したがって、KDRシグナル伝達を抑制する新規の手段を見出す必要がある。
本発明は、KDRと特異的に結合し、KDRの生物学的活性を抑制する標的化結合物質に関する。本発明の実施形態は、KDRと特異的に結合し、受容体二量体化を抑制する標的化結合物質に関する。本発明の実施形態は、KDRと特異的に結合し、VEGFのKDRとの結合を抑制する標的化結合物質にも関する。本発明の実施形態は、KDRと特異的に結合し、VEGFのKDRとの結合を抑制する完全ヒト単離標的化結合物質に関する。受容体二量体化の抑制によるKDRシグナル伝達の抑制は、KDRと結合するVEGF−Aの抑制を上回る利点を有する、と予測される。ここに記載される受容体二量体化を抑制する標的化結合物質は、KDR:KDRホモ二量体およびKDR:Flt−1へテロ二量体形成を遮断し、それゆえ、KDRおよびFlt−1の両方によるVEGF−A、VEGF−BおよびP1GFシグナル伝達を遮断することによりKDRシグナル伝達軸を最大に抑制し得ると予測される。さらに、VEGF−Aレベルを増大することにより、受容体二量体化を抑制する結合物質の効力に直接的影響を及ぼすことはないはずである。
本発明の実施形態は、KDRと特異的に結合し、受容体二量体化を抑制する標的化結合物質に関する。一実施形態において、標的化結合物質は、受容体二量体化ならびにVEGFのKDRとの結合を抑制する。本発明の一実施形態では、標的化結合物質は、KDRと特異的に結合し、KDRホモ二量体形成を抑制する。本発明の一実施形態では、標的化結合物質は、KDRと特異的に結合し、KDRへテロ二量体形成を抑制する。一実施形態では、標的化結合物質は、標的化結合物質の非存在下で起こるKDR受容体二量体化の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%を抑制する。
本発明の一実施形態では、標的化結合物質はKDRと特異的に結合し、VEGFの結合を抑制する。本発明の一実施形態では、標的化結合物質は、KDRと特異的に結合し、VEGF−Aの結合を抑制する。本発明の一実施形態では、標的化結合物質は、KDRと特異的に結合し、PLGFの結合を抑制する。本発明の一実施形態では、標的化結合物質はKDRと特異的に結合し、VEGF−C、VEGF−Dおよび/またはVEGF−Eの結合を抑制する。
一実施形態では、標的化結合物質は、標的化結合物質の非存在下で起こるKDRと結合するVEGFまたはVEGF−Cの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%を抑制する。
本発明の一実施形態では、標的化結合物質はKDRと特異的に結合し、VEGF媒介によるプロスタグランジン放出を抑制する。一実施形態では、標的化結合物質は、標的化結合物質の非存在下で起こるVEGF媒介によるプロスタグランジン放出の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%を抑制する。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、133nMで、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)中において、2nMのVEGF−165により誘導されるVEGF−165媒介によるチロシンリン酸化の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、133nMで、HUVECが先ずFCS補足培地(これは次に無補足培地に一晩取り替えられる)中でインキュベートされ、次に標的化結合物質が付加され、標的化結合物質を用いた予備インキュベーション期間後、VEGF−165の付加により細胞が刺激されるアッセイにおいて測定した場合、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)中の2nMのVEGF−165により誘導されるVEGF−165媒介によるチロシンリン酸化の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、本明細書中の実施例11に記載されるアッセイで測定した場合、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)中のVEGF−165媒介によるチロシンリン酸化の50%より多くを抑制する。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、ハイブリドーマ上清の1/20希釈では、HUVEC中の2nMのVEGF−Eにより誘導されるVEGF−E媒介によるチロシンリン酸化の40%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、ハイブリドーマ上清の1/20希釈では、HUVECが先ずFCS+増殖補足物培地(これは次に無補足培地に一晩取り替えられる)中でインキュベートされ、その後、標的化結合物質が付加され、最後にVEGF−Eに取り替えられるアッセイにおいて測定した場合、HUVEC中の2nMのVEGF−Eにより誘導されるVEGF−E媒介によるチロシンリン酸化の40%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、本明細書中の実施例8に記載されるアッセイで測定した場合、HUVEC中のVEGF−E媒介によるチロシンリン酸化の40%より多くを抑制する。
いくつかの実施形態では、標的化結合物質は、ハイブリドーマ上清の1/20希釈では、HUVEC中の1nMのVEGF−Eにより誘導されるVEGF−E媒介による細胞生残の55%より多くを抑制する。いくつかの実施形態では、標的化結合物質は、ハイブリドーマ上清の1/20希釈では、HUVECが先ずFCS+増殖補足物培地中でインキュベートされ、その後、標的化結合物質が付加され、予備インキュベーション期間後、VEGF−Eが付加されるアッセイにおいて測定した場合、HUVEC中の1nMのVEGF−Eにより誘導されるVEGF−E媒介による細胞生残の55%より多くを抑制する。いくつかの実施形態では、標的化結合物質は、本明細書中の実施例8に記載されるアッセイで測定した場合、HUVEC中のVEGF−E媒介による細胞生残の55%より多くを抑制する。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、20μg/mL、5μg/mL、1.25μg/mLまたは0.3125μg/mLで、対照抗体と比較して、内皮細胞管形成の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、20μg/mL、5μg/mL、1.25μg/mLまたは0.3125μg/mLで、TCS最適化培地、または2%ウシ胎仔血清、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補足されたMCDB131培地中に保持されるHUVECおよびヒト二倍体繊維芽細胞の共培養に標的化結合物質が導入されるアッセイで測定した場合、内皮細胞管形成の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、20μg/mL、5μg/mL、1.25μg/mLまたは0.3125μg/mLで、実施例23に記載されるアッセイで測定した場合、内皮細胞管形成の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、20μg/mL、5μg/mL、1.25μg/mLまたは0.3125μg/mLで、内皮細胞管形成の60%、70%、80%または90%より多くを抑制する。
本発明のいくつかの実施形態では、10mg/kgまたは1mg/kgで週2回投与される標的化結合物質は、in vivoでの血管新生の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、10mg/kgまたは1mg/kgで週2回投与される標的化結合物質は、球状体ベースのin vivo血管新生アッセイにおいてin vivoでの血管新生の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、HUVEC球状体がマトリゲル/フィブリン溶液中で単独HUVECと混合されて、球状体として100,000ECおよび200,000単独EC/注入プラグという最終数に達し、VEGF−AおよびFGFが1000ng/mlの最終濃度で付加され、500μlの細胞/マトリックス懸濁液が試験動物に注入され、標的化結合物質を用いた治療が翌日に開始され、21日目に終了するアッセイで測定した場合に、in vivoでの血管新生の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、実施例24に記載されるアッセイで測定した場合、in vivoでの血管新生の50%より多くを抑制する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、in vivoでの血管新生の60%、70%、80%または90%より多くを抑制する。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、5ナノモル(nM)未満の結合親和性(Kd)でKDRを結合する。他の実施形態では、標的化結合物質は、4nM、3nM、2nMまたは1nM未満のKdで結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、950ピコモル(pM)未満のKdでKDRを結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、900pM未満のKdでKDRを結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、800pM、700pMまたは600pM未満のKdでKDRを結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、500pM未満のKdでKDRを結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、400pM未満のKdで結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、300pM未満のKdで結合する。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、200pM未満のKdで結合する。Kdは、本明細書中に記載される方法または当業者に既知の方法(例えばBIAコアアッセイ、ELISA)(Biacore International AB, Uppsala, Sweden)を用いて評価され得る。
本発明の標的化結合物質または抗体の結合特性は、解離または会合速度(それぞれkoffおよびkon)を基準にすることによっても測定され得る。
本発明の一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、少なくとも104M−1s−1、少なくとも5×104M−1s−1、少なくとも105M−1s−1、少なくとも2×105M−1s−1、少なくとも5×105M−1s−1、少なくとも106M−1s−1、少なくとも5×106M−1s−1、少なくとも107M−1s−1、少なくとも5×107M−1s−1または少なくとも108M−1s−1のkon速度(抗体(Ab)+抗原(Ag)kon→Ab−Ag)を有し得る。
本発明の別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、5×10−1s−1未満、10−1s−1未満、5×10−2s−1未満、10−2s−1未満、5×10−3s−1未満、10−3s−1未満、5×10−4s−1未満、10−4s−1未満、5×10−5s−1未満、10−5s−1未満、5×10−6s−1未満、10−6s−1未満、5×10−7s−1未満、10−7s−1未満、5×10−8s−1未満、10−8s−1未満、5×10−9s−1未満、10−9s−1未満または10−10s−1未満のkoff速度((Ab−Ag)koff→抗体(Ab)−抗原(Ag))を有し得る。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、哺乳動物における腫瘍の増殖および/または転移を抑制する。他の実施形態では、標的化結合物質は、哺乳動物における炎症性障害に関連した症候を改善する。一実施形態では、標的化結合物質は、哺乳動物における関節リウマチまたは乾癬から選択される炎症性障害に関連した症候を改善する。改善され得る症候としては、血管新生および滑膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。さらに他の実施形態では、標的化結合物質は、哺乳動物における心臓血管性疾患に関連した症候を改善する。さらに他の実施形態では、標的化結合物質は、哺乳動物における心臓血管性疾患、例えばアテローム硬化症に関連した症候を改善する。改善され得る症候としては、炎症および血管新生が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの他の実施形態では、標的化結合物質は、哺乳動物における敗血症に関連した症候を改善する。改善され得る症候としては、制御されない血管透過性、血管漏出および血管新生が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの他の実施形態では、標的化結合物質は、眼疾患に関連した症候を改善する。いくつかの他の実施形態では、標的化結合物質は、眼疾患、例えば虚血性網膜症または加齢性黄斑変性症に関連した症候を改善する。改善され得る症候としては制御されない血管透過性および血管漏出が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は抗体である。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質はモノクローナル抗体である。本発明の一実施形態では、標的化結合物質は完全ヒトモノクローナル抗体である。本発明の別の実施形態では、標的化結合物質は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプの完全ヒトモノクローナル抗体である。本発明の別の実施形態では、標的化結合物質は、IgG2アイソタイプの完全ヒトモノクローナル抗体である。このアイソタイプは、他のアイソタイプと比較してエフェクター機能を引き出す能力の低減を示し、これが毒性低減をもたらし得る。本発明の別の実施形態では、標的化結合物質は、IgG1アイソタイプの完全ヒトモノクローナル抗体である。IgG1アイソタイプは、他のアイソタイプと比較してADCCを引き出す能力の増大を示し、これが効力改善をもたらし得る。IgG1アイソタイプは、他のアイソタイプ、例えばIgG4と比較して安定性改善を示し、これが生物学的利用能改善あるいは製造し易さの改善またはより長い半減期をもたらし得る。一実施形態では、IgG1アイソタイプの完全ヒトモノクローナル抗体は、z、zaまたはfアロタイプのものである。
さらなる一実施形態は、KDRと特異的に結合し、表20に示した相補性決定領域(CDR)配列のうちの1つを含む配列を含む標的化結合物質または抗体である。本発明の実施形態は、表20に示したCDR1、CDR2またはCDR3配列のいずれか1つを含む配列を含む標的化結合物質または抗体を包含する。さらなる一実施形態は、KDRと特異的に結合し、表20に示したCDR配列のうちの2つを含む配列を含む標的化結合物質または抗体である。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示したCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示したCDR配列のうちの1つを含む配列を含む。本発明の実施形態は、表21に示したCDR1、CDR2またはCDR3配列のいずれか1つを含む配列を含む標的化結合物質または抗体を包含する。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示したCDR配列のうちの2つを含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示したCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示したCDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに表21に示したCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む配列を含み得る。いくつかの実施形態では、標的化結合物質は抗体である。ある実施形態では、標的化結合物質は完全ヒトモノクローナル抗体である。他のある実施形態では、標的化結合物質は完全ヒトモノクローナル抗体の結合性断片である。
不確かでなくするために、「表20」という用語は、本明細書中で用いる場合、表20aおよび表20bを包含する。
不確かでなくするために、「表21」という用語は、本明細書中で用いる場合、表21aおよび表21bを包含する。
当業者はCDR決定を容易に成し遂げ得る、ということが注目される。例えば、Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols.1-3を参照されたい。Kabatは、多数の種の抗体アイソタイプからの免疫グロブリン鎖の多重配列アラインメントを提供する。整列された配列は、単一ナンバリング系であるKabatナンバリング系に従って番号付けされる。Kabat配列は、1991年の発表以来更新されてきており、電子配列データベースとして利用可能である(最新ダウンロード可能バージョン 1997)。任意の免疫グロブリン配列は、Kabat参照配列を用いてアラインメントを実施することにより、Kabatにより番号付けされ得る。したがって、Kabatナンバリング系は、免疫グロブリン鎖を番号付けするための一貫したシステムを提供する。
一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した重鎖配列のうちのいずれか1つを含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、抗体33D5、29H3、29F7、33C3、31E11、21A1、21H6、24C9、32G7、24B3、33B1、29A11、30H10、32B2、32C11、30E3、1G6、30F6、30D7、21H9、29A3、33E1、22B8、27A3、27D10、30A1、32F4または29D4の重鎖配列のうちのいずれか1つを含む配列を含む。軽鎖の無差別性は当該技術分野で十分に確立されており、したがって、抗体33D5、29H3、29F7、33C3、31E11、21A1、21H6、24C9、32G7、24B3、33B1、29A11、30H10、32B2、32C11、30E3、1G6、30F6、30D7、21H9、29A3、33E1、22B8、27A3、27D10、30A1、32F4または29D4の重鎖配列のうちのいずれか1つを含む配列を含む標的化結合物質または抗体、あるいは本明細書中に開示される別の抗体はさらに、表21に示した軽鎖配列あるいは抗体33D5、29H3、29F7、33C3、31E11、21A1、21H6、24C9、32G7、24B3、33B1、29A11、30H10、32B2、32C11、30E3、1G6、30F6、30D7、21H9、29A3、33E1、22B8、27A3、27D10、30A1、32F4または29D4あるいは本明細書中に開示される別の抗体の軽鎖配列のうちのいずれか1つを含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示した軽鎖配列のうちのいずれか1つを含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、抗体33D5、29H3、29F7、33C3、31E11、21A1、21H6、24C9、32G7、24B3、33B1、29A11、30H10、32B2、32C11、30E3、1G6、30F6、30D7、21H9、29A3、33E1、22B8、27A3、27D10、30A1、32F4または29D4の軽鎖配列のうちのいずれか1つを含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態では、標的化結合物質は、24B3、27D10および33C3からなる群から選択されるモノクローナル抗体である。一実施形態では、標的化結合物質は、完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のうちの1つまたは複数を含む。ある実施形態では、標的化結合物質は、モノクローナル抗体24B3である。他のある実施形態では、標的化結合物質はモノクローナル抗体27D10である。さらに他の実施形態では、標的化結合物質はモノクローナル抗体33C3である。さらなる実施形態では、標的化結合物質は前記のモノクローナル抗体のうちのいずれかから得られる。
一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した配列のうちのいずれか1つから選択される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む配列を含み得る。一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示した配列のうちのいずれか1つから選択される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む配列を含み得る。一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、抗体33D5、29H3、29F7、33C3、31E11、21A1、21H6、24C9、32G7、24B3、33B1、29A11、30H10、32B2、32C11、30E3、1G6、30F6、30D7、21H9、29A3、33E1、22B8、27A3、27D10、30A1、32F4または29D4のCDRのうちのいずれか1つから選択される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む配列を含み得る。一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、抗体33D5、29H3、29F7、33C3、31E11、21A1、21H6、24C9、32G7、24B3、33B1、29A11、30H10、32B2、32C11、30E3、1G6、30F6、30D7、21H9、29A3、33E1、22B8、27A3、27D10、30A1、32F4または29D4のCDRのうちのいずれか1つから選択される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む配列を含み得る。
別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のうちのいずれか1つのCDR1、CDR2またはCDR3のうちのいずれか1つを含む配列を含み得る。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のうちのいずれか1つのCDR1、CDR2またはCDR3のうちのいずれか1つを含む配列を含み得る。一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のCDR1、CDR2またはCDR3を含む配列を含み得る。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表21に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のCDR1、CDR2またはCDR3を含む配列を含み得る。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のCDR1、CDR2またはCDR3、ならびに表21に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のCDR1、CDR2またはCDR3配列を含む配列を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3のCDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに表21に示した完全ヒトモノクローナル抗体24B3のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した完全ヒトモノクローナル抗体27D10のCDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに表21に示した完全ヒトモノクローナル抗体27D10のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む配列を含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20に示した完全ヒトモノクローナル抗体33C3のCDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに表21に示した完全ヒトモノクローナル抗体33C3のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
本発明のさらなる実施形態は、表20または表21に示した配列のうちのいずれか1つのフレームワーク領域ならびにCDR(特にFR1〜FR4、またはCDR1〜CDR3)に及ぶ連続配列を含む配列を含む標的化結合物質または抗体である。一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、表20または表21に示したモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3の配列のうちのいずれか1つのフレームワーク領域ならびにCDR(特にFR1〜FR4、またはCDR1〜CDR3)に及ぶ連続配列を含む配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
一実施形態は、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分を提供するが、この場合、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分は、配列番号42の配列を含む重鎖ポリペプチドを含む。一実施形態では、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分は、さらに、配列番号44の配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
別の実施形態では、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分は、配列番号14の配列を含む重鎖ポリペプチドを含む。一実施形態では、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分は、さらに、配列番号16の配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
別の実施形態では、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分は、配列番号74の配列を含む重鎖ポリペプチドを含む。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体あるいはその抗原結合部分は、さらに、配列番号76の配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、開示されるCDRまたは重鎖または軽鎖配列内に、20、16、10、9またはそれ以下、例えば1、2、3、4または5つという数のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または挿入を含む。このような修飾は、潜在的に、CDR内の任意の残基でなされ得る。いくつかの実施形態では、抗体は完全ヒトモノクローナル抗体である。
一実施形態では、標的化結合物質または抗体は、本明細書中に開示されるCDRの変異体または誘導体、フレームワーク領域およびCDR(特にFR1〜FR4、またはCDR1〜CDR3)に及ぶ連続配列、本明細書中に開示される軽鎖または重鎖配列、あるいは本明細書中に開示される抗体を含む。変異体としては、表20または表21に示したCDR1、CDR2またはCDR3のいずれかにおいて20、16、10、9またはそれ以下、例えば1、2、3、4、5または6つという数のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または挿入を有する配列、表20または表21に示すフレームワーク領域およびCDR(特にFR1〜FR4、またはCDR1〜CDR3)に及ぶ連続配列、本明細書中に開示される軽鎖または重鎖配列、あるいは本明細書中に開示されるモノクローナル抗体を含む標的化結合物質または抗体が挙げられる。変異体としては、表20または表21に示すCDR1、CDR2またはCDR3、表20または表21に示すフレームワーク領域およびCDR(特にFR1〜FR4、またはCDR1〜CDR3)に及ぶ連続配列、本明細書中に開示される軽鎖または重鎖配列、あるいは本明細書中に開示されるモノクローナル抗体のいずれかと、少なくとも60、70、80、85、90、95、98または99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む標的化結合物質または抗体が挙げられる。2つのアミノ酸配列の同一性%は、当業者に既知の任意の方法により、例えばペアワイズ・アラインメント(これに限定されない)により確定され得る。一実施形態では、変異体は、天然のものであるか、もしくは組換えDNA技術または突然変異誘発技術を用いてネイティブ配列のin vitro工学処理により導入される本明細書中に開示されるCDR配列あるいは軽鎖または重鎖ポリペプチドにおける変化を含む。天然変異体としては、外来抗原に対する抗体の生成中に対応する生殖系列ヌクレオチド配列中でin vivoに生成されるものが挙げられる。一実施形態では、誘導体は、ヘテロ抗体、すなわち2またはそれより多くの抗体が一緒に連結される抗体であり得る。誘導体は、化学的に修飾された抗体を包含する。例としては、1つまたは複数のポリマー、例えば水溶性ポリマーの共有結合、N結合またはO結合炭水化物、糖、リン酸塩および/またはその他のこのような分子が挙げられる。誘導体は、結合される分子の型または位置が天然または出発抗体とは異なるやり方で修飾される。誘導体はさらに、抗体上に自然に存在する1つまたは複数の化学基の欠失を包含する。
一実施形態では、標的化結合物質は二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに関する結合特異性を有する抗体である。二重特異性抗体の製造方法は、当該技術分野で既知である(例えばMillstein et al., Nature, 305:537-539 (1983);Traunecker etal., EMBO J., 10: 3655-3659 (1991);Suresh et al., Methods in Enzymology, 121: 210 (1986);Kostelny et al., J. Immunol., 148(5): 1547-1553 (1992);Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993);Gruber et al.,J. Immunol., 152:5368 (1994);米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,81号;同第95,731,168号;同第4,676,980号;および同第4,676,980号;WO94/04690;WO91/00360;WO92/200373;WO93/17715;WO92/08802;およびEP03089を参照)。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質または抗体は、配列番号42を含む配列を含む。ある実施形態では、配列番号42は、表17の各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の組合せのうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号42は、表17で示される生殖系列残基のうちのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つまたは9つすべてを含む。ある実施形態では、配列番号42は、表17aの各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、VH3−21、D3−10およびJH4Bドメインを有する生殖系列配列に由来し、この場合、1つまたは複数の残基はその位置で対応する生殖系列残基を生じるよう突然変異化されている。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質または抗体は、配列番号44を含む配列を含む。ある実施形態では、配列番号44は、表16の各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号44は、表16で示される生殖系列残基のうちのいずれか1つ、いずれか2つまたはいずれか3つを含む。ある実施形態では、配列番号44は、表16aの各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、A30およびJK1ドメインを有する生殖系列配列に由来し、この場合、1つまたは複数の残基はその位置で対応する生殖系列残基を生じるよう突然変異化されている。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質または抗体は、配列番号14を含む配列を含む。ある実施形態では、配列番号14は、表15の各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号14は、表15で示される生殖系列残基のうちのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つまたは6つすべてを含む。ある実施形態では、配列番号14は、表15aの各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、VH4−39、D6−6およびJH4Bドメインを有する生殖系列配列に由来し、この場合、1つまたは複数の残基はその位置で対応する生殖系列残基を生じるよう突然変異化されている。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質または抗体は、配列番号16を含む配列を含む。ある実施形態では、標的化結合物質または抗体はA27およびJK4ドメインを有する生殖系列配列に由来し、この場合、1つまたは複数の残基はその位置で対応する生殖系列残基を生じるよう突然変異化されている。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質または抗体は、配列番号74を含む配列を含む。ある実施形態では、配列番号74は、表19の各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号74は、表19で示される生殖系列残基のうちのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つまたは8つすべてを含む。ある実施形態では、配列番号74は、表19aの各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、VH3−11、D3−3およびJH5Bドメインを有する生殖系列配列に由来し、この場合、1つまたは複数の残基はその位置で対応する生殖系列残基を生じるよう突然変異化されている。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質または抗体は、配列番号76を含む配列を含む。ある実施形態では、配列番号76は、表18の各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号76は、表18で示される生殖系列残基のうちのいずれか1つ、いずれか2つ、いずれか3つ、いずれか4つ、いずれか5つ、いずれか6つ、いずれか7つ、いずれか8つまたは9つすべてを含む。ある実施形態では、配列番号76は、表18aの各横列により示される生殖系列および非生殖系列残基の固有の組合せのうちのいずれか1つを含む。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、O2およびJK4ドメインを有する生殖系列配列に由来し、この場合、1つまたは複数の残基はその位置で対応する生殖系列残基を生じるよう突然変異化されている。
