仕向け)の場合を示す。この表に示すように、原稿サイズの規格に応じて、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11(以下、両センサともいう)はON/OFFになる。
例えば、1枚目がA3原稿、2枚目がB4原稿である原稿束の場合、図5(a)の表によると、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11は、1枚目のA3原稿と2枚目のB4原稿のいずれにおいても給紙開始時にONとなる。
このため、1枚目の原稿の給紙開始直後、両センサの検知情報により、原稿長さは、ラージサイズ系列(A4/B5ではなく、A3/B4)と仮に判断され、その後、実際に搬送された原稿(A3原稿)のサイズを実測し、ラージサイズ系列と判断される。
さらに、1枚目の原稿に続き、2枚目の原稿の給紙開始直後、両センサの検知情報により、原稿長さは、ラージサイズ系列と仮に判断され、1枚目と同様、その後、実際に搬送された原稿(B4原稿)のサイズを実測し、ラージサイズ系列と判断される。
このように、異なる原稿サイズを組み合わせた場合でも、組み合わせのパターンや原稿の順番によっては、給紙搬送開始時の両センサの状態がそのまま搬送中の原稿の長さに対して適用できる場合がある。すなわち、これら両センサによる仮判断時にラージサイズ系列、さらに実測時にもラージサイズ系列となる、A3/B4の組み合わせがある。
そこで、前述した原稿長さについて、給紙搬送開始時の原稿長さの情報が正しくなるような原稿の組み合わせ(具体的に、1枚目がA3原稿、2枚目がB4原稿の組み合わせ)を考える。この組み合わせで、各原稿の正しい原稿幅を検知する方法の詳細については後述する。
1枚目の原稿はA3幅(297mm)、2枚目の原稿はB4幅(257mm)というように、各原稿の先端が原稿読取位置に到達するまでに、正しい原稿幅が検知される場合、つぎのことが考えられる。すなわち、給紙搬送開始時に検知された原稿長さ情報と正しい原稿幅情報とから、仮原稿サイズが決定される。また、並行処理により、その読取開始直後に実測される原稿サイズと、仮決定された原稿サイズとが等しい結果になることが想定される。
この組み合わせの場合、仮決定された原稿サイズが最終的に正しい原稿サイズとなることが想定されるので、原稿読み直しのための空回転が不要となる。なお、原稿サイズが確定する以前に原稿先端は読取位置に到達しているため、仮サイズに基づく原稿の画像読み取りが行われている。
一方、1枚目がA4サイズ、2枚目がB5サイズの原稿の場合、図5(a)によると、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11はともにOFFで同じ検知状態になる。この場合、スモールサイズ系列と判断される。
従って、各原稿について、原稿の先端が原稿読取位置に到達するまでに搬送時の原稿幅サイズがA4幅(297mm)/B5幅(257mm)のいずれかで検知されると、幅サイズを検知した時点で原稿サイズが仮決定される。そして、この仮決定されたサイズと、並行処理により読取開始直後に実測される原稿サイズとが等しい結果になると想定される。なお、正しい原稿幅を検知する方法の詳細については後述する。
従って、A4/B5の組み合わせの場合も、A3/B4組み合わせの場合と同様、原稿読取位置に到達するまでに仮決定された原稿サイズが最終的には正しい原稿サイズとなることが想定できる。このため、この組み合わせの場合も、原稿の読み直しのための空回転が不要となる。この場合も、原稿サイズが確定する以前に原稿先端は読取位置に到達しているため、仮サイズに基づく原稿の画像読み取りが行われている。
このように、原稿の組み合わせによっては、原稿の読み直しのための空回転が不要となるので、異なるサイズの原稿を読み込む原稿混載読取モードにおける読み取り生産性が向上する。
一方、1枚目の原稿がA4サイズ、2枚目の原稿がB4サイズからなる原稿束の場合、A4サイズとB4サイズの2つの原稿のうち、原稿長さの長い原稿は、B4サイズとなる。このため、原稿トレイ30に配置されたトレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11は、B4サイズの長さに応じて両方ともON状態となる。
