JP2010234620A - 光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置 - Google Patents

光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶表示装置(LCD)の偏光板用保護フィルム等に用いられる光学フィルムについて、巻取り前のフィルム端部に常圧プラズマを照射することにより、ラジカルのアタックによる凹凸の形成と照射部分の表面改質を同時に施し、長尺化・広幅化においても安定な巻き性、搬送性を確保できるエンボス部を形成する光学フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置を提供する。
【解決手段】 光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製されかつ搬送されている光学フィルムの左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置20によりプラズマ照射処理を施すことにより、多数の凹凸を有するエンボス部を連続して形成する。常圧プラズマ照射装置20によるプラズマ照射処理を、0.1〜36W/cm の処理強度で行なうことが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、液晶表示装置(LCD)に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム等にも利用することができる光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置に関するものである。
近年、ノートパソコンの薄型軽量化、テレビや大型モニター等の液晶表示装置の大型画面化、高精細化の開発が進んでいる。それに伴って、液晶偏光板用の保護フィルムもますます薄膜化、広幅化、高品質化の要求が強くなってきている。偏光板用保護フィルムには、一般的にセルロースエステルフィルムが広く使用されている。セルロースエステルフィルムは、通常、巻芯に巻かれてフィルム原反となり、保存され、輸送されている。
最近の大画面化に伴って、フィルム幅が広く、長い巻長のフィルム原反が要望されている。フィルム原反幅が広く、巻長が長くなると、フィルム原反での保存性が問題となる。例えばフィルム同士がくっついてフィルムが変形してしまう貼付き故障や、異物がフィルムの間に挟まったように凸状の変形になってしまう凸状故障などが発生しやすくなる。
従来、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製されかつ搬送されている光学フィルムの左右両端部の表面に、ナーリング加工により凹凸を有するエンボス部を形成することが行なわれているが、これに関わる特許文献には、例えば、つぎのようなものがある。
特許文献1には、フィルムの幅手方向の端部に、多数の突起を有するエンボスロールを押圧して、エンボス処理を施し、凹凸のエンボス模様を形成することが記載されている。
これまでの光学フィルムヘのナーリング加工によるエンボス部の付与方法においては、凹凸が付与された押圧ロールを加熱し、金属、あるいはゴム製のバックロールとの間に、搬送フィルムの左右両端部をそれぞれ挾んで加圧することで、フィルムの左右両端部の表面上に凹凸を形成しており、これにより、フィルム原反の貼付き防止、巻きズレ防止に効果が得られていた。
また、下記の特許文献2には、光学フィルムの膜厚に応じてレーザー光の照射出力を調整し、凹凸を有するエンボス部を形成することが記載されている。この特許文献2に記載の技術では、これまでの押圧ロールによる接触式凹凸形成に対し、レーザー加工は非接触加工であるため、加工時の微小なキズやシワの発生が無くなるという効果が得られていた。
特開2002−301751号公報 特開2009−12429号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の加熱・加圧機構による押圧ロールを用いたナーリング加工では、特に、フィルムの原反を広幅化して、幅1.4m以上になると、両サイドにナーリング加工により設けたエンボス部の効果が小さくなり、原反の保存性が悪化しやすくなるという問題があった。
また、フィルムの膜厚に応じて、凹凸の高さを変化させる場合において、押圧ロール押込み圧力の調整のために時間がかかり、とりわけバックロールの表層部がゴム製である場合は、バックロールの表層部が磨耗していくに従い、その調整に時間を要し、生産上好ましくない状況であった。また、バックロールが金属製で、バックロールの表層部が金属である場合には、逆に、押圧ロールによる押込み圧力に敏感になり、フィルム表面に擦りキズ故障を誘発する恐れがあり、これについても調整に時間を要することとなり、生産上好ましくないという問題があった。
また、特許文献2のレーザー光照射による方法では、高温であるレーザー光をフィルムに照射することにより、フィルム構成組成物中の添加剤の揮発や発塵により、粉塵が飛散し、これらがフィルムに付着し、あるいはその後の搬送ロールへ付着して、フィルムに凸状の変形を生じてしまうという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、巻取り前のフィルム端部に常圧プラズマを照射することにより、ラジカルのアタックによる凹凸の形成と照射部分の表面改質を同時に施し、長尺化・広幅化においても安定な巻き性、搬送性を確保できるエンボス部を形成することができる、光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の光学フィルムの製造方法の発明は、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製されかつ搬送されている光学フィルムの左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置によりプラズマ照射処理を施すことにより、多数の凹凸を有するエンボス部を連続して形成することを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法であって、常圧プラズマ照射装置によるプラズマ照射処理を、0.1〜36W/cm の処理強度で行なうことを特徴としている。
請求項3の光学フィルムの発明は、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法で製造されたことを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学フィルムであって、プラズマ照射処理された側のフィルム表面の炭素/酸素原子数比率(C/O比率)が、0.8〜1.2であることを特徴としている。
請求項5の偏光板の発明は、請求項4に記載の光学フィルムを、少なくとも一方の面に有することを特徴としている。
請求項6の表示装置の発明は、請求項5に記載の偏光板を用いることを特徴としている。
請求項1の光学フィルムの製造方法の発明は、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製されかつ搬送されている光学フィルムの左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置によりプラズマ照射処理を施すことにより、多数の凹凸を有するエンボス部を連続して形成するもので、請求項1の発明によれば、常圧プラズマ照射処理によるエンボス部の形成は、従来の接触式加工と異なり、非接触で加工を施すため、フィルム表面の微小なシワやキズが皆無となり、フィルムの表面性が飛躍的に向上する。また、常圧プラズマ照射により、粗面化による凹凸形成に加え、照射部分の表面改質も同時に施すことができるため、エンボス効果が飛躍的に向上し、広幅化、長尺化においても安定な巻き性、搬送性を確保できる。また、従来のレーザー光照射のように高温での処理でなく、ラジカルのアタックによる凹凸形成のため、フィルム成分の揮発や発塵が無く、凹凸形成を施すことができるという効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法であって、常圧プラズマ照射装置によるプラズマ照射処理を、0.1〜36W/cm の処理強度で行なうもので、請求項2の発明によれば、フィルム端部のエンボス部に、充分な高さを持つ凹凸を形成することができるとともに、フィルム表面の改質効果がすぐれており、フィルムの広幅化、長尺化においても安定な巻き性、搬送性を確保することができるという効果を奏する。
請求項3の光学フィルムの発明は、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法により製造されたもので、請求項3の発明によれば、凹凸によるエンボス部の形成と同時に、凹凸部の表面改質を施すことにより、その後の原反フィルムの巻き性、搬送性を向上させることができ、光学フィルムは平面性に優れているという効果を奏する。
請求項4の発明は、請求項3に記載の光学フィルムであって、常圧プラズマを照射を施した部分のフィルム表面の炭素/酸素原子数比(C/O比)が、0.8〜1.2であるもので、請求項4の発明によれば、エンボス表面の密着性が向上し、安定な巻き性が得られ、巻取り起因の故障を防止することができて、光学フィルムは平面性に優れているという効果を奏する。
請求項5の偏光板の発明は、請求項3または4に記載の、平面性に優れた光学フィルムを、少なくとも一方の面に用いるものであるから、請求項5の発明によれば、偏光板を液晶パネルに組み込んだ際、液晶パネルのコントラスト低下や、濃淡ムラを生じることがなく、視認性に優れているという効果を奏する。
請求項6の表示装置の発明は、請求項5に記載の、平面性に優れた光学フィルムを具備する偏光板を用いているものであるから、請求項6の発明によれば、液晶パネルのコントラスト低下や濃淡ムラを生じることがなく、視認性に優れているという効果を奏する。
本発明の光学フィルムの製造方法を実施する溶液流延製膜装置の第1の実施形態を示す概略フローシートである。 図1の装置の常圧プラズマ照射部分の要部拡大フローシートである。 本発明の光学フィルムの製造方法において使用する常圧プラズマ照射装置の原理を説明するための説明図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する溶液流延製膜装置の第2の実施形態を示すフローシートである。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する溶融流延製膜装置の実施形態を示すフローシートである。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製されかつ搬送されている光学フィルムの左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置によりプラズマ照射処理を施すことにより、多数の凹凸を有するエンボス部を連続して形成するものである。
本発明の方法によれば、常圧プラズマ照射処理によるエンボス形成は、従来の接触式加工と異なり、非接触で加工を施すため、フィルム表面の微小なシワやキズが皆無となり、フィルムの表面性が飛躍的に向上する。また、常圧プラズマ照射により、粗面化による凹凸形成に加え、照射部分の表面改質も同時に施すことができるため、エンボス効果が飛躍的に向上し、広幅化、長尺化においても安定な巻き性、搬送性を確保できる。また、従来のレーザー光照射のように高温での処理でなく、ラジカルのアタックによる凹凸形成のため、フィルム成分の揮発や発塵が無く、凹凸形成を施すことができる。これらについては、後述する。
本発明による光学フィルムは、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製することができる。
まず、本発明の溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法について説明する。
本発明による光学フィルムの製造方法が、溶液流延製膜法によるものである場合、溶液流延製膜法は、熱可塑性樹脂を溶媒で溶解したドープ(樹脂溶液)を、流延ダイより金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(支持体)上に流延して流延膜を形成し、支持体から流延膜を剥離する工程を含んている。
図1は、溶液流延製膜法による本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の具体例を示すフローシートである。
同図において、まず、溶解釜(1)で、例えばセルロースエステル等の樹脂を、良溶媒及び貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに可塑剤や紫外線吸収剤等の添加剤を添加してドープを調製する。
ついで、溶解釜で調整されたドープを、例えば加圧型定量ギヤポンプ(2)を通して、導管によって流延ダイ(3)に送液し、無限に移送する例えば回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体(6)上の流延位置に、流延ダイ(3)からドープを流延する。
流延ダイ(3)によるドープの流延には、流延されたウェブ(流延膜)をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイを用いる方法が好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。
なお、流延ダイ(3)としては、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。また、流延ダイ(3)には、減圧チャンバ(4)が付設されている。
ここで、セルロースエステル等のドープの固形分濃度が、15〜30重量%であるのが、好ましい。セルロースエステル等のドープの固形分濃度が、15重量%未満であれば、エンドレスベルト支持体(6)上で充分な乾燥ができず、剥離時に流延膜の一部がエンドレスベルト支持体(6)上に残り、ベルト汚染につながるため、好ましくない。また固形分濃度が30%を超えると、ドープ粘度が高くなり、ドープ調整工程でフィルター詰まりが早くなったり、エンドレスベルト支持体(6)上への流延時に圧力が高くなり、押し出せなくなるため、好ましくない。
ついで、上記のようにして流延した流延膜を、回転駆動エンドレスベルト支持体(6)上に接触させる。エンドレスベルト支持体(6)は、前後一対のドラム(5)(5)および中間の複数のロール(図示略)より保持されており、エンドレスベルト支持体(6)の両端巻回部のドラム(5)(5)の一方、もしくは両方に、エンドレスベルト支持体(6)には図示しない張力を付与する駆動装置が設けられ、これによってエンドレスベルト支持体(6)は張力が掛けられて張った状態で使用される。
ここで、エンドレスベルト支持体(6)の幅は1000〜3000mm、セルロースエステル等の樹脂溶液の流延幅は800〜2800mm、巻き取り後のフィルムの幅は1000〜3000mmであるのが好ましい。これにより、金属支持体方式によって幅の広い液晶表示装置用光学フィルムを製造することができる。
