JP2010239035A - 光ファイバ増幅器の設計方法および光ファイバ増幅器 - Google Patents
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Abstract
【課題】SBSの発生を防止しつつ正確な光ファイバ増幅器の設計をすることができる光ファイバ増幅器の設計方法および光ファイバ増幅器を提供すること。
【解決手段】光増幅物質をコア部に添加した増幅光ファイバと、前記光増幅物質を光励起するための励起光を出力する励起光源とを備える光ファイバ増幅器の設計方法であって、前記増幅光ファイバに入力する増幅すべきレーザ光の強度をPとし、前記増幅光ファイバの有効コア断面積をAeff、長さをL、伝送損失をα、ブリユアン利得をgB、増幅利得をg、誘導ブリユアン散乱の閾値をPthとすると、前記Lを、以下の式(1)〜(3)を満たすように設計することを特徴とする光ファイバ増幅器の設計方法。
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1)
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3)
【選択図】図1
【解決手段】光増幅物質をコア部に添加した増幅光ファイバと、前記光増幅物質を光励起するための励起光を出力する励起光源とを備える光ファイバ増幅器の設計方法であって、前記増幅光ファイバに入力する増幅すべきレーザ光の強度をPとし、前記増幅光ファイバの有効コア断面積をAeff、長さをL、伝送損失をα、ブリユアン利得をgB、増幅利得をg、誘導ブリユアン散乱の閾値をPthとすると、前記Lを、以下の式(1)〜(3)を満たすように設計することを特徴とする光ファイバ増幅器の設計方法。
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1)
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3)
【選択図】図1
Description
本発明は、光ファイバ増幅器の設計方法および光ファイバ増幅器に関する。
従来、たとえば半導体の露光等のレーザ加工に用いられるレーザ装置として、レーザ光源と、このレーザ光源に接続した光増幅器とを備えたレーザ装置が開示されている(特許文献1参照)。このレーザ装置は、いわゆるMOPA(Master Oscillator Power Amplifier)構造を有するものであって、レーザ光源が所望の波長のレーザ光を出力し、光増幅器がこのレーザ光を所望の強度に増幅して出力するものである。なお、光増幅器としては、たとえば光ファイバ増幅器が使用される。光ファイバ増幅器は、増幅媒体として、光増幅物質をコア部に添加した増幅光ファイバを用いたものである。
一方、たとえば光ファイバ通信において光伝送路として用いられる、長さが1km以上の光ファイバに強度の高い光を入力した場合、光ファイバ中で誘導ブリユアン散乱(SBS)と呼ばれる非線形光学現象が発生することが知られている(特許文献2参照)。このSBSは、光ファイバの一端から閾値(SBS閾値)以上の強度の光を入力すると、入力した光とは反対方向に伝搬する光(SBS光)が発生する現象である。SBSが発生すると、光ファイバに入力した光のエネルギーが、SBS光の発生に消費されるため、光ファイバの他端から出力される光の強度が減少してしまう。そのため、光ファイバに光を入力する場合は、SBS閾値より小さい強度とすることが好ましい。
なお、光ファイバの有効コア断面積をAeff、長さをL、伝送損失をα、ブリユアン利得をgBとすると、光ファイバのSBS閾値Pthは、以下の式(1a)、(2a)で表されることが知られている。
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1a)
Leff=[1−exp(−αL)]/α ・・・ (2a)
なお、Leffは光ファイバの有効相互作用長を示す。また、「exp」は自然対数eのべき乗を表す記号である。
Leff=[1−exp(−αL)]/α ・・・ (2a)
なお、Leffは光ファイバの有効相互作用長を示す。また、「exp」は自然対数eのべき乗を表す記号である。
G.P.Agrawal、非線形ファイバー光学 原書第2版,吉岡書店(1997)
ところで、上述したようなMOPA構造のレーザ装置が高出力化するにつれて、レーザ光源から光ファイバ増幅器に入力するレーザ光の強度も高くなってきている。そのため、エネルギー効率が良い光ファイバ増幅器を実現するためには、光ファイバ増幅器内においてSBSが発生しないように、光ファイバ増幅器の設計を行なうべきである。