本発明のさらなる実施形態は、KDRとの結合に関して本発明の標的化結合物質または抗体と競合する標的化結合物質または抗体である。本発明の別の実施形態では、KDRとの結合に関して本発明の標的化結合物質または抗体と競合する抗体が存在する。別の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、KDRとの結合に関して完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10または33C3のうちのいずれか1つと競合する。「競合する」は、標的化結合物質または抗体が、KDRとの結合に関して、完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10および33C3のうちのいずれか1つと競合する、ということを示し、すなわち、競合は一方向性である。
本発明の実施形態は、KDRとの結合に関して完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10および33C3のうちのいずれか1つと交差競合する標的化結合物質または抗体を包含する。「交差競合する」は、標的化結合物質または抗体が、KDRとの結合に関して、完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10および33C3のうちのいずれか1つと競合し、その逆もある、ということを示し、すなわち、競合は二方向性である。
本発明のさらなる実施形態は、KDRの二量体化ドメインとの結合に関して競合する標的化結合物質または抗体である。本発明の別の実施形態では、KDRの二量体化ドメインとの結合に関して本発明の標的化結合物質または抗体と交差競合する標的化結合物質または抗体が存在する。
本発明のさらなる実施形態は、本発明の標的化結合物質または抗体と同一のKDR上エピトープと結合する標的化結合物質または抗体である。本発明の実施形態は、完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10および33C3のいずれか1つと同一のKDR上エピトープと結合する標的化結合物質または抗体も包含する。
本発明の他の実施形態は、本明細書中に記載される標的化結合物質または抗体のいずれかをコードする単離核酸分子、本明細書中に記載される標的化結合物質または抗体をコードする単離核酸分子を有するベクター、あるいはこのような核酸分子のいずれかで形質転換される宿主細胞を包含する。本発明の実施形態は、KDRと特異的に結合し、VEGFのKDRとの結合を抑制する完全ヒト単離標的化結合物質をコードする核酸分子を包含する。本発明は、本明細書中で定義されるストリンジェントなまたはより低いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本明細書中に記載される標的化結合物質または抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドも包含する。本発明の実施形態は、結合物質をコードする核酸分子を含むベクターも包含する。さらなる実施形態は、核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を包含する。
当該技術分野で知られているように、抗体は、例えばポリクローナル、オリゴクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化および/または完全ヒト抗体であるのが有益であり得る。
本発明の実施形態は、任意の特定形態の抗体、あるいは生成または産生方法に限定されない、と理解される。本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、完全ヒトモノクローナル抗体の結合性断片である。例えば、標的化結合物質は、全長抗体(例えば、無傷ヒトFc領域を有する)または抗体結合性断片(例えば、Fab、Fab’またはF(ab’)2、FVまたはdAb)であり得る。さらに、抗体は、dAb断片のようなKDRと結合するラクダまたはヒト単一VHまたはVLドメインのような単一ドメイン抗体であり得る。
本明細書中に記載される本発明の実施形態は、これらの抗体を産生するための細胞も提供する。細胞の例としては、KDRに対する抗体を産生する、ハイブリドーマ、あるいは組換え的に作製される細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO細胞の変異体(例えばDG44)およびNS0細胞が挙げられる。CHO細胞の変異体についてのさらなる情報は、Andersen and Reilly (2004) Current Opinion in Biotechnology 15, 456-462(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に見出され得る。抗体は、抗体を分泌するハイブリドーマから、あるいは抗体をコードする単数または複数の遺伝子で形質転換されているかまたはトランスフェクトされている組換え工学処理細胞から作り出され得る。
さらに、本発明の一実施形態は、核酸分子が発現されて抗体を産生する条件下で宿主細胞を培養して、その後、抗体を回収することにより、本発明の抗体を産生する方法である。本発明の実施形態は、抗体産生のために宿主細胞中にトランスフェクトされる場合、抗体またはその断片の終了を増大するために最適化される核酸配列を含めて、本発明の抗体またはその断片をコードする任意の核酸分子も包含する、と理解されるべきである。
本明細書中のさらなる実施形態は、ヒトKDR、ヒトKDRを含有する単離細胞膜、精製ヒトKDRまたはその断片および/またはその断片の1つまたは複数のオルソログ配列を発現する細胞で哺乳動物を免疫感作することによる、KDRと特異的に結合し、KDRの生物学的活性を抑制する抗体の産生方法を包含する。
他の実施形態では、本発明は、本発明の標的化結合物質または抗体あるいはその結合性断片、ならびに製薬上許容可能な担体または希釈剤を含む組成物を提供する。
本発明のさらなる実施形態は、増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患に罹患している動物を効果的に治療する方法であって、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することによる方法を包含する。ある実施形態では、当該方法はさらに、増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患のための治療を必要とする動物を選択し、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、新生物性疾患に罹患している動物を効果的に治療する方法であって、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することによる方法を包含する。ある実施形態では、当該方法はさらに、新生物性疾患のための治療を必要とする動物を選択し、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、非新生物性疾患に罹患している動物を効果的に治療する方法であって、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することによる方法を包含する。ある実施形態では、当該方法はさらに、非新生物性疾患のための治療を必要とする動物を選択し、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、悪性腫瘍に罹患している動物を効果的に治療する方法であって、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することによる方法を包含する。ある実施形態では、当該方法はさらに、悪性腫瘍のための治療を必要とする動物を選択し、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、KDR発現に関連した疾患または症状に罹患している動物を効果的に治療する方法であって、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することによる方法を包含する。ある実施形態では、当該方法はさらに、KDR発現に関連した疾患または症状のための治療を必要とする動物を選択し、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、KDR誘導性疾患関連VEGF活性化に罹患している動物を効果的に治療する方法であって、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することによる方法を包含する。ある実施形態では、当該方法はさらに、KDR誘導性疾患関連VEGF活性化のための治療を必要とする動物を選択し、KDRと特異的に結合する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
悪性腫瘍は、黒色腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、肝細胞(肝臓)癌、甲状腺腫瘍、胃癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、神経膠芽細胞腫、子宮内膜癌、腎臓癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頚部癌、中皮腫、肉腫、胆管癌、小腸腺癌、小児悪性疾患および類表皮癌からなる群から選択され得る。
治療可能な増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患としては、新生物性疾患、例えば黒色腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、肝細胞(肝臓)癌、甲状腺腫瘍、胃癌、胆嚢癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、神経膠芽細胞腫、子宮内膜癌、腎臓癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭頚部癌、中皮腫、肉腫、胆管癌、小腸腺癌、小児悪性疾患、類表皮癌および白血病、例えば慢性骨髄性白血病が挙げられる。
一実施形態では、新生物性疾患は、黒色腫、結腸癌または慢性骨髄性白血病である。
非新生物性疾患としては、炎症性障害、例えば関節リウマチまたは乾癬、心臓血管性疾患、例えばアテローム硬化症、敗血症、眼疾患、例えば虚血性網膜症または加齢性黄斑変性症が挙げられる。
一実施形態では、本発明は、KDRに、単独でまたは一部は、左右される腫瘍を有する患者において、KDRの抑制に用いるのに適している。
本発明のさらなる実施形態は、増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患に罹患している動物の治療のための薬剤の調製における本発明の標的化結合物質または抗体の使用を包含する。ある実施形態では、使用はさらに、増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患のための治療を必要とする動物を選択することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、新生物性疾患に罹患している動物の治療のための薬剤の調製における本発明の標的化結合物質または抗体の使用を包含する。ある実施形態では、使用はさらに、新生物性疾患のための治療を必要とする動物を選択することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、非新生物性疾患に罹患している動物の治療のための薬剤の調製における本発明の標的化結合物質または抗体の使用を包含する。ある実施形態では、使用はさらに、非新生物性疾患のための治療を必要とする動物を選択することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、悪性腫瘍に罹患している動物の治療のための薬剤の調製における本発明の標的化結合物質または抗体の使用を包含する。ある実施形態では、使用はさらに、悪性腫瘍のための治療を必要とする動物を選択することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、KDR発現に関連した疾患または症状に罹患している動物の治療のための薬剤の調製における本発明の標的化結合物質または抗体の使用を包含する。ある実施形態では、使用はさらに、KDR発現に関連した疾患または症状のための治療を必要とする動物を選択することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、KDR誘導性疾患関連VEGF活性化に罹患している動物の治療のための薬剤の調製における本発明の標的化結合物質または抗体の使用を包含する。ある実施形態では、使用はさらに、KDR誘導性疾患関連VEGF活性化のための治療を必要とする動物を選択することを包含する。
本発明のさらなる実施形態は、増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患に罹患している動物の治療のための薬剤としての使用のための本発明の標的化結合物質または抗体を包含する。
本発明のさらなる実施形態は、新生物性疾患に罹患している動物の治療のための薬剤としての使用のための本発明の標的化結合物質または抗体を包含する。
本発明のさらなる実施形態は、非新生物性疾患に罹患している動物の治療のための薬剤としての使用のための本発明の標的化結合物質または抗体を包含する。
本発明のさらなる実施形態は、悪性腫瘍に罹患している動物の治療のための薬剤としての使用のための本発明の標的化結合物質または抗体を包含する。
本発明のさらなる実施形態は、KDR発現に関連した疾患または症状に罹患している動物の治療のための薬剤としての使用のための本発明の標的化結合物質または抗体を包含する。
本発明のさらなる実施形態は、KDR誘導性疾患関連VEGF活性化に罹患している動物の治療のための薬剤としての使用のための本発明の標的化結合物質または抗体を包含する。
一実施形態では、
増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患、
新生物性疾患、
非新生物性疾患、
悪性腫瘍、
KDR発現に関連した疾患または症状、あるいは
KDR誘導性疾患関連VEGF活性化
の治療が、前記の疾患または症状のいずれかを管理し、改善し、防止することを包含する。
一実施形態では、新生物性疾患の治療は、腫瘍増殖の抑制、腫瘍増殖遅延、腫瘍の退行、腫瘍の縮小、治療停止時の腫瘍の再増殖までの時間延長、腫瘍再発までの時間延長、疾患進行の遅延を包含する。
本発明のいくつかの実施形態では、治療されるべき動物はヒトである。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は完全ヒトモノクローナル抗体である。
本発明のいくつかの実施形態では、標的化結合物質は、完全ヒトモノクローナル抗体24B3、27D10および33C3からなる群から選択される。
本発明の実施形態は、本明細書中に記載される標的化結合物質、ならびに治療薬を含む共役体を包含する。本発明のいくつかの実施形態では、治療薬は毒素である。他の実施形態では、治療薬は放射性同位体である。さらに他の実施形態では、治療薬は製剤組成物である。
別の態様において、患者における癌性細胞を選択的に死滅させる方法が提供される。当該方法は、完全ヒト抗体共役体を患者に投与することを包含する。完全ヒト抗体共役体は、KDRと結合し得る抗体および作用物質を含む。作用物質は、毒素、放射性同位体、または癌細胞を死滅させる別の物質である。それにより、抗体共役体は、癌細胞を選択的に死滅させる。
一態様では、KDRと特異的に結合する共役完全ヒト抗体が提供される。抗体に結合されるのは作用物質であり、抗体の細胞との結合は、細胞への作用物質の送達を生じる。一実施形態では、上記の共役完全ヒト抗体は、KDRの細胞外ドメインと結合する。別の実施形態では、抗体および共役毒素は、KDRを発現する細胞によりインターナライズされる。別の実施形態では、作用物質は細胞傷害剤である。別の実施形態では、作用物質は、例えばサポリンまたはアウリスタチン、シュードモナス外毒素、ゲロニン、リシン、カリケアマイシンまたはマイタンシンベースの免疫共役体等である。さらに別の実施形態では、作用物質は放射性同位体である。
本発明の標的化結合物質または抗体は単独で投与され得るか、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて投与され得る。例えば、細胞接着、浸潤、血管新生または増殖を遮断するKDR抗体のモノクローナル、オリゴクローナルまたはポリクローナル混合物は、腫瘍細胞増殖を抑制することが示されている薬剤と組合せて投与され得る。
本発明の別の実施形態は、疾患または症状の診断方法であって、本明細書中に開示される抗体が患者または患者試料中のKDRのレベルを検出するために利用される方法を包含する。一実施形態では、患者試料は、血液または血清または尿である。さらなる実施形態では、危険因子の同定、疾患の診断、疾患の段階付けのための方法であって、抗KDR抗体を用いるKDRの発現および/または過剰発現の同定を包含する方法が提示される。いくつかの実施形態では、当該方法は、細胞上のKDRと選択的に結合する完全ヒト抗体共役体を患者に投与することを包含する。抗体共役体は、KDRと特異的に結合する抗体、ならびに標識を含む。当該方法はさらに、患者における標識の存在を観察することを包含する。相対的に高量の標識は相対的に高い疾患危険度を示し、そして相対的に低量の標識は相対的に低い疾患危険度を示す。一実施形態では、標識は緑色蛍光タンパク質である。
本発明はさらに、患者試料中のKDRのレベルのアッセイ方法であって、本明細書中に開示される抗体を患者からの生物学的試料と接触させること、そして上記抗体と上記試料中のKDRとの間の結合のレベルを検出することを包含する方法を提供する。さらなる具体的な実施形態では、生物学的試料は血液、血漿または血清である。
本発明の別の実施形態は、細胞中のKDRの発現に関連した症状の診断方法であって、血清または細胞を本明細書中に開示される抗体と接触させること、その後、KDRの存在を検出することからなる方法を包含する。一実施形態では、当該症状は、増殖性、血管新生性、細胞接着または浸潤関連疾患、例えば新生物性疾患(これに限定されない)であり得る。
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物の組織、細胞または体液中のKDRを検出して、KDR関連疾患をスクリーニングするためのアッセイキットを包含する。キットは、本明細書中に開示される抗体、ならびに、存在する場合、抗体とKDRとの反応を示すための手段を包含する。一実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。一実施形態では、KDRを結合する抗体は、標識される。別の実施形態では、抗体は非標識の一次抗体であり、キットはさらに、一次抗体を検出するための手段を包含する。一実施形態では、検出するための手段は、抗免疫グロブリンである標識化二次抗体を包含する。抗体は、蛍光色素、酵素、放射性核種および放射線不透過性物質からなる群から選択されるマーカーで標識され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体は、補体を固定し、補体依存性細胞傷害性(CDC)に関与するそれらの能力を増強するよう修飾され得る。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、エフェクター細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与するそれらの能力を増強するよう修飾され得る。さらに他の実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体は、エフェクター細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与するそれらの能力を増強し、そして補体を固定し、補体依存性細胞傷害性(CDC)に関与するそれらの能力を増強するよう修飾され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体は、補体を固定し、補体依存性細胞傷害性(CDC)に関与するそれらの能力を低減するよう修飾され得る。他の実施形態では、標的化結合物質または抗体は、エフェクター細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与するそれらの能力を低減するよう修飾され得る。さらに他の実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体は、エフェクター細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与するそれらの能力を低減し、そして補体を固定し、補体依存性細胞傷害性(CDC)に関与するそれらの能力を低減するよう修飾され得る。
ある実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体の、ならびに本発明の組成物の半減期は、少なくとも約4〜7日である。ある実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体の、ならびに本発明の組成物の平均半減期は、少なくとも約2〜5日、3〜6日、4〜7日、5〜8日、6〜9日、7〜10日、8〜11日、8〜12日、9〜13日、10〜14日、11〜15日、12〜16日、13〜17日、14〜18日、15〜19日、または16〜20日である。他の実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体の、ならびに本発明の組成物の平均半減期は、少なくとも約17〜21日、18〜22日、19〜23日、20〜24日、21〜25日、22〜26日、23〜27日、24〜28日、25〜29日、または26〜30日である。さらなる実施形態では、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体の、ならびに本発明の組成物の半減期は、約50日までであり得る。ある実施形態では、本発明の抗体の、ならびに組成物の半減期は、当該技術分野で既知の方法により延長され得る。このような延長は、次いで、抗体組成物の投与の量および/または頻度を低減し得る。改善されたin vivo半減期を有する抗体、ならびにそれらの調製方法は、米国特許第6,277,375号;ならびに国際公開番号WO98/23289およびWO97/3461に開示されている。
別の実施形態では、本発明は、容器を含めた製品を提供する。容器は、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体を含有する組成物、ならびに細胞接着、浸潤、血管新生および/または増殖関連疾患、例えばKDRの発現または過剰発現により特性化される疾患(これらに限定されない)を治療するために組成物が用いられ得ることを示す包装挿入物またはラベルを包含する。
他の実施形態では、本発明は、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体を含有する組成物、ならびに治療を必要とする被験者に組成物を投与するための使用説明書を含むキットを提供する。
本発明は、変異体Fc領域、すなわち、非天然Fc領域、例えば1つまたは複数の非天然アミノ酸残基を含むFc領域を含むタンパク質の処方物を提供する。アミノ酸の欠失、付加および/または修飾を含むFc領域も、本発明の変異体Fc領域により包含される。
Fc領域を含むタンパク質の血清半減期は、FcRnに関するFc領域の結合親和性を増大することにより増大され得る。一実施形態では、Fc変異体タンパク質は、匹敵する分子に対比して増強された血清半減期を有する。
別の実施形態では、本発明は、Fc領域が少なくとも1つの非天然アミノ酸を、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、239、330および332からなる群から選択される1つまたは複数の位置に含むFc変異体を提供する。特定の一実施形態において、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、239D、330Lおよび332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体を提供する。任意に、Fc領域はさらに、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252、254および256からなる群から選択される1つまたは複数の位置に追加の非天然アミノ酸を含み得る。特定の一実施形態では、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、239D、330Lおよび332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸、ならびにKabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252Y、254Tおよび256Eからなる群から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、Fc領域が少なくとも1つの非天然アミノ酸を、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234、235および331からなる群から選択される1つまたは複数の位置に含むFc変異体を提供する。特定の一実施形態において、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234F、235F、235Yおよび331Sからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体を提供する。さらに特定の一実施形態では、本発明のFc変異体は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234F、235Fおよび331S非天然アミノ酸残基を含む。別の特定の実施形態では、本発明のFc変異体は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234F、235Yおよび331S非天然アミノ酸残基を含む。任意に、Fc領域はさらに、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252、254および256からなる群から選択される1つまたは複数の位置に追加の非天然アミノ酸を含み得る。特定の一実施形態では、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234F、235F、235Yおよび331Sからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸、ならびにKabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252Y、254Tおよび256Eからなる群から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、Fc領域が少なくとも1つの非天然アミノ酸を、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、239、330および332からなる群から選択される1つまたは複数の位置に含むFc変異体タンパク質処方物を提供する。特定の一実施形態において、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、239D、330Lおよび332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体タンパク質処方物を提供する。任意に、Fc領域はさらに、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252、254および256からなる群から選択される1つまたは複数の位置に追加の非天然アミノ酸を含み得る。特定の一実施形態では、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、239D、330Lおよび332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸、ならびにKabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252Y、254Tおよび256Eからなる群から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体タンパク質処方物を提供する。
別の実施形態では、本発明は、Fc領域が少なくとも1つの非天然アミノ酸を、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234、235および331からなる群から選択される1つまたは複数の位置に含むFc変異体タンパク質処方物を提供する。特定の一実施形態において、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234F、235F、235Yおよび331Sからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体タンパク質処方物を提供する。任意に、Fc領域はさらに、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252、254および256からなる群から選択される1つまたは複数の位置に追加の非天然アミノ酸を含み得る。特定の一実施形態では、本発明は、Kabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、234F、235F、235Yおよび331Sからなる群から選択される少なくとも1つの非天然アミノ酸、ならびにKabatで設定されるEUインデックスにより番号付けした場合、252Y、254Tおよび256Eからなる群から選択される1つまたは複数の位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸をFc領域が含むFc変異体タンパク質処方物を提供する。
