JP2010242153A - 冷却装置 - Google Patents

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文男 金田
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Abstract

【課題】冷却水等といった冷却液を放出するための穴を改善することにより、少量の冷却液で対象物を効率良く冷却することができる高周波焼入れ装置を提供する。
【解決手段】鋼管7に対して相対的に移動可能であり鋼管7に対向する面に複数のノズル11を支持したジャケット8と、複数のノズル11に冷却水を供給する給水装置9とを有する冷却装置2である。複数のノズル11のそれぞれは、外被管の内部に螺旋形状部材を配置することによって形成されている。外被管の先端に冷却水の出口穴が設けられ、他端には冷却水の入口穴が設けられる。出口穴の直径は螺旋形状部材の外径よりも小さくなっている。給水装置9によってジャケット8の内部に供給された冷却水はノズル11の内部へ入り、螺旋形状部材によって螺旋運動を付与された後、ノズル11の出口穴から錐状に広がって放出され、鋼管7に当って鋼管7を冷却する。
【選択図】図2

Description

本発明は、焼入れ、焼鈍等といった熱処理に好適に用いられる冷却装置に関する。
鋼製の部材を目的に応じた特性に調整するために熱処理を行うことが、広く産業界において行われている。熱処理においては、一般に、鋼製部材を所定の高温に加熱し、次に、加熱されたその鋼製部材を冷却する。
例えば、小型で軽量である鋼製の構造部品の寿命を長くするために、当該構造部品に表面硬化処理が施されることがある。従来、表面硬化処理を実現するために種々の方法が知られている。そのうちの1つの方法として高周波焼入れが知られている。この高周波焼入れは、焼入れの対象である鋼製のワークに高周波を付与して誘導熱を生じさせて該ワークを所定相を呈するまで加熱し、この加熱されたワークを所定の冷却速度で急速に冷却することによって該ワークの表面を硬化させることである。
熱が伝わる現象を考えたとき、温度が均一化する方向に熱エネルギが移動する現象が熱伝導である。他方、固体表面とそれに接触する流体との間で熱が移動する現象が熱伝達である。上記の高周波焼入れで用いられる冷却処理は、一定の流速で冷却水を固体表面に連続して当てる(すなわち接触させる)ことによって熱移動を実現する方法であり、強制対流熱伝達に属する現象を利用した冷却方法である。
高周波誘導加熱を利用すれば、構造部品を短時間に所定の焼入れ温度まで昇温させることができ、それ故、熱処理後の組織が微細で延性及び靭性に優れた機械的性質を得ることができる。しかも、構造部品の一部分のみを硬化させることができ、熱歪みが少なく素材の性質を有効に引き出すことができる。
また、高周波を用いた加熱によればワーク全体を加熱する必要がなく、熱効率に優れ、省エネルギが得られる。また、昇温が迅速であり、作業時間が短くて済み、熱処理後の表面は酸化スケールが少なく表面清浄化のための後工程を省略でき、それらの結果、コスト削減を達成できる。さらに、熱を誘導発生させるためにコイルに印加する高周波の周波数や出力の変更が容易であり、加熱コイルや冷却システムを適宜に組合せることができ、それ故、焼入れシステム全体のシステム設計の自由度が高い。
以上のように、高周波焼入れは多くの利点を有しており広い産業分野で活用されている。例えば、従来、引用文献1によれば、ワークとしての電縫鋼管11,12を高周波誘導加熱コイル30によって所定温度まで加熱し、次に、冷却水室43の内周面に設けた複数の噴射穴44から電縫鋼管12へ向けて冷却水45を噴射して該電縫鋼管11,12を該冷却水温度まで冷却することにより、該電縫鋼管11,12に焼入れ処理を施すようにした高周波焼入れ装置が知られている。
また、引用文献2によれば、フラットスプレーノズル4cを用いて冷却装置を構成し、進行方向の下流側で広がる形状の放射状態の冷却水をフラットスプレーノズル4cの全体から放射することにした高周波焼入れ装置が知られている。この装置において、フラットスプレーノズル4cを構成する個々の噴射穴からは冷却水が直線状に噴射するものと考えられる。
また、引用文献3によれば、ジャケット12,13の内部にリング状でスリット状の噴射口15を設け、その噴射口15からワーク10へ向けて冷却液を逆円錐状でフィルム状に吹き付ける冷却方法が開示されている。
特開平7−054048号公報(第2−4頁、図1−2) 特開平8−253817号公報(第7頁、図9) 実願平2−083528号(実開平4−040752号)のCD−ROM(第4頁、第2図)
上記の従来の各高周波焼入れ装置においては、加熱されたワークを冷却する冷却部において、多数の穴のそれぞれから冷却液、例えば冷却水を直線状、すなわち断面径が均一であるビーム状、に噴出してそれらをワークに当てて、該ワークを冷却していた。すなわち、従来の冷却部においては、冷却液をワークに複数の***からシャワー状に当てることによって該ワークの冷却を行っていた。
ところで、高温に加熱されたワークに冷却水を当てると、ワークの表面に蒸気膜が生成される。この蒸気膜は熱伝達率が低いので、何等の措置も講じないと、冷却ムラ、焼入れ硬度の不足、ワークの曲がり等といった不都合が生じるおそれがある。近年では、焼入れのための処理速度の高速化が要求されている。例えば、自動車に使用されるドアインパクトビーム(ドア衝撃梁)用の高張力鋼の鋼管の焼入れ処理に関して見れば、従来の一般的な処理速度は60mm/secであったところ、現在では300mm/sec程度の速度に達している。このように焼入れの処理速度が高速になると、蒸気膜の発生に伴った上記の不都合はより一層顕著になる。
上記の蒸気膜の発生にもかかわらずワークを効率良く冷却させるためには、蒸気膜の発生を抑制するか、冷却水を蒸気膜を突き破ってワークに到達させることが有効である。そしてこれらのためには、冷却水の速度を十分に大きくすることが必要である。冷却水をワークにシャワー状に供給することにした従来の場合、所定の圧力の下でワークに当たる冷却水の流速を十分に大きくするためには、放出用の多数の穴へ冷却水を多量に供給することが必要である。
しかしながら、複数の単純な小径の穴から冷却水を放出させる構造のシャワー方式の冷却装置において、穴の径や穴間の距離(いわゆるピッチ)の調整によって液体に関して所望の流速を得ることは非常に困難であった。
以下、焼入れ、焼鈍等といった熱処理に際して用いられる冷却装置の一般的な特性を挙げると共に、冷却装置の1つの従来例を挙げて従来の問題点を説明する。
(A)一般的な冷却装置に関する説明
以下の説明では、熱処理として高周波焼入れを行う場合を例示するものとする。
(a)寸法及び材質
まず、焼入れの対象物であるワークとして、外径φ31.8mm〜φ25.4mm、板厚1.4mm〜2.8mmの鋼管、特に外径φ31.8mmで板厚2.0mmの鋼管を焼入れ処理することを考える。この鋼管は高張力鋼によって製造されるものとする。このワークは、自動車のドアインパクトビームとして好適な鋼管である。
(b)ワークの搬送速度
