JP2010250910A - 磁気記録媒体用支持体およびそれを用いたデータストレージ - Google Patents

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Abstract

【課題】記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いても優れた電磁変換特性を発現できるポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】二軸配向ポリエステルフィルム層(F層)の少なくとも磁性層を形成する側の面に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が設けられた磁気記録媒体用支持体であって、F層の磁性層を形成する側の表面は、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起の数が、800個/100cm以下であること、M層の厚みが5〜130nmの範囲にあること、そして、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージに用いる磁気記録媒体用支持体。
【選択図】なし

Description

本発明は、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いる磁気記録媒体用支持体に関する。
2軸配向ポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒体用支持体は、デジタルビデオ用テープや、コンピュータのバックアップ用テープ(以後、データテープという)などに用いられている。近年、磁気テープ、特に高密度に磁気記録を行うデータテープにおいては、トラックが非常に小型化したことによって、テープ走行・保存時のわずかな熱的・力学的寸法変化や、データを記録する際と読み取る際の温湿度環境の違いが、データの再生不良を引き起こす問題点が生じてきた。従って、高密度記録に対応する磁気記録媒体には、温湿度環境変化や熱およびテープ張力などの応力に対して高い寸法安定性が要求される。リニア記録方式のデータテープにおいては、特にテープ幅方向の高い寸法安定性が必要となる。
従来、磁気テープの素材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することがある。)とならんで、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと称することがある。)が用いられてきたが、高密度記録の磁気テープのベースフィルムに求められる寸法安定性の要求はますます厳しくなってきており、それだけでは不十分であった。そこで、上記の寸法安定性の要求に応え得るベースフィルムとして、ポリエステルフィルムに金属、半金属のなどの金属材料からなる強化膜を設けた磁気記録媒体用支持体やこの支持体を用いた磁気記録媒体が知られている(特許文献1および2)。
また、特許文献3〜7には、粗大突起を低減するために触媒種を特定のものにしたり、フィルム中に含有させる粒子として粗大粒子の少ないものを用いること、およびそのような処理を行った粗大突起の少ないフィルムも提案されている。しかしながら、近年の高密度記録の要求はすさまじく、特に記録容量が1巻あたり1GBを超えるようなデータストレージでは、前述の特許文献3〜7で粗大突起がないとされたフィルムを、前述の特許文献1および2の磁気記録媒体用支持体に用いても十分に応えられなくなってきた。
特開2006−216194号公報 特開2006−216195号公報 特開2004−114492号公報 特開2003−291288号公報 特開2002−363311号公報 特開2002−363310号公報 特開2002−059520号公報
本発明の目的は、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いても優れた電磁変換特性を発現できるポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決しようと鋭意研究するにあたって、前述の特許文献3〜6では長径が15μm以上の粗大突起しか見ておらず、他方前述の特許文献7では測定波長が580nmであるため高さが290nm以上の粗大突起しか見ておらず、それらで確認することができていない微小な粗大突起が影響しているのではないかと考えた。そこで、まずどのような粗大突起が影響するのか検討したところ、粗大突起については長径よりも高さが影響し、高さ130nmの粗大突起を800個/100cm以下にしたとき、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いても優れた電磁変換特性を発現できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、二軸配向ポリエステルフィルム層(F層)の少なくとも磁性層を形成する側の面に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が設けられた磁気記録媒体用支持体であって、F層の磁性層を形成する側の表面は、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起の数が、800個/100cm以下であること、M層の厚みが5〜130nmの範囲にあること、そして、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージに用いる磁気記録媒体用支持体が提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい磁気記録媒体用支持体の態様として、F層のポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであること、F層の磁性層を形成する側の表面が、表面粗さ(RaA)1〜5nmの範囲であること、F層の磁性層を形成しない側の表面が、表面粗さ(RaB)3〜10nmの範囲にあることの少なくともいずれか一つを具備する磁気記録媒体用支持体も提供される。
さらにまた、本発明によれば、本発明の磁気記録媒体用支持体と、その一方の表面に形成された磁性層とからなる記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージ、さらに磁性層が塗布によって形成され、記録方式がリニア記録方式であるデータストレージも提供される。
本発明の磁気記録媒体用支持体を用いれば、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージのベースフィルムに用いたときにエラーとなる微小な粗大突起までも低減されていることから、寸法安定性だけでなく、電磁変換特性にも優れたデータストレージを提供することができる。
以下、本発明について、詳述する。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、二軸配向ポリエステルフィルム層(F層)の少なくとも磁性層を形成する側の面に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が設けられている。本発明の磁気記録媒体用支持体の特徴の一つは、F層の磁性層を形成する側の表面は、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起の数が、800個/100cm以下ということにある。好ましい粗大突起数は600個/100cm以下、さらに500個/100cm以下である。このような小さな突起はこれまで問題とならなかったが、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージに用いると、このような小さな突起も問題となり、その問題を解消したのが本発明である。そのため、粗大突起数が上限を超えると、データストレージとしたときにエラーが多発してしまう。
