JP2011017858A - 画像形成装置用積層ベルト及びその製造方法並びに画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材層と、該基材層上に形成された、活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂よりなるコート層とを備え、印加電圧10V,100V,500V、10秒にて測定した表面電気抵抗率をそれぞれSR(10V),SR(100V),SR(500V)としたとき、以下の条件(1)〜(3)を満たす画像形成装置用積層エンドレスベルト。
(1) 基材層のSR(100V)が、1×106〜1×1012Ω
(2) 基材層のSR(10V)/SR(500V)が、100以下
(3) 基材層のSR(100V)/コート層のSR(100V)が、0.1〜1000
【選択図】図1
Description
近年の高画質に対するトナーの取り組みとして、粒子径が小さく、平均粒径として4〜6μmの小粒径で粒径ばらつきの少ない球形トナーとして重合トナーが商品化されており、また、外添材として酸化ケイ素や酸化チタン等の硬質の球形又は針状の微粒子が大量に添着してあるものが用いられるようになってきている。
また、特開2005−338246号公報には、最外層に無機物質を含むアクリル系樹脂を用いた導電性樹脂層を形成し、最内層に、加熱、光又は電子線照射した半導電性樹脂層からなる層を形成したシームレス状半導電性ベルトが開示されている。
また、特開2007−316622号公報には、表面層として硬化(メタ)アクリル樹脂層を設けた中間転写体が記載されている。
しかしながら、これらはいずれも最外層(表面層)と最内層(基層)の表面抵抗率の比率を適正な値にすることについての検討がなされておらず、低電圧印加時と高電圧印加時の電気抵抗において差が生じ、環境変動があった場合に画像の乱れが発生するといった問題があった。
その理由は以下の通りである。
電気抵抗値の印加電圧依存性が大きいと、低電圧では抵抗値が高いために、紙との剥離放電が発生しやすく、トナーが紙へ転写されるときにトナーが飛散し、画像しみが発生したり、ベタ画像の中央部が抜ける中抜け等のトナー転写に関わる問題が発生する。
(1) 基材層のSR(100V)が、1×106Ω以上、1×1012Ω以下
(2) 基材層のSR(10V)/SR(500V)が、100以下
(3) 基材層のSR(100V)/コート層のSR(100V)が、0.1以上、1000以下
(a) 押出成形時の溶融チューブの引き取り速度が1.0m/min以上
(b) 基材層の厚み/押出ダイス金型のリップクリアランスの比が0.12以下
(c) 基材層の平均厚みが120μm以下
なお、本発明においては、
印加電圧10V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(10V)、
印加電圧100V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(100V)、
印加電圧500V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(500V)
と表記するが、更に、
印加電圧250V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(250V)、
印加電圧1000V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(1000V)
と表記する。
また、本発明において、「主成分」とは複数の成分を配合してなる材料において、当該配合材料中で最も多く含まれている成分をさす。
本発明の画像形成装置用積層エンドレスベルトは、基材層の表面電気抵抗率が下記条件(1)を満たす半導電領域であり、また、基材層の表面電気抵抗率の印加電圧依存性が、下記条件(2)を満たすように小さく、かつコート層の表面電気抵抗率と基材層の表面電気抵抗率の比率が、下記条件(3)を満たすように、基材層よりコート層の方が僅かに大きい0.1倍を上限に、コート層の表面電気抵抗率が基材層の表面電気抵抗率より3桁小さいことを特徴とし、好ましくは、更に、基材層とコート層とを備える積層エンドレスベルト自体が、下記条件(4)を満たすように表面電気抵抗率の印加電圧依存性が小さいものである。
(1) 基材層のSR(100V)が、1×106Ω以上、1×1012Ω以下
(2) 基材層のSR(10V)/SR(500V)が、100以下
(3) 基材層のSR(100V)/コート層のSR(100V)が、0.1以上、1000以下
(4) 積層エンドレスベルトのSR(10V)/SR(500V)が、44以下
また、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率は、基材層にコート層を形成してなる積層エンドレスベルトの表面(コート層表面)に対して測定される。
基材層の好ましいSR(100V)の範囲は、エンドレスベルトの使用目的により異なるが、1×107Ω以上、1×1012Ω以下であり、特に好ましい範囲は1×108Ω以上、1×1011Ω以下である。
また、同様な理由から、基材層のSR(10V)/SR(1000V)も100以下、特に80以下、とりわけ50以下であることが好ましい。
本発明において、基材層のSR(100V)/コート層のSR(100V)の好ましい値は0.5〜500、特に1〜100である。
本発明の積層エンドレスベルトは、少なくとも基材層と表面層としてのコート層を有するものであればよく、基材層とコート層との間に中間層があっても良いし、両層の接着性を高めるために、基材層にプライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理等の各種表面処理(下地処理ともいう)を施したものであってもかまわない。少なくとも、各種処理を含めた基材層の電気特性が前記条件(1)〜(3)を満たすことが重要である。
<基材層の材料>
本発明の積層エンドレスベルトにおいて、基材層の構成材料は、前述の条件(1)〜(3)を満たし、また、後述の基材層及び積層エンドレスベルトの好適な物性や特性を満たす基材層を実現することができるものであればよく、特に制限がないが、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分を主成分とし、導電性成分を含むことが好ましく、更に酸化防止剤を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性結晶性樹脂であっても熱可塑性非晶性樹脂であってもよく、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(Par)、ポリカーボネート(PC)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンオキシド(PPE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリオキシベンジレン(POB)、ポリイミド(PI)、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリビスアミドトリアゾール、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ素化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
