JP2010258378A - 絶縁性薄膜およびそれを用いた薄膜トランジスタ - Google Patents

絶縁性薄膜およびそれを用いた薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】液状でハンドリングおよび溶液塗布により容易に薄膜形成でき、かつ、低温ベイク温度条件で高い絶縁性が要求される電子部品、例えば薄膜トランジスタのパッシベーション膜、ゲート絶縁膜などに用いることができる絶縁膜を提供すること。
【解決手段】 樹脂組成物を溶液塗布することで形成でき、かつ170℃以下のポストベイクによって得られる薄膜において、DSC測定による発熱量が5J/g以下である絶縁性薄膜により上記課題を解決できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温条件で電気絶縁性に優れる薄膜およびそれをパッシベーション膜またはゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタを提供することである。
近年、次世代ディスプレイとしてOLED、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイの開発が盛んに行われており、基板には可とう性のある樹脂フィルム基板が用いられ、透明でかつ比較的耐熱性の高いPEN、PES等の材料が適用検討されている。しかし樹脂フィルム基板は線膨張が大きく、耐熱性も低いことより従来のCVDによるトランジスタ形成は適用できず、低温かつ印刷法等の簡便な方法で形成可能である酸化物半導体、有機半導体材料を用いたTFTが注目を浴び盛んに研究開発されている。
この際、半導体層の形成だけでなく絶縁膜および保護膜の低温形成技術も必須であり、低温かつ簡便なプロセスによる絶縁膜形成技術・材料が切望されている。こういった経緯からポリビニルアルコールやエポキシ樹脂、シリコン系ポリマーなどの有機材料で形成することも試みられているが、これらの有機材料を用いたゲート絶縁膜では、CVD成膜による無機系絶縁膜に比べて絶縁性等の信頼性に欠けるため、有効な低温形成可能な絶縁膜材料は得られていない。
特開2004−349319号公報 特開2007−158147号公報 特開2007−43055号公報
上記事情から、本発明の目的は、低温条件で電気絶縁性に優れる絶縁性薄膜およびそれをパッシベーション膜またはゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタを提供することである。
上記事情に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、下記特長を有する樹脂組成物を用いることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の構成を有するものである。
1). 樹脂組成物を溶液塗布することで形成でき、かつ170℃以下のポストベイクによって得られる薄膜において、DSC測定による発熱量が5J/g以下である絶縁性薄膜。
2). 絶縁破壊電圧が4MV/cm以上である1)に記載の薄膜。
3). 30V印加時のリーク電流が20nA/cm以下の絶縁性を有する1)または2)に記載の薄膜。
4). 樹脂組成物がポリシロキサン系化合物を主成分とすることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載の薄膜。
5). ポリシロキサン系化合物が、分子中にSi原子を3〜10個から形成される環状ポリシロキサンあるいは、分子中に6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサンであることを特徴とする4)に記載の薄膜。
6). ポリシロキサン系化合物が、光重合性官能基を有することを特徴とする1)〜5)のいずれか一項に記載の薄膜。
7). 光重合性官能基が脂環式エポキシ基又はグリシジル基である、請求項6に記載の硬化性組成物。
8). 樹脂組成物が、フォトリソグラフィー性を有することを特徴とする1)〜7)のいずれか一項に記載の薄膜。
9). 樹脂組成物中に光重合性官能基を少なくとも1個有し、かつ、下記式(X1)〜(X3)で表される各構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも一種を分子内に有する化合物を含有する8)に記載の薄膜。
Figure 2010258378
10). ポリシロキサン系化合物がSiH基を有する環状シロキサン化合物とアルケニル基を有する化合物とをヒドロシリル化反応させて得られることを特徴とする5)〜9)のいずれか一項に記載の薄膜。
11). ポリシロキサン系化合物が一分子中に光重合性官能基およびSiH基を有する化合物であることを特徴とする10)に記載の薄膜。
12). 樹脂組成物がアルケニル基を有する化合物を含有することを特徴とする11)に記載の薄膜。
13). 1)〜12)のいずれか一項に記載の薄膜を半導体層のパッシベーション膜あるいは、ゲート絶縁膜とすることを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明によれば、低温ベイク温度条件で電気絶縁性に優れたパッシベーション膜またはゲート絶縁膜およびそれを用いた薄膜トランジスタを与え得る。
発明の詳細を説明する。
本発明の樹脂組成物は、液状でハンドリングおよび溶液塗布により容易に薄膜形成でき、かつ、その薄膜は低温ベイク温度で高い絶縁性を有するため電子部品、半導体用の絶縁膜に用いることができる。
本発明の組成物で得られる薄膜は、高い絶縁性が要求される電子部品、例えば薄膜トランジスタのパッシベーション膜、ゲート絶縁膜に適用できる。
特に近年、次世代トランジスタ材料として注目されている、ペンタセン、オリゴチオフェン、フタロシアニンなどの化合物を用いる有機半導体やZnO、InGaZnOなどの酸化物系半導体は、印刷やスパッタにより低温形成可能であるため、プラスチックフィルム基板などを用いる電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイ駆動に適した材料として研究開発が盛んに行われている。