ところで、このような粗大突起は、特許文献7に記載された粗大突起の測定と基本的な測定原理は同じで、特徴は波長260nmという非常に波長の短い光を用いたことにある。具体的には、フィルムを平坦な面に重ね合わせると、フィルムの表面に突起があることから両者の間に空間ができる。そして、そこに光を当てると、光の波長(λ:nm)に対して、λ/2になる間隔の部分は反射光が打ち消しあい、その結果、突起を中心に黒い点もしくは黒いリング状の模様が発現する。そのような観点から、理論的には、本発明における粗大突起は高さが130nm以上の高さを有する突起を意味する。なお、特許文献7では、測定するフィルム同士を重ね合わせて測定するが、波長260nmではポリエステル自体が光を吸収することから、平坦なガラスプレートなどに貼り付けて、ガラスプレート側から光を照射し、ガラスプレートと空間の境界と空間とフィルム表面の境界とで反射される反射光(ポリエステルフィルムを通過しない光)による干渉の縞を観察すればよい。
また、本発明の好ましい対応として、F層は、突起を中心に黒い点と黒いリング状の模様の両方もしくは突起を中心に複数の黒いリング状の模様が観察される極大突起数が100個/100cm以下、さらに80個/100cm以下であることが好ましい。なお、理論的には、本発明における極大突起は高さが260nm以上の高さを有する突起を意味する。
本発明におけるF層を構成するポリエステルは、フィルムへの製膜が可能なものであれば、それ自体公知のものを採用できる。例えば、ジオール成分と芳香族ジカルボン酸成分との重縮合によって得られる芳香族ポリエステルが好ましく、かかる芳香族ジカルボン酸成分として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸などの6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸が挙げられ、またジオール成分として、例えばエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。
これらの中でも、高温での加工時の寸法安定性の点からは、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするものが好ましく、特にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするものが好ましい。
また、より環境変化に対する寸法安定性を向上させる観点から、国際公開2008/096612号パンフレットに記載された6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分などを共重合したものも挙げられる。
ところで、本発明におけるポリエステルは、含有する不溶性粗大異物が、少ないことが好ましい。不溶性粗大異物を少なくするには、ポリエステルの製造に用いる芳香族ジカルボン酸成分やジオール成分を蒸留などの精製工程を繰り返して不純物を減らし、後述の重合工程で用いる触媒や安定剤として析出しにくい物を選択することなどが挙げられる。
本発明におけるポリエステルは、o-クロロフェノール中で35℃の雰囲気下で測定したときの固有粘度が、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜1.0dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満ではフィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方固有粘度が1.0dl/gを超える場合は重合時の生産性が低下する。
なお、本発明におけるポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分をさらに共重合、例えば繰り返し単位のモル数に対して10モル%以下、さらに5モル%以下の範囲で共重合していてもよいし、他の熱可塑性樹脂などを、例えば20重量%以下、さらに10重量%以下の範囲でブレンドしても良い。
ところで、本発明におけるF層は、上述のポリエステルから製造できるが、搬送や巻取りなどの特性を実用上問題ない範囲で維持しつつ、データストレージにしたときの電磁変換特性を高度に維持させる観点から、磁性層を形成する側の表面は、表面粗さ(RaA)が1〜5nmの範囲にあることが好ましい。好ましいRaAは、1〜4nm、さらに2〜4nmの範囲である。
このような表面粗さ(RaA)を具備させる観点から、磁性層を形成する側の表面を形成するポリエステルは、不活性粒子を含有しないか、含有するとしても、平均粒径0.05〜0.15μm、さらに0.07〜0.14μmの不活性粒子を、該表面を形成するポリエステルの重量を基準として、0.005〜0.2重量%、さらに0.007〜0.18重量%の範囲で含有することが好ましい。なお、ここでいう不活性粒子を含有しないとは、平均粒径0.05μm以上の不活性粒子の含有量が0.005重量%未満であることを意味する。
不活性粒子を含有させる場合、含有させる不活性粒子は粗大粒子を含まないか含有するとしても極めて含有量が少ない不活性粒子が好ましい。また、ポリエステル中で、一次粒子の大半が、一次粒子のままポリマー中に分散している単独分散型粒子が好ましい。このような粒子としては、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレンなどの有機高分子粒子および球状シリカなどが好ましく、特にシリコーン樹脂、架橋ポリスチレンおよび球状シリカが好ましい。もちろん、これらの不活性粒子を含有させる場合でも、さらに粗大粒子をなくすため、フィルターでのろ過を行ったり、分散剤で不活性粒子の表面を処理したり、押出機での混練を強化することが好ましい。
本発明におけるF層は、前述の表面粗さを有するものであれば特に制限されず、単層フィルムでも2層以上のポリエステル層からなる積層フィルムであっても良い。ただ、磁性層側が同じ表面粗さなら、より搬送性や巻取り性を向上させやすく、同じ搬送性や巻取り性なら、より磁性層側の表面粗さを平坦にすることができることから、2層以上のポリエステル層からなり、非磁性層側の表面粗さが磁性層側の表面粗さよりも1nm以上大きい積層フィルムが好ましい。
そのような観点から、磁性層を形成しない側のF層の表面は、表面粗さ(RaB)が磁性層側の表面粗さ(RaA)よりも1nm以上大きく、3〜10nmの範囲にあることが好ましい。好ましいRaBは、4〜9nm、さらに5〜9nmの範囲である。RaBが下限未満もしくはRaAよりも小さいと、搬送性や巻取り性の向上効果が発現されがたく、他方上限を超えると、磁性層側の表面を突き上げや転写によって粗くすることがある。
磁性層を形成しない側の表面に上述のような表面粗さを具備させるには、平均粒径が0.2〜0.5μm、さらに0.2〜0.4μmの不活性粒子(以下、不活性粒子Iと称することがある)を、該表面を形成するポリエステルの重量を基準として、0.01〜0.2重量%、さらに0.02〜0.2重量%の範囲で含有させることが好ましい。さらに、磁性層を形成しない側の表面は、平均粒径が0.05〜0.15μm、さらに0.06〜0.14μmの不活性粒子(以下、不活性粒子IIと称することがある)を、0.05〜0.3重量%、さらに0.06〜0.25重量%の範囲で含有することが好ましい。このような2種類以上の不活性粒子を併用することで、より搬送性と巻取り性を高めつつ、磁性層側の表面を平坦に維持しやすい。
上述の磁性層を形成しない側の表面に含有させる不活性粒子としては、ポリマー中で安定的に存在できるものであれば特に制限されず、それ自体公知のものを採用でき、好ましくは前述の磁性層を形成する側の表面で説明したのと同様な不活性粒子である。
