JP2010515430A - タンパク質のo−グリコシル化方法およびそのシステム - Google Patents

タンパク質のo−グリコシル化方法およびそのシステム Download PDF

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Abstract

任意の原核生物において、生体内でまたは生体外でタンパク質をO−グリコシル化する方法およびシステムについて本明細書で記載する。これらの方法およびシステムでは、PglL様オリゴ糖転移酵素を生成する遺伝子を含むDNA、およびO−グリコシル化されるタンパク質を生成する遺伝子を含むDNAが使用される。PglL様オリゴ糖転移酵素はグリカンとタンパク質との共有結合を促進して、O−グリコシル化タンパク質を生成する。本明細書に記載された方法およびシステムは、様々な疾患の治療のための新しいワクチンおよび治療薬をデザインして生産するためのアプローチを提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は2006年12月13日に出願された米国仮特許出願第60/872,403号明細書の優先権を主張する。この出願は参照によってその教示の全体を本明細書に援用する。
本発明はタンパク質グリコシル化の分野、より具体的には原核生物におけるタンパク質のO−グリコシル化方法およびそのシステムに関する。
タンパク質のグリコシル化は、生物の基本的な過程である。グリコシル化の発生頻度の分析により、自然界の全タンパク質の過半数が最終的には糖タンパク質であろうことが予測されている。これらの付加炭水化物なしでは、多くのタンパク質機能が異常となる。複合糖質は、細胞接触を通じた細胞間情報伝達、転移(身体中の癌細胞拡散)、ウィルスおよび細菌の接着、および細胞への毒素結合に関与する。炭水化物生物学の役割に関わる理解は、基礎衛生研究および製薬産業にとって重要である。
組み換え糖タンパク質は、今日の生物工学薬品における有効成分化合物の主要な部分を占めている。治療用糖タンパク質の例としては、組み換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)、β−インターフェロン、および濾胞刺激ホルモン(FSH)が挙げられる。生物学的機能が通常タンパク質構成要素によって定まるのに対し、炭水化物は、分子安定性、血清半減期、溶解性、生体内活性、免疫原性など、多くのタンパク質特性に影響しうる。例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞中で産生されるhHuEPOは、慢性腎不全、HIV感染症及びある種の癌に付随する貧血をはじめとする、多数の類型の貧血を治療するために臨床で使用されている。rHuEPOは、末端糖としてシアル酸を含有する数個のオリゴ糖鎖を含有する。rHuEPOからシアル酸残基を除去すると、迅速なクリアランスのために、生体内で実質的にrHuEPOが不活性になる。この例は、組み換え糖タンパク質が生物学的活性を示すためには、炭水化物が規定の構造およびパターンを有することが重要であることを示している。
これまでに、組み換え糖タンパク質を発現させるために、哺乳類、昆虫、および酵母細胞が使用されている。これらの細胞は、全てタンパク質をグリコシル化する能力を有するが、それらはヒト細胞とは異なるグリコシル化パターンを示す。タンパク質グリコシル化は真核細胞における必須過程であり、非常に複雑な糖修飾が異なる細胞区画内で起きるので、高等生物におけるタンパク質グリコシル化の操作は非常に困難である。したがって、これらの種類の細胞を使用すると、異なる炭水化物構造およびパターンを有する糖タンパク質が生成されることが多く、上述のような重大な特性変化が起こりうる。これらの異なる炭水化物構造およびパターンは、実際、完全に不活性であり治療薬の生産に役に立たない組み換え糖タンパク質の生成につながりうる。したがって、生体内および生体外の双方で、特定の炭水化物構造およびパターンを有する組み換え糖タンパク質を製造するのに使用できる方法およびシステムに対する必要性がある。
最近まで糖タンパク質は、真核細胞だけの特徴であると考えられていた。タンパク質グリコシル化は大腸菌(Escherichia coli)では自然には起きないが、その他の細菌においては一般的な現象である。細菌はそれらのグリコシル化システムの操作に耐えることができ、したがって糖鎖工学のための完璧なツールボックスを構成する。
タンパク質グリコシル化は、(i)グリカンのアセンブル、および(ii)タンパク質へのグリカン付着の2つの主要ステップからなる。ほとんどの場合、複数のグリカンはそれぞれ異なるグリコシル基転移酵素によって脂質担体上に逐次アセンブルされる。この脂質担体は生物により異なる。例えば、制限は意図されないが、脂質担体は、真核細胞の小胞体膜中のドリコール−ピロリン酸や、細菌の内膜中のウンデカプレノール−ピロリン酸(Und−PP)でありうる。グリカンが脂質担体上にアセンブルされると、それらは標的タンパク質に転移される。選択されたアスパラギン(Asn)残基のアミド基にグリカンが付着する過程はN−グリコシル化と称される。O−グリコシル化の過程では、グリカンは選択されたセリン(Ser)またはスレオニン(Thr)残基上の水酸基に付着する。脂質担体からタンパク質へのグリカンの転移は、オリゴ糖転移酵素(OTase)と称される酵素によって行われる。
結合型ワクチンの生産において、糖タンパク質は免疫応答の誘発を促して様々な病原体や病気に対する保護を提供するワクチンとして使用される。これらのワクチンでは、グリカンがタンパク質へ付着することによりグリカンの免疫原性増大が促される。今や多くの技術を利用してこのようなワクチンが生産できる(非特許文献1〜3)。しかし、目下利用できる大部分の技術を使用する場合、タンパク質上のグリカンが付着する部位を制御することはできない。さらに、グリカンとタンパク質との比率を制御することは、かなり困難である。このような困難性により結合型ワクチンの性質が不均一となり、保健監督官庁から使用認可を得ようとする際に問題となる。結合型ワクチンの組成は変動しうり、正確に再現することが困難であることが多い。したがって、より制御された様式でグリカンをタンパク質に付着させて結合型ワクチンの生産の改善に使用できる、新しい方法およびシステムに対する必要性がある。
Castricらは、O−グリコシル化された組み換えタンパク質を製造するために細菌を使用することを開示している(特許文献1)。特許文献1では、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の異種的にグリコシル化された(heterologously glycosylated)線毛を含む、グラム陰性細菌感染症に対する多価ワクチンが開示されている。このワクチンを製造するために、特許文献1では、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のピリン構造遺伝子であるpilAと、O抗原反復単位のピリンサブユニットへの付着の役割を担うタンパク質をコードする緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の遺伝子であるpilOとを含有するベクターのグラム陰性細菌中への導入を教示する。ひとたび発現されると、PilOは宿主グラム陰性細菌のO抗原反復単位をピリンタンパク質PilAに付加できる。次にO−グリコシル化ピリンが、形質転換された細菌の培養物から精製できる。しかしこの方法およびシステムには、多くの重大な不都合および制限がある。Castricによって教示されるシステムは、オリゴ糖転移酵素PilOの使用に完全に依存する。この制限はいくつかの重大な不都合をもたらす。第一にPilOの使用は、糖タンパク質上に転移できるO抗原反復単位のタイプを厳しく制限する。実際にはPilOは、当業者によりオリゴ糖類として一般に知られている小型グリカン(すなわち2〜10個の単糖類を有するグリカン)のみを転移できる。第二にPilOは、グリコシル化されるタンパク質中の内部グリコシル化部位にグリカンを転移できない。実際にはPilOは、グリカンをセリン残基にのみ転移することが示されており、それはタンパク質のC末端残基でなくてはならない(非特許文献4)。これは明らかに、Castricによって教示されるシステムを使用してグリコシル化できるタンパク質に大きな制限を課す。さらにこれらの困難さは、当業者により多糖類として一般に知られている大型グリカン(すなわち10個を超える単糖類を有するグリカン)をPilOが転移できないために、特定のワクチンまたは治療薬の生産を妨げうる。第三にPilOを発現して精製することは、非常に困難である。これはこのシステムを使用して、ワクチン製造のために大量のグリコシル化生成物を生成しようとする際に、重大な制限をもたらす。
特許文献1でCastricによって教示されるシステムおよび方法は、いくつかのその他の制限を有する。組み換え糖タンパク質の製造は、生体内システムに限定される。さらにオリゴ糖転移酵素とグリコシル化されるタンパク質の双方が、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来でなくてはならない。これらの不都合は、主にワクチンまたはその他の治療薬の製造にとって非常に問題が多い。
米国特許第6,872,398号明細書
Jones,C.2005 An.Acad.Bras.Cienc.77(2):293−324 Sood,R.K.,and Fattom,A.1998 Expert Opin.Investig.Drugs 7(3):333−347 Slovin,S.F.,Keding,S.J.,Ragupathi,G.2005 Immunol.Cell Biol.83(4):418−428 Castric,P.,et al 2001,J.Biol.Chem.276;26479−26485
