JP2010248156A - 新規リンカーを用いた抗菌剤および診断薬 - Google Patents

新規リンカーを用いた抗菌剤および診断薬 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、腎臓や肝臓への毒性などの人体への副作用、および耐性菌の出現という既存の抗微生物剤における問題を有しておらず、かつ効率的に体内で薬効を発現し得る、抗菌性ペプチドをモチーフとした抗微生物剤を提供することを、課題とする。本発明はまた、低コストであり、かつ感度/特異性において優れている検査薬を提供することを、課題とする。
【解決手段】本発明のリンカーを介して、(a)抗微生物活性を有する部分と抗微生物活性を抑制する部分、または、(b)蛍光部分と消光部分、とを連結する分子を作製することによって上記課題が解決された。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規リンカーを用いた、微生物に関連する疾患のための抗菌剤および検査薬に関する。より具体的には、本発明は、Candida albicansの分泌性アスパラギン酸プロテアーゼ(Sap)によって特異的に切断される新規リンカーを用いた、カンジダ症などの微生物に関連する疾患のための、抗菌性ペプチドベースの抗菌剤、および検査薬に関する。
Candida albicansは皮膚、粘膜、腸管等において、他の常在菌と共に存在している病原性の真菌である。Candida albicansは、他の常在菌とのバランスを保って存在する限り、真菌症を発症させることはない。しかしながら、ステロイド、抗生物質、免疫抑制剤等の薬物の過剰投与、糖尿病や免疫不全等による免疫力の低下、衛生状態の劣悪化等が要因となって、常在菌のバランスが崩れ、Candida albicansが局所的に蔓延すると、皮膚カンジダ症、膣カンジダ症、外陰部カンジダ症、口腔カンジダ症、カンジダ性指間びらん症、カンジダ性爪囲爪炎、食道・腸管カンジダ症等のカンジダ症が引き起こされる。
このようなカンジダ症に代表される真菌感染症の治療薬としては、現在、ポリエン系、ピリミジン系、アゾール系、キャンディン系などの系統の抗微生物剤が主に使用されている。
ポリエン系抗微生物剤は、細胞膜に存在する脂質エルゴステロールに結合し、細胞膜構造を緩めることによって作用する。耐性菌は比較的現れにくいが、正常細胞にも作用するため、その副作用が重篤であるという欠点がある。代表的なポリエン系抗微生物剤は、アムホテリシンBである。
ピリミジン系抗微生物剤は、タンパク質の合成阻害によって、または核酸の合成に働く酵素を阻害し、それによって細胞***を阻害することによって作用する。副作用は比較的軽微であるが、合成酵素の変異によって耐性菌が現れやすいという欠点がある。代表的なピリミジン系抗微生物剤は、フルシトシンである。
アゾール系抗微生物剤は、細胞膜に存在する脂質エルゴステロールの合成に働く酵素に結合して阻害することによって作用する。副作用は中程度であり、また合成酵素の変異によって耐性菌が現れやすいという欠点がある。代表的なアゾール系抗微生物剤は、フルコナゾールである。
キャンディン系抗微生物剤は、細胞壁の合成に働く酵素に結合して阻害することによって作用する。副作用は軽微であるが、キャンディン系抗微生物剤もまた、合成酵素の変異によって耐性菌が現れやすいという欠点がある。代表的なキャンディン系抗微生物剤は、ミカファンギンである。
このように既存の抗微生物剤は、腎臓や肝臓への毒性などの人体への副作用、および耐性菌の出現という問題を有している。
一方、従来より、種々の微生物に対して抗菌作用を有するペプチドまたはその誘導体について多数の発明が知られている。例えば、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に有効なホスホノトリペプチド(特許文献1:特開昭57−106689号公報)、ホスホノジペプチド誘導体(特許文献2:特開昭58−13594号公報)、環状ペプチド誘導体(特許文献3:特開昭58−213744号公報)、抗菌および抗ウィルス作用を示すペプチド(特許文献4:特開昭59−51247号公報)、酵母に有効なポリペプチド(特許文献5:特開昭60−130599号公報)、グラム陽性菌に有効な糖ペプチド誘導体(特許文献6:特開昭60−172998号公報、特許文献7:特開昭61−251699号公報、特許文献8:特開昭63−44598号公報)、グラム陽性菌に有効なオリゴペプチド(特許文献9:特開昭62−22798号公報)、ペプチド系抗生物質(特許文献10:特開昭62−51697号公報、特許文献11:特開昭63−17897号公報)等が知られている。また、昆虫及びヒトを含む多くの動物中の非特異性防衛分子に関する数多くの発明が知られている。例えば、北米産カブトガニの血球から抽出した抗菌性ペプチド(特許文献12:特開平2−53799号公報)、蜜蜂の血リンパから単離した抗菌性ペプチド(特許文献13:特開平2−500084号公報)、セクロピン類(特許文献14:WO8900199、特許文献15:WO8805826、特許文献16:WO8604356、特許文献17:WO8805826)、デフェンシン類(特許文献18:EP193351、特許文献19:EP85250、特許文献20:EP162161、特許文献21:US4659692、特許文献22:WO8911291)、ラクトフェリン類(非特許文献1:Journal of Pediatrics,94,1,1979、特許文献23:特開平5−078392号公報、特許文献24:特開平5−092994号公報、特許文献25:特開平5−148295号公報、特許文献26:特開平5−148296号公報、特許文献27:特開平5−148297号公報)等が知られている。これら非特異性防衛分子の1サブセットは、次の特徴を共通して有する:(a)それらは通常15〜35アミノ酸長の小さなペプチドである、(b)それらは4又はそれ以上の正に荷電したリシン又はアルギニンのいずれかのアミノ酸残基を含有する、そして(c)それらはそれらが由来する生物中に非常に豊富に見出される。しかしながら、このような昆虫及びヒトを含む多くの動物中の見出される非特異性防衛分子(抗菌性ペプチド)をモチーフとした真菌症薬は、種々の要因、例えば、抗菌性ペプチドは体内の広範な酵素に対して感受性が非常に高いこと、体内での薬効発現が困難であること、生産性が低いことなどに起因して、残念ながら現在まで実用には至っていない。
特開昭57−106689号公報 特開昭58−13594号公報 特開昭58−213744号公報 特開昭59−51247号公報 特開昭60−130599号公報 特開昭60−172998号公報 特開昭61−251699号公報 特開昭63−44598号公報 特開昭62−22798号公報 特開昭62−51697号公報 特開昭63−17897号公報 特開平2−53799号公報 特開平2−500084号公報 国際公開第89/00199号パンフレット 国際公開第88/05826号パンフレット 国際公開第86/04356号パンフレット 国際公開第88/05826号パンフレット 欧州特許出願公開第193351号明細書 欧州特許出願公開第85250号明細書 欧州特許出願公開第162161号明細書 米国特許第4659692号明細書 国際公開第8911291号パンフレット 特開平5−078392号公報 特開平5−092994号公報 特開平5−148295号公報 特開平5−148296号公報 特開平5−148297号公報
Journal of Pediatrics,94,1,1979
本発明は、腎臓や肝臓への毒性などの人体への副作用、および耐性菌の出現という既存の抗微生物剤における問題を有しておらず、かつ効率的に体内で薬効を発現し得る、抗菌性ペプチドをモチーフとした抗微生物剤を提供することを、課題とする。本発明はまた、低コストであり、かつ感度/特異性において優れている検査薬を提供することを、課題とする。
本発明者らは、望ましくない副作用等がなく、且つ既存薬と異なる作用機序で強い抗菌作用を示す自然界由来の抗菌性ペプチドを用いた抗真菌剤の開発を企図した。具体的には、抗微生物活性を有する部分と、抗微生物活性を抑制する部分とを、抗菌剤の標的となる菌(または、細胞)が分泌する酵素によって特異的に切断されるリンカーで連結することによって、抗微生物剤を作製することにより、本発明の抗微生物剤が完成した。さらに、蛍光部分と、消光部分とを、抗菌剤の標的となる菌(または、細胞)が分泌する酵素によって特異的に切断されるリンカーで連結することによって、抗微生物剤を作製することにより、本発明の検出剤が完成した。本発明において用いるリンカーは、ターン構造をとることにより、リンカーが抗菌剤の標的となる菌(または、細胞)が分泌する酵素によって特異的に切断される以前には、(1)抗微生物剤の抗微生物活性を抑制する部分が、抗微生物活性を有する部分と相互作用するか、または、(2)検出剤の蛍光部分が、消光部分と相互作用するため、(1)抗微生物活性を抑制する部分の活性が抑制されるか、または、(2)蛍光が消光され、その結果、抗微生物剤、または、検出剤の特異性が格段に向上する。さらに、本発明においては、リンカーの分子量が低く抑えられているため、単位重量あたりの効果が高く維持されるという特徴を有する。
例えば、本発明は、以下を提供する:
(項目1) 微生物の増殖を抑制するための抗微生物剤であって、
(1)抗微生物活性を有する部分、
(2)該微生物が産生する酵素によって切断されるリンカー、および、
(3)抗微生物活性を抑制する部分、
とを含む、抗微生物剤。
(項目2) 前記微生物がCandida albicansである、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目3) 前記微生物が産生する酵素がプロテアーゼである、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目4) 前記リンカーが、Sap1〜10の全てのSapによって切断される、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目5) 前記リンカーが、アミノ酸配列LKFFKA(配列番号8)を含む、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目6) 前記抗微生物活性を有する部分が:
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号3に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(d)配列番号4に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに、
(e)配列番号5に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
からなる群から選択される、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目7) 前記抗微生物活性を有する部分が配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からなる、項目6に記載の抗微生物剤。
(項目8) 前記抗微生物活性を抑制する部分が:
(f)配列番号6に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに、
(g)配列番号7に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
