JP2010231868A - 樹脂製モールドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノインプリント法に用いられる樹脂製モールドの平坦部の表面粗さ(Ra)を改善し、磁気記録媒体のパターンの形成不良を低減し、生産性を向上させることができるようにする。
【解決手段】本発明は、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造に使用される樹脂製モールド1の製造方法において、マスターモールド20の凹凸パターンを硬化性の樹脂材料に転写する工程と(図1(c))、凹凸パターンが転写された樹脂材料を硬化する工程と(図1(c))、マスターモールド20から、硬化した樹脂材料を剥離し樹脂製モールド1とする工程と(図1(d))、樹脂製モールド1に放射線4を照射して樹脂製モールド1の転写面3を平滑化する工程と(図1(e))、を含み、樹脂製モールド1に照射する放射線4のエネルギーを樹脂材料13に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、マスターモールドの凹凸パターンが転写されて形成された、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造に使用される樹脂製モールドの製造方法に関する。
近年、磁気ディスク装置、フレキシブルディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録装置の適用範囲は著しく増大されその重要性が増すと共に、これらの装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られている。特に、磁気抵抗(MR)ヘッドおよびPRML技術の導入以来、面記録密度の上昇はさらに大きくなり、近年ではさらに巨大磁気抵抗(GMR)ヘッド、トンネル磁気抵抗(TMR)ヘッドなどが導入されたことによって、1年に約100%もの割合で増加を続けている。しかし、磁気記録媒体については、記録密度を更に向上させることが要求されており、そのために磁性層の高保磁力化と高信号対雑音比(SNR)、高分解能を達成することが要求されている。また、近年では線記録密度の向上と同時にトラック密度の増加によって面記録密度を上昇させようという試みもある。
最新の磁気記録装置においてはトラック密度110kTPIにも達している。しかし、トラック密度を上げていくと、隣接するトラック間の磁気記録情報が互いに干渉し合い、その境界領域の磁化遷移領域がノイズ源となりSNRを損なうという問題が生じやすくなる。このことはそのままビットエラーレートの低下につながるため記録密度の向上に対して障害となっている。
面記録密度を上昇させるためには、磁気記録媒体上の各記録ビットのサイズをより微細なものとし、各記録ビットに可能な限り大きな飽和磁化と磁性膜厚を確保する必要がある。しかし、記録ビットを微細化していくと、1ビット当たりの磁化最小体積が小さくなり、熱揺らぎによる磁化反転で記録データが消失するという問題が生じる。
また、トラック間距離が近づくために、磁気記録装置は極めて高精度のトラックサーボ技術を要求されると同時に、記録を幅広く実行し、再生は隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために記録時よりも狭く実行する方法が一般的に用いられている。この方法ではトラック間の影響を最小限に抑えることができる反面、再生出力を十分得ることが困難であり、そのために十分なSNRを確保することがむずかしいという問題がある。
このような熱揺らぎの問題やSNRの確保、あるいは十分な出力の確保を達成する方法の一つとして、記録媒体表面にトラックに沿った凹凸を形成し、あるいは隣接トラック間に非磁性部を形成して、記録トラック同士を物理的に分離することによってトラック密度を上げる方法が検討されている。以下、この方法をディスクリートトラック法という。
ディスクリートトラック型磁気記録媒体の一例として、表面に凹凸パターンを形成した非磁性基板に磁気記録媒体を形成して、物理的に分離した磁気記録トラック及びサーボ信号パターンを形成してなる磁気記録媒体が知られている(例えば特許文献1参照)。
この磁気記録媒体は、表面に複数の凹凸のある基板の表面に軟磁性層を介して強磁性層が形成されており、その表面に保護膜を形成したものである。この磁気記録媒体では、凸部領域に周囲と磁気的に分断された磁気記録領域が形成されている。
この磁気記録媒体によれば、軟磁性層での磁壁発生を抑制できるため熱揺らぎの影響が出にくく、隣接する信号間の干渉もないので、ノイズの少ない高密度磁気記録媒体を形成できるとされている。
ディスクリートトラック法には、何層かの薄膜からなる磁気記録媒体を形成した後にトラックを形成する方法と、あらかじめ基板表面に直接、あるいはトラック形成のための薄膜層に凹凸パターンを形成した後に、磁気記録媒体の薄膜形成を行う方法とが知られている(例えば特許文献2、特許文献3参照)。このうち、前者の方法は磁性層加工法と称され、後者の方法はプレエンボス法と称される。
後者のプレエンボス法は媒体表面に対する物理的加工が媒体形成前に完了するため、製造工程を簡略化でき、かつ媒体が製造工程において汚染しにくいという利点があるが、その一方で、基板に形成された凹凸形状が、成膜された膜にも引き継がれることになるため、媒体上を浮上しながら記録再生を行う記録再生ヘッドの浮上姿勢、浮上高さが安定しないという問題点があった。
前者の磁性層加工法による磁気記録媒体の製造方法として、ナノインプリント法を用いる方法が提案されている。具体的には、基板上に成膜した連続した磁性層を、ナノインプリント法を用いて磁気記録トラックパターンやビットパターンに加工する方法である。
ここで、ナノインプリント法とは、転写すべき凹凸パターンが予め形成されたモールドを被転写材に押し付け、光を照射あるいは熱を与えながら被転写材を硬化させることによって、凹凸パターンを被転写材に転写する方法である。
ナノインプリント用モールドは、例えば、シリコン等の表面に100nm以下の超微細凹凸パターンが形成されたものであり、大変高価である。このモールドがインプリントプロセスの際に摩耗し、破損すると、新しいモールドに交換しなければならないため、ナノインプリント法を経て製造される磁気記録媒体製品のコストが上昇することになる。そのため、工業的にナノインプリントプロセスを適用する際には、原器となるマスターモールドを温存する目的で、レプリカモールドが作製される。すなわち、マスターモールドのパターンをスタンパ装置により他の材料に転写させることにより、一つのマスターモールドから多数のレプリカモールドを作製する。
このレプリカモールドは大量に生産されたものであるから、安価である。したがって、レプリカモールドをナノインプリントプロセスのスタンパとして用いれば、モールドが破損しても別のレプリカモールドに交換でき、高価なマスターモールドを温存できる。その結果、微細な凹凸パターンを備えた製品をナノインプリント法により低コストで製造することが可能となる。
このような方法で製造するレプリカモールドとして樹脂製のモールドを用いることが検討され、例えば、光硬化反応を利用して微細パターンを転写する方法(例えば、非特許文献1参照)、その光硬化時の収縮を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また特許文献5には、シルセスキオキサン樹脂を用いたレプリカモールドの製造方法が記載され、マスターモールドからレプリカモールドを剥離する工程後に、レプリカモールドに紫外線を照射する工程が記載されている。そしてこの紫外線照射により、形成された構造体の変形(シュリンク、型崩れ等)が防止される旨が記載されている。
特開2004−164692号公報 特開2004−178793号公報 特開2004−178794号公報 特開2005−122047号公報 特開2008−246876号公報
ステファン・ワイ・チョウ(Stephen Y.Chou)ら、「アプライド・フィジックス・レター」,米国物理学会、67巻,21号,1995年11月20日、p.3314−3116