具体的にはPC(ポリカーボネート)やPAr(ポリアリレート)などのポリエステルやPMMA(ポリメチルメタクリレート)などの側鎖にエステル結合を有する樹脂が好適な例として挙げることができる。なかでもポリエステルが好ましく、PCは特に好適に用いることができる。
また、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレンを用いた場合は、基材層とコート層との密着性は若干劣るが、基材層が適度なヤング率を有しつつかつ耐クラック性に優れるため好ましい。
熱可塑性ポリマー成分としては、熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を用いても良く、熱可塑性エラストマーの1種又は2種以上を用いても良く、これらを混合して用いても良いが、本発明のエンドレスベルトの基材層の成形材料に用いる熱可塑性ポリマー成分の中で、最も好ましいのは、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのアロイ材料である。
特に、熱可塑性樹脂の結晶成分は、後述のコート層形成のためのコート材に含まれる溶媒に対して耐性を有するため、結晶性の熱可塑性樹脂を主成分とした材料が好ましい。
熱可塑性ポリマー成分として熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを用いる場合、両材料の粘度差が大きすぎると、製造条件を調整しても良好な分散が得られず、均一分散に至ることができなくなることがあるので、粘度差は小さい方が好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーを同一条件でMFR測定したときの比が1/20〜20/1程度の範囲に収まることが好ましく、1/10〜10/1の範囲となれば更に好ましい。
本発明において、基材層を構成する熱可塑性ポリマー成分は、以下のDSC測定による融点が130℃以上、260℃以下のものを用いることが好ましい。
DSC(示差走査熱量)測定:セイコー電子工業(株)製SSC−5200(商品名)を使用し、試料を昇温速度20℃/minにて400℃まで昇温させ、融解ピーク温度をDSC測定による融点とする。
基材層には、導電性フィラー或いは帯電防止剤、イオン導電性物質等の導電性を発現する物質の必要量を配合することにより、所望の導電性を得ることができる。
勿論、カーボンブラックを主成分とし、帯電防止剤等の非導電性フィラー系のものを副成分としたものであっても良いし、導電性金属フィラーとの複合であってもかまわない。
カーボンブラックのDBP吸油量が大きいほど、カーボンは数珠状に連なった連鎖(カーボンストラクチャクチャー)を形成しやすく、カーボン凝集体が発生しにくい利点と、少ない添加量で導電性を発現しやすいため低コストな利点があるが、反面、材料配合から成形加工の過程においてカーボンブラックを配合した樹脂に加えられる様々な剪断力によりカーボン連鎖が壊れて電気抵抗率がばらつきやすく、安定しないといった問題点がある。
反対にカーボンブラックのDBP吸油量が少なすぎると、カーボン連鎖を形成しにくいため、導電性を発現させるための必要添加量が多くなりすぎ、材料の耐屈曲性を損なう問題点がある。
従って、好ましいカーボンブラックのDBP吸油量は、50〜300cm3/100gである。
カーボンブラックの比表面積が大きいほど、少ない添加量で導電性が発現するため、機械的強度(耐クラック性)の点で有利となる反面、カーボン添加量により導電性が急激に変化する傾向にあるため、半導電領域にコントロールするためには±0.05%以内の配合精度が必要であり、エンドレスベルトの抵抗ばらつきを±1オーダー以内で均一にすることが難しい。また、比表面積が大きいカーボンブラックは一般に粒径が小さいため、樹脂中に分散させる場合にカーボンブラック粒子がだまになりやすく、その結果、カーボン凝集体が成形品に混在し、カーボン凝集体の箇所に電気が集中し部分的な絶縁破壊を発生させやすい。また、カーボンブラックの比表面積が小さすぎる(カーボン粒子が大きすぎる)と、カーボン凝集体を形成しにくいため成形品の外観は平滑な反面、カーボン粒子間の接触により導電性発現が左右されやすく電気抵抗率がばらつきやすいので、最適化したカーボン粒子径を選択することが重要である。
このような点から、好ましいカーボンブラックの平均一次粒径は20〜50nmであり、比表面積は35〜500m2/gである。
カーボンブラックの揮発分が多いほど、その表面特性により分散性は良好になる反面、加熱混練中にガスを発生させるため、成形上不利である。逆に、カーボンブラックの揮発分が少ないほど、加熱混練中のガスが発生しにくいため成形性は良好である反面、分散性は悪化する傾向にある。従って、好ましいカーボンブラックの揮発分量は、0〜20%である。
式(i):LogY≧−X+20
式(ii):LogY≦−X+30
ただし、X,Yは次の通り。
X:基材層中のカーボンブラックの含有量(重量%)
Y:基材層の100V印加電圧,10秒での表面電気抵抗率(Ω)(SR(100V))
logY≧−X+21
logY≦−X+29
であることが好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトの基材層には、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
好ましいSi化合物としては、シリコーンゴム、シリコーンレジン(シリコーン微粒子)、シリコーンオイル、シラン化合物が挙げられるが、特に好ましいのはシリコーンオイルまたはシラン化合物(例えばシランカップリング剤)である。
また、カーボンブラックに予めSi化合物を加熱添着させ、Si化合物をカーボンブラック表面に被覆した上で熱可塑性ポリマー成分と混練機を用いて加熱混合することにより、カーボンブラックとSi化合物と熱可塑性ポリマー成分との相互作用をより効果的に引き出すことが可能となる。
この場合、Si化合物としては、シリコーンオイルまたはシラン化合物(例えばシランカップリング剤)を用いることが好ましく、その使用量はカーボンブラックに対して0.1〜10重量%程度とすることが好ましい。
基材層の成形に先立って前述の熱可塑性ポリマー成分と導電性成分等を加熱混練する手段には特に制限はなく、公知の技術を用いることができる。例えば、熱可塑性ポリマー成分(熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー)、導電性成分、及び必要に応じて配合されるその他の添加成分を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。
