JP2010260273A - 樹脂被覆アルミニウム材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性(耐UV劣化性)、加工性、耐食性、密着性に優れた皮膜を形成した樹脂被覆アルミニウム材を提供することを目的とする。
【解決手段】アルミニウム基材の表面に微粒子を含有する樹脂塗膜を形成した樹脂被覆アルミニウム材において、該微粒子はルチル型TiOの表面にSiOが元素重量換算比SiO/TiO=0.05〜1.0となるよう被覆された微粒子であり、該樹脂塗膜は該微粒子が該樹脂塗膜総重量あたり1〜50重量%含有されており皮膜厚が0.1〜20g/mとなる樹脂皮膜を形成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム基材の表面に耐候性(耐UV劣化性)、加工性、耐食性、密着性を発現させる樹樹を被覆させた樹脂被覆アルミニウム材である。
樹脂被覆アルミニウム材は家電製品の筐体や内装材、表装材に使われるケースが多く、また近年では屋外用としての樹脂被覆アルミニウム材が使用されている。これらの樹脂被覆アルミニウム材は、屋外にて長期にわたって暴露される環境下で使用されることから、皮膜のワレやはがれ、著しい変退色やチョーキング(白亜化)が生じないように、高い耐候性が求められている。
樹脂被覆アルミニウム板としてプレコートする場合、加工を施した場合に皮膜に割れや剥離等が生じないことも求められる。
耐候性を有するフッ素樹脂塗料を使用することが特許文献1に記載されている。含フッ素樹脂は、フッ素原子−炭素原子間の結合エネルギーの大きさが、水素原子−炭素原子間の結合エネルギーよりも大きいことに起因する安定性によりその機能を発現している。
しかし、フッ素樹脂塗料は優れた耐候性を備えた塗料であるが、原料である含フッ素樹脂や焼成顔料が高価であることから、限られた用途にのみ使用されているものであり、また機械的加工を施した際にキズ付きが生じた場合にはそのキズを起点として経時的にクラックが発生して皮膜の剥離が生じやすくなるために機械的加工後に詳細な表面検査を行い、キズ付きが生じている場合には補修をする必要があるなど加工時に煩雑な手間がかかるものである。
良好な耐候性を得るには、塗膜中に紫外線吸収剤を添加することが特許文献2に記載されている。
しかし、この方法では、皮膜中の有機樹脂と紫外線吸収剤の組み合わせによる相溶性の悪さから皮膜の白濁化を生ずることがある。また、合成樹脂に対して紫外線吸収剤が量的に均一分散しにくいことから、紫外線吸収剤を添加しても必ずしもその効果が安定せず、十分な紫外線遮断性を得ることは難しく、紫外線吸収剤が極めて高価であるという問題もある。
特開2000−185259号公報 特開昭61−202836号公報
本発明は、従来技術の種々の問題点に鑑み、耐候性(耐UV劣化性)、加工性、耐食性、密着性に優れている樹脂被覆アルミニウム材を提供することを目的とする。
本発明者らは、樹脂被覆アルミニウム材について、耐候性(耐UV劣化性)、加工性、耐食性、密着性にも優れた皮膜を形成する材料について鋭意検討した結果、アルミニウム基材の少なくとも一方の面に表面層として、ルチル型TiOからなる微粒子核とし、その表面にSiO層を被覆した微粒子を有機樹脂中に1〜50質量%含有する塗膜を膜厚0.1〜20g/m2に形成し、前記の微粒子の元素換算質量比SiO/TiOが0.05〜1.0であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材が、上記の特性において優れていることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は以下の通りである。
アルミニウム基材の表面に微粒子を含有する樹脂塗膜を形成した樹脂被覆アルミニウム材において、該微粒子はルチル型TiOの表面にSiOが元素重量換算比SiO/TiO=0.05〜1.0となるよう被覆された微粒子であり、該樹脂塗膜は該微粒子が該樹脂塗膜総重量あたり1〜50重量%含有されており皮膜厚が0.1〜20g/mとなる樹脂皮膜であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材。
前記アルミニウム基材の表面と該樹脂塗膜との間にエポキシ系樹脂またはポリエステル系樹脂からなり膜厚0.5〜20g/mとなる下地塗膜が形成されていることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材。
前記微粒子の平均粒子径が0.01〜1μmであることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材。
前記樹脂塗膜がアクリル系樹脂又は、セルロース系樹脂からなることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材。
