JP2010505826A - プロポフォールの水溶性プロドラッグの水ベースの薬学的製剤 - Google Patents

プロポフォールの水溶性プロドラッグの水ベースの薬学的製剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、プロポフォールの水溶性プロドラッグの、水ベースの製剤を目的とする。本製剤は、水性媒体中に、抗酸化剤を含まない状態でプロポフォールの有効量の水溶性プロドラッグを含む。本製剤は特に、静脈内注射剤として有用である。好ましくは本製剤は、保管中にプロドラッグの分解を最小限にするのに適したpHまで緩衝される。本製剤は、有害な共溶媒または界面活性剤を使用することなく調製することが可能であり、長期間室温で安定である。

Description

発明の背景
全身麻酔の導入および維持における、概して注射可能麻酔剤の使用、かつ具体的にはプロポフォールの使用は、過去15年間にわたって麻酔医療において広く受け入れられてきた。プロポフォールによる静脈内麻酔は、マスク、窒息、または揮発性麻酔剤の強烈な臭いの恐怖を患者が感じる必要がないので導入がより容易に許容されること、迅速かつ予測可能に回復すること、プロポフォールのIV用量を調節することにより麻酔の深さを容易に調節できること、吸入麻酔と比べて有害反応の発生が少ないこと、ならびに、麻酔から回復する際の不快な気分、吐き気および嘔吐が少ないなどの、既存の方法よりも有利な点をいくつか有すると述べられてきた[Padfield NL編、Total Intravenous Anesthesia、Butterworth Heinemann、Oxford 2000内、Padfield NL、Introduction、history and development]。
その鎮静作用および麻酔作用に加えて、プロポフォールは、他の生物学的および医学的な用途範囲を有する。例えば、制吐剤である[McCollum JSCら、Anesthesia 43(1988) 239]、抗てんかん薬である[Chilvers CR、Laurie PS、Anesthesia 45(1990) 995]、および止痒剤である[Borgeatら、Anesthesiology 76(1992)510]と報告されている。制吐作用および鎮痒作用は、典型的に睡眠に達しない用量、即ち、鎮静または麻酔に必要な濃度よりも低い血漿中プロポフォール濃度をもたらす用量において観察される。一方、抗てんかん活性はより広い範囲の血漿濃度において観察される[Borgeatら、Anesthesiology 80(1994) 642]。麻酔域下用量未満の用量のプロポフォールの短期静脈内投与は、難治性片頭痛および非片頭痛性頭痛の治療において極めて有効であることも報告されている[Krusz JCら、Headache, 40 (2000) 224-230]。プロポフォールは抗不安薬[Kurtら、Pol. J. Pharmacol. 55 (2003) 973-7]、神経保護剤[Vellyら、Anesthesiology 99 (2003) 368-75]、筋弛緩剤[O’Sheaら、J. Neurosci. 24 (2004) 2322-7]としても有用である可能性があり、さらに、生物学的な系におけるその抗酸化特性から、プロポフォールは炎症状態、特に呼吸要素を伴う炎症状態の治療、および神経変性または外傷に関連する神経損傷の治療に有用である可能性があることも推測されている。このような状態は活性酸素種の発生に関連し、従って、抗酸化剤を用いて治療し易いと考えられている。例えば、Hendlerらに対する米国特許第6,254,853号を参照されたい。
プロポフォールは典型的に、水中油系のエマルジョンとして臨床的に使用するために製剤化される。この製剤の貯蔵寿命は限られておりかつ細菌または真菌の混入に感受性であることが示されているが、これは、手術後の感染例をもたらしている[Bennett SNら、N Engl J Med 333(1995) 147]。製剤が濃白色であるため、細菌または真菌の混入をバイアルの目視検査でまず検出することは不可能である。
プロポフォールは水溶性が低いのみならず、注射位置において痛みも生じるが、これは多くの場合、局所麻酔剤を使用することにより軽減する必要がある[N. Padfield編、Total Intravenous Anesthesia、Butterworth Heinemann、Oxford 2000内、Dolin SJ、Drugs and pharmacology]。脂質エマルジョン状態へのその製剤化のため、その静脈内投与はまた、患者、特に長期注入を受けている患者において、望ましくない高トリグリセリド血症も伴う[Fulton BおよびSorkin EM、Drugs 50(1995) 636]。脂質エマルジョンとしてのその製剤化によりさらに、他のIV薬物との共投与が難しくなる。油滴の大きさの変更のような製剤への物理的変化のいずれも、薬物の薬理学的性質の変化を生じて、肺塞栓症などの副作用を生じうる。
