JP2011018757A - 微細構造物の製造方法、この微細構造物の製造方法によって製造された微細構造物を備えた発光ダイオード、微細構造物およびこの微細構造物を備えた発光ダイオード - Google Patents

微細構造物の製造方法、この微細構造物の製造方法によって製造された微細構造物を備えた発光ダイオード、微細構造物およびこの微細構造物を備えた発光ダイオード Download PDF

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Abstract

【課題】光取出し効率の向上を可能にする微細構造物を提供する。
【解決手段】微細構造物の製造方法は、光が照射されることにより発光する発光部を有する透光性の基板6の表面上に第1遮光マスクパターン15を形成する工程と、第1遮光マスクパターン15を覆うように基板6の表面上に、光重合性を有する第1光重合材料膜16を形成する工程と、第1遮光マスクパターン15をマスクとして、第1光重合材料膜16をパターニングし、透光性を有する第1透光膜パターンを形成する工程と、第1透光膜パターン上に第2遮光マスクパターンを形成する工程と、第2遮光マスクパターンを覆うように、基板6の表面上に第2光重合材料膜を形成する工程と、第2光重合材料膜をパターニングして、第1透光膜パターンの上面上に透光性を有する第2透光膜パターンを形成する工程とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、光取り出し効率の向上が図られた微細構造物の製造方法と、この微細構造物の製造方法によって製造された微細構造物を備えた発光ダイオードと、光取り出し効率の向上が図られた微細構造物と、この微細構造物を備えた発光ダイオードとに関する。
青色LED(Light Emitting Diode)に用いられている窒化ガリウム系半導体の屈折率は2.5程度であり、空気の屈折率は略1である。スネルの法則より、窒化ガリウム半導体から空気相に光を取出すことができる臨界角θは23.5°程度である。よって、窒化ガリウム半導体と空気相との界面で、大半の光が全反射される。
半導体中から外部へ取り出せる光の割合を開示した先行文献として、非特許文献1がある。非特許文献1では、半導体内で発生した光のうち、上表面から外部へ取り出せる光の割合の上限ηは、
η=2π(1−cosθ)/4π=(1−cosθ)/2
で表されている。
上式から、窒化ガリウム半導体の上表面から外部へ取り出せる光の割合は、4.1%となる。また、窒化ガリウム半導体の内部を裏面方向へ向かった光が裏面で反射されることにより100%取り出されると仮定すると、光の取出し効率は8.2%となる。この結果から、半導体内で発生した光の大半は、外部に取り出されていないことが分かる。
そこで、半導体からの光取出し効率を改善するために、窒化ガリウム半導体の表面またはサファイア基板と窒化ガリウム層との界面などに凹凸を形成した発光素子および発光素子の製造方法を開示した先行文献として、特許文献1〜5および9がある。
特許文献1〜3に記載された発光素子では、透明電極層の表面に凹凸を形成している。特許文献4に記載された発光素子では、p型半導体層において凹凸を形成している。特許文献3、5に記載された発光素子では、基板とn型半導体層との界面に凹凸を形成している。特許文献9に記載された半導体発光素子では、半導体発光素子の表面上に凹凸が形成されている。このように、凹凸を形成することにより、半導体からの光取出し効率は、60%程度まで増加するといわれている。
さらに光の取り出し効率を向上させる凹凸を形成した発光素子を開示した先行文献として、非特許文献2がある。非特許文献2に記載された発光素子では、フォトニック結晶と呼ばれる、300nm以下のピッチの微細構造を形成することにより、光取出し効率がさらに向上されている。このような微細構造を形成する方法として、ナノインプリント法、フォトリソグラフィー法、および、微粒子を自己組織的に並べてその微粒子をマスクとして微細構造を形成する方法などがある。
インプリント法を用いてパターンを形成する発光素子の形成方法を開示した先行文献として、特許文献6,7がある。特許文献6に記載された発光素子の形成方法では、インプリント法を用いてレプリカを作製し、そのレプリカを基に半導体多層膜の表面に微細構造を形成することによって光取出し効率を向上させている。
特許文献7に記載された発光素子の形成方法では、基板または発光層の発光面の少なくとも一部にシリコーン樹脂を塗布し、この塗布層をインプリント法によりパターニングしている。パターニングした塗布層をマスクとして、塩素系ガスでエッチングすることによ
り、基板または発光面に微細構造を形成して、光取出し効率を向上させている。
また、固体表面の微細加工方法および発光素子を開示した先行文献として、特許文献8がある。特許文献8に記載された微細加工方法を利用した発光素子の形成方法では、粒子を固体表面に配列し、粒子をマスクにしてエッチングすることで微細構造を形成している。
さらに、干渉露光法を用いてパターニングを行なう方法を開示した先行文献として、非特許文献3,4がある。非特許文献3,4に記載されたパターニング方法では、金属アルコキシド、プロパノール、βジケトン、塩酸および水を混ぜた液を基板上に塗布し、干渉露光法により、光の反応した部分のみ選択的に重合を促進させ、パターニングを行っている。
特許第3448441号公報 特許第4093943号公報 特表2004−511080号公報 特開2007−95745号公報 特開2006−287113号公報 特開2007−288106号公報 特開2006−100684号公報 特開2007−273746号公報 特開2006−270001号公報
原口雅宣、他2人、「LED照明の最近の動向−フォトニック結晶LED−」、OplusE、2007年6月、p.582−p.586 Ja-Yeon Kim et al.,「Enhanced light extraction from GaN-based green light-emitting diode with photonic crystal」,Applied Physics Letters 91,(2007),181109 1-3 Hiroyo Segawa et al.,「Fabrication of TiO2-Organic Hybrid Dot Arrays Using Nanosecond Laser Interference Lithography」,Journal of the American Ceramic Society,(2006),89[11]3507-3510 瀬川浩代、「有機−無機ハイブリッド材料の光パターニングとその形状制御」、日本ゾル−ゲル学会第5回セミナー講演論文集、(2008)、p.1−p.8