図5(a)の表によると、1枚目のA4原稿も、ラージサイズ系列(A3あるいはB4)と予測されることになる。この結果、A4原稿/B4原稿の組み合わせの場合、仮に原稿搬送時に正しい原稿幅が特定されたとしても、仮原稿サイズはつぎのようになる。すなわち、幅情報と、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11の検知情報に基づく原稿長さとから予測した場合、1枚目の原稿サイズはA3サイズと仮決定される。従って、予測された仮原稿サイズは実測された原稿サイズと異なる結果になる。
この場合、予測により仮決定された仮原稿サイズ(A3)が実測による正しい原稿サイズ(A4)と異なった場合、反転パスを用いて原稿を2回反転させることになる。しかし、A3サイズよりも原稿長さの短いA4サイズの原稿を空回転するので、A3サイズの原稿を空回転させることに比べて空回転に要する時間はかなり短くなる。
このように、原稿混載読取モードでも、異なる原稿サイズの組み合わせ次第では、原稿幅を特定し、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11の情報を加味することで、原稿の再読取のための空回転をなくし、従来に比べ、格段に読み取り生産性が向上する。
さらに、原稿の読み直し時に空回転時間が最短になるように、つぎのような工夫を施すことで、時間を短縮させることが可能となる。つまり、原稿搬送時に確定する原稿幅と、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11のON/OFFによる判断情報とから、想定されるサイズのうち最大のサイズに仮原稿サイズが決定される。前述したように、ON/OFFによる判断情報は、ラージサイズ系列(A3/ B4/LDR/LGL等)、ミドルサイズ系列(A4R/B5R/LTRR等)、スモールサイズ系列(A4/B5/LTR/STMT等)である。
この決定された仮原稿サイズが最大のサイズと違っていた場合、読み直しのために空回転時間は、少なくとも仮決定された最大サイズよりも小さいサイズ分の空回転時間で済むはずである。
また、1枚目の原稿がA4サイズ、2枚目の原稿がB4サイズの場合、前述したように、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11は、B4サイズの長さに応じて両方ともON状態となる。
1枚目の原稿搬送中、A4幅(297mm)が確定した際、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11はON状態である。このため、幅297mmで、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11がONになる最大の長さであるA3サイズが仮原稿サイズとして決定される。
このように、予測として最大サイズを仮決定する理由は、仮に予測がはずれた場合、原稿を読み直すために反転パスを使用して空回転させて読み直し準備を行うことになるが、その際、できる限り空回転時間を短くするためである。例えば、A4サイズとA3サイズの原稿を搬送する際の空回転時間を比較すると、A4原稿の方が搬送方向の長さが短い分、合計の空回転時間が約半分短くなる。
このように、予測がはずれても、原稿の空回転の搬送時間が短くてすむように、サイズを予測する。すなわち、予測として、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11のON/OFFによる判断情報と、搬送による原稿幅情報とから、想定されるサイズのうち最大のサイズが仮原稿サイズに決定されることになる。
そして、前述したように、この仮決定された原稿サイズが外れた場合、少なくとも仮決定されたサイズよりも小さいサイズ分の空回転が行われることになる。すなわち、A3原稿をA4サイズと予測して外れていた場合のA3サイズ分の空回転時間よりも、A4原稿をA3原稿と予測して外れていた場合のA4サイズ分の空回転時間の方が短いということである。
(原稿読取動作)
つぎに、ADF100を用いた原稿読取装置500の原稿読取動作について説明する。図6は異なるサイズの原稿が混在した原稿束SをADF100にセットした状態を示す図である。同図(a)は正面から視た状態を示し、同図(b)は同図(a)の上側から視た状態を示す。
