JP2010505831A - 安定化した、治療用の小型のヘリックス性抗ウイルスペプチド - Google Patents

安定化した、治療用の小型のヘリックス性抗ウイルスペプチド Download PDF

Info

Publication number
JP2010505831A
JP2010505831A JP2009531418A JP2009531418A JP2010505831A JP 2010505831 A JP2010505831 A JP 2010505831A JP 2009531418 A JP2009531418 A JP 2009531418A JP 2009531418 A JP2009531418 A JP 2009531418A JP 2010505831 A JP2010505831 A JP 2010505831A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
capsid
mammal
amino acids
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009531418A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010505831A5 (ja
Inventor
アシム クマール デブナス,
ホンタオ チャン,
キアン チャオ,
Original Assignee
ニューヨーク ブラッド センター, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ニューヨーク ブラッド センター, インコーポレイテッド filed Critical ニューヨーク ブラッド センター, インコーポレイテッド
Publication of JP2010505831A publication Critical patent/JP2010505831A/ja
Publication of JP2010505831A5 publication Critical patent/JP2010505831A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K7/00Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K7/04Linear peptides containing only normal peptide links
    • C07K7/08Linear peptides containing only normal peptide links having 12 to 20 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • A61P31/18Antivirals for RNA viruses for HIV
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

HIV構築を阻害する制約されたペプチドが提供される。また、上記のペプチドを含む薬剤組成物も提供される。さらに、細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害する方法も提供される。また、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法も提供される。さらに、カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置する方法も提供される。上記のペプチドおよび薬剤組成物の使用と同様に、上記のペプチドを作製する方法もさらに提供される。

