図1は、少なくとも1つの充電式セルを有する充電式電池12を充電するように構成された充電器10を示す。電池12は、充電容器又は区画(図示なし)内に受け入れられる。いくつかの実施形態では、電池12は、黒鉛アノード材料又はチタン酸リチウムアノード材料と、リチオ化リン酸鉄カソード材料とを有して、そのような材料に基づいて充電式電池の高速再充電を可能にするように適合されたLi−Ionセルを含む。充電器10は、電池12の予め定められた電荷(例えば、90%容量)に、指定時限内で、典型的には15分未満で達するように、充電式電池12に印加される電流レベルを決定するように構成されている。図1は単一の電池12を示しているが、充電器10は、2つ又はそれ以上の充電式電池を同時に受け入れ充電するように適合されてもよい。
充電器10は電力変換モジュール14に連結される。電力変換モジュール14は、85V〜265V及び50Hz〜60Hzの規格で電力を供給する電源など、充電器外部のAC電源に電気的に結合されるAC/DC変換器16を含み、AC電力を低いDC電圧(例えば、5〜24V)に変換し、例えばこの低いDC電圧を、例えばDC−DC変換器20に供給して、充電式電池を充電するのに適したレベル(例えば、上述のLi−Ionセルの場合、約3.7〜4.2VのレベルのDC電圧。他のタイプのセルは異なる電圧レベルを有することがある)を提供する。AC/DC変換器16は、第1の交流電圧の入力電力を受け入れ、それをより低い定DC電圧に変形するように構成された、絶縁形AC/DC切り換え装置として実現されてもよい。AC/DC切り換え装置50の代表的な一実施形態が、図3に示される。AC/DC変換器は、入力AC電流がAC/DC変換器16のDC出力部分に達するのを防ぎ、AC電流に誤って暴露されることからユーザーを保護するために、AC入力ラインとDC出力との間のガルバニック絶縁を含む。
AC/DC変換器16はまた、供給部から得られる負荷電流に関わらず、変換器の出力側で実質的に一定の電圧レベルが供給されるように、変換器16のDC出力電圧を調節するフィードバック機構(図示なし)を含む。
いくつかの実施形態では、追加のDC−DC変換器18が電力変換モジュール14に組み込まれて、自動車のDC電力源などの外部DC電源を、充電式電池を充電するのに適したDC電力レベルに変換する。例えば、いくつかの実施形態では、自動車のDC電力源は約11.5V〜14.3VのDC電力を供給し、DC−DC変換器18は、その電力レベルを、充電コントローラ20及び充電変換器30を充電するのに容認可能な好適な電力レベルに変換する。他の電力変換構成も使用されてよい。追加されたDC−DC変換器は、変換器18がバック/ブースト構成のものである場合、例えば1.2V〜約24Vの範囲のほぼあらゆるDC電源を受け入れるように構成することができる。変換器がバック型変換器である場合、最小DC入力源は、充電コントローラに電力を供給し、蓄電池を充電するのに必要な最小電圧よりも大きいもの、典型的には5.5V又は6Vであるべきである。
充電器10は、電池12が15分未満で例えば少なくとも90%の電荷容量まで充電されるように、充電式電池12に印加される充電電流を決定する。例えば、リン酸リチウム鉄電気化学セル系の電池は、一般に、充電動作中は低い内部耐充電性(internal charging resistance)を示し、したがって、例えば4C〜15C程度の比較的大きな充電電流で充電することができ、この際、4Cの電流は、充電式電池を15分で充電するのに必要な電流(1Cは、特定の充電式電池を1時間で充電するのに必要な電流)であり、15Cの電流は、充電式電池を4分で充電するのに必要な電流である。リン酸リチウム鉄電池の充電抵抗が低いことにより、著しい熱放散が回避され、したがって、そのような電池は、電池の性能又は耐久性に悪影響を及ぼすことなく、高い充電電流に耐えることができる。いくつかの実施形態では、充電器10は、4V以下で2400mA又は12Cの定電流を出力するように構成され、その結果、充電器は、例えば約5分で、容量200mAh(「Ah」はアンペア時に相当する単位)の高率Li−Ionセルを総容量の90%超過まで十分に充電することができる。
