JP2010259989A - 白金族金属担持触媒、過酸化水素の分解処理水の製造方法、溶存酸素の除去処理水の製造方法及び電子部品の洗浄方法 - Google Patents

白金族金属担持触媒、過酸化水素の分解処理水の製造方法、溶存酸素の除去処理水の製造方法及び電子部品の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去を可能にする、高性能触媒を提供すること。
【解決手段】連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、アニオン交換基が該複合構造体中に均一に分布している有機多孔質アニオン交換体に、平均粒子径1〜100nmの白金族金属のナノ粒子が、乾燥状態で0.004〜20重量%担持されている白金族金属担持触媒。
【選択図】図2

Description

本発明は、発電所用水や半導体製造などの精密加工洗浄用水に使用される、超純水中の過酸化水素や溶存酸素の様な酸化性物質を除去するための白金族金属担持触媒に関するものである。
発電所で用いられる用水中の溶存酸素は、配管や熱交換器等の部材の腐食を引き起こすことが知られており、特に、原子力発電所の一次系及び二次系においては、溶存酸素を極力低減する必要がある。
また、半導体製造産業においては、不純物を高度に除去した超純水を用いてシリコンウエハの洗浄等が行われている。超純水は、一般に原水(河川水、地下水、工業用水等)中に含まれる懸濁物質や有機物の一部を前処理工程で除去した後、その処理水を一次純水系システム及び二次純水系システム(サブシステム)で順次処理することによって製造され、ウエハ洗浄を行うユースポイントに供給される。このような超純水は、不純物の定量も困難であるほどの純度を有するが、全く不純物を有していないわけではない。
例えば、超純水中に含まれる溶存酸素は、シリコンウエハの表面に自然酸化膜を形成する。自然酸化膜がウエハ表面に形成されると、低温でのエピタキシャルSi薄膜の成長を妨げたり、ゲート酸化膜の膜圧及び膜質の精密制御の妨げとなったり、コンタクトホールのコンタクト抵抗の増加原因となったりする。そのため、ウエハ表面の自然酸化膜の形成は、極力抑制する必要がある。
そこで、超純水製造装置においては、特に一次純水系システムにおいて、脱気装置を用いて溶存酸素を低減している。この脱気装置により、二次純水系システム入り口における被処理水(一次純水)中の溶存酸素濃度は、通常、100μg/L以下にまで低減されている。更に、10μg/L以下に管理されている場合もある。
前述した超純水の製造では、一般に、二次純水系システムに設置した紫外線酸化装置によって有機物の分解を行っている。紫外線酸化処理の過程では過酸化水素が副生するため、紫外線酸化装置の処理水中には、過酸化水素が残存しているのが一般的である。この過酸化水素は、二次純水系システムのポリッシャ工程で部分的に分解されて酸素を生成し、処理水中の溶存酸素濃度を上昇させてしまう。
そこで、紫外線酸化装置の処理水中に含まれる過酸化水素を、合成炭素系粒状吸着剤を用いて吸着除去する方法が提案されている(特開平9−29233号公報)。この方法によれば、紫外線酸化装置の処理水中に残存する過酸化水素自体を除去することから、ウエハ表面の自然酸化皮膜の形成を抑制することが可能である。しかし、この方法では、所定の過酸化水素除去率を達成するためには、多量の合成炭素系粒状吸着剤を充填した大型の吸着塔が必要であった。
また、紫外線酸化装置の処理水中に含まれる過酸化水素を、白金族金属ナノコロイド粒子を担体に担持させた触媒によって分解する方法が提案されている(特開2007−185587号公報)。
特開平9−29233号公報(特許請求の範囲) 特開2007−185587号公報(特許請求の範囲) 特開2009−62512号公報(特許請求の範囲) 特開2009−67982号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特開2007−185587号公報に記載の触媒は、通水空間速度(SV)が100〜2000h−1と比較的低い領域でしか使用できず、SVが2000h−1を越えると、過酸化水素の分解除去が不十分になるといった欠点を有していた。
従って、本発明の目的は、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であり、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去を可能にする、高性能触媒を提供することにある。
なお、有機多孔質体及び有多孔質イオン交換体としては、特開2009−62512号公報(特許文献3)及び特開2009−67982号公報(特許文献4)に開示がある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、特開2002−306976号公報記載の方法で得られた比較的大きな細孔容積を有するモノリス状有機多孔質体(中間体)の存在下に、特定の条件下、ビニルモノマーと架橋剤を特定有機溶媒中で静置重合すれば、有機多孔質体を構成する骨格表面上に直径4〜40μmの多数の粒子体が固着する又は突起体が形成された複合構造を有するモノリスを製造できること、また、該複合構造型モノリスやそれにアニオン交換基を導入した複合構造型モノリスアニオン交換体は、吸着やアニオン交換が迅速かつ極めて均一である、圧力損失が小さい、骨格内部は連続空孔構造を維持しているため機械的強度が高く、ハンドリング性に優れている等、従来のモノリス状有機多孔質体やモノリス状有機多孔質アニオン交換体が達成できなかった、優れた特性を兼備していることを見出した。そして、この複合構造型モノリス状有機多孔質体にアニオン交換基を導入して得られる複合構造型モノリス状有機多孔質アニオン交換体に、平均粒子径1〜100nmの白金族金属のナノ粒子を担持した白金族金属担持触媒は、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であり、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、有機多孔質アニオン交換体に、平均粒子径1〜100nmの白金族金属のナノ粒子が、担持されている白金族金属担持触媒であり、
該有機多孔質アニオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、連続空孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、アニオン交換基が該複合構造体中に均一に分布しており、
該白金族金属の担持量が、乾燥状態で0.004〜20重量%であること、
を特徴とする白金族金属担持触媒を提供するものである。
また、本発明(2)は、本発明(1)の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を接触させて、該過酸化水素を含有する被処理水中の過酸化水素を分解除去することを特徴とする過酸化水素の分解処理水の製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、本発明(2)の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄することを特徴とする電子部品の洗浄方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、本発明(1)の白金族金属担持触媒の存在下で、水素と酸素を含有する被処理水中の溶存酸素とを反応させて水を生成させることにより、該酸素を含有する被処理水から溶存酸素を除去することを特徴とする溶存酸素の除去処理水の製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、本発明(4)の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄することを特徴とする電子部品の洗浄方法を提供するものである。
本発明の白金族金属担持触媒によれば、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで通水しても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能であり、更に、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去又は溶存酸素の除去が可能である。
突起体の模式的な断面図である。 参考例1で得たモノリスのSEM画像である。 参考例2で得たモノリスのSEM画像である。 参考例2で得たモノリスのSEM画像である。 参考例2で得たモノリスのSEM画像である。 白金族金属担持触媒におけるパラジウムナノ粒子の分散状態を示したTEM画像である(倍率:200,000倍)。 本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例の模式的なフロー図である。 本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第二の形態例の模式的なフロー図である。
本発明の白金族金属担持触媒の担体として用いられる有機多孔質アニオン交換体は、複合構造を有するモノリス状の有機多孔質アニオン交換体である。本明細書中、「複合構造を有するモノリス状の有機多孔質体」を単に「複合モノリス」と、「複合構造を有するモノリス状の有機多孔質アニオン交換体」を単に「複合モノリスアニオン交換体」と、「モノリス状の有機多孔質中間体」を単に「モノリス中間体」とも言う。
<複合モノリスアニオン交換体の説明>
複合モノリスアニオン交換体は、複合モノリスにアニオン交換基を導入することで得られるものであり、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体である。なお、本明細書中、「粒子体」及び「突起体」を併せて「粒子体等」と言うことがある。更に、複合モノリスアニオン交換体は、厚み1mm以上、水湿潤状態での孔の平均直径が10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、イオン交換基が該複合構造体中に均一に分布している。
複合モノリスアニオン交換体の連続骨格相と連続空孔相は、SEM画像により観察することができる。複合モノリスアニオン交換体の基本構造としては、連続マクロポア構造及び共連続構造が挙げられる。複合モノリスアニオン交換体の骨格相は、柱状の連続体、凹状の壁面の連続体あるいはこれらの複合体として表れるもので、粒子状や突起状とは明らかに相違する形状のものである。
複合モノリス、すなわち、アニオン交換基が導入される前の有機多孔質体の好ましい構造としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径10〜120μmの開口となる連続マクロポア構造体(以下、「第1の複合モノリス」とも言う。)、及び乾燥状態で平均太さが0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態で平均直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体(以下、「第2の複合モノリス」とも言う。)が挙げられる。そして、本発明に係る複合モノリスアニオン交換体としては、この第1の複合モノリスにアニオン交換基が導入された複合モノリスアニオン交換体(以下、「第1の複合モノリスアニオン交換体」とも言う。)及び、この第2の複合モノリスにアニオン交換基が導入された複合モノリスアニオン交換体(以下、「第2の複合モノリスアニオン交換体」とも言う。)が好ましい。
第1の複合モノリスアニオン交換体の場合、該第1の複合モノリスアニオン交換体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径20〜150μm、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは35〜150μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、該マクロポアと該開口(メソポア)で形成される気泡内が流路となる。連続マクロポア構造は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。第1の複合モノリスアニオン交換体の水湿潤状態での開口の平均直径が20μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、水湿潤状態での開口の平均直径が150μmを超えると、被処理水とモノリスアニオン交換体および担持された白金族金属ナノ粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。