したがって上に列挙したいくつかの問題を回避しながら、生体内または生体外の様式で多様な原核生物を使用して、タンパク質を容易にO−グリコシル化するのに使用できる方法およびシステムに対する必要性が生じている。
本発明の広義の態様に従って、原核生物においてタンパク質をグリカンでO−グリコシル化する方法が提供される。本方法は、少なくとも(a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成する遺伝子を含むDNA、およびO−グリコシル化されるタンパク質を生成する遺伝子を含むDNAを原核生物に所望の順序で導入するステップを含む。PglL様オリゴ糖転移酵素はグリカンとタンパク質との共有結合を促進して、O−グリコシル化タンパク質を製造する。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、またはその任意の組み合わせを含む。一態様では、グリカンは還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む。別の態様では、ガラクトースがグリカンの還元末端に存在する。脂質担体は、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、およびその合成均等物などのポリプレノールピロリン酸である。
本発明の別の広義の態様に従って、原核生物においてグリカンによりO−グリコシル化タンパク質を製造する方法が提供され、本方法は、原核生物中に、少なくとも(a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するpglLを含むDNA、(b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するpilEを含むDNA、および(c)脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNAを所望の順序で導入するステップを含む。PglL様オリゴ糖転移酵素は、グリカンとタンパク質との共有結合を促進してO−グリコシル化タンパク質を生成する。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、多糖類またはその任意の組み合わせを含む。一態様では、グリカンは還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む。別の態様ではガラクトースがグリカンの還元末端に存在する。脂質担体は、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、およびその合成均等物などのポリプレノールピロリン酸である。
本発明の別の広義の態様に従って、原核生物と、生物中に存在する少なくとも次の構成要素、(a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するDNA、(b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するDNA、および(c)脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNA、とを含む、O−グリコシル化タンパク質を製造するシステムが提供される。PglL様オリゴ糖転移酵素は、グリカンとタンパク質との共有結合を促進してO−グリコシル化タンパク質を生成する。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、またはその任意の組み合わせを含む。一態様では、グリカンは還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む。別の態様では、ガラクトースがグリカンの還元末端に存在する。脂質担体は、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、およびその合成均等物などのポリプレノールピロリン酸である。
本発明の別の広義の態様に従って、原核生物と、生物中に存在する少なくとも次の構成要素、(a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するpglLを含むDNA、(b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するpilEを含むDNA、および(c)脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNA、とを含むO−グリコシル化タンパク質を製造するシステムが提供される。オリゴ糖転移酵素は、グリカンとタンパク質との共有結合を促進してO−グリコシル化タンパク質を生成する。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、またはその任意の組み合わせを含む。一態様では、グリカンは還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む。別の態様では、ガラクトースがグリカンの還元末端に存在する。脂質担体は、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、およびその合成均等物などのポリプレノールピロリン酸である。
本発明の別の広義の態様に従って、(a)O−グリコシル化されるタンパク質と、(b)脂質担体に結合したグリカンとをPglL様オリゴ糖転移酵素の存在下で反応させるステップを含む、O−グリコシル化タンパク質を製造する方法が提供される。PglL様オリゴ糖転移酵素は、グリカンを脂質担体からタンパク質に転移する。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、またはその任意の組み合わせを含む。一態様では、グリカンは還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む。別の態様では、ガラクトースがグリカンの還元末端に存在する。脂質担体は、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、およびその合成均等物などのポリプレノールピロリン酸である。
本発明の別の広義の態様に従って、(a)pilEの発現産物であるPilEタンパク質と、(b)脂質担体に結合したグリカンとをpglLの発現産物であるオリゴ糖転移酵素の存在下で反応させるステップを含む、O−グリコシル化タンパク質を製造する方法が提供される。オリゴ糖転移酵素は、グリカンを脂質担体からタンパク質に転移する。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、またはその任意のその組み合わせを含む。一態様では、グリカンは還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む。別の態様では、ガラクトースがグリカンの還元末端に存在する。脂質担体は、限定されるものではないが、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、およびその合成均等物などのポリプレノールピロリン酸である。
本発明の別の広義の態様に従って、本明細書に記載された方法およびシステムによって製造される、ワクチンの生産に使用できるO−グリコシル化タンパク質が提供される。これらの方法およびシステムを使用して、タンパク質に付加できるグリカンのタイプ、転移されるグリカンの長さ、グリカンの還元末端に位置する糖のタイプ、タンパク質上のグリカンの位置または使用できる生物のタイプに制限をもたらすことなく、O−グリコシル化タンパク質を調製できることから、それらは特に有利である。
本発明は、その構成および操作様式の双方に関して、以下の説明および様々な実施態様の添付図を参照して最も良く理解され、そこでは同種の番号がいくつかの図にわたって使用される。
カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)によって生成されるN−グリカンの模式図である。 髄膜炎菌(N.meningitidis)によって生成されるピリングリカンの模式図である。 大腸菌(E.coli)によって生成されるO7抗原の模式図である。 緑膿菌(P.aeruginosa)O11によって生成されるピリングリカンの模式図である。 ネズミチフス菌(S.enterica serovar Typhimurium)によって生成されるグリカンの模式図である。 非グリコシル化およびグリコシル化髄膜炎菌(N.meningitidis)(MC)ピリンを生成する全細胞大腸菌(E.coli)CLM24抽出物のウエスタンブロット分析である。ピリンは、SM1抗ピリンモノクローナル抗体(上側パネル)またはC.jejuniグリカン抗血清R12(下側パネル)によって検出された。R12は、C.jejuniグリカンを特異的に認識する抗血清である(Wacker,M.et al,2002,Science 298(5599):1790−1793)。レーン1:pAMF3(MCピリンを発現する)およびpAMF5(PglLを発現する)。レーン2:pAMF3、pACYCpglBmut、およびpEXT22(クローニングベクター)。レーン3:pAMF3(MCピリンを発現する)、pACYCpglBmut、およびpAMF5(PglLを発現する)。プラスミドpACYCpglは、常態ではC.jejuniにおけるN−グリコシル化中に転移されるグリカンの合成のために必要な酵素の全てをコードするpgl遺伝子座を保有する(図1A)(Wacker,M.et al、前出)。