非天然Fc領域の生成方法は、当該技術分野で知られている。例えば、アミノ酸置換および/または欠失は、突然変異誘発方法、例えば、部位特異的突然変異誘発(Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-492 (1985))、PCR突然変異誘発(Higuchi, in “PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications”, Academic Press, San Diego, pp.177-183 (1990))、およびカセット突然変異誘発(Wells et al., Gene 34: 315-323 (1985))(これらに限定されない)により生成され得る。好ましくは、部位特異的突然変異誘発は、オーバーラップ伸長PCR法により実施される(Higuchi, in ”PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification”, Stockton Press, New York, pp.61-70 (1989))。オーバーラップ伸長PCR(Higuchi、同上)の手法は、標的配列(出発DNA)中に任意の所望の突然変異(単数または複数)を導入するためにも用いられ得る。例えば、オーバーラップ伸長法における第1回のPCRは、外部プライマー(プライマー1)および内部突然変異誘発プライマー(プライマー3)で、そして別個に、第二の外部プライマー(プライマー4)および内部プライマー(プライマー2)で、標的配列を増幅して、2つのPCRセグメント(セグメントAおよびB)を得ることを包含する。内部突然変異誘発プライマー(プライマー3)は、標的配列に対するミスマッチを含有して所望の突然変異(単数または複数)を特定するよう意図される。第2回のPCRでは、第1回のPCRの産物(セグメントAおよびB)は、2つの外部プライマー(プライマー1および4)を用いてPCRにより増幅される。その結果生じる全長PCRセグメント(セグメントC)は制限酵素で消化され、その結果生じる制限断片は適切なベクター中でクローン化される。突然変異誘発の第1ステップとして、出発DNA(例えばFc融合タンパク質、抗体または単にFc領域をコードする)は、突然変異誘発ベクター中で機能的にクローン化される。プライマーは、所望のアミノ酸置換を反映するよう意図される。変異体Fc領域の生成に有用な他の方法は、当該技術分野で知られている(例えば、米国特許第5,624,821号;第5,885,573号;第5,677,425号;第6,165,745号;第6,277,375号;第5,869,046号;第6,121,022号;第5,624,821号;第5,648,260号;第6,528,624号;第6,194,551号;第6,737,056号;第6,821,505号;第6,277,375号;米国特許公開番号2004/0002587およびPCT公開番号WO94/29351;WO99/58572;WO00/42072;WO02/060919;WO04/029207;WO04/099249;WO04/063351を参照)。
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書中で提供される抗体のグリコシル化パターンは、ADCCおよびCDCエフェクター機能を増強するよう修飾される(Shields RL et al., (2002) JBC. 277: 26733;Shinkawa T et al., (2003) JBC. 278: 3466およびOkazaki A et al., (2004) J. Mol. Biol., 336: 1239を参照)。いくつかの実施形態では、Fc変異体タンパク質は、1つまたは複数の改変糖型、すなわち、Fc領域を含む分子と共有的に結合される炭水化物組成物を含む。改変糖型は、種々の目的に、例えば、エフェクター機能を増強するかまたは低減する(これらに限定されない)のに有用であり得る。改変糖型は、当業者に既知の任意の方法により、例えば、改変または変異体発現菌株を用いることにより、1つまたは複数の酵素、例えばDI N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)による共発現により、種々の生物体または種々の生物体からの細胞株においてFc領域を含む分子を発現することにより、あるいはFc領域を含む分子が発現された後に炭水化物(単数または複数)を修飾することにより、生成され得る。改変糖型の生成方法は当該技術分野で知られており、例としては、Umana et al., 1999, Nat. Biotechnol 17: 176-180;Davies et al., 20017 Biotechnol Bioeng 74: 288-294;Shields et al., 2002, J Biol Chem 277: 26733-26740;Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278: 3466-3473;米国特許第6,602,684号;米国特許番号10/277,370;米国特許番号10/133,929;PCT WO00/61739A1; PCT WO01/292246A1; PCT WO02/311140A1; PCT WO02/30954A1に記載されたもの;Potillegent(登録商標)技法(Biowa, Inc. Princeton, N.J.);GlycoMAb(登録商標)グリコシル化工学処理技法(GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)が挙げられるが、これらに限定されない(例えばWO00061739;EA01220125;US20030115614;Okazaki et al., 2004, JMB, 336: 1239-49を参照)。
Fc領域のグリコシル化は、エフェクター機能を増大するかまたは低減するために修飾され得る、ということも当該技術分野で知られている(例えば、Umana et al., 1999, Nat. Biotechnol 17: 176-180;Davies et al., 20017 Biotechnol Bioeng 74: 288-294;Shields et al., 2002, J Biol Chem 277: 26733-26740;Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278: 3466-3473;米国特許第6,602,684号;米国特許番号10/277,370;米国特許番号10/133,929;PCT WO00/61739A1; PCT WO01/292246A1; PCT WO02/311140A1; PCT WO02/30954A1に記載されたもの;Potillegent(登録商標)技法(Biowa, Inc. Princeton, N.J.);GlycoMAb(登録商標)グリコシル化改変技法(GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)を参照)。したがって、一実施形態では、本発明の抗体のFc領域は、アミノ酸残基の変更されたグリコシル化を含む。別の実施形態では、アミノ酸残基の変更グリコシル化は、エフェクター機能低下を生じる。別の実施形態では、アミノ酸残基の変更グリコシル化は、エフェクター機能増大を生じる。具体的な一実施形態では、Fc領域はフコシル化低減を示す。別の実施形態ではFc領域は無フコシル化される(例えば米国特許出願公開番号2005/0226867を参照)。
本発明の実施形態は、新規組のVEGFR遮断分子、例えば、リガンドとその受容体との結合を遮断することなくVEGFRシグナル伝達を抑制する抗体に関する。このような分子は、単一作用物質として、代替的にはVEGF−A結合抗体/作用物質、受容体−リガンド結合を抑制する抗体、ならびにVEGFRの小分子阻害剤と組合せて、用いられ得る。それらは、任意の標準または新規の抗癌剤と組合せても用いられ得る。
本発明の実施形態は、KDRと結合する標的化結合物質に関する。いくつかの実施形態では、標的化結合物質はKDRと結合し、血管内皮増殖因子(VEGF)のタンパク質生成物のKDRとの結合を抑制する。いくつかの実施形態では、標的化結合物質はKDRと結合し、受容体二量体化を抑制する。いくつかの実施形態では、標的化結合物質はKDRと結合し、受容体二量体化およびVEGFのKDRとの結合を抑制する。一実施形態では、標的化結合物質はモノクローナル抗体またはその結合性断片である。このようなモノクローナル抗体は、本明細書中では抗KDR抗体と呼ばれ得る。
本発明の他の実施形態は、完全ヒト抗KDR抗体、ならびに治療的に有用である抗体調製物を包含する。一実施形態では、本発明の抗KDR抗体の調製物は、望ましい治療的特性、例えばKDRに関する強い結合親和性、in vitroでKDRチロシンリン酸化を抑制する能力、ならびにin vitroおよびin vivoでKDR誘導性細胞活性を抑制する能力を有する。
さらに、本発明の実施形態は、疾患を治療するためのこれらの抗体の使用方法を包含する。本発明の抗KDR抗体は、健常組織のKDR媒介による腫瘍発生および腫瘍浸潤を防止するために有用である。さらに、KDR抗体は、血管新生に関連した疾患、例えば眼疾患、例えばAMD、炎症性障害、例えば関節リウマチ、そして心臓血管性疾患および敗血症、ならびに新生物性疾患を治療するために有用であり得る。如何なる特定の理論にも限定されることなく考えると、この抑制の作用機序は、KDRとの結合からの、および/または受容体の二量体化を抑制し、それにより増殖性シグナルの生産的シグナル伝達および活性化を防止することによる、VEGFの抑制を包含し得る。この抑制機序により治療可能である疾患としては新生物性疾患が挙げられるが、これに限定されない。任意の型の悪性腫瘍、例えば転移性癌、リンパ性腫瘍および血管癌により特性化される任意の疾患も、この抑制機序により治療され得る。ヒトにおける癌の例としては、膀胱腫瘍、乳癌、前立腺癌、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳およびCNS癌(例えば神経膠腫)、子宮頸癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌;子宮内膜癌、食道癌;眼癌;頭頚部癌;胃癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);リンパ腫、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫、口腔癌(例えば、***、舌、口および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、直腸癌、腎臓癌、呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌;胃癌、精巣癌、甲状腺癌;子宮癌、泌尿器系の癌、ならびにその他の癌腫および肉腫が挙げられる。イヌ、ネコおよびその他のペットにおいて一般的に診断される悪性障害としては、リンパ肉腫、骨肉腫、***腫瘍、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮癌、肺カルチノイド腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支腺癌、繊維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、バーキットリンパ腫、小神経膠細胞腫、神経芽細胞腫、破骨細胞腫、口腔新生物、繊維肉腫、骨肉腫および横紋筋肉腫、生殖扁平上皮細胞癌、伝染性性病腫瘍、精巣腫瘍、精上皮腫、セルトリ細胞腫瘍、血管周囲細胞腫、組織球腫、緑色腫(例えば、顆粒球肉腫)、角膜乳頭腫、角膜扁平上皮細胞癌、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副腎癌、口腔乳頭腫症、血管内皮腫および嚢胞腺腫、濾胞性リンパ腫、腸リンパ肉腫、繊維肉腫および肺扁平上皮細胞癌が挙げられるが、これらに限定されない。齧歯類、例えばフェレットでは、癌の例としては、インスリノーマ、リンパ腫、肉腫、神経腫、膵島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫および胃腺癌が挙げられる。農場家畜に影響を及ぼす新生物形成としては、白血病、血管周囲細胞腫およびウシ眼新生物(畜牛);***繊維肉腫、潰瘍性扁平上皮細胞癌、***癌、結合組織新生物および肥満細胞腫(ウマ);肝細胞癌(ブタ);リンパ腫および肺腺腫症(ヒツジ);肺肉腫、リンパ腫、ラウス肉腫、細網内皮症、繊維肉腫、腎芽細胞腫、B細胞リンパ腫およびリンパ性白血病(鳥類);網膜芽細胞腫、肝臓新生物形成、リンパ肉腫(リンパ芽球性リンパ腫)、形質細胞様白血病および浮袋肉腫(魚);乾酪性リンパ節炎(CLA):慢性、感染性、細菌のコリネバクテリウム・シュードツベルクロシスにより引き起こされるヒツジおよびヤギの接触伝染性疾患ならびにヤーグジークテにより引き起こされるヒツジの接触伝染性肺腫瘍が挙げられる。
本発明の他の実施形態は、生物学的試料中のKDRの量を特定的に確定するための診断アッセイを包含する。アッセイキットは、本明細書中に開示される標的化結合物質または抗体を、このような抗体を検出するために必要な標識とともに包含する。これらの診断アッセイは、細胞接着、浸潤、血管新生または増殖関連疾患、例えば新生物性疾患(これらに限定されない)に関してスクリーニングするのに有用である。
本発明の別の態様は、KDRの生物学的活性のアンタゴニストであって、この場合、アンタゴニストはKDRと結合する。一実施形態では、アンタゴニストは標的化結合物質、例えば抗体である。アンタゴニストは、
i)KDR、または
ii)KDR/VEGF複合体
またはこれらの組合せと結合し得る。一実施形態では、アンタゴニストは、in vitroおよびin vivoでKDRの生物学的活性と拮抗し得る。アンタゴニストは、本明細書中に記載される抗体、例えば抗体27D10、24B3または33C3から選択され得る。
一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、KDRと結合し、それによりKDR受容体チロシンキナーゼ活性を抑制するかまたは抑圧し、それにより細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖を抑制し得る。この抑制の作用機序は、アンタゴニストのKDRとの結合、ならびに自然のKDR特異的リガンド、例えばVEGFのKDRとの結合の抑制を包含し得る。この抑制の作用機序は、アンタゴニストのKDRとの結合、ならびにKDRの二量体化の抑制を包含し得る。如何なる特定の理論にも縛られることなく考えると、KDRの生物学的活性の拮抗作用が達成され得る機序としては、VEGFのKDRとの結合の抑制、および/または受容体二量体の抑制またはKDR−VEGF媒介によるシグナル伝達活性の抑制が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態は、完全ヒトモノクローナル抗体27D10、24B3または33C3と同一の単数または複数のエピトープと結合する標的化結合物質である。
一実施形態は、完全ヒトモノクローナル抗体27D10、24B3または33C3と同一の単数または複数のエピトープと結合する抗体である。
一実施形態は、本明細書中に上記の標的化結合物質を産生するハイブリドーマである。一実施形態は、本明細書中に上記の抗体の軽鎖および/または重鎖を産生するハイブリドーマである。一実施形態では、ハイブリドーマは、完全ヒトモノクローナル抗体の軽鎖および/または重鎖を産生する。別の実施形態では、ハイブリドーマは、完全ヒトモノクローナル抗体27D10、24B3または33C3の軽鎖および/または重鎖を産生する。代替的には、ハイブリドーマは、完全ヒトモノクローナル抗体27D10、24B3または33C3と同一の単数または複数エピトープと結合する抗体を産生する。
別の実施形態は、本明細書中に上記の標的化結合物質をコードする核酸分子である。一実施形態は、本明細書中で上記の軽鎖または重鎖をコードする核酸分子である。一実施形態では、核酸分子は、完全ヒトモノクローナル抗体の軽鎖または重鎖をコードする。さらに別の実施形態は、抗体27D10、24B3または33C3から選択される完全ヒトモノクローナル抗体の軽鎖または重鎖をコードする核酸分子である。
本発明の別の実施形態は、本明細書中で上記の単数または複数の核酸分子を含むベクターであって、この場合、ベクターは本明細書中に上記の標的化結合物質をコードする。本発明の一実施形態は、本明細書中で上記の単数または複数の核酸分子を含むベクターであって、この場合、ベクターは本明細書中に上記の抗体の軽鎖および/または重鎖をコードする。
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書中で上記のベクターを含む宿主細胞である。代替的には、宿主細胞は、1つより多くのベクターを含み得る。
さらに、本発明の一実施形態は、核酸分子が発現されて標的化結合物質を産生する条件下で宿主細胞を培養して、その後、標的化結合物質を回収することによる本発明の標的化結合物質の産生方法である。本発明の一実施形態は、核酸分子が発現されて抗体を産生する条件化で宿主細胞を培養して、その後、抗体を回収することによる本発明の抗体の産生方法である。
一実施形態では、本発明は、本明細書中で上記の標的化結合物質をコードする少なくとも1つの核酸分子で少なくとも1つの宿主細胞をトランスフェクトし、宿主細胞中で核酸分子を発現して、標的化結合物質を単離することによる標的化結合物質の製造方法を包含する。一実施形態では、本発明は、本明細書中で上記の抗体をコードする少なくとも1つの核酸分子で少なくとも1つの宿主細胞をトランスフェクトし、宿主細胞中で核酸分子を発現して、抗体を単離することによる抗体の製造方法を包含する。
別の態様によれば、本発明は、本明細書中に記載されるアンタゴニストを投与することによるKDRの生物学的活性の拮抗方法を包含する。当該方法は、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびに治療上有効量のKDRの生物学的活性のアンタゴニストを動物に投与することを包含する。
本発明の別の態様は、本明細書で上記の標的化結合物質を投与することによるKDRの生物学的活性の拮抗方法を包含する。当該方法は、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。
本発明の別の態様は、本明細書で上記の抗体を投与することによるKDRの生物学的活性の拮抗方法を包含する。当該方法は、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を動物に投与することを包含する。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性の治療上有効量のアンタゴニストを投与することによる、動物における疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療方法が提供される。当該方法は、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性の治療上有効量のアンタゴニストを動物に投与することを包含する。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の標的化結合物質を投与することによる、動物における疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療方法が提供される。当該方法は、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。標的化結合物質は、単独で投与され得るか、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて投与され得る。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を投与することによる、動物における疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療方法が提供される。当該方法は、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を動物に投与することを包含する。抗体は、単独で投与され得るか、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて投与され得る。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性の治療上有効量のアンタゴニストを投与することによる、動物における癌の治療方法が提供される。当該方法は、癌のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量のアンタゴニストを動物に投与することを包含する。アンタゴニストは、単独で、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて、投与され得る。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の標的化結合物質を投与することによる、動物における癌の治療方法が提供される。当該方法は、癌のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の標的化結合物質を動物に投与することを包含する。標的化結合物質は、単独で、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて、投与され得る。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を投与することによる、動物における癌の治療方法が提供される。当該方法は、癌のための治療を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を動物に投与することを包含する。抗体は、単独で、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて、投与され得る。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を投与することによる、動物における腫瘍細胞増殖、接着、浸潤および/または血管新生を低減するかまたは抑制する方法が提供される。当該方法は、増殖、細胞接着、浸潤および/または血管新生の低減または抑制を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を動物に投与することを包含し得る。抗体は、単独で、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて、投与され得る。
別の態様によれば、KDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を投与することによる、動物における腫瘍増殖および/または転移を低減する方法が提供される。当該方法は、腫瘍増殖および/または転移の低減を必要とする動物を選択すること、ならびにKDRの生物学的活性と拮抗する治療上有効量の抗体を動物に投与することを包含し得る。抗体は、単独で、あるいは付加的抗体または化学療法薬または放射線療法と組合せて、投与され得る。
本発明の別の態様によれば、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性のアンタゴニストの使用が提供される。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の標的化結合物質である。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の抗体である。
本発明の別の態様によれば、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性のアンタゴニストが提供される。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の標的化結合物質である。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の抗体である。
本発明の別の態様によれば、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体の使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体が提供される。
本発明の別の態様によれば、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体の使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖の治療のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性と拮抗する抗体が提供される。
本発明の別の態様によれば、哺乳動物における癌の治療のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性のアンタゴニストの使用が提供される。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の標的化結合物質である。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の抗体である。
本発明の別の態様によれば、哺乳動物における癌の治療のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性のアンタゴニストが提供される。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の標的化結合物質である。一実施形態では、KDRの生物学的活性のアンタゴニストは、本発明の抗体である。
本発明の別の態様によれば、哺乳動物における癌の治療のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質の使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、哺乳動物における癌の治療のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質が提供される。
本発明の別の態様によれば、哺乳動物における癌の治療のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性と拮抗する抗体の使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、哺乳動物における癌の治療のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性と拮抗する抗体が提供される。
本発明の別の態様によれば、動物における増殖、細胞接着、浸潤および/または血管新生の低減または抑制のための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体の使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、動物における増殖、細胞接着、浸潤および/または血管新生の低減または抑制のための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体が提供される。
別の態様によれば、動物における腫瘍増殖および/または転移を低減するための薬剤の製造のためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体の使用が提供される。
別の態様によれば、動物における腫瘍増殖および/または転移を低減するための薬剤として用いるためのKDRの生物学的活性と拮抗する標的化結合物質または抗体が提供される。
一実施形態では、本発明は、単独でまたは一部が、KDR受容体チロシンキナーゼに左右される腫瘍を有する患者においてKDRと拮抗する場合に用いるのに特に適している。
本発明の別の態様によれば、KDRの生物学的活性のアンタゴニスト、および製薬上許容可能な担体を含む製剤組成物が提供される。一実施形態では、アンタゴニストは抗体を含む。本発明の別の態様によれば、KDRの生物学的活性のアンタゴニスト、および製薬上許容可能な担体を含む製剤組成物が提供される。一実施形態では、アンタゴニストは抗体を含む。
いくつかの実施形態では、KDRと特異的に結合する抗体の投与後、清掃剤が投与されて、血液から過剰量の循環抗体を除去する。
抗KDR抗体は、患者試料中のKDRの検出に有用であり、したがって、本明細書中に記載されるような疾患状態に関する診断として有用である。さらに、KDR媒介によるシグナル伝達活性を有意に抑制するそれらの能力に基づいて(以下の実施例で実証されるように)、抗KDR抗体は、KDR発現に起因する症候および症状の治療に際して治療効果を有する。具体的な実施形態では、本明細書中の抗体および方法は、KDR誘導性細胞接着、浸潤、血管新生、増殖および/または細胞内シグナル伝達に起因する症候の治療に関する。さらなる実施形態は、細胞接着、浸潤、血管新生および/または増殖関連疾患、例えば新生物性疾患、例えば黒色腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、肝細胞(肝臓)癌、甲状腺腫瘍、胃癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、神経膠芽細胞腫、子宮内膜癌、腎臓癌、結腸癌および膵臓癌を治療するために本明細中に記載される抗体および方法を用いることを包含する。抗体は、関節炎、アテローム硬化症、および血管新生を伴う疾患における細胞接着および/または浸潤を治療するのにも有用であり得る。
本発明の別の実施形態は、哺乳動物の組織、細胞または体液中のKDRを検出して、細胞接着−、浸潤−、血管新生−または増殖関連疾患に関してスクリーニングするためのアッセイキットを包含する。キットは、KDRと結合する標的化結合物質、ならびに、標的化結合物質とKDRとの反応(存在する場合)を示すための手段を包含する。一実施形態では、KDRを結合する標的化結合物質は標識される。別の実施形態では、標的化結合物質は非標識化物であり、キットはさらに、標的化結合物質を検出するための手段を包含する。好ましくは、標的化結合物質は、蛍光色素、酵素、放射性核種および放射線不透過性物質からなる群から選択されるマーカーで標識される。
本発明の別の実施形態は、哺乳動物の組織、細胞または体液中のKDRを検出して、細胞接着−、浸潤−、血管新生−または増殖関連疾患に関してスクリーニングするためのアッセイキットを包含する。キットは、KDRと結合する抗体、ならびに、抗体とKDRとの反応(存在する場合)を示すための手段を包含する。抗体は、モノクローナル抗体であり得る。一実施形態では、KDRを結合する抗体は、標識される。別の実施形態では、抗体は非標識化一次抗体であり、キットはさらに、一次抗体を検出するための手段を包含する。一実施形態では、当該手段は、抗免疫グロブリンである標識化二次抗体を包含する。好ましくは、抗体は、蛍光色素、酵素、放射性核種および放射線不透過性物質からなる群から選択されるマーカーで標識され得る。
本明細書中に開示されるような抗体に関するさらなる実施形態、特徴等を、以下でさらに詳細に提供する。
配列表
本発明の実施形態は、以下の表1に列挙される特定の抗体を包含する。この表は、各抗KDR抗体の識別番号を、それぞれ対応する重鎖および軽鎖遺伝子およびポリペプチドの可変ドメインの配列番号とともに報告する。各抗体は、一つの識別番号を与えられている。
定義
別記しない限り、本明細書中で用いられる科学用語および技術用語は、当業者に一般に理解される意味を有する。さらに、状況により必要とされない限り、単数形の用語は複数を包含し、複数用語は単数を包含する。一般的に、本明細書中に記載される細胞および組織培養、分子生物学ならびにタンパク質およびオリゴ−またはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションと結びつけて用いられる用語法、ならびにその技術は、当該技術分野でよく知られたものであり、一般的に用いられる。
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のために、標準技法が用いられる。メーカーの使用説明書に従って、あるいは当該技術分野で一般に成し遂げられるように、または本明細書中に記載されるように、酵素反応および生成技法が実施される。前記の技法および手順は、一般的に、当該技術分野でよく知られた、そして本明細書全体を通して引用され、考察される、種々の一般的な且つより具体的な参考文献に記載されているような従来の方法に従って実施される(例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor , N.Y. (2001))を参照)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。本明細書中に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医学および薬学化学と結びつけて用いられる用語法、ならびにその実験室手順および技法は、当該技術分野で周知のそして一般に用いられるものである。化学合成、化学分析、製剤調製、処方および送達ならびに患者の治療に関して、標準技法が用いられる。
本発明の開示に従って用いられる場合、以下の用語は、別記しない限り、以下の意味を有すると理解される。
アンタゴニストまたは阻害剤は、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、小分子量化合物、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、RNA干渉(RNAi)、アンチセンス、組換えタンパク質、抗体またはその断片、あるいはその共役体または融合タンパク質であり得る。RNAiの再検討に関しては、Milhavet O, Gary DS, Mattson MP. (Pharmacol Rev. 2003 Dec; 55(4): 629-48. Review)を、ならびにアンチセンス(Opalinska JB, Gewirtz AM. (Sci STKE. 2003 Oct 28; 2003(206); pe47)を参照されたい。
疾患関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖は、任意の異常な、望ましくないまたは病理学的な細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖、例えば腫瘍関連細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖であり得る。細胞接着−および/または浸潤および/または血管新生−および/または増殖−関連疾患としては、非固形腫瘍、例えば白血病、多発性骨髄腫またはリンパ腫、ならびに固形腫瘍、例えば黒色腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、肝細胞(肝臓)癌、神経膠芽細胞腫、甲状腺癌、胆管癌、骨癌、胃癌、脳/CNSの癌、頭頚部癌、肝臓系の癌、胃癌、前立腺癌、乳癌、腎臓癌、精巣癌、卵巣癌、皮膚癌、子宮頚部癌、肺癌、筋肉の癌、神経の癌、食道癌、膀胱癌、肺癌、子宮癌、外陰部癌、子宮内膜癌、腎臓癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胸膜/腹膜の癌、唾液腺癌および類表皮癌が挙げられるが、これらに限定されない。