ナノインプリント法を用いて磁気記録媒体を製造する場合、その磁気記録パターンを微細化し、高記録密度を達成するために、ナノインプリント用モールドには、ますます微細なパターン形成が求められている。微細なパターン形成を行うと、モールドの摩耗の進行が速くなり、また破損の頻度が高くなる傾向にある。そのため、前述のように、ナノインプリント用モールドとして、マスターモールドから転写された樹脂製のレプリカモールドが使用される。しかしながら、樹脂製のレプリカモールドの転写面はマスターモールドほどには平滑ではなく、その表面にはRaで1nm程度の凹凸が生じていた。このため、この従来の樹脂製レプリカモールドを用いて磁気記録媒体を製造すると、磁気記録媒体のパターンの形成精度が悪くなって、パターンの形成不良が発生しやすくなり、生産性が悪化していた。
本願発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、ナノインプリント法に用いられる樹脂製モールドの平坦部(凸部上面、転写面)の表面粗さ(Ra)を改善し、磁気記録媒体のパターンの形成不良を低減し、生産性を向上させることができる樹脂製モールドの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、(1)第1の発明は、モールドの凹凸パターンが転写されて形成された、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造に使用される樹脂製モールドの製造方法において、マスターモールドの凹凸パターンを硬化性の樹脂材料に転写する工程と、上記凹凸パターンが転写された樹脂材料を硬化する工程と、上記マスターモールドから、硬化した樹脂材料を剥離し樹脂製モールドとする工程と、上記樹脂製モールドに放射線を照射して樹脂製モールドの転写面を平滑化する工程と、を含み、上記樹脂製モールドに照射する放射線のエネルギーを樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きくする、ことを特徴としている。
(2)第2の発明は、上記した(1)項に記載の発明において、上記樹脂材料は放射線硬化性の樹脂材料とするものである。
(3)第3の発明は、上記した(1)または(2)項に記載の発明において、上記樹脂製モールドに照射する放射線は、波長200nm〜500nmの範囲内の放射線とするものである。
(4)第4の発明は、上記した(1)から(3)の何れか1項に記載の発明において、上記樹脂製モールドの放射線照射後の転写面は、表面粗さRaが0.5nm以下とするものである。
本発明では、ナノインプリント法に用いられる樹脂製モールドに、その樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きいエネルギーを有する放射線を照射するようにしたので、樹脂製モールドの平坦部(凸部上面、転写面)を平滑化でき、その表面粗さ(Ra)を大幅に改善することができる。このため、磁気記録媒体のパターンの形成不良を低減し、生産性を向上させることができる。
本発明の樹脂製モールドの製造例の手順を概略的に示す図である。 レプリカモールド(樹脂製モールド)に照射した放射線の分光スペクトルを示す図である。 レプリカモールド(樹脂製モールド)に放射線を照射した際の、レプリカモールド平坦部の変化(平滑化)を原子間力顕微鏡(AFM)で調べた結果を示す図である。 レプリカモールド(樹脂製モールド)に放射線を照射した際の、レプリカモールド平坦部の変化(平滑化)を原子間力顕微鏡(AFM)で調べた結果を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。 長尺の樹脂製モールドを示す図である。 磁気記録再生装置の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、マスターモールドの凹凸パターンが転写されて形成された、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造、いわゆるナノインプリント法による磁気記録媒体の製造に使用される樹脂製モールドの製造方法に関する。
ナノインプリント用モールドには、従来は、エッチング技術によって微細な凹凸パターンを形成したシリコン、Ni材料製モールドが使用されていたが、これらは大変高価であり、モールドがインプリントプロセスの際に摩耗し、破損すると、新しいモールドに交換しなければならないため、磁気記録媒体の製造コストを高めていた。
一方、本発明のモールドは樹脂製のレプリカモールドである。すなわち、原器となる、シリコン、Ni材料等から作られたマスターモールドのパターンを樹脂材料に転写して量産したレプリカのモールドであり、これにより高価なマスターモールドを温存することが可能となり、ナノインプリント法を用いた磁気記録媒体の製造コストを飛躍的に低減することが可能となる。
本発明の樹脂製モールドは、マスターモールドの凹凸パターンを硬化性の樹脂材料に転写する転写工程と、その凹凸パターンが転写された樹脂材料を硬化する硬化工程と、マスターモールドから、硬化した樹脂材料を剥離し樹脂製モールドとする剥離工程と、その樹脂製モールドに放射線を照射して樹脂製モールドの転写面を平滑化する平滑化工程とを含み、平滑化工程では、樹脂製モールドに照射する放射線のエネルギーを樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きくしている。
上記の転写工程には、液状等の硬化性樹脂材料を層状にし、その層にマスターモールドを押圧する方法、マスターモールドの凹凸面に減圧下で液状等の硬化性樹脂材料を塗布する方法、または、マスターモールドを内面に設置した金型内に液状等の硬化性樹脂材料を射出後、金型を圧縮し、樹脂の硬化後金型を分離して硬化した樹脂を取り出すいわゆる射出成形法等を用いることができる。
硬化性樹脂材料には、公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外線等の光硬化性樹脂を適宜使用することができるが、とりわけ、硬化性樹脂材料として放射線硬化性樹脂材料を用いるのが好ましい。放射線硬化性樹脂材料によれば、光照射によって短時間にかつ容易に硬化させることができるため、マスターモールドからレプリカモールドを製造する工程を簡便かつ短時間に行うことができる。
本発明では、これらの樹脂材料をマスターモールドに積層した状態で、樹脂材料に熱、放射線等を作用させて硬化し、その後、樹脂材料からマスターモールドを剥離させ、マスターモールドのパターンをできるだけ高精度で転写したレプリカモールドを製造するため、このような工程に適合した樹脂材料を適宜選択する必要がある。
本発明は、マスターモールドから剥離させた樹脂製モールド(レプリカモールド)に放射線を照射して、樹脂製モールドの転写面(凸部上面、平坦部)を平滑化することを特徴とする。本発明でレプリカモールド(樹脂製モールド)に照射する放射線は、基本的には、レプリカモールドの再硬化、表層部の再溶解、歪み緩和のマクロ的な効果を意図するものではなく、主として、レプリカモールド最表層部の分子レベルでの平滑化を意図するものである。そのため、レプリカモールドの最表層部に照射する放射線は、そのエネルギーが樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きなものとする必要がある。すなわち、レプリカモールド最表層部に放射線を照射することにより該箇所の樹脂材料の分子結合を切断し、それによりレプリカモールド最表層部の分子レベルでの平滑化を図るものである。
(モールドの作製方法)
以下、本発明の樹脂製モールドの製造例を、図1を用いて具体的に説明する。
図1は本発明の樹脂製モールドの製造例の手順を概略的に示す図である。本発明の樹脂製モールドは、概略下記の手順により得られる。
