実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る冷凍空気調和装置の全体構成を表す図である。まず、図1に基づいて、冷凍空気調和装置を構成する手段(装置)等に関して説明する。この冷凍空気調和装置は、冷媒循環による冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を利用して冷暖房運転を行うものである。特に本実施の形態の冷凍空気調和装置は、複数の室内機において、それぞれ冷房と暖房とを同時に混在して行う冷暖房同時運転を行うことができる装置であるものとする。
図1のように本実施の形態の冷凍空気調和装置は、主として、熱源機(熱源機側ユニット、室外機)100、複数の室内機(負荷側ユニット)200a、200b及び200c並びに中継機300で構成する。本実施の形態では、冷媒の流れを制御するために熱源機100と室内機200a、200b、200cとの間に中継機300を設け、これらの機器の間を各種冷媒配管により配管接続する。また、複数台の室内機(負荷側ユニット)200a、200b及び200cについては、互いに並列となるように接続する。なお、例えば室内機200a、200b、200c等において、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、以下、a、b、cの添字を省略して記載するものとする。
配管接続については、第2主管20と、管径が第2主管20よりも太い第1主管10とで、熱源機100と中継機300との間を接続する。第2主管20には、熱源機100側から中継機300側に高圧の冷媒が流れる。また、第1主管10には、第2主管20を流れる冷媒に比べて低圧の冷媒が中継機300側から熱源機100側に流れる。ここで、圧力の高低については、基準となる圧力(数値)との関係により定められているものではなく、圧縮機110の加圧、各流量制御装置の開閉状態(開度)の制御等により、冷媒回路内における相対的な高低(中間を含む)に基づいて表すものであるとする(以下、同じ。基本的には、圧縮機110から吐出した冷媒の圧力が最も高く、流量制御装置等により圧力が低下していくため、圧縮機110に吸入される冷媒の圧力が最も低くなる)。
一方、中継機300と室内機200aとは、第2枝管40aと第1枝管30aとにより接続する。同様に、中継機300と室内機200bとは第2枝管40b及び第1枝管30bにより接続し、中継機300と室内機200cとは第2枝管40c及び第1枝管30cにより接続する。第1主管10、第2主管20、第2枝管40(40a、40b、40c)及び第1枝管30(30a、30b、30c)による配管接続により、熱源機100、中継機300並びに室内機200(200a、200b、200c)の間を冷媒が循環し、冷媒回路を構成する。
本実施の形態の熱源機100は、圧縮装置110、四方切換弁120、熱源機側熱交換部130、アキュムレータ140、熱源機側逆止弁部150、インジェクション管161及びインジェクション流量制御装置162を有している。
熱源機100の圧縮装置110は、吸入した冷媒に圧力を加えて吐出する(送り出す)。ここで、本実施の形態の圧縮装置110は、低段側圧縮機110a及び高段側圧縮機110bの2段構成となっているものとする。そして、低段側圧縮機110a及び高段側圧縮機110bは、インバータ回路(図示せず)により、制御手段400の指示に基づいて駆動周波数を任意に変化することができる。このため、圧縮装置110は、全体として吐出容量(単位時間あたりの冷媒の吐出量)と、その吐出容量に伴って能力を変化させることができるインバータ圧縮機となる。ここで、低段側圧縮機110aと高段側圧縮機110bとにおける駆動周波数は、各圧縮機のストロークボリュームに応じてあらかじめ所定の比率になるように決めておいてもよい。この所定の比率とは、高段側圧縮機110bの吸入圧力が所定の値となる場合の比率である。また、低段側圧縮機110aと高段側圧縮機110bとの間の圧縮行程の途中部分に、インジェクション管161から流入する冷媒を高段側圧縮機110bに吸入させるためのインジェクションポート(図示せず)を設けている。このため、例えば、低外気の環境下で低圧が低下し、低段側圧縮機110aが吸入する冷媒の密度が減少する場合に、圧縮機の駆動回転数をインバータ回路で増速させて、冷媒流量の低下を防ぎ、暖房能力を維持する。また、低圧が低下することで、高圧縮比の運転となり、吐出温度が高くなることについては、インジェクションポートから熱源側熱交換器131で冷却された冷媒を、インジェクションポートを介して流入させることで過昇を防止する。
四方切換弁120は、制御手段400の指示に基づいて、冷暖房の形態(モード)に対応した弁の切り換えを行い、冷媒の経路が切り換わるようにする。本実施の形態では、全冷房運転(ここでは、運転しているすべての室内機が冷房をしていることをいう)、冷房主体運転(冷暖房同時運転のうち、冷房が主となる)時と、全暖房運転(ここでは、運転しているすべての室内機が暖房をしていることをいう)、暖房主体運転(冷暖房同時運転のうち、暖房が主となる)時とによって経路が切り換わるようにする。
熱源機側熱交換部130は、熱源機側熱交換器131(131a、131b)、熱源機側第1電磁開閉弁132(132a、132b)、熱源機側第2電磁開閉弁133(133a、133b)、熱源機側送風機134、熱交換器バイパス管135及び熱源機側第3電磁開閉弁136を有している。
