JP2010261860A - 温度センサ及び温度センサシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度によって電気抵抗が変化する感温体2と、感温体2に電気的に接続される一対のリード線4と、感温体2と所定範囲内のリード線4とを封止する被覆材5とを備え、リード線4が被覆材5の封止端6から引出されるセンサ素子1と、リード線4の一部を除いてセンサ素子1を収容する金属保護管20と、封止端6を取り囲むセラミック製の封止端密閉体7とリード線保護管8とからなる遮蔽体と、を備え、遮蔽体は金属保護管20内に遊嵌される。
【選択図】図1
Description
500℃以上の温度を測定する場合、温度センサを構成する温度センサ素子は、金属保護管内の閉塞された環境に置かれるため、金属蒸気濃度の高い雰囲気環境に晒されてしまうことになる。
リード線4間には、高い絶縁性能を有する結晶質ガラス、非晶質ガラス等からなる被覆材5が介在しているので、センサ素子に通電したとしても図12(a)に示すように、リード線4間にリーク電流は生じない。なお、図12において矢印が電流を示す。ところが、上述のとおり、導電性を有する物質、例えば酸化クロムがリード線4間を埋めるように付着すると、リード線4間の絶縁性能が損なわれ、図12(b)に示すように、通電によりリード線4間にリーク電流が生じ、そのために電解腐食(高温マイグレーション)が生じる。その結果、温度センサによる検知温度が不正確になる。
以上の構成を有する本発明の温度センサは、封止端を密閉する封止端密閉部と、封止端から引き出されるリード線が貫通して収容されるリード線保護部とからなるセラミック製の遮蔽体とを備えることを特徴とする。また本発明の温度センサは、遮蔽体が金属保護管内に遊嵌されていることを特徴とする。
また、本発明の温度センサは、リード線保護部を備える。温度センサは、使用時に感温体が存在する前方側が高温になり、それよりも後方に向けて温度が低くなる温度勾配を有する。そこで、リード線を構成する材料が蒸発を開始する温度以上となる部分を、リード線保護部で覆うことにより、リード線からの金属の蒸発防止に寄与する。
なお、本発明において、感温体が設けられる側を前(前方)とし、リード線が延設される側を後(後方)と定義するものとする。
高倍率かつ高精度の増幅器を使うとコストが高くなるため、温度センサ素子が自己加熱しないぎりぎりの電流を通電し、あるいはパルス大電流を通電し通電時間のデューティーを適切に選ぶことで自己加熱することなく極力大きい電圧信号を取り出したい。しかし、電圧が大きくなると高温マイグレーションの危険性が高くなる。したがって、500℃を越える高温領域で、より安定して長時間使える安価な温度センサシステムをこれまで市場へ供給することができなかった。
しかしながら、本発明の温度センサにより高温マイグレーションの心配が払拭されたので、増幅器を用いない通電回路を使用できることになる。したがって本発明の温度センサシステムは、以上のいずれかの温度センサと、温度センサに温度検出電流を供給する通電回路と、温度センサが検出した温度情報をアナログ電圧信号として入力されるADコンバータと、ADコンバータで変換されたディジタル信号を温度に換算して制御動作を行うコントローラ、を備える温度センサシステムにおいて、通電回路は、コントローラの指示に基づいて温度センサにパルス状の温度検出電流を供給する温度センサシステムを提供する。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1(a)は本発明の第1実施形態の温度センサ1を示す。
温度センサ1は、センサ素子ユニット10と、リード線4の後方側の一部を除いてセンサ素子ユニット10を収容する金属保護管20とから構成される。
センサ素子ユニット10は、温度によって電気抵抗が変化する感温体2と、感温体2に電極3を介して電気的に接続される一対のリード線4と、感温体2と電極3から所定範囲内のリード線4とを封止する被覆材5とを備える。リード線4は、被覆材5の封止端6から引出される。
