JP2010248769A - 締結具、コンクリート母材への取付物の取付施工法、締結部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】充填材注入用の注入孔11cを有するボルト11と、ナット12と、エア抜き溝13aが形成された一対のワッシャ13とを具備する締結具10、これを使用してコンクリート高欄1にキャップ2を締結固定する締結工程の後にボルト11の注入孔11cを介して連通貫通孔4内に充填材5を充填する充填材注入工程とを具備する取付施工法、これによって得られる締結部構造を提供する。
【選択図】図1
Description
この工法においては、図11(a)、(b)、図12に示すように、コンクリート高欄110に水平方向に貫設された貫通孔111及びコンクリート高欄110に固定する被固定物120に形成されたボルト挿通孔121に前記貫通ボルト130の軸部131を通し、この貫通ボルト130の軸部131の前記被固定物120から突出させた先端部(軸部131の片端の頭部132とは反対側の端部)から貫通ボルト130の軸部131に螺着したナット140の締め付けによって、コンクリート高欄110に被固定物120を締結固定する。図11(a)、(b)、図12に示す被固定物120は、具体的には断面コ字状の金属製長尺部材であるキャップであり、前記ボルト挿通孔121は、キャップの天板部120aの両側から互いに平行に延出するように設けられた一対の側板部120bにそれぞれ貫設されている。
なお、連通貫通孔150に充填材160を充填する充填作業は、貫通ボルト130の頭部132によって連通貫通孔150の片端を塞ぎ、連通貫通孔150の前記貫通ボルト130の頭部132とは反対側の端部を開放しておき、この開放された端部から連通貫通孔150内に配管170を挿入して充填材160を充填する。
また、貫通ボルト130の軸部131の連通貫通孔150から突出された先端側部分のねじ部の溝に充填材が入り込みやすく、これがナット140の締め付け作業の障害になり締め付け作業の作業性が低下するといった不満があった。
第1の発明は、壁状あるいは柱状のコンクリート母材を水平方向に貫通する母材貫通孔と前記コンクリート母材に取り付ける取付物に貫設されたボルト挿通孔とが連通されてなる連通貫通孔に通して前記コンクリート母材及び前記取付物に貫通配置されるボルトと、このボルトの前記連通貫通孔から突出させた部分に螺着されるナットと、前記ボルトの前記連通貫通孔の両端から突出させた部分にそれぞれ外挿され前記ナットの締め付け力によって前記コンクリート母材、前記取付物に押し付けられるワッシャとを備え、前記ボルトには、前記連通貫通孔内に液状の充填材を注入するための注入孔が穿設されており、前記注入孔は前記ボルトの前記連通貫通孔に挿通したときに前記連通貫通孔から突出される部分に開口する充填材入口、及び前記ボルトの外周面に開口され前記ボルトを前記連通貫通孔に挿通したときに前記連通貫通孔内に配置される充填材出口とを有し、前記ワッシャには、その片面に、該ワッシャの半径方向に沿って延在し当該ワッシャの外周面に開口する溝であり前記連通貫通孔内への充填材の注入に伴う前記連通貫通孔内のエアの排出のためのエア抜き溝、あるいは前記エアの排出のために該ワッシャの半径方向に沿って延在するスリットが形成されていることを特徴とする締結具を提供する。
第2の発明は、前記ボルトの前記連通貫通孔に挿通したときに前記連通貫通孔から突出される部分に、該ボルトの軸心方向中央部の外周面における前記注入孔の開口部である充填材出口の当該ボルトの軸回り方向の位置を示すマーキングが設けられていることを特徴とする第1の発明の締結具を提供する。
第3の発明は、前記ボルトが軸部の片端に頭部を有する構成であり、前記注入孔は前記ボルトの前記頭部あるいは前記軸部の先端に開口する充填材入口を有することを特徴とする第1又は2の発明の締結具を提供する。
第4の発明は、前記ボルトがその長手方向全長にわたって棒状に構成されたものであり、前記ナットを複数備えることを特徴とする第1又は2の発明の締結具を提供する。