熱源機側熱交換器131(131a、131b)は、冷媒を通過させる伝熱管及びその伝熱管を流れる冷媒と外気との間の伝熱面積を大きくするためのフィン(図示せず)を有し、冷媒と空気(外気)との熱交換を行う。本実施の形態では、インジェクション管161を流れる冷媒と伝熱管を流れる冷媒との熱交換も行う。例えば、全暖房運転時、暖房主体運転時においては蒸発器として機能し、伝熱管を流れる冷媒を蒸発させて気化させる。一方、全冷房運転時、冷房主体運転時においては凝縮器として機能し、伝熱管を流れる冷媒を凝縮して液化させる。場合によっては、例えば冷房主体運転時のように、完全にガス化、液化するのではなく、液体とガス(気体)との二相混合(気液二相冷媒)の状態まで凝縮する等の調整が行われることもある。ここで、本実施の形態では、熱源機側熱交換部130は2つの熱源機側熱交換器131a、131bを有している。熱源機側熱交換器131aと熱源機側熱交換器131bとのフィンにおける伝熱面積等をそれぞれ異ならせ、熱交換に係る性能を異ならせるようにしてもよいが、ここでは熱源機側熱交換器131aと熱源機側熱交換器131bの熱交換に係る性能は同じであるものとする。
また、熱源機側第1電磁開閉弁132(132a、132b)と熱源機側第2電磁開閉弁133(133a、133b)は、制御手段400の指示に基づいて開閉し、熱源機側熱交換器131(131a、131b)への冷媒流入出を制御する。例えば、熱源機側第1電磁開閉弁132a(熱源機側第2電磁開閉弁133a)又は熱源機側第1電磁開閉弁132b(熱源機側第2電磁開閉弁133b)のいずれか一方を閉止する。これにより、熱源機側熱交換器131a、131bのいずれか一方に冷媒が流入しないようにして熱交換できないようにし、熱源機側熱交換部130(熱源機側熱交換器131)全体として熱交換容量(熱交換に係る熱量)を減らすことができる。
そして、熱源機側熱交換器131の近辺に、冷媒と空気との熱交換を効率よく行うための熱源機側送風機134を設けている。熱源機側送風機134は、制御手段400からの指示に基づいて風量を変化させることができ、この風量変化によっても熱源機側熱交換器131における熱交換容量を変化させることができる。
さらに、熱交換器バイパス管135の冷媒通過を制御するための熱源機側第3電磁開閉弁136を有している。例えば、熱源機側第3電磁開閉弁136を開放することで、熱源機側熱交換器131を通過させずに、熱交換器バイパス管135を介して冷媒を通過させることができる。
アキュムレータ140は冷媒回路中の過剰な冷媒を貯留する。また、熱源機側逆止弁部150は、熱源機側第1逆止弁151〜熱源機側第4逆止弁154を有している。各熱源機側逆止弁は冷媒が逆流することを防止して冷媒の流れを整え、冷媒の循環経路をモードに合わせて一定にするものである。熱源機側第1逆止弁151は、熱源機側熱交換部130と熱源機側第2主管20との間の配管上に位置し、熱源機側熱交換部130から第2主管20の方向への冷媒流通を許容する。熱源機側第2逆止弁152は、四方切換弁120と第1主管10との間の配管上に位置し、第1主管10から四方切換弁120の方向への冷媒流通を許容する。熱源機側第3逆止弁153は、四方切換弁120と第2主管20との間の配管上に位置し、四方切換弁120から第2主管20の方向への冷媒流通を許容する。熱源機側第4逆止弁154は、熱源機側熱交換部130と第1主管10との間の配管上に位置し、第1主管10から熱源機側熱交換器131の方向への冷媒流通を許容する。
また、インジェクション管161は、一端をインジェクションポートと接続し、インジェクションポートを介して圧縮装置110(高段側圧縮機110b)に流入させる(供給する)冷媒を通過させる。ここで、本実施の形態のインジェクション管161は、もう一端を、四方切換弁120と熱源機側第3逆止弁153との間の配管と接続している。そして、全暖房運転時及び暖房主体運転時に、四方切換弁120から熱源機側第3逆止弁153に流れる高圧のガス冷媒を分岐し、凝縮した冷媒を圧縮装置110に流入させる。ガス冷媒を凝縮するために、インジェクション管161の一部が熱源機側熱交換器131(131a、131b)を通過するように設置する。そして、インジェクション管161を流れる冷媒及び/又は外気(空気)等の熱交換媒体と熱源機側熱交換器131(131a、131b)の伝熱管を流れる冷媒との間で熱交換を行うようにする。
ここで、インジェクション管161に冷媒を通過させる全暖房運転時、暖房主体運転時においては、熱源機側熱交換器131は蒸発器として機能する。このとき、熱交換によって空気中の水分が氷結して熱源機側熱交換器131に着霜する。このため、例えば熱源機側熱交換器131に対して定期的に熱を加え、霜を融かす(除霜)作業を行う。このとき、熱源機側熱交換器131の上部から落ちた水分を十分に除去しない状態で全暖房運転、暖房主体運転等を行うと、熱源機側熱交換器131下部において根氷が生成する場合がある。そこで、熱源機側熱交換器131(131a、131b)の下部をインジェクション管161の一部が通過するようにする。これにより、インジェクション管161内の冷媒の放熱による熱を熱源機側熱交換器131(131a、131b)に伝播させて根氷の生成を防止する。
インジェクション流量制御装置162は、制御手段400の指示に基づいて、インジェクション管161を通過する冷媒流量(単位時間あたりに流れる冷媒の量)を調整する。
また、本実施の形態では、圧縮装置110の吐出側と接続した配管上に、吐出に係る冷媒の圧力を検出するための圧力センサとなる熱源機側第1圧力検出器170を取り付ける。熱源機側第1圧力検出器170からの信号に基づいて、制御手段400は、例えば圧縮機110が吐出した冷媒の圧力Pd、温度Td等の検知及び圧力Pdに基づく凝縮温度Tc等の演算を行う。さらに、熱源機100と第1主管10とを接続する配管上に、中継機300(室内機200)側から流入する冷媒の圧力を検出するための熱源機側第2圧力検出器171を取り付ける。さらに、外気の温度(外気温)を検出するための外気温度検出器172を取り付ける。
