JP2010524445A - ワイン安定剤としてのペプチド混合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、乾燥重量を基準にして少なくとも2.5%のペプチド混合物を含み、このペプチドが3kDaから10kDaの間の分子量を有することを特徴とする、ワイン用に適した組成物について記載している。この組成物またはその溶液は、有利にはワインを安定化するために、具体的にはワイン中での酒石酸塩の形成を防ぎまたは遅らせるために使用することができる。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、乾燥重量を基準にして少なくとも2.5%のペプチド混合物を含み、そのペプチドが≧3kDaかつ≦10kDaの分子量を有することを特徴とする組成物、前記組成物を生成するための方法、およびワイン安定化のためのその使用法に関する。この組成物またはその溶液は、ワインを安定化するために、具体的にはワイン中での酒石酸塩の形成を防ぎまたは遅らせるために有利に用いることができる。
[背景技術]
ワインの生産は、当業者に周知の方法、すなわち、a)ブドウからワインマストを抽出するステップ、b)ワインマストを酵母の作用下で発酵を受けさせてワインを生成し、続いて固形残渣から分離するステップ、c)任意選択でそのワインを熟成にかけるステップ、およびd)そのワインを瓶詰めまたは容器に詰めるステップを特徴とする。発酵後に存在する固形残渣からワインを分離した後、その生産の後続のステップにおいてワイン中に他の不溶分が一般に形成される(例えば、ワインが冷却固定(cold stabilisation)を受ける場合、例えば酒石酸塩の沈殿に起因する固形物)。したがってワイン生産は、特に大規模に行われる場合、形成された前述の不溶性化合物を除去するために、きわめてしばしばワインの瓶詰めまたは容器に詰める直前にワインを濾過するステップを含む。その生産されるワインによってはワインの製造は、前述のステップに対して追加のステップを含むことができる。これらのすべてのステップは当業者に知られている。
酒石酸塩、酒石酸水素カリウム(KHT)、または酒石酸カルシウム(CaT)の存在は、ワインの不安定性の主要な原因の一つである。酒石酸は、ブドウ果実によってその成長の間に生成される主要な有機酸である。それは、果実の加工の間にカリウムおよびカルシウム塩の形態でブドウマスト中へ溶解する。発酵の間に酒石酸の塩の可溶度は、エタノール濃度の増加とともに低下する(糖の発酵のため)。若いワインでは酒石酸水素カリウム(KHT)が、常に過飽和状態の濃度で存在し、自然に結晶化する。ワインの瓶詰めの後、KHTの不安定性は、結晶化の予測できない性質のために商業的な問題になる恐れがある。その上、瓶の中の結晶の存在を消費者は、しばしばワインの低品質の徴候と考える。瓶詰めの前に物理的処理を用いて酒石酸塩の結晶化を防ぐことができる。それらの処理は、ワインを−4℃に冷却することにより結晶化を促進させるか、あるいは電気透析によるか、またはイオン交換樹脂の使用によりカリウムおよび酒石酸イオンを除去することにある。しかし、これらの時間およびエネルギーを要する方法は、ワインのコロイド平衡を変えると考えられる。
ワインの物理的処理の代替案は、KHT結晶の核形成および/または成長を防ぐ添加剤を使用することである。ワイン安定剤(例えばマンノプロテイン)の添加によってワインを安定化するためのステップを含む(工業的な)ワイン製造法では、前記ワイン安定剤をワインマストまたはワインのどちらかに加えることができる。一般にはそれは、普通は熟成の間に、また濾過および瓶詰めの前にワインに加えられることになる。ワイン安定剤の添加が熟成の間に、また濾過および瓶詰めの前に行われる場合、酒石酸塩の沈殿に対する安定剤としてのワイン安定剤(例えばマンノプロテイン)の活性は、ワインの濾過後には低下することが分かっている。したがって瓶詰めされたワインにおいて望ましい安定化を達成するには、より高用量のワイン安定剤が加えられるはずである。したがってこの問題に対する解決策は、ワインが瓶詰めの前に受ける最後の濾過ステップの後に溶液としてワイン安定剤を加えることである。
カルボキシメチルセルロースおよびメタ酒石酸は、KHT結晶の成長を抑制する添加剤のグループに属する。しかしカルボキシメチルセルロースは、現在の規制ではワイン添加剤として認可されていない。一方、メタ酒石酸はワインのpHにおいて、またワインが貯蔵される温度において不安定である。時間が経つにつれてメタ酒石酸は加水分解することになり、その保護効果が消滅することになる。したがってその使用は、短時間で消費される低品質ワインに限定される。好ましくは添加剤はワインの天然成分であるので、カルボキシメチルセルロースまたはメタ酒石酸に関してはこれに全く当てはまらないことが別の欠点である。KHT結晶の核形成および成長速度の両方に対して働く天然の添加剤が、化学的添加剤に対して好ましい。天然の添加剤の例は、マンノプロテインである。マンノプロテインは、グルカンと共に酵母における細胞壁の主要成分である(Lipke P.N.ら、J.Bacteriol.(1998)180(15):3735〜3740)。マンノプロテインは、2種類の方法、すなわち物理的方法および酵素的方法によって主に酵母細胞から得られる。マンノプロテインを得るための最も一般的な物理的方法は、Peat S.ら、J.Chem.Soc.London(1961)28〜35に記載されているものであり、これはマンノプロテインを、中性pHにおいて酵母細胞を熱抽出することによって得る。酵母からマンノプロテインを得る酵素的方法は、例えば国際公開第96/13571号パンフレットに記載されており、単離された酵母細胞壁のβ−グルカナーゼ調製物による処理と、限外濾過によるその生成物の単離とを本質的に含む。酒石酸塩の沈殿に対する、熱またはβ−グルカナーゼ調製物のどちらかによって抽出されるマンノプロテインの活性度は測定されている。酒石酸の安定化に対して活性な画分は、β−グルカナーゼ調製物を用いて酵母細胞壁から抽出される、約30〜50kDaの分子量を有し、高度にグリコシル化されたマンノプロテインである(Dubourdieu D.ら、J.Int.Sci.Vigne Vin.(1997)vol.31(1)pp.23〜31)。
マンノプロテインは、いったんワインに加えられると、望ましくない混濁を引き起こし、また場合によっては副生物の沈殿を引き起こすという欠点を有する可能性がある。さらにKHT結晶の核形成および/または成長を防止するマンノプロテインの有効性は、常に満足のいくものとは限らない。欧州特許出願公開第1094117A号明細書は、マンノプロテイン調製物中に存在する副生物によって引き起こされる混濁の問題を低減する、マンノプロテインの可溶性固形物の生成方法について述べている。この方法では自己消化後に酵母細胞壁を単離し、続いて95〜100℃で15〜30時間またはβ−グルカナーゼの作用下のいずれかにおいて選択的加水分解にかける。両方のケースにおいてマンノプロテインおよび他の不純物は可溶化される。可溶化されたマンノプロテインを精製するには幾つかのステップが必要である。ワイン中で完全に可溶であり、かつワイン中の酒石酸の塩の沈殿に対してきわめて有効なマンノプロテインが、国際公開第2006/067145号パンフレット中に記載されている。
しかしながらワイン中の酒石酸塩の形成を防止しかつ/または遅らせる改良された効果を示し、また副生物によって引き起こされる混濁および/または副生物の沈殿が非常に少ないか、または存在しないワイン添加剤が依然として必要とされている。