つぎに、F層の製造方法について説明する。まず、本発明におけるポリエステルの製造方法は、例えば芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとをエステル化反応もしくはエステル交換反応させてポリエステルの前駆体を合成する第一反応と、該前駆体を重縮合反応させる第二反応とからなり、それ自体公知の方法を採用できる。前述のとおり、原料由来の異物を低減するために、芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコールなどの原料は、精製を繰り返して、異物を低減しておくのが好ましい。ここでの異物が多いと、後述のろ過によっても異物が取りきれず、粗大突起が増えてしまうことがある。
このように精製された原料は、前述の第一反応によってポリエステル前駆体となる。ここで重要なことは、このポリエステル前駆体を、第二反応を開始する前に、95%ろ過精度が10μm以下の第1フィルターでろ過を行ない、この段階でも不溶性粗大異物を減らすことであり、それによって後述の第二反応後のろ過で、さらに不溶性粗大異物量を減らしやすくなる。なお、第1フィルターでのろ過は一度に限定されず、必要であればさらにろ過を繰り返したり、フィルターを多重に使用しても良い。したがって、第一反応と第二反応の間で行なう第1フィルターのろ過精度は、フライスペック低減の観点からは小さいほど好ましく、95%ろ過精度がさらに8μm以下、さらに5μm以下であることが好ましい。一方、第1フィルターの95%ろ過精度の下限は特に制限されないが、小さくしていくとそれだけ詰まりやすく交換周期が短くなるので、生産性などの観点から3μm以上、さらに4μm以上であることが好ましい。また、第1フィルターは、金属繊維の不織布を積層した構造のもので、積層された金属不織布の空隙率は通常40〜80%の範囲にあることが、ろ過速度を維持しつつ、ろ過圧力に耐えられるので好ましい。なお、このような不溶性粗大異物量は、原料段階から極力減らすことが好ましいが、前述のとおり難しく、第一反応後のフィルターろ過によって取り除くことが、簡便で且つ極めて有効である。
さらに好ましい第一反応の条件について説明する。第一反応は、常圧下で行ってもよいが、0.05MPa〜0.5MPaの加圧下で行うことが反応速度をより速めやすいことから好ましい。また、第一反応の温度は、210℃〜270℃の範囲で行うことが好ましい。反応圧力を上記範囲内とすることで反応の進行を進みやすくしつつ、ジアルキレングリコールに代表される副生物の発生を抑制できる。このとき、アルキレングリコール成分は、第一反応を行う反応系に存在する酸成分に対し1.1〜6モル倍用いることが、反応速度及び樹脂の物性維持の点から好ましい。より好ましくは2〜5モル倍、さらに好ましくは3〜5モル倍である。
また、第一反応の反応速度をより早くするには、それ自体公知の触媒を用いることが好ましく、たとえばLi,Na,K,Mg,Ca,Mn、Co、Tiなどの金属成分を有する金属化合物が好ましく挙げられ、これらの中でも加圧下で行う場合は、反応の進みやすさの点からMnやTi化合物が好ましい。特にTi化合物は、さらに重縮合反応触媒としても使用でき、かつ触媒残渣の析出も少ないことから好ましい。本発明で用いるチタン化合物としては、触媒残渣の析出による不溶性粗大異物の発生を抑制する観点からポリエステル中に可溶な有機チタン化合物が好ましい。特に好ましいチタン化合物としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキシド、トリメリット酸チタンなどを好ましく例示できる。
添加する触媒量は、第一反応中に存在する全酸成分のモル数を基準として、金属元素換算で、10〜150ミリモル%の範囲にあることが好ましく、さらに20〜100ミリモル%、特に30〜70ミリモル%の範囲にあることが反応速度を促進しつつ、触媒起因の粗大不溶性異物の生成を抑制でき、さらに得られる共重合芳香族ポリエステルの耐熱性を高度に維持できることから好ましい。なお、チタン化合物を添加する場合の添加時期は、第一反応のエステル化反応開始時から存在するように添加し、前述のとおり、引き続き重縮合反応触媒として使用することが好ましい。もちろん、重縮合反応速度をコントロールする目的で2回以上に分けて添加してもよい。
つぎに、第一反応で得られた前駆体を重縮合反応させる第二反応について説明する。
本発明では、得られるポリエステルに、高度の熱安定性を付与させる目的で、第二反応における重縮合反応の開始以前に、反応系にリン化合物からなる熱安定剤を添加することが好ましい。具体的なリン化合物としては、化合物中にリン元素を有するものであれば特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸アンモニウム、トリエチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテートなどを挙げることができ、これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。なお、リン化合物の添加時期は、第一反応が実質的に終了してから第二反応である重縮合反応初期の間に行なうことが好ましく、添加は一度に行ってもよいし、2回以上に分割して行ってもよい。
ところで、重縮合反応の温度は270℃〜300℃の範囲で行い、重縮合反応中の圧力は50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。重縮合反応中の圧力が上限より高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステルを得ることが困難になる。重縮合触媒としては、それ自体公知のTi,Al,Sb,Geなどの金属化合物を好適に使用でき、それらの中でもエステル化反応時に添加されたチタン化合物を引き続き使用することが触媒残渣による不溶性粗大異物の発生を抑制できることから好ましい。
ところで、前述のとおり、さらに粗大突起を低減する観点から、重縮合反応によって得られる所望の分子量を有するポリエステルを、溶融状態で95%ろ過精度がさらに1.5μm以下の第2フィルターでろ過することがこのましい。このようなろ過により、前述の第一反応と第二反応の間で行なうろ過では取りきれなかった、またはその後に生成された不溶性粗大異物を取り除くことが出来る。好ましい第2フィルターの95%ろ過精度は、1μm以下であり、小さければ小さいほどフライスペックの点では好ましいが、生産性などの点から0.2μm以上、さらに0.3μm以上であることが好ましい。また、第2フィルターは、金属不織布メディアを積層した構造のもので、積層された金属不織布の空隙率は通常40〜80%の範囲にあることが、ろ過速度を維持しつつ、ろ過圧力に耐えられるので好ましい。
また、不活性粒子を含有させる方法については、前述のような粗大粒子の低減を行ったものを選択し、それをアルキレングリコールのスラリー状態として、さらにフィルターなどによって粗大粒子を低減し、それを重合工程で添加して粒子含有量が0.02〜1.0重量%の粒子含有マスターポリエステルを作成し、該マスターポリエステルを粒子を含有しないポリエステルで希釈するのが、不活性粒子の凝集による粗大突起を低減する上で好ましい。
このようにして得られるポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、核剤、を必要に応じて配合しても良いが、少なくとも磁性層を形成する側の表面に用いるポリエステルは、粗大突起を形成しやすい他の熱可塑性ポリマー、顔料、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などは含有させないことが好ましい。
本発明におけるF層は、データストレージのベースフィルムに用いることから、二軸配向フィルムである。二軸配向フィルムは、上述のポリエステルを溶融状態で押出し、二軸方向に延伸することで製造でき、製膜方法などはそれ自体公知のものを採用することができる。なお、前述の第2フィルターのろ過は、製膜直前であるほど、再凝集などによって後から生成される不溶性粗大異物の影響を低減できることから、製膜する際の溶融押出工程で用いるのが好ましい。