化合物は、約2000ダルトン未満の分子量を有する任意の小分子量化合物を指す。
「KDR」という用語は、KDRタンパク質(VEGFR2としても知られている)およびKDR受容体様チロシンキナーゼである分子を指す。
「中和する」または「抑制する」という用語は、標的化結合物質、例えば抗体に言及する場合、標的抗原の活性を排除し、低減し、または有意に低減する抗体の能力に関する。したがって、本発明の「中和」抗KDR抗体は、KDRの活性を排除するかまたは有意に低減し得る。中和KDR抗体は、例えば、ネイティブKDR特異的リガンド、例えばVEGFのKDRとの結合を遮断することにより作用し得る。この結合を遮断することにより、KDRシグナル媒介による活性は、有意にまたは完全に、排除される。理想的には、KDRに対する中和抗体は、細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖を抑制する。
「KDRの生物学的活性のアンタゴニスト」は、KDRの活性を排除し、低減しまたは有意に低減し得る。「KDRの生物学的活性のアンタゴニスト」は、KDRシグナル伝達を排除し、低減しまたは有意に低減し得る。「KDRの生物学的活性のアンタゴニスト」は、細胞接着および/または浸潤および/または血管新生および/または増殖を排除するかまたは有意に低減し得る。
「KDRシグナル伝達を低減すること」は、本発明の標的化結合物質、抗体またはアンタゴニストの非存在下でのシグナル伝達のレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、KDRシグナル伝達を抑制する。
「ポリペプチド」という用語は、ポリペプチド配列のネイティブタンパク質、断片、または類似体を指す総称的用語として本明細書中で用いられる。それゆえ、ネイティブタンパク質、断片および類似体は、ポリペプチド属の種である。本発明による好ましいポリペプチドは、ヒト重鎖免疫グロブリン分子およびヒトκ軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに重鎖免疫グロブリン分子を軽鎖免疫グロブリン分子、例えばκまたはλ軽鎖免疫グロブリン分子とともに含む組合せ(ならびにその逆)により形成される抗体分子、ならびにその断片および類似体を含む。本発明による好ましいポリペプチドは、単に、ヒト重鎖免疫グロブリン分子またはその断片も含み得る。
「ネイティブ」または「天然」という用語は、一対象に適用される場合に本明細書中で用いる場合、一対象が自然に見出され得る、という事実を指す。例えば、生物体(例えばウイルス)中に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、自然の供給源から単離され得、研究室でヒトにより意図的に修飾されていないか、そうでなければ天然のものである。
「機能的に連結される」という用語は、本明細書中で用いる場合、それらの意図された方法でそれらを機能させる関係で存在するそのように記載される構成成分の位置を指す。例えば、コード配列と「機能的に連結される」対照配列は、コード配列の発現が対照配列と比較可能な条件下で達成されるような方法で連結される。
「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書中で言及される場合、少なくとも10塩基長の高分子形態のヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはでオキシヌクレオチド)、あるいは修飾形態のいずれかの型のヌクレオチド、あるいはRNA−DNAへテロ二重鎖を意味する。当該用語は、一本鎖および二本鎖形態のDNAを包含する。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書中で言及される場合、天然ヌクレオチド、ならびに天然および非天然連結により一緒に連結される修飾ヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは、一般的に200塩基またはそれ以下の長さからなるポリヌクレオチドのサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、10〜60塩基長、最も好ましくは12、13、14、15、16、17、18、19または20〜40塩基長である。オリゴヌクレオチドは、通常は、一本鎖、例えばプローブである。しかし、例えば遺伝子突然変異体の構築に用いるために、オリゴヌクレオチドは二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
本明細書中で言及される「天然ヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含する。本明細書中で言及される「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾または置換糖基等を有するヌクレオチドを包含する。本明細書中で言及される「オリゴヌクレオチド連結」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート、ホスホロアミデート等のようなオリゴヌクレオチド連結を包含する。例えば、LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14: 9081 (1986);Stee et al. J. Am. Chem. Soc. 106: 6077 (1984);Stein etal. Nucl. Acids Res. 16: 3209 (1988);Zon et al. Anti-Cancer Drug Design 6: 539 (1991);Zon et al. Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp.87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991));Stec et al. U.S. Patent No. 5, 151, 510;Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90: 543 (1990)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、所望により、検出のための標識を含み得る。
本明細書中で言及される「選択的にハイブリダイズする」という用語は、検出可能的に且つ特異的に結合することを意味する。ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびその断片は、容易に感知可能な量の非特異的核酸との検出可能な結合を最小限にするハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下で、核酸鎖と選択的にハイブリダイズする。当該技術分野で知られている且つ本明細書中で考察されるような選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するために、高ストリンジェントな条件が用いられ得る。一般的に、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは抗体断片および当該核酸配列間の核酸配列相同性は、少なくとも80%であり、さらに典型的には、好ましくは少なくとも85%、90%、95%、99%および100%相同である。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、約45℃で、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)(0.9MのNaCl/90mMのクエン酸Na、pH7.0)中でのフィルター結合DNAとのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中での50〜65℃での1つまたは複数回の洗浄、約45℃で、6×SSC中でのフィルター結合DNAとのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中での60℃での1つまたは複数回の洗浄のような高ストリンジェントな条件、あるいは当業者に既知の任意のその他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(例えば、Ausubel, F.M. et al., eds. 1989 Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc., NY at pages 6.3.1 to 6.3.6 and 2.10.3を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。2つのアミノ酸配列は、それらの配列間で部分的なまたは完全な同一性が存在する場合、「相同」である。例えば、85%相同は、2つの配列が最大整合するようにアライメントされる場合、85%のアミノ酸が同一である、ということを意味する。ギャップ(整合されている2つの配列のいずれかにおける)は、整合性を最大にする場合に認められる。5またはそれより小さいギャップ長が好ましく、2またはそれより小さいのがさらに好ましい。代替的には且つ好ましくは、2つのタンパク質配列(または少なくとも約30アミノ酸長のそれらに由来するポリペプチド配列)は、6より大きい突然変異で得たマトリックスおよびギャップペナルティーでプログラムALIGNを用いて、それらが5より大きいアラインメントスコア(標準偏差単位)を有するならば、この用語が本明細書中で用いられる場合、相同である(Dayhoff, M.O., in Atlas of Protein Sequence and Structure, pp.101-110 (Volume 5,Natonal Biomedical Research Foundation (1972)) and Supplement 2 to this volume, pp. 1-10を参照)。2つの配列またはその部分は、さらに好ましくは、ILIGNプログラムを用いて最適にアライメントされる場合、それらのアミノ酸が50%以上同一であるならば、相同である。2つのオーソログ配列内に相同の異なる領域が存在し得る、と理解されるべきである。例えばマウスおよびヒトオーソログの機能部位は、非機能部位より高度の相同性を有し得る。
「〜に対応する」という用語は、ポリヌクレオチド配列が、参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部と相同である(すなわち、同一であるが、厳密には進化的に関連しない)ということを、あるいはポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列と同一であるということを意味するために、本明細書中で用いられる。
対照的に、「〜と相補的」という用語は、本明細書中で用いる場合、相補的配列が参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部と相同であることを意味する。実例として、ヌクレオチド配列「TATAC」は参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」と相補的である。
「配列同一性」という用語は、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が、比較ウインドウにわたって同一である(すなわち、ヌクレオチド単位または残基単位で)、ということを意味する。「配列同一性パーセンテージ」という用語は、比較ウインドウにわたって2つの最適整列配列を比較して、同一核酸塩基(例えばA、T、C、G、UまたはI)またはアミノ酸残基が両方の配列で存在する位置の数を確定して、整合位置の数を得て、整合位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で割り(すなわち、ウインドウサイズ)、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることにより算定される。「実質的同一性」という用語は、本明細書中で用いる場合、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較ウインドウにわたって、しばしば、少なくとも24〜48ヌクレオチド(8〜16アミノ酸)位置のウインドウにわたって、参照配列と比較して、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸が少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特質を意味し、この場合、配列同一性のパーセンテージは、比較ウインドウ全体で参照配列の20%またはそれ未満になる欠失または付加を含み得る配列と参照配列を比較することにより算定される。参照配列は、より大きな配列のサブセットであり得る。
本明細書中で用いる場合、20の従来アミノ酸およびそれらの略号は慣用的用法に従う(Immunology-A Synthesis (2nd Edition,E.S. Golub and D.R. Gren, Eds., Sinauer Associates, Sunderland, Mass. (1991))を参照)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。20の従来アミノ酸の立体異性体(例えば、Dアミノ酸)、非天然アミノ酸、例えばα−、α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸およびその他の非従来アミノ酸も、本発明のポリペプチドに適した構成成分であり得る。非従来アミノ酸の例としては、以下のものが挙げられる:4-ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,エヌハイフトリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニンおよびその他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)。本明細書中で用いられるポリペプチド表記法では、標準用法および慣例に従って、左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシ末端方向である。
同様に、別記しない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手末端は5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は5’方向と呼ばれる。新生RNA転写物の5’−3’付加の方向は転写方向と呼ばれ、RNAと同一配列を有し、RNA転写物の5’−5’末端であるDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれる。RNAと同一配列を有し、RNA転写物の3’−3’末端であるDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
ポリペプチドに適用される場合、「実質的同一性」という用語は、2つのペプチド配列が、デフォルトギャップ重量を用いて、例えばプログラムGAPまたはBESTFITにより最適に整列される場合、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有する、ということを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換により異なる。保存的アミノ酸置換とは、類似の側鎖を有する残基の相互可換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の一群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンであり、脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の一群は、セリンおよびトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の一群は、アスパラギンおよびグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の一群は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の一群は、リシン、アルギニンおよびヒスチジンであり、イオウ含有側鎖を有するアミノ酸の一群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、ならびにアスパラギン−グルタミンである。
本明細書中で考察される場合、抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列中の小変異は、本発明により包含されるものとして意図されるが、但し、アミノ酸配列中の変異は、本明細書中に記載される抗体または免疫グロブリン分子との、少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、90%、95%、最も好ましくは99%の配列同一性を保持する。特に、保存的アミノ酸置換が意図される。保存的置換は、関連側鎖を有するアミノ酸の一ファミリー内で起こるものである。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般的に、以下のファミリーに分けられる。(1)酸性=アスパルテート、グルタメート、(2)塩基性=リシン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、ならびに(4)非荷電性極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。さらに好ましいファミリーは、以下のものである。セリンおよびトレオニンは脂肪族−ヒドロキシファミリーであり、アスパラギンおよびグルタミンはアミド含有ファミリーであり、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは脂肪族ファミリーであり、そしてフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは芳香族ファミリーである。例えば、ロイシンに代わるイソロイシンまたはバリン、あるパルテートに代わるグルタメート、トレオニンに代わるセリンという単離置換、および、あるアミノ酸に代わる構造的に関連したアミノ酸という同様の置換は、特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を伴わないならば、その結果生じる分子の結合機能または特性に重要な影響を及ぼさない、と予測するのは理にかなっている。アミノ酸変化が機能的ペプチドを生じるか否かは、ポリペプチド誘導体の特定の活性をアッセイすることにより容易に確定され得る。アッセイは、本明細書中に詳細に記載されている。抗体または免疫グロブリン分子の断片または類似体は、当業者により容易に調製され得る。断片または類似体の好ましいアミノ−およびカルボキシ末端は、機能ドメインの境界近くで起こる。構造および機能ドメインは、ヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを公有または私有配列データベースと比較することにより同定され得る。好ましくは、既知の構造および/または機能を有する他のタンパク質において生じる配列モチーフまたは予測タンパク質配座ドメインを同定するために、コンピューター比較法が用いられる。既知の三次元構造に折りたたまるタンパク質配列を同定するための方法が知られている(Bowie et al. Science 253: 164 (1991))。したがって、前記の例は、本明細書中に記載される抗体に従って構造および機能ドメインを限定するために用いられ得る配列モチーフおよび構造的配座を当業者は認識し得る、ということを実証する。
グルタミニルおよびアスパラギニル残基は、しばしば、それぞれ対応するグルタミルおよびアスパルチル残基に脱アミド化される。これらの残基は、中性または塩基性条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化形態は、本発明の範囲内である。
概して、タンパク質中のシステイン残基は、システイン−システイン・ジスルフィド結合に関与するか、あるいはそれらが折りたたまれたタンパク質領域の一部である場合、ジスルフィド結合形成から立体的に保護される。タンパク質中のジスルフィド結合形成は複雑な工程であり、これは、環境および特殊化チオール−ジスルフィド交換酵素の酸化還元電位により確定される(Creighton, Methods Enzymol. 107, 305-329, 1984;Houee-Levin, Methods Enzymol. 353, 35-44, 2002)。システイン残基がタンパク質構造中に対を有さず、そしてフォールディングにより立体的に保護されない場合、それは、ジスルフィド・シャッフリングとして知られている工程において溶液からの遊離システインでジスルフィド結合を形成し得る。ジスルフィド・スクランブリングとして知られている別の工程では、遊離システインはまた、天然ジスルフィド結合(例えば、抗体構造中に存在するもの)を妨げ、低結合、低生物学的活性および/または低安定性をもたらし得る。
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更し、(4)結合親和性を変更し、ならびに(4)このような類似体の物理化学的または機能的特性を付与するかまたは修飾するものである。類似体は、天然ペプチド配列以外の配列の種々の突然変異を含み得る。例えば、単一のまたは多数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)が、天然配列中(好ましくは、分子間接触を形成するドメイン(単数または複数)の外側のポリペプチドの部分で)でなされ得る。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特質を実質的に変えるべきでない(例えば置換アミノ酸は親配列中に生じるらせんを壊すかまたは親配列を特性化する二次構造の他の型を崩壊する傾向があってはならない)。当該技術分野で認められたポリペプチドの二次および三次構造の例は、Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton, Ed., W.H. Freeman and Company, New York (1984));Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y. (1991));およびThornton et al., Nature 354: 105 (1991)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
さらに、このような方法は、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つまたは複数の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を作って、1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合を欠く抗体分子を生成するために用いられ得る。
「CDR領域」または「CDR」という用語は、抗体に抗原結合特異性を付与する抗体の重鎖および軽鎖の超可変領域を示すよう意図される。CDRは、Kabat系(Kabat, E.A. et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Edition. US Department of Health and Human Services, Public Service, NIH, Washington)ならびにその後の版に従って定義され得る。抗体は、典型的には、3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDRを含有する。CDR(単数または複数)という用語は、場合によって、抗原またはそれを認識するエピトープに対する抗体の親和性により結合に関与するアミノ酸残基の大多数を含有するこれらの領域のうちの1つ、これらの領域のまたはいくつか、または全部でさえある領域を示すためにここで用いられる。
重鎖の第三のCDR(HCDR3)は、より大きなサイズ可変性(本質的には、それを生じる遺伝子の整列機序のためのより大きな多様性)を有する。それは2アミノ酸という短さであり得るが、しかし知られている最長サイズは26である。CDR長は、特定の基本的フレームワークにより収容され得る長さによっても変わり得る。機能的には、HCDR3は、一部は、抗体の特異性の確定においてある役割を果たす(Segal et al., PNAS, 71: 4298-4302,1974、Amit et al., Science, 233: 747-753, 1986、Chothia etal., J. Mol. Biol., 196: 901-917, 1987、Chothia et al., Nature, 342: 877-883, 1989、Caton et al., J. Immunol., 144: 1965-1968, 1990、Sharon et al., PNAS, 87: 4814-4817, 1990、Sharon et al., J. Immunol., 144: 4863-4869, 1990、Kabat et al., J. Immunol., 147: 1709-1719, 1991)。
「CDRの組」という用語は、本明細書中で用いる場合、CDR1、CDR2およびCDR3を含む。したがって、HCDRの組は、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を指し、LCDRの組はLCDR1、LCDR2およびLCDR3を指す。
本発明のVHおよびVLドメインおよびCDRの変異体は、アミノ酸配列が本明細書中で意図され、KDRに対する作用物質および抗体をターゲッティングするのに用いられ得るものを含めて、所望の特質による抗原ターゲッティングのための配列変更または突然変異およびスクリーニングの方法により得られる。所望の特質の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:抗原に特異的である既知の抗体に比して抗原に対する増大された結合親和性;活性が知られている場合、抗原に特異的である既知の抗体に比して抗原活性の増大された中和;特定モル比での抗原に対する既知の抗体またはリガンドとの特殊化競合能力;リガンド−受容体複合体得尾免疫沈降する能力;特定エピトープと結合する能力;ペプチド結合スキャンを用いて、例えば線状および/または束縛立体配座でスクリーニングされるペプチドを用いて同定される線状エピトープ、例えばペプチド配列;非連続残基により形成される配座エピトープ;KDRまたは下流分子の新規の生物学的活性を調整する能力;KDR、および/または任意のその他の所望の特性を結合するかおよび/または中和する能力。
CDR、抗体VHまたはVLドメインおよび抗原結合部位のアミノ酸配列内に置換を作製するために必要とされる技術は、当該技術分野で利用可能である。本明細書中に開示される抗体分子の変異体は、本発明において産生され、使用され得る。多変数データ分析技法を構造/特性−活性関係に適用するに際して計算化学の先例に従って(Wold, et al. Multivariate data analysis in chemistry. Chemometrics-Mathematics and Statistics in Chemistry (Ed.: B. Kowalski), D. Reidel Publishing Company, Dordrecht, Holland, 1984)、抗体の定量的活性−特性関係が、周知の数学的技法、例えば統計学的回帰、パターン認識および分類を用いて得られる(Norman et al. Applied Regression Analysis. Wiley-Interscience; 3rd edition (April 1998);Kandel, Abraham & Backer, Eric. Computer-Assisted Ressoning in Cluster Analysis. Prentice Hall PTR, (May 11, 1995);Krzanowski, Wojtek. Principles of Multivariate Analysis: A User's Perspective (Oxford Statistical Science Series, No 22(Paper)). Oxford University Press; (December 2000);Witten, Ian H. & Frank, Eibe. Data Mining: Practical Machine Learning Tools and Techniques with Java Implementations. Morgan Kaufmann; (October 11, 1999);Denison David G.T. (Editor), Christopher C. Holmes, Bani K. Mallick, Adrian F.M. Smith. Bayesian Methods for Nonlinear Classification and Regression (Wiley Series in Probability and Statistics). John Wiley & Sons; (July 2002);Ghose, Arup K. & Viswanadhan, Vellarkad N. Combinatorial Library Design and Evaluation Principles, Software, Tools, and Applications in Drug Discovery)。ある場合には、抗体の特性は、抗体配列、機能的および三次元構造の経験的および理論的モデル(例えば、見込みのある接触残基または算定物理化学的特性の分析)から得られ、これらの特性は、単一に、ならびに組合せて考察され得る。
VHドメインおよびVLドメインからなる抗体の抗原結合部位は、典型的には、ポリペプチドの6つのループ(すなわち、軽鎖可変ドメイン(VL)から3つおよび重鎖可変ドメイン(VH)から3つ)により形成される。既知の原子構造を有する抗体の分析は、抗体結合部位の配列および三次元構造間の関係を解明した。これらの関係は、VHドメインの第三領域(ループ)を除いて、結合部位ループは少数の主要鎖立体配座すなわち正準構造のうちの1つを有する、ということを暗示する。特定のループに形成される正準構造は、ループおよびフレームワーク内領域の両方の重要部位でのある残基のそのサイズおよび存在により確定されることが示されている。
配列−構造関係についてのこの研究は、既知の配列の抗体中のその残基の予測のために用いられ得るが、しかし未知の三次元構造を有するものには用いられず、これは、そのCDRループの三次元構造を保持するに際して重要であり、それゆえ、結合特異性を保持するのに重要である。これらの予測は、先例の最適化実験からの結果に対して予測を比較することにより、支持され得る。構造的アプローチでは、任意の自由に利用可能なまたは市販のパッケージ、例えばWAMを用いて、抗体のモデルが作製され得る。タンパク質可視化および分析ソフトウェアパッケージ、例えばInsightII(Accelrys, Inc.)またはDeep Viewが次に用いられて、CDR中の各位置での考え得る置換を評価し得る。この情報は次に、活性に最小のまたは有益な作用を及ぼすか、あるいは他の望ましい特性を付与すると思われる置換を作製するために用いられ得る。
「ポリペプチド断片」という用語は、本明細書中で用いる場合、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するが、しかし残りのアミノ酸配列は、例えば全長cDNA配列から推定される天然配列中の対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。断片は、典型的には、少なくとも5、6、8または10アミノ酸長、好ましくは少なくとも14アミノ酸長、さらに好ましくは少なくとも20アミノ酸長、通常は少なくとも50アミノ酸長、さらに好ましくは少なくとも70アミノ酸長である。「類似体」という用語は、本明細書中で用いる場合、推定アミノ酸配列の一部と実質的同一性を有し、以下の特性:(1)適切な結合条件下でのKDRとの特異的結合、(2)適切なVEGF/KDR結合を遮断する能力、または(3)KDR受容体チロシンキナーゼ活性を抑制する能力:のうちの少なくとも1つを有する、少なくとも25アミノ酸のセグメントからなるポリペプチドを指す。典型的には、ポリペプチド類似体は、天然配列に関して保存的アミノ酸置換(または付加または欠失)を含む。類似体は、典型的には、少なくとも20アミノ酸長、好ましくは少なくとも50アミノ酸長であるかまたはそれより長く、そしてしばしば、全長天然ポリペプチドと同じ長さであり得る。