従来の多くの焼入れ処理では、ワークを搬送しながら高周波加熱及び冷却処理を行うが、その際のワークの搬送速度は60mm/sec程度であった。しかしながら、最近では300mm/secの高速の搬送速度に達することがある。
(c)急速水冷却
本明細書において、焼入れ処理における「急速水冷却」とは、赤熱された鋼管に一定の流速を持った冷却水を鋼管の外表面に中断することなく供給して、鋼管の外表面の温度を冷却水の温度近くに保持し、熱伝導により鋼管全体の温度を冷却水温度近くまで下げて、鋼管を焼入れすることである。なお、冷却媒体は冷却水に限られない液体であるが、説明を理解し易くするために以下の説明では、冷却媒体を冷却水と考えて説明する。
(d)冷却所要時間
上記の材料から成り上記の寸法を有した鋼管を所定相状態を呈するまで加熱、例えば950℃まで加熱し、その外表面を瞬時に冷却水の温度まで降下させ、鋼管全体を冷却水温度近くまで下げるのに要する時間は、一般的な熱伝導率計算から、約1.4秒である。
(e)冷却水放出用の穴の径
一般的に冷却装置は、ジャケット等といった構造物に冷却水放出用の穴を複数設け、これらの穴から放出した冷却水をワークへ当てることにより、ワークの冷却を行っている。風呂等で使用するシャワーの穴径は0.5mm程度の細径である。水道水には不純物が含まれておらず、目詰まりを生じる心配はない。これに対し、本発明のように赤熱した金属を冷却する場合には、冷却水を循環させて使用するが、冷却時に金属から剥離する酸化被膜等の金属片が冷却水に混入する。冷却水の循環系統にはフィルタが設けられ、混入物による目詰まりを最小限に抑える対策が採られるが、それでも尚、穴径を小さくすることには限界がある。また、穴加工に際しての経済的な面から見ても穴径を小さくすることに関して限界がある。これらの事情から、冷却水放出用の穴の径は一般的に直径でφ2.0mm程度である。
(f)蒸気膜に対抗するための冷却水流速及び流量
冷却水が気体化する温度は圧力に依存するが、鋼管表面の温度が冷却水の気体化する温度よりも高いときは、冷却水が鋼管の表面に接触した瞬間に気体化し、冷却水と鋼管表面との間に気体(水蒸気)が入り込む。水蒸気は対流現象を起こさず、鋼管表面に長い時間留まるため、鋼管表面から冷却水に至る熱伝達係数が低くなる。また、水蒸気の熱伝達率は水の1/10程度と低い。これらのため、蒸気膜が発生したときの冷却水と鋼管表面との熱交換は十分に行われなくなる。特に、冷却水の流速が遅いと、加熱された鋼管の表面に冷却水をかけた瞬間に、鋼管と冷却水との間に蒸気膜が発生し、冷却効率が悪くなり、焼入れが不十分になるおそれがある。
一般的に、冷却水の流速を速くすると蒸気膜の発生を抑制することができるし、蒸気膜が発生したとしてもその蒸気膜を突き破ることができる。950℃に赤熱された鋼管に対して蒸気膜の発生の抑制等を実現できる流速は、本発明者の実験により、少なくとも15m/secであることが分かった。
この流速を得るための水圧は、少なくとも約3kg/cm必要である。このときの直径φ2.0mmの1個の穴を通る流量は、少なくとも約3L(リッター)/min=50cc/secである。
1個の穴から出る流量は、水圧、配管抵抗(すなわち穴の長さ)に依存するが、通常のジャケットの冷却水放出穴の板厚(すなわち長さ)は、約2〜3mmである。板厚2mmと3mmとの流量変化は数%程度である。
(B)高周波焼入れ装置で用いる冷却装置の従来の一例の特性
(a)冷却装置の従来例
まず、従来例を説明すれば、図11は従来のシャワー方式の冷却装置の一例を示している。(a)は正面図であり、(b)は断面図である。この冷却装置52は、鋼管57の搬送路を取り囲むジャケット58と、ジャケット58の内部に冷却水を供給する通水管59とを有している。ジャケット58のうち鋼管57の搬送路に対向する面である内面には、複数の単純な貫通穴61が鋼管7の搬送路に対して斜め方向に設けられている。穴61に関しては、鋼管57の搬送方向Aに沿って16個で1列の穴が、円周方向で12列設けられているものとし、従って穴61の総数は192個である。
ジャケット58の内部に供給された冷却水は、複数の穴61の個々から鋼管57の搬送路へ向けて放出される。こうして放出された冷却水が鋼管57に当って該鋼管7が冷却されて焼入れ処理される。穴61の穴径は、上記の一般的な説明の通り、φ2.0mm程度である。
図12は、図11の冷却装置52によって冷却水が供給される部分の鋼管57aを展開状態で示している。この部分の搬送方向Aに沿った長さLaは63.9mmである。この部分の円周方向の長さLbは、鋼管の直径がφ31.8mmであるので、99.9mmである。そして、鋼管の板厚tは2.0mmである。
(b)鋼管57の材料特性に基づいて計算した必要冷却水量
以下、図11に示す従来の冷却装置52を用いて直径φ31.8mmで、板厚2.0mmの鋼管を焼入れするのに必要な冷却水の水量を鋼管57の材料特性に基づいて求める。
(ア)まず、冷却水が当る鋼管表面の体積V1は、図12において、
V1=La×Lb×t
=63.9×99.9×2.0
=12.767(cm
である。
(イ)次に、鋼管の比重G1は7.9であり、比熱H1は0.15であり、鋼管の加熱温度T1は950℃であるので、冷却のために必要となる熱量N1は、
N1=V1×G1×H1×T1
=12.767×7.9×0.15×950
=14,372cal
である。
(ウ)次に、0℃の冷却水の上昇温度T2を10℃と設定する。上昇温度T2の設定を高く設定するに従い、必要流量は少なくなるが、急冷条件が満たされなくなり、焼入れが不十分になる。T2=10℃の上昇温度設定値は経験に基づいた数値である。
(エ)次に、焼入れ可能温度(すなわち常温)までの急冷がなされるのに要する時間t1は、上記した一般的な説明の通り、1.4秒である。
(オ)次に、冷却水の流速が15m/secであるときの熱伝達率は100%である。
(カ)上記(ア)〜(オ)の5項目の条件下で、必要となる冷却水流量Q1は、
Q1=N1/t1/T2
=14,372/1.4/10
=1,027cc/sec
=61.62L/min
である。
(c)冷却水放出穴61の冷却能力
(ア)鋼管57のうち冷却水によって冷却される部分の表面積をSA57とすると、これは図12に示す鋼管表面部分57aの面積のことであり、
SA57=(鋼管57の外径)×π×(搬送方向Aに沿った長さLa)
=31.8×π×63.9
=6380mm
である。
(イ)ジャケット58の穴61を通した冷却水による冷却面積をRA61とすると、
RA61=(穴61の穴径/2)×π×(穴数)
=(2/2)×π×192
=603mm
である。
(ウ)以上より、穴61による鋼管57に対する冷却面積率RAR61は、
RAR61=RA61/SA57
=603/6380
=0.095
(d)蒸気膜の問題を解消するために必要な冷却水の全体流量
上記「冷却装置に関する一般的な説明」欄(A)の「蒸気膜に対抗するための冷却水流速及び流量」欄(f)で説明したように、一般的な冷却装置においてワークの表面に蒸気膜を発生させない又は蒸気膜を突き破るのに必要な冷却水の流量は、水圧3kg/cmのときに、冷却水放出用の1個の穴に対して3L/minである。
従って、図11の冷却装置52において鋼管57の周囲に蒸気膜を発生させない又は蒸気膜を突き破るのに必要な冷却水の全流量FR52は、
FR52=流量×穴数
=3L/min×192
