本発明の実施形態を説明する前に、本発明の原理的な考え方を説明する。
図1は、本発明に従った画像表示装置の原理的な考え方を説明するための図である。図1(a)は、ピクセル単位で映像情報を送信しているハイビジョン放送を受信し、ドットバイドット表示が可能な液晶表示パネル等より成る表示装置を有する画像表示装置において、ドットバイドット表示を行った場合の状況を示しており、図1(b)は、本発明に従ったマスキングを行っている途中の状況を示しており、図1(c)は、本発明に従ったマスキングを完成させた状況を示している。
なお、本発明においては、「マスキング」とは、以下に詳細に説明するように、表示画面の一部を、例えば、一定の色、模様等の画像でカバーすることを意味している。
既に図18を用いて説明したとおり、ピクセル単位で映像情報を送信しているハイビジョン放送を、所謂ドットバイドット方式で表示を行うと、図1(a)に示すとおり、表示装置1の表示画面の縁部(辺部分)、例えば、表示画面の下側の縁部(または辺部)に映像ノイズ2が混入する場合がある。この映像ノイズ2(以下、単にノイズ2と称する)は、通常幅が5ピクセル分程度の比較的狭い領域に現れるものであるが、表示画面1に表示される画像とは、まったく関係のないノイズであり、表示画面に表示される画像とは無関係に時間と共に変動し、大画面になればなる程目立ってきて、表示画質を損なうことになる。このノイズについてはオーバースキャンを行うことで見えなくなるため、これまで注目されていなかったが、特に、大画面、高精細の表示装置を用いてドットバイドット表示を行う際に気懸かりとなるものである。
そこで、本願発明では、このノイズ2部分を所定の画像、例えば、一定色の帯でマスキングし、ノイズ2部分を見えなくするものである。図1(b)には、ノイズ2部分の一部に対してマスキングが施され、その結果、ノイズ2の一部がマスク5に覆われている状況が示されている。また、図1(c)には、ノイズ部分の全てがマスク5で覆われた状況が示されている。
なお、図1(a)、図1(b)、図1(c)において、3は、後で詳細を説明する手動操作でマスキングを行う場合に画面に表示される手動操作のための操作ガイド表示(インディケータ)であり、4は、マスキング操作時にマスク5の幅を決め易くするためのスライドバーであり、操作指示用のインディケータ3と同様、後で詳細を説明する。
本発明では、図1(c)に示すように、ピクセル単位の画像情報が含まれている映像情報を、ドットバイドット表示した場合に、映像ノイズが表示される領域を所定の色の帯等でカバーし、映像ノイズを見えなくすることができるものである。これによれば、映像ノイズが含まれているような映像情報であっても、ノイズ成分を見えないようにしつつ、もともとの映像情報に含まれている情報を、そのままの形で表示することができ、高品質での表示が可能となる。なお、以上の説明では、マスキングが実行されたときのマスク5として「所定の色の帯等」としているが、後で説明するとおり、「所定の色の帯」に限らず、種々の変形が考えられることから、一般的には、このマスク5としてより一般的な表示を意味する場合には、「所定の画像」あるいは単に「画像」と記載する。
以下に、本発明に従った実施例を説明する。なお、以下の説明では、本発明を実施するために好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲は以下の実施例および図面に限定されるものではない。
[実施例1]
図2は、本願発明の実施例1を示す図であり、本願発明を、ドットバイドット表示が可能な液晶表示パネル等の表示装置を備えた液晶テレビに適用した場合の例を示している。なお、テレビとして動作する部分は、従来公知の技術を用いることが出来るため、図2においては、図面が複雑になりすぎることを避けるために、概略の構成として記載している。
図2において、10は、ドットバイドット表示が可能であり、且つ、図1と共に説明した映像ノイズ部分をマスキングすることが可能な液晶テレビを示している。この液晶テレビ10は、バス8に接続されたCPU6、メモリ7を有しており、この液晶テレビ10の動作は、前記CPU6および前記メモリ7に記憶された各種の制御プログラムにより制御される。
