JP2011000729A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧力室用側壁(23)により区画された複数の圧力室(3)と、
前記複数の圧力室にそれぞれ連通して設けられたノズル(2)及び液体供給路(9)と、
前記圧力室の一部を構成する振動板(5)、及びこの振動板と一体的に形成される電気機械変換素子(6)により構成され、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生部材(13)とから成り、
前記電気機械変換素子(6)に電圧を印加することにより、前記ノズル(2)から液滴を吐出させる液体吐出装置を前提として、
複数の空間を区画する空間用側壁(24)が前記圧力室用側壁(23)に対応して形成されたフレーム部材(7)が、前記圧力発生部材(13)を覆うように設けられ、前記空間用側壁が前記振動板(5)に固定され、かつ前記振動板の両端部の剛性を低下させたことである。
【選択図】図2
Description
このように構成されるインクジェット式記録ヘッドは、インク導入口45からインクを取り込んで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路から外部配線52を介して入力される記録信号に従って、各圧力発生室32に対応するそれぞれの圧電素子48をたわみ変形させることにより、各圧力発生室32に圧力を発生させノズル開口35からインク滴を吐出させる。
また、このようなクロストークは、圧力発生室32で発生した圧力がリザーバ(共通液室)49を介して他の圧力発生室へ伝わることによっても発生する。このようなクロストークを防止するには、圧力発生室32からリザーバ49へつながるインク供給路34の断面積を小さくし、圧力が伝わり難くしていたが、断面積を小さくすることにより、インクの供給速度が遅くなり、インクを粒子化する応答周波数が低くなる、つまり記録速度が低下するなどの問題があった。
このように構成される液滴吐出ヘッドでは、インクがインク供給孔75から共通リザーバ64内に供給され、さらに個々の供給口63から各吐出室62とノズル連通孔61を経て、ノズル孔56の先端まで満たされて、駆動制御回路により電極取り出し部76を経て個別電極72に駆動信号(パルス電圧)が供給されると、この個別電極72にはパルス電圧が印加され、これに対応する振動板66はマイナスに帯電する。このとき、個別電極72と振動板66の間には静電気力(クーロン力)が発生し、振動板66がたわみ変形して吐出室62に圧力が発生する。この圧力により吐出室62内のインクの一部がノズル連通孔61を通り、インク滴となってノズル孔56から吐出される。
しかし、これではノズル孔56と同一面に十分な体積を有するリザーバ64を設けることになり、流路基板60の面積が大きくなってしまう等の不具合が発生し、充分にリザーバ64を大きくすることができなくなり、クロストークの防止には不十分なものであった。
(1) 本発明に係る液体吐出装置(請求項1に対応)は、圧力室用側壁により区画された複数の圧力室と、
前記複数の圧力室にそれぞれ連通して設けられたノズル及び液体供給路と、
前記圧力室の一部を構成する振動板、及びこの振動板と一体的に形成される電気機械変換素子により構成され、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生部材とから成り、
前記電気機械変換素子に電圧を印加することにより、前記ノズルから液滴を吐出させる液体吐出装置を前提として、
複数の空間を区画する空間用側壁が前記圧力室用側壁に対応して形成されたフレーム部材が、前記圧力発生部材を覆うように設けられ、前記空間用側壁が前記振動板に固定され、かつ前記振動板の両端部の剛性を低下させたことである。
また、高集積ヘッドほど圧力室を高密度に配列することが必要になり、隣接する圧力室を区切る側壁の幅は必然的に薄くなり、剛性が不足することになる。
これを防止するために、上記のように構成することによって、フレーム7の側壁(空間用側壁)24と基板4の側壁(圧力室用側壁)23で振動板5を挟む構造として剛性を高めると同時に、振動板5の両端部に切り欠き25を形成し、剛性を効率よく低くして振動板5の変位力が隣接する振動板や圧力室用側壁23に伝達しないようにしたので、クロストークの発生を殆ど防止することができる。