ペプチド類似体は、鋳型ペプチドと類似の特性を有する非ペプチド薬として、製薬産業で一般に用いられる。これらの型の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物」または「ペプチドミメティクス」と呼ばれる(Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15: 29 (1986);Veber and Freidinger TINS p.392 (1985);およびEvans etal. J. Med. Chem. 30: 1229 (1987))(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。このような化合物は、しばしば、コンピューター分子モデリングの助けを借りて開発される。治療的に有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣物は、等価の治療的または予防的作用を生じるために用いられ得る。一般的に、ペプチド模倣物は、範例ポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)、例えばヒト抗体と構造的に類似するが、しかし、当該技術分野で周知の方法により、以下の:--CH2NH--、--CH2S--、--CH2-CH2--、--CH=CH--(シスおよびトランス)、--COCH2--、--CH(OH)CH--、および−CH2SO--からなる群から選択される連結により任意に取り替えられる1つまたは複数のペプチド結合を有する。同一型のD−アミノ酸によるコンセンサス配列の1つまたは複数のアミノ酸の系統的置換(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)は、より安定したペプチドを生成するために用いられ得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む束縛ペプチドは、当該技術分野で既知の方法(Rizo and Gierasch Ann. Rev. Biochem. 61:387 (1992))(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)により、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成し得る内部システイン残基を付加することにより、生成され得る。
抗体は、単独で、または既知の技法により提供される他のアミノ酸配列と組合せて、オリゴクローナル、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、多重特異性抗体、二特異性抗体、触媒的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、抗イディオタイプ抗体、ならびに可溶性または結合形態で標識され得る抗体、ならびにその断片、変異体または誘導体であり得る。抗体は、任意の種からであり得る。
本明細書中で用いる場合、「抗体(単数)」および「抗体(複数)」(免疫グロブリン)という用語は、モノクローナル抗体(例えば全長モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、ラクダ化抗体およびキメラ抗体を包含する。本明細書中で用いる場合、「抗体(単数)」または「抗体(複数)」という用語は、抗原鎖の抗原性決定の特徴と相補的な内表面形状および荷電分布を伴う三次元結合空間を有するポリペプチド鎖のフォールディングから形成される少なくとも1つの結合ドメインからなるポリペプチドまたはポリペプチドの群を指す。ネイティブ抗体は、通常は、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により重鎖と連結されるが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変わる。各重鎖および軽鎖は、一定間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、少なくとも一端に、可変ドメイン(VH)を、その後の多数の定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、そして他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメインと一列に並べられ、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと一列に並べられる。軽鎖は、軽鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、λ鎖またはκ鎖として分類される。κ軽鎖の可変ドメインは、本明細書中ではVKとしても示される。「可変領域」という用語は、重鎖または軽鎖の可変ドメインを記述するためにも用いられ得る。特定のアミノ酸残基が、軽鎖および重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられる。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。このような抗体は、任意の哺乳動物、例えばヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス等(これらに限定されない)に由来し得る。
「抗体(単数)」および「抗体(複数)」という用語は、本発明の抗体の結合性断片を包含し、断片の例としては、一本鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、Fv断片、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)2断片、所望の生物学的活性を示す抗体断片、ジスルフィド安定化可変領域(dsFv)、二量体可変領域(ダイアボディ)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内発現抗体、線状抗体、単鎖抗体分子、ならびに上記のいずれかの抗体断片およびエピトープ結合性断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性断片、すなわち、抗原結合部位を含有する分子を包含する。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
酵素パパインによる抗体の消化は、「Fab」断片としても知られる、2つの同一の抗原結合性断片、および抗原結合活性を有さないが、結晶化する能力を有する、「Fc」断片を生じる。酵素ペプシンによる抗体の消化は、抗体分子の2つの腕が連結されたままであり、2つの抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を生じる。F(ab’)2断片は、抗原を交差結合する能力を有する。
「Fv」は、本明細書中で用いる場合、抗原認識部位および抗原結合部位の両方を保持する抗体の最小断片を指す。この領域は、密接な非共有的または共有的会合での1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この立体配置で、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面の抗原結合部位を限定する。集合的に、6つのCDRは抗原結合特異性を抗体に付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(または抗原に特異的なCDRを3つだけ含むFvの半分)でさえ、完全結合部位より低い親和性ではあるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
「Fab」は、本明細書中で用いる場合、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖のCH1ドメインを含む抗体の断片を指す。
「dAb」は、本明細書中で用いる場合、ヒト抗体の最小機能性結合単位である抗体の断片を指す。「dAb」は単一ドメイン抗体であり、抗体重鎖の可変ドメイン(VHドメイン)または抗体軽鎖の可変ドメイン(VLドメイン)を含む。各dAbは、6つの天然CDRのうちの3つを含有する(Ward et al., Binding activities of a repertoire of single immunoglobulin variable domains secreted from Escherichia coli. Nature 341, 544-546 (1989);Holt, et al., Domain antibodies: protein for therapy, Trends Biotechnol. 21, 484-49 (2003))。11〜15kDaの範囲の分子量で、それらは、断片抗原結合(Fab)2の4分の1、一本鎖Fv(scFv)分子のサイズの半分である。
「ラクダ抗体」は、本明細書中で用いる場合、軽鎖を欠いているが、それにもかかわらず広範な抗原結合レパートリーを有する重鎖二量体からなる抗体分子を指す(Hamers-Casterman C, Atarhouch T, Muyldermans S, Robinson G, Hamers C, Songa EB, Bendahman N, Hamers R (1993) Naturally occurring antibodies devoid of light chains. Nature 363: 446-448)。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小抗体断片を指し、この断片は、同一ポリペプチド鎖(VH−VL)中に軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインはもう1つの鎖の相補的ドメインとの対合を強いられて、2つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;ならびにHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)にさらに詳細に記載されている。
全抗体の断片は結合抗原の機能を実行し得る、ということが示されている。結合性断片の例は、(Ward, E.S. et al., (1989) Nature 341, 544-546)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片;(McCafferty et al (1990) Nature, 348, 552-554)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(Holt et al (2003) Trends in Biotechnology 21, 484-490)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片;(iv)dAb断片(Ward, E.S. et al., (1989) Nature 341, 544-546、McCafferty et al (1990) Nature, 348, 552-554、Holt et al (2003) Trends in Biotechnology 21, 484-490)、これはVHまたはVLドメインからなる;(v)単離CDR領域;(vi)F(ab’)2断片、2つの連結Fab断片を含む二価断片;(vii)一本鎖Fv分子(scFv)、この場合、VHドメインおよびVLドメインは、2つのドメインを会合させて抗原結合部位を形成するペプチドリンカーにより連結される(Bird et al, (1988) Science, 242, 423-426、Huston et al, (1988) PNAS USA, 85, 5879-5883);(viii)二特異性一本鎖Fv二量体(PCT/US92/09965);ならびに(ix)「ダイアボディ」、多価または多重特異性断片(遺伝子融合により構築される)(WO94/13804;Holliger P. (1993) et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448)である。Fv、scFvまたはダイアボディ分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組入れにより安定化され得る(Reiter, Y. et al, Nature Biotech, 14, 1239-1245,1996)。CH3ドメインと接合されたscFvを含むミニ抗体も作製される(Hu, S. et al, (1996) Cancer Res., 56, 3055-3061)。結合性断片の他の例はFab’(これは、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含めて、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端で2〜3の残基が付加されるという点でFabと異なる)、ならびにFab’−SH(これは、定常ドメインのシステイン残基(単数または複数)が遊離チオール基を保有するFab’断片である)である。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部分が抗体の間の配列中で広範に異なり、その特定の抗原に対する各特定抗体の結合親和性に寄与する、という事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体を通して均一に分布されるわけではない。それは、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方で、相補性決定領域(CDR)と呼ばれるセグメントに集中される。可変ドメインのより高度に保存される部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。ネイティブ重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々、βシート構造の一部を連結し、いくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する3つのCDRにより連結されるβシート形状を大部分は取る4つのFR領域を含む。各鎖中のCDRは、FR領域にごく近接して、他の鎖からのCDRと一緒に保持されて、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)を参照)。定常ドメインは、一般的に、抗原結合に直接的に関与しないが、しかし抗原結合親和性に影響を及ぼし、種々のエフェクター機能、例えばADCC、CDCおよび/またはアポトーシスにおける抗体の関与を示し得る。
「超可変領域」という用語は、本明細書中で用いる場合、抗原とのその結合で関連する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメインの残基31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3):Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))、および/または「超可変ループ」からの残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメインの残基26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3):Chothia and Lesk, J. Mol. Biol., 196: 901-917 (1987))を包含する。「フレームワーク」または「FR」残基は、CDRの側面に位置する可変ドメイン残基である。FR残基は、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン抗体、ダイアボディ、vaccibodies、線状抗体および二重特異性抗体中に存在する。
本明細書中で用いる場合、標的化結合物質、標的化結合タンパク質、特異的結合タンパク質等の用語は、標的部位と優先的に結合する抗体またはその結合性断片を指す。一実施形態では、標的化結合物質は、1つの標的部位に対してのみ特異的である。他の実施形態では、標的化結合物質は、1つより多くの標的部位に対して特異的である。一実施形態では、標的化結合物質はモノクローナル抗体であり、標的部位はエピトープであり得る。
抗体の「結合性断片」は、組み換えDNA技術により、あるいは無傷交代の酵素的または化学的切断により産生される。結合性断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dAbおよび単鎖抗体が挙げられる。「二重特異性」または「二機能性」抗体以外の抗体は、それぞれ同一の結合部位を有すると理解される。過剰量の抗体が、少なくとも約20%、40%、60%または80%、さらに通常は約85%より多く(in vitro競合的結合アッセイで測定した場合)対抗受容体に結合される受容体の量を低減する場合、抗体は、対抗受容体への受容体の接着を実質的に抑制する。
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体と特異的に結合し得る任意のタンパク質決定因子を包含する。エピトープ決定因子は、通常は、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的活性表面配置からなるが、特異的三次元構造特質、ならびに特異的電荷特質を常に有するというわけではない。抗体は、解離定数が≦1μM、好ましくは≦100nM、最も好ましくは≦10nMである場合、抗原を特異的に結合するといわれる。
「作用物質」という用語は、化学化合物、化学化合物の混合物、生物学的高分子物質または生物学的物質からの抽出物を意味するために本明細書中で用いられる。
「活性な」または「活性」は、KDRポリペプチドに関しては、ネイティブKDRポリペプチドの生物学的または免疫学的活性を有するKDRポリペプチドの一部を指す。「生物学的」とは、本明細書中で用いる場合、ネイティブKDRポリペプチドの活性に起因する生物学的機能を指す。好ましいKDR生物学的活性としては、例えばKDR誘導性細胞接着および浸潤および/または血管新生および/または増殖が挙げられる。
「哺乳動物」は、本明細書中で用いる場合、哺乳動物と考えられる任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「動物」は、本明細書中で用いる場合、哺乳動物と考えられる動物を包含する。好ましくは、動物はヒトである。
「mAb」という用語は、モノクローナル抗体を指す。
「リポソーム」は、本明細書中で用いる場合、本発明のKDRポリペプチドまたはこのようなKDRポリペプチドに対する抗体を含み得る薬剤の哺乳動物への送達のために有用であり得る小胞を指す。
「標識」または「標識される」は、本明細書中で用いる場合、ポリペプチドへの検出可能部分、例えば放射性標識、蛍光標識、酵素的標識、化学発光標識化またはビオチニル基の付加を指す。放射性同位体または放射性核種としては3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131Iが挙げられ、蛍光標識としては、ローダミン、ランタニド・リンまたはFITCが挙げられ、そして酵素的標識としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリ性ホスファターゼが挙げられる。
付加的標識としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:酵素、例えばグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(「G6PDH」)、アルファ−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースアミラーゼ、カルボン酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ライソザイム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼおよびペルオキシダーゼ;染料;付加的蛍光標識または蛍光発光体としては、例えばフルオレセインおよびその誘導体、蛍光色素、GFP(「緑色蛍光タンパク質」に関してはGFP)、ダンシル、ウンベリフェロン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒドおよびフルオレサミン;蛍光化合物、例えばランタニド・クリプターゼおよびキレート化合物、例えばユーロピウム等(Perkin Elmer and Cis Biointernational);化学発光標識または化学発光化合物、例えばイソルミノール、ルミノールおよびジオキセタン;感作物質;補酵素;酵素基質;粒子、例えばラテックスまたは炭素粒子;金属ゾル;微結晶;リポソーム;細胞等(染料、触媒またはその他の検出可能基でさらに標識され得る);分子、例えばビオチン、ジゴキシゲニンまたは5−ブロモデオキシウリジン;毒素部分、例えばシュードモナス外毒素(PEあるいはその細胞傷害性断片または突然変異体)、ジフテリア毒素あるいはその細胞傷害性断片または突然変異体、ボツリヌス毒素A、B、C、D、EまたはF、リシンまたはその細胞傷害性断片、例えばリシンA、アブリンまたはその細胞傷害性断片、サポリンまたはその細胞傷害性断片、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルス毒素またはその細胞傷害性断片、ならびにブリオジン1またはその細胞傷害性断片の群から選択される毒素部分。
「医薬品または薬剤」という用語は、本明細書中で用いる場合、患者に適正に投与された場合に所望の治療効果を誘導し得る化学化合物または組成物を指す。本明細書中の他の化学用語は、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に例示されているような、当該技術分野での従来の用法に従って用いられる。
本明細書中で用いる場合、「実質的に純粋な」とは、対象種が、存在する優勢種であり(すなわち、モルを基礎にして、それは組成物中の任意の他の個々の種より豊富に存在する)、好ましくは、実質的に純粋化された分画は、対象種が存在する全高分子種の少なくとも約50%(モルを基礎にして)を含む、ということを意味する。一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全高分子種の約80%より多くを、さらに好ましくは約85%、90%、95%および99%より多くを含む。最も好ましくは、対象種は、本質的に均質になるように(夾雑物種は、従来の検出方法により組成物中に検出され得ない)精製され、この場合、組成物は、本質的に単一高分子種からなる。
「患者」という用語は、ヒトおよび獣医学的被験者を含む。
「抗体依存性細胞媒介による細胞傷害性」および「ADCC」は、IgFc受容体(FcRs)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、好中球およびマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介による反応を指す。ADCを媒介するための一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、一方、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9: 457-92 (1991)の464ページの表3に要約されている。当該分子のADCC活性を査定するために、in vitroADCC(例えば米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載)が実施され得る。このようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的にまたは付加的には、当該分子のADCC活性は、in vivoで、例えばClynes et al. PNAS (USA) 95: 652-656 (1988)に開示されているような動物モデルで査定され得る。「補体依存性細胞傷害性」および「CDC」は、抗体がそれらの細胞殺傷機能を実行する機序を指す。それは、抗原と複合体を形成するIgs、IgGまたはIgMのFcドメインとのC1q(補体の第一構成成分の構成要素)の結合により開始される(Hughs-Jones, N.C., and B. Gardner. 1979. Mol. Immunol. 16: 697)。C1qは、70μg/mlの濃度でヒト血清中に存在する約410kDaの大型の構造的に複雑な糖タンパク質である(Cooper, N.R. 1985. Adv. Immunol. 37: 151)。2つのセリンプロテアーゼC1rおよびC1sと共に、C1qは、補体の第一構成成分である複合体C1を形成する。C1qのN末端球形頭のうちの少なくとも2つがC1活性化のために、それゆえ、補体カスケードの開始のために、IgのFcに結合されなければならない(Cooper, N.R. 1985. Adv. Immunol. 37: 151)。
「抗体半減期」という用語は、本明細書中で用いる場合、それらの投与後の抗体分子の平均生存時間の測定値である抗体の薬理学的特性を意味する。抗体半減期は、例えば、血清または血漿中(すなわち、循環半減期)で、または他の組織で測定する場合の、患者の身体またはその特定の区画からの既知量の免疫グロブリンの50%を排除するのに必要とされる時間として表され得る。半減期は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンのクラス間で変わり得る。概して、抗体半減期の増大は、投与された抗体に関する循環中の平均保持時間(MRT)の増大を生じる。
「アイソタイプ」という用語は、抗体の重鎖または軽鎖定常領域の分類を指す。抗体の定常ドメインは抗原との結合に関与しないが、しかし種々のエフェクター機能を示す。重鎖定常領域のアミノ酸配列によって、所定のヒト抗体または免疫グロブリンは、免疫グロブリンの5つの主要クラスのうちの1つに割り当てられ得る:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM。これらのクラスのいくつかは、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1(γ1)、IgG2(γ2)、IgG3(γ3)およびIgG4(γ4)、ならびにIgA1およびIgA2に分けられ得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンの構造および三次元立体配置は、よく知られている。種々のヒト免疫グロブリン・クラスのうち、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMのみが、補体を活性化することが知られている。ヒトIgG1およびIgG3は、ヒトにおいて媒介することが知られている。ヒト軽鎖定常領域は、2つの主なクラス、すなわちκおよびλに分類され得る。
所望により、KDRを特異的に結合する抗体のアイソタイプは、例えば異なるアイソタイプの生物学的特性を利用するよう切り替えられ得る。例えば、いくつかの状況では、KDRに対する治療用抗体としての抗体の生成に関連して、抗体が補体を固定し、補体依存性細胞傷害性(CDC)に関与し得るのが望ましい。同じことができる抗体の多数のアイソタイプが存在し、例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ネズミIgM、ネズミIgG2a、ネズミIgG2b、ネズミIgG3、ヒトIgM、ヒトIgA、ヒトIgG1およびヒトIgG3。他の実施形態では、KDRに対する治療用抗体としての抗体の生成に関連して、抗体がエフェクター細胞上のFc受容体を結合し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に関与し得るのが望ましい。同じことができる抗体の多数のアイソタイプが存在し、例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ネズミIgG2a、ネズミIgG2b、ネズミIgG3、ヒトIgG1およびヒトIgG3。生成される抗体はこのようなアイソタイプを最初は保有する必要はなく、しかしむしろ、生成されるような抗体は任意のアイソタイプを保有し得るし、そして当該技術分野でよく知られている従来の技法を用いて、抗体はその後アイソタイプ切り替えされ得る、と理解される。このような技法としては、直接組換え技法(例えば米国特許第4,816,397号を参照)、細胞−細胞融合技法(例えば米国特許第5,916,771号および同第6,207,418号を参照)等の使用が挙げられる。
例として、本明細書中で考察される抗KDR抗体は、完全ヒト抗体である。抗体がKDRとの所望の結合を保有する場合、それは、同一可変領域(抗体の特異性ならびにその親和性のいくつかを限定する)を依然として保有しながら、容易にアイソタイプ切り替えされて、ヒトIgM、ヒトIgG1またはヒトIgG3アイソタイプを生成し得る。このような分子は、次に、補体を固定し、CDCに関与し得るし、および/またはエフェクター細胞上のFc受容体と結合し、ADCCに関与し得る。
「全血アッセイ」は、天然エフェクターの供給源として非分別血を使用する。血液は、FcR発現細胞エフェクター、例えば多形核細胞(PMN)および単核球(MNC)と一緒に、血漿中に補体を含有する。したがって、全血アッセイは、in vitroでのADCCおよびCDCエフェクター機序の両方の相乗作用の同時評価を可能にする。
「治療上有効な」量は、本明細書中で用いる場合、被験者に何らかの改善または利益を提供する量である。言い換えれば、「治療上有効」量は、少なくとも1つの臨床症候において、何らかの軽減、緩和および/または低減を提供する量である。本発明の方法により治療され得る障害に関連した臨床的症候は、当業者によく知られている。さらに、何らかの利益が被験者に提供される限り、治療効果は完全であるかまたは治癒的である必要はない、と当業者は理解する。
「および/または」という用語は、本明細書中で用いる場合、他のものとともにまたは伴わずに、2つの特定の特徴または構成成分の各々の特定の開示と解釈されるべきである。例えば「A」および/または「B」は、各々がまさに本明細書中で独立して提示されるかのように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBの各々の特定の開示と解釈されるべきである。
抗体構造
基本的抗体構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から成り、各対は1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を画定する。ヒト軽鎖は、κおよびλ軽鎖として分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgAおよびIgEとして抗体のアイソタイプを定義する。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域により接合され、重鎖は約10またはそれ以上のアミノ酸の「D」領域も含む。一般的には、Fundamental Immunology Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))(この記載内容はすべての目的のために参照により本明細書中で援用される)を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。
したがって、無傷抗体は、2つの結合部位を有する。二機能性または二重特異性抗体の場合を除いて2つの結合部位は同一である。
鎖はすべて、CDRとも呼ばれる3つの超可変領域により接合される相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)という同一の一般構造を示す。各対の2つの鎖からのCDRは、フレームワーク領域により一列に並べられて、特異的エピトープとの結合を可能にする。N末端からC末端に、軽鎖および重鎖はドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割当は、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest, (National Institutes of Health, Bethesda, MD (1987 and 1991))、またはChothia & Lesk, J. Mol. Biol., 196: 901-917 (1987));Chothia et al. Nature 342: 878-883 (1989)の定義に従っている。
二重特異性または二機能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、種々の方法により、例えばハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結により産生され得る(例えば、Songsivilai & Lachmann Clin. Exp. Immunol. 79: 315-321 (1990)、Kostelny et al. J. Immunol. 148: 1547-1553 (1992)を参照)。二重特異性抗体は、単一結合部位を有する断片の形態で存在しない(例えば、Fab、Fab’およびFv)。
典型的には、VHドメインはVLドメインと対合されて、抗体抗原結合部位を提供するが、しかしVHまたはVLドメイン単独は、抗原を結合するために用いられ得る。VHドメイン(表12を参照)は、VLドメイン(表13を参照)と対合され、抗体抗原結合部位は、VHおよびVLドメインの両方を含むように形成される。
ヒト抗体および抗体のヒト化
ヒト抗体は、ネズミまたはラット可変および/または定常領域を保有する抗体に関連した問題のいくつかを回避する。このようなネズミまたはラット由来のタンパク質の存在は、抗体の迅速なクリアランスをもたらし得、あるいは患者による抗体に対する免疫応答の発生をもたらし得る。ネズミまたはラット由来の抗体の利用を回避するために、齧歯類、その他の哺乳動物または動物が完全ヒト抗体を産生するよう、齧歯類、他の哺乳動物または動物中への機能性ヒト抗体遺伝子座の導入することにより、完全ヒト抗体が生成され得る。
完全ヒト抗体を生成するための一方法は、ヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座の1000kbまで、しかしそれ未満のサイズの生殖系列改造断片を含有するよう操作されたマウスのXenoMouse(登録商標)系統の使用による(Mendez et al. Nature Genetics 15: 146-156 (1997)およびGreen and Jakobovits J. Exp. Med. 188: 483-495 (1998)を参照)。XenoMouse(登録商標)系統は、Amgen, Inc. (Fremont, California, U.S.A)から入手可能である。