本発明において、基材層の成形方法については特に限定されるものではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、或いはインフレーション成形法、遠心成形法、ゴム押出成形法等の公知の方法を採用して得ることができるが、特に好ましい方法は、連続溶融押出成形法である。特に、環状ダイより押し出した溶融チューブを、冷却又は冷却固化しつつ引き取る押出成形法が好ましく、特にチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式或いはバキュームサイジング方式が好ましい。特に、内部冷却マンドレル方式がシームレスベルト状の基材層を容易に得ることができるため画像形成装置用ベルトの成形法としては最も好ましい。この場合、環状ダイとしては、その円周方向に複数の温度調節機構が設けられているものが好ましい。また、溶融チューブの冷却は、30〜150℃の範囲に温度調節した金型を、その内側又は外側に接触させて行うことが好ましく、このようにして、溶融チューブを円筒形状を保持したまま引き取ることが好ましい。
このような観点から、押出成形法による基材層の成形において、成形条件は、前述の条件(1)〜(3)を満たす基材層を得るために重要な因子である。
上述のようにして成形された基材層は、コート層の形成に先立ち熱処理を行ってもよく、これにより、より物性の向上した基材層とすることが可能となり、特に、耐屈曲性、引張弾性率や耐ローラー癖性の改善が見られる。
本発明において、基材層のガラス転移温度Tgは0℃以上、90℃以下であることが好ましい。これは、以下の理由による。
また、コート層の架橋前後での基材層の収縮による周長変化が大きいことによる電気抵抗値の変化が大きくなるため好ましくない。
また、ガラス転移温度が90℃以下であっても結晶化度が10%程度と低い場合は、耐クラック性は高くなるが、耐ローラ癖が悪くなるため好ましくない。
例えば、PAT、PANにて説明すると、熱可塑性ポリマー成分の芳香環含有割合を多くしたり、熱可塑性ポリマー成分中のPAT及び/又はPANの配合割合を多くしたりすれば、熱可塑性ポリマー成分のガラス転移温度は高くなり、基材層のガラス転移温度も高くなる。逆に、熱可塑性ポリマー成分中の芳香環の含有割合を少なくしたり、熱可塑性ポリマー成分中のPAT及び/又はPANの配合割合を少なくしたりすれば、熱可塑性ポリマー成分のガラス転移温度は低くなり、基材層のガラス転移温度も低くなる。
本発明の積層エンドレスベルトにおいて、コート層は、導電性成分が配合された架橋性液状物を、基材層の表面に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を活性エネルギー線及び/又は熱により架橋硬化させて形成させることが好ましい。ここで、活性エネルギー放射線とは、必要とする架橋反応を開始し得る化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等)又は粒子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)であり、好ましくは紫外線又は電子線が用いられる。
本発明のコート層における架橋性液状物(活性エネルギー線及び/又は熱を付与することにより架橋硬化可能な液状物)とは、例えば、メラミン系、ウレタン系、アルキッド系、フッ素樹脂系、アクリルラジカル系、光カチオン系等の有機系のもの;無機微粒子分散アクリルラジカル系、無機微粒子分散有機高分子系、無機微粒子分散オルガノアルコキシシラン系、有機高分子分散シリカ系、アクリルシリコン系、オルガノアルコキシシシラン系、オルガノアルコキシシラン・アルコキシジルコニウム系、含フッ素樹脂・オルガノアルコキシシラン系、ケイ酸塩・有機高分子系等の有機無機ハイブリッド系のもの;アルコキシシラン・アルコキシジルコニウム系、ケイ酸塩系等の無機系のもの;等の熱硬化タイプや、紫外線硬化タイプ、電子線硬化タイプの所謂ハードコート材であり、これらは耐摩耗性向上の点で好ましく、このようなコート材に各種の導電性成分、特に湿度による影響が少ない導電性フィラーを配合した半導電性タイプが好ましい。
また、多官能アクリレートオリゴマーとしては、ノボラック型、ビスフェノール型エポキシ樹脂をアクリレート変性したエポキシアクリレート、ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られるウレタン化合物のアクリレート変性物であるウレタンアクリレート、ポリエステル樹脂をアクリレート変性したポリエステルアクリレート等が挙げられる。
導電性成分としては、導電性フィラーとして、カーボンブラックやカーボンファイバー、グラファイトなどのカーボン系フィラー、金属フィラーなどが用いられ、導電性フィラーの他には、ポリエーテルエステルアミドといった高分子タイプの帯電防止剤や、イオン導電性物質、例えば四級アンモニウム塩等であっても良く、これらを併用して使用しても良い。
このような導電性成分の配合量は、コート層として好適な半導電性が得られる程度であればよく、特に制限はない。
本発明において、基材層に上述の架橋性液状物(ハードコート材)を塗布する方法としては、デッピングングコーテイング法、スプレーコーティング法、リングコーティング法、ロールコーティング法や、その他ブレードコーター、ナイフコーター、ダイコーター、グラビアコーター等公知の塗布装置を用いる方法を採用することができるが、デッピングコーティング法又はスプレーコーティング法が好ましく、特に好ましいのは、スプレーコーティング法であり、その場合、架橋性液状物は、吐出量0.1g/min以上、10g/min以下で吐出することが、表面平滑なコート層が得られるため好ましい。特に好ましい架橋性液状物の吐出量は0.5g/min以上、6g/min以下であり、最も好ましいのは1g/min以上、5g/min以下であり、このような吐出量であれば、良好な表面平滑性が得られ、気泡も少なく、好ましい。
上述のようにして、基材層に架橋性液状物を塗布して形成した塗布膜の架橋硬化は、活性エネルギー線及び/又は加熱により行われる。
紫外線による架橋硬化を行う場合、公知の紫外線照射装置を用いることができる。例えば、水銀ランプ法、メタルハライドランプ法によるハイキュアランプや低圧水銀ランプを使用することができ、紫外線としては、波長200nm〜500nmの範囲において相対エネルギーのピークを持つものが好ましく用いられる。
また、反射板方式としては、アルミミラー方式、コールドミラー方式、メタルコールドミラー方式、コールドフィルター方式、水冷ジャケット方式、ダブルミラー方式等の公知のものが用いることができ、中でも冷却機構を備えた、コールドミラー方式、メタルコールドミラー方式、コールドフィルター方式が、紫外線を照射している際に、塗布膜及び基材が異常に加熱されることを防ぐことができるため好ましい。
電子線による架橋硬化を行う場合、公知の電子線照射装置を用いることができる。例えば電子線照射線量として50kGy以上1500kGy以下で照射できる能力を備えた電子線照射装置が好ましく用いられる。
赤外線による架橋硬化を行う場合、公知の赤外線照射装置を用いることができる。例えば、波長0.75μm〜4μmの近赤外線照射装置、波長4μm〜25μmの遠赤外線照射装置、波長25μm〜1000μmの超遠赤外線照射装置が好ましく用いられる。
熱による架橋硬化を行う場合、公知のヒーター、オーブン等を用いて50℃以上180℃以下で加熱する方法を用いることができる。
尚、加熱とは、熱架橋の目的以外にも、溶媒の除去を促進させる目的、さらには、基材層の結晶性を促進させたり、非結晶部を緻密化させたりすることによる耐ローラ癖特性を向上させる目的も含まれ、本発明においては重要である。
好ましい加熱の温度と時間は、60℃以上150℃以下であり、加熱時間は15秒以上30分以下、好ましくは30秒以上15分以下である。