ここでは、例として、B4サイズ原稿の上にA4サイズ原稿がセットされている(1枚目がA4サイズ、2枚目がB4サイズ)場合を示す。同図(b)において、太線枠で示される原稿はB4サイズ原稿である。原稿混載読取モードは異幅が設定されるものとする。一方、点線枠で示される原稿はA4サイズである。原稿は全て奥側(図6(b)の上側)の搬送ガイド規制板18に寄せてセットされる。A4原稿は長辺(297mm)を送り方向と直交する幅方向としてセットする。
なお、原稿の長辺が原稿搬送方向と平行になるようにセットされる場合の搬送をR方向搬送と呼ぶことにする。また、その場合の原稿サイズを、例えばA4サイズの原稿である場合、A4Rサイズと呼ぶことにする。
この例では、A4サイズの原稿がセットされているので、搬送ガイド規制板18はほぼ最大幅まで広げられた状態にある。また、原稿トレイ30には、B4サイズ原稿がセットされているので、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11は両方ともONになっている状態である。
原稿混載読取モード(異幅)の設定でない場合、搬送ガイド規制板18により検出される原稿幅、およびトレイサイズ検知第1センサ10とトレイサイズ検知第2センサ11の情報に基づき、定型原稿サイズのうちいずれの原稿サイズであるかが決定される。すなわち、図5のテーブルから、原稿搬送方向のサイズについては、ラージサイズ系列(A3/B4/LDR)/ミドルサイズ系列(A4R/B5R/LTRR)/スモールサイズ系列(A4/LTR以下)のいずれかが検知される。そして、これらの情報により、定型サイズのうちどの原稿サイズであるのかを決定することができる。
一方、原稿混載読取モードの設定である場合、原稿トレイ30に原稿束Sをセットしただけでは、原稿サイズを特定することはできず、しかも原稿1枚毎にサイズが異なる可能性があるため、1枚ずつ原稿サイズを特定しなければならない。
そこで、前述したように、原稿読取装置500は、原稿サイズを仮決定するために、原稿トレイ30から給紙する直前に、つぎのような情報(i)、(ii)を検知し、原稿サイズの予測に使用する。
(i) 原稿給紙搬送直前の原稿トレイ30におけるトレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11のON/OFF情報
(ii) 搬送ガイド規制板18により検出される原稿幅情報
図7、図8および図9は原稿読取動作手順を示すフローチャートである。この制御プログラムは、画像読取装置200内のROM322に格納されており、コントローラ部400内の制御部401からの要求指示に従って、画像読取装置200内のCPU321によって実行される。
オペレータにより原稿束Sが原稿トレイ30にセットされた後、CPU321は、ADF100を使用したコピーなどの読取ジョブを開始する(ステップS1)。
CPU321は、オペレータの操作により設定された読取モードが原稿混載読取モードであるか否かを判別する(ステップS2)。このオペレータの操作により設定された、原稿混載読取モードの情報は、制御部401からCPU321に通知される。
原稿混載読取モードが設定されていない場合、つまり非混載原稿読取モードの場合、基本的に、原稿束Sは全て同じ原稿サイズである。従って、1枚目の原稿の原稿サイズが決定されると、2枚目以降の原稿については、1枚目で決定した原稿サイズに従って、原稿読み取りが行われる。
ステップS2の判別の結果、非混載原稿読取モードの場合、CPU321は、制御部401からの原稿給紙開始要求の通知を待つ(ステップS21)。原稿給紙開始要求が通知されると、CPU321は、1枚目の原稿であるか否かを判断する(ステップS22)。
1枚目の原稿である場合、CPU321は、ガイド規制板原稿幅検知センサにより給紙開始直前に搬送ガイド規制板18のガイド幅から原稿幅を検知する(ステップS23)。ここで、非混載原稿読取モードの場合、原稿束Sの全ての原稿が同じ原稿サイズを有することを前提として、原稿読取装置500は動作するので、搬送ガイド規制板18で検知されたガイド幅がそのまま原稿幅に決定される。