その誘導体pACYCpglBmutは、PglBオリゴ糖転移酵素を不活性化する変異を有する。上側矢印はグリコシル化生成物を示し、下側矢印は非グリコシル化生成物を示す。 変異S63AおよびT62Aのピリングリコシル化に対する影響を示すウエスタンブロット分析である。ピリンはSM1抗ピリンモノクローナル抗体(上側パネル)またはC.jejuniグリカン抗血清R12(下側パネル)によって検出された。全てのレーンは、pAMF5、およびpACYCpglBmutを発現する細胞に対応する。レーン1:pPilET62A。レーン2:pPilES63A。レーン3:pAMF6。上側矢印はグリコシル化生成物を示し、下側矢印は非グリコシル化生成物を示す。 β脱離に対する髄膜炎菌(N.meningitidis)(MC)グリコシル化ピリンの感受性を示すウエスタンブロット分析である。この実験では、C.jejuniグリカンでグリコシル化されたピリンを含有する大腸菌(E.coli)CLM24細胞の抽出物を使用した(図3A)。対照としてC.jejuniグリカンでN−グリコシル化されたAcrAを含有する同一株の抽出物を使用した(図3B)。全細胞を収集して、Laemmliサンプル緩衝液と混合し(4% SDS、20%グリセロール、10% 2−メルカプトエタノール、0.004%ブロモフェノールブルー、および0.125Mトリス−HCl、pH6.8)、95℃で10分間加熱した。サンプルを15%ゲル中でSDS−PAGEによって分画し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写し、帯状に切断した。タンパク質の脱グリコシル化、β脱離に対するアルカリ処置の影響をR12グリカン特異的抗体を使用して40℃で16時間のインキュベーション後に検出した。ひとたびPVDF膜に転移させたら、サンプルを異なる濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)で処理した。レーン1:NaOHによる処理なし。レーン2:0.055MのNaOHによる処理。レーン3:0.07MのNaOHによる処理。レーン4:0.09MのNaOHによる処理。 グリコシル化MCピリンのプロティナーゼK消化から予期された断片化パターンである。×印四角はDATDH(2,4−ジアセトアミド−2,4,6−トリデオキシヘキソース)を表す。白抜き四角はHexNAcを表す。黒丸はヘキソースを表す。 MCピリンのプロティナーゼK消化に起因する、ペプチド63SAGVA67に付着したDATDH(HexNAc)5Hexに対応するm/z 905.82+における二重荷電したグリコペプチドイオンのMS/MSスペクトルである。糖断片、および糖断片があるペプチドに加えて、図4Aに示す一般的なペプチド断片イオン(yおよびb)が観察される。×印四角はDATDH(2,4−ジアセトアミド−2,4,6−トリデオキシヘキソース)を表す。白抜き四角はHexNAcを表す。黒丸はヘキソースを表す。 大腸菌(E.coli)SΦ874中で生成される3種の異なる形態の大腸菌(E.coli)O7 LPSのレクチンブロット分析である。O7抗原の糖の1つであるラムノースに対して特異的なレクチンが使用された。レーン1:野生型。レーン2:wzy(ポリメラーゼ)変異体。レーン3:wzz(鎖長制御因子)変異体。右の数字はリピドA−コアに付着するO7の反復単位数を示す。 PglL(左パネル)およびPilO(右パネル)が、大腸菌(E.coli)SCM3株(SΦ874のリガーゼ−欠損誘導体)において、異なる長さのO7抗原をそれらのそれぞれのピリンに転移する能力を実証するウエスタンブロット分析である。抗MCピリンモノクローナル抗体を使用して、図5Aに示す3種のO抗原バージョンを含有する髄膜炎菌(N.meningitidis)(MC)ピリンを検出した。PglLは完全に重合したO7抗原をMCピリン(レーン2)に転移できた。2個以上の反復単位を含有するO抗原も同様に豊富であるという観察にもかかわらず、2個の反復単位までのO抗原を含有する緑膿菌(P.aeruginosa)ピリンだけがwzz変異株(レーン8)中に検出された(図5Aのレーン3参照)。レーン1〜4:pAMF5(PglLを発現する)およびpAMF6(MCピリンを発現する)。さらにレーン2はpJHCV32(野生型O7抗原)を含有し、レーン3はpJHCV32−134(O7 wzy変異体)を含有し、およびレーン4はpJHCV32−136(O7 wzz変異体)を含有する。レーン5〜8:pPAC46(緑膿菌(P.aeruginosa)ピリンおよびPilOを発現する)。さらにレーン6はpJHCV32を含有し、レーン7はpJHCV32−134を含有し、レーン8はpJHCV32−136を含有する。 セリン63の変異がグリコシル化を無効化することを示すウエスタンブロット分析である。wzz変異株由来のO7抗原は、MCピリンのS63A変異株に転移されない(レーン4)。変異N60A(レーン1)、N61A(レーン2)、およびT62A(レーン3)において、グリコシル化は影響を受けない。非グリコシル化(レーン5)およびO7抗原でグリコシル化された野生型ピリン(レーン6)を比較のために含める。レーン1〜4はプラスミドpAMF5およびpJHCV32::Tn3HoHo1−134を含有する。レーン1:pPilEN60A。レーン2:pPilEN61A。レーン3:pPilET62A。レーン4:pPilES63A。レーン5:pAMF6、pEXT21、およびpJHCV32::Tn3HoHo1−134。レーン6:pAMF6、pAMF5、およびpJHCV32::Tn3HoHo1−134。 MCピリンのグリコシル化が、Wzx(レーン1)、pglがコードするPglK(レーン3)、またはtransでコードされるPglK(レーン4)のいずれかの機能性フリッパーゼの存在下でのみ起きることを示すウエスタンブロット分析である。MCピリンに対する抗体を使用して、ウエスタンブロットによって細胞抽出物を分析した。レーン1:pAMF5、pAMF6、およびpACYCpglBmutを含有するCLM24株。レーン2:プラスミドpAMF5、pAMF6、およびpACYCpglKmutで形質転換されたSCM7。レーン3:pAMF5、pAMF6、およびpACYCpglを含有するSCM7。レーン4:PglKをtransで発現する、pAMF5、pAMF6、pACYCpglKmut、およびpCW27で形質転換されたSCM7。レーン5:pAMF5、pAMF6、pACYCpglKmut、およびpMLBAD(クローニングベクター)で形質転換されたSCM7。株およびプラスミドの詳細は表1−1〜1−4に示す。矢印は、機能性WaaL(リガーゼ)およびフリッパーゼが存在する株における、C.jejuniオリゴ糖類を含有するLPSの存在を示す。 MCピリンのグリコシル化が、Wzx(レーン1)、pglがコードするPglK(レーン3)、またはtransでコードされるPglK(レーン4)のいずれかの機能性フリッパーゼの存在下でのみ起きることを示すウエスタンブロット分析である。グリカン特異的R12抗血清を使用して、ウエスタンブロットによって細胞抽出物を分析した。レーン1:pAMF5、pAMF6、およびpACYCpglBmutを含有するCLM24株。レーン2:プラスミドspAMF5、pAMF6、およびpACYCpglKmutで形質転換されたSCM7。レーン3:pAMF5、pAMF6、およびpACYCpglを含有するSCM7。レーン4:PglKをtransで発現する、pAMF5、pAMF6、pACYCpglKmut、およびpCW27で形質転換されたSCM7。レーン5:pAMF5、pAMF6、pACYCpglKmut、およびpMLBAD(クローニングベクター)で形質転換されたSCM7。株およびプラスミドの詳細は表1−1〜1−4にある。矢印は、機能性WaaL(リガーゼ)およびフリッパーゼが存在する株における、C.jejuniオリゴ糖類を含有するLPSの存在を示す。 サルモネラ(Salmonella)O抗原を発現する大腸菌(E.coli)JM109細胞中の抗ピリンを使用したウエスタンブロット分析である。このブロットは、大腸菌(E.coli)において、還元末端にガラクトースを有する多糖類でピリンがグリコシル化できることを示す。レーン1〜3はpPR1347およびpAMF8を含有する。さらにレーン1:pPilES63A。レーン2:pAMF9。レーン3:pPilET62A。レーン4:pPR1347、pAMF9、およびpEXT20。 サルモネラ(Salmonella)中のピリングリコシル化の再構成。左パネル:pAMF9で形質転換されたネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)SL3749株。レーン1:pEXT20。レーン2:pAMF8。このパネルはサルモネラ(Salmonella)細胞における多糖類の転移を示す。中央パネル:pAMF9で形質転換されたwzyポリメラーゼ遺伝子中に変異を有するネズミチフス菌(Salmonella enterica Typhimurium)SL901株(レーン3および4の双方)。レーン3:pEXT20を含有する。レーン4:pAMF8を含有する。右パネル:pAMF9で形質転換されたwzyポリメラーゼ遺伝子中に変異を有するチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhi)。レーン5:pEXT20。レーン6:pAMF8。中央および右パネルは、異なるサルモネラ(Salmonella)株中へのオリゴ糖類の転移を実証する。
本明細書に記載された材料、化合物、組成物、および方法は、開示されている主題の具体的な態様の下記詳細な説明および実施例と、図とを参照して、より容易に理解され得る。