すなわち、先ず図1(a)に示すような、樹脂製モールド作製用積層体10を用意する。この樹脂製モールド作製用積層体10は、マスターモールドを用いた圧縮成形により樹脂製のレプリカモールドを作製する際に圧縮成形に供される積層体であり、互いに対向する一対の長尺な基体11,12と、一対の基体11,12間に挟まれた硬化性樹脂材料の層13と、一対の基体11,12間に挟まれ、長さ方向に沿った流動抑止体14,14とを有する。また、硬化性樹脂材料の層13は、一対の基体11,12および流動抑止体14,14によって封入されている。
次に、図1(b)に示すように、樹脂製モールド作製用積層体10から一方の基体12を剥離して、硬化性樹脂材料の層を露出させる。次いで、図1(c)に示すように、露出した硬化性樹脂材料の層13に、凹凸パターンを有するマスターモールド20を押圧し、マスターモールド20を押圧したまま硬化性樹脂材料の層13を硬化させる。この硬化処理は、例えば硬化性樹脂材料が放射線硬化性樹脂の場合は基体11の下方から放射線を照射することで行われ、硬化性樹脂材料が熱硬化性樹脂の場合は樹脂材料を加熱することにより行われる。続いて、図1(d)に示すように、マスターモールド20から樹脂製モールド1を剥離させて、樹脂製モールド1を回収する。そして、図1(e)に示すように、この回収された樹脂製モールド1に放射線を照射し、本発明に係る平滑化処理を行い、樹脂製モールド1の凸部上面を平滑化する。これにより得た樹脂製モールド1は、レプリカモールドとして利用される。
基体11,12の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化性樹脂材料として光硬化性樹脂を用いる場合には、硬化させるための放射線を透過させるものが好ましい。さらに、硬化性樹脂材料の層13の厚さを一定にするために、表面の平滑性が良好になるものがより好ましい。
具体的な基体の材料としては、透明な合成樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。これら材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂製モールド作製用積層体10を用いてレプリカモールドを製造する際には、基体12を剥離するため、基体12が、硬化性樹脂材料13を剥離可能な材料であれば、基体12を剥離する際の作業性が良好になる。
また、基体11は、圧縮成形する際に変形しにくい材料から選択する必要があり、また圧縮成形する際に加熱を行う場合は加熱による変形を防止するために、圧縮成形する際の加熱温度よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。
基体12の硬化性樹脂材料の層13側には、剥離性のフィルムであるセパレートフィルムが設けられていてもよい。上述したように、基体12は、硬化性樹脂材料を剥離可能な材料であることが好ましいが、その一方で、ベースフィルムになる基体11には、硬化性樹脂材料の層13を平坦に保つために高い剛性が求められる。この要求に対し、基体12の硬化性樹脂材料の層13側にセパレートフィルムを設けて硬化性樹脂材料に対する剥離性を確保すれば、前記要求を容易に満足させることができる。
セパレートフィルムとしては、基体12との接合性によっても選択されるが、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
硬化性樹脂材料は、液状あるいはゲル状の流動性のある材料とする。中でも、より高精度に樹脂製モールドを製造できることから、その粘度が10Pa・s以下のものが好ましい。ここで、粘度は、25℃の環境下において、例えばビスコメーター(ブルックフィールド社製、商品名「DV−EVISCOMETER」)を用いて測定した値である。
硬化性樹脂材料としては、硬化性に優れることから、(メタ)アクリル基、オキセタニル基、シクロヘキセンオキサイド基およびビニルエーテル基からなる群より選ばれる1種以上の反応基を有する樹脂材料が好ましい。
また、硬化性樹脂材料としては、レプリカモールドの製造に光ナノインプリント法を用いる場合には放射線硬化性樹脂が用いられ、熱ナノインプリント法を用いる場合には熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。
とりわけ、硬化性樹脂材料としては、放射線硬化性樹脂材料がより好ましい。放射線硬化性樹脂材料によれば、光照射によって短時間にかつ容易に硬化させることができるため、マスターモールドからレプリカモールドを製造する工程を簡便かつ短時間に行うことができる。
放射線硬化性樹脂材料は、300nm〜400nmの範囲内の波長に対して硬化性を有する樹脂を含有し、硬化後の硬化物の300nm〜400nmの範囲内の波長の透過率が20%以上、温度25℃における引張弾性率が1.3GPa以上であることが好ましい。
このような放射線硬化性樹脂を用いれば、硬化性樹脂材料の硬化性が充分に光を透過させるため、ナノインプリントプロセスに光ナノインプリント法を適用することが可能になる。また、硬化性樹脂材料の硬化物の引張弾性率が1.3GPa以上であれば、ナノインプリント法に適した物性の樹脂製モールドが得られる。
また、このような放射線硬化性樹脂材料は、光硬化時の収縮率が低く、マスターモールドに対する離型性が高いため、この樹脂材料を用いてレプリカモールドを製造すると、微細な凹凸パターンを有する樹脂製モールドを低い不良率で製造できる。
なお、波長の透過率は、例えば分光光度計(日本分光社製、商品名「V−650」)を用いて測定する。測定の際の、試料の硬化膜の厚みは20μmとし、測定温度は室温とする。また、引張弾性率はJIS K7120に準拠して導出する。すなわち、チャック幅50mmでレオメーター(例えば、FUDOH社製、商品名「RT−3010D−CW」)に評価用硬化膜を取り付け、25℃で延伸して、破断点までの変位を求めることにより導出する。
本発明のレプリカモールドに使用する紫外線に対して硬化性を有する放射線硬化性樹脂材料としては、アクリル単量体(A)、光重合開始剤(B)および離型剤(C)を含有するものが好ましい。
アクリル単量体(A)としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択できるものであり、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類が用いられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート。
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタアエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート。
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のその他の(メタ)アクリレート。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。具体的な商品名としては、ビームセット371(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
これらアクリル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
放射線硬化性樹脂材料中のアクリル単量体の含有量は85〜98質量%が好ましく、87.5〜96質量%がより好ましく、90〜94質量%が特に好ましい。アクリル単量体の含有量が85質量%以上であれば、硬化後の材料を成形して用いる場合に充分に良好な物性が得られ、98質量%以下であれば、重合開始剤や離型剤等との混合により、硬化後の材料の物性調整が容易になる。
光重合開始剤(B)としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
チオキサントン系光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。