支持体(6)としてエンドレスベルトを用いる場合には、製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶媒の沸点未満の温度、混合溶媒では最も沸点の低い溶媒の沸点未満の温度で流延することができ、さらには5℃〜溶媒沸点−5℃の範囲が、より好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。なお、エンドレスベルト支持体(6)の周速度が40〜300m/minであるのが、好ましい。
上記のようにしてエンドレスベルト支持体(6)表面に流延されたドープは、剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜の強度(フィルム強度)が増加する。
支持体(6)としてエンドレスベルトを用いる方式においては、エンドレスベルト支持体(6)上では、ウェブ(9)が支持体(6)から剥離ロール(8)によって剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ウェブ(9)中の残留溶媒量が150重量%以下まで乾燥させるのが好ましく、80〜120重量%が、より好ましい。また、エンドレスベルト支持体(6)からウェブ(9)を剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が好ましい。また、ウェブ(9)は、エンドレスベルト支持体(6)からの剥離直後に、エンドレスベルト支持体(6)密着面側からの溶媒蒸発で温度が一旦急速に下がり、雰囲気中の水蒸気や溶媒蒸気など揮発性成分がコンデンスしやすいため、剥離時のウェブ温度は5〜30℃がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(重量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの任意時点での重量、Nは重量Mのものを温度110℃で、3時間乾燥させたときの重量である。
エンドレスベルト支持体(6)上に流延されたドープにより形成されたウェブ(9)を、エンドレスベルト支持体(6)上で加熱し、エンドレスベルト支持体(6)から剥離ロール(8)によってウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法や、エンドレスベルト支持体(6)の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があり、適宜、単独であるいは組み合わせて用いればよい。
エンドレスベルト支持体(6)にエンドレスベルトを用いる方式においては、エンドレスベルト支持体(6)とウェブ(9)を剥離ロール(8)によって剥離する際の剥離張力は、JIS Z 0237のような剥離力測定で得られる剥離力より大きな張力で剥がしているが、これは高速製膜時に、剥離張力をJIS測定法で得られた剥離力同等にすると剥離位置が下流側に持っていかれたりする場合があるため、安定化のため高めで行なっている。但し、工程で同じ剥離張力で製膜していても、JIS測定方法による剥離力が下がると、フィルムのクロスニコル透過率(CNT)のバラツキが大きく低減することも確かめられている。
工程での剥離張力値としては、通常、50〜500N/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている本発明の方法により作製された光学フィルムでは、剥離の際にウェブ(9)の残留溶媒量が多く、搬送方向に伸びやすいために、幅手方向にフィルムは縮みやすく、乾燥と縮みが重なると、端部がカールし、折れ込むことにより、シワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜300N/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜250N/mで剥離することである。
エンドレスベルト支持体(6)上でウェブ(9)が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させた後に、ウェブ(9)を剥離ロール(8)によって剥離し、ついで、延伸工程のテンター(10)においてウェブ(9)を延伸する。
延伸工程では、液晶表示装置用フィルムとしては、ウェブ(9)の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
延伸工程のテンター(10)に入る直前のウェブ(9)の残留溶媒量は、10〜35重量%であることが好ましい。
延伸工程のテンター(10)におけるウェブの延伸率が3〜100%であり、5〜80%であることが好ましく、さらに5〜60%であることが望ましい。
またテンター(10)における温風吹出しスリット口から吹き出す温風の温度が100〜200℃であり、110〜190℃であることが好ましく、さらに115〜185℃であることが望ましい。
延伸工程のテンター(10)の後には、乾燥装置(11)を設けることが好ましい。乾燥装置(11)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロールによってウェブ(9)が蛇行せられ、その間にウェブ(9)が乾燥せられるものである。また、乾燥装置(11)でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及びフィルム搬送工程での残留溶媒量、乾燥温度等に影響を受けるが、乾燥時のフィルム搬送張力は、10〜300N/m幅であり、20〜270N/m幅が、より好ましい。
なお、ウェブ(フィルム)(9)を乾燥させる手段は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましく、例えば乾燥装置(11)の温風入口から吹込まれる乾燥風(12)によって乾燥され、乾燥装置(11)の天井の後寄り部分の出口から排気風が排出せられることによって乾燥される。乾燥風(12)の温度は40〜160℃が好ましく、50〜160℃が平面性、寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
搬送乾燥工程を終えた例えばセルロースエステル等の樹脂フィルム(F)に対し、巻取工程に導入する前段において、本発明の方法により、図2に詳しく示すように、搬送されている光学フィルム(F)の左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置(20)によりプラズマ照射処理を施すことにより、光学フィルム(F)の端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)(14)を連続して形成する。
図3は、常圧プラズマ照射装置(大気圧プラズマ照射装置)(20)の原理を説明するための説明図である。同図に基づき、常圧プラズマ照射装置(20)について、詳細に説明する。
本発明において使用する常圧プラズマ照射装置(20)は、対向する電極間に、高周波電圧を印加して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、搬送されている光学フィルム(F)の端部に、このプラズマ状態の反応性ガスを照射することにより、光学フィルム(F)の端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)を連続して形成する。
このような本発明の常圧プラズマ照射処理によるエンボス部の形成は、従来の接触式加工と異なり、非接触で加工を施すため、フィルム表面の微小なシワやキズが皆無となり、フィルムの表面性が飛躍的に向上する。また、常圧プラズマ照射により、粗面化による凹凸形成に加え、照射部分の表面改質も同時に施すことができるため、エンボス効果が飛躍的に向上し、広幅化、長尺化においても安定な巻き性、搬送性を確保できる。また、従来のレーザー光照射のように高温での処理でなく、ラジカルのアタックによる凹凸形成のため、フィルム成分の揮発や発塵が無く、凹凸形成を施すことができるものである。
常圧プラズマ照射装置(20)には、被処理基盤をはさむように対向配置された電極間に高周波電力を加えて、供給ガスをプラズマ化するダイレクト式、プラナー式と呼ばれる方式と、反応ガスを高周波電圧が加えられた電極の間を通してプラズマ化するリモート式、ダウンストリーム式と呼ばれる方式があり、いずれの方式も本発明に使えるが、本発明の光学フィルムの製造方法では、フィルム端部表面の常圧プラズマ照射処理に、後者の方式を用いるのが望ましい。
同図において、(a)、(b)は常圧プラズマ照射装置(20)の対向電極、(g)は反応ガス、(F)は光学フィルムである。
そして、常圧プラズマ照射装置(20)によれば、高周波電圧が加えられた対向電極(a)、(b)間に、反応性ガス(g)を導入、通過させてプラズマ化し、光学フィルム(F)表面に噴射供給することにより、光学フィルム(F)の端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)を連続して形成する。
本発明の実施形態においては、このようなハイパワーの電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極を常圧プラズマ照射装置(20)に採用する必要がある。
このような電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、さらに好ましくは、対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては、比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等が挙げられる。
なお、プラズマの噴射供給を行なう吹出しスリットと、フィルム(F)の表面との間隙は、0.5〜6mmが好ましく、1〜5mmがより好ましく、さらに、2〜4mmが最も好ましい。プラズマの噴射供給を行なう吹出しスリットと、フィルム(F)の表面とを、近づけすぎると、フィルム(F)の表面に接触、損傷させる危険があり、離しすぎると、凹凸によるエンボス部の形成、および表面の改質の効果が弱くなる。
また、反応ガス(g)には、窒素や酸素、アルゴン、ヘリウムなど種々のものが利用可能であるが、環境面、排気の後処理、ランニングコストの観点から、窒素が好ましく、さらには窒素に微量の酸素を混合する好ましい。酸素の混合比率は、原料ガスの体積に対して2体積%以下が望ましい。
また、常圧プラズマの原料ガスの風量は、プラズマ照射の有効幅1m当たり、20〜5000L/minが望ましい。さらには、40〜2500L/minがより好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、常圧プラズマ照射装置(20)によるプラズマ照射処理を、0.1〜36W/cm の処理強度で行なうことが好ましく、1.0〜20W/cm の処理強度で行なうことが、さらに好ましい。
ここで、処理強度(W/cm )は、リアクタの対向電極間に供給する電力であり、電極における電圧印加面積(/cm )は、放電が起こる範囲の面積のことを指す。
上記常圧プラズマ照射装置(20)によるエンボス形成の処理条件において、処理強度が、0.1W/m未満であれば、フィルム端部のエンボス部に、充分な高さを持つ凹凸を形成することができず、また表面改質の効果が弱くなってしまうので、好ましくない。また処理強度が、36W/cmを超えると、フィルム端部の常圧プラズマ照射部が劣化するので、好ましくない。
なお、常圧プラズマ照射装置(20)によるプラズマ照射処理の際のフィルムの搬送速度は、2〜200m/分、好ましくは10〜100m/分である。
本発明の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルムによれば、凹凸によるエンボス部の形成と同時に、凹凸部の表面改質を施すことにより、その後の原反フィルムの巻き性、搬送性を向上させることができ、光学フィルムは平面性に優れている。
本発明の光学フィルムは、常圧プラズマを照射を施した部分のフィルム表面の炭素/酸素原子数比(C/O比)は、0.8〜1.2であるのが、好ましい。
これにより、エンボス表面の密着性が向上し、安定な巻き性が得られ、巻取り起因の故障を防止することができて、光学フィルムは平面性に優れている。
本発明による光学フィルムは、常圧プラズマ照射された部分のフィルム表面の炭素/酸素原子数比率(C/O比)が、0.8未満であれば、フィルム表層に水酸基が多くなるため、密着性が高くなりすぎ、貼付き故障の原因となるため好ましくない。また、常圧プラズマ照射された部分のフィルム表面の炭素/酸素原子数比率(C/O比)が、1.2を超えると、フィルム表面の水酸基が少なくなるため、密着性が悪化し、巻き取り後の巻き緩みの発生など巻き品質が劣となるため、好ましくない。
なお、本発明の方法において、図示の実施形態では、搬送されている光学フィルム(F)の左右両端部に、常圧プラズマ照射装置(20)によりプラズマ照射処理を施すことにより、光学フィルム(F)の端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)(14)を連続して形成しているが、場合によっては、搬送されている光学フィルム(F)の左右両端部のうちの一端部に、常圧プラズマ照射装置(20)によりプラズマ照射処理を施すことにより、光学フィルム(F)のと内側端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)を形成し、光学フィルム(F)の他方の端部には、別の方法により凹凸を有するエンボス部を形成することもある。
また、本発明の方法において、エンボス部の凹凸の高さ(h)(μm)は、フィルム膜厚(T)の0.05〜0.6倍の範囲、幅(W)は、フィルム幅(L)の0.005〜0.1倍の範囲に設定するのが、好ましい。エンボス部は、フィルムの両面に形成してもよい。この場合、エンボスの凹凸の高さ(h1+h2)(μm)は、フィルム膜厚(T)の0.05〜0.6倍の範囲に設定するのが、好ましい。例えばフィルム膜厚(T)が40μm、フィルム幅(L)が2000mmであるとき、エンボスの凹凸の高さ(h1+h2)(μm)は2〜24μm、エンボス幅(W)は、5〜200mmに設定するのが、好ましい。
つぎに、本発明による常圧プラズマ照射処理によるエンボス部の形成加工が終了したフィルムを、巻取り装置(13)によって巻き取り、光学フィルムの元巻を得るものである。乾燥を終了するフィルムの残留溶媒量は、0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下とすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。巻取りコア(巻芯)への、フィルムの接合は、両面接着テープでも、片面接着テープでもどちらでも良い。
本発明による光学フィルムは、巻き取り後のフィルムの幅が、1000〜3000mmであることが好ましい。
セルロースエステル等の樹脂フィルムの乾燥後の膜厚は、液晶表示装置の薄型化の観点から、仕上がりフィルムとして、20〜150μmの範囲が好ましい。ここで、乾燥後のフィルム膜厚とは、フィルム中の残留溶媒量が0.5重量%以下の状態のフィルムを言うものである。