Description

本発明は、一般に、HIV感染の治療に関する。より具体的には、本発明は、カプシド含有ウイルスの構築を阻害するペプチド、およびそれらのペプチドを使用して、HIVを含むカプシド含有ウイルスを処理するための方法を提供する。
構築は、HIV−1生活環において決定に重要なステップであり(Morikawa、2003年、Husebら、2005年、Gottliger、2001年、Freed、1998年)、一般に、gagポリタンパク質の制御された重合を介して生じると考えられている。gagポリタンパク質は、形質膜まで輸送され、そこで構築が起こり、ウイルス粒子が形成され、かつ球形の未成熟非感染性粒子として出芽する。最近のデータから、gagポリタンパク質はまた、特にマクロファージにおいて、多小胞体(MVB)としばしば呼ばれる後期エンドソーム中で蓄積し、かつ集合してウイルス粒子を構築し得ることが示されている(Pelchen−Matthewsら、2003年、Grigorovら、2006年、Kramerら、2005年、Nydeggerら、2003年、OnoおよびFreed、2004年、Shererら、2003年)。これらのウイルス粒子は、MVBが形質膜と融合した場合に放出される。
細胞タンパク質のAP−3が、MVBへのgagの細胞内輸送を指示することが最近示された(Dongら、2005年)。出芽の直後に、これらの粒子は、ウイルスが感染性になるために不可欠である、成熟と呼ばれるプロセスを経、その際、gagポリタンパク質は、ウイルスプロテアーゼによって、マトリックス(MA)、カプシド(CA)、ヌクレオカプシド(NC)、およびp6ドメイン、ならびに2種のスペーサータンパク質、すなわちSP1およびSP2に順次切断される。このプロセスは、これらの粒子の形態の劇的な変化を誘発し、また、円錐形のカプシドに取り囲まれた高電子密度のコアが形成される。成熟したカプシド(CA)の形成は、ウイルスの感染性において不可欠な役割を果たす。CAの変異は、ウイルス構築において有害な影響を有することが示されている(Abdurahmanら、2004年、Chienら、2006年、Chuら、2006年、Douglasら、2004年、Forsheyら、2002年、Ganser−Pornillosら、2004年、Guoら、2005年、Joshiら、2006年)。したがって、カプシドは、HIV−1生活環において不可欠であるウイルス構築において重要な役割を果たし、HIV−1に対抗する新しい世代の薬物を開発するための潜在的な標的とみなされている。
構築に対抗する薬物を開発する際の主要な障害は、効果的なスクリーニングシステムが無いことであったが、いくつかの新しいアッセイ法が最近報告されている(Derdowskiら、2004年)。この困難にもかかわらず、HIV−1構築を妨害するペプチドまたは低分子化合物の同定に関する報告がある(Niedrigら、1994年、Hoglundら、2002年、Garzonら、2004年、Tangら、2003年、Sakalianら、2006年、Liら、2003年)。カプシドの低分子阻害物質(CAP−1およびCAP−2)の同定における最初のブレークスルーは、Summersのグループによって報告された(Tangら、2003年)。N末端CA(N−CA)に対するCAP−1の親和力(K)は約800μMにすぎなかったが、その同定が、この標的に対抗する潜在的な阻害物質を探すための起爆薬(initiator)であった。gagプロセシングを標的とする別の強力な低分子阻害物質であるPA−457が、最近報告された(Liら、2003年)。これらの低分子阻害物質は、HIV−1の成熟を妨げる。後者の化合物は、現在、第II相臨床試験に供されている。
最近、カプシドのC末端CA(C−CA)を標的とすることによってin vitroでHIV−1構築を阻害する直鎖状小ペプチド(CAI)が、ファージディスプレイ技術によって同定された(非特許文献1)。X線結晶解析により、CAIがヘリックスを形成し、かつC−CAのヘリックス1、2、および4によって形成される疎水性の溝に結合することが明らかにされたが(非特許文献2)、溶液中でのその立体配座は報告されていない。解離定数(K)は約15μMであると推定された。CAIは、in vitroで未成熟HIV−1粒子と成熟HIV−1粒子の両方に対して阻害を示すことが報告された最初の化合物であった。しかし、CAIの重要な欠点は、細胞に侵入することができず、そのため、生細胞において構築阻害物質として使用され得ないということである。
Sticht,J.ら、A peptide inhibitor of HIV−1 assembly in vitro.Nat.Struct.Mol Biol.(2005)12, 671−677 Ternois, F., Sticht, J., Duquerroy, S., Krausslich, H.G.およびRey, F.A.The HIV−1 capsid protein C−terminal domain in complex with a virus assembly inhibitor.Nat.Struct.Mol Biol.(2005)12, 678−682
感染細胞に侵入できるHIV構築阻害物質を有することが望ましいはずである。本発明は、このニーズに取り組むものである。
本発明は、in vitroで抗ウイルス性であるが、細胞に侵入できないαヘリックスペプチドが、溶液中のペプチドのαらせん性を増大させる架橋手順を用いてそのペプチドを安定化した場合には、細胞に侵入し、かつin vivoで活性になるようにされ得るという発見に基づいている。
本発明は、長さ10〜23アミノ酸のペプチドを対象とし、これらのアミノ酸のうち2つは、α炭素においてR型またはS型の立体化学配置を有する非天然アミノ酸であり、
これらの非天然アミノ酸のα炭素は、メチル基およびオレフィン基(olefinic group)を含み、これらの非天然アミノ酸の2つのオレフィン基はαヘリックスの同じ側にあり、結合してこれら2つの非天然アミノ酸間の架橋を形成し、
ペプチドのアミノ酸配列は、(I/L/V)(T/S/A/V/C)(F/I/L/V/Y/M/W)(D/E/S)(D/E)(L/F/I/V/Y/M/W)(L/D/T/F/I/V/Y/M/W)(D/E/A/S)(Y/F/I/L/V/M/W)(Y/F/I/L/V/M/T)またはその模倣体を含み、
これらの2つの非天然アミノ酸は、3アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+3)、4アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+4)、または7アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+7)の2つのアミノ酸を置換し、
これら2つの非天然アミノ酸間の架橋は、C1〜C10アルキル、アルケニル、アルキニル、(R1−K−R1)であり、それぞれ0〜6個のR2で置換されており、
R1は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
Kは、O、S、SO、SO、CO、CONR4、または
であり、
R2は、ハロ、C1〜C10アルキル、OR3、N(R3)、SR3、SOR3、SOR3、COR3、R3、蛍光性部分、または放射性同位体であり、
R3は、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R4は、H、アルキル、または治療用作用物質であり、
nは1〜4の整数である。
本発明はまた、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドを、製薬上許容される担体中に含む薬剤組成物も対象とする。
さらに、本発明は、細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害する方法も対象とする。これらの方法は、細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害するのに十分な様式で、細胞を、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドと接触させるステップを含む。
本発明は、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法もさらに対象とする。これらの方法は、哺乳動物を治療するのに十分な様式で、前述の薬剤組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。
本発明は、カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置する方法もさらに対象とする。これらの方法は、哺乳動物を処置するのに十分な様式で、前述の薬剤組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。
さらに、本発明は、前述のペプチドのいずれかを作製する方法も対象とする。これらの方法は、アミノ酸を順次結合させ、次いで、オレフィンメタセシスを用いて、非天然アミノ酸の2つのオレフィン基を連結するステップを含む。
本発明はまた、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療するための医薬品を製造するための、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドのいずれかの使用も対象とする。
さらに、本発明は、哺乳動物がカプシド含有ウイルスに感染するようになるリスクを低下させるための哺乳動物を処置するための医薬品を製造するための、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドのいずれかの使用も対象とする。
また、本発明は、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療するための前述の薬剤組成物の使用も対象とする。
本発明はさらに、カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置するための前述の薬剤組成物の使用も対象とする。
直鎖状ペプチド(配列番号1;CAI)および制約されたペプチド(NYAD−1)の細胞侵入および/または会合を示す実験結果のグラフである。これらのグラフは、FITCを結合させたペプチドと共に37℃で4時間インキュベートした293T細胞およびMT2細胞のFACS解析である。PBSで細胞を3回洗浄した後、解析した。上側のパネル:左は、FITC−ペプチドを用いなかった場合の293T細胞のFACS解析である。中央は、FITC−CAIを用いた場合の293T細胞のFACS解析である。右は、FITC−β−Ala−NYAD−1を用いた場合の293T細胞のFACS解析である。下側のパネル:左は、FITC−ペプチドを用いなかった場合のMT−2細胞のFACS解析である。中央は、FITC−CAIを用いた場合のMT−2細胞のFACS解析である。右は、FITC−β−Ala−NYAD−1を用いた場合のMT−2細胞のFACS解析である。 FITC−β−Ala−NYAD−1が293T細胞に侵入することを示す、細胞の顕微鏡写真である。FITCを結合させたペプチドと共に37℃で20時間インキュベートした293T細胞の共焦点顕微鏡画像である。PBSで細胞を3回洗浄した後、検査した。上側のパネル:左は、FITC−CAIを用いた場合の細胞の微分干渉コントラスト(DIC)画像である。中央は、FITC−CAIを用いた場合の同じ細胞のFITC蛍光画像である。右は、DIC画像およびFITC蛍光画像のオーバーレイである。下側のパネル:左は、FITC−β−Ala−NYAD−1を用いた場合の細胞のDIC画像である。中央は、FITC−β−Ala−NYAD−1を用いた場合の同じ細胞のFITC蛍光画像である。右は、DIC画像およびFITC蛍光画像のオーバーレイである。 共焦点顕微鏡検査によるNYAD−1およびGagの直接的な共局在研究を示す写真である。異なる角度の画像を示した。(aおよびd)FITCを結合させたNYAD−1。(bおよびe)Gag−mStrawberry。(c、f)合体した写真により、FITC−NYAD−1とGag−mStrawberryの共局在が実証された。試料はすべて生細胞であり、トランスフェクション後24時間目に採取した。 未成熟様粒子および成熟様粒子のin vitroでの構築の阻害を示す、電子顕微鏡写真である。これらの画像は、何も加えない場合(aおよびd)(対照)、5倍モル過剰のCA1の存在下(bおよびe)、ならびに5倍モル過剰のNYAD−1の存在下(cおよびf)における、Gagタンパク質およびCAタンパク質それぞれのin vitroでの構築に起因する粒子の陰性に染色されたEM画像である。 ウイルス様粒子(VLP)の放出に対するNYAD−1の影響を示す図である。Gag(未成熟様粒子の場合)またはGag−pol(成熟様粒子の場合)をコードするベクターによるトランスフェクション後4時間目に、様々な濃度のNYAD−1で293T細胞を処理した。トランスフェクション後48時間目に、VLPを含む上清を回収した。ELISA(上側のパネルA、B)およびウェスタンブロット(下側のパネルC、D)によってp24を測定することによって、未成熟様粒子および成熟様粒子の放出を測定した。ブロットの下の数値は、濃度測定によって得られたシグナル強度を示す。 6.25μM NYAD−1および50μM NYAD−1の存在下で産生されるHIV−1ウイルス様粒子の電子顕微鏡的解析を示す写真である。GagまたはGag−polをコードするベクターによるトランスフェクション後4時間目に、Gag(上側のパネル)またはGag−pol(下側のパネル)を発現する293T細胞を、何も含まない培地または6.25μMのNYAD−1を含む培地および50μMのNYAD−1を含む培地2mlと共にインキュベートした。トランスフェクション後24時間目に、細胞をペレット状にし、固定し、包埋し、切片化し、透過電子顕微鏡で検査した。(スケールバー=500nm)。
本発明は、長さ10〜23アミノ酸のペプチドを対象とし、これらのアミノ酸のうち2つは、α炭素においてR型またはS型の立体化学配置を有する非天然アミノ酸であり、
これらの非天然アミノ酸のα炭素は、メチル基およびオレフィン基を含み、これらの非天然アミノ酸の2つのオレフィン基はαヘリックスの同じ側にあり、結合してこれら2つの非天然アミノ酸間の架橋を形成し、
ペプチドのアミノ酸配列は、(I/L/V)(T/S/A/V/C)(F/I/L/V/Y/M/W)(D/E/S)(D/E)(L/F/I/V/Y/M/W)(L/D/T/F/I/V/Y/M/W)(D/E/A/S)(Y/F/I/L/V/M/W)(Y/F/I/L/V/M/T)またはその模倣体を含み、
これらの2つの非天然アミノ酸は、3アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+3)、4アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+4)、または7アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+7)の2つのアミノ酸を置換し、
これら2つの非天然アミノ酸間の架橋は、C1〜C10アルキル、アルケニル、アルキニル、(R1−K−R1)であり、それぞれ0〜6個のR2で置換されており、
R1は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
Kは、O、S、SO、SO、CO、CONR4、または
であり、
R2は、ハロ、C1〜C10アルキル、OR3、N(R3)、SR3、SOR3、SOR3、COR3、R3、蛍光性部分、または放射性同位体であり、
R3は、HまたはC1〜C10アルキルであり、
R4は、H、アルキル、または治療用作用物質であり、
nは1〜4の整数である。