意外なことに特定の分子量のペプチドが、酒石酸の塩の結晶化に対してワインを安定化させるのに特に効果があることをここに見出した。
[発明の詳細な説明]
[定義]
本明細書中では「ペプチド混合物」は、そのペプチド中のアミノ酸の数に関して様々な長さを有し、かつアミノ酸の種類に関して異なる組成を有するペプチドの混合物として定義される。
本明細書中で「ペプチド」は、ペプチド結合により結合した2個以上のアミノ酸残基を含む化合物として定義される。
本明細書中では「食品用成分」は、食品に使用される安全な成分として定義される。
本明細書中では「タンパク質水解物」は、加水分解の度合および/または使用される酵素の種類によって決まる様々な比率のアミノ酸とペプチドの混合物を含有する酸または酵素で処理されたタンパク質の基質として定義される。
本明細書中では「酵母抽出物」は、酵母細胞から抽出された水溶性成分を含む組成物として定義される。一般に酵母抽出物は、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ビタミン、炭水化物、およびリン酸塩などの塩を含む。酵母抽出物は、その上に5’−リボヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドを含むことができる。
本明細書中では「マンノプロテイン」は、物理化学的または酵素的方法によってワイン酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞および/または酵母細胞壁から抽出することができる生成物として、OIV(Organisation Internationale de la Vigne et du Vin)のRESOLUTION OENO 26/2004に従って定義される。マンノプロテインは、それらの分子量、それらのグリコシル化の度合と種類、および負荷の大きさ(load size)に応じて様々な構造である。
本明細書中では「プロテアーゼ活性」は、エキソプロテアーゼおよびエンドプロテアーゼが原因の全タンパク質分解酵素活性として定義される。
本明細書中で「プロテアーゼ活性のない」は、その液状配合物中のプロテアーゼ活性が、プロテアーゼ活性を測定するために用いられる方法で検出できる最低活性度よりも低いものと定義される。その液状配合物中に存在することが予想されるプロテアーゼの種類に応じてプロテアーゼを測定するために特定の方法を用いることができ、また特定のプロテアーゼ単位を明確にすることができる。これらの方法は当業者に既知である。
本明細書中では「生存微生物の総量」は、その溶液中に存在する好気および嫌気好冷性微生物+好気および嫌気中温性微生物+好気および嫌気好熱性微生物の総量として定義される。
第一の態様において本発明は、ペプチド混合物をその組成物の乾燥分量を基準にして少なくとも2.5%含み、それらペプチドが好ましくは分子量≧3かつ≦10kDaを有することを特徴とする酒石酸の塩の結晶化に対するワインの安定化に適した組成物を提供する。
本明細書中で使用される「分子量」、例えばペプチドまたは生体分子の分子量は、その分子量を測定するための実験方法によって規定される。そのような方法の一つは、当業界で非常によく知られている限外濾過である。分子量≧3kDaを有する分子は、そのような分子が3kDaのカットオフを有する限外濾過膜によって留められることを意味する。分子量≦10kDaを有する分子は、そのような分子が10kDaのカットオフを有する限外濾過膜を透過することを意味する。このような膜は、再生セルロースまたはポリエーテルスルホンの型のものであることができる。
好ましい実施形態では本発明の組成物は、組成物の乾燥分量を基準にして、そのペプチドが本明細書中で上述したような分子量を有するペプチド混合物を少なくとも4%w/w、より好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも8%、より好ましくは少なくとも10%w/w、より好ましくは少なくとも20%w/w、より好ましくは少なくとも25%w/w、より好ましくは少なくとも30%w/w、より好ましくは少なくとも40%w/w、より好ましくは少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/w、より好ましくは少なくとも70%w/w、より好ましくは少なくとも80%w/w、より好ましくは少なくとも90%w/w、より好ましくは少なくとも95%w/w、最も好ましくは少なくとも99%含む。
本発明の組成物は、そのペプチド混合物の製造に使用される供給源によっては炭水化物および/またはオリゴヌクレオチドなどの1種または複数種の生体分子をさらに含むことができる。このような炭水化物の例はマンナンである。好ましくはこれらの生体分子は、本発明の組成物中のペプチドに関して上記で規定した分子量と同じ分子量を有する。
意外なことに本発明の組成物は、有効量をワインに加えた場合、酒石酸の塩の結晶化を防ぎまたは遅らせることによってワインを安定化することができることが分かった。
本発明の組成物は、固体の形態あるいは液体または溶液の形態であることができる。固形配合物の形態の本発明の組成物は、そのような配合物がすぐれた貯蔵安定性を有する、具体的には微生物学的に安定であるという利点を有する。欠点は、その固形物がゆっくりとしか、かつ/または不完全にしか溶解しないことである。これは、本発明の組成物が加えられるワインまたはワインマストが、低い貯蔵温度、例えば15℃未満、または一層低い、例えば10℃未満に保たれる場合である。固形配合物の形態の本発明の組成物の別の欠点は、例えば混合の問題が原因で、ワインまたはワインマスト中で本発明の組成物の均一な濃度を得ることが難しいことである。
したがって本発明の組成物を液体または溶液の形態でワインまたはワインマストに加えることが好ましい。これは、(好ましくはすぐ使える)液状配合物の形態で直接に本発明の組成物を、好ましくはその製造業者が生成することによって、あるいは本発明のワイン安定化用組成物の固形配合物の溶液を、好ましくはワイン生産者が作製することによって達成することができる。このような溶液は水に溶かして、あるいは適切な量のワインまたはワインマストに溶かして作製することができる。酒石酸塩の結晶化に対してそのワインを安定化するのに必要な本発明の組成物の有効量に応じて本発明の組成物の溶液は、その有効量、およびそのワインまたはワインマストに対するこの溶液の所望のまた実際の用量に基づいて、適切な量の固形配合物を溶解することによって調製することができる。例えば、この溶液を100倍または1000倍に希釈してワインまたはワインマスト中へ入れることが好ましい。固形配合物の有効量およびその溶液の用量は、不必要な負担なしに当業者が簡単に求めることができ、またワインそれぞれがそれ自体の酒石酸塩の結晶化挙動を有するはずであるので各ワインで異なる可能性がある。
好ましい実施形態では、好ましくはすぐ使える液状配合物の形態で直接に生成されるか、あるいは本明細書中で上述した固形配合物からの溶液として作製される本発明の組成物は、50〜500g/Lの間の、より好ましくは100〜400g/Lの間の、最も好ましくは200〜300g/Lの間の乾燥分含量を有する。液状配合物または溶液の乾燥分含量は、本明細書中で上述したペプチド混合物の任意の含量と組み合わせることができる。例えば、溶液が50〜500g/Lの間の乾燥分含量および2.5%ペプチド混合物(総乾燥分含量を基準にして)を有する場合、これは、その溶液中のペプチド混合物の濃度が1.25から12.5g/L(w/v)であることを意味する。本発明が、乾燥分含量(単位g/L)のすべての好ましい範囲をペプチド混合物の含量のすべての好ましい範囲と組み合わせることができる本発明の組成物の液状配合物または溶液を可能にすることを当業者は理解するはずである。