センサ素子ユニット10と金属保護管20の間に設けられる封止端密閉体7は、外形が円錐台形をなし、被覆材5の後端側を取り囲んで封止端6を密閉する。したがって、リード線4間に導電性の組成物が付着することがない。封止端密閉体7は、アルミナ(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)等のセラミックからなる。封止端密閉体7を形成する方法は後述する。
リード線保護管8は、リード線4を保護するために、温度センサ1の使用時にリード線4の温度が500℃以上となる領域を収容できる長さを有していることが好ましい。
なお、リード線保護管8及び充填材9も、封止端密閉体7と同様にアルミナ(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)等により構成される。
温度センサ1は、予め一体に形成されたセンサ素子ユニット10を別途形成された金属保護管20に挿入、固定することにより製造される。このとき、封止端密閉体7とリード線保護管8とからなる遮蔽体の部分と金属保護管20の間には隙間を設けることにより、遮蔽体を金属保護管20内に遊嵌させる。なお、金属保護管20から被覆材5への熱伝導をよくするために、被覆材5の先端を金属保護管20につき当てること、被覆材5の先端と金属保護管20の間に充填剤、接着剤を介在させることを本発明は許容する。この場合も、封止端密閉体7とリード線保護管8とからなる遮蔽体の部分と金属保護管20の間に隙間が設けられ、遊嵌されていることに他ならない。
金属保護管20はパイプ状の物であり、温度を計測する感温体2を収納する一端(先端側)が閉塞(密閉)されており、他方の端(後端側)はリード線4を引き出すために開放されている。
このため、使用状態において、金属保護管20の後端側の温度がこれら有機材料でも使える温度領域まで下がっている必要がある。
また、金属保護管20を高温炉などに取り付ける際にも取り付け部の温度が低いほうが強度や腐食性・温度センサの応答性など特性面に関して有利になるので、取り付け部は金属保護管20の後端側に設けるのが一般的である。
他方、金属保護管20の先端側は温度を計測するため高温下にあり、金属保護管20の先端と後端とでは温度差(温度分布・温度勾配)がある。例えば、先端側が800℃であり、後端側が200℃ということがある。
このような役目を果たす金属保護管20に感温体2を収納し高温を計測する場合、高温になる金属保護管20の先端において金属保護管20の外周面と内周面の両方で酸化や還元に伴い金属の放出(蒸発)が起きる。特に金属保護管20の内周面は密閉された環境になるので、外周面に比べると金属蒸発量が多くなる。
すなわち、事実として金属保護管20の先端側に配置される感温体2にクロムが多く付着し、その付着量は金属保護管20の後端に近いほど減少する。
感温体2から引き出されるリード線4も金属保護管20の温度分布に支配されるので、より高温側になる感温体2の付近ほど金属蒸発量が大きくなる。
以上より、リード線4から金属が蒸発し細くなるのを抑制するとともに、リード線4から蒸発した金属が他の場所に飛来するのを防止し、なおかつ、金属保護管20から飛来する金属とリード線4から蒸発した金属とがリード線4間に付着させない構造とし、さらに、リード線保護管8から露出されるリード線4の部分の温度が、金属が蒸発しないか、したとしても極微量に抑えられる例えば400℃以下となるように温度センサ1を構成することが好ましい。
図3(a)に示すように、ユニット中間体の被覆材5の後端とリード線保護管8の前端が接するまで、リード線4をリード線保護管8の保持孔8hに挿入する。