上記の式において、アミノ酸は、「wherein the sequence of the amino acids of the peptide comprises(ペプチドのアミノ酸配列は、含む)」の前の括弧内の文字によって表されるものだけであることを理解すべきである。これらの括弧の外側のR(R1、R2、R3、およびR4)ならびに「R1−K−R1」中のKは、次に定義する変動要素を表すことが理解され、また、これらの括弧の外側のH、C、Sは、水素原子、炭素原子、および硫黄原子をそれぞれ表すことが理解されるであろう。
本発明のペプチドはまた、αヘリックスを安定化させるための、公知の手順によるその後の変形も含むことが企図される。例えば、非天然アミノ酸のメチル基は、ペプチドのin vitroもしくはin vivoでの活性にも、ペプチドを安定化させ、かつそのαらせん性を高める架橋の能力にも影響を及ぼさずに、別の小型の(例えば、C1〜C5)アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換され得ると考えられている。
本明細書において使用される場合、アミノ酸間に斜線を引き括弧中に入れた、(一般的な一文字アミノ酸記号による)複数のアミノ酸としての本発明のペプチド中のアミノ酸残基の記号表示は、指定されたアミノ酸またはそれらの模倣体(特に除外しない限り)のいずれかがその残基を占め得ることを意味する。例えば、(I/L/V)(T/S/A/V/C)は、第1の残基が、イソロイシン、ロイシン、またはバリンのいずれか1つでよく、第2の残基が、トレオニン、セリン、アラニン、バリン、もしくはシステイン、または模倣体のいずれか1つでよいことを意味する。
本明細書において使用される場合、模倣体またはペプチド模倣体とは、天然のアミノ酸をペプチド模倣体で置換しても、そのタンパク質の活性が影響を受けないという点で、タンパク質中の天然の親アミノ酸を模倣することができる化合物である。ペプチド模倣体を含むタンパク質は、一般に、プロテアーゼの基質ではなく、天然タンパク質と比べて、より長い期間、in vivoで活性である可能性が高い。さらに、それらは抗原性がより低い場合があり、全般的により高いバイオアベイラビリティを示す。当業者なら、任意の特定のペプチド(本発明のペプチドなど)のアミノ酸を置換し得るペプチド模倣体の設計および合成は、過度の実験を必要としないことを理解するであろう。例えば、Ripkaら、1998年、Kieber−Emmonsら、1997年、Sanderson、1999年を参照されたい。本発明のために有用な模倣体の非限定的な例としては、Dアミノ酸、およびノルロイシンなどの制約されたアミノ酸、または2−アミノイソ酪酸が挙げられる。また、ペプチド配列中のアミノ酸が、αヘリックスを形成する傾向を有するアミノ酸で置換され得ることも、本発明の範囲内である。
本発明の各ペプチドは、ペプチドの安定性、反応性、および/または溶解性を高めるために、特定のアミノ酸ならびに/またはアミノ末端および/もしくはカルボキシ末端に、1つまたは複数の化学基の付加を含んでよい。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシル、アセチル、t−ブチルオキシカルボニル基、または9−フルオレニルメトキシ−カルボニル基などの疎水基が、ペプチドのアミノ末端に付加されてよい。別の例では、疎水基、t−ブチルオキシカルボニル、またはアミド基、もしくはpara−ニトロベンジルエステル基が、ペプチドのカルボキシ末端に付加されてよい。このような修飾を導入するための技術は、当業者に周知である。
本発明のペプチドは、任意の薬剤として許容される塩の形態であってもよい。本発明の化合物の酸付加塩は、適切な溶媒中で、ペプチドおよび過剰の酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、またはメタンスルホン酸から調製される。本発明のペプチドが酸性部分を含む場合、適切な薬剤として許容される塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、またはカルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩を挙げることができる。アミノ末端がHであり、カルボキシ末端がNHであるペプチドの塩が好ましい。また、本発明は、遊離酸型のペプチドも含む。
本発明のペプチドのアミノ酸残基は、Stichtら(2005年)によって同定された、アミノ酸配列ITFEDLLDYYGPを有する特定のペプチド(配列番号1;CAI)と、その研究において使用されたC−CANCタンパク質に最も頻繁に結合したペプチドにおいてStichtら(2005年)によって同定された、その配列中の置換物の組合せである(Stichtら、2005年の表1を参照されたい)。また、Stichtらのペプチドの保存的置換物であるアミノ酸も含まれる。提供された配列の代替のアミノ酸または模倣体の任意の組合せからなるペプチドは、in vivoまたはin vitro(すなわち、細胞外で)カプシド含有ウイルスの構築を阻害すると考えられている。このような構築阻害は、例えば、以下の実施例において、またはStichtら、2005年において説明される方法によって、過度に実験をすることなく試験することができる。
好ましくは、このペプチドのアミノ酸配列は、(I/V)(T/S)(F/W/Y)(E/S)(D/E)L(L/D/T)(D/A/S)(Y/F)(Y/M)を含み、これは、Stichtらによって同定された特定のペプチド(配列番号1;CAI)と、その研究において使用されたC−CANCタンパク質に最も頻繁に結合したペプチドにおいてStichtらによって同定された、その配列中の置換物の組合せである(Stichtら、2005年の表1を参照されたい)。
また、ペプチドは11〜23アミノ酸を含むことも好ましく、その場合、(Y/F/I/L/V/M/T)に続くアミノ酸は(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M/K)である。11番目のペプチドに対するアミノ酸選択肢(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M/K)は、Stichtら(2005年)によって同定され、前述の保存的置換を有する。より好ましくは、(Y/F/I/L/V/M/T)に続くアミノ酸はGである。
ペプチドが12〜23アミノ酸を含むことはなおさら好ましく、その場合、(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M/K)に続くアミノ酸は(P/M/R/K)、好ましくはPである。最も好ましい実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は、ITFEDLLDYYGP(配列番号1)を含む。
2つの非天然アミノ酸間の好ましい架橋は、
(式中、(C)は非天然アミノ酸のα炭素である)
である。
好ましくは、非天然アミノ酸は、i番目およびi+4番目に存在する。最も好ましくは、これらは、ペプチドの4番目のアミノ酸[(D/E/S)]および8番目のアミノ酸[(D/E/S)]、ペプチドの7番目のアミノ酸[(L/D/T/F/I/V/Y/M/W)]および11番目のアミノ酸[(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M)]、またはペプチドの8番目のアミノ酸[(D/E/S)]および12番目のアミノ酸[(P/M/R/K)]を置換する。
最も好ましくは、ペプチドは、
を含むか、またはそれからなる。
本発明のペプチドは細胞に入ることができるため、細胞中に任意の付加的な有用部分、例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、金属などを送達するための送達系としてそれらを使用することができる。これらのペプチドが、細胞中に送達すべき付加的な部分を含む場合、この付加的な部分は、好ましくは、検出可能な部分、治療用化合物、または抗原である。好ましい検出可能な部分としては、蛍光性部分および放射性部分が挙げられる。ペプチドが抗原をさらに含む場合、抗原は、有用な免疫学的応答を誘発することができる任意のものでよい。非限定的な例としては、ウイルスに対する免疫性を誘導することができるウイルス抗原、および細菌、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する免疫性を誘導する抗原、または寄生虫に対する免疫性を誘導する抗原、例えば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)抗原が挙げられる。好ましいウイルス抗原はHIV抗原である。
その部分が治療用化合物である場合、化合物は、現在公知であるか、または後に発見される任意の治療用化合物でよく、例えば、長さ20アミノ酸未満、または長さ10アミノ酸未満のオリゴペプチドが挙げられる。好ましい治療用化合物は、分子量2000未満の有機化合物、例えば、抗ウイルス化合物である。このような治療用化合物は、例えば、細胞内エステラーゼに感受性であるエステル結合によりペプチドの残部に結合して、ペプチドが細胞に入るまで治療用化合物が確実に放出されないようにしているプロドラッグの形態でよい。このようなプロドラッグを作製する方法は、当技術分野において公知である。
実施例で明らかにするように、このペプチド
は細胞に入り、かつHIV繁殖を阻害することができる。いかなる特定の機序にも拘泥するものではないが、このペプチドはHIV gagタンパク質のカプシドドメインに結合して、ウイルス構築、したがって複製を妨害すると考えられている。したがって、本発明のペプチドは、任意のカプシド含有ウイルスに結合し、かつその複製を阻害すると予想される。このようにして、好ましいペプチドは、細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害することができる。カプシド含有ウイルスの例としては、HIVなどのレンチウイルスを含むレトロウイルス科(Retroviridae);風疹ウイルスを含むトガウイルス科(Togaviridae);エンテロウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、およびA型肝炎ウイルスなどのピコルナウイルス科(Picornaviridae);インフルエンザウイルスなどのオルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae);パラミクソウイルスなどのパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae);ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルス科(Herpesviridae);B型肝炎ウイルスなどのヘプナウイルス科(Hepnaviridae);フラビウイルス、C型肝炎ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、およびデング熱ウイルスなどのフラビウイルス科(Flaviviridae);SARSウイルスおよびトロウイルスを含むコロナウイルスなどのコロナウイルス科(Coronaviridae);エボラウイルスやマルブルグウイルスなどのフィロウイルス科(Filoviridae);ハンタウイルスやアレナウイルスなどのブニヤウイルス科(Bunyaviridae)が挙げられる。
カプシド含有ウイルスは、好ましくは、レトロウイルス、例えば、HIV、HTLV−I、II、およびIII、ネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、ネコ肉腫ウイルスもしくはネコ白血病ウイルス、またはウシ白血病ウイルスである。
より好ましくは、ペプチドは、レンチウイルスの複製を阻害する。最も好ましい実施形態では、ペプチドは、HIVの複製を阻害することができる。実施例では、前述のペプチドが多様なHIV分離株を阻害することを示すため(表1)、これらのペプチドは、HIV−1およびHIV−2を含む任意のHIV株を阻害できることが予想される。
本発明はまた、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドを、製薬上許容される担体中に含む薬剤組成物も対象とする。
前述の化合物は、個々の用途に応じて適宜、ヒトを含む哺乳動物に投与するために、過度に実験をすることなく製剤化することができる。さらに、これらの組成物の適切な投与量も、標準的な用量反応プロトコルを用いて、過度に実験をすることなく決定することができる。
したがって、経口投与、経鼻投与、舌投与、舌下投与、頬側投与、および口腔内投与のために設計される組成物は、過度に実験をすることなく、当技術分野において周知の手段によって、例えば、不活性な希釈剤または可食性の担体を用いて、作製することができる。これらの組成物は、ゼラチンカプセル剤中に封入してもよく、または圧縮して錠剤にしてもよい。経口的な治療的投与をするために、本発明の薬剤組成物を賦形剤と混合し、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラート剤、およびチューインガムなどの形態で使用することができる。
錠剤、丸剤、カプセル剤、およびトローチ剤などは、結合剤、レシピエント(recipient)、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、および矯味剤も含んでよい。結合剤のいくつかの例としては、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンが挙げられる。賦形剤の例としては、デンプンまたはラクトースが挙げられる。崩壊剤のいくつかの例としては、アルギン酸およびトウモロコシデンプンなどが挙げられる。滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カリウムが挙げられる。流動促進剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素である。甘味剤のいくつかの例としては、スクロースおよびサッカリンなどが挙げられる。矯味剤の例としては、ペパーミント、サリチル酸メチル、およびオレンジ香料などが挙げられる。これらの様々な組成物を調製する際に使用される材料は、薬学的に純粋であり、かつ、使用される量で非毒性であるべきである。
これらの化合物は、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、くも膜下腔内注射、または皮下注射によってなど、非経口的に容易に投与することができる。非経口投与は、これらの化合物を液剤または懸濁剤中に混合することによって遂行することができる。このような液剤または懸濁剤は、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶剤などの無菌希釈剤も含んでよい。非経口製剤はまた、例えば、ベンジルアルコールやメチルパラベンなどの抗菌剤、例えばアスコルビン酸や重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、およびEDTAなどのキレート剤も含んでよい。また、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムやデキストロースなど張性を調整するための作用物質も、添加してよい。非経口製剤は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与用バイアル中に入れることができる。
直腸投与は、薬剤組成物中の化合物を直腸または大腸中に投与するステップを含む。これは、坐剤または浣腸を用いて遂行することができる。坐剤製剤は、当技術分野において公知の方法によって容易に作製することができる。例えば、坐剤製剤は、グリセリンを約120℃まで加熱し、組成物をグリセリン中に溶解し、加熱したグリセリンを混合し(この後、精製水を添加してもよい)、熱い混合物を坐剤の鋳型中に流し込むことによって、調製することができる。