ここで、巻取り後のセルロースエステル等の樹脂フィルムの膜厚が薄過ぎると、例えば偏光板用保護フィルムとしての必要な強度が得られない場合がある。フィルムの膜厚が厚過ぎると、従来のセルロースエステル等の樹脂フィルムに対して薄膜化の優位性がなくなる。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、流延ダイの口金のスリット間隙、流延ダイの押し出し圧力、支持体の速度等をコントロールするのがよい。また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行なってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことは、もちろんである。
図4は、溶液流延製膜法による本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置のいま1つの具体例を示すフローシートで、流延支持体として、例えば表面にハードクロムメッキ処理を施したステンレス鋼製の回転駆動ドラム(7)を用いた場合を例示するものである。
なお、図4の光学フィルム製造装置のその他の点は、上記図1の光学フィルム製造装置の場合と同様であるので、図面において同一のものには、同一の符号を付した。
ところで、溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、主材としてセルロースエステル等の樹脂を含む樹脂溶液(ドープ)に、可塑剤、リタデーション調整剤、紫外線吸収剤、微粒子、及び低分子量物質のうちの少なくとも1種以上の物質、及び溶媒が含くまれている。以下、これらについて説明する。
溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができるが、中でもセルロースエステルを用いるのが好ましい。
セルロースエステルは、セルロース由来の水酸基がアシル基などで置換されたセルロースエステルである。例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどのセルロースアシレートや、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートなどが挙げられる。中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートが好ましい。本発明の方法に用いられるセルロースエステルには、その他の置換基が含まれていてもよい。
セルローストリアセテートの例としては、アセチル基の置換度が2.0以上、3.0以下であることが好ましい。置換度をこの範囲にすることで、良好な成形性が得られ、かつ所望の面内リタデーション(Ro)、及び厚み方向リタデーション(Rt)を得ることができるのである。アセチル基の置換度が、この範囲より低いと、位相差フィルムとしての耐湿熱性、特に湿熱下での寸法安定性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると、必要なリタデーション特性が発現しなくなる場合がある。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
セルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに70000〜200000が好ましい。セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法では、セルロースエステルと厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤とを含有するドープ組成物を用いるのが、好ましい。
セルロースエステルフィルムの厚み方向リタデーション(Rt)を低減することが、IPSモードで動作する液晶表示装置の視野角拡大の意味において重要であるが、このような厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としては、下記のものが挙げられる。
一般に、セルロースエステルフィルムのリタデーションは、セルロースエステル由来のリタデーションと、添加剤由来のリタデーションの和として現れる。従って、セルロースエステルのリタデーションを低減させるための添加剤とは、セルロースエステルの配向を乱し、かつ自身が配向しにくいおよび/または分極率異方性が小さい添加剤が厚み方向リタデーション(Rt)を効果的に低下させる化合物である。従って、セルロースエステルの配向を乱すための添加剤としては、芳香族系化合物より、脂肪族系化合物が好ましい。
ここで、具体的なリタデーション低減剤として、例えば、つぎの一般式(1)または(2)で表わされるポリエステルが挙げられる。
一般式(1) B1−(G−A−)mG−B1
一般式(2) B2−(G−A−)nG−B2
上記式中、B1はモノカルボン酸成分を表わし、B2はモノアルコール成分を表わし、Gは2価のアルコール成分を表わし、Aは2塩基酸成分を表わし、これらによって合成されたことを表わす。B1、B2、G、およびAは、いずれも芳香環を含まないことが特徴である。m、nは、繰り返し数を表わす。
B1で表わされるモノカルボン酸成分としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等を用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましいモノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
B2で表わされるモノアルコール成分としては、特に制限はなく、公知のアルコール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
Gで表わされる2価のアルコール成分としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等を挙げることができるが、これらのうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、さらに、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールが好ましく用いられる。
Aで表わされる2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、例えば脂肪族2塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等、特に、脂肪族カルボン酸としては、炭素数4〜12を有するもの、これらから選ばれる少なくとも1つのものを使用する。つまり、2種以上の2塩基酸を組み合わせて使用してよい。
上記の一般式(1)または(2)における繰り返し数m、nは、1以上で170以下が好ましい。
ポリエステルの重量平均分子量は、20000以下が好ましく、10000以下であることがさらに好ましい。特に重量平均分子量が500〜10000のポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜において蒸発も揮発も起こらない。
ポリエステルの重縮合は常法によって行なわれる。例えば上記2塩基酸とグリコールの直接反応、上記の2塩基酸またはこれらのアルキルエステル類、例えば2塩基酸のメチルエステルとグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応により熱溶融縮合法か、あるいはこれらの酸の酸クロライドとグリコールとの脱ハロゲン化水素反応の何れかの方法により用意に合成し得るが、重量平均分子量がさほど大きくないポリエステルは直接反応によるのが、好ましい。低分子量側に分布が高くあるポリエステルは、セルロースエステルとの相溶性が非常によく、フィルム形成後、透湿度も小さく、しかも透明性に富んだセルロースエステルフィルムを得ることができる。
分子量の調節方法は、特に制限がなく、従来の方法を使用できる。例えば、重合条件にもよるが、1価の酸または1価のアルコールで分子末端を封鎖する方法により、これらの1価のものの添加する量によりコントロールできる。この場合、1価の酸がポリマーの安定性から好ましい。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができるが、重縮合反応中には系外に溜去せず、停止して、このような1価の酸を反応系外に除去するときに溜去しやすいものが選ばれる。これらを混合使用しても良い。また、直接反応の場合には、反応中に溜去してくる水の量により反応を停止するタイミングを計ることよっても重量平均分子量を調節できる。その他、仕込むグリコールまたは2塩基酸のモル数を偏らせることよってもできるし、反応温度をコントロールしても調節できる。
上記一般式(1)または(2)で表わされるポリエステルは、セルロースエステルに対し、1〜40重量%含有することが好ましい。特に5〜15重量%含有することが好ましい。
厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としては、さらに下記のものが挙げられる。
本発明の光学フィルムの製造に使用するドープは、主に、セルロースエステル、リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマー(エチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー)、及び有機溶媒を含有する。
厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号公報または特開2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、何れも好ましく用いられるが、特に、該公報に記載の方法が好ましい。
有用な厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマー単位としては、まず、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
つぎに、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル等;メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが挙げられる。
さらに、不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
上記モノマーで構成されるポリマーはコポリマーでもホモポリマーでもよく、ビニルエステルのホモポリマー、ビニルエステルのコポリマー、ビニルエステルとアクリル酸またはメタクリル酸エステルとのコポリマーが好ましい。
アクリル系ポリマーという(単にアクリル系ポリマーという)のは、芳香環あるいはシクロヘキシル基を有するモノマー単位を有しないアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーを指す。
芳香環及びシクロヘキシル基を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
アクリル系ポリマーは、上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30重量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40重量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
上述のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマーは、いずれもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーの場合はホモポリマーではなく、コポリマーの構成単位である。この場合、好ましくは、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位がアクリル系ポリマー中2〜20重量%含有することが好ましい。
溶液流延製膜法の光学フィルムの製造方法においては、ドープ組成物が、セルロースエステルと、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としての重量平均分子量500以上、3000以下のアクリル系ポリマーとを含有することが好ましい。
また、溶液流延製膜法の光学フィルムの製造方法においては、ドープ組成物が、セルロースエステルと、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としての重量平均分子量5000以上、30000以下のアクリル系ポリマーとを含有するが好ましい。
厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としてのポリマーの重量平均分子量が500以上、3000以下、あるいはまたポリマーの重量平均分子量が5000以上、30000以下のものであれば、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜中において蒸発も揮発も起こらない。また、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤として、側鎖に水酸基を有するポリマーも好ましく用いることができる。水酸基を有するモノマー単位としては、前記したモノマーと同様であるが、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。ポリマー中に水酸基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルモノマー単位はポリマー中2〜20重量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10重量%である。
前記のようなポリマーが上記の水酸基を有するモノマー単位を2〜20重量%含有したものは、勿論、セルロースエステルとの相溶性、保留性、寸法安定性が優れ、透湿度が小さいばかりでなく、偏光板用保護フィルムとしての偏光子との接着性に特に優れ、偏光板の耐久性が向上する効果を有している。
また、上記ポリマーの主鎖の少なくとも一方の末端に水酸基を有することが好ましい。主鎖末端に水酸基を有するようにする方法は、特に主鎖の末端に水酸基を有するようにする方法であれば限定ないが、アゾビス(2−ヒドロキシエチルブチレート)のような水酸基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法、2−メルカプトエタノールのような水酸基を有する連鎖移動剤を使用する方法、水酸基を有する重合停止剤を使用する方法、リビングイオン重合により水酸基を末端に有するようにする方法、特開2000−128911号公報または特開2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等により得ることができ、特に該公報に記載の方法が好ましい。この公報記載に関連する方法で作られたポリマーは、綜研化学社製のアクトフロー・シリーズとして市販されており、好ましく用いることができる。
上記の末端に水酸基を有するポリマー及び/または側鎖に水酸基を有するポリマーは、セルロースエステルに対するポリマーの相溶性、透明性を著しく向上する利点を有する。