本発明によれば、耐候性(耐UV劣化性)、加工性、耐食性、密着性において優れた性能を発揮する樹脂被覆アルミニウム材が得られる。
本発明で用いるアルミニウム基材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
更に、アルミニウム基材の表面に耐食性下地皮膜を形成したものも用いることができる。耐食性下地皮膜としては、化成処理皮膜、耐食性有機皮膜、陽極酸化皮膜、ベーマイト皮膜等が挙げられ、いずれの耐食性下地皮膜を用いてもよい。
本発明はアルミニウム基材の少なくとも一方の面にルチル型TiOとSiO2を主とする微粒子を含む有機樹脂皮膜を形成することにより、耐候性(耐UV劣化性)を向上することができる。
微粒子形態としては、ルチル型TiOからなる微粒子核とし、その表面にSiO層を被覆した微粒子にすることにより、耐候性(耐UV劣化性)を向上することができる。
本発明における微粒子はルチル型TiOとSiO2(結晶水を含む)を主とするものである。ここで主としてとは好ましくは95質量%(結晶水を含む)以上がルチル型TiOとSiO2から構成されることである。残りはTiOの不純物としてPb、Fe等からなる酸化物や硫酸塩等、SiOの不純物としてNa、Al、Fe等の酸化物、水酸化物等が挙げられるが、特に指定するものではない。
この微粒子を表面層に含有させることにより、照射された紫外線を表面層にて反射することができ、屋外にて使用しても長期間に亘る使用に耐え得る材料となる。
今まで皮膜中に光触媒、充填剤、顔料、として用いられているTiO粒子を添加した有機樹脂皮膜は、紫外線を照射すると皮膜中の微粒子自体が活性となり、むしろ耐候性を劣化させる傾向であった。TiO粒子でもアナタース型TiO成分がその傾向が顕著である。本発明では、ルチル型TiO成分とSiO成分を共存した微粒子を用いることにより、紫外線を照射しても微粒子自体の活性を抑えることができた。
また、塗膜中に微粒子を存在させることによって、照射された紫外線が反射され、有機樹脂の劣化を抑制することができる。しかしながら、TiO微粒子を皮膜中に存在させたことだけでは耐候性の向上は全く認められず、むしろ劣化させることがある。本発明のように皮膜中の微粒子が存在することによって初めて耐候性(耐UV劣化性)の向上が可能となる。
本発明における表面層の微粒子のルチル型TiO成分は、屈折率が高く紫外線反射するものの、SiO成分を含まないと大きな耐候性(耐UV劣化性)を得ることできない。これは、ルチル型TiO成分のみであると皮膜中の有機樹脂との濡れ性が劣り、微粒子同士を凝集させてしまい、耐候性に効果を発揮する微小な微粒子を皮膜中に存在することはできない。微粒子の表面にSiO層を形成することによって、皮膜中の有機樹脂との濡れ性が向上させ、その結果、本微粒子を皮膜中に拡散させることができ、微粒子同士の凝集を抑制することができる。このように表面層に微粒子が存在することによって、皮膜に照射された紫外線は皮膜中に存在する微粒子によって紫外線を反射し、皮膜中における紫外線の透過を抑制する。上記の作用により、本微粒子を添加した皮膜を形成することによって、皮膜中の有機樹脂を劣化させることなく、大きな耐候性(耐UV劣化性)を得ることができた。
ルチル型TiOからなる微粒子核は、ルチル型結晶構造を少なくとも含むものであり、アナタース型、ブルッカイト型のそのほかの結晶構造が含まれていてもよい。酸化チタンには、通常の酸化チタンのほかに含水酸化チタン、水和酸化チタン、オルトチタン酸、メタチタン酸、水酸化チタンと称されるものを含む。
本発明における微粒子の製造方法として、ルチル型TiOからなる微粒子核を製造し、微粒子核の表面にSiO層を被覆する。
本発明におけるルチル型TiOの製造方法は硫酸チタニル水溶液を加水分解してメタチタン酸を得、これをアルカリで処理し、さらに塩酸中で熟成して微小チタニアゾルを生成し、乾燥または焼成する方法、金属チタン原料を電極とし、プラズマフレームを発生させ、金属チタンを加熱、蒸発させ、そのチタン蒸気を酸化し、乾燥または焼成する方法等が挙げられる。
これらの製造方法によって得られたルチル型TiOの平均粒径は、SiO層を被覆した際の平均粒径0.01〜1.0μmの範囲内に入るものならば規定しないが、最も小さいルチル型酸化チタンからなる微粒子核の平均粒径として0.007μm、最も大きい微粒子核の平均粒径として0.97μmの範囲であることが好ましい。
ルチル型TiOからなる微粒子核の表面にSiO層を被覆した微粒子を製造する方法として、以下に示す通りである。