経皮投与は、皮膚を経由した組成物の経皮的吸収を含む。経皮製剤としては、パッチ(周知のニコチンパッチなど)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、および膏薬などが挙げられる。
本発明はさらに、細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害する方法も対象とする。これらの方法は、細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害するのに十分な様式で、細胞を、カプシド含有ウイルスを阻害できる前述のペプチドと接触させるステップを含む。
これらの方法は、任意のカプシド含有ウイルスに対して有用である。好ましくは、ウイルスはレトロウイルス、より好ましくはレンチウイルス、最も好ましくはHIVである。
カプシド含有ウイルスに感染した任意の原核細胞、真核細胞、または古細菌細胞を、本発明のペプチドで処置することができる。この方法では、(例えば、実施例におけるもののように)培養状態の細胞、または好ましくは、任意の植物もしくは動物を含めて、生きた多細胞生物の細胞を利用することができる。より好ましくは、細胞は、カプシド含有ウイルスに感染した生きた脊椎動物の一部分である。さらにより好ましくは、細胞は、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物中に存在する。さらにより好ましくは、哺乳動物はヒト、最も好ましくは、HIVに感染したヒトである。
ウイルスが生きた哺乳動物中に存在する場合、本発明の方法は、少なくとも1種の他の抗ウイルス治療、例えば、HIVに対して使用される任意の抗ウイルス治療またはその組合せと併用して使用され得ることが企図される。
本発明は、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法もさらに対象とする。これらの方法は、哺乳動物を治療するのに十分な様式で、前述の薬剤組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
これらの方法は、任意のカプシド含有ウイルスに対して有用である。好ましくは、ウイルスはレトロウイルス、より好ましくはレンチウイルス、最も好ましくはHIVである。
これらの方法のためのペプチドは、好ましくは、
を含む。
これらの方法のいくつかの応用は、ウイルスに感染した妊娠した雌を処置して、子宮内の胎仔に、または分娩中の仔に、ウイルスを渡すリスクを低下させることを含む。
本発明の方法は、少なくとも1種の他の抗ウイルス治療、例えば、HIVに対して使用される任意の抗ウイルス治療またはその組合せと併用して使用され得ることが企図される。
これらの方法はまた、カプシド含有ウイルスの感染に対抗する予防法として使用することもできる。したがって、本発明は、カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置する方法もさらに対象とする。これらの方法は、哺乳動物を処置するのに十分な様式で、前述の薬剤組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。
これらの方法は、任意のカプシド含有ウイルスに対して有用である。好ましくは、ウイルスはレトロウイルス、より好ましくはレンチウイルス、最も好ましくはHIVである。
これらの方法のためのペプチドは、好ましくは、
を含む。
これらの方法のいくつかの応用は、ウイルスに感染した母親の子宮内の胎仔を処置して、子宮内の胎仔に、または分娩中の仔に、ウイルスを渡すリスクを低下させることを含む。
また、本発明の方法は、少なくとも1種の他の抗ウイルス治療、例えば、HIVに対して使用される任意の抗ウイルス治療もしくはその組合せ、またはワクチン接種を含む任意の予防的抗ウイルス治療と併用して使用され得ることも企図される。
さらに、本発明は、前述のペプチドのいずれかを作製する方法も対象とする。これらの方法は、アミノ酸を順次結合させ、次いで、オレフィンメタセシスを用いて、非天然アミノ酸の2つのオレフィン基を連結するステップを含む。これらの方法は、例えば、Schafmeisterら、2000年、Walenskyら、2004年、米国特許出願公開第2006/0008848A1号、およびPCT特許出願国際公開第2005/044839A2号パンフレットに記載されている。好ましくは、固相合成を用いてアミノ酸を結合する。
本発明はまた、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療するための医薬品を製造するための、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドのいずれかの使用も対象とする。
さらに、本発明は、哺乳動物がカプシド含有ウイルスに感染するようになるリスクを低下させるための哺乳動物を処置するための医薬品を製造するための、カプシド含有ウイルスの構築を阻害できる前述のペプチドのいずれかの使用も対象とする。
また、本発明は、カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療するための前述の薬剤組成物の使用も対象とする。
本発明はさらに、カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置するための前述の薬剤組成物の使用も対象とする。
本発明の好ましい実施形態は、以下の実施例において記述される。本明細書における特許請求の範囲内の他の実施形態は、本明細書において開示する本発明の明細書および実施を考慮することにより、当業者には明らかであろう。明細書は、実施例と共に、例示にすぎないとみなされ、本発明の範囲および精神は、実施例に続く特許請求の範囲によって示されることが意図される。
実施例への導入
C−CAに結合したCAI(配列番号1)のX線結晶構造を、構造に基づいたアプローチによるCAIの合理的修飾において使用して、らせん状で代謝的に安定であり、かつ細胞に侵入する制約されたペプチド(CPCP)を形成させた。C−CAの疎水性間隙に結合するCAI中の不可欠なアミノ酸が保存され、かつ直鎖状ペプチドをタンパク質分解に対して安定な細胞侵入ペプチドに変換する場合には、制約されたペプチドのin vivoでの抗ウイルス効力が実現され得ると推論した。
細胞透過性は、標的部位が細胞内部に位置している場合には、任意の薬物がin vivo活性を有するための必要条件である。ペプチドベースの阻害物質は細胞透過性を欠いているため、in vivoでの用途での有用性が限定される。ペプチドのらせん構造および代謝安定性を向上させる多くの技術が報告されている。いくつかの場合では、in vitroアッセイにおいて改善した結合親和力が報告されている。しかし、in vivoまたは細胞ベースのアッセイにおける阻害効力はめったに報告されなかったことから、これらの修飾によっては、これらのペプチドは細胞に対して透過性になり得ないことが示唆された(Phelanら、1997年、Leducら、2003年、Yangら、2004年、Wangら、2005年)。したがって、本発明者らは、Schafmeisterらによって報告されている(Schafmeisterら、2000年)、直鎖状ペプチドのαらせん性を安定化させる、新しくかつ実験で確認された技術に頼った。この方法は、全炭化水素の架橋系に基づいており、ヘリックスのiおよびi+4またはi+7位のアミノ酸が、オレフィン側鎖を有する合成によって制約されたアミノ酸で置換され、次いで、オレフィンメタセシスによってこれらが架橋された。この技術は「炭化水素ステープリング」と呼ばれ、Walenskyらによって、in vivoでアポトーシスを活性化する際にBCL−2ホモロジー(BH)タンパク質BH3に最近成功裡に適用された(Walenskyら、2004年)。らせん安定性および代謝安定性を有する制約されたBH3ペプチドは、実質的にそれが増加しただけでなく、より効率的に細胞に侵入し、また、マルチドメインBCL−2に対する結合親和力の増大も示した。
(実施例1)
ペプチド合成
(S)−Fmoc−2−(2’−ペンテニル)アラニンの不斉合成物を、Qiuら(2000年)の方法により、Ala−Ni(II)−BPB−複合体を用いて調製した。構造
を有する制約されたペプチドを、Fmoc固相合成法により、RinkアミドMBHA樹脂(0.33mmol/g)を用いて手作業で合成した。通常のアミノ酸の場合、連結は、4倍過剰の活性化アミノ酸を用いて実施した。Fmoc−アミノ酸:HBTU:HOBt:DIEAを1:1:1:2の比率で用いて、Fmoc−アミノ酸を活性化した。(S)−Fmoc−2−(2’−ペンテニル)アラニンの場合、2倍過剰のアミノ酸を用いて連結を実施し、また、DIC:HOAt(1:1)を用いて活性化した。ペプチドオレフィンメタセシス(Shafmeisterら、2000年)のために、Fmoc基で保護されたN末端を有するペプチド樹脂を、室温で2時間、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド(10mM)を含む脱気した1,2ジクロロエタンで処理し、また、完了させるために、反応を一度繰り返した。脱Fmoc後、標準プロトコルを用いて(95%TFA、2.5%水、2.5%TIS)、樹脂に結合したペプチドを切断した。切断したペプチドを、0.1%(v/v)TFA/水および0.1%(v/v)TFA/アセトニトリルを用いたRP−HPLCによって精製し、エレクトロスプレー質量分析を用いて、それらの同一性を確認した。
蛍光標識したペプチドの場合、樹脂上で上記の制約されたペプチドのN末端の基をβ−AlaおよびFITC(DMF/DIEA)でさらに誘導体化した後、切断した。他の切断、精製、および確認ステップは、上記と同じであった。
(実施例2)
直鎖状ペプチドおよび制約されたペプチドの細胞取込みの評価
制約されたペプチドが細胞に侵入することを示すための最初の実験では、2種の異なる細胞型、すなわち293T細胞およびMT−2細胞を用いて、蛍光標示式細胞分取器(FACS)解析を実施した(図1)。しかし、FACS解析における結果では、ペプチドが細胞表面と結合する場合があるため、制約されたペプチドが細胞に侵入したかどうかを決定的に示すことができないことを示す最近の報告がある(Richardら、2003年、Lundbergら、2002年)。そこで、共焦点顕微鏡研究を実施して、制約されたペプチドが実際に細胞膜に侵入し、細胞によって取り込まれたのに対し、直鎖状ペプチド(CAI)は侵入しないことを決定的に示した(図2)。
FITCを結合させたペプチドで処理した細胞のFACS解析。293T細胞およびMT2細胞を、RPMI 1640(Invitrogen社)、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン、50mM HEPES pH7、および50mM β−メルカプトエタノール中で維持した。FITCを結合させたペプチドで処理する前の日に、細胞を24ウェルプレート中に播種した(2×10個/ウェル)。1×PBSで2回洗浄した後、37℃で4時間、無血清培地に溶かした5μMのFITCを結合させたペプチドと共に細胞をインキュベートし、次いで、1×PBSで3回洗浄し、37℃で30分間、0.25%トリプシンで消化した。1×PBSでもう1回洗浄した後、再懸濁させた細胞をFACS解析(Becton Dickinson社)に供した。このデータから、293T細胞の約40%および96%が、それぞれ、FITCを結合させたCAIおよびFITCを結合させたNYAD−1に関して陽性に染色されたことが示される。一方、MT−2細胞のどれも、FITCを結合させたCAIに関して陽性に染色されることはなかったが、MT−2細胞の約92%が、FITCを結合させたNYAD−1に関して陽性に染色された。
共焦点顕微鏡検査。293T細胞およびMT2細胞を4ウェルチャンバープレートに播種し、無血清培地中で4時間、または/および血清を含む完全培地中でさらに16時間、前述したように、FITCを結合させたペプチドと共にインキュベートした。1×PBSで3回洗浄した後、共焦点顕微鏡(Zeiss社)のもとで生細胞を検査し、画像化した。図2に示したように、制約されたペプチドは細胞膜に侵入し、細胞によって取り込まれたのに対し、直鎖状ペプチド(CAI)は侵入しなかった。
(実施例3)
in vitroでの構築の阻害
無細胞の方法および細胞ベースの方法の両方を用いて、CAIおよびNYAD−1で処理した後のウイルス様粒子の形態学的変化を観察した。
無細胞系。(Husebyら、Ganser−Pornillosら)によって説明されている内容を少し修正して用いて、in vitroの構築系を設定した。本発明者らは、50mM NaHPO、pH8.0を透析緩衝液として使用した。構築研究のために使用した緩衝液は、0.1〜2MのNaClも含んだ。500−Da−MWCO(分画分子量)の透析チューブ(Spectra/Por)をペプチド透析のために使用した。手短に言えば、pH8.0のNaHPO緩衝液を用いて、ストックタンパク質を適切な濃度に調整した(Gagタンパク質の場合25μΜ、CAタンパク質の場合50μM)。5%の大腸菌(E.coli)全RNA(RNA:タンパク質=1:20(重量比))を添加し、5倍過剰のCAIもしくはNYAD−1と共に、またはそれらを伴わずに4℃で30分間インキュベーションした後、100mMのNaClを含むpH8.0のNaHPO緩衝液中で、4℃で一晩、試料を透析した。CA成熟様粒子の構築の場合、5%の大腸菌全RNAの添加は避けた。陰性染色を用いて構築を確認した。組み立てられた未成熟または成熟ウイルス様粒子(VLP)に対する阻害効果を試験するために、様々な濃度のCAIまたはNYAD−1をVLPと共に4℃で30分間インキュベートした。炭素でコーティングした銅製グリッド(200メッシュサイズ;EM Sciences社)を、20μlのポリ−L−リシン(1mg/ml;Sigma社)で2分間処理した。反応溶液20μlをグリッド上に2分間置いた。次いで、スポットされたグリッドを、酢酸ウラニル溶液30μlで2分間染色した。過剰な染色は除去し、グリッドを風乾させた。Philips EM410電子顕微鏡で標本を検査した。
NYAD−1が、未成熟ウイルスの構築および成熟ウイルスの構築の両方を阻害する能力を保持しているかどうかを検証するために、本発明者らは、2つのin vitroの構築系を設定した。本発明者らは、完全長Gagタンパク質を用いて、球形の未成熟様粒子を形成させた(図4a)。5倍モル過剰のCAIまたはNYAD−1と共にインキュベーションした後、これらの粒子を完全に粉砕した(図4bおよびc)。成熟様粒子の場合、本発明者らはCAタンパク質を発現させ、精製し、筒型の粒子を得た(図4d)。5倍モル過剰のCAIまたはNYAD−1いずれかと共にインキュベーションした後、これら筒型の粒子を完全に粉砕した(図4eおよびf)。成熟様粒子を形成させるためにCANCの代わりにCAを用いた理論的根拠は、NYAD−1がCAのみを標的とすることを確認することであった。
細胞ベースの系。VLP放出およびVLPの形態に対するNYAD−1の影響を解析するために、GagまたはGag−polをコードするプラスミドによるトランスフェクション後1日目に電子顕微鏡検査を実施した。トランスフェクションの前日に、ウェル当たり4×10個の293T細胞を6ウェルプレート中に播種した。4時間のトランスフェクション後に細胞を2回洗浄し、また、様々な濃度のNYAD−1の存在下または不在下で、さらに20時間、完全培地と共にインキュベートした。100mMカコジル酸ナトリウム中3%グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)中で1時間細胞を固定し、また、100mMカコジル酸ナトリウム中1%OsOでさらに1時間、後固定した。次いで、段階的な濃度系列のエタノール溶液を通過させて標本を脱水し、EPON封入剤中に包埋した。酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で染色した後、80KvのPhilips EM410電子顕微鏡で超薄切片を検査した。