さらに、これまで麻酔の導入におけるプロポフォールの使用は無呼吸の有意な発生率に関連すると報告されてきており、これは、用量、注射速度、および前投薬に依存すると考えられている[R.D. Millerら編、Anesthesia. 第5版、Churchill Livingstone、Philadelphia、2000内、Reves, JG、Glass、PSA、Lubarsky DA、Nonbarbiturate intravenous anesthetics]。麻酔導入用量のプロポフォール投与の、一回呼吸量の減少および無呼吸を含む呼吸的結果は、患者の最大83%において起こる[Brysonら、Drugs 50(1995)、520]。導入用量のプロポフォールはまた、用量および血漿濃度に依存する顕著な血圧降下作用を有することが知られてきた[Revesら、前記]。プロポフォールの急速ボーラス注射後の最高血漿中濃度に伴う低血圧は、時に、制御注入ポンプの使用または導入ボーラス用量の複数のより少量の漸増用量への分割が必要である。さらに、大量導入用量により起こる無意識期間が短いため、プロポフォールは、短い医療処置のみに適したものとなる。上記のすべての理由のために、麻酔の導入および/または維持のためのプロポフォールは、通常、麻酔医の監督下に置かれた入院患者に投与されなければならず、かつ、外来または日帰りの状況における非麻酔医による使用には不適当であると考えられることが多い。
麻酔の導入および維持におけるその使用に加えて、プロポフォールは意識のある患者における局所または部分麻酔を伴う鎮静剤として成功裡に使用されている。その鎮静特性は、また、結腸鏡検査または画像化処置のような、意識ある患者に対する動揺効果を持つ診断法において活用されてきた。プロポフォールはまた、画像診断法または放射線療法を受ける子供において、鎮静剤として使用されてきた。プロポフォールを用いた、患者の制御による(patient-controlled)鎮静が、最近開発された。この技術は患者により好まれ、麻酔医の投与による鎮静と同じくらい効果的である。
広く使われている、鎮静作用を持つミダゾラムまたは他のそのような薬剤と比較して、プロポフォールは、鎮静の質および/または患者が十分な鎮静レベルにある期間を計ったところ、類似したまたはより優れた鎮静効果をもたらした[Fulton BおよびSorkin EM、 Drugs 50(1995) 636参照]。プロポフォールに付随する回復がより速いことおよび健忘が同程度またはより少ないことにより、特にほんの短時間の鎮静を必要としている患者にとっては、プロポフォールは他の鎮静剤の魅力的な代替物となる。しかしながら、現在のプロポフォール製剤に伴う高脂血症の可能性、およびその鎮静効果に対する耐性の発生から、より長期の鎮静を必要とする患者に対するプロポフォールの有用性はそれほど十分には確立されていない。
経口による生物学的利用能が極めて低いため、市販の製剤のプロポフォールは一般に非経口投与以外には適していないと認識されており、一般に静脈内に注射または注入する必要がある。プロポフォールは臨床状況において静脈内に投与される一方で、一部の適用においては、ネブライザーを用いた吸入、上部消化管の上皮を介した経粘膜、または坐剤の剤形での経直腸などの、他の経口的ではない経路を介して送達できることが示唆されている[例えば、Cozanitis, D.A.ら、Acta Anaesthesiol. Scand. 35 (1991) 575-7; さらに、米国特許第 5,496,537号および第5,288,597号を参照されたい]。しかしながら、静脈内経路以外のその他の任意の経路で投与された際のプロポフォールの生物学的利用能が低いため、このような治療薬の開発が妨げられている。
Stellaらに対する米国特許第6,204,257号に記載されているプロポフォールの安定な水溶性プロドラッグの開発によって、これらのまだ満たされていない要求に対処することが可能となり、治療用物質としての経口投与により生物学的に利用可能な水溶性プロポフォールプロドラッグの薬学的利点を探索することが可能となった。このプロドラッグは、プロポフォールの1-ヒドロキシ基がホスホノオキシメチルエーテル基で置換されている点で、プロポフォールと異なっている。
Figure 2010505826
本発明はいずれの理論にも縛られるものではないが、プロドラッグは、内皮細胞表面のアルカリホスファターゼにより加水分解を受けて、プロポフォールを放出すると考えられる。
Stellaの報告によると、このプロドラッグは薬学的調合物の製造に適したpHレベルにおいて優れた安定性を示し、静脈内投与された場合、インビボにおいて生理学的条件下で速やかに分解する。このプロドラッグは、経口投与における優れた特性と、鎮静および麻酔管理のための、ならびに片頭痛、てんかん、かゆみ、不安、不眠症、悪心、およびその他の医学的状態のような状態の治療のための、経口投与により生物学的に利用可能な治療薬として好都合な薬理学的プロフィールとを有する。