光を取り出すための構造として、まず、効率向上に貢献する凹凸部の膜厚は、特許文献9に記載の図3〜図6に示す例では、200nm〜2.4μmの間が適切であり、中でも膜厚800nmが最も適切であると報告されている。しかしながら、このような凹凸構造は電気伝導性を持った半導体の成長過程において生成されるもので、温度制御のみで作製されているため、ピッチを任意で制御することは困難である。効率を更に向上するには、任意の形状を持つことが重要であり、自己成長によるボトムアップ法よりも、ナノインプリント法や、フォトリソグラフィー法によって形状を作りこんでいく方法が適していると考える。また単純にピッチ300nm程度で作製する際、透明電極上に直接作製しても、透明電極と微細構造を構成する材料との格子定数が違うため、密着性が同質の材料と比較して悪い。したがって、1層からなるピッチ300nm程度の微細構造単体よりも、土台となる第1層と、第1層の上に形成され、ピッチ300nm程度の第2層とを含む微細構造物とした方が、微細構造物が様々な環境においても構造を維持しやすいため、光取り出し効率向上には適していると考える。
この2層構造からなる微細なパターンを作製するには、まず厚膜の高屈折率膜を作製し、その後、マスクパターンを膜上に作製し、マスクが存在していない部分をRIE(Reactive ion etching)法で高屈折率膜をプラズマエッチングする方法が一般的である。
まず、厚膜を作製する方法としては、真空機器を用いてスパッタ成膜、およびゾルゲル法が考えられるが、真空スパッタ成膜装置を用いた装置による方法では、真空機器の設備が大掛かりであり、コストが大きくかかる。
一方、ゾルゲル法により厚膜を作製する方法では、溶液法で作製できるため、設備は小規模であり、コストメリットが大きいものと考えられる。
以上のことから、低額な投資で、基板上に1層目が土台となる2層状の膜を作製するには、ゾルゲル法で、第1層を作製し、その上に、第1層と同じ材料で、ピッチが300nm程度の第2層を作製する方法が考えられる。このように作製することで光取り出し効率が向上すると考えられる。
2層の構造のパターンを形成する際に、従来の方法では、基板と同等の屈折率を有する膜を作製し、マスクパターンを作製し、その後、CHF3等の環境毒性の高いガスを用いて、プラズマエッチングを行うという方法が一般的である。このプロセスにおいて膜作製の部分をゾルゲル法により行う場合、図12に示すように、透明基板1と、n型半導体層2と、発光層3と、p型半導体層4と、透明電極5を備えた基板6の上面上に第1層となる膜16を初期に作製する。その後、図13に示すように、露光、焼成することで、高屈折率化する。その後、図14に示すようにレジストマスク12を形成し、図15に示すように、反応性ガス19を用いて、プラズマエッチングを施す。さらに、図16に示すようにマスク除去という工程が必要である。このような工程では目的の2層構造の微細構造物を作製するのに環境毒性の高いガスを用いざるを得ない。さらに、電極作製部は、残膜が存在すると電気抵抗が発生するため、透明電極が露出するような加工が必要であるが、一方、光取出し部では、前述の通り、透明電極までエッチングすると、構造の不安定性が生じる。したがって、電極作製部と、光取出し部でエッチング量に差をつけることが必要である。このようなエッチング深さを変化させる加工を行うことが必要であり、加工性に困難さが生じる。容易に想像できる方法としては、図17から図24に示すように、高屈折率なゾルゲル膜16を作製し、光18を放射し、金属酸化物7を形成する。その後、レジストマスク12を作製し、図20に示すように、RIEで、反応性ガス19を用いて、金属酸化物7をエッチングし、透明電極部5を露出することで、電気伝導をとれるようにする。その後ナノインプリント等によりピッチ300nm程度のレジストパターン12を作製するという工程になる。この場合、全面均一なピッチの金型を用いた場合、電極作製部にもピッチ300nmのパターンが作製されてしまうため、図23に示すように、レジスト12をマスクとして反応性ガス19で金属酸化物7をエッチングすると、図24に示すように、電極作製部となる透明電極5までエッチングしてしまう。場合によってはn型半導体層4までエッチングすることもありえる。その結果、電流拡散の妨げとなるため、発光効率の低下の要因になりかねない。
本発明は、従来技術における上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、光取出し効率の向上を可能にする微細構造物の製造方法であって、環境負荷の少ない状態で製造することができる微細構造物の製造方法を提供することである。第2の目的は、光取出し効率の向上を可能にすると共に、多様な環境においても構造を維持することができる微細構造物を提供することである。
本発明に係る微細構造物の製造方法は、所定のエネルギを有する光が照射されることにより発光する発光部を有する透光性の基板の表面上に第1遮光マスクパターンを形成する工程と、第1遮光マスクパターンを覆うように基板の表面上に、光重合性を有する第1光重合材料膜を形成する工程と、第1遮光マスクパターンをマスクとして、第1光重合材料膜をパターニングし、透光性を有する第1透光膜パターンを形成する工程と、第1透光膜パターン上に第2遮光マスクパターンを形成する工程と、第2遮光マスクパターンを覆うように、基板の表面上に第2光重合材料膜を形成する工程と、第2光重合材料膜をパターニングして、第1透光膜パターンの上面上に透光性を有する第2透光膜パターンを形成する工程とを備える。上記第1透光膜パターンを形成する工程は、第1遮光マスクパターンより下方から光を基板に入射し、第1光重合材料膜を露光する工程を含み、上記第2透光膜パターンを形成する工程は、第2遮光マスクパターンより下方から光を基板に入射し、第2光重合材料膜を露光する工程を含む。
好ましくは、上記第2遮光マスクパターンは、第1遮光マスクパターンを基板の表面上に残留させた状態で形成され、第2光重合材料膜を露光する工程は、第1遮光マスクパターンおよび第2遮光マスクパターンをマスクとして、第2光重合材料膜を露光する。
好ましくは、上記第1遮光マスクマターンおよび第2遮光マスクパターンは、酸性溶液に溶解可能とされる。
好ましくは、上記第1遮光マスクパターンおよび第2遮光マスクパターンは、金属を主成分とする材料によって形成される。
好ましくは、上記第1透光膜パターンを形成する工程は、有機溶剤で現像処理する工程を含み、第2透光膜パターンを形成する工程は、酸性溶液で現像処理を行う工程を含む。