有用な厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としては、上記のほかにも、例えば特開2000−63560号公報記載のジグリセリン系多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物、特開2001−247717号公報記載のヘキソースの糖アルコールのエステルまたはエーテル化合物、特開2004−315613号公報記載のリン酸トリ脂肪族アルコールエステル化合物、特開2005−41911号公報記載の一般式(1)で表わされる化合物、特開2004−315605号公報記載のリン酸エステル化合物、特開2005−105139号公報記載のスチレンオリゴマー、および特開2005−105140号公報記載のスチレン系モノマーの重合体が挙げられる。
溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法において、上記セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
良溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル及び塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40重量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることで、ウェブをゲル化させ、ウェブを丈夫にして、支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないことなどからエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロース誘導体に対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
このような条件を満たす好ましい高分子化合物であるセルロース誘導体を高濃度に溶解する溶媒として最も好ましいのは、塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶媒である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
溶液流延製膜法により製造されるフィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤等を含有させても良い。
溶液流延製膜法において使用する可塑剤としては、特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたり、フィルムからブリードアウトあるいは揮発しないように、セルロース誘導体や加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物と、水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができるが、特に好ましくは多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等の非リン酸エステル系可塑剤である。
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
溶液流延製膜法に用いられる多価アルコールは、つぎの一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
(ただし、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
好ましい多価アルコールの例としては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は、特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが、さらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では、小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
グリコレート系可塑剤は、特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を、好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等を用いることができるが、リン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないことが好ましい。
ここで、「実質的に含有しない」とは、リン酸エステル系可塑剤の含有量が1重量%未満、好ましくは0.1重量%であり、特に好ましいのは添加していないことである。
これらの可塑剤は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤の使用量は、1〜20重量%が好ましい。6〜16重量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13重量%である。可塑剤の使用量が、セルロース誘導体に対して1重量%未満では、フィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため、好ましくなく、20重量%を越えると、フィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、好ましくない。
溶液流延製膜法におけるセルロース誘導体には、滑り性を付与するために、マット剤等の微粒子を添加するのが好ましい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物の微粒子であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,R805、OX50、TT600などが挙げられる。
有機化合物の微粒子の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等の微粒子が挙げられる。
微粒子の1次粒径は、特に限定されないが、最終的にフィルム中での平均粒径は、0.01〜5.0μm程度が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜1.0μmである。
微粒子の平均粒径は、セルロースエステルフィルムを電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察した際に、フィルムの観察場所における、粒子の長軸方向の長さの平均値を指す。フィルム中で観察される粒子であれば、1次粒子であっても、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいが、通常観察される多くは2次粒子である。
測定方法の一例としては、1つのフィルムにつき、ランダムに10箇所の垂直断面写真を撮影し、各断面写真について、長軸長さが、0.05〜5μmの範囲にある100μm 中の粒子個数をカウントする。このときカウントした粒子の長軸長さの平均値を求め、10箇所の平均値を平均した値を平均粒径とする。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加された粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステルと複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
ここで、微粒子の平均粒径が、5μmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、微粒子の平均粒径が、0.05μm未満の場合は、フィルムに滑り性を付与するのが難しくなる。
上記の微粒子は、セルロースエステルに対して、0.01〜2.0重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%添加して使用される。微粒子の添加量が0.01重量%未満では、フィルム表面粗さが平滑になりすぎて、摩擦係数の上昇によりブロッキングを発生する。微粒子の添加量が2.0重量%を超えると、フィルム表面の摩擦係数が下がりすぎて、巻き取り時に巻きズレが発生したり、フィルムの透明度が低く、ヘイズが高くなるため、液晶表示装置用フィルムとしての価値を持たなくなるので、上記の範囲が必須である。
微粒子の分散は、微粒子と溶媒を混合した組成物を高圧分散装置で処理することが好ましい。溶液流延製膜法で用いる高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理することにより、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が980N/cm 以上であることが好ましい。さらに好ましくは、装置内部の最大圧力条件が1960N/cm 以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが、好ましい。
上記のような高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation社製の超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーが挙げられ、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザーなどが挙げられる。
溶液流延製膜法において、微粒子は、低級アルコール類を25〜100重量%含有する溶媒中で分散した後、セルロースエステル(セルロース誘導体)を溶媒に溶解したドープと混合し、該混合液を支持体上に流延し、乾燥して製膜することにより、セルロースエステルフィルムを得る。
ここで、低級アルコールの含有比率としては、好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%である。
また、低級アルコール類の例としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
低級アルコール以外の溶媒としては、特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
微粒子は、溶媒中で1〜30重量%の濃度で分散される。これ以上の濃度で分散すると、粘度が急激に上昇し、好ましくない。分散液中の微粒子の濃度としては、好ましく、5〜25重量%、さらに好ましくは、10〜20重量%である。
フィルムの紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどの各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をセルロース誘導体中に含ませても良く、セルロース誘導体からなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
溶液流延製膜法において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
有用な紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、紫外線吸収剤の市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、好ましく使用できる。
また、溶液流延製膜法において使用し得る紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステル(セルロース誘導体)に対して、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5重量%が好ましい。紫外線吸収剤の使用量が少なすぎると、紫外線吸収効果が不充分の場合があり、紫外線吸収剤の使用量が多すぎると、フィルムの透明性が劣化する場合があるので、好ましくない。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
また、溶液流延製膜法の光学フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、特開平6−148430号公報及び特開2002−47357号公報に記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることができる。とりわけ特開平6−148430号公報に記載の一般式(1)、あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号公報に記載の一般式(3)(6)(7)で表される高分子紫外線吸収剤が、好ましく用いられる。
酸化防止剤は、一般に、劣化防止剤ともいわれるが、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。すなわち、液晶画像表示装置などが高湿高温の状態に置かれた場合には、光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えばフィルム中の残留溶媒中のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸などによりフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して重量割合で1ppm〜1.0重量%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
つぎに、本発明の溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法について説明する。
溶融流延成膜法は、加熱溶融する成形法に分類され、溶融押出し成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などを適用できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度などに優れる光学フィルムを得るためには、溶融押出し法が優れている。以下、溶融押出し法を例にとり、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
本発明の溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法において、用いるフィルム構成材料は、主にペレット状のものを用い、製膜する前に乾燥することが好ましい。乾燥後のペレットの水分率は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。
乾燥機としては除湿熱風乾燥機、リボン型伝熱真空乾燥機、スクリュー型伝熱真空乾燥機などが好ましく使用できるが、これらに限定されない。
真空乾燥機を使用する場合、真空度は好ましくは0.01Pa以下、より好ましくは0.03Pa以下である。温度は50℃以上、150℃以下が好ましい。より好ましくは80℃以上、120℃以下である。乾燥中に乾燥機の中に窒素ガスを入れることが好ましい。真空状態から大気圧に戻す時に、除湿エアまたは窒素ガスを入れることが好ましい。
除湿熱風乾燥機を使用する場合、除湿エアの露点は好ましくは−20℃以下、より好ましくは−40℃以下である。