NYAD−1が細胞中の未成熟様粒子および成熟様粒子を破壊することを確認するために、本発明者らは、ELISA、ウェスタンブロット、および電子顕微鏡検査(EM)を用いて、放出された粒子を定量的にも定性的にも評価した。ELISAの結果から、Gagをトランスフェクトされた293T細胞を、段階的な濃度のNYAD−1で処理した場合、ウイルス様粒子の放出が用量依存的に阻害されることが示された。50μΜの用量では、未成熟様粒子の放出は、未処理の細胞と比べて約72分の1に減少することが観察された(図5A)。NYAD−1で処理した、Gag−polをトランスフェクトされた293T細胞でも、同様の結果(67分の1に減少)が得られる(図5B)。また、上清を用いて実施したウェスタンブロット実験によっても、NYAD−1で処理した、Gagをトランスフェクトされた細胞(図5C)とGag−polをトランスフェクトされた細胞(図5D)の双方の同様の阻害傾向が確認された。
未処理のGagをトランスフェクトされた293T細胞の電子顕微鏡解析により、明瞭な未成熟様粒子が示された(図6A)。しかし、細胞を6.25μMまたは50μMのNYAD−1で処理した場合、粒子の大多数は異常な形状を有している(図6BおよびC)。未処理のGag−polをトランスフェクトされた293T細胞の場合、高電子密度のコア構造体を含む多数の成熟様粒子が存在した(図6D)。これらの細胞を6.25μMまたは50μMのNYAD−1で処理した場合、高電子密度のコア構造体は、放出されたウイルス様粒子(VLP)において失われていた(図6EおよびF)。まとめると、これらのデータから、NYAD−1がGagを標的とし、細胞レベルでGagまたはその産生物の組織化を障害することが裏付けられる。
(実施例4)
ウイルス複製の阻害およびin vitroでの細胞毒性の評価
MT−2細胞およびPBMC細胞、ならびに実験室に適応させたいくつかのHIV−1株、例えば、AZT耐性分離株を含めて、HIV−1 IIIB、BaL、SF2、SF162、93N101、93US657、93MW959、92RW008などを、ウイルス阻害アッセイのために使用した。細胞株およびHIV−1株は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Programを通じて得ることができる。
実験室に適応させたHIV−1株による感染に対する、実施例1において説明した制約されたペプチドの阻害活性を、Jiangら(1991年)に記載されているようにして決定した。手短に言えば、1×10個のMT−2細胞を、段階的な濃度のペプチドの存在下または不在下で、10%FBSを含むRPMI1640培地200μl中の100TCID50(50%組織培養感染量)(0.01MOI)のHIV−1に一晩感染させた。次いで、培養上清を除去し、新鮮な培地を添加した。感染後4日目に、培養上清100μlを各ウェルから採取し、等体積の5%TritonX−100と混合し、Coulter Immunology(ハイアリーア、フロリダ州)社製のキットを用いたELISAによってp24抗原に関して分析し、表1に提示した。
初代HIV−1分離株による感染に対するこれらのペプチドの阻害活性を、Jiangら(2004年)に記載されている方法によって決定した。Histopaque−1077(Sigma社)を用いた標準的な密度勾配遠心分離によって、New York Blood Centerの健常なドナーの血液からPBMCを単離した。これらの細胞を37℃で2時間培養した。非接着細胞を採取し、10%FBS、5μg/ml PHA、および100U/ml IL−2(Sigma−Aldrich社)を含むRPMI−1640培地中に細胞5×10個/mlで再懸濁し、続いて、37℃で3日間インキュベーションした。PHAで刺激した細胞(5×10個)を、段階的な濃度のペプチドの不在下または存在下で、500TCID50の対応する初代HIV−1分離株に感染させた。培地を3日毎に交換した。感染後7日目に上清を採取し、ELISAによってp24抗原について試験した。p24産生の阻害率を算出し、また、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software Inc.社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いてIC50値を算出し、表1に提示した。
MT−2細胞およびPBMCにおける制約されたペプチドのin vitroでの細胞毒性を、先行技術において報告されているように(Jiangら、2004年)、XTT(ナトリウム3’−(1−(フェニルアミノ)−カルボニル)−3,4−テトラゾリウム−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン(bezenesulfonic)酸水和物)、明るい黄みがかったテトラゾリウム色素を用いた比色法によって測定した。手短に言えば、MT−2細胞の場合、段階的な濃度のペプチド100μlを、96ウェルプレートのウェル中の等体積の細胞(5×10個/ml)に添加し、続いて37℃で4日間インキュベーションした。これは、ウイルスの代わりに培地を添加する点のみ異なる、MT−2における中和アッセイと並行して実施した。PBMCの場合、5×10個の細胞/mlを使用し、7日後に細胞毒性を測定した。XTT(PolySciences,Inc.社、ウォリントン、ペンシルベニア州)を添加した後、4時間後に、620nmでの参照値を用い、450nmで比色分析することより、可溶性の細胞内ホルマザンを定量した。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software Inc.社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて細胞毒性パーセントおよびCC50(50%細胞毒性を与える濃度)の値を算出し、表1に記載した。
NYAD−1は、無細胞の構築系ならびに細胞ベースの構築系において、未成熟様粒子および成熟様粒子の双方の阻害を示した。しかし、本発明者らの目標は、それぞれ、MT−2細胞およびPBMCにおいて、いくつかの実験室に適応させた分離株および初代分離株を用いた細胞ベースのアッセイにおけるその抗HIV−1活性を確認することであった。NYAD−1によるMT−2細胞におけるp24産生の阻害を、ある範囲の濃度に渡って測定し、p24産生を50%阻害するのに必要とされる濃度(IC50)を算出した。表1の結果から、NYAD−1が、R5、X4、またはR5X4補助受容体を使用する様々な亜型に相当する広範囲のHIV−1株を効率的に阻害したことが示される。NYAD−1は、低濃度(μM)の効力で(IC50約4〜15μM)、実験室株を阻害し、また、R5向性ウイルスおよびX4向性ウイルスはどちらも同様の効力で阻害された。また、本発明者らが、MT−2において1つのX4向性RT耐性(AZT)株、PBMCにおいて1つの二重向性(R5X4)RT耐性(AZT)株も試験したところ、NYAD−1は、若干高い効力で、二重向性耐性ウイルスを阻害した。
本発明者らは、補助受容体の用法が多様な、主としてグループM(亜型A〜G)に相当するHIV−1初代分離株のパネルに対するNYAD−1の阻害をPBMCにおいて試験した。NYAD−1は、グループOに属する1種も含めて、試験したすべての初代分離株に対する阻害を示した(表1)。しかし、このウイルス(BCF02)ならびにクレードEに属する1種(93TH051)に対するIC50値は、わずかに高かった。この多様な範囲の初代分離株に対する阻害活性が類似していたことから、広範囲のHIV−1分離株に対する有効性が示唆される。
MT−2細胞およびPBMCの双方において、XTT法によってNYAD−1の細胞毒性を評価した。HIV−1阻害アッセイと並行して、細胞毒性アッセイを実施した。MT−2およびPBMCに対するCC50(50%の細胞毒性をもたらすのに必要とされる阻害物質濃度)値は、それぞれ、135μM超および300μM超であった。
(実施例5)
炭化水素ステープリングによって増大させたNYAD−1のαらせん性
本発明者らは、円偏光二色性(CD)を用いて、溶液中の複合体形成していない状態のNYAD−1およびCAIの2次構造を特徴付けた。20℃、最終濃度125〜500μMの1〜15%(体積/体積)アセトニトリルの存在下、Tris−HCl緩衝液(20mM Tris、pH8.0)中で、標準的な測定パラメーターを用いて、Jasco J−715 Spectropolarimeter(Jasco Inc社、日本)によってCDスペクトルを得た。すべての試料において、ペプチドおよび塩の最終濃度は常に同じであり、また、適切な参照溶媒のCDスペクトルを引くことによってスペクトルを補正した。222nmでのモル楕円率([θ])の値から、αヘリックスの比率(%)を算出した。CAIのCDスペクトルは、222nmおよび208nmで典型的なヘリックス最小値を示さず、もっと正確に言えば、溶液中でのランダムコイル構造を示す、205nmでの強い最小値が観察された。このことは、結合により、C−CAと複合体を形成したCAIペプチドの立体配座の変化が誘導されたことを裏付ける。一方、NYAD−1のCDスペクトルは、222nmおよび208nmの双方で別個の最小値を示した。222nmでのモル楕円率の値から算出したNYAD−1のαらせん性は約80%である。これらの結果は、炭化水素ステープリングによってCAIのαらせん性が増大するという本発明者らの仮説を裏付ける。
(実施例6)
NYAD−1はHIV−1 Gagと共局在する
NYAD−1は細胞に侵入するが、それがGagポリタンパク質と共局在し、かつ相互作用して、ウイルス構築を阻害することは確実でない。この懸念に対処するために、本発明者らは、HIV−1 Gag−mStrawberry融合タンパク質およびFITCを結合させたNYAD−1を用いて、直接的な共局在実験を実施した。pEF6A−Gag−mStrawberryを293T細胞に4時間トランスフェクトし、次いでPBSで1回細胞を洗浄することによって、直接的な共局在研究を実施した。FITCを結合させたペプチドを含む無血清培地または血清添加培地を添加して、さらに20時間培養した。3回洗浄した後、Zeiss LSM510レーザー走査型共焦点顕微鏡(Zeiss社)のもとでこれらの細胞を検査し、画像化した。Gag−mStrawberryをトランスフェクトさせた細胞を、FITCを結合させたNYAD−1に曝露した場合、かなりの割合が形質膜の近くで共局在した(図3、2つの異なる角度で示されたデータ)。共局在のデータから、NYAD−1の細胞透過性がしっかりと確かめられ、また、Gagポリタンパク質との相互作用が示される。
(実施例7)
NYAD−1の結合部位のNMRマッピング
化学シフト差のマッピングを用いて、NYAD−1のC−CA結合部位相互作用を特徴付けた。NYAD−1は水性緩衝液への溶解性が乏しいため(約10μM)、同じプロトコルを用いて、C末端に3つのリシンを有する配列が同一の第2のペプチド(NYAD−13)を合成した。NYAD−13は水性緩衝液への溶解性が高く(約10mM)、NMR研究に使用された。
NMR試料。それぞれ唯一の窒素供給源および炭素供給源として15NHCl(Cambridge Isotope Laboratories)および[13]−グルコースを含むM9最少培地中で培養された大腸菌BL21(DE3)細胞において、変異体C−CA遺伝子をコードするpET14bプラスミドを発現させることによって、C−CA(W184A/M185A)の均等に15Nおよび15N/13Cを増やしたタンパク質試料を作製した。細菌から組換えタンパク質を単離し、質量分析法によって試料の完全性を確認した。100mM酢酸アンモニウム、pH7.0、95%HO/5%DOおよび2〜10mM DTTを含む緩衝液中でNMR試料を調製した。2980M−1cm−1の吸光係数を用いて、280nmでのUV吸光度からタンパク質濃度を決定した。
NMR共鳴帰属。ペプチドの不在下でのC−CAの主鎖帰属を380μM[U−15N、13C]の試料に対して実施した。Z軸勾配TXI CryoProbeを装備したBruker AVANCE 700MHz分光計を用いて、298°Kで、三重共鳴実験によりHNCA、HN(CO)CA、HNCACB、CBCA(CO)NH、HNCO、およびHN(CA)COを取得した。
NYAD−1は溶解性が乏しいため、C−CAとの複合体の三重共鳴実験は実現不可能であった。しかし、NYAD−1およびNYAD−13に結合したC−CAのH−15N−HSQCスペクトルは、ほとんど同一であり、本発明者らは、C−CAに結合した後者の帰属を追跡し、NYAD−1との複合体にそれらの帰属を転用することに決めた。非標識NYAD−13ペプチドの存在下の[U−15N、13C]C−CA試料を、同一の緩衝液条件下、1:1のモル比で調製した。この試料の最終タンパク質濃度は約1.9mMであった。帰属のために使用した主鎖実験は、Z軸勾配TXI CryoProbeを装備したBruker AVANCE 500MHz分光計を用いて、298°Kで実施した。
データはすべてTopspin1.3で処理し、CARA1.5を用いて解析した。84残基中79残基(5Pro)の主鎖化学シフトが、遊離のC−CAおよびNYAD−13と複合体を形成した状態のC−CAに帰属した。
NMR摂動アッセイ。NMRに基づいた滴定をNYAD−1およびNYAD−13の双方に対して実施した。NMRに基づいた滴定は、Z軸勾配TCI CryoProbeを装備したBruker AVANCE 900MHz分光計を用いて、298°Kで実施した。同一の緩衝液条件の3.77mM非標識NYAD−13の少量分取物5〜10μlを、NHAc緩衝液、5%DO、pH7.0、および10mM DTTに溶かした256μM[U−15N]C−CA試料500μlに添加した。ペプチド:タンパク質の最終比率は1:1.8であった。各添加後に、2D 15N−HSQCスペクトルを取得した。データはTopspin1.3で処理し、NMRViewJ バージョン6.12で解析した。
NHAc緩衝液、95%HO/5%DO、pH7.0、および10mMDTTに溶かした76μM[U−15N]C−CA試料500μlに、100%DMSOに溶かした100mM NYAD−1 6μlを添加することによって、第2の摂動アッセイを実施した。
NMRデータからのNYAD−13結合定数の計算。NYAD−1は溶解性が乏しいため、NYAD−13の結合定数のみ、NMR滴定データから算出することができる。C−CAへのペプチドの結合は、NMR時間尺度で遅く、ペプチド対タンパク質の各比率で、結合タンパク質および遊離タンパク質それぞれに対応するピークの2つのセットが観察された。結合したタンパク質の割合を、滴定を通じてのこれら2つのピークの相対強度の変化から算出し、また、標準的な式にフィッティングさせて、1.2±0.6μMのKを得た。第2の方法では、結合タンパク質の半分の高さの線幅を用いて、解離(koff)速度を算出した。実験によって決定されたkoffと拡散律速kon(約10−1−1)の比率から、0.2±0.1μMのKを算出した。
C−CAを用いたNYAD−1の滴定中に化学シフトを測定することにより、C−CAの構造上にマッピングされているアミド水素および窒素の化学シフトの大きな変化が明らかになった。遊離タンパク質および複合体の帰属は、方法の箇所で説明したようにして得た。最も顕著な変化は、残基169〜190に位置し、ヘリックス−1(161〜174)およびヘリックス−2(180〜192)を含む。これらの結果は、野生型タンパク質に結合したCAIのX線構造およびC−CA(W184A/M185A)に結合したCAIのNRMマッピング研究と完全に一致している。C−CAに結合したNYAD−1およびCAIの化学シフトの差異のプロファイルが著しく類似していることは、非常に類似した結合形態を支持するものである。
CAIは、C−CAの結合ポケット内での重要な疎水性(ヘリックス−1)およびN末端キャッピングの相互作用(ヘリックス−2)を生み出す両親媒性ヘリックスを形成することが示されていた。CAIペプチドのC末端は溶媒に完全に曝露されている。本発明者らの設計戦略によって、C−CAに結合するために非常に重要なCAIの残基は変化しなかったため、おそらく、NYAD−1は同様の様式で結合する。かさ高いオレフィン連結の役割は、いくらか心配されていたが、結合部位での相互作用を乱さないようであった。当初の設計の目標であったように、リンカーは、結合ペプチドの溶媒に曝露された表面上にある。