なお、本発明では、乾燥状態のモノリス中間体の開口の平均直径、乾燥状態の複合モノリスの開口の平均直径及び乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径とは、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指すものである。また、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、モノリスにアニオン交換基を導入する際、複合モノリス全体が膨潤するため、複合モノリスの開口の平均直径よりも大となる。具体的には、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体を水銀圧入法により測定したときの開口の平均直径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態の複合モノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態の複合モノリスに対する水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の複合モノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
第2の複合モノリスアニオン交換体の場合、該第2の複合モノリスアニオン交換体は、水湿潤状態で平均太さが1〜50μm、好ましくは5〜50μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に水湿潤状態での平均直径が10〜100μm、好ましくは10〜90μmの三次元的に連続した空孔を有する共連続構造である。第2の複合モノリスアニオン交換体の三次元的に連続した空孔の水湿潤状態での平均直径が10μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、100μmを超えると、被処理水とモノリスアニオン交換体および担持された白金族金属ナノ粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。また、第2の複合モノリスアニオン交換体の骨格の平均太さが水湿潤状態で1μm未満であると、体積当りのアニオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。一方、第2の複合モノリスアニオン交換体の骨格の平均太さが水湿潤状態で50μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
上記共連続構造体の空孔の水湿潤状態での平均直径は、水銀圧入法で測定した乾燥状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の直径がx2(mm)であり、その水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の直径がy2(mm)であり、この乾燥状態の第2の複合モノリスアニオン交換体を水銀圧入法により測定したときの空孔の平均直径がz2(μm)であったとすると、第2の複合モノリスアニオン交換体の空孔の水湿潤状態での平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の空孔の平均直径(μm)=z2×(x2/y2)」で算出される。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態の第2の複合モノリスの空孔の平均直径、及びその乾燥状態の第2の複合モノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態の第2の複合モノリスに対する水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第2の複合モノリスの空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の空孔の平均直径を算出することもできる。
また、上記連続構造体の骨格の水湿潤状態での平均太さは、乾燥状態の第2の複合モノリスアニオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の直径がx3(mm)であり、その水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の直径がy3(mm)であり、この乾燥状態の第2の複合モノリスアニオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値がz3(μm)であったとすると、水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の連続構造体の骨格の平均太さ(μm)は、次式「水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の連続構造体の骨格の平均太さ(μm)=z3×(x3/y3)」で算出される。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態の第2の複合モノリスの骨格の平均太さ、及びその乾燥状態の第2の複合モノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態の第2のモノリスに対する水湿潤状態の第2のモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の第2の複合モノリスの骨格の平均太さに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の第2の複合モノリスアニオン交換体の骨格の平均太さを算出することもできる。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体の孔の水湿潤状態での平均直径は、10〜150μmである。第1の複合モノリスアニオン交換体の場合、複合モノリスアニオン交換体の水湿潤状態での孔径の好ましい値は30〜150μmであり、また、第2の複合モノリスアニオン交換体の場合、複合モノリスアニオン交換体の水湿潤状態での孔径の好ましい値は10〜90μmである。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体において、水湿潤状態での粒子体の直径及び突起体の大きさは、4〜40μm、好ましくは4〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。なお、本発明において、粒子体及び突起体は、共に骨格表面に突起状に観察されるものであり、粒状に観察されるものを粒子体と称し、粒状とは言えない突起状のものを突起体と称する。図1に、突起体の模式的な断面図を示す。図1中の(A)〜(E)に示すように、骨格表面1から突き出している突起状のものが突起体2であり、突起体2には、(A)に示す突起体2aのように粒状に近い形状のもの、(B)に示す突起体2bのように半球状のもの、(C)に示す突起体2cのように骨格表面の盛り上がりのようなもの等が挙げられる。また、他には、突起体2には、(D)に示す突起体2dのように、骨格表面1の平面方向よりも、骨格表面1に対して垂直方向の方が長い形状のものや、(E)に示す突起体2eのように、複数の方向に突起した形状のものもある。また、突起体の大きさは、SEM観察したときのSEM画像で判断され、個々の突起体のSEM画像での幅が最も大きくなる部分の長さを指す。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体において、全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は70%以上、好ましくは80%以上である。なお、全粒子体等中の水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は、全粒子体等の個数に占める水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等の個数割合を指す。また、骨格相の表面は全粒子体等により40%以上、好ましくは50%以上被覆されている。なお、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合は、SEMにより表面観察にしたときのSEM画像上の面積割合、つまり、表面を平面視したときの面積割合を指す。壁面や骨格を被覆している粒子の大きさが上記範囲を逸脱すると、流体と複合モノリスアニオン交換体の骨格表面及び骨格内部との接触効率を改善する効果が小さくなってしまうため好ましくない。なお、全粒子体等とは、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等以外の大きさの範囲の粒子体及び突起体も全て含めた、骨格層の表面に形成されている全ての粒子体及び突起体を指す。
上記複合モノリスアニオン交換体の骨格表面に付着した粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさは、乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体のSEM画像の観察により得られる粒子体等の直径又は大きさに、乾燥状態から水湿潤状態となった際の膨潤率を乗じて算出した値、又はアニオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスのSEM画像の観察により得られる粒子体等の直径又は大きさに、アニオン交換基導入前後の膨潤率を乗じて算出した値である。具体的には、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の直径がx4(mm)であり、その水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体の直径がy4(mm)であり、この乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体をSEM観察したときのSEM画像中の粒子体等の直径又は大きさがz4(μm)であったとすると、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ(μm)は、次式「水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ(μm)=z4×(x4/y4)」で算出される。そして、乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体のSEM画像中に観察される全ての粒子体等の直径又は大きさを測定して、その値を基に、1視野のSEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出する。この乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、全視野において、SEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出して、直径又は大きさが4〜40μmにある粒子体等が観察されるか否かを確認し、全視野において確認された場合、複合モノリスアニオン交換体の骨格表面上に、直径又は大きさが水湿潤状態で4〜40μmにある粒子体等が形成されていると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出し、各視野毎に、全粒子体等に占める水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等の割合を求め、全視野において、全粒子体等中の水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合が70%以上であった場合には、複合モノリスアニオン交換体の骨格表面に形成されている全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は70%以上であると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求め、全視野において、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合が40%以上であった場合には、複合モノリスアニオン交換体の骨格層の表面が全粒子体等により被覆されている割合が40%以上であると判断する。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスの粒子体等の直径又は大きさと、その乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態の複合モノリスに対する水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の膨潤率とがわかる場合は、乾燥状態の複合モノリスの粒子体等の直径又は大きさに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の粒子体等の直径又は大きさを算出して、上記と同様にして、水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ、全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合、粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求めることもできる。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体において、粒子体等による骨格相表面の被覆率が40%未満であると、被処理水と複合モノリスアニオン交換体の骨格内部及び骨格表面との接触効率を改善する効果が小さくなり、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性の改善効果が低下してしまうため好ましくない。上記粒子体等による被覆率の測定方法としては、複合モノリスアニオン交換体のSEM画像による画像解析方法が挙げられる。