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明の締結具を用いて壁状あるいは柱状のコンクリート母材への取付物の取り付け、及び締結部の一体化を図るために行う取付施工法であって、前記コンクリート母材を水平方向に貫通する母材貫通孔と前記コンクリート母材に取り付ける取付物に貫設されたボルト挿通孔とが連通されてなる連通貫通孔に前記ボルトを挿通して、該ボルトの外周面における前記注入孔の開口部である充填材出口を前記連通貫通孔内に配置し、前記ボルトに螺着された前記ナットの締め付けによって、前記ボルトの前記連通貫通孔の両端から突出させた部分にそれぞれ外挿しておいた前記ワッシャの間にて前記コンクリート母材と前記取付物とを締結するとともに、前記ボルトをその前記充填材出口が該ボルトの下部に位置する向き、前記ワッシャをその外周における前記エア抜き溝あるいは前記スリットの開口部が該ワッシャの上部に位置する向きで静止させる締結工程と、この締結工程の後、前記ボルトの軸心方向片端に開口する前記注入孔の開口部である充填材入口から前記注入孔を介して前記連通貫通孔内に前記充填材を注入する充填材注入工程とを具備することを特徴とするコンクリート母材への取付物の取付施工法を提供する。
第6の発明は、前記締結工程において、前記コンクリート母材と前記取付物との間にシール材を介在配置し、前記連通貫通孔を、前記コンクリート母材の前記母材貫通孔と前記取付物の前記ボルト挿通孔との間に、前記シール材によって取り囲まれ前記母材貫通孔と前記ボルト貫通孔とに連通する連通部が確保された構成とした状態で、前記ナットの締め付けを行うことを特徴とする第5の発明のコンクリート母材への取付物の取付施工法を提供する。
第7の発明は、第1〜4のいずれかの発明の締結具を用いて壁状あるいは柱状のコンクリート母材に取付物を締結した締結部の構造であって、前記コンクリート母材を水平方向に貫通する母材貫通孔と前記コンクリート母材に取り付ける取付物に貫設されたボルト挿通孔とが連通されてなる連通貫通孔に前記ボルトが挿通され、該ボルトの外周面における前記注入孔の開口部である充填材出口が前記連通貫通孔内に配置され、前記ボルトに螺着された前記ナットの締め付けによって、前記ボルトの前記連通貫通孔の両端から突出させた部分にそれぞれ外挿しておいた前記ワッシャの間にて前記コンクリート母材と前記取付物とが締結され、前記ボルトがその前記充填材出口が該ボルトの下部に位置する向き、前記ワッシャがその外周における前記エア抜き溝あるいは前記スリットの開口部が該ワッシャの上部に位置する向きで設けられていることを特徴とする締結部構造を提供する。
第8の発明は、さらに、前記連通貫通孔内を埋め込む充填材を具備することを特徴とする第7の発明の締結部構造を提供する。
このため、本発明によれば、コンクリート母材に取付物を取り付ける取り付け作業の完了後に、ボルトの注入孔を利用して、連通貫通孔内への充填材の充填を行うことが可能である。しかも、ワッシャのエア抜き溝によって、前記連通貫通孔内への充填材の注入に伴う前記連通貫通孔内のエアを排出できる。このため、連通貫通孔の内部全体を充填材で埋め込むことを容易に実現できる。また、充填材注入用の配管を使用する従来技術に比べて、充填材中のエア溜まりの発生や気泡混入も容易に抑えることができる。
さらに、従来技術のように貫通ボルトの軸部の連通貫通孔から突出された先端側部分のねじ部の溝に充填材が入り込んでナットの締め付け作業の障害になり締め付け作業の作業性が低下するといった不都合が発生しないため、ナットの締め付け作業に良好な作業性を確保できる。
図1(a)、(b)は、本発明にかかる1実施形態の締結具10、取付施工法を説明する図であって、具体的には、図5に示すように、鉄道、道路のコンクリート高欄1(壁状のコンクリート母材)へのキャップ2(取付物)の取り付けに本発明を適用した実施形態を説明するものである。図1(a)、(b)は、図5において、前記締結具10によってコンクリート高欄1にキャップ2を締結固定した箇所である締結部3付近を拡大して示す断面図となっている。
なお、図1(a)、(b)、図5において、上側を上、下側を下として説明する。また、後述する図6(a)、図7、図9においても、上側を上、下側を下として説明する。