=576L/min・・・・・・・(F1)
である。
(e)ジャケット58の全ての穴61から噴出される冷却水によって冷却される鋼管57の面積について:
(ア)図11の冷却水放出用穴61から放出された冷却水は、図12に描かれているように鋼管表面57aにドット状、すなわち島状に当る。冷却水は鋼管57に対して斜めに放出されるので、上記のドット形状は実際には真円ではなくて楕円又は長円となるが、図では真円として描いている。
(イ)鋼管57の表面に直接に当る冷却水の断面積÷鋼管57の表面積=ジャケット58による「冷却面積」である。
(ウ)この冷却面積とは別に、鋼管57の表面に冷却水を直接かけると、熱伝導により、冷却水の当り面を中心として放射状に冷却される「実質冷却面積」が存在する(図13の符号E参照)。図13において斜線を施した円形部分は、鋼管57の外表面の冷却水当り面の直下の温度が冷却水温度に近くなったときの鋼管57の外表面の温度が冷却水温度に近くなる範囲を示している。つまり、冷却開始直後の鋼管57の外表面におけるφ2mmの穴の冷却範囲と、時間経過と共に鋼管57の内表面の冷却範囲が同じ形状のφ2mmになったときの鋼管57の外表面の冷却範囲を示している。
(エ)鋼管57が実質的に冷却される面積について考える。
(i)時間の経過に応じた熱伝導範囲TCは板厚方向に熱伝導が進むと考えると、
TC=(穴径2mm)+(放射状に広がる距離2mm)+(2mm)
=φ6mm
となる。
(ii)φ6mmの断面積は28.3mmであるので、ジャケット58による実質冷却面積SRA58は、
SRA58=28.3×192
=5433mm
である。
(iii)従って、ジャケット58による実質冷却面積率RSRA58は、
RSRA58=実質冷却面積(SRA58)/冷却される鋼管57表面積(SA1)
=5433/6380
=0.85
である。
(iv)ところで、図14は、複数の実質冷却面積Eの相互の位置関係に関連して、鋼管57における板厚方向で冷却が不十分になる部分を示している。図14において符号W1で示すように、鋼管57の板厚方向では冷却不十分の部分が全体に対して21.5%存在する。W1で示す範囲(すなわち湾曲線R2で囲まれた範囲)は、冷却方向が板厚分より多いため、熱伝導計算では、冷却不十分領域が21.5%より多くなるが、計算を簡略化するために、21.5%とする。当り径φ2mmに対応したW2で示す範囲は、板厚分が十分に冷却される範囲である。
(iii)従って、最終的な実質冷却面積率RSRA58は、
RSRA58
=(実質冷却面積SRA58×冷却充分領域)/(冷却される鋼管表面積SA1)
=5433×0.785/6380
=0.67
となる。
参考までに、冷却不十分領域である21.5%の部分を完全に冷却するためには、熱伝導計算から、板厚分を冷却するのに要する冷却時間の約2倍強の時間が必要になる。
(f)「蒸気膜の問題を解消するために必要な冷却水の全体流量576L/min」(上記(d)欄参照)に対する冷却装置52の現状
上記(d)欄で説明したように、鋼管57の表面に発生する蒸気膜を抑制したり、蒸気膜を突き破るためには、総量で576L/minの冷却水の流量が必要である。しかしながら、このような多量の冷却水を冷却処理後に回収して再使用するための循環設備を構築するのには多額の設備費が必要となる。また、鋼管57に当って跳ね返る冷却水を処理するための機構を構築することが非常に難しい。
これらのため、現状の冷却装置では、冷却水の水圧を下げ、冷却水の流量を150L/min程度に減少させた状態で焼入れ処理を行っていた。このときの冷却水の水圧は約0.5kg/cmであり、流速は約5.7m/secである。このように、冷却水の水圧及び流量を低減したため、冷却水についての熱伝達率が低下し、鋼管57を急速に冷却するための条件が不十分になり、その結果、焼入硬度の不足や、焼入れ後の鋼管57の曲がり等が頻繁に発生していた。
(g)理想的な冷却ジャケット
従来の冷却装置のように複数の貫通穴を並べて設け、それらの穴から鋼管へ冷却水をシャワー状に供給する構成の冷却装置を考えたとき、十分な焼入れ処理を行うことができる理想的な冷却ジャケットは次のように構成できる。
すなわち、図15において、冷却水放出用の穴61のピッチ(すなわち穴と穴との間隔)P61を2mmに設定する。この設定は、上記(e)(エ)(ii)で求めた実質冷却面積SRA58に基づいて決められている。
図12において、鋼管57の周長Lbは99.9mmであり、鋼管57が冷却される長さLaは63.9mmであるので、上記のように穴61のピッチを2mmに設定すれば、穴61の総数N61は、
N61=(Lb/2)×(La/2)
=(99,9/2)×(63.9/2)
=1600
である。
上記(B)(b)(カ)において、鋼管57の材料特性に基づいて計算した必要冷却水量Q1は61.62L/minであった。また、穴61の総数は上記の通り1600個である。従って、穴61の1個当りの必要流量Q1/N61は、
(Q1/N61)=61.62/1600
=0.0385L/min
である。
上記(A)(f)で説明したように、一般的な冷却装置において、φ2.0mmの複数の穴から冷却水を放出したときに、蒸気膜の問題を解消するために必要である1個の穴からの流量は3.0L/minであった。従って、上記の0.0385L/minの流量を実現できる穴61の穴径をXとすれば、
X:2=0.0385:3.0
であり、よって、
X=0.23mm
である。すなわち、穴61の必要である穴径は0.23mmである。このときの実質的な冷却可能外径RDはRD=φ4.23mmである。
以上のようにして、理想的な穴数=1600個及び穴径=φ0.23mmが求められる。このような穴は、通常、レーザ加工によって製作可能ではあるが、製作コストが非常に高くなる。また、穴径が小さいので、冷却水の循環再利用を行った場合に穴の目詰まりの問題が発生する。従って、図15に示す理想的な構成は、事実上製作することが困難である。
本発明は、従来装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、冷却水等といった冷却液を放出するための穴を改善することにより、少量の冷却液でワークを効率良く冷却することができる焼入れ装置用の冷却装置を提供することを目的とする。
本発明に係る冷却装置は、加熱された対象物に冷却液を接触させて該対象物を冷却する冷却装置において、前記対象物に対して相対的に移動可能であり、前記対象物に対向する面に複数のノズルを支持した支持体と、前記複数のノズルに前記冷却液を供給する冷却液供給手段とを有し、前記複数のノズルの少なくとも1つは、内部が空間であり、前記冷却液を放出する出口穴を先端に有し、前記冷却液を受け入れる入口穴を他端に有した外被管と、該外被管の内部に設けられた螺旋形状部材とを有し、該螺旋形状部材の外周面には螺旋状の面である螺旋面が少なくとも1つ設けられており、該螺旋面は前記外被管の内周面に対向しており、前記出口穴の直径は前記螺旋形状部材の外径よりも小さくなっており、前記冷却液供給手段によって供給された冷却液は、前記入口穴を通って前記外被管の内部に入り、前記螺旋面に沿って流れた後に前記出口穴から錐状に広がって放出されることを特徴とする。