また、本発明に係る複合モノリスアニオン交換体の全細孔容積は、0.5〜5ml/g、好ましくは0.8〜4ml/gである。複合モノリスアニオン交換体の全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当りの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、複合モノリスアニオン交換体の全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際に複合モノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水と複合モノリスアニオン交換体およびそれに担持された白金族金属ナノ粒子との接触効率が低下するため、触媒効果も低下してしまうため好ましくない。また、モノリス中間体、複合モノリス及び複合モノリスアニオン交換体の全細孔容積は、乾燥状態でも、水湿潤状態でも、同じである。
なお、複合モノリスアニオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、これを1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失(以下、「差圧係数」と言う。)で示すと、0.005〜0.1MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.05MPa/m・LVであることが好ましい。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体は、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量が0.2mg当量/ml以上、好ましくは0.3〜1.8mg当量/mlのアニオン交換容量を有する。複合モノリスアニオン交換体の体積当りのアニオン交換容量が0.2mg当量/ml未満であると、体積当りの白金族金属のナノ粒子担持量が低下してしまうため好ましくない。一方、複合モノリスアニオン交換体の体積当りのアニオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、通水時の圧力損失が増大してしまうため好ましくない。なお、本発明に係る複合モノリスアニオン交換体の乾燥状態における重量当りのアニオン交換容量は特に限定されないが、アニオン交換基がモノリスアニオン交換体の骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3〜5mg当量/gである。なお、アニオン交換基が骨格の表面のみに導入された有機多孔質アニオン交換体のアニオン交換容量は、有機多孔質体やアニオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体において、連続空孔構造の骨格相を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、アニオン交換基の導入が困難となり、導入量が減少してしまう場合があるため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルトルエン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルビフェニル、ポリビニルナフタレン等の芳香族ビニルポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化ポリオレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー等の架橋重合体が挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続空孔構造形成の容易さ、イオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸及びアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体において、有機多孔質体の骨格相を構成する材料と骨格相の表面に形成される粒子体等とは、同じ組織が連続した同一材料のもの、同じではない組織が連続する互いが異なる材料のものなどが挙げられる。同じではない組織が連続する互いが異なる材料のものとしては、ビニルモノマーの種類が互いに異なる材料の場合、ビニルモノマーや架橋剤の種類は同じであっても互いの配合割合が異なる材料の場合などが挙げられる。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体のアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、トリメチルアミノ基、トリエチルアミノ基、トリブチルアミノ基等の三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリエチレンイミン基、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体において、導入されたアニオン交換基は、有機多孔質体の表面のみならず、有機多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「アニオン交換基が均一に分布している」とは、アニオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。アニオン交換基の分布状況は、対アニオンを塩化物イオン、臭化物イオンなどにイオン交換した後、EPMAを用いることで、比較的簡単に確認される。また、アニオン交換基が、複合モノリスの表面のみならず、有機多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体は、その厚みは1mm以上であり、膜状の多孔質体とは区別される。厚みが1mm未満であると、多孔質体1つ当たりのイオン交換容量が極端に低くなるため好ましくない。本発明に係る複合モノリスアニオン交換体の厚みは、好ましくは3〜1000mmである。また、本発明に係る複合モノリスアニオン交換体は、骨格の基本構造が連続空孔構造であるため、機械的強度が高い。
<複合モノリスアニオン交換体の製造方法>
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体は、アニオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルションを調製し、次いで油中水滴型エマルションを重合させて全細孔容積が5〜30ml/gの連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(モノリス中間体)を得るI工程、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する架橋剤、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体の存在下に重合を行い、複合構造を有する複合モノリスを得るIII工程、該III工程で得られた複合モノリスにアニオン交換基を導入するIV工程、を行うことにより得られる。
本発明に係る複合モノリスアニオン交換体の製造方法において、I工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行なえばよい。
(モノリス中間体の製造方法)
I工程のモノリス中間体の製造において、アニオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、三級アミノ基や四級アンモニウム基等のアニオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの好適なものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%とすることが、後の工程でアニオン交換基量を定量的に導入できるため好ましい。
界面活性剤は、アニオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルションを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルションとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルションを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルション粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
また、I工程では、油中水滴型エマルション形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
アニオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤を混合し、油中水滴型エマルションを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルションを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルション粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルション粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
I工程で得られるモノリス中間体は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、そのモノリス中間体の構造を鋳型として連続マクロポア構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したり、共連続構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したりする。また、モノリス中間体は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。一方、10モル%を越えると、多孔質体の柔軟性が失われたり、アニオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。
モノリス中間体のポリマー材料の種類としては、特に制限はなく、前述の複合モノリスのポリマー材料と同じものが挙げられる。これにより、モノリス中間体の骨格に同様のポリマーを形成して、複合構造のモノリスを得ることができる。