例えば、二軸配向積層ポリエステルフィルムで説明すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、不活性粒子を含有させたポリエステルBと、必要に応じて不活性粒子を含有させたポリエステルAとを、それぞれさらに前述のような高精度のフィルターでろ過したのち、溶融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造となし、次いで口金よりポリエステルの融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に共押出ししたのち、30〜70℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(縦方向または横方向)に(ポリエステルのガラス転移温度(Tg)−10)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
さらに、前記二軸配向フィルムは(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃で熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が付与される。その際、熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
このようにして得られたF層は、前述のとおり、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起の数を測定し、上限以下になるように原料や不活性粒子の精製を強化したり、各段階でのフィルターによるろ過を強化したりすることで、製造することができる。
そして、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起の数が前述の上限以下の表面にM層を設け、その上に磁性層を形成することで、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージとすることができ、そのときのエラーが非常に低減されたものとなる。なお、磁性層については、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起による影響を緩和しやすいことから、強磁性金属を含有する塗剤を塗布して形成する塗布型磁性層が好ましく、塗布型磁性層による走行性を利用できる観点から、記録方式がリニア記録方式であるデータストレージが好ましい。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、F層の少なくとも一方に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)を有する。M層を有することで、F層のみからなる磁気記録媒体用支持体に比べ、温湿度環境変化および荷重による寸法変化の好ましい範囲を両立することが容易となる。ここで、金属類とは、いわゆる単体金属、半金属、合金、金属間化合物を表し、具体的には、例えば単体金属ではMg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Pd、Ag、Sn、Pt、Au、Pb、半金属ではC、Si、Ge、Sb、Teなどが挙げられ、これらの金属の数種を混ぜ合わせて合金や金属間化合物としてもよい。また、金属系無機化合物としては、例えば、上記金属類の酸化物や窒化物、炭化物、ホウ化物、硫化物などを用いることができる。具体的には、例えば、CuO、ZnO、Al、SiO、Fe、Fe、AgO、TiO、MgO、SnO、ZrO、InOなどの酸化物、Si、TiN、ZrN、GaN、TaN、AlNなどの窒化物、TiC、WC、SiC、NbC、ZrC、FeCなどの炭化物が挙げられる。また、上記の金属系無機化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、もちろん複数種を混合して用いても構わない。中でも、M層を構成する金属材料は経済性の観点からアルミニウムや珪素を含むことが好ましい。
M層の形成方法としては物理蒸着法や化学蒸着法を用いることができる。物理蒸着法には真空蒸着法、スパッタリング法があり、真空蒸着法が一般的である。特にM層の結晶粒径を小さく緻密にするためには蒸着物の運動エネルギーを高める必要がある。そのため電子ビーム蒸着やスパッタリング法が好ましい。
M層の厚みは5〜130nmが好ましく、より好ましくは10〜120nm、最も好ましくは15〜110nmである。この範囲にすることでM層の金属の結晶粒径を細かくすることができ、補強効果の向上と、表面平滑性への悪影響がないなどの条件を満足し易いため好ましい。厚みが下限よりも薄い場合、M層の金属の結晶形成が不完全となるため、強度を増加させる効果が小さくなるため、本発明の寸法安定性向上の効果が小さくなることがある。他方上限よりも厚い場合はクラックや粒界ができやすく、磁気記録媒体の表面が粗くなって電磁変換特性が悪化したり、M層が製造工程や、走行を繰り返す際に剥離や脱落が起こり易く、生産性が低下することがある。なお、本発明によれば、高さが130nm以上の粗大突起が極めて低減されていることから、このように薄いM層にしても平坦性に優れるという利点も有する。
本発明の磁気記録媒体用支持体において、M層はF層の磁性層形成側にのみ設けても良いし、さらに両側に設けても良い。なお、磁気記録テープとしたときのカッピングやカールを抑制する観点から、F層の両側にM層を設けることが好ましい。また、上記好ましいM層の厚みは、F層の両面に設けた場合は、それぞれのM層が上記の範囲内にあることが好ましい。
本発明におけるF層は、M層と組み合わせて高密度磁気記録媒体の支持体として用いた際に優れた寸法安定性を発現するために、長手方向のヤング率が3〜10GPa、さらに3.5〜9GPa、特に4〜8GPaであることが好ましい。一方、幅方向のヤング率は、支持体としたときの温度膨張係数を前述の範囲とさせやすい観点から、4〜15GPa、さらに5〜14GPa、特に6〜13GPa、もっとも好ましくは7〜11GPaの範囲であることが好ましい。F層の幅方向のヤング率が下限未満では、支持体としたときの温度膨張係数をマイナス側にすることが困難となり、他方上限を超えると、支持体としたときの温度膨張係数が過度にマイナス側となってしまう。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、長手方向のヤング率は5〜20GPa、幅方向のヤング率は8〜20GPaであることが好ましい。支持体の長手方向のヤング率はさらに好ましくは5.5〜18GPa、特に好ましくは6.0〜15GPaである。長手方向のヤング率が下限未満の時には磁気記録媒体を使用する際に張力の変動があった際に長手方向に変形しやすくなり、結果として、ポアソン比による幅方向の寸法変化が引き起こされやすくなる。長手方向のヤング率が上限を超える際には、幅方向のヤング率を範囲内に維持することが困難となり、ヘッドとの接触状態を安定に保つのが困難となる。支持体の幅方向のさらに好ましいヤング率は9〜18GPa、特に好ましくは10〜16GPaである。支持体の幅方向のヤング率が下限未満の場合、磁気ヘッドとの接触状態が不安定化するため電磁変換特性が悪化しやすくなる。支持体の幅方向のヤング率が上限を超える場合には、上記の好ましい支持体長手方向のヤング率範囲を達成することが困難となる。