好ましくは、上記第1光重合材料膜を露光する工程は、基板の外部から所定のエネルギを有する光を発光部に照射して、発光部を発光させる工程と、発光する発光部から放射される光で第1光重合材料膜を露光する工程とを含む。上記第2光重合材料膜を露光する工程は、基板の外部から発光部に向けて、所定のエネルギを有する光を発光部に照射し、発光部を発光させる工程と、発光する発光部から放射される光で第2光重合材料膜を露光する工程とを含む。
本発明に係る発光ダイオードは、上記微細構造物の製造方法によって製造された微細構造物を備える。
本発明に係る微細構造物は、所定のエネルギを有する光が照射されることにより発光する発光部を有する透光性の基板の表面上に形成され、透光性を有する微細構造である。この微細構造物は、基板の表面上に形成され、透光性を有する第1透光膜パターンと、第1透光膜パターン上に形成された第2透光膜パターンとを備える。上記第1透光膜パターンと基板との接触面積は、第1透光膜パターンと第2透光膜パターンとの接触面積よりも広い。好ましくは、上記第2透光膜パターンのピッチ間距離は、第1透光膜パターンのピッチ間距離よりも狭い。好ましくは、上記第2透光膜パターンのピッチ間距離は、発光部から放射される光の波長以下とされた。本発明に係る発光ダイオードは、上記微細構造物を備える。
すなわち、本発明に係る微細構造作製方法は、ゾルゲル法による上記2層構造の作製過程において、RIEにより形状を作りこむ方法では発光効率低下の要因が生じるという問題を解決するために、光を照射すると発光する材料を含んだ基板の表面に、ゾルゲル法により、構造物を作製する方法において、当該の構造物は2層からなり、その2層は互いに接触しており、また、同じ材料であって、第1層はある一定のピッチで形成されたパターンからなり、第2層は第1層よりも微細なピッチで形成されたパターンからなり、第1層、および第2層を形成する方法において、基板表面に遮光する機能を有するパターンを作製する工程と、光により重合する材料を塗布する工程と、露光工程と、現像工程と、前記現像工程後の基板を乾燥する工程を含む。
このように、まず、遮光する機能を持ったマスクパターンの上に、光により重合する物質を塗布し、露光し、現像、乾燥することで、1層目が作製できる。1層目の重合したパターンの上に、1層目の作製と同様に遮光する機能を持ったマスクパターンを形成し、光により重合する物質を塗布し、露光し、現像、乾燥することで、2層目の重合したパターンを作製することができる。このように1層ごとにパターン膜を形成することで、所望するパターンを他の透明電極等の部分に影響を与えず作製することが可能になる。
本発明に係る微細構造作製方法では、露光する工程は、基板が発光するために必要なエネルギーを有した光を、光により重合する材料を塗布していない部分に入射することが好ましい。光により重合する材料を塗布していない部分に入射する、つまり、基板裏側から光を入射することで、重合が基板側から進行する。ここで、従来法について考えると、図25〜27に示すように、まず、ゾルゲル法により基板上に膜を作製し、膜上にマスクパターンを作製し、膜上方から基板側に露光する方法が考えられる。この場合、図25の矢印方向から光は進行する。基板まで光18が到達するため、基板自体が発光する。その結果、図26に示すように、マスクパターンが存在しているにもかかわらず、全面が露光されるため、目的の微細構造を作製することが困難になる。しかしながら、本発明の方法では、塗布した光により重合される材料に対して、初期に基板上にマスクパターンを作製し、その上にゾルゲル法による光により重合するゾルを塗布する。このとき、基板側から露光することで、初期に作製したパターンがマスクとなって、ネガ状に重合される。重合は基板との界面から進行するため、基板と、重合した材料との密着性が高く、実用的な微細構造物を作製することができる。さらに、基板から直線的に光が出射すれば、高アスペクト比の金属酸化物からなる微細構造物を作製することができる。
本発明に係る微細構造作製方法では、遮光する機能を有するパターンは、酸性溶液に溶解することが好ましい。ゾルゲル法で用いる「光により重合する材料」からなる膜は、非露光部が、酸性溶液にてエッチング可能であるため、現像時に酸性溶液を用いることで、光により重合する材料の非露光部と、遮光膜を1度に除去することが可能になり、工程数を削減することができる。
本発明に係る微細構造作製方法では、基板表面に遮光する機能を有するパターンは、金属を主成分とする材料であることが好ましい。金属を主成分とする材料からなる膜が存在することで、基板裏面から露光した際に、当該の金属パターン上に存在する、「光により重合する材料」に対して光を遮ることが可能になり、「光により重合する材料」の重合が促進しない。金属膜の存在しない部分は、露光されるため、重合が促進する。重合の促進度合いによって現像液によるエッチング速度が違うため、パターニングができる。また、金属を主成分とする材料は、酸性溶液でエッチング可能な材料であることが好ましい。光により重合する材料の非露光部分は、酸性溶液にてエッチングすることが可能である。現像時に酸性溶液を用いることで、光により重合する材料の非露光部と、遮光膜を1度に除去することが可能になり、工程数を削減することができる。
本発明に係る微細構造作製方法では、前記第1層目の膜の現像工程で用いる現像液は、エトキシエタノール等の有機溶剤を用い、第2層目の膜の現像工程での現像液は、酸性水溶液を用いることが好ましい。つまり、1層目の現像工程では遮光パターンを残存させ、「光により重合する材料」の非露光部分のみをエッチングするために、有機溶剤を用いて、2層目の現像工程において、1層目、2層目の遮光パターンおよび2層目の「光により重合する材料」の非露光部分を1度に除去することが好ましい。1層目の遮光パターン部は、電極作製や、ダイシングに用いる部分である。この1層目の遮光パターンを初期に除去してしまうと、2層目の「光により重合する膜」が、1層目の遮光パターンが存在していた部分にも硬化残留する。したがって、電極作製部に2層目の「光により重合する膜」別途除去工程が必要になる。ところが、1層目の現像工程で遮光パターンを残存させることで、最終の現像工程で、「光により重合する材料」および、1、2層目の遮光パターンを1度に除去することが可能になる。その結果、電極作製部、ダイシングする1層目の遮光パターンの部分に、光により重合する材料は残存しなくなるため、別途必要な除去工程の数を大幅に削減できる。
本発明に係る微細構造作製方法では、第2層目のパターンのピッチが基板の発光波長以下であることが好ましい。基板の発光波長をλ、屈折率をn、入射角をθとしたときに、微細パターンのピッチが、λ/(n sinθ)以下となることで全反射する条件においても、光を回折させることができ、基板表面から光を取り出すことが可能になる。全反射となる臨界角では、このピッチはλに相当する。全反射角よりも大きな入射角において光を取り出すためには、基板の発光波長以下であることが必要である。また、本発明に係る発光ダイオードは、前記微細構造形成方法を用いて作製した構造物を有していることを特徴とする。