モノリス中間体の全細孔容積は、5〜30ml/g、好適には6〜28ml/gである。モノリス中間体の全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの全細孔容積が小さくなりすぎ、流体透過時の圧力損失が大きくなるため好ましくない。一方、モノリス中間体の全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られる複合モノリスの構造が不均一になりやすく、場合によっては構造崩壊を引き起こすため好ましくない。モノリス中間体の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比(重量)を、概ね1:5〜1:35とすればよい。
このモノマーと水との比を、概ね1:5〜1:20とすれば、モノリス中間体の全細孔容積が5〜16ml/gの連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られる複合モノリスは第1の複合モノリスとなる。また、該配合比率を、概ね1:20〜1:35とすれば、モノリス中間体の全細孔容積が16ml/gを超え、30ml/g以下の連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られる複合モノリスは第2の複合モノリスとなる。
また、モノリス中間体は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の乾燥状態での平均直径が20〜200μmである。モノリス中間体の乾燥状態での開口の平均直径が20μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、モノリス中間体の乾燥状態での開口の平均直径が200μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなり過ぎ、被処理水とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素除去特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
(複合モノリスの製造方法)
II工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第2架橋剤、ビニルモノマーや第2架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
II工程で用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のビニルモノマーであれば、特に制限はない。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明で好適に用いられるビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等の芳香族ビニルモノマーである。
これらビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体に対して、重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍である。ビニルモノマー添加量が多孔質体に対して3倍未満であると、生成したモノリスの骨格に粒子体を形成できず、アニオン交換基導入後の体積当りのアニオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー添加量が50倍を超えると、開口径が小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
II工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤の使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して0.3〜20モル%、特に0.3〜10モル%であることが好ましい。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくない。一方、20モル%を越えると、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、アニオン交換基の導入量が減少してしまう場合があるため好ましくない。
II工程で用いられる有機溶媒は、ビニルモノマーや架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。該有機溶媒は、ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記ビニルモノマーの濃度が5〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱してビニルモノマー濃度が5重量%未満となると、重合速度が低下してしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
重合開始剤としては、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。本発明で用いられる重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
III工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体の存在下、重合を行い、複合モノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体は、本発明に係る斬新な構造を有する複合モノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っている。特表平7−501140号等に開示されているように、モノリス中間体不存在下でビニルモノマーと架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体が得られる。それに対して、本発明のように上記重合系に連続マクロポア構造のモノリス中間体を存在させると、重合後の複合モノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造ではなく、上述の特定の骨格構造を有する複合モノリスが得られる。反応容器の内容積は、モノリス中間体を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の複合モノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
III工程において、反応容器中、モノリス中間体は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体の配合比は、前述の如く、モノリス中間体に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、特定の骨格を有する複合モノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体の骨格内で重合が進行する。
重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択できる。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、20〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が該骨格内で重合し、該特定の骨格構造を形成させる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して特定骨格構造の複合モノリスを得る。
上述の複合モノリスを製造する際に、下記(1)〜(5)の条件のうち、少なくとも一つを満たす条件下でII工程又はIII工程行うと、本発明の特徴的な構造である、骨格表面に粒子体等が形成された複合モノリスを製造することができる。
(1)III工程における重合温度が、重合開始剤の10時間半減温度より、少なくとも5℃低い温度である。
(2)II工程で用いる架橋剤のモル%が、I工程で用いる架橋剤のモル%の2倍以上である。
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである。
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである。
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である。
(上記(1)の説明)
10時間半減温度は重合開始剤の特性値であり、使用する重合開始剤が決まれば10時間半減温度を知ることができる。また、所望の10時間半減温度があれば、それに該当する重合開始剤を選択することができる。III工程において、重合温度を低下させることで、重合速度が低下し、骨格相の表面に粒子体等を形成させることができる。その理由は、モノリス中間体の骨格相の内部でのモノマー濃度低下が緩やかとなり、液相部からモノリス中間体へのモノマー分配速度が低下するため、余剰のモノマーがモノリス中間体の骨格層の表面近傍で濃縮され、その場で重合したためと考えられる。
好ましい重合温度は、用いる重合開始剤の10時間半減温度より少なくとも10℃低い温度である。重合温度の下限値は特に限定されないが、温度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、重合温度を10時間半減温度に対して5〜20℃低い範囲に設定することが好ましい。
(上記(2)の説明)
II工程で用いる架橋剤のモル%を、I工程で用いる架橋剤のモル%の2倍以上に設定して重合すると、本発明に係る複合構造を有する複合モノリスが得られる。その理由は、モノリス中間体と含浸重合によって生成したポリマーとの相溶性が低下し相分離が進行するため、含浸重合によって生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。なお、架橋剤のモル%は、架橋密度モル%であって、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤量(モル%)を言う。
II工程で用いる架橋剤モル%の上限は特に制限されないが、架橋剤モル%が著しく大きくなると、重合後のモノリスにクラックが発生する、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、アニオン交換基の導入量が減少してしまう場合があるといった問題点が生じるため好ましくない。好ましい架橋剤モル%の倍数は2倍〜10倍である。一方、I工程で用いる架橋剤モル%をII工程で用いられる架橋剤モル%に対して2倍以上に設定しても、骨格相表面への粒子体等の形成は起こらず、本発明に係る複合モノリスは得られなかった。
(上記(3)の説明)
II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーであると、本発明に係る複合構造を有する複合モノリスが得られる。例えば、スチレンとビニルベンジルクロライドのように、ビニルモノマーの構造が僅かでも異なると、骨格相表面に粒子体等が形成された複合モノリスが生成する。一般に、僅かでも構造が異なる二種類のモノマーから得られる二種類のホモポリマーは互いに相溶しない。したがって、I工程で用いたモノリス中間体形成に用いたモノマーとは異なる構造のモノマーをII工程で用いてIII工程で重合を行うと、II工程で用いたモノマーはモノリス中間体に均一に分配や含浸がされるものの、重合が進行してポリマーが生成すると、生成したポリマーはモノリス中間体とは相溶しないため、相分離が進行し、生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相の表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。
(上記(4)の説明)
II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルであると、本発明に係る複合構造を有する複合モノリスが得られる。ポリエーテルはモノリス中間体との親和性が比較的高く、特に低分子量の環状ポリエーテルはポリスチレンの良溶媒、低分子量の鎖状ポリエーテルは良溶媒ではないがかなりの親和性を有している。しかし、ポリエーテルの分子量が大きくなると、モノリス中間体との親和性は劇的に低下し、モノリス中間体とほとんど親和性を示さなくなる。このような親和性に乏しい溶媒を有機溶媒に用いると、モノマーのモノリス中間体の骨格内部への拡散が阻害され、その結果、モノマーはモノリス中間体の骨格の表面近傍のみで重合するため、骨格相表面に粒子体等が形成され骨格表面に凹凸を形成したものと考えられる。