支持体の長手方向のヤング率(YMD)と幅方向のヤング率(YTD)の比、YMD/YTDは0.5〜1.0であることが、上述のヘッドとの安定接触と、張力変動による長手方向の変形抑制を両立できる点から好ましい。より好ましいYMD/YTDの範囲は0.55〜0.9、特に好ましくは0.6〜0.8である。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、その幅方向の温度膨張係数が、4ppm/℃以下〜−5ppm/℃以上の範囲にあることが好ましい。より好ましい磁気記録媒体用支持体の幅方向の温度膨張係数は、上限が3pm/℃以下であり、下限が−4ppm/℃以上、さらに−3ppm/℃以上である。一般的に磁気記録装置に用いられている磁気ヘッドの温度膨張係数は7ppm/℃前後である。支持体の幅方向の温度膨張係数が4pm/℃以上の場合には、磁気テープとしたときの幅方向の温度膨張が磁気ヘッドの温度膨張よりも大きくなりすぎるため、磁気データを記録・再生する環境が低温から高温に変化した際に、テープの幅方向に磁気ヘッドに対して相対的に膨張し、再生不良を起こしやすい。また、支持体幅方向の温度膨張係数が−5ppm/℃より小さい場合には、フィルムの温度膨張が磁気ヘッドの温度膨張よりも小さすぎるため、低温から高温に変化した際に、テープの幅方向に磁気ヘッドに対して相対的に収縮し、再生不良を起こしやすくなる。
このような幅方向の温度膨張係数は、M層の材質や厚み、さらにM層を設けるF層の幅方向の温度膨張係数とヤング率によって調整できる。具体的には、F層の幅方向の温度膨張係数は、その方向の分子鎖の配向を高めること、すなわち延伸倍率を高くすることなどによって小さく小さくすることができる。そして、M層はF層と比較して非常に大きな値のヤング率を有しており、また材質によっては大きな温度膨張係数を有することから、使用するF層の温度膨張係数がマイナスサイドにある場合は、温度膨張係数の大きなM層を使用したり、M層の厚みを厚くし、他方使用するF層の温度膨張係数がさほどマイナスサイドにない場合は、温度膨張係数の小さなM層を使用したり、M層の厚みを薄くするなど組合せによる最適化も可能である。
本発明の磁気記録媒体用支持体の磁性層を形成する側の表面は、表面粗さRa(m)が1〜5nmが好ましく、より好ましくは2〜4.5nmであることが好ましい。Ra(m)が5nmより大きい場合には、高密度磁気記録媒体として十分な電磁変換特性を得られない場合がある。また、Ra(m)が1nmより小さい場合には、搬送工程や、テープ走行中に、搬送不良のトラブルを引き起こしたり、走行面の突起が転写したり、走行中にゴミによる傷が付きやすくなったりする。このような磁気記録媒体用支持体の表面粗さは、F層の表面粗さやM層の厚さで制御することが可能である。Ra(m)を好ましい範囲に制御するためには、F層の一方の表面粗さは、1〜7nmが好ましく、より好ましくは、2〜5nmである。上記範囲を外れる場合には、搬送性不良、電磁変換特性の低下を招くことがある。M層の厚みは前記のとおりであり、厚みが厚いほど、表面が粗くなりやすい。
本発明の磁気記録媒体用支持体の磁性層を形成しない側の表面は、表面粗さRa(b)が3〜20nmが好ましく、より好ましくは4〜15nm特に好ましくは5〜12nmである。Ra(b)が20nmより大きい場合には、保存中に磁性面側へ転写が起こり、磁性面側の表面粗さが粗くなることがある。また、Ra(b)が3nmより小さい場合には、テープの走行性が低下し、ドライブ中で走行不良を引き起こすことがある。このような磁気記録媒体用支持体の磁性層を形成しない側の表面粗さは、M層を形成しない場合はF層の表面粗さであり、M層を形成する場合はM層を形成するF層の表面粗さやM層の厚さで制御することが可能である。Ra(b)を好ましい範囲に制御するためには、F層のもう一方の表面粗さは、5〜15nmが好ましく、より好ましくは、6〜10nmである。上記範囲を外れる場合には、搬送性不良、平面性の悪化を招くことがある。また、磁気記録媒体用支持体の磁性層を形成しない側の表面にM層を形成する場合の厚みは、前記の磁気記録媒体用支持体の磁性層を形成する側の表面でsつ瞑したのと同様なことが言え、厚みが厚いほど、表面が粗くなりやすい。
本発明の磁気記録媒体用支持体の全厚みは、2.0〜8μmが好ましい。より好ましくは2.5〜7μm、さらに好ましくは3〜6μm、特に好ましくは3.5〜5.5μmである。厚みが2.0μmより小さい場合は、テープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下する。厚みが7μmを超える場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になりやすい。そのような観点から、好ましいF層の厚みは、2〜8μmが好ましく、より好ましくは2.5〜7μm、さらに好ましくは3〜6μm、特に好ましくは3.5〜5.5μmである。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、高い寸法安定性を必要とする塗布型のデジタル記録方式の磁気記録テープの支持体として好ましく用いられる。中でも、データストレージ用高密度磁気記録用テープやデジタルビデオテープなどの支持体に特に適したものである。
本発明の磁気記録媒体用支持体を用いた磁気記録テープとしては、磁性層−非磁性層−支持体―バックコート層がこの順で積層されたものあることが好ましく、磁性層の表面をより高度に平坦にしやすいことから、非磁性層の厚みは0.9〜1.1μm、磁性層の厚みは0.05〜0.25μmの範囲にあることが好ましい。また、磁気記録テープの走行性を高度に発現させやすいことから、バックコート層の厚みは0.3〜0.7μmの範囲にあることが好ましい。特に本発明の効果の点からは、磁気記録テープ中に占めるコート層(磁性層、非磁性層、バックコート層など)の厚みの割合は、15〜35%、さらに22〜30%の範囲にあることが好ましい。コート層の厚みが下限未満では、非磁性層などの厚みが薄くなり、磁性層の平坦化向上効果が乏しくなりやすく、他方上限を超えると寸法安定性の向上効果が損なわれやすくなる。
以下、本発明の磁気記録媒体用支持体の製造方法について説明する。
まず、前述の方法で作成したF層にM層を設ける。なお、ここでは、真空蒸着法を用いたM層の製造方法の例を挙げる。
真空蒸着装置内に設置されたフィルム走行装置に、ポリエステルフィルムをセットし、真空蒸着を行う。1.00×10−5〜1.00×10−1Paの高真空で蒸着することが好ましい。0〜50℃の冷却金属ドラムを介して、走行させ、蒸着物を加熱蒸発させ、フィルムの両面に形成して巻取る。フィルム走行速度は、10〜200m/分が好ましく、より好ましくは、50〜150m/分である。走行速度が上記範囲を外れる場合には、M層の厚みを好ましい範囲に設定することが困難となったり、生産性が劣る場合がある。F層の両側にM層を設ける場合には、同一の真空層内に2つの加熱蒸着装置と冷却ドラムを設けて、1パスで両面を蒸着することが好ましいが、一度片面に蒸着を行ない、巻き取った後に、再びもう一方の面にM層を設ける2パスで行っても良い。2パスの場合は勿論であるが、1パスの場合でも、M層を設ける順序としては、磁性層側、バックコート層側とした方が、カッピングを抑制できるため好ましい。
さらに、上記の方法で磁気記録媒体支持体を作製した後、エージング処理を行うことが、クリープ変形を抑制し、寸法安定性を向上するために好ましい。処理温度は100〜120℃が好ましく、処理時間は10〜40時間が好ましく、より好ましくは、15〜20時間である。上記、エージング処理の好ましい条件のなかでも、処理温度が短い場合は処理時間を長くとる方が好ましいし、処理温度が比較的高めの場合には処理時間は短い方がよい。この温度と時間の両方に関係する処理条件は、示差走査熱量測定(DSC)によって得られる磁気記録媒体のエンタルピー緩和のピーク面積を指標として表すことができ、ピーク面積ΔHは、0.5J/g〜1J/gが好ましい。
エージング処理は、F層を作製した後、M層を設ける前に行うことも可能であるが、この場合、F層の長手方向の熱収縮率が低くなり、蒸着工程でキャンとの密着が低下して、表面が粗くなったり、オリゴマーがフィルム表面に析出して、蒸着工程トラブルを引き起こしやすい。このため、エージング処理は、M層を設けた後に行う方が好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明におけるポリエステル、ポリエステルフィルムおよびデータストレージの特性は、下記の方法で測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度は、前述のとおり、o-クロロフェノール、35℃で測定し、o−クロロフェノールでは均一に溶解するのが困難な場合は、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて35℃で測定して求めた。