これにより、発光ダイオードの光取出し効率を高くすることができ、また、同じ光量でも低消費電力にすることができ、さらには発熱も抑えることができる。
本発明に係る微細構造物の製造方法、微細構造物およびこの微細構造物を備えた発光ダイオードによれば、発光材料からの光取出し効率の向上を図ることができると共に、様々な環境においても構造の維持を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る発光ダイオードの断面図である。 微細構造物7を製造する工程のうち、第1の遮光マスクパターン15を形成する工程を示す断面図である。 図2に示された工程後の製造工程を示す断面図であり、光により重合する材料16を塗布する工程を示す断面図である。 図3に示す工程後の露光工程を示す断面図である。 図4に示す工程後の現像工程を説明する断面図である。 図5に示す工程後の乾燥工程を示す断面図である。 図6に示す乾燥工程後の第2の遮光マスクパターン25を形成する工程を示す断面図である。 図7に示された工程後の製造工程を示す断面図であり、光により重合する材料26を塗布する工程を示す断面図である。 図8に示す工程後の露光工程を示す断面図である。 図9に示す工程後の現像工程を示す断面図である。 図10に示す露光工程後の乾燥工程を示す断面図であり、微細構造物9を作製する最終工程示す断面図である。 第1比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、光重合ゾル16を光照射18により硬化させる工程を示す断面図である。 第1比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、光重合膜材料膜の露光処理後に金属酸化物が生成した様子を示す断面図である。 第1比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、反応性ガスに対するレジストマスク12を装荷する工程を示す断面図である。 第1比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、反応性ガス19により光重合膜材料膜の露光処理後の金属酸化物7をエッチングする工程を示す断面図である。 第1比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、レジストマスクを除去する工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、光重合ゾル16を光照射18により硬化させる工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、光重合膜材料膜の露光処理後に金属酸化物が生成した様子を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、反応性ガスに対するレジストマスク12を装荷する工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、反応性ガス19により光重合膜材料膜の露光処理後の金属酸化物7をエッチングする工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、レジストマスクを除去する工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、ピッチ300nm程度のレジストマスク12を装荷する工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、反応性ガス19により光重合膜材料膜の露光処理後の金属酸化物7をエッチングする工程を示す断面図である。 第2比較例としての微細構造物の製造方法を示す断面図であり、レジストマスクを除去する工程を示す断面図である。 第3比較例に係る微細構造物の製造工程の光重合ゾル上に遮光マスクパターン15を装荷する工程を示す断面図である。 比較例に係る微細構造物の製造工程の露光工程を示す断面図である。 図26に示す微細構造物の露光工程において、露光により基板6が発光することで、目的外の部分も光重合ゾルが硬化して金属酸化物になっている状態を示す図である。
本発明の一実施形態について図1、および図11に基づいて説明すると以下の通りである。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る発光ダイオードは、発光する基板6と、この基板6の上面上に形成された透光性を有する微細構造物9とを備えている。発光する基板6は、透明基板1と、透明基板1の主表面上に形成されたn型半導体層2と、n型半導体層2の主表面上に形成された発光層(発光部)3と、発光層3の主表面上に形成されたp型半導体層4と、p型半導体層4の主表面上に形成された透明電極5とを備えている。
透明基板1は、特に制限されないが、耐熱性に優れており、かつ、透明基板上にn型半導体層2が形成されることが好ましい。この場合、サファイア、窒化ガリウム(以下GaN)などがあげられる。この際、熱に対して変化が少なく、かつ透明度が高いことが好ましい。
n型半導体層2は代表例として青色ダイオードの場合、n型GaNなどが挙げられる。
発光層3としては代表例として、青色ダイオードの場合、InGaN(インジウム窒化ガリウム)が挙げられる。
p型半導体層4は代表例として青色ダイオードの場合、p型GaNなどが挙げられる。
透明電極5としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、GaNが挙げられる。
そして、n型半導体層2に電源の負極を接続し、透明電極5(p型半導体層4)に電源の正極を接続すると、n型半導体層2から電子が発光層3内に入り込み、p型半導体層4から正孔が発光層3内に入り込む。そして、発光層3内で正孔と電子とが結合することで、禁制帯幅(バンドギャップ)に相当するエネルギーが光として放出される。なお、この発光層3、n型半導体層2およびp型半導体層4に、所定以上のエネルギを有する光をあてると、発光層3およびn型半導体層2内の電子が励起され、この励起された電子が、基底状態に戻る際に発光層3において発光現象が起こる。