尚、紫外線、電子線、赤外線照射の際に発生する熱を利用する方が短時間で架橋を進行させ、製造工程を増やす必要がなくなるため好ましい。
以下に、本発明の積層エンドレスベルトの好適な物性及び特性を挙げる。
(コート層厚み)
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の厚みは、1μm以上、10μm以下であることが好ましい。コート層の厚みは、好ましくは1〜7μm、より好ましくは3〜6μmである。
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の厚みは、その基材層の弾性率(ここで、弾性率とは後述の「引張弾性率」である。)にも関係してくるが、弾性率が2000MPa以上であれば60μm以上、160μm以下が好ましく、弾性率が2000MPaより低ければ、80μm以上、180μm以下が好ましい。特に注意すべき点としては、厚みが厚すぎると厚み偏差が大きくなるため、ベルトの周速が変わり、画像ズレが起こる可能性があるという点と、厚みが厚い場合、基材層における表層と中央部(厚み方向の中央部分)の配向差が大きくなりすぎ、導電性フィラー等の分散の差が大きく、電気抵抗値の差が大きくなるため好ましくない。基材層の好ましい厚みは80〜140μmであり、とりわけ90〜125μm以下であることが好ましい。
ただし、前述の押出成形条件(c)として、本発明に係る条件(1)〜(3)を満たすために、基材層の厚みは120μm以下、特に100μm以下であることが好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の厚みと基材層の厚みの差(比率)は、コート層の厚み/基材層の厚みで1/150以上、1/8以下である。本発明においてコート層は基本的には基材層より硬いため、コート層を薄く、基材層を厚くすることが好ましいが、コート層の耐摩耗性を重視しつつ、コート層の表面電気抵抗率と基材層の表面電気抵抗率が適度に干渉する厚み比として、1/100以上、1/10以下がより好ましい。
この比率より基材層が厚すぎると基材層の電気抵抗値のコート層への影響が大きく、電気抵抗値の調整が難しくなる。反対にコート層が厚すぎると、コート層の電気抵抗値が積層エンドレスベルトの電気抵抗値として支配的になるため、電気抵抗値が調整しにくくなる。より好ましい厚み比は1/80以上、1/15以下であり、特に好ましくは1/70以上、1/20以下である。
(コート層の硬度)
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の表面硬度(この値は、積層エンドレスベルトの表面硬度となる。)は、フィッシャースコープ社製の微小硬度計「HM2000」を用いて、押し込み荷重2.5mN、押し込み時間27秒の条件で測定したHUpl(ユニバーサル硬度の塑性変形硬さ)(以下「微小硬度」と称す場合がある。)において、400N/m2以上、800N/m2以下であることが好ましい。コート層が微小硬度800N/m2より硬いと、積層エンドレスベルトと感光体との間でニップを確保できなくなり、感光体上のトナーを積層エンドレスベルトに転写しにくくなるばかりか、感光体を傷つけてしまう可能性があるため好ましくない。また、400N/m2よりコート層の微小硬度が低いと、トナーの外添材、とりわけチタンやシリカにより積層エンドレスベルトの表面が削られて摩耗しやすくなり、表面が荒れやすく、クリーニング性が悪化するため、好ましくない。コート層の微小硬度は好ましくは450〜750N/m2である。
尚、コート層の微小硬度は、ダイヤモンド圧子をコート層表面から約1μm+/−0.5μmの深さへ押し込んだ部分の微小硬度を示すものである。
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の表面硬度は、上記微小硬度で100N/m2以上、400N/m2以下であることが好ましい。
これは、コート層を硬くするために、基材層は弾性力があった方が、感光体と積層エンドレスベルトとの間でのニップを取りやすく、また凹凸の大きい再生紙であっても追従できるため、トナーの一次転写、二次転写とも良好となるため好ましいことによる。特に好ましい基材層の微小硬度は、150〜350N/m2である。
尚、基材層の微小硬度は、上述のコート層と同様、基材層表面から約1μm+/−0.5
μmの深さの微小硬度を示すものである。
基材層の硬度とコート層の硬度の差(比率)は、小さ過ぎると弾力性のある基材層に高硬度のコート層を形成する効果を十分に得ることができないが、過度に大きすぎると、エンドレスベルトが高速でローラ張架されつつ駆動した場合に、ローラ部にて伸縮し、コート層と基材層との間での剥離が発生しやすくなるため好ましくなく、その比率は、基材層の微小硬度/コート層の微小硬度で1/8以上、1以下であることが好ましく、特に好ましくは1/4以上、3/4以下である。
(コート層の摩擦係数)
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の摩擦係数(この値は、積層エンドレスベルトの摩擦係数となる。)は0.05以上0.4以下が好ましい。コート層の摩擦係数が0.4より大きいと、クリーニングブレードによるクリーニング効果が悪化し、ブレードとベルト間でステックスリップが発生し、トナー、インクのすり抜けが発生するため好ましくない。コート層の摩擦係数が0.05より小さい場合は、感光体上のトナー像を積層エンドレスベルトへ転写させる際にスリップを発生させ、トナー画像の乱れが発生するため好ましくない。コート層の摩擦係数は、より好ましくは0.1〜0.35である。
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の摩擦係数は、大きいほうが好ましい。特に、ローラで張架して駆動した場合、エンドレスベルトがローラとの間でスリップする場合があるため、とりわけ基材層内側にあっては摩擦係数が0.2以上であると好ましく、特に好ましくは0.3以上である。基材層の摩擦係数の上限は通常0.6以下である。
(基材層の引張弾性率)
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の引張弾性率は、300MPa以上、4500MPa以下であることが好ましい。基材層の引張弾性率が低いと、コート層との弾性率との差が大きくなりすぎるため、積層エンドレスベルトのローラ張架時の伸縮により基材層とコート層との界面での剥離が発生しやすくなるため好ましくない。また、例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に、張力により少し伸びが発生してしまい、色ズレなどの不具合を発生することがある。逆に、引張弾性率が高すぎる場合は、積層エンドレスベルトを駆動する際にモータ負荷がかかるため、厚み設定を薄くする必要が生じ、一旦ローラとベルト間にゴミが入り込んだり、感光体との摩擦による傷等が入るとクラックが入り易く、信頼性に問題があるため好ましくない。また、一次転写におけるトナーの転写効率を向上させるためには、ベルトが伸びない程度の引張弾性率が必要であり、かつエンドレスベルトが硬くならない程度の引張弾性率が必要である。基材層のより好ましい引張弾性率の範囲は800MPa以上、3500MPa以下、特に1000MPa以上、3000MPa以下である。