ポリエーテルの分子量は、200以上であれば上限に特に制約はないが、あまりに高分子量であると、II工程で調製される混合物の粘度が高くなり、モノリス中間体内部への含浸が困難になるため好ましくない。好ましいポリエーテルの分子量は200〜100000、特に好ましくは200〜10000である。また、ポリエーテルの末端構造は、未修飾の水酸基であっても、メチル基やエチル基等のアルキル基でエーテル化されていてもよいし、酢酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等でエステル化されていてもよい。
(上記(5)の説明)
II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程中の混合物中、30重量%以下であると、本発明に係る複合モノリスが得られる。II工程でモノマー濃度を低下させることで、重合速度が低下し、前記(1)と同様の理由で、骨格相表面に粒子体等が形成でき、骨格相表面に凹凸を形成されることができる。モノマー濃度の下限値は特に限定されないが、モノマー濃度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、モノマー濃度は10〜30重量%に設定することが好ましい。
このようにして得られる複合モノリス、すなわち、アニオン交換基が導入される前の複合構造を有する有機多孔質体の好ましい構造としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径10〜120μmの開口となる連続マクロポア構造体(「第1の複合モノリス」)及び乾燥状態での平均太さが0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態での直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体(「第2の複合モノリス」)が挙げられる。
複合モノリスが第1のモノリスの場合、該第1の複合モノリスは、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態で平均直径10〜120μm、好ましくは20〜120μm、特に好ましくは25〜120μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体であり、該マクロポアと該開口(メソポア)で形成される気泡内が流路となる。連続マクロポア構造は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。第1の複合モノリスの乾燥状態での開口の平均直径が10μm未満であると、アニオン交換基導入後のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径も小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、乾燥状態での開口の平均直径が120μmを超えると、アニオン交換基導入後のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径が大きくなり過ぎて、被処理水とモノリスアニオン交換体および担持された白金族金属ナノ粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。
第2の複合モノリスの場合、該第2の複合モノリスは、乾燥状態での平均太さが0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥状態での平均直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔を有する共連続構造である。第2の複合モノリスの三次元的に連続した空孔の乾燥状態での平均直径が8μm未満であると、アニオン交換基導入後のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径も小さくなり、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、また、80μmを超えると、アニオン交換基導入後のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径が大きくなり過ぎて被処理水とモノリスアニオン交換体および担持された白金族金属ナノ粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性又は溶存酸素の除去特性が低下してしまうため好ましくない。また、第2の複合モノリスの骨格の乾燥状態での平均太さが0.8μm未満であると、アニオン交換基導入後のモノリスアニオン交換体の体積当りのアニオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。一方、骨格の乾燥状態での平均太さが80μmを越えると、アニオン交換基導入後のモノリスアニオン交換体の骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
(複合モノリスアニオン交換体の製造方法)
次に、本発明に係る複合モノリスアニオン交換体の製造方法について説明する。該複合モノリスアニオン交換体の製造方法としては、特に制限はないが、上記の方法により複合モノリスを製造した後、アニオン交換基を導入する方法が、得られる複合モノリスアニオン交換体の多孔構造を厳密にコントロールできる点で好ましい。
上記複合モノリスにアニオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、四級アンモニウム基を導入する方法としては、複合モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法;モノリスをクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造し、三級アミンと反応させる方法;モノリスに、均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部に導入し、N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアクリレートやN,N,N−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドをグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換により四級アンモニウム基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、四級アンモニウム基を導入する方法としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させる方法やクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により複合モノリスを製造し、三級アミンと反応させる方法が、イオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するイオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基や、トリメチルアミノ基、トリエチルアミノ基、トリブチルアミノ基等の三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリエチレンイミン基、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
<白金族金属担持触媒の説明>
本発明の白金族金属担持触媒は、上述の複合モノリスアニオン交換体に、白金族金属のナノ粒子が担持されている白金族金属担持触媒である。
本発明に係る白金族金属とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金である。これらの白金族金属は、一種類を単独で用いても、二種類以上の金属を組み合わせて用いても良く、更に、二種類以上の金属を合金として用いても良い。これらの中で、白金、パラジウム、白金/パラジウム合金は触媒活性が高く、好適に用いられる。
本発明に係る白金族金属のナノ粒子の平均粒子径は、1〜100nmであり、好ましくは1〜50nm、更に好ましくは1〜20nmである。平均粒子径が1nm未満であると、ナノ粒子が担体から脱離する可能性が高くなるため好ましくなく、一方、平均粒子径が100nmを超えると、金属の単位質量当たりの表面積が少なくなり触媒効果が効率的に得られなくなるため好ましくない。なお、ナノ粒子の平均粒子径が上記範囲内の場合、表面プラズモン共鳴によりナノ粒子は強く着色するため、目視によっても確認可能である。
乾燥状態の白金族金属担持触媒中の白金族金属ナノ粒子の担持量((白金族金属ナノ粒子/乾燥状態の白金族金属担持触媒)×100)は、0.004〜20重量%、好ましくは0.005〜15重量%である。白金族金属ナノ粒子の担持量が0.004重量%未満であると、過酸化水素分解効果又は溶存酸素の除去効果が不十分になるため好ましくない。一方、白金族金属ナノ粒子の担時量が20重量%を超えると、水中への金属溶出が認められるようになるため好ましくない。
白金族金属担持触媒の製造方法には特に制約はなく、公知の方法により、複合モノリスアニオン交換体に、白金族金属のナノ粒子を担持させることにより、白金族金属担持触媒を得ることができる。例えば、乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体を塩化パラジウムの塩酸水溶液に浸漬し、塩化パラジウム酸アニオンをアニオン交換により複合モノリスアニオン交換体に吸着させ、次いで、還元剤と接触させてパラジウム金属ナノ粒子を複合モノリスアニオン交換体に担持する方法や、複合モノリスアニオン交換体をカラムに充填し、塩化パラジウムの塩酸水溶液を通液して塩化パラジウム酸アニオンをアニオン交換により複合モノリスアニオン交換体に吸着させ、次いで、還元剤を通液してパラジウム金属ナノ粒子を複合モノリスアニオン交換体に担持する方法等が挙げられる。用いられる還元剤にも特に制約はなく、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸等のカルボン酸、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等が挙げられる。
本発明の白金族金属担持触媒において、白金族金属ナノ粒子の担体である複合モノリスアニオン交換体のイオン形は、白金族金属ナノ粒子を担持した後は、通常、塩化物形のような塩形となる。本発明では、このような塩形のものを、過酸化水素分解用又は溶存酸素除去用の触媒として用いても良い。また、白金族金属担持触媒は、これに限定されるものではなく、複合モノリスアニオン交換体のイオン形を、OH形に再生したものであっても良い。そして、これらのうち、モノリスアニオン交換体のイオン形がOH形であることが、高い触媒効果が得られるため好ましい。白金族金属ナノ粒子を担持した後の複合モノリスアニオン交換体のOH形への再生方法には特に制限はなく、水酸化ナトリウム水溶液を通液する等の公知の方法を用いればよい。
<本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法>
本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法は、白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を接触させて、過酸化水素を含有する被処理水中の過酸化水素を分解除去する過酸化水素の分解処理水の製造方法である。
過酸化水素を含有する被処理水は、過酸化水素を含有するものであれば、特に制限されず、例えば、半導体製造等の電子部品の製造及び電子部品の製造器具を洗浄するための超純水の製造において、その中の種々の工程により生じる水が挙げられ、具体的には、水中の有機物を分解するための紫外線酸化処理工程を行った後の水が挙げられる。また、過酸化水素を含有する被処理水としては、他には、用廃水系に過酸化水素を添加し、酸化、還元、殺菌、洗浄を行った処理液又は処理水やこれらの処理液又は処理水を用いて処理を行った後の廃液又は排水が挙げられる。例えば、半導体製造工程から排出される過酸化水素を含む洗浄排水、半導体製造工程から排出される有機物を含む洗浄排水を超純水として回収再利用するために、過酸化水素の存在下に紫外線を照射し有機物を酸化分解して得られる処理水、フェントン試薬を用いて有機物を分解して得られる処理水、逆浸透膜、限外ろ過膜等を過酸化水素で殺菌又は洗浄した後の排水、6価クロムを含有する排水を過酸化水素で還元処理して得られる処理水等が挙げられる。