充電器10は、電池12に印加される充電電流を決定し、決定された充電電流に実質的に等しい電流を電池12に印加するとともに、指定の又は予め定められた時限が経過した後、充電電流を停止するように構成された、コントローラ20を含む。コントローラ10はまた、予め定められた電池の電圧又は電荷に達すると、充電電流を停止するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、充電コントローラ20は、予め定められた最大充電電圧に達するまで、又は例えば5分の時限が過ぎるまで、一定の12C充電率を印加するようにバック変換器30を調節する。最大充電電圧に達すると、充電コントローラ20は制御モードを変更し、予め定められた充電時間、例えば5分が過ぎるまで、定電圧を蓄電池12に印加する。
電池12に印加される充電電流の決定は、少なくとも部分的に、充電器10上に配置されたユーザーインターフェース(図示なし)を介して供給されるユーザー指定の入力に基づいてよい。そのようなユーザーインターフェースは、例えば、スイッチ、ボタン、及び/又はノブを含んでもよく、それらを介して、ユーザーは、再充電されるべき電池の種類、充電期間、及び/又は充電プロセスに関連する他のタイプのパラメータを示してもよい。使用する特定の充電電流を決定するため、ユーザー指定のパラメータに対応する好適な充電電流を示すルックアップテーブルにアクセスする。例えば、ユーザーが、リン酸リチウム鉄電池を再充電することを指定し、5分の充電期限を更に指定した場合、リン酸リチウム鉄電池をその時限で充電するのに適した充電電流を指定する、ルックアップテーブル内の対応するエントリが使用される。いくつかの実施形態では、適切な充電電流を決定するのに計算技術が使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、充電電流の決定は、例えば電池12の特性に関するデータを提供する識別機構を使用して、充電器10の充電区画内に置かれた電池(1つ若しくは複数)を識別することによって、又は、再充電されるべき電池の種類を示す電池の特性(例えば、電池の耐充電性)を測定することによって行われてもよい。測定された電池の特性に基づいて充電電流を適応的に決定する代表的な充電器装置の詳細な説明は、「適応性充電器装置及び方法(Adaptive Charger Device and Method)」という名称の同時出願された特許出願に提供されており、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
ユーザーインターフェースはまた、充電器10を使用可能又は不能にする入力素子(例えば、スイッチ)を含んでもよい。そのようなスイッチを切り換えると、コントローラ20は、例えば関連するENABLE端子20a(図2を参照)を通じて対応する信号を受け取る。ユーザーインターフェースはまた、それに接続された充電器及び/又は電池12に関する状態情報をユーザーに提供するためのLEDなどの出力装置、出力情報をユーザーに提供するように構成された表示装置などを含んでもよい。この例では、ユーザーインターフェースは、例えば、過電圧又は過熱障害状態などの障害状態が生じた場合に点灯する赤色LED、及び電池12の充電動作が進行していることを示す例えば黄色又は緑色のLED装置を含む。
コントローラ20は、後述するように、電池12に対して行われる充電動作を制御するように構成されたプロセッサ装置22を含む。プロセッサ装置22は、マイクロチップ・テクノロジー社(Microchip Technology Inc.)製のPIC18F1320マイクロコントローラなど、いかなる種類の計算及び/又は処理装置であってもよい。コントローラ10を実現するのに使用されるプロセッサ装置22としては、プロセッサに基づく装置の一般動作を可能にするコンピュータ命令を含むソフトウェアを格納するように構成された揮発性及び/又は不揮発性メモリ素子、並びに、15分未満で少なくとも90%電荷容量を達成する充電動作、及び障害状態を検出し、そのような状況下では充電動作を阻止若しくは停止する動作などの充電動作を、充電器に接続された電池12に対して行う実施プログラムが挙げられる。
プロセッサ22は、複数のアナログ及びデジタルの入力ライン及び出力ラインを有するアナログ・デジタル(A/D)変換器24を含む。A/D変換器24は、充電動作の調節及び制御を容易にするために、電池に連結されたセンサ(後述)からの信号を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ20はまた、本明細書に記載されるような制御装置の処理機能のいくつか又は全てを行うために、デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。
