JP2010282922A - 色素増感型光電変換素子 - Google Patents

色素増感型光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 透明でかつ透明導電層、多孔質半導体層の形成が効率よく、光発電効率のよい、色素増感型光電変換素子を提供する。
【解決手段】 色素増感型光電変換素子において、支持基板としてガラス転移温度(Tg)が150℃以上であり、波長領域400から500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp)が75%以上で、かつ波長領域350から400nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率(350Tp)が25%以下であるポリアミドイミドフィルムを用いた色素増感型光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型光電変換素子に関し、詳しくはフレキシブル型に対応し得る、支持基板に特定のポリアミドイミドのフィルムを使用した太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池などに使用できる色素増感型の光電変換素子に関する。
太陽光発電では、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びこれらを組み合わせた太陽電池が実用化され、主力技術となっている。これらの太陽電池は、光電変換の効率が20%近くあり、優れている。しかし、シリコン系太陽電池は素材製造にかかるエネルギーコストが高く、環境負荷などの面でも課題が多く、価格や材料供給等における制限もある。一方、近年において色素増感型太陽電池が安価な太陽電池として注目されている。例えば酸化物半導体を有する電極に色素を担持させ増感させる色素増感型光電変換素子が知られている。この色素増感型光電変換素子は、理論的に高い効率が期待でき、一般に普及しているシリコン半導体を用いた光電変換素子より、コスト的に非常に有利であると考えられている。このため、次世代の光電変換素子として注目されており、実用化に向けて開発が進められている(特許文献1参照)。色素増感型光電変換素子において、酸化物半導体として酸化チタンを用いて焼成することにより多孔質状の層を形成した電極が使用される(特許文献2参照)。また様々な形態の光電変換素子に適合することが可能な、低コストで、フレキシブルな電極が求められ、酸化亜鉛などを用いて焼成せずに酸化物半導体の層を形成することも知られている(特許文献3参照)。また、色素増感型光電変換素子に用いられる色素に関しては、短絡電流密度や、変換効率などの性能の向上を目的として、シアニン系色素などの有機色素や、ルテニウム錯体色素などの金属錯体色素などを用いることが提案されている(特許文献4参照)。屈曲自在という要求にも十分に対応しうる物性を有する新規な光発電体シートも提案されている(特許文献5参照)。また、耐熱高分子フィルム上に半導体膜を形成し、汎用フィルムを積層した電極も提案されている(特許文献6)。
特開2003−308891号公報 特開2005−310666号公報 特開平 10−259497号公報 特開2000−294303号公報 特開2003−257509号公報 特開2005−228615号公報
支持基板としてプラスチックフィルムを用いた色素増感型太陽電池は、柔軟化や軽量化が可能であり、数多くの検討がなされてきた。プラスチックフィルムを支持基板として用いた場合、透明導電層、多孔質半導体層などの加工が高温耐性上困難であり、ガラスを支持基板として用いた場合に比べて多くの問題点がある。
本発明はかかる従来技術の問題を解決し、支持基板に可撓性フィルムを使用しても、透明導電層、多孔質半導体層などの加工性を高め、さらに光発電効率を高く維持することのできるフレキシブル対応型色素増感型光電変換素子を提供することを目的とする。すなわち本発明の課題は、透明導電層、多孔質半導体層などの光電変換機能層の成形積層などの加工性に優れ、可撓性、耐久性を有しながら例えば光発電性能の高い色素増感太陽電池を作成することができる、支持基板として特定のポリアミドイミドフィルムを使用した色素増感型光電変換素子を提供することにある。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1.色素増感型光電変換素子において、支持基板としてガラス転移温度が150℃以上であり、波長領域400から500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp)が75%以上で、かつ波長領域350から400nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率(350Tp)が25%以下であるポリアミドイミドフィルムを用いたことを特徴とする色素増感型光電変換素子。
2.ポリアミドイミドフィルムの色度b*が10以下である1.の色素増感型光電変換素子。
3.ポリアミドイミドフィルムが、シクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)残基を主構成成分とするものである1.〜2.いずれかの色素増感型光電変換素子。
4.ポリアミドイミドフィルムを構成する成分におけるシクロヘキシル環と芳香環のモル比が、
Nc/Na=25/75〜90/10
=0.333〜9.000
であることを特長とする1.〜3.いずれかに記載の色素増感型光電変換素子。
なお上記 Nc:シクロヘキシル環のモル数、Na:芳香環のモル数である。
本発明の支持基板としてガラス転移温度が150℃以上であり、波長領域400から500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率が75%以上で、かつ波長領域350から400nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率が25%以下であるポリアミドイミドフィルムを用いた色素増感型光電変換素子は、主たる用途である太陽電池に応用した場合、柔軟化や軽量化が可能であり、支持基板に高温耐性及び紫外線吸収性を有するポリアミドイミドフィルムを使用することで、透明導電層、多孔質半導体層を作成積層する場合などに、安定的に生産が可能であり、その加工性及び耐久性を高め、光発電効率を高く維持することのできるフレキシブル対応型色素増感型光電変換素子を提供することが可能であり、環境問題の解決に寄与し得て、工業的に極めて有用である。
以下、本発明を詳述する。
本発明における光電変換素子は、色素増感型光電変換素子であれば特に限定されるものではないが、その概略を示せば、作用電極と対向電極とが電解質を介して対向配置されたものであり、作用電極と対向電極との少なくとも一方は、光透過性を有する電極である。作用電極は、例えば、支持基板に(透明)導電層を形成した導電性基板に金属酸化物半導体層が設けられ、この金属酸化物半導体層を担持体として色素が担持されている構造を有している。この作用電極は、外部回路に対して、負極として機能するものである。導電性基板は、例えば、絶縁性の支持基板の表面に透明導電層を設けたものである。支持基板の材料としては、透明性のポリアミドイミドが必須であり、その詳細は後述する。
透明導電層としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化
物(ITO)あるいは酸化スズにフッ素をドープしたもの(FTO:F−SnO)などの導電性金属酸化物薄膜や、金(Au)、銀(Ag)あるいは白金(Pt)などの金属薄膜や、導電性高分子などで形成されたものなどが挙げられる。
金属酸化物半導体層は、例えば、緻密層と多孔質層とから形成されている。導電性基板との界面においては、緻密層が形成され、この緻密層は、緻密で空隙が少ないことが好ましく、膜状であることがより好ましい。電解質含有体と接する表面においては、多孔質層が形成され、この多孔質層は、空隙が多く、表面積が大きくなる構造が好ましく、特に、多孔質の微粒子が付着している構造がより好ましい。なお、金属酸化物半導体層は、例えば、膜状の単層構造となるように形成されてもよい。
この金属酸化物半導体層は、金属酸化物半導体の材料として、酸化亜鉛、酸化チタンを挙げることができる。この金属酸化物半導体層に色素を含ませ(担持)、優れた短絡電流密度および変換効率を得る。金属酸化物半導体の材料は、酸化亜鉛、酸化チタンの他に、他の1または2種以上の材料を複合(混合、混晶、固溶体など)させて含んでいてもよい。他の金属酸化物半導体の材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなどが挙げられる。
金属酸化物半導体層に担持される色素としては、公知の色素増感型光電変換素子に使用される色素が挙げられるが、金属酸化物半導体層と化学的に結合することができる電子吸引性の置換基を有する色素が好ましく、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB、フルオレシン、マーキュロクロム、シアニン系色素、メロシアニンジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、インジゴ系色素、ジフェニルメタン系色素、トリメチルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、ペリレン系色素、フルオレノン系色素、スクワリリウム系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、キナクリドン系色素、無金属フタロシアニン系色素または無金属ポルフィリン系色素などの有機色素などが挙げられる。
また、他の色素としては、例えば、有機金属錯体化合物も挙げられ、一例としては、芳香族複素環内にある窒素アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物や、酸素アニオンもしくは硫黄アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物などが挙げられる。具体的には、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン系色素、金属ナフタロシアニン系色素、金属ポルフィリン系色素、ならびにビピリジルルテニウム錯体、ターピリジルルテニウム錯体、フェナントロリンルテニウム錯体、ビシンコニン酸ルテニウム錯体、アゾルテニウム錯体あるいはキノリノールルテニウム錯体などのルテニウム錯体などが挙げられる。
具体的には、N3(cis−di(thiocyanato)−bis(2,2'−bipyridyl−4,4’−dicarboxylic acid)−ruthenium(II))、N621(cis−di(thiocyanato)−(2,2'−bipyridyl−4,4’−dicarboxylic acid)(4,4'−ditridecyl−2,2’−bipyridyl)−rutheniumu(II))、N719(cis−di(thiocyanato)−bis(2,2'−bipyridyl−4−carboxylate−4’−carboxylic acid)−ruthenium(II))、N749((2,2’:6’,2’ ’−terpyridine−4,4’,4’ ’−tricarboxylate)ruthenium(II)tris(tetrabutylammonium)tris(isothiocyanate))、N820(cis−di(thiocyanato)−2,2'−bipyridyl−4,4’−dicarboxylic acid)(4,4’−dimethyl−2,2’−bipyridyl)−ruthenium(II)、N823(cis−di(thiocyanato)−(2,2’−bipyridyl−4,4’−dicarboxylic acid)(4,4'−dihexyl−2,2’−bipyridyl)−ruthenium(II))、N945、K8、K9、K19、K23、K27、K29、K51、K60、K66、K69、K73、K77、Z316(cis−di(thiocyanato)−(2,2'−bipyridyl−4,4’−dicarboxylic acid)(4−methyl−4’−hexadecyl−2,2’−bipyridyl)−ruthenium(II))、Z907(cis−di(thiocyanato)−(2,2'−bipyridyl−4,4’−dicarboxylic acid)(4,4'−dinonyl−2,2’−bipyridyl)−ruthenium(II))、Z907Na、Z910、WMC217、WMC234、WMC236、WMC239、WMC273、CYC−B1、MC18、NKX−2311、NKX−2883、Eosin Y、Mercurochrome、MK−2、D77、D102、D120、D131、D149、D150、D190、D204、D205、HRS−1、JK−1、JK−2、TA−St−CA、通称ブラックダイRu(4,4',4''−tricarboxy−2,2' : 6,2''−terpyridine)−(NCS)3・3TBAなどが挙げられる。前記において、N3、N612等は色素名を、括弧内は化合物名を示す。
これらの内、好ましく用いられる色素はD102、D120、D131、D149、D150、D190、D204、D205、通称ブラックダイRu(4,4',4''−tricarboxy−2,2' : 6,2''−terpyridine)−(NCS)3・3TBAである。
対向電極は、例えば、支持基板に導電層を設けたものである。この対向電極は、外部回路に対して、正極として機能するものである。支持基板の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、作用電極の導電性基板と同様の材料であることが好ましい。導電層に用いる導電材としては、例えば、白金、金、銀、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)あるいはインジウム(In)などの金属、炭素(C)、または導電性高分子などが挙げられる。これらの導電材は、単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。また、必要に応じて、結着材として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂、フロロエラストマーまたはポリイミド樹脂などを用いてもよい。なお、対向電極は、例えば、導電層の単層構造でもよい。
電解質としては、例えば、レドックス電解質を含むものなどが挙げられ、レドックス電解質としては、例えば、I/I3−系、Br/Br3−系またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。このようなレドックス電解質としては、例えば、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、ハロゲン化ピリジニウム類から選択される1種以上とハロゲン単体との組み合わせなどを用いることができる。具体的には、ヨウ化セシウムや、四級アルキルアンモニウムヨージド類としてテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージドあるいはトリメチルフェニルアンモニウムヨージドや、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージドあるいは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージドや、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージドあるいは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージドや、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージドや、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージドや、ピリジニウムヨージド類から選択される1種以上とヨウ素との組み合わせ、または四級アルキルアンモニウムブロミドと臭素との組み合わせなどを用いることができる。電解質は、液体電解質でもよく、これを高分子物質中に含有させた固体高分子電解質でもよい。液体電解質の溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、プロピレンカーボネートまたはエチレンカーボネートなどである。さらに、液体電解質にシリカ、アルミナ、カオリンなどの無機粒子を添加配合した半固体電解質であってもよい。
電解質としては、レドックス電解質に代えて、固体電解質などの固体電荷移動層を設けてもよい。固体電荷移動層は、例えば、固体中のキャリアー移動が電気伝導にかかわる材料を有している。この材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料などが好ましい。正孔輸送材料としては、芳香族アミン類や、トリフェニレン誘導体類などが好ましく、例えば、オリゴチオフェン化合物、ポリピロール、ポリアセチレンあるいはその誘導体、ポリ(p−フェニレン)あるいはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)あるいはその誘導体、ポリチエニレンビニレンあるいはその誘導体、ポリチオフェンあるいはその誘導体、ポリアニリンあるいはその誘導体、ポリトルイジンあるいはその誘導体などの有機導電性高分子などである。また、正孔輸送材料としては、例えば、p型無機化合物半導体を用いてもよい。このp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに、2.5eV以上であることがより好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、作用電極10のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下の範囲内であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下の範囲内であることがより好ましい。p型無機化合物半導体としては、例えば、1価の銅を含む化合物半導体などが挙げられる。一価の銅を含む化合物半導体の一例としては、CuI、CuSCN、CuInSe、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe、CuO、CuS、CuGaS、CuInS、CuAlSeなどがある。このほかのp型無機化合物半導体としては、例えば、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoOまたはCrなどが挙げられる。
このような固体電荷移動層の形成方法としては、例えば、作用電極の上に直接、固体電荷移動層を形成する方法があり、そののち対向電極を形成付与してもよい。有機導電性高分子を含む正孔輸送材料は、例えば、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法または光電解重合法などの手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、例えば、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法または電解メッキ法などの手法により電極内部に導入することができる。
このように形成される固体電荷移動層(特に、正孔輸送材料を有するもの)の一部は、金属酸化物半導体層の多孔質構造の隙間に部分的に浸透し、直接接触する形態となることが好ましい。これらの光電変換素子は、製造方法は、例えば以下のような方法が挙げられる。
支持基板に導電層が形成されている導電性基板の導電層が形成されている面に、例えば電解析出により金属酸化物半導体層を形成し、金属酸化物半導体層に色素を担持させることにより、作用電極を作製する。電解析出は、例えば、亜鉛塩を含む電解浴を酸素や空気によるバブリングを行いながら、所定の温度とし、その中に導電性基板を浸漬し対極との間で一定の電圧を印可することにより行う。対極は、電解浴中において適宜運動させるようにしてもよい。また、金属酸化物半導体層は、例えば、金属酸化物半導体の粉末を金属酸化物半導体のゾル液に分散させることにより、金属酸化物スラリーとし、その金属酸化物スラリーを導電性基板に塗布して乾燥させたのち、焼成して形成してもよい。この金属酸化物半導体層が形成された導電性基板を、有機溶媒に上記した色素を溶解した色素溶液に浸漬し、色素を担持させる。次に基板の片面に導電層を形成することにより、対向電極を作製する。導電層は、例えば、導電材をスパッタリングすることで形成する。
作用電極の色素を担持した面と、対向電極の導電層を形成した面とが所定の間隔を保つと共に、対向するように配置する。その作用電極と対向電極との間に、電解質含有体を注入し、全体を封止して、色素増感型光電変換素子を作成することができる。
また、支持基板に導電層が形成されている導電性基板の導電層が形成されている面に、二酸化チタンゾルを塗布して乾燥する。光透過性を有する導電層としては、光透過性を有するポリアミドイミドフィルムの少なくとも一方の面に、酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO)や、酸化インジウムに少量の酸化錫を混合した膜(ITO膜)のような導電性膜を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、加水分解法等により形成した基材である。導電膜の表面抵抗率は20Ω以下であることが好ましい。
二酸化チタンゾルは次の方法により調製する。二酸化チタン粒子(チタニア(TiO2)粒子)は、アナターゼ型結晶とルチル型結晶の双方の構造が含まれた粒子が好適で、アナターゼ型結晶とルチル型結晶の割合は重量比で9:1〜7:3の範囲が特に好ましい。また二酸化チタン粉末は、平均粒径5〜20nmの粉末に平均粒径100〜500nmの粉末が5〜20重量%の範囲で含まれた粉末が、光散乱による吸光効率の改善の理由により好ましい。この二酸化チタン粒子を水溶媒に添加混合して分散液を調製し、この分散液に増粘剤や分散剤等を加えて均一に混合することにより、二酸化チタンゾルを調製する。多孔質膜の形成方法は、二酸化チタンゾルを基材の導電膜上に、スプレーコート法、ドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法等により塗布し乾燥した後に、電気炉に入れて大気中で250℃以上の温度で60分間程度保持・焼成し、導電膜上に多孔質膜を形成する。この多孔質膜は透明導電性基材及び色素とともに光電変換素子を構成する。
焼成時間を60分程度とするのは、時間不足では焼結不良を起こす不具合があり、時間をかけ過ぎると焼成による粒成長が進行し過ぎて比表面積が低下するという不具合が発生する。上記の方法に、加圧法、マイクロ波加熱法、フラッシュ加熱法、レーザー加熱法などを組み合わせて実施する方法が適宜採用されてもよい。
導電膜上に多孔質膜を作製した基材を色素溶液に浸漬することにより、多孔質膜に色素を吸着させて固定化し作用電極を形成する。
さらに作用電極の色素を担持した面と、前記と同様にして作成した対向電極の導電層を形成した面とが所定の間隔を保つと共に、対向するように配置する。その作用電極と対向電極との間に、電解質含有体を注入し、全体を封止して、色素増感型光電変換素子を作成する。
いずれの方法においても、支持基材として通常のプラスチックフィルムを用いた場合、上記工程における高温処理で、皺発生などの変形や分解、軟化などが生じ、支持基板とこれらの各層や各膜との剥離や皺の発生を招き、光電変換素子としての致命的欠陥を招来することとなる。
本発明における支持基板としてのポリアミドイミドフィルムは、ガラス転移温度が150℃以上であり、波長領域400から500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp)が75%以上で、波長領域350から400nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率(350Tp)が25%以下あるポリアミドイミドフィルムであれば、特に限定されるものではないが、ポリアミドイミドフィルムを構成する主成分ポリマーの構造として好ましいものは、例えば、主たる酸成分がシクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)であるポリアミドイミドである。更に好ましくは、シクロヘキサントリカルボン酸系酸の含有量が15モル%以上であるポリアミドイミドである。また、アミン残基が、トリジン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンまたはイソホロンの一種以上であるポリアミドイミドが好ましい。
本発明で用いられるポリアミドイミドは、例えば、酸成分とイソシアナートとの反応で得られるイソシアナート法、酸成分とアミン成分との反応で得られるアミン法、あるいは酸クロリド法などの通常の方法でアミド系溶剤などの高沸点極性溶媒中で合成される。
本発明のポリアミドイミドの合成に用いられる酸成分としては、例えば、多価のカルボン酸、酸クロリド、あるいは酸無水物が挙げられる。酸無水物の例としては、例えば、シクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)、トリメリット酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、1,4−ブタンジオールビスアンヒドリドトリメリテート、ヘキサメチレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、などのアルキレングリコールビスアンヒドリドトリメリテート、ピロメリット酸無水物、ベンゾフエノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフエニルスルホンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフエニルテトラカルボン酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物およびこれら酸の置換基導入化合物などが挙げられる。
また、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフエニルジカルボン酸、4,4’−ビフエニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフエニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ベンゾフエノンジカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフエノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフエニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフエニルテトラカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、ダイマー酸、スチルベンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、酸クロリドとしては前記多価カルボン酸の酸クロリドが挙げられる。
また、イソシアナート成分としては、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジクロロジフエニル4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルビフエニル4,4’−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、p−フエニレンジイソシアナート、m−フエニレンジイソシアナート、およびこれらの置換基導入化合物などが挙げられる。
また、ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、オルトクロロパラフエニレンジアミン、p−フエニレンジアミン、m−フエニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフエニルエーテル、3,4’−ジアミノジフエニルエーテル、4,4’−ジアミノジフエニルメタン、3,4’−ジアミノジフエニルメタン、4,4’−ジアミノジフエニルスルホン、3,4’−ジアミノジフエニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフエノン、3,4’−ジアミノベンゾフエノン、2,2’−ビス(アミノフエニル)プロパン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、p−キシレンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フエニレンジアミン、m−フエニレンジアミンおよびこれらのジアミンに代わるイソシアネートである化合物等が挙げられる。
これらの酸成分とイソシアナート(アミン)成分は、各々一種または二種以上の混合物として用いる事が出きるが、酸成分としては、シクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)とその他の多価カルボン酸の混合物が好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)の含有量が15モル%以上が特に好ましい。シクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)のモル%が15以下になると、着色が大きくなり、波長領域400から500nmにおける平均光線透過率が低くなったり色度b*が高くなるので、光学用途には使用できなくなる場合がある。また、ガラス転移温度を150℃以上にするにはトリメリット酸残基、などの芳香族残基の割合を大きくする必要がある。
また、イソシアナート成分としては、O-トリジンイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナートの単独または混合物を用いると、光線透過率とガラス転移温度が高く、また、生産性が良好なので好ましい。また、アミン成分としては、O-トリジンイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジアミンとイソホロンジアミンの単独または混合物が、光線透過率とガラス転移温度が高く、また、生産性が良好なので好ましい。
ポリアミドイミドを合成する際に使用する溶剤は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチル尿素、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリルジノン、等の高沸点極性溶剤の単独または混合溶剤を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
ポリアミドイミドは、上記溶剤中、50から250℃、好ましくは80から230℃で攪拌することにより合成されるが、反応を促進するためにトリエチルアミン、ルチジン、ピコリン、トリエチレンジアミン、等のアミン類、リチウムメチラート、ナトリウムメチラート、リチウムエチラート、ナトリウムエチラート、マグネシウムエチラート、カリウムブトキサイド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物、あるいはコバルト、チタニウム、スズ、亜鉛等の金属、半金属化合物等の触媒存在下に行ってもよい。
このようにして得られたポリアミドイミドは、対数粘度(N−メチルピロリドン中25℃、ポリマー濃度0.5g/100ml)が、0.5dl/g以上であることが好ましいが、フィルム成形性の点では、0.6dl/g以上であることがより好ましい。これらの対数粘度の樹脂を得る手段としては、反応成分の当量比、添加順序、反応時間や反応温度等を制御する方法を用いることができるが、これらに限定されない。
このように合成されたポリアミドイミドと高沸点極性溶剤からなる溶液よりフィルムを製造する際の生産性を改良するために、溶剤種を低沸点溶剤に置換することも可能である。
例えば、合成して得られたポリアミドイミド高沸点極性溶剤溶液(樹脂組成物)を、ポリアミドイミドの非溶剤で、高沸点極性溶剤と混和する溶剤(凝固浴)中に投入して再沈殿させる。さらに、樹脂組成物から、効果的に高沸点極性溶剤を溶出させ、溶出速度を調節するために、エチレングリコール、トリエチレングリコール等のアルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤、水、アルカリ水、酸性水、塩含有水等水系溶剤等を凝固浴に加えてもよい。
樹脂組成物のポリマー濃度を低めて、凝固浴の温度を高くすることで、高沸点極性溶剤の溶出を更に速めることができる。尚、本発明で用いられる凝固浴は水が好ましい。樹脂組成物を凝固浴に投入する方法等は、特に限定されないが、連続的に効率よく製造するには、細孔ノズルから吐出させることが好ましい。
再沈殿したポリマーはろ過し、遠心分離等で脱溶剤した後乾燥し、更にフィルムの製造効率をあげるための低沸点溶剤に再溶解させる。本発明で再溶解に用いられる主たる溶剤として、例えば、アルコール系溶剤を挙げることができる。アルコール系溶剤については特に制限はなく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、へプチルアルコール、オクチルアルコール等の一価の脂肪族アルコール、エチレングリコ−ル、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンエリスリトール等の多価アルコール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコールが挙げられる。
これらのアルコールは、フィルムの製造効率の点で他の揮発性の高い有機溶剤と混合して用いることも可能である。他の揮発性の高い有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、セロソルブアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサン等のエーテル系溶剤等が挙げられる。
ポリアミドイミドフィルムは、上記のとおり得られた樹脂組成物より任意の方法で溶剤を除去することにより得られる。例えば、溶剤を含有するポリアミドイミド樹脂組成物を、ダイコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、ドクターブレードコーター、ノズルコーター、コンマコーター等で、任意の支持体、ドラムまたはベルトコンベヤー等に任意の厚みに塗布し、搬送後、常圧または減圧下で、加熱処理して溶剤を除去する方法が挙げられる。加熱処理は、樹脂組成物中の溶剤が除去され、且つ均一な厚み精度が得られるのであれば、その温度および加熱処理における温度勾配等条件は特に限定されない。本発明のポリアミドイミドフィルムは、上記のとおり得られた樹脂組成物より任意の方法で溶剤を除去することにより得られる。
フィルムとして好ましい厚みは、通常3μmから200μmの範囲であり、好ましくは5μmから100μm、なお好ましくは12μmから76μmの範囲である。
得られるポリアミドイミドフィルムは、ガラス転移温度Tgが150℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは210℃以上、なお好ましくは260℃以上、なおさらに好ましくは290℃以上である。Tgが所定の温度に満たない場合、フィルムの高温での寸法安定性や強度が不足する。上限は特に制限されないが、一般にTgが380℃を越える高分子は、ほぼ例外なく着色しており、当該用途には不向きである。フィルムのTgの制御は、ポリアミドイミドの骨格の芳香族残基、脂環族残基、脂肪族残基の比率を制御することで行なえる。また、本発明で得られるポリアミドイミドフィルムは、対数粘度が0.5dl/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.5dl/gより小さいと、フィルムの耐屈折強度が低下する。また、フィルムを製造する際の歩留まりが大きく低下し、連続的にフィルムを巻き取ることが困難となる。
本発明のポリアミドイミドフィルムは、光学用途に使用するために、波長が400nmから500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp)が75%以上で、かつ波長領域330から380nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率(350Tp)が25%以下である必要がある。(500Tp)の値は好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。上限値は特に限定されないが、通常は98%以下である。
(350Tp)の値は好ましくは24%以下、より好ましくは23%以下である。下限値は特に限定されないが、通常2%以上である。(350Tp)の値を前記範囲内とすることで、別途紫外線遮断層を設けることなく紫外線劣化を抑止することができる。
また、フィルムの色度b*が10以下であることが好ましい。これ以上着色していると光電変換効率に影響し、太陽電池に使用し難くなる。フィルムの色度b*は好ましくは8.5以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5.5以下である。
色度b*の下限は特に制限されないが、b*値が1.5以下の場合、紫外線領域の透過が増すことが懸念される。十分な透明性を有し、なおかつ高いTgを維持するためには、例えば、酸成分としてトリメリット酸とシクロヘキサンジカルボン酸の混合物、特にシクロヘキサンジカルボン酸の含有量が15モル%以上から合成された着色の少ないポリアミドイミドの低沸点溶媒の溶液をキャスト後になるべく低温で、しかも不活性ガス雰囲気で乾燥製膜することが好ましい。さらにポリアミドイミドフィルムを構成する全成分におけるシクロヘキシル環と芳香環のモル比が、
Nc/Na=25/75〜90/10=0.333〜9.000、好ましくは
Nc/Na=33/67〜85/15=0.493〜5.667、さらに好ましくは
Nc/Na=40/60〜70/30=0.667〜2.333
とすることにより色素増感太陽電池として十分な透明性と、高いガラス転移温度を得ることができる。なお上記 Nc:シクロヘキシル環のモル数、Na:芳香環のモル数である。
本発明のポリアミドイミドフィルムは、レターデーションが160nm以下であることが好ましい。レターデーションが160nmより大きいと支持基板として使用した場合に表示面に干渉斑が生じる点などで問題である。レターデーションはより好ましくは140nm以下、さらに好ましくは120nm以下である。
本発明のポリアミドイミドフィルムは、加工性をより向上させるためにフィルムの引張強度、引張伸度が所定範囲内であることが好ましい。フィルムの引張強度は80Mpa以上が好ましく、90Mpa以上がより好ましく、100Mpa以上がさらに好ましい。上限値は特に規定されないが、通常は400Mpa以下である。フィルムの引張強度が80Mpa未満であると加工時の応力で切断が発生しやすくなる。フィルムの引張伸度は5%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。上限値は特に規定されないが、通常は200%以下である。フィルムの引張伸度が5%未満であると、加工時に切断が発生しやすくなる。
本発明のフィルムは、溶液キャストにより製造される。そのため光学等方性にすぐれたフィルムである。特にレターデーションを低くするためには、例えば、製膜時リップギャップでのせん断による分子の配向を抑制するために原料溶液の粘度を低くすることが好ましい。例えば、製膜温度における原料溶液の粘度が300ポイズ以下かつ製膜時の見かけ剪断速度が500/秒以下で製膜されることが好ましい。(ここでの見かけ剪断速度γは、リップギャップd、およびリップギャップでの移動速度vを用いて、式 γ=v/d により計算した値とする。また、例えば原料溶液をコートダイから基板上に吐出するようなコートダイ方式の製膜において、ダイ出口と基板面との間隔をD、基板面の移動速度をVとしたときに、式R=V/Dで定義されるコート時の見かけ剪断速度Rが上記γより大きいときはRを見かけ剪断速度と見なす。)更に溶液を製膜した後、加熱乾燥を開始するまでの時間を15秒以上とって分子の配向を緩和することが好ましい。
本発明のフィルムは、無色透明性などの光学特性を損なわない範囲で、フィルムの取り扱い性を改良するために、滑剤を添加することが可能である。滑剤としては、二酸化ケイ素、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、シリコン粒子、タルク、等の無機化合物または有機金属塩の微粒子、ポリオレフィン系やアクリル系などの有機微粒子等が挙げられる。これらは、ポリアミドイミド溶液に溶解または分散するのであれば、特に限定されない。尚、滑剤の他に必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤等の添加剤を配合することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例中で示される特性は、以下の方法で測定・評価したものである。
(測定・評価方法)
1.ガラス転移温度(Tg)
動的粘弾性測定により得られる損失正接tanδの主分散を示す温度をもって定義した。動的粘弾性測定は、幅5mm、試長25mmのサンプルについて、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御製DVA−220)を用い、測定周波数10Hz、昇温速度5℃/分にて室温から300℃の範囲において行った。
2.対数粘度
(対数粘度)=(lnηrel)/Cln:自然対数、ηrel:溶媒落下時間測定による純溶媒に対する溶液の粘度比(−)、C:溶液の濃度(g/dl)
測定は、0.5gのポリマーまたはフィルムを100mlのN−メチルピロリドンに溶解して得た溶液について、ウベローデ粘度管を用いて25℃において行った。
3.20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp、350Tp)
分光光度計(日立製作所製U−2001)を用いて波長領域400nmから500nmにおける光線透過率を1nmおきに測定し、400から500nmの透過率の平均値を波長領域400から500nmにおける平均光線透過率とした。20μm厚さ換算は、平均光線透過率が厚みに反比例するものとして換算し500Tpとした。同様に350nmから399nmまでの透過率を求め、同様に350Tpとした。
4.色度b*
色差計(日本電色工業製 Color Meter ZE2000)を用いて透過モードで測定した。標準サンプルとして三刺激値がそれぞれX=93.08、Y=95.03、Z=111.69である付属の標準白板を用いた。
5.引張強度、引張伸度
幅10mm、試長40mmの試験片について、引張試験機(島津製作所製オートグラフAG5000A)を用い、引張り速度200mm/分、その他条件はJIS C2318に準拠して測定して得た応力−ひずみ曲線より求めた。
6.レターデーション値(△N)
レターデーション値は、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△N=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△N×d)で定義される数値である。屈折率の異方性(ΔN)は、下記の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向軸がほぼ直交するように、4cm×2cmの長方形に切り出し、測定用サンプルとした。該サンプルについて、ほぼ直交する二軸の屈折率をアッベ屈折率計((株)アタゴ製 ATAGO 4T)によって求め、屈折率差の絶対値を屈折率の異方性(ΔN)とした。
7.フィルムの厚み(Fd)
フィルムの厚みは、電気マイクロメータ(ファインリューフ社製ミリトロン1245D)を用いて測定した。
8.見かけ剪断速度:見かけ剪断速度γ(1/秒)は、リップギャップd(mm)、およ びリップギャップにおける原料溶液の平均移動速度v(mm/秒)を用いて、式 γ=v/d により計算した。また、例えば原料溶液をコートダイから基板上に吐出するようなコートダイ方式の製膜において、ダイ出口と基板面との間隔をD、基板面の移動速度をVとしたときに、式 R=V/Dで定義されるコート時の見かけ剪断速度Rが上記γより大きいときはRを見かけ剪断速度とした。
9.原料溶液の粘度原料溶液の粘度は(株)東京計器製B型粘度計を用い、No.4アダ プタで回転数12rpmにて、溶液を製膜時の温度に制御して測定した。
(参考例1)
所定の反応容器に、シクロヘキサントリカルボン酸無水物(CHT)とテレフタル酸(TPA)をCHT:TPA=9:1モル比およびO-トリジンイソシアネート(OTI:全酸に対してモル比で1:1)、を入れて、これらをN-メチル‐2-ピロリドンに溶解して、窒素雰囲気で攪拌しながら80℃〜150℃で9時間反応させ、透明なポリアミドイミドの溶液を得た。得られたポリアミドイミドの対数粘度は、1.0dl/gであった。
シクロヘキシル環、芳香環のモル比に着目した場合、
CHT:0.9
TPA:0.1
OTI:2.0
Nc/Na=0.9/(0.1+2.0)=0.43となる。
(参考例2)
100リットル重合釜にトリメリット酸無水物;15モル、シクロヘキサンジカルボン酸;15モル、イソホロンジイソシアナート(IPDI);29.85モル、フッ化カリウム;0.1モル、γ−ブチロラクトン;9.48kgを投入し、攪拌しながら120℃で1.5時間、更に190℃で5時間反応をさせた後、N−メチルピロリドンを加えてポリマー濃度を20重量%に希釈しながら室温まで冷却した。この溶液を、100リットルのイオン交換水中に攪拌しながら1時間徐々に加えて、洗浄しながらポリマーを析出させた後、さらにイオン交換水中50℃で攪拌洗浄し、ろ過後、60℃で10時間減圧乾燥した。得られたポリアミドイミドの対数粘度は、0.71dl/gであった。
シクロヘキシル環、芳香環のモル比に着目した場合、
TMA :15
CHDA:15
IPDI:29.8
Nc/Na=(15+29.8)/15=2.99となる。
(参考例3)
参考例2において、シクロヘキサンジカルボン酸を用いず、トリメリット酸無水物;30モルとした以外は、参考例1と同様にし、対数粘度0.73dl/gのポリアミドイミドを得た。
シクロヘキシル環、芳香環のモル比に着目した場合、
TMA :30
IPDI:29.8
Nc/Na=(29.8)/30=0.993となる。
(参考例4)
参考例3において、さらにイソホロンジイソシアナートに代えてO-トリジンイソシアネート29.8モルとした以外は、参考例1と同様にし、対数粘度0.45dl/gのポリアミドイミドを得た。シクロヘキシル環、芳香環の比に着目した場合、Nc/Na=0となる。
(参考例5)
所定の反応容器に、シクロヘキサントリカルボン酸無水物(CHT)とイソホロンジイソシアナートを等モル入れて、これらをN-メチル‐2-ピロリドンに溶解して、窒素雰囲気で攪拌しながら80℃〜150℃で9時間反応させ、透明なポリアミドイミドの溶液を得た。得られたポリアミドイミドの対数粘度は、1.0dl/gであった。
シクロヘキシル環、芳香環のモル比に着目した場合、
Nc/Na=(1+1)/0=∞となる。
(作成例1)
参考例1で得られたポリアミドイミド溶液を24時間静置して脱泡をおこない、30℃における粘度は315ポイズの溶液を得て、これを用いてコートダイ、及びフロートノズルを装備した乾燥設備を有する溶液製膜装置を用いて製膜を行なった。すなわち、ホッパー内に静置した上記ポリアミドイミド溶液をギヤポンプでコートダイに送入し、塗膜幅600mm、塗膜厚み400μm、でPETフィルム基材上に30℃、見かけ剪断速度200/secでキャストした後、フィルム基材ごと1分間静置・緩和した後、風速毎秒15mの乾燥オーブン内に連続的にフィードし、60℃で5分間、80℃で5分間、100℃で5分間乾燥した後、該フィルムからポリアミドイミドフィルムを剥離し、連続的に巻取った。更に巻き取ったフィルムを減圧下180℃で3時間乾燥することにより、厚み約100μmのポリアミドイミドフィルムを得た。得られたポリアミドイミドフィルムの特性を表1に示した。透明性に優れ光学用途に適したポリアミドイミドフィルムが得られた。
(作成例2)
参考例2で得られたポリアミドイミド;9kgをトルエン;13.5kg、エタノール;13.5kg混合溶媒に25℃で10分間攪拌溶解させたのち、24時間静置して脱泡をおこない、25重量%ポリアミドイミド溶液を36kg得た。得られた該ポリアミドイミド溶液の30℃における粘度は295ポイズであった。これを用い、コートダイ、及びフロートノズルを装備した乾燥設備を有する溶液製膜装置を用いて製膜を行なった。すなわち、ホッパー内に静置した上記ポリアミドイミド溶液をギヤポンプでコートダイに送入し、塗膜幅600mm、塗膜厚み400μm、でPETフィルム基材上に30℃、見かけ剪断速度200/secでキャストした後、フィルム基材ごと1分間静置・緩和した後、風速毎秒15mの乾燥オーブン内に連続的にフィードし、60℃で5分間、80℃で5分間、100℃で5分間乾燥した後、該フィルムからポリアミドイミドフィルムを剥離し、連続的に巻取った。更に巻き取ったフィルムを減圧下180℃で3時間乾燥することにより、厚み約100μmのポリアミドイミドフィルムを得た。得られたポリアミドイミドフィルムの特性を表1に示した。透明性に優れ光学用途に適したポリアミドイミドフィルムが得られた。
(作成例3)
参考例2の過程における、N−メチルピロリドンを溶媒とするポリマー濃度20重量%のポリアミドイミド溶液について、ポリマーを析出させることなく24時間静置して脱泡をおこない、作成例1と同様に製膜を行った。ただしその際、製膜機における乾燥条件は60℃で2分間、90℃で3分間、130℃で10分間とした。得られたポリアミドイミドフィルムの特性を表1に示した。透明性に優れ光学用途に適したポリアミドイミドフィルムが得られた。
(比較作成例1)
参考例3で得られたポリアミドイミド;9kgをトルエン;13.5kg、エタノール;13.5kg混合溶媒に25℃、10分間攪拌溶解させたのち、24時間静置して脱泡をおこない、25重量%のポリアミドイミド溶液を36kg得た。原料溶液の粘度は30℃において320ポイズであった。これを用い、作成例1と同様に製膜を行った。得られたポリアミドイミドフィルムの特性を表1に示した。得られたフィルムは黄褐色に着色した光学用途には適さないポリアミドイミドフィルムであった。
(比較作成例2)
参考例4で得られたポリアミドイミド溶液を用い、作成例1と同様にフィルム化を行いあつさ25μmのポリアミドイミドフィルムを得た。得られたポリアミドイミドフィルムの特性を表1に示した。得られたフィルムは濃褐色に着色した光学用途には適さないポリアミドイミドフィルムであった。
Figure 2010282922
《実施例1》
作成例1のポリアミドイミドフィルムを支持基板として用いて、該支持基板の片面にF−SnOの導電層を形成した導電性基板の導電層上に、電解析出により、酸化亜鉛よりなる金属酸化物層を形成した。電解析出の条件は、水に対してエオシンY(30μmol/l)、塩化亜鉛(5mmol/l)、塩化カリウム(0.09mol/l)の濃度になるように調整した電解浴液40mlと、亜鉛板よりなる対極と、銀/塩化銀電極よりなる参照電極を使用し、この電解浴を酸素により15分間バブリングしたのち、温度を70℃とし、30分間、電位−1.0Vの定電位電解をバブリングしながら導電性基板表面に製膜した。この基板を、乾燥させることなく水酸化カリウム水溶液(pH11)に浸漬し、そののちエオシンYを水洗した。次に、150℃、30分間乾燥させることにより金属酸化物半導体層を形成した。次に、通称ブラックダイと呼ばれる、
Figure 2010282922

上記に示した化合物 Ru(4,4',4''−tricarboxy−2,2' : 6,2''−terpyridine)−(NCS)3・3TBA のエタノール溶液(5mmol/l)に5時間浸漬し、色素を担持させることにより、作用電極を作製した。
次に、白金よりなる金属板を対向電極とした。予め、対向電極には、電解質含有体注入用の穴(φ1mm)を2つ開けておいた。電解質含有体は、アセトニトリルに対して、テトラプロピルアンモニウムヨージド(0.5mol/l)、ヨウ素(0.05mol/l)の濃度になるように調製した。作用電極の色素を担持した面と、対向電極とが所定の間隔を保つために厚さ50μmのスペーサを介して貼り合わせた。次に、対向電極に開けておいた穴から調整した電解質含有体を注入したのち、全体を封止し色素増感型光電変換素子を得た。
《実施例2》
<二酸化チタンゾルの調製>
平均粒径21nmの二酸化チタン粉末(日本アエロジル社製;P−25、ルチル:アナターゼ=3:7)を用意し、この二酸化チタン粉末3.0gに、アセチルアセトン(関東化学社製;純度99.5%)0.1mLとイオン交換水0.1mLを加え、メノウ乳鉢で10分間攪拌混合した。更に、イオン交換水1.0mLを加えて30分間攪拌混合する操作を7回繰り返した。これに、分散剤0.1mL、イオン交換水1.0mLを加えて5分間攪拌混合した後、イオン交換水7mLを加え、超音波洗浄器を用いて1時間超音波処理を施すことにより、二酸化チタンゾルを得た。
<二酸化チタン膜の固定化>
次いで、実施例1と同じ導電性基板を使用して、この導電性基板をスピンコータ(ACTIVE ACT-300A)の中央の試料台の上に固定し、先に調製した二酸化チタンゾルを基板表面に均質に広げるために、先ず、ゾル調製に使用した分散剤と水とを1:100の割合で混合した溶液を表面に5滴滴下し、0.1秒で2000rpmまで回転数を上昇させ、固定した基板を2000rpmで3秒間回転させた。次に、メタノールを表面に満遍なく濡らし、同様の回転数、回転時間で基板を回転させた。その後、二酸化チタンゾルを基板表面に満遍なく広げ、同様の回転数、回転時間で基板を回転させることにより、導電性基板表面に二酸化チタンからなる薄膜を作製した。
表面に二酸化チタンからなる薄膜を作製した透明導電性基板を室温で風乾した後、これを窒素置換した電気炉に入れ、10℃/minの昇温速度で285℃まで昇温し、285℃で30分間保持した後、10℃/min以下の降温速度で室温にまで冷却することにより、表面に二酸化チタンからなる薄膜を固定化した。走査電子顕微鏡(日本電子社製;JFC−1300)を用いて観察したところ、薄膜は多孔質となっており、薄膜の厚さは10μm以下であった。次に、《化1》に示した化合物のエタノール溶液(5mmol/l)に5時間浸漬し、色素を担持させることにより、作用電極を作製した。
<光電変換素子の作製>
実施例1と同様に光電変換素子を組み立て、光発電特性の測定を行った。増感色素を固定化した二酸化チタンからなる多孔質膜が透明導電性基板に形成された作用電極と、白金をスパッタした対電極との間に、ポリエチレン製のスペーサと電解質溶液を挟み込んだ構造とし、電解質溶液はスペーサ中央に設けられた窓部分に注入することとした。電解質溶液には、0.3MLiI・0.015MI2のアセトニトリル:エチレンカーボネート(2:8)溶液を使用した。作用電極のスペーサ側の一方の他端には、はんだにより0.2mmφ程度の銅線17を接続し、対向電極のスペーサ側の他方の他端にも、はんだにより0.2mmφ程度の銅線を接続して光電変換素子を得た。
《実施例3》
作成例2のポリアミドイミドフィルムを支持基板として用いた以外は、実施例2と同様にして光電変換素子を作成した。
《実施例4》
作成例3のポリアミドイミドフィルムを支持基板として用いた以外は、実施例2と同様にして光電変換素子を作成した。
上記実施例各例においては、支持基板の変形、皺や透明導電性層との剥離もなく、光電変換素子としての機能は充分であった。
《比較例1》
比較作成例1のポリアミドイミドフィルムを支持基板として用いた以外は、実施例2と同様にして光電変換素子を作成した。
《比較例2》
比較作成例2のポリアミドイミドフィルムを支持基板として用いた以外は、実施例2と同様にして光電変換素子を作成した。
《比較例3》
比較作成例3のポリアミドイミドフィルムを支持基板として用いた以外は、実施例2と同様にして光電変換素子を作成した。
《比較例4》
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を支持基板として用いた以外は、実施例2と同様にして光電変換素子を作成した。この支持基板のガラス転移温度は69℃であった。この場合は、導電性基板の作成、金属酸化物半導体層の形成時の加熱温度を150℃としたが、フィルムの変形、皺などが発生し、得られたサンプルは見掛け上においても不充分なものであった。
《比較例5》
市販のポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)を支持基板として用いた以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作成した。この支持基板のガラス転移温度は100℃であった。この場合は、導電性基板の作成、金属酸化物半導体層の形成時の加熱温度を150℃とした。
得られた各光電変換素子について、AM1.5(1000W/m)のソ−ラ−シミュレ−タ−を用いて、開放電圧(Voc)、光電流密度(Jsc)、形状因子(FF)、変換効率(η)の測定を行い電池特性評価とした。
なお、開放電圧(Voc)とは、光電変換素子の出力端子を開放したときの両端子間の電圧を表している。光電流密度(Jsc)とは、光電変換素子の出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる電流(1cm当たり)を表している。形状因子(FF)は、最大出力Pmaxを開放電圧(Voc)と光電流密度(Jsc)の積で除した値(FF=Pmax/Voc・Jsc)をいい、光電変換素子としての電流電圧特性曲線の特性を表すパラメータである。
各例で得られた光電変換素子の測定結果を表2に示す。
さらに得られた各光電変換素子を、屋外の見晴らしの良い、ビル屋上の影が落ちない場所にて南方に向けて地面に対して45℃の角度にて設置し、三ヶ月経過後に再び光電変換効率を測定した。結果を表2.に示す。
Figure 2010282922
本発明の支持基板としてガラス転移温度(Tg)が150℃以上であり、波長領域400から500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp)が75%以上で、かつ波長領域330から380nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率(350Tp)が25%以下であるポリアミドイミドフィルムを用いた色素増感型光電変換素子は、主たる用途である太陽電池に応用した場合、柔軟化や軽量化が可能であり、支持基板に高温耐性なポリアミドイミドフィルムを使用することで、透明導電層、多孔質半導体層を作成積層する場合などに、安定的に生産が可能であり、その加工性を高め、光発電効率を高く維持することのできるフレキシブル対応型色素増感型光電変換素子を提供することが可能であり、環境問題の解決に寄与し得て、工業的に極めて有用である。

Claims (4)

  1. 色素増感型光電変換素子において、支持基板としてガラス転移温度(Tg)が150℃以上であり、波長領域400から500nmにおける20μm厚さ換算平均光線透過率(500Tp)が75%以上で、かつ波長領域350から400nm未満における20μm厚さ換算平均光線透過率(350Tp)が25%以下であるポリアミドイミドフィルムを用いたことを特徴とする色素増感型光電変換素子。
  2. ポリアミドイミドフィルムの色度bが10以下である請求項1記載の色素増感型光電変換素子。
  3. ポリアミドイミドフィルムが、シクロヘキサントリカルボン酸系酸(水添トリメリット酸系酸)残基を主構成成分とするものである請求項1〜2いずれかに記載の色素増感型光電変換素子。
  4. ポリアミドイミドフィルムを構成する成分におけるシクロヘキシル環成分と芳香環成分のモル比が、
    Nc/Na=25/75〜90/10
    =0.333〜9.000
    であることを特長とする請求項1〜3いずれかに記載の色素増感型光電変換素子。
    なお上記 Nc:シクロヘキシル環のモル数、Na:芳香環のモル数である。
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