本材料、化合物、組成物、および方法を開示して述べる前に、特定の合成法または特定の試薬などはもちろん変動しうるため、下述の態様はそれらに限定されるものではないものと理解されたい。また本明細書で使用される用語法は、特定の態様について述べるためだけのものであり、制限は意図されないものと理解されたい。
またこの明細書全体を通じて、様々な公報が参照される。これらの公報の開示は、開示されている事項に関連する現状技術について、より完全に述べるためにその全体を参照によって本明細書に援用する。開示されている参考文献はまた、参考文献が頼りにされる文章において論じられるそれらの中に含まれる題材について、個々に具体的に、参照によって本明細書に援用する。
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」という言葉、および「含む(comprising)」および「含む(comprises)」などの言葉のその他の形態は、含むことを意味するがこれに限定されるものではなく、例えばその他の添加剤、構成要素、整数、またはステップを除外することは意図されない。
本明細書および添付の特許請求の範囲における用法では、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に断りのない限り複数の指示対象を含む。したがって例えば「作用物質(an agent)」への言及は、このような2つ以上の作用物質の混合物を含む。
本発明は、生体内または生体外でタンパク質をO−グリコシル化するための方法およびシステムの発見に関する。生体内での方法およびシステムは、任意の原核生物に、少なくとも(i)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するDNA、および(ii)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するDNAを所望の順序で導入するステップを含む。一実施態様では、これらの方法およびシステムは、原核生物に内在性でありグリコシル化に必要である、脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要なタンパク質をコードする遺伝子に依存する。別の実施態様では、これらの方法およびシステムは、脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要なタンパク質をコードする外来性遺伝子を原核生物中に導入するステップをさらに含む。これらの方法およびシステムを使用して、タンパク質に付加できるグリカンのタイプ、転移されるグリカンの長さ、グリカンの還元末端に位置する糖のタイプ、タンパク質上のグリカンの位置または使用できる生物のタイプに制限をもたらすことなく、O−グリコシル化タンパク質を調製できることから、それらは特に有利である。
生体外での方法およびシステムは、PglL様オリゴ糖転移酵素をO−グリコシル化されるタンパク質と共に、および脂質結合グリカンと共に、適切な緩衝液中でインキュベートするステップを含む。
本発明の目的では、グリカンはタンパク質に転移できる(例えば共有結合的に付着する)任意の糖を含む。グリカンは、単糖類、オリゴ糖類、および多糖類を含む。上述のようにオリゴ糖類は2〜10個の単糖類を有するグリカンである。多糖類は10個を超える単糖類を有するグリカンである。多糖類は、O抗原、カプセル、および菌体外多糖を含む群から選択できる。もちろん当業者は、その他のタイプの多糖類もまた使用してもよいことを理解するであろう。
本発明において有用なグリカンとしては、ヘキソース、ヘキソースのN−アセチル誘導体、オリゴ糖類、および多糖類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。制限を意図しないその他の例としては、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)、髄膜炎菌(N.meningitidis)、緑膿菌(P.aeruginosa)、S.エンテリカ(enterica)LT2、および大腸菌(E.coli)由来のグリカン(図1参照)が挙げられる。一実施態様では、グリカンの還元末端の単糖類は、ヘキソースまたはヘキソースのN−アセチル誘導体である。一態様では、ヘキソースはガラクトースでありうる。一態様では、ヘキソースのN−アセチル誘導体は、N−アセチルグルコサミン(GIcNAc),2−アセトアミド−2,6−ジデオキシヘキソース(FucNAc)、およびDATDH(2,4−ジアセトアミド−2,4−,6−トリデオキシヘキソース)を含む群から選択できる。
本発明のPglL様オリゴ糖転移酵素としては、以下の特性を含むオリゴ糖転移酵素が挙げられる。すなわち、(a)タンパク質のセリンまたはスレオニン残基にグリカンを転移する能力、(b)緩やかなグリカン特異性により、異なる長さを有するグリカンおよび異なるタイプの単糖類を転移する能力、および(c)O−グリコシル化においてタンパク質に多糖類を転移する能力である。一態様では、PglL様オリゴ糖転移酵素はまた、O−グリコシル化されるタンパク質中の内部グリコシル化部位にグリカンを転移する能力も有することができる。一態様ではPglL様オリゴ糖転移酵素はまた、原核生物のぺリプラズム中でタンパク質をO−グリコシル化する能力も有することができる。
一実施態様では、PglL様オリゴ糖転移酵素は、ピリン−グリコシル化遺伝子L(pglL)またはその相同体(homologue)によって発現されるタンパク質である。もちろん当業者は、相同体が配列に違いを有してもよいが、機能には大きな違いがないタンパク質であることを理解するであろう。一態様では、ナイセリア(Neisseria)(例えば髄膜炎菌(N.meningitidis)または淋菌(N.gonorrhea))において、pglLまたはその相同体によって発現されるタンパク質は、本発明で有用なオリゴ糖転移酵素を生成できる。本発明で有用なPglL様オリゴ糖転移酵素の発現のための髄膜炎菌(N.meningitidis)由来のpglLのゲノム配列の例としては、MC58(登録番号AAF41024)(Tettelin,H.et al,2000,Science 287:1809−1815)、Z7491(Parkhill,J.et al,2000,Nature 404:502−506)、およびFAM18(http://www.sanger.ac.uk/Projects/N_meningitidis/sero.shtml)由来のPglLが挙げられるが、これらに限定されるものではない。淋菌(N.gonorrhea)由来のPglLは、PglO(登録番号NGO0178)と称されている(Aas,F.E.et al,2007,Mol.Microbiol.65:607−624)。
本発明の一実施態様では、生体内での方法およびシステムを使用して、O−グリコシル化タンパク質が調製される。これらの方法およびシステムを使用して、あらゆるタイプの原核生物中でO−グリコシル化タンパク質を製造できる。原核生物の選択は大きく変動できる。一実施態様では、原核生物はグラム陰性細菌である。使用できるグラム陰性細菌としては、ナイセリア(Neisseria)、サルモネラ(Salmonella)、大腸菌(E.coli)、シュードモナス(Pseudomonas)、およびエルシニア(Yersinia)属由来の細菌種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の特定の実施態様では、使用される原核生物は大腸菌(Escherichia coli)である。大腸菌(E.coli)の使用は多くの利点を有する。大腸菌(E.coli)は、ワクチンおよび治療薬のデザインにおいて使用されており、生体内O−グリコシル化反応を行うのに良好な宿主細胞である。もちろん当業者には明白なように、大腸菌(E.coli)の使用は本明細書で列挙されない多くのその他の利点を有する。
別の実施態様では、使用される原核生物はサルモネラ(Salmonella)である。サルモネラ(Salmonella)の使用もまた、多くの利点を有する。例えば、制限は意図されないが、サルモネラ(Salmonella)には多くの用途があり、弱毒性ワクチンを製造するのにこの種が使用される。さらにサルモネラ(Salmonella)は、還元末端にガラクトースを有する内在性グリカンを常に生成する。当業者は、これが次にワクチン生産を大幅に促進することを理解するであろう。
本発明のタンパク質の生体内O−グリコシル化のための方法は、一般に少なくとも(i)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するDNA、および(ii)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するDNAの組み込みを伴う。上で考察したように、一実施態様では、これらの方法およびシステムは、脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な内在性遺伝子であって、タンパク質のグリコシル化に必要であるタンパク質をコードする原核生物の内在性遺伝子に依存している。別の実施態様では、これらの方法およびシステムは、脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要なタンパク質をコードする外来性遺伝子を原核生物中に導入するステップをさらに含む。
原核生物中へのこれらのDNA断片の組み込みは、当該技術分野で知られているいくつかの技術のいずれかを使用して実施できる。当業者は、これらの技術が、あらゆる組み換えDNAコンストラクトで宿主細胞を安定して形質移入しまたは形質転換するのに使用できるあらゆる方法を含むことを理解するであろう。例えば、制限は意図されないが、本発明の目的で、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(Sambrook,J.and Russell,D.W.,CSHL Press,Cold Spring Harbor,New York,3rd Edition,2001)で列挙され述べられている技術のいずれかが、DNA断片を原核生物中に導入するのに容易に使用できる。