放射線硬化性樹脂材料中の重合開始剤の含有量は、アクリル単量体の100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。重合開始剤の含有量が0.001質量部以上であれば、アクリル単量体を短時間に重合でき、10質量部以下であれば、重合開始剤の残渣が硬化物中に残存しにくい。
離型剤(C)としては、より離型性に優れる硬化物が得られることから、含フッ素界面活性剤を含むことが好ましい。さらには、フッ素含有量が10〜70質量%の含フッ素界面活性剤がより好ましく、フッ素含有量が10〜40質量%の含フッ素界面活性剤が特に好ましい。含フッ素界面活性剤は、水溶性であっても油溶性であってもよい。
含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤、カチオン性含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン性含フッ素界面活性剤のいずれであってもよい。これらの中でも、硬化性樹脂材料における相溶性と、その硬化物における分散性が良好であることから、ノニオン性含フッ素界面活性剤が特に好ましい。
アニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸塩、ポリフルオロアルキル燐酸エステル、またはポリフルオロアルキルスルホン酸塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−111(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−143(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120、メガファックR−30(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
カチオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸のトリメチルアンモニウム塩、またはポリフルオロアルキルスルホン酸アミドのトリメチルアンモニウム塩が好ましい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−121(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−134(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−150(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
両性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルベタインが好ましい。両性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−132(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFX−172(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−120(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
ノニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルアミンオキサイド、またはポリフルオロアルキル・アルキレンオキサイド付加物が好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−145(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンS−393(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−20(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−170(商品名、スリーエム社製)、フロラードFC−430(商品名、スリーエム社製)、メガファックF−141(商品名、DIC社製)等が挙げられる。
放射線硬化性樹脂材料中の含フッ素界面活性剤の含有量は、放射線硬化性樹脂材料の全体を100質量%とした際の0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。含フッ素界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であれば、離型性に優れた硬化物を確実に形成でき、10質量%以下であれば、放射線硬化性樹脂材料を容易に調製できる。
硬化性樹脂材料層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、3μm〜25μmがより好ましく、5μm〜15μmが特に好ましい。
次に、図1(e)および図2〜図4を用いて、樹脂製モールド(レプリカモールド)への放射線照射による平滑化について説明する。
図2は照射した放射線の分光スペクトルを示す図、図3および図4は、レプリカモールドに放射線を照射した際の、レプリカモールド平坦部の変化(平滑化)を原子間力顕微鏡(AFM)で調べた結果を示す図である。
本発明では、図1(e)に示すように、レプリカモールド1に放射線4を照射して凸部2の平坦部(転写面の凸部の上面)3を平滑化する。
ここで、放射線4として、図2に示すような分光スペクトルを有する紫外線ランプ(高圧水銀ランプ)からの発光を用いることとする。
図3(a)(b)および図4(c)(d)(e)の各々において、2つの下向き黒矢印Y同士の間が、レプリカモールド1の凸部2の平坦部3を示している。また、その平坦部3に示された2つの下向き三角形M、Mは、その上側のAFM像の写真に示されている下向き三角形N,Nの位置に対応している。
レプリカモールド1に放射線4を照射しない場合の平坦部3の表面粗さRaは、図3(a)に示すように1.705nmである。また160ワット(W)の放射線を照射した場合のRaは、図3(b)に示すように1.157nmであり、200Wの放射線を照射した場合のRaは、図4(c)に示すように0.611nmにである。これに対し、280Wの放射線を照射した場合には、図4(d)に示すように、Raが0.311nmにまで低下している。この図4(d)の場合でも、レプリカモールド1のエッジ部(2つの下向き黒矢印Yで示す位置)は、平坦部3に対してほぼ直角に維持されていることから、本発明のレプリカモールド1への放射線4の照射が、樹脂材料の表層部の再溶解を主としたものでないことが分かる。そして、レプリカモールド1への放射線照射が400Wを超えると、図4(e)に模式的に示すように、樹脂材料の表層部が再溶解してエッジ部(2つの下向き黒矢印Yで示す位置)にダレが発生し、レプリカモールド1の転写面が維持できなくなる。
以上のように、本発明では、レプリカモールド1に照射する放射線4として、そのエネルギーが樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きなものとし、それによりレプリカモールド最表層部の樹脂材料の分子結合を切断し、かつ、樹脂材料のマクロ的な変形を発生させないことにより、樹脂製モールドの平坦面(平坦部3)における放射線照射後のRaを0.5nm以下にまで平滑化することが可能となる。
本発明で使用できる放射線としては、有機化合物の分子結合エネルギーより大きなエネルギーを安定して得やすい波長200nm〜500nmの範囲内のものを使用できる。具体的には、波長範囲が250nm〜450nmの高圧水銀ランプ、波長範囲が200nm〜500nmのメタルハライドランプ、波長範囲が200nm〜480nmのハイパワーメタルハライドランプ、波長範囲が300nm〜450nmの水冷メタルハライドランプを使用すると、高エネルギーの放射線を広い面積で安定して照射することが可能となる。
(磁気記録媒体の製造方法)
次に、上記の樹脂製モールド(レプリカモールド)1を用いて、ナノインプリント法により磁気記録媒体を製造する場合について、具体的に説明する。