本発明の高度に好ましいすぐ使える液状組成物は、約200g/Lの乾燥重量含量と、約20g/Lのペプチドに等しい乾燥重量を基準にして10%のペプチド混合物含量とを有する。
本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物または溶液は、好ましくはワインまたはマストの安定化に使用される。このような理由で、この溶液はいかなる有害な微生物も存在しないことが重要である。さらに、どのような生存微生物の存在もその溶液の貯蔵安定性、およびそのワイン安定剤としての活性の維持に影響を及ぼす。これらの理由で、本発明の一実施形態では溶液は、コロニー形成単位(CFU)/mLで測定される10未満、好ましくは5未満の生存微生物総量を有する。より好ましくは「溶液」は無菌である。コロニー形成単位(CFU)/mLで測定される本明細書中で上述した溶液中に存在する生存微生物の総量は、材料および方法の中で規定され、総生菌数(TPC)を求めることによって確認される。その方法は当業者には周知であり、それについては材料および方法の中で簡単に述べる。
本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物または溶液は、輸送および貯蔵の間、密閉した状態に閉鎖することができる滅菌容器に詰められることが好ましい。
本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物または溶液は、好ましくは水溶液である。
本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物または溶液のpHは、その組成物の安定性が時間内で保存されるようなものであり、またその溶液の混濁を避けるようなものであることが好ましい。したがってこの溶液のpHは、3から8の間、より好ましくは4から7の間、最も好ましくは5から6の間に含まれることが好ましい。
本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物またはその溶液は、時間内で好ましくは微生物学的に安定である。したがって好ましい実施形態では、少なくとも安定化添加剤が溶液に加えられる。より好ましくはこの安定化添加剤は二酸化硫黄である。より好ましくは二酸化硫黄は、重亜硫酸塩の形態で、より好ましくは重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸カリウム(K)として溶液に加えることができる。二酸化硫黄の添加は、マンノプロテイン溶液を微生物学的に安定な状態に保つことに次いで別の利点を有する。マンノプロテイン溶液は、淡黄色から茶色がかった色まで変わる可能性のある色を有する。しかしワインの安定化のために茶色がかった溶液を使用することは、ワイン生産者にあまり受けないはずである。したがってワインまたはマストに使用されるマンノプロテイン溶液の着色は、好ましくはごくわずかであるべきである。マンノプロテイン溶液への二酸化硫黄の添加は、その色を茶色がかった色から黄白色に薄くすることができる。したがって溶液に加えられる二酸化硫黄の量は、好ましくは1から20g/L(加えられるKの量として測定される)の範囲である。
第一の態様の組成物は、好ましくは食品用の1種または複数種の成分を含むことができる。この成分は、好ましくは上記で規定したようにワイン用に適したものである。好適な成分の例は、タンパク質基質、タンパク質水解物、酵母抽出物、カルボキシメチルセルロース、ワイン添加剤、またはこれら成分の2種類以上の混合物である。ワイン添加剤の例は、メタ酒石酸塩、アラビアガム、またはマンノプロテインである。特に好ましいワイン添加剤はマンノプロテインである。別の特に好ましい成分はタンパク質水解物である。タンパク質水解物調製用の一般的なタンパク質基質は、コムギグルテン、コーングルテン、ダイズタンパク質、ナタネタンパク質、エンドウマメタンパク質、アルファルファのタンパク質、ヒマワリタンパク質、マメ科の実のタンパク質、綿またはゴマの実のタンパク質、トウモロコシタンパク質、オオムギタンパク質、サトウモロコシタンパク質、ジャガイモタンパク質、イネタンパク質、コーヒータンパク質などの植物タンパク質である。他のあり得るタンパク質基質は、乳タンパク質(例えば、カゼインまたは乳清タンパク質)と、卵白と、魚肉タンパク質と、ゼラチン、コラーゲンを含めた食肉タンパク質と、血液タンパク質(例えば、ヘモグロビン)と、体毛と、羽毛と、魚粉などの動物タンパク質である。
本発明の組成物がタンパク質水解物を含む場合、それは、好ましくは動物、植物、または微生物起源のタンパク質水解物から選択され、より好ましくはカゼイン水解物、卵アルブミン水解物、ゼラチン水解物、ウシ血清アルブミン水解物、リゾチーム水解物、コムギタンパク質水解物、ダイズタンパク質水解物、エンドウマメタンパク質水解物、またはこれら成分の2種類以上の混合物から選択される。
好ましくは本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物またはその溶液は、上記濃度において半透明である。その半透明性は、標準的方法に従って比濁分析により測定される総乾燥分量200g/Lの濃度におけるその溶液の濁度の逆数として定量化することができる。本明細書中で上述した本発明の組成物の液状配合物またはその溶液は、濁度が、好ましくは200g/Lの乾燥分含量において、
・pH4で、≦500NTU、好ましくは≦250NTU、より好ましくは≦200NTU、より好ましくは≦150NTU、より好ましくは≦100NTU、より好ましくは≦50NTU、最も好ましくは≦35NTU、および/または
・pH8.0で、≦250NTU、好ましくは≦200NTU、より好ましくは≦150NTU、より好ましくは≦100NTU、より好ましくは≦50NTU、より好ましくは≦25NTU、より好ましくは≦20NTU、最も好ましくは≦15NTU
である。
本発明の組成物は、ワインまたはワインマスト中に溶解した場合、半透明で安定なワインをもたらすべきである。したがって好ましい実施形態では本発明の組成物は、水中に溶解して1g/Lの乾燥分含量を有する溶液を生成する場合、≦4NTUの、好ましくは≦2NTUの、より好ましくは≦1NTUの濁度を有し、かつ/または水に溶かした12%エタノール(v/v)中に溶解して1g/Lの乾燥分含量を有するpH3.5の溶液を生成する場合、≦20NTUの、好ましくは≦10NTUの、より一層好ましくは≦5NTUの、最も好ましくは≦1NTUの濁度を有し、かつ/または白ワイン中に溶解して0.2g/Lの乾燥分含量を有する溶液を生成する場合、≦10NTUの、好ましくは≦5NTUの、より一層好ましくは≦2NTUの、最も好ましくは≦1NTUの濁度を有する。
本発明の第一の態様による組成物は、幾つかの方法により調製することができる。例えばペプチド混合物は、液相または固相ペプチド合成を用いることによって生成することもでき、またはペプチド源の加水分解によって調製することもできる。好ましくは第一の態様の組成物は、ペプチド源、好ましくはタンパク質基質、タンパク質水解物、酵母抽出物などの天然源由来のペプチド源の酵素的加水分解によって調製される。