からなる群から選択される、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目9) 前記抗微生物活性を抑制する部分が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、項目8に記載の抗微生物剤。
(項目10) (4)前記微生物を標的化するアンカー部分、をさらに含む、項目1に記載の抗微生物剤。
(項目11) 前記アンカー部分が配列番号12〜18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する抗体の抗原結合部位を含む、項目10に記載の抗微生物剤。
(項目12) 微生物の増殖に関連する疾患を処置および/または予防するための薬学的組成物であって、項目1に記載の抗微生物剤を含有する、薬学的組成物。
(項目13) 前記疾患がカンジダ症である、項目12に記載の薬学的組成物。
(項目14) 微生物を検出するための検出剤であって、
(1)蛍光部分、
(2)該微生物が産生する酵素によって切断されるリンカー、および、
(3)消光部分、
とを含む、検出剤。
(項目15) 前記微生物がCandida albicansである、項目14に記載の検出剤。
(項目16) 前記微生物が産生する酵素がプロテアーゼである、項目14に記載の検出剤。
(項目17) 前記リンカーが、Sap1〜10の全てのSapによって切断される、項目14に記載の検出剤。
(項目18) 前記リンカーが、アミノ酸配列LKFFKA(配列番号8)を含む、項目14に記載の検出剤。
(項目19) 前記蛍光部分と消光部分の組合せが:
(a)5−[(2−アミノエチル)アミノ]ナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)と、[4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸](DABCYL)との組合せ;
(b)(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル(MOCAc)と、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)との組合せ;および、
(c)N−メチルアントラニル酸(NMA)と、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)との組合せ;
からなる群から選択される、項目14に記載の検出剤。
(項目20) 微生物の増殖に関連する疾患の診断のための薬学的組成物であって、項目14に記載の検出剤を含有する、薬学的組成物。
(項目21) 前記疾患がカンジダ症である、項目20に記載の薬学的組成物。
本発明は、腎臓や肝臓への毒性などの人体への副作用、および耐性菌の出現という既存の抗微生物剤における問題を有しておらず、かつ効率的に体内で薬効を発現し得る、抗菌性ペプチドをモチーフとした抗微生物剤を提供するという効果を奏する。また、本発明は、低コストであり、かつ感度/特異性において優れている検査薬を提供するという効果を奏する。
図1は、pH7.0の場合の実施例1の結果を示すグラフである。縦軸は、形成されたコロニーの数(CFU:Colony Forming Unit)である。濃度は、反応液中の最終的な値を示す。 図2は、pH4.0の場合の実施例1の結果を示すグラフである。縦軸は、形成されたコロニーの数(CFU:Colony Forming Unit)である。濃度は、反応液中の最終的な値を示す。 図3は、実施例2の結果を示すグラフである。縦軸は、形成されたコロニーの数(CFU:Colony Forming Unit)である。 図4は、実施例3の結果を示すグラフである。縦軸は、形成されたコロニーの数(CFU:Colony Forming Unit)である。
本発明の特徴の一つは、微生物の増殖を抑制するための抗微生物剤であって、
(1)抗微生物活性を有する部分、
(2)該微生物が産生する酵素によって切断されるリンカー、および、
(3)抗微生物活性を抑制する部分、
とを含む、抗微生物剤にある。
本発明の別の特徴の一つは、微生物を検出するための検出剤であって、
(1)蛍光部分、
(2)該微生物が産生する酵素によって切断されるリンカー、および、
(3)消光部分、
とを含む、検出剤にある。
上記本発明において用いるリンカーは、ターン構造をとることにより、リンカーが抗菌剤の標的となる菌(または、細胞)が分泌する酵素によって特異的に切断される以前には、(a)抗微生物剤の抗微生物活性を抑制する部分が、抗微生物活性を有する部分と相互作用するか、または、(b)検出剤の蛍光部分が、消光部分と相互作用するため、(a)抗微生物活性を抑制する部分の活性が抑制されるか、または、(b)蛍光が消光され、その結果、抗微生物剤、または、検出剤の特異性が格段に向上する。さらに、本発明においては、リンカーの分子量が低く抑えられているため、単位重量あたりの効果が高く維持されるという特徴を有する。また、本発明のリンカーにおいては、リシンとフェニルアラニンを密集させて、酸性プロテアーゼの好む塩基性と疎水性を増すことが重要と考えた。
Candida albicansのプロテアーゼによって切断される配列は、例えば、Biochimica et Biophysica Acta 1480 (2000) 117-131に記載されている。しかし、この文献に記載される配列は:
i)Candidaの酸性プロテアーゼの一般的な好みを調べるために、塩基性、酸性、疎水性の残基を適度に並べた特徴のない配列を用いており、特に末端にK、中央にEが配置されていることが問題であった。なぜなら、重量当たりの薬効を上げるためにペプチド末端を削って短縮すると、ペプチドの性質が酸性に変わってしまうからである。ペプチドの性質が酸性に変わると、塩基性を好みやすいCandidaの酸性プロテアーゼとの相互作用が激減する恐れがある;
ii)嵩高い残基のみを用いているために抗微生物活性を抑制する部分が抗微生物活性を有する部分と相互作用して抗菌活性を打ち消すために必要なターン構造が取れない可能性が極めて高い;
iii)長いペプチド配列に挟まれたリンカーは、周りのアミノ酸にその特徴を打ち消されて、酵素による切断がなされない例が数多く報告されていることから、「Biochimica et Biophysica Acta 1480 (2000) 117-131」に記載のリンカーよりもCandidaの酸性プロテアーゼの好むアミノ酸を密集させた特徴的なリンカーを作製することが必要であると考えられた。
以上の三点の問題が存在したため、当該論文から類推される既存のペプチド配列をリンカーとして組み込むには難があった。そのため、本発明者らは、塩基性と疎水性アミノ酸が密集かつ側鎖の小さいアミノ酸も組み込んだ短鎖リンカーを構築することで、効率的に
抗微生物活性(抗菌活性)を抑制し、リンカー切断効率を増大させるべく、本発明のリンカーLKFFKAを構築した。このリンカーはLKFFKの部分で塩基性及び疎水性アミノ酸を密集させている。また、C側末端に小さいアミノ酸であるアラニンを組み込んで、嵩高さを減らすように考慮した。その結果、当該リンカーを組み込んだ新規抗微生物剤のリンカー部分がSap2によって良好に切断され、抗微生物活性が復活することを確認し本発明を完成した。
従来は、ペプチダーゼによって切断される配列を取り出してリンカーとした場合、そのようなリンカーはペプチダーゼによって切断されない場合が多くあることから(例えば、特表平8−501213号 公表特許公報)、本発明によって奏される上記効果は、予想外に良好なものであった。
本発明においては、このリンカーを介して機能性部分(例えば、抗微生物活性を示す抗菌性ペプチド)とその抗微生物活性を抑制する部分とを連結することにより、抗微生物活性が標的微生物の近傍において発揮される抗微生物剤を作製し、その結果、腎臓や肝臓への毒性などの人体への副作用、および耐性菌の出現という既存の抗微生物剤における問題を有しておらず、かつ効率的に体内で薬効を発現し得る、抗微生物剤を開発した。この抗微生物活性などを有する機能性部分は、リンカーを介して抗微生物活性を抑制する部分と連結されることによって活性を抑えられ、そして体内の広範な酵素による分解から保護される。しかしながら、本発明におけるリンカーが、例えば、Candida albicansのSapのような標的微生物が産生する酵素によって切断されると、この抗微生物活性を抑制する部分と機能性部分とが分離し、機能性部分が薬効を発揮する。したがって、本発明による抗微生物剤は、Sapを分泌しているCandida albicansに対して、またはSapを分泌しているCandida albicansの周囲で、選択的かつ特異的に薬効を発揮する。本発明による抗微生物剤はまた、抗微生物活性を抑制する部分により機能性部分を保護し、薬効を発揮する前の、体内での酵素による所望されない機能性部分の分解を防止すること、抗微生物活性を抑制する部分により機能性部分の活性を抑えた状態で投与することにより、常在菌叢を攻撃しないこと、耐性菌が出現しやすい従来の酵素ターゲット薬剤ではなく、耐性菌が現れにくい細胞膜攻撃メカニズムを有することなどの有利な効果を有する。
さらに、本発明は、本発明のリンカーを介して、蛍光部分と消光部分を連結した検出剤を提供する。本発明の検出剤の蛍光部分は、リンカーが標的微生物の産生する酵素によって切断されることにより消光部分と離れて蛍光を発することから、高感度かつ、特異性の高い検出剤が本発明によって提供される。
(定義)
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本発明において使用する場合、用語「抗微生物剤」とは、微生物の増殖を抑制する薬剤をいう。
本発明において使用する場合、用語「微生物の増殖を抑制する」とは、微生物の増殖を停止、および/または、減速する作用をいう。微生物が死滅した場合、その増殖は停止することから、用語「微生物の増殖を抑制する」とは、微生物を死滅させることを包含する。
本発明において使用する場合、用語「抗微生物活性」とは、微生物の増殖を抑制する活性をいう。
本発明において使用する場合、用語「微生物が産生する酵素」とは、切断活性を有する酵素であって、標的微生物が産生する酵素をいう。この酵素は、微生物から分泌されても、されなくてもよい。好ましくは、この酵素は、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、プロテイナーゼなどのタンパク質分解活性を有する酵素である。
本発明において使用する場合、用語「微生物」とは、主に単細胞の生活環を有する生物をいう。本発明の微生物としては、真菌、および、細菌が挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、本発明の微生物は、Candida albicansである。