まず、前記の製造方法によって得られた酸化チタン微粒子を酸またはその塩で分散させ、酸性の酸化チタン分散ゾルを得る。この酸化チタン分散ゾルに珪酸ナトリウム等を添加し、酸化チタン微粒の表面にSiOを析出させ、微粒子表面にSiO層を形成し、この微粒子表面にSiO層を形成した酸化チタン微粒子分散ゾルを得ることができる。この際、温度やpHのコントロールは特に必要としないが、SiOを析出させる時間を取ることによりSiO層の被覆膜厚をコントロールすることができる。酸化チタン微粒子分散ゾルは、そのまま用いてもよいし、溶媒やSiO層に含まれた水分を除去するために遠心分離にかけて上澄み液と沈降物に分離し、この沈降物を回収して乾燥させることにより、SiO層を形成した酸化チタン微粒子を得て、粉体の形態で用いてもよい。
本微粒子におけるSiO2とTiO成分比率は、質量比でSiO/TiO=0.05〜1.0である。SiO/TiOが0.05未満であると、微粒子中のSiOの割合が少なくなり、微粒子同士が凝集し、耐候性を低下させてしまう。また、1.0を超えると、耐候性を発揮するTiOが少なくなり、これもまた耐候性を低下させてしまう。なお、微粒子組成成分の測定方法は、この微粒子を強酸等にて溶解し、溶解した液をICP発光分析装置にて微粒子中のTi含有量、Si含有量を測定し、微粒子中に含有されるSiO2とTiO含有量を換算することができる。
また微粒子断面観察により微粒子のSiO2とTiO成分比率も測定することも可能であるが、微粒子の平均粒径やSiO2とTiOの密度が製造工程によって変化するので、前記のようにICP発光分析装置による元素換算質量比を測定するのが好ましい。なお、参考として微粒子表面に形成されたSiO層の被覆膜厚は、0.0003〜0.4μmであることが好ましい。
本発明の樹脂被覆アルミニウム材は微粒子を含有した皮膜の下にアルミニウム材の少なくとも一方の面に下地層を形成するのが好ましい。下地層は耐食性、加工性、アルミニウム材との密着性をバランスよく取る上で、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
下地層におけるエポキシ樹脂及びポリエステル樹脂としては通常、水性塗料及び溶剤型塗料として使用され、可とう性を有するエポキシ樹脂及びポリエステル樹脂を特に制限なく用いることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF等のビスフェノール類、単環2価フェノール類(レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン等の多価フェノール類、1,5−ヒドロキシナフタレン等の多核フェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体等の2〜10価の縮合多核フェノール類とエピクロルヒドリンとをアルカリ触媒の存在化に縮合させて得られたものを用いられる。エポキシ当量は、皮膜の可撓性の観点からエポキシ当量が好ましくは2,000〜20,000である。
また、エポキシ樹脂として上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基または水酸基に脱水ヒマシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸などの植物油脂肪酸もしくはビスフェノールAなどの変性剤を反応せしめた変性エポキシ樹脂等も使用することができる。
水性塗料として用いられるエポキシ樹脂としては、エステル化法、グラフト法、直接法による自己乳化性エポキシ樹脂を用いることができる。溶剤型塗料は前記のエポキシ樹脂をトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等エステル系溶剤の1種又は2種以上の混合溶剤に溶解させたものを用いることをできる。
また本発明においては、一般にフェノキシ樹脂と呼ばれる高分子量ビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することもできる。
ポリエステル樹脂としては、公知である酸、アルコール公知の方法にて多塩基酸と多価アルコールの重縮合反応であるエステル化反応から製造されるポリエステル樹脂を用いられることができる。
前記の多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の芳香族二塩基酸類、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族二塩基酸類、また(無水)コハク酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ハイミック酸等の脂肪族二塩基酸類が挙げられる。
前記の多価としては、二価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、キシレングリコール等の脂肪族二価アルコール、バーサチック酸グリシジルエステル等の二価アルコール相当化合物が挙げられる。
また、三価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
