JP2010540953A - 膵炎、敗血症および膵臓癌のためのグリコシル化マーカー - Google Patents

膵炎、敗血症および膵臓癌のためのグリコシル化マーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、癌および慢性炎症の診断および予後診断、ならびに、さらに慢性炎症によって媒介される疾病の診断および予後診断における使用のための新規なバイオマーカーを提供する。当該バイオマーカーは糖タンパク質であり、発明者により、そのレベルは特定の病状に対応するように関連付けられた。本発明は、癌または慢性炎症性の症状の処置の治療への反応をモニターするための方法にまでさらにおよぶ。
【選択図】図5

Description

本発明は、グリコシル化の分析に基づき、疾病を診断およびモニターする方法に関する。特に、本発明は、敗血症、膵炎および膵臓癌を診断ならびにモニターする方法に関する。
炎症反応は、刺激(感染または組織損傷など)に対する反応において生じる一連の細胞および分子の事象を含む。しかし、急性期反応の間の免疫媒介物(サイトカイン、プロスタグランジンおよびロイコトリエンなど)の様式の相違は、炎症の性質および部位に応じて、異なる病態生理学的症状において生じる。疾病の発生および進行の間のグリカン構造の変化は、グリコシルトランスフェラーゼの発現の変化、その細胞内局在および安定性、活性化糖ヌクレオチドの有効性および輸送、ならびに糖タンパク質アクセプターの細胞内輸送を含む非常に複雑、かつ十分に理解されていない工程である。炎症の間のグリコシル化の変化は、動物モデルおよびいくつかの個々のヒト急性期タンパク質において示された。異なる炎症性疾患における、変化したオリゴ糖分枝およびα−1 酸性糖タンパク質の増加したシアリル化および免疫グロブリン IgGの変化したガラクトシル化は、顕著な例である。
敗血症は、感染に対する全身性反応からもたらされる臨床症状である。敗血症の間の病態生理学的事象の大部分は、過剰反応または制御されない炎症反応からもたらされるため、これらの工程の理解に対するいずれかの寄与は、治療法の開発において価値を有するだろう。
膵炎は、膵臓内の酸素の活性化によって引き起こされる膵臓組織の炎症性疾患である。急性膵炎は、全身性炎症反応を含むが、しかし、バクテリア感染は、疾病の発症の初期段階の間には認められない。迅速な治療は、後の合併症のリスクを減少させることができるため、膵炎の早期診断は重要である。しかし、現在、この潜在的に重篤な疾病の発生および進行を予測するために使用することができる、信頼できる予後診断マーカーは明確に欠如している。
グリコシル化は、炎症の過程において重要であるという広く受け入れられた事実にも関わらず、敗血症におけるグリコシル化の変化の研究は十分ではなく、一方、膵炎におけるグリコシル化の変化については、現在までに取り組まれていない。
従って、敗血症または膵炎のいずれかに特異的なマーカー(当該マーカーは、これらの症状の予後診断および診断を可能にする)の同定について実質的なニーズがある。このようなマーカーは、疾病の進行のモニター、またさらに、これらの症状のそれぞれを治療するために使用される治療法に対する反応のモニターにおけるさらなる有用性を有する可能性がある。
詳細な実験の後、発明者らは、敗血症の診断または予後診断のための方法、またさらに、敗血症のための治療法を施されている被験者における治療に対する反応の評価のための方法における有用性を有する、グリコシル化におけるいくつかの定められた変化を同定した。グリコシル化におけるこれらの変化の同定および特徴づけは、(特に治療への反応における)これらの症状の診断、およびこれらの発症のモニターのために改善された方法の提供における特定の有用性を有する疾病特異的なマーカーを与える。
本発明の第1の態様によれば、敗血症の診断方法が与えられ、当該方法は、
− 被験者から試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加された(trisialylated)N−結合型グリカン、テトラシアル酸付加された(tetrasialylated)N−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを当該試験試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのマーカーの当該測定されたレベルに基づく診断を与える工程と、を含み、
当該診断は当該被験者における敗血症の存在または不存在を確認する。
ある実施態様では、敗血症はグラム陽性菌によって引き起こされる。ある実施態様では、当該敗血症はグラム陰性敗血症である。
発明者らは、敗血症の診断における同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、被験者の敗血症として定められる症状の診断における使用が与えられる。
ある実施態様では、敗血症はグラム陽性菌によって引き起こされる。ある実施態様では、当該敗血症はグラム陰性敗血症である。
発明者らは、敗血症の診断に加えて、本発明の第1の態様の方法およびマーカーは、被験者における敗血症の予後診断のための方法についてさらに有用性を有することをさらに同定した。
従って、本発明のさらなる態様は、被験者における敗血症の予後診断のための方法を与え、当該方法は、
− 被験者から試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを当該試験試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのマーカーの当該測定されたレベルに基づく予後診断を与える工程と、を含み、
当該予後診断は、当該被験者が敗血症を発症している可能性を確かめる。
ある実施態様では、敗血症はグラム陽性菌によって引き起こされる。ある実施態様では、当該敗血症はグラム陰性敗血症である。
発明者らは、敗血症の予後診断における同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの敗血症の予後診断における使用が与えられる。
ある実施態様では、敗血症はグラム陽性菌によって引き起こされる。ある実施態様では、当該敗血症はグラム陰性敗血症である。
さらに、本発明のマーカーおよび方法は、敗血症の治療またはこれに関連する少なくとも1つの症状の寛解のために被験者に施される、または施されている治療法に対する被験者による反応をモニターするための方法において有用性を有する。
従って、本発明のさらなる態様は、敗血症のための治療に対する反応をモニターするための方法であって、
− 最初の時点で入手した、被験者からの第1の試験試料を準備する工程と、
− 当該試料における少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程であって、当該マーカーは、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型 グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化、のうち少なくとも1つからなる群から選択される工程と、
− 当該第1の試料を入手した後の時点で当該被験者から得た少なくとも1つのさらなる試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを、当該少なくとも1つのさらなる試験試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのさらなる試料における当該少なくとも1つのマーカーのレベルと比較した場合の、当該第1の試料に存在する同様の少なくとも1つのマーカーの測定されたレベルとの比較に基づく治療に対する反応の評価を与える工程と、を含む方法を与える。
ある実施態様では、敗血症はグラム陽性菌によって引き起こされる。ある実施態様では、当該敗血症はグラム陰性敗血症である。
発明者らは、敗血症を治療するために被験者に提供される治療計画について、被験者による治療に対する反応の判定における当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、敗血症を治療するために被験者に施された処置に対する当該被験者の反応を判定するための方法における使用が与えられる。
ある実施態様では、敗血症はグラム陽性菌によって引き起こされる。ある実施態様では、当該敗血症はグラム陰性敗血症である。
治療への反応の診断、予後診断、または評価が、敗血症に関連する少なくとも1つの本発明の方法によって与えられる、ある実施態様では、当該診断または予後診断は、被験者が敗血症を有するかどうか、被験者がグラム陽性敗血症を有するかどうか、被験者が敗血症を有しないかどうか、または被験者がグラム陰性敗血症を有するかどうかなどの要素を判定できる可能性がある。
発明者らは、膵炎の診断もしくは予後診断のための方法、または、さらに、膵炎のための治療法を施されている被験者の治療に対する反応を評価するための方法における有用性を有するグリコシル化に基づいたバイオマーカーをさらに同定した。
本発明のさらなる態様によれば、膵炎を診断するための方法が提供され、当該方法は、
− 被験者から試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを当該試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのマーカーの当該測定されたレベルに基づく診断を与える工程と、を含み、
当該診断は、当該被験者における膵炎の存在または不存在を確かめる。
発明者らは、膵炎の診断における当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵炎の診断における使用が与えられる。
発明者らは、膵炎の診断に加えて、本発明の方法およびマーカーは、被験者における膵炎の予後診断のための方法におけるさらなる有用性を有することをさらに同定した。
従って、本発明のさらなる態様は、被験者における膵炎の予後診断のための方法を与え、当該方法は、
− 被験者から試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを当該試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのマーカーの当該測定されたレベルに基づいて予後診断を与える工程と、を含み、
当該予後診断は、当該被験者が膵炎を発症している可能性を確かめる。
発明者らは、膵炎の予後診断における当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵炎の予後診断における使用が与えられる。
さらに、本発明のマーカーおよび方法は、膵炎のための治療法に対する被験者による反応をモニターするための方法における有用性を有する。
従って、本発明のさらなる態様は、膵炎のための治療に対する反応をモニターするための方法であって、