そして、図3(b)に示すように、ユニット中間体を成形型11内に配置する。成形型11は、主型11aとヘッド11bとからなり、ヘッド11bには注入口11cが形成される。図示しない原料供給源から封止端密閉体7、充填材9形成用の原料LMが注入口11cから主型11a内に注入される。
主型11aと被覆材5の最大外径部との間に隙間を設けているので、原料LMは当該隙間を通過して、リード線保護管8まで達することができる。さらに原料は、リード線4とリード線保護管8の保持孔8hとの隙間に侵入し、当該隙間が原料LMで満たされる。
原料LMがリード線保護管8の保持孔8hとの隙間を満たした後に、図3(d)に示すように、ユニット中間体を成形型11から取出す。被覆材5の外周にある余分な原料LMを除去して、被覆材5の外形を整える。なお、余分な原料LMを除去することは必須ではないが、感温体2の温度検知の感度を上げるためには、余分な原料LMを除去することが好ましい。
しかる後、ユニット中間体を所定温度に加熱することにより原料LMを焼結して封止端密閉体7、充填材9とする(図3(e))。
また、以上のセンサ素子ユニット10によれば、リード線保護管8は予め焼結されたセラミックから構成されるので、リード線4を精度よく位置決めできる。また、流動性のある原料LMを用いて成形した後に焼結して構成するのは、体積の小さい封止端密閉体7、充填材9の部分なので、短時間で焼結を完了できる。
<第2実施形態>
図1(c)の温度センサ30は、センサ素子ユニット25と、リード線4の後方側の一部を除いてセンサ素子ユニット25を収容する金属保護管20とから構成される。センサ素子ユニット25は、第1実施形態の封止端密閉体7とリード線保護管8を一体に作製して遮蔽体26を構成したものとみなせる。遮蔽体26は、第1実施形態と同様に、セラミック粉末と分散媒からなる原料LMを、型内の所定領域に供給して成形体を作製し、その後焼結することにより形成できる。以下の第3、第4実施形態も同様である。
この第2実施形態によるセンサ素子ユニット25においても、遮蔽体26が被覆材5の後端側を取り囲んで封止端6を密閉するとともに、リード線4を保護する。
図2(a)の温度センサ40は、センサ素子ユニット35と、センサ素子ユニット35を収容する金属保護管20とから構成される。
センサ素子ユニット35は、第2実施形態の遮蔽体26と同様の遮蔽体36を覆うセラミック製の被覆管37を設けたものである。この第3実施形態によるセンサ素子ユニット35においても、遮蔽体36、さらには被覆管37が被覆材5の後端側を取り囲んで封止端6を密閉するとともにリード線4を保護する。
図2(b)の温度センサ50は、センサ素子ユニット45と、センサ素子ユニット45を収容する金属保護管20とから構成される。
センサ素子ユニット45は、被覆材5の先端まで覆う遮蔽体38を設け、さらに遮蔽体38を収容するセラミック製の被覆管39を設けたものである。この第4実施形態によるセンサ素子ユニット45においても、遮蔽体38、さらには被覆管39が被覆材5の後端側を取り囲んで封止端6を密閉するとともに、リード線4を保護する。
500℃以上の高温下で温度測定するのに好適なより具体的な温度センサ60を図4に基づいて説明する。
温度センサ60は、その基本構成が第1実施形態の温度センサ1に従っているので、以下では、温度センサ1との相違点を中心に説明する。
温度センサ60は、リード線4が、Pt又はPt合金からなる第1リード線41と、Ni又はNi合金からなる第2リード線42とから構成される。第1リード線41は感温素子2に直接接続され、第2リード線42は第1リード線41に接続部43において接続される。より高い温度に晒される側にPt又はPt合金からなる第1リード線41を配置し、それよりも後端側にはNi又はNi合金からなる第2リード線42を配置する。
第2リード線42は、リード線保護管8から露出される後端側に絶縁被覆44が施されている。さらに、絶縁被覆44が施されている部分の大半は、ガラス繊維又はセラミック繊維からなる網状編組チューブ45で覆われている。