次に、本実施の形態の中継機300は、中継機側気液分離装置310、第1分岐部320、第2分岐部330及び中継機側熱交換部340で構成する。中継機側気液分離装置310は、第2主管20から流れる冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。ガス冷媒が流れ出る気相部(図示せず)は、第1分岐部320と接続する。一方、液冷媒が流れ出る液相部(図示せず)は、中継機側熱交換部340を介して第2分岐部330と接続する。
第1分岐部320は、3つのポートを有する三方切換弁321(321a、321b、321c)を有している。各三方切換弁321について、第1のポートを中継機側気液分離装置310の気相部側と接続する。また、第2のポートを第1主管10と接続し、第3のポートを各第1枝管30と接続する。三方切換弁321は制御手段400の指示に基づいて室内機200側から第1主管10側に冷媒が流れるようにするか、又は中継機側気液分離装置310側から室内機200側に冷媒が流れるように弁を切り換える。
第2分岐部330は、中継機側第1逆止弁331(331a、331b、331c)及び中継機側第2逆止弁332(332a、332b、332c)を有している。中継機側第1逆止弁331と中継機側第2逆止弁332とは、それぞれ逆並列関係になっており、それぞれの一端は、第2枝管40(40a、40b、40c)と接続する。室内機200側から中継機側熱交換部340側に冷媒が流れる際には、中継機側第1逆止弁331を通過して中継機側熱交換部340の中継機側第2バイパス配管346に流れる。また、中継機側熱交換部340側から室内機200側に冷媒が流れる際には中継機側第2逆止弁332を通過する。
中継機側熱交換部340は、中継機側第1流量制御装置341、中継機側第1バイパス配管342、中継機側第2流量制御装置343、中継機側第2熱交換器344、中継機側第1熱交換器345及び中継機側第2バイパス配管346を有している。
中継機側熱交換部340は、例えば全冷房運転時に液冷媒を過冷却して室内機200側に供給する。また、第1主管10との間で配管接続し、室内機200側から流れてきた冷媒、過冷却を行うために用いた冷媒を第1主管10に流す。中継機側第1流量制御装置341は、中継機側第1熱交換器345と中継機側第2熱交換器344との間に設けられ、制御手段400の指示に基づいて開度を制御し、中継機側気液分離装置310から流れる冷媒流量及び冷媒の圧力を調整する。一方、中継機側第2流量制御装置343は、制御手段400の指示に基づいて開度を制御し、中継機側第1バイパス配管342を通過する冷媒の冷媒流量を調整する。ここで、本実施の形態の中継機側第2流量制御装置343の開度は、中継機側第1温度検出器352と中継機側第2温度検出器353との温度差が所定値となるように、制御手段400が決定するものとする。中継機側第2流量制御装置343、中継機側第1バイパス配管342を通過した冷媒は、例えば中継機側第2熱交換器344、中継機側第1熱交換器345において冷媒を過冷却し、第1主管10に流れることになる。
中継機側第2熱交換器344は、中継機側第1バイパス配管342を流れる中継機側第2流量制御装置343の下流部分の冷媒(中継機側第2流量制御装置343を通過した冷媒)と、中継機側第1流量制御装置341から流れてくる冷媒との間で熱交換を行う。また、中継機側第1熱交換器345は、中継機側第1バイパス配管342、中継機側第2熱交換器344を通過した冷媒と、中継機側気液分離装置310から中継機側第1流量制御装置341に流れる冷媒との間で熱交換を行う。
さらに、中継機側第2バイパス配管346は、中継機側第1逆止弁331を通過した室内機200からの冷媒を流す。中継機側第2バイパス配管346を通過した冷媒は、例えば冷房主体運転、暖房主体運転時には、例えば中継機側第2熱交換器344を通過した後、一部又は全部が冷房を行っている室内機200に流れる。また、例えば全暖房運転を行っている場合には、全部が中継機側第2流量制御装置343、中継機側第1バイパス配管342を通過して第1主管10に流れる。
また、中継機300においては、中継機側第1流量制御装置341通過前後の冷媒の圧力を検出するために、中継機側第1流量制御装置341と中継機側気液分離装置310とを接続する配管側に中継機側第1圧力検出器350を取り付ける。また、第2分岐部330とを接続する配管側には中継機側第2圧力検出器351を取り付ける。全暖房運転、暖房主体運転又は冷房主体運転時には、中継機側第1圧力検出器350及び中継機側第2圧力検出器351の検出した圧力の差に基づいて、制御手段400は、中継機側第2流量制御装置343の開度を決定し、指示を行う。第1主管10と中継機側第1熱交換器345とを接続する配管に中継機側第1温度検出器352を取り付けている。また、中継機側第2流量制御装置343と中継機側第2熱交換器344とを接続する配管に中継機側第2温度検出器353を取り付けている。全冷房運転時には、中継機側第1温度検出器352及び中継機側第2温度検出器353からの信号に基づいて、例えば、制御手段400は、中継機側第2流量制御装置343の開度を決定する。
次に、室内機200(200a、200b、200c)の構成について説明する。室内機200は、室内機側熱交換器210(210a、210b、210c)、室内機側熱交換器210に近接して直列接続した室内機側流量制御装置220(220a、220b、220c)及び室内機側制御手段230(230a、230b、230c)を有している。室内機側熱交換器210は、前述した熱源機側熱交換器131と同様に、冷房の際は蒸発器となり、暖房の際は凝縮器となって、空調対象空間の空気と冷媒の間で熱交換を行う。また、各室内機側熱交換器210の近辺に、冷媒と空気との熱交換を効率よく行うための室内機側送風機211(211a、211b、211c)を設けている。