本発明の冷却装置は、焼入れ装置、焼鈍装置等といった熱処理装置に好適に用いられる冷却装置であり、対象物に冷却液を当てる(すなわち接触させる)ことによりその対象物を冷却する方式の冷却装置である。冷却液は、例えば冷却水である。冷却水は常温、すなわち加熱及び冷却されない温度に設定することができる。冷却水の温度は、必要に応じて常温以外の温度に設定しても良い。
前記支持体は、例えば対象物を包囲するように配置されるジャケットである。ジャケットは対象物を環状に包囲する内部空間を有しており、その内部空間内部に冷却液が保有される。そして、ジャケットの内周面に前記複数のノズルが設けられ、これらのノズルから冷却液が放出される。
本発明に係る冷却装置によれば、冷却液をノズルの出口穴から錐状に広げた状態で対象物に当てることにしたので、直線状の冷却液を放出する構成であるシャワー方式に比べて、少ない量の冷却液で対象物の所望の領域を正確に冷却できる。
しかも、本発明では、冷却液に螺旋運動を付与することにより冷却穴を出口穴から放出することにしたので、冷却液の流速を安定して速く維持でき、蒸気膜の発生を抑制できる。また、蒸気膜が発生したとしても、冷却液はそれを突き破って対象物を正確に冷却できる。
さらに、螺旋形状部材の螺旋形状の螺旋角度を適宜に変化させることにより、冷却液の放出角度を希望に応じて変化させることができ、対象物の特性に応じて冷却能力を適宜に選定できる。
本発明に係る冷却装置において、前記螺旋形状部材の外周縁は前記外被管の内周面に接触することが望ましい。外周縁とは、螺旋形状部材の最も外側に在る外縁線のことである。この外縁線も螺旋を描いている。螺旋形状部材の外周縁が外被管の内周面に接触していれば、外被管と螺旋面との間に形成される螺旋状空間を隙間無く正確に区画形成できるので、外被管の内部に供給された冷却液に乱れの無い安定した螺旋運動を付与でき、その結果、外被管の出口穴から流量及び流速の安定した冷却液を放出できる。
本発明に係る冷却装置において、前記螺旋形状部材は棒状の部材とすることができ、自身の中心軸線を中心とする円周方向に並んだ複数の螺旋面を自身の外周面に有することができる。複数の螺旋面を設けることにより、外被管の出口穴から流量及び流速の安定した冷却液を放出できる。
本発明に係る冷却装置において、前記螺旋面は平らな平面とすることができる。こうすれば、螺旋形状部材を容易に作製できる。また、前記螺旋面は前記螺旋形状部材の中心軸線へ向かって湾曲している湾曲面とすることができる。こうすれば、外被管と螺旋面との間に形成される螺旋形状の空間における螺旋形状部材の軸線と直角な断面内の面積を増大することができ、外被管の出口穴から放出される冷却液の流量を増加させることができる。
本発明に係る冷却装置においては、前記螺旋面の面内に溝を設けることができる。この構成によれば、螺旋面と外被管内周面との間に形成された螺旋状空間と、溝と外被管内周面との間に形成された螺旋状空間との両方の空間によって冷却液に螺旋運動を付与できる。この構成によれば、溝の大きさ及び形状により、冷却液の流量及び流速を細かく調整できる。
本発明に係る冷却装置において、前記螺旋面の螺旋角度は、前記対象物の表面上の冷却液当り面の中心点から外周縁までの全面に冷却液を分布させることができる螺旋角度とすることができる。この構成により、冷却液による対象物に対する冷却能力を高めることができる。もちろん、必要があれば、意図的に冷却液当り面の一部分に冷却液を当てることもできる。なお、螺旋角度とは、螺旋面の外縁線の接線と螺旋の中心線(すなわち螺旋形状部材の中心線)との成す角度のことである。
本発明に係る冷却装置において螺旋形状部材の製造方法は特定の方法に限定されないが、例えば次の方法を採用できる。すなわち、棒状の芯材を用意し、該芯材の外周面に螺旋予定面を形成する。芯材は、水流の衝撃による摩耗を少なくするために、高強度の鋼等といった金属によって形成されることが好ましい。芯材を自身の中心軸線を中心として捩ることにより、螺旋予定面が中心軸線を中心として螺旋形状に捻じ曲がり、これにより螺旋面が形成される。このような螺旋面の形成方法は、非常に容易に実現でき、しかも螺旋角度を高精度に調整できる。
この螺旋形状部材の製造方法によれば、螺旋予定面が1つであるときは、中心軸線の周りに1つ(すなわち1条)の螺旋面が形成される。そして、螺旋予定面がn個(nは正の整数)であるときn個(n条)の螺旋面が形成される。
螺旋予定面は、例えば、図9(a)に示すように、円柱形状の棒状の芯材の側面に形成されていて芯材の中心軸線方向に延びる長方形状の平面16とすることができる。平面16は1つの平面であるので、この平面16を捩って形成される螺旋面は1条である。また、図9(b)に示すように、四角柱状の棒材の4つの外周面17(いずれも平らな平面)を螺旋予定面とすることもできる。これらの4つの面17を捩って形成される螺旋面は4条である。
また、図9(c)に示すように、芯材の中心軸線X0へ向かって湾曲する4つの湾曲面18を螺旋予定面とすることもできる。これらの4つの面18を捩って形成される螺旋面は4条である。さらには、図9(d)に示すように、芯材の中心軸線X0へ向かって湾曲する2つの互いに表裏の関係にある湾曲面19を螺旋予定面とすることもできる。これらの2つの面19を捩って形成される螺旋面は4条である。
本発明に係る冷却装置において、前記複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に沿って異なる位置に設けられていることが好ましい。この構成により、対象物に対する冷却液の当り面を対象物の移動方向に関して増加させることができ、そのため、冷却液による対象物に対する冷却効果を高めることができる。
本発明に係る冷却装置において、前記複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に直角な平面内において、前記対象物の移動路を中心として異なる角度位置に設けられていることが好ましい。この構成により、対象物に対する冷却液の当り面を対象物の移動方向と直角の方向に関して増加させることができ、そのため、冷却液による対象物に対する冷却効果を高めることができる。
本発明に係る冷却装置において、前記複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に沿って異なる位置に設けることができる。そして、当該複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に直角な平面内において、前記対象物の移動路を中心として異なる角度位置に設けることができる。しかも、これらの複数のノズルにおいて、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に沿って互いに隣接しているノズル群内に属するノズル同士は、前記対象物の移動路を中心とした角度位置に関して互いにずれて配置することができる。
この構成により、対象物の表面上における冷却液の当り面の分布密度を高めることができ、それ故、冷却効率を高めることができる。
本発明に係る冷却装置において、前記対象物は加熱された鋼管とすることができ、前記冷却液は加熱及び冷却されない平常の温度である常温以下の水とすることができる。この態様に係る本発明によれば、少ない流量の水によって鋼管を効率良く冷却できるので、コスト低減に大きく貢献できる。