− 最初の時点で入手した、被験者からの第1の試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程と、
− 当該第1の試料を入手した後の時点で当該被験者から得た少なくとも1つのさらなる試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを当該少なくとも1つのさらなる試験試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのさらなる試料における当該少なくとも1つのマーカーのレベルと比較した場合の、当該第1の試料に存在する同様の少なくとも1つのマーカーの測定されたレベルとの比較に基づいて治療に対する反応の評価を与える工程と、を含む方法を与える。
発明者らは、膵炎を治療するために被験者に提供される治療計画における、当該被験者による治療に対する反応の判定における当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵炎を治療するために被験者に施される処置に対する当該被験者の反応を判定するための使用が与えられる。
治療に対する反応の診断、予後診断、または評価が、膵炎に関連する本発明の少なくとも1つの方法によって与えられる、ある実施態様では、当該診断または予後診断は、被験者が膵炎、または急性膵炎を有するかどうか、被験者が膵炎を有さないかどうか、などの要素を判定できる可能性があり、さらに、疾病の進行および/または重症度の段階の特徴づけの決定についての確定または補助における有用性を有する可能性がある。
発明者らは、膵臓癌の診断または予後診断のための方法、または、さらに、膵臓癌のための治療法を施されている被験者における治療に対する反応を評価するための方法における有用性を有するグリコシル化に基づいたバイオマーカーをさらに同定した。
本発明のさらなる態様によれば、膵臓癌の診断のための方法が与えられ、当該方法は、
− 被験者から試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーの当該試料中に存在するレベルを測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのマーカーの当該測定されたレベルに基づく診断を与える工程と、を含み、
当該診断は、当該被験者における膵臓癌の存在または不存在を確かめる。
発明者らは、膵臓癌を診断するための方法における当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵臓癌の診断における使用が与えられる。
発明者らは、膵臓癌の診断に加えて、本発明の方法およびマーカーは、被験者における膵臓癌の予後診断のための方法におけるさらなる有用性を有することをさらに同定した。
従って、本発明のさらなる態様は、被験者における膵臓癌の予後診断のための方法を与え、当該方法は、
− 被験者から試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのマーカーの当該測定されたレベルに基づく予後診断を与える工程と、を含み、
当該予後診断は、被験者が膵臓癌を発症している可能性を確認する。
発明者らは、膵臓癌の予後診断における当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵臓癌の予後診断における使用が与えられる。
さらに、本発明のマーカーおよび方法は、膵臓癌のための治療法に対する被験者による反応をモニターするための方法における有用性を有する。
従って、本発明のさらなる態様は、膵臓癌のための処置の治療に対する反応をモニターするための方法であって、
− 最初の時点で入手した、被験者からの第1の試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程と、
− 当該第1の試料を入手した後の時点で当該被験者から得た少なくとも1つのさらなる試験試料を準備する工程と、
− N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを、当該少なくとも1つのさらなる試験試料において測定する工程と、
− 当該少なくとも1つのさらなる試料における当該少なくとも1つのマーカーのレベルと比較した場合の、当該第1の試料に存在する同様の少なくとも1つのマーカーの測定されたレベルとの比較に基づく治療に対する反応の評価を与える工程と、を含む方法を与える。
発明者らは、膵臓癌を治療するために被験者に提供された治療計画について、当該被験者による治療への反応の判定における、当該同定されたバイオマーカーの有用性をさらに認識した。
従って、本発明のさらなる態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵臓癌を治療するために被験者に施された処置に対する当該被験者の反応の判定における使用が与えられる。
治療に対する反応の診断、予後診断、または評価が、膵臓癌に関連する本発明の方法のうちの少なくとも1つによって与えられる、ある実施態様では、当該診断または予後診断は、被験者が膵臓癌または急性膵臓癌を有するかどうか、被験者が膵臓癌を有さないかどうか、などの要因を判定することができる可能性があり、さらに、疾病の進行および/または重症度の段階の特徴づけの決定における確定または補助における有用性を有する可能性がある。
ある実施態様では、被験者は哺乳類(典型的にヒト)である。
ある実施態様では、試験試料は、基本的に、当該技術分野で公知のいずれかの適した技術によって入手され、体液の試料、体組織、または糖タンパク質を含む他の試料を含むことができるが、これらに限定されない。さらなる例としては、全血清、血漿、血液、尿、痰、***、精漿、胸水、腹水、乳頭吸引液、糞便または唾液が挙げられるが、これらに限定されない。
膵炎もしくは膵臓癌の診断または予後診断に関連する本発明の実施態様では、典型的に、膵臓組織が使用される。あるいは、ある実施態様では、試料は、腫瘍細胞由来のものが与えられる可能性がある。
ある実施態様では、試験試料中の当該1つ以上のマーカーのレベルは、診断、予後診断および/または反応を決定するために、対照試料中の当該1つ以上のマーカーのレベルと比較される。
例えば、1つの実施態様では、N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化の比率、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン;N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォーム、シアリルルイスx N−結合型構造グリカン A3FG3S3およびN−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1のうち1つ以上のレベルの増加;N−結合型グリカン上のマンノース構造およびN−結合型グリカンの分枝の程度のレベルのうち1つ以上の変化;ならびに/またはトリシアル酸付加された三分岐 N−結合型グリカン A3G3S3およびフコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率のうち1つ以上のレベルの低下は、膵炎および/または敗血症の存在を示す。
当該1つ以上のマーカーの試験試料中におけるレベルの測定により、膵炎を敗血症と区別することがさらにできる。例えば、1つの実施態様では、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3のレベルの連続的な増加および/またはオリゴマンノース構造のレベルの連続的な減少は、膵炎を示す。用語「連続的な増加」/「連続的な減少」は、本願明細書においては、レベルが一定の期間にわたって増加/減少し続けることを意味するように理解される。レベルを評価できる典型的な期間は、2日間、より好ましくは4日間、さらにより好ましくは8日間以上である。
当該1つ以上のマーカーの試験試料中におけるレベルの測定によって、さらに、膵炎および/または敗血症を、癌(例えば膵臓癌)と区別することができる可能性がある。1つの実施態様では、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率の増加は、膵炎または敗血症のいずれか(しかし癌ではない)を示す。1つの実施態様では、N−結合型グリカンのコアのフコシル化の増加は、膵臓癌(しかし膵炎ではない)または敗血症を示す。
当該マーカーは、例えば、全試料から、試料からの糖タンパク質のプールから、または試料から精製された1つ以上のタンパク質で検出することができる。
従って、1つの実施態様では、N−結合型グリカンプールは、(例えば、グリコシダーゼの消化による糖タンパク質の精製を行っていない血清からの)試験試料中の総糖タンパク質から遊離され、当該グリカンプール中の1つ以上のマーカーのレベルが測定される。グリカンマーカーは、特定のタンパク質、例えば、1つ以上の急性期タンパク質(例えば、血清アミロイドA、ハプトグロビン、α1−酸性糖タンパク質、α1−アンチトリプシン、α1−抗キモトリプシン、フィブリノーゲン、トランスフェリン、補体 C3、α2−マクログロブリン、プロトロンビン、第VIII因子、フォン・ヴィルブランド因子またはプラスミノーゲン)または興味ある他の血清タンパク質(単数または複数)上で任意に検出される。
特定のタンパク質上のマーカーは、試料からのタンパク質の精製の有無に関わらず検出できる。従って、1つの実施態様では、1つ以上のタンパク質(例えば、1つ以上の急性期タンパク質)は、当該タンパク質上の1つ以上のマーカーのレベルの測定の前に、試験試料から単離される。HPLCによるグリカンマーカーのハイスループット解析の前に、急性期タンパク質を単離するための、急性期タンパク質のアフィニティー精製は、本願明細書の実施例に記載される。当該試料は、必要に応じて、マーカーの検出の前に処理することができ、例えば、細胞および/または組織は、細胞内糖タンパク質マーカーの検出のために、任意に溶解される。
当該1つ以上のマーカーの試験試料中のレベルは、基本的に、いずれかの簡便な技術または技術の組み合わせによって決定することができる。例えば、当該マーカーは、クロマトグラフィー(例えば、順相または弱陰イオン交換HPLC)、質量分析、ゲル電気泳動(例えば、1次元または2次元のゲル電気泳動)および/またはイムノアッセイ(例えば、イムノPCR、ELISA、レクチンELISA、ウエスタンブロット、またはレクチン イムノアッセイ)を、試料またはこれらの誘導体もしくは成分(例えば、血清、血清分画、細胞溶解液または組織溶解液、グリカンプール、単離されたタンパク質など)について行うことによって検出できる。例えば、本願明細書下記の実施例、および米国特許出願公開第20060269974号明細書(Dwekらによる、表題「Glycosylation markers for cancer diagnosing and monitoring」)、米国特許出願公開第20060270048号明細書(Dwekらによる、表題「Automated strategy for identifying physiological glycosylation marker(s)」)、および米国特許出願公開第20060269979号明細書(Dwekらによる、表題「High throughput glycan analysis for diagnosing and monitoring rheumatoid arthritis and other autoimmune diseases」)を参照。