(2)第1および第2フィルターのろ過精度
試験粉体のガラスビーズ(JIS−Z8901:2006記載)を蒸留水中に分散させ、フィルターろ過前後の粒度分布の変化を測定し、95%カット値を持ってろ過精度とする。
(3)粗大突起の数
フィルムサンプルをゴミなどが入らないように注意しつつ石英オプティカルフラットに重ね、オプティカルフラット側から260nm付近に最短波長ピークを有する水銀ランプを中心波長260nmのバンドパスフィルターを通して照射した。そして、UV−CDDカメラで干渉縞から観測される粗大突起の数を確認した。測定は、面積25cmについて行い、100cm当りの個数に換算した。
(4)中心面平均粗さ(Ra)
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetroProにより中心面平均粗さ(Ra)を求めた。
(5)不活性粒子の平均粒径
添加する不活性粒子の平均粒径は、JIS Z8823−1に準拠する遠心沈降法で得られる粒度分布から体積分率が50%になる点を平均粒径として算出した。
(6)ガラス転移点および融点
ガラス転移点、融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2100)により昇温速度20℃/minで測定した。
(7)ヤング率
得られたF層および磁気記録媒体支持体を試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(8)温度膨張係数(αt)
磁気記録媒体支持体を、幅方向が測定方向となるように幅4mmのサンプルを切り出し、チャック間長さ20mmとなるように、セイコーインスツル製TMA/SS6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、80℃で30分前処理し、その後室温まで降温させた。その後30℃から80℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出した。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5×10−6
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5×10−6/℃は石英ガラスの温度膨張係数(αt)である。
(9)湿度膨張係数(αh)
磁気記録媒体支持体を、幅方向が測定方向となるように幅5mmのサンプルを切り出し、チャック間長さ15mmとなるように、ブルカーAXS製TMA4000SAにセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度20%RHと湿度80%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数(αh)を算出した。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L80−L20)/(L20×△H)
ここで、上記式中のL20は20%RHのときのサンプル長(mm)、L80は80%RHのときのサンプル長(mm)、△H:60(=80−20)%RHである。
(10)磁気テープの寸法安定性
1m幅にスリットした支持体を、張力20kg/mで搬送させ、フィルムの平滑面側の表面に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層は磁性塗料で、塗布厚0.1μm、非磁性下層の厚みは1.0μmとした。)し、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対面に下記組成のバックコートを固形分の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理し、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、長さが850mで磁気記録容量が0.8TBのデータストレージカートリッジを作成した。
(非磁性塗料の組成)
・非磁性無機質粉末(α−酸化鉄:平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,BET比表面積:52m/g):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート):5重量部
・レシチン:1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm):2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
(磁性塗料の組成)
・磁性粉(戸田工業株式会社製、商品名:NF30x):100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体):10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート):5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック(平均粒子径:20nm):2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm):95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm):10重量部
・αアルミナ:0.1重量部
・変成ポリウレタン:20重量部
・変成塩化ビニル共重合体:30重量部
・シクロヘキサノン:200重量部
・メチルエチルケトン:300重量部
・トルエン:100重量部
上記、磁気テープを、恒温恒湿槽中に設置したフィルム走行装置にセットし、テープを走行させながら、下記の条件でテープの幅を測定した。
測定方法(イ) テープの幅方向熱膨張係数が7ppm/℃以上の場合
(A)張力を0.85Nに変更し、温湿度条件を、10℃10%RHに変更し(設定条件までは1時間で到達)、10℃10%RH条件で23時間保持した。テープ幅は温度変更開始後3時間(放置後2時間)の時点で観測した。
(B)次に、張力を0.55Nに変更し、湿度条件を、30℃80%RHに変更し(設定条件までは1時間で到達)、同様に23時間保持した。テープ幅は温度変更開始後3時間(放置後2時間)の時点で観測した。
(C)上記(A)→(B)→(A)→(B)→(A)→(B)と工程を連続して繰り返し行ない、それぞれテープ幅を測定した。
上記の6点の中でのテープ幅の最大値と最小値の差を、12.65(mm)で割り、ppm単位に変換(1,000,000倍する)し、さらに磁気ヘッドの温度変化分7ppm/℃に測定温度差(30−10=20℃)を乗じた数値である140ppmを減じたものを、テープの相対的な幅変化とした。
測定方法(ロ) テープの幅方向温度膨張係数が7ppm/℃未満の場合
上記測定方法(イ)の(A)の温湿度条件を45℃10%RH、B)の温湿度条件を10℃80%RH とし、磁気ヘッドの温度変化分7ppm/℃に測定温度差(45−10=35℃)を乗じた数値である245ppmを加算したものをテープの相対的な寸法変化量とした。
そして、上記(イ)もしくは(ロ)の評価で得られた相対的な寸法変化量を寸法安定性とした。なお、寸法安定性は、小さいほど良好であることを意味する。
(11)ドロップアウト(DO)
上記(10)で作成されたデータストレージカートリッジを、IBM社製LTO4ドライブ(記録ヘッドはインダクティブヘッド、再生ヘッドはMRヘッドを搭載)に装填してデータ信号を14GB記録し、それを再生した。平均信号振幅に対して50%以下の振幅(P−P値)の信号をミッシングパルスとし、4個以上連続したミッシングパルスをドロップアウトとして検出した。なお、ドロップアウトは850m長1巻を評価し、1m当たりの個数に換算した。ドロップアウトは、少ないほど優れた特性であることを意味する。