このようなマウスは、次に、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を産生し得、ネズミ免疫グロブリン分子および抗体の産生を欠く。このことを達成するために利用される技法は、米国特許出願第08/759,620号(1996年12月3日出願)ならびに国際特許出願WO98/24893(1998年6月11日公開)およびWO00/76310(2000年12月21日公開)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。Mendez et al. Nature Genetics 15: 146-156 (1997)も参照されたい(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
マウスのXenoMouse(登録商標)系統の産生は、米国特許出願第07/466,008号(1990年1月12日出願)、同第07/610,515号(1990年11月8日出願)、同第07/919,297号(1992年7月24日出願)、同第07/922,649号(1992年7月30日出願)、同第08/031,801号(1993年3月15日出願)、同第08/112,848号(1993年8月27日出願)、同第08/234,145号(1994年4月28日出願)、同第08/376,279号(1995年1月20日出願)、同第08/430,938号(1995年4月27日出願)、同第08/464,584号(1995年6月5日出願)、同第08/464,582号(1995年6月5日出願)、同第08/463,191号(1995年6月5日出願)、同第08/462,837号(1995年6月5日出願)、同第08/486,853号(1995年6月5日出願)、同第08/486,857号(1995年6月5日出願)、同第08/486,859号(1995年6月5日出願)、同第08/462,513号(1995年6月5日出願)、同第08/724,752号(1996年10月2日出願)、同第08/759,620号(1996年12月3日出願)、米国特許公報2003/0093820(2001年11月30日出願)、ならびに米国特許第6,162,963号、同第6,150,584号、同第6,114,598号、同第6,075,181号および同第5,939,598号、ならびに日本国特許第3 068 180 B2号、同第3 068 506 B2号および第3 068 507 B2号にさらに考察され、概説されている。欧州特許EP 0 463 151 B1(1996年6月12日公開)、国際特許出願WO94/02602(1994年2月3日公開)、国際特許出願WO96/34096(1996年10月31日公開)、WO98/24893(1998年6月11日公開)、WO00/76310(2000年12月21日公開)も参照されたい(上記特許、出願および参考文献の記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。
代替的アプローチでは、他(例えばGenPharm International, Inc.)は、「ミニ遺伝子座」アプローチを利用している。ミニ遺伝子座アプローチでは、外因性Ig遺伝子座は、Ig遺伝子座からの要素(個々の遺伝子)を含入することにより模倣される。したがって、1つまたは複数のVH遺伝子、1つまたは複数のDH遺伝子、1つまたは複数のJH遺伝子、μ定常領域、ならびに通常は第二の定常領域(好ましくは、γ定常領域)が、動物に挿入するための構築物に形成される。このアプローチは、米国特許第5,545,807号(Surani等)、および米国特許第5,545,806号、同第5,625,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、同第5,770,429号、同第5,789,650号、同第5,814,318号、同第5,877,397号、同第5,874,299号および第6,255,458号(各々、LongergおよびKay)、米国特許第5,591,669号および第6,023,010号(KrimpenfortおよびBerns)、米国特許第5,612,205号、同第5,721,367号および第5,789,215号(Berns等)、ならびに米国特許第5,643,763号(ChoiおよびDunn)、ならびにGenPharm Internationalの米国特許出願第07/574,748号(1990年8月29日出願)、同第07/575,962号(1990年8月31日出願)、同第07/810,279号(1991年12月17日出願)、同第07/853,408号(1992年3月18日出願)、同第07/904,068号(1992年6月23日出願)、同第07/990,860号(1992年12月16日出願)、同第08/053,131号(1993年4月26日出願)、同第08/096,762号(1993年7月22日出願)、同第08/155,301号(1993年11月18日出願)、同第08/161,739号(1993年12月3日出願)、同第08/165,699号(1993年12月10日出願)、同第08/209741号(1994年3月9日出願)に記載されている(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。欧州特許第0546073号、国際特許出願WO92/03918号、WO92/22645号、WO92/22647号、WO92/22670号、WO93/12227号、WO94/00569号、WO94/25585号、WO96/14436号、WO97/13852号およびWO98/24884号、ならびに米国特許第5,981,175号も参照されたい(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。さらに、Taylor等、1992、Chen等、1993、Tuaillon等、1993、Choi等、1993、Lonberg等、(1994)、Taylor等、(1994)およびTuaillon等、(1995)、Fishwild等、(1996)も参照されたい(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
Kirinは、マイクロセル融合により、染色体の大きい要素または染色体全体が導入されたマウスからのヒト抗体の生成も実証している。欧州特許出願第773288号および第843961号を参照(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。さらに、Medarexのミニ遺伝子座(Humab)マウスとのKirinのTcマウスの交雑育種の結果であるKM(登録商標)マウスが作製されている。これらのマウスは、KirinマウスのヒトIgH導入染色体およびGenpharmマウスのκ鎖導入遺伝子を保有する(Ishida et al., Cloning Stem Cells, (2002) 4: 91-102)。
ヒト抗体は、in vitro法によっても得られる。適切な例としては、ファージディスプレイ(Medimmune、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧Proliferon)、Affimed)、リボソームディスプレイ(Medimmune)、酵母ディスプレイ等が挙げられるが、これらに限定されない。
抗体の調製
本明細書中に記載されるように、抗体は、以下に記載するXenoMouse(登録商標)技法を用いることにより調製された。このようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を産生し得、且つ、ネズミ免疫グロブリン分子および抗体の産生を欠く。これを達成するために利用される技法は、本明細書中の背景の節に開示された特許、出願および参考文献に開示されている。しかしながら、特に、マウスのトランスジェニック産生およびそこからの抗体の好ましい実施形態は、米国特許出願第08/759,620号(1996年12月3日出願)、ならびに国際特許出願WO98/24893号(1998年6月11日公開)、およびWO00/76310号(2000年12月21日公開)に開示される(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。Mendez et al. Nature Genetics 15: 146-156 (1997)も参照されたい(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
このような技術を用いることにより、種々の抗原に対する完全ヒトモノクローナル抗体が産生されている。本質的には、マウスのXenoMouse(登録商標)系統は当該抗原(例えばKDR)で免疫され、高度免疫化マウスからリンパ細胞(例えばB細胞)が回収され、回収細胞は骨髄系細胞株と融合されて、不死のハイブリドーマ細胞株が調製される。このようなハイブリドーマ細胞株はスクリーニングされて、選択され、当該抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する。KDRに特異的な抗体を産生する多ハイブリドーマ細胞株の産生方法が、本明細書中で提供される。さらに、このような抗体の重鎖および軽鎖のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含めて、このような細胞株により産生される抗体の特性化が、本明細書中で提供される。
あるいは、骨髄腫細胞に融合されてハイブリドーマを作製する代わりに、B細胞は直接アッセイされ得る。例えば、CD19+B細胞が高度免疫化XenoMouse(登録商標)マウスから単離され、増殖されて、抗体分泌形質細胞に分化し得る。細胞上清からの抗体は、次に、KDR免疫原に対する反応性に関してELISAによりスクリーニングされる。上清は、KDR上の当該機能性ドメインとの結合に関して異なる抗体をさらにマッピングするために、KDRの断片に対する免疫反応に関してもスクリーニングされ得る。抗体は、その他の関連ヒトエンドグリコシダーゼに関しても、そしてラット、マウスおよび非ヒト霊長類、例えばカニクイザルに、またKDRのオーソログに対してスクリーニングされ、最後は種交差反応性を確定する。当該抗体を含有するウエルからのB細胞は、個体からまたはプールされたウエルからハイブリドーマを作製するための融合を含めた種々の方法により、あるいはEBVに感染させるかまたは既知の不死化遺伝子によりトランスフェクトして、次に適切な倍地中でプレート化することにより、不死化され得る。あるいは、所望の特異性を有する抗体を分泌する単一形質細胞は、次に、KDR特異的溶血性プラークアッセイを用いて単離される(例えば、Babcook et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 7843-48(1996)を参照)。溶解の標的とする細胞は、好ましくは、KDR抗原で被覆されたヒツジ赤血球(SRBC)である。
当該免疫グロブリンおよび補体を分泌する形質細胞を含有するB細胞培養の存在下で、プラークの形成は、当該形質細胞周囲のヒツジ赤血球の特異的KDR媒介による溶解を示す。プラークの中央の単一抗原特異的形質細胞は単離され得、抗体の特異性をコードする遺伝情報は、単一形質細胞から単離される。逆転写とその後のPCR(RT−PCR)を用いて、抗体の重鎖および軽鎖可変領域がクローン化され得る。このようなクローン化DNAは、次に、適切な発現ベクター、好ましくはベクターカセット、例えばpcDNA、さらに好ましくは免疫グロブリン重鎖および軽鎖の定常ドメインを含有するpcDNAベクター中にさらに挿入され得る。生成されたベクターは、次に、宿主細胞、例えばHEK293細胞、CHO細胞にトランスフェクトされ、そして転写を誘導し、形質転換体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に修飾された従来の栄養培地中で培養され得る。
理解されるように、KDRを特異的に結合する抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株において発現され得る。特定の抗体をコードする配列は、適切な哺乳動物宿主細胞を形質転換するために用いられ得る。形質転換は、例えば、ポリヌクレオチドをウイルス内(またはウイルスベクター内)にパッケージングすること、および宿主細胞をウイルス(またはベクター)で形質導入することを含めた、宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入する任意の既知の方法により、あるいは当該技術分野で知られたトランスフェクション手法(米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号、および第4,959,455号(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)により例示されている)により実行され得る。用いられる形質転換手法は、形質転換されるべき宿主によっている。哺乳動物細胞中に異種ポリヌクレオチドを導入する方法は、当該技術分野においてよく知られており、例としては、デキストラン媒介によるトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介によるトランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム中のポリヌクレオチドの封入、および核へのDNAの直接マイクロインジェクションが挙げられる。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野においてよく知られており、アメリカ培養細胞コレクション(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を包含し、例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、乳仔ハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHep G2)、ヒト上皮腎臓293細胞、および多数のその他の細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい細胞株は、細胞株が高発現レベルを有するか、そして構成性KDR結合特性を有する抗体を産生するかを確定することにより選択される。
細胞−細胞融合技法において、任意の所望のアイソタイプを有する重鎖を保有する骨髄腫、CHO細胞またはその他の細胞株が調製され、且つ、軽鎖を保有する別の骨髄腫、CHO細胞またはその他の細胞株が調製される。このような細胞は、その後、融合され、無傷抗体を発現する細胞株が単離され得る。
したがって、上記のような所望の「構造的」属性を満たす抗体候補が作製される場合、それらは一般的に、アイソタイプ切り替えにより所望の「機能的」属性の少なくともいくつかを提供され得る。
治療用投与および処方物
本発明の実施形態は、疾患のための治療として有用である抗KDR抗体の滅菌製剤処方物を包含する。このような処方物は、ネイティブKDR特異的リガンド、例えばVEGFのKDRとの結合を抑制し、それにより、例えば血清または組織KDR発現が異常に上昇される病理的症状を有効に治療する。抗KDR抗体は、好ましくは、例えばVEGFのようなネイティブKDR特異的リガンドを強力に抑制するための十分な親和性を保有し、好ましくは、ヒトにおける稀な用量投与を可能にするのに十分な作用継続時間を有する。作用継続時間延長は、皮下または静脈内注射のような代替的非経口経路による低頻度で且つより便利な投与計画を可能にする。
滅菌処方物は、例えば、抗体の凍結乾燥および再構成の前または後に、滅菌濾過膜を通して濾過することにより、作製され得る。抗体は、通常は、凍結乾燥形態でまたは溶液で貯蔵される。治療用抗体組成物は、一般的に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば静脈内注射用溶液バッグ、または処方物の取り出しを可能にするアダプタを有するバイアル、例えば皮下注射針により刺すことができる栓を有するバイアル中に入れられる。
抗体の投与経路は既知の方法、例えば静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内、くも膜下腔内、吸入または病変内経路による注射または注入、腫瘍部位への直接注射によるか、あるいは以下に記載するような徐放系に従う。抗体は、好ましくは、注入またはボーラス注入により連続的に投与される。
治療的に用いられるべき抗体の有効量は、例えば、治療目的、投与経路、および患者の状態によって決まる。したがって、治療専門家が、最適な治療効果を得るために必要とされるような投与量を滴定し、投与経路を変更することが好ましい。典型的には、臨床医は、所望の効果を達成する投与量に達するまで抗体を投与する。この治療の経過は、従来のアッセイまたは本明細書に記載のアッセイにより、容易にモニタリングされる。
抗体は、本明細書に記載されるように、製薬上許容可能な担体との混合物で調製され得る。この治療用組成物は、静脈内もしくは鼻または肺を通して、好ましくは液体または粉末エーロゾル(凍結乾燥)として投与され得る。組成物は、所望により、非経口的または皮下的にも投与され得る。全身投与する場合、治療用組成物は、滅菌、発熱物質無含有であって、pH、等張性および安定性に当然払うべき注意を払った非経口的に許容可能な溶液であるべきである。これらの条件は、当業者に知られている。要するに、本明細書中に記載される化合物の用量処方物(dosage formulation)は、所望の純度を有する化合物と製薬上許容可能な担体、賦形剤、または安定剤とを混合することにより、貯蔵または投与用に調製される。このような物質は、用いられる投与量および濃度で受容者にとって非毒性であり、例としては、緩衝剤、例えば、トリス-HCl、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩およびその他の有機酸塩;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ペプチド、例えば、ポリアルギニン;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリジノン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニン;単糖、二糖およびその他の炭水化物、例えば、セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート化剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール;対イオン、例えば、ナトリウムおよび/または非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン、プルロニックまたはポリエチレングリコールが挙げられる。
注射用の滅菌組成物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed, Lippincott Williams & Wilkens Publishers (2003))に記載されるような従来の製薬業務に従って処方され得る。例えば、水または天然植物油、例えばゴマ油、ピーナッツ油または綿実油、あるいは合成脂肪ビヒクル、例えばオレイン酸エチル等のような製薬上許容可能な担体中の活性化合物の溶解または懸濁が所望され得る。緩衝剤、保存剤、酸化防止剤等は、許容可能な製薬業務に従って組み入れられ得る。
徐放性調製物の適切な例は、ポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが包含され、このマトリックスは成型物、皮膜またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langer et al., J. Biomed Mater. Res., (1981) 15: 167-277およびLanger, Chem. Tech., (1982) 12: 98-105に記載されたようなポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、欧州特許第58,481号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman et al., Biopolymers, (1983) 22:547-556)、非分解性エチレン−ビニルアセテート(Langer et al.、上記)、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON Depot(登録商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーとロイプロリドアセテートとで構成される注射可能なミクロスフェア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号)が挙げられる。
エチレン−ビニルアセテートおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは100日以上に亘って分子を放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短い期間、タンパク質を放出する。封入タンパク質が体内に長期間残存する場合、それらは37℃で湿気に曝露された結果として変性または凝集して、生物学的活性の損失および免疫原性の潜在的変化を生じ得る。合理的戦略は、関与する機序によってタンパク質安定化のために意図され得る。例えば、凝集機序がジスルフィド交換を介しての分子間S−S結合形成であると見出された場合、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、含水量を制御し、適切な添加剤を使用し、そして特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより達成され得る。
徐放性組成物は、結晶を懸濁液中に保持し得る適切な処方物中に懸濁された抗体の結晶の調製物も包含する。これらの調製物は、皮下または腹腔内に投与されると、徐放性効果を生じ得る。その他の組成は、リポソームに封入された抗体も含む。このような抗体を含有するリポソームは、それ自体知られた方法により調製される:米国特許第DE3,218,121号;Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1985) 82:3688-3692;Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1980) 77: 4030-4034;欧州特許第52,322号;欧州特許第36,676号;欧州特許第88,046号;欧州特許第143,949号;欧州特許第142,641号;日本国特許出願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号;ならびに欧州特許第102,324号。
所定の患者に関する抗体処方物の投与量は、疾患の重篤度および種類、体重、性別、食餌、投与期間および経路、その他の医薬品ならびにその他の関連する臨床上の因子を含めて、薬剤の作用を変更することが知られる種々の因子を考慮に入れて、主治医により決定される。治療的有効投与量は、in vitroまたはin vivo方法のいずれかにより確定され得る。
治療に用いられるべき、本明細書中に記載される抗体の有効量は、例えば、治療目的、投与経路、および患者の状態に依存する。したがって、治療専門家が、最適な治療効果を得るために必要とされるような投与量を滴定し、投与経路を変更することが好ましい。典型的な一日投与量は、上記の因子に応じて、約0.0001mg/患者の体重1kg、0.001mg/kg、0.01mg/kg、0.1mg/kg、1mg/kg、10mg/kgから100mg/kg、1000mg/kg、10000mg/kgまで、またはそれより多くであり得る。投与量は、上記の因子に応じて、0.0001〜20mg/患者の体重1kg、0.0001mg/kg〜10mg/kg、0.0001〜5mg/kg、0.0001〜2mg/kg、0.0001〜1mg/kg、0.0001〜0.75mg/kg、0.0001〜0.5mg/kg、0.0001〜0.25mg/kg、0.0001〜0.15mg/kg、0.0001〜0.10mg/kg、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.25mg/kgまたは0.01〜0.10mg/kgであり得る。典型的には、臨床医が所望の効果を達成する投与量に達するまで治療用抗体を投与する。この治療の経過は、従来のアッセイにより、または本明細書中に記載されるように、容易にモニタリングされる。
本発明の抗体の用量投与は反復され得るし、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月または少なくとも6ヶ月、間隔を置かれ得る。
本明細書に記載の組成物および方法に従う治療用物質の投与は、処方物に組み込まれて移動、送達、耐容性などを改善する、適切な担体、賦形剤、ならびにその他の作用物質とともに投与される、と理解される。これらの処方物としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、蝋、油、脂質、脂質(陽イオン性または陰イオン性)含有小胞(例えばLipofectin(登録商標))、DNA共役体、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルション、エマルションカーボワックス(carbowax)(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。上記のいずれの混合物も、処方物中の活性成分が処方物により不活性化されず、且つ処方物が投与経路に生理学的に適合性で、耐容性であるならば、本発明に従う治療および療法に適切であり得る。Baldrick P.、”Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.” Regul. Toxicol. Pharmacol. 32 (2): 210-8 (2000)、Wang. W., “Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.” Int. J. Pharm. 203(1-2): 1-60 (2000)、Charman WN “Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.” J Pharm Sci. 89(8): 967-78 (2000)、Powell et al. “Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)、ならびに薬剤師によく知られた処方物、賦形剤および担体に関するさらなる情報について、その中に引用された文献も参照されたい。
他の治療薬の設計および生成
本発明に従い、かつKDRに関して本明細書で生成し特徴付けした抗体の活性に基づき、抗体部分を超えた他の治療様式の設計が容易になる。このような様式としては、二重特異性抗体、免疫毒素、および放射線標識治療薬のような高度な抗体治療薬、単一ドメイン抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、またはdAbなどの抗体断片、ペプチド治療薬の生成、新規足場中のKDR結合ドメイン、遺伝子療法、特に細胞内発現抗体、アンチセンス治療薬、および小分子が挙げられるが、これらに限定されない。
抗原結合部位は、フィブロネクチンまたはシトクロムBなどのような非抗体タンパク質足場上のCDRの配置によって(HaanおよびMaggos (2004) BioCentury, 12(5): A1-A6; Koideら(1998) Journal of Molecular Biology, 284: 1141-1151; Nygrenら(1997) Current Opinion in Structural Biology, 7: 463-469)、あるいはタンパク質足場内のループのアミノ酸残基を無作為化または変異させて所望の標的に対する結合特異性を与えることによって提供され得る。タンパク質内で新しい結合部位を工学処理するための足場は、Nygrenらによって詳細に再検討されている(Nygrenら (1997) Current Opinion in Structural Biology, 7: 463-469)。抗体模倣物用のタンパク質足場はWO第0034784号に開示されており、参照によりその全体が本明細書中で援用されるが、その中でその発明者らは、少なくとも1つの無作為化ループを有するフィブロネクチンIII型ドメインを含むタンパク質(抗体模倣物)を記載している。1つ以上のCDR、例えば1組のHCDRをグラフトするのに適した足場は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのいずれのドメイン成員によっても提供され得る。足場は、ヒトまたはヒト以外のタンパク質であってよい。非抗体タンパク質足場の利点は、少なくともいくつかの抗体分子より小さくおよび/または製造しやすい足場分子内に抗原結合部位を備え得ることである。小サイズの結合成員は、細胞に入る能力、組織内に深く浸透する能力、または他の構造内の標的に達する能力、あるいは標的抗原のタンパク質キャビティ内部に結合する能力など、有用な生理学的特性を与え得る。非抗体タンパク質足場内の抗原結合部位の使用は、Wess、2004で再検討されている(Wess, L. In: BioCentury, The Bernstein Report on BioBusiness, 12(42), A1-A7, 2004)。典型的には、安定した足場と1つ以上の可変ループとを有するタンパク質であり、このループのアミノ酸配列を特異的または無作為に変異させて、標的抗原と結合する抗原結合部位を作製する。このようなタンパク質として、S. aureus由来のAタンパク質のIgG結合ドメイン、トランスフェリン、アルブミン、テトラネクチン、フィブロネクチン(例えば、第10フィブロネクチンIII型ドメイン)、リポカリン、ならびにγクリスタリンおよび他のAffilin(商標)足場(Scilタンパク質)などが挙げられる。他のアプローチの例として、分子内ジスルフィド結合を有する小型タンパク質であるシクロチドを主成分とする合成「ミクロボディ」、マイクロタンパク質(Versabodies(商標), Amunix)、およびアンキリンリピートタンパク質(DARPins, Molecular Partners)が挙げられる。
本発明の標的化結合物質は、抗体配列および/または抗原結合部位に加えて、他のアミノ酸、例えば、折り畳みドメインのようなペプチドまたはポリペプチドを形成するアミノ酸、あるいは抗原と結合する能力に加えてその分子に別の機能特性を与えるアミノ酸を含み得る。本発明の標的化結合物質は、検出可能な標識を有してもよく、あるいは、(例えば、ペプチジル結合またはリンカーを介して)毒素、標的部分または酵素と結合させてもよい。例えば、標的化結合物質は、抗原結合部位に加えて(例えば、酵素ドメイン内に)触媒部位を含んでいてもよく、その場合、抗原結合部位が抗原に結合して、それにより触媒部位を抗原に向けさせる。触媒部位は、例えば切断によって、抗原の生物学的機能を阻害し得る。
高度な抗体治療薬の生成に関して、補体固定が望ましい性状である場合、例えば二重特異性抗体、免疫毒素、または放射性標識の使用を通して、細胞を死滅させるための補体への依存を回避することが可能であろう。
例えば、(i)2つの抗体、すなわちその一方が、KDRに対する特異性を有し、他方が、一緒に結合された第2の分子に対して特異性を有する抗体、(ii)KDRに特異的な1つの鎖、および第2の分子に特異的なもう1つの鎖を有する単一抗体、または(iii)KDRおよびその他の分子に対して特異性を有する単鎖抗体を含む、二重特異性抗体を生成することができる。周知の技術を使用してこのような二重特異性抗体を生成することができ、例えば、(i)および(ii)に関しては、Fangerら、Immunol Methods 4:72-81 (1994)、ならびにWrightおよびHarris、前掲などを、また(iii)に関しては、Trauneckerら、Int. J. Cancer (補遺) 7:51-52 (1992)などを参照されたい。それぞれの場合において、重鎖活性化受容体に第2の特異性を持たせることができる。重鎖活性化受容体には、CD16またはCD64(例えば、Deoら、Immunol. Today 18:127 (1997)を参照されたい)、あるいはCD89(例えば、Valeriusら、Blood 90:4485-4492 (1997)を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。
当技術分野で周知の技術を利用して抗体を修飾し、免疫毒素として働くようにすることもできる。例えば、Vitetta、Immunol Today 14:252 (1993)を参照されたい。また、米国特許第5194594号も参照されたい。放射線標識抗体の調製法に関しては、このような修飾抗体も、当技術分野で周知の技術を利用して容易に調製することができる。例えば、Junghansら、Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655-686 (第2版、ChafnerおよびLongo編、Lippincott Raven (1996))を参照されたい。米国特許第4681581号、同第4735210号、同第5101827号、同第5102990号(再35500)、同第5648471号、および第5697902号も参照されたい。免疫毒素および放射線標識分子はどちらも、所望の多量体酵素サブユニットオリゴマー形成ドメインを発現している細胞を死滅させる可能性が高いであろう。