室内機側流量制御装置220は、減圧弁や膨張弁として機能し、室内機側熱交換器210を通過する冷媒の圧力を調整する。ここで、本実施の形態の室内機側流量制御装置220は、例えば開度を変化させることができる電子式膨張弁等で構成しているものとする。そして、室内機側流量制御装置220の開度については、冷房時には室内機側熱交換器210の冷媒出口側(ここでは第1枝管30側となる)の過熱度に基づいて、例えば各室内機200が有する室内機側制御手段230が決定する。また、暖房時には冷媒出口側(ここでは第2枝管40側となる)の過冷却度に基づいて決定する。室内機側制御手段230は、室内機200の各手段の動作を制御する。また、有線又は無線によって、制御手段400との間で各種データを含む信号の通信を行い、処理を行う。
各室内機200の室内機側熱交換器210における冷媒の流入口、流出口となる配管には、室内機側第1温度検出器240(240a、240b、240c)及び室内機側第2温度検出器241(241a、241b、241c)を取り付ける。室内機側第1温度検出器240が検出した温度と室内機側第2温度検出器241が検出した温度との差に基づいて、室内機側制御手段230が、それぞれ過熱度又は過冷却度を算出し、各室内機側流量制御装置220の開度を決定する。
制御手段400は、例えば冷凍空気調和装置内外に設けられた各種検出器(センサ)、冷凍空気調和装置の各機器(手段)から送信される信号に基づく判断処理等を行う。そして、その判断に基づいて各機器を動作させ、冷凍空気調和装置の全体の動作を統括制御する機能を有する。具体的には、圧縮装置110の駆動周波数制御、熱源機側流量制御装置135等の流量制御装置の開度制御、熱源機側第1電磁開閉弁132等の開閉弁の開閉制御、四方切換弁120、三方切換弁321の切換制御等がある。記憶手段410は、制御手段400が処理を行うために必要となる各種データ、プログラム等を一時的又は長期的に記憶しておく。ここで、本実施の形態では、制御手段400及び記憶手段410を熱源機100と独立して設けるものとするが、例えば熱源機100内に設けられていることも多い。また、制御手段400及び記憶手段410を装置近辺に設けるものとするが、例えば、公衆電気通信網等を介した信号通信を行うことにより、遠隔制御できるようにしてもよい。
以上のように構成した本実施の形態の冷凍空気調和装置は、前述したように、全冷房運転、全暖房運転、冷房主体運転及び暖房主体運転の4つの形態(モード)のいずれかによる運転を行うことができる。ここで、熱源機100の熱源機側熱交換器131は、全冷房運転時及び冷房主体運転時には凝縮器として機能し、全暖房運転時及び暖房主体運転時には蒸発器として機能する。次に、各形態の運転における基本的な各機器の動作及び冷媒の流れについて説明する。
図2は実施の形態1に係る全冷房又は全暖房運転状態の冷媒の流れを表す図である。まず、図2に基づいて全冷房運転における各機器の動作及び冷媒の流れについて説明する。全冷房運転における冷媒の流れは図2に実線矢印で示している。ここでは、すべての室内機200が停止することなく冷房を行っている場合について説明する。また、制御手段400は、熱源機側第1電磁開閉弁132a、132bと熱源機側第2電磁開閉弁133a、133bとを開いた状態、熱源機側第3電磁開閉弁136が閉じた状態となるようにさせて、熱源機側熱交換器131a及び131bの両方に熱交換を行わせるものとする(各モードの流れの説明において同じものとする)。
熱源機100においては、圧縮装置110が、吸入した冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮装置110から吐出した冷媒は、四方切換弁120を経て、熱源機側熱交換器131に流れる。高圧のガス冷媒は熱源機側熱交換器131内を通過する間に外気との熱交換により凝縮し、高圧の液冷媒となり、熱源機側第1逆止弁151を流れる(冷媒の圧力の関係で熱源機側第3逆止弁153、熱源機側第4逆止弁154側には流れない)。そして、高圧の液冷媒は第2主管20を通って中継機300に流入する。
中継機300に流入した冷媒を中継機側気液分離装置310がガス冷媒と液冷媒とに分離する。ここで、全冷房運転時に中継機300へ流入する冷媒は液冷媒であり、また、制御手段400が第1分岐部320の三方切換弁321を切換制御する。このとき、三方切換弁321(321a,321b,321c)の第1のポートを閉止し、第2のポート及び第3のポートを開放するようにする。このため、中継機側気液分離装置310から室内機200(20a、200b、200c)側にはガス冷媒は流れない。一方、液冷媒は中継機側第2熱交換器345、中継機側第1流量制御装置341、中継機側第2熱交換器344を通過して、その一部が第2分岐部330に流入する。第2分岐部330へ流入した冷媒は中継機側第2逆止弁332a、332b、332c及び第2枝管40a、40b、40cを介して室内機200a、200b、200cに分流する。