[参考例1]樹脂1の作成
蒸留による精製を繰り返した2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルとエチレングリコールとをそれぞれ100部と70部用意し、それらを攪拌機、精留塔、冷却器を供えた反応槽に仕込み、150℃まで昇温した。その後、トリメリット酸チタンをTi元素量として、全ジカルボン酸成分のモル数に対して7mmol%となるように添加し、反応槽全体を窒素により0.25MPaの圧力下で加熱して、反応槽内部温度を240℃に昇温した。反応の進行に従い、圧力一定のまま内温を250℃まで上げた。その後、反応槽内の圧力を常圧にゆっくりと戻し、トリメチルホスフェートをリン元素量で、全ジカルボン酸成分のモル数に対して12mmol%となるように添加し、余剰のエチレングリコールを追い出して、エステル交換反応を終了させた。
得られた反応生成物を重合反応槽へと移送した。このとき、移送途中で95%ろ過精度5μmの金属繊維製のフィルターを通してろ過した。重合反応槽では250℃からゆっくりと昇温しながら、また減圧させながら重縮合反応を行い、最終的に290℃、30Paで所定の重合度になるまで重縮合を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.6dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
[参考例2]樹脂2の作成
蒸留による精製を繰り返した2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルとエチレングリコールとをそれぞれ100部と70部用意し、それらを攪拌機、精留塔、冷却器を供えた反応槽に仕込み、150℃まで昇温した。その後、トリメリット酸チタンをTi元素量として、全ジカルボン酸成分のモル数に対して3mmol%となるように添加し、反応槽全体を窒素により0.25MPaの圧力下で加熱して、反応槽内部温度を240℃に昇温した。反応の進行に従い、圧力一定のまま内温を250℃まで上げた。その後、反応槽内の圧力を常圧にゆっくりと戻し、トリメチルホスフェートをリン元素量で、全ジカルボン酸成分のモル数に対して7mmol%となるように添加し、余剰のエチレングリコールを追い出して、エステル交換反応を終了させた。
得られた反応生成物を重合反応槽へと移送した。このとき、移送途中で95%ろ過精度5μmの金属繊維製のフィルターを通してろ過した。重合反応槽では250℃からゆっくりと昇温しながら、また減圧させながら重縮合反応を行い、最終的に290℃、30Paで所定の重合度になるまで重縮合を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.6dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。
[参考例3]樹脂3の作成
平均粒径が0.1μmで相対標準偏差が0.13のアルコキシド法で作成した真球状シリカ粒子を、エチレングリコールに10重量%となるように添加して、100℃で20分間過熱したのち、95%ろ過精度5μmの金属繊維製のフィルターを通過するように循環させて、真球状シリカ粒子の含有量が10重量%のエチレングリコールスラリーを作成した。そして、このエチレングリコールスラリーを、エステル交換反応の段階で、真球状シリカ粒子の含有量が、得られるポリエステルの重量に対して、0.5重量%となるように添加したほかは、参考例1と同様な操作を繰り返して、樹脂3を作成した。
[参考例4]樹脂4の作成
平均粒径が0.1μmで相対標準偏差が0.13のアルコキシド法で作成した真球状シリカ粒子を、エチレングリコールに10重量%となるように添加して、100℃で20分間過熱したのち、95%ろ過精度5μmの金属繊維製のフィルターを通過するように循環させて、真球状シリカ粒子の含有量が10重量%のエチレングリコールスラリーを作成した。そして、このエチレングリコールスラリーを、エステル交換反応の段階で、真球状シリカ粒子の含有量が、得られるポリエステルの重量に対して、0.5重量%となるように添加したほかは、参考例2と同様な操作を繰り返して、樹脂4を作成した。
[参考例5]樹脂5の作成
真球状シリカ粒子を、平均粒径が0.3μmで相対標準偏差が0.12の真球状シリカ粒子に変更したほかは、参考例3と同様な操作を繰り返して、樹脂5を作成した。
[参考例6]樹脂6の作成
真球状シリカ粒子を、平均粒径が0.3μmで相対標準偏差が0.12の真球状シリカ粒子に変更したほかは、参考例4と同様な操作を繰り返して、樹脂6を作成した。
[参考例7]樹脂7の作成
真球状シリカ粒子の変わりに、平均粒径が0.1μmで相対標準偏差が0.19のシリコーン粒子を用いたほかは、参考例3と同様な操作を繰り返して、樹脂7を作成した。
[参考例8]樹脂8の作成
真球状シリカ粒子の変わりに、平均粒径が0.08μmで相対標準偏差が0.18の架橋ポリスチレン粒子を用いたほかは、参考例4と同様な操作を繰り返して、樹脂8を作成した。
[参考例9]樹脂9の作成
参考例1において、金属繊維製のフィルターを95%ろ過精度10μmのものに変更したほかは、同様な操作を繰り返して、樹脂9を作成した。
[参考例10]樹脂10の作成
参考例2において、金属繊維製のフィルターを95%ろ過精度10μmのものに変更したほかは、同様な操作を繰り返して、樹脂10を作成した。
[実施例1]
A層用ポリマーとして樹脂1と3とを表1の不活性粒子の割合になるように用意し、また、B層用のポリマーとして樹脂1と3と5とを表1の不活性粒子の割合になるように用意し、それぞれ、170℃で6時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度310℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてA層の片側にB層を積層させて積層未延伸フィルムを得た。なお、A層用のポリマーとB層用のポリマーは、溶融状態にした後、ダイに供給する前に、それぞれ95%ろ過精度が1μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)でろ過した。
このようにして得られた積層未延伸フィルムを120℃に予熱し、さらに低速、高速のロール間でフィルムを130℃に加熱して4.8倍に延伸し後、急冷し、縦延伸フィルムを得た。
続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に5.1倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを200℃の熱風で3秒間熱固定しつつ横方向に10%延伸を行い、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムのヤング率は縦方向5.8GPa、横方向8.8GPaであった。
上記の方法で作成した二軸延伸フィルムの両面に、以下の方法で、M層を設けた。まず、真空蒸着装置内に設置されたフィルム走行装置に、得られた二軸延伸フィルムをセットし、1.00×10−3Paの高真空にした後に、20℃の冷却金属ドラムを介して走行させた。このとき、酸素ガスを導入しつつアルミを電子ビームで加熱蒸発させ、アルミナの強化膜層(M層:厚み100nm)を形成し、さらに連続で、反対側の面に同様にして強化膜層を形成し、磁気記録媒体用支持体を作成した。
得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例2および3]
表1の不活性粒子の量となるように、それぞれ上記参考例で作成した樹脂の割合を変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例4]