さらに、CPU321は、トレイサイズ検知第1センサ10とトレイ検知第2センサ11により検知された情報から、図5に示すテーブルを用いて、原稿長さを検知する(ステップS24)。ここで、原稿幅の場合と同様に、原稿束Sの全ての原稿が同じ原稿サイズを有することを前提として、原稿読取装置500は動作するので、これらのセンサで検知された原稿長さが全ての原稿の原稿長さに適用される。
CPU321は、検知された原稿幅と原稿長さとから定型の原稿サイズを決定する(ステップS25)。CPU321は、原稿サイズが決定された状態で原稿給紙を開始する(ステップS26)。CPU321は、原稿の給紙を開始した後、決定した原稿サイズを制御部401に通知する(ステップS27)。
制御部401は、これから読み取られる原稿画像に対して行う各種の画像処理の準備として、CPU321から通知された原稿サイズ情報をもとに、変倍処理における倍率の計算や読取範囲の設定、画像メモリ404の使用領域の確保等を実行する。画像読取準備が完了すると、制御部401から搬送中の原稿に対する原稿読取開始要求が発行される。
CPU321は、制御部401から原稿読取開始要求が通知されると、原稿の読み取りを開始する(ステップS28)。すなわち、CPU321は、制御用通信線351を介してADF100内のCPU300に読み取り開始を指示する。
CPU321は、原稿画像の読み取りが終了するまで待つ(ステップS29)。読み取りが終了すると、制御用通信線351を介してCPU300からCPU321に読み取り終了が通知される。原稿画像の読み取りが終了すると、CPU321は、読み取りが終了した原稿が最終原稿であるか否かを判断する(ステップS30)。
最終原稿でない場合、CPU321は、ステップS21の処理に戻り、次の原稿の読み取りを開始するために、次原稿の給紙開始要求の通知を待つ。そして、次原稿の給紙開始要求の通知が届くと、CPU321は、ステップS22の処理を行う。このステップS22の処理では、2枚目以降の原稿であって、混載設定でないので、2枚目以降の原稿のサイズは全て1枚目と同じ原稿サイズであることを前提として動作が行われる。従って、CPU321は、原稿サイズを決定するステップS23〜S25の処理をスキップし、ステップS26の処理に進む。そして、ステップS26の原稿給紙開始処理からステップS29の原稿画像読取終了処理までの処理が継続して行われる。
ステップS30で、原稿が無くなり、読み取りが終了した原稿が最終原稿である場合、CPU321は、後処理動作を実行し(ステップS31)、非混載原稿読取モードによる原稿読取動作を終了する。
つぎに、原稿混載モード設定(異幅)で原稿読取ジョブが実施される場合について説明する。なお、ここでは、第1の例として、1枚目の原稿がA4サイズの原稿であり、2枚目の原稿がB4サイズの原稿である、原稿束Sの組み合わせを想定して説明する。
ステップS2で原稿混載読取モードが設定されていた場合、つまり、原稿混載読取モード情報が制御部401からCPU321に通知された場合、CPU321は、制御部401からの原稿給紙開始要求の通知を待つ(ステップS3)。
CPU321は、原稿給紙開始要求が通知されると、搬送ガイド規制板18による搬送ガイドのガイド幅をガイド規制板原稿幅検知センサにより検知する(ステップS4)。さらに、CPU321は、トレイサイズ検知第1センサ10と第2センサ11により原稿長さを検知する(ステップS5)。なお、このステップS5の処理は第1の原稿長さ検知手段の一例である。
この例では、1枚目の原稿サイズがA4サイズ、2枚目の原稿サイズがB4サイズであるので、最大の原稿幅はA4サイズの297mmであり、最大の原稿長さはB4サイズの364mmである。B4サイズの原稿で検知される情報として、トレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11はともにONとなる。従って、この両方のセンサ情報から、原稿束Sには、ラージサイズ系列の原稿が含まれることが検知される。
CPU321は、原稿給紙開始要求に応じて、1枚目の原稿の給紙を開始する(ステップS6)。1枚目の原稿の給紙が開始されると、CPU321は、原稿の先端によって分離後センサ12がONになったか否かを確認する(ステップS7)。ONになっていない場合、CPU321は、ステップS7の処理に戻り、分離後センサ12がONになるまで待つ。なお、分離後センサ12のON/OFFなどの情報は、制御用通信線351を介してCPU300からCPU321に通知される。