過酸化水素を含有する被処理水中の過酸化水素濃度は、特に制限されないが、通常、0.01〜100mg/Lである。超純水製造のサブシステムでは、通常、過酸化水素濃度は、10〜50μg/Lである。過酸化水素濃度が100mg/Lを超えると、母体であるモノリスアニオン交換体の劣化が進み易い。
本発明の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を接触させる方法としては、特に制限されず、例えば、触媒充填塔に、本発明の白金族金属担持触媒を充填し、触媒充填塔に、過酸化水素を含有する被処理液を供給することにより、本発明の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を通液する方法等が挙げられる。
上記方法の場合、本発明の白金族金属触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を、SV=2000〜20000h−1、好ましくはSV=5000〜10000h−1で通水することができる。本発明の白金族金属触媒を用いると、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで被処理水を通水しても、過酸化水素の分解除去が可能である。更に、SVが10000h−1であっても、本発明の白金族金属担持触媒を用いると、過酸化水素の分解が可能であり、本発明の白金族金属担持触媒は、粒子状アニオン交換樹脂に白金族金属ナノ粒子を担持した従来の担持触媒の処理限界を大きく上回る、卓越した性能を示す。本発明の白金族金属担持触媒への過酸化水素を含有する被処理水の通水速度は、特に制限されないが、好ましくはSV=2000〜20000h−1、特に好ましくはSV=5000〜10000h−1である。なお、本発明の白金族金属担持触媒は、過酸化水素分解能力が著しく高いため、あえて通水速度をSV=2000h−1未満の領域とする必要はないが、通水速度をSV=2000h−1未満の領域としてもよく、通水速度をSV=2000h−1未満の領域とした場合も、本発明の白金族金属担持触媒は、優れた過酸化水素分解能力を発揮する。一方、SVが20000h−1を超えると、通水差圧が大きくなり過ぎる傾向にある。
更に、本発明の白金族金属担持触媒は、過酸化水素分解能力が著しく高いため、触媒の充填層高を薄くしても過酸化水素の分解除去が可能である。
本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い得られる処理水中の過酸化水素濃度は、1μg/L以下であることが好ましい。
本発明の電子部品の洗浄方法(I)は、本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄する電子部品の洗浄方法である。
本発明の電子部品の洗浄方法(I)の形態例について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例の模式的なフロー図であり、図8は、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第二の形態例の模式的なフロー図である。
図7に示すように、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例は、オゾンを含有する水(以下、オゾン含有水とも記載する。)に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第1工程21と、水素を含有する水(以下、水素含有水とも記載する。)に被洗浄物を接触させて、500kHz以上の振動を与えながら被洗浄物を洗浄する第2工程22と、フッ化水素酸及び過酸化水素を含有する水に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第3工程23と、水素含有水に被洗浄物を接触させて、500kHz以上の振動を与えながら被洗浄物を洗浄する第4工程24と、を有する。
第1工程21に供給される洗浄水は、超純水32にオゾンを溶解させて調製されたオゾン含有水である。そして、超純水は、その製造工程で、紫外線酸化処理等がされているので、過酸化水素を含有している。そこで、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例では、超純水32にオゾン33を溶解させる前に、超純水32を被処理水として本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行う過酸化水素除去工程25を行い、得られた処理水にオゾン33を溶解させて、第1工程21の洗浄水として供給する。
また、第2工程22に供給される洗浄水は、超純水32に水素を溶解させて調製された水素含有水である。そこで、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例では、超純水32に水素34を溶解させる前に、超純水32を被処理水として本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行う過酸化水素除去工程26を行い、得られた処理水に水素34を溶解させて、第2工程22の洗浄水として供給する。本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例では、第4工程24も同様に、超純水32に水素36を溶解させる前に、超純水32を被処理水として本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行う過酸化水素除去工程28を行い、得られた処理水に水素36を溶解させて、第4工程24の洗浄水として供給する。なお、水素34又は36を溶解させる時期は、過酸化水素除去工程26又は28の前段であってもよい。
また、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例では、超純水32を被処理水として本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行う過酸化水素除去工程27を行い、得られた処理水にフッ化水素酸及び過酸化水素35を溶解させ、得られたフッ化水素酸及び過酸化水素を含有する水を、第3工程23の洗浄水として供給することもできる。
そして、洗浄前の電子部品20aを被洗浄物として、第1工程21〜第4工程24を順に行い、洗浄後の電子部品30aを得る。
図8に示すように、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第二の形態例は、硫酸及び過酸化水素を含有する液に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第1工程41と、超純水でリンスする第2工程42と、フッ化水素酸を含有する水(希フッ酸)に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第3工程43と、超純水でリンスする第4工程44と、アンモニア及び過酸化水素を含有する水に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第5工程45と、超純水でリンスする第6工程46と、加熱した超純水に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第7工程47と、超純水でリンスする第8工程48と、塩酸及び過酸化水素を含有する水に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第9工程49と、超純水でリンスする第10工程50と、フッ化水素酸を含有する水(希フッ酸)に被洗浄物を接触させて、被洗浄物を洗浄するための第11工程51と、超純水でリンスする第12工程52と、を有する。
図8中の第3、5、9及び11工程に供給される洗浄水63、65、69及び71は、超純水に各工程で必要な薬剤を溶解させた水である。そこで、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第二の形態例では、図7に示す本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第一の形態例と同様に、超純水に各工程で必要な薬剤を溶解させる前に、超純水を被処理水として本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行う過酸化水素除去工程を行い、得られた処理水に各工程で必要な薬剤を溶解させて、各工程の洗浄水(洗浄液)として供給する。
また、図8中の第2、4、6、7、8、10及び12工程に供給される洗浄水62、64、66、67、68、70及び72は、超純水である。そこで、本発明の電子部品の洗浄方法(I)の第二の形態例では、超純水を被処理水として本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行う過酸化水素除去工程を行い、得られた処理水を、各工程の洗浄水として供給する。
そして、洗浄前の電子部品20bを被洗浄物として、第1工程41〜第12工程52を順に行い、洗浄後の電子部品30bを得る。
なお、上記のように、本発明において、本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄するとは、本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行った直後の処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄するということだけではなく、電子部品又は電子部品の製造器具の洗浄に用いられる超純水を製造する工程のいずれか1箇所又は2箇所以上で、本発明の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い、超純水の製造工程の全工程を行って得られる超純水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄するということを意味する。
<本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法>
本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法は、白金族金属担持触媒の存在下で、酸素を含有する被処理水中の溶存酸素と水素とを反応させて水を生成させることにより、酸素を含有する被処理水から溶存酸素を除去する溶存酸素の除去処理水の製造方法である。
酸素を含有する被処理水は、酸素を含有するものであれば、特に制限されず、例えば、半導体製造等の電子部品の製造及び電子部品の製造器具等を洗浄するための超純水の製造に用いられる原水又はその製造工程中の種々の水等が挙げられ、具体的には、超純水製造サブシステムの循環水、例えば、紫外線酸化装置の出口水等が挙げられる。また、溶存酸素を含有する被処理水としては、他には、発電所で用いられる用水、各種工場で用いられるボイラー水や冷却水等が挙げられる。
酸素を含有する被処理水中の溶存酸素濃度は、特に制限されないが、通常、0.01〜10mg/Lである。
溶存酸素と反応させる水素の量は、特に制限されないが、酸素濃度の1倍当量〜10倍当量、好ましくは1.1倍当量〜5倍当量である。
本発明の白金族金属担持触媒の存在下で、酸素を含有する被処理水中の溶存酸素と水素を反応させる方法としては、特に制限されず、例えば、触媒充填塔に、本発明の白金族金属担持触媒を充填し、触媒充填塔に、酸素を含有する被処理液を供給すると共に、被処理液の供給管内に、水素ガスを注入することにより、本発明の白金族金属担持触媒に、溶存水素と溶存酸素を含有する被処理水とを通液する方法等が挙げられる。
上記の方法の場合、本発明の白金族金属触媒に、酸素を含有する被処理水を、SV=2000〜20000h−1、好ましくはSV=5000〜10000h−1で通水することができる。本発明の白金族金属触媒を用いると、SVが2000h−1を超えるような大きなSVで被処理水を通水しても、溶存酸素の除去が可能である。更に、SVが10000h−1であっても、本発明の白金族金属担持触媒を用いると、溶存酸素の除去が可能であり、本発明の白金族金属担持触媒は、粒子状アニオン交換樹脂に白金族金属ナノ粒子を担持した従来の担持触媒の処理限界を大きく上回る、卓越した性能を示す。本発明の白金族金属担持触媒への酸素を含有する被処理水の通水速度は、特に制限されないが、好ましくはSV=2000〜20000h−1、特に好ましくはSV=5000〜10000h−1である。なお、本発明の白金族金属担持触媒は、溶存酸素除去能力が著しく高いため、粒子状アニオン交換樹脂に白金族金属ナノ粒子を担持した従来の担持触媒の処理限界を大きく上回る通水速度で、被処理水を通水しても、被処理水中の溶存酸素を分解することができる。