NYAD−1の低い溶解性により、NMRによるKの信頼性が高い推定は妨げられた。しかし、NMRによって観察された結合の緩徐な交換速度論により、Kの上限が約10μΜであることが裏付けられる。溶解性が高いNYAD−1類似体であるNYAD−13の結合は、すべての点でNYAD−1と同一であり、NMRによって約1μMのKが得られる。
NMR化学シフトマッピング研究に基づいて、本発明者らは、CAIの炭化水素ステープリングが、C−CAの結合部位における主要な相互作用を変更せず、また、親和力は低マイクロモル濃度の範囲にあると結論を下す。
参考文献
Abdurahman, S., Hoglund, S., Goobar−Larsson, L., & Vahlne, A.Selected amino acid substitutions in the C−terminal region of human immunodeficiency virus type 1 capsid protein affect virus assembly and release.J Gen Virol 85, 2903−2913 (2004)
Chien, A.I., Liao, W.H., Yang, D.M., & Wang, C.T.A domain directly C−terminal to the major homology region of human immunodeficiency type 1 capsid protein plays a crucial role in directing both virus assembly and incorporation of Gag−Pol.Virology.348, 84−95 (2006)
Chu, H.H., Chang, Y.F., & Wang, C.T.Mutations in the alpha−helix Directly C−terminal to the Major Homology Region of Human Immunodeficiency Virus Type 1 Capsid Protein Disrupt Gag Multimerization and Markedly Impair Virus Particle Production.J Biomed.Sci.13, 645−56 (2006).
Derdeyn, C.A.ら、J Virol.74, 8358 (2000).
Derdowski, A., Ding, L., & Spearman, P.A Novel Fluorescence Resonance Energy Transfer Assay Demonstrates that the Human Immunodeficiency Virus Type 1 Pr55Gag I Domain Mediates Gag−Gag Interactions.The Journal of Virology 78, 1230−1242 (2004).
Dong, X.ら、AP−3 directs the intracellular trafficking of HIV−1 Gag and plays a key role in particle assembly.Cell.120, 663−674 (2005).
Douglas, C.C., Thomas, D., Lanman, J., & Prevelige, P.E., Jr.Investigation of N−terminal domain charged residues on the assembly and stability of HIV−1 CA.Biochemistry.43, 10435−10441 (2004).
Forshey, B.M., von Schwedler, U., Sundquist, W.I., & Aiken, C.Formation of a human immunodeficiency virus type 1 core of optimal stability is crucial for viral replication.J Virol.76, 5667−5677 (2002).
Freed, E.O.HIV−1 gag proteins: diverse functions in the virus life cycle.Virology.251, 1−15 (1998).
Garzon, M.T.ら、The dimerization domain of the HIV−1 capsid protein binds a capsid protein−derived peptide: a biophysical characterization.Protein Sci 13, 1512−1523 (2004).
Ganser−Pornillos, B.K., von Schwedler, U.K., Stray, K.M., Aiken, C., & Sundquist, W.I.Assembly properties of the human immunodeficiency virus type 1 CA protein.J Virol 78, 2545−2552 (2004).
Gottlinger, H.G.The HIV−1 assembly machine.AIDS Suppl 5, S13−S20 (2001).
Grigorov, B., Arcanger, F., Roingeard, P., Darlix, J.L., & Muriaux, D.Assembly of infectious HIV−1 in human epithelial and T−lymphoblastic cell lines.J Mol Biol.359, 848−862 (2006).
Gross, I.ら、J.Virol 72, 4798 (1998).
Guo, X.ら、The R362A mutation at the C−terminus of CA inhibits packaging of human immunodeficiency virus type 1 RNA.Virology 343, 190−200 (2005).
Hoglund, S.ら、Tripeptide interference with human immunodeficiency virus type 1 morphogenesis.Antimicrob.Agents Chemother.46, 3597−3605 (2002).
Huseby, D., Barklis, R.L., Alfadhli, A., & Barklis, E.Assembly of human immunodeficiency virus precursor gag proteins.J Biol.Chem.280, 17664−17670 (2005).
Jiang, S.,ら、Journal of Experimental Medicine 174, 1557−1563 (1991).
Jiang, S.ら、Antimicrobial Agents and Chemotherapy 48, 4349−4359 (2004).
Joshi, A., Nagashima, K., & Freed, E.O.Mutation of dileucine−like motifs in the human immunodeficiency virus type 1 capsid disrupts virus assembly, gag−gag interactions, gag−membrane binding, and virion maturation.J Virol.80, 7939−7951 (2006).
Kieber−Emmonsら、Curr.Opin.Biotechnol.8, 435−441 (1997).
Kramer, B.ら、HIV interaction with endosomes in macrophages and dendritic cells.Blood Cells Mol Dis.35, 136−142 (2005).
Leduc, A.M.ら、Helix−stabilized cyclic peptides as selective inhibitors of steroid receptor−coactivator interactions.Proc Natl Acad Sci U S A.100, 11273−11278 (2003).
Li, F.ら、PA−457: a potent HIV inhibitor that disrupts core condensation by targeting a late step in Gag processing.Proc Natl Acad Sci U S A 100, 13555−13560 (2003).
Morikawa, Y.HIV capsid assembly.Curr HIV Res 1, 1−14 (2003).
Lundberg, M.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun., 291, 367 (2002).
Niedrig, M.ら、Inhibition of infectious human immunodeficiency virus type 1 particle formation by Gag protein−derived peptides.J Gen Virol 75 ( Pt 6), 1469−1474 (1994).
Nydegger, S., Foti, M., Derdowski, A., Spearman, P., & Thali, M.HIV−1 egress is gated through late endosomal membranes.Traffic.4, 902−910 (2003).
Ono, A.& Freed, E.O.Cell−type−dependent targeting of human immunodeficiency virus type 1 assembly to the plasma membrane and the multivesicular body.J Virol.78, 1552−1563 (2004).
Pelchen−Matthews, A., Kramer, B., & Marsh, M.Infectious HIV−1 assembles in late endosomes in primary macrophages.J.Cell Biol.162, 443−455 (2003).
Phelan, J.C., Skelton, N.J., Braisted, A.C., & McDowell, R.S.A General Method for Constraining Short Peptides to an a−Helical Conformation.J.Am.Chem.Soc.119, 455−460 (1997).
Qiu, W.ら、Tetrahedron, 56, 2577 (2000).
Richard, JPら、J.Biol.Chem., 278, 585 (2003).
Ripkaら、Curr.Opin.Chem.Biol.2, 441−452 (1998).
Sakalian, M.ら、3−O−(3’,3’−dimethysuccinyl) betulinic acid inhibits maturation of the human immunodeficiency virus type 1 Gag precursor assembled in vitro.J Virol 80, 5716−5722 (2006).
Sanderson.Med.Res.Rev.19, 179−197 (1999).
Schafmeister, C.E., Po ,J., & Verdine, G.L.An All−Hydrocarbon Cross−Linking System for Enhancing the Helicity and Metabolic Stability of Peptides.J.Am.Chem.Soc.122, 5891−5892 (2000).
Sherer, N.M.ら、Visualization of retroviral replication in living cells reveals budding into multivesicular bodies.Traffic.4, 785−801 (2003).
Sticht, J.ら、A peptide inhibitor of HIV−1 assembly in vitro.Nat.Struct.Mol Biol.12, 671−677 (2005).
Tang, C.ら、Antiviral inhibition of the HIV−1 capsid protein.J Mol Biol.327, 1013−1020 (2003).
Ternois, F., Sticht, J., Duquerroy, S., Krausslich, H.G., & Rey, F.A.The HIV−1 capsid protein C−terminal domain in complex with a virus assembly inhibitor.Nat.Struct.Mol Biol.12, 678−682 (2005).
Wang, D., Liao, W., & Arora, P.S.Enhanced Metabolic Stability and Protein−Binding Properties of Artificial Helices Derived from a Hydrogen−Bond Surrogate: Application to Bcl−xL.Angewandte Chemie International Edition 44, 6525−6529 (2005).
Walensky, L.D.ら、Activation of Apoptosis in Vivo by a Hydrocarbon−Stapled BH3 Helix.Science 305, 1466−1470 (2004).
Yang, B., Liu, D., & Huang, Z.Synthesis and helical structure of lactam bridged BH3 peptides derived from pro−apoptotic Bcl−2 family proteins.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14, 1403−1406 (2004).
米国特許出願公開第2006/0008848号A1
国際公開第05/044839号A2。
補遺−配列番号
配列番号1−抗ウイルス性ペプチド
ITFEDLLDYYGP
上記を考慮すると、本発明のいくつかの利点が実現され、また、他の利点が獲得されることが認められるであろう。
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法および組成物に様々な変更を加えることができるように、上記の明細書に含まれ、また添付図面に示される事柄はすべて、例示的に解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことが意図される。
本明細書において引用される参考文献はすべて、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書中の参考文献の考察は、著者らによってなされた主張を要約するためのものであるにすぎず、任意の参考文献が先行技術を構成することを認めない。出願者は、引用した参考文献の正確さおよび適切さを吟味する権利を保有する。