本発明に係る冷却装置によれば、冷却液を出口穴から錐状に広げた状態で対象物に当てることにしたので、直線状の冷却液を放出する構成であるシャワー方式に比べて、少ない量の冷却液で対象物の所望の領域を正確に冷却できる。
さらに、冷却液に螺旋運動を付与することにより冷却穴を出口穴から放出することにしたので、冷却液の流速を安定して速く維持でき、蒸気膜の発生を抑制できる。また、蒸気膜が発生したとしても、冷却液はそれを突き破って対象物を正確に冷却できる。
さらに、螺旋形状部材の螺旋面の螺旋角度を適宜に変化させることにより、冷却液の放出角度を希望に応じて変化させることができ、対象物の特性に応じて冷却能力を適宜に選定できる。
本発明に係る冷却装置の使用例である高周波焼入れ装置を示す図である。 本発明に係る冷却装置の一実施形態を示す断面図である。 図2の(a),(b),(c),(d)の各位置における断面図である。 冷却液である水を放出するための放出ユニットであるノズルの一例を示す図であり、(a)は一方から見た断面図、(b)は全体の側面断面図、(c)は他方から見た端面図である。 ノズルの構成要件である螺旋形状部材の主要部品である芯材を示す斜視図である。 ノズルから放出された冷却水が対象物である鋼管に当ったときに形成される冷却水の当り面を示す図であり、(a)は中央部に冷却水が行き渡らない状態を示し、(b)は当り面の全域に冷却水が分布した状態を示している。 図2の(a),(b),(c),(d)の各位置における冷却水の当り面を示す展開図である。 冷却水の実質的な冷却面積を説明するための図である。 図5に示した主要部品の変形例を示す図である。 図9に示した主要部品を捩り加工した後に外被管内に収納した状態を示す図である。 従来の冷却装置の一例を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は断面図を示している。 図11に示す従来の冷却装置によって対象物である鋼管の表面に形成される冷却水の当り面を示す鋼管の展開図である。 図12の冷却水の当り面に基づいた実質的な冷却面積を示す鋼管の展開図である。 従来の冷却装置において冷却対象物である鋼管の板厚方向で冷却が不十分となる領域が発生した状態を示す図である。 従来の冷却装置で採用される冷却水の噴出穴の構造についての理想的な構造を示す図である。
現在、自動車の衝突時における乗員への損傷を軽減するために、引張り強度の高い鋼管を自動車の各ドアに装着することが行われている。引張り強度の高い鋼管は、例えば、高張力鋼によって形成された鋼管に焼入れ処理を施すことによって形成される。具体的には、例えば、高張力鋼の帯鋼から高周波電縫管製造装置によって電縫管を製造し、次に、高周波焼入れ装置によって電縫管の板厚方向に均一な焼入れを行う。
より具体的な方法としては、例えば、
(1)高周波電縫管製造装置に高周波焼入れ装置をオンライン(すなわち連続的又は直結的)に設置し、長さの長い電縫管の製造から焼入れ処理までを連続的に行い、最終的に電縫管を最終製品の長さに切断する方法、
(2)電縫管製造装置によって定尺(例えば、5.5m)の電縫管を予め製造し、別の場所において(すなわちオフラインで)高周波焼入れ装置によって焼入れを行い、その後に焼入れ処理後の電縫管を最終製品の長さに切断する方法、又は
(3)最終製品の長さの電縫管を電縫管製造装置によって製造するか、または、電縫管製造装置によって定尺(例えば5.5m)に製造した電縫管をオフラインで最終製品の長さに切断した後、それらを数珠つなぎにしてあたかも無限長の電縫管を連続して加熱及び冷却する方法等が考えられる。
本実施形態では、上記(3)の方法に係る高周波焼入れ装置に本発明を適用するものとする。この方法は、処理能力が高く生産コストも安くなるため、大量生産に向いている方法である。
図1は上記(3)の方法を実現できる高周波焼入れ装置の全体構成を示している。図1において上下方向は鉛直方向であり、左右方向及び紙面を貫通する方向が水平方向である。全体を符号21で示す高周波焼入れ装置は、鋼管早送り機構22及び鋼管搬送機構23を含む鋼管搬送装置を有している。この鋼管搬送装置は複数の鋼管7を軸方向に並べて支持及び搬送できる支持搬送装置、例えばローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等(図示せず)を有している。この支持搬送装置によって規定される鋼管7の搬送路を鎖線Cで示すことにする。鎖線Cは鋼管7の中心軸線も併せて示している。また、鋼管7の搬送方向を矢印Aで示すことにする。
鋼管早送り機構22は鋼管搬送機構23に比べて鋼管7を速く搬送する。そのため、それらの機構間では鋼管7の間に空間Sは発生せず、それ以降の鋼管搬送路上でも鋼管7同士の間に空間は生じない。すなわち、複数の鋼管7はそれらの軸方向へ、いわゆる数珠繋ぎ状に中断無く連続して搬送される。
高周波焼入れ装置21は、鋼管回転機構24a,24b,24cと、加熱処理装置1と、冷却装置2と、払出し機構28とを有している。鋼管回転機構24a,24b,24c、高周波加熱装置1、冷却装置2、及び払出し機構28は、いずれも、鋼管7の搬送路C上に配置されている。
この高周波焼入れ装置21においては、鋼管早送り機構22及び鋼管搬送機構23によって鋼管7を鋼管搬送路Cに沿って隙間無く連続して搬送する。搬送される鋼管7は、鋼管回転機構24a,24b,24cによってそれら自身の中心軸を中心として回転させられながら、高周波加熱装置1及び冷却装置2へ送り込まれる。
高周波加熱装置1は、各鋼管7を所定の相領域まで加熱する。例えば、鋼管7の半径方向の板厚全体を950℃程度まで急速に加熱する。加熱された鋼管7は次に、冷却装置2によって急速に冷却され、これにより、各鋼管7が焼入れ処理される。本実施形態では、冷却液として冷却水を用いて、鋼管を水冷することによって焼入れするものとする。冷却水の温度は常温とする。常温とは、加熱及び冷却されない平常の温度である。焼入れの際の鋼管の搬送速度は300mm/sec程度の高速度である。鋼管の冷却後、払出し機構28によって鋼管7を搬送路Cの外部へ払い出す。さらに、該鋼管7の引張り強度を全数又は所定の抜き取り数だけ測定し、さらに曲がり寸法を測定し、それらが所定の許容寸法に収まったものを製品として搬出する。
鋼管7の外径は、通常、φ31.8mm〜φ25.4mmであり、板厚は1.4mm〜2.8mmである。多くの場合、鋼管の外径はφ31.8mmである。鋼管の板厚及び長さは、自動車の車種に応じた種々の値に設定される。本実施形態では、ドアインパクトビームに使用される鋼管、例えば、直径D=φ31.8mm、板厚t=2.0mm、長さの高張力鋼を焼入れするものとする。
高周波加熱装置1は、搬送される鋼管7に高周波勢力を注入することにより、電磁誘導現象を利用して鋼管7を加熱する。本実施形態では、鋼管7を温度950℃まで加熱して、鋼管7の内部に所定の相変化を起こさせる。
鋼管7の搬送方向Aに関して高周波加熱装置1の下流側(図1の右側)に設置された冷却装置2は、図2に示すように、鋼管7の搬送路Cを取り囲む支持体としてのジャケット8と、ジャケット8の内部に冷却液、本実施形態では冷却水を供給する冷却液供給手段としての給水装置9とを有している。ジャケット8のうち鋼管7の搬送路Cに対向する面である内面には、複数のノズル(すなわち冷却水放出ユニット)11が並べて設けられている。
