JP2010228598A - 翼胴結合部騒音低減デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】翼1と胴体2の結合部先端に、前縁後退角が翼1より大きく且つ翼幅が全翼セミ・スパンの5〜15%である騒音低減デバイス100を取り付ける。なお、騒音低減デバイス100は、騒音低減デバイス100を取り付けた後の翼の断面が、騒音低減デバイス100を取り付けない翼1の断面と相似となるように構成する。
【選択図】図3
Description
排気ジェット騒音を低減する技術としては、エンジンが吸入する空気の一部を迂回(バイパス)させて、高速流の周囲に強制的に低速流として導入することで、低速流を含めた排気流の平均速度を低下させるバイパスエンジンが知られている。エンジン前方部で流入する空気の一部は大口径ファンを通過した後、コアエンジンに流入せずに低速流としてエンジン後部から排出される。コアエンジンヘ流入する空気流量とバイパスして低速流として導入される空気流量の比(バイパス比)を大きくすることで、より一層のジェット騒音低減効果を得ることができることから、現在の亜音速商用航空機においては、エンジン形態の主流はバイパスエンジンであり、高バイパス比化へ向かう傾向にある。
一方、空力騒音を低減する技術としては、翼のフラップのバックエッジに翼幅方向に平行に櫛状の突起物を配設し、この突起物によって渦を発生させ、翼とフラップとの間の隙間から発生する騒音を低減する渦流発生器が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
その他の空力騒音を低減する技術として、可撓性平坦材料から成る分離表面7をスラットのギャップ領域側に、クランプ又は関節継手方式で両端部を固定し、アクチュエータによって荷重を負荷しながら、座屈変形させギャップ領域を流れる気流の流れを変化させて渦流を発生させることによって、気流がギャップ領域を通過する際に発生する空力騒音を低減する騒音低減システムが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
上述した、空力騒音を低減する技術はフラップ又はスラット等の補助翼と翼との隙間を気流が通過する際に発生する騒音を低減するものである。
従って、本発明が解決すべき課題は、
(1)航空機離着陸時に、翼と胴体の結合部の先端から発生する空力騒音を効果的に低減すること、
(2)その際、空力性能に悪影響を与えないこと、
(3)駆動機構およびその駆動源が不要である簡