本発明の微生物がCandida albicansである場合、本発明における「抗微生物活性を有する部分」としては、例えば、ラクトフェリシン(登録商標)(lactoferricin)、ブフォリンII(buforin II)、および、ラクトフェランピン(lactoferrampin)が挙げられるが、これに限定されない。ラクトフェリシン(登録商標)としては、ウシラクトフェリシン(配列番号1)およびヒトラクトフェリシン(配列番号2)、ならびに、これらにアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、抗微生物活性を有するポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。ブフォリンII(buforinII)としては、配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド、ならびに、これにアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、抗微生物活性を有するポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。ラクトフェランピン(lactoferrampin)としては、配列番号4および配列番号5ならびに、これにアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、抗微生物活性を有するポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。
本発明において使用する場合、用語「抗微生物活性を抑制する部分」とは、抗微生物活性を有する部分と会合した場合に、その活性を抑制する部分をいう。「抗微生物活性を有する部分」がラクトフェリシンの場合、「抗微生物活性を抑制する部分」としては、例えば、マガイニン抑制配列、および、カテリン(Cathelin)抑制配列が挙げられるが、これに限定されない。マガイニン由来の抑制配列としては、配列番号6、ならびに、これにアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、抗微生物活性を抑制する部分を含むポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。カテリン(Cathelin)抑制配列としては、配列番号7、ならびに、これにアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、抗微生物活性を抑制する部分を含むポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。
本発明において使用する場合、用語「微生物を標的化するアンカー部分」とは、標的となる微生物(例えば、Candida albicans)に対して特異的に結合する部分をいう。微生物を標的化するアンカー部分としては、例えば、標的となる微生物の表面に存在するタンパク質(例えば、Candida albicansのAls3(agglutinin−like sequence 3(配列番号12)、および、配列番号13〜18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられるが、これらに限定されない)または糖鎖に対して特異的に結合する物質(例えば、抗体、抗体の抗原結合フラグメント、および、Fabが挙げられるが、これに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない。本発明において好ましい「微生物を標的化するアンカー部分」としては、配列番号12〜18からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体の抗原結合部位が挙げられるが、これに限定されない。
本発明のリンカーには、
(1)短い配列を用いることにより、重量あたりの薬理効果を高く保つ、
(2)リシンとフェニルアラニンを密集させ、酸性プロテアーゼが好む塩基性と疎水性の増す、
(3)小さいアミノ酸を組み込み、ターン構造を可能とする
ことが必要とされる。
好ましいリンカーは、例えば、アミノ酸配列LKFFKA(配列番号8)を含むが、これに限定されない。
本発明において使用する蛍光部分と消光部分の組合せとしては、例えば:
・5−[(2−アミノエチル)アミノ]ナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)と、[4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸](DABCYL)との組合せ;
・(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル(MOCAc)と、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)との組合せ;および、
・N−メチルアントラニル酸(NMA)と、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)との組合せ;
が挙げられるが、これに限定されない。
本発明において使用する場合、「微生物の増殖に関連する疾患」としては、例えば、カンジダ症(微生物がCandida albicansの場合)、アスペルギルス症(微生物がAspergillus fumigatusの場合)、および、白癬(微生物がTrichophyton rubrumの場合)が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。本発明の遺伝子産物は、通常ポリペプチド形態をとる。このようなポリペプチド形態の本発明の遺伝子産物は、本発明の診断、予防、治療または予後のための組成物として有用である。
本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチル−リボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作成することにより達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。本発明の遺伝子は、通常、このポリヌクレオチド形態をとる。
本明細書では「核酸分子」もまた、核酸、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドと互換可能に使用され、cDNA、mRNA、ゲノムDNAなどを含む。本明細書では、核酸および核酸分子は、用語「遺伝子」の概念に含まれ得る。ある遺伝子配列をコードする核酸分子はまた、「スプライス変異体(改変体)」を包含する。同様に、核酸によりコードされた特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。その名が示唆するように「スプライス変異体」は、遺伝子のオルタナティブスプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物は、異なる(別の)核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプライスされ得る。スプライス変異体の産生機構は変化するが、エキソンのオルタナティブスプライシングを含む。読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリペプチドもまた、この定義に包含される。スプライシング反応の任意の産物(組換え形態のスプライス産物を含む)がこの定義に含まれる。
本明細書において、「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定するものを構造遺伝子といい、その発現を左右するものを調節遺伝子(たとえば、プロモーター)という。本明細書では、遺伝子は、特に言及しない限り、構造遺伝子および調節遺伝子を包含する。したがって、遺伝子というときは、通常、本発明の遺伝子の構造遺伝子ならびにそのプロモーターなどの転写および/または翻訳の調節配列の両方を包含する。本発明では、構造遺伝子のほか、転写および/または翻訳などの調節配列もまた、神経再生、神経疾患の診断、治療、予防、予後などに有用であることが理解される。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸分子」ならびに/または「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を指すことがある。本明細書においてはまた、「遺伝子産物」は、遺伝子によって発現された「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「核酸」および「核酸分子」ならびに/または「タンパク質」「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」を包含する。当業者であれば、遺伝子産物が何たるかはその状況に応じて理解することができる。
本明細書において遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。また、本明細書において配列(核酸配列、アミノ酸配列など)の同一性とは、2以上の対比可能な配列の、互いに対する同一の配列(個々の核酸、アミノ酸など)の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において、遺伝子(例えば、核酸配列、アミノ酸配列など)の「類似性」とは、上記相同性において、保存的置換をポジティブ(同一)とみなした場合の、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、保存的置換がある場合は、その保存的置換の存在に応じて相同性と類似性とは異なる。また、保存的置換がない場合は、相同性と類似性とは同じ数値を示す。
本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメータを用いて算出される。
本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体アミノ酸」または「アミノ酸アナログ」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸およびアミノ酸アナログは、当該分野において周知である。用語「天然のアミノ酸」とは、天然のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、γ−カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチン、およびリジンである。特に示されない限り、本明細書でいう全てのアミノ酸はL体であるが、D体のアミノ酸を用いた形態もまた本発明の範囲内にある。用語「非天然アミノ酸」とは、タンパク質中で通常は天然に見出されないアミノ酸を意味する。非天然アミノ酸の例として、ノルロイシン、パラ−ニトロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、パラ−フルオロフェニルアラニン、3−アミノ−2−ベンジルプロピオン酸、ホモアルギニンのD体またはL体およびD−フェニルアラニンが挙げられる。「アミノ酸アナログ」とは、アミノ酸ではないが、アミノ酸の物性および/または機能に類似する分子をいう。アミノ酸アナログとしては、例えば、エチオニン、カナバニン、2−メチルグルタミンなどが挙げられる。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様な様式で機能する化合物をいう。
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。
本明細書において、「対応する」アミノ酸とは、あるタンパク質分子またはポリペプチド分子において、比較の基準となるタンパク質またはポリペプチドにおける所定のアミノ酸と同様の作用を有するか、または有することが予測されるアミノ酸をいい、特に酵素分子にあっては、活性部位中の同様の位置に存在し触媒活性に同様の寄与をするアミノ酸をいう。