室内機200a、200b、200cにおいては、第2枝管40a、40b、40cからそれぞれ流れてきた液冷媒を、室内機側流量制御装置220a、220b、220cが開度調整し、各室内機200に流れる冷媒流量を調整する。ここで、前述したように、各室内機側流量制御装置220の開度調整は、各室内機側熱交換器210の冷媒出口側の過熱度に基づいて行う。各室内機側流量制御装置220a、220b、220cの開度調整により、低圧の液冷媒又は気液二相冷媒となった冷媒は、それぞれ室内機側熱交換器210a、210b、210cに流れる。低圧の液冷媒又は気液二相冷媒は、室内機側熱交換器210a、210b、210cをそれぞれ通過する間に空調対象空間となる室内空気との熱交換により蒸発する。そして、低圧のガス冷媒となり、それぞれ第1枝管30a、30b、30cに流れる。このとき、熱交換により室内空気を冷却して室内の冷房を行う。ここではガス冷媒としているが、例えば、各室内機200における空調負荷(室内機が必要とする熱量。以下、負荷という)が小さい場合、開始直後等過渡的な状態の場合等には、室内機側熱交換器210a、210b、210cにおいて完全に気化せず、気液二相冷媒が流れることもあり得る。第1枝管30a、30b、30cから流れてきた低圧のガス冷媒又は気液二相冷媒(低圧の冷媒)は、三方切換弁321a、321b、321cを通過して第1主管10に流れる。
第1主管10を通過して熱源機100に流れた冷媒は、熱源機側第2逆止弁152、四方切換弁120、アキュムレータ140を経て、再び圧縮装置110に戻ることで循環する。これが全冷房運転時の基本的な冷媒の循環経路となる。このとき、インジェクション流量制御装置162は、全閉して冷媒が流れないようにする。
ここで、中継機側熱交換部340における冷媒の流れについて説明する。前述したように、中継機側気液分離装置310で分離した液冷媒は中継機側第2熱交換器345、中継機側第1流量制御装置341、中継機側第2熱交換器344を通過して一部が第2分岐部330に流入する。一方、第2分岐部330側に流れなかった冷媒は、中継機側第2流量制御装置343を通過する。そして、中継機側第1バイパス配管342を通過し、中継機側第2熱交換器344、中継機側第1熱交換器345において、中継機側気液分離装置310から流れる冷媒を過冷却し、第1主管10に流れる。冷媒を過冷却して第2分岐部330側に流すことにより、冷媒入口側(ここでは、第2枝管40側)のエンタルピを小さくし、室内機側熱交換器210a、210b、210cにおいて、空気との熱交換量を大きくすることができる。ここで、中継機側第2流量制御装置343の開度が大きく、中継機側第1バイパス配管342を流れる冷媒(過冷却に用いる冷媒)の量が多くなると、蒸発されない冷媒が多くなり過ぎる。このため、中継機側第1温度検出器352と中継機側第2温度検出器353との温度差が所定値となるように、中継機側第1流量制御装置341出口での冷媒の過熱度を中継機側第2流量制御装置343で制御する。
ここで、室内機200(200a、200b、200c)の室内機側熱交換器210(210a、210b、210c)の冷媒の蒸発温度、熱源機側熱交換器131における冷媒の凝縮温度が予め定めた目標温度になるようにする。そのため、制御手段400は、圧縮装置110の吐出容量及び熱源機側送風機134の風量を制御し、室内機200a、200b、200cの負荷に対応した能力供給を行う。
次に全暖房運転における各機器の動作及び冷媒の流れについて説明する。ここでは、すべての室内機200が停止することなく暖房を行っている場合について説明する。全暖房運転の冷媒の流れは図2に点線矢印で示している。熱源機100においては、圧縮装置110が、吸入した冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮装置110が吐出した冷媒は、四方切換弁120、熱源機側第3逆止弁153を流れる(冷媒の圧力の関係で熱源機側第2逆止弁152、熱源機側第1逆止弁151側には流れない)、第2主管20を通って中継機300に流入する。
中継機300へ流入した冷媒を中継機側気液分離装置310がガス冷媒と液冷媒とに分離し、第1分岐部320に流れる。ここで、第1分岐部320では、三方切換弁321(321a,321b,321c)の第2のポートを閉止し、第1のポート及び第3のポートを開放する。このため、第1分岐部320では三方切換弁321(321a、321b、321c)から第1枝管30a、30b、30cを介してすべての室内機200a、200b、200cに分流する。
室内機200a、200b、200cにおいては、室内機側流量制御装置220a、220b、220cがそれぞれ開度調整する。これにより、第1枝管30a、30b、30cからそれぞれ流れてきた冷媒について、室内機側熱交換器210a、210b、210c内を流れる冷媒の圧力調整をする。そして、高圧のガス冷媒は、室内機側熱交換器210a、210b、210c内を通過する間に熱交換により凝縮して液冷媒となり、室内機側流量制御装置220a、220b、220cを通過する。このとき、熱交換により室内空気を加熱して空調対象空間(室内)の暖房を行う。ここで、各室内機側流量制御装置220の開度調整は、各室内機側熱交換器210の冷媒出口側の過冷却度に基づいて行うようにする。室内機側流量制御装置220a、220b、220cを通過した冷媒は低圧の液冷媒又は気液二相冷媒となり、第2枝管40a、40b、40cと中継機側第1逆止弁331a、331b、331cとを介して中継機側第2バイパス配管346を流れる。そして、中継機側第2流量制御装置343、中継機側第1バイパス配管342を通過して第1主管10に流れる。このとき、中継機側第2流量制御装置343の開度調整をすることにより、低圧の気液二相冷媒が第1主管10に流れる。