本発明の前述の実施態様に記載されたように、本発明の様々な態様は、治療に対する被験者の反応のモニターにおける有用性を有する方法にまでおよぶ。従って、当該被験者が、膵炎、敗血症および膵臓癌からなる群から選択される症状について以前に診断されている実施態様の1つのクラスでは、当該方法は、当該症状について当該被験者を治療することと、当該治療の開始の前に当該被験者から得た第1の試験試料を準備することと、当該治療の開始後に当該被験者から得た第2の試験試料を準備することと、当該治療に対する当該被験者の反応をモニターするために当該第1の試験試料中の当該1つ以上のマーカーのレベルを、当該第2の試験試料のものと比較することと、を含む。
任意に、本願明細書に記載された2つ以上(例えば、3、4、5または6またはそれ以上)のマーカーの試験試料中のレベルが測定される。同様に、本願明細書に記載されたマーカーは、当該症状のための他のマーカー(例えば、グリコシル化マーカー、遺伝子マーカーおよび/またはタンパク質マーカーなど)と組み合わせて使用できる。従って、例えば、当該方法は、1つ以上のさらなるマーカーの試験試料、または被験者から得た別の臨床試料中のレベルを測定する工程、および1つ以上のマーカーのレベルおよび1つ以上のさらなるマーカーのレベルから診断、予後診断および/または反応を判定する工程を含むことができる。
当該方法は、当該1つ以上のマーカーのレベルに基づき、被験者の膵炎、敗血症もしくは膵臓癌の治療に対する反応を診断、予後診断および/またはモニターする工程を任意に含む。
組成物(例えば、本発明の方法の実行において有用な組成物、または本発明の方法を実行している間に形成される組成物)は、本発明の別の特徴である。例えば、本発明の組成物は、試料中のマーカーのレベルを測定するために他の試薬と任意に組み合わせて、本発明のマーカーのうちの1つに対する抗体を任意に含む。
従って、実施態様の1つの代表的な一般的クラスは、グリコフォームが、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3、フコシル化 N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォーム、N−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態、ならびにN−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態および非フコシル化形態のうち1つ以上を含む、第1のタンパク質の第1のグリコフォームに対する第1の抗体を含む組成物を与える。
当該組成物は、第1のタンパク質(例えば、急性期タンパク質または他の血清タンパク質または興味のあるタンパク質)の第1のグリコフォーム、被験者から得た試料、レクチン、1次抗体に対する2次抗体、(共有結合または非共有結合の、かつ、マルチプレックスアッセイのため、組成物中の他の抗体上のいずれかの他のタグと任意に識別可能な)1次抗体と関連した核酸タグ、当該第1のタンパク質の第2のグリコフォームに対する2次抗体、および/または第2のタンパク質のグリコフォームに対する3次抗体を任意に含む。2次抗体またはレクチンは、(例えば、蛍光標識または酵素で)任意に標識され、または標識に結合するように形成される(例えば、ビオチン化される)。当該組成物は、核酸タグ(単数または複数)を増幅するための試薬(例えば、ポリメラーゼ、ヌクレオチドなど)、レクチンまたは2次抗体を検出するための試薬(例えば、蛍光発生基質または比色分析基質)などを含むことができる。
当該組成物の1つ以上の要素を含むキットもまた、本発明の特徴である。例えば、キットは、上記の抗体、および任意にまた、レクチン、1次抗体に対する2次抗体、当該第1のタンパク質の第2のグリコフォームに対する2次抗体、第2のタンパク質のグリコフォームに対する3次抗体、核酸タグ(単数または複数)を増幅するための試薬、レクチンまたは2次抗体を検出するための試薬、および/または同様のものを、1つ以上の容器に詰められて含むことができる。典型的に、当該キットは、敗血症、膵炎もしくは膵臓癌を診断、予後診断またはモニターするために当該キットの要素を使用するための指示を含む。
上記関連を実行するためのシステムもまた、本発明の特徴である。典型的に、当該システムは、本発明の1つ以上のマーカーのレベルを、特定の診断、予後診断などと関連付けるシステムの命令を含むだろう。当該システムの命令は、マーカーのレベルについての検出された情報を、当該マーカーと、関連する表現型との間の相関を含むデータベースと比較することができる。当該システムは、例えば、自動化されたインターフェースまたはユーザー・インターフェースを通じた、マーカー検出情報に関する試料特異的な情報の出力、およびその情報とデータベースとの比較のための装置を含む。
当該システムは、1つ以上のマーカーのレベルを検出するための、1つ以上のデータ取得モジュールを含むことができる。これらは、例えば、試料の入手、試料の希釈または分注、マーカー物質(例えば、タンパク質)の精製、マーカーの検出などのために、試料ハンドラー(例えば、液体ハンドラー)、ロボティクス、マイクロ流体システム、タンパク質精製モジュール、検出器、クロマトグラフィー装置、質量分析計、サーモサイクラー、またはこれらの組み合わせを含むことができる。分析される試料、または上記で記載された組成物は、任意に当該システムの一部であり、または、それから分離するように考慮することができる。
ユーザーとインターフェースするためのシステムの構成要素が任意に提供される。例えば、当該システムは、コンピューターで実行されるシステムの命令の出力を見るためのユーザーが視認可能なディスプレイ、ユーザーのコマンドを入力し、当該システムを起動するための、ユーザー入力装置(例えば、キーボードまたはポインティング・デバイス(マウスなど))などを含むことができる。典型的に、興味のあるシステムは、コンピューターを含み、様々なコンピューターで実行されるシステムの命令がコンピューターソフトウェアで具体化され、例えば、コンピューター可読媒体上で保存される。
当業者は、対照からのレベルにおけるいずれかの統計的有意差は、診断、予後診断または反応の決定要因であり得ることを認識するだろう。顕著な変化または相違を示し、診断、予後診断または反応の決定要因となる可能性がある、被験者から得た試料中の1つ以上のマーカー(単数または複数)のレベルの、対照中のそのマーカー(単数または複数)のレベルとの相違の程度は、当業者の技量の範囲内で決定される。誤解を避けるため、かつ、明確さのため、顕著な変化は、マーカー(単数または複数)の測定されたレベルが、対照マーカー(単数または複数)のレベルに比べて、5、10、15または20%超変化するものであることが好ましい。
(定義)
他に定義されていない限り、本願明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関与する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。下記の定義は、当該技術分野におけるものを補い、本願に向けられ、いずれかの関連する、または無関係のケース(例えば、いずれかの共有に係る特許または出願)に帰属するものではない。本願明細書に記載されたものの類似物または均等物のいずれかの方法および物質は、本発明の試験のための実行において使用できるが、好ましい物質および方法が本願明細書に記載される。従って、本願明細書で使用される用語法は、特定の実施態様の記載のためだけのものであり、制限することを意図したものではない。
本願明細書および添付の請求項で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その、当該(the)」は、構成上明確に指示されていない限り、複数の参照対象を含む。従って、例えば、「1つの(a)タンパク質」への言及は、複数のタンパク質を含み、「1つの(a)細胞」は、細胞の混合物などを含む。
「アミノ酸配列」は、文脈に応じて、アミノ酸残基のポリマー(例えば、タンパク質)またはアミノ酸ポリマーを示す文字列である。
「ポリペプチド」または「タンパク質」は、2つ以上のアミノ酸残基を含むポリマーである。当該ポリマーは、非アミノ酸の要素(例えば、標識、消光剤、保護基など)をさらに含むことができ、修飾(例えば、グリコシル化など)を任意に含むことができる。当該ポリペプチドのアミノ酸残基は、天然型または非天然型であってもよく、非置換型、非修飾型、置換型または修飾型であってもよい。
用語「糖タンパク質」は、アミノ酸配列、および当該アミノ酸配列と関連する1つ以上のオリゴ糖(グリカン)構造を指す。所定の糖タンパク質は、1つ以上の「グリコフォーム」を有することができる。特定の糖タンパク質の各グリコフォームは、同じアミノ酸配列を有する。しかし、異なるグリコフォームと関連するグリカン(単数または複数)は、少なくとも1つのグリカンが異なる。
用語「グリカン」は、多糖(2つ以上の単糖残基を含むポリマー)を指す。「グリカン」はまた、複合糖質の炭水化物部分(糖タンパク質または糖脂質など)を指すために使用できる。グリカンは、単糖残基のホモポリマーまたはヘテロポリマーであってもよく、直鎖状または分枝状であってもよい。「N−結合型」グリカンは、タンパク質中のアスパラギン残基のR−基の窒素に結合することが見出され、一方「O−結合型」グリカンは、セリンまたはスレオニン残基のR−基の酸素に結合することが見出された。
グリカンの「GU値」(または「グルコース単位値(glucose unit value)」)は、そのおおよその大きさの程度を示す。GU値は、基本的に、クロマトグラフィーカラムからの特定のグリカンの溶出時間を表わす。実際の時間または量で表わされる溶出時間は、個々のカラム、その寿命などに依存して変化する可能性があるため、当該カラムは、グリコースオリゴマーの標準的な混合物で最初に較正される。
本願明細書全体における用語「A3FG1」は、自然に存在するA3FG1、およびシアリダーゼ、ガラクトシダーゼおよび/またはα1,2 フコシダーゼでのグリカンの消化によって得られるA3FG1の両方を含む。従って、用語「SLeの消化由来のA3FG1」は、本願明細書において、自然に存在するA3FG1およびSLeの消化由来のA3FG1を含むことが理解される。
「急性期タンパク質」は、炎症に対する反応において血漿濃度が増加(陽性急性期タンパク質)または減少(陰性急性期タンパク質)する(例えば、25%以上)タンパク質である。