透明基板1と、n型半導体層2と、発光層3と、p型半導体層4と、透明電極5とによって形成された基板6は、平坦面状に形成された主表面Aと、この主表面Aと反対側に位置する主表面Bとを備えている。そして、基板6の主表面(表面)A上に、微細構造物(微細構造物)9が形成されている。特に、透明電極5の表面に形成されていることが好ましい。この微細構造物9は2層構造になっており、透明電極5の表面上に形成された透光膜パターン(第1透光膜パターン)7と、各透光膜パターン7の上面上に形成された透光膜パターン(第2透光膜パターン)8とを備えている。透光膜パターン7と、透光膜パターン8とは、いずれも透光性を有する。
透光膜パターン7と主表面Aとの接触面積は、透光膜パターン8と透光膜パターン7との接触面積よりも広い。透光膜パターン7を構成する材料の格子定数と、透明電極5を構成する材料の格子定数とが異なる一方で、透光膜パターン7と主表面Aとの接触面積を広くすることで、透光膜パターン7と透明電極5との接着性を確保することができる。これにより、環境変化に対しても、微細構造物9が透明電極5の表面から脱落することを抑制することができる。
1層目の透光膜パターン7のピッチよりも2層目の透光膜パターン8のピッチが細かいことが好ましい。これにより、透光膜パターン7の上面上に、複数の凹凸部が形成される。この凹凸部により、光の入射角が全反射角以上であったとしても、散乱により透過側へ抜ける光が生じ、全体として、光取出し効率の向上を図ることができる。
特に、第2層目の透光膜パターン8のピッチ間距離が基板の発光波長以下であることが好ましい。基板の発光波長をλ、屈折率をn、入射角をθとしたときに、微細パターンのピッチが、λ/(n sinθ)以下となることで全反射する条件においても、光を回折させることができ、基板表面から光を取り出すことが可能になる。全反射となる臨界角では、このピッチはλに相当する。全反射角よりも大きな入射角において光を取り出すためには、基板の発光波長以下であることが必要である。
また、この2層のパターンは互いに接触していることが好ましく、同じ材料からなることが好ましい。透光膜パターン8と透光膜パターン7とを同一の材料で構成することで、透光膜パターン7から透光膜パターン8に光が入り込む際に、光が反射されることを抑制することができる。さらに、透光膜パターン8上に透光膜パターン7を直接形成することで、透光膜パターン8と透光膜パターン7との密着性を確保することができる。
この2層構造からなる微細構造の作製方法について、図2から図11を用いて説明する。図2は、微細構造物9を製造する工程のうち、遮光マスクパターン15を形成する工程を示す断面図である。発光する基板6の主表面A上に、第1層の金属酸化物からなる透光膜パターン7、および第2層の金属酸化物からなる透光膜パターン8を形成する際には、まず、図2に示すように、基板6の主表面Aに遮光する機能を有する第1遮光マスクパターン15を作製する。遮光マスクパターン15は、たとえば、インプリント法またはフォトリソグラフィ法、およびインクジェット法などで形成される。なお、遮光マスクパターン15としては、遮光性を有さないレジストにカーボンブラックなどを含有させて遮光性を有するようにしたものを用いてもよいし、遮光性を有する金属薄膜と遮光性を有さないレジストとから構成されて遮光性を有するようにしたものを用いてもよい。遮光性を有する金属薄膜を用いる場合には、アルミなどの金属を基板6の表面に蒸着させて薄膜を形成し、その薄膜の上面にレジストパターンをインプリント法またはフォトリソグラフィ法などでパターニングすることにより遮光マスクパターン15を形成する。なお、遮光マスクパターン15のパターン形状は、基板6の主表面A上に形成される金属酸化物からなる透光膜パターン7のパターンに対応している。
遮光マスクパターン15の膜厚は、50nm以上500nm以下であることが好ましい。遮光マスクパターン15は、金属もしくは炭素材料により構成されており、採用される金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、クロム、銅、パラジウム、銀、オスミウム、セレン、テルル、ポロニウム、テクネチウム、ニッケル、鉛、レニウム、コバルト、タリウム、カドミウム、鉄、錫、モリブデン、ゲルマニウム、インジウム、ガリウム、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、マグネシウムを含む材料などが挙げられる。
図3は、図2に示された工程後の製造工程を示す断面図であり、光により重合する材料を塗布する工程を示す断面図である。この図3に示すように、遮光マスクパターン15が形成された基板6の主表面Aに、遮光マスクパターン15を覆うように光重合性を有する光重合材料を塗布して、光重合材料膜(第1光重合材料膜)16を形成する。光重合材料として、ゾルゲル法による、光重合ゾルを使用した。光重合ゾルを塗布する方法として、ディップコート法、スピンコート法、バーコーターコート法または電気泳動法を採用することができる。
図4は、図3に示す工程後の露光工程を示す断面図である。この図4に示すように、発光層3が発光する程度の所定のエネルギを有する光18が、遮光マスクパターン15よりも下方から基板6に入射される。すなわち、露光する対象としての遮光マスクパターン15の下面側に遮光マスクパターン15を形成し、遮光マスクパターン15側から光をあてて、光重合材料膜16を露光している。
ここで、図25に示すように、基板6の主表面A上に光重合材料膜16を形成し、その光重合材料膜16上に遮光マスクパターン15を形成した後、図26に示すように、光重合材料膜16を上方から露光する場合について検討する。この場合、図27に示すように、露光する光が発光層3に達し、発光層3が発光する。この発光した光によって、光重合材料膜16が基板6側から露光される。この結果、光重合材料膜16が全て露光されてしまう。
その一方で、本発明に係る微細構造物9の製造方法においては、上記のように基板6の主表面A上に遮光マスクパターン15を形成し、その上に光重合材料膜16を形成した後に、基板6側から光を放射している。これにより、発光層3が発光したとしても、光重合材料膜16の全面が露光されることを防止することができると共に、光重合材料膜16に良好に露光処理を行うことができる。
図4中の矢印で示すように、光18は、発光層3より下方からであれば、入射する位置は限られない。なお、本実施の形態においては、光を入射する方向は、基板表面に塗布した光により重合する材料に対して、直接入射光があたらないようにしており、発光層3からの光を利用して露光処理を施している。このため、基板6の外部から基板6に照射される所定エネルギを有する光が、直接遮光マスクパターン15に照射されなければ、外部から基板6に照射する光は、いずれの方向から入射しても問題ない。迷光を防ぐために、好ましくは、透明基板1の下面から各層に対して垂直方向、つまり透明基板1の直下から上方に向けて入射することが好ましい。露光用の光の波長は特に限定されないが、発光する基板がGaNの場合、400nmよりも短い波長であることが好ましい。