第1主管10から熱源機100に流入した冷媒は、熱源機100の熱源機側第4逆止弁154を通過し、熱源機側熱交換器131に流入する。熱源機側熱交換器131を通過する間に空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となる。そして、四方切換弁120、アキュムレータ140を経て、再び圧縮装置110に戻る。前述したように吐出することで循環する。これが全暖房運転時の冷媒の循環経路となる。
ここで、室内機200(200a、200b、200c)の室内機側熱交換器210(210a、210b、210c)の冷媒の凝縮温度、熱源機側熱交換器131における冷媒の蒸発温度が予め定めた目標温度になるようにする。そのため、制御手段400は、圧縮装置110の吐出容量及び熱源機側送風機134の風量を制御し、室内機200a、200b、200cのそれぞれの負荷に対応した能力供給を行う。
ここで、制御手段400は、外気温に基づいてインジェクションを行うものと判断すると、インジェクション流量制御装置162を制御して開度を変化させる。これにより、圧縮装置110から吐出し、熱源機側熱交換器131(131a、131b)において凝縮された冷媒が、インジェクションポートから高段側圧縮機110bの吸入側に流入する。このとき圧縮装置110が供給する能力の確保は駆動周波数の増速等により行う。
また、前述した全冷房運転及び全暖房運転において、すべての室内機200a、200b、200cが運転しているものとして説明したが、例えば一部の室内機が停止していてもよい。また、例えば一部の室内機200が停止しており、冷凍空気調和装置全体として負荷が小さい場合は、低段側圧縮機110a、高段側圧縮機110bのいずれか一方を停止する等して供給する能力を変化させるようにしてもよい。また、場合によっては、熱源機側第1電磁開閉弁132(132a、132b)、熱源機側第2電磁開閉弁133(133a、133b)等により、例えば、熱源機側熱交換器131(131a、131b)における冷媒流入を制御し、熱交換容量も変化させるようにしてもよい。
図3は暖房主体運転状態の冷媒の流れを表す図である。ここでは、室内機200a、200bが暖房を行い、室内機200cが冷房を行っている場合について説明する。暖房主体運転における冷媒の流れは図3に実線矢印で示している。熱源機100の各機器の動作及び冷媒の流れは、図2を用いて説明した全暖房運転と同じである。
また、室内機200a、200bの暖房における冷媒の流れについては、図2を用いて説明した全暖房運転時の流れと同様である。このため、三方切換弁321a及び321bでは第2のポートを閉止し、第1のポート及び第3のポートを開放する。一方、室内機20cが冷房を行っており、暖房を行っている室内機200a、200bとは冷媒の流れが異なる。室内機200a、200bにおいて、室内機側熱交換器210a、210b内を通過する間に熱交換により凝縮された冷媒は、室内機側流量制御装置220a、220b、中継機側第1逆止弁331a、331bを通過して中継機側第2バイパス配管346に流れる。ここで、制御手段400は、中継機側第1流量制御装置341を閉止させるようにして中継機側気液分離装置310との間の冷媒の流れを遮断する。そのため、凝縮された冷媒が、中継機側第2逆止弁332c及び第2枝管400cを通過して室内機200cに流入し、冷房に用いる冷媒となる。このとき、中継機側第2流量制御装置343を調整し、制御手段400は、中継機側第1熱交換器345を制御して開度を調整させ、室内機200cに必要な冷媒供給を行いつつ、残りの冷媒を中継機側第1バイパス配管342を介して第1主管10に流す。ここで、三方切換弁321cでは、第1のポートを閉止し、第2のポート及び第3のポートを開放する。
また、全暖房運転と同じように、制御手段400が、インジェクションを行うものと判断すると、インジェクション流量制御装置162を制御して開度を変化させ、インジェクションポートから高段側圧縮機110bの吸入側に冷媒を流入させる。
暖房主体運転において、冷房を行う室内機(ここでは室内機20c)には、暖房を行っている室内機(ここでは室内機20a、20b)から流出した冷媒が流れることになる。そのため、冷房を行う室内機200が停止すると、中継機側第1バイパス配管342を流れる気液二相冷媒の量が増加する。反対に冷房を行う室内機200における負荷が増えると、中継機側第1バイパス配管342を流れる気液二相冷媒の量が減少する。そのため、暖房を行う室内機200に必要な冷媒の量は変わらないまま、冷房を行う室内機200における室内機側熱交換器210(蒸発器)の負荷が変化する。
このような暖房主体運転についても、制御手段400は、圧縮装置110の吐出容量及び熱源機側送風機134の風量を制御し、室内機200a、200b、200cのそれぞれの負荷に対応した能力供給を行う。また、場合によっては、熱源機側第1電磁開閉弁132(132a、132b)、熱源機側第2電磁開閉弁133(133a、133b)等により、例えば、熱源機側熱交換器131(131a、131b)における冷媒流入を制御して伝熱面積等を変化させ、熱交換容量も変化させる。
図4は冷房主体運転状態の冷媒の流れを表す図である。ここでは、室内機200a、200bが冷房を行い、室内機200cが暖房を行っている場合について説明する。冷房主体運転における冷媒の流れは図4に実線矢印で示している。熱源機100の各機器が行う動作及び冷媒の流れは、図2を用いて説明した全冷房運転時と同じである。ただ、ここでは、熱源機側熱交換器131における冷媒の凝縮を制御することで、第2主管20を通って中継機300に流入する冷媒が気液二相冷媒となるものとする。