前記メモリ7は、通常、RAMによって構成されるが、一部にROMを含んでいても良い。また、書き換え可能なフラッシュメモリ等を含んでいても良い。前記メモリ7には、CPUを動作させるためのOSや各種の制御ソフト等が記憶され、また、各種制御動作に必要なワークメモリとして働くワーク領域を有しており、さらに、放送波を介して受信したEPGデータ等の番組情報に関するデータ、OSD表示を行う際に必要となるOSD用画像データ等が記憶されている。
液晶テレビ10には、デジタルチュナー部14の外に、アナログチュナー部12が設けられており、アナログ放送も受信可能とされている。また、外部入力部31には、HDD、SDカード等の固体メモリ、BD(ブルーレイディスク)、DVD、CD等のディスク装置等、種々の外部機器30が接続可能とされており、さらに、液晶テレビ10の本体内にもBD/DVD/CDの記録/再生部32が内蔵されている。さらに、IP放送チュナー部23が備えられており、IP放送の受信も可能とされている。
液晶テレビ10は、この外、AVスイッチ部13、デジタル復調部15、分離部(DMUX)16、ビデオデコード/キャプチャ部17、ビデオセレクタ部18、映像処理部19、加算回路20、表示制御部21、液晶表示装置22、EPG/OSD/予約処理部24、オーディオデコード部25、オーディオセレクタ部26、音声出力変換部27、スピーカ28、選局部33、通信制御部34、リモコン受光部35を有している。
本発明に従った液晶テレビ10には、さらに、図1と共に説明したマスキングを実現するためのマスキング処理用メモリ37、周囲の明るさを検出するためのOPC(光)センサ38、マスキング処理部39が設けられている。なお、ここでは説明の都合上、特に、マスキング処理用メモリ37を設ける旨の説明をしているが、もともと設けられているメモリ7の一部領域を利用できることは言うまでもない。
アナログチュナー部12は、アナログ放送受信用のアンテナ11を介して受信するアナログテレビ放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて選局を行う。アナログチュナー部12からの受信信号は、AVスイッチ部13において、音声信号と映像信号とに分離され、映像信号はビデオセレクタ部18に入力され、音声信号はオーディオセレクタ部26に入力される。
デジタルチュナー部14は、デジタル放送受信用アンテナ11’介して受信するデジタルテレビ放送信号を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信するチャンネルの選局を行う。デジタルチュナー部14からの受信信号は、デジタル復調部15にて復調され、分離部(DMUX)16に送られる。
IP放送チュナー部23は、電話回線およびLAN等に接続された通信制御部34を介して受信するIP放送を選局するもので、選局部33からの選局指示に応じて受信する特定のIP放送を選局し、出力を分離部(DMUX)16に送る。
分離部(DMUX)16は、デジタル復調部15またはIP放送チュナー部23から入力された、多重化された映像データ、音声データを分離し、映像データをビデオデコード/キャプチャ部17に送り、音声データをオーディオデコード部25に送る。さらに、分離部(DMUX)16は、放送信号に含まれるEPGデータ等のデータを抽出し、EPG/OSD/予約処理部24に送る。また、後で詳細に説明するマスキング処理に必要な情報類をマスキング処理部39に送る。なお、分離部(DMUX)16によって抽出された放送波信号は、必要に応じてCPU6による書き込み制御によりメモリ7に記録される。
ビデオデコード/キャプチャ部17は、分離部(DMUX)16によって分離された映像データをデコードしたり、映像データに含まれるビデオ情報を静止画としてキャプチャしたりする。前記ビデオデコード/キャプチャ部17によってデコードされた映像信号は、ビデオセレクタ部18に送られる。ビデオセレクタ部18には、既に説明したとおり、アナログチュナー部12からの映像信号が入力されており、また、外部入力部31からの映像信号も入力されている。ビデオセレクタ部18は、CPU6からの制御信号により、これらの入力画像信号から1つの映像信号を選んで出力し、映像処理部19に送る。
映像処理部19では、入力された映像信号に対して、例えば、ノイズリダクションの処理、シャープネスの調整、コントラストの調整等の映像処理を行い、液晶表示装置22に対して最適な映像信号となるように映像データを変換する。