コントローラ20はまた、デジタル・アナログ(D/A)変換器装置26、及び/又はパルス幅変調器(PWM)28を含み、このパルス幅変調器は、プロセッサ装置22によって生成されたデジタル信号を受け取り、それに応答して、充電器10のバック変換器30などのスイッチング回路網のデューティーサイクルを調節する電気信号を生成する。
プロセッサ22、A/D変換器24、D/A変換器26、及び/又はPWM28を含むコントローラのモジュールは、充電器10の回路基板(図示なし)上に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、充電電流が電池に印加されるときに電池の端子が充電器10の充電端子と電気的に連通しているように、充電器10は、電池12などの電池を、充電器10上の第1の差込み位置から充電器の充電区画内の第2の位置へと自動的に移動させる、自動装填/排出機構(図示なし)を含んでもよい。充電動作の終了時、充電器10は自動装填/排出機構によって電池を排出させ、その結果、電池をそれらの第2の位置からそれらの差込み位置へと移動させる。そのような装填/排出機構は、機構の装填/排出動作を制御し、モータ駆動電力を使用可能又は不能にする、モータ、及びコントローラ20の一部であってもよいモータ駆動制御回路を含む。装填/排出機構は、最小限のユーザー動作で電池の装填、充電、及び取出しを行うことができる機械的ユーザーインターフェースを提供する。代表的な装填/排出機構の詳細な説明は、「電池を自動的に装填及び排出する機構を備えた電池充電器(Battery Charger with Mechanism to Automatically Load and Eject Batteries)」という名称の同時出願の特許出願に提供され、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
図2は、2つのバイポーラ接合型トランジスタ(BJT)32及び34と、電力変換モジュール14がバック変換器30と電気的に連通しているときはエネルギーを貯蔵し、電力変換モジュール14がバック変換器30から電気的に隔離されている期間中はそのエネルギーを電流として放電するインダクタ36と、を含むバック変換器30を示す。図2に示されるバック変換器30はまた、エネルギー貯蔵要素としても使用されるコンデンサ38を含む。インダクタ36及びコンデンサ38は、バック変換器30の出力側におけるスイッチング電流及び電圧のリップルを低減する出力フィルタとしての働きもする。
電力変換モジュール14から電池12に伝達された電力は、トランジスタ32及び34のベースに印加される電圧レベルを制御することによって調節される。電力変換モジュール14からの電力が電池12の端子に印加されるようにするために、コントローラ20の端子20d(SW1と指定される)からの動作電気信号がトランジスタ32のベースに加えられ、それによって、電力変換モジュール14からトランジスタ32及び電池12への電流の流れが得られる。充電器10はまた、アナログ及び/又はデジタル入力信号に対して信号のフィルタリング及び処理を行って、回路レベルの雑音などの外部因子によって引き起こされ得る不正確な測定(例えば、電圧、温度などの不正確な測定)を防ぐために、フィルタ44及び45などの信号調整ブロックを含んでもよい。
トランジスタ32のベースに加えられる動作信号が撤回されると、電力変換モジュール14からの電流の流れは停止し、インダクタ36はそれに貯蔵されたエネルギーから電流を供給する。トランジスタ32のオフ期間の間、第2の動作信号が、コントローラ20の端子20e(SW2と指定される)によってトランジスタ34のベースに加えられて、電池12を電流が流れることができる(トランジスタ32のオン期間の間にインダクタ36及び/又はコンデンサ38に貯蔵されたエネルギーを使用する)。いくつかの実施形態では、トランジスタ34の代わりに、トランジスタ34と類似の機能性を提供する整流ダイオードが使用される。
トランジスタのオン期間、即ちデューティーサイクルは、最初に0%デューティーサイクルから増加し、その間コントローラ又はフィードバックループは出力電流及び電圧を測定する。決定された充電電流に達すると、フィードバック制御ループは、閉ループの線形フィードバックスキームを使用して、例えば比例積分微分(PID)メカニズムを使用して、トランジスタのデューティーサイクルを管理する。充電器の電圧出力、即ち電池端子電圧がクロスオーバー電圧に達すると、トランジスタのデューティーサイクルを制御する類似の制御機構が使用されてもよい。