図4(b)に示すように、金属保護管20の一部にかしめ部21を設けることにより、リード線4を網状編組チューブ45とともに金属保護管20に固定できる。
また、温度検知時において第1リード線41と第2リード線42の接続部43は、600℃以下の温度となる位置に設けられることが好ましい。
そこへ温度センサ60を取り付けた場合、温度センサ60の金属保護管20は感温体20が収納された先端部の温度が一番高く、リード線4が引き出される金属保護管20の開放端の温度が一番低い。
例えば、図4の1000〜400℃の温度分布となる。
これにより、高温部の熱が金属保護管20を伝達して常温部に伝わってくる熱引き現象が起きる。熱引きが大きいものほど金属保護管20の長さを長くして検出温度誤差を軽減する必要があり、図4(a)に示すようにリード線4引き出し部の後端を筐体70より温度の低いところまで延長し、かつ絶縁被覆されたリード線4に繋ぎ変えることが好ましい。
これに対応するには、金属保護管20を先端部と後端部の2分割で作り、製造工程途中で一体化したり、シームやシームレスパイプを必要な長さで切断し片方の端を溶封したりして金属保護管20の長さを確保することになる。本実施形態は、ここにも配慮がなされている。
すなわち、高温を測る用途で多い燃焼状態の監視における、炎温度、排気ガス温度などの局所的な高温部では、熱源から金属保護管20への熱量の伝達が非常に多い。そこで、筐体70、フランジ22を介して金属保護管20を水冷又は空冷で強制的に局部冷却することで、全長が短い金属保護管20でも温度センサ60が構成できる。つまり、上述したプレス絞り加工による金属保護管20が使えるようになる。
金属保護管20の全長を短くできることで、感温体2を製造するときに使った長いリード線がそのまま利用できる。感温体20を製造するときにリード線4が無いと、温度の検出誤差の検査ができない。特に温度が高い場合はリード線4が必須となる。
また、リード線4で感温体2を保持してさまざまな加工(コートやディップ)を感温体2に施すことができる。リード線4は感温体2の対の電極3に繋がっているので、信号線として利用することができる。
さらに、リード線保護管8についても、セラミックの押出し成型やプレス成型品が、金属保護管20の長さが短いことにより利用することが可能になる。
ちなみに、セラミックの押出し成形やプレス成型品の製造限界は、金属保護管20の加工限界と同等以下である。
金属保護管20が長い場合には、リード線4を継ぎ足し、線間絶縁を確保するためリード線保護管8を何本か継ぎ足したり、無機物の粉を金属保護管8内に充填したりする必要がある。これは手間であり大量生産を阻む要因となる。
図6に示すように、第1実施形態による温度センサ1を用いると、10mAの通電電流、1000時間経過後であっても検知温度の変化が微小である。これに対して、比較温度センサは、0.1mA(比較−1)の通電電流であっても10時間程度(Tmax:800℃)で検知温度が大きくずれる異常が生じた。通電電流が10mA(比較−2)になるとさらに検知温度異常が短時間で生じ、通電電流が大きいほど温度センサの耐久時間が短くなる。
すなわち、図7(b)に示される温度センサシステムは、感温体(温度センサ)2と、感温体2に温度検出電流を供給する通電回路C2と、感温体2が検出した温度情報をアナログ電圧信号として入力されるADコンバータCVと、ADコンバータCVで変換されたディジタル信号を温度に換算して制御動作を行うコントローラCTRと、を備える。
通電回路C2は、基準電源BPSと感温体2との間に並列に接続される第1通電回路C21と第2通電回路C22の2つの通電回路を備える。第1通電回路C21は、基準電源BPSにコレクタCL1が接続されるトランジスタTr1と、エミッタE1を介してトランジスタTr1に直列に接続される抵抗R1を備える。また、第2通電回路C22は、基準電源BPSにコレクタCL2が接続されるトランジスタTr2と、エミッタE2を介してトランジスタTr2に接続される抵抗R2を備える。なお、抵抗R1と抵抗R2は、抵抗値が相違する。