更に、本発明の白金族金属担持触媒は、溶存酸素除去能力が著しく高いため、触媒の充填層高を薄くしても溶存酸素の除去が可能である。
本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い得られる処理水中の溶存酸素濃度は、10μg/L以下であることが好ましい。
本発明の電子部品の洗浄方法(II)は、本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄する電子部品の洗浄方法である。
空気中の酸素は水中に溶存酸素として溶け込む。溶存酸素は超純水中の不純物として管理され、前述のように、超純水製造装置の二次純水系システム入り口における被処理水(一次純水)中の溶存酸素濃度は、通常、100μg/L以下にまで低減されている。更に、10μg/L以下に管理されている場合もある。そして、超純水中の溶存酸素濃度は、10μg/L以下、更には1μg/L以下に管理されている場合もある。一方、超純水の製造工程では、紫外線酸化処理等により発生した過酸化水素が分解する際に酸素が生じる。そこで、本発明の電子部品の洗浄方法(II)の形態例では、本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行う溶存酸素除去工程を行い、得られた処理水を、電子部品の洗浄方法の各工程に供給される洗浄水(洗浄液)又はその調製用の超純水とする。
本発明の電子部品の洗浄方法(II)の第一の形態例は、図7中の過酸化水素除去工程25、26、27及び28を、超純水32を被処理水として本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行う溶存酸素除去工程に代えたものである。そして、洗浄前の電子部品20aを被洗浄物として、第1工程21〜第4工程24を順に行い、洗浄後の電子部品30aを得る。
本発明の電子部品の洗浄方法(II)の第二の形態例は、図8中の第3、5、9及び11工程に供給される洗浄水(洗浄液)63、65、69及び71を、超純水を被処理水として本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行う溶存酸素除去工程を行い、得られた処理水に各工程で必要な薬剤を溶解させることにより調製し、また、図8中の第2、4、6、7、8、10及び12工程に供給される洗浄水62、64、66、67、68、70及び72を、超純水を被処理水として本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行う溶存酸素除去工程を行うことにより得るものである。そして、洗浄前の電子部品20bを被洗浄物として、第1工程41〜第12工程52を順に行い、洗浄後の電子部品30bを得る。
なお、上記のように、本発明において、本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄するとは、本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行った直後の処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄するということだけではなく、電子部品又は電子部品の製造器具の洗浄に用いられる超純水を製造する工程のいずれか1箇所又は2箇所以上で、本発明の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い、超純水の製造工程の全工程を行って得られる超純水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄するということを意味する。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<第1の複合モノリスアニオン交換体の製造(参考例1)>
(I工程;モノリス中間体の製造)
スチレン19.85g、ジビニルベンゼン0.40g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)1.07gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を、THF1.8mlと180mlの純水よりなる混合液に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを速やかに反応容器に移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、メタノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有する架橋密度1.3モル%のモノリス中間体を製造した。水銀圧入法により測定した該モノリス中間体のマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は56μm、全細孔容積は7.5ml/gであった。
(複合モノリスの製造)
次いで、スチレン58.8g、ジビニルベンゼン1.2g、1-デカノール150g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.5gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。次に上記モノリス中間体を直径70mm、厚さ約30mmの円盤状に切断して8.1gを分取した。分取したモノリス中間体を内径89mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約60mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を1.3モル%含有した複合モノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図2に示す。当該複合モノリスは連続マクロポア構造を有しており、連続マクロポア構造体を構成する骨格相の表面は、平均粒子径3μmの粒子体で被覆され、粒子被覆率は70%であった。また、粒径3〜5μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。また、水銀圧入法により測定した当該モノリスの開口の平均直径は27μm、全細孔容積は3.1ml/gであった。
(複合モノリスアニオン交換体の製造)
上記の方法で製造した複合モノリスを、直径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。これにジメトキシメタン1400ml、四塩化スズ20mlを加え、氷冷下クロロ硫酸560mlを滴下した。滴下終了後、昇温して35℃で5時間反応させ、クロロメチル基を導入した。反応終了後、母液をサイフォンで抜き出し、THF/水=2/1の混合溶媒で洗浄した後、更にTHFで洗浄した。このクロロメチル化モノリスにTHF1000mlとトリメチルアミン30%水溶液600mlを加え、60℃、6時間反応させた。反応終了後、生成物をメタノール/水混合溶媒で洗浄し、次いで純水で洗浄して単離した。
得られた複合モノリスアニオン交換体の反応前後の膨潤率は1.7倍であり、体積当りのアニオン交換容量は水湿潤状態で0.40mg当量/mlであった。水湿潤状態での複合モノリスアニオン交換体の開口の平均直径を、複合モノリスの値と水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の膨潤率から見積もったところ46μmであり、同様の方法で求めた被覆粒子の平均粒径は5μmであった。なお、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率は70%、全細孔容積は3.1ml/gであった。また、粒径5〜8μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。
また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.012MPa/m・LVであり、実用上支障のない低い圧力損失であった。更に、該複合モノリスアニオン交換体のフッ化物アニオンに関するアニオン交換帯長さを測定したところ、LV=20m/hにおけるアニオン交換帯長さは20mmであり、市販の強塩基性アニオン交換樹脂であるアンバーライトIRA402BL(ロームアンドハース社製)の値(165mm)に比べて圧倒的に短かった。
次に、複合モノリスアニオン交換体中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、複合モノリスアニオン交換体を塩酸水溶液で処理して塩化物形とした後、EPMAにより塩化物アニオンの分布状態を観察した。その結果、塩化物アニオンはモノリスアニオン交換体の骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基が複合モノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
<第2の複合モノリスアニオン交換体の製造(参考例2)>
(I工程;モノリス中間体の製造)
スチレン9.33g、ジビニルベンゼン0.14g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)0.50gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に,当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを反応容器に速やかに移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有する架橋密度1.0モル%のモノリス中間体を製造した。該モノリス中間体のマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は28μm、全細孔容積は17.2ml/gであった。
(複合モノリスの製造)
ビニルベンジルクロライド39.4g、ジビニルベンゼン0.6g、1-ブタノール60g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。重合開始剤として用いた2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の10時間半減温度は、51℃であった。モノリス中間体の架橋密度1.0モル%に対して、II工程で用いたビニルベンジルクロライドとジビニルベンゼンの合計量に対するジビニルベンゼンの使用量は1.4モル%であった。次に上記モノリス中間体を外径70mm、厚さ約20mmの円盤状に切断して、2.9g分取した。分取したモノリス中間体を内径73mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-ブタノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
このようにして得られたビニルベンジルクロライド/ジビニルベンゼン共重合体よりなるモノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図3〜図5に示す。図3〜図5のSEM画像は、倍率が異なるものであり、複合モノリスを任意の位置で切断して得た切断面の任意の位置における画像である。図3〜図5から明らかなように、当該複合モノリスは共連続構造を有しており、共連続構造体を構成する骨格相の表面は、平均粒子径10μmの粒子体で被覆され、全粒子体等による粒子被覆率は100%であった。また、粒径6〜12μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%であった。
また、水銀圧入法により測定した当該複合モノリスの開口の平均直径は29μm、全細孔容積は2.1ml/gであった。
(複合モノリスアニオン交換体の製造)