用語「被験者」は、動物(より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒト)を指す。典型的に、当該被験者は、興味のある疾病、障害、または症状(例えば、癌または慢性炎症)を有する、またはこれらを有する疑いがあることが知られている。
用語「マーカー」は、被験者から入手した生物学的試料中で検出可能であり、当該被験者における興味のある疾病、障害、または症状(または、疾病、障害、もしくは症状に対する感受性)を示す分子を指す。本発明における特に興味のあるマーカーは、疾病、障害、または症状を有する個体から得た試料と、健康な対照から得た試料との間のグリコシル化の相違を示すグリカンおよび糖タンパク質を含む。
「対照試料」は、興味のある疾病、障害、または症状(例えば、癌または慢性炎症)に罹患していない単一の個体由来であってもよく、または2以上のこのような個体から貯えられた試料であってもよい。
本発明の構成では、用語「単離された」は、その自然に存在する環境において、通常付随または相互作用する成分を実質的に含まない生物学的物質(タンパク質など)を指す。当該単離された物質は、その自然の環境(例えば、細胞)において当該物質と共には見出されない物質を任意に含む。例えば、細胞または血清から単離されたタンパク質は、細胞または血清から、精製または部分的に精製できる。
「イムノアッセイ」は、抗原への抗体の特異的な結合を利用し、試料中の抗原を同定および/または定量化する。イムノアッセイは、(1つの抗原または複数の抗原に対する)1つの抗体または2つ以上の抗体を含む可能性がある。
様々なさらなる用語は、本願明細書において定義され、または別なふうに特徴付けられる。
(a)疾病の1、2、4および8日目における敗血症の患者から得た血清タンパク質、(b)疾病の1、2、5および8日目における急性膵炎の患者から得た血清タンパク質、ならびに(c)健康な対照から得た血清タンパク質、から遊離されたN−グリカンの順相クロマトグラムを示す。ピーク 1−26において同定されたグリカン構造は、表1に示される。調査期間を通じて持続された変化は、矢印で印を付けた。試料 S1上の拡大した四角形は、この縮尺ではよく見えないが、全てのピークは明確に検出可能であることを示す。 敗血症(8日目)試料からの6つのN−グリカンの陰イオン ナノ−ESI MS/MS スペクトルを示す。(a)主要な診断上の切断部位を示す構造を有するManGlcNAc。このオリゴマンノースグリカン、および他のオリゴマンノースグリカンにおける、3−アンテナおよび6−アンテナ上の分枝のパターンは、D、[D−18]およびO,3R−2 イオンの質量によって示される。(b)二分岐型グリカン GalGlcNAcMan(A2G2)。F−型イオン(m/z 424)は、Gal−GlcNAc アンテナを示し、C イオン(m/z 179)は、ガラクトースを非還元末端に位置付ける。6−アンテナの組成物は、Dおよび[D−18] イオン(それぞれ、m/z 688および670)によって与えられる。(c)フコシル化され二分された二分岐型グリカン。フコースの位置は、2,4、Bおよび2,4R−1 イオン(それぞれ、m/z 1681、1621および1478)の質量によって明らかにされた(フコースは失われた)。[D−221]に対応するm/z 670でのイオンは、二分しているGlcNAcの存在についての診断となる。(d)三分岐グリカン GalGlcNAcMan(A3G3)。異性体の混合物。E−型のイオン(m/z 831)およびD/[D−18] イオン(m/z 688/670)は、分枝3−アンテナを有する異性体についての診断となる。D、[D−18]および[D−36]イオン(それぞれ、m/z 1053、1035および1017)は、分枝6−アンテナを有する異性体の存在を示す。(e)フコシル化された三分岐グリカン GalGlcNAcManFuc(A3G3FおよびFcA3G3)。コア−フコシル化およびアンテナ−フコシル化の存在は、2,4、Bおよび2,4R−1 イオン(それぞれ、m/z 1989.7、1929.7および1786.6、ならびにm/z 1843.7、1783.6および1640.6)の2つのセットによって示される。F−型イオン(m/z 570)は、アンテナ−フコシル化を裏付け、Gal−Fuc イオン(m/z 325)の不存在は、ルイス X エピトープを形成しているGlcNAc上のフコース置換を示す。E イオン(m/z 977)は、当該アンテナ−フコースが3−アンテナ上で置換されていることを示す。(f)テトラ−アンテナ グリカン GalGlcNAcMan(A4G4)。分枝は、E(m/z 831)およびD/[D−18]/[D−36] イオン(それぞれ、m/z 1053、1035および1017)によって示される。 正常な患者(a)および8日目の敗血症の患者(b)および膵炎の患者(c)の血清からの脱シアル化グリカンのMALDI−TOF 質量スペクトルを示す。スペクトルは平坦にされ(Savitsky−Golay 2×2)、ピークを表2に記載されたピークの質量で表示した。 トリシアル酸付加されたA3G3S3およびA3G3S3Fの構造における変化を示す。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、シアル酸の数に従って、WAX−HPLCによって分離される。トリシアル酸付加された分画は回収され、物質および方法の項で記載されるように、NP−HPLCによって分析される。パネルA − 1日目(S1)の敗血症および8日目(S8)の当該疾病の患者、疾病の1日目(P1)の膵炎および8日目(P8)の当該疾病の患者ならびに対照血清(C)のトリシアル酸付加された分画のNP−HPLC プロファイル。 トリシアル酸付加されたA3G3S3およびA3G3S3Fの構造における変化を示す。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、シアル酸の数に従って、WAX−HPLCによって分離される。トリシアル酸付加された分画は回収され、物質および方法の項で記載されるように、NP−HPLCによって分析される。パネルB − 敗血症および膵炎の最初の8日間のA3G3S3およびA3G3S3Fの構造の変化。 テトラシアル酸付加された構造における変化を示す。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、シアル酸の数に従って、WAX−HPLCによって分離される。テトラシアル酸付加された分画は回収され、物質および方法の項で記載されるように、NP−HPLCによって分析される。1日目(S1)の敗血症および8日目(S8)の当該疾病の患者、1日目(P1)の膵炎および8日目(P8)の当該疾病の患者ならびに対照血清(C)のテトラシアル酸付加されたグリカン分画のプロファイルが示される。 オリゴマンノース構造における変化を示す。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、WAX−HPLCによって分離される。中性分画は回収され、物質および方法の項で記載されるように、NP−HPLCによって分析される。パネルA − 1日目(S1)の敗血症および8日目(S8)の当該疾病の患者、1日目(P1)の膵炎および8日目(P8)の当該疾病の患者および対照血清(C)の中性グリカン分画のプロファイルが示される。主要なオリゴマンノース構造(Man6、Man7およびMan8)を含むピークが示される。Man5を含むピークはまた、タチナタマメ マンノシダーゼ消化に対して部分的に抵抗性であるため、FcA2Bも含んでいた(データは示していない)。 オリゴマンノース構造における変化を示す。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、WAX−HPLCによって分離される。中性分画は回収され、物質および方法の項で記載されるように、NP−HPLCによって分析される。パネルB − 敗血症の1日目(S1)および8日目(S8)、ならびに膵炎の1日目(P1)および8日目(P8)の間の、オリゴマンノースの構造における変化。マンノース構造は、中性グリカンの%として与えられる。 分枝の程度の変化。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、アルスロバクター ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)からのシアリダーゼ(ABS)、肺炎球菌からのβ−ガラクトシダーゼ(SPG)、およびウシ腎臓からのα−フコシダーゼ(BKF)の組み合わせで処理され、これにより、グリカンが塩基性のモノアンテナ、ビアンテナ、トリアンテナおよびテトラアンテナの構造に還元される。パネルA − ABS+SPG+BKF消化後のグリカンプールのNP−HPLCプロファイル。主要なコアグリカンの構造は、それらの対応するピークが上記に示される。 分枝の程度の変化。N−結合型グリカンは、血清タンパク質から遊離し、アルスロバクター ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)からのシアリダーゼ(ABS)、肺炎球菌からのβ−ガラクトシダーゼ(SPG)、およびウシ腎臓からのα−フコシダーゼ(BKF)の組み合わせで処理され、これにより、グリカンが塩基性のモノアンテナ、ビアンテナ、トリアンテナおよびテトラアンテナの構造に還元される。パネルB − 敗血症の1日目(S1)および8日目(S8)、ならびに膵炎の1日目(P1)および8日目(P8)の間の分枝の程度の変化は、全コア構造のうちの割合として示される。