ここで、分離後センサ12のONを待つのは、CPU321のタイマクロックにより、分離後センサ12のONタイミングから分離後センサ12のOFFタイミングまでの期間を計測するためである。即ち、分離後センサ12を原稿の先端から後端までが通過する時間を測定することで、実際の原稿長さを測定する。
CPU321は、分離後センサ12がONになったことを検知すると、原稿長さの実測を開始する(ステップS8)。CPU321は、さらに、原稿が搬送され、レジストローラ3に原稿が到達したか否かを検知する(ステップS9)。レジストローラ3に原稿が到達していない場合、CPU321は、レジストローラ3に原稿が到達するまでステップS9の処理を繰り返す。そして、レジストローラ3に原稿の先端が突き当てられ、一旦停止することで原稿搬送中の斜行が補正される。
図10は1枚目の原稿の先端がレジストローラ3に突き当てられた状態を示す図である。同図(a)は正面から視た状態を示し、同図(b)は同図(a)の上側から視た状態を示す。前述したように、この組み合わせの例(第1の例)では、搬送ガイド規制板18により検知される幅情報として、原稿束Sの中で最大の原稿幅であるA4サイズの原稿幅、すなわち、297mmの原稿幅が検知される。
一方、混載原稿読取モード(異幅)の設定では、搬送ガイド規制板18で検知される幅が搬送中の原稿幅であると、すぐに決定することはできない。この理由は、今回の組み合わせ例(第1の例)では、B4サイズの原稿が給紙されている可能性があるからである。
そこで、本実施形態では、レジストローラ3の近傍の4ヶ所に並置された原稿幅検知センサ17の検知情報と搬送ガイド規制板18のガイド幅の情報との両方を使用して、搬送中の原稿幅が決定される。
A4サイズの原稿とB4サイズの原稿のように、異なる原稿サイズの原稿を組み合わせる場合、原稿トレイ30に原稿をセットする際、原稿は搬送ガイド規制板18の奥側に突き当てられてセットされる。原稿の先端がレジストローラ3の近傍に到達するタイミングでは、4ヶ所に設置された原稿幅検知センサ17のいくつかにより原稿が検知される。即ち、4つの原稿幅検知センサ17のうち、どのセンサが原稿を検知していてどのセンサが原稿を検知していないかを判断することにより原稿の幅方向の端部の位置が検知される。検知された端部位置から想定される原稿サイズが決定される。これらの原稿幅検知センサ17は原稿の幅方向の一方の端部の位置を検知する第2の検知部として機能する。
なお、本実施形態では、搬送ガイド規制板18の奥側のガイドに突き当てた状態で原稿をセットした際、搬送ガイド規制板18の幅と原稿幅検知センサ17の検知数とが原稿サイズと関連するように、4つの原稿幅検知センサ17は配置されている。図11は搬送ガイド規制板18の幅と原稿幅検知センサ17の検知数とから想定される原稿サイズを示すテーブルである。このテーブルはROM322に格納されている。
搬送ガイド規制板18は、幅方向(主走査方向)の中央基準で主走査幅の規制が可変になるように構成されている。従って、原稿サイズに応じて、搬送ガイド規制板18の幅が可変する。さらに、搬送ガイド規制板18の幅に応じて、搬送中に原稿が通過する原稿幅検知センサ17の検知状態も変わる。
CPU321は、搬送ガイド規制板18で検知された幅情報、4ヶ所の原稿幅検知センサ17の検知数情報、および原稿サイズのABサイズ/inchサイズの仕向け情報から、図11の表に基づき、搬送中の原稿の幅サイズを決定する(ステップS10)。
このように、現在搬送中の原稿について、図11の表に基づき、検知された原稿幅情報から、いくつかのサイズの候補が想定されることになる。即ち、CPU321は原稿サイズの候補を取得する候補取得手段として機能する。今回の場合、1枚目の原稿については、A4サイズの幅であることが決定されているので、A4サイズかA3サイズの候補が想定されることになる。
これらの候補の中から、さらに、原稿長さの情報、すなわち給紙開始直前のトレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11のON/OFF情報に基づき、図5のテーブルからラージサイズ系列の原稿であることが検知される。