当然プラスチック基板を用いるトランジスタの形成温度は、基板材料の変形温度、耐熱温度以下であることが必須であり、半導体層のみならずパッシベーション膜、ゲート絶縁膜についても溶液塗布により低温条件下で形成させることが必須であり、特に本発明の薄膜は絶縁膜としては好適な材料といえる。基板としてPENやPES等に代表される透明樹脂基板上へトランジスタ形成させるためには170℃以下であることが好ましく、樹脂基板の寸法安定性、耐熱性などを考慮すると155℃以下が好ましく、より好ましくは135℃以下であり、さらに好ましくは100℃下の加熱により絶縁性発現することが好ましい。
ただし、これまで様々な樹脂材料が低温ベイク条件(170℃以下)で形成する有機絶縁膜として提案されているが、絶縁破壊電圧が低い、リーク電流量が大きい等絶縁信頼性に欠けるため、FET用のゲート絶縁膜やパッシベーション膜へ適用できる得る有効な材料・手段が得られていないのが現状である。
一般に樹脂材料で絶縁膜を形成させる際には、200℃を超えるような高い温度でアニール処理し架橋反応を進行させることで電流リーク点、絶縁破壊点となり得る未反応部位をなくし、高絶縁信頼性を発現させる手法が取られる。
本発明の組成物は200℃以上のような高い温度でのアニールを要せずとも、低温ベイク条件で架橋反応を完結させ、高い絶縁性を発現する事が特徴であり、樹脂薄膜におけるこの架橋反応の進行はDSC測定で検出することができる。このDSC測定において、未反応部位が薄膜中に残っている場合にはその反応熱を検出することにより未反応部位の量が定量化できる。故に、FET用のゲート絶縁膜やパッシベーション膜として機能するための指標として見ることができる。この観点より、有機絶縁膜においてこのDSC測定における反応熱が5J/g以下であり、より好ましくは1J/g以下であることが好ましい。
ここで言う発熱量とは、示差走査熱量分析(DSC)により本発明の薄膜を室温から350℃以上まで昇温させた時に発生する総発熱量を言う。DSC測定装置は、特に限定されるものではなく汎用のDSC測定装置を使用することができる。測定温度領域については、一般の硬化性樹脂における架橋反応熱が全て検出する温度領域である必要があるため、室温〜400℃の範囲で測定を行うことが好ましい。この範囲より下限温度が高過ぎたり、上限温度が低過ぎると全ての反応熱を検出できない可能性があるため好ましくない。また400℃以上の温度にすると材料が分解するなど架橋反応以外の発吸熱を検知する可能性があるため好ましくない。
昇温速度については30℃/min以下であることが好ましい。これ以上速いと反応熱が精査に検出できない可能性があるため好ましくない。測定する試料の量は0.1mg以上100mg以下であることが好ましい。この範囲外の試料の量で測定を行った場合には、反応熱が検出できない可能性があり好ましくない。
また絶縁膜の絶縁破壊電圧は、よく半導体デバイスの長期信頼性の指標として取り上げられる。長期の電圧印加、または瞬間的な過電圧印加によって絶縁膜の絶縁破壊が起こり、デバイスの故障原因となるため、絶縁破壊電圧は、4.0MV/cm以上であることが好ましく、さらに好ましくは5.0MV/cm以上である。
本発明におけるリーク電流量とは、電極間に形成された0.5μm±0.1μmの薄膜において30V電圧印加時における電極間の単位面積当たりのリーク電流量で定義される。
本発明の薄膜においては、前記リーク電流量はより小さいことが好ましい。20nA/cm以下であることが好ましく、電子部品への信頼性を考慮すると15nA/cm以下であることが好ましい。リーク電流量が大きいと、例えば、本発明における薄膜をTFT等の電気デバイスの絶縁膜として用いた場合に、信号の応答遅延、誤作動、デバイス不良につながる恐れがある。
リーク電流測定装置は、数pAレベルの電流が検知できる汎用の半導体パラメータアナライザーであれば特に限定されるものではなく使用することができる。また印加電圧としては、通常のTFTの駆動電圧として印加するレベルの電圧でのリーク電流が小さければ問題はないが、長期信頼性および印加時直後の瞬間的な過電圧などを加味すると、好ましくは0〜50V間でのどの電圧値において上記レベルの低リーク電流量であることが好ましく、より好ましくは0〜100Vであり、さらに好ましくは0〜200V間においてAC電圧、DC電圧問わず上記に示すレベルでの絶縁性が保持されていることが好ましい。
さらにこの絶縁膜は耐環境性にも優れていることが望ましく、−60℃〜0℃の低温条件下、20℃〜100℃の高温条件下、さらには20℃〜90℃で20〜100%RHの高温高湿条件下に長時間保管した場合においてもその絶縁性が保持されていることが望ましい。
(薄膜の形成方法)
本発明の組成物による薄膜の形成方法は特に限定されるものではなくスピンコートやスリットコートなどの方法で成膜することができる。また成膜する基材の状態に合わせ適宜、溶剤による粘度調整、界面活性剤による表面張力調整を行っても良い。また本発明の樹脂組成物は成膜後、光または熱により架橋反応を進行させ高い絶縁性を発現させることもできる。成膜後の加熱温度は特に特に限定されるものではないが、トランジスタ周辺の耐熱性の低い部材、例えば有機半導体層などへの影響が小さいという観点より155℃以下が好ましい。また、特に好ましくは135℃以下の低い温度においても絶縁性が発現し、特に絶縁破壊電圧が良好な絶縁膜と成すことができる。
(基板および金属電極)
本発明の樹脂組成物を用いて成膜する基板については特に限定することなく使用することができる。基板上に本組成物を用いてトランジスタを形成しディスプレイに適応させるためには透明性が高いものが好ましく、ガラス等が好適に用いられる。さらにディスプレイにおいて軽量化、フレキシブル性を有するものを作成する場合には透明樹脂基板を適用することができ、好ましくはPMMA、PET、ポリカーボネート、PEN、PESなどが挙げられる。トランジスタ形成時にかかる温度に対しても画素の寸法・位置ズレが小さいという観点より、高温時の線膨張が低い耐熱性の高い材料であることが好ましく、PEN、PES等が特に好ましく用いられ、本組成物を用いることで、低温条件で基板変形することなく絶縁膜の形成ができ、これら基板においても容易にトランジスタ形成を可能とする。
また樹脂基板上に形成される金属電極についても特に限定されるものではないが、一般のディスプレイで画素形成・配線形成などに使用しているAL、Mo、Ni、Ti、Au等であれば特に限定されない。
(樹脂組成物)
また本発明の樹脂組成物については、溶液で塗布することが可能で、かつ外部から熱や光などのエネルギーを与えられることの架橋反応により高い絶縁性を発現する薄膜であれば特に限定されるものではない。