Claims (55)

  1. 長さ10〜23アミノ酸のペプチドであって、該アミノ酸のうち2つは、α炭素においてR型またはS型の立体化学配置を有する非天然アミノ酸であり、
    該非天然アミノ酸の該α炭素は、メチル基およびオレフィン基を含み、該非天然アミノ酸の2つのオレフィン基はαヘリックスの同じ側にあり、結合して該2つの非天然アミノ酸間の架橋を形成し、
    該ペプチドのアミノ酸配列は、(I/L/V)(T/S/A/V/C)(F/I/L/V/Y/M/W)(D/E/S)(D/E)(L/F/I/V/Y/M/W)(L/D/T/F/I/V/Y/M/W)(D/E/A/S)(Y/F/I/L/V/M/W)(Y/F/I/L/V/M/T)またはその模倣体を含み、
    該2つの非天然アミノ酸は、3アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+3)、4アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+4)、または7アミノ酸離れた任意の位置(iおよびi+7)の2つのアミノ酸を置換し、
    該2つの非天然アミノ酸間の該架橋は、C1〜C10アルキル、アルケニル、アルキニル、(R1−K−R1)であり、それぞれ0〜6個のR2で置換されており、
    R1は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
    Kは、O、S、SO、SO、CO、CONR4、または
    であり、
    R2は、ハロ、C1〜C10アルキル、OR3、N(R3)、SR3、SOR3、SOR3、COR3、R3、蛍光性部分、または放射性同位体であり、
    R3は、HまたはC1〜C10アルキルであり、
    R4は、H、アルキル、または治療用作用物質であり、
    nは、1〜4の整数である、
    ペプチド。
  2. 前記ペプチドのアミノ酸配列が、(I/V)(T/S)(F/W/Y)(E/S)(D/E)L(L/D/T)(D/A/S)(Y/F)(Y/M)を含む、請求項1に記載のペプチド。
  3. 11〜23アミノ酸を含み、(Y/F/I/L/V/M/T)に続くアミノ酸が(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M/K)である、請求項1に記載のペプチド。
  4. (Y/F/I/L/V/M/T)に続くアミノ酸がGである、請求項3に記載のペプチド。
  5. 12〜23アミノ酸を含み、(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M/K)に続くアミノ酸が(P/M/R/K)である、請求項3に記載のペプチド。
  6. 12〜23アミノ酸を含み、(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M/K)に続くアミノ酸がPである、請求項3に記載のペプチド。
  7. 前記ペプチドのアミノ酸配列が、ITFEDLLDYYGP(配列番号1)を含む、請求項1に記載のペプチド。
  8. 前記2つの非天然アミノ酸間の前記架橋が、
    (式中、(C)は非天然アミノ酸のα炭素である)
    である、請求項1に記載のペプチド。
  9. 前記非天然アミノ酸が、前記ペプチドの4番目のアミノ酸[(D/E/S)]および8番目のアミノ酸[(D/E/S)]を置換する、請求項1に記載のペプチド。
  10. 前記非天然アミノ酸が、前記ペプチドの7番目のアミノ酸[(L/D/T/F/I/V/Y/M/W)]および11番目のアミノ酸[(G/S/T/N/H/C/L/R/D/E/Q/M)]を置換する、請求項1に記載のペプチド。
  11. 前記非天然アミノ酸が、前記ペプチドの8番目のアミノ酸[(D/E/S)]および12番目のアミノ酸[(P/M/R/K)]を置換する、請求項5に記載のペプチド。
  12. を含む、請求項1に記載のペプチド。
  13. からなる、請求項1に記載のペプチド。
  14. 検出可能な部分、治療用化合物、または抗原をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のペプチド。
  15. 前記検出可能な部分、治療用化合物、または抗原が蛍光性部分である、請求項14に記載のペプチド。
  16. 前記検出可能な部分、治療用化合物、または抗原が放射性部分である、請求項14に記載のペプチド。
  17. 前記検出可能な部分、治療用化合物、または抗原が抗原である、請求項14に記載のペプチド。
  18. 前記抗原がHIV抗原である、請求項17に記載のペプチド。
  19. 前記検出可能な部分、治療用化合物、または抗原が治療用化合物である、請求項14に記載のペプチド。
  20. 前記治療用化合物が、長さ20アミノ酸未満のオリゴペプチドを含む、請求項19に記載のペプチド。
  21. 前記治療用化合物が、長さ10アミノ酸未満のオリゴペプチドを含む、請求項19に記載のペプチド。
  22. 前記治療用化合物が、分子量2000未満の有機化合物である、請求項19に記載のペプチド。
  23. 前記有機化合物が抗ウイルス化合物である、請求項22に記載のペプチド。
  24. 前記治療用化合物が、細胞内エステラーゼに感受性であるエステル結合により前記ペプチドの残部に結合している、請求項19に記載のペプチド。
  25. 細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害することができる、請求項1から24のいずれか一項に記載のペプチド。
  26. 前記カプシド含有ウイルスがレトロウイルスである、請求項25に記載のペプチド。
  27. 前記レトロウイルスがレンチウイルスである、請求項26に記載のペプチド。
  28. 前記レトロウイルスがHIVである、請求項26に記載のペプチド。
  29. 請求項25に記載のペプチドを製薬上許容される担体中に含む薬剤組成物。
  30. 細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害する方法であって、該細胞におけるカプシド含有ウイルスの複製を阻害するのに十分な様式で、該細胞を請求項25に記載のペプチドと接触させるステップを含む方法。
  31. 前記カプシド含有ウイルスがレトロウイルスである、請求項30に記載の方法。
  32. 前記カプシド含有ウイルスがレンチウイルスである、請求項30に記載の方法。
  33. 前記細胞が、前記カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物中に存在する、請求項30に記載の方法。
  34. 前記哺乳動物がヒトである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記ヒトがHIVに感染している、請求項34に記載の方法。
  36. 少なくとも1種の付加的な抗ウイルス治療で前記哺乳動物を治療するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
  37. カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物を治療するのに十分な様式で、請求項29に記載の薬剤組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む方法。
  38. 前記哺乳動物がヒトである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記カプシド含有ウイルスがレトロウイルスである、請求項37に記載の方法。
  40. 前記カプシド含有ウイルスがレンチウイルスである、請求項37に記載の方法。
  41. 前記カプシド含有ウイルスがHIVである、請求項38に記載の方法。
  42. 前記ペプチドが、請求項12に記載のペプチドである、請求項37に記載の方法。
  43. 前記哺乳動物が妊娠した雌である、請求項37に記載の方法。
  44. 少なくとも1種の付加的な抗ウイルス治療で前記哺乳動物を治療するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
  45. カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置する方法であって、該哺乳動物を処置するのに十分な様式で、請求項29に記載の薬剤組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む方法。
  46. 前記哺乳動物がヒトであり、前記レトロウイルスがHIVである、請求項45に記載の方法。
  47. 前記哺乳動物が出生間近のヒト胎児である、請求項45に記載の方法。
  48. 前記ペプチドが、請求項12に記載のペプチドである、請求項45に記載の方法。
  49. 少なくとも1種の付加的な抗ウイルス治療で前記哺乳動物を処置するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
  50. 請求項1から28のいずれか一項に記載のペプチドを作製する方法であって、アミノ酸を順次結合させ、次いで、オレフィンメタセシスを用いて、非天然アミノ酸の2つのオレフィン基を連結するステップを含む方法。
  51. 固相合成を用いて前記アミノ酸を結合する、請求項50に記載の方法。
  52. カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療するための医薬品を製造するための、請求項25に記載のペプチドの使用。
  53. 哺乳動物がカプシド含有ウイルスに感染するようになるリスクを低下させる、該哺乳動物を処置するための医薬品を製造するための、請求項25に記載のペプチドの使用。
  54. カプシド含有ウイルスに感染した哺乳動物を治療するための、請求項29に記載の薬剤組成物の使用。
  55. カプシド含有ウイルスに感染するリスクがある哺乳動物を処置するための、請求項29に記載の薬剤組成物の使用。
JP2009531418A 2006-10-05 2007-10-02 安定化した、治療用の小型のヘリックス性抗ウイルスペプチド Pending JP2010505831A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US84955106P 2006-10-05 2006-10-05
PCT/US2007/021156 WO2008045238A2 (en) 2006-10-05 2007-10-02 Stabilized therapeutic small helical antiviral peptides