クロストークを低減する方法の1つとして共通液室の体積を増大する方法があるが、従来の構造では共通液室を大きく取ると、圧力室を形成するシリコン基板の面積が増大して、資源が多く必要となりコスト高となる。
上記のように構成することによって、共通液室8と圧力室3で圧力発生部材13を挟む位置関係にすることになり、液体吐出装置に用いるシリコン基板の必要面積を最小限に減らすことができる。
ゴミなどの混入を防止するには区画された空間26を密閉した方が良いが、密閉してしまうと、環境変化などによる空間26内の空気などの膨張又は収縮が、振動板5の変位特性に影響を及ぼすことになる。
上記のように構成することによって、空間26を大気と連通することになり、安定した変位特性を保持することができ、液体吐出装置の特性を良好に維持することができる。
さらにコストダウンを図るには、部品単体から個別に加工するより、ウェハレベルでの一括加工/接合後、切断して次の工程に移すことによって、さらなるコストダウンをすることができる。したがって、各材料は熱膨張係数がほぼ同等であること、異種材料の切断加工の容易性、その材料の加工精度、及び材料コストなどを考慮して組み合わせることが重要である。
上記のように構成することによって、基板4をシリコン基板とし(高集積化が可能で、加工精度を高くできる)、フレーム部材をガラスとする(そこそこの精度で加工でき、材料コストを安くできる)ことになり、最も好ましい組み合わせにすることができる。
このように構成することによって、複数の圧力室を千鳥配列とすることになり、液体吐出装置において、より一層の小型化、高集積化、及び低コスト化を実現することが可能である。
(1) 請求項1に係る発明
フレームの側壁(空間用側壁)と基板の側壁(圧力室用側壁)で振動板を挟む構造として剛性を高めると同時に、振動板の両端部に切り欠きを形成し、剛性を効率よく低くして振動板の変位力が隣接する振動板や圧力室用側壁に伝達しないようにしたので、クロストークの発生を防止すると共に、小型化や高集積化を図ることができる。
共通液室と圧力室で圧力発生部材を挟む位置関係にすることによって、液体吐出装置に用いるシリコン基板の必要面積を最小限に減らすことができるので、低コスト化を図ることができる。
(3) 請求項3に係る発明
空間用側壁で区画される空間を大気と連通することにより、振動板の安定した変位特性を保持することができるので、液体吐出装置の特性を良好に維持することが可能である。
基板をシリコン基板とすることによって、高集積化が可能になり加工精度を高くすることができる。また、フレーム部材をガラスとすることによって、そこそこの精度で加工することができ材料コストを安くすることができる。
したがって、基板をシリコン基板とし、フレーム部材をガラスとすることによって、最も好ましい組み合わせにすることができる。
(5) 請求項5に係る発明
液体吐出装置において、複数の圧力室を千鳥配列とすることによって、上記請求項1〜請求項4に係る発明の効果と相俟って、より一層の小型化、高集積化、及び低コスト化を実現することができる。
本実施例1のインクジェットヘッドは、ノズル2が形成されている樹脂又は金属で構成されるノズル板1と、複数の圧力室3が設けられた基板4が接合されている。この基板4は、ガラスや薄い金属板の積層体、好ましくはシリコン基板で作製されている。ノズル板1に対抗する圧力室3の反対側の面には、非常に薄い振動板5が形成されている。この振動板5はSOI(Silicon On Insurator)基板のSiO2層で形成し、シリコン基板をエッチングして圧力室3を形成するときのエッチングストップ層として使うことができる。また、振動板5は、Si02、SiNなどで成膜した振動板にすることにより、SOI基板より安価になるので、コストダウンを図ることができる。
上記薄膜PZT6の上部には、これを囲むように樹脂、シリコン基板、又は金属などで構成されるフレーム(フレーム部材)7が、基板4に接着剤10により接合されて設けられている。このフレーム7としては、好ましくは比較的安く、加工精度もあり、かつ熱膨張率が基板4と同程度であり、厚さも比較的自由に選択することができるガラス製のものが良い。これにより、共通液室8の深さも十分深くすることができ、クロストークをある程度防止できる体積を確保することができる。