架橋反応としては例えば、アミノ基または水酸基とカルボキシル基との縮合反応、加水分解性シリル基同士の縮合反応、ヒドロシリル化反応、水酸基、フェノール基、カルボキシル基、アミノ基等とエポキシ基またはイソシアネート基への付加反応、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基のカチオン重合反応、(メタ)アクリル基、ビニル基などのラジカル重合反応等特に限定されるものではなく挙げるこことができる。特に、低温で反応が進行しやすく、反応後に電気的および熱的に安定なC−Si結合を形成するという観点よりヒドロシリル化反応が好ましい。
樹脂組成物としては、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、フェノール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、イミド系化合物、シアネート系化合物、フッ素系化合物、ポリシロキサン系化合物などが挙げられる。
また形成される薄膜において、透明性が高く、耐熱性に優れるという観点より、ポリシロキサン系化合物であることが好ましい。
またこの樹脂組成物に含まれるポリシロキサン系化合物としては特に限定されるものではないが、特に分子中にSi原子を3〜10個から形成される環状ポリシロキサンを含むことが好ましく、液状で溶液塗布が可能でかつ硬化後に架橋密度が緻密な構造となり高い絶縁性を有する薄膜と成り得る。ただし環状ポリシロキサン構造中に架橋反応点を有さないものはアウトガス、ブリード等、膜の信頼性を損ねる原因となるため架橋性反応基を有していることが好ましく、下記一般式(I)
Figure 2010258378
(式中R、Rは炭素数1〜6の非架橋性有機基、Xは水素原子(SiH基)または、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アルコキシリル基、ビニル基から選ばれるいずれかの架橋性反応基を有する炭素数0〜10の有機基を表し同一であっても異なっても良く、nは1〜10、mは0〜10の数を表す)で表される、1分子中に少なくとも1個以上の架橋性反応基を有する環状オルガノポリシロキサンがあげられる。環状構造中にケイ素原子が3〜12個、さらには3〜6個有する化合物が好ましい。
また強靭な薄膜が得られるという観点より、あらかじめ架橋性官能基を有する環状シロキサンとその他有機化合物またはポリシロキサン化合物とを部分的に反応させているオリゴマーも用いることもできる。この一部架橋させる反応としては特には限定されるものではないが、加水分解縮合と比較して反応後に電気的および熱的に安定なC−Si結合を形成し、また反応制御が容易で未架橋基が残りにくいという観点より、ヒドロシリル化反応を適用することが好ましい。
部分架橋させるモノマーとしては特に限定されるものではなく、一分子中に1個以上のSiH基またはアルケニル基を有する環状シロキサンと一分子中に1個以上のアルケニル基またはSiH基を有するシロキサン化合物または有機化合物を適宜組み合わせて用いることができる。
一分子中に1個以上のSiH基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−メチルー3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジメチルー5,7−ジハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジプロピル−5,7−ジハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−7−ヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサン等が例示される。
特に入手性の観点より、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
その他SiH基を有する化合物として、ジメチルヒドロシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にSiH基を有するポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジシロキサンやジメトキシメチルシラン、メトキシジメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、エトキシジメチルシラン、トリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有するSiH化合物等が挙げられる。
一分子中に1個以上のアルケニル基を有する化合物についても、ポリシロキサン化合物、有機化合物にかかわらず特に限定なく使用することができる。
アルケニル基を有する直鎖状のポリシロキサンの具体例としては、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にビニル基を有するポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジビニルジシロキサン、ヘキサメチルトリビニルトリシロキサン、上記SiH基を含有する環状シロキサンの例示でSiH基をビニル基、アリル基等のアルケニル基に置換したものなどが例示される。
アルケニル基含有有機化合物の例としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、Sおよびハロゲンからなる群から選ばれる原子より構成される化合物であって、1分子中にSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1個以上有する有機化合物であれば特に限定されない。またSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
上記有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類でき、有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