本願明細書で使用される「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子もしくは免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にまたは部分的にコードされる1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質である。認識される免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμの定常部遺伝子、ならびに種々の免疫グロブリン可変部遺伝子が挙げられる。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、これは、次に、免疫グロブリンのクラス(それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE)を定める。典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含む。各テトラマーは、2つの同一の対のポリペプチド鎖からなり、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50−70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100〜110以上のアミノ酸の可変部を定める。用語、可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。抗体は、インタクトな免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼでの消化によって産生されたいくつかのよく特徴付けられた断片として存在する。従って、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域中のジスルフィド連鎖下の抗体を消化し、F(ab)’2(それ自身がジスルフィド結合によってVH−CH1に結合される軽鎖であるFabのダイマー)を産生する。当該F(ab)’2は、緩やかな条件下で還元されてもよく、ヒンジ領域中のジスルフィド連鎖を壊し、それによって(Fab’)2ダイマーをFab’モノマーに変換する。当該Fab’モノマーは、実質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology、W.E.Paul、編集、Raven Press、N.Y.(1999)を他の抗体断片のより詳細な説明のために参照)。様々な抗体断片は、インタクトな抗体の消化の面から定められる一方、当業者は、このようなFab’断片は、化学的に、または組み換えDNA法の使用によって新規に合成されてもよいことを認識するだろう。従って、本願明細書で使用される用語、抗体は、全抗体の修飾によって産生されるか、もしくは、組み換えDNA法を使用して新規に合成された抗体または断片を含む。抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ならびに複鎖抗体または単鎖抗体、((直接的に、またはペプチドリンカーを通じて)可変重鎖および可変軽鎖が共に結合され、連続的なポリペプチド、およびヒト化抗体またはキメラ抗体を形成する単鎖Fv(sFvまたはscFv)抗体を含む)が挙げられる。
抗体、例えば、本発明のグリカンマーカーを有するポリペプチドに特異的な抗体は、当該技術分野で周知の方法によって産生することができる。このような抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、Fab断片およびFab発現ライブラリーによって産生された断片を挙げることができるが、これらに限定されない。
ポリペプチドは、抗体産生のために生物学的活性を必要としない。しかし、当該ポリペプチドまたはオリゴペプチドは抗原性である。特異的な抗体を誘導するために使用されるペプチドは、典型的に、少なくとも約5のアミノ酸、しばしば少なくとも10または20のアミノ酸のアミノ酸配列を有する。ポリペプチドの短いストレッチは、任意に、別のタンパク質(キーホールリンペットヘモシアニン、および融合タンパク質またはポリペプチドに対して産生された抗体など)と融合できる。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を産生する多数の方法は、当業者に知られており、本発明のマーカーを有するポリペプチドに特異的な抗体を産生するように適合できる。例えば、Coligan(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene、ニューヨーク州;ならびにHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州;Stitesら(編集)Basic and Clinical Immunology(第4版)Lange Medical Publications、カリフォルニア州、ロスアルトス、およびこれに引用される参考文献;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)Academic Press、ニューヨーク州、ニューヨーク;Fundamental Immunology、例えば、第4版(または後の版)、W.E.Paul(編集)、Raven Press、ニューヨーク州(1998);ならびにKohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497、を参照。抗体調製のための他の適した技術としては、ファージまたは同様のベクターの組み換え抗体のライブラリーの選択が挙げられる。Huseら(1989)Science 246:1275−1281;およびWardら(1989)Nature 341:544−546を参照。抗体産生および工学技術についてのさらなる詳細は、米国特許第5,482,856号明細書、Borrebaeck(編集)(1995)Antibody Engineering、第2版 Freeman and Company、ニューヨーク州(Borrebaeck);McCaffertyら(1996)Antibody Engineering、A Practical Approach IRL、Oxford Press、英国、オックスフォード(McCafferty)、Paul(1995)Antibody Engineering Protocols Humana Press、Towata、ニュージャージー州(Paul)、Ostbergら(1983)Hybridoma 2:361−367、Ostberg、米国特許第4,634,664号明細書、およびEngelmanら 米国特許第4,634,666号明細書において見出すことができる。特異的なモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体および抗血清は、通常、少なくとも約0.1μM、好ましくは、少なくとも約0.01μMまたはそれ以上、最も典型的に、かつ好ましくは、0.001μMまたはそれ以上のKDで結合する。
(分子生物学的技術)
本発明の実行においては、分子生物学、微生物学、および組み換えDNA技術における多くの従来技術が任意に使用される。これらの技術は、周知であり、例えば、BergerおよびKimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology 第152巻 Academic Press社、カリフォルニア州、サンディエゴ;Sambrookら、Molecular Cloning−A Laboratory Manual(第3版)、第1−3巻、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク州、コールドスプリングハーバー、2000、およびCurrent Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら、編集、Current Protocols、Greene Publishing Associates社と、John Wiley & Sons社との間のジョイントベンチャー(2007年に補遣された)において説明されている。例えば、細胞単離および培養のための他の有用な参考文献としては、Freshney(1994)Culture of Animal Cells、a Manual of Basic Technique、第3版、Wiley−Liss、ニューヨーク州、およびそれに引用される参考文献;Payneら(1992)Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons社 ニューヨーク州、ニューヨーク;GamborgおよびPhillips(編集)(1995)Plant Cell,Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual、Springer−Verlag(ベルリン ハイデルベルグ ニューヨーク)、ならびにAtlasおよびParks(編集)The Handbook of Microbiological Media(1993)CRC Press、フロリダ州、ボーカラトーン、が挙げられる。核酸の作製方法(例えば、in vitroの増幅、細胞からの精製、または化学合成による)、核酸の操作方法(例えば、制限酵素消化、ライゲーションなどによる部位特異的な変異原性)、および核酸の操作および作製に有用な様々なベクター、細胞株などは、上記の参考文献に記載される。さらに、基本的にいずれのポリヌクレオチドも、いずれかの様々な市販の供給源から特別注文することができ、または標準的な注文をすることができる。
本願明細書に記載された他の参考文献に加えて、様々な精製方法/タンパク質精製方法が当該技術分野で周知であり、例えば、R.Scopes、Protein Purification、Springer−Verlag、ニューヨーク州(1982);Deutscher、Methods in Enzymology 第182巻:Guide to Protein Purification、Academic Press社 ニューヨーク州(1990);Sandana(1997)Bioseparation of Proteins、Academic Press社;Bollagら(1996)Protein Methods、第2版 Wiley−Liss、ニューヨーク州;Walker(1996)The Protein Protocols Handbook Humana Press、ニュージャージー州;HarrisおよびAngal(1990)Protein Purification Applications:A Practical Approach IRL Press(オックスフォード)、英国、オックスフォード;HarrisおよびAngal Protein Purification Methods:A Practical Approach IRL Press(オックスフォード)、英国、オックスフォード;Scopes(1993)Protein Purification:Principles and Practice 第3版 Springer Verlag、ニューヨーク州;JansonおよびRyden(1998)Protein Purification:Principles、High Resolution Methods and Applications、第2版 Wiley−VCH、ニューヨーク州;ならびにWalker(1998)Protein Protocols on CD−ROM Humana Press、ニュージャージー州;ならびにこれらに引用された参考文献に記載されたものが挙げられる。
本願明細書に記載された実施例および実施態様は、説明目的のみのためのものであり、これらを考慮した様々な改変または変化は、当業者に示唆を与え、本願の趣旨および範囲、ならびに添付の請求項の範囲内に含まれることが理解されるだろう。従って、下記の実施例は、請求項記載の発明を説明するために提供され、これを制限するものではない。
(物質および方法)
(血清試料)
血清試料は、ザグレブ大学病院で集めた。敗血症の患者および急性膵炎の患者からの血清は、病院への報告時、次いで、入院の最初の8日の間にさらに3回採取した。患者に、気分が悪くなった最初の日に病院に報告するように要求し、そして、この日を疾病の最初の日であると仮定した。健康な個体からの血液(性別および年齢によってマッチさせた)は、1回のみ採取した。対照被験者におけるいずれかの炎症性の症状の可能性は、C−反応性タンパク質を測定することによってさらに除いた(CRPは0.5mg/dLよりも低かった)。登録された患者は、敗血症または急性膵炎の臨床基準を満たし、かつ、参加するためにインフォームドコンセントに署名した個体である。この研究は1975年ヘルシンキ宣言の倫理指針に適合させ、ザグレブ大学病院センターならびにザグレブ大学 薬学および生化学部の機関審査委員会によって承認された。