したがって第二の態様において本発明は、本発明の第一の態様による組成物を調製する方法を提供し、この方法は本明細書中でさきに規定した分子量のペプチドを含むペプチド混合物を≦2.5%含むペプチド源を加水分解するステップを含む。
ペプチド源は、分子量≧3kDaかつ≦10kDaを有するペプチドの形成を狙った適切な酵素と、pH、温度、および時間の条件とを選択することによる制御されたタンパク質分解によって加水分解することができる。加水分解は、当業者に知られている化学的方法(例えば、T.W.Nagodawithana著「Savory Flavours」1995,Esteekay Associates Inc.(Wisconsin,USA)p.233〜237に記載されている)または酵素的方法を用いて行うことができる。好ましくは加水分解は酵素的方法により行われる。ペプチド源を加水分解するための酵素的方法もまた、当業者に知られている(Adler−Nissen、J(1986)Enzymic hydrolysis of food proteins,Elsevier Appl.Sci.Publ.)。
ペプチド源として働くことができる好適なタンパク質基質は、カゼイン、卵アルブミン、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、リゾチーム、コムギタンパク質、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、酵母、またはこれら成分の2種類以上の混合物である。好ましくはタンパク質基質は酵母である。
ペプチド源として働くことができる好適なタンパク質水解物は、カゼイン水解物、卵アルブミン水解物、ゼラチン水解物、ウシ血清アルブミン水解物、リゾチーム水解物、コムギタンパク質水解物、ダイズタンパク質水解物、エンドウマメタンパク質水解物、酵母抽出物、またはこれら成分の2種類以上の混合物である。
本明細書中で上述したペプチド源の加水分解の後、前記ペプチド源は、それらペプチドが3kDaから10kDaの間の分子量を有することを特徴とするペプチド混合物を、総乾燥重量を基準にして2.5%未満含むことができる。前記ペプチド混合物の濃度を増すために前記ペプチド混合物を、場合によっては富化させることができる。富化は、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル透過クロマトグラフィー、選択的沈殿などの当業界で知られている分離技術を用いて達成することができる。
第一の態様のペプチド混合物を富化させるための好ましい分離技術は、第一の態様による組成物を生ずるようにペプチド混合物の量を増加させるのに適した条件下での膜濾過、好ましくは限外濾過またはダイアフィルトレーションである。熟練者は、3から10kDaの間の分子量を有するペプチド混合物を、総乾燥分量を基準にして少なくとも2.5%w/w含む組成物を生ずるのに適した条件下で膜濾過、好ましくは限外濾過またはダイアフィルトレーションをいかに行うかが分かっている。膜濾過技術、具体的には限外濾過またはダイアフィルトレーションは、当業者に知られている。第三の態様の方法において使用される適切な限外濾過またはダイアフィルトレーション膜は、ポリエーテルスルホン(PES)膜、親水性ポリエーテルスルホン膜(PES H)、再生セルロース膜、または適切なカットオフのセラミック膜である。
ある実施形態ではペプチド混合物の富化は、加水分解したペプチド源を3kDaのカットオフを有する膜を用いた限外濾過のステップにかけ、得られる濃縮液を回収し、任意選択で前記濃縮液を10kDaのカットオフを有する膜を用いた第二の限外濾過のステップにかけ、得られる透過液を回収することによって行われる。別法では加水分解したペプチド源を、10kDaのカットオフを有する膜を用いた限外濾過のステップにかけ、得られる透過液を回収し、任意選択で前記透過液を3kDaのカットオフを有する膜を用いた第二の限外濾過のステップにかけ、得られる濃縮液を回収することによって行われる。
ペプチド源の加水分解および/またはペプチド混合物の富化の後に、前記ペプチド混合物を濃縮し、任意選択で凍結乾燥または噴霧乾燥などの標準的手法により乾燥することができる。ペプチド混合物を液体として回収する場合、第二の態様の方法は、それ自体を容器に詰めることができる滅菌溶液を生成することを狙った最後の滅菌濾過のステップを含むことができる。
プロテアーゼは、ペプチド源などの天然源から出発してペプチド混合物部分またはその組成物の生成に使用することができ、ペプチド混合物部分またはその組成物中に不純物として存在する可能性のある酵素である。これらの不純物の存在は、ペプチド混合物またはその組成物を固体として単離する場合には問題にならない。その代わり、溶液中にごく僅かなプロテアーゼ活性が存在すると、ペプチド混合物またはその組成物の分解を引き起こす恐れがあり、また酒石酸塩の沈殿に対するワインの安定化に関してペプチド混合物またはその組成物の活性の低下を引き起こす恐れがある。プロテアーゼ活性のない第一の態様による組成物を生成するために第二の態様の方法は、好ましくは第一の態様による組成物の溶液を70℃以上の温度において、好ましくは80℃から140℃の間に含まれるある温度において、好ましくは2秒から60分の間に含まれるある時間のあいだ行われる熱処理にかけることによる、プロテアーゼを不活性化するのに適した処理に第一の態様による組成物の溶液をかけるステップを含むことができる。
この点ではプロテアーゼ活性を不活性化するのに適した任意の処理を用いることができる。より好ましくは加熱のステップが酵素の活性を不活性化するために用いられる。熱処理に使用される温度は、好ましくは70℃以上であり、好ましくはその温度は80℃から140℃の間である。熱処理の持続時間は、好ましくは酵素の活性がすべて除去されるようなものである。熱処理の持続時間は、使用される温度に左右されることになる。例えば、低い温度ほど長い熱処理の持続時間を必要とすることになり、一方、高い温度ほど短い時間しか必要としないことになる。したがって80℃で30分間の処理および130℃で7秒間の処理は、本発明の特許請求の範囲の範囲に属することになる。好ましくは熱処理は、食品または飲料業界で一般に使用される条件を用いたUHT処理の使用によって行われる。UHT処理は、一般に130〜145℃の温度で2〜10秒の持続時間のあいだ行うことができる。130℃以上で十分な時間行われる加熱処理、例えば130℃で7秒間の加熱処理の場合、プロテアーゼ活性のない、また一般には酵素の活性の全くない溶液が得られるはずである。
加熱のステップを使用することによって、第一の態様による組成物の溶液中に存在する微生物の少なくとも一部は一般に不活性化されるか、または殺されるはずである。好ましくは加熱処理は、上記に示したようなUHT処理であり、その理由は後者の場合には溶液中に存在する可能性のあるすべての微生物または微生物の胞子が不活性化されるか、または殺されることになるためである。
第二の態様の方法は、すべての微生物を除去するために第一の態様による組成物を滅菌に、溶液の場合には好ましくは滅菌濾過にかけるステップを含む。後者は、当業者に知られている特定のフィルターを使用することによって達成することができる。好ましくは滅菌濾過は、プロテアーゼ不活性化の後に行われ、より好ましくは容器に詰める前に最後のステップとして行われる。
生産工程の終りに第一の態様による組成物は、当業者に知られている方法に従って無菌で容器に詰めることができる。使用することができる無菌容器は、幾種類かの材料から生産することができる。好適な容器は、段ボール箱に収めた無菌の袋であることができる。これらの袋は、ねじ式の栓によって穴をあけることができるパッキン押さえを備えることができる。