図5〜図13は本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形態例における各工程を示す図である。
本実施形態例の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、非磁性基板210に、少なくとも磁性層220を形成する工程A(図5参照)、磁性層220の上にマスク層230を形成する工程B(図6参照)、マスク層230の上にレジスト膜240を形成する工程C(図7参照)、レジスト膜240に磁気記録パターンのネガパターンを、樹脂製モールド1を用いて転写する工程D(工程Dにおける矢印は樹脂製モールド1の動きを示す。よって下向きの矢印は樹脂製モールド1をレジスト膜240に押圧する工程、上向きの矢印は非磁性基板210から樹脂製モールド1を剥離する工程をさす。)(図8参照)、磁気記録パターンのネガパターンに対応する部分(工程Dの図の凹部)のマスク層230を除去する工程E(工程Dで凹部にレジスト膜240が残っている場合はレジスト膜240及びマスク層230の除去工程)(図9参照)、レジスト膜240側表面から磁性層220の表層部を部分的にイオンミリングする工程F(符号270は磁性層で部分的にイオンミリングした箇所を示す。また符号dは、磁性層でイオンミリングした深さを示す。)(図10参照)、磁性層220のイオンミリングした箇所を反応性プラズマや反応性イオン270にさらして磁性層220の磁気特性を改質する工程G(符号280は磁性層で磁気特性が改質した箇所を示す。)(図11参照)、レジスト膜240およびマスク層230を除去する工程H(図12参照)、磁性層220に不活性ガスを照射する工程、磁性層220の表面を保護膜290で覆う工程I(図13参照)を有する方法である。
工程Aにおいて、非磁性基板210の表面に形成される磁性層220は、面内磁性層でも垂直磁性層でもかまわない。これら磁性層は主としてCoを主成分とする合金から形成することが好ましい。
例えば、面内磁気記録媒体用の磁性層220としては、非磁性のCrMo下地層と強磁性のCoCrPtTa磁性層からなる積層構造を利用できる。
垂直磁気記録媒体用の磁性層220としては、例えば軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる裏打ち層と、Pt、Pd、NiCr、NiFeCrなどの配向制御膜と、必要によりRu等の中間膜、及び60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−5Cr−15Pt−10SiO2 合金からなる磁性層を積層したものを利用することができる。
磁性層220の厚さは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とする。磁性層は使用する磁性合金の種類と積層構造に合わせて、十分なヘッド出入力が得られるように形成すればよい。磁性層220の膜厚は再生の際に一定以上の出力を得るにはある程度以上の磁性層膜厚が必要であり、一方で記録再生特性を表す各パラメーターは出力の上昇とともに劣化するため、適切な膜厚に設定する必要がある。通常、磁性層はスパッタ法により薄膜として形成する。
工程Bにおいて、磁性層220の上に形成するマスク層230は、Ta、W、Ta窒化物、W窒化物、Si、SiO2、Ta25、Re、Mo、Ti、V、Nb、Sn、Ga、Ge、As、Niからなる群から選ばれた何れか一種以上を含む材料で形成することが好ましい。このような材料を用いることにより、マスク層230のミリングイオン260に対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層230による磁気記録パターン形成特性を向上させることができる。さらに、これらの物質は、反応性ガスを用いたドライエッチングが容易であるため、工程Hにおいて、残留物を減らし、磁気記録媒体表面の汚染を減少させることができる。
本製造方法では、これらの物質の中で、マスク層230として、As、Ge、Sn、Gaを用いることが好ましく、Ni、Ti、V、Nbを用いることがより好ましく、Mo、Ta、Wを用いることが最も好ましい。マスク層230の厚さは一般的には1nm〜20nmの範囲が好ましい。
次いで、工程Cにおいて、このマスク層230を介して磁性層220の上にレジストを塗布してレジスト膜240を形成する。レジストとしては、樹脂製のモールドによる転写特性の良いものが使用できるが、放射線に対して硬化性を有する樹脂とすることが好ましく、例えば、ノボラック系樹脂、アクリル酸エステル類、脂環式エポキシ類等の紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。
次いで、工程Dにて、凹凸パターンが形成された樹脂製モールド1をレジスト膜240に押圧し、樹脂製モールド1の凹凸パターンをレジスト膜240に転写し、その後、非磁性基板210から樹脂製モールド1を剥離させる。ここで、樹脂製モールド1をレジスト膜240に押しあてる圧力は一例として60MPa以下の圧力とすることができる。この圧力は圧縮力/モールド面積として算出することができ、換言すると、プレス装置で検出した加重をモールド面積で割ることで求めることができる。また、樹脂製モールド1は任意の形状とすることが可能で、例えば、外周部と内周部の両方を打ち抜いた円盤状とできるが、本製造方法では、図14に示すような、同一のパターンが連続して設けられた長尺の樹脂製モールド1を用いることが磁気記録媒体の生産性から好ましい。
また、図14に示すように、長尺の樹脂製モールド1に開口部10dを設け、この開口部10dを非磁性基板210の開口部210aに一致させて位置合わせを行い、さらに樹脂製モールド1を放射線透過性の治具により非磁性基板210に押しあて、治具側からレジスト膜240を硬化させるための放射線を照射することにより、磁気記録媒体を高い生産性で製造できる。
また、図14に示したフィルムでは、同一パターンのモールドを連続して設けているため、各工程を連続して行うことが可能となり、また、容易に磁気記録媒体基板の両面を同時に処理することが可能となる。
本製造方法では、工程C、Dで示した、レジスト膜240に磁気記録パターンのネガパターンを転写した後のレジスト膜240の凹部の厚さを、0〜10nmの範囲内とすることが好ましい。レジスト膜240の凹部の厚さをこの範囲とすることにより、工程Eで示したマスク層230のエッチング工程において、マスク層230のエッジの部分のダレを無くし、マスク層230のミリングイオン260に対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層230による磁気記録パターン形成特性を向上させることができる。レジストの厚さは一般的には10nm〜100nm程度である。
工程C、Dのレジスト膜240に用いる材料としては、放射線硬化性の材料を用いることが好ましいが、レジストへの放射線照射は、レジスト膜240に樹脂製モールド1を用いてパターンを転写する工程に際して行う他、パターン転写工程の後に、レジスト膜240に照射してもよい。このような製造方法を用いることにより、レジスト膜240に、樹脂製モールド1の凹凸パターンを精度良く転写することが可能となり、工程Eで示したマスク層230のエッチング工程において、マスク層230のエッジの部分のダレを無くし、マスク層230の注入イオンに対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層230による磁気記録パターン形成特性を向上させることができる。なお、本発明における放射線とは、熱線、可視放射線、紫外線、X線、ガンマ線等の広い概念の電磁波である。また、放射線により硬化性を有する材料とは、例えば、熱線に対しては熱硬化樹脂、紫外線に対しては紫外線硬化樹脂である。
モールドの凹凸パターンをレジスト膜に転写する工程においてレジスト膜240を硬化させる放射線は、汎用的であり、しかも生産性をより高くできる点では、300nm〜400nmの範囲内の波長の紫外線が好ましい。