トランジスタTr1がON、トランジスタTr2がOFFの場合、第1通電回路C21を介して感温体2に温度検出電流が供給され、そうすると抵抗R1と感温体2の分圧電圧が温度情報(アナログ電圧信号)としてADコンバータCVに入力される。ADコンバータCVで変換されたディジタル信号は、コントローラCTRに入力され、コントローラCTRはこのディジタル信号を検知温度に換算する。コントローラCTRは、得られた検知温度に基づいて、温度センサシステムが備えられた機器、装置の動作を制御することができる。
トランジスタTr1がOFF、トランジスタTr2がONの場合、第2通電回路C22を介して感温体2に温度検出電流が供給され、そうすると抵抗R2と感温体2の分圧電圧が温度情報(アナログ電圧信号)としてADコンバータCVに入力される。以後は、上記と同様にして検知温度を得るとともに、コントローラCTRは、得られた検知温度に基づいて種々の制御を行なう。
図8に示すように、ジュール熱で自己発熱しない間は、サーミスタに定電流を通電する電流値に応じて右斜め45°に電圧値が上昇する。やがて徐々にジュール熱によりサーミスタが自己発熱を開始すると電圧値の上昇がにぶり、やがて電圧極大点を通過すると電圧値が下降に転じる。一般的にサーミスタはこのようなI−V特性を示す。
一般的に言われるサーミスタの熱放散定数(W/℃)とは、サーミスタがジュール熱により1℃自己発熱した時のことを言う。定数なので本来自己加熱温度は左斜め45°上がりになるが、広い温度範囲で測定すると、静止空気中とはいえ実際の測定において熱の伝熱形態(伝導・対流・輻射)が微妙に変化するため、図8で示すような結果になることが多々ある。
サーミスタ(感温体)2に通電する電流を制限する直列抵抗Rの抵抗値は、サーミスタ2のI−V特性で示される自己発熱量が許容誤差以下になるように適切に選ばれる。
この実施形態の場合、周囲温度25℃〜200℃の間で自己加熱温度が最大になるが、その値は0.5℃以下であることが図8に示されている。
また、同時にI−V特性と動作線の交点は、図7(a)で示した通電回路C1で温度測定した際に増幅器Aに入力される電圧値を示す。例えば、周囲温度25℃であれば、電圧値は3.8V、200℃であれば0.8Vである。
ON期間中にも僅かずつサーミスタは自己発熱するので、通電時間が長いと大きく自己発熱してしまう。そこで、パルス通電することにより、通電をOFFする期間を設けてサーミスタを冷却する。
図8と図9を比較するとパルスで通電したほうが同じ消費電力でも温度上昇が小さくなる。このため、パルスI−V特性の方が連続通電によるI−V特性と比較して電圧極大点がはるかに大きくなる。
通電回路C2は、第1通電回路C21及び第2通電回路C22からなる2つの通電回路におけるトランジスタTr1、Tr2を、コントローラCTRからの信号で切り替えられる。
第2通電回路C22は高温側を測定するものであり、電流制限抵抗R2の抵抗値は、サーミスタ2のパルスI−V特性で示される自己発熱量が許容誤差以下になるように適切に選ばれる。本実施の形態の場合は、周囲温度400℃で自己加熱温度が最大になるが、その値は1℃以下であることが図9に示されている。
第1通電回路C21は低温側を測定するものであり、電流制限抵抗R1の抵抗値は、図7(a)に示される通電回路C1の制限抵抗Rと同じである。
低温側のトランジスタTr1がOFFし、高温側のトランジスタTr2がONしている時間は、サーミスタ2単体でパルスI−V測定する際に使ったパルス定電流の通電周期と同じである。
高温側のトランジスタTr2がOFFし、低温側のトランジスタTr1がONしている時間は、通電回路が図7(a)で示したのと実質的に同じである。したがって、連続通電しても自己発熱は十分小さいので、高温側のパルス通電周期内で低温側の測定が完了すれば、パルス状に通電しても良いし、連続通電しても良い。図7(c)にはパルス通電した例が示されている。