本発明の方法が、第一の態様による組成物の溶液を当業者に知られている方法により、例えば凍結乾燥または噴霧乾燥により乾燥して固体の形態の、例えば粉末または顆粒の形態の組成物を生成するステップをさらに含むことができることを当業者は理解するはずである。
第三の態様において本発明は、第一の態様による組成物の使用法を提供する。好ましくは本発明は、ワインの安定化における第一の態様による組成物の使用法を提供する。より好ましくは本発明は、酒石酸の塩の結晶化に対するワインの安定化における第一の態様による組成物の使用法を提供する。第一の態様による組成物は、例えば白、ロゼー、発泡性、および赤ワインなどの任意の種類のワインに使用することができる。好ましくは第一の態様による組成物は、白ワインおよびロゼワインに使用される。
具体的には第四の態様において本発明は、第一の態様による組成物をワインまたはワインの生産に使用されるブドウマストに加える、酒石酸の塩の結晶化を防ぎ、かつ/または遅らせることによるワインの安定化方法を提供する。第一の態様による組成物は、好ましくは熟成の間に、すなわち発酵後、瓶詰め前にワインに加えられる。本発明は、白ワインおよびロゼワインに極めて適しているが、赤ワインまたは発泡性ワインにもまた適している。
第一の態様による組成物は、安定化効果を達成するのに有効な量が加えられる。一般には第一の態様において規定したペプチド混合物を、ワインまたはワインの生産のための発酵に使用されるブドウマストに、ワインまたはマスト1リットル当たり10〜1000mgの間の濃度で加えることができる。第一の態様において規定したペプチド混合物を、ワイン1リットル当たり10から400mgのワイン中の最終濃度まで加えることによる良好な結果はすでに得られている。好ましい実施形態では第一の態様において規定したペプチド混合物が、ワインまたはワインの生産のための発酵に使用されるブドウマストに、1リットル当たり10〜300mgの間の、より好ましくは1リットル当たり20から250mgの間の、より一層好ましくは1リットル当たり25から200mgの間の、最も好ましくは1リットル当たり30から150mgの間の濃度で加えられる。当業者はまた、その加えられる量がワインの種類に左右され、また例えば他のワイン安定剤の添加または存在に左右され、また添加前のワイン中のKHTの過飽和の度合に左右されることになることも理解するはずである。
一般に酒石酸塩の結晶化に関して不安定なワインは、0.5から6日の間で変動する可能性のある結晶化時間(Tcrys)を有する。本発明の第五の態様による安定化ワインは、ワインに第一の態様による組成物を、酒石酸の塩の結晶化を防ぎ、かつ/または遅らせるのに適した濃度で加えることによって得ることができる。好ましくは前記ワインは、第一の態様において規定したペプチド混合物をワイン1リットル当たり10〜1000mg含む。より好ましくはそのワインは、第一の態様において規定したペプチド混合物をワイン1リットル当たり10から400mg、より好ましくは1リットル当たり10〜300mg、より好ましくは1リットル当たり20から250mgの間で、より一層好ましくは1リットル当たり25から200mgの間で、最も好ましくは1リットル当たり30から150mgの間で含む。前記安定化ワインは、方法1に従って測定される結晶化時間安定化ワイン(Tcrysstabilized wine)/結晶化時間不安定ワイン(Tcrysunstable wine)比が少なくとも2、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、より一層好ましくは10から40の間であることを特徴とする。
したがって第六の態様において本発明は、ワインを濾過するステップと、濾過したワインを瓶詰めするまたは容器に詰めるステップとを含み、濾過後にワインに第一の態様による組成物を加える、酒石酸の塩の結晶化に対して安定なワインの生産方法を提供する。
濾過後にワインに加えられる溶液は、その組成物を水またはワインと混合することによってワイン添加の直前に調製することもでき、またはさきに詳細に述べたような第一の態様の組成物の(すぐ使える)溶液であってもよい。したがってこの溶液は、プロテアーゼ活性がなくてもかつ/または無菌でもよく、かつ/または前述の安定剤をさらに含むこともできる。
ワインへの添加は、瓶詰めするまたは容器に詰める前にワインと液状配合物を混合することによって行うことができ、あるいは瓶(または容器)をワインで満たす前にそれに直接加えることができる。
本発明の一態様の好ましい特徴は、必要に応じて別の態様にも同様に適用可能である。
次に本発明を下記の実施例により例示することにするが、これらは限定されるものではない。
[実施例]
[材料および方法]
[KHTの核形成および結晶成長]
ワイン中でのKHTの核形成および結晶成長は、下記の方法により測定し、定量化することができる(Actualites OEnologiques 1999 Vieme Symposium International d’Oenologie de Bordeaux(Lonvaud−Funel ed.)中のMoutounetら)。
[方法1]
結晶の核形成を表示する第一の方法は、−4℃で貯蔵した場合のワイン中での結晶の出現の時間を測定する。目視検査を毎日行い、結晶の出現を検出するのに必要な時間(Tcrys)を日数で表す。
[方法2]
結晶の成長を表示する第二の方法は、ワインの酒石酸不安定度(Degree of Tartaric Instability)(DTI)を測定する。この点に関してはワインを−4℃で撹拌し、初期導電率を測定する。続いて検量されたKHTの結晶を加え、次いで安定値に達した後に導電率を測定する。DTIは、初期導電率の減少比率として定義される。
[方法3]
第三の方法は、真の溶存酒石酸濃度を測定する。正確な体積のワインをガラス瓶に移し、正確に分かっている濃度のマレイン酸を含有する同じ正確な体積のDOと混合する。1H NMRスペクトルを完全緩和条件で測定し、内標準(マレイン酸)の積分値を酒石酸の積分値と比較する。この方法で溶存酒石酸濃度をきわめて高い精度(precision)および確度(accuracy)で求めることができる。
[ペプチド混合物中のアミノ酸の測定]
正確に計量したペプチド混合物試料を、6N HClを用いて110℃で24時間加水分解した。HClを除去するための標準的な検査(workup)の後、その加水分解試料を希釈酸中に溶解し、Eppendorf遠心器中で遠心分離することによって沈殿物を除去した。その透明上澄み液に関してアミノ酸分析をAmino Acid Analysis System of Waters(Milford Ma,USA)の使用説明書中に指定されているPicoTag法に従って行った。この目的のためにはその液体から適切な試料を入手し、それを希釈酸に加え、ホモジナイズした。この後者の溶液から新しい試料を採取し、乾燥し、イソチオシアン酸フェニルを用いて誘導体化した。HPLC法を用いて存在する様々な誘導体化アミノ酸を定量し、合計して計量試料中のアミノ酸の全レベルを計算した。
[炭水化物の測定]
炭水化物の量は、周知のアントロン比色法に従って測定した。
[タンパク質の測定]
タンパク質は、周知のケルダール法(Kjeldahl method)を用いて測定した。
[濁度の測定]
濁度は、HACH 2100 N濁度計(Hach−Lange,Duesseldorf,Germany)により測定した。