前記ボルト11は、ねじ山が形成されている軸部11aの片端(軸心方向片端)にフランジ状に張り出すように突設された頭部11bを有している(以下、頭部付きボルトとも言う)。図示例のボルト11は具体的には六角ボルトであり、前記頭部11bはその外周形状が六角形をなし、その全体が、ボルト11の軸回り方向の向き調整や、ナット12の締め付け時のボルト11の回転の規制等のために、スパナ等の手工具を係合するための工具係合部として機能する。
前記ナット12は、前記ボルト11の軸部11aに、該軸部11aの先端(頭部11bとは反対側の端部)からねじ込んで軸部11aに螺着できるものである。
前記ワッシャ13は、ボルト11の軸部11aに外挿可能なリング状の板状部品である。
図示例の連通貫通孔4の長さ(全長)は、コンクリート高欄1の貫通孔1a、キャップ2の一対のボルト挿通孔2c、2つの連通部4aの長さの合計である。
前記ワッシャ13としては、その外径が、前記キャップ2のボルト挿通孔2cの内径よりも大きいものを用いる。
前記注入孔11cの充填材出口11eは連通貫通孔4の長手方向中央部に配置されることがより好ましい。この点、ボルト11としては、軸部11aの長手方向(軸心方向)における前記注入孔11cの充填材出口11eと頭部11bとの間の距離が、締結具を用いた固定施工を行う対象のコンクリート母材(ここではコンクリート高欄1)の貫通孔1aと取付物(ここではキャップ2)のボルト挿通孔2cとが互いに連通してなる連通貫通孔4の長さに対応して、前記連通貫通孔4の長さの半分程度になっているものを用いることが好ましい。
このエア抜き溝13aは、ワッシャ13の片面に該ワッシャ13の半径方向に沿って延在形成されている。このエア抜き溝13aの延在方向一端は、リング状のワッシャ13内周面に開口し、延在方向他端はワッシャ13の外周面に開口している。
ナット12の締め付けが完了したときには、一対のワッシャ13がそれぞれキャップ2(詳細には側板部2bのコンクリート高欄1とは反対側の面におけるボルト挿通孔2cの口縁部)に押し付けられた状態となる。その結果、一対のワッシャ13、ボルト11の頭部11b、ナット12によって連通貫通孔4の長手方向両端が塞がれた状態となる。
連通貫通孔4の長手方向におけるボルト11の注入孔11cの充填材出口11eの位置は、連通貫通孔4の長手方向中央部であることがより好ましい。充填材出口11eを連通貫通孔4の長手方向中央部に配置した場合は、連通貫通孔4の両端に配置されたワッシャ13のエア抜き溝13aから充填材出口11eまでの距離が略同等となるため、未充填箇所の発生をより確実に防ぐ点で有利である。
前記マーキング11iは、必ずしも、ボルト11の両端(頭部11b及び軸部11aの先端部)に設ける必要は無く、ボルト11の片端にのみ設けるようにしても良い。
また、前記マーキング111は、ここでは着色であるが、この他、例えばボルト11の両端又は片端に形成した溝、凹所、突起などであっても良い。
さらに、従来技術のように貫通ボルトの軸部の連通貫通孔から突出された先端側部分のねじ部の溝に充填材が入り込んでナットの締め付け作業の障害になり締め付け作業の作業性が低下するといった不都合が発生しないため、ナットの締め付け作業に良好な作業性を確保できることも言うまでも無い。
例えば、図6(a)、(b)は、本発明に係る締結具10、これを用いた取付施工法を適用して、コンクリート高欄1に、遮音壁等を設けるための支柱7(取付物)を固定施工した状態を示す。図中、符号31は、締結具10を用いてコンクリート高欄1に支柱1を締結固定した締結箇所である締結部を示す。
なお、図6(b)において、充填材の図示は省略している。
図6(a)、(b)の場合、締結具10のボルト11(詳細にはその軸部11a)は、コンクリート高欄1に水平方向に貫設された貫通孔1aと、前記支柱7の前記コンクリート高欄1に押し当てられたフランジ72aに貫設されたボルト挿通孔73とを互いに連通させてなる連通貫通孔41に通されている。そして、締結具10は、ボルト11の軸部11aの前記連通貫通孔41から突出させた先端側に螺着したナット12の締め付けによって、支柱7をコンクリート高欄1に固定している。
例えば、ボルト11の充填材出口11eが連通貫通孔41内にてボルト11の軸部11aの下部に位置すること、一対のワッシャ13の外周面におけるエア抜き溝13aの開口部がワッシャ13の上部に位置することは、図1(a)、(b)等を参照して説明した締結部と同様である。