樹脂3の代わりに、表1に示す不活性粒子の割合となるように樹脂7を用いたほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、A層用のポリマーとB層用のポリマーとをダイの手前でろ過するフィルターを、それぞれ95%ろ過精度が0.7μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)に変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、A層用のポリマーとB層用のポリマーとをダイの手前でろ過するフィルターを、それぞれ95%ろ過精度が1.2μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)に変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、A層用のポリマーを樹脂1のみに変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例8、9、比較例3,4]
実施例1において、表1に示すとおり、アルミナの強化膜層の厚みを変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例10]
実施例1において、蒸着源を酸化ケイ素に変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[実施例11]
実施例1において、真空蒸着装置内に酸素ガスを導入しなかったほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、A層用のポリマーとB層用のポリマーとをダイの手前でろ過するフィルターを、それぞれ95%ろ過精度が1.5μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)に変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、A層およびB層用のポリマーとして用いた樹脂1の代わりに、樹脂9を用い、またA層用のポリマーとB層用のポリマーとをダイの手前でろ過するフィルターを、それぞれ95%ろ過精度が1.5μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)に変更したほかは、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
[比較例5]
実施例1において、強化膜層を形成しなかった以外は、同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表1に示す。
Figure 2010250910
表1中の、樹脂種は、1〜10がそれぞれ参考例1〜10の樹脂1〜10、粗大突起数は上記(3)の測定で得た高さ130nm以上の突起の数、超粗大突起数は、波長260nmの上記(3)の測定で得た高さ260nm以上の突起の数を意味する。
[実施例12]
A層用ポリマーとして樹脂2と4を表2の不活性粒子の割合になるように用意し、また、B層用のポリマーとして樹脂2と4と6とを表2の不活性粒子の割合になるように用意し、それぞれ、150℃で3時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度250℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてA層の片側にB層を積層させて積層未延伸フィルムを得た。なお、A層用のポリマーとB層用のポリマーは、溶融状態にした後、ダイに供給する前に、それぞれ95%ろ過精度が1μmのフィルター金属繊維製の(第2フィルター)でろ過した。
このようにして得られた積層未延伸フィルムを100℃に予熱し、さらに低速、高速のロール間でフィルムを110℃に加熱して3.5倍に延伸し後、急冷し、縦延伸フィルムを得た。
続いてステンターに供給し、105℃にて横方向に4.6倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを210℃の熱風で3秒間熱固定しつつ横方向に5%延伸を行い、厚み4.5μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムのヤング率は縦方向4.4GPa、横方向6.1GPaであった。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表2に示す。
[実施例13および14]
表2の不活性粒子の量となるように、それぞれ上記参考例で作成した樹脂の割合を変更したほかは、実施例12と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表2に示す。
[実施例15]
樹脂4の代わりに、表1に示す不活性粒子の割合となるように樹脂8を用いたほかは、実施例8と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表2に示す。
[実施例16]
実施例12において、A層用のポリマーとB層用のポリマーとをダイの手前でろ過するフィルターを、それぞれ95%ろ過精度が0.7μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)に変更したほかは、実施例12と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表2に示す。
[実施例17]
実施例12において、A層用のポリマーとB層用のポリマーとをダイの手前でろ過するフィルターを、それぞれ95%ろ過精度が1.2μmの金属繊維製のフィルター(第2フィルター)に変更したほかは、実施例12と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表2に示す。
[実施例18]
実施例12において、A層用のポリマーを樹脂2のみに変更したほかは、実施例12と同様な操作を繰り返した。得られた磁気記録媒体用支持体の特性を表2に示す。
Figure 2010250910
表2中の、樹脂種は、1〜10がそれぞれ参考例1〜10の樹脂1〜10、粗大突起数は上記(3)の測定で得た高さ130nm以上の突起の数、超粗大突起数は、波長260nmの上記(3)の測定で得た高さ260nm以上の突起の数を意味する。
本発明の磁気記録媒体用支持体は、記憶容量が0.8TB以上の、特にリニア記録方式のデータストレージのベースフィルムとして好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 二軸配向ポリエステルフィルム層(F層)の少なくとも磁性層を形成する側の面に金属類または金属系無機化合物からなる層(M層)が設けられた磁気記録媒体用支持体であって、F層の磁性層を形成する側の表面は、波長260nmの光の干渉によって測定される粗大突起の数が、800個/100cm以下であること、M層の厚みが5〜130nmの範囲にあること、そして、記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージに用いることを特徴とする磁気記録媒体用支持体。
  2. F層のポリエステルが、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである請求項1記載の磁気記録媒体用支持体。
  3. F層の磁性層を形成する側の表面が、表面粗さ(RaA)1〜5nmの範囲である請求項1記載の磁気記録媒体用支持体。
  4. F層の磁性層を形成しない側の表面が、表面粗さ(RaB)3〜10nmの範囲にある請求項3記載の磁気記録媒体用支持体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用支持体と、その一方の表面に形成された磁性層とからなる記憶容量が0.8TB以上であるデータストレージ。
  6. 磁性層が塗布によって形成され、記録方式がリニア記録方式である請求項5記載のデータストレージ。
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