本明細書において、「対応する」遺伝子とは、ある種において、比較の基準となる種における所定の遺伝子と同様の作用を有するか、または有することが予測される遺伝子をいい、そのような作用を有する遺伝子が複数存在する場合、進化学的に同じ起源を有するものをいう。従って、ある遺伝子の対応する遺伝子は、その遺伝子のオルソログであり得る。したがって、マウスの遺伝子に対応する遺伝子は、他の動物(ヒト、ラット、ブタ、ウシなど)においても見出すことができる。そのような対応する遺伝子は、当該分野において周知の技術を用いて同定することができる。したがって、例えば、ある動物における対応する遺伝子は、対応する遺伝子の基準となる遺伝子の配列をクエリ配列として用いてその動物(例えばヒト、ラット)の配列データベースを検索することによって見出すことができる。
本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長さを有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸または核酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長タンパク質の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。
本明細書において第一の物質または因子が第二の物質または因子に「特異的に相互作用する」とは、第一の物質または因子が、第二の物質または因子に対して、第二の物質または因子以外の物質または因子(特に、第二の物質または因子を含むサンプル中に存在する他の物質または因子)に対するよりも高い親和性で相互作用することをいう。物質または因子について特異的な相互作用としては、例えば、微生物由来のプロテアーゼによるリンカーの切断、および、抗微生物活性を抑制する部分による抗微生物活性を有する部分の活性の抑制などが挙げられるがそれらに限定されない。本明細書においてポリヌクレオチドまたはポリペプチドなどの生物学的因子に対して「特異的に相互作用する因子」とは、そのポリヌクレオチドまたはそのポリペプチドなどの生物学的因子に対する親和性が、他の無関連の(特に、同一性が30%未満の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する親和性よりも、代表的には同等またはより高いか、好ましくは有意に(例えば、統計学的に有意に)高いものを包含する。そのような親和性は、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ、結合アッセイなどによって測定することができる。本明細書において「因子」(agent)としては、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリド、オリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書中で使用される「化合物」は、任意の識別可能な化学物質または分子を意味し、これらには、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、または核酸が挙げられるが、これらに限定されず、そしてこのような化合物は、天然物または合成物であり得る。
本明細書中で使用される「接触(させる)」とは、化合物を、直接的または間接的のいずれかで、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して物理的に近接させることを意味する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、多くの緩衝液、塩、溶液などに存在し得る。接触とは、核酸分子またはそのフラグメントをコードするポリペプチドを含む、例えば、ビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたはマイクロアレイ(例えば、遺伝子チップ)などに化合物を置くことが挙げられる。
本明細書において「単離された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子が天然に存在する生物体の細胞内の他の生物学的因子(例えば、核酸である場合、核酸以外の因子および目的とする核酸以外の核酸配列を含む核酸;タンパク質である場合、タンパク質以外の因子および目的とするタンパク質以外のアミノ酸配列を含むタンパク質など)から実質的に分離または精製されたものをいう。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。したがって、単離された核酸およびタンパク質は、化学的に合成した核酸およびタンパク質を包含する。
本明細書において「精製された」生物学的因子(例えば、核酸またはタンパク質など)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。したがって、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。
本明細書中で使用される用語「精製された」および「単離された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子が存在することを意味する。
本明細書で使用される場合、「遺伝子導入」とは、生体内またはインビトロにおいて、標的細胞内に、天然、合成または組換えの所望の遺伝子または遺伝子断片を、導入された遺伝子がその機能を維持するように、導入することをいう。本発明において導入される遺伝子または遺伝子断片は、特定の配列を有するDNA、RNAまたはこれらの合成アナログである核酸を包含する。また、本明細書において使用される場合、遺伝子導入、トランスフェクション、およびトランスフェクトは、互換可能に使用される。
本明細書で使用される場合、「遺伝子導入ベクター」および「遺伝子ベクター」は互換可能に使用される。「遺伝子導入ベクター」および「遺伝子ベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。「遺伝子導入ベクター」および「遺伝子ベクター」としては、「ウイルスエンベロープベクター」および「リポソームベクター」が挙げられるが、これらに限定されない。
宿主細胞として使用される動物細胞としては、マウス・ミエローマ細胞、ラット・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、ヒト白血病細胞、HBT5637(特開昭63−299)、ヒト大腸癌細胞株などを挙げることができる。マウス・ミエローマ細胞としては、ps20、NSOなど、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0など、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC:CRL−1573)など、ヒト白血病細胞としてはBALL−1など、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS−1、COS−7、ヒト大腸癌細胞株としてはHCT−15などが例示される。
原核細胞としては、Escherichia、Bacillus、Streptococcus、Staphylococcus、Haemophilus、Neisseria、Actinobacillus、Acinetobacter、Serratia、Brevibacterium、Corynebacterium、Microbacterium、およびPseudomonasからなる群から選択される属等に属する原核細胞、例えば、Escherichia coli XL1−Blue、Escherichia coli XL2−Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli BL21(DE3)、Escherichia coli BL21(DE3)pLysS、Escherichia coli HMS174(DE3)、Escherichia coli HMS174(DE3)pLysS、Serratia ficaria、Serratia fonticola、Serratia liquefaciens、Serratia marcescens、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Brevibacterium ammmoniagenes、Brevibacterium immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticumATCC14066、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Corynebacterium glutamicum ATCC14067、Corynebacterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、Pseudomonas sp.D−0110などが例示される。
真菌細胞としては、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Kluyveromyces、Trichosporon、Schwanniomyces、Pichiaなどに属する酵母菌株、ならびにNeurosporaに属する真菌を挙げることができ、具体的には、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Trichosporon pullulans、Schwanniomyces alluvius、Pichia pastorisなどを挙げることができる。組換えベクターの導入方法としては、真菌にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Methods.Enzymol.,194,182(1990)]、スフェロプラスト法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,1929(1978)]、酢酸リチウム法[J.Bacteriol.,153,163(1983)]、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)記載の方法などが例示される。
植物細胞としては、ポテト、タバコ、トウモロコシ、イネ、アブラナ、ダイズ、トマト、ニンジン、コムギ、オオムギ、ライムギ、アルファルファ、アマなどの植物細胞などを挙げることができる。組換えベクターの導入方法としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、Agrobacterium法(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第2606856、特許第2517813)などが例示される。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞、Trichoplusia niの卵巣細胞、カイコ卵巣由来の培養細胞などを用いることができる。Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞としてはSf9、Sf21(Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual)など、Trichoplusia niの卵巣細胞としてはHigh 5、BTI−TN−5B1−4(Invitrogen)など、カイコ卵巣由来の培養細胞としてはBombyx mori N4などが例示される。