また、冷房が行われる室内機200a、200bに至り、第1主管10を通過し、熱源機100に流入するまでの冷媒の流れについては、図2を用いて説明した全冷房運転時における流れと同様である。一方、暖房を行う室内機200cに係る冷媒の流れについては、冷房を行っている室内機200a、200bとは異なる。まず、中継機300へ流入した気液二相冷媒を中継機側気液分離装置310がガス冷媒と液冷媒とに分離する。制御手段400は、第1分岐部320の三方切換弁321a、321bについては、第1のポートを閉止し、第2のポート及び第3のポートを開放して室内機200a、200b側にガス冷媒が流れないようにさせている。一方、三方切換弁321cについては、第2のポートを閉止し、第1のポート及び第3のポートを開放して第1枝管30cを介して室内機200c側にガス冷媒が流れるようにさせる。
室内機200cにおいては、室内機側流量制御装置220cの開度調整により、第1枝管30cから流れてきた冷媒について、室内機側熱交換器210c内を流れる冷媒の流量を調整する。そして、高圧のガス冷媒は、室内機側熱交換器210c内を通過する間に熱交換により凝縮して液冷媒となり、室内機側流量制御装置220cを通過する。このとき、熱交換により室内空気を加熱して室内の暖房を行う。室内機側流量制御装置220cを通過した冷媒は若干圧力が減少した液冷媒となり、第2枝管40cと中継機側第1逆止弁331cとを介して中継機側第2バイパス配管346を流れる。そして、中継機側気液分離装置310から流れてきた液冷媒と合流し、室内機200a、200bに流れ、冷房のための冷媒として利用される。
このように冷房主体運転においては、熱源機100の熱源機側熱交換器131は、凝縮器として機能する。また、暖房を行う室内機200(ここでは室内機200c)を通過した冷媒は、冷房を行う室内機200(ここでは室内機200a、200b)の冷媒として用いる。ここで、室内機200a、200bにおける負荷が小さく、室内機200a、200bに流れる冷媒を抑制する等の場合には、制御手段400は、中継機側第2流量制御装置343の開度を大きくさせる。これにより、冷房を行っている室内機200a、200bに必要以上の冷媒を供給しなくても、中継機側第1バイパス配管342を介して第1主管10に流すことができる。
このような冷房主体運転についても、制御手段400は、圧縮装置110の吐出容量及び熱源機側送風機134の風量を制御し、室内機200a、200b、200cのそれぞれの負荷に対応した能力供給を行う。また、場合によっては、熱源機側第1電磁開閉弁132(132a、132b)、熱源機側第2電磁開閉弁133(133a、133b)等により、例えば、熱源機側熱交換器131(131a、131b)における冷媒流入を制御して伝熱面積等を変化させ、熱交換容量も変化させる。
ここで、外気温が低くなると圧縮比が高くなり過ぎ、圧縮装置110による圧縮機吐出温度が高くなる(過昇する)。全暖房運転、暖房主体運転において蒸発器となる熱源機側熱交換器131における圧力(圧縮装置110の吸入側に係る圧力)が低下する。そのため、圧縮装置110に吸入される冷媒(循環する冷媒)が減少(冷媒密度が低下)し、圧縮比が高くなり過ぎて、圧縮装置110が吐出する冷媒の温度(吐出温度)が高くなる。そこで、制御手段400は、インジェクション流量制御装置162を制御して開度を変化させる。これにより、インジェクションポートから冷媒を補って冷媒密度を高め、また、高段側圧縮機110bが吸入する冷媒の温度を低くして圧縮機吐出温度が過昇しないようにする。
本実施の形態では、インジェクション管161の一端を、四方切換弁120と熱源機側第3逆止弁153との間の配管と接続し、四方切換弁120から熱源機側第3逆止弁153に流れる高圧のガス冷媒を分岐させるようにする。そして、インジェクション管161の一部が熱源機側熱交換器131(131a、131b)を通過するようにし、伝熱管を流れる冷媒との間で熱交換を行わせ、凝縮した冷媒を圧縮装置110(高段側圧縮機110b)に流入させる。圧縮装置110から吐出し、安定した高圧の冷媒をインジェクション流量制御装置162により減圧調整し、十分な差圧を設けることで、インジェクションポートから圧縮装置110に安定した量の冷媒を流入させることができる。
また、このとき、インジェクション管161を通過する冷媒は高温の冷媒である(外気よりも温度が高い)。このため、熱源機側熱交換器131(131a、131b)では、効率よく熱交換できる。そして、インジェクションを行う際、インジェクション管161を通過する冷媒の熱を、少なくとも熱源機側熱交換器131(131a、131b)の下部に伝播させて、根氷の生成を防止する。
図5は、インジェクションに係る制御を行うためのフローチャートを表す図である。まず、制御手段400は、外気温度検出器172から送信される信号に基づいて、外気温が、あらかじめ定めた所定外気温度よりも低いかどうかを判断(低外気判定)する(STEP1)。
外気温が所定外気温度よりも低くない(外気温が所定外気温度以上である)と判断すると、制御手段400は、インジェクション流量制御装置162を閉止させる(閉止しているときはそのままにする)。これにより、インジェクション管161に冷媒が流れないようにし、通常動作による制御を行う(STEP8)。
一方、外気温が所定外気温度よりも低いと判断すると、全暖房運転又は暖房主体運転を行っている状態であるかどうかを判断する(STEP2)。全暖房運転又は暖房主体運転を行っていない(全冷房運転又は冷房主体運転を行っている)と判断すれば、制御手段400は、インジェクション流量制御装置162を閉止させる(閉止しているときはそのままにする)(STEP8)。
全暖房運転又は暖房主体運転を行っていると判断すると、インジェクション流量制御装置162の開度を調整させる制御を行い、インジェクション管161に冷媒が流れるようにする。そして、インジェクションポートを介して圧縮装置110に冷媒を流入させるようにする。