化合物の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3−ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5−ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
また化合物としては、骨格部分とアルケニル基(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合)とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
特に、透明性および耐光性が高いという観点から下記一般式(II)で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体が特に好ましい。
Figure 2010258378
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよく、少なくとも1個のRはSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を含む)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(II)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
これら化合物の具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレートが挙げられ、特に入手性の観点よりトリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
その他、一分子中に架橋反応基とアルケニル基とを含有する化合物を反応させることで官能基導入することも可能であり、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキシルエポキシドなどのエポキシ化合物、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレートなどのアクリロイル化合物、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシランなどのアルコキシシリル化合物が適用できる。
また本発明の樹脂組成物において、分子中に6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサンを含むことで、組成物の硬化後の薄膜においてより緻密な架橋構造を形成することができ、より高い絶縁信頼性を有する薄膜となるため好ましい。
多面体構造のポリシロキサンとしては、骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましく、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサンが例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
Figure 2010258378
上記式中R〜R11はビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、酸素原子を介して結合しているメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。
ただし上記環状ポリシロキサンと同様、架橋構造体を形成するためには、R〜R11のうちの少なくとも1つは、水素原子(SiH基)、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アルコキシ基、アルケニル基から選ばれるいずれかの架橋性反応基を有することが好ましい。
また本発明での多面体構造のポリシロキサンとして、さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子と反応性基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物は剛直になり過ぎず、良好な成形体を得ることができる。
Figure 2010258378
上記、構造中、R12〜R35は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、酸素原子を介して結合しているメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR12〜R35のうち、少なくとも1つはただし上記環状ポリシロキサンと同様、架橋構造体を形成するためには、R〜R11のうちの少なくとも1つは、水素原子(SiH基)、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アルコキシ基、アルケニル基から選ばれるいずれかの架橋性反応基を有することが好ましい。
さらに環状ポリシロキサンと同様、あらかじめ架橋性官能基を有する多面体構造のポリシロキサンとその他有機化合物またはシロキサン化合物とを部分的に反応させているオリゴマーも用いることもでき、ヒドロシリル化を用いた上記方法により、一分子中に1個以上のSiH基またはアルケニル基を有する多面体構造のポリシロキサンと一分子中に2個以上のアルケニル基またはSiH基を有するシロキサン化合物または有機化合物を組み合わせて用い、より高い絶縁性を有する樹脂組成物を得ることができる。
上記ヒドロシリル化反応させる場合の触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ樹脂組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、化合物(α1)および化合物(γ)のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合(以下、単に「アルケニル基」と称することがある。)1モル、または、化合物(α1)、化合物(α2)および化合物(γ)のアルケニル基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は上記化合物のアルケニル基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
(フォトリソグラフィー性に関して)