抗体を作用物質(例えば、放射性同位体、医薬組成物、または毒素)と結合させる場合には、その作用物質が、抗有糸***剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、アルカロイド剤、COX−2剤、および抗生物質、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される医薬特性を有することが意図される。薬剤を、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、COX−2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗剤、抗生物質、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位化合物、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、アンタゴニスト、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、オキサリプラチン、ドキソルビシンおよびこれらの類似体、ならびにこれらの組合せからなる群から選択することができる。
毒素の例には、さらに、ゲロニン、シュードモナス外毒素(PE)、PE40、PE38、ジフテリア毒素、リシン、アブリン、α毒素、サポリン、RNA分解酵素(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、シュードモナス内毒素、カリケアマイシンおよびエスペラミシンのようなエンジインファミリーの成員の分子、ならびにこれらの誘導体、組合せ、および修飾物が含まれる。化学毒素を、デュオカルマイシン(例えば、米国特許第5703080号および米国特許第4923990号を参照されたい)、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロラムブシル、ARA−C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチナム、エトポシド、ブレオマイシン、および5−フルオロウラシルからなる群から選択することもできる。化学療法剤の例としては、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(Ara−C)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、シトキシン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクレイスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4675187号を参照されたい)、メルファラン、および他の関連するナイトロジェンマスタードなども挙げられる。適切な毒素および化学療法剤は、RemingtonのPharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing社 1995)、ならびにGoodmanおよびGilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics、第7版(MacMillan Publishing社 1985)に記載されている。他の適切な毒素および/または化学療法剤は当業者に知られている。
放射性同位体の例には、局在化および/または療法に用いることのできるγ線放射体、陽電子放射体、およびX線放射体、ならびに療法に用いることのできるβ線放射体およびα線放射体が含まれる。診断、予後診断、および病期分類に有用であることが以前に記載されている放射性同位体も療法に有用である。
抗癌剤および抗白血病剤の非限定的な例には、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、デトルビシン、カルミノマイシン、エピルビシン、エソルビシン、およびモルホリノなどのアントラサイクリン、ならびにこれらの置換誘導体、組合せ、および修飾物が含まれる。例示的な薬剤には、シスプラチナム、タキソール、カリケアマイシン、ビンクリスチン、シタラビン(Ara−C)、シクロホスファミド、プレドニゾン、ダウノルビシン、イダルビシン、フルダラビン、クロラムブシル、インターフェロンα、ヒドロキシ尿素、テモゾロミド、サリドマイド、およびブレオマイシン、ならびにこれらの誘導体、組合せ、および修飾物が含まれる。抗癌剤または抗白血病剤が、ドキソルビシン、モルホリノドキソルビシン、またはモルホリノダウノルビシンであることが好ましい。
本発明の抗体は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける半減期(例えば血清半減期)が、未修飾の抗体の半減期より長い抗体を包含する。前記抗体半減期は、約15日間より長く、約20日間より長く、約25日間より長く、約30日間より長く、約35日間より長く、約40日間より長く、約45日間より長く、約2ヶ月間より長く、約3ヶ月間より長く、約4ヶ月間より長く、または約5ヶ月間より長くあり得る。本発明の抗体またはそれらの断片の、哺乳動物、好ましくはヒトにおける半減期の増加により、哺乳動物内の前記抗体または前記抗体断片の血清力価がより高くなり、そのため、前記抗体または前記抗体断片の投与回数を減少させ、および/または投与する前記抗体または前記抗体断片の濃度を低下させることになる。当業者に知られている技術によって、in vivoでの半減期が増加する抗体またはそれらの断片を生成することができる。例えば、in vivoでの半減期が増加する抗体またはそれらの断片は、FcドメインとFcRn受容体との間の相互作用に関与するとして同定されたアミノ酸残基を修飾(例えば、置換、欠失、または挿入)することによって生成することができる(例えば、国際公開WO第97/34631号およびWO第02/060919号を参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。in vivoでの半減期が増加する抗体またはそれらの断片は、前記抗体または前記抗体断片に高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子を結合させることによって生成することもできる。PEGは、前記抗体または前記抗体断片のN末端またはC末端へのPEGの部位特異的結合によって、もしくはリジン残基に存在するεアミノ基を介して、多機能リンカーを用いて、または用いず、前記抗体または前記抗体断片に結合させることができる。生物活性の損失が最小となる、直鎖状ポリマーまたは分枝状ポリマーの誘導体化を用いることになる。確実にPEG分子を抗体に適切に結合させるために、SDS−PAGEおよび質量分析法によって結合の程度を厳密に観察することになる。未反応のPEGを、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体−PEG結合体から分離することができる。
当業者に理解されるように、上記実施形態では、親和性の値が重要となり得る一方で、抗体の特定の機能により、他の要因も同様またはそれ以上に重要となり得る。例えば、免疫毒素(抗体と結合された毒素)では、標的への抗体の結合作用が有用となり得るが、いくつかの実施形態では、最終結果として毒素が細胞に内在化することが望まれる。したがって、これらの場合には、内在化率の高い抗体が望ましいであろう。したがって、一実施形態では、高効率で内在化する抗体が意図される。高効率の内在化を、内在化抗体率として測定することができ、低い値から100%までであり得る。例えば、種々の実施形態では、0.1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜45%、45〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜99%、および99〜100%が高効率であり得る。当業者に理解されるように、所望の効率は種々の実施形態によって、例えば、結合する薬剤、一部位に投与できる抗体量、抗体−薬剤複合体の副作用、処置すべき問題の型(例えば癌型)および重症度に依存して、異なり得る。
他の実施形態では、本明細書に開示の抗体は、KDRの発現の変化を伴う疾患または障害をスクリーニングするために哺乳動物の組織内または細胞内におけるKDRの発現を検出するアッセイキットを提供する。キットには、KDRを結合する抗体、および抗体と抗原との反応が存在する場合にそれを示す方法が含まれる。
組合せ
本明細書に定義する標的化結合物質または抗体を単独療法として適用してもよく、あるいは本発明の化合物に加えて従来の外科手術もしくは放射線療法または化学療法を組合せてもよい。そのような化学療法としては、以下の抗腫瘍剤のカテゴリーの1つ以上を挙げることができる。
(i)内科腫瘍学において用いられているような他の抗増殖/抗新生物薬およびそれらの組合せ、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾラミド、およびニトロソ尿素);代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン、ならびに5−フルオロウラシルおよびテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシ尿素などの抗葉酸剤);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、およびミトラマイシンのようなアントラサイクリン);抗有糸***剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンのようなビンカアルカロイド、タキソールおよびタキソテールのようなタキソイド、ならびにポロキナーゼ阻害剤); ならびにトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、およびカンプトテシン)など;
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、およびヨードキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、および酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロレリン、およびブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害薬(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、およびエキセメスタンなど)ならびにフィナステリドのような5α−レダクターゼの阻害剤など;
(iii)抗浸潤剤(例えば、4−(6−クロロ−2,3−メチレンジオキシアニリノ)−7−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]−5−テトラヒドロピラン−4−イルオキシキナゾリン(AZD0530;国際特許出願WO第01/94341号)およびN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−{6−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]−2−メチルピリミジン−4−イルアミノ}チアゾール−5−カルボキサミド(ダサチニブ、BMS−354825;J. Med. Chem., 2004, 47, 6658-6661)のようなc−Srcキナーゼファミリー阻害剤、ならびにマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤、あるいはカテプシンの阻害剤、マトリプターゼ、ヘプシン、ウロキナーゼなどのセリンプロテアーゼの阻害剤、ヘパラナーゼの阻害剤など);
(iv)細胞傷害性剤、例えば、フルダラビン、2−クロロデオキシアデノシン、クロラムブシル、またはドキソルビシンなどおよびそれらの組合せ、例えば、フルダラビン+シクロホスファミド、CVP:シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン、ACVBP:ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンデシン+ブレオマイシン+プレドニゾン、CHOP:シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン、CNOP:シクロホスファミド+ミトキサントロン+ビンクリスチン+プレドニゾン、m−BACOD:メトトレキセート+ブレオマイシン+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+デキサメタゾン+ロイコボリン、MACOP−B:メトトレキセート+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+一定用量のプレドニゾン+ブレオマイシン+ロイコボリン、またはProMACE CytaBOM:プレドニゾン+ドキソルビシン+シクロホスファミド+エトポシド+シタラビン+ブレオマイシン+ビンクリスチン+メトトレキセート+ロイコボリンなど。
(v)増殖因子機能の阻害剤、例えば、そのような阻害剤として、増殖因子抗体および増殖因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[Herceptin(商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗erbB1抗体セツキシマブ[Erbitux、C225]、およびSternら、Critical reviews in oncology/haematology, 2005, Vol. 54, pp11-29に開示される任意の増殖因子抗体または増殖因子受容体抗体など)が挙げられる;また、そのような阻害剤として、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮増殖因子ファミリー阻害剤(例えば、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、ZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)、および6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033)などのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤)、ラパチニブなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリー阻害剤、イマチニブなどの血小板由来増殖因子ファミリー阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤、例えばソラフェニブ(BAY43−9006))、MEKキナーゼおよび/またはAKTキナーゼを介した細胞シグナル伝達の阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリー阻害剤、c−kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、IGF受容体(インスリン様増殖因子)キナーゼ阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、AZD1152、PH739358、VX−680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX−528、およびAX39459)、CDK2および/またはCDK4阻害剤などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、ならびにBcl−2、Bcl−XLなどの生存シグナル伝達タンパク質の阻害剤、例えばABT−737なども挙げられる;
(vi)抗血管新生剤、例えば、血管内皮増殖因子の作用を阻害するもの[例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ(Avastin(商標))ならびに4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474;WO第01/32651号の実施例2)、4−(4−フルオロ−2−メチルインドール−5−イルオキシ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171;WO第00/47212号の実施例240)、バタラニブ(PTK787;WO第98/35985号)、およびSU11248(スニチニブ;WO第01/60814号)などのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、国際特許出願WO第97/22596号、WO第97/30035号、WO第97/32856号、WO第98/13354号、WO第00/47212号、およびWO第01/32651号に開示されるような化合物、ならびに他の機序で作用する化合物(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、およびアンジオスタチン)]、あるいはコロニー刺激因子1(CSF1)またはCSF1受容体など;
(vii)血管傷害剤、例えば、コンブレタスタチンA4ならびに国際特許出願WO第99/02166号、WO第00/40529号、WO第00/41669号、WO第01/92224号、WO第02/04434号、およびWO第02/08213号に開示される化合物など;
(viii)アンチセンス療法、例えば、抗bcl2アンチセンスであるG−3139(ゲナセンス)のような、上記の標的に指向されるものなど;
(ix)遺伝子療法アプローチ、例えば、異常なp53あるいは異常なBRCA1またはBRCA2のような異常遺伝子を置換するアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ、または細菌のニトロレダクターゼ酵素を使用するようなGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)アプローチ、および多剤耐性遺伝子治療のような、化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を高めるアプローチなど;ならびに
(x)免疫療法アプローチ、例えば、CD52に指向されるモノクローナル抗体であるアレムツズマブ(campath-1H(商標))を用いた治療またはCD22に指向される抗体を用いた治療、患者の腫瘍細胞の免疫原性を高めるためのex vivoおよびin vivoのアプローチ、インターロイキン2、インターロイキン4、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインを用いたトランスフェクション、CTLA−4の機能を阻害するモノクローナル抗体を用いた治療などのT細胞アネルギーを低下させるアプローチ、サイトカイントランスフェクト樹状細胞などのトランスフェクトした免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカイントランスフェクト腫瘍細胞株を使用するアプローチ、ならびに抗イディオタイプ抗体を使用するアプローチなどが挙げられる。
(xi)タンパク質分解阻害剤、例えば、ベルケイド(ボルテゾミブ)などのプロテアソーム阻害剤。
(xii)バイオ治療的療法アプローチ、例えば、受容体のリガンドを隔絶するか、受容体に結合するリガンドを阻止するか、あるいは受容体のシグナル伝達を低下させるか(例えば、受容体の分解を促進する、あるいは発現レベルを低下させるなど)のいずれかの、ペプチドまたはタンパク質(抗体または可溶性外部受容体ドメイン構築物など)を使用するもの。
一実施形態では、本明細書に定義する抗腫瘍治療は、本発明の化合物に加えて、内科腫瘍学において用いられているような、他の抗増殖/抗新生物薬およびそれらの組合せ、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾラミド、およびニトロソ尿素);代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン、ならびに5−フルオロウラシルおよびテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシ尿素などの抗葉酸剤);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、およびミトラマイシンのようなアントラサイクリン);抗有糸***剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビンのようなビンカアルカロイド、タキソールおよびタキソテールのようなタキソイド、ならびにポロキナーゼ阻害剤); ならびにトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、およびカンプトテシン)など、による治療と併用することもできる。
一実施形態では、本明細書に定義する抗腫瘍治療は、本発明の化合物に加えて、ゲムシタビンによる治療と併用することもできる。
このような併用治療は、それぞれの治療成分を同時に、連続して、あるいは別々に投与する方法によって行うことができる。このような組合せ製品には、本発明の化合物または医薬的に許容されるそれらの塩を上記の用量範囲内で、かつ他の医薬活性剤をその承認用量範囲内で用いる。
以下の実施例は、行った実験および得られた結果を含めて、例示のためにのみ提供するものであって、本明細書の教示に限定されると解釈されるべきではない。
実施例1
免疫化および力価測定
免疫化
可溶性KDR(VEGF受容体2D1−7、カタログ番号676490, Calbiochem)を使用して免疫化を行った。この作戦には、XenoMouse(商標)における免疫化のために、最初の追加免疫で10μg/マウス、その後、次の追加免疫で5μg/マウスの可溶性タンパク質を投与した。この免疫化は、1996年12月3日に出願された米国特許出願第08/759620号、ならびに1998年6月11日に発行された国際特許出願WO第98/24893号および2000年12月21日に発行された国際特許出願WO第00/76310号に開示される方法に従って行われ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。この免疫化計画を表2にまとめてある。
力価による回収用動物の選択
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いたネイティブ抗原結合に対するFACS染色によって、あるいは固定化した可溶性KDRへの結合に対するELISAアッセイによって、ヒトKDRに対する抗体の力価を試験した。免疫化計画の終了後、マウス骨髄腫細胞ならびに免疫マウスの脾臓およびリンパ節から単離したリンパ球を使用して、実施例2に記載のように、電気穿孔による融合を行った。
実施例2
リンパ球の回収、B細胞の単離、融合、およびハイブリドーマの作製
免疫マウスを頚椎脱臼で屠殺して、各コホートから流入領域リンパ節を回収してプールした。この計画のために、2種類の回収を行った。回収1には、ID番号157166、157168、157597、157599、157600、157602の6匹のマウスを使用した。回収2には、ID番号157662、157663、157665、157672、157694の5匹のマウスを使用した。
DMEM中ですりつぶして組織から細胞を遊離させることによってリンパ系細胞を分離して、細胞をDMEM中に懸濁した。細胞を計数し、リンパ球1億個あたり0.9mLのDMEMを細胞の沈殿物に添加して、穏やかに、しかし、完全に細胞を再懸濁した。細胞1億個あたり100μLのCD90+磁気ビーズを使用して、細胞を磁気ビーズと共に4℃で15分間インキュベートすることによって細胞を標識した。108個までの陽性細胞(または、合計2×109細胞まで)を含む、この磁気標識した細胞の懸濁液をLS+カラム上にロードして、カラムをDMEMで洗浄した。この全流出液をCD90陰性分画として回収した(これらの細胞の大部分がB細胞であると予想された)。
洗浄して濃縮した6日目のB細胞を、ATCCから購入した非分泌性骨髄腫細胞P3X63Ag8.653、カタログ番号CRL1580(Kearneyら、J. Immunol. 123, 1979, 1548-1550)と1:4の比率で混合することによって融合を行った。この細胞混合物を400×gで4分間遠心することによって穏やかに沈殿させた。上清を注ぎ移した後に、1mLピペットを使用して細胞を穏やかに混合した。予熱したPEG(B細胞106個あたり1mL)を穏やかに撹拌しながら1分以上かけてゆっくりと添加した後に、1分間混合した。次いで、予熱したIDMEM(B細胞106個あたり2mL)を穏やかに撹拌しながら2分以上かけて添加した。最後に、予熱したIDMEM(B細胞106個あたり8mL)を3分以上かけて添加した。
この融合細胞を400×gで6分間遠心して沈殿させ、B細胞106個あたり20mLの選択培地(DMEM(Invitrogen)、15%FBS(Hyclone)に、L−グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、2−メルカプトエタノール(すべてInvitrogenより)、HA−アザセリン・ヒポキサンチンおよびOPI(オキサロ酢酸、ピルビン酸、ウシインスリン)(どちらもSigmaより)、ならびにIL−6(Boehringer Mannheim)を添加)中に再懸濁した。細胞を37℃で20〜30分間インキュベートし、次いで、200mLの選択培地中に再懸濁して、T175フラスコ中で3〜4日間培養した。
融合後3日目に、細胞を回収し、400×gで8分間遠心して、融合B細胞106個あたり10mLの選択培地中に再懸濁した。ハイブリドーマ集団のFACS解析を行い、その後、細胞を凍結した。
ハイブリドーマは、選択培地中、通常の操作手順で増殖させた。抗ヒトKDR抗体を産生する可能性のあるハイブリドーマから残らず回収した上清について、後のスクリーニングアッセイを行った。
実施例3 抗体力価測定:ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のネイティブ抗原結合
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)においてFACS解析を行い、実施例1および2に記載のように作製した、ヒトKDRに対する抗体の力価を測定した。HUVECを60,000細胞/ウェルで播種して、2μLの試料(1:50希釈)と共に4℃で1時間インキュベートした。次いで、このウェルを洗浄し、5μg/mLのCy5結合ヤギ抗ヒト抗体および5μg/mLの7−アミノアクチノマイシン(7AAD)と共に4℃で15分間インキュベートした。FACS解析を用いて、結合したKDRを検出した。陽性対照はヤギ抗KDR抗体(R&D Systems社)であり、陰性対照は未感作XMG2血清および未感作XMG4(XM3C−1)血清であった。後のハイブリドーマ作製のために、FACS幾何平均蛍光が最も強い動物を選択した。表3に、HUVECの解析から得られたFACSデータの一覧を示す。
実施例4
抗体力価測定:固定化可溶性KDRとの結合
固定化可溶性KDRとの結合のELISAアッセイを用いて、実施例1および2に記載のように作製した抗体の力価を測定した。
抗体の力価を測定するために、プレートを1μg/mLのKDR(Calbiochem)で4℃で一晩コーティングした。次いで、抗体を含む血清を、ブロッキング緩衝液(1×PBS/1%ミルク)中に1:100から始めて1:3で2段階に希釈した。血清を入れたプレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄して、次いで、二次抗体(ヤギ抗ヒトIgG Fc POD−Jackson Laboratories)と共に室温で1時間インキュベートした。陽性対照はヤギ抗KDR(カタログ番号AF357、R&D Systems社)であり、陰性対照は未感作XMG2血清および未感作XMG4(XM3C−1)血清であった。表4に、結合した抗体の解析から得られたELISAの測定値のまとめを示す。
実施例5
結合アッセイによるハイブリドーマ上清スクリーニング
実施例1および2に記載のように作製した、抗体を含むハイブリドーマ上清を、固定化可溶性ヒトKDRおよびKDRのIg4−7ドメインの両方に対する結合を測定するアッセイによってスクリーニングした。
固定化可溶性KDRとの結合によりスクリーニングするために、プレートを250ng/mLのKDR(Calbiochem)で4℃で一晩コーティングした。コーティングしたプレートをブロッキングして洗浄した後に、候補となるハイブリドーマ上清(1:5希釈)をプレートに移して室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを洗浄して、二次抗体(1:4000希釈)と共に室温で1時間インキュベートした。表5に、スクリーニングのための結合した抗体の解析から得られたELISA測定値のまとめを示す。
この実験のために、KDR抗体の細胞外ドメイン4−7をpSecTagのDNA発現構築物にクローニングすることによって、Ig4−7ドメインを含むKDR抗体(b-KDRIg4-7-myc-his)を得た。この構築物を、一過的にトランスフェクトして293T細胞中で発現させ、発現したHisタグタンパク質をニッケル(Ni)カラムクロマトグラフィーで精製した。
KDRのIg4−7ドメインとの結合によりスクリーニングするために、プレートをまず4μg/mLのニュートラアビジン(Pierce)でコーティングして4℃で一晩インキュベートした。次いで、このプレートをブロッキングし、続いて、1μg/mLのb-KDRIg4-7-myc-hisと共に室温で1時間インキュベートした。候補となるハイブリドーマ上清(1:5希釈)をプレートに移して室温で1時間インキュベートした。次いで、このプレートを洗浄して、ヤギ抗ヒトIgG Fc POD(1:4000希釈)と共に室温で1時間インキュベートした。表6に、スクリーニングのための結合した抗体の解析から得られたELISA測定値のまとめを示す。
実施例6
ヒトVEGF受容体−1(Flt−1)およびマウスKDR(Flk−1)に対する交叉反応性
該ハイブリドーマ上清中の抗体の交叉反応性を、KDRマウスオーソログ(マウスVEGFR2、またはFlk−1)およびヒトVEGFR1(Flt−1)に対して試験した。ELISAに基づくアッセイを用いて交叉反応性を測定した。KDRマウスオーソログ(Flk−1)に対する交叉反応性が望まれた。しかし、Flt−1で選択した抗体をさらなる解析用に選択した。
プレートを500ng/mLのヒトVEGFR1(Flt−1)/Fc(Flt-1, カタログ番号321-FL/CF, R&D Systems社)またはマウスKDR(Flk−1)/Fc(Flk-1, カタログ番号443-KD/CF, R&D Systems社)でコーティングして、4℃で一晩インキュベートした。これらのプレートを洗浄してブロッキングした後、コーティングしたこれらのウェルの中に、抗体を含む上清を(1:5希釈で)添加して、室温で1時間インキュベートした。次いで、プレートをマウス抗ヒトIgG2、3、および4と共にインキュベートし、続いて、ヤギ抗マウスIgG Fc PODと共にインキュベートして、結合した抗体の検出および測定を行った。表7に、各基質に対するELISA交叉反応性アッセイの結果を示す。
実施例7 ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とのネイティブ結合
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)においてFACS解析を行い、実施例1および2に記載のように作製したハイブリドーマ上清中の抗体のネイティブ結合を確認した。HUVECを15,000細胞/ウェルで播種して、100μLの試料上清(1:50希釈)と共に4℃で1時間インキュベートした。陽性対照はヤギ抗KDR抗体(R&D Systems社)であり、陰性対照は同じ希釈率の関連性のないハイブリドーマ上清であった。次いで、細胞を洗浄し、5μg/mLのCy5結合ヤギ抗ヒト抗体および5μg/mLの7−アミノアクチノマイシンD(7AAD)と共に4℃で15分間インキュベートした。FACS解析を用いて、結合したKDRを検出した。表8に、HUVECの解析から得られたFACSデータの一覧を示す。HUVEC細胞に強く結合する抗体は、より高い相対結合活性を有すると考えられた。
実施例8
抗体を含む上清の相対力価の測定
内因的にKDRを発現している正常細胞株(HUVEC)において、抗体がKDRリン酸化をどのくらいよく阻害したかを測定することによって、抗体を含む種々の該上清の相対力価を比較した。1:20希釈の上清を使用して、VEGF165を介したKDRチロシンリン酸化およびVEGF−Eを介したKDRチロシンリン酸化の両方の阻害試験などのアッセイを行った。VEGF165は、KDR:KDRホモ二量体およびKDR:VEGF受容体−1ヘテロ二量体の両方に結合する。VEGF−Eは、VEGF165のオルフウイルスホモログであるが、VEGF165とは異なり、VEGF−EはKDRに特異的に結合するため、KDR二量体化の選択的な解析を可能にする(Endocrine Reviews, August 2004, 25(4): 581-611)。
抗体を含む種々の該上清の相対力価も試験して、VEGF165およびVEGF−Eの両方に仲介されるような血清欠乏HUVEC細胞の生存を阻害できるかどうかを調べた。これらのアッセイも上清の希釈率1:20で行った。HUVEC細胞を用いたすべてのインキュベートは、37℃、5%CO2で行った。
VEGF165媒介によるKDR活性の阻害を測定するアッセイ
HUVEC細胞を25,000細胞/ウェルで播種して、内皮細胞基本培地−2(EBM-2, Clonetics EGM-2 BulletKit, カタログ番号CC-3162)+2%FCS+増殖補助剤(ヒドロコルチゾン、hFGF−B、R3−IGF−1、アスコルビン酸、ヘパリン、FBS、hEGF、およびGA−1000)中で一晩インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、補助剤のない培地中で一晩インキュベートした。3日目に、抗体を含む種々の該上清をHUVEC細胞に添加して、2時間インキュベートした。次いで、上清を除去して、最終濃度2nMとなるように50μLのVEGF165で置換した。VEGF165と共に7分間インキュベートした後に、細胞を溶解し、細胞の溶解産物をVEGF165媒介によるKDR活性の阻害について測定した。表9に、VEGF165媒介によるKDRチロシンリン酸化の阻害レベルを示す、ELISA測定値の平均(n=3)の一覧を示す。
VEGF−E媒介によるKDR活性の阻害を測定するアッセイ