表示制御部21は、受信した映像データを液晶表示装置22に表示させるための駆動回路を含む部分であり、加算回路20によって加算された、EPG/OSD/予約処理部24からの電子番組表(EPG;Electronic Program Guide)データ、あるいは、OSD(オン・スクリーン・ディスプレイ)データを、映像処理部19からの映像データに加えて液晶表示装置22に送る。液晶表示装置22では、送られてきた映像データを画面上に表示する。
加算回路20には、さらに、本発明に従って設けられたマスキング処理部39からのデータが入力されているが、この点については、後で詳細に説明する。
オーディオデコード部25は、分離部(DMUX)16によって分離された音声データをデコードするものである。オーディオデコード部25は、デコードした音声信号をオーディオセレクタ部26に送る。
オーディオセレクタ部26では、AVスイッチ部13からの音声信号、外部入力部31からの音声信号、および、オーディオデコード部25からの音声信号を受け、CPU6からの制御によってビデオセレクタ部18で選択された映像信号に対応した音声信号を選択し、音声出力変換部27を介して音声信号をスピーカ28に送る。音声出力変換部27は、受信した音声信号をスピーカ28での再生に最適な信号に変換してスピーカ28に供給する。
リモコン受光部35は、リモートコントローラ36からの光信号を受信して、前記リモートコントローラ36からの制御信号を受け付けるためのものである。後から説明する手動マスキング処理の実行時における使用者からの指示は、このリモートコントローラを介して行われる。
EPG/OSD/予約処理部24は、定期的に更新保存されたEPGデータに基づき電子番組表を作成し、また、メモリ7に予め保存されているOSDデータを描画する。前記のOSDデータとは、例えば、予めメモリ7に記憶された設定メニュー画面、音量ケージ、現在時刻、選局チャンネル等の各種情報を描画するためのデータである。また、EPG/OSD/予約処理部24は、前記の電子番組表を利用して番組の予約処理等を行う。
通信制御部34は、電話回線、LAN、インターネット等のネットワーク網を介して通信を確立させるように制御を行う。
マスキング処理用メモリ37は、図3、図5、図6、図7、図8及び図16等に示されたマスキング処理実行の際に必要となる各種の制御プログラムを記憶しており、さらに、マスキング処理の実行に必要な種々のデータ類を記憶している。即ち、たとえば、後で詳細を説明する図11に示す色情報を保存する部分(色情報保存部)、図14、図15に示すマスキング条件を保存する部分(マスキング情報保存部)等として機能する。なお、上記の制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させておき、その制御プログラム自体を単独で扱えるようにしておいて、容易に任意の液晶テレビ等にマスキング処理機能を持たせるようにすることも可能である。
マスキング処理部39では、コンピュータとして動作するCPU6及びマスキング処理用の各種のプログラム等と協働して後で詳細を説明する図3、図5、図6、図7、図8及び図16に示す各種の処理を実行する。
次に、図3から図7を用いて、図2に示した液晶テレビにおけるマスキング処理の手順の一例を説明し、次いで、図7〜図15を用いて、手動によるマスキング処理の1実施例を説明し、さらに、図16を用いて、全自動のマスキング処理の1実施例を説明する。
図3は、図2に示した液晶テレビにおいて、図1を用いて説明した本発明に従ったマスキングを行う手順の一例を示す図(フローチャート)である。なお、以下に説明する手順は、主としてCPU6、マスキング処理用メモリ37、マスキング処理部39によって達成される。また、液晶テレビの使用者による入力は図2に示したリモートコントローラ36およびリモコン受光部35によって行われる。
なお、図3に示すフローチャートは、図2に示した液晶テレビの動作に関する手順の概略を示しており、全体の詳細な手順を正確に示したものではない。即ち、各種の処理、例えば、電源OFFの処理、チャンネル切り換え等を含む入力の切り替え処理、非マスキング表示中のマスキング機能のON処理、マスキング表示中のマスキング機能のOFF処理、マスキング表示中のマスキング条件の変更処理、画面表示モードの変更処理(ドットバイドット表示のON、OFF処理等)等は、液晶テレビの視聴中において、適宜、使用者からの指令により割り込み可能であるが、図3のフローチャートでは過度に複雑になることを避けるため、これらの全てを記載してはいない。