乾燥機から押出し機への移送方法としては空気輸送が好ましい。輸送に使用する空気は除湿されていることが好ましい。乾燥機から空気輸送されたペレットは、押出し機の上のホッパーに入れられるが、ホッパーの上に粉取り捕集器があり、ペレットと一緒に輸送されたペレットの小さな破片や粉を除去することが好ましい。捕集器内では空気の力でペレットと粉が分離され、粉のみ除去される。ホッパーは保温されていることが好ましい。温度は50℃以上、150℃以下が好ましい。より好ましくは80℃以上、120℃以下である。ホッパーの中に除湿空気を入れることが好ましい。
図5は、本発明の溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法を実施する装置の全体構成を示す概略フローシートである。なお、本発明の実施にあたっては、以下に示す図面のプロセスに限定されるものではない。
同図において、例えば熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を押出し機(21)を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター(22)などで濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機(21)へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
可塑剤などの添加剤を予め混合しない場合は、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー(23)などの混合装置を用いることが好ましい。
セルロース樹脂等の樹脂と、その他必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましい。混合は、混合機等により行なってもよく、また、前記したようにセルロース樹脂等の樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、一般的な混合機を用いることができる。
上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機(21)を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレット化した後、該ペレットを押出し機(21)で溶融して製膜するようにしてもよい。また、フィルム構成材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機(21)に投入して製膜することも可能である。フィルム構成材料に熱分解しやすい材料が含まれる場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
押出し機(21)は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でも良い。フィルム構成材料からペレットを作製せずに、直接製膜を行なう場合、適当な混練度が必要であるため2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られるので、使用可能である。フィルム構成材料として、一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも使用可能である。
押出し機(21)内および押し出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機(21)内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、フィルム(樹脂混合物)のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg以上、Tg+100℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。また、押出し機(21)内でのフィルム構成材料の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機(21)の種類、押し出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機(21)のスクリューの形状や回転数等は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等により適宜選択される。本実施形態において押出し機(21)でのせん断速度は、1/秒〜10000/秒、好ましくは5/秒〜1000/秒、より好ましくは10/秒〜100/秒である。押出し機(21)としては、一般的にプラスチック成形機として市販されている押出し機を使用することができる。
押出し機(21)から押し出されたフィルム構成材料は、流延ダイ(24)に送られ、流延ダイ(24)からフィルム状に押し出される。
押出し機(21)から吐出される溶融物は、流延ダイ(24)に供給される。流延ダイ(24)はシートやフィルムを製造するために用いられるものであれば、特に限定はされない。流延ダイ(24)の材質としては、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)などを溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨などの加工を施したものなどがあげられる。
流延ダイ(24)のリップ部の好ましい材質は、流延ダイ(24)と同様である。またリップ部の表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
本発明の溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、セルロース樹脂などのフィルム材料を混合した後、押出し機(21)を用いて、流延ダイ(24)のダイリップから樹脂溶融液を押し出て、冷却ロール(25)の表面上に流延膜を形成する。
ついで、第1冷却ロール(25)上に、流延膜を接触させ、第1冷却ロール(25)に外接させるとともに、さらに、第2冷却ロール(27)、第3冷却ロール(28)の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化してフィルム(F)とする。
なお、流延ダイ(24)から樹脂溶融液をフィルム状に押し出し、押し出された流延膜(フィルム)を引き取るには、少なくとも2つの回転体(冷却ロール)に密着させて引き取り、フィルムを成形する。
ここで、平面性を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロール(25)表面に挟圧するタッチロール(26)が設けられている。このタッチロール(26)は表面が弾性を有し、第1冷却ロール(25)との間でニップを形成している。
図5に示す本発明の実施形態では、流延膜が最初に第1冷却ロール(25)の表面に接触した点と、フィルムがタッチロール(26)の表面に接触した点が異なっている実施形態を示している。
なお、図示は省略したが、押出し機(21)からの流延膜が最初に第1冷却ロール(25)の表面に接触した点と、流延膜がタッチロール(26)の表面に接触した点とが同じであっても良い。
さらに、図5に示す本発明の実施形態では、第3冷却ロール(28)から剥離ロール(29)によって剥離した冷却固化されたフィルム(F)は、延伸ゾーンール(32)に導き、そこでフィルム(F)を横方向(幅手方向)に延伸する。この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
フィルムを幅手方向に延伸する方法は、公知のテンターなどを好ましく用いることができる。特に延伸方向を幅手方向とすることで、偏光フィルムとの積層がロール形態で実施できるので好ましい。幅手方向に延伸することで、セルロースエステル系樹脂フィルムからなる光学フィルムの遅相軸は幅手方向になる。
延伸後、本発明の方法により、搬送されている光学フィルム(F)の左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置(20)によりプラズマ照射処理を施すことにより、光学フィルム(F)の端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)(14)を連続して形成する。
こうして、端部に多数の凹凸を有するエンボス部(14)(14)が形成された光学フィルム(F)を、巻取りゾーン(33)の巻取り装置(30)によって巻き取ることにより、光学フィルム(F)中の貼付きや、凸状変形の発生を防止することができるものである。
なお、ここで、常圧プラズマ照射装置(20)としては、前述の図2と図3に詳細に説明したものを使用する。
また、常圧プラズマ照射装置(20)の設置場所は、図5に符号「A」で示す区間とした。
このような本発明の方法によれば、常圧プラズマ照射処理によるエンボス部の形成は、従来の接触式加工と異なり、非接触で加工を施すため、フィルム表面の微小なシワやキズが皆無となり、フィルムの表面性が飛躍的に向上する。また、常圧プラズマ照射により、粗面化による凹凸形成に加え、照射部分の表面改質も同時に施すことができるため、エンボス効果が飛躍的に向上し、広幅化、長尺化においても安定な巻き性、搬送性を確保できる。また、従来のレーザー光照射のように高温での処理でなく、ラジカルのアタックによる凹凸形成のため、フィルム成分の揮発や発塵が無く、凹凸形成を施すことができるものである。
ところで、溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、主材としてセルロースエステル等の樹脂に、多くの添加剤が含くまれており、以下、これらについて説明する。
溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができるが、中でもセルロースエステルを用いるのが好ましい。
ここで、セルロースエステル原料としては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプやケフナ等がある。またこれらから得られた原料セルロースを任意の割合で混合して使用してもよい。セルロースエステルは、アセチル基または炭素原子数が3〜22のアシル基を有するセルロースアシレートであることが好ましい。炭素原子数3〜22のアシル基の例には、プロピオニル(CCO−)、n−ブチリル(CCO−)、イソブチリル、バレリル(CCO−)、イソバレリル、sec−バレリル、tert−バレリル、オクタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル及びオレオロイルが含まれる。プロピオニル及びブチリルが好ましい。セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートが好ましく、セルローストリアセテートが特に好ましい。
アシル基のアシル化剤が酸無水物や酸クロライドである場合、反応溶媒としての有機溶媒は、有機酸(例、酢酸)やメチレンクロライドが使用される。
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基の置換度が2.6〜3.0であることが好ましい。セルロースアシレートの重合度(粘度平均)は、200〜700であることが好ましく、250〜550であることが特に好ましい。
これらのセルロースアシレートは、ダイセル化学工業株式会社、コートルズ社、ヘキスト社、イーストマンコダック社により市販されている。写真用グレードのセルロースアシレートが好ましく用いられる。セルロースアシレートの含水率は、2重量%以下であることが好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を酢酸または他の酸によりエステル化したポリマーである。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は、1.00)を意味する。
溶融流延製膜法で用いるセルロースアシレートは、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88以上であるセルロースアシレートと、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88未満であるセルロースアシレートとをブレンドすることにより得られる。2位、3位のアシル置換度の合計が1.70以下の場合、フィルムが吸湿しやすくなり、加水分解を受けやすくなるためフィルムの耐久性が低下する。また、湿度等による寸法変化も大きくなる。逆に、1.95を越すとセルロースアシレートの有機性が上がるため溶媒との親和性が増大し、ドープの粘度が上昇してしまう。従って、2位、3位のアシル置換度の合計は、1.70〜1.95であることが好ましく、1.75〜1.88であることがさらに好ましい。
ところで6位の水酸基が2位、3位の水酸基と異なり一級水酸基であるため、水酸基の水素結合が極めて起こりやすいことが分かってきた。従って6位のアシル置換度を0.88以上とすることにより、溶媒への溶解性は著しく向上し、流延適性上好ましいドープを得ることが可能となる。6位のアシル置換度の範囲は、合成適正等を考慮すると0.88〜0.99が好ましく、0.89〜0.98がさらに好ましい。しかしながら、6位のアシル置換度を向上させると膜強度が低下するという問題があり、その両立が困難であった。また、アシル置換度が0.88よりも小さくなると溶媒への溶解性が著しく低下するため好ましくない。
さらに、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88以上であるセルロースアシレートからなるフィルム、または2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88未満であるセルロースアシレートからなるフィルム上に薄膜を形成した光学フィルムでロール状態で保管中に皺や凹み等の平面性の劣化が起こりやすい、さらには、形成した金属酸化物層にクラックが入りやすく、膜厚ムラが生じやすいという問題があった。
これらの問題はセルロースアシレートをブレンドすることにより解決できることが判明した。また、6位のアシル置換度が0.88以上のセルロースアシレートは膜強度の観点からアシル置換基の炭素数は小さい方が望ましく、全てアセチル基であるほうが好ましい。なお、特開平11−5851号公報には2位、3位、6位のアセチル置換基の合計が2.67以上であり、2位、3位のアセチル置換基の合計が1.97以下のセルロースアセテートが記載されているが、このうち2位と3位の合計が1.90を超える範囲はフィルムの光学適性からは好ましい範囲を記載したものであり、流延適性からは本明細書に記載されている範囲の方がより好ましい。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、無水酢酸−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、木材パルプ等のセルロース原料を適当量の有機酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位及び6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記アシル化混液は、一般に、溶媒としての有機酸、エステル化剤としての無水有機酸及び触媒としての硫酸を含む。無水有機酸は、これと反応するセルロース及び系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水有機酸の加水分解及びエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。