従って、CPU321は、この原稿長さの情報を加味し、想定される最大のサイズを搬送中の原稿の原稿サイズとして仮に決定する(ステップS11)。即ち、CPU321は仮サイズ決定手段として機能する。この例(第1の例)では、1枚目の原稿に対し、サイズ情報として、A3サイズが仮決定されることになる。CPU321は、ステップS11において、さらに仮決定された原稿サイズ情報を制御部401に通知する。制御部401は、仮決定された原稿サイズ情報に基づき、内部の画像処理の準備を行う。
画像処理の準備として、例えば、自動倍率選択機能のための読取倍率の計算、画像メモリの使用領域の確保等の準備が挙げられる。これらの準備が済み次第、制御部401からCPU321に原稿読取要求が通知される。
CPU321は、この原稿読取要求の通知を受けると、原稿の先端が原稿読取位置に到達した時点で原稿読み取りを開始する(ステップS12)。CPU321はその後、原稿読み取り中、分離後センサ12がOFFになるまで待つ(ステップS13)。分離後センサ12のOFFが検知されたことにより、分離後センサ12がオンしてからオフするまでの時間がCPU321のタイマクロックにより測定される。なお、分離後センサ12の位置は検知位置に対応する。
CPU321は、この測定結果に基づき、原稿長さを実測し(第2の原稿長さ検知手段)、この実測により得られた原稿長さおよび原稿幅から正しい原稿サイズを決定する(ステップS14)。即ち、CPU321は実サイズ決定手段として機能する。ここでは、既に決定済みの原稿幅情報と合わせ、正しい原稿サイズはA4サイズと決定される。
CPU321は、実測結果による正しい原稿サイズと、予測により仮決定された原稿サイズとが一致するか否かを確認する(ステップS15)。一致しないと確認された場合、CPU321は、現在読み取り中の原稿に対し、原稿の読み直しを行うため、読み直しシーケンスを実行する(ステップS20)。この後、CPU321はステップS18の処理に進む。今回の例(第1の例)では、1枚目の原稿サイズはA4原稿サイズであるが、A3サイズと仮決定されているので、予測は外れたことになる。従って、この現在読み取り中の原稿については、原稿の読み直しを行うため、読み直しシーケンスが実行される。
一方、ステップS15で、実測結果による正しい原稿サイズと予測により仮決定された原稿サイズとが一致すると確認された場合、CPU321は、実測結果を制御部401に通知する(ステップS16)。
そして、CPU321は、現在の原稿読み取りが終了するまで待つ(ステップS17)。原稿読み取りが終了すると、CPU321は、読み取った原稿が最終原稿であるか否かを判断する(ステップS18)。最終原稿でない場合、CPU321は、ステップS3の処理に戻る。
一方、最終原稿である場合、CPU321は、所定の後処理動作を実行し(ステップS19)、本処理を終了する。
なお、今回のように、予測が外れた場合、CPU321は、次の原稿の有無情報を制御部401に通知しないようにする。その理由は、制御部401に次原稿情報が通知された場合、コントローラ部400の内部で開始される次原稿の準備処理に対し、読み直しが発生した場合、これらの処理をキャンセルする等の余計な修復処理が発生してしまう可能性が高くなるからである。つまり、この処理で、読み直し動作に余分な時間が発生してしまうことを避けるためである。
また、仮決定されたサイズに基づく原稿読み取り動作が終了しても、予測が外れた場合、CPU321は、制御部401に読取終了を通知しないようにする。その理由は、読取終了通知をトリガイベントとして発生する処理に対し、読み直しが発生した場合、これらの処理をキャンセルする等の余計な修復処理が発生してしまう可能性が高くなるからである。つまり、この処理で、読み直し動作に余分な時間が発生してしまうことを避けるためである。
従って、前述したように、搬送中の原稿の正しい原稿サイズが判明し、予測が外れなかった場合のみ、CPU321は、ステップS16で次原稿の有無情報を制御部401に通知する。
図12はステップS20における原稿読み直しシーケンスを示すフローチャートである。まず、CPU321は、実測の結果、予測が外れたことを制御部401に通知する(ステップS41)。CPU321は、ADF100に対し、再度、同じ原稿面を読み直すために、反転パス20を使用して原稿反転処理(空回転)を行わせる(ステップS42)。このとき実行される空回転は、両面搬送時の原稿反転処理のための空回転と同じである。予測が外れたことを通知された制御部401は、現在読み取り中のページに対してキャンセル処理を行い、原稿画像データ情報を廃棄し、再度読み直しによる原稿画像データ情報の受信準備を行う。