本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなど遺伝子産物の「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一形態であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたものであり得る。
本明細書において「相互作用」とは、2つの物質についていうとき、一方の物質と他方の物質との間で力(例えば、分子間力(ファンデルワールス力)、水素結合、疎水性相互作用など)を及ぼしあうこという。通常、相互作用をした2つの物質は、会合または結合している状態にある。
本明細書中で使用される用語「結合」は、2つのタンパク質もしくは化合物または関連するタンパク質もしくは化合物の間、あるいはそれらの組み合わせの間での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合、非イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は、直接的または間接的であり得、間接的なものは、別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。直接的な結合とは、別のタンパク質または化合物の効果を介してもまたはそれらに起因しても起こらず、他の実質的な化学中間体を伴わない、相互作用をいう。
本明細書において配列(アミノ酸または核酸など)の「同一性」、「相同性」および「類似性」のパーセンテージは、比較ウィンドウで最適な状態に整列された配列2つを比較することによって求められる。ここで、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の比較ウィンドウ内の部分には、2つの配列の最適なアライメントについての基準配列(他の配列に付加が含まれていればギャップが生じることもあるが、ここでの基準配列は付加も欠失もないものとする)と比較したときに、付加または欠失(すなわちギャップ)が含まれる場合がある。同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列にも認められる位置の数を求めることによって、マッチ位置の数を求め、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の総位置数で割り、得られた結果に100を掛けて同一性のパーセンテージを算出する。検索において使用される場合、相同性については、従来技術において周知のさまざまな配列比較アルゴリズムおよびプログラムの中から、適当なものを用いて評価する。このようなアルゴリズムおよびプログラムとしては、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALW(Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(8):2444−2448、 Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22(2):4673−4680、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383−402、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215(3):403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272)があげられるが、何らこれに限定されるものではない。特に好ましい実施形態では、従来技術において周知のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)(たとえば、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2267−2268、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403−410、Altschul et al.,1993,Nature Genetics 3:266−272、Altschul et al.,1997,Nuc.Acids Res.25:3389−3402を参照のこと)を用いてタンパク質および核酸配列の相同性を評価する。特に、5つの専用BLASTプログラムを用いて以下の作業を実施することによって比較または検索が達成され得る。
(遺伝子、タンパク質分子、核酸分子などの改変)
あるタンパク質分子において、配列に含まれるあるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、カチオン性領域または基質分子の結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。
上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol.157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。
あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。
当該分野において、親水性指数もまた、改変設計において考慮され得る。米国特許第4,554,101号に記載されるように、以下の親水性指数がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。
本明細書において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例としては、例えば、親水性指数または疎水性指数が、±2以内のもの同士、好ましくは±1以内のもの同士、より好ましくは±0.5以内のもの同士のものが挙げられるがそれらに限定されない。従って、保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。そのような改変体としては、基準となる核酸分子またはポリペプチドに対して、1または数個の置換、付加および/または欠失、あるいは1つ以上の置換、付加および/または欠失を含むものが挙げられるがそれらに限定されない。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。そのような対立遺伝子変異体は、通常その対応する対立遺伝子と同一または非常に類似性の高い配列を有し、通常はほぼ同一の生物学的活性を有するが、まれに異なる生物学的活性を有することもある。「種相同体またはホモログ(homolog)」とは、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのような種相同体を取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。「オルソログ(ortholog)」とは、オルソロガス遺伝子(orthologous gene)ともいい、二つの遺伝子がある共通祖先からの種分化に由来する遺伝子をいう。例えば、多重遺伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子ファミリーを例にとると、ヒトおよびマウスのαヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが,ヒトのαヘモグロビン遺伝子およびβヘモグロビン遺伝子はパラログ(遺伝子重複で生じた遺伝子)である。オルソログは、分子系統樹の推定に有用である。オルソログは、通常別の種において、もとの種と同様の機能を果たしていることがあり得ることから、本発明のオルソログもまた、本発明において有用であり得る。
本明細書において「保存的(に改変された)改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変された改変体とは、同一のまたは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一な配列をいう。遺伝コードの縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、そのコドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンの任意のものに変更され得る。このような核酸の変動は、保存的に改変された変異の1つの種である「サイレント改変(変異)」である。ポリペプチドをコードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、その核酸の可能なすべてのサイレント変異を記載する。当該分野において、核酸中の各コドン(通常メチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子を産生するために改変され得ることが理解される。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙に含まれる。好ましくは、そのような改変は、ポリペプチドの高次構造に多大な影響を与えるアミノ酸であるシステインの置換を回避するようになされ得る。このような塩基配列の改変法としては、制限酵素などによる切断、DNAポリメラーゼ、Klenowフラグメント、DNAリガーゼなどによる処理等による連結等の処理、合成オリゴヌクレオチドなどを用いた部位特異的塩基置換法(特定部位指向突然変異法;Mark Zoller and Michael Smith,Methods in Enzymology,100,468−500(1983))が挙げられるが、この他にも通常分子生物学の分野で用いられる方法によって改変を行うこともできる。
本明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化、カルボキシル化、硫酸化、ハロゲン化、短縮化、脂質化(lipidation)、ホスホリル化、アルキル化、グリコシル化、リン酸化、水酸化、アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。
本明細書において使用される用語「ペプチドアナログ」または「ペプチド誘導体」とは、ペプチドとは異なる化合物であるが、ペプチドと少なくとも1つの化学的機能または生物学的機能が等価であるものをいう。したがって、ペプチドアナログには、もとのペプチドに対して、1つ以上のアミノ酸アナログまたはアミノ酸誘導体が付加または置換されているものが含まれる。ペプチドアナログは、その機能が、もとのペプチドの機能(例えば、pKa値が類似していること、官能基が類似していること、他の分子との結合様式が類似していること、水溶性が類似していることなど)と実質的に同様であるように、このような付加または置換がされている。そのようなペプチドアナログは、当該分野において周知の技術を用いて作製することができる。したがって、ペプチドアナログは、アミノ酸アナログを含むポリマーであり得る。