したがって、トランジスタ32のオン期間の間に電力変換モジュール14によって供給される電流と、トランジスタ32のオフ期間の間にインダクタ36及び/又はコンデンサ38によって供給される電流とによって、必要な充電電流に実質的に等しい有効電流が得られるはずである。
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、例えば電流センサ42によって測定された、電池12を流れる電流の測定値を周期的(例えば、0.1秒ごと)に受け取る。この受け取った測定電流に基づいて、コントローラ20は、デューティーサイクルを調整して、電池12を流れる電流が充電電流レベルに実質的に等しい値に収束するように、その電流を調整する。このように、バック変換器30は、調整可能なデューティーサイクルで動作するように構成され、それによって、電池12に供給される調整可能な電流レベルが得られる。
記述したように、充電器10は、データを収集し、それをコントローラに伝達して、充電器10によって行われる充電動作及び一般動作を容易に制御するように構成されたセンサを含む。充電器10は、充電区画内の充電器10の充電端子と電気的に連通している電圧センサ40(VSENSEと指定される)及び電流センサ42(ISENSEと指定される)を含む。電池12が充電区画に挿入され、電池の端子が充電器の端子と電気的に接触するようになると、センサ40及び42は、電池の端子と電気的に連通するようになり、電池12の電圧及び電流を測定することができ、その測定データをコントローラ20に伝達する。
より詳細に後述するように、電池12の端子における電圧及び/又は電池12を流れる電流に基づいて、コントローラは、充電動作を停止するか、又は充電動作を開始させない必要のある、障害状態が存在するかを判断する。例えば、コントローラ20は、電池12の端子において電圧センサ40によって測定された電圧が、電池12に対して予め定められた電圧レベル範囲内(例えば、2〜3.8V)にあるかを判断することができる。測定値が電圧範囲の下限値を下回る場合、これは、電池に不具合があることを示している可能性がある。測定値が範囲の上限値を上回る場合、これは、電池が既に十分に充電されており、したがって更なる充電は不要であり、電池を損傷する恐れがあることを示している場合がある。したがって、測定電圧が予め定められた範囲内にない場合、障害状態が存在していると見なされる。
充電器は、電流センサ42によって測定される電流に関して類似の判断を行ってもよく、測定電流が予め定められた電流範囲外にある場合、障害状態が存在していると見なされ、結果として、充電動作は開始されないか、又は停止される。
充電器10は、電池12及び充電器10又はそのどちらかの他の属性を測定するように構成されたセンサを更に含む。例えば、充電器は、電池12に、及び/又はコントローラ20が上に配置される回路基板に連結されるように構成された温度センサを含む。好適な温度センサは、温度にしたがってその抵抗が変動するサーミスタを使用して実現されるセンサである。したがって、例えば、コントローラ20は温度センサを有して、回路基板の温度を測定し、測定温度が特定の閾値(例えば、60℃)を上回るかを判断する。上回る場合、これは、充電器が過熱している可能性があり、障害状態が存在していると見なされることを示している可能性があり、その結果、充電動作は停止されるか、又は開始されない。
いくつかの実施形態では、障害状態の存在が判断されると、他の種類の修理動作が行われてもよい。例えば、充電器の回路基板又は電池12が過熱していることをコントローラ20が判断する状況では、コントローラ20は、電池12に印加される充電電流を低減し、それによって電池12又は回路基板の温度を低下させてもよい。
いくつかの実施形態では、受け取った測定信号は、例えば閾値比較器などを含んでセンサ40及び/又は42によって測定された電圧のレベル及び電流レベルを判断する、専用の充電コントローラ装置などのアナログ論理処理要素(図示なし)を使用して処理される。充電器10はまた、アナログ及び/又はデジタルの入力信号に対して信号のフィルタリング及び処理を行う信号調整ブロック(図示なし)を含んで、回路レベルのノイズなどの外部因子によって引き起こされ得る、不正確な測定(例えば、電圧、温度などの不正確な測定)を防止してもよい。