つぎに、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン化熟成し、所望のアシル置換度及び重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは、中和することなく、水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄及び安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
通常のセルロースアシレートの合成方法では、2位または3位のアシル置換度の方が、6位のアシル置換度よりも高い値になる。そのため、2位、3位のアシル置換度の合計が1.95以下とし、かつ6位のアシル置換度を0.88以上とするためには、前記の反応条件を特別に調節する必要がある。具体的な反応条件としては、硫酸触媒の量を減らし、アシル化反応の時間を長くすることが好ましい。硫酸触媒が多いと、アシル化反応の進行が速くなるが、触媒量に応じてセルロースとの間に硫酸エステルが生成し、反応終了時に遊離して残存水酸基を生じる。硫酸エステルは、反応性が高い6位により多く生成する。そのため、硫酸触媒が多いと6位のアシル置換度が小さくなる。従って、溶融流延製膜法に用いるセルロースアシレートを合成するためには、可能な限り硫酸触媒の量を削減し、それにより低下した反応速度を補うため、反応時間を延長する必要がある。
(可塑剤)
溶融流延製膜法により製造される光学フィルムには、下記の可塑剤が含まれていてもよい。
多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性が高く好ましい。
多価アルコールエステル系の一つであるエチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ−4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。さらにエチレングリコール部も置換されていてもよく、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるグリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン−4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン−3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。さらにグリセリン、ジグリセリン部も置換されていてもよく、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造がポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価アルコールエステル系の可塑剤としては、具体的には特開2003−12823号公報の段落30〜33記載の多価アルコールエステル系可塑剤が挙げられる。
これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。さらに多価アルコール部も置換されていてもよく、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤の中では、アルキル多価アルコールアリールエステルが好ましく、具体的には上記のエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリベンゾエート、ジグリセリンテトラベンゾエート、特開2003−12823号公報の段落32記載例示化合物16が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系の一つであるジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ−4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ−2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ−4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。さらにフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価カルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的にはトリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ−3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ−4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ−4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同士が共有結合で結合していてもよい。さらにフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造がポリマーの一部、あるいは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の中では、ジアルキルカルボン酸アルキルエステルが好ましく、具体的には上記のジオクチルアジペート、トリデシルトリカルバレートが挙げられる。
さらにリン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同士が共有結合で結合していてもよい。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、さらに置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同士が共有結合で結合していてもよい。
さらにリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、あるいは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
つぎに、炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類がピラノース又はフラノース(6員環又は5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類又は三糖類を意味する。炭水化物の非限定的例としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、ソルボース、セロトリオース及びラフィノースなどが挙げられる。炭水化物エステルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステル化合物を形成したものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、あるいは芳香族カルボン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルイル酸、アニス酸等を挙げることができる。炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成しても、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成してもよい。特に、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成するのが好ましい。
炭水化物エステル系可塑剤として、具体的には、グルコースペンタアセテート、グルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタブチレート、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロースオクタアセテートがより好ましい。
ポリマー可塑剤:具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体(例えば、共重合比1:99〜99:1の間の任意の比率)等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は1,000〜500,000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、セルロースエステルフィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
なお、本発明による光学フィルムは、着色すると光学用途として影響を与えるため、好ましくは黄色度(イエローインデックス、YI)が3.0以下、より好ましくは1.0以下である。黄色度はJIS−K7103に基づいて測定することができる。
可塑剤は、前述のセルロースエステル同様に、製造時から持ち越される、あるいは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去することが好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸、及び水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、セルロース樹脂を溶融製膜する上で、熱劣化を抑制でき、製膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
(酸化防止剤)
セルロースエステルは、溶融製膜が行なわれるような高温環境下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、溶融流延製膜法の光学フィルムにおいては安定化剤として酸化防止剤を使用することも好ましい。
溶融流延製膜法において有用な酸化防止剤としては、酸素による溶融成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物が好ましい。
ヒンダードアミン化合物(HALS)としては、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が好ましい。市販品としては、LA52(旭電化社製)を挙げることができる。
ラクトン系化合物としては、特開平7−233160号公報、特開平7−247278号公報記載の化合物が好ましい。
これらの安定剤は、それぞれ1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は適宜選択されるが、セルロースエステル100重量部に対して、通常0.001〜10.0重量部、好ましくは0.01〜5.0重量部、さらに好ましくは0.1〜3.0重量部である。
これらの化合物を配合することにより、透明性、耐熱性などを低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。
酸化防止剤の添加量は、セルロースエステル100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部である。
(酸掃去剤)
酸掃去剤とは製造時から持ち込まれるセルロースエステル中に残留する酸(プロトン酸)をトラップする役割を担う剤である。また、セルロースエステルを溶融するとポリマー中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進し、CAPならば酢酸やプロピオン酸が生成する。酸と化学的に結合できればよく、エポキシ、3級アミン、エーテル構造等を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものでない。
具体的には、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸掃去剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等)あるいはベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール等)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2′−エチルへキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等)、トリアジン系紫外線吸収剤、あるいは特開昭58−185677号公報、同59−149350号公報記載の化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトルがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
紫外線吸収剤と共に特に好ましく用いられる従来公知のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス化したものであってもよく、例えば、6,6′−メチレンビス(2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル))−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノール、6,6′−メチレンビス(2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル))−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール等が挙げられる。
また、その他の従来公知の紫外線吸収性ポリマーと組み合わせて用いることもできる。ここで、従来公知の紫外線吸収性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、R紫外線A−93(大塚化学社製)を単独重合させたポリマー及びR紫外線A−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、R紫外線A−93とメチルメタクリレートを3:7の比(重量比)で共重合させたP紫外線A−30M、5:5の比(重量比)で共重合させたP紫外線A−50M等が挙げられる。さらに、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)360、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、LA−31(旭電化社製)、R紫外線A−100(大塚化学社製)を用いることもできる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
溶融流延製膜法においては、紫外線吸収剤は0.1〜20重量%添加することが好ましく、さらに0.5〜10重量%添加することが好ましく、さらに1〜5重量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
(粘度低下剤)