図3において、液晶テレビの電源がONになると、入力信号がドットバイドット対応信号か否かが識別される(St.1)。この識別は、図2のマスキング処理部39によって行われる。St.1における前記識別処理は、入力信号自身を分析してドットバイドット対応信号か否かを検出することも可能であるが、より簡単には、予め、どの入力信号がドットバイドット対応信号であるかを図2中のマスキング処理用メモリ37に登録しておくことにより、自動的に行わせることができる。例えば、入力が地上デジタル放送である場合、あるいはBD再生装置からの信号である場合等をドットバイドット対応信号であるとして、予め前記マスキング処理用メモリ37登録しておく。液晶テレビ視聴時には、現在視聴しているコンテンツが何処からの信号であるかを検出して、ドットバイドット対応信号か否かを判定する(St.2)。
ドットバイドット対応信号である場合には、さらに、液晶テレビの画面表示モードがドットバイドット表示モードに設定されているか否かを検出し(St.3)、ドットバイドット表示モードに設定されている場合には、さらに、液晶テレビにおいて、マスキング機能がONに設定されているか否かを検出する(St.4)。
液晶テレビにおける前記の設定(ドットバイドット表示モードをONにするかOFFにするかの設定、および、マスキング機能をONにするかOFFにするかの設定)は、予め、いずれに設定しておくことが好ましい。例えば、工場出荷時に、前記の設定をいずれも「YES」にしておけば、視聴者が液晶テレビの電源スイッチをONにすると、入力信号がドットバイドット対応信号であるときは、自動的に、「マスキング機能がオンになった表示」がなされることになる。
また、上記の設定(ドットバイドット表示モードをONにするかOFFにするかの設定、および、マスキング機能をONにするかOFFにするかの設定)については、使用者が最初に電源を投入する際に、使用者が設定するようにしても良い。即ち、使用者が最初に電源を投入した際に、St.3、St.4において、設定をどのようにするかの使用者に対する問いかけのメッセージを表示させ、そのメッセージに従って、使用者が初期設定を行うようにしてもよい。
また、煩雑さをいとわなければ、電源スイッチをONにする度に、さらには、入力を切り換える度に使用者に設定を促し、それに従って使用者が設定するようにしても良い。
なお、既に説明したが、上記の設定(ドットバイドット表示モードをONにするかOFFにするかの設定、および、マスキング機能をONにするかOFFにするかの設定)の変更処理は、液晶テレビの視聴中、いつでも割り込み出来るようにしておくことが好ましく、この場合には、視聴者が自分の好みに応じた設定がいつでも容易に可能となる。
マスキング機能がONに設定されているときは、マスキングの条件を設定する処理に入ることになる(St.5)。このマスキング条件設定処理の詳細は、図5を用いて後で説明するが、工場出荷時に、予め、特定のマスキング条件を優先設定しておき、特に、マスキング条件変更処理の割り込みがこない限り、そのマスキング条件でマスキングを実行させることが出来る。
本実施例による液晶テレビは、前記St.5のマスキング条件設定処理で設定された条件(設定値)によってマスキング処理を実行し(St.6)、マスキング機能をOFFにせよとの指令が入力されるまで(St.7)、あるいは、電源がOFFになるまで(St.8)、マスキングを実行した表示を継続することになる。
前記St.2において、入力信号がドットバイドット対応信号でないときは、非マスキングでの表示を行うことになる(St.9)。また、ST.3において、液晶テレビの画面表示モードがドットバイドットでの表示モードでなかった場合、ドットバイドットモードに変更するか否かの確認を求められるので、使用者は、リモートコントローラから指示を入力する(St.10)。ドットバイドット表示モードに変更しない場合には、非マスキングでの表示を行う(St.11)。非マスキングでの表示は、マスキング機能をONにせよとの指示が入力されるまで継続する(St.12)。
図4は、St.10における、使用者からの指示を入力する入力方法の一例を示している。入力信号がドットバイドット対応信号であるにも係らず、画面表示モードがドットバイドット表示に設定されていない場合、St.10において、液晶テレビの表示装置1の表示画面に、図4(a)に示すように「画面サイズ切り替え」の表示41がなされるので、使用者は、図4(b)に示すリモートコントローラ36によってドットバイドット表示モードへの切り替えを意味する「ドットバイドット」を選択する。