選択された原核生物中に挿入されたDNA断片は、一般的に遺伝子または遺伝子の一部(その切断産物および/または変異体を含む)でありPglL様オリゴ糖転移酵素と、グリコシル化されるタンパク質と、いくつかの実施態様では脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要なタンパク質とを生成するために使用される。これらのDNA断片は、多種多様な異なる手法で生成できる。各DNA断片は、例えば、制限は意図されないが、ポリヌクレオチドが由来する領域内の塩基配列によって提供される情報に基づく、化学合成またはDNA複製または逆転写または転写をはじめとする任意の方法で作出されてもよい。さらに意図される用途に矛盾がないことが当該技術分野で知られている方法で、所望の配列の領域に相当する異なる領域の組み合わせを変更してもよい。最後に各DNA断片の起源は、意図される用途に応じて、同一原核生物、または異なる原核生物に由来することができる。
本発明の一実施態様では、各DNA断片は、上述のようにベクターおよびDNA断片を含む組み換えDNA分子に関連する。ベクターは、当該技術分野で知られているあらゆる広義の宿主範囲発現ベクターなどのプラスミドの形態を取ることができる。もちろん当業者は、場合によっては用途によって、単一のプラスミドに2以上のDNA断片を含めることが有益でありうることを理解するであろう。さらに上で考察したように、いくつかの実施態様では、必要とされるタンパク質のいくつかは原核生物に内在性の遺伝子によってコードされる。これらの実施態様では、これらのタンパク質をコードするDNA断片は、原核生物のゲノムに存在する。
本発明の方法およびシステムでは、PglL様オリゴ糖転移酵素が、所望のグリカンと、グリコシル化されるタンパク質中に存在するセリンまたはスレオニン残基の水酸基との共有結合形成を促進する。PglL様オリゴ糖転移酵素をコードするDNA断片は、多種多様な異なるシステムおよび生物から得ることができる。もちろん上述のように、目的用途のために当該技術分野で知られている任意の方法を使用して、これらの配列のいずれかを改変してもよい。
本発明の方法およびシステムでは、グリコシル化されるタンパク質は、広範なタンパク質から選択できる。本発明の一実施態様では、使用されるPglL様オリゴ糖転移酵素が、髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58(登録番号AAF41024)からの遺伝子pglLから作られる場合、グリコシル化されるタンパク質を生成するDNA断片は、遺伝子pilE(登録番号AAF40497)またはその相同体を含有する。pilEまたはその相同体の遺伝子は、多種多様な異なる生物から選択できる。一態様では、pilEのためのDNA断片はナイセリア(Neisseria)(例えば髄膜炎菌(meningitidis)または淋菌(gonorrhea))から選択される。もちろん上述のように、目的用途のために当該技術分野で知られている任意の方法を使用して、これらの配列を改変してもよい。髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58(登録番号AAF40497)からの遺伝子pilEによって発現されるタンパク質を使用する場合、髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58(登録番号AAF41024)からの遺伝子pglLによって発現されるPglL様オリゴ糖転移酵素によって、成熟タンパク質のSer63がグリコシル化される。もちろん当業者には理解されるように、どのタンパク質が選択されるかによって、グリコシル化部位は異なってもよい。
本発明の別の実施態様では、グリコシル化されるタンパク質は、グリコシル化のための決定因子を含有するハイブリッドタンパク質などの変性タンパク質であってもよい。理論による拘束は望まないが、本発明の目的では、グリコシル化のための決定因子は、PglL様オリゴ糖転移酵素によってグリコシル化部位として認識される部位である。例えば、制限は意図されないが、ハイブリッドタンパク質は、当該技術分野で知られている方法を使用して作製されてもよく、そこで得られるタンパク質は、2種の異なるタンパク質からのグリコシル化決定因子を含有する。もちろん当業者はまた、多くのその他のハイブリッドタンパク質が作製できることも理解する。
さらなる本発明の実施態様では、グリコシル化されるタンパク質はピリンタンパク質ではない。PglL様オリゴ糖転移酵素によって認識されるグリコシル化決定因子を含むあらゆるタンパク質が、本発明の方法およびシステムに含まれることが意図される。
生体内グリコシル化のために使用される第3のDNA断片は、脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含む。上で考察したように、本発明で有用なグリカンとしては、ヘキソース、ヘキソースのN−アセチル誘導体、オリゴ糖類、および多糖類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一態様では、PglL様オリゴ糖転移酵素を使用する場合、上述のように還元末端にヘキソースまたはヘキソースのN−アセチル誘導体を有する多糖類すなわちグリカンで、タンパク質をO−グリコシル化することが可能である。還元末端にヘキソースまたはヘキソースのN−アセチル誘導体を有する多糖類すなわちグリカンによるタンパク質のO−グリコシル化は、非常に有利である。例えば、制限は意図されないが、後で考察されるように、このようなグリカンでO−グリコシル化されたタンパク質を生成する能力は、ワクチンおよび治療薬の開発のために非常に有用である。
本発明の一実施態様では、1つ以上の生物からのグリカンを生成する遺伝子を含有するDNA断片もまた使用できる。例えば、制限は意図されないが、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)、髄膜炎菌(N.meningitidis)、緑膿菌(P.aeruginosa)、および大腸菌(E.coli)からのグリカンを生成する役割を担う遺伝子が本発明で使用できる(図1参照)。これらの遺伝子は、グリカンのアセンブルおよび転位にさらに関与することができる。これらの遺伝子としては、グリカンのアセンブルおよび輸送に必要なグリコシル基転移酵素およびその他の酵素をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の特定の態様では、原核生物の選択次第で、生体内グリカン合成はまた、ポリプレノールピロリン酸キャリアまたはその合成均等物などの脂質担体への糖単位の付着を伴ってもよい。例えば、制限は意図されないが、ポリプレノールピロリン酸キャリアとして、ウンデカプレノールピロリン酸(またはウンデカプレノール−PP)が選択されてもよい。あるいは、これらの酵素を生成する1つ以上の遺伝子を導入することも可能である。理論による拘束は望まないが、O−グリコシル化は生物(例えば大腸菌(E.coli))のぺリプラズム中で起きると考えられる。当業者には理解されるように、上述のこれらの遺伝子ならびにその他のDNA断片を導入することにより、任意の原核生物におけるO−グリコシル化タンパク質の製造が初めて可能になる。
上述の生体内での方法およびシステムを使用して、大規模量のO−グリコシル化タンパク質を製造することが可能である。上述のDNA断片で形質転換された原核生物は、当該技術分野で知られている様々な方法を使用して生育させることができる。例えば、制限は意図されないが、これらの原核生物をブロス培養物中で生育させて、O−グリコシル化タンパク質を製造することができ、O−グリコシル化タンパク質を単離できる。O−グリコシル化タンパク質の単離は、当該技術分野で知られている様々な方法を使用して実施できる。例えば、制限は意図されないが、レクチン親和クロマトグラフィーを使用してもよい(Faridmoayer,A.et al,2007,J.Bacteriol.189(22):8088−8098)。
上述の方法はグリコシル化タンパク質の生体内製造に有用であるが、本発明の別の実施態様は、O−グリコシル化タンパク質の生体外製造方法および製造システムを提供する。一実施態様では、本方法はpilE(登録番号AAF40497)の発現産物であるPilEタンパク質と、ウンデカプレノール−PPキャリアに付着したグリカンとをPglL様オリゴ糖転移酵素の存在下で反応させるステップを含む。一態様では、PglL様オリゴ糖転移酵素は髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58(登録番号AAF41024)からのpglL遺伝子から発現されたPglLである。
当業者は、目的用途のために当該技術分野で知られている方法を使用して、pilEおよびpglLをコードするDNA断片が、改変または切断されたものでよいことを理解するであろう。これらのDNA断片は、上で考察したように生物中で発現でき、双方のタンパク質は当該技術分野で知られている技術を使用して精製できる。例えば、制限は意図されないが、pglLから生成されるオリゴ糖転移酵素は、当該技術分野で知られている技術を使用して、可溶化された膜画分から精製される。