しかしながら、上述した式(1a)、(2a)を用いて光ファイバ増幅器におけるSBS閾値の計算を行なっても、増幅光ファイバの増幅利得を加味していないため、正確なSBS閾値を得ることができないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、SBSの発生を防止しつつ正確な光ファイバ増幅器の設計をすることができる光ファイバ増幅器の設計方法および光ファイバ増幅器を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ増幅器の設計方法は、光増幅物質をコア部に添加した増幅光ファイバと、前記光増幅物質を光励起するための励起光を出力する励起光源とを備える光ファイバ増幅器の設計方法であって、前記増幅光ファイバに入力する増幅すべきレーザ光の強度をPとし、前記増幅光ファイバの有効コア断面積をAeff、長さをL、伝送損失をα、ブリユアン利得をgB、増幅利得をg、誘導ブリユアン散乱の閾値をPthとすると、前記Lを、以下の式(1)〜(3)を満たすように設計することを特徴とする。
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1)
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3)
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1)
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3)
また、本発明に係る光ファイバ増幅器は、上記発明の設計方法を用いて設計した長さを有する前記増幅光ファイバを備えることを特徴とする。
本発明によれば、SBSの発生を防止しつつ正確な光ファイバ増幅器の設計をすることができるという効果を奏する。
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバ増幅器の設計方法および光ファイバ増幅器の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ファイバ増幅器の模式図である。この光ファイバ増幅器10は、レーザ光源Sと接続しており、全体としてMOPA構造のレーザ装置を構成しているものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る光ファイバ増幅器の模式図である。この光ファイバ増幅器10は、レーザ光源Sと接続しており、全体としてMOPA構造のレーザ装置を構成しているものである。
光ファイバ増幅器10の構成について説明する。この光ファイバ増幅器10は、nを2以上の整数として、波長915nmの励起光を出力する励起光源としてのマルチモード半導体レーザ11〜1nと、マルチモード光ファイバ21〜2nと、シングルモード光ファイバ3と、TFB(Tapered Fiber Bundle)4と、ダブルクラッド光ファイバ5と、増幅光ファイバ6と、シングルモード光ファイバ7と、光コネクタ等の出力端子8とを備える。
マルチモード光ファイバ21〜2nは、マルチモード半導体レーザ11〜1nが出力する励起光を導波するように接続されている。また、シングルモード光ファイバ3は、レーザ光源Sが出力する、たとえば波長1064nmのレーザ光L1を導波するように接続されている。また、TFB4は、マルチモード光ファイバ21〜2nが導波した各励起光と、シングルモード光ファイバ3が導波したレーザ光L1とを、ダブルクラッド光ファイバ5から出力させるように構成されている。また、増幅光ファイバ6は、ダブルクラッド光ファイバ5と接続点C1において融着接続している。また、シングルモード光ファイバ7は、増幅光ファイバ6と接続点C2において融着接続している。また、出力端子8は、シングルモード光ファイバ7の一端に接続している。
図2は、図1に示す増幅光ファイバ6の長手方向に垂直な断面における模式的な断面図である。この増幅光ファイバ6は、ゲルマニウムが添加されるとともに、光増幅物質としてのイッテルビウム(Yb)が添加されたシリカガラスからなるコア部6aと、コア部6aの外周に形成され、コア部6aよりも低屈折率のシリカガラスからなる内側クラッド部6bと、内側クラッド部6bの外周に形成され、内側クラッド部6bよりも低屈折率の樹脂からなる外側クラッド部6cとを備えるダブルクラッド型の増幅光ファイバである。