(グリカン遊離および標識)
10μLの血清から得たN−グリカンを、以前に記載されたように(Royleら、論文投稿中)分析した。手短に言うと、血清から得た当該タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲルのブロックに固定化し、N−グリカンを、組み換え N−グリコシダーゼ F(PNGase F、ロシュ・ダイアグノスティックス)による消化によって遊離させた。抽出後、グリカンを2−アミノベンズアミド(LudgerTag 2−AB 標識キット Ludger社、英国、アビンドン)で蛍光標識した。
(順相(NP)−HPLC)
次いで、遊離したグリカンを、30℃で、50mM ギ酸(アンモニア溶液を用いてpH4.4にまで調整した)を溶剤Aとして、かつ、アセトニトリルを溶剤Bとして、TSK アミド−80 250×4.6mm カラム(Anachem、英国、ルートン)上の順相高速液体クロマトグラフィー(NP−HPLC)にかけた。2695 アライアンス セパレーション モジュール(ウォーターズ、マサチューセッツ州、ミルフォード)上で180および120分稼動させた。HPLCには、ウォーターズ 温度制御モジュールおよびウォーターズ 2475 蛍光検出器(励起波長および発光波長は、330および420nmに設定した)を備えた。当該システムを、加水分解され、かつ、2−AB標識されたグルコースオリゴマーの外部標準を使用して較正し、個々のグリカンの保持時間をグルコース単位(GU)に変換した(Royle、L.、Radcliffe、C.M.ら 2006)。グリカンを、その溶出位置に基づいて分析し、グルコース単位で測定し、次いで、仮構造の帰属について、「Glycobase」データベース(http://glycobase.ucd.ie/cgi−bin/glycobase.cgiで利用できる)の基準値と比較した(Royleらによる投稿)。
(弱陰イオン交換(WAX)−HPLC)
グリカンは、弱陰イオン交換 HPLCによって、シアル酸の数に従って分離した。分析をVydac 301VHP575 7.5×50−mmカラム(Anachem社、英国、ベッドフォードシャー州、ルートン)を使用して行った(Royle、L.、Radcliffe、C.M.ら 2006)。化合物を、その電荷密度に従ってカラム上に保持し、より高電荷の化合物は最も長く保持された。分離された分画を回収し、NP−HPLCにかけた。
(エキソグリコシダーゼ消化)
グリカン(総グリカンプールおよびWAXで分離された分画から得たものの両方)を、エキソグリコシダーゼ消化、次いでNP−HPLCによって配列決定した(Royle、L.、Radcliffe、C.M.ら 2006)。2−AB標識されたグリカンのエキソグリコシダーゼ消化は、プロザイム(米国、カリフォルニア州、サンリアンドロ)から入手した下記の酵素によって行った:α2−3,6,8 シアル酸特異的なABS(アルスロバクター ウレアファシエンス シアリダーゼ(グリコ(Glyko)シアリダーゼ A));NAN1(肺炎球菌ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ S))はα2−3,8 結合型シアル酸を放出する);BTG(β1−3,4および6結合型 ガラクトース特異的なウシ精巣 β−ガラクトシダーゼ);SPG(β1−4−結合型 ガラクトース特異的な肺炎球菌 β−ガラクトシダーゼ);BKF(ウシ腎臓 α−フコシダーゼ)はα1−2,6−フコースを3,4−フコースをよりもはるかに多く消化する;GUH(β−N−アセチル−グルコサミニダーゼ)はN−アセチルグルコサミンを消化する(しかし二分したものは消化しない);JBM(タチナタマメ α−マンノシダーゼ)、AMF(アーモンドミール α−フコシダーゼ)はα1−3/4−フコースを除去する;XMF、Xanthomonus sp.α1−2−フコシダーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ(英国、ハーツ州、ヒッチン)。試料を、一晩、37℃で、50mM 酢酸ナトリウムバッファー、pH 5.5中で(ただし、JBM消化は100mM 酢酸ナトリウム、2mM Zn2+、pH 5.0中で)インキュベーションした。
(質量分析)
(MALDI−TOF 質量分析)
遅延引き出し(delayed extraction)でのリフレクトロンモードで操作されたウォーターズ−マイクロマス(英国、マンチェスター)TofSpec 2E リフレクトロン−TOF 質量分析上の、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)による分析(Harvey、D.J.1993)の前に、脱シアル化グリカン試料(1μLの水溶液)を、ナフィオン 117 メンブレンで浄化した(Boernsen、K.O.、Mohr、M.D.、Widmer、H.M.1995)。
(ナノエレクトロスプレー質量分析)
ナノエレクトロスプレー質量分析を、ウォーターズ−マイクロマス 四重極飛行時間型(Q−Tof)ウルティマ グローバル インスツルメント(Ultima Global instrument)で行った。非2AB標識のグリカンの試料(0.5mM リン酸アンモニウムを含む1:1(体積:体積)メタノール:水中)を、Proxeon(Proxeon Biosystems、デンマーク、オーデンセ)ナノスプレー キャピラリーを通じて注入した(Harvey、D.J.、2005において詳述される)。
(結果)
敗血症または急性膵炎の患者の血清糖タンパク質からの主要なN−結合型グリカン構造を同定し、疾病の最初の8日間で定量化し、正常な血清糖タンパク質上に存在するグリカンと比較した。
(全血清のグリカンプロファイル)
N−結合型グリカンは、敗血症の患者および急性膵炎の患者から経時的に採取された血清、ならびに健康な個体から得た血清から遊離した。疾病の最初の8日の間の患者のNP−HPLC プロファイル、および健康な個体からのグリカンプロファイルを、図1に示した。各ピーク中のグリカンの構造は、エキソグリコシダーゼ消化、クロマトグラフィー(NP−HPLCおよびWAX−HPLC)および質量分析技術の組み合わせによって同定した。NP−HPLCおよびWAX−HPLCと、エキソグリコシダーゼ消化との組み合わせにより、インタクトな(シアル酸付加された)化合物(未消化のプロファイルに共溶出するものを含む)の同定および定量化が可能となった。クロマトグラフィーデータにおける構造の定量化は、全ての統合されたピークのうちの%として表現した。質量分析技術(脱シアル化された未標識のグリカン上で行った)は、クロマトグラフィーデータを補完し、三分岐グリカンの分枝様式などの詳細を与えた(詳細は、図2についての説明文を参照)。HPLC プロファイルの主要なピーク中のグリカン(記載された全ての技術の組み合わせによって同定した)を、相対的な割合と共に表1に記載した。これらの構造は、健康な個体について既に報告されたもの(Royleら、投稿中)と一致している。
Figure 2010540953
Figure 2010540953
Figure 2010540953
血清から遊離された未処置のグリカンプール中に存在する主要なグリカン構造(f=発見されたが、しかし、非常に少量であるか、または他のピークと区別できない(正確な面積値))。
表2は、MS技術によって同定されたグリカンの構造を記載し、図3は、対照患者と比較した脱シアル化グリカンのMALDI プロファイル(疾病の8日目に採取した)を示す。
Figure 2010540953
Figure 2010540953
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測定された質量は、ESI スペクトルについて0.1質量単位以内、MALDI−TOFについて0.3質量単位以内だった。グリカン構造の記号表現は:GlcNAc、黒色の四角;ガラクトース、白色の菱形;フコース、内側に点がある菱形;シアル酸、黒色の星;β連鎖、実線;α連鎖、点線;1−6連鎖、\;1−4連鎖、−;1−3連鎖、/;1−2連鎖、|(a.平均質量;b.α1−酸性糖タンパク質の公知の構造に基づく3−アンテナ上のフコースの位置)。
急性膵炎および敗血症の患者からのグリカンプロファイルの分析により、健康なプロファイルからのいくつかの偏位、および疾病の経過の間に生じた変化が同定された。両方の症状の最初の8日間の、最も明白かつ持続性の変化は、ピーク番号 20〜26(図1)における変化であり、シアリルルイスxの有無に関わらず、トリシアル酸付加された構造、およびテトラシアル酸付加された構造であるものとして同定された。
(シアリルルイスX 構造における変化)
グリカンプロファイル中のトリシアル酸付加された構造における変化は、調査期間中ずっと、両方の疾病において持続した。WAX−HPLCによって単離されたトリシアル酸付加されたグリカンのNP−HPLC 分析(図4)は、トリシアル酸付加されたグリカン A3G3S3の量が、フコシル化されたA3FG3S3(シアリルルイスX)の量に対して、調査期間の間、特に敗血症において減少したことを示した。非フコシル化形態は、敗血症において、総グリカンプール中で5.4から3.4%に減少し、膵炎では、これは6.5から5.5%に減少し、一方、健康な対照では、この分画は総グリカンプールのうち8%を示した。フコシル化されたシアリルルイスX形態は、敗血症において、6.6から6.8%に増加し、一方、膵炎では、この増加は、総グリカンプール中6.0から9.7%となって、対照における6%と比較してより明白である(表1参照)。
HPLCおよびエキソグリコシダーゼ配列決定は、アーモンドミール α−フコシダーゼ(AMF)で消化されたA3FG3S3構造は、GlcNAcに結合したフコース α1−3またはα1−4を除去し、このGlcNAc上のガラクトースはβ1−4 ガラクトシダーゼによって除去されることを示し、これは、ルイス A 構造というよりも、むしろルイス X 構造であることを示している。外腕のフコシル化はまた、脱シアル化されたモノフコシル化三分岐グリカン上の陰イオン MS/MS 分析によって(図2e)見出された。非コアフコースの位置は、MS/MS 分析中のGal−Fucに対応するCイオンの不存在によって、GlcNAc残基上に示された。
陰イオン MS/MSは、両方のコアおよび外腕がフコシル化された構造の存在を示した。アンテナ−モノ−フコシル化三分岐グリカンに対するコアの相対的な割合は、陰イオン MS/MS スペクトルにおける2,4 イオンの割合によって測定されたように、対照試料の34%のアンテナおよび66%のコアであり、一方、敗血症(1日目および8日目)の試料では、アンテナ−フコシル化グリカンの量は、その2つの日についてそれぞれ52%および63%に増加した。膵炎では、コアがフコシル化された三分岐グリカンに対するアンテナ−フコシル化三分岐グリカンの相対的な量は、2日目に78%まで増加し、8日目に85%まで増加した。これは、両方の疾病において、コアがフコシル化された構造に対して、ルイスX構造における明確な増加を示す。