コントローラ20は、予め定められた電圧上限値に一旦達すると、そのほぼ一定の上限値付近で電池12の端子における電圧を維持するように構成される。電池12が実質的に充電電流によって充電されている間、電池の端子における電圧は増加する。電池の端子における電圧が予め定められた電圧上限値を超えないことを確保するために(電池が過熱せず、又はその他の点で電池の動作若しくは予想寿命が悪影響を受けないように)、電池12の端子における電圧は、電圧センサ40を使用して周期的(例えば、0.1秒ごと)に測定されて、予め定められた上限値にいつ達したかが判断される。電池12の端子における電圧が、予め定められた電圧上限値に達すると、電流/電圧調整回路は、電池12の端子における電圧が実質的に一定となるように制御される(そのような挙動を実現する装置は、場合によっては、定電流/定電圧(CC/CV)装置と称される)。
いくつかの実施形態では、コントローラ20はまた、電池12の端子における電圧を周期的に測定し、何らかの指定の電圧上昇時限内で予め定められた電圧上限値に達するように、電池12に印加される充電電流を調整することによって、電圧増加率を監視するように構成されてもよい。指定の電圧上昇時限内で予め定められた電圧上限値に達するように、測定された電圧増加率に基づいて充電電流レベルが調整されて充電電流を増減させる。充電電流レベルの調整は、例えば、カルマンフィルタを使用する予測子修正子技術にしたがって行われてもよい。予め定められた電圧上限値を達成するように電流の調整を決定するための他の方策が使用されてもよい。
したがって、定電流フェーズの間、コントローラ20は、バック変換器30を制御して、電流が電池12に印加される充電電流レベルに実質的に等しくなるようにする。電圧上限値に達すると、近似の新しいデューディーサイクル値が(例えば、ルックアップテーブルを使用することによって)決定され、バック変換器30はそれにしたがって制御される。その後、コントローラ20は、フィードバック機構によって、電池の端子における電圧が定電圧上限値に実質的に収束するように、トランジスタ32を作動させる信号のデューティーサイクルを適切に調整する。
図4〜6は、充電器10の一連の動作において行われる手順の代表的実施形態を示す。
図4は、充電器の充電区画内に受け入れられた、図1及び2に示される電池12などの2つの電池の充電動作のために充電器10を準備する、充電器使用可能手順60を示す。図示されるように、充電器10はいくつかの充電器セットアップ動作を行う(62)。行われる動作のうち、完了する必要がある様々な充電前チェックに先立って、充電動作が早く開始されてしまうことを防ぐために、充電器10は(例えば、コントローラ20の出力端子20d及び20eを電気的に切断することによって)使用不能にされる。それに加えて、充電器10上に配置されたユーザーインターフェースのスイッチ位置を判断し、それによって、ユーザーにとって望ましい充電プロファイルを確定するために、スイッチ検出動作が行われる。例えば、充電器ユーザーインターフェースのスイッチは、充電式電池12を再充電するための所望の充電時限、充電器に連結された電池の電池種類などを示すことができる。更に、充電器10のポートが構成される。例えば、温度センサ、電池電圧センサなど、様々な外部センサに連結されたポートが識別され、そのような識別されたセンサに対応する適切なインターフェース手順(例えば、フィルタリング、A/D変換)が行われてもよい。
充電器10は、充電器10に電気的に結合された電池の端子における電圧を測定する(64)。この例では、充電器の充電区画内に受け入れられた2つの電池に対応する、2つの電圧測定Vcell1及びVcell2が行われる。それに加えて、充電器10は、充電器10のボードの温度を測定して、充電器が過熱していないことを確認する。充電器及び/又は電池の動作条件の他の測定が行われてもよい。