生体外でO−グリコシル化タンパク質を製造するために、様々な原核生物によって発現されるタンパク質およびグリカンと共に、オリゴ糖転移酵素をインキュベートできる。もちろん当業者は理解するであろうように、タンパク質およびグリカンは同一原核生物起源でなくてもよい。当業者には理解されるように,インキュベーション条件は大幅に変動できる。例えば、制限は意図されないが、約6から約8のpHを有する緩衝液中でタンパク質およびグリカンをインキュベートしてもよい。一態様では、緩衝液はリン酸緩衝食塩水であってもよい。別の態様では、緩衝液はpH7.5のトリス−HCl 50mMであってもよい。
次にグリコシル化タンパク質を精製して、当該技術分野で知られている技術によって特性決定できる。例えば、制限は意図されないが、O−グリコシル化タンパク質の生体外製造のために、Kowarik et al(2006,Science,314:1148−1150)で開示されている技術を本発明で適応できる。
本発明で製造されるグリコシル化タンパク質は、有効量のO−グリコシル化タンパク質がこのような処置を必要とする対象に投与される、いくつかの疾患を治療するための治療薬として使用できる。これらの疾患の例としては、自己免疫障害、HIVおよびC型肝炎感染症、結核、カンジダ症、レーシュマニア症、および様々な細菌感染症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらにいくつかのグリカンは、ヒト集団の一部に影響するいくつかの自己免疫疾患を治療する潜在用途を有することが示されている。
本発明で製造されるグリコシル化タンパク質はまた、有効量のタンパク質がこのような処置を必要とする対象に投与される場合、ワクチンとして、または疾患予防のための医薬組成物中で使用することもできる。したがって本明細書に記載された、いくつかの異なるO−グリコシル化タンパク質を製造する方法は、創薬において非常に有用なことが分かるであろう。
続く実施例において、以下の材料と方法を使用した。これらの材料と方法は例示のみを目的とし、本発明の範囲をどのようにも制限するものではないと解釈される。当業者は、本発明の範囲に影響することなくいくつかの改変および置換ができることを理解するであろう。より具体的には、これらとしては下に列挙される特定の技術および反応条件の改変および置換が挙げられる。
細菌株、プラスミド、および生育条件
大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa)1244細胞は、37℃でLB培地上に生育させることができる。100μg/mLトリメトプリム、20μg/mLテトラサイクリン、80μg/mLスペクチノマイシン、20μg/mLクロラムフェニコール、50μg/mLカナマイシン、および100μg/mLアンピシリンを必要に応じて培地に添加した。使用できる大腸菌(E.coli)および緑膿菌(P.aeruginosa)株ならびにDH5αプラスミドを表1−1〜1−4に列挙する。もちろん当業者は、表1−1〜1−4に列挙されないその他の株およびプラスミドもまた使用してもよいことを理解するであろう。
髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58のpilE、およびpglLのクローニングおよび発現
pfu DNAポリメラーゼ、および、オリゴヌクレオチドPilEEcoRI(配列番号:1)およびPilEHindIII(配列番号:2)を使用して、髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58のゲノムDNAからpilE遺伝子(登録番号AAF40497)を増幅した。PCR産物をEcoRIおよびHindIIIで切断し、pEXT20およびpEXT21の同一部位にクローニングして、pAMF3およびpAMF6をそれぞれ構築した。
髄膜炎菌(N.meningitidis)MC58をテンプレートとして、New England Bio Labs社製のVent DNAポリメラーゼを使用して、オリゴヌクレオチドPglLEcoRI(配列番号:3)およびPglLHindIII−His(配列番号:4)を用いたPCRによって、pglL遺伝子(登録番号AAF41024)を増幅した。PglLHindIII−HisはC末端で10xHisをコードする。PCR産物をEcoRIおよびHindIIIで切断し、pSPORT1の同一部位に挿入してpAMF4を生成した。pAMF4をEcoRIおよびHindIIIで切断し、pglL遺伝子を含有する断片をpEXT22の同一部位にライゲートして、pAMF5を作り出した。Pfu DNAポリメラーゼとオリゴヌクレオチドPilEEcoRIおよびPilESalI−His(配列番号:5)を使用し、テンプレートとしてpAMF3を使用してpilE−6Hisを増幅した。PCR産物をEcoRIおよびSalIで切断し、pEXT20およびpEXT21の同一部位に挿入してpAMF7およびpAMF14を構築した。pAMF8は次のように構築した。Pfu DNAポリメラーゼと、オリゴヌクレオチドPglLEcoRIおよびPglLSalI(配列番号:6)を使用し、テンプレートとしてpAMF4を使用してpglLを増幅した。PCR産物をEcoRIおよびSalIで切断し、pEXT20の同一部位に挿入してpAMF8を構築した。EcoRIおよびHindIIIで切断されたpAMF7の挿入、およびpMLBADの同一部位への挿入は、His6標識PilEを発現するpAMF9を生成した。
ウエスタンブロット分析
当該技術分野で知られている技術を使用して、ウエスタンブロッティングを実施した。ニトロセルロース膜上のタンパク質の存在を抗体および/またはレクチンで検出した。表2は、本研究で使用された抗体およびレクチンに関する情報を提供する。もちろん当業者は、表2に列挙されない異なる抗体およびレクチンもまた使用してよいことを理解するであろう。
ダイズ凝集素(SBA)レクチンブロット法を使用して、カンピロバクターグリカンでグリコシル化ピリンを検出した。タンパク質をニトロセルロース膜上に転移して、0.1%Tween(PBST)を含有するリン酸緩衝食塩水中の5%ウシ血清アルブミン(BSA)により室温で1時間ブロックした。ブロックした膜をビオチン−抱合型SBAと共に室温で1時間インキュベートし、洗浄してからホースラディッシュペルオキシダーゼ抱合抗ビオチンと共にさらに1時間インキュベートした。GEAmersham社製のECLキットを使用してブロットを現像した。L−ラムノース−結合イソレクチンであるSTL3によって、O7抗原サブユニットを構成するリポ多糖類(LPS)を検出した(Tateno,H.ら,2001,Biosci.Biotechnol.Biochem.65(6):1328−38)。O7 LPSの異なる変異型を発現する大腸菌(E.coli)Sφ874細胞をLaemmli緩衝液と混合して、Roche社製のプロティナーゼKによってタンパク質を消化した。LPSをニトロセルロース膜上に転写し、BSAでブロックしてSTL3と共にインキュベートした。膜を抗STL3ポリクローナル抗体、および抗ウサギ抗体と共に、室温でそれぞれ1時間インキュベートした。ブロットを先に述べたようにして現像した。
アフィニティークロマトグラフィーを使用したグリコシル化ピリンの精製
pAMF5、pAMF14(C末端6XHis標識pilEを発現する、表1−1〜1−4)、およびpACYCpglBmutで形質転換された大腸菌(E.coli)SCM3中で、C.jejuniグリカンでグリコシル化されたMC58株からのピリン(pilE遺伝子によってコードされる)を生成した。IPTG(0.5mM)を培養物に添加して、細胞を静止期に収集した。0.3M NaClを含有する30mMトリス−HCl緩衝液(pH8.0)(緩衝液1)でペレットを洗浄し、Roche社製の完全EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する同一緩衝液に再懸濁した。細胞をフレンチプレスによって破壊し、10,000×gで10分間遠心分離して細胞残骸を除去した。膜を超遠心(200,000×gで2時間)によって分離し、2%n−ドデシル−β−D−マルトシド(DDM)を含有する緩衝液1(緩衝液2)に再懸濁した。懸濁液を遠心分離し(200,000×gで1時間)、次にイミダゾールを最終濃度20mMで上清に添加した。20mMイミダゾールを含有する緩衝液2であらかじめ平衡化したQiagen社製のNi−NTAアガロースカラムに溶液を注入し、同一緩衝液で洗浄して非結合タンパク質を除去した。250mMのイミダゾールを含有する緩衝液2を使用して、結合タンパク質をカラムから溶出した。10mM NaCl、1mM DTT、および0.8%DDMを含有する50mMトリス−HCl、pH8.5(緩衝液3)中で、溶出液を4℃で一晩透析した。緩衝液3で平衡化したVector Labs社製のSBA−アガロースカラムにタンパク質溶液を注入した。カラムを緩衝液3で洗浄して非結合タンパク質を除去し、0.5M D−ガラクトースを含有する緩衝液3でタンパク質を溶出した。タンパク質画分を収集して−20℃で保存した。
O−グリカンのβ脱離
この実験では、O−グリコシル化されたPilEを産生する大腸菌(E.coli)CLM24株を使用した。この株は、pAMF5、pAMF6、およびpACYCpglBmutで形質転換された。全細胞を収集して、Laemmliサンプル緩衝液(4%SDS、20%グリセロール、10%2−メルカプトエタノール、0.004%ブロモフェノールブルー、および0.125Mトリス−HCl、pH6.8)と混合し、95℃で10分間加熱した。サンプルを10%ゲル中でSDS−PAGEによって分画した。タンパク質をポリビニリデンフッ化物(PVDF)膜に転写して、帯状に切断した。帯状膜を異なる濃度の水酸化ナトリウム(0.055、0.07、0.09M)で処理した。R12グリカン特異的抗体を使用して、40℃で16時間のインキュベーション後に、タンパク質の脱グリコシル化(すなわちβ脱離)に対するアルカリ処理の影響を検出した。