図7の場合、締結具10のボルト11(詳細にはその軸部11a)は、一対のコンクリート壁体8のそれぞれに水平方向に貫設された貫通孔8aと、前記クッション材9を貫通しクッション材9の両側のコンクリート壁体8の貫通孔8aに連通する連通孔9a(連通部)とからなる連通貫通孔42に通されている。そして、締結具10は、ボルト11の軸部11aの前記連通貫通孔42から突出させた先端側に螺着したナット12の締め付けによって、一対のコンクリート壁体8を締結している。
なお、図7の構成においては、一方のコンクリート壁体8の貫通孔8aを母材貫通孔、他方のコンクリート壁体8の貫通孔8aをボルト挿通孔と見なすことができる。
例えば、ボルト11の充填材出口11eが連通貫通孔41内にてボルト11の軸部11aの下部に位置すること、一対のワッシャ13の外周面におけるエア抜き溝13aの開口部がワッシャ13の上部に位置することは、図1(a)、(b)等を参照して説明した締結部3と同様である。
この充填材硬化物51としては、一対のコンクリート壁体8の間の相対変位に鑑みて、硬化後も軟質のものが好ましい。この点、例えば、ボルト11の注入孔11cを介して連通貫通孔42内に充填した液状樹脂材料の硬化によって得られるゴム系樹脂などの軟質な樹脂等が好適である。
図8(a)、(b)に示すボルト11Aは、注入孔11mの具体的構成が、既述の図3(a)、(b)等を参照して説明したボルト11と異なる。注入孔11m以外の構成は既述のボルト11と同様である。このボルト11Aが軸部11aと頭部11bとを具備する構成であることは、既述のボルト11と同様である。
図示例のボルト11Aにおいて、前記注入孔11mは、具体的には、前記充填材入口11nから前記ボルト11Aの軸心(軸部11aの軸心も一致)に沿ってボルト11Aの軸心方向中央部まで延在する導入側孔部11pと、この導入側孔部11pの前記充填材入口11nとは反対側に位置する端部(奥端)から該導入側孔部11nに垂直に延在する出口側孔部11qとを具備する構成になっている。前記出口側孔部11qの前記導入側孔部11pとは反対側の端部、すなわち前記軸部11aの外周面に開口する端部が前記充填材出口11oである。
前記マーキング11sは、必ずしも、ボルト11Aの両端(頭部11b及び軸部11aの先端部)に設ける必要は無く、ボルト11Aの片端にのみ設けるようにしても良い。
前記マーキング11sは、ここでは着色であるが、この他、例えばボルト11Aの両端又は片端に形成した溝、凹所、突起などであっても良い。
また、充填材入口11nを図3(b)に例示した円形のものではなく例えばキー溝状の拡張部を有する構成として、充填材入口自体を、充填材出口11oの前記ボルト11Aの軸回り方向における位置を示すマーキングとして機能させることが可能な構成としたものも採用可能である
図示例の締結具20は、図2等を参照して説明した既述の締結具10のボルト11にかえて、その全長が棒状に形成されているボルト21(頭部無しボルト)と、このボルト21に螺着可能な一対のナット22(区別のため、一方のナット22に符号221、他方のナット22に符号222を付記する)と、前記ボルト21に外挿可能な一対のワッシャ13とを具備する構成になっている。
なお、図示例の締結具20は、さらに、ボルト21に螺着したナット22の緩みを防止する緩み止めナット23を具備する構成となっているが、この緩み止めナット23を具備することは必須ではない。
図9(a)、(b)において、符号33は、前記締結具20を用いてコンクリート高欄1にキャップ2を締結固定した箇所である締結部を示す。
前記締結具20を用いて前記コンクリート高欄1の上部に被せるように設けられた前記キャップ2のコンクリート高欄1への締結固定、及び締結部の一体化を行う(取付施工法を行う)には、まず、図9(a)に示すように、前記締結具20を用いて前記キャップ2をコンクリート高欄1に締結固定する締結工程を行い、次いで、前記ボルト21の注入孔21cを介して前記連通貫通孔4内に前記充填材5を注入して充填する充填材注入工程を行う。
前記マーキング21iは、必ずしも、ボルト21の両端部に設ける必要は無く、ボルト21の片端にのみ設けるようにしても良い。