電池の電圧及び/又は充電器のボードの温度が測定されると、充電器は、測定値が予め指定された範囲内にあるかを判断する(66)。特に、充電器10は、両方の電池が予期される電圧範囲内にあるかを判断する。例えば、使用され、電荷が消耗された充電式電池は、典型的には2〜3.8Vの電池電圧を有する。電池が3.8Vよりも高い電圧を有する場合、これは、電池が実際には満充電状態であり、したがって、そのような電池を再充電する必要がないだけではなく、実際には電池を損傷し得ることを示している可能性がある。電池が2Vよりも低い電圧を有する場合、これは、電池が損傷しており、したがって再充電すべきではないことを示している可能性がある。したがって、電圧Vcell1又はVcell2が許容可能な予め指定された電圧範囲外にあると判断されるような状況では、充電器10は、障害状態が存在すると判断する。
同様に、充電器10のボードの測定温度が、何らかの予め指定された温度閾値、例えば60℃よりも高いと判断され、したがって、充電器10の温度が高過ぎ、安全に使用できないと示される場合、充電器10は、障害状態が存在すると判断する。
障害状態が存在すると判断されるような状況では、充電器は、それに対応するユーザーインターフェース表示器を作動させる(68)。例えば、充電器10は、充電器10上に配置された赤色LEDを点灯させ、このように障害状態が存在することをユーザーに対して示す。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースは、それぞれが障害状態の異なる原因と関連付けられた複数のLEDを含んでもよく、したがって、障害状態の原因又は元に関してより正確な情報をユーザーに提供することができる。赤色LEDが点灯された後、充電器は、ユーザーが故障をクリアできるように特定の時限(例えば、20秒)待機してもよい。例えば、障害状態が、電池の欠陥によるものであった場合(例えば、その電池の対応する測定電圧が2V未満であった場合)、ユーザーは、電池を除去し、かつ/又は正常に機能する電池をその場所に挿入することができる。いくつかの状況下では、障害状態はユーザーの介入なしにクリアされてもよい(例えば、充電器のボードの温度が高過ぎる場合、ユーザーの側で何の行動もすることなく温度が低下してもよい)。
充電器は、障害状態が存在する原因の全てがクリアされるまで、障害状態が存在するかどうかの判断を繰り返す。障害状態が全てクリアされると、充電器10は使用可能になり(70)、再充電動作を進行することができる。更に、充電器は、対応するユーザーインターフェース表示器を作動させる。例えば、充電使用可能動作は、黄色LEDを点滅させることによって示されてもよい。更に、故障を示す赤色LEDが既に点灯されていた場合、そのLEDが消灯されて、現在は障害状態がないことがユーザーに示される。
図5は、充電式電池の再充電中(即ち、図4の70において充電器が使用可能になった後)に充電器10によって行われる充電手順80の代表的な一実施形態を示す。充電器10は、充電電流に実質的に等しい電流が充電式電池に印加される充電時限を測定するために、タイマーを開始させる(82)。タイマーは、例えば、プロセッサ22の専用のタイマーモジュールであってもよく、又は、プロセッサ22の内部若しくは外部クロックによって測定される規則的な時間間隔で増分されるカウンターであってもよい。
充電器10は、決定された充電電流を電池に印加する(84)。本明細書に記述したように、電池に印加される充電電流は、充電器10上に配置されたユーザーインターフェースを通じてユーザーによって指定された情報に基づいて決定される。そのような情報としては、充電率(例えば、4C、15Cなど)又は時限、電池の種類(充電器が、複数の種類の電池を充電するように機械的及び/若しくは電気的に構成されている実施形態の場合)などが挙げられる。この情報は、例えば、ユーザーが提供する入力を対応する充電電流に関連させるルックアップテーブルを使用して、又は充電電流を決定する1つ以上の計算技術を行うことによって、電池に印加される充電電流を計算するのに使用される。決定された充電電流は、例えばDAC又はPWMによって電気信号を発生させて、バック変換器30のトランジスタ32及び34を作動させるのに使用される。
充電動作の間、充電器10は、充電器及び/又は電池に関する障害状態が発生したかどうかを判断する。このように、例えば、充電器10は、どちらかの電池の電圧がある予め定められた電圧上限値(例えば、4V)を超えているかを判断する(86)。この判断は、充電器10による、充電されているそれぞれの電池の端子における電圧の周期的な測定(85)に基づく。電池の充電中、いずれかの電池の端子における電圧がその電圧上限値を超えた場合、これは、電圧が上限値を超えている電池が過熱している恐れがあり、したがって、この障害状態に対して修復作業を行う必要がある場合があることを示している可能性がある。したがって、充電器10は、障害状態が存在することを示す赤色LEDを点灯させ(92)、結果として、電池に印加される充電電流を停止するようにコントローラを使用不能にする(94)。また、充電時限を測定するのに使用されるタイマーがリセットされる(96)。
