JP2011016958A - 防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法および防汚塗料組成物 - Google Patents
防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法および防汚塗料組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 金属を含有する重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を110℃以上の温度でかつ水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合する防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法、およびその製造方法によって得られる共重合体を含有する防汚姓塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明の目的は、船舶の運航速度が低速時でも、形成される塗膜の自己研磨性が低下することなく、優れた性能を長期間維持させることができる防汚性塗料組成物を提供することである。
前記金属含有共重合体は、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、下記一般式で示される2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)および/または下記一般式で示される金属含有重合性単量体(a2)を含む単量体組成物を重合して得られることが好ましい。
(a1):[(CH2=C(R1)−CO−O)]2M
(a2):CH2=C(R1)−CO−O−M−R2
(一般式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
本発明の製造方法においては、金属含有重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を滴下して110℃以上の温度で重合を行うことが好ましい。さらに好ましくは120℃以上である。110℃以上で重合することにより船舶の運航速度が低速時でも、形成される塗膜の自己研磨性が低下することなく、優れた性能を長期間維持させることができる。
金属含有重合性単量体(a)にはその製造過程で水が生成し、滴下する単量体混合物には水が含まれる場合がある。そのため従来のような常圧下の重合において、110℃以上の温度で重合すると水が還流してモノマーを投入する滴下ノズルが閉塞する問題が生じる。
従って本発明の製造方法においては、水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合することが好ましい。特に、加圧することで、110℃以上の温度でも還流を起こすことなく重合でき、優れた性能を長期間維持できる共重合体が得られる。圧力の上限は特に限定は無いが、使用する重合釜や配管の設備仕様により1000kpa以下が好ましい。
還流の有無は目視により確認し、還流が生じるようであれば重合圧力を高く設定することもできるが、あらかじめRaoultの法則による式(I)を用い、重合溶液の各成分の分圧を求め、それらの分圧の合計し、理論蒸気圧として全圧Pi(Pa)を算出することができる。少なくとも重合圧力を理論蒸気圧Pi(Pa)よりも高く設定することで水の還流を避けることが可能と考えられる。
Pi=Σγi×xi×pi ・・・(I)
γi: 重合溶液中のi成分の活量係数
xi: 重合溶液中のi成分の液相モル分率
pi: 重合温度T(℃)における重合溶液中のi成分の飽和蒸気圧
本発明における防汚塗料用金属含有共重合体中の金属含有量は3〜25質量%の範囲とすることが好ましい。これは、3質量%以上とすることによって、形成される塗膜に優れた自己研磨性が付与される傾向にあるためである。より好ましくは6質量%以上である。また、25質量%以下とすることによって、耐クラック性と加水分解性のバランスに優れるとともに、長期の自己研磨性を維持し、防汚効果が向上する傾向にあるためである。より好ましくは15質量%以下である。
本発明の製造方法においては金属含有重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性不飽和単量体(b)とが、金属含有共重合体の構成成分として使用される。
(a1):[(CH2=C(R1)−CO−O)]2M
(a2):CH2=C(R1)−CO−O−M−R2
(一般式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
上記の一般式で表わされる2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)は、これを使用することによって、形成される塗膜の自己研磨性が長期間維持させることができるものである。
また、共重合体の構成成分として、成分(a1)と成分(a2)を併用する場合には、共重合体中の成分(a2)単位/共重合体中の成分(a1)単位の比率(モル%)を20/80〜80/20の範囲となるようにするのが好ましい。これは、比率を80/20以下とすることによって、海水浸漬後の塗膜硬度変化が少なく、耐クラック性や密着性に優れた塗膜物性が得られる傾向にあり、一方、比率を20/80以上とすることによって、形成される塗膜の自己研磨性が長期間維持される傾向にあるためである。より好ましくは30/70〜70/30の範囲である。
金属含有重合性単量体(a)として(a1)成分と(a2)成分を併用する場合は、無機金属化合物、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、および非重合性有機酸とを有機溶剤中で反応させることによって得られる、(a1)成分と(a2)成分を含有するモノマー混合物を用いることができる。このモノマー混合物を製造する場合には、非重合性有機酸の使用量を無機金属化合物に対して0.01〜0.95倍モルの範囲とするのが好ましく、有機溶剤としては、少なくともアルコール系化合物を含むものを使用するのが好ましい。
これは、非重合性有機酸の使用量を0.01倍モル以上とすることによって、110℃を超える温度で重合溶液の蒸気圧を超える圧力に加圧した加圧容器中で共重合する時においてもカレットの生成を抑制することができるとともに、得られる防汚塗料の長期の自己研磨性や耐クラック性が良好となる傾向にあり、0.95倍モル以下とすることによって、得られる防汚塗料の長期の防汚性能が良好となる傾向にあるためである。より好ましい非重合性有機酸の使用量の下限値は、0.3倍モルであり、より好ましい非重合性有機酸の使用量の上限値は、0.7倍モルである。
上記の共重合体の製造で使用するラジカル開始剤としては、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキ−2−エチルヘキサノエート等が使用できる。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)85.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸43.1部、アクリル酸36.1部、水5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGMを36部添加して透明な金属原子含有重合性単量体混合物M1を得た。固形分は44.8%であった。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸30.1部、アクリル酸25.2部、バーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGMを11部添加して透明な金属原子含有重合性単量体混合物M2を得た。固形分は59.6%であった。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン60部、PGM(プロピレングリコールメチルエーテル)13部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸32.3部、アクリル酸27部、オレイン酸37.7部、酢酸2.3部、プロピオン酸5.8部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後キシレン77部、PGMを46部添加して透明な金属原子含有重合性単量体混合物M3を得た。固形分は39.7%であった。
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し135℃に昇温した。続いて、滴下タンクからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN3部、AMBN1部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分45.7%、ガードナー粘度+Vを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P1を得た。300メッシュの濾過残渣として微量の不溶解物が見られた。
得られた金属原子含有樹脂組成物P1をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P1に含まれる共重合体の重量平均分子量は5500であった。また、得られた金属原子含有樹脂組成物P1からメタノール再沈殿により単離した共重合体を白金るつぼに採取し、硫酸を加えた後、加圧分解容器に入れ加熱した。硫酸を揮発させた後、共重合体を完全に灰化させた。この灰化物を放冷後アルカリ融解させ、ICP発光分析装置(日本ジャーレルアッシュ社製ICAP−575 MK−II)で分析したところ、Si原子が確認された。また、共重合体を原子吸光分光光度計(島津製作所社製AA6800)により分析したところ、Zn原子由来のシグナルが確認された。
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン57部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し120℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート14.6部、エチルアクリレート52.6部、n−ブチルアクリレート7.5部、製造例M1記載の金属原子含有重合性単量体混合物47.4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1部、AIBN3部、AMBN3部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを6.9部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分45.5%、ガードナー粘度−Z1を有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P2を得た。300メッシュの濾過残渣として微量の不溶解物が見られた。
得られた金属原子含有樹脂組成物P2をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P2に含まれる共重合体の重量平均分子量は4700であった。