なお、ダブルクラッド光ファイバ5も、増幅光ファイバ6と同様の断面構造を有し、コア部にはゲルマニウムが添加されているダブルクラッド型の光ファイバである。また、シングルモード光ファイバ3、7は、ダブルクラッド型ではなく、図2に示す増幅光ファイバ6の構造において、内側クラッド部6bと外側クラッド部6cとからなるクラッド部を1層のクラッド部に置き換え、さらにこのクラッド部の外周に光ファイバのガラス部分の保護のための樹脂被覆を備えた構造を有している。
また、マルチモード光ファイバ21〜2nはコア部とクラッド部とを備えた通常の構造を有し、コア部のコア径がたとえば105μmのマルチモード光ファイバであり、励起光の波長の光をマルチモードで導波するように構成されている。
つぎに、この光ファイバ増幅器10の動作について説明する。まず、マルチモード半導体レーザ11〜1nが波長915nm近傍の励起光を出力すると、マルチモード光ファイバ21〜2nが各励起光を導波し、TFB4が、導波した各励起光を結合してダブルクラッド光ファイバ5に出力する。ダブルクラッド光ファイバ5は、結合した励起光をマルチモードで伝搬し、増幅光ファイバ6に到達させる。
増幅光ファイバ6に到達した励起光は、増幅光ファイバ6の内側クラッド部6b内をマルチモードで伝搬しながら、増幅光ファイバ6のコア部6aに添加したYbを光励起する。
一方で、TFB4は、シングルモード光ファイバ3が導波したレーザ光L1をダブルクラッド光ファイバ5に出力する。ダブルクラッド光ファイバ5は、レーザ光L1をシングルモードで導波し、増幅光ファイバ6に到達させる。増幅光ファイバ6においては、レーザ光L1は、励起状態にあるYbと相互作用し、増幅光ファイバ6を伝搬しながらレーザ増幅される。シングルモード光ファイバ7は、増幅されたレーザ光L1を導波し、出力端子8は、増幅されたレーザ光L1をレーザ光L2として出力する。
ここで、本実施の形態1に係る光ファイバ増幅器10においては、増幅光ファイバ6に入力するレーザ光L1の強度をPとし、増幅光ファイバ6の有効コア断面積をAeff、長さをL、伝送損失をα、ブリユアン利得をgB、増幅利得をgとすると、Lは、以下の式(1)〜(3)を満たすように設計されている。
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1)
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3)
なお、Pthは増幅光ファイバ6のSBS閾値を示し、Leffは有効相互作用長を示す。
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3)
なお、Pthは増幅光ファイバ6のSBS閾値を示し、Leffは有効相互作用長を示す。
すなわち、この光ファイバ増幅器10においては、増幅光ファイバ6の長さLを、増幅利得gを加味した上記式(1)〜(3)を満たすように設計している。その結果、この光ファイバ増幅器10は、SBSの発生を防止しつつ、より正確に設計された光ファイバ増幅器となっている。
本実施の形態1について、シミュレーション計算結果を用いてより具体的に説明する。以下では、設定した強度のレーザ光を増幅光ファイバ6に入力した場合に、増幅光ファイバ6により増幅されて出力するレーザ光の強度を、長さLを変えて計算した。なお、この計算には、式(1a)、(2a)、または式(1)、(2)を用いた。具体的には、SBS閾値は光ファイバに入力する光の強度で定義されるので、はじめに増幅光ファイバ6にどれくらいの強度の光を入力するのかを決めた。ここでは、通常の値が100〜200mWであることを勘案して、100mWまたは200mWとした。つぎに、決定した入力光強度をSBS閾値Pthとして、一定値であるAeff、gBを用いて、式(1)よりLeffを決定した。つぎに、式(2)を用いて、このLeffの値を満たすような、Lとgとの値の組み合わせを計算した。そして、計算したLとgとの組み合わせを用いて、増幅光ファイバ6により増幅されて出力するレーザ光の強度を計算した。なお、Lは通常、4〜10m程度であるが、ここでは2〜14mの範囲で計算した。また、gを大きくしすぎると、ASE(Anplified Spontaneous Emission)光が寄生発振をする可能性があるので、gとしては大きくとも17dBの利得を想定した。また、計算に用いた値は以下の通りである。
Aeff:50μm2、gB:3.5×10-11、g:0〜17dB、α:0.003dB/m。また、増幅光ファイバ6に入力させる波長915nmの励起光の強度は13〜17Wとする。