溶融流延製膜法において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、溶融流延製膜法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下することができる、または同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下することができる。
水素結合性溶媒としては、例えば、アルコール類:例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、グリセリン等、ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン等、カルボン酸類:例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等、エーテル類:例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等、ピロリドン類:例えば、N−メチルピロリドン等、アミン類:例えば、トリメチルアミン、ピリジン等、等を例示することができる。これら水素結合性溶媒は、単独で、又は2種以上混合して用いることができる。これらのうちでも、アルコール、ケトン、エーテル類が好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランが好ましい。さらに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランのような水溶性溶媒が特に好ましい。ここで水溶性とは、水100gに対する溶解度が10g以上のものをいう。
(リタデーション制御剤)
光学フィルムにおいて配向膜を形成して液晶層を設け、セルロースアシレートフィルムと液晶層由来のリタデーションを複合化して光学補償能を付与した偏光板加工を行なってもよい。リタデーションを制御するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリタデーション制御剤として使用することもできる。また2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
(マット剤)
光学フィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の1次粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の1次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、さらに好ましくは7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースアシレートフィルム中では、セルロースアシレートフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜1.0重量%が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル株式会社製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを重量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
上記マット剤として用いられるフィルム中の微粒子の存在は、別の目的としてフィルムの強度向上のために用いることもできる。また、フィルム中の上記微粒子の存在は、光学フィルムを構成するセルロースエステル自身の配向性を向上することも可能である。
(高分子材料)
光学フィルムは、セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行なう意味を含んでいる。
本発明の方法により製造された光学フィルムが、例えばセルロースエステルフィルムである場合、セルロースエステルフィルムは、透過率が90%以上であることが望ましく、さらに好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは93%以上である。
また、本発明の方法により製造された光学フィルムは、3枚重ねた場合のヘイズが、0.3〜2.0であるもので、本発明の光学フィルムによれば、フィルムのヘイズが非常に低いものであり、透明性、平面性に優れた光学特性を有するものである。
ここで、光学フィルムのヘイズの測定は、例えば、JIS K 7105に規定される方法に従って、ヘイズ・メーター(1001DP型、日本電色工業株式会社製)を用いて測定すれば、良い。
また、本発明による光学フィルムの製造方法で製造されたセルロースエステルフィルムの機械方向(MD方向)の引張弾性率が、1500MPa〜5000MPa、機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率が、1500MPa〜5000MPaであるのが好ましく、フィルムのTD方向弾性率/MD方向弾性率の比が、1.00〜1.90であるのが好ましい。
ここで、光学フィルムのTD方向弾性率/MD方向弾性率の比が、1.40未満であれば、1650mmを超える幅のフィルムの巻取りでは中央部のたるみが大きくなり、巻き芯のフィルムの貼付きが多くなるため、好ましくない。また、フィルムのTD方向弾性率/MD方向弾性率の比が、1.90を超えると、偏光板での過熱後のそりが生じたり、液晶パネルに組み込んだ際にバックライトの熱によりバックライト側と表面側の偏光板の寸法変化の挙動が大きく異なることにより、コーナーにムラが生じるので、好ましくない。
フィルムのMD方向、及びTD方向の引張弾性率の具体的な測定方法としては、例えばJIS K7217の方法が挙げられる。
すなわち、引っ張り試験器(ミネベア社製、TG−2KN)を用い、チャッキング圧:0.25MPa、標線間距離:100±10mmで、サンプルをセットし、引っ張り速度:100±10mm/分の速度で引っ張る。その結果、得られた引張応力−歪み曲線から、弾性率算出開始点を10N、終了点を30Nとし、その間に引いた接線を外挿し、弾性率を算出するものである。
本発明の光学フィルムでは、下記式で定義される面内リタデーション(Ro)が、温度23℃、湿度55%RHの条件下で30〜300nm、厚み方向リタデーション(Rt)が、温度23℃、湿度55%RHの条件下で70〜400nmであることが好ましい。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、Roはフィルム面内リタデーション値、Rtはフィルム厚み方向リタデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。
なお、リタデーション値Ro、Rtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
本発明による光学フィルムは、上記の光学フィルムの製造方法で製造されたものであり、フィルムの厚みは、30〜200μmが好ましい。
本発明が対象とする光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、特に液晶ディスプレイに用いられる機能フィルムのことであり、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムを含むものである。
本発明の光学フィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、耐久性及び寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。
ところで、偏光フィルムは、従来から使用されている、例えば、ポリビニルアルコールフィルムのような延伸配向可能なフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して縦延伸したものである。偏光フィルム自身では、十分な強度、耐久性がないので、一般的にはその両面に保護フィルムとしての異方性のないセルロースエステルフィルムを接着して偏光板としている。
上記偏光板には、本発明の方法により製造された光学フィルムを位相差フィルムとして貼り合わせて作製してもよいし、また本発明の方法により製造された光学フィルムを位相差フィルムと保護フィルムとを兼ねて、直接偏光フィルムと貼り合わせて作製してもよい。貼り合わせる方法は、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行なうことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。さらに、長手方向に延伸し、二色性染料処理した長尺の偏光フィルムと長尺の本発明の方法により製造された位相差フィルムとを貼り合わせることによって長尺の偏光板を得ることができる。偏光板はその片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
このようにして得られた偏光板は、種々の表示装置に使用できる。特に電圧無印加時に液晶性分子が実質的に垂直配向しているVAモードや、電圧無印加時に液晶性分子が実質的に水平かつねじれ配向しているTNモードの液晶セルを用いた液晶表示装置が好ましい。
ところで、偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、光学フィルムあるいはセルロースエステルフィルムをアルカリケン化処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に漬ける処理のことをいう。
本発明の方法により製造された光学フィルムには、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、接着層、下引き層等の各種機能層を付与することができる。これらの機能層は塗布あるいは蒸着、スパッタ、プラズマCVD、常圧プラズマ照射処理等の方法で設けることができる。
このようにして得られた偏光板が、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
本発明において、液晶表示装置は、棒状の液晶分子が一対のガラス基板に挟持された液晶セルと、液晶セルを挾むように配置された偏光膜及びその両側に配置された透明保護層からなる2枚の偏光板を持つものである。
なお、本発明による偏光板は、平面性に優れた光学フィルムを、少なくとも一方の面に用いるものであるから、偏光板を液晶パネルに組み込んだ際、液晶パネルのコントラスト低下や濃淡ムラを生じることがなく、視認性に優れている。
また、本発明による表示装置は、この平面性に優れた光学フィルムを具備する偏光板を用いているものであるから、液晶パネルのコントラスト低下や濃淡ムラを生じることがなく、視認性に優れているものである。
本発明の方法により製造された光学フィルムは、反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用できる。
つぎに、本発明の実施例を比較例とともに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
まず、本発明による光学フィルムの製造方法を溶液流延製膜法に基づいて実施した。
(ドープの調製)
下記の材料を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過して、ドープを調製した。
(ドープ組成)
セルローストリアセテート 100重量部
(Mn=148000、Mw=310000 Mw/Mn=2.1)
トリフェニルホスフェート 8重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
メチレンクロライド 440重量部
エタノール 40重量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)0.5質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)0.5質量部
アエロジル972V(日本アエロジル株式会社製) 0.2質量部
つぎに、図1に示す溶液流延製膜装置によりセルローストリアセテートフィルムを製造した。すなわち、上記のドープを流延する支持体(6)としては、SUS316製、走査型原子間力顕微鏡(AFM)による3次元表面粗さ(Ra)が、平均1.0nmの超鏡面に研磨したエンドレスベルトを用いた。
上記のように濾過したドープを、ドープ温度35℃で、温度20℃のSUS316製のエンドレスベルト支持体(6)上にコートハンガーダイよりなる流延ダイ(3)により均一に流延した。乾燥風の温度は、30℃で一定とした。
ウェブをエンドレスベルト支持体(6)上で搬送しながら乾燥した後、エンドレスベルト支持体(6)から剥離し、その後、テンター(10)で、残留溶媒量10%のとき100℃の雰囲気内で幅方向に1.06倍延伸した後、幅保持を解放して、ロール搬送しながら125℃の乾燥装置(11)で乾燥を終了させた直後に、フィルム(F)の左右両端部に、図2に示すように、常圧プラズマ照射装置(20)により、下記のように、常圧プラズマ照射処理を施して、フィルム(F)の左右両端部に多数の凹凸を有するエンボス部(14)を形成した。
なお、常圧プラズマ照射装置(20)を設置した場所は、図1に符号「A」で示す区間とした。
(常圧プラズマ照射処理)
図2と図3に示すように、常圧プラズマ照射装置(20)を使用し、フィルム(F)を常圧プラズマ照射装置(20)の下を通過させて、常圧プラズマ照射処理を施した。常圧プラズマ照射処理に用いた混合ガス(反応ガス)の組成を以下に示した。なお、気圧は760Torrとした。
窒素 99.98体積%
酸素 0.02体積%
混合ガス流量 2m/min
なお、プラズマ照射処理時の照射強度は、1.0(W/cm )とした。また、常圧プラズマ照射装置(20)によるプラズマ照射処理の際のフィルムの搬送速度は、40m/分とし、プラズマの噴射供給を行なう吹出しスリットと、フィルム(F)の表面との間隙は、3mmとした。
得られたセルローストリアセテートフィルムの膜厚は40μmであり、フィルム幅は2000mm、およびフィルムの巻取り長は3000mであった。
実施例2〜8
上記実施例1の場合とほゞ同様に実施して、本発明によるセルローストリアセテートフィルムを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、プラズマ照射処理時の照射強度(W/cm )を、下記の表1に記載されているように、種々変更して設定した点にある。
比較例1
比較のために、上記実施例1の場合とほゞ同様に実施するが、実施例1の場合と異なる点は、乾燥を終了させた直後のセルローストリアセテートフィルムの左右両端部に、常圧プラズマ照射でなく、従来のいわゆるホットプレス方式(温度275℃、押圧可変方式)により、凹凸を有するエンボス部を形成した点にある。
比較例2
比較のために、上記実施例1の場合とほゞ同様に実施するが、実施例1の場合と異なる点は、乾燥を終了させた直後のセルローストリアセテートフィルムの左右両端部に、常圧プラズマ照射でなく、従来のレーザー照射により、凹凸を形成して、エンボス部を設けた点にある。
ここで、レーザー照射装置としては、CO レーザー光照射装置(MLZ9510、株式会社キーエンス製)を使用した。
実施例9
つぎに、本発明による光学フィルムの製造方法を溶融延製膜法に基づいて実施した。
セルロースアセテートプロピオネートを用いて、膜厚40μmのフィルムを、溶融流延製膜法により下記のように製造し、セルロースアセテートプロピオネートフィルムを得た。