本発明をより完全に理解するために、次の実施例を示す。これらの材料と方法は例示のみを目的とし、本発明の範囲をどのようにも制限するものではないと解釈される。さらにこれらの実施例が本発明の均等物および変法の除外を意図しないことは、当業者には明白である。
(実施例1)
大腸菌(E.coli)中でのPglLの機能発現
髄膜炎菌(N.meningitidis)中のpglLの変異誘発は非グリコシル化ピリンの生成をもたらした。大腸菌(E.coli)中のPglLを発現させ、pilE遺伝子によってコードされる髄膜炎菌(N.meningitidis)ピリンのグリコシル化に関して分析した。髄膜炎菌(N.meningitidis)ピリン遺伝子pilEを発現するプラスミドpACYCpglBmutおよびpAMF3をCLM24細胞に形質転換した。プラスミドpACYCpglは、常態ではC.jejuniのN−グリコシル化中に転移されるグリカンの合成に必要な全ての酵素をコードするpgl遺伝子座を保有する(図1A)(4)。その誘導体pACYCpglBmutは、PglBオリゴ糖転移酵素を不活性化する変異を有する。髄膜炎菌(N.meningitidis)ピリンに対するモノクローナル抗体を使用して、ウエスタンブロット分析によって、成熟前および成熟ピリンに対応すると推定される2つのバンドが全細胞抽出物中に検出された(図2Aの上側パネル参照)。これらの細胞を、PglLをコードするプラスミドpAMF5でさらに形質転換すると、モノクローナル抗ピリン抗血清およびC.jejuniグリカン特異的R12抗血清の双方で、電気泳動移動度がより小さいバンドがさらに検出され(図2Aのレーン3参照)、ピリンがグリコシル化されたことが示唆された。グリコシル化ピリンの存在はPglL依存性であるため、PglLはOTase活性を有すると結論された。PglLによってこの実験で転移されたC.jejuniグリカンの構造は、髄膜炎菌(N.meningitidis)ピリン(図1B)に見られる三糖とは異なり、PglLがまた緩和された糖特異性も有することが示唆される。
O−結合グリカンは、弱アルカリ性条件下でβ脱離反応によってタンパク質から放出できる。それに反してN−グリカンは、これらの条件下ではタンパク質から分離されない。ピリンとC.jejuniグリカンとの間の結合は、β脱離の影響を受けやすかった(図3参照)。グリコシル化ピリンを含有する全細胞抽出物をPVDF膜に転移して、Dukら(1997,Anal.Biochem.253:98−102)によって記載されたプロトコールに従って、異なる濃度のNaOHで処理した。タンパク質結合グリカンをR12抗血清で検出した。ピリンとグリカンとの間の結合がアルカリ不安定性であるのに対し、N−グリコシル化されたAcrAはアルカリ処理に対して抵抗を示し(図3B)、予期されたようにピリンが実際にO−グリコシル化されたことが確認された。
これは、S63の変異がグリコシル化を止めるという事実によって、さらに支持される(図2Bのレーン2)。O−グリコシル化のさらなる支持は、質量分析法によって同定されるように、ペンタペプチドS63AGVA67がC.jejuniグリカンに付着したという観察によって提供される(図4)。
(実施例2)
PglLが多糖類を転移できるのに対し、pilOは短い炭水化物のみを転移する
O抗原重合、そして我々が示したようにピリングリコシル化は、どちらも細菌ぺリプラズムで起きる。大腸菌(E.coli)中のPilOによる重合O7抗原の転移(図1C)を試験した。SΦ874株(表1−1)は完全な内在性O抗原クラスターを包含する欠失を保有する。O−結合多糖類を作り出すために、SΦ874株中での大腸菌(E.coli)O7抗原合成に必要な遺伝子クラスターを含有するプラスミドを導入した。異なるプラスミドを使用して、3種の異なるO7抗原変異体を生成した。野生型O7抗原(07WT、図5Aのレーン1参照);単一O7サブユニットのみを生成するO抗原ポリメラーゼ(O7wzymut)変異体(図5Aのレーン2参照);および改変された長さ分布のO抗原を生成する、O−鎖長制御因子(OT wzzmut)遺伝子中の変異体(図5Aのレーン3参照)(20)。waaL遺伝子を欠くSΦ874株の誘導体であるSCM3株(表1−1)中で、PilOがO7抗原の3種の変異体を転移する能力が観察された。wzy変異体中では、O7抗原の単一サブユニットがピリンに転移された(図5Bのレーン7)。野生型O7抗原中でのO7抗原の転移は検出不能であったが(図5Bのレーン6)、wzz変異体中では2個までのO抗原サブユニットがピリンに転移された(図5Bのレーン8)。wzz変異体は2、3、および4個のO反復単位を含有する同様の量の鎖を生成するが(図5Aのレーン3)、3個以上の反復性サブユニットを含有するO抗原鎖は、ピリンに転移されなかった。したがってPilOは、2個を超える反復性サブユニットを含有するO抗原グリカンを転移できない。PilOによって転移できる短鎖の形成がWzz活性によって低下したことから、野生型O7株中ではグリコシル化ピリンは検出されなかった。それに反してPglLは、短いO7抗原、および完全に重合したO7抗原も転移できた(図5Bのレーン5〜8)。
N60、N61、およびT62の変異はグリコシル化に影響しないので、図6は多糖類がセリン残基に転移されたことを示すのに対し、変異S63Aは多糖類のPilEへの転移を完全に止めた。
(実施例3)
Und−PP−グリカンのぺリプラズムへの転移はPilOおよびPglL活性に必要である。
O抗原、ペプチドグリカン、菌体外多糖、およびカプセル生合成においては、ならびにC.jejuni中でのタンパク質N−グリコシル化においては、ウンデカプレノールピロリン酸(Und−PP)基質がフリッパーゼの作用によってぺリプラズム中へ転移、すなわち「フリップ」される(Alaimo,C.et al, 前出)。大腸菌(E.coli)SCM7株は全ての既知のフリッパーゼを欠いており、近年、C.jejuniグリコシル化系のフリッパーゼであるPglK(表1−2〜1−3)を特性決定するのに使用されている(Alaimo,C.et al,前出)。この株を使用して、ピリングリコシル化が起きる細胞区画を同定した。pPAC46およびpACYCpglまたはpACYCpglK(表1)をSCM7細胞に導入した。無傷のpglクラスターを保有する細胞中で、ピリングリコシル化を検出した。pACYCpglKは、pglK遺伝子中に非極性変異を有する。ピリンは、フリッパーゼが存在しない、pACYCpglKを保有するSCM7細胞中ではグリコシル化されず、したがってUnd−PP−グリカンのぺリプラズム中への転移は妨げられた(図7Aおよび7Bのレーン2参照)。PglL活性は、細胞中の機能性フリッパーゼ存在下のみで検出された。したがってPglL依存グリコシル化にはUnd−PP−結合オリゴ糖類の転移が必要であり、PglL活性がぺリプラズムに局在することが示唆される。
(実施例4)
PglLは還元末端にヘキソースを保有するグリカンをピリンに転移できる
異なる血清型(すなわちネズミチフス菌(Typhimurium)およびチフス菌(Typhi))からのサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)O抗原は、還元末端にヘキソースがある反復するサブユニットから構成される(図1)。PglLが還元末端にヘキソースを含有するグリカンを転移できるかどうかを試験するために、ネズミチフス菌(S.enterica serovar Typhimurium)O抗原の合成に必要な酵素をコードする、プラスミドpPR1347を保有する大腸菌(E.coli)JM109(表1)中でPglLおよびPilEを同時発現させた。抗ピリンを使用したウエスタンブロット分析は、大腸菌(E.coli)中でこのO抗原がPglLによってPilEに転移できることを示した(図8Aのレーン2参照)。PglLの対応する空ベクターによる置換は、非グリコシル化ピリンの発現をもたらした(図8Aのレーン4)。さらにピリン変異体T62Aもまた、サルモネラ(Salmonella)O抗原(図8Aのレーン3)でグリコシル化されたのに対し、ピリン変異体S63Aはグリコシル化を止めた(図8Aのレーン1)。これは還元末端にガラクトースを含有するグリカンが、PilE中のセリン残基に付着できることを実証する。
さらにPglLおよびPilEの双方が存在すれば、元の宿主S.エンテリカ(enterica)中でピリンのグリコシル化が達成できる(図8Bのレーン2)。PglLをコードするプラスミドの対応する空ベクターによる置換は、非グリコシル化ピリンをもたらす(図8Bのレーン1)。PglLはまた、ネズミチフス菌(S.enterica serovar Typhimurium)のWzy変異体中(図8Bのレーン4)、およびチフス菌(S.enterica serovar Typhi)のWzy変異体中(図8Bのレーン6)で生成されるO抗原に単一サブユニットを転移できる。図8B中の矢印は、単一O抗原サブユニットによるグリコシル化ピリンの位置を示す。レーン3および5は、その中でPglLを発現するプラスミドが対応する空ベクターによって置換されている、グリコシル化のネガティブコントロールである。

Claims (49)

  1. 原核生物に、少なくとも
    (a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成する遺伝子を含むDNA、および(b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成する遺伝子を含むDNAを所望の順序で導入するステップを含み、
    前記原核生物において、PglL様オリゴ糖転移酵素がグリカンとタンパク質との共有結合を促進する、O−グリコシル化タンパク質の製造方法。