本製造方法では、特に、レジスト膜240に樹脂製モールド1を用いてパターンを転写する工程に際して、レジスト膜240の流動性が高い状態で、レジスト膜240に樹脂製モールド1を押圧し、その押圧した状態で、レジスト膜240に放射線を照射することによりレジスト膜240を硬化させ、その後、樹脂製モールド1をレジスト膜240から離すことにより、樹脂製モールド1の形状を精度良く、レジスト膜240に転写することが可能となる。
レジスト膜240に樹脂製モールド1を押圧した状態で、レジスト膜240に放射線を照射する方法としては、樹脂製モールド1の反対側から照射する方法の他、非磁性基板210側から放射線を照射する方法、樹脂製モールド1の側面から放射線を照射する方法、熱線のように固体に対して伝導性の高い放射線を用いて、モールド材料または非磁性基板210からの熱伝導により放射線を照射する方法を用いることができる。
このような製造方法により、磁気トラック間領域(磁性層220を分離する領域)の磁気特性を低下、例えば保磁力、残留磁化を極限まで低減させることにより磁気記録の際の書きにじみをなくし、高い面記録密度の磁気記録媒体を得ることができる。
本製造方法では、工程Fに示すように、イオンミリング等により磁性層220の表層の一部を除去することが好ましい。本製造方法のように、磁性層220の表層の一部を除去し、その後に、表面を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層220の磁気特性を改質させた方が、磁性層220の一部を除去しなかった場合に比べ、磁気記録パターンのコントラストがより鮮明になり、また磁気記録媒体のS/Nが向上する。この理由としては、磁性層220の表層部を除去することにより、その表面の清浄化・活性化が図られ、反応性プラズマや反応性イオンとの反応性が高まったこと、また磁性層220の表層部に空孔等の欠陥が導入され、その欠陥を通じて磁性層220に反応性イオンが侵入しやすくなったことが考えられる。
イオンミリング等により磁性層220の表層の一部を除去する深さdは、好ましくは、0.1nm〜15nmの範囲内、より好ましくは、1〜10nmの範囲内とする。イオンミリングによる除去深さが0.1nmより少ない場合は、前述の磁性層220の除去効果が現れず、また、除去深さが15nmより大きくなると、磁気記録媒体の表面平滑性が低下し、磁気記録再生装置を製造した際の磁気ヘッドの浮上特性が低下する傾向にある。
本製造方法では、例えば磁気記録トラック及びサーボ信号パターン部を磁気的に分離する領域を、すでに成膜された磁性層220を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層220の磁気特性を改質(磁気特性の低下)することにより形成する。
ここで、磁気的に分離した磁気記録パターンとは、工程Gに示されるように、磁気記録媒体を表面側から見た場合、磁性層220が非磁性化等した領域280により分離された状態をさす。すなわち、磁性層220が表面側から見て分離されていれば、磁性層220の底部において分離されていなくとも、本発明の目的を達成することが可能であり、磁気的に分離した磁気記録パターンの概念に含まれる。また、磁気記録パターンは、磁気記録パターンが1ビットごとに一定の規則性をもって配置された、いわゆるパターンドメディアや、磁気記録パターンが、トラック状に配置されたメディアや、その他、サーボ信号パターン等を含んでいる。
この中で本製造方法は、磁気的に分離した磁気記録パターンが、磁気記録トラック及びサーボ信号パターンである、いわゆる、ディスクリート型磁気記録媒体に適用することが、その製造における簡便性から好ましい。
本製造方法において、磁気記録パターンを形成するための磁性層220の磁気特性の改質とは、磁性層220をパターン化するために、磁性層220の保磁力、残留磁化等を部分的に変化させることを指し、その変化とは、保磁力を下げ、残留磁化等を下げることを指す。
さらに本製造方法では、磁気記録トラック及びサーボ信号パターン部を磁気的に分離する箇所を、すでに成膜された磁性層220を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層220を非晶質化することにより実現することも可能である。すなわち、磁性層220の磁気特性の改質は、磁性層220の結晶構造の改質によって実現することも含む。ここで、磁性層220を非晶質化するとは、磁性層220の原子配列を、長距離秩序を持たない不規則な原子配列の形態とすることを指し、より具体的には、2nm未満の微結晶粒がランダムに配列した状態とすることを指す。そしてこの原子配列状態を分析手法により確認する場合は、X線回折または電子線回折により、結晶面を表すピークが認められず、また、ハローが認められるのみの状態とする。
磁性層220の改質の際に用いられる反応性プラズマとしては、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)や反応性イオンプラズマ(RIE;Reactive Ion Plasma)が例示できる。また、反応性イオンとは、前述の誘導結合プラズマ、反応性イオンプラズマ内に存在する反応性のイオンが例示できる。
誘導結合プラズマとは、気体に高電圧をかけることによってプラズマ化し、さらに高周波数の変動磁場によってそのプラズマ内部に渦電流によるジュール熱を発生させることによって得られる高温のプラズマである。誘導結合プラズマは電子密度が高く、従来のイオンビームを用いてディスクリートトラックメディアを製造する場合に比べ、広い面積の磁性層220において、高い効率で磁気特性の改質を実現することができる。反応性イオンプラズマとは、プラズマ中にO2、SF6、CHF3、CF4、CCl4等の反応性ガスを加えた反応性の高いプラズマである。このようなプラズマを反応性プラズマとして用いることにより、磁性層220の磁気特性の改質をより高い効率で実現することが可能となる。
本製造方法では、反応性プラズマもしくは反応性イオンが、ハロゲンイオンを含有することが好ましく、また、ハロゲンイオンが、CF4、SF6、CHF3、CCl4、KBrからなる群から選ばれた何れか1種以上のハロゲン化ガスを反応性プラズマ中に導入して形成したハロゲンイオンであることが、磁性層220とプラズマとの反応性を高め、また、形成するパターンの精度をより向上させる点で好ましい。この理由の詳細は明らかではないが、反応性プラズマ中のハロゲン原子が、磁性層220の表面に形成している異物をエッチングし、これにより磁性層220の表面が清浄化し、磁性層220の反応性が高まることが考えられる。また、清浄化した磁性層220表面とハロゲン原子とが高い効率で反応することが考えられる。
本製造方法では、成膜された磁性層220を反応性プラズマにさらすことにより磁性層220を改質するが、この改質は、磁性層220を構成する磁性金属と反応性プラズマ中の原子またはイオンとの反応により実現することが好ましい。ここでいう反応としては、磁性金属に反応性プラズマ中の原子等が侵入し、磁性金属の結晶構造が変化すること、磁性金属の組成が変化すること、磁性金属が酸化すること、磁性金属が窒化すること、磁性金属が珪化すること等が例示できる。
本製造方法では、その後、工程Hに示すように、レジスト膜240およびマスク層230を除去する。この工程は、ドライエッチング、反応性イオンエッチング、イオンミリング、湿式エッチング等の手法を用いることができる。
本製造方法では、その後、工程F、G、Hの工程で活性化した磁性層220に不活性ガスを照射し、磁性層220を安定化させるのが好ましい。このような工程を設けることにより、磁性層220が安定し、高温多湿環境下においても磁性粒子のマイグレーション等の発生が抑制される理由は明らかではないが、磁性層220の表面に不活性元素が侵入することにより磁性粒子の移動が抑制されること、または、不活性ガスの照射により、磁性層220の活性な表面が除去され、磁性粒子のマイグレーション等が抑制されることが考えられる。