[総生菌数]
液状配合物の3試料を分析に先立って下記の特定の条件下で貯蔵し、総生菌数(TPC)法を用いて、好気性および嫌気性雰囲気中で成長することができる好冷性、中温性、および好熱性微生物のあり得る出現度について分析した。TPCの測定は、ペトリ皿中に存在する1mLの液状配合物上に約15mLのPCA寒天(Plate Count Agar,Oxoid,UK)を注ぐことによって行った。下記の6条件のうちの1条件の下でTPCインキュベーションを行った。分析は各条件について2回行った。各液状配合物試料について合計で12枚のペトリ皿を準備し、6枚を好気的にインキュベートし、その他の6枚を嫌気的にインキュベートした。
[好気性および嫌気性好冷菌の測定条件]
試料の貯蔵:8℃で30日間
分析:PCAシャーレ上のTPC
インキュベーション:8℃で7日間の好気性または嫌気性雰囲気
[好気性および嫌気性中温菌の測定条件]
試料の貯蔵:30℃で10日間
分析:PCAシャーレ上のTPC
インキュベーション:30℃で3日間の好気性または嫌気性雰囲気
[好気性および嫌気性好熱菌の測定条件]
試料の貯蔵:55℃で10日間
分析:PCAシャーレ上のTPC
インキュベーション:55℃で3日間の好気性または嫌気性雰囲気
適正なインキュベーション時間の後、各ペトリ皿を分析して各皿中に形成されたコロニーの量を測定した。各皿中のコロニーの量は、特定の種類の微生物に対する液状配合物1ミリリットル当たりのコロニー形成単位(Colony Forming Unit)(CFU)を与える。本願中で規定した液状配合物1ミリリットル当たりのCFUとして測定される生存微生物の総量は、CFU/mL(嫌気性好冷菌)+CFU/mL(好気性好冷菌)+CFU/mL(嫌気性中温菌)+CFU/mL(好気性中温菌)+CFU/mL(嫌気性好熱菌)+CFU/mL(好気性好熱菌)によって与えられる。
[プロテアーゼ活性の測定]
N,N−ジメチルカゼインに対するプロテアーゼの作用後に放出される遊離アミノ基は、トリニトロベンゼンスルホン酸と反応して、405nmで分光光度的に測定することができる黄色を生ずる。アルカリ性プロテアーゼを含有する酵素標準を、キャリブレーション用に使用した。10〜60U/mLの活性度を有する5種類の標準溶液を作製した(1Uは、スクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロピル−L−フェニルアラニン−パラ−ニトロアナリン(nitroanaline)(2.18mg/mL)からpH8.5(0.1M TRIS)および37℃において1分当たり7.59μモルのp−ニトロアニリンを放出するために必要な酵素の量として定義される)。N,N−ジメチルカゼイン溶液(四ホウ酸二ナトリウム10g/Lを含有し、8.5%リン酸でpH8.5に調整したホウ砂緩衝液中に1.68g/L溶解した)2mLを、標準または試料溶液200μLと混合し、37℃で15分間インキュベートした。続いてトリニトロベンゼンスルホン酸溶液(12mM HClに溶かした4mM)1.2mLを加えた。37℃で5分間のインキュベーション後、405nmにおいて吸光度を測定した。検量線を使用することにより未知試料の活性度を計算することができる。この試験のマンノプロテインマトリックス中での定量限界は600U/mLである。
[ペプチド混合物の特徴づけ]
組成物中のペプチド混合物は、例えばアミノ酸分析またはNMRによって特徴を明らかにすることができる。組成物中のペプチドの量は、材料および方法において示したようなPicoTag法によって求めることができる。
[ペプチド混合物の量の測定]
組成物中のペプチド混合物の量は、次のように測定される。組成物を限外濾過にかける。3kDaのカットオフを有する限外濾過膜によって留められ、かつ10kDaのカットオフを有する限外濾過膜を透過するペプチド混合物を回収、乾燥、計量し、限外濾過を受けた乾燥組成物の量に関してその重量比率を求める。
[総乾燥重量]
凍結乾燥と、それに続く計量によって総乾燥重量を求めた。
[実施例1]
ウシ血清アルブミン(BSA)1gを水道水50mL中に溶解した。pHを8に調整した。Alcalase(登録商標)(Sigma Aldrich、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のプロテアーゼを含有する)の添加後、そのBSA溶液を60℃で4時間インキュベートした。pHをpH8に3度再調整し、その度に追加のAlcalaseを加えた。4時間後、もはやpHの降下は観察されず、タンパク質の加水分解が停止したことを示した。この溶液を限外濾過(UF)によって、まず撹拌セル中の3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画した。次に、この濃縮液を10kDa PM−10ポリエーテルスルホン膜(PES)(Amicon,Millipore,USA)上で分画し、濃縮液および透過液を得た。第一限外濾過の透過液と、第二限外濾過の濃縮液および透過液とを凍結乾燥し、最初のBSA水解物に対するUF画分の総乾燥重量を計算した。幾つかのペプチド画分の乾燥重量比率を表1に示す。BSAの大部分はAlcalase(登録商標)によって3kDaよりも小さい断片に加水分解された。しかし、かなりの部分が3kDa膜上に留められ、またほんのわずかな部分が10kDa膜によっても留められた。UF画分およびBSA水解物は、KHTが過飽和(飽和状態を26%超えた酒石酸濃度)の白ワイン中で試験した。10mg/mLの溶液を調製し、アリコートを50、100、および200mg/LのペプチドまたはBSA水解物を得るためにワインに加えた。毎日、結晶の形成を視覚的に観察した。結果を表2に示す。
Figure 2010524445
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表2は、加水分解されたBSAが、ワイン中のKHT結晶化の抑制剤として有効であることを示している。10kDa限外濾過膜によって留められたUF画分(MW>10kDa)は、ワイン中に完全には可溶でなく、ワイン中の沈殿および曇りを引き起こす。3kDa再生セルロース膜を透過するUF画分(MW<3kDa)は活性が低い。3kDa再生セルロース膜上に留められるが、10kDaポリエーテルスルホン膜を透過するUF画分(3kDa<MW<10kDa)が、最も活性な画分である。
[実施例2]
マンノプロテインを、酵母抽出物(Maxarome(登録商標),DSM Food Specialties)から限外濾過(UF)と、後続の4kDa Nadir(登録商標)ポリエーテルスルホン親水膜(Microdyn−Nadir,Germany)上でのダイアフィルトレーション(4〜10倍)とによって回収した。2組の独立の単離液を調製した(AおよびB)。それぞれの単離液の組について水25mLに回収マンノプロテイン1gが溶解された。これら溶液を、撹拌セル中の10kDa PM−10 PES膜(Amicon,Millipore,USA)上で限外濾過した。濃縮液を凍結乾燥し計量して、>10kDaの分子量を有する画分を得た。透過液を、撹拌セル中の3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で限外濾過した。濃縮液および透過液を凍結乾燥し計量して、3kDa<MW<10kDaを有するUF画分を得た。それらUF画分の収量比を表3に記録する。