図4は、ドットバイドット表示モードへ割り込み操作の一例をも示している。即ち、リモートコントローラ36の「メニュー」キー42を押すと、その時に操作できる項目の表示がなされるので、その中から画面サイズを指定する「画面サイズ」キー43を押す。液晶テレビが、ドットバイドット対応信号を受信中でありながら、ドットバイドット表示モードでない場合には、「画面サイズ」キー43の押し下げにより、表示装置1の表示画面上には、画面サイズ切り替えの表示41が成されるので、「上下左右移動指示」キー45を操作して、「ドットバイドット」を選び、「決定」キー44を押し下げてドットバイドット表示モードに切り換える。
なお、図3におけるSt.11およびSt.12の記載は、「マスキング機能ON」の指令が入力されるまで、非マスキングでの表示が行われることを示しており、非マスキングでの表示が継続している状態中に、「マスキング機能ON」の指令が割り込まれると、画面表示モードが「ドットバイドットの表示モード」に変更されることを示している。
図5は、図3に示したフロー中のSt.5(マスキング条件設定処理)の一例の詳細を示すフロー図である。マスキングを行う際に考慮すべき事項は種々あるが、例えば、図14に示すような項目、即ち、グラデーション、マスク幅、マスク領域、マスクの色等がある。マスキング条件設定処理は、これらの各項目に対して1の条件を選択し設定するものであるが、この実施例の液晶テレビでは、メーカ設定としてデフォルト設定(優先度が一番目)が決められている。図14は、マスク設定パラメータ表の例であるが、この詳細については後述する。
マスキング条件設定処理では、先ず、優先設定の設定値に従ってマスキングを実施する(St.1)。前述のとおり、本実施例では、図14に示した、設定条件の内、優先度に○印が付与された条件でのマスキングが実行される。次いで、St.2において、マスキング方法を変更するか否かの指示が求められるが、この実施例に示した液晶テレビでは、工場出荷時にデフォルト設定として「マスキング方法は変更しない」ように予め設定しておく。従って、特に、使用者が何も指示しない場合には、このデフォルト設定の条件によってマスキングがなされる。既に述べたとおり、液晶テレビが特定のマスキング条件でマスキングを実行中、「マスキング方法の変更」は、何時でも割り込み処理によって、実行可能としておく。
割り込み処理により、「マスキング方法を変更する」を選んだ場合(St.2)、既存の設定値に変更するか否かの指示がなされるので(St.3)、既に、他の設定値がある場合にはSt.5に示すように他の保持設定値で実行させることも出来る。このSt.5のフローの詳細は、図6に示しているので、後で詳細に説明する。
既存の設定値でのマスキングを行わない場合には、手動によってマスキング方法を変更するか否かの指示が求められるので(St.4)、手動によってマスキング方法を変更する場合には、「手動操作によるマスキング方法変更」(St.6)のための処理を実行する。この「手動によるマスキング方法変更」(St.6)の詳細は、図7〜図15を用いて後で説明する。
図6は、既にマスキング条件に関する登録済みの設定値がある場合のフローの一例を示すものである。図6(a)に示すとおり、先ず、「登録済みの設定値から選択する」処理がなされる(St.1)。これは、例えば、図6(b)に示すように、表示装置1上に、選択候補(設定値データ1、・・・設定値データn)を示す表示を行い、その中から、特定の設定値データを選ばせることによって行うことができる。あるいは、図6(c)に示すように、画面上に実際のマスキングを実行した時の様子を示す画面61〜64を順次表示させ、マスキングの状況を見ながら選ばせても良い。
図6(a)において、特定の設定値のマスキングを選択した後(St.1)、これを確定させ(St.2)、確定した設定値に基づいてマスキングを実行する(St.3)。この確定した設定値に基づくマスキング方法を優先設定値として設定する(St.4)場合、即ち、工場出荷時のデフォルト設定に替えて新たに優先表示させるようにする場合には、確定した設定値を優先設定値として設定する(St.4)。この場合、図14に示すマスク設定パラメータ表中の優先欄に○が記入されることとなる。
次に、マスキングの条件を手動で設定する場合を説明する。