図7(c)で示される周期で通電すると、1周期の間に高温側、低温側の2つの電圧信号が1回ずつADコンバータCVに入力されコントローラCTRにディジタル信号として送信される。
コントローラCTRは、低温側の電圧が0.1V未満ならば現在の温度は600℃以上と判断し、次に入ってくる高温側の電圧値を計算して現在温度を算出する。
逆にコントローラCTRは、低温側の電圧値が0.1V以上なら現在の温度は600℃未満と判断してこの低温側の電圧値を計算して現在温度を算出する。
なお、ここでは低温領域及び高温領域に対応するように、第1通電回路C21及び第2通電回路C22と2組の通電回路を設けたが、例えば測定温度領域を低温領域、中温領域及び高温領域と3つに区分する場合には、3組の通電回路を設けることになる。つまり、本発明の通電回路は少なくとも2組備えていればよく、3組以上通電回路を設けることを許容する。
これに対して、高温領域の測定のみをパルス通電とし、自己発熱を抑えて測定できれば、高精度な増幅器は不要になる。
このため、熱電対を温度センサに用いると、検知温度に個体差が生じる結果、制御機器の個体差から生まれる温度検知商品としての精度を損なうおそれがあるのに対して、本発明の温度センサはこれらの問題が生じない。
また、被覆材5、つまりガラスで感温体2が被覆されてないセンサ素子を用いて温度検知・制御することも可能であるが、高温通電耐久性が著しく劣り、しかも高温で使えない、大きな信号を取り出せないので高価な増幅器が必要になるなど、供給・コストで本発明の温度センサを使用すると、個体差が少なく耐久性に優れ、低コストであるという優位性がある。
10,25,35,45…センサ素子ユニット
2…感温体、3…電極、4…リード線、5…被覆材、6…封止端
7…封止端密閉体、26,36,38…遮蔽体、8…リード線保護管、9…充填材
20…金属保護管
C1,C2…通電回路、C21…第1通電回路、C22…第2通電回路、CV…ADコンバータ
CTR…コントローラ
Claims (5)
- 温度によって電気抵抗が変化する感温体と、前記感温体に電気的に接続される一対のリード線と、前記感温体と、前記接続部から所定範囲内の前記リード線とを封止する被覆材とを備え、前記リード線が前記被覆材の封止端から引き出されるセンサ素子と、
前記リード線の一部を除いて前記センサ素子を収容する金属保護管と、
前記感温体と前記金属保護管の間にあって前記封止端を密閉する封止端密閉部と、前記封止端から引き出される前記リード線が貫通して収容される貫通孔を有するリード線保護部とからなるセラミック製の遮蔽体と、
を備え、
前記遮蔽体は前記金属保護管内に遊嵌されていることを特徴とする温度センサ。 - 前記センサ素子と前記遮蔽体とが予め一体に形成されたセンサ素子ユニットが、これとは別に予め形成された前記金属保護管に挿入、固定されている請求項1に記載の温度センサ。
- 前記リード線保護部は、
前記リード線が貫通する前記貫通孔を有する保護部本体と、
前記保護部本体と前記貫通孔を貫通する前記リード線との間に介在するセラミック製の充填材と、を備える請求項1又は2に記載の温度センサ。 - 前記封止端密閉部は、前記充填材と一体に形成される請求項3に記載の温度センサ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の温度センサと、
前記温度センサに温度検出電流を供給する通電回路と、
前記温度センサが検出した温度情報をアナログ電圧信号として入力されるADコンバータと、
ADコンバータで変換されたディジタル信号を温度に換算して制御動作を行うコントローラと、を備え、
前記通電回路は、
前記コントローラの指示に基づいて前記温度センサにパルス状の温度検出電流を供給することを特徴とする温度センサシステム。
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