これらUF画分は、材料および方法において示したようなペプチドおよび炭水化物含量を特徴とし、結果を表4に記録する。
UF画分および出発マンノプロテインの活性を、上記に示した3種類の異なるワインで試験し、結果を表5に記録する。
Figure 2010524445
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最も活性なマンノプロテインUF画分は、3kDa再生セルロース膜によって留められ、10kDa PES膜を透過することが表5から分かる。このマンノプロテインUF画分は、ペプチドが大幅に富化される。3から10kDaの間のペプチド混合物の活性は、それぞれのワインについて異なる可能性があることもまた分かる。
[実施例3]
2つの別々の同一実験(AおよびB)において、市販のマンノプロテイン(Mannostab(登録商標),Laffort,France)2gを水100mLに溶解した。これら溶液を、撹拌セル中の10kDa PM−10 PES膜(Amicon,Millipore,USA)上で限外濾過(UF)した。濃縮液を凍結乾燥し計量した。透過液を、撹拌セル中の3kDa再生セルロース膜(Amicon YM−3)上で限外濾過した。これら濃縮液および透過液を凍結乾燥し計量した。ワイン中の活性を2種類のワインについて上記と同様に試験した。すなわち実験A由来のマンノプロテインはフランスのシャルドネ(French Chardonnay)を用いて試験し、また実験B由来のマンノプロテインはドイツ白ワインを用いて試験した。マンノプロテインから単離されるUF画分の収量比を、表6a(実験A)および表6b(実験B)中に記録する。これらUF画分は、材料および方法において示したようなペプチドおよび炭水化物含量を特徴とし、結果を表7aおよび7bに記録する。これらUF画分および出発マンノプロテインの活性を、上記に示したようなワインで試験し、これら結果もまた表7aおよび7bに記録する。
Figure 2010524445
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Figure 2010524445
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3kDa再生セルロース膜によって留められるが、10kDa PES膜によっては留められないマンノプロテインUF画分はペプチドが富化され、かつこのUF画分はその他のUF画分よりも活性であることが表7aおよび表7bから分かる。
[実施例4]
リゾチーム(Delvozyme,DSM)1gを水道水50mLに溶解した。pHを8に調整した。Alcalase(登録商標)(Sigma Aldrich)の添加後、そのリゾチーム溶液を60℃で5時間インキュベートした。毎時にpHをpH8に調整した。5時間後、もはやpHの降下は観察されず、タンパク質の加水分解が停止したことを示した。
この溶液を限外濾過(UF)によって、まず撹拌セル中の10kDa PM−10ポリエーテルスルホン(PES)膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画した。次に、その透過液を3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画し、濃縮液および透過液を得た。第一限外濾過の濃縮液と、第二限外濾過の濃縮液および透過液とを凍結乾燥し、最初のリゾチーム出発材料に対する3つのUF画分の総乾燥重量を計算した。幾つかのUF画分の重量比率を表8に示す。リゾチームの大部分はAlcalase(登録商標)によって3kDaよりも小さい断片に加水分解された。しかし、かなりの部分が3kDa膜上に留められ、またほんのわずかな部分が10kDa膜によっても留められた。リゾチーム由来のUF画分を、KHTが過飽和のロゼワイン中で試験した。10mg/mLの溶液を調製し、アリコートをワインに加えて50、100、および200mg/Lのペプチドを得た。毎日、結晶の形成を視覚的に観察した。結果を表9に示す。
Figure 2010524445
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表9は、10kDa限外濾過膜によって留められたUF画分(MW>10kDa)が、ワイン中に完全には可溶でなく、ワイン中の沈殿および曇りを引き起こすことを示している。3kDa再生セルロース膜を透過するUF画分(MW<3kDa)は活性が低い。3kDa再生セルロース膜上には留められるが、10kDaポリエーテルスルホン膜を透過するUF画分(3kDa<MW>10kDa)が、最も活性な画分である。
実施例5
Pepton(植物源由来の加水分解タンパク質、Sigma)1gを水道水25mLに溶解した。このPeptonを、Alcalase(登録商標)処理なしにそれ自体で使用した。まず限外濾過(UF)により、撹拌セル中の10kDa PM−10ポリエーテルスルホン(PES)膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画した。次に、その透過液を3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画し、濃縮液および透過液を得た。
第一限外濾過の濃縮液と、第二限外濾過の濃縮液および透過液とを凍結乾燥し、最初のpepton出発材料に対するこれら3つのUF画分の総乾燥重量を計算した。幾つかのペプチド画分の重量比率を表10に示す。
Figure 2010524445
pepton由来のこれらUF画分を、KHTが過飽和の白ワイン中で試験した。10mg/mLの溶液を調製し、アリコートをワインに加えて50、100、および200mg/Lのペプチドを得た。毎日、結晶の形成を視覚的に観察した。結果を表11に示す。
Figure 2010524445
[実施例6]
ゼラチン(ブタの皮膚からのもの、Sigma)1gを水道水50mLに溶解した。pHを8に調整した。Alcalase(登録商標)(Sigma Aldrich)を加え、インキュベーションを60℃で4時間行った。毎時にpHをpH8に再調整した。4時間後、もはやpHの降下は観察されず、タンパク質の加水分解が停止したことを示した。
この溶液を限外濾過(UF)によって、まず撹拌セル中の10kDa PM−10ポリエーテルスルホン膜(PES)(Amicon,Millipore,USA)上で分画した。次に、その透過液を3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画し、濃縮液および透過液を得た。第一限外濾過の濃縮液と、第二限外濾過の濃縮液および透過液とを凍結乾燥し、最初のゼラチン出発材料に対するそれらUF画分の総乾燥重量を計算した。幾つかのペプチド画分の重量比率を表12に示す。
ゼラチンの大部分はAlcalase(登録商標)によって3kDaよりも小さい断片に加水分解された。しかし、かなりの部分が3kDa膜上に留められ、またほんのわずかな部分が10kDa膜によっても留められた。結果を表13に示す。
Figure 2010524445
Figure 2010524445
[実施例7]
カゼイン(Sigma)1gを水道水50mLに溶解した。pHを8に調整した。Alcalase(登録商標)(Sigma Aldrich)を加え、インキュベーションを60℃で4時間行った。毎時にpHをpH8に再調整した。4時間後、もはやpHの降下は観察されず、タンパク質の加水分解が停止したことを示した。