図7は、マスキングの条件を手動で設定する場合の処理の概要を示している。図7において、「手動操作による設定」(St.1)の詳細は、図8、図9を用いて、後で詳細を説明するが、このSt.1で選択した設定値を確定するか否かが求められるので(St.2)、確定する旨の指示を行うと、確定した設定値によるマスキング表示が実行される(St.3)。さらに、上記St.3において実行させた設定値を優先設定値とする場合には、その旨の指示を行う(St.4)。
図8は、図7における「手動操作による設定」(St.1)の詳細を説明するためのフロー図である。図8において、先ず、マスキングの箇所の選択、マスキングの量(幅)の選択が手動によって行われる(St.1)。
このマスキングの箇所の選択、およびマスキングの量(幅)の選択を行う際の手動操作の一例を、図9、図10を用いて説明する。
手動操作によるマスキング実行処理に入ると、表示装置1の表示画面上には、図9(a)に示されるように、マスキングを実行する場所を選ぶためのリスト91が表示される。なお、図9(a)、(b)、(d)において、表示装置1中に、ノイズ2が画面の上下端部に現れている状況が示されている。以下に述べる使用者による液晶テレビの操作は、図4(b)に示したリモートコントローラ36の操作によって、例えば、「メニュー」キー42、「上下左右移動指示」キー45、「決定」キー44等の押し下げ操作によって行われる。
図9(a)に示されたリスト91中、「画面の下部のみを設定」の項目92を選択すると、「画面の下部のみを設定」の項目92の箇所がハイライト表示され、次いで、図9(b)に示すように、表示装置1の中央に「画面下部のみを設定中」の表示93がなされると共に、画面の端部分に手動操作のための操作ガイド表示3が表示される。
操作ガイド表示3中には、調整を実行するためのスライドバー4が含まれているので、リモートコントローラ36の「上下方向移動指示」キーを用いて、このスライドバーを目安にし、このスライドバーを画面上方向に動かすことにより、マスク5部分の幅を調整する。図9(c)は、ノイズ2部分がマスク5により完全に覆われた状況を示している。
次に、「画面の上部のみを設定」を選択して、前記の「画面の下部のみを設定」する場合と同様に、操作ガイド表示3のスライドバー4を目安にして画面上部にマスク5を施す。図9(d)は、この時の画面を示しており、「画面上部のみを設定中」の表示95が現れている。最終的には、図9(e)に示すとおり、ノイズ部分の全てがマスク5によって覆われることになる。
図10は、手動操作による設定の別の設定方法を示している。なお、図10において、図9と同一の箇所には同一の番号を付与しているので、これらの部分に対する説明は省略する。図10(a)は、表示装置1中に「画面上下部を同時に設定中」との表示97があるとおり、画面上下部を同時に設定する方法を示している。この場合、操作ガイド表示3のスライドバー4を上方向に動かすことにより、画面下部のノイズ2部分は画面の下部から、また、画面上部のノイズ2の部分は画面の上から、(即ち、画面の端部から)同時にマスクが成されることになる。ノイズ2の領域がマスク5により完全に覆われた時点で手動操作が終了する。
図10(b)は、「画面左右部を同時に設定中」の表示98があるとおり、ノイズ2を覆う操作を、左右から同時に行うことを示している。図10(c)は、さらに、別の方法を示しており、この場合は、「画面上下左右を同時に設定中」との表示99があることから分かるとおり、画面の4辺を同時に調整するものである。いずれも、図9に示した調整よりは効率的ではあるが、図9に示したように4辺夫々別にマスク5の量(幅)を設定することが出来ないので、決め細やかな調整が出来ない。以上の操作により、マスキングを施す箇所の設定とマスキング量(幅)が設定できる。
次いで、図8に戻って、マスキング処理の実行によって形成されたマスク5部分にグラデーションをかけるか否かの設定を行う(St.2)。グラデーションを実行する場合には、マスキング方法をグラデーションに変更する(St.3)。なお、グラデーションとは、図11に示すように、マスク5の内、表示装置1の枠50部分に隣接したマスク部分52から離れたマスク部分53に至る間で、徐々に色の濃さを変える事をいう。図11(a)は、表示装置1の表示画面の枠50に沿って周囲全体をマスク5が覆っている場合を示しており、図11(b)は、表示装置1の表示画面の上の枠50のみにマスク5を施した例を示している。