皮膜の硬度と可撓性とを勘案して、単独及び二種以上適宜選択すれば良い。
ポリエステル樹脂は、数平均分子量が5,000〜25,000、好ましくは6,000〜20,000、水酸基価が5〜30mgKOH/gであることが好ましい。またガラス転移温度(Tg)は、40〜120℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。
数平均分子量が5000未満の場合には、加工性を皮膜に付与することができず、数平均分子量が25000を超える場合には、皮膜形成が困難となる。
水酸基価が5mgKOH/g未満であると、耐食性の低下を招く。一方、水酸基価が30mgKOH/gを超えると、硬化密度が向上するものの、皮膜が硬くなり加工性が低下する傾向を示す。
ガラス転移点(Tg)が40℃未満であると、加工性は優れるものの皮膜硬度の低下を招致する。一方、ガラス転移点(Tg)が120℃を超えると、皮膜の伸びが不足することで加工性が低下する傾向を示す。
水性塗料として用いられるポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂や硬化剤を水混和性有機溶剤に溶解させてから、水と混合して水混和性有機溶剤を含有する水性媒体中に分散させる方法等がある。溶剤型塗料は前記のポリエステル樹脂をメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ等の1種又は2種以上の混合溶剤に溶解させたものが用いることができる。
水性及び溶剤型塗料では、塗装作業性に合わせて、塗料粘度が10〜200秒(フォードカップNo.4/室温)になるような量が適当である。
下地層には、前記の樹脂以外の成分として、必要に応じて、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、硬化触媒、レベリング剤、顔料等の通常塗料に用いられる各種樹脂や各種添加剤を配合することができる。
本発明におけるエポキシ樹脂及びポリエステル樹脂の主成分とした下地層の皮膜量は0.5〜20g/m2である。皮膜量が0.5g/m2未満ではハジキ等による皮膜欠陥が発生し易く、また水分が透過し易いので耐食性が劣ってしまう。一方、皮膜量が20g/m2を超えても耐食性能は飽和し不経済となる。好ましくは、1.0〜20.0g/m2である。
塗膜における表面層中における微粒子の含有量としては、1〜50質量%とする。表面層に微粒子を存在させることにより、紫外線を反射する作用を増大させ、著しい効果を示す。微粒子存在量は、体積量で規定することが多いが、微粒子成分が変化することにより微粒子比重も変化することから、本発明では質量%で表示した。この範囲にすることにより、紫外線遮断効果を発揮し、加工時のクラック、剥がれなどを生じなく、密着性も良好な皮膜を得ることができる。微粒子が1重量%未満であると、耐候性の効果を発揮できず、50質量%を超えると、密着性を低下させ、皮膜の伸びに追従できなく、加工時に割れなどを生じる。好ましくは、5〜40重量%である。
また、本微粒子の平均粒径は、0.01〜1.0μmとする。1.0μmを超えると、微粒子自体が粗大となり、照射された紫外線を反射できず、耐候性が得ることはできない。0.01μm未満であると、工業的生産することが難しく、不経済である。好ましくは、0.1μm以下にするとその効果が高い。平均粒径の測定法は粒度分布測定装置を用いた沈降法による。
また、本微粒子を含有した表面層の膜厚は、0.1〜20g/m2が好ましい。この範囲にすることにより、紫外線遮断効果を発揮する。0.1g/m2未満であると、その効果は失われ、20g/m2を超えると、耐候性は飽和し、不経済となる。このましくは、0.5〜15.0g/m2である。
表面層に用いられる有機樹脂は、アクリル系、ポリビニルアルコール系、セルロース系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン系、エポキシ系及びフェノール系等の1種又は2種以上の混合したものを用いることができるが、特に指定しない。これらの樹脂の中でも、アクリル系及びセルロース系から選択される少なくとも一種からなる有機樹脂を用いることが好ましい。これらの有機樹脂を用いることにより、微粒子同士の凝集も抑制されることにより、より高い耐候性を確保でき、微粒子と前記樹脂との密着性が優れることから、加工時における微粒子の脱落を防ぐことができる。
アクリル系樹脂としては、α、βモノエチレン系不飽和単量体とこれに重合可能な単量体との共重合体やブロック重合体、或いは、α、βモノエチレン系不飽和単量自体の重合体からなる樹脂が挙げられる。分子量としては、特に限定されるものではないが、数平均分子量で1000〜100,000のものが好ましい。