所有者が共通であるWO 2003/057153 A2において、上記プロドラックの水性製剤は、抗酸化剤と一緒に調製される。これらの抗酸化剤を含有する製剤は、特に、ガラスバイアルなどの実質的に酸素不透過性の容器に包装された場合に優れた安定性をもたらす。しかしながら、抗酸化剤は、酸素に対しより透過性である容器、特に成形同時充填密封(blow-filled seal:BFS)バイアルなどの多様なプラスチック容器中に製剤が包装された場合に使い尽くされる可能性がある。実質的に酸素不透過性の容器に中に包装する必要性を回避しながら長期にわたって安定性を示す水性製剤を開発することが、望ましいと考えられる。
発明の簡単な概要
本発明は、プロポフォールの水溶性プロドラッグの水ベースの薬学的製剤を目的とする。本薬学的製剤は、水性媒体中に治療的有効量の下記式Iで表される化合物を含む:
Figure 2010505826
式中、それぞれのZは水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。一つの局面によると、この水性製剤は実質的に抗酸化剤を含まない。
別の局面によると、この製剤は複数の、好ましくは2種類の緩衝剤を含有する。この緩衝剤は、pHを所定の範囲内に維持して、プロドラッグの分解を最小限にすることにより製剤が長期間安定であるように選択することができる。一つの態様において、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(TRIS)および重炭酸ナトリウムの組み合わせが緩衝系として使用される。
別の局面において、製剤は、約8〜約12、好ましくは約9〜約10の範囲のpHで緩衝される。プロドラッグの分解はpH依存性であることが見出されている。pHがこの範囲内に維持されている場合、製剤は、抗酸化剤を必要とすることなく長期にわたり安定性を示す。
本発明の水性製剤は、特に静脈内注射剤として有用である。この製剤は、長期間安定であり、かつ成形同時充填密封(BFS)バイアルなどのプラスチック容器内への包装に適している。
発明の詳細な説明
本発明の薬学的製剤は、水性媒体中に治療的有効量の下記式Iで表される水溶性プロドラッグを含む:
Figure 2010505826
式中、それぞれのZは水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より独立して選択される。一つの局面において、この製剤は実質的に抗酸化剤を含まない。この水ベースの製剤はまた、張性調節剤および/または緩衝剤のような他の成分を含んでいてもよい。
式Iの誘導体を合成する方法は、米国特許第6,204,257号B1に記載されており、その開示は本明細書においてその全体が参照により組み入れられる。式Iの化合物の代表例は、O-ホスホノオキシメチル-プロポフォールであり、その構造を下記に示す。
Figure 2010505826
本製剤におけるプロドラッグの相対量は、プロドラッグが何であるか(identity)、治療される特定の障害に対する親薬の生物活性、および、意図される投与様式を含むがこれらに限定されない、様々な因子に依存して、広い範囲で変動しうる。本製剤におけるプロドラッグの相対量は、約0.5%(w/v)〜約20%(w/v)の範囲であることが最も多く、より通常には約1%〜約10%の範囲である。
十分高純度の水のような、薬学的に許容される任意の水性媒体が、製剤に用いられうる。
プロドラッグの分解はpH依存性であることが見出されている。特に、pHが8未満の条件下では、プロドラッグは酸化的分解反応を受けて水に溶けにくい化合物になる。プロドラッグは、水性の加水分解によって(または血液中での酵素的過程によって)、プロポフォール(DIP)に変換されると考えられている。DIPは順に、酸化的プロセスにより、関連物質であるキノンおよびヒドロキノンに変換される。DIP、キノン、およびヒドロキノンの三つは全て、水に溶けにくい。低い濃度であっても、これらの化合物は溶液に黄色い色を与えるので、製剤中における水に溶けにくい化合物の形成または存在は最小限にすることが望ましい。時間とともに、溶液はにごり、最終的に粒子が形成する。
本製剤のpHは、好ましくは、室温での製剤の長期安定性を提供するように維持される。一つの局面によると、製剤は、約8〜約12、多くの場合約9〜約10または約8.6〜約9.5の範囲のpHで緩衝される。これらのpH範囲はプロドラッグの加水分解を最小にし、同時に、これらは、静脈内投与に適している。溶液は、このpH範囲で有効な任意の緩衝剤、例えばカルボネート、ホスフェート、ボレート、またはグリシンを用いて緩衝されうる。緩衝剤の量は、最も多くの場合約2〜約50mmolの範囲であり、より通常は約5〜約25mmolの範囲である。