図3は、増幅光ファイバの長さと、設定した強度のレーザ光が増幅光ファイバに入力したときの、増幅光ファイバにより増幅されて出力するレーザ光の強度(以下、出力光強度)との関係を示す図である。図3中、「従来例」とは、入力するレーザ光強度を100mWに設定し、式(1a)、(2a)を用いて計算を行なったものである。また、「本発明1(100mW)」、「本発明2(200mW)」とは、入力するレーザ光強度をそれぞれ100mW、200mWに設定し、式(1)、(2)を用いて計算を行なったものである。
図3において、たとえば出力光強度として10Wを実現したい場合を考える。この場合、従来例では増幅光ファイバ6の長さを3m程度にする必要があるが、本発明1では、長さを4mにすることができる。
なお、この増幅光ファイバ6の場合、励起光から出力レーザ光へのエネルギー変換効率が最も高くなる増幅光ファイバ6の長さは、25mであり、これより短くなるにつれてエネルギー変換効率は低くなっていく。したがって、本発明1のように式(1)、(2)を用いて増幅光ファイバ6の長さをより長く設計することによって、光ファイバ増幅器10はエネルギー変換効率がより高いものとなるので、増幅光ファイバ6の長さをより正確に設計することの効果が得られることとなる。
また、一般的に、増幅光ファイバのエネルギー変換効率は、入力するレーザ光強度を高くするに従って高くなる。そこで、本発明2のように入力するレーザ光強度の設定値を200mWにする場合について、式(1)、(2)を用いて計算する。すると、図3に示すように、増幅光ファイバ6の長さを3.3m程度に長くできる。この場合、光ファイバ増幅器10のエネルギー変換効率はさらに高いものとなる。また、このように光ファイバ増幅器10のエネルギー変換効率が高くなれば、励起光のエネルギーのうちレーザ光に変換されずに熱エネルギーとなるものの量も減少するので、光ファイバ増幅器10の発熱量を低減できる。その結果、光ファイバ増幅器10の信頼性が向上するとともに、発熱に対応するためのペルチェ素子等の冷却手段の消費電力を低減できる。
11〜1n マルチモード半導体レーザ
21〜2n マルチモード光ファイバ
3、7 シングルモード光ファイバ
4 TFB
5 ダブルクラッド光ファイバ
6 増幅光ファイバ
8 出力端子
10 光ファイバ増幅器
S レーザ光源
21〜2n マルチモード光ファイバ
3、7 シングルモード光ファイバ
4 TFB
5 ダブルクラッド光ファイバ
6 増幅光ファイバ
8 出力端子
10 光ファイバ増幅器
S レーザ光源
Claims (2)
- 光増幅物質をコア部に添加した増幅光ファイバと、前記光増幅物質を光励起するための励起光を出力する励起光源とを備える光ファイバ増幅器の設計方法であって、前記増幅光ファイバに入力する増幅すべきレーザ光の強度をPとし、前記増幅光ファイバの有効コア断面積をAeff、長さをL、伝送損失をα、ブリユアン利得をgB、増幅利得をg、誘導ブリユアン散乱の閾値をPthとすると、前記Lを、以下の式(1)〜(3)を満たすように設計することを特徴とする光ファイバ増幅器の設計方法。
Pth=21Aeff/(Leff・gB) ・・・ (1)
Leff={exp[(g−α)L]−1}/(g−α) ・・・ (2)
P<Pth ・・・ (3) - 請求項1に記載の設計方法を用いて設計した長さを有する前記増幅光ファイバを備えることを特徴とする光ファイバ増幅器。
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---|---|---|---|---|
JP2013044614A (ja) * | 2011-08-23 | 2013-03-04 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 光ファイバセンサおよび光ファイバセンシング方法 |
WO2019117314A1 (ja) * | 2017-12-15 | 2019-06-20 | 古河電気工業株式会社 | 光結合器及び光増幅器 |
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JP2009032910A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-02-12 | Hitachi Cable Ltd | 光ファイバレーザ用光ファイバ及びその製造方法、並びに光ファイバレーザ |
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