(テトラシアル酸付加された構造における変化)
図1に示されたHPLC プロファイルから、対照プロファイルと比較して、テトラシアル酸付加された構造が増加しており、総グリカンプールにおけるこれらの構造の量が両方の疾病の経過の間に変化したことが明らかである。認められた変化を、非フコシル化構造に対する外腕がフコシル化された構造の増加を明らかにしたWAX HPLCから得られたテトラシアル酸付加された分画のNP−HPLC分析によってさらに分析した(図5)。
脱シアル化モノフコシル化テトラ−アンテナの陰イオン MS/MSは、1日目の敗血症試料(75%)および8日目(86%)ならびに両方の膵炎試料(92%)と比較して、対照試料においてフコースのうち54%は外腕であることを示した。これはまた、疾病の経過の間の、テトラ−アンテナ構造上のルイスX構造への移行を示唆している。ジ−シアル酸付加されたビアンテナ構造上の外腕フコシル化の存在は、その低い存在量により、定量的に測定することが困難であった。しかし、ジシアル酸付加された試料の陰イオン MS/MS(2,4 イオンの比率)分析により、対照および敗血症(1日目)の試料(約2%のフコシル化ビアンテナ構造)に存在する微量の外腕−フコシル化二分岐型グリカンを検出し、これは8日目の敗血症で約7%まで増加した。膵炎試料におけるアンテナ−フコシル化二分岐型グリカンの量は、いくらか高いように見え、2日目および8日目で約10%に達した。断片化のパターンは、フコースが、6−アンテナにおいて主に置換されることを示した(Dおよび[D−18]イオン中の移動)。
(総フコースにおける変化)
疾病の経過を通してのフコースレベルの変化はまた、発明者らが総グリカンプールのエキソグリコシダーゼ消化(ABS+SPG)または(ABS+SPG+AMF)後に全てのフコース含有グリカンを分析した際に見られた。両方の症状は、外腕フコシル化の増加(1日目と8日目との間で、敗血症では約50%の相違、膵炎では約30%の増加)を示したが、一方、コアのフコシル化は両方の症状で減少した(約15%)。
(オリゴマンノース構造における変化)
中性画分(WAX HPLCによって調製した)のNP−HPLC プロファイルは、タチナタマメ マンノシダーゼ(JBM)の消化によって、オリゴマンノース構造(ピーク Man5、Man6、Man7、Man8およびMan9)であるとして同定されたピークを示した。これらのマンノース構造の相対的な量は、疾病の1日目と8日目との間で変化し、対照血清との比較においても変化した(図6)。Man5と共溶出したピーク中のFA2Bの量は、マンノースのピーク間の比較を計測(図6B)する前に引き算した。
(分枝の程度の変化)
分枝の程度は、グリカンプールを、アルスロバクター ウレアファシエンスから得たシアリダーゼ(ABS)、肺炎球菌から得たβ−ガラクトシダーゼ(SPG)、およびウシ腎臓から得たα−フコシダーゼ(BKF)との組み合わせで処理した後に判定したところ、グリカンはコアアンテナ構造に還元されていた(GlcNAcは、トリマンノシルキトビオースコア モノアンテナ、ビアンテナ、トリアンテナおよびテトラアンテナ構造にのみに結合する)。図7Aに示されるように、膵炎および敗血症の分枝の程度は、対照血清と異なり、また、疾病の経過の間に変化した。
(他のグリカン)
対照試料および敗血症試料はまた、陰イオン MS/MSによって検出されるようにN−アセチル−ラクトサミン伸張を有する低いレベルのグリカンを含んでいた。そのスペクトルは、非常に大量のF型イオン(m/z 789)を含んでおり、アンテナ構造をHexHexNAcとして確認した。このイオンの高い相対的存在量は、6−アンテナの6−分枝上のN−アセチル−ラクトサミン置換と一致している(参考文献 Davidsの論文)。1日目および8日目の敗血症の両方は、さらなるフコースと共に、さらなるN−アセチル−ラクトサミン−伸張 グリカンを有していた。1日目のスペクトルは弱かったが、8日目のものは、フコシル化された構造のうち80%がアンテナのうちの1つにおける外腕−フコース置換を有することを示し、m/z 935でのF イオン(m/z 789+146)は、このフコースの少なくともいくつかが、N−アセチル−ラクトサミン−伸張 アンテナ上に位置していることを示した。この化合物は、早期の膵炎の試料中では検出されなかったが、8日目には存在した。
(考察)
当該結果は、血清グリカンの変化が急性炎症の非常に早期に生じることを示している。異なるグリカンの割合は、毎日変化した。それらのうちいくつかは、連続的に同じ方向性であったが、一方、他は急性膵炎および敗血症の経過の間に変化した。疾病進行に一貫して伴う最も顕著な変化は、トリシアル酸付加された構造およびテトラシアル酸付加された構造ならびにオリゴマンノース構造について認められた。
これらの構造はまた、膵炎および敗血症の両方の1日目で変化することが見出された(対照血清と比較した場合)。
敗血症では、総グリカンプール中のトリシアル酸付加された三分岐 A3G3S3の割合は、常に減少したが、一方、膵炎では、シアリルルイスX 構造 A3FG3S3の割合は、常に増加した。急性期タンパク質 α1−酸性糖タンパク質は、急性期反応の早期に上昇し、このルイス抗原の主要な担体として認識されている(Brinkman−van der Linden、E.C.、de Haan、P.F.ら 1998)。ハプトグロビンおよびα1−アンチキモトリプシンもまた、シアリルルイスXの上昇に寄与することが見出されたが、より少ない程度だった。早期の研究はまた、α1−酸性糖タンパク質の濃度の増加に依存しない、炎症によって引き起こされた、α1−酸性糖タンパク質上のシアリルルイスXの発現の上昇を報告した(Higai、K.、Aoki、Y.ら 2005)。悪性の疾病においても同様の観測がなされた(Croce、M.V.、Salice、V.C.ら 2005)。この増加は、炎症の間に生じる可能性があり、致死的である可能性がある過剰反応から生物を保護することによる、有益な効果を有するかも知れないことが推定される(Bone、R.C.1996)。A3G3S3へのフコースの付与に関与する酵素はα1−3 フコシル基転移酵素であるため、この酵素のレベルは重大である。α1−酸性糖タンパク質についての研究は、炎症性サイトカインが、肝臓組織におけるα1−3 フコシル化に関与するα1−3 フコシル基転移酵素 VIの発現(De Graaf、T.W.、Van der Stelt、M.E.ら 1993、Higai、K.、Aoki、Y.ら 2005)、およびシアリルルイスX形成に必要とされるα2−3 シアル酸転移酵素の発現を制御することを示唆していた(α2−3−結合型 Neu5Acを含む構造のみがフコシル化され得るため)。敗血症性ショックにおけるα1−酸性糖タンパク質 グリコシル化の予後値についての研究(Brinkman−van der Linden、E.C.、van Ommen、E.C.ら 1996)は、二分岐型グリカンの適度な上昇と、シアリルルイスXの強力な増加との組み合わせは、徐々に増加しているシアリルルイスX発現を伴うビアンテナの高い一過性の増加よりも高い死亡率に関連することを示した。これは、グリカン構造の変化の様式は、疾病の重症度に関連する可能性があることを明確に示している。
オリゴマンノース構造の量は、急性膵炎の進行と共に常に減少することが見出され、一方、敗血症では、これは日々を通してわずかに変化した。しかし、両方の疾病では、これらの構造は、1日目に顕著に増加し(対照と比較した場合)、次いで、8日目に減少した(Man6およびMan9は、対照レベル未満まで低下した)。グリカン構造のこれらの型は、補完物のC3因子上で見出すことができ(Hirani、S.、Lambris、J.D.、ら 1986)これはまた、陽性の急性期タンパク質の1つである。補完経路は、免疫系の生化学的カスケードを形成する多くの小さな血漿タンパク質から派生する。これは、感染性微生物および損傷した宿主物質を破壊するように作られている(Ritchie、G.E.、Moffatt、B.E.ら 2002)。複雑なビアンテナ構造を有する、主に肝臓で合成される成分の大部分と対照的に、C3は、オリゴマンノース型のみ(Hase、S.、Kikuchi、N.ら 1985、Hirani、S.、Lambris、J.D.ら 1986)を、α鎖上の主にMan8およびMan9、ならびにβ鎖上のMan6と共に含む。
二分岐型グリカンの増加は、急性および慢性の炎症性の症状を有する患者ならびに癌について報告されている(Higai、K.、Aoki、Y.ら 2005)。これらの化合物はまた、特に、急性反応の後期に上昇した。急性膵炎では、二分しているGlcNAcを有する二分岐型グリカンは、対照と比較して、顕著に上昇した。テトラアンテナ構造は、両方の疾病において上昇した(この上昇は膵炎においてより顕著であったが)。N−グリカン上のアンテナの合成に関与する酵素は、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(GnT)である。GnT IIIは、二分しているβ1→4−GlcNAc構造を形成する、N−グリカンのコア中のマンノースの4−位置への、β−GlcNAcの付加に関与する酵素である。GnT IVは、トリ−マンノシル−キトビオースコアの3−アンテナへの、β1→4GlcNAcの付加による三分岐構造の形成に関与し、一方、テトラアンテナグリカンは、この酵素、および6−アンテナのマンノースの6−位置にβ−GlcNAcを付加するGnT Vによる引き続く作用によって産生される(Brockhausen、I.、Hull、E.ら 1989)。これらの酵素の増加した活性は、多くのヒト悪性腫瘍において報告されている(Dennis、J.W.およびLaferte、S.1989、Guo、J.M.、Zhang、X.Y.ら 2001、Jin、X.L.、Liu、H.B.ら 2004、Takamatsu、S.、Oguri、S.ら 1999、Yao、M.、Zhou、D.P.ら 1998)。当該結果は、急性期反応(特に膵炎)におけるこれらの酵素の活性の増加を示唆している。分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームは、敗血症および膵炎の両方で、かなりの割合の三分岐構造を示し、一方、正常な血清では、この構造の量はほとんど無視できる(表2)。