本発明のポリペプチドがポリマーに結合している、化学修飾されたポリペプチド組成物は、本発明の範囲に包含される。このポリマーは、水溶性であり得、水溶性環境(例えば、生理学的環境)でこのタンパク質の沈澱を防止し得る。適切な水性ポリマーは、例えば、以下からなる群より選択され得る:ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物に基づくポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール。この選択されたポリマーは、通常は改変され、単一の反応性基(例えば、アシル化のための活性エステルまたはアルキル化のためのアルデヒド)を有し、その結果、重合度は制御され得る。ポリマーは、任意の分子量であり得、そして、このポリマーは分枝状でも分枝状でなくてもよく、そしてこのようなポリマーの混合物はまた、使用され得る。この化学修飾された本発明のポリマーは、治療用途に決定付けられる場合、薬学的に受容可能なポリマーが使用するために選択される。
このポリマーがアシル化反応によって改変される場合、このポリマーは、単一の反応性エステル基を有するべきである。あるいは、このポリマーが還元アルキル化によって改変される場合、このポリマーは単一の反応性アルデヒド基を有するべきである。好ましい反応性アルデヒドは、ポリエチレングリコール、プロピオンアルデヒド(このプロピオンアルデヒドは、水溶性である)または、そのモノC1〜C10の、アルコキシ誘導体もしくはアリールオキシ誘導体である(例えば、米国特許第5,252,714号(これは、本明細書中で全体が参考として援用される)を参照のこと)。
本発明のポリペプチドのペグ化(pegylation)は、例えば、以下の参考文献に記載されるような、当該分野で公知の、任意のペグ化反応によって実施され得る:Focus on Growth Factors 3,4−10(1992);EP 0 154 316 ;およびEP 0 401 384(これらの各々は、本明細書中で、全体が参考として援用される)。好ましくは、このペグ化は、反応性ポリエチレングリコール分子(または、類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施される。本発明のポリペプチドのペグ化のための好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。本明細書中で使用される場合、「ポリエチレングリコール」は、PEGの任意の形態の包含することを意味し、ここで、このPEGは、他のタンパク質(例えば、モノ(C1〜C10)アルコキシポリエチレングリコールまたはモノ(C1〜C10)アリールオキシポリエチレングリコール)を誘導体するために使用される。
本発明のポリペプチドの化学誘導体化を、生物学的に活性な物質を活性化したポリマー分子と反応させるのに使用される適切な条件下で、実施され得る。ペグ化した本発明のポリペプチドを調製するための方法は、一般に以下の工程を包含する:(a)ポリペプチドが1以上のPEG基に結合するような条件下で、ポリエチレングリコール(例えば、PEGの、反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)とこのポリペプチドを反応させる工程および(b)この反応生成物を得る工程。公知のパラメータおよび所望の結果に基づいて、最適な反応条件またはアシル化反応を選択することは当業者に容易である。
ペグ化された本発明のポリペプチドは、一般に、本明細書中に記載のポリペプチドを投与することによって、緩和または調節され得る状態を処置するために使用され得るが、しかし、本明細書中で開示された、化学誘導体化された本発明のポリペプチド分子は、それらの非誘導体分子と比較して、さらなる活性、増大された生物活性もしくは減少した生物活性、または他の特徴(例えば、増大された半減期または減少した半減期)を有し得る。本発明のポリペプチド、それらのフラグメント、改変体および誘導体は、単独で、併用して、または他の薬学的組成物を組み合わせて使用され得る。
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J.et al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001);Ausubel,F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Ausubel,F.M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience;Innis,M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Academic Press;Ausubel,F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Ausubel,F.M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates;Innis,M.A.et al. (1995).PCR Strategies,Academic Press;Ausubel,F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Wiley,and annual updates;Sninsky,J.J.et al.(1999).PCR Applications: Protocols for Functional Genomics,Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えば、Gait,M.J.(1985).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRLPress;Gait,M.J.(1990).Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein,F.(1991).Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approac,IRL Press;Adams,R.L.etal.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids,Chapman&Hall;Shabarova,Z.et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,Weinheim;Blackburn,G.M.et al.(1996).Nucleic Acids in Chemistry and Biology,Oxford University Press;Hermanson,G.T.(I996).Bioconjugate Techniques,Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
(遺伝子工学)
本発明において用いられるポリペプチドならびにそのフラグメントおよび改変体は、遺伝子工学技術を用いて生産することができる。
本明細書において遺伝子について言及する場合、「ベクター」または「組み換えベクター」とは、目的のポリヌクレオチド配列を目的の細胞へと移入させることができるベクターをいう。そのようなベクターとしては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物個体および植物個体などの宿主細胞において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、本発明のポリヌクレオチドの転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが例示される。ベクターのうち、クローニングに適したベクターを「クローニングベクター」という。そのようなクローニングベクターは通常、制限酵素部位を複数含むマルチプルクローニング部位を含む。そのような制限酵素部位およびマルチプルクローニング部位は、当該分野において周知であり、当業者は、目的に合わせて適宜選択して使用することができる。そのような技術は、本明細書に記載される文献(例えば、Sambrookら、前出)に記載されている。好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルスおよび組み込み可能なDNAフラグメント(すなわち、相同組換えによって宿主ゲノム中に組み込み可能なフラグメント)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいウイルス粒子としては、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ワクシニアウイルスおよびレトロウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
(合成化学)
本明細書におけるペプチド、化学物質、低分子などの因子は、合成化学技術を用いて合成することができる。そのような合成化学技術は、当該分野において周知の技術を用いることができる。そのような周知技術としては、例えば、Fieser’s Reagents for Organic Synthesis(Fieser’s Reagents for Organic Synthesis)Tse−Lok Ho,John Wiley & Sons Inc(2002)などを参照することができる。
本発明の因子が化合物として利用される場合、塩形態で用いることができる。「塩」としては、製薬上許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩としては、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
本発明の因子が化合物として利用される場合、水和物形態で用いることができる。「水和物」としては、薬理学的に許容される水和物が好ましく、また、含水塩も含まれ。具体的には、一水和物、二水和物、六水和物等が挙げられる。
(キット)
本明細書において使用される場合、「キット」とは、複数の容器、および製造業者の指示書を含み、そして各々の容器が、本発明の薬学的組成物、その他の薬剤、およびキャリアを含む製品をいう。
(薬学的組成物)
本発明のポリペプチドは、感染症の処置、予防、診断または予後のための薬学的組成物の成分としても使用することが可能である。
本明細書において薬剤の「有効量」とは、その薬剤が目的とする薬効が発揮することができる量をいう。本明細書において、そのような有効量のうち、最小の濃度を最小有効量ということがある。そのような最小有効量は、当該分野において周知であり、通常、薬剤の最小有効量は当業者によって決定されているか、または当業者は適宜決定することができる。そのような有効量の決定には、実際の投与のほか、動物モデルなどを用いることも可能である。本発明はまた、このような有効量を決定する際に有用である。
本明細書において「薬学的に受容可能なキャリア」は、医薬または動物薬のような農薬を製造するときに使用される物質であり、有効成分に有害な影響を与えないものをいう。そのような薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、賦形剤および/または農学的もしくは薬学的アジュバント。
本発明の処置方法において使用される薬剤の種類および量は、本発明の方法によって得られた情報(例えば、疾患に関する情報)を元に、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、投与される被検体の部位の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明のモニタリング方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。疾患状態をモニタリングする頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)のモニタリングが挙げられる。1週間−1ヶ月に1回のモニタリングを、経過を見ながら施すことが好ましい。