また絶縁膜に部分的にコンタクトホールを設けて上下電極間の導通をとるためには、ドライエッチングやリソグラフィーによって部分的に薄膜を除去できることが好ましく、さらにプロセスが簡略化できる観点より、フォトリソグラフィー性を有しているものが好ましい。このフォトリソグラフィー性については、ポジ型、ネガ型特に限定されるものではなく適用でき、その露光波長についても特に限定されるものではない。
フォトリソグラフィー性発現のため、一分子中に光重合性官能基を少なくとも1個有することが好ましい。
ここでいう光重合性官能基とは、光エネルギーが外部より加わった際に光重合開始剤より発生するラジカルもしくはカチオン種によって重合、架橋する官能基を示し、特に反応・架橋形式は限定されるものではない。
中でも、特に反応性・化合物の安定性の観点より、光重合性官能基の少なくとも1個は、エポキシ基、架橋性ケイ素基、(メタ)アクリロイル基、ビニロキシ基が好ましい。エポキシ基の中でも安定性の観点より、脂環式エポキシ基やグリシジル基が好ましく、特に光および熱によるカチオン重合性に優れる点では、脂環式エポキシ基が好ましい。
また、架橋性ケイ素基としては、アルコキシシリル基、アセトキシシリル基、フェノキシシリル基、シラノール基、クロロシリル基等の加水分解性を有するケイ素基が挙げることができ、特に入手性、化合物の安定性の点から、特にアルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、ケイ素に結合する官能基が、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基のものが挙げられ、硬化後の残留成分が残りにくいという観点から、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
変性ポリオルガノシロキサン化合物は、光重合性官能基を少なくとも1個有すればよく、各光重合性官能基は同一であってもよく、2種以上の異なる官能基を有しても良い。本発明の硬化性組成物に含有される変性ポリオルガノシロキサン化合物は、上記光重合性官能基を一分子中に少なくとも1個有すればよいが、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上である。3個以上であれば、架橋密度の高い硬化物が得られ耐熱性に優れるという利点がある。
さらにリソグラフィー時の現像において、特殊現像液や有機溶剤型現像液よりは、一般のレジスト現像液として主に用いられているアルカリ現像液で現像できるものがリサイクル性、コスト性の面より好ましい。
本発明の樹脂組成物において、上記一分子中に光重合性官能基を少なくとも1個有し、さらに下記式で表される各構造、
Figure 2010258378
フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも一種を同一分子内に有することでアルカリ水溶液への溶解が容易となり、アルカリ現像可能なリソグラフィー性を発現させる点で好ましい。
樹脂組成物がリソグラフィー性を有することにより、薄膜トランジスタを形成する際、ドライエッチングやレジストによるパターニング加工などの多段プロセスが大幅に省略できるという観点より好ましい。また現像にあたり、一般にLCD製造プロセスなどでレジスト現像液として用いられるアルカリ性現像液により現像できることが省コスト、リサイクルという観点より好ましい。
さらにアルカリ現像性を有し、透明性が高く、耐熱性に優れる薄膜が得られる化合物として上記で示される特定構造を有するポリシロキサン系化合物が挙げられる。上記で示される特定構造を有するポリシロキサン化合物を得る方法については特に限定されるものではないが、反応選択性等の観点より、特定構造を有するアルケニル基含有化合物とSiH基を有するシリコン化合物とをヒドロシリル化反応を用いることが好ましい。
特定構造を有するアルケニル基含有化合物としては、ビニルフェノール、アリルフェノール、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、ウンデシレン酸、ジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールS、ビニルフェノール、アリルフェノールが挙げることができ、硬化物の透明性の観点よりジアリルイソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸が特に好ましい。
(カチオン重合開始剤)
本発明の樹脂組成物において官能基種によっては適宜光重合開始剤を選定する必要がある。エポキシ基やアルコキシシリル基のようなカチオン重合性官能基を有する場合には、カチオン重合開始剤を添加する必要があるが、カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する、活性エネルギー線カチオン重合開始剤、又は熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤であれば、特に限定されず使用できる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロ硼素錯塩及び三弗化硼素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6陰イオン(ここでMは燐、アンチモン及び砒素から選択される)の形のVIa元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビスヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等);陰イオンがB(C である芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩の一種以上が包含される。
好ましい陽イオン系活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びにII族、V族及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包含される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3M社)、UVR−6990及びUVR−6974(ユニオン・カーバイド社)、UVE−1014及びUVE−1016(ジェネラル・エレクトリック社)、KI−85(デグッサ社)、SP−152及びSP−172(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L及びSI−100L(三新化学工業社)、WPI113及びWPI116(和光純薬工業社)、RHODORSIL PI2074(ローディア社)として商品として入手できる。