CPU321は、ADF100に対して2回原稿反転処理(空回転処理)を実行させ、読み直す面の原稿の先端がレジストローラ3に到達したことを検知すると、原稿読み直し準備完了と判断する。CPU321は、原稿読み直し準備が完了するまで待ち(ステップS43)、原稿読み直し準備が完了すると、原稿読み直し準備完了を制御部401に通知する(ステップS44)。このとき、正しい原稿サイズであるA4サイズ情報と、次の原稿の有無情報、つまり今回の例(第1の例)では原稿有り情報が通知される。
CPU321は、制御部401から正しい原稿サイズの読み直し要求が通知されると、正しい原稿サイズで原稿を読み直す(ステップS45)。そして、CPU321は、原稿読み直しが終了するまで待つ(ステップS46)。CPU321は、原稿読み直しが終了した時点で、制御部401に原稿読み直しの正常終了を通知する(ステップS47)。そして、CPU321はメインの処理に復帰する。
メインの処理では、原稿読み直しシーケンスが終了すると、CPU321は、ステップS18で、原稿読み直しが終了した原稿が最終原稿であるか否かを判断する。最終原稿であると判断された場合、CPU321は、原稿読取動作の終了となるが、次原稿がある場合、ステップS18の処理に戻り、制御部401からの原稿給紙開始要求の通知を待つ。
次原稿の給紙開始要求が通知されると、この例(第1の例)では、CPU321は、ただちに2枚目の原稿であるB4原稿の給紙を開始する。
2枚目の原稿についても、1枚目の原稿と同様、原稿サイズが決定される。2枚目の原稿はB4サイズであるので、トレイサイズ検知第1センサ10と第2センサ11の両方がともにON状態となる。搬送ガイドのガイド幅は、1枚目の原稿と同様、A4幅(297mm)となる。一方、原稿幅検知センサ17の検知情報として、3ヶ所がONとなる。原稿幅検知センサ17の検知情報とガイド幅情報(297mm)とから、原稿幅情報としてB4サイズ幅(257mm)であることが決定される。
このように、現在搬送中の原稿に対し、図11の表を用いて検知された原稿幅情報では、いくつかのサイズの候補が想定されることになる。今回の場合、2枚目はB4サイズ幅であることが決定しているので、B4サイズとB5サイズの候補が想定される。これら候補の中で、さらに原稿長さの情報、つまり給紙開始直前のトレイサイズ検知第1センサ10およびトレイサイズ検知第2センサ11のON/OFF情報に基づき、図5の表から、ラージサイズ系列であることが検知されている。
従って、CPU321は、ステップS10において、この原稿長さの情報を加味し、想定される最大の原稿サイズを搬送中の原稿の原稿サイズとして仮に決定する。すなわち、2枚目の原稿サイズは、B4サイズに仮決定される。
2枚目の原稿についても、1枚目の原稿と同様に原稿長さの実測が行われる。ステップS14では、既に決定済みの原稿幅情報と合わせ、正しい原稿サイズはB4サイズと決定される。2枚目の原稿については、予測により仮決定された原稿サイズは、B4サイズと予測されたので、実測により得られた原稿サイズと一致する。従って、原稿の読み直しは発生しない。
CPU321は、ステップS16で、実測の結果、予測が正しかったことを制御部401に通知し、2枚目の原稿を継続して読み取る動作を行う。なお、制御部401に通知する際、次原稿の有無情報が同時に通知される。今回の例(第1の例)では、3枚目の原稿が無いので、次原稿無しの情報が通知する。
CPU321は、ステップS17で、2枚目の原稿読み取りが終了するまで待ち、2枚目の原稿読み取りが終了すると、ステップS18で、読み取りが終了した原稿が最終原稿であるか否かを判断する。最終原稿であると判断された場合、CPU321は、ステップS19で、所定の後処理を実行し、本処理を終了する。
(1枚目の原稿がB4サイズ、2枚目の原稿がA4サイズの組み合わせの場合)
つぎに、第2の例として、1枚目の原稿がB4サイズ、2枚目の原稿がA4サイズの組み合わせの場合について説明する。
1枚目の原稿サイズはB4サイズであるので、給紙開始直前のトレイセンサ10とトレイセンサ11は両方ともONとなる。また、B4サイズとA4サイズの組み合わせであるので、搬送ガイド規制板18のガイド幅として、幅の大きいA4幅(297mm)が検知される。さらに、搬送中に検知される原稿幅検知センサ17の検知情報として、3ヶ所が検知される。