基板6に入射した光18は、発光層3を発光させる。この発光層3から発光された光および基板6に入射した光18は、基板6の主表面Aに向けて進行する。基板6の表面には、遮光マスクパターン15が形成されている。遮光マスクパターン15は、所定の波長の光を遮光する。この所定の波長とは、発光する材料を含む基板6に入射される光の波長、および、発光する材料の電子準位に相当する光の波長を少なくとも含む。発光層3、n型半導体層2およびp型半導体層4に光18が入射することにより励起された電子が、基底状態に戻ることで、発光層3に発光現象が起こる。この発光層3から発光された光も、遮光マスクパターン15により遮光される。
基板6の主表面Aに到達した光は、遮光マスクパターン15が形成されていない部分のみ光重合材料膜(光重合ゾル)16内に入射する。光が入射した光重合材料膜16は、基板6と接している光入射側から重合が始まる。一方、遮光マスクパターン15が形成されている部分の光重合材料膜16は、光が入射しないため重合しない(ネガ型パターニング)。このように、基板6側から光重合材料膜16を露光することにより、遮光マスクパターン15がマスクとなってネガ状に光重合材料膜16の重合が進行する。
重合が基板6と接する側から始まるため、基板6と光重合材料膜16が重合して形成される金属酸化物との密着性が高い。そのため、安定した透光膜パターン(金属酸化物7)を形成することができる。さらに、基板6から光重合材料膜16に対して直線的に光が入射した場合、高アスペクト比の金属酸化物からなる透光膜パターン7を作製することができる。
透光膜パターン7の厚さは、300nm以下であることが好ましい。実験の結果から、ゾルゲル法により膜を形成する際、膜厚が増加するに従って、ひび割れが多く生じる傾向が見られるためである。
本実施の形態に係る基板6には、窒化ガリウムが含まれている。窒化ガリウムは、その発光波長が約367nmである。基板に、インジウムを含ませることにより、様々な波長の光を発生させることができるようになる。
本実施の形態の光重合ゾルは、金属アルコキシドおよびケトン基を有する有機物質を含む。金属アルコキシドとしては、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラブトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、ペンタエトキシタンタル、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタブトキシド、タンタルメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ニオブペンタエトキシドを使用できる。ケトン基としては、ポリビニルピロリドン、MeAcAc(2-methacryloyloxy ethylacetoacetate)、DBM(Dibenzoylmethane)などを使用できる。塗布方法は、スピンコート法、ディップコート法、バーコーターコート法などがあげられる。
金属アルコキシドとケトン基を有する有機材料とが結合すると、キレート環が形成される。このキレート環は、光を吸収する特性を持っており、光を吸収した際に、π軌道からπ*軌道に遷移し、開環して金属アルコキシド同士が重合するため、金属酸化物を生成することが可能になる。この金属酸化物の屈折率は、基板6内の発光する部分の屈折率に近い値になりうる。そのため、基板6から出射される光は、金属酸化物まで入射しやすくなる。
金属アルコキシドは、光が入射した部分のみ重合される性質を有している。そのため、基板6が発光して露光する際に、基板6と光重合材料膜16(光重合ゾル)との界面に遮光マスクパターン15が存在すれば、その遮光マスクパターン15がマスクとなって光をパターン状に通過させるため、微細な構造を有する透光膜パターン(金属酸化物7)を形成することができる。
図5は、本実施の形態に係る微細構造物の形成方法において、現像工程を説明する断面図である。図4に示すように露光工程において、露光されて形成された金属酸化物17と、露光されていない光重合材料膜16(光重合ゾル)とがパターン状に形成される。この金属酸化物と光重合材料膜16とは、現像液20に対する特性が異なる。現像液20として、エトキシエタノール等の有機溶剤が採用される。
図5に示すように現像後には、現像液に対して耐性を有する金属酸化物7は、基板6の上面に残存し、露光されていない光重合材料膜16は、基板6の上面から除去される。このような現像特性の違いを利用して、任意の形状の透光膜パターン7を形成することが可能になる。このとき、第1層目の遮光パターンが有機溶媒には溶解しないことが好ましい。つまり、図5に示すように、1層目の現像工程では遮光マスクパターン15を残存させる。
図6は、現像工程後の乾燥工程を示す断面図である。この乾燥工程においては、100℃から700℃で行うことが好ましい。この乾燥工程中に紫外線で露光しながら乾燥を行ってもよい。これら乾燥工程を行うことにより、前記光により重合した金属酸化物の屈折率が向上し、光取り出し効率向上に貢献することができる。
このように、光重合材料膜16をパターニングすることで、透光膜パターン(金属酸化物7)を形成しており、本実施の形態においては、透光膜パターン7をパターニングする工程は、光重合材料膜16を塗布する工程と、遮光マスクパターン15をマスクして露光する工程と、現像液20で現像する工程とを含む。なお、採用する光重合材料膜16の材質によっては、乾燥工程を省略できる場合もある。
なお、この図6に示す乾燥工程後においては、主表面Aには、透光膜パターン7と、透光膜パターン7間に位置する主表面A上に位置する遮光マスクパターン15とが形成されている。
図7は、図6に示す乾燥工程後の工程を示す断面図である。この図7に示すように、
主表面A上に形成された透光膜パターン7および第1遮光マスクパターン15上に、遮光マスクパターン25を形成する。
第2遮光マスクパターン25も、第1遮光マスクパターン15と同様の金属材料もしくは炭素材料によって形成されている。遮光マスクパターン25のパターンは、図1に示す透光膜パターン(金属酸化物8)に対応している。
図8は、図7に示す工程後の製造工程を示す断面図である。この図8に示すように、遮光マスクパターン25、遮光マスクパターン15、透光膜パターン7を覆うように、光重合材料膜26を塗布する。