カチオン重合開始剤の使用量は、変性ポリオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の量である。カチオン重合開始剤量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られない。開始剤量が多いと、開始剤の色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色や***したり、硬化物の耐熱耐光性を損なうために好ましくない。
(ラジカル重合開始剤)
また本発明の樹脂組成物においてアクリロイル基のようなラジカル重合官能基を有する場合には、ラジカル重合開始剤を用いる必要があるが、活性エネルギー線によりラジカル種を発生する、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤であれば特に限定されず使用できる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、ビイミダゾール系化合物、α−ジケトン系化合物、チタノセン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、ケタール系化合物、アゾ系化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン系化合物、ジスルフィド系化合物、チウラム化合物類、フルオロアミン系化合物等が用いることができる。
アセトフェノン系化合物の具体例としては、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4'−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4'−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4'−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
オキシムエステル系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
ベンゾイン系化合物の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例としては、ベンジルジメチルケトン、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
α−ジケトン系化合物の具体例としては、ジアセチル、ジベンゾイル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等が挙げられる。
多核キノン系化合物の具体例としては、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン等が挙げられる。
キサントン系化合物の具体例としては、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
トリアジン系化合物の具体例としては、1,3,5−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−メトキシフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(2'−フリルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3',4'−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−ブロモ−4'−メチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−チオフェニルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
特に薄膜硬化性に優れるという観点より、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシー1−〔4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]フェニル〕−2−メチループロパンー1−オン、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
特に硬化物が透明性に優れるという観点より、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4'−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,2−ジメトキシアセトフェノンが好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、変性ポリオルガノシロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の量である。カチオン重合開始剤量が少ないと、硬化が不十分でアルカリ現像時にコントラストが得られない傾向がある。開始剤量が多いと、硬化膜自体が着色するために好ましくない。
(増感剤)
また本発明の樹脂組成物において光エネルギーで硬化させる場合には、光の感度向上のおよびg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)と言われるような高波長の光に感度を持たせるために、適宜、増感剤を添加する事ができる。これら増感剤は、上記カチオン重合開始剤及び/またはラジカル重合開始剤等と併用して使用し、硬化性の調整を行うことができる。
添加する化合物には、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げることができる。
アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、1,4−ジメトキシアントラセン、9−メチルアントラセン、2−エチルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン、9,10−ジフェニル−2,6−ジ−tert−ブチルアントラセン等が挙げられ、特に入手しやすい観点より、アントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
また硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、樹脂組成物との相溶性に優れる観点からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン等が好ましい。
チオキサントン系の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,5−ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
またこれらの増感剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(リソグラフィー方法)
本発明の組成物を用いた薄膜でコンタクトホール形成などの目的よりパターン形成する場合には、通常のレジスト材料の現像方法と同様の方法で行うことができ特に限定されるものではない。感光させるための光源としては、使用する重合開始剤や増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200〜450nmの範囲の波長を含む光源、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオードなどを使用できる。
露光量は特に制限されないが、好ましい露光量の範囲は1〜5000mJ/cm、より好ましくは1〜1000mJ/cmである。露光量が少ないと硬化しない。露光量が多いと過露光のためパターンが形成できないことがある。
また溶剤除去および硬化物の物性向上の目的で、光硬化前後に熱を加えプリベークおよびアフターベークさせてもよい。硬化温度としては種々設定できるが、好ましい温度の範囲は60〜300℃、より好ましくは80〜200℃、特には80〜155℃が好ましい。また80〜135℃の低温であっても良好な絶縁特性を有する膜と成すこともできる。
また現像液としては、一般に使用するアルカリ現像液ものであれば特に限定なく使用することができるが、具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液やコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液や、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸リチウム水溶液などの無機アルカリ水溶液やこれら水溶液に溶解速度等の調整のためにアルコールや界面活性剤などを添加したもの等が挙げられる。
また水溶液濃度に関しては、露光部と未露光部のコントラストがつきやすいという観点より、25重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であることが好ましい。
(溶剤)
本発明の樹脂組成物において、成膜性調整のため溶剤を用いて粘度調整することも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる樹脂組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(その他添加剤)
本発明の樹脂組成物には、その他、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
当該組成物を用い、下記電気特性評価手順でベイク温度条件150℃として特性評価を行った。以下、実施例および比較例で得られた硬化性組成物の特性評価を行った結果を表1に示す。
Figure 2010258378
この結果からもわかるように、本発明により150℃以下のベイク条件で電気特性的に信頼性の高い薄膜が得られている事がわかる。
(膜厚測定)
ガラス/AL基板上に形成した薄膜についてUV−visスペクトルを測定して算出した。本発明の樹脂組成物を用いて作成した薄膜は優れた絶縁性を有し、溶液塗布により成膜できる薄膜絶縁材料として適用できる。
(総発熱量)
得られた硬化性組成物10mgを、アルミパン(6mmΦ)に入れ、ホットプレート上で30min間所定温度にてベイクし薄膜を形成した。そのサンプルをDSC(島津製作所製、)を用いて室温から400℃まで10℃/minで昇温し、その総発熱量を測定した。
(電気特性評価)
絶縁破壊電圧評価およびリーク電流測定評価のため、下記のような電気特性評価サンプルを作成した。下部電極としてスパッタでMo膜を2000Å成膜したガラス基板に、実施例・比較例で得られた樹脂組成物をスピンコーティング(回転数2000rpm、30秒)し、ホットプレート上にて30min間、所定温度にてベイクし薄膜を形成した。さらに薄膜上へ上部電極としてAL電極(3mmΦ)を形成してサンプルを作成した。
(絶縁破壊電圧測定)
絶縁破壊電圧は、上記電気特性評価サンプルの電極間(AL−Mo)に電圧を印加していき、リーク電流量が10mAを超えた時の電圧を破壊電圧値として評価を行った。測定には、カーブトレーサー(ソニー製)を用いた。
(リーク電流測定)
リーク電流量は、上記電気特性評価サンプルの電極間(AL−Mo)に0〜50Vまで0.5Vずつステップで印加し、30V印加時の電極単位面積当たりのリーク電流量を測定し評価を行った。測定には、半導体パラメータ測定装置(Agilent製4156C)を用いた。
(アルカリ現像性)
実施例および比較例で得られた硬化性組成物を得られた組成物をガラス板(50×100×0.7mm)にスピンコートにより塗布し、下図1のような簡易マスク付きサンプルを作成し、コンベア型露光装置(高圧水銀ランプ、フュージョン製LH6)にて積算光量200mJ/cm露光した。
露光サンプルをアルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に60秒浸漬後水洗し、現像コントラストがついている(露光部樹脂が残存し、未露光部が除去されている)ものを○、現像コントラストがついていないものを×としてアルカリ現像性の評価とした。