この溶液を限外濾過によって、まず撹拌セル中の10kDa PM−10ポリエーテルスルホン膜(PES)(Amicon,Millipore,USA)上で分画した。次に、その透過液を3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画し、濃縮液および透過液を得た。
第一限外濾過の濃縮液と、第二限外濾過の濃縮液および透過液とを凍結乾燥し、最初のカゼイン出発材料に対するそれらUF画分の総乾燥重量を計算した。幾つかのUF画分の重量比率を表14に示す。
カゼインの大部分はAlcalase(登録商標)によって3kDaよりも小さい断片に加水分解された。しかし、かなりの部分が3kDa膜上に留められ、またほんのわずかな部分が10kDa膜によっても留められた。結果を表15に示す。
Figure 2010524445
Figure 2010524445
[実施例8]
卵アルブミン(Sigma)1gを水道水50mLに溶解した。pHを8に調整した。Alcalase(登録商標)(Sigma Aldrich)を加え、インキュベーションを60℃で4時間行った。毎時にpHをpH8に再調整した。4時間後、もはやpHの降下は観察されず、タンパク質の加水分解が停止したことを示した。
この溶液を限外濾過によって、まず撹拌セル中の10kDa PM−10ポリエーテルスルホン膜(PES)(Amicon,Millipore,USA)上で分画した。次に、その透過液を3kDa YM−3再生セルロース膜(Amicon,Millipore,USA)上で分画し、濃縮液および透過液を得た。
第一限外濾過の濃縮液と、第二限外濾過の濃縮液および透過液とを凍結乾燥し、最初の卵アルブミン出発材料に対するそれらUF画分の総乾燥重量を計算した。幾つかのペプチド画分の重量比率を表16に示す。
卵アルブミンの大部分はAlcalase(登録商標)によって3kDaよりも小さい断片に加水分解された。しかし、かなりの部分が3kDa膜上に留められ、またほんのわずかな部分が10kDa膜によっても留められた。結果を表17に示す。
Figure 2010524445
Figure 2010524445

Claims (22)

  1. 酒石酸の塩の結晶化に対するワインの安定化に適した組成物であって、
    前記組成物が乾燥重量を基準にして少なくとも2.5%のペプチドを含み、かつ前記ペプチドが≧3kDaかつ≦10kDaの分子量を有することを特徴とする、組成物。
  2. 炭水化物および/またはオリゴヌクレオチドから好ましくは選択される1種類または複数種類の生体分子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物が固体の形態、あるいは液体または溶液の形態である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記組成物が液体または溶液であり、50〜500g/Lの間の乾燥分含量を有する、請求項3に記載の組成物。
  5. タンパク質基質、タンパク質水解物、酵母抽出物、カルボキシメチルセルロース、およびワイン添加剤からなる群から好ましくは選択される1種類または複数種類の成分をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記ワイン添加剤がマンノプロテインである、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記タンパク質水解物が動物、植物、または微生物起源のものである、請求項5に記載の組成物。
  8. 前記液体または溶液が、pH=4において≦500NTUかつ/またはpH=8において≦250NTUの濁度を有し、前記濁度が前記組成物の乾燥分含量200g/Lにおける比濁分析によって測定されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記組成物が、水中に溶解されて1g/Lの乾燥分含量を有する溶液を生じる場合、pH3.5において測定したときに≦4NTUの濁度を有し、かつ/または水に溶かした12%エタノール(v/v)中に溶解されて1g/Lの乾燥分含量を有するpH3.5における溶液を生じる場合、≦20NTUの濁度を有し、かつ/または白ワイン中に溶解されて0.2g/Lの乾燥分含量を有する溶液を生じる場合、≦10NTUの濁度を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 請求項1に記載のペプチド混合物を≦2.5%含むペプチド源を加水分解するステップを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
  11. 請求項1に記載のペプチド混合物を≦2.5%含むペプチド源を富化するステップを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物の調製方法。
  12. 前記ペプチド源がタンパク質である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記組成物が、
    a.1kDaのカットオフを有する膜を使用し、得られる濃縮液を回収する限外濾過のステップ、または
    b.30kDaのカットオフを有する膜を使用し、得られる透過液を回収する限外濾過のステップ、または
    c.ステップa)と、その後に続くステップb)、または
    d.ステップb)と、その後に続くステップa)
    にかけられる、請求項11に記載の方法。
  14. 前記溶液を70℃以上の温度、好ましくは80℃から140℃の間に含まれるある温度で好ましくは熱処理にかけることによる、前記組成物をプロテアーゼの不活性化に適した処理にかけるステップをさらに含み、前記熱処理が好ましくは2秒から60分の間に含まれるある時間のあいだ行われる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記組成物を滅菌、好ましくは滅菌濾過にかけるステップをさらに含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  16. ワインの安定化のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の使用法。
  17. 前記ワインが酒石酸の塩の結晶化に対して安定化される、請求項16に記載の使用法。
  18. 前記ワインが白ワインまたはロゼワインである、請求項16または17に記載の使用法。
  19. ワインの生産に使用されるブドウマスト1リットルに、請求項1に記載の前記ペプチド混合物を10〜1000mgの間で加えることによって酒石酸の塩の結晶化に対してワインを安定化させる方法。
  20. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記組成物が、ワインの濾過後および瓶詰め前にワインに加えられる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ワインが、請求項1に記載の前記ペプチド混合物を1リットル当たり10〜1000mgの間で含むことを特徴とする、酒石酸の塩の結晶化に対して安定化されたワイン。
  22. 少なくとも2の結晶化時間安定化ワイン(Tcrysstabilized wine)/結晶化時間不安定ワイン(Tcrysunstable wine)比をさらに特徴とする、請求項21に記載のワイン。
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