不活性ガスとしては、Ar、He、Xeからなる群から選ばれた何れか1種以上のガスを用いることが好ましい。これらの元素は安定であり、磁性粒子のマイグレーション等の抑制効果が高いからである。不活性ガスの照射は、イオンガン、ICP,RIEからなる群から選ばれた何れかの方法を用いることが好ましい。この中で特に、照射量の多さの点で、ICP,RIEを用いることが好ましい。ICP,RIEについては前述したとおりである。
本製造方法では、工程Iに示すように、保護膜290を形成後、潤滑材を塗布して磁気記録媒体を製造することが好ましい。保護膜290の形成は、一般的にはDiamond Like Carbonの薄膜をP−CVDなどを用いて成膜する方法が行われるが特に限定されるものではない。保護膜としては、炭素(C)、水素化炭素(HxC)、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質層やSiO2、Zr2O3、TiNなど、通常用いられる保護膜材料を用いることができる。また、保護膜が2層以上の層から構成されていてもよい。
保護膜290の膜厚は10nm未満とする必要がある。保護膜の膜厚が10nmを超えるとヘッドと磁性層220との距離が大きくなり、十分な出入力信号の強さが得られなくなるからである。
保護膜290の上には潤滑層を形成することが好ましい。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられ、通常1〜4nmの厚さで潤滑層を形成する。
この磁気記録媒体の製造方法では、工程Dに示すマスターモールドの凹凸パターンをレジスト膜240に転写するに際して、樹脂製モールド1の裏面からレジスト膜240を硬化させるための放射線を照射することも可能である。これにより、磁性層220表面に磁気記録パターンを形成するためのマスク層230を短時間で形成することが可能となり磁気記録媒体の生産性を高めることができる。
さらに、上記の方法では、マスターモールドの凹凸パターンが高精度に転写されたモールドを用いるため、磁気記録媒体の記録密度を向上させることができる。
なお、上記磁気記録媒体の製造方法は、イオンミリングする工程Fを含む方法であるが、この工程Fを省略しても構わない。工程Fを省略した場合には、マスクが除去されて磁性層220が露出した面が反応性プラズマや反応性イオンにさらされることになる。
また、この磁気記録媒体の製造方法では、磁性層220にレジストを塗布する工程、凹凸形状のパターンが形成された樹脂製のモールドをレジストに押しあてる工程、モールドの凹凸パターンをレジストに転写する工程を、基板の両面に対して同時に行うことができる。これは、本発明におけるモールドは可撓性の高いフィルム状であるため扱い易く、また、このフィルムを長尺状とすることができるため、磁気記録媒体用基板の両表面へのモールドの供給、押しあて、転写、剥離、回収を容易に行うことができるからである。
(磁気記録媒体の用途)
上記の製造方法により得た磁気記録媒体は磁気記録再生装置等に用いられる。
磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例を図15に示す。この磁気記録再生装置は、上述の磁気記録媒体300と、これを記録方向に駆動する媒体駆動部400と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと500、磁気ヘッド500を磁気記録媒体300に対して相対運動させるヘッド駆動部600と、磁気ヘッド500への信号入力と磁気ヘッド500からの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段を組み合わせた記録再生信号系700とを具備したものである。これらを組み合わせることにより記録密度の高い磁気記録装置を構成することが可能となる。磁気記録媒体の記録トラックを磁気的に不連続に加工したことによって、従来はトラックエッジ部の磁化遷移領域の影響を排除するために再生ヘッド幅を記録ヘッド幅よりも狭くして対応していたものを、両者をほぼ同じ幅にして動作させることができる。これにより十分な再生出力と高いSNRを得ることができるようになる。
さらに上述の磁気ヘッドの再生部をGMRヘッドあるいはTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記録装置を実現することができる。またこの磁気ヘッドの浮上量を0.005μm〜0.020μmと、従来より低い高さで浮上させると、出力が向上して高い装置SNRが得られ、大容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することができる。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度100kトラック/インチ以上、線記録密度1000kビット/インチ以上、1平方インチ当たり100Gビット以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なSNRが得られる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(硬化性樹脂材料の調製)
ビームセット371(荒川化学工業社製)を77.4質量%、イルガキュア127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の25質量%アセトン溶液を6.0質量%、メガファックR−30(DIC株式会社製)を2.5質量%、酢酸エチル(希釈溶剤)を16.4質量%配合して、紫外線硬化性の硬化性樹脂材料の溶液を調製した。
この硬化性樹脂材料の粘度は59.1mPa・sであり、硬化後の硬化物は、波長365nmの透過率が65%、温度25℃における引張弾性率が0.03GPaである。
(積層フィルムの製造)
得られた硬化性樹脂材料の溶液を、易接着処理を施したベースフィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、厚さ50μm、幅100mm、長さ1000m)上に塗布した。
次いで、希釈溶剤を揮発させて、厚さ30μmの紫外線硬化性樹脂材料の層(粘度:2Pa・s)を形成させた。
次いで、その硬化性樹脂材料の層の上に、カバーフィルムとしてシリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ16μm)を貼り合せて、硬化性樹脂材料の層をベースフィルムとカバーフィルムで挟んだ積層フィルムを得た。
(硬化性樹脂材料の封入)
得られた積層フィルムの幅方向の両端部に90mm×10mmの幅で紫外線(365nm、36mW/m2)を照射して流動抑止体を形成しながら、ABS樹脂製円筒状巻き芯を用いて1080mm/分の巻取り速度で巻き取った。これにより、長さ150m、幅100mmで、幅方向の両端部10mmが硬化されて流動抑止体になった積層体のロールを得た。
(レプリカモールドの製造)
得られた積層体のロールとマスターモールドを用いて、レプリカモールドを製造した。
マスターモールドとしては、厚さ0.3mm、内径16mm、外径63.5mmのニッケル電鋳製のドーナツ盤の表面に凹凸高さ80nm、凸部幅120nm、凹部幅80nmの同心円パターンを多数形成したスタンパを用いた。
このマスターモールドのパターン面を下にしてスタンパ装置に取り付けた。次いで、前記積層体を、カバーフィルムの表面を上にしてカバーフィルムの表面がマスターモールドのパターン面と対向するように供給した。
次いで、積層体からカバーフィルムを剥離させ、硬化性樹脂材料の層にマスターモールドを圧力30MPaで10秒間押し付け、同時にマスターモールドの中央部に設けられたパンチにより樹脂製モールドに円状の開口部を設けた(図14の符号10dがパンチされた開口部を示す。)。その状態のまま、照度が30mW/cm2に設定された紫外線照射装置(波長365nmのLEDランプ)により紫外線を20秒間照射して、硬化性樹脂材料を硬化させた。そして、紫外線の照射を停止し、マスターモールドを上昇させ、硬化性樹脂材料の層にパターンを転写させたレプリカモールドを得た。