ジャケット8は鋼管7の搬送路Cを包囲する内部空間を有しており、ジャケット8の当該内部空間に供給された冷却水は、複数のノズル11の個々から所定の圧力で鋼管7の搬送路Cへ向けて放出される。こうして放出された冷却水が鋼管7に当たって(すなわち接触して)該鋼管7の外表面を瞬時に冷却水の温度まで下げることにより、該鋼管7が焼入れ処理される。鋼管全体を冷却水温度近くまで下げるのに要する時間は、一般的な熱伝導率計算から、約1.4秒である。鋼管7を冷却した後の冷却水は給水装置9へ回収され、再び冷却処理に供される。冷却水の回収路には必要に応じて、塵、ゴミ等を除去するためのフィルタが設けられる。
本実施形態では、鋼管7の搬送方向Aに沿った4個所の異なった位置(a),(b),(c),(d)にノズル11を設けている。各位置には、図3(a)〜(d)に示すように、円周方向に8個のノズル11が設けられている。鋼管7の搬送方向Aに関して互いに隣接する位置にあるノズル11、例えば、図3の(a)と(b)、(b)と(c)、及び(c)と(d)のノズル11の円周方向に沿った設置位置は互いに角度的にずらせてある。本実施形態では、図3の(a)と(b)、(b)と(c)、及び(c)と(d)の各位置間で45°/2=22.5°だけ、設置角度をずらせてある。
個々のノズル11は、図4(a)〜(c)に示すように構成されている。図4(b)はノズル11の全体の断面図であり、図4(a)は冷却水が供給される側から見た断面図であり、図4(c)は冷却水が放出される側から見た端面図である。これらの図に示されているように、ノズル11は、円筒形状の外被管14の内部に螺旋形状部材15を嵌め込むことによって形成されている。外被管14及び螺旋形状部材15は金属によって形成されている。螺旋形状部材15は外被管14に回転しないように固着されている。
螺旋形状部材15は、図5に示すような芯材31を、それ自身の中心軸線X0を中心として矢印Jで示すように捩り加工を施すことによって形成されている。芯材31は、概ね断面正方形状で四角柱の金属材料によって形成されており、4つの長方形状の側面32を有している。そして、それらの側面32の中央に断面四角形状の溝33が軸線X0に沿って形成されている。溝の断面形状は四角に限られず、三角形、円形、楕円、長円でも良い。
芯材31を捩ることにより、側面32及び溝33の両方が軸線X0を中心として螺旋状に曲げられる。側面32が螺旋状に曲げられることによって形成された面が螺旋面であり、溝33が螺旋状に曲げられることによって形成された溝が螺旋溝である。本実施形態では側面32が螺旋予定面、すなわち捩られて螺旋面となる面、になっている。
側面32を捩ることによって形成された螺旋面の外縁線は、図5の芯材31の側面32の外縁線32aが捩られることによって形成された螺旋線に相当する。この螺旋線が図4の螺旋形状部材15の中心軸線X1、すなわちノズル11の中心軸線X1と成す角度θ1を螺旋面の螺旋角度ということにする。また、溝33を捩ることによって形成された螺旋溝の外縁線がノズル11の中心軸線X1と成す角度θ2を螺旋溝の螺旋角度ということにする。
外被管14の冷却水出口側の壁の中央には、冷却水を放出するための小さな径の穴12が出口穴として設けられている。出口穴12の径は、例えばφ2.0mmである。外被管14の冷却水入口側は、冷却水を取り込むため大きな径の穴13が入口穴として設けられている。入口穴13から所定の圧力下で取り込まれた冷却水は、螺旋形状部材15の螺旋面と外被管14の内周面との間、及び螺旋形状部材15の螺旋溝と外被管14の内周面との間を流れるときに螺旋運動、すなわち回転エネルギを付与され、その後、出口穴12から外部へ放出される。この螺旋運動のため、冷却水は放射角度αで錐状、具体的には円錐状に広がりながら出口穴12から放出される。
螺旋形状部材15の外周縁、すなわち螺旋面の外縁線(すなわち、図5の外縁線32aが捩られた線)は、外被管14の内周面に接触していても良く、接触していなくてそれらの間に隙間がある状態でも良い。螺旋面の外縁線を外被管14の内周面に接触させるか、あるいは接触させないかの設定や、螺旋面の螺旋角度θ1及び螺旋溝の螺旋角度θ2の値の設定や、螺旋形状部材15の長さLの設定は、出口穴12から放出される冷却水の放出角度αをどのくらいの大きさにするかや、放出角度αのうちの全ての角度範囲内に冷却水を分布させるかや、あるいは放出角度αのうちの中央部分の所定角度範囲内には冷却水が放出されないような放出を行うか、等といった希望条件に応じて適宜に設定する。なお、本実施形態では、放出角度α=30°で、そのα角度内の全ての角度領域内に冷却水を分布させることにした。
螺旋面の螺旋角度θ1若しくは螺旋溝の螺旋角度θ2が大き過ぎたり、又は螺旋形状部材15の長さLが長過ぎたりすると、図6(a)に示すように、冷却水が当らない領域(空白領域)Y1が中央部分に生じ、冷却水が当る領域(斜線領域)Y2がその周辺に環状に生じることがある。この場合には、冷却水が行き渡らない中央部分において冷却が不十分になるおそれがある。このときには、螺旋角度θ1又はθ2を小さくしたり、又は螺旋形状部材15の長さLを短くすることにより、図6(b)に斜線で示すように、断面内の中央部分も含めた全領域(Y2)に冷却水を分散させることができ、この結果、効率の良い冷却処理を行うことができる。
場合によっては、冷却水が当らない領域Y1を意図的に発生させたい場合もある。このような場合には、螺旋面の螺旋角度θ1、螺旋溝の螺旋角度θ2、及び螺旋形状部材15の長さLを適宜に調整することにより、その状態を実現できる。また、螺旋溝の断面形状又は断面積を適宜に変化させることにより、冷却水の放出状態を変化させることができる。
図2において、ジャケット8のうちノズル11が設けられている内周面は、鋼管7の搬送方向Aに関して上流側の径が小さく、下流側の径が大きくなるように、円錐状に変化している。すなわち、ジャケット8の内周面は、搬送方向Aに関して下流側へ向かうに従って鋼管7の搬送路から遠ざかる方向へ傾斜している。このため、各ノズル11から放出された冷却水は鋼管7とジャケット8との間に滞留することなくジャケット8の外部へ確実に排出される。
また、ジャケット8の内周面が円錐状に広がっていることにより、複数のノズル11の各々から円錐状に出て鋼管7に当る冷却水の当り面の面積は、鋼管7の搬送方向Aの上流側から下流側に向かって大きくなる。さらに、複数のノズル11は、鋼管7の搬送方向Aに沿って4個所の異なった位置(a),(b),(c),(d)に設けられている。そして、さらに、搬送方向Aに沿って互いに隣接した位置に置かれた複数のノズル11に関しては、図3において(a)と(b)、(b)と(c)、(c)と(d)のそれぞれに描いたように、鋼管7の円周方向に沿った角度位置が22.5°ずつ、ずらせてある。
従って、鋼管7のうち冷却水があたる部分を図7のように展開すると、(a)、(b)、(c)、(d)の各位置に対応して、それぞれ、鋼管7の表面上の(a1)、(b1)、(c1)、(d1)の各位置に冷却水の当り面が形成される。各当り面の形状は、実際には、ジャケット8の内周面が傾斜していることから真円ではなく、楕円又は長円になるが、近似的に円形として表示している。