一つの態様において、一般にTRISと称されるトロメタミン(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)および重炭酸ナトリウムの組み合わせが緩衝系として使用される。2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールを緩衝剤として単独で使用する場合、製剤のpHは時間とともに減少する傾向があることが見出された。重炭酸ナトリウムを緩衝剤として単独で使用する場合、pHは時間とともに増加する傾向がある。2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび重炭酸ナトリウムを一緒に用いる場合、pHは時間が経過しても比較的安定に維持される。
特に非経口投与が意図される製剤に関して、組成物と生理液との間の差次的なイオン濃度が理由である投与後の膨張または組成物の急速な吸収を防ぐために、張性、すなわち重量オスモル濃度が通常の生理液と本質的に同じになるように溶液を作製することが好ましい。必要ならば、張性調節剤を添加することができる。使用する場合、使用される張性調節剤の量は、約0.1%(w/v)〜約1%(w/v)の範囲であることが最も多い。適切な張性調節剤の非限定的な例は、塩化ナトリウム、グリセリン、ホウ酸、塩化カルシウム、デキストロース、および塩化カリウムを含む。
製剤中には他の成分が存在しうる。例えば、多用量(multi-dose)バイアルの場合、ベンジルアルコールのような保存剤が含まれうる。本製剤はまた、ポリエチレングリコール(PEG 200、PEG 400)、プロピレングリコール、および/またはエタノールのような共溶媒を含みうる。共溶媒の濃度は広い範囲で変動することができ、0%〜約20%であることが最も多い。この製剤は、本明細書に記載されているように抗酸化剤無しで調製できるが、抗酸化剤は、例えばより低い酸素透過性を有する材料で製剤が包装される場合に抗酸化剤の損失を回避するために使用され得る。非限定的な抗酸化剤の例は、モノチオグリセロール(MTG)、グルタチオン、クエン酸、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムを含む。EDTA、金属キレート化剤は、フェノールの接触酸化からの保護を提供する。
製剤は、適切な投与経路を介して投与され得る。静脈内注射のための製剤は、例えばガラスバイアル中、あらかじめ充填されたシリンジ中、またはアンプル中などにパッケージングすることができる。該製剤は抗酸化剤を必要としないため、この製剤は、ガラスバイアルなどの酸素不透過性容器中にパッケージングされる必要はないが、代わりに成形同時充填密封(BFS)バイアルなどの様々な種類のプラスチック容器中にパッケージングされ得る。この製剤は、標準IV希釈溶液、例えばD5W、標準生理食塩水、または乳酸加リンゲル液と共に投与されうる。
水ベースの製剤をプラスチック容器にパッケージングする場合、本明細書に記載されているように実質的に抗酸化剤を含まない製剤を提供する工程に追加してまたはその工程の代わりに、他の工程を採ってもよい。例えば、アルミホイルなどの酸素および二酸化炭素遮断材料から作られた袋中への真空封止により、ならびに/またはパッケージング材料中への酸素および二酸化炭素スカベンジャーの添加により、成形同時充填密封バイアル中に製剤をパッケージングすることが可能である。あるいは、成形同時充填密封容器は、酸素および二酸化炭素に対してより低い透過性を有する材料(例えば多層)を使用して構築することができる。下記の表Iが示すように、これらの技術のそれぞれは、pHを安定化させかつ抗酸化剤の損失を回避することに対して効果的である。
(表I)BFSバイアル中での水性製剤の安定性
Figure 2010505826
ND=検出されない
適切な用量は、プロドラッグが何であるか、および治療されている障害の種類などの因子に依存して見極めることができる。用量は、例えば、約0.1mg/kg〜約100mg/kg体重、または約5mg/ml〜500mg/mlの範囲でありうる。当業者には明らかなように、用量の決定において、患者の年齢、性別、食事、および身体的状態を含む、薬物の作用を変更する多くの因子が考慮される。
プロポフォールプロドラッグを投与するために、麻酔の当業者である麻酔医は、過度の実験を行うことなく、本発明の製剤の投与のための適切な治療プロトコールを見極めることができると考えられる。投与の用量、様式、およびスケジュールは特に制限されず、かつ特定の適用により変動すると考えられる。本製剤は、非経口的に投与してもよい。用量は、例えば、全身麻酔の導入方法または全身麻酔の維持方法に従って、0.5mg/kg〜10mg/kgの範囲で投与されうる。あるいは、製剤は、非経口注入により投与してもよく、用量は、例えば、全身麻酔の維持方法、MACによる鎮静の開始および維持方法、またはICUでの鎮静の開始および維持方法に従って投与される、2μg/kg/分〜800μg/kg/分の範囲でありうる。
実施例
下記の実施例は、本発明を説明するために提供されるものであり、本明細書中で述べられた本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきでない。