本明細書において「指示書」は、本発明の治療方法などを医師、患者など投与を行う人に対して記載したものである。この指示書は、本発明の医薬などを例えば、放射線治療直後または直前(例えば、24時間以内など)に投与することを指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
本発明はまた、有効量の治療剤の被験体への投与による、疾患または障害(例えば、感染症)の処置および/または予防の方法を提供する。治療剤は、薬学的に受容可能なキャリア型(例えば、滅菌キャリア)と組み合せた、本発明の組成物を意味する。
治療剤を、個々の患者の臨床状態(特に、治療剤単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮に入れ、医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP=Good Clinical Practice)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とする「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
一般的提案として、用量当り、非経口的に投与されるペプチド治療剤の合計薬学的有効量は、患者体重の、約0.1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にあるが、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。連続投与する場合、代表的には、治療剤を約1μg/kg/時間〜約50μg/kg/時間の投薬速度で1日に1〜4回の注射かまたは連続皮下注入(例えばミニポンプを用いる)のいずれかにより投与する。静脈内用バッグ溶液もまた使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
治療剤を、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与し得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、経口的、直腸内、非経口的、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔スプレーとして投与され得る。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の処方補助剤をいう。本明細書で用いる用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
本発明の治療剤はまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性治療剤の適切な例は、適切なポリマー物質(例えば、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態の半透過性ポリマーマトリックス)、適切な疎水性物質(例えば、許容品質油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂、および貧可溶性誘導体(例えば、貧可溶性塩)を包含する。
徐放性マトリックスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15: 167−277(1981)、およびLanger,Chem.Tech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセテート(Langerら、同書)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。
徐放性治療剤はまた、リポソームに包括された本発明の治療剤を包含する(一般に、Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(編),Liss,New York,317−327頁および353−365(1989)を参照のこと)。治療剤を含有するリポソームは、それ自体が公知である方法により調製され得る:DE3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本国特許出 願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号ならびにEP第102,324号。通常、リポソームは、小さな(約200〜800Å)ユニラメラ型であり、そこでは、脂質含有量は、約30モル%コレステロールよりも多く、選択された割合が、最適治療剤のために調整される。
なおさらなる実施態様において、本発明の治療剤は、ポンプにより送達される(Langer、前出;Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(1980);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。
他の制御放出系は、Langer(Science 249:1527−1533(1990))による総説において議論される。
非経口投与のために、1つの実施態様において、一般に、治療剤は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化、および治療剤に対して有害であることが知られている他の化合物を含まない。
一般に、治療剤を液体キャリアまたは微細分割固体キャリアあるいはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次に、必要であれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このようなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、このような物質としては、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸および他の有機酸またはその塩類のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
治療的投与に用いられるべき任意の薬剤は、無菌状態であり得る。滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンメンブレン)で濾過することにより無菌状態は容易に達成される。一般に、治療剤は、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグまたはバイアルに配置される。
治療剤は、通常、単位用量または複数用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1%(w/v)治療剤水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結乾燥する。凍結乾燥した治療剤を、注射用静菌水を用いて再構成して注入溶液を調製する。
本発明はまた、本発明の治療剤の1つ以上の成分を満たした一つ以上の容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売に関する政府機関による承認を表す。さらに、治療剤を他の治療用化合物と組み合わせて使用し得る。
本発明の治療剤は、単独または他の治療剤と組合わせて投与され得る。組合わせは、例えば、混合物として同時に;同時にまたは並行してだが別々に;あるいは経時的のいずれかで投与され得る。これは、組み合わされた薬剤が、治療用混合物として共に投与されるという提示、およびまた、組み合わされた薬剤が、別々にしかし同時に、例えば、同じ個体に別々の静脈ラインを通じて投与される手順を含む。「組み合わせて」の投与は、一番目、続いて二番目に与えられる化合物または薬剤のうち1つの別々の投与をさらに含む。
(実施例1:設計したペプチドの活性測定及び有効濃度の決定(プロテアーゼ非誘導状態)
YPDで培養したCandidaalbicans SC5314株を用いて、本発明において設計した各種LF誘導体である、LF15 C3A(FKARRWQWRMKKLGA:配列番号9)、LF11(RRWQWRMKKLG:配列番号10)、LF11-D (RRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)、LF11-Cys (CRRWQWRMKKLGC中CとCがジスルフィド結合:配列番号11)の活性測定を行った。これにより、各ペプチドの抗菌活性の有無、並びに各ペプチドの抗菌活性有効濃度を決定した。
Candidaalbicans SC5314株(ATCCより購入)をYPD液体培地(グルコース 2%、バクトペプトン2%、酵母エキス1%)10mlに植菌し、30℃で24時間前培養してOD600を測定し、値が14から17の間にあることを確認した。次いで、得られた培養液を遠心分離して上清を取り除き、新しいYPD液体倍地10mlにOD600が0.5になるように移植して懸濁させた。そして、当該培養液を30℃で5時間培養してOD600が4.5から5.5の間であることを確認した後に、再度遠心分離して上清を取り除き、pHが7.0の5mMクエン酸緩衝溶液で1回洗浄した後、再度pHが7.0の5 mMクエン酸緩衝溶液10 mlに懸濁したものをCandida albicans SC5314株菌液とした。
ここで設計した各種LF誘導体LF15 C3A(FKARRWQWRMKKLGA)、LF11 (RRWQWRMKKLG)、LF11-D(RRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)、LF11-Cys (CRRWQWRMKKLGC中CとCがジスルフィド結合)は全て株式会社バイオロジカに委託し、化学合成法で製造した。合成法は一般的な方法に従ったが、これに限らない。得られたペプチドは滅菌水を用いて種々の濃度に希釈し、ペプチド試験液とした。
有効性評価は、Candidaalbicans SC5314株菌液10 μl、種々pHの5 mMクエン酸緩衝溶液265 μl、ペプチド試験液25 μlを混合し、37℃で3時間反応させることで反応液とし、水で希釈した種々の濃度の反応液を3μlずつYPD寒天培地(グルコース 2%、バクトペプトン2%、酵母エキス1%、アガー 2%)にスポットして生えてきたコロニー数(CFU)を数えることで行った。また、対照試験ではペプチド試験液を加えず、Candidaalbicans SC5314株菌液10 μl、種々pHの5 mMクエン酸緩衝溶液290 μlを混合し、37℃で3時間反応させたものを反応液とした。pH7.0での結果を図1に、pH4.0での結果を図2に示す。
(実施例2:本発明の抗微生物剤は、リンカー切断前には活性を失っている)