さらに、マスク5の色を決める処理に入る。この実施例では、前キャビネットの色に応じてマスキングをするか否かを最初に決めることとしている(St.4、St.5)。前キャビネットの色、即ち、枠50の色に合わせてマスク5を施すと、マスク5と枠50が違和感なくつながるという効果を奏するので、マスキングを目立たなく行うような場合には極めて有効である。この場合、前キャビネットの色に関する情報は、図2のマスキング処理用メモリ37内に予め保持しておく必要があることは言うまでも無い。
マスク5の色を、枠50の色と無関係に、ユーザーの好みによって設定することも出来る(St.6、St.7)。この場合は、例えば、図12(a)、(b)に示すようなカラーパレットを利用して好みの色を選択できるようにしておくことが好ましい。この場合カラーパレットに関する情報は、図2のマスキング処理用メモリ37内に予め保持しておくものとする。
この実施例では、周囲の明るさに応じてマスキングの色を変えることもできるようにしている(St.8、St.9)。即ち、図2のOPCセンサ38(光センサ)によって、液晶テレビが置かれた周囲の明るさを検出し、それに応じた色でマスキングを施す。例えば、図13に示した表に記載されているように、明るさ毎にマスク5の色を変えるように設定しても良いし、色は同じだが、色の濃さを変えても良い。
さらに、この実施例では、明るさに応じて(色を変えるのではなく)マスク5部分の輝度を変えることもできるようにしている(St.10、St.11)。最近の液晶テレビでは、バックライトにLEDを用いて、狭い領域毎に前記LEDの明るさ(輝度)を調節できるように構成したもの(エリアアクティブ方式のバックライト装置)が提案されている。この場合には、LEDの輝度を調整することで容易に実施できる。
また、マスク5部分の色として、デフォルト値を黒としておき、黒色のマスキングとすることもできる(St.12)。マスク5の色等は、以上に述べたものに限らず、種々の形で実行することができる。
図14は、マスキングに際して考慮すべき各種の条件(選択項目)を纏めて表にしたものである。例えば、マスキングの条件には、既に説明したとおり、グラデーションをかけるか否か、グラデーションをかけるとしてその強度をどうするか、マスクの幅をどうするか、マスクを設ける領域をどうするか、マスクの色をどうするか、等の要素があり、さらには、額縁状にする、あるいは特定の模様にする等の要素がある。特定の模様については、予め幾つかのパターンを登録して置き、そのパターンを選択するようにしておけばよい。その場合、特定のパターンに対し、色を図12に示したカラーパレットを用いて選択できるように設定することも可能である。
本実施例では、上記の条件(選択項目)に対して、特定の条件(選択項目)を予め選択しておき、登録しておくことも可能である。図14の表中には、メーカ設定(工場出荷時のデフォルト設定)、ユーザー設定1、ユーザー設定2として登録された例が示されている。
また、最優先されるべき設定を選び、登録しておくことも可能である。図14に記載の例では、メーカが工場出荷の際に設定した条件を優先されるべき条件として設定している。既に説明したとおり、優先度が付与されたマスキングの条件は、図5と共に説明した「優先設定の設定値によるマスキング方法でマスキングを実行する」際の設定値となる。
デフォルト設定としてのメーカ設定値の詳細を説明すると、マスク5としてはグラデーションを施すこととし、その程度は中程度とする、マスク5の幅は5ドットであり、全周囲に施す、マスク5の色は、キャビネット(あるいは枠)の色と同じ色とする、というものである。この場合には、マスク5とマスク5の周囲の枠の色が同じであるため、マスクを施したことによる違和感が少ない。なお、まったく同一の色でなくとも、近い色、即ち、同じ色相の色であれば同様な効果が期待できる。
手動によるマスキング条件の設定では、図14に示したマスキング条件を表示装置1の表示画面に一覧表示させ、項目毎に個別に選択できるようにしても良い。図15は、この場合の状況を示している。表示装置1の表示画面中に図14で示した選択項目と同様な表を表示しておき、各項目を直接指示し選択できるようにする。図15において、例えば、選択中の項目を点滅で示し、確定した項目をハイライト表示する。変更すべき全ての項目を選択が終了した時点で、例えば、リモートコントローラ36の「決定」キーを押下げる。
図15では、「グラデーション」の項目を選択中であり、グラデーションの条件として「中」を選択している状態の例を示している。項目の選択等の入力には、リモートコントローラ36各種のキーを利用する。また、決定した設定値は、随時「設定値」欄に表示する。必要な項目の選定を終了した後で、これを新たなユーザー設定値として登録できるようにしても良い。