トリ−アンテナ構造およびテトラ−アンテナ構造の比較は、コアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するα1−3−フコシル化形態の比率は、膵炎および敗血症の両方で増加したことを明らかにした。コアのフコシル化のこの変化は、異なるヒトの癌における発見(Block、T.M.、Comunale、M.A.ら 2005、Ito、Y.、Miyauchi、A.ら 2003)、および膵臓癌における発見(Barrabes、S.、Pages−Pons、L.ら 2007)とは異なり、コアのフコシル化の増加が認められ、新規な診断および予後診断のマーカーとして示唆さえもした。フコースレベルのこれらの変化は、これが免疫調節に関与することを示唆しているため、炎症の間の制御工程の一部である可能性がある(Bone、R.C.1996)(Listinsky、J.J.、Listinsky、C.M.ら 2001)。
一般的に、当該結果は、血清グリカンの変化を急性炎症の非常に早期に認めることができ、異なる構造の割合は毎日変化することを示す。健康な血清のグリカンプロファイルは多かれ少なかれ一定であるため、これらの変化は、疾病を明白に反映する。敗血症と急性膵炎との間の認められた差は、恐らく、これらの2つの症状では、急性期反応は異なる刺激によって誘発され、従って、特定のサイトカインの生成の異なる様式に関連するという事実に起因する。この複雑性は、急性期反応がどれほど複雑かつ多様であり、多くの異なる工程においてグリカンがどれほど重要な役割を果たしているかを知れば、驚くことではない。
本願明細書で言及された全ての記述は、参照により、本願明細書に組み込まれる。本発明の記載された実施態様についての様々な改変および変化は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施態様と関連して記載されているが、請求項記載の本発明は、このような特定の実施態様に過度に制限されるべきではないことが理解されるはずである。実際、当業者に明白な、本発明の実行について記載された方法の様々な改変は、本発明によって網羅されることが意図されている。
(略称)
2−AB − 2−アミノベンズアミド;ABS − アルスロバクター ウレアファシエンスから得たシアリダーゼ;AMF − アーモンドミール α−フコシダーゼ;BKF − ウシ腎臓から得たα−フコシダーゼ;BTG − ウシ精巣から得たβ−ガラクトシダーゼ;CRP − C−反応性タンパク質;DHB − ジヒドロキシ安息香酸;ESI − エレクトロスプレーイオン化;GnT − N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ;GU − グルコース単位;GUH − β−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ;HPLC − 高速液体クロマトグラフィー;JBM − タチナタマメ α−マンノシダーゼ;MALDI − マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法;MS − 質量分析;NAN1 − 肺炎球菌から得たノイラミニダーゼ;NP − 順相;BTG − ウシ精巣から得たβ−ガラクトシダーゼ;SPG − 肺炎球菌から得たβ−ガラクトシダーゼ;BKF − ウシ腎臓から得たα−フコシダーゼ;GUH − β−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ;JBM − タチナタマメ α−マンノシダーゼ;AMF − アーモンドミール α−フコシダーゼ;PNGase F − N−グリコシダーゼ F、QTOF− 四重極飛行時間;SPG − 肺炎球菌から得たβ−ガラクトシダーゼ;WAX − 弱陰イオン交換;XMF − Xanthomonus sp.から得たα−フコシダーゼ。
グリカン構造は、下記のように省略される:Ax、トリマンノシルコア上のアンテナ(GlcNAc)の数;略称の開始におけるFは、内部GlcNAcに結合するコアフコース α1−6を示す;Mx、コア GlcNAc上のマンノースの数(x);Gx、アンテナ上のβ1−4結合型ガラクトースの数(x);G1[3]およびG1[6]は、ガラクトースが、α1−3またはα1−6 マンノースのアンテナ上にあることを示す;F(x)、アンテナ GlcNAcにα1−3で結合したフコースの数(x);Lac(x)、ラクトサミン(Galβ1−4GlcNAc)伸張の数(x);Sx、ガラクトースに結合したシアル酸の数(x);Sの後の括弧内の3または6の数は、シアル酸がα2−3、α2−6連鎖にあるかどうかを示す。
(参考文献)
Barrabes、S.ら(2007)Glycobiology、17、388−400。
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Claims (14)

  1. 敗血症の診断方法であって、前記方法は、
    − 被験者から試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを前記試料において測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのマーカーの前記測定されたレベルに基づく診断を与える工程と、を含み、
    前記診断は前記被験者における敗血症の存在または不存在を確認する方法。
  2. 前記敗血症は、グラム陽性菌によって引き起こされる請求項1記載の方法。
  3. N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、敗血症の診断における使用。
  4. 被験者における敗血症の予後診断のための方法であって、前記方法は、
    − 被験者から試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを前記試料において測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのマーカーの前記測定されたレベルに基づく予後診断を与える工程と、を含み、
    前記予後診断は、前記被験者が敗血症を発症している可能性を確かめる方法。
  5. 前記敗血症はグラム陽性菌である請求項4記載の方法。
  6. N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、敗血症の予後診断のための方法における使用。
  7. 敗血症のための処置の治療への反応をモニターするための方法であって、
    − 最初の時点で入手した、患者からの第1の試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを前記試料において測定する工程と、
    − 前記第1の試料が入手された後の時点で前記被験者から得た少なくとも1つのさらなる試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを、前記試料中の前記少なくとも1つのさらなる試験試料において測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのさらなる試料における前記少なくとも1つのマーカーのレベルと比較した場合の、前記第1の試料に存在する同様の少なくとも1つのマーカーの測定されたレベルの比較に基づく治療に対する反応の評価を与える工程と、を含む方法。
  8. 膵炎を診断するための方法であって、前記方法は、
    − 被験者から試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを、前記試料において測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのマーカーの前記測定されたレベルに基づく診断を与える工程と、を含み、
    前記診断は、前記被験者における膵炎の存在または不存在を確かめる方法。
  9. N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵炎の診断における使用。
  10. 被験者における膵炎の予後診断のための方法であって、前記方法は、
    − 被験者から試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのマーカーの前記測定されたレベルに基づく予後診断を与える工程と、を含み、
    前記予後診断は、前記被験者が膵炎を発症している可能性を確かめる方法。
  11. N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵炎の予後診断における使用。
  12. 膵炎のための処置の治療への反応をモニターする方法であって、
    − 最初の時点で入手した、被験者からの第1の試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程と、
    − 前記第1の試料が入手された後の時点で前記被験者から得た少なくとも1つのさらなる試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを、前記少なくとも1つのさらなる試験試料において測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのさらなる試料における前記少なくとも1つのマーカーのレベルと比較した場合の、前記第1の試料に存在する同様の少なくとも1つのマーカーの測定されたレベルの比較に基づく治療に対する反応の評価を与える工程と、を含む方法。
  13. 膵臓癌の予後診断または診断のための方法であって、前記方法は、
    − 被験者から試験試料を準備する工程と、
    − N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームまたはN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを測定する工程と、
    − 前記少なくとも1つのマーカーの前記測定されたレベルに基づく予後診断および/または診断を与える工程と、を含み、
    前記診断は、前記被験者における膵臓癌の存在または不存在を確かめる方法。
  14. N−結合型グリカン上の外腕からコアのフコシル化、トリシアル酸付加されたN−結合型グリカン、テトラシアル酸付加されたN−結合型グリカン、二分岐型グリカン、N−結合型グリカン上のマンノース構造、N−結合型グリカンの分枝の程度、フコシル化N−結合型グリカン A3FG3S3(シアリルルイスx)に対するトリシアル酸付加されたN−結合型グリカン A3G3S3の比率、N−結合型グリカンのコアがフコシル化された形態または非フコシル化形態に対するN−結合型グリカンのα1,3 フコシル化形態の比率、トリシアル酸付加された三分岐N−結合型グリカン A3G3S3、シアリルルイスx N−結合型グリカン構造 A3FG3S3、N−結合型グリカン上のシアリルルイスxの消化由来のA3FG1、N−結合型グリカン上のオリゴマンノース構造、分枝6−アンテナを有する三分岐グリカンのアイソフォームおよびN−結合型グリカンのコアのフコシル化からなる群から選択される少なくとも1つのグリコシル化マーカーの、膵臓癌の予後診断または診断のための方法における使用。
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