実施例1にてLF11-D(RRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)の良好な抗菌活性が確認されたため、ここで、YPDで培養したCandida albicans SC5314株を用いて、抑制ペプチドを、特異リンカーを介して抗菌ペプチドと直列に融合させたMIS-LF11-D(DDAEAVGPEAFADEDLDELKFFKARRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)、の活性測定を行った。これにより、各ペプチドの抗菌活性が抑制ペプチドによって非活性化することを確認した。
Candidaalbicans SC5314株(ATCCより購入)をYPD液体培地(グルコース 2%、バクトペプトン2%、酵母エキス1%)10mlに植菌し、30℃で24時間前培養してOD600を測定し、値が14から17の間にあることを確認した。次いで、得られた培養液を遠心分離して上清を取り除き、新しいYPD液体倍地10mlにOD600が0.5になるように移植して懸濁させた。そして、当該培養液を30℃で5h培養してOD600が4.5から5.5の間であることを確認した後に、再度遠心分離して上清を取り除き、pHが7.0の5mMクエン酸緩衝溶液で1回洗浄した後、再度pHが7.0の5 mMクエン酸緩衝溶液10 mlに懸濁したものをCandida albicans SC5314株菌液とした。
ここで設計したLF11-D(RRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)、LF11-Cys (CRRWQWRMKKLGC中CとCがジスルフィド結合)は全て株式会社バイオロジカに委託し、化学合成法で製造した。合成法は一般的な方法に従ったが、これに限らない。得られたペプチドは滅菌水を用いて種々の濃度に希釈し、ペプチド試験液とした。
有効性評価は、実施例1に記載の方法に従って行った。
図3に示す結果から明らかなように、本発明の抗微生物剤は、リンカー切断前には活性を失っていた。
(実施例3:本発明の抗微生物剤は、リンカー切断後に活性を回復する)
実施例2にて抑制ペプチドを特異リンカーを介して抗菌ペプチドと直列に融合させたMIS-LF11-D(DDAEAVGPEAFADEDLDELKFFKARRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)、の抗菌活性が抑制ペプチドにより優位に低下されたことを確認したため、ここで、YPDで培養したCandidaalbicans SC5314株を用いて、ここで設計した融合ペプチドMIS-LF11-D(DDAEAVGPEAFADEDLDELKFFKARRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)の抗菌活性評価をCandida albicansのプロテアーゼ共存下で行った。これにより、各融合ペプチドの抑制ペプチドによって非活性化された抗菌活性がCandidaalbicansのプロテアーゼにより復活することを確認した。
Candidaalbicans SC5314株(ATCCより購入)をYPD液体培地(グルコース 2%、バクトペプトン2%、酵母エキス1%)10mlに植菌し、30℃で24時間前培養してOD600を測定し、値が14から17の間にあることを確認した。次いで、得られた培養液を遠心分離して上清を取り除き、新しいYPD液体倍地10mlにOD600が0.5になるように移植して懸濁させた。そして、当該培養液を30℃で5時間培養してOD600が4.5から5.5の間であることを確認した後に、再度遠心分離して上清を取り除き、pHが7.0の5mMクエン酸緩衝溶液で1回洗浄した後、再度pHが7.0の5 mMクエン酸緩衝溶液10 mlに懸濁したものをCandida albicans SC5314株菌液とした。
ここで設計したMIS-LF11-D(DDAEAVGPEAFADEDLDELKFFKARRWQWRMKKLG中RRWQWRMKKLがD体)は株式会社バイオロジカに委託し、化学合成法で製造した。合成法は一般的な方法に従ったが、これに限らない。得られたペプチドを100μg/mlの濃度で滅菌水で希釈し、これを12.5μlと10 mMpH4.0クエン酸緩衝溶液を5.5 μl、Candida albicans SC5314株(ATCCより購入)由来のプロテアーゼSap2溶液2μlを混合して37℃で3時間反応させたものをペプチド試験液とした。ペプチド試験液の対象溶液はCandida albicans SC5314株(ATCCより購入)由来のプロテアーゼSap2溶液2μlの代わりに滅菌水2 μlを用いて調製した。
有効性評価は、Candidaalbicans SC5314株菌液5 μl、pH7.0の5 mMクエン酸緩衝溶液125 μl、上記ペプチド試験液5 μlを混合し、37℃で1h反応させることで反応液とし、水で希釈した種々の濃度の反応液を3μlずつYPD寒天培地(グルコース 2%、バクトペプトン2%、酵母エキス1%、アガー 2%)にスポットして生えてきたコロニー数を数えることで行った。また、対象試験ではペプチド試験液を加えず、Candidaalbicans SC5314株菌液10 μl、種々pHの5 mMクエン酸緩衝溶液290 μlを混合し、37℃で3時間反応させたものを反応液とした。図4に示す結果から明らかなように、本発明の抗微生物剤は、リンカー切断後に活性を回復した。
本発明は、新規リンカーを用いた、微生物に関連する疾患のための抗菌剤および検査薬を提供する。
配列番号1は、ウシラクトフェリシンのアミノ酸配列である。
配列番号2は、ヒトラクトフェリシンのアミノ酸配列である。
配列番号3は、ブフォリンIIのアミノ酸配列である。
配列番号4は、ラクトフェランピンのアミノ酸配列である。
配列番号5は、ラクトフェランピンのアミノ酸配列である。
配列番号6は、マガイニン抑制配列のアミノ酸配列である。
配列番号7は、カテリン(Cathelin)抑制配列のアミノ酸配列である。
配列番号8は、好ましいリンカーのアミノ酸配列である。
配列番号9は、LF誘導体であるLF15C3Aのアミノ酸配列である。
配列番号10は、LF誘導体であるLF11のアミノ酸配列である。
配列番号11は、LF誘導体であるLF11-Cysのアミノ酸配列である。1位のシステインと13位のシステインは、分子内でジスルフィド結合を形成する。
配列番号12は、Candida albicansのAls3(agglutinin−like sequence 3)のアミノ酸配列である。
配列番号13〜18は、Candida albicansの細胞表層に存在するペプチドのアミノ酸配列である。

Claims (21)

  1. 微生物の増殖を抑制するための抗微生物剤であって、
    (1)抗微生物活性を有する部分、
    (2)該微生物が産生する酵素によって切断されるリンカー、および、
    (3)抗微生物活性を抑制する部分、
    とを含む、抗微生物剤。
  2. 前記微生物がCandida albicansである、請求項1に記載の抗微生物剤。
  3. 前記微生物が産生する酵素がプロテアーゼである、請求項1に記載の抗微生物剤。
  4. 前記リンカーが、Sap1〜10の全てのSapによって切断される、請求項1に記載の抗微生物剤。
  5. 前記リンカーが、アミノ酸配列LKFFKA(配列番号8)を含む、請求項1に記載の抗微生物剤。
  6. 前記抗微生物活性を有する部分が:
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (b)配列番号2に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (c)配列番号3に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    (d)配列番号4に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに、
    (e)配列番号5に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    からなる群から選択される、請求項1に記載の抗微生物剤。
  7. 前記抗微生物活性を有する部分が配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からなる、請求項6に記載の抗微生物剤。
  8. 前記抗微生物活性を抑制する部分が:
    (f)配列番号6に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;ならびに、
    (g)配列番号7に記載のアミノ酸配列、ならびに、配列番号1に記載のアミノ酸配列に1または数個の置換、付加、および/または、欠失を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    からなる群から選択される、請求項1に記載の抗微生物剤。
  9. 前記抗微生物活性を抑制する部分が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、請求項8に記載の抗微生物剤。
  10. (4)前記微生物を標的化するアンカー部分、をさらに含む、請求項1に記載の抗微生物剤。
  11. 前記アンカー部分が配列番号12〜18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する抗体の抗原結合部位を含む、請求項10に記載の抗微生物剤。
  12. 微生物の増殖に関連する疾患を処置および/または予防するための薬学的組成物であって、請求項1に記載の抗微生物剤を含有する、薬学的組成物。
  13. 前記疾患がカンジダ症である、請求項12に記載の薬学的組成物。
  14. 微生物を検出するための検出剤であって、
    (1)蛍光部分、
    (2)該微生物が産生する酵素によって切断されるリンカー、および、
    (3)消光部分、
    とを含む、検出剤。
  15. 前記微生物がCandida albicansである、請求項14に記載の検出剤。
  16. 前記微生物が産生する酵素がプロテアーゼである、請求項14に記載の検出剤。
  17. 前記リンカーが、Sap1〜10の全てのSapによって切断される、請求項14に記載の検出剤。
  18. 前記リンカーが、アミノ酸配列LKFFKA(配列番号8)を含む、請求項14に記載の検出剤。
  19. 前記蛍光部分と消光部分の組合せが:
    (a)5−[(2−アミノエチル)アミノ]ナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)と、[4−((4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸](DABCYL)との組合せ;
    (b)(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル(MOCAc)と、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)との組合せ;および、
    (c)N−メチルアントラニル酸(NMA)と、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)との組合せ;
    からなる群から選択される、請求項14に記載の検出剤。
  20. 微生物の増殖に関連する疾患の診断のための薬学的組成物であって、請求項14に記載の検出剤を含有する、薬学的組成物。
  21. 前記疾患がカンジダ症である、請求項20に記載の薬学的組成物。
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