図9は、図8に示す工程後の製造工程を示す断面図である。この図9に示すように、主表面B側から光18を照射する。すなわち、遮光マスクパターン15および遮光マスクパターン25の下方から光を照射する。これにより遮光マスクパターン15および遮光マスクパターン25をマスクとして、遮光マスクパターン15および遮光マスクパターン25上に形成された光重合材料膜16を露光する。本実施の形態に係る製造方法においては、基板6内に入射した光18は、発光層3を発光させる。この発光層3から発光された光および基板6に入射した光18は、基板6の主表面Aに向けて進行する。基板6の表面には、遮光マスクパターン15,25が形成されている。遮光マスクパターン15,25は、所定の波長の光を遮光する。
基板6の主表面Aに到達した光は、遮光マスクパターン15,25が形成されていない部分のみ光重合材料膜(光重合ゾル)16内に入射する。光が入射した光重合材料膜16は、光入射側から重合が始まる。一方、遮光マスクパターン15,25が形成されている部分の光重合材料膜16は、光が入射しないため重合しない。基板6から光重合材料膜26に対して直線的に光が入射した場合、高アスペクト比の金属酸化物(透光膜パターン8)を作製することができる。
ここで、光取出し効率を向上させるためには、数100nm程度のピッチで金属酸化物からなる透光膜パターン8を形成する必要がある。透光膜パターン8のピッチ間距離は、基板6側から発光する光の波長以下であることが好ましい。窒化ガリウムが基板6に含まれている場合、目的の微細構造物のピッチに可能な限り近いか、もしくはそのピッチより短い波長を発光させることができる。このように、金属アルコキシドからなるパターンを作製することで、基板と同等の屈折率を有するパターンを作製できるため、光取り出し効率が向上する。
また、光重合性材料は、400nm程度の波長の光で重合が開始するといわれている。基板6に窒化ガリウムが含まれている場合、基板6から発光される光の波長は、400nm程度である。したがって、窒化ガリウムを含む基板6から発光される光は、光重合性材料に吸収されやすいため、目的の透光膜パターン8を形成するのに適している。
図10は、現像工程を示す断面図である。この図10に示すように、現像後には、第2現像液21に対して耐性を有する金属酸化物(透光膜パターン8)は、基板6の上面に残存する。この2回目の現像工程においては、第2現像液21として塩酸、硝酸、硫酸のいずれかを含む水溶液を用いることが望ましい。これにより、露光されていない光重合材料膜16のみならず、残存する第1遮光マスクパターン15および第1遮光マスクパターン25を一括して除去することができる。
第1遮光マスクパターン15が残留した状態で、第1遮光マスクパターン25および透光膜パターン8を形成し、その後、遮光マスクパターン15,25および露光していない光重合材料膜16を除去することで、遮光マスクパターン15によって覆われていた透明電極5の表面が露出する。この遮光マスクパターン15によって覆われていた部分は、電極作製や、ダイシングに用いる部分である。
このため、仮に、1層目の遮光マスクパターン15を初期に除去してしまうと、2層目の光重合材料膜16が、第1遮光マスクパターン15が存在していた部分にも硬化残留し、電極作製段階で、この硬化残留部を除去する必要が生じる。
その一方で、本実施の形態に係る製造方法のように、第1遮光マスクパターン15を残留させ、その後、第2遮光マスクパターン25および露光していない光重合材料膜16と共に、残留させた第1遮光マスクパターン15を除去することで、製造工程の簡略化を図ることができる。
さらに、第1遮光マスクパターン15を残留させた状態で2層目の透光膜パターン8を成形することで、透明電極5を保護することができる。
図11は、図10に示す露光工程後の乾燥工程を示す断面図であり、この図11に示すように、100℃から700℃で行うことが好ましい。この乾燥工程中に紫外線で露光しながら乾燥を行ってもよい。これら乾燥工程を行うことにより、前記光により重合した金属酸化物の屈折率が向上し、光取り出し効率向上に貢献することができる。
このようにして、微細構造物9が形成される。
ここで、窒化ガリウムの屈折率は2.5であるため、基板6の内部で発光した光のうち大半が、基板6と外部との界面で全反射される。しかし、基板6の表面に微細構造物9を形成することにより、発光素子からの光取り出し効率を改善することができる。さらに、微細構造物9は、基板6の層の中で最も高い屈折率以下の屈折率を有するように形成されるのが好ましい。
このときに形成される金属酸化物の微細構造物9が、フォトニック結晶と呼ばれる構造であれば、発光素子の光の取り出し効率は大きく向上する。
また、本発明に係る発光ダイオードは、微細構造物9を有しており、発光ダイオードの光取出し効率を高くすることができ、また、同じ光量でも低消費電力にすることができ、さらには発熱も抑えることができる。
(第1層目の遮光パターンを作製する工程)
パターン形成は、まず、青色LED基板(シャープ株式会社製)の、透明電極(インジウム錫酸化物)上に、インクジェット法により銀ナノインクを電極作製部、および、ダイシング部等に塗布する。
(第1層目の光により重合を開始する材料を塗布する工程)
光により重合を開始する材料の作製方法は、非特許文献4に従った。まず、金属アルコキシドであるチタニウムブトキシド(キシダ化学)、塩酸(0.38mol/L)、1−プロパノール(キシダ化学)、およびケトン基を有する2−(methacryloyloxy)ethylacetoacetate(MeAcAc)(キシダ化学)からなるゾルを作製した。
このようにして作製した光により重合を開始する材料を、図3に示すように、前記パターンを有する青色LED基板上に塗布して、スピンコート(トキワ真空機材製)を行った。
(第1層目の露光工程)
塗布した光により重合する材料には直接光を入射せず、図4に示すように基板裏面に、250W超高圧水銀ランプ(HOYA EX250)の紫外光を照射した。光の入射した部分のみ重合され、後述の現像工程において、現像液に対して不活性になる。
(第1層目の現像工程)
前記光により重合をする材料で、光が照射されていない部分に対しては、図5に示すようにエトキシエタノールにてエッチングする。エッチング実験は光の入射工程の後、露光していない部分のエッチングを行った。このとき、遮光膜はエッチングしない。
(第1層目の乾燥工程)
現像工程を経た後、電気炉内で400℃1時間の乾燥を行った。
(第1層目のパターン膜評価方法)
膜厚に関しては、触針式表面粗さ計(DEKTAK)を用いて評価した。また、屈折率は大塚電子製FE3000により評価した。
乾燥前においては屈折率が1.79(平均)であったものが、400℃の乾燥工程により、2.20(平均)まで向上し、乾燥後の膜厚は57nmから194nmまで作製できることがわかった。