上記のように、HUVEC細胞を播種して、抗体を含む上清と共にインキュベートした。次いで、上清を除去して、最終濃度2nMとなるように50μLのVEGF−Eで置換した。VEGF−Eと共に7分間インキュベートした後に、細胞を溶解し、細胞の溶解産物をVEGF−E媒介によるKDR活性の阻害について測定した。表10に、VEGF−E媒介によるKDRチロシンリン酸化の阻害レベルを示すELISA測定値の一覧を示す。
VEGF165に仲介される血清欠乏HUVEC細胞の生存を阻害する抗体の能力を測定するアッセイ
HUVEC細胞を10,000細胞/ウェルで播種して、EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤(上記を参照されたい)中で一晩インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、抗体を含む種々の該上清(50μLのEBM−2基本培地中で1:10または1:20のいずれかに希釈)をHUVEC細胞に添加して、2時間インキュベートした。50μLのVEGF165(最終濃度1nM)をクロロキン(最終濃度25nM、Sigma-Aldrich)および0.01%FCS(最終濃度)と共にこの細胞に添加し、細胞を37℃、5%CO
2で4日間インキュベートした。次いで、製造業者のプロトコルによって発光基質(Cell Titer Glo, Promega)を添加することにより細胞の生存を測定し、ルミノメーターを用いて検出した。HUVECの生存の抗体阻害は、相対発光単位(RLU)の値が低下することによって示される。表11に、VEGF165媒介によるKDR活性によるHUVECの生存を示す、ルミノメーター測定値(n=2)の一覧を示す。
VEGF−Eに仲介される血清欠乏HUVEC細胞の生存を阻害する抗体の能力を測定するアッセイ
上記のように、HUVEC細胞を播種して、抗体を含む上清と共にインキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、抗体を含む種々の該上清(EBM−2基本培地中に1:10希釈)をHUVEC細胞に添加して、2時間インキュベートした。VEGF−E(Cederlane)を1nMの最終濃度となるように細胞に添加して、細胞を4日間インキュベートした。次いで、発光基質の添加およびルミノメーターアッセイによって上記のように細胞の生存を測定した。表12に、VEGF−E最大活性の割合(%)としてみられる阻害の程度の一覧を示す。100%付近の値は、VEGF−E活性の完全な阻害に相当する。
実施例9
動態アッセイ
実施例2に記載のように得られたハイブリドーマ上清中の高親和性/高力価の抗体を特定するために、これらの実験を行った。可溶性KDR細胞外ドメイン(ECD)(Calbiochem)を使用して実験を行った。
多抗原(HA)定量(ELISA)
ELISAプレートを、下記に記載の限定抗原定量アッセイと比較してより大量のKDR(500ng/mL)でコーティングした。このKDRコーティング済みELISAプレート上に、抗体(Ab)を含む試料を段階希釈し、4℃で一晩インキュベートして、Ab結合を平衡に近づけた。試料中のAbの段階希釈は、1:25〜1:18,225の範囲に及んだ。既知濃度のKDR特異的抗体の標準曲線を用いて、アッセイの線形範囲を定めた。線形範囲内のデータを用いて、各段階希釈試料中のKDR特異的Abの相対濃度を導いた。高いKDR濃度および一晩のインキュベートによってAb親和性の効果が制限され、各試料中に存在するKDR特異的Abの相対量を定量できた。
限定抗原(LA)定量(ELISA)
ELISAプレートを、上記の多抗原定量アッセイと比較してより少量のKDR(3.125、6.25、12.5、25、および50ng/mL)でコーティングした。一定濃度の抗体(Ab)を含む試料(1:25希釈)を一晩インキュベートして、Ab結合を平衡に近づけた。低い抗原濃度によって抗体濃度の効果が制限され、抗体をその相対親和性に基づいて順位付けすることができた。
表13および14に、所望の中和活性および好ましい結合動態を有したハイブリドーマ株の結果をまとめる。
実施例10
KDR抗体の構造解析
抗体の可変重鎖および可変軽鎖を配列決定して、これらのDNA配列を決定した。抗KDR抗体の全配列情報を、γ鎖およびκ鎖の各組合せに対するヌクレオチド配列およびアミノ酸配列で配列表に示す。可変重鎖配列を解析して、VHファミリー、D領域配列、およびJ領域配列を決定した。次いで、これらの配列を翻訳して一次アミノ酸配列を決定し、生殖系列のVH領域、D領域、およびJ領域の配列と比較して、体細胞過剰変異を評価した。
表20は、抗体重鎖領域をこれらと同起源の生殖系列重鎖領域と比較している表である。表21は、抗体κ軽鎖領域をこれらと同起源の生殖系列軽鎖領域と比較している表である。各ハイブリドーマから回収される姉妹クローン間のアミノ酸配列は同一であることを理解されたい。一例として、30E3.3の重鎖および軽鎖の配列は、30E3.1および30E3.2の配列と同一であろう。表20および21を見やすくするために、姉妹クローンを一緒にまとめて、それらに共通の鎖名で識別する。例えば、30E3.1、30E3.2、および30E3.3の配列を、鎖名「30E3」のもとでの共通配列として一覧に示す。
免疫グロブリン鎖の可変(V)領域は複数の生殖系列DNAセグメントによってコードされ、これらはB細胞個体発生の間に、機能的な可変領域(VHDJHまたはVKJK)となるように連結される。KDRに対する抗体反応の分子多様性および遺伝的多様性を詳細に研究した。これらのアッセイは、抗KDR抗体に特有ないくつかの点を明らかにした。モノクローナル抗体29A11、32B2、30E3、30H10、および32C11が、D1−14を逆相補方向で用いるようであることに注目されたい。
ある抗体がその生殖系列配列とアミノ酸レベルで異なる場合、抗体配列を変異させて生殖系列配列に戻し得ることも理解されたい。このような補正変異は、標準的な分子生物学的技法を用いて、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の部位に、あるいは任意の組合せの変異部位に生じ得る。非限定的な例として、表16は、モノクローナル抗体24B3(配列番号44)の軽鎖配列が、CDR1領域中のSerからAsnへの変異(変異1)、CDR2領域中のThrからAlaへの変異(変異2)、CDR3領域中のArgからSerへの変異(変異3)によって、対応する生殖系列配列(配列番号124)と異なることを示す。したがって、モノクローナル抗体24B3の軽鎖をコードしているアミノ酸またはヌクレオチドの配列を修飾して、変異1を変化させ、変異1の部位を生殖系列配列にすることができる。さらに、モノクローナル抗体24B3の軽鎖をコードしているアミノ酸またはヌクレオチドの配列を修飾して、変異2または変異3を変化させ、変異2または変異3の部位を生殖系列配列にすることができる。またさらに、モノクローナル抗体24B3の軽鎖をコードしているアミノ酸またはヌクレオチドの配列を修飾して、変異1および変異2の両方、あるいは他のあらゆる組合せの2つまたはそれ以上の変異を変化させ、それらの特定部位を生殖系列配列にすることができる。下記の表15〜19に、モノクローナル抗体27D10、24B3、および33C3に対する生殖系列からのこのような変異の部位を例示する。表15a〜19aに、モノクローナル抗体27D10、24B3、および33C3に対する生殖系列からのそのような変異の部位を例示する。それぞれの列は、太字で表示した部位における生殖系列および非生殖系列の残基の固有の組合せを表す。
当業者は、CDR境界を定義する代替法があることに気づくであろう。表20aにあるVH CDR1の開始残基は、Scaviner D, Barbie V, Ruiz M, Lefranc M-P.Protein Displays of the Human Immunoglobulin Heavy, Kappa and Lambda Variable and Joining Regions.Exp Clin Immunogenet 1999, 16:234-240に記載される方法に従って定義されている。表20aおよび表21aにある残りのCDR境界は、カバットの定義に従って定義される。
表20bおよび表21bにあるすべてのCDR境界は、カバットの定義に従って定義される。
実施例11
KDR抗体の力価測定
HUVEC細胞においてVEGF165に誘導されるKDRチロシンリン酸化を阻害する能力に基づいて候補抗体を区別するために、KDR候補抗体の力価を測定した。2種類の異なる条件、すなわち、一方は抗体をHUVEC細胞と4℃で1時間プレインキュベートする条件、他方は抗体をHUVEC細胞と37℃で24時間プレインキュベートする条件でこのアッセイを行った。
HUVEC細胞を補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS)中に25,000細胞/ウェルで播種して、37℃で一晩インキュベートした。次いで、細胞を、補助剤のない培地中で、37℃で一晩インキュベートした。3日目に、50μL/ウェルの候補抗体の段階希釈液または無血清培地(対照用)をHUVEC細胞に添加した。細胞を候補抗体と共に4℃で1時間または37℃で24時間のいずれかでプレインキュベートした。プレインキュベーション後、細胞を、50μLの2nM VEGF165(Calbiochem)で刺激し、次いで、溶解した。次いで、細胞溶解産物をELISAによってアッセイした。
表22に、1時間のプレインキュベーション後の候補抗体のアッセイ結果を示す。表23に、24時間のプレインキュベーション後の候補抗体のアッセイ結果を示す。
実施例12
アゴニストシグナルを伝達するためのKDR抗体の特徴付け
次のアッセイは、アゴニストシグナルを伝達できる抗KDR抗体の能力を特徴付けするために行った。
HUVEC細胞を補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS)中に25,000細胞/ウェルで播種して、37℃で一晩インキュベートした。次いで、培地を補助剤のない培地(EMB−2)で置換して、細胞を37℃で一晩インキュベートした。3日目に、補助剤のない培地を50μL/ウェルの候補抗体の段階希釈液または無血清培地(対照用)で置換して、細胞を候補抗体と共に4℃で1時間インキュベートした。プレインキュベーション後、細胞を、2nMのVEGF165(Calbiochem)で刺激し、次いで、溶解した。次いで、細胞溶解産物をELISAによってアッセイした。
表24に、候補抗体のアッセイ結果を、VEGF−165によって誘導されるリン酸化活性と比較したリン酸化活性の割合として示す。
実施例13
精製抗体の相対力価の測定:VEGF165媒介による生存の阻害
候補精製抗体の相対力価を試験して、VEGF165に仲介される血清欠乏HUVEC細胞の生存を阻害する能力を調べた。これらのアッセイも133nMの抗体濃度で行った。HUVEC細胞を用いたすべてのインキュベートは、37℃、5%CO2で行った。
HUVEC細胞を10,000細胞/ウェルで播種して、補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤、実施例8を参照されたい)中で一晩インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、候補抗体をHUVEC細胞に添加し、2時間インキュベートした。VEGF165を1nMの最終濃度となるように細胞に添加して、細胞を4日間インキュベートした。次いで、発光基質の添加およびルミノメーターアッセイによって細胞の生存を測定した。表25に、VEGF165媒介によるKDR活性のHUVEC生存阻害の割合を示す、ルミノメーター測定値(n=2)の一覧を示す。
実施例14
精製抗体の相対力価の測定:VEGF媒介によるプロスタグランジン放出の阻害
候補精製抗体の相対力価を試験して、VEGF165に仲介されるHUVEC細胞からの6−ケトプロスタグランジンF1αの放出を阻害できるかどうかも調べた。これらのアッセイも133nMの抗体濃度で行った。HUVEC細胞を用いたすべてのインキュベートは、37℃、5%CO2で行った。
HUVEC細胞を20,000細胞/ウェルで播種して、補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤、実施例8を参照されたい)中で3日間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、候補抗体をHUVEC細胞に添加し、4℃で2時間インキュベートした。VEGF165を1nMの最終濃度となるように細胞に添加して、細胞を37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。次いで、それぞれのウェルからの上清試料について、VEGF165媒介による6−ケトプロスタグランジンF
1αの放出を測定した。表26に、この結果をプロスタグランジン放出の阻害率(%)として示す。
この実施例および実施例11〜13(表22〜26)に記載のような活性比較実験で得られたデータに基づいて、14の抗体候補をさらなる解析に進めた。表27に、さらなる試験用に選択した候補抗体のまとめを示す。
実施例15
ヒトVEGF受容体−1(Flt−1)およびマウスKDR(Flk−1)に対する、精製KDR抗体の交叉反応性
精製抗体の交叉反応性を、KDRマウスオーソログ(マウスVEGFR2、またはFlk−1)およびヒトVEGFR1(Flt−1)に対して試験した。可溶性KDR Ig4−7ドメインおよび全KDR細胞外ドメイン(ECD)に結合する抗体の能力も測定した。
実施例6に記載のELISAに基づくアッセイを用いて、交叉反応性実験を行い測定した。簡単に説明すると、精製抗体の段階希釈液(3データポイントにわたる1:10の連続希釈、開始濃度=1μg/mL)を、5μg/mLのヒトVEGFR1(Flt-1、カタログ番号321-FL/CF、R&D Systems社)、5μg/mLのマウスKDR(Flk-1、カタログ番号443-KD/CF、R&D Systems社))、可溶性KDR Ig4−7(上清、1:1希釈)、または5μg/mLの全KDR−ECD(カタログ番号 676490、Calbiochem)をコーティングしたウェル中に添加した。抗体の対照は、IgG1およびIgG4(Sigma-Aldrich、それぞれカタログ番号15154および#14639)であった。表28に、各基質に対するELISA交叉反応性アッセイの結果を示す。
実施例16
精製KDR抗体の力価比較:VEGF誘導性KDRチロシンリン酸化の阻害
内因的にKDRを発現している正常細胞株(HUVEC)において、抗体がKDRリン酸化をどのくらいよく阻止したかを測定することによって、精製抗体の相対力価を比較した。このアッセイには、複数の抗体濃度を使用して行い、VEGF165媒介によるKDRチロシンリン酸化を阻止する能力、VEGF165媒介による血清欠乏HUVECの生存を阻止する能力、およびHUVEC細胞からのVEGF165媒介による6−ケトプロスタグランジンF1α放出の阻害についての抗体の試験が含まれた。特記しない限り、HUVEC細胞を用いたすべてのインキュベーションは、37℃、5%CO2で行った。
VEGF165媒介によるKDR活性の阻害を測定するアッセイ
HUVEC細胞を25,000細胞/ウェルで播種して、補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤)中で一晩インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、補助剤のない培地中で一晩インキュベートした。3日目に、種々の精製抗体(開始濃度100nMで最終濃度6pMまで連続的に1:5希釈)をHUVEC細胞に添加して、4℃で1時間インキュベートした。次いで、培養液を、最終濃度2nMになるように50μLのVEGF165で置換した。VEGF165で10分間刺激した後に、細胞を溶解し、細胞の溶解産物をVEGF165媒介によるKDR活性の阻害について測定した。表29に、VEGF165媒介によるKDRチロシンリン酸化の阻害のレベルをEC50値および阻害率(%)値として示す。
VEGF165媒介による血清欠乏HUVEC細胞の生存を阻止する抗体の能力を測定するアッセイ
HUVEC細胞を10,000細胞/ウェルで播種して、補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤)中で一晩インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、種々の精製抗体をHUVEC細胞に(開始濃度200nMで最終濃度13pMまで連続的に1:4希釈で)添加して、4℃で2時間インキュベートした。VEGF165を1nMの最終濃度となるように細胞に添加して、細胞を3日間インキュベートした。次いで、発光基質の添加およびルミノメーターアッセイによって細胞の生存を測定した。表30に、VEGF165媒介によるKDR活性によるHUVECの生存をEC50値および生存の阻害率(%)として示す。
HUVEC細胞からのVEGF165媒介による6−ケトプロスタグランジンF 1α の放出を阻害する抗体の能力を測定するアッセイ
HUVEC細胞を20,000細胞/ウェルで播種して、補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤)中で3日間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、候補抗体をHUVEC細胞に(開始濃度333nMで最終濃度4pMまで連続的に1:5希釈で)添加して、4℃で2時間インキュベートした。VEGF165を1nMの最終濃度となるように細胞に添加して、細胞を一晩インキュベートした。次いで、それぞれのウェルからの上清試料について、VEGF165媒介による6−ケトプロスタグランジンF
1αの放出を測定した。表31に、この結果をEC50値およびプロスタグランジン放出の阻害率(%)として示す。
実施例17 精製抗体の結合親和性の測定
HUVEC細胞中で内因的に発現したKDRに対する精製抗体の結合親和性を測定した。HUVEC細胞を150,000細胞/ウェルで播種し、精製抗体の段階希釈液と共に4℃で4時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG−Fc−Cy5および5μg/mLの7−アミノアクチノマイシン(7AAD)と共に4℃で30分間インキュベートした。FACS解析を用いて、結合したKDRを検出した。表32に、精製抗体を用いたHUVEC細胞の解析から得られたFACSデータの一覧を示す。
この実施例および実施例16(表29〜32)に記載の力価の実験およびデータで得られたデータに基づいて、11の抗体候補をさらなる解析に進めた。表33に、さらなる試験用に選択した候補抗体のまとめを示す。
実施例18
ヒト以外の霊長類に対する精製KDR抗体の交叉反応性
カニクイザル由来のKDRをクローニングし、HEK 293T細胞の表面上に発現させた。このアッセイでは、細胞に結合したカニクイザルKDRに対する精製抗体の結合を(親細胞を陰性対照として)FACS解析によって試験した。
カニクイザルKDRを3断片でクローニングした。1断片はカニクイザルの肺のcDNAからPCR増幅し、残りの2断片はカニクイザルの腎臓のcDNAからPCR増幅した。この3種類のPCR産物を、pCR3.1 Bidベクターに挿入した。次いで、HEK 293T細胞をカニクイザルKDR発現ベクターまたは空のpCR3.1 Bidベクターでトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を50,000細胞/ウェルで播種し、5μg/mLの候補抗体と共に4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、二次抗体(Cy5結合ヤギ抗ヒト抗体またはCy5結合ウサギ抗ヤギ抗体に7−アミノアクチノマイシン(7AAD)を添加)と共に4℃で15分間インキュベートした。カニクイザルKDRと精製抗体との間の結合をFACS解析によって検出した。表34に、このアッセイの結果のまとめを示す。
実施例19 精製抗体の相対力価の測定:KDRに対するVEGFの結合を阻止する能力
抗体が、KDRに対するヒトVEGFの結合をどのくらいよく阻止したかによって、種々の抗体の相対力価をアッセイした。HEK 293T細胞をヒトKDR(Amgen Fremont, Fremont CAの提供)または空のpCR3.1 Bidベクターでトランスフェクトした。次いで、トランスフェクトした細胞を50,000細胞/ウェルで播種し、5μg/mLの候補抗体と共に4℃で1時間インキュベートした。その後、抗体を除去して、細胞を50ng/mLの濃度のVEGF165(カタログ番号 293-VE、R&D Systems社)と共に4℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、ヤギ抗VEGFと共に4℃で1時間インキュベートした。洗浄後、細胞をCy5結合ウサギ抗ヤギ抗体および7AADと共に4℃で15分間インキュベートした。KDRに対するVEGFの結合の阻害をFACS解析によって検出した。表35に、このアッセイの結果のまとめを示す。
上記の結果より、これらの抗体はIMC1121b(Luら、JBC 2003, 278, 43496)と比較して分化した作用様式を有することが示される。
実施例20 精製抗体の相対力価の測定:VEGF−C媒介によるKDR活性を阻止する能力
抗KDR候補抗体を、HUVEC細胞におけるVEGF−C媒介によるKDRチロシンリン酸化を阻害するそれらの能力についてアッセイした。HUVEC細胞を25,000細胞/ウェルで播種して、補助剤入り培地(EBM−2+2%FCS+VEGF以外のすべての補助剤)中で一晩インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して、補助剤のない培地中で一晩インキュベートした。3日目に、種々の精製抗体をHUVEC細胞に(3データポイントにわたる1:10の連続希釈、開始濃度=100nMで)添加して、4℃で2時間インキュベートした。次いで、上清を除去して、最終濃度50nMとなるように50μLのVEGF−Cで37℃で10分間置換した。VEGF−Cを刺激した後に、細胞を溶解し、VEGF−C媒介によるKDR活性の阻害について細胞の溶解産物をELISAアッセイによって測定した。表36に、VEGF−C媒介によるKDRチロシンリン酸化の阻害レベルを示すアッセイの結果を示す。
実施例21 BIACOREによる精製抗体の結合親和性の測定
標準的なアミンカップリング法を用いて、各精製抗KDR抗体をBiacore 2000内のセンサーチップCM4上に固定した。固定化レベルを、250RUと350RUとの間に保った。KDRの濃度をUV−VIS分光法によって決定した。このとき、280nmで110,440M
−1cm
−1のモル吸光係数を用いたが、これは、Paceらによって開発された方法(G.R. GrimsleyおよびC. N. Pace (2003) in Current Protocols in Protein Science (John Wiley & Sons, Inc.), 3.1.1-3.1.9)を使用してタンパク質の配列から算出した。抗原KDRを52nMの開始濃度に希釈して、3倍の希釈系列3つで試験した。HBS−Pと0.1mg/mL BSAを含むランニング緩衝液および結合レスポンスを23℃で回収した。結合複合体は、146mMのリン酸の12秒のパルスで再生成された。レスポンスデータを単純な1:1の相互作用モデルで全般的にフィッティングした。これらの結合定数を下記の表に示す。括弧内に示す数は、最後の有効数字の標準誤差である。
実施例22
精製抗KDR抗体による、KDRに対する交差競合の測定
細胞接着アッセイを用いて各精製抗KDR抗体を試験して、ヒトKDRに対する他の抗KDR抗体の結合を阻止するそれらの能力について調べた。
96ウェルプレートのウェルを、10μg/mL PBSの濃度の33C3、24B3、または27D10を用いて4℃で一晩コーティングした。次いで、このウェルを、PBS/3%BSAを用いて37℃で1時間ブロッキングし、PBSで洗浄した。精製抗KDR抗体の段階希釈液を、最高濃度の25μg/mLを使用して、KDRに対する交差競合について、コーティングしたそれぞれの抗体に対して試験した。アイソタイプ対照IgG1およびIgG2(Sigma-Aldrich、それぞれカタログ番号I5154およびI5404)が含まれた。抗体の希釈液を無血清のHams F12培地中に最終的なアッセイ濃度の10倍で調製して、10μLを3種類の試験用ウェルに添加した。ヒトKDRでトランスフェクトしたブタ大動脈内皮細胞を、90μLの無血清Hams F12培地中に1ウェルあたり100,000細胞の濃度で添加した。このプレートを、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。非接着細胞をプレートから落とし、ウェルをPBSで2回洗浄した。接着細胞を、100%エタノールを用いて室温で30分間固定し、次いで、1.5%メタノール中の0.1%クリスタルバイオレットを用いて室温で15分間染色した。余分な色素を水で洗い落とし、二重蒸留水中の0.1%TritonX−100を1ウェルあたり100μL用いて細胞内の色素を回転プラットフォーム上で2時間可溶化した。570nmにおけるODを測定して、各抗体による結合の阻害率(%)を算出した。
表に、25μg/mLの阻害抗体による、コーティング抗体に対する細胞の結合の阻害率(%)として、ヒトKDRに対する各抗体間の交差競合を示す。
実施例23
KDR阻害抗体は、in vitroでの管形成を減少させる
KDR阻害抗体を、in vitroでの共培養解析(TCS Cell Works カタログ番号ZHA-1000)において内皮細胞管形成を減少させる能力について試験した。1日目に、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびヒト二倍体線維芽細胞を24ウェルプレート中の共培養物として得た。KDR阻止抗体を以下の濃度で1日目に、かつ一定の間隔で11日間にわたって培養物に導入した:20μg/mL、5μg/mL、1.25μg/mL、および0.3125μg/mL。4日目、7日目、および9日目に培養液を補充した。この共培養モデルを、TCS最適化培地(共培養解析と共に供給される)中、あるいは2%ウシ胎児血清(FCS)、1%グルタミン、および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したMCDB131培地(以下、2%FS MCDB131培地と記載する)中のいずれかで維持した。共培養モデルを、湿気を与えた5%CO2/95%大気の空気環境中、37°Cで維持した。
11日目に、製造業者の使用説明書に従って細管染色キット(TCS Cell Works カタログ番号ZHA-1225)を使用して、細管のCD31を固定し染色した後に細管形成を検査した。簡単に説明すると、細胞を、氷冷した70%エタノールを用いて室温で30分間固定した。細胞をブロッキングした後に、抗ヒトCD31を用いて室温で60分間処理した。プレートを洗浄して、アルカリホスファターゼ(AP)を結合したヤギ抗マウスIgGを用いて室温で60分間処理した。AP結合二次抗体と共にインキュベートした後に、プレートを洗浄して、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)基質を約10分間添加した。10分以内の黒紫色の発色は、細管形成を表した。その後、プレートを洗浄し、空気乾燥させるために放置した。
Zeiss KS400 3.0イメージアナライザーを使用して、ウェル全体の画像分析法によって細管増殖の定量化を行った。この定量化方法で測定した形態学的パラメータは細管全長であった。端収縮のアーチファクトを避けるために深さ100μmの端を除いて、24ウェルの各ウェル内のすべての細管形成を測定した。
図1に示すように、抗体がin vitroでの内皮細胞管形成の阻害に有効であることが認められた。このデータは、脈管形成過程をモデル化する機能アッセイにおいてこれらの抗体が作用することを示す。
実施例24
in vivoでの精製抗体の効力の測定:スフェロイドに基づくin vivoでの血管新生アッセイにおける血管新生阻害効力の評価
以前に記載されているように(KorffおよびAugustin: J Cell Biol 143: 1341-52, 1998)、プラスチックシャーレ上の懸滴中で100個の内皮細胞(EC)をピペッティングし、一晩スフェロイド形成させることによって、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)スフェロイドを調製した。その翌日、以前に記載されている方法(Alajatiら:Nature Methods 5:439-445, 2008)を用いて、ECスフェロイドを回収して、最終数がスフェロイドとして100,000EC、かつ注入するプラグあたり200,000の単一ECとなるようにマトリゲル/フィブリン溶液中で単一のHUVECと混合した。VEGF−AおよびFGF−2を1000ng/mLの最終濃度で添加した。雄のSCIDマウス(5〜8週齢)に、500μLの細胞/マトリックス懸濁液を皮下注入した。その翌日(1日目)、処理を開始した。21日目に、試験を終了した。マトリックスプラグを除去して、4%PFA中で固定した。すべてのマトリックスプラグをパラフィン包埋して、組織学的検査用に8〜10μmの厚さに切断した。ヒトCD34および平滑筋アクチン(SMA)を染色することによって血管を可視化して、血管密度および周皮細胞の被度を測定した。
図2に示したように、これらの抗体はin vivoでの血管形成の阻害に有効である。このデータは、in vivoでの血管新生のアッセイにおいてこれらの抗体が作用することを示す。
実施例25
ヒトの患者における腫瘍細胞増殖の抑制
膵臓癌と診断された一群のヒト癌患者を無作為化して治療群に入れる。本明細書に記載の、KDRに対する完全なヒトモノクローナル抗体を週1回静脈内注射することによって各患者群を治療する。各患者には、5mg/kg/週から15mg/kg/週の範囲に及ぶ有効量の抗体を4〜8ヶ月間投与する。対照群には、標準的な化学療法のみを行う。
治療レジメンの最中および後に周期的に、腫瘍量を磁気共鳴画像法(MRI)によって評価する。週1回の抗体治療を受けている患者が、抗体治療を受けていない患者と比較して、腫瘍サイズの有意な縮小、進行時間の遅延、あるいは生存の延長を示すであろうことが期待できる。一部の治療患者においては、腫瘍がもはや検出不能となることが期待できる。対照的に、対照群では、腫瘍サイズが増加するか、あるいはほぼ同じままであることが予想される。
実施例26
ヒトの患者における大腸癌の抑制
大腸癌と診断された一群のヒト癌患者を無作為化して治療群に入れる。本明細書に記載のような、KDRに対する完全なヒトモノクローナル抗体を静脈内注射することによって各患者群を3週間に1回治療する。各患者には、5mg/kg/週から15mg/kg/週の範囲に及ぶ有効量の抗体を4〜8ヶ月間投与する。対照群には、標準的な化学療法のみを行う。治療レジメンの最中および後に周期的に、腫瘍量を磁気共鳴画像法(MRI)によって評価する。3週間に1回の抗体治療を受けている患者が、抗体治療を受けていない患者と比較して、腫瘍サイズの有意な縮小、進行時間の遅延、あるいは生存の延長を示すことが期待できる。一部の治療患者においては、腫瘍がもはや検出不能となることが期待できる。対照的に、対照群では、腫瘍サイズが増加する、あるいはほぼ同じままであることが予想される。
実施例27
ヒトの患者における黒色腫の抑制
黒色腫と診断された一群のヒト癌患者を無作為化して治療群に入れる。本明細書に記載のような、KDRに対する完全なヒトモノクローナル抗体を静脈内注射することによって各患者群を3週間に1回治療する。各患者には、5mg/kg/週から15mg/kg/週の範囲に及ぶ有効量の抗体を4〜8ヶ月間投与する。対照群には、標準的な化学療法のみを行う。治療レジメンの最中および後に周期的に、腫瘍量を磁気共鳴画像法(MRI)によって評価する。KDRに対する抗体で3週間に1回の抗体治療を受けている患者が、抗体治療を受けていない患者と比較して、黒色腫の有意な縮小、進行時間の遅延、あるいは生存の延長を示すことが期待できる。一部の治療患者においては、黒色腫の病変がもはや検出不能となることが期待できる。対照的に、対照群では、黒色腫が増大するか、あるいはほぼ同じままであることが予想される。
実施例28
ヒトの患者における慢性骨髄性白血病(CML)の抑制
CMLと診断された一群のヒト癌患者を無作為化して治療群に入れる。本明細書に記載のような、KDRに対する完全なヒトモノクローナル抗体を静脈内注射することによって各患者群を3週間に1回治療する。各患者には、5mg/kg/週から15mg/kg/週の範囲に及ぶ有効量の抗体を4〜8ヶ月間投与する。対照群には、標準的な化学療法のみを行う。治療レジメンの最中および後に周期的に、腫瘍量を磁気共鳴画像法(MRI)によって評価する。3週間に1回の抗体治療を受けている患者が、抗体治療を受けていない患者と比較して、CMLの有意な軽減、進行時間の遅延、あるいは生存の延長を示すことが期待できる。一部の治療患者においては、CMLがもはや検出不能となることが期待できる。対照的に、対照群では、CMLが悪化するか、あるいはほぼ同じままであることが予想される。
実施例29
ヒトの患者における腫瘍細胞増殖の抑制
悪性腫瘍と診断されたヒト患者を、本明細書に記載のような、KDRに対する完全なヒトモノクローナル抗体を週1回静脈内注射することによって8週間治療する。治療レジメンの最中および後に周期的に、腫瘍量を磁気共鳴画像法(MRI)によって評価する。腫瘍サイズに有意な縮小が認められることが期待できる。
参照による援用
特許、特許出願、論文、教本、およびこれらの類似物、ならびにそれらの引用文献を含む、本明細書中のすべての引用文献は、すでに援用されていない限り、参照によりその全体が本明細書で援用される。
等価物
上記の明細書は、当業者が本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。上記の説明および実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態を詳述し、本発明者らによって意図される最良の形態を記載している。しかし、上記が文中でいかに詳細であるように見えようとも、本発明を多様な方法で実施することが可能であり、本発明が添付の特許請求の範囲およびそのあらゆる等価物に基づいて解釈されるべきであることを理解されたい。