実施例1
この実施例は、O-ホスホノオキシメチルプロポフォールの分解がpH依存性であることを説明する。特に、より高いpH条件は概してプロドラッグのより低い割合の加水分解(分解)をもたらし、一方より低いpH条件は加水分解の割合を増加させる。静脈内注射に適した約9〜9.5のpHでは、促進された安定条件である40℃、75% RHで最も少ない量の加水分解が観察される。表IIは、ある範囲のpH条件でのプロポフォール(DIP)形成を示す。
(表II)促進された安定条件(40℃/75% RH)でのDIP形成(% w/v)
Figure 2010505826
NMT LOQ =定量化限界以下(not more than limit of quantitation)
実施例2
この実施例は、WO 2003/057153 A2に記載されるように抗酸化剤を含有するO-ホスホノオキシメチルプロポフォール製剤中のpHの作用としての色形成を説明する。表IIIは、pH 8.5で調製された製剤が6ヶ月後も無色のまま維持されたことを示す。より少ない量のDIPであっても8.6を上回るpHで生成されることから、抗酸化剤を必要とすることなく8.6を上回るpHで安定な水性製剤を調製可能であることが発見された。
(表III)促進された安定条件での色形成に対するpHの影響
Figure 2010505826
実施例3
この実施例は、抗酸化剤無しで調製されたO-ホスホノオキシメチルプロポフォール(40 mg/mL)製剤の安定性を説明する。この製剤は、0.12%(w/v)の2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび10mmolの重炭酸ナトリウムを含有する(pH 9.0〜9.3)。下記の表IVが示すように、促進された安定条件(40℃、75% RH)下では、製剤は3ヶ月間の保管後も無色のまま維持され、pHは実質的に一定に維持された。
(表IV)抗酸化剤を含まない製剤の促進された安定条件での安定性
Figure 2010505826
実施例4
この実施例は、10mmol(0.12%)の2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(TRIS)および変動する量の重炭酸ナトリウムを含有するO-ホスホノオキシメチルプロポフォール製剤の経時的なpHの安定性を説明する。下記の表Vに示すように、一部の製剤は抗酸化剤(MTG)を含んだが、その他の製剤は抗酸化剤を含まなかった。
(表V)様々な水性製剤の経時的なpHの安定性
Figure 2010505826
*pH調整無し
本発明の特定の態様が述べられ、説明されたが、当業者による修正が加えられうることから、本発明はそれに限定されないことが理解されるべきである。本出願は、本明細書中で開示されかつ主張される根底の発明の趣旨および範囲内における、任意のおよびすべての修正を意図したものである。

Claims (13)

  1. 水性媒体中に下記式Iで表される治療的有効量の化合物を含む薬学的製剤であって、実質的に抗酸化剤を含まない、薬学的製剤:
    Figure 2010505826
    式中、Zはそれぞれ独立して、水素、アルカリ金属イオン、およびアミンからなる群より選択される。
  2. 緩衝剤をさらに含む、請求項1記載の製剤。
  3. 緩衝剤が2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールと重炭酸ナトリウムとの組み合わせを含む、請求項2記載の製剤。
  4. 約8〜約12の範囲のpHで緩衝される、請求項2記載の製剤。
  5. 約9〜約10の範囲のpHで緩衝される、請求項4記載の製剤。
  6. 請求項1記載の製剤を含有するプラスチック容器。
  7. 成形同時充填バイアルである、請求項6記載のプラスチック容器。
  8. 水性媒体中に以下を含む薬学的製剤であって、約8〜約12の範囲のpHで緩衝される、薬学的製剤:
    (i)治療的有効量のO-ホスホノオキシメチルプロポフォール;
    (ii)約2mmol〜約50mmolの2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール;および
    (iii) 約2mmol〜約50mmolの重炭酸ナトリウム。
  9. 約9〜約10の範囲のpHで緩衝される、請求項8記載の製剤。
  10. 約2mmol〜約25mmolの2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールを含有する、請求項8記載の製剤。
  11. 約2mmol〜約25mmolの重炭酸ナトリウムを含有する、請求項8記載の製剤。
  12. 請求項8記載の製剤を含有するプラスチック容器。
  13. 成形同時充填バイアルである、請求項12記載のプラスチック容器。
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