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010505831A true JP2010505831A (ja) 2010-02-25
JP2010505831A5 JP2010505831A5 (ja) 2011-07-14

Family

ID=39283347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009531418A Pending JP2010505831A (ja) 2006-10-05 2007-10-02 安定化した、治療用の小型のヘリックス性抗ウイルスペプチド

Country Status (8)

Country Link
US (1) US8940864B2 (ja)
EP (2) EP2073829B1 (ja)
JP (1) JP2010505831A (ja)
AU (1) AU2007307254A1 (ja)
CA (1) CA2665186A1 (ja)
ES (1) ES2387827T3 (ja)
WO (1) WO2008045238A2 (ja)
ZA (1) ZA200901248B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016085280A1 (ko) * 2014-11-28 2016-06-02 서울대학교산학협력단 세포 투과성 스테이플 펩타이드, 이의 제조방법 및 그 용도

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8937154B2 (en) 2006-10-05 2015-01-20 New York Blood Center, Inc. Stabilized therapeutic small helical antiviral peptides
PT2118123E (pt) 2007-01-31 2016-02-10 Harvard College Péptidos de p53 estabilizados e suas utilizações
WO2008121767A2 (en) 2007-03-28 2008-10-09 President And Fellows Of Harvard College Stitched polypeptides
AU2009244400B2 (en) * 2008-05-06 2012-12-20 New York Blood Center Antiviral cell penetrating peptides
CA2737916A1 (en) * 2008-09-22 2010-03-25 Aileron Therapeutics, Inc. Peptidomimetic macrocycles
JP2012515172A (ja) 2009-01-14 2012-07-05 エルロン・セラピューティクス・インコーポレイテッド ペプチド模倣大環状分子
RU2582678C2 (ru) 2010-08-13 2016-04-27 Эйлерон Терапьютикс, Инк. Пептидомиметические макроциклы
TWI643868B (zh) 2011-10-18 2018-12-11 艾利倫治療公司 擬肽巨環化合物
EP2819688A4 (en) 2012-02-15 2015-10-28 Aileron Therapeutics Inc TRIAZOL AND THIOETHER-COUPLED PEPTIDOMIMETIC MACROCYCLES
JP6450191B2 (ja) 2012-02-15 2019-01-09 エイルロン セラピューティクス,インコーポレイテッド ペプチドミメティック大環状化合物
WO2014071241A1 (en) 2012-11-01 2014-05-08 Aileron Therapeutics, Inc. Disubstituted amino acids and methods of preparation and use thereof
US11039620B2 (en) 2014-02-19 2021-06-22 Corning Incorporated Antimicrobial glass compositions, glasses and polymeric articles incorporating the same
US11039621B2 (en) 2014-02-19 2021-06-22 Corning Incorporated Antimicrobial glass compositions, glasses and polymeric articles incorporating the same
US9622483B2 (en) 2014-02-19 2017-04-18 Corning Incorporated Antimicrobial glass compositions, glasses and polymeric articles incorporating the same
KR102570210B1 (ko) 2014-09-24 2023-08-23 에일러론 테라퓨틱스 인코포레이티드 펩티드모방 거대고리 및 이의 제제
KR20170058424A (ko) 2014-09-24 2017-05-26 에일러론 테라퓨틱스 인코포레이티드 펩티드모방 거대고리 및 이의 용도
JP2018516844A (ja) 2015-03-20 2018-06-28 エルロン・セラピューティクス・インコーポレイテッドAileron Therapeutics,Inc. ペプチド模倣大環状分子およびその使用
WO2017004548A1 (en) 2015-07-01 2017-01-05 Aileron Therapeutics, Inc. Peptidomimetic macrocycles
WO2017018595A1 (ko) * 2015-07-28 2017-02-02 동국대학교 산학협력단 이중 스테이플화된 펩타이드 및 이의 용도
US10023613B2 (en) 2015-09-10 2018-07-17 Aileron Therapeutics, Inc. Peptidomimetic macrocycles as modulators of MCL-1
US11279734B2 (en) 2017-12-01 2022-03-22 Massachusetts Institute Of Technology Solution-phase affinity selection of inhibitors from combinatorial peptide libraries
US20200102356A1 (en) * 2018-10-01 2020-04-02 NMC Inc. Compositions and Methods for the Treatment of Huanglongbing (HLB) aka Citrus Greening in Citrus Plants
WO2022036049A2 (en) * 2020-08-12 2022-02-17 New York Blood Center, Inc. Antiviral stapled peptides against sars-cov-2

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6187548B1 (en) * 1993-05-23 2001-02-13 Rhone-Poulenc Rorer Pharmaceuticals Inc. Methods using human calcium sensor protein, fragments thereof and DNA encoding same
US6239270B1 (en) * 1993-05-24 2001-05-29 Rhone-Poulenc Rorer S.A. Nucleic acids encoding human calcium sensor protein
US6790950B2 (en) * 1999-04-09 2004-09-14 Pharmacia & Upjohn Company Anti-bacterial vaccine compositions
MXPA01010207A (es) * 1999-04-09 2003-07-21 Pharmacia & Upjohn Inc Composiciones de vacuna antibacteriana.
US7192713B1 (en) 1999-05-18 2007-03-20 President And Fellows Of Harvard College Stabilized compounds having secondary structure motifs
US20020164655A1 (en) * 2000-10-17 2002-11-07 Myriad Genetics, Inc. Protein-protein interactions in neurodegenerative diseases
ES2586387T3 (es) 2003-11-05 2016-10-14 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Péptidos alfa helicoidales adecuados para activar o inhibir la muerte celular
WO2008008998A2 (en) * 2006-07-13 2008-01-17 Cell Signaling Technology, Inc. Reagents for the detection of protein phosphorylation in signaling pathways
WO2008009000A2 (en) * 2006-07-13 2008-01-17 Cell Signaling Technology, Inc. Reagents for the detection of protein phosphorylation in signaling pathways
MX2009002612A (es) * 2006-09-11 2009-12-15 Univ Illinois Modoficaciones de péptidos derivados de cupredoxinas y métodos de uso de los mismos.
PT2118123E (pt) 2007-01-31 2016-02-10 Harvard College Péptidos de p53 estabilizados e suas utilizações
JP5078401B2 (ja) * 2007-03-27 2012-11-21 株式会社Adeka 防水シート
CA2700925C (en) 2007-09-26 2016-08-23 Dana Farber Cancer Institute Methods and compositions for modulating bcl-2 family polypeptides
JP5788178B2 (ja) 2008-01-23 2015-09-30 ダナ ファーバー キャンサー インスティテュート インコーポレイテッド ウィルス感染症の治療のための組成物及び方法
AU2009244400B2 (en) * 2008-05-06 2012-12-20 New York Blood Center Antiviral cell penetrating peptides
EP2338056B1 (en) 2008-10-10 2018-01-03 Dana Farber Cancer Institute Chemical modulators of pro-apoptotic bax and bcl-2 polypeptides

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6012039228; Nat.Struct.Mol.Biol.,2005,12(8),p.671-7 *
JPN6012039229; Nat.Struct.Mol.Biol.,2005,12(8),p.678-82 *
JPN6012039230; J.Am.Chem.Soc.,2000,122(24),p.5891-2 *
JPN6012039232; Science,2004,305(5689),p.1466-70 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016085280A1 (ko) * 2014-11-28 2016-06-02 서울대학교산학협력단 세포 투과성 스테이플 펩타이드, 이의 제조방법 및 그 용도

Also Published As

Publication number Publication date
US20100130430A1 (en) 2010-05-27
US8940864B2 (en) 2015-01-27
EP2073829A2 (en) 2009-07-01
AU2007307254A1 (en) 2008-04-17
EP2073829A4 (en) 2010-03-03
EP2073829B1 (en) 2012-06-20
ZA200901248B (en) 2010-04-28
ES2387827T3 (es) 2012-10-02
WO2008045238A3 (en) 2008-07-24
CA2665186A1 (en) 2008-04-17
EP2517720A1 (en) 2012-10-31
WO2008045238A2 (en) 2008-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010505831A (ja) 安定化した、治療用の小型のヘリックス性抗ウイルスペプチド
Zhang et al. A cell-penetrating helical peptide as a potential HIV-1 inhibitor
US8933019B2 (en) Antiviral cell-penetrating peptides
JP2011522796A5 (ja)
JP4682251B2 (ja) 改善された生物学的特性を有するhiv融合阻害剤ペプチド
EP2035453B1 (en) Cd4 mimic peptides and their uses
Shojania et al. Intrinsic disorder and function of the HIV-1 Tat protein
CN106749558B (zh) 广谱抑制hiv的脂肽、其衍生物、其药物组合物及其用途
Tsuji et al. Exploratory studies on CA-15L, an anti-HIV active HIV-1 capsid fragment
US8937154B2 (en) Stabilized therapeutic small helical antiviral peptides
JP2020517741A (ja) Hivを強力に阻害するためのリポペプチド、その誘導体、その医薬組成物及びその使用
Tsuji et al. Potent leads based on CA-19L, an anti-HIV active HIV-1 capsid fragment
WO2007068163A1 (fr) Peptides inhibiteurs de la fusion du vih et leur utilisation
EP1401490A1 (en) Tsg101 as inhibitor of hiv production
AU2002303816A1 (en) TSG101 as inhibitors of HIV production
US20200115418A1 (en) Anti-hiv peptides
AU2012200580A1 (en) Stabilized therapeutic small helical antiviral peptides
CA2766417A1 (en) Stabilized therapeutic small helical antiviral peptides
Nangarlia Inactivation of HIV-1 and SARS-CoV-2 Viruses by Targeting Metastable Virus Spike Proteins
Gómara Elena et al. Importance of structure-based studies for the design of a novel HIV-1 inhibitor peptide
Gómara Elena et al. Structural study of a retro-enantiomer peptide with possible application in the pre-exposure prophylaxis of HIV infection
Spensiero Design and synthesis of new integrase inhibitors
WO2005068492A2 (en) Peptide inhibitors of retroviral integrase useful for the treatment of retroviral infection
EP2174948A1 (en) Antiviral polypeptides

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100601

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121018

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130227