(実施例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン75gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート10.0g、トルエン10.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)8mgの混合液を滴下した。滴下終了から6時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、ポリシロキサン系化合物を得た。
得られたポリシロキサン系化合物1.5gに、トリアリルイソシアヌレート1g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)2.5mg、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン7.5gを加え樹脂組成物とした。
当該組成物を用い、電気特性評価の手順でベイク温度条件150℃として特性評価を行った。
(実施例2)
500mL四つ口フラスコにトルエン100g、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン57gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。ジアリルイソシアヌル酸10.0g、1,4−ジオキサン70.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)18.5mgの混合液を滴下した。滴下終了から6時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。
未反応の1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体「反応物A」を得た。100mL四つ口フラスコにトルエン20g、「反応物A」10gを入れ、気相部を窒素置換した後内温105℃で加熱し、ここにビニルシクロヘキセンオキシド3.0gおよびトルエン3.0gの混合液を加え、添加3時間後にH−NMRでビニル基の反応率が95%以上であることを確認した。反応液を冷却しポリシロキサン系化合物を得た。
上記ポリシロキサン系化合物1gに、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン5.88g、アントラセン0.005g、RHODORSIL−PI2074(カチオン重合開始剤、ローディア製)0.01g、トリアリルイソシアヌレート0.5g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.47mgを加え樹脂組成物とした。
当該組成物を用い、電気特性評価の手順でベイク温度条件150℃として特性評価を行った。
(実施例3)
実施例2で得られる同様の硬化性組成物を用い、電気特性評価の手順でベイク温度条件130℃として特性評価を行った。
(比較例1)
エチルシリケート40(コルコート株式会社製)1gに、メチルイソブチルケトン8g、RHODORSIL−PI2074(カチオン重合開始剤、ローディア製)の2−アセトキシ−1−メトキシプロパン25wt%溶液0.05gを加え樹脂組成物とした。
当該組成物を用い、電気特性評価の手順でベイク温度条件150℃として特性評価を行った。
(比較例2)
ポリビニルフェノール(Aldrich製)0.4gに、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)メタクリレート(Aldrich社製)0.1g、PGMEA2gを加え樹脂組成物とした。

Claims (13)

  1. 樹脂組成物を溶液塗布することで形成でき、かつ170℃以下のポストベイクによって得られる薄膜において、DSC測定による発熱量が5J/g以下である絶縁性薄膜。
  2. 絶縁破壊電圧が4MV/cm以上である請求項1に記載の薄膜。
  3. 30V印加時のリーク電流が20nA/cm以下の絶縁性を有する請求項1または2に記載の薄膜。
  4. 樹脂組成物がポリシロキサン系化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜。
  5. ポリシロキサン系化合物が、分子中にSi原子を3〜10個から形成される環状ポリシロキサンあるいは、分子中に6〜24個のSi原子から形成される多面体骨格を有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項4に記載の薄膜。
  6. ポリシロキサン系化合物が、光重合性官能基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄膜。
  7. 光重合性官能基が脂環式エポキシ基又はグリシジル基である、請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 樹脂組成物が、フォトリソグラフィー性を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄膜。
  9. 樹脂組成物中に光重合性官能基を少なくとも1個有し、かつ、下記式(X1)〜(X3)で表される各構造と、フェノール性水酸基と、カルボキシル基とからなる群から選ばれる少なくとも一種を分子内に有する化合物を含有する請求項8に記載の薄膜。
    Figure 2010258378
  10. ポリシロキサン系化合物がSiH基を有する環状シロキサン化合物とアルケニル基を有する化合物とをヒドロシリル化反応させて得られることを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の薄膜。
  11. ポリシロキサン系化合物が一分子中に光重合性官能基およびSiH基を有する化合物であることを特徴とする請求項10に記載の薄膜。
  12. 樹脂組成物がアルケニル基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項11に記載の薄膜。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の薄膜を半導体層のパッシベーション膜あるいは、ゲート絶縁膜とすることを特徴とする薄膜トランジスタ。
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