上記と同様な理由から、積層エンドレスベルトの引張弾性率は好ましくは800MPa以上、5000MPa以下、より好ましくは1000〜3500MPa、特に好ましくは1300〜3200MPaである。
(基材層の表面粗さ(Ra))
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の表面粗さ(Ra)は0.02μm以上、0.5μm以下であることが好ましい。基材層の表面粗さ(Ra)が0.02μm未満であると、コート層との積層の際に積層界面の面積が少なくなるため接着力に問題が発生する場合があるため好ましくない。ただし、その場合は、プライマー処理、プラズマ処理等で接着力を高める公知の手段を採用して対応することもできる。
また、基材層の表面粗さ(Ra)が0.5μmを超えるとコート層を形成して得られる積層エンドレスベルトに基材層の表面粗さの影響がでるため好ましくない。特に好ましい基層の表面粗さ(Ra)は0.02μm以上、0.15μm以下、特に0.03μm以上、0.12μm以下であることが好ましい。
基材層にコート層を形成した後の本発明の積層エンドレスベルトの表面粗さ(Ra)は、0.02μm以上、0.3μm以下が好ましい。特に、コート材に防汚成分を含まなければ、表面粗さ(Ra)は0.02μm以上、0.1μm以下が好ましく、防汚成分を含んでいる場合は表面の凹凸が大きくても、低摩擦係数であるが故にブレードクリーニングしやすくなるため、許容範囲が広くなる。積層エンドレスベルトの表面粗さ(Ra)は特に好ましくは0.02μm以上、0.08μm以下である。
(基材層の水との接触角)
本発明の積層エンドレスベルトの基材層の水との接触角は小さい方が好ましく、95°以下であることが摩擦係数の接着力が高くなる点で好ましい。基材層の水との接触角は特に80°以下、とりわけ75°以下であることが好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトのコート層の水との接触角(コート層の水との接触角とは、積層エンドレスベルトの水との接触角である。)は基材層よりも大きい方が好ましく、80°以上であればトナー非固着性向上の点で好ましく、特に90°以上であれば、クリーニング性、トナー固着性何れも問題がなくなるため好ましい。
尚、コート層の水との接触角の上限は120°以下であり、これより大きすぎると、感光体との摩擦が小さくなりすぎ、トナーの一次転写効率が悪くなり好ましくない。コート層の水との接触角は90°以上、105°以下であることが最も好ましい。
尚、コート層の表面粗さ(Ra)が小さく、表面が平滑であれば、水との接触角が比較的大きくても、トナークリーニング性、トナー転写性は良好であり、言い換えると表面粗さが粗い場合には、水との接触角を小さくするとクリーニングしやすくなる。
本発明の積層エンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、耐屈曲性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるので耐屈曲性の良好な積層エンドレスベルトが好ましい。
具体的な数値としては、5000回を超えていれば装置寿命の間、エンドレスベルトとして優れた機能を発揮して使用することができるが、実用的には8000回以上が好ましく、10000回以上であれば更に好ましい。
本発明の積層エンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、プリンター内でローラに張架された状態で60℃程度の高温下にさられた際に、シームレスベルトにローラの跡(ローラ癖)が着くと、画像に悪影響を及ぼすため、好ましくない。
このため、温度23℃、湿度50%の条件で24時間以上状態調整した積層エンドレスベルトを15mm幅、44mm長さに切り取り、この試験片を、直径14mmのローラに、試験片長さ方向がローラの周方向となるようにセロハンテープ等で固定し、温度60℃、湿度95%の恒温恒湿層に2時間放置後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後、試験片をローラから開放し、温度23℃、湿度50%で2時間放置した際の試験片の開口幅L(ローラにより断面略C字形に癖付けされた試験片の開口部の幅)から以下の式で求めた値をローラ癖復元率(%)とする。この値は40%以上であることが好ましい。
ローラ癖復元率(%)={開口幅L(mm)/試験片長44(mm)}×100
本発明の画像形成装置用積層エンドレスベルトの用途に特に制限はないが、寸法精度、耐屈曲性、引張弾性率など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材に好適に用いることができる。この積層エンドレスベルトをシームレスベルト形状とした場合、割れ、伸びなど不具合が少ないので好適である。
原料は下記のものを用い、配合割合は表1,2の通りとした。
<熱可塑性エラストマー>
(PEER)
東洋紡積(株)製 ポリエステル−ポリエステルエラストマー「ペルプレンS3001」
MFR(240℃、2.16kgf荷重):21g/10分、
DSC結晶融点:216℃
(PBT)
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製 ポリブチレンテレフタレート
「ノバデュラン5040ZS」
重量平均分子量:40,000
MFR(240℃、2.16kgf荷重):4g/10分
DSC結晶融点:229℃
(ETFE)
旭硝子社製 エチレンテトラフルオロエチレン共重合体「アフロン C55AP」
(PVDF)
アルケマ社製 ポリフッ化ビニリデン「カイナー720」
(PP)
日本ポリプロ社製 ポリプロピレン「ノバテックFY4」
(PA)
宇部興産社製 ポリアミド(ナイロン12)「UBESTA3030U」
(CB1)
電気化学(株)製 アセチレンブラック「デンカブラック」
DBP吸油量:180ml/100g
比表面積:65m2/g
揮発分:0%
平均一次粒径:39nm
pH:9
(CB2)
デグサ社製 チャンネルブラック「NIPEX150」
DBP吸油量:110ml/100g
比表面積:110m2/g
揮発分:10%
平均一次粒径:29nm
pH:6
白水化学社製 アルミドープ酸化亜鉛「23−KB」平均粒子径1.5μm
チバスペシャリティケミカルズ社製 ポリエーテルエステルアミド
「IRGAATAT P16」
クラリアントジャパン(株)製 リン系酸化防止剤「PEPQ」
(シリコーンオイル)
東レダウコーニング(株)製 ジメチルシリコーンオイル「SH200」
官能基当量:5000以上
平均分子量:4400
(カーボンブラックCB1に2.5重量%添着させ、180℃で12時間加熱処理して使用。)
(シラン化合物)
信越化学工業(株)製 パーフロロアルキルシラン「KBM−7103」
(導電性酸化亜鉛に0.3重量%添着させ加熱処理して使用。)
JSR社製「オプスターTU4106」(リンドープ酸化スズ20重量%を配合した
アクリレートモノマー及びアクリレートオリゴマーを含む固形分濃度48
重量%のコート材(固形分以外の成分はプロピレングリコールモノメチル
エーテル)50重量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル)
50重量部で希釈したもの。)
<コート材2>