α、βモノエチレン系不飽和単量体としては、例えばアクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2エチルへキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2エチルブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸3エトキシプロピル等);メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸デシルオクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2メチルへキシル、メタクリル酸3メトキシブチル等);アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニル;ビニルケトン;ビニルトルエン;及びスチレン等が用いられる。
上記α、βモノエチレン系不飽和単量体と共重合し得る単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチレン、トルエン、プロピレン、アクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2ヒドリキシエチル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、Nメチロールアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が用いられる。
セルロース系樹脂の種類は特に限定されるものではないが、アセチルセルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが好適に用いられる。セルロース系樹脂の分子量は特に限定されるものではないが、5,000〜200,000の範囲の重量平均分子量を有しているものが好ましく、10,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有しているものが特に好ましい。
皮膜の形成方法としては、通常の方法にて行なうことができる。例えば、ロールスクイズ法、ケミコーター法、ロールコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等があげられ、乾燥は一般的な加熱法、誘電加熱法などにより行うことができる。これらの方法のうち、皮膜の均一性、生産性からロールコーター法が好ましい。そして、ロールコーター法としては、塗布量管理に便利なグラビアロールを用いる方法や、厚塗りするのに便利なナチュラルコート方式や、塗布面を綺麗に仕上げるのに有利なリバースコート方式等を採用することができる。塗装形成する際に行う加熱条件は、焼付け温度(到達表面温度)は180〜300℃で、時間は1〜180秒で行うことが好ましい。
塗装における焼付け温度が低かったり、焼付け時間が短かったりすると、皮膜が十分に形成されず、皮膜密着性の低下に繋がる。反対に、塗装における焼付け温度が高かったり、焼付け温度が長かったりすると、変色や加工時の割れなどを生じる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
アルミニウム合金板(5052−H34材、0.800mm厚さ)を弱アルカリ脱脂、水洗、乾燥した。この供試材を用いて、下地層を形成する場合は、エポキシ系塗料及びポリエステル系塗料をロールコーターにて塗布し、到達板表面温度(PMT)250℃で20秒焼付けを行い、又、下地層を形成しない場合は、乾燥した後、微粒子を含んだ塗膜を形成した。なお、表面層の形成方法は、微粒子を含んだ塗料をロールコーターにて塗布し、塗装アルミニウム合金板を得た。それらのサンプルについて、耐候性、加工性、耐食性、密着性について以下の方法で測定した。各実施例の評価結果を、表2に示す。
使用した微粒子の金属元素の含有量(質量%)、その質量比、平均粒径は表1に示し、微粒子FはTiOとSiOにて構成されるが、微粒子表面にはSiO層が形成されていなく、微粒子内部に両成分が混在するものを用いた。
微粒子はTiO2とSiO2の微粒子の混合物である。表中の残部はこれらの酸化物の酸素、結晶水及び不純物である。
下地層のエポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂にアクリル樹脂を付与させたエステル型エポキシ樹脂であり、エポキシ当量は、約3,800である。
また、下地層のポリエステル樹脂は、多塩基酸:テレフタル酸+イソフタル酸、多価アルコール酸:エチレングリコールからなるポリエステル樹脂であり、数平均分子量が15,000、またガラス転移温度(Tg)は、93℃であった。
表面層の樹脂は以下の通りである。
アクリル系は、ポリアクリル酸Naで、重量平均分子量 約25,000である。
セルロース系は、メチルセルロースで、重量平均分子量 約50,000である。