(溶融樹脂組成物)
セルロースアセテートプロピオネート 100重量部
(アセチル基の置換度1.95、プロピオニル基の置換度0.7、
エポキシ化タル油(熱安定剤) 0.6重量部
パラ−tert−ブチルフェノール 0.4重量部
ネオペンチルフェニルホスフィット 0.07重量部
ストロンチウムナフトエート 0.02重量部
二酸化珪素部粒子(アエロジルR972V) 0.05重量部
上記材料を、窒素ガスを封入したV型混合機で30分混合した後、ストランドダイを取り付けた2軸押し出し機(PCM30、株式会社池貝社製)を用いて240℃で溶融させ、長さ4mm、直径3mmの円筒形のペレットを作製した。この時のせん断速度は、25/秒に設定した。
(フィルムの作製)
上記の溶融樹脂を用いて、以下のようにして、膜厚40μmのセルロースアセテートプロピオネートフィルムを作製した。
フィルム製膜は、図5に示す製造装置で行なった。同図を参照すると、得られたペレット(水分率50ppm)を、1軸押出機(21)において溶融させ、リーフディスク型金属フィルター(22)を用いて加圧ろ過を行なった。
流延ダイ(24)として、リップクリアランス1.0mm、リップ部平均表面粗さRa0.01μmの流延ダイ(24)を用いた。また、押出機中間部のホッパー開口部から、滑り剤としてシリカ微粒子を、0.1重量部となるよう添加した。
第1冷却ロール(25)及び第2冷却ロール(27)は、それぞれ直径40cmのステンレス鋼製とし、表面にハードクロムメッキを施した。また、内部には温度調整用のオイル(冷却用流体)を循環させて、ロール表面温度を制御した。
弾性タッチロール(26)は、直径20cmとし、内筒と外筒はステンレス製とし、外筒の表面にはハードクロムメッキを施した。外筒の肉厚は2mmとし、内筒と外筒との間の空間に温度調整用のオイル(冷却用流体)を循環させて、弾性タッチロール(26)の表面温度を制御した。
上記の樹脂溶融液を、流延ダイ(24)から溶融温度250℃でフィルム状に溶融押し出しした。
そして、この実施例1においては、流延冷却固化ゾーン(31)において、流延ダイ(24)より流延膜(ウェブ)を、20m/minの速度で、ハードクロムメッキステンレス鋼製第1冷却ロール(25)表面上に流延した。なお、このとき、流延膜を、表面温度100℃の第1冷却ロール(25)上に、ドロー比10で接触させ、膜厚100μmの流延膜(キャストフィルム)を得た。
この実施例1のセルロースアセテートプロピオネートフィルムのガラス転移温度(Tg)は136℃であり、流延ダイ(24)から押し出された流延膜のガラス転移温度を、セイコー株式会社製、DSC6200を用いてDSC法(窒素中、昇温温度10℃/分)により測定した。
そして、流延冷却固化ゾーン(31)において、第1冷却ロール(25)上で流延膜(フィルム)を、金属表面を有する弾性タッチロール(26)により線圧10kg/cmで押圧した。押圧時のタッチロール(26)側のフィルム温度は、180℃±1℃であった。
なお、第2冷却ロール(27)の表面温度は30℃とした。そして、弾性タッチロール(26)、第1冷却ロール(25)、第2冷却ロール(27)の各ロールの表面温度は、ロールに流延膜(フィルム)が最初に接する位置から回転方向に対して90°手前の位置のロール表面の温度を非接触温度計を用いて幅手方向に10点測定した平均値を各ロールの表面温度とした。
第3冷却ロール(28)から剥離ロール(29)によって剥離した冷却固化されたフィルム(F)は、延伸ゾーン(32)に導き、そこでテンターによりフィルム(F)を横方向(幅手方向)に延伸する。この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
延伸後、フィルム巻取り装置の手前で、前述の実施例1の図2と図3に示す場合と同様に、搬送されるセルロースアセテートプロピオネートフィルム(F)の左右両端部に、常圧プラズマ照射装置(20)によりプラズマ照射処理を施すことにより、フィルム(F)の左右両端部に、多数の凹凸を有するエンボス部(14)(14)を連続して形成した。
なお、常圧プラズマ照射装置(20)を設置した場所は、図5に符号「A」で示す区間とし、プラズマ照射処理時の照射強度は、1.0(W/cm )とした。
図2と図3に示す常圧プラズマ照射装置(20)を、上記実施例1の場合と同様にして使用し、フィルム(F)を常圧プラズマ照射装置(20)の下を通過させて、常圧プラズマ照射処理を施した。
最終的に、巻取りゾーン(33)における巻取り装置(30)によって巻き取られたセルロースアセテートプロピオネートフィルムの膜厚は40μmであり、フィルム幅は2000mm、およびフィルムの巻取り長は3000mであった。
実施例10〜16
上記実施例9の場合とほゞ同様に実施して、本発明によるセルロースアセテートプロピオネートフィルムを製造するが、実施例9の場合と異なる点は、プラズマ照射処理時の照射強度(W/cm )を、下記の表1に記載されているように、種々変更して設定した点にある。
比較例3
比較のために、上記実施例9の場合とほゞ同様に実施するが、実施例9の場合と異なる点は、延伸を終了させた直後のセルロースアセテートプロピオネートフィルムの左右両端部に、常圧プラズマ照射でなく、従来のいわゆるホットプレス方式(温度275℃、押圧可変方式)により、凹凸を有するエンボス部を形成した点にある。
比較例4
比較のために、上記実施例9の場合とほゞ同様に実施するが、実施例9の場合と異なる点は、延伸を終了させた直後のセルロースアセテートプロピオネートフィルムの左右両端部に、常圧プラズマ照射でなく、従来のレーザー照射により、凹凸を形成して、エンボス部を設けた点にある。
ここで、レーザー照射装置としては、CO レーザー光照射装置(MLZ9510、株式会社キーエンス製)を使用した。
つぎに、上記実施例1〜16、および比較例1〜4で作製したセルロースエステルフィルムの試料を、以下の方法で評価し、得られた結果を、下記の表1に示した。
(フィルム表面のシワ・キズ発生の評価)
上記実施例1〜16、および比較例1〜4で作製したセルロースエステルフィルムの試料について、それぞれフィルム表面のシワ・キズ発生の評価は、目視により実施し、その評価を、下記のランクにより行なった。
◎:目視で全くシワ・キズが認められないレベル
○:目視でほとんどシワ・キズが認められないレベル
△:目視でシワ・キズは認められるが製品として問題とならないレベル
×:製品として問題となるシワ・キズのレベル
(フィルム表面のC/O比率の測定)
上記実施例1〜16、および比較例1〜4で作製したセルロースエステルフィルムの試料について、それぞれエンボス部のフィルム表面のC/O比率の測定を、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いて測定した。具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定した。
測定としては、まず、結合エネルギー0eV〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求める。次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行ない、各元素のスペクトルを測定する。得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN社製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、各分析ターゲットの元素の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。
(巻品質の評価)
フィルムロールの巻特性(巻品質)の評価は、上記実施例1〜16、および比較例1〜4で作製したセルロースエステルフィルムの巻ロールについて、温度23℃、湿度55%RHで巻き取ったフィルムを温度40℃、湿度70%RHの条件下に2週間経時後、50m繰り出して貼付き状況を観察し、貼付き故障の発生箇所を測定した。
フィルムロールの巻特性(巻品質)の評価は、貼付き故障の発生箇所の発生数につき、下記のランクで行なった。
◎:貼付き箇所発生数が0〜5
○:貼付き箇所発生数が6〜10
△:貼付き箇所発生数が11〜15
×:貼付き箇所発生数が16以上
つぎに、実施例1〜16、および比較例1〜4で作製したセルロースエステルフィルムについて、偏光板用保護フィルムとして用いた偏光板を、作製して、評価を行なった。
(偏光板の作製)
実施例1〜16、および比較例1〜4においてそれぞれ作製したセルロースエステルフィルムを用いて、以下に述べる方法に従って、偏光板を作製し、評価を行なった。
下記の方法に従って、セルロースエステルフィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた本発明の偏光板を作製した。
1.偏光膜の作製
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、ついでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
ついで、下記工程1〜5に従って、偏光膜とセルロースエステルフィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:実施例1〜16、および比較例1〜4で作製したセルロースエステルフィルムを、それぞれ2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に50℃で、90秒間浸漬し、ついで水洗、乾燥させた。反射防止膜を設けた面には、予め再剥離可能な保護フィルム(ポリエチレンテレフタレート製)を張り付けて保護した。
同様に、セルロースエステルフィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に50℃で90秒間浸漬し、ついで水洗、乾燥させた。
工程2:前述の偏光膜を固形分2重量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したセルロースエステルフィルムと、市販のセルロースエステルフィルムで挟み込んで、積層配置した。
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cm の圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、偏光板を作製した。
(偏光板のムラ発生の評価)
つぎに、市販の液晶表示パネル(NEC製カラー液晶ディスプレイ、MultiSync、LCD1525J、型名LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた本発明の実施例1〜16、および比較例1〜4のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板をそれぞれ張り付けた。こうして得られた各液晶表示パネルについて、複数の評価者で目視にて、正面および斜めから見たときの白っぽく見えるムラを観察し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
ムラの評価基準
◎ どの評価者もムラ全く見えず
○ 評価者によってかすかにムラ見える場合あるが、製品としては
使えるレベル
△ 多くの評価者で、かすかではあるがムラが見られた
× 多くの評価者で、ムラが見られた。
Figure 2010234620
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜16によれば、常圧プラズマ照射処理によるエンボス部の形成は、比較例1および3のエンボスロールによる接触式加工と異なり、非接触で加工を施すため、フィルム表面の微小なシワやキズが皆無となり、フィルムの表面性が飛躍的に向上した。また、常圧プラズマ照射により、粗面化による凹凸形成に加え、照射部分の表面改質も同時に施すことができるため、エンボス効果が飛躍的に向上し、広幅化、長尺化においても安定な巻き性、搬送性を確保できた。また、比較例2と4のレーザー光照射のように高温での処理でなく、ラジカルのアタックによる凹凸形成のため、フィルム成分の揮発や発塵が無く、凹凸形成を施すことができた。
これに対し、比較例1および3では、フィルム端部のエンボス部の形成を、エンボスロールによる接触式加工で処理するため、フィルム表面に微小なシワやキズの発生が多く見られた。
また、比較例2と4では、フィルム端部のエンボス部の形成を、レーザー光照射により高温で処理するために、フィルム構成組成物中の添加剤の揮発や発塵により、粉塵が飛散し、これらがフィルムに付着し、あるいはその後の搬送ロールへ付着して、フィルムに凸状の変形を生じ、巻き品質が劣るものであった。
また、本発明の実施例1〜16で得られたセルロースエステルフィルムを用いて作製した偏光板には、ムラの発生が非常に少なく、該偏光板を装着した液晶表示パネルは、比較例1〜4で得られたセルロースエステルフィルムを用いて作製したムラの発生が多い比較用の偏光板を装着した液晶表示パネルに対し、表示性能に優れていることが確認された。
1:溶解釜
2:ポンプ
3:流延ダイ
4:減圧チャンバ
5:前後巻回ドラム
6:流延用ステンレス鋼製エンドレスベルト(支持体)
7:流延用回転駆動ステンレス鋼製ドラム(支持体)
8:剥離ロール
9:ウェブ
10:テンター
11:ロール搬送乾燥装置
12:温風(乾燥風)
13:巻取り機
F:フィルム
14:エンボス部
20:常圧プラズマ照射装置
a:常圧プラズマ照射装置のリアクタの対向電極
b:常圧プラズマ照射装置のリアクタの対向電極
g:反応ガス
21:押出し機
22:フィルター
23:スタチックミキサー
24:流延ダイ
25:第1冷却ロール
26:タッチロール
27:第2冷却ロール
28:第3冷却ロール
29:剥離ロール
30:巻取り装置
F:光学フィルム
31:流延冷却固化ゾーン
32:延伸ゾーン
33:巻取りゾーン

Claims (6)

  1. 溶液流延製膜法または溶融流延製膜法により作製されかつ搬送されている光学フィルムの左右両端部のうちの少なくとも一端部に、常圧プラズマ照射装置によりプラズマ照射処理を施すことにより、多数の凹凸を有するエンボス部を連続して形成することを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
  2. 常圧プラズマ照射装置によるプラズマ照射処理を、0.1〜36W/cm の処理強度で行なうことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする、光学フィルム。
  4. プラズマ照射処理された側のフィルム表面の炭素/酸素原子数比率(C/O比率)が、0.8〜1.2であることを特徴とする、請求項3に記載の光学フィルム。
  5. 請求項3または4に記載の光学フィルムを少なくとも一方の面に用いることを特徴とする、偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板を用いることを特徴とする、表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104999681A (zh) * 2015-08-04 2015-10-28 中国乐凯集团有限公司 一种纤维素酯薄膜的制备方法

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