JSR社製「オプスターZ7535」(多官能アクリレートモノマー及びアクリレート
オリゴマーを含む固形分濃度49重量%のコート材(固形分以外の成分
メチルイソブチルケトン)50重量部を、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル50重量部で希釈したもの。)
表1〜3に記載の各基材層成形材料を、二軸混練押出機(IKG(株)製「PMT32」)を用いてペレット化した。混練条件は、実施例1〜7及び比較例1〜3ではシリンダー温度260℃を基本としたが、途中溶融樹脂の温度が上昇するニーディング部のシリンダー温度を230℃から250℃に設定すること以外は220℃から270℃の範囲で調整した。
実施例8ではシリンダー温度280℃、実施例9ではシリンダー温度210℃、実施例10ではシリンダー温度200℃、実施例11ではシリンダー温度270℃とした。
融点:セイコー電子工業(株)製SSC−5200(商品名)を使用し、試料を昇温速度20℃/minにて400℃まで昇温させ、融解ピーク温度をDSC(示差走査熱量)測定による融点とした。
上記で得られた各基材層の成形材料のペレットを130℃で乾燥し、直径φ210mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mmφの押出機により、環状ダイ下方に溶融チューブ状態で押し出し、押し出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径208mmの冷却マンドレルの外表面(温度90℃)に接しめて冷却固化させつつ、次に、溶融チューブの中に設置されている円筒形の中子と外側に設置されている4点式ベルト式引取機により、シームレスベルト状の基材層を円筒形を保持した状態で引き取りつつ、長さ300mmに輪切りにした。引き取り速度は1.2m/minとし、表1〜3に示す基材層厚み(100〜170μmの範囲)で、表1〜3に示す表面電気抵抗率(SR(100)が1×108〜5×1011Ωの範囲)となるよう、押出量と押出温度、冷却温度を調整しつつ、内径207mmの基材層を得た。
また、ダイス金型条件は、実施例5では、ダイス金型リップクリアランスは2.0mmとし、実施例7、9、10、比較例1,2ではダイス金型リップクリアランスを1mmとし、実施例1〜4,6、8、11と比較例3では1.5mmとした。従って、基材層の厚み/押出ダイス金型のリップクリアランスの比は、表1〜3に示す通りである。
<プラズマ処理>
実施例2〜10及び比較例1〜2においてはコート層を塗布する前に、基材層の外表面に以下の条件にてプラズマ処理を実施した。
基材層の内径より1mm小さい外径を有する円筒ドラムに基材層を外装し、基材層の回転速度が10m/minとなるよう円筒ドラムを回転させつつ、日本プラズマトリート社製リモートタイプ常圧プラズマ処理装置により、基材層の外表面にプラズマ処理を施した。プラズマ処理に用いたノズルのノズル径は20mmであり、ノズルは一軸ロボットに装着し、ノズル先端と基材層との距離は6mmで、基材層の幅方向(軸方向)に5mm/秒の移動速度で移動させた。
実施例1,11及び比較例3についてはプラズマ処理は行わなかった。
基材層を、外径207mmの円筒型のドラムの外側に装着し、基材層の回転速度が100m/minとなるよう、このドラムを回転させ、スプレー式コーティング装置を用いて、吐出量2.5g/minにてコート材1又はコート材2を基材層の外表面に表1〜3に示す厚みのコート層が形成されるようにスプレー塗布した。
スプレーノズルは一軸ロボットに装着し、基材層幅方向(軸方向)に5mm/秒の移動速度で移動させた。
コート材が塗布された基材層を、回転速度10m/minでドラムを回転させつつ、100℃の熱風乾燥機で3分乾燥し、その後、GSユアサ社製ハンディ600WUV装置を用い、コート材塗布膜との距離を50mmとし、紫外線を3分間照射させてコート材塗布膜を架橋硬化させることによりコート層を形成し、積層エンドレスベルトを得た。
得られた積層エンドレスベルト及びその構成層について評価を行い、結果を表1〜3に示した。
ダイヤインスツルメント(株)製 商品名「ハイレスタ(UR端子)」を使用し、印加電圧10V,100V,250V,500V,又は1000V、各10秒の条件にて測定した。
ただし、10V値の測定において、1×1013Ω以上は計測不能なため、その場合は1×1013Ωとした。
基材層の表面電気抵抗率は、押出成形により得られた基材層の外表面に対して測定した。
コート層(コート材)の表面電気抵抗率は、コート層を形成する前の基材層に100μm厚さのPETフィルムを巻き付け、このPETフィルム上に、コート材を、基材層上にコート層を作製する条件と同一条件で塗布、硬化させてコート層を形成し、このコート層に対して測定した。
積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率は、基材層にコート層を形成して得られた積層エンドレスベルトの外表面(コート層表面)に対して測定した。
基材層及び積層エンドレスベルトについて、それぞれフィッシャースコープ社製の微小硬度計「HM2000」を用いて、押し込み荷重2.5mN、押し込み時間27秒の条件でHUpl(ユニバーサル硬度の塑性硬さ)を測定した。
尚この測定においては、1μN単位で徐々に押し込む力を上げ、0.1nm単位の深さを連続的に読み取り、表面から約1μm+/−0.5μmの深さの微小硬度を測定した。
基材層及び積層エンドレスベルトについて、それぞれ約50mm×50mmの大きさの試験片を切り出し、その表面(外側面)を、(株)キーエンス製超深度形状測定顕微鏡「VK8500」を用い、レンズ100倍、ピッチ0.01μm、シャッタースピードAUTO、ゲイン835の測定条件にて40μm×40μmのエリアの表面粗さRaを4点測定し、その平均値を表面粗さの測定値とした。
基材層及び積層エンドレスベルトについて、それぞれ外表面に水を一滴たらし、エルマー製ゴニオメーター「G−1」を用いて1分後の水の接触角を測定した。
基材層及び積層エンドレスベルトの外表面について、新東化学(株)製「HEIDON トライホギアμS TYPE94i」を用い黄銅にハードクロムメッキした板との静摩擦係数を測定した。
ISO R1184−1970に準拠し、基材層及び積層エンドレスベルトから、それぞれ幅15mm、長さ150mmの大きさの試験片を切り取り、この試験片に対して引張速度1mm/min、つかみ具間距離100mmとして測定した。
JIS P−8115に準拠し、基材層及び積層エンドレスベルトから、それぞれ幅15mm、長さ100mmの大きさの試験片を切断し、この試験片に対して、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張荷重1.0kgfの条件にて、先端部の曲率半径R=0.38mmの折り曲げ治具を用い、それぞれの破壊に至る折り曲げ回数を測定した。数値は3点の平均値を用いた。
積層エンドレスベルトを、温度23℃、湿度50%で24時間以上状態調整した後、このエンドレスベルトから幅15mm、長さ44mm試験片を切り取り、これを直径14mmのローラにセロハンテープ等で固定し、温度60℃、湿度95%の恒温恒湿層に2時間放置後、温度23℃、湿度50%の環境下に24時間放置した後、試験片をローラから開放し、温度23℃、湿度50%で2時間放置した際の試験片の開口幅(L)から以下の式でローラ癖復元率(%)算出した。