同様に、充電器はまた、やはり充電器10によって周期的に測定される(85)、ボードの温度が予め定められた温度上限値(例えば、60℃)を超えているかを判断し(88)、超えている場合、充電器10は、ユーザーインターフェース上の赤色LEDを点灯させ(92)、充電器10を使用不能にし(94)、タイマーをリセットする(96)。充電器は、他の種類の障害状態が存在するかを判断してもよい。
障害状態がない場合、充電器は、充電器10のユーザーインターフェースを介してユーザーによって指定されていることができるような、充電式電池を充電する充電時限(例えば、5分)が経過したかを判断する(90)。充電時限が経過していない場合、充電器10は、電池の電圧及びボードの温度の測定(85)を繰り返して、障害状態が存在するかを判断し(86及び88)、また充電時限が経過したかを判断する(90)。この一連の動作の繰り返しは、短い遅延(例えば、1〜5秒)後に行われてもよい。
充電時限が経過すると、充電器10は、黄色LEDを点滅させ(91)、充電器10を使用不能にし(94)、タイマーをリセットする(96)。いくつかの実施形態では、電池が何らかの予め定められた電圧レベル又は何らかの予め定められた電荷レベルに達すると、充電動作が停止されてもよい。
任意に、どちらかの電池の電圧増加率が周期的に測定されて、指定の電圧上昇時限内に予め定められた電圧上限値に達する(98)ようにされてもよい。指定の電圧上昇時限内で予め定められた電圧上限値に達するように、測定された電圧増加率に基づいて充電電流レベルが調整されて(それに対応して電流/電圧調整回路に印加される作動信号を調整することによる)、充電電流を増減させる。本明細書に記載したように、充電電流レベルの調整は、カルマンフィルタ又は他の何らかの類似の方策などの予測子修正子技術にしたがって行われてもよい。
図6は、障害状態が発生したことにより、又は充電時限が経過した後に充電動作が終わり、タイマーがリセットされたことにより、充電器10が使用不能にされた後に、充電器10によって行われる充電後手順100の代表的な一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、ユーザーは、電池を充電器10の充電区画から手作業で除去する。任意に、充電器が自動装填/排出機構を含む場合、充電器はその機構によって電池を排出させてもよい(102)。これらの状況下では、充電器10は、自動装填/排出機構によって電池を充電位置からそれぞれの差込み位置へと移動させる。
電池が充電器10の充電区画から除去されたことを確実にするために、電圧センサ40などの充電器の電圧センサは、充電器の充電端子における電圧を測定する(104)。電池が依然として充電区画内に置かれている場合、測定された電圧は、電池の端子における電圧に典型的な範囲(例えば、2〜3.8V)内にある。しかしながら、電池が除去されており、充電区画が空である場合、センサによって測定される電圧は通常0となる。電力変換モジュール14からのいかなる電圧漏れをも考慮に入れるために、また、何らかの測定許容誤差を加えるために、充電端子における1V未満の測定電圧は、充電区画が空であることを示すものと見なされる。したがって、充電器10は、充電端子において測定される電圧Vcell1及びVcell2が両方とも1V未満であるかを判断する(106)。電圧が両方とも1V未満である場合、充電器10は、充電器10のユーザーインターフェース上の黄色LEDを消灯させて(108)、電池が充電区画から除去されていることを示す。充電器10は、次の充電作業を指定するユーザーからの更なる入力を待つ(110)。
一方、充電端子電圧の1つが1V以上である場合、充電器10は、充電端子電圧の測定(104)を繰り返して、測定電圧が全て、充電区画が空であることを示す電圧レベル未満であるかを判断する。測定(104)の繰り返しは、短い遅延(例えば、1〜5秒)後に行われてもよい。
他の実施形態
本発明の多くの実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は特許請求の範囲に包含されるものである。