上記薄膜PZT6の曲がり方向が一様になるように、上記振動板5の一部の剛性を変えるようにすると良い。一般的には図6に示すように、薄膜PZT6の変位状態は伸びる部分と縮む部分が混在し、変曲点が存在する。これは効率的に考えると非常に効率が悪いものである。一方、図7に示されるものでは、振動板5が切り欠き25を備えているため、変曲点がこの切り欠き部に移動し、薄膜PZT6は一様な方向へ曲がることができるため、非常に効率が良いものである。
これにより、インクジェットヘッドにおいて、クロストークの低減、小型化、低コスト化、及び高集積化を同時に実現することができる。
特に、シリコン基板によって基板4を製造する場合、必要な面積を極力小さくし、いわゆる取り数(シリコン基板1枚から取れる基板4の個数)を多くすることが、コストダウンをする上で重要なことである。しかも、基板4の加工は、圧力室3のエッチングと貫通口9bのみであり、非常に安い加工コストで済むことになる。
本実施例2のインクジェットヘッドは、ノズル2を千鳥配置に並べた例であり、フレーム(フレーム部材)7の中央にはFPC(フレキシブルプリント基板)17を取り出す開口部16が設けられており、この開口部16の両側にはそれぞれ共通液室8が設けられている。フレーム7には共通液室8を密閉するように、樹脂やガラスなどで作製された上蓋21が接合されている。この上蓋21には、図示していないインクカートリッジからインクが供給される供給口20が設けられている。この供給口20は各共通液室8の両端部に設けられ、インクは循環するように供給されている。また、上記上蓋21にはフレーム7の開口部16とほぼ同程度の開口部22が設けられ、FPC17が取り出せるようになっている。上記供給口20から入ったインクは共通液室8を満たし、液体供給路9から圧力室3に供給される。
したがって、高集積ヘッドほど本発明による効果が高いことが分かる。
3…圧力室 4…基板
5…振動板 6…電気機械変換素子(圧電素子)
7…フレーム(フレーム部材) 8…共通液室
9…液体供給路 9a…フレーム貫通口
9b…基板貫通口 10…接着剤
11…FPC(フレキシブルプリント基板)
12…ドライバーIC(ドライバー集積回路)
13…圧力発生部材 14…流体抵抗部の幅
15…圧力室の幅 16…フレーム開口部
17…FPC(フレキシブルプリント基板)
18…ドライバーIC(ドライバー集積回路)
20…供給口 21…上蓋
22…上蓋開口部 23…圧力室用側壁
24…空間用側壁 25…切り欠き
26…空間
Claims (5)
- 圧力室用側壁により区画された複数の圧力室と、
前記複数の圧力室にそれぞれ連通して設けられたノズル及び液体供給路と、
前記圧力室の一部を構成する振動板、及びこの振動板と一体的に形成される電気機械変換素子により構成され、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生部材とから成り、
前記電気機械変換素子に電圧を印加することにより、前記ノズルから液滴を吐出させる液体吐出装置において、
複数の空間を区画する空間用側壁が前記圧力室用側壁に対応して形成されたフレーム部材が、前記圧力発生部材を覆うように設けられ、前記空間用側壁が前記振動板に固定され、かつ前記振動板の両端部の剛性を低下させたことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記圧力発生部材が設けられた領域を、前記共通液室の少なくとも一部と前記圧力室の少なくとも一部により挟む位置関係としたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記空間用側壁で区画される空間は、大気に連通していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記圧力室をシリコン基板で形成すると共に、前記フレーム部材をガラスで形成することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置。
- 前記複数の圧力室が2列に千鳥配置され、前記液体供給路に連通する共通液室が、前記フレーム部材に前記各列の複数の圧力室に対応して設けられ、これらの共通液室の間に前記電気機械変換素子の電極に接続される電極引き出し部材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体吐出装置。
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