図7に示す通り、冷却水の当り面は、鋼管7の搬送方向Aに従って徐々に大きくなっている。本実施形態では、最も上流側の当り面の当り径はφa=12mmであり、それよりも下流側の当り径φb,φc,φdは、それぞれ、φb=13mm,φc=16mm,φd=20mmであった。各ノズル11から噴射される冷却水の流量は同じであるので、当り面の面積が小さい上流側では冷却水の流量密度が高く、下流側へ向かうに従って流量密度が低くなっている。この結果、高温でジャケット8に進入する鋼管7に、当初は高密度の冷却水をかけることができ、さらに、鋼管7の温度がある程度下がった後は、低密度の冷却水を鋼管7に広い範囲で長時間かけることができる。こうして、少量の冷却水により鋼管7を効率良く冷却できる。
さらに、図2において、搬送方向Aに沿って互いに隣接した位置に置かれた複数のノズル11、すなわち(a)と(b)、(b)と(c)、(c)と(d)のそれぞれの隣接位置に置かれた一群(8個)のノズル11に関しては、図3に示したように、一方の位置にある一群のノズル11と他方の位置にある他の一群のノズル11との円周方向に沿った角度位置が22.5°ずつ、ずれている。
このため、図7において、互いに隣接する冷却水当り面の間、すなわち(a1)と(b1)との間、(b1)と(c1)との間、(c1)と(d1)との間で、当り面の位置が円周方向(図では搬送方向Aに直交する方向)でずれている。具体的には、一方の当り面の中心点が他方の隣接した2つの当り面の中心点間の中点に円周方向において一致するようにずれている。この結果、搬送方向Aに沿って異なる位置(a1)、(b1)、(c1)、(d1)にある各当り面の搬送方向Aに沿った間隔を狭めること、すなわち当り面の分布密度を高くすることができ、その結果、鋼管7を効率良く冷却できる。
このことを図面を用いて説明すれば、次の通りである。
図7において鋼管搬送方向Aに沿って異なった位置(a1)、(b1)、(c1)、(d1)のそれぞれに在る冷却水当り面のうち外側の2つである位置(a1)及び位置(d1)に在る当り面の中心を結んだ線であるB−B線を考える。このB−B線に沿って、各位置(a1)、(b1)、(c1)、(d1)における当り面を描くと図8(a)に示す通りである。
本実施形態において、位置(a1)に在る当り面の径φaは12mm、位置(b1)に在る当り面の径φbは13mm、位置(c1)に在る当り面の径φcは16mm、位置(d1)に在る当り面の径φdは20mmであった。
鋼管7の表面に直接に当る冷却水の面積は、図8(a)に示す通り、互いに離れている。本実施形態の場合、各当り面間の間隔k1,k2,k3は、それぞれ、
k1=1.62mm,k2=1.55mm,k3=2.22mm
であった。しかしながら、実際の冷却処理においては、鋼管7の表面に冷却水を直接にかけたとき、熱伝導により、冷却水の当り面を中心として放射状に冷却される面積である実質冷却面積が存在する。各当り面についての実質冷却面積は図8(b)及び図8(c)に符号Ma,Mb,Mc,Mdで示されている。
図8(c)を見れば分かるとおり、実質冷却面積Ma,Mb,Mc,Mdの存在により、鋼管7は全ての断面部分において冷却水によって冷却される。すなわち、実質冷却面積率は100%であり、効率の高い冷却が行われることが分かる。
(ノズル11の冷却能力)
ノズル11は鋼管7の搬送路Cに対して傾斜しているので、鋼管7の表面には真円形状ではなく楕円形状の冷却水当り面が形成される。しかしながら、これ以降の考察では、冷却水当り面は円形状であるとして計算を行うものとする。また、冷却水の当り面の実質的な外径は各当り径φa,φb,φc,φdに対して(当り径+4mm)とすることにする。
(ア)鋼管7のうち冷却水によって冷却される部分の表面積をSA7とすると、これは図7に示す鋼管表面部分7の面積のことであり、
SA7=(鋼管7の外径)×π×(搬送方向Aに沿った長さLa)
=31.8×π×63.9
=6380mm
である。
(イ)ジャケット8に設けたノズル11を通った冷却水による冷却面積をRA11とすると、
RA11
=[{(当り径φa+4)/2}×π×個数]+[{(当り径φb+4)/2}×π×個数]+[{(当り径φc+4)/2}×π×個数]+[{(当り径φd+4)/2}×π×個数]
=[{(12+4)/2}×π×8]+[{(13+4)/2}×π×8]+[{(16+4)/2}×π×8]+[{(20+4)/2}×π×8]
=1607+1814+2512+3617
=9550mm
である。
(ウ)以上より、複数のノズル11による鋼管7に対する冷却面積率RAR11は、
RAR11=冷却面積(RA11)/鋼管冷却表面積(SA7)
=9550/6380
=1.496
である。このように、本実施形態によれば、冷却面積率は100%を超えている。
(蒸気膜の問題を解消するために必要な冷却水の全体流量)
「冷却装置に関する一般的な説明」欄(A)の「蒸気膜に対向するための冷却水流速及び流量」欄(f)で説明したように、一般的な冷却装置においてワークの表面に蒸気膜を発生させない又は蒸気膜を突き破るのに必要な冷却水の流量は、水圧3kg/cmのときに、冷却水噴射用の1個の穴に対して3L/minである。
従って、図2の冷却装置において鋼管7の周囲に蒸気膜を発生させない又は蒸気膜を突き破るのに必要な冷却水の全流量FR2は、
FR2=流量×穴数
=3L/min×32
=96L/min・・・・・・・(F2)
である。
(蒸気膜の問題を解消するために必要な冷却水の全体流量)
図11に示した従来の冷却装置52において鋼管57の周囲に蒸気膜を発生させない又は蒸気膜を突き破るのに必要な冷却水の全流量FR52は、上式(F1)で求めたように、
FR52=576L/min
であった。また、図2の冷却装置2において鋼管7の周囲に蒸気膜を発生させない又は蒸気膜を突き破るのに必要な冷却水の全流量FR2は、上式(F2)で求めたように、
FR2=96L/min
である。
つまり、本実施形態の冷却装置2によれば、良好な焼入れ状態を得ることができる冷却水の流量を、従来の冷却装置52に比べて、大幅に低減できる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図2の実施形態では、高周波加熱装置1を用いた高周波焼入れ装置に本発明を適用したが、本発明は高周波焼入れ装置以外の焼入れ装置にも適用できる。また、本発明は、焼鈍等のような焼入れ以外の熱処理を行う際にも適用できる。
上記実施形態では、図2においてジャケット8を固定し、鋼管7を移動させた。しかしながら、鋼管7を固定状態に配置し、ジャケット8を移動させても良い。
図2の実施形態では鋼管7の搬送方向Aに沿った4個所(a),(b),(c),(d)に複数のノズル11を設けたが、ノズル11の設置個所は3個所以下又は5個所以上としても良い。
上記実施形態では、図3に示したように、鋼管7の円周方向におけるノズル11の配置角度位置を、鋼管7の搬送方向Aに沿った配置位置(a),(b),(c),(d)の間で異ならせた。しかしながら、搬送方向Aに沿って異なった位置(a),(b),(c),(d)間で、複数のノズル11の設置角度位置をずらせることなく同じにしても良い。