上記の方法で製造した複合モノリスを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。複合モノリスの重量は17.9gであった。これにテトラヒドロフラン1500mlを加え、40℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、トリメチルアミン30%水溶液114.5gを徐々に加え、昇温して40℃で24時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄してテトラヒドロフランを除き、更に純水で洗浄して複合モノリスアニオン交換体を得た。
得られた複合モノリスアニオン交換体の反応前後の膨潤率は2.0倍であり、体積当りのアニオン交換容量は、水湿潤状態で0.32mg当量/mlであった。水湿潤状態での複合モノリスアニオン交換体の連続細孔の平均直径を、複合モノリスの値と水湿潤状態の複合モノリスアニオン交換体の膨潤率から見積もったところ58μmであり、同様の方法で求めた突起体の平均径は20μm、粒子被覆率は100%、全細孔容積は2.1ml/gであった。また、該複合モノリスアニオン交換体のフッ化物アニオンに関するアニオン交換帯長さを測定したところ、LV=20m/hにおけるアニオン交換帯長さは16mmであり、市販の強塩基性アニオン交換樹脂であるアンバーライトIRA402BL(ロームアンドハース社製)の値(165mm)に比べて、圧倒的に短かった。なお、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.041MPa/m・LVであり、実用上要求される圧力損失と比較して、それを下回る低い圧力損失であった。また、粒径12〜24μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%であった。
次に、複合モノリスアニオン交換体中の四級アンモニウム基の分布状態を確認するため、複合モノリスアニオン交換体を塩酸水溶液で処理して塩化物形とした後、EPMAにより塩化物アニオンの分布状態を観察した。その結果、塩化物アニオンはモノリスアニオン交換体の骨格表面のみならず、骨格内部にも均一に分布しており、四級アンモニウム基が複合モノリスアニオン交換体中に均一に導入されていることが確認できた。
実施例1
(第1の白金族金属担持触媒の調製)
参考例1の複合モノリスアニオン交換体(第1の複合モノリスアニオン交換体)をCl形にアニオン交換した後、水湿潤状態で円柱状に切り出し、減圧乾燥した。乾燥後の複合モノリスアニオン交換体の重量は、1.0gであった。この乾燥状態の複合モノリスアニオン交換体を、塩化パラジウム270mgを溶解した希塩酸に24時間浸漬し、塩化パラジウム酸形にアニオン交換した。浸漬終了後、複合モノリスアニオン交換体を純水で数回洗浄し、ヒドラジン水溶液中に24時間浸漬して還元処理を行った。塩化パラジウム酸形複合モノリスアニオン交換体が茶色であったのに対し、還元処理終了後の複合モノリスアニオン交換体は黒色に着色しており、パラジウムナノ粒子の生成が示唆された。このようにして得られた第1のパラジウムナノ粒子担持触媒aを数回純水で洗浄し、乾燥した。
乾燥状態の第1のパラジウムナノ粒子担持触媒aに担持されたパラジウムナノ粒子の担持量は、9.1重量%であった。担持されたパラジウムナノ粒子の平均粒子径を測定するため、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。得られたTEM画像を図6に示す。パラジウムナノ粒子の平均粒子径は、5nmであった。乾燥状態のパラジウムナノ粒子担持触媒aを内径10mmのカラムに充填し、水酸化ナトリウム水溶液を通液して担体であるモノリスアニオン交換体をOH形とし、過酸化水素分解特性の評価に用いた。第1のパラジウムナノ粒子担持触媒aの充填層高は10mmであった。このとき、水湿潤状態の樹脂体積に対するパラジウムナノ粒子の担持量は、8.1g−Pd/L−R(パラジウムナノ粒子担持触媒1L当たりに担持されているパラジウム重量)であった。
(触媒の評価)
内径10mmのカラムに充填した上記第1のパラジウムナノ粒子担持触媒aに、過酸化水素15〜30μg/Lを含む超純水をSV=5000h−1にて27時間下向流で通水し、カラム出口で試料水を採水し過酸化水素濃度を測定した。その結果、カラム出口で採水した試料水中の過酸化水素濃度は1μg/L未満であり、過酸化水素は分解除去されていた。次に、SVを10000h−1とし、同様の処理を行った。カラム出口で採水した試料水中の過酸化水素濃度は、SVが10000h−1と非常に速く、触媒の充填層高が10mmと薄いにもかかわらず、1μg/L未満であり、過酸化水素は分解除去されていた。
実施例2
(第2の白金族金属担持触媒の調製)
触媒担体として、参考例1の複合モノリスアニオン交換体(第1の複合モノリスアニオン交換体)に代えて参考例2の複合モノリスアニオン交換体(第2の複合モノリスアニオン交換体)を用いたこと、及び切り出した第2の複合モノリスアニオン交換体の乾燥時重量を1.4gとしたことを除いて、実施例1と同様の方法で参考例2の複合モノリスアニオン交換体(第2の複合モノリスアニオン交換体)にパラジウムナノ粒子を担持し、第2のパラジウムナノ粒子担持触媒aを得た。
得られた乾燥状態の第2のパラジウムナノ粒子担持触媒aに担持されたパラジウムナノ粒子の担持量は、6.5重量%であった。担持されたパラジウムナノ粒子の平均粒子径を測定するため、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。その結果、パラジウムナノ粒子の平均粒子径は、3nmであった。乾燥状態の第2のパラジウムナノ粒子担持触媒を内径10mmのカラムに充填し、水酸化ナトリウム水溶液を通液して担体であるモノリスアニオン交換体をOH形とし、過酸化水素分解特性の評価に用いた。触媒の充填層高は12mmであった。このとき、水湿潤状態の樹脂体積に対するパラジウムナノ粒子の担持量は、5.8g−Pd/L−Rであった。
(触媒の評価)
触媒として、第1のパラジウムナノ粒子担持触媒aに代えて第2のパラジウムナノ粒子担持触媒aを用いたことを除いて、実施例1と同様の方法で第2のパラジウムナノ粒子担持触媒aの過酸化水素分解効果を評価した。その結果、SV=5000h−1および10000h−1で超純水を通水したいずれの場合でも、カラム出口で採水した試料水中の過酸化水素濃度は1μg/L未満であり、過酸化水素は分解除去されていた。
比較例1
水分保有能力がOH形基準において60〜70%であり、ゲル形である粒子状の強塩基アニオン交換樹脂(I型)に公知の方法でパラジウムナノ粒子を担持し、パラジウムナノ粒子担持粒状アニオン交換樹脂触媒を得た。Cl形の粒子状アニオン交換樹脂を塩化パラジウムの塩酸水溶液に浸漬し、水洗後に、ヒドラジン水溶液で還元処理を行った。水酸化ナトリウム水溶液を通液して粒子状のアニオン交換樹脂をOH形とし、過酸化水素分解特性の評価に用いた。このとき、パラジウムナノ粒子担持量は、乾燥状態で0.4重量%、水湿潤状態で970mg−Pd/L−Rであった。このパラジウムを担持したOH形の粒子状アニオン交換樹脂を内径25mmのカラムに40mL(層高80mm)充填して実施例1と同じ方法で過酸化水素低減の実験を行った。
(触媒の評価)
触媒として、第1のパラジウムナノ粒子担持触媒aに代えて上記パラジウムナノ粒子担持粒状アニオン交換樹脂触媒を用いたこと、及び超純水をSV=1500h−1および2500h−1で通水したことを除いて、実施例1と同様の方法でパラジウムナノ粒子担持粒状アニオン交換樹脂触媒の過酸化水素分解効果を評価した。その結果、カラム出口で採水した試料水中の過酸化水素濃度はそれぞれ1μg/L未満、1.6μg/Lであった。SV=1500h−1においては過酸化水素は1μg/L未満となったが、SVを2500h−1に上げると、過酸化水素は処理水中にリークした。このように、従来技術である粒子状アニオン交換樹脂にパラジウムナノ粒子を担持した触媒では、実施例よりも遅いSV、厚い触媒充填層高といった過酸化水素を除去しやすい条件を設定しても、SV=2500h−1では過酸化水素がリークした。
比較例2
パラジウムナノ粒子を担持させず、参考例1の複合モノリスアニオン交換体(第1の複合モノリスアニオン交換体)のみを用いて、実施例1と同様の方法でSV=10000h−1における過酸化水素分解効果を評価した。その結果、過酸化水素の分解効果は認められなかった。
実施例3
塩化パラジウム使用量を270mgから190mgに変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で参考例1の複合モノリスアニオン交換体(第1の複合モノリスアニオン交換体)にパラジウムナノ粒子を担持し、第1のパラジウムナノ粒子担持触媒bを得た。
乾燥状態の第1のパラジウムナノ粒子担持触媒bに担持されたパラジウムナノ粒子の担持量は、6.4重量%であった。乾燥状態の第1のパラジウムナノ粒子担持触媒bを内径10mmのカラムに充填し、溶存酸素除去特性の評価に用いた。触媒の充填層高は20mmであった。このとき、水湿潤状態の樹脂体積に対するパラジウムナノ粒子の担持量は5.7g−Pd/L−Rであった。
(触媒の評価)
内径10mmのカラムに充填した上記第1のパラジウムナノ粒子担持触媒bに、溶存酸素濃度32μg/L且つ溶存水素濃度11μg/Lに調整した超純水をSV=7500h−1にて通水し、カラム出口の処理水中の溶存酸素濃度が安定するまで測定を行なった。その結果、カラム出口の溶存酸素濃度は3.6μg/Lに低減していた。
(比較例3)
水分保有能力がOH形基準において60〜70%でありゲル形である粒子状の強塩基性アニオン交換樹脂(Cl形)にパラジウムを水湿潤状態で910mg−Pd/L−R担持させたCl形触媒樹脂を作製した。このCl形触媒樹脂を上記内径10mmのカラムに充填層高360mmで、SV=430h−1の流速で通水した以外は、実施例3と同様の方法で触媒評価を行った。その結果、処理水が安定した時点でのカラム出口溶存酸素濃度は4.1μg/Lであった。
実施例3と比較例3における評価結果を表1にまとめた。
実施例3は、SV=7500h−1と非常に高流速であり、且つ、担持したパラジウム金属触媒の質量あたりの通水流速においても実施例3の方が比較例3に比べ多いにも関わらず、比較例3と同程度の溶存酸素濃度の処理水が得られた。このことから、本発明の白金族金属担持触媒を用いれば、高流速で低樹脂層高においても効果的な溶存酸素除去が可能であるため、触媒使用量の低減、装置の小型化と共に溶出物の低減が図れる。
1 骨格表面
2 突起体

Claims (9)

  1. 有機多孔質アニオン交換体に、平均粒子径1〜100nmの白金族金属のナノ粒子が、担持されている白金族金属担持触媒であり、
    該有機多孔質アニオン交換体は、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのアニオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、アニオン交換基が該複合構造体中に均一に分布しており、
    該白金族金属の担持量が、乾燥状態で0.004〜20重量%であること、
    を特徴とする白金族金属担持触媒。
  2. 請求項1記載の白金族金属担持触媒に、過酸化水素を含有する被処理水を接触させて、該過酸化水素を含有する被処理水中の過酸化水素を分解除去することを特徴とする過酸化水素の分解処理水の製造方法。
  3. 前記有機多孔質アニオン交換体が、OH形であることを特徴とする請求項2記載の過酸化水素の分解処理水の製造方法。
  4. 前記白金族金属担持触媒に、前記過酸化水素を含有する被処理水を、SV=2000〜20000h−1で接触させることを特徴とする請求項2又は3いずれか1項記載の過酸化水素の分解処理水の製造方法。
  5. 請求項2〜4いずれか1項記載の過酸化水素の分解処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄することを特徴とする電子部品の洗浄方法。
  6. 請求項1記載の白金族金属担持触媒の存在下で、水素と酸素を含有する被処理水中の溶存酸素とを反応させて水を生成させることにより、該酸素を含有する被処理水から溶存酸素を除去することを特徴とする溶存酸素の除去処理水の製造方法。
  7. 前記有機多孔質アニオン交換体が、OH形であることを特徴とする請求項6記載の溶存酸素の除去処理水の製造方法。
  8. 前記白金族金属担持触媒に、前記酸素を含有する被処理水を、SV=2000〜20000h−1で接触させることを特徴とする請求項6又は7いずれか1項記載の溶存酸素の除去処理水の製造方法。
  9. 請求項6〜8いずれか1項記載の溶存酸素の除去処理水の製造方法を行い得られる処理水で、電子部品又は電子部品の製造器具を洗浄することを特徴とする電子部品の洗浄方法。
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