このレプリカモールドに図2に示すスペクトルの高圧水銀ランプを用いて、280Wの強度で30秒間放射線を照射した。なお、放射線を照射する前のレプリカモールド平坦部のRaは1.7nmであったのに対し、放射線を照射した後のRaは0.3nmであった。この工程を連続的に行い、積層体のロールから、図14に示すようなモールド1500個を有する長尺状のレプリカモールドを得た。
(レジスト膜付磁気記録媒体基板の作製)
磁気記録媒体用ガラス基板を真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を1.0×10-5Pa以下に真空排気した。ここで使用したガラス基板はLi2Si25、Al23−K2O、Al23−K2O、MgO−P25、Sb23−ZnOを構成成分とする結晶化ガラスを材質とし、外径65mm、内径20mm、平均表面粗さ(Ra)は2オングストロームである。
該ガラス基板にDCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として65Fe−30Co−5B、中間層としてRu、磁性層として74Co−6Cr−18Pt−2SiO2(これらはモル比。)合金の順に薄膜を積層した。それぞれの層の膜厚は、FeCoB軟磁性層は60nm、Ru中間層は10nm、磁性層は15nmとした。その上に、スパッタ法を用いてマスク層を形成した、マスク層にはTaを用いて膜厚は60nmとした。この磁気記録媒体の両面に、レジストをスピンコート法により塗布してレジスト膜を形成した。レジストとしては、紫外線硬化樹脂であるPAK−01(東洋合成(株)製)を用いた。また膜厚は、100nmになるように樹脂を溶媒で希釈して調整した。
(樹脂製のモールドを用いたインプリント)
上記磁気記録媒体基板に上記樹脂製のレプリカモールドを、凹凸パターンの面が磁気記録媒体基板のレジスト膜に対向するように石英製の治具で両側から挟んだ。なお、石英製の治具の一方には、磁気記録媒体基板および樹脂製のレプリカモールドの位置合わせ用の、直径20mmの円柱状の棒が垂直に設けられている。この2つの石英製治具同士を、圧力0.6MPaで10秒間押圧した後、圧力を変えないまま、石英製治具側から波長365nmのLEDランプで照度30mW/cm2の紫外光を照射した。その後、磁気記録媒体基板からレプリカモールドを剥がし取り、モールドはフィルム巻き取り機により回収した。
基板表面のレジスト膜の厚さは80nm、レジスト膜の凹部の厚さは約5nmであった。また、レジスト膜の凹部の形成方法の基板に対する角度は、ほぼ90度であった。
(磁気記録パターンの形成と特性評価)
その後、レジスト膜の凹部の箇所、および、その下のTa層をドライエッチングで除去した。ドライエッチング条件は、レジストのエッチングに関しては、O2ガスを40sccm、圧力0.3Pa,高周波プラズマ電力300W、DCバイアス30W、エッチング時間10秒とし、Ta層のエッチングに関しては、CF4ガスを50sccm、圧力0.6Pa、高周波プラズマ電力500W、DCバイアス60W、エッチング時間30秒とした。
その後、磁性層でマスク層に覆われていな箇所について、その表面をイオンミリングにより除去した。イオンミリングにはArイオンを用いた。イオンミリングの条件は、高周波放電力800W、加速電圧500V、圧力0.014Pa、Ar流量5sccm、処理時間40秒、電流密度0.4mA/cm2とした。イオンミリングを施した表面を反応性プラズマにさらし、その箇所の磁性層について磁気特性の改質を行った。磁性層の反応性プラズマ処理は、アルバック社の誘導結合プラズマ装置NE550を用いた。プラズマの発生に用いるガスおよび条件としては、CF4を90cc/分の流量で導入し、プラズマ発生のための投入電力を200W、装置内の圧力を0.5Paとし、磁性層を300秒間処理した。
その後、レジスト膜、マスク層をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、SF6ガスを100sccm、圧力2.0Pa、高周波プラズマ電力400W、処理時間300秒とした。その後、磁性層の表面に不活性ガスプラズマを照射した。不活性ガスプラズマの照射条件は、不活性ガス5sccm、圧力0.014Pa、加速電圧300V、電流密度0.4mA/cm2、処理時間10秒とした。その表面にCVD法にてカーボン(DLC:ダイヤモンドライクカーボン)保護膜を4nm成膜し、その後、潤滑材を塗布して磁気記録媒体を製造した。
実施例で製造した磁気記録媒体について、形成したパターンの不良率を調べた。不良率は、磁気記録媒体表面に形成したトラックの3%以上にパターン形成の不良があるものを不良品として計算した。その結果、本実施例の樹脂製モールドを用いて製造した磁気記録媒体の不良率は1.5%であり、高い生産性で高精度に磁気記録媒体を製造することができた。
このように、本発明では、ナノインプリント法に用いられる樹脂製モールド1に、その樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きいエネルギーを有する放射線を照射するようにしたので、樹脂製モールド1の平坦部(凸部上面、転写面)を平滑化でき、その表面粗さ(Ra)を大幅に改善することができた。このため、磁気記録媒体のパターンの形成不良を低減し、生産性を向上させることができた。
1 樹脂製モールド(レプリカモールド)
2 凸部
3 凸部の平坦部(凸部上面、転写面)
4 放射線
10 樹脂製モールド作製用積層体
10d 樹脂製モールド作製用積層体の開口部
11,12 基体
13 硬化性樹脂材料の層
14 流動抑止体
20 マスターモールド
210 非磁性基板
210a 非磁性基板の開口部
220 磁性層
230 マスク層
240 レジスト膜
260 ミリングイオン
270 反応性イオン
280 磁性層が非磁性化等した領域
290 保護膜
300 磁気記録媒体
400 媒体駆動部
500 磁気ヘッド
600 ヘッド駆動部
700 記録再生信号系

Claims (4)

  1. マスターモールドの凹凸パターンが転写されて形成された、磁気的に分離した磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造に使用される樹脂製モールドの製造方法において、
    マスターモールドの凹凸パターンを硬化性の樹脂材料に転写する工程と、
    上記凹凸パターンが転写された樹脂材料を硬化する工程と、
    上記マスターモールドから、硬化した樹脂材料を剥離し樹脂製モールドとする工程と、
    上記樹脂製モールドに放射線を照射して樹脂製モールドの転写面を平滑化する工程と、を含み、
    上記樹脂製モールドに照射する放射線のエネルギーを樹脂材料に含まれる有機化合物の分子結合エネルギーより大きくする、
    ことを特徴とする樹脂製モールドの製造方法。
  2. 上記樹脂材料は放射線硬化性の樹脂材料である、請求項1に記載の樹脂製モールドの製造方法。
  3. 上記樹脂製モールドに照射する放射線は、波長200nm〜500nmの範囲内の放射線である、請求項1または2に記載の樹脂製モールドの製造方法。
  4. 上記樹脂製モールドの放射線照射後の転写面は、表面粗さRaが0.5nm以下である、請求項1から3の何れか1項に記載の樹脂製モールドの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012238706A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Toshiba Corp インプリント用テンプレート及びインプリント方法
JP2018166222A (ja) * 2018-07-13 2018-10-25 エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー スタンパ構造を備えたスタンパ並びにその製造方法

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