[実施例2]
図16は、本発明の第2の実施例を示す図であり、マスキング処理を完全に自動で行う場合のフローを示している。この場合、本発明が適用される液晶テレビ自体の構成は図2に示した液晶テレビ10と同様であってよく、マスキング処理部39の動作が異なるものである。
図16において、液晶テレビの電源スイッチがONになると、入力信号がドットバイドット対応信号であるか否かを判断して(St.2)、ドットバイドット対応信号である場合には、ドットバイドット表示に設定する(St.3)。さらに、画面周辺部に対応する映像信号にノイズがあるか否かを検出して(St.5)、ノイズがあるときには、走査線の本数または水平周波数時間に換算したマスキング量(マスクの幅)を計算し(St.6)、そのマスク幅でマスキング処理を行う(St.7)。
画面の周辺部にノイズがあるか否かを検出することは、必ずしも容易ではないが、例えば、画面周辺部の画像情報と隣接する部分の画像情報の差異を、所定の時間に亘って検出し、大きな差異があるときにはノイズありと判断させることなどで達成できる。また、同じ番組を見ている途中でマスキングが実行されたり停止されたり、あるいは、マスキングの状態が変化すると、画面周辺部の画像が乱れて醜くなるので、入力切り替え、例えば、チャンネル切り替え等がなされるまでは、マスキングを変更しないように設定しておくことも出来る。
なお、以上の説明では、液晶テレビを前提にして、液晶テレビでデジタルテレビ放送を受信した場合を想定して説明したが、テレビ放送を受信しない場合でも、例えば、デジタル放送を録画したBDを再生した場合にも、液晶表示パネル等の表示装置の周辺にノイズが再生されることがあり、本願発明が有効に適用されることは明らかである。即ち、本願発明は、テレビ受像機に限らず、ドットバイドット表示が可能な表示装置を備えた、BD記録および/または再生装置を内蔵する画像表示装置、あるいは、BD記録および/または再生装置に対する接続端子を有する画像表示装置に対しても有効に適用できる。
また、以上の説明では、表示装置として、液晶表示パネルを想定して説明してきたが、液晶表示パネルに限られることなく、ドットバイドット表示が可能な表示装置、たとえば、プラズマパネル、ELパネル等を用いることができる外、投射型の画像表示装置における表示画面を対象とすることも出来ることは明らかである。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。当業者は、請求項に示した範囲内において、本発明をいろいろと変更できる。すなわち、請求項に示した範囲内において、適宜変更された技術的手段を組み合わせれば、新たな実施形態が得られる。
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、表示装置1に含まれている各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち表示装置1は、各機能を実現するプログラム(画像表示装置制御プログラム)の命令を実行するCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。この構成により、本発明の目的は、所定の記録媒体によっても、達成できる。
この記録媒体は、上述した機能を実現するソフトウェアである表示装置1のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録していればよい。表示装置1に、この記録媒体を供給する。これにより、コンピュータとしての表示装置1(またはCPUやMPU)が、供給された記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し、実行すればよい。
プログラムコードを表示装置1に供給する記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
また、表示装置1を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して表示装置1に供給する。この通信ネットワークは表示装置1にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。