  2. 脂質キャリア上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNAを導入するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. PglL様オリゴ糖転移酵素が、ナイセリア(Neisseria)中でpglLまたはその相同体によって発現されるタンパク質によってもたらされる、請求項1に記載の方法。
  4. O−グリコシル化されるタンパク質を生成する遺伝子が、ナイセリア(Neisseria)由来のpilEを含む、請求項1に記載の方法。
  5. PglL様オリゴ糖転移酵素を生成する遺伝子がpglLまたはその相同体であり、O−グリコシル化されるタンパク質を生成する遺伝子がpilEである、請求項1に記載の方法。
  6. 原核生物が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項1に記載の方法。
  7. 原核生物がサルモネラ(Salmonella)である、請求項1に記載の方法。
  8. グリカンが多糖類である、請求項1に記載の方法。
  9. グリカンが還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 脂質担体が、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、またはその合成均等物を含むポリプレノールピロリン酸である、請求項2に記載の方法。
  11. 遺伝子が、グリコシル基転移酵素、またはグリカンのアセンブルおよび輸送に必要な酵素を含む、請求項2に記載の方法。
  12. 原核生物に、少なくとも
    (a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するpglLを含むDNA、(b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するpilEを含むDNA、および(c)脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNAを所望の順序で導入するステップを含み、
    前記原核生物において、PglL様オリゴ糖転移酵素がグリカンとタンパク質との共有結合を促進してO−グリコシル化タンパク質を製造する、グリカンによるO−グリコシル化タンパク質の製造方法。
  13. pglLを含むDNAが、ナイセリア(Neisseria)由来のpglLまたはその相同体である、請求項12に記載の方法。
  14. pilEを含むDNAが、ナイセリア(Neisseria)由来のpilEである、請求項12に記載の方法。
  15. 原核生物が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項12に記載の方法。
  16. 原核生物がサルモネラ(Salmonella)である、請求項12に記載の方法。
  17. グリカンが多糖類である、請求項12に記載の方法。
  18. グリカンが還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む、請求項12に記載の方法。
  19. 脂質担体が、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、またはその合成均等物を含むポリプレノールピロリン酸である、請求項12に記載の方法。
  20. 遺伝子がグリコシル基転移酵素またはグリカンのアセンブルおよび輸送に必要な酵素を含む、請求項12に記載の方法。
  21. 原核生物と、当該原核生物中に存在する少なくとも以下の構成要素、
    (a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するDNA、
    (b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するDNA、および
    (c)脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNA
    とを含み、
    PglL様オリゴ糖転移酵素がグリカンとタンパク質との共有結合を促進する、O−グリコシル化タンパク質の製造システム。
  22. PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するDNAがpglLまたはその相同体であり、O−グリコシル化されるタンパク質を生成するDNAがpilEである、請求項21に記載のシステム。
  23. 原核生物が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項21に記載のシステム。
  24. 原核生物がサルモネラ(Salmonella)である、請求項21に記載のシステム。
  25. グリカンが多糖類である、請求項21に記載のシステム。
  26. グリカンが還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む、請求項21に記載のシステム。
  27. 脂質担体が、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、またはその合成均等物を含むポリプレノールピロリン酸である、請求項21に記載のシステム。
  28. 遺伝子がグリコシル基転移酵素またはグリカンのアセンブルおよび輸送に必要な酵素を含む、請求項21に記載のシステム。
  29. 原核生物と、当該原核生物中に存在する少なくとも以下の構成要素、
    (a)PglL様オリゴ糖転移酵素を生成するpglLを含むDNA、
    (b)O−グリコシル化されるタンパク質を生成するpilEを含むDNA、および
    (c)脂質担体上へのグリカンのアセンブルに必要な遺伝子を含むDNA
    とを含み、
    オリゴ糖転移酵素がグリカンとタンパク質との共有結合を促進する、O−グリコシル化タンパク質の製造システム。
  30. pglLを含むDNAがナイセリア(Neisseria)由来のpglLまたはその相同体である、請求項29に記載のシステム。
  31. pilEを含むDNAがナイセリア(Neisseria)由来のpilEである、請求項29に記載のシステム。
  32. 原核生物が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項29に記載のシステム。
  33. 原核生物がサルモネラ(Salmonella)である、請求項29に記載のシステム。
  34. グリカンが多糖類である、請求項29に記載のシステム。
  35. グリカンが還元末端にヘキソースまたはN−アセチルヘキソース誘導体を含む、請求項29に記載のシステム。
  36. 脂質担体が、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、またはその合成均等物を含むポリプレノールピロリン酸である、請求項29に記載のシステム。
  37. 遺伝子がグリコシル基転移酵素またはグリカンのアセンブルおよび輸送に必要な酵素を含む、請求項1に記載のシステム。
  38. (a)O−グリコシル化されるタンパク質、および(b)脂質担体に結合したグリカンをPglL様オリゴ糖転移酵素の存在下で反応させるステップを含み、
    PglL様オリゴ糖転移酵素がグリカンを脂質担体からタンパク質に転移する、O−グリコシル化タンパク質の製造方法。
  39. グリコシル化されるタンパク質がPilEであり、PglL様オリゴ糖転移酵素がPglLである、請求項38に記載の方法。
  40. 脂質担体が、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、またはその合成均等物を含むポリプレノールピロリン酸である、請求項38に記載の方法。
  41. グリコシル化されるタンパク質、および脂質担体に結合したグリカン、およびオリゴ糖転移酵素の双方が、原核生物のブロス培養物から単離されている、請求項38に記載の方法。
  42. 原核生物が大腸菌(Escherichia coli)である、請求項38に記載の方法。
  43. 原核生物がサルモネラ(Salmonella)である、請求項38に記載の方法。
  44. (a)pilEの発現産物であるPilEタンパク質、および(b)脂質担体に結合したグリカンをpglLの発現産物であるオリゴ糖転移酵素の存在下で反応させるステップを含み、
    オリゴ糖転移酵素がグリカンを脂質担体からタンパク質に転移する、O−グリコシル化タンパク質の製造方法。
  45. 脂質担体が、ウンデカプレノールピロリン酸、ドリコールピロリン酸、またはその合成均等物を含むポリプレノールピロリン酸である、請求項44に記載の方法。
  46. グリコシル化されるタンパク質、脂質担体に結合したグリカン、およびオリゴ糖転移酵素の双方が、原核生物のブロス培養物から単離されている、請求項44に記載の方法。
  47. 請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法およびシステムによって製造されるO−グリコシル化タンパク質を含むワクチン。
  48. 請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法およびシステムによって製造されるO−グリコシル化タンパク質を含む医薬組成物。
  49. 請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法およびシステムによってO−グリコシル化タンパク質を製造するためのPglLタンパク質およびPilEタンパク質の使用。
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