また、前記マーキング21iは、ここでは着色であるが、この他、例えばボルト21の両端又は片端に形成した溝、凹所、突起などであっても良い。
これにより、既述の図1(b)を参照して説明したように、頭部付きボルトであるボルト11を具備する締結具10を用いた取付施工法(固定施工法)の場合と同様に連通貫通孔4の内部全体に充填材5を充填することができる。連通貫通孔4内に充填した充填材5が硬化することで連通貫通孔4を埋め込んだ状態を安定に維持され、連通貫通孔4内の浸水を防ぐことができる。
例えば、図1(a)、(b)、図2、図3(a)、図8等では、ボルト11、11Aとして、その軸部1aの先端から軸部11aの長さの3分の1程度の範囲にねじ山11a1が形成され、軸部11aのねじ山11a1が形成されていない箇所に、前記充填材出口11eが設けられている構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、軸部1aの長手方向全長にねじ山11a1が形成されている構成としても良い。
頭部付きボルト11の頭部は、該ボルト11の軸回り方向の向き調整や、ナット12の締め付け時のボルト11の回転の規制等のために工具を係合する工具係合部を具備するものであれば良く、工具を係合するためにその外周形状が六角形になっているものに限定されず、例えば、工具係合部として六角穴、四角穴等の工具係合穴が形成されているものなども採用可能である。工具係合穴が形成されている頭部の場合、その外周形状には特に限定が無い。
コンクリート母材としては、母材貫通孔を形成できるものであれば良く、壁状のものに限定されず、柱状のものであっても良い。壁状のコンクリート母材としては、既述のコンクリート高欄の他、例えば、ビル等のコンクリート製建物の壁部、屋上のパラペットやベランダの手すりとして機能するコンクリート壁、など幅広く適用可能である。
切断ワッシャ14は、連通貫通孔内への充填材の注入に伴う前記連通貫通孔からのエア排出のための通路として機能するスリット14aが、該切断ワッシャ14の厚みの両面に開口する構成であるため、スリット14aにおけるエア出口の位置が実質的にナットのサイズによって決まることとなる。また、ワッシャとしてこの切断ワッシャ14を使用する場合は、連通貫通孔内全体への充填材の充填を実現するために、切断ワッシャ14が接するナットとして連通貫通孔4の断面よりも大きいサイズもの(連通貫通孔の端部を塞ぐことができるサイズのもの)を使用する。
これに対して、溝付きワッシャ13の場合は、該溝付きワッシャ13自体の外径が連通貫通孔4の断面よりも大きければ、連通貫通孔内全体への充填材の充填が可能であり、該ワッシャ13の外周部におけるエア抜き溝13aの開口部の位置(高さ)は該ワッシャ13の外径によって決まるのであり、この溝付きワッシャ13に当接するナットのサイズに依存しない。また、使用するナットのサイズ(外形サイズ)の自由度が向上する。
10…締結具、11…ボルト(頭部付きボルト)、11a…軸部、11b…頭部、11c…注入孔、11d…充填材入口、11e…充填材出口、11i…マーキング、11…充填材入口、12…ナット、13…ワッシャ(溝付きワッシャ)、13a…エア抜き溝、14…ワッシャ(切断ワッシャ)、14a…スリット、
11A…ボルト、11m…注入孔、11n…充填材入口、11o…充填材出口、11s…マーキング、
20…締結具、21…ボルト(頭部無しボルト)、21c…注入孔、21d…充填材入口、21e…充填材出口、21i…マーキング、21…充填材入口、22、221、222…ナット。
Claims (8)
- 壁状あるいは柱状のコンクリート母材を水平方向に貫通する母材貫通孔と前記コンクリート母材に取り付ける取付物に貫設されたボルト挿通孔とが連通されてなる連通貫通孔に通して前記コンクリート母材及び前記取付物に貫通配置されるボルトと、このボルトの前記連通貫通孔から突出させた部分に螺着されるナットと、前記ボルトの前記連通貫通孔の両端から突出させた部分にそれぞれ外挿され前記ナットの締め付け力によって前記コンクリート母材、前記取付物に押し付けられるワッシャとを備え、