下地層、表面層の有機樹脂の種類、微粒子の添加量、膜厚等を表2に示す。
また各実施例の評価結果を表2に示す。
各特性の測定方法は以下の通り。
Figure 2010260273
Figure 2010260273

〔耐候性〕
紫外線照射機にて、サンプルに紫外線ランプ80W/cmを45及び90分間照射(紫外線照射強度 100mW/cm2-ピーク感度波長約354nm)し、250及び500J/cm2照射し、その皮膜劣化を皮膜の変色状況にて観察した。表2中の記号の意味は以下の通りであり、◎、○及び△を性能が満足する合格とした。
◎ :変色なし
○ :ほとんど変色せず
△ :変色箇所あり
× :皮膜が分解
〔加工性〕
(曲げ加工性)
曲げ加工性は、JIS Z2248に準拠して、塗装面を外側にして180度曲げを実施し、テープ剥離試験を実施した。
○:樹脂皮膜の剥離及び微粒子の脱落なし
×:樹脂皮膜の剥離及び微粒子の脱落あり
(絞り加工性)
サンプルの塗装面が外側となるように円筒絞り試験揮発性プレス油(動粘度1.6平方mm/s)を両面に塗布して,樹脂層が外面になるように,ポンチ径33mmφ,しわ押さえ力300kgfにて円筒深絞りを実施し、加工部の皮膜損傷状態を目視にて観察し、皮膜の割れや剥離が全く無かった場合を○、僅かな皮膜割れや皮膜剥離が発生していた場合を△、著しい皮膜剥離が発生していた場合を×と評価した。
〔耐食性〕
JIS Z2371に基づき、SST500時間行い、レイティングナンバー(R.N.)により耐食性を測定した。
〔紫外線照射後における耐食性〕
紫外線照射機にて、サンプルに紫外線ランプ80W/cmを45及び90分間照射(紫外線照射強度 100mW/cm2-ピーク感度波長約354nm)し、250及び500J/cm2照射し、JIS Z2371に基づき、SST1000時間行い、レイティングナンバー(R.N.)により耐食性を測定した。
〔塗膜密着性〕
JIS H4001における付着性試験を用い、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。
表2に示すように本発明例は、いずれも耐候性、加工性、耐食性、密着性に不具合は見られず、十分に満足している。
しかしながら、比較例1は本発明例の微粒子を含まないエポキシ系皮膜を形成したため、紫外線を照射することによって著しい皮膜の劣化を生じた。比較例2は本発明例の微粒子を含まないセルロース系皮膜を形成したため、紫外線を照射することによって著しい皮膜の劣化を生じた。比較例3は本発明例の微粒子の含有量が不足していたため、耐候性試験における皮膜の劣化を抑制することが出来なかった。比較例4は本発明例の微粒子の含有量が多量であったため、加工性を著しく劣化させた。比較例5は本発明例の膜厚へ不足していたため、耐候性試験における皮膜の劣化を抑制することができず、また紫外線照射後でも充分な耐食性を確保できなかった。比較例6は微粒子のSi成分の比が少なかったため、耐候性試験における皮膜の劣化を抑制することができず、また紫外線照射後でも充分な耐食性を確保できなかった。比較例7は微粒子のTiO成分の比が少なすぎたため、耐候性試験における皮膜の劣化を抑制することができず、また紫外線照射後でも充分な耐食性を確保できなかった。比較例8は微粒子の表面にSiOを被覆していなかったため、耐候性試験における皮膜の劣化を抑制することができず、また紫外線照射後でも充分な耐食性を確保できなかった。

Claims (4)

  1. アルミニウム基材の表面に微粒子を含有する樹脂塗膜を形成した樹脂被覆アルミニウム材において、該微粒子はルチル型TiOの表面にSiOが元素重量換算比SiO/TiO=0.05〜1.0となるよう被覆された微粒子であり、該樹脂塗膜は該微粒子が該樹脂塗膜総重量あたり1〜50重量%含有されており皮膜厚が0.1〜20g/mとなる樹脂皮膜であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材。
  2. 該アルミニウム基材の表面と該樹脂塗膜との間にエポキシ系樹脂またはポリエステル系樹脂からなり膜厚0.5〜20g/mとなる下地塗膜が形成されていることを特徴とする請求項1の樹脂被覆アルミニウム材。
  3. 該微粒子の平均粒子径が0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1、2の樹脂被覆アルミニウム材。
  4. 該樹脂塗膜がアクリル系樹脂又は、セルロース系樹脂からなることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012177761A (ja) * 2011-02-25 2012-09-13 Ricoh Co Ltd 中間転写ベルト、その製造方法、及び該中間転写ベルトを用いた画像形成装置

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