(第2層目の遮光パターンを作製する工程)
第1層目のパターンが形成された後、遮光パターンが残存している状態で、アルミニウム膜を100nmの厚みになるよう蒸着する。その後、PAK01(東洋合成工業製)を塗布、スピンコートする。塗布した面に対して、ピッチが400nm以下の石英モールドを押し付けて転写を行い、紫外光を照射することで、樹脂が硬化する。樹脂膜厚の薄い部分、つまり、残膜量の少ない部分をArプラズマで除去し、樹脂パターンを作製する。その後、樹脂膜の存在しないAl膜がむき出しになっている部分をArプラズマで除去し、TiO2が露出するようにして、遮光パターンが完成する。
(第2層目の光により重合を開始する材料を塗布する工程)
第1層目の作製工程に等しく、遮光パターンの上に目的の屈折率になるように調整した光により重合を開始する材料であるチタンブトキシド、プロパノール、MeAcAcを主成分とするゾルを塗布、スピンコートする。
(第2層目の露光工程)
第1層目の作製工程に等しく、塗布した光により重合する材料であるゾルゲル膜には直接光を入射せず、図9に示すように基板裏面より、紫外光を入射する。
(第2層目の現像工程)
前記光により重合をする材料で、光が照射されていない部分に対しては、図10に示すように塩酸水溶液にてエッチングする。塩酸水溶液に浸漬することで、ゾルゲル膜での光が照射されていない部分および、1層目、2層目の金属遮光パターンもエッチングする。
(第2層目の乾燥工程)
現像工程を経た後、電気炉内で400℃1時間の乾燥を行う。これにより、図1に示す微細構造物9を得ることができる。
本発明は上述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
微細構造物の製造方法、この微細構造物の製造方法によって製造された微細構造物を備えた発光ダイオード、微細構造物およびこの微細構造物を備えた発光ダイオードに好適である。
1 透明基板、2 n型半導体層、3 発光層、4 p型半導体層、5 透明電極、6 基板、7 第1の光重合膜材料膜の露光処理後に生成した金属酸化物、8 第2の光重合膜材料膜の露光処理後に生成した金属酸化物、9 目的の2段構造を有する微細構造物、12 レジスト材料、15 第1の遮光マスクパターン、16 露光前の光重合材料膜(ゾル)、18 照射する光、19 反応性ガス、20 第1の現像液、21 第2の現像液、25 第2の遮光マスクパターン。

Claims (11)

  1. 所定のエネルギを有する光が照射されることにより発光する発光部を有する透光性の基板の表面上に第1遮光マスクパターンを形成する工程と、
    前記第1遮光マスクパターンを覆うように前記基板の表面上に、光重合性を有する第1光重合材料膜を形成する工程と、
    前記第1遮光マスクパターンをマスクとして、前記第1光重合材料膜をパターニングし、透光性を有する第1透光膜パターンを形成する工程と、
    前記第1透光膜パターン上に第2遮光マスクパターンを形成する工程と、
    前記第2遮光マスクパターンを覆うように、前記基板の表面上に第2光重合材料膜を形成する工程と、
    前記第2光重合材料膜をパターニングして、前記第1透光膜パターンの上面上に透光性を有する第2透光膜パターンを形成する工程と、
    を備え、
    前記第1透光膜パターンを形成する工程は、前記第1遮光マスクパターンより下方から前記第1遮光マスクパターンに光をあて、前記第1光重合材料膜を露光する工程を含み、
    前記第2透光膜パターンを形成する工程は、前記第2遮光マスクパターンより下方から前記第2遮光マスクパターンに光をあて、前記第2光重合材料膜を露光する工程を含む、微細構造物の製造方法。
  2. 前記第2遮光マスクパターンは、前記第1遮光マスクパターンを前記基板の表面上に残留させた状態で形成され、
    前記第2光重合材料膜を露光する工程は、前記第1遮光マスクパターンおよび前記第2遮光マスクパターンをマスクとして、前記第2光重合材料膜を露光する、請求項1に記載の微細構造物の製造方法。
  3. 前記第1遮光マスクマターンおよび前記第2遮光マスクパターンは、酸性溶液に溶解可能とされた、請求項1または請求項2に記載の微細構造物の製造方法。
  4. 前記第1遮光マスクパターンおよび前記第2遮光マスクパターンは、金属を主成分とする材料によって形成された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の微細構造物の製造方法。
  5. 前記第1透光膜パターンを形成する工程は、有機溶剤で現像処理する工程を含み、
    前記第2透光膜パターンを形成する工程は、酸性溶液で現像処理を行う工程を含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の微細構造物の製造方法。
  6. 前記第1光重合材料膜を露光する工程は、前記基板の外部から所定のエネルギを有する光を前記発光部に照射して、前記発光部を発光させる工程と、発光する前記発光部から放射される光で前記第1光重合材料膜を露光する工程とを含み、
    前記第2光重合材料膜を露光する工程は、前記基板の外部から所定のエネルギを有する光を前記発光部に照射し、前記発光部を発光させる工程と、発光する前記発光部から放射される光で前記第2光重合材料膜を露光する工程とを含む、請求項1から請求項5のいずれかに記載の微細構造物の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載された微細構造物の製造方法によって製造された微細構造物を備える発光ダイオード。
  8. 所定のエネルギを有する光が照射されることにより発光する発光部を有する透光性の基板の表面上に形成され、透光性を有する微細構造物であって、
    前記基板の表面上に形成された透光性を有する第1透光膜パターンと、
    前記第1透光膜パターン上に形成された透光性を有する第2透光膜パターンとを備え、
    前記第1透光膜パターンと前記基板との接触面積は、前記第1透光膜パターンと前記第2透光膜パターンとの接触面積よりも広い、微細構造物。
  9. 前記第2透光膜パターンのピッチ間距離は、前記第1透光膜パターンのピッチ間距離よりも狭い、請求項8に記載の微細構造物。
  10. 前記第2透光膜パターンのピッチ間距離は、前記発光部から放射される光の波長以下とされた、請求項8または請求項9に記載の微細構造物。
  11. 請求項8から請求項10のいずれかに記載の微細構造物を備えた、発光ダイオード。
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