前記ボルトには、前記連通貫通孔内に液状の充填材を注入するための注入孔が穿設されており、前記注入孔は前記ボルトの前記連通貫通孔に挿通したときに前記連通貫通孔から突出される部分に開口する充填材入口、及び前記ボルトの外周面に開口され前記ボルトを前記連通貫通孔に挿通したときに前記連通貫通孔内に配置される充填材出口とを有し、
前記ワッシャには、その片面に、該ワッシャの半径方向に沿って延在し当該ワッシャの外周面に開口する溝であり前記連通貫通孔内への充填材の注入に伴う前記連通貫通孔内のエアの排出のためのエア抜き溝、あるいは前記エアの排出のために該ワッシャの半径方向に沿って延在するスリットが形成されていることを特徴とする締結具。 - 前記ボルトの前記連通貫通孔に挿通したときに前記連通貫通孔から突出される部分に、該ボルトの軸心方向中央部の外周面における前記注入孔の開口部である充填材出口の当該ボルトの軸回り方向の位置を示すマーキングが設けられていることを特徴とする請求項1記載の締結具。
- 前記ボルトが軸部の片端に頭部を有する構成であり、前記注入孔は前記ボルトの前記頭部あるいは前記軸部の先端に開口する充填材入口を有することを特徴とする請求項1又は2記載の締結具。
- 前記ボルトがその長手方向全長にわたって棒状に構成されたものであり、前記ナットを複数備えることを特徴とする請求項1又は2記載の締結具。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の締結具を用いて壁状あるいは柱状のコンクリート母材への取付物の取り付け、及び締結部の一体化を図るために行う取付施工法であって、
前記コンクリート母材を水平方向に貫通する母材貫通孔と前記コンクリート母材に取り付ける取付物に貫設されたボルト挿通孔とが連通されてなる連通貫通孔に前記ボルトを挿通して、該ボルトの外周面における前記注入孔の開口部である充填材出口を前記連通貫通孔内に配置し、前記ボルトに螺着された前記ナットの締め付けによって、前記ボルトの前記連通貫通孔の両端から突出させた部分にそれぞれ外挿しておいた前記ワッシャの間にて前記コンクリート母材と前記取付物とを締結するとともに、前記ボルトをその前記充填材出口が該ボルトの下部に位置する向き、前記ワッシャをその外周における前記エア抜き溝あるいは前記スリットの開口部が該ワッシャの上部に位置する向きで静止させる締結工程と、
この締結工程の後、前記ボルトの軸心方向片端に開口する前記注入孔の開口部である充填材入口から前記注入孔を介して前記連通貫通孔内に前記充填材を注入する充填材注入工程とを具備することを特徴とするコンクリート母材への取付物の取付施工法。 - 前記締結工程において、前記コンクリート母材と前記取付物との間にシール材を介在配置し、前記連通貫通孔を、前記コンクリート母材の前記母材貫通孔と前記取付物の前記ボルト挿通孔との間に、前記シール材によって取り囲まれ前記母材貫通孔と前記ボルト貫通孔とに連通する連通部が確保された構成とした状態で、前記ナットの締め付けを行うことを特徴とする請求項5記載のコンクリート母材への取付物の取付施工法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の締結具を用いて壁状あるいは柱状のコンクリート母材に取付物を締結した締結部の構造であって、
前記コンクリート母材を水平方向に貫通する母材貫通孔と前記コンクリート母材に取り付ける取付物に貫設されたボルト挿通孔とが連通されてなる連通貫通孔に前記ボルトが挿通され、該ボルトの外周面における前記注入孔の開口部である充填材出口が前記連通貫通孔内に配置され、前記ボルトに螺着された前記ナットの締め付けによって、前記ボルトの前記連通貫通孔の両端から突出させた部分にそれぞれ外挿しておいた前記ワッシャの間にて前記コンクリート母材と前記取付物とが締結され、前記ボルトがその前記充填材出口が該ボルトの下部に位置する向き、前記ワッシャがその外周における前記エア抜き溝あるいは前記スリットの開口部が該ワッシャの上部に位置する向きで設けられていることを特徴とする締結部構造。 - さらに、前記連通貫通孔内を埋め込む充填材を具備することを特徴とする請求項7記載の締結部構造。
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