従って、レジストローラ3の突き当て時の予測で、想定される最大サイズはB4サイズである。原稿サイズとして、B4サイズが仮決定される。
実際、1枚目の原稿はB4サイズであるので、空反転することなく継続され、次原稿の給紙が開始される。
次原稿の給紙開始時、原稿トレイ30に残った原稿はA4サイズの原稿であるので、給紙開始直前のトレイセンサ10とトレイセンサ11は両方ともにOFFとなる。
2枚目の原稿では、給紙開始直前のトレイセンサ10とトレイセンサ11は両方ともにOFFである。また、搬送ガイド規制板18のガイド幅として、A4幅(297mm)が検知される。さらに、搬送中に検知される原稿幅検知センサ17の検知情報として、4ヶ所が検知される。
従って、これらの情報から、レジストローラ3の突き当て時に予測される仮サイズは、想定される最大サイズであるA4サイズとなる。
ここで、前述したように、1枚目がA4サイズの原稿、2枚目がB4サイズの原稿の組み合わせの場合と比べると、2枚目のA4サイズの原稿給紙時、トレイセンサ10とトレイセンサ11の検知情報が異なる。このため、予測で想定される最大サイズが前回の例(第1の例)ではA3サイズであり、今回の例(第2の例)ではA4サイズとなる。
実際、2枚目の原稿サイズはA4サイズであるので、2枚目も実測によって原稿サイズは正しく検知される。これにより、今回の例(第2の例)では、1枚目、2枚目のいずれの場合も、空反転することなく、読み取り動作が終了する。
このように、本実施形態の原稿読取装置によれば、仮原稿サイズと実際の原稿サイズとが等しく予測が当たっていた場合、読み直しを行うことなく原稿の画像の読み取りを継続させることができる。一方、予測が外れても、最大の原稿サイズより搬送方向の長さが短い原稿サイズであるので、原稿を反転パスを経由して空回転させる時間を短くすることができる。従って、原稿混載モードにおける読み取り生産性を向上させ、ユーザにとって使い勝手が良くなる。
また、搬送パスの短い原稿読取装置に適用することができ、装置の小型化が図れる。また、次原稿の準備処理に対し、読み直しが発生した場合、これらの処理をキャンセルする等の余計な修復処理が発生してしまう可能性が高くなることを避けることができる。従って、読み直し動作に余分な時間が発生してしまうことが無くなる。
また、原稿混載読取モード(同幅)の場合は、原稿の正しい幅を検知できるタイミングが原稿混載読取モード(異幅)の場合よりも速くなるだけで、その他の制御は異幅の場合と同様である。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
例えば、上記実施形態では、原稿の画像を読み取る読取ユニット(CCDセンサユニット)は画像読取装置200に設けられていたが、自動原稿給紙装置内に読取ユニットを設け、自動原稿給紙装置が原稿を搬送しながらその画像を読み取る構成であってもよい。
また、上記実施形態では、図7、図8、図9に示す原稿読取動作は、画像読取装置200内のCPU321によって実行されたが、自動原稿給紙装置100内のCPU300が実行するようにしてもよい。これにより、自動原稿給紙装置が他の画像読取装置に接続された場合でも、同様の制御を行わせることが可能となる。
また、本発明の原稿読取装置が接続される画像形成装置としては、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置が挙げられる。このような画像形成装置として、本来の印刷装置、印刷機能を有するファクシミリ装置、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能等を有する複合機(MFP)であってもよいことは勿論である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
また、上記実施形態に記載されている構成部品の形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲は上記例示するもののみに限定されものではない。
また、原稿のマテリアル(材質)としては、紙媒体、OHPシート、厚紙用紙など、特に限定されない。