上記実施形態では冷却液として常温の水を用いた。しかしながら、冷却液は水以外の適宜の液体としても良い。
上記実施形態では、図5に示したように、四角柱の芯材31の側面32を螺旋予定面に設定し、この面に溝33を設け、これらの面を捩って、それぞれ、螺旋面及び螺旋溝を形成して螺旋形状部材15を作製し、この螺旋形状部材15を図4(a)に示すように外被管14の中に収納した。この構成に代えて、図9(a)に示すように、円柱形状の棒状の芯材の側面に螺旋予定面として平面16を形成し、これを捩って螺旋面を形成して螺旋形状部材を形成し、この螺旋形状部材を図10(a)に示すように、外被管14の中に収納することもできる。
また、図9(b)に示すように、四角柱状の棒材の4つの外周面17を螺旋予定面に設定し、これらの面を捩って螺旋面を形成して螺旋形状部材15を作製し、この螺旋形状部材を図10(b)に示すように、外被管14の中に収納することもできる。また、図9(c)に示すように、芯材の中心軸線X0へ向かって湾曲する4つの湾曲面18を螺旋予定面に設定し、これらの面を捩って螺旋面を形成して螺旋形状部材15を作製し、この螺旋形状部材を図10(c)に示すように、外被管14の中に収納することもできる。
さらには、図9(d)に示すように、芯材の中心軸線X0へ向かって湾曲する2つの互いに表裏の関係にある湾曲面19を螺旋予定面に設定し、これらの面を捩って螺旋面を形成して螺旋形状部材15を作製し、この螺旋形状部材を図10(d)に示すように、外被管14の中に収納することもできる。
1.高周波加熱装置、 2.冷却装置、 7.鋼管(対象物)、 8.ジャケット(支持体)、 9.給水装置(冷却液供給手段)、 11.ノズル、 12.出口穴、 13.入口穴、 14.外被管、 15.螺旋形状部材、 16.平面(螺旋予定面)、 17.外周面(螺旋予定面)、 18.湾曲面(螺旋予定面)、 19.湾曲面(螺旋予定面)、 21.高周波焼入れ装置、 22.鋼管早送り機構(鋼管搬送装置)、 23.鋼管搬送機構(鋼管搬送装置)、 24a,24b,24c.鋼管回転機構、 28.払出し機構、 31.芯材、 32.側面(螺旋予定面)、 32a.外縁線(外周縁)、 33.螺旋溝、 A.鋼管の搬送方向、 φa,φb,φc,φd.冷却水の当り径、 (a1),(b1),(c1),(d1).鋼管の表面上における冷却水の当り位置、 La.鋼管の冷却領域の搬送方向の長さ、 Lb.鋼管の冷却領域の円周方向の長さ、 θ1.螺旋面の螺旋角度、 θ2.溝の螺旋角度、 α.冷却水の放出角度、 Y1.冷却水が当らない領域、 Y2.冷却水が当る領域、 Ma,Mb,Mc,Md.冷却水の実質冷却面積、 k1,k2,k3.冷却水の隣接当り面間の間隔

Claims (12)

  1. 加熱された対象物に冷却液を接触させて該対象物を冷却する冷却装置において、
    前記対象物に対して相対的に移動可能であり、前記対象物に対向する面に複数のノズルを支持した支持体と、
    前記複数のノズルに前記冷却液を供給する冷却液供給手段と、を有し、
    前記複数のノズルの少なくとも1つは、
    内部が空間であり、前記冷却液を放出する出口穴を先端に有し、前記冷却液を受け入れる入口穴を他端に有した外被管と、
    該外被管の内部に設けられた螺旋形状部材と、を有し、
    該螺旋形状部材の外周面には螺旋状の面である螺旋面が少なくとも1つ設けられており、該螺旋面は前記外被管の内周面に対向しており、
    前記出口穴の直径は前記螺旋形状部材の外径よりも小さくなっており、
    前記冷却液供給手段によって供給された冷却液は、前記入口穴を通って前記外被管の内部に入り、前記螺旋面に沿って流れた後に前記出口穴から錐状に広がって放出される
    ことを特徴とする冷却装置。
  2. 前記螺旋形状部材の外周縁は前記外被管の内周面に接触することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  3. 前記螺旋形状部材は棒状の部材であり、自身の中心軸線を中心とする円周方向に並んだ複数の螺旋面を自身の外周面に有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷却装置。
  4. 前記螺旋面は平らな平面であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の冷却装置。
  5. 前記螺旋面は前記螺旋形状部材の中心軸線へ向かって湾曲している湾曲面であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の冷却装置。
  6. 前記螺旋面の面内に溝が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の冷却装置。
  7. 前記螺旋面の螺旋角度は、前記対象物の表面上の冷却液当り面の中心点から外周縁までの全面に冷却液を分布させることができる螺旋角度であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の冷却装置。
  8. 前記螺旋形状部材は棒状の芯材を有し、該芯材の外周面には自身の中心軸線方向に延びる少なくとも1つの螺旋予定面が捩り処理の前に形成されており、該芯材に自身の中心軸線を中心とした捩り処理を施すことにより、前記螺旋予定面が前記螺旋面に形成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の冷却装置。
  9. 前記複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に沿って異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の冷却装置。
  10. 前記複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に直角な平面内において、前記対象物の移動路を中心として異なる角度位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の冷却装置。
  11. 前記複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に沿って異なる位置に設けられており、
    当該複数のノズルは、前記対象物の前記支持体に対する移動方向に直角な平面内において、前記対象物の移動路を中心として異なる角度位置に設けられており、
    前記対象物の前記支持体に対する移動方向に沿って互いに隣接している前記複数のノズルは前記対象物の移動路を中心とした角度位置に関して互いにずれて配置されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の冷却装置。
  12. 前記対象物は加熱された鋼管であり、前記冷却液は加熱及び冷却されない平常の温度である常温以下の水であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の冷却装置。
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