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン63部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し120℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート9部、エチルアクリレート58部、製造例M2記載の金属原子含有重合性単量体混合物50部、PGM10部、AIBN2.2部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを12部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分44.6%、ガードナー粘度+Sを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P3を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P3をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P3に含まれる共重合体の重量平均分子量は6300であった。
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)8部およびキシレン32部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し150℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート17部、エチルアクリレート41.4部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属原子含有重合性単量体混合物31.4部、製造例M2記載の金属原子含有重合性単量体混合物14.6部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN7部、t−ブチルパーオクトエート0.5部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン4部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを2部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分60.7%、ガードナー粘度+Vを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P3を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P4をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P4に含まれる共重合体の重量平均分子量は3200であった。
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)27.3部およびキシレン44.9部およびエチルアクリレート2部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し140℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート16.2部、エチルアクリレート58.6部、製造例M3記載の金属原子含有重合性単量体混合物58部、AIBN1.4部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分45.0%、ガードナー粘度+Rを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P5を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P3をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P5に含まれる共重合体の重量平均分子量は6300であった。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部、AMBN6.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分46.1%、ガードナー粘度−Vを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P6を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P6をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P6に含まれる共重合体の重量平均分子量は5400であった。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン57部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート14.6部、エチルアクリレート52.6部、n−ブチルアクリレート7.5部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物47.4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1部、AIBN2.5部、AMBN8.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを6.9部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分45.8%、ガードナー粘度−Z2を有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P7を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P7をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P7に含まれる共重合体の重量平均分子量は4800であった。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン63部およびエチルアクリレート3部を仕込み、常圧下、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート9部、エチルアクリレート58部、製造例M2記載の金属含有モノマー混合物50部、PGM10部、AMBN5部からなるからなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを12部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分44.9%、ガードナー粘度+Tを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂P8を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P8をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P8に含まれる共重合体の重量平均分子量は6500であった。
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部、AMBN6.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下開始した。滴下開始1時間後位から滴下液中に含まれていた水による還流が顕著となり、滴下液を投入するノズルの先端につらら状の不溶解物が生成し、ついには滴下ノズルが閉塞し滴下継続不可能となった。
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し100℃に昇温した。続いて、滴下タンクからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部、AMBN6.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分46.0%、ガードナー粘度UVを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P10を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P10をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P10に含まれる共重合体の重量平均分子量は5400であった。
MAA:メタクリル酸、AA:アクリル酸、ZnO:酸化亜鉛、PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
*1)金属原子含有重合性単量体混合物中の値を示す。
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
AMBN:アゾビスメチルブチロニトリル
*2) ガードナー泡粘度計を用い、25℃で測定した。
次いで、上記調製の各防汚塗料組成物を用いて、下記の要領で塗膜の消耗度試験を行った。
[塗膜の消耗度試験]
各防汚塗料組成物を、それぞれ50×50×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥膜厚240μmになるようにアプリケーターで塗布し、人工海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速20ノットと周速10ノットで回転させて3カ月間毎の消耗膜厚を12ヶ月測定した。その結果を表4に示した。
一方、加圧下、110℃を超える温度で重合したP1〜P5は重合溶液の蒸気圧を超えたため水が還流することなく重合でき、P1〜P5を使用した防汚塗料組成物(実施例1〜5)は、10ノットの低速及び20ノットの高速いずれの速度においても塗膜の自己研磨性は経時で低下することなく、安定的に自己研磨性を示した。
Claims (2)
- 金属を含有する重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を、
110℃以上の温度でかつ水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合する防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法。
ここで金属を含有する重合性単量体(a)は、
下記一般式で示される2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)および/または
下記一般式で示される金属含有重合性単量体(a2)を含む単量体である。
(a1):[(CH2=C(R1)−CO−O)]2M
(a2):CH2=C(R1)−CO−O−M−R2
(一般式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。) - 請求項1記載の製造方法により得られた共重合体をビヒクルとして含有する防汚塗料組成物。
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