ローラ癖復元率(%)={開口幅L(mm)/サンプル長44(mm)}×100
積層エンドレスベルトをφ20mmのローラー2本にテンション4kgにて張架させて回転駆動させ、3万回回転させたときに積層エンドレスベルトにクラックが発生するかを評価し、クラックが発生しないものを「○」とした。
リコー社製中間転写タンデム機「IPsio spc220」の転写ベルトユニットに、積層エンドレスベルトを装着し、クリーニングブレードをつけ、廃トナーをベルト表面に接触するような状態にてから回し試験を実施し、ベルト10回転後にトナーがブレードにクリーニングされずにスジ状に残る本数を数え、3箇所以下であれば「○」とし、3箇所を超え10箇所以下であれば「△」とし、10箇所を超える場合は「×」とした。
リコー社製中間転写タンデム機「IPSiO SP C220」の転写ベルトユニットに、積層エンドレスベルトを装着し、4cm×5cmの黒ベタ画像をプリントした。ベタ画像の白抜け度を目視で確認し、購入時のプリンタ画像より向上していれば「○」とし、向上していなければ「×」とした。
<実施例1>
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、シリコーンオイルで表面処理したアセチレンブラックを13.5重量部配合し、厚み120μm、SR(100V)4.8×1010Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT90重量%に熱可塑性エラストマーを10重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、シリコーンオイルで表面処理したアセチレンブラックを13.5重量部配合し、厚み120μm、SR(100V)5.3×1010Ωに押出成形した基材層に、厚み3.5μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、シリコーンオイルで表面処理したアセチレンブラックを13.7重量部配合し、厚み120μm、SR(100V)1.8×109Ωに押出成形した基材層に、厚み4.5μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%を配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、シリコーンオイルで表面処理したアセチレンブラックを13.9重量部配合し、厚み120μm、SR(100V)1.9×108Ωに押出成形した基材層に、厚み3.5μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、シリコーンオイルで表面処理したアセチレンブラックを13.5重量部配合し、厚み120μm、SR(100V)4.2×1010Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT100重量%とした熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、シリコーンオイルで表面処理したアセチレンブラックを13.5重量部配合し、厚み100μm、SR(100V)1.8×109Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT100重量%とした熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、チャンネルブラックを17.5重量部配合し、厚み100μm、SR(100V)2.7×1011Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
ETFE100重量%とした熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、アセチレンブラックを12.0重量部配合し、パーフロロアルキルシラン処理したAlドープ酸化亜鉛を10.0重量部配合し、厚み120μm、SR(100V)3.2×1011Ωに押出成形した基材層に、厚み5μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PVDF100重量%とした熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、非カーボン系帯電防止剤としてポリエーテルエステルアミドを15.0重量部配合し、厚み170μm、SR(100V)4.4×1011Ωに押出成形した基材層に、厚み5μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PP100重量%とした熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、非カーボン系帯電防止剤としてポリエーテルエステルアミド18.0重量部配合し、厚み170μm、SR(100V)5.0×1011Ωに押出成形した基材層に、厚み5μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PA100重量%とした熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、アセチレンブラックを25.0重量部配合し、厚み140μm、SR(100V)1.9×1010Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)をすべて満たす構成となったため、積層エンドレスベルトの表面電気抵抗率の印加電圧依存性が少ないものとすることができ、良好な画像が得られた。
また、表面平滑性に優れ、表面硬度も高く、トナークリーニング性に優れたエンドレスベルトであった。
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、アセチレンブラックを13.5重量部配合し、厚み140μm、電圧依存性の大きいSR(100V)1.0×1011Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×109Ωの半導電性コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)のうち、条件(2)を満たす構成とならなかった。この積層エンドレスベルトは、表面電気抵抗率の印加電圧依存性の小さいものとするができず、部分的にトナーが白抜けした画像しか得られなかった。
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、アセチレンブラックを13.5重量部配合し、厚み140μm、電圧依存性の大きいSR(100V)1.0×1011Ωに押出成形した基材層に、厚み2μm、SR(100V)1.0×1012Ωの誘電体コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)のうち、条件(2)を満たす構成とならなかった。この積層エンドレスベルトは、表面電気抵抗率の印加電圧依存性の小さいものとするができず、部分的にトナーが白抜けした画像しか得られなかった。
PBT70重量%に熱可塑性エラストマーを30重量%配合した熱可塑性ポリマー成分100重量部に対し、アセチレンブラックを13.4重量部配合し、厚み140μm、電圧依存性の小さいSR(100V)1.9×108Ωに押出成形した基材層に、厚み4μm、SR(100V)1.0×1012Ωの誘電体コート層を形成した積層エンドレスベルトは、条件(1),(2),(3)のうち条件(3)を満たす構成とならなかった。この積層エンドレスベルトは表面電気抵抗率の印加電圧依存性が大きく、トナーが白抜けした画像しか得られなかった。
2 帯電器
3 露光光学系
4 現像器
5 クリーナー
6 導電性エンドレスベルト
7,8,9 搬送ローラ
Claims (17)
- 画像形成装置に用いられる、基材層と、該基材層上に形成された、活性エネルギー線及び/又は熱架橋樹脂よりなるコート層とを備える積層エンドレスベルトであって、
印加電圧10V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(10V)、
印加電圧100V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(100V)、
印加電圧500V,10秒にて測定した表面電気抵抗率をSR(500V)としたときに、
該基材層の表面電気抵抗率は以下の条件(1),(2)を満たし、該コート層の表面電気抵抗率と基材層の表面電気抵抗率との関係が以下の条件(3)を満たすことを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
(1) 基材層のSR(100V)が、1×106Ω以上、1×1012Ω以下
(2) 基材層のSR(10V)/SR(500V)が、100以下
(3) 基材層のSR(100V)/コート層のSR(100V)が、0.1以上、1000以下 - 請求項1において、該積層エンドレスベルトのSR(10V)/SR(500V)が44以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1又は2において、該コート層の厚みが1μm以上、10μm以下であり、コート層の厚み/基材層の厚みの比率が1/150以上、1/8以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該コート層の表面硬度が、ユニバーサル硬度の塑性変形硬さにおいて、400N/mm2以上、800N/mm2以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該基材層の表面硬度が、ユニバーサル硬度の塑性変形硬さにおいて、100N/mm2以上、400N/mm2未満であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該基材層は、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分と導電性成分を含み、該基材層のガラス転移温度が0℃以上、90℃以下であり、該コート層は、導電性成分が配合された架橋性液状物を架橋硬化させてなることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、該基材層は、側鎖にエステル結合を有する樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、ポリプロピレン、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする熱可塑性ポリマー成分と導電性成分を加熱混合してなる成形材料を押出成形して得られるシームレスベルトであることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、該コート層は、アクリルモノマー及び/又はアクリルオリゴマーを主成分とする架橋性液状物を架橋硬化させてなることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、該基材層は、カーボンブラックを主成分とする導電性成分を含み、該コート層は、金属フィラーを主成分とする導電性成分を含むことを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項9において、該コート層に含まれる金属フィラーは、導電性酸化スズを主成分とすることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし10のいずれか1項において、シームレス状の中間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写定着ベルト、定着ベルト、感光体ベルト、又は現像スリープであることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルト。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の画像形成装置用積層エンドレスベルトを製造する方法であって、前記基材層の表面に、架橋性液状物を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を活性エネルギー線及び/又は熱により架橋硬化させて前記コート層を形成する工程を含むことを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルトの製造方法。
- 請求項12において、該基材層を押出成形により形成し、前記架橋性液状物を、回転する該基材層にスプレー塗布することを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルトの製造方法。
- 請求項12又は13において、該基材層を、下記(a)〜(c)のうちのいずれか1以上の条件を満たす押出成形により形成することを特徴とする画像形成装置用エンドレスベルトの製造方法。
(a) 押出成形時の溶融チューブの引き取り速度が1.0m/min以上
(b) 基材層の厚み/押出ダイス金型のリップクリアランスの比が0.12以下
(c) 基材層の平均厚みが120μm以下 - 請求項12ないし14のいずれか1項において、該架橋性液状物をスプレー塗布により塗布し、該スプレー塗布時の架橋性液状物の吐出量が0.1g/min以上、10g/min以下であることを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルトの製造方法。
- 請求項12ないし15のいずれか1項において、該基材層は、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーよりなる熱可塑性ポリマー成分と導電性成分を含み、該基材層のガラス転移温度が0℃以上、90℃以下であり、該コート層を、導電性成分が配合された架橋性液状物の塗布膜に、該塗布膜の表面側から活性エネルギー線及び/又は熱を付与して形成することを特徴とする画像形成装置用積層エンドレスベルトの製造方法。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の画像形成装置用積層エンドレスベルト、又は請求項12ないし16のいずれか1項に記載の画像形成装置用積層エンドレスベルトの製造方法により製造された画像形成装置用積層エンドレスベルトを含むことを特徴とする画像形成装置。
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