そのため、制御手段400は、熱源機側第1圧力検出器170の検出に基づいて、圧縮装置110が吐出した冷媒の圧力Pd、温度Tdを検知(判断)する(STEP3)。また、圧力Pdに基づいて凝縮温度Tcを演算し、温度Tdと凝縮温度Tcとの差となる吐出過熱度TdSHを算出する(STEP4)。さらに、インジェクション流量制御装置162の開度目標の差ΔLEVを次式(1)に基づいて算出する(STEP5)。ここで、TdSHm は、目標として設定されて記憶手段410に記憶した吐出過熱度を表す。またkは定数である。
ΔLEV=k(TdSH−TdSHm ) …(1)
そして、算出したΔLEVに基づいて、インジェクション流量制御装置162の次の開度目標LEVm を次式(2)に基づいて算出する(STEP6)。ここでLEVは現在の開度目標を表す。
LEVm =LEV+ΔLEV …(2)
以上の処理を所定時間毎に繰り返し(STEP7)、制御手段400は、インジェクション流量制御装置162の開度を制御することにより、インジェクション管161を流れる冷媒流量を制御する。
以上のように、実施の形態1の冷凍空気調和装置によれば、インジェクション管161の一端を、四方切換弁120と熱源機側第3逆止弁153との間の配管と接続し、全暖房運転時及び暖房主体運転時に、四方切換弁120から熱源機側第3逆止弁153に流れる高圧のガス冷媒を分岐し、熱源機側熱交換器131(131a、131b)を通過させて凝縮し、インジェクション流量制御装置162で圧力調整した冷媒を圧縮装置110に流入させるようにしたので、高段側圧縮機110bの吸入側の圧力(低段側圧縮機110aの吐出側の圧力)との差圧を安定させることができる。これにより、低外気における全暖房運転、暖房主体運転においてインジェクションさせる際に、安定した量の冷媒を圧縮装置110に流入させることができる。また、インジェクションを行うことにより、圧縮装置110における過昇を防止し、吐出過熱度の低減をはかることができ、圧縮機の増速によって十分な暖房能力を発揮することができる。このとき、熱源機側熱交換器131(131a、131b)の下部をインジェクション管161の一部が通過するようにしたので、インジェクション管161内の冷媒の放熱によって熱源機側熱交換器131(131a、131b)の下部に生じうる根氷の生成を防止することができる。
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2に係る冷凍空気調和装置の全体構成を表す図である。図6において、図1と同じ符号を付している手段等は、実施の形態1で説明したことと同様の機能、動作を行う。上述した圧縮装置110は、低段側圧縮機110a及び高段側圧縮機110bの2段構成となっていたが、本実施の形態の圧縮装置111は1台の圧縮機で構成する。そして、圧縮装置111を構成する圧縮機において、圧縮室の一部分を開口し、圧縮工程の途中である中間圧部に直接インジェクションポートを設けるようにする。
以上のように実施の形態2の冷凍空気調和装置によれば、圧縮室の一部分を開口してインジェクションポートを設けた1台の圧縮機で構成した圧縮装置111で装置構成をするようにしたので、2台の圧縮機で構成するよりもコスト削減を図ることができる。また、2台搭載するよりも熱源機100内における圧縮機の設置に係るスペースを小さくすることができる。
実施の形態3.
図7は本発明の実施の形態3に係る冷凍空気調和装置の全体構成を表す図である。図7において、図1と同じ符号を付している手段等は、実施の形態1で説明したことと同様の機能、動作を行う。図7において、熱源機側第4電磁開閉弁137は、熱源機100において除霜運転を行っている際に、圧縮装置110から吐出した冷媒が第1主管10(第2主管20)を通過しないようにするものである。
本実施の形態では、熱源機100において、熱源機側熱交換器131に付着した霜を除くために行う除霜運転について説明する。まず、除霜運転を行う際、制御手段400は熱源機側第4電磁開閉弁137を閉止させて、圧縮装置110から吐出した冷媒が熱源機側第3逆止弁153、第1主管10に流れないようにする。また、インジェクション流量制御装置162を全開にする。
例えば、高段側圧縮機110bの加圧により、圧縮装置110から吐出した冷媒は、四方切換弁120を通過し、インジェクション管161(インジェクション流量制御装置162)を通過する。このとき、熱源機側熱交換器131に付いた霜と冷媒とが熱交換する(霜側が吸熱する)ことにより、霜が融解して熱源機側熱交換器131から流れ落ちる。
インジェクション管161を通過した冷媒はインジェクションポートから流入し、高段側圧縮機110bに加圧される。これにより冷媒が循環し、除霜回路を構成する。また、除霜運転において、一旦、熱源側送風機134を停止させ、四方切換弁120を冷房運転を行う際の位置に切り換えて、熱源側熱交換器131にホットガス(高温の冷媒)を通過させて除霜する。その後、図7の冷媒の流れにして熱源側熱交換器131下部の残霜を溶かすようにしてもよい。
以上のように、実施の形態3の冷凍空気調和装置によれば、インジェクション管161(インジェクション流量制御装置162)を利用して除霜回路を構成し、除霜運転を行うようにしたので、効率よく熱源機側熱交換器131の除霜を行うことができる。
実施の形態4.
上述の実施の形態においては、中継機300を有し、冷暖同時運転を行うことができる冷凍空気調和装置について説明したが、このような装置に限定するものではない。例えば、冷房と暖房を切り替えて行う冷凍空気調和装置に適用することができる。また、室内機(負荷側ユニット)が暖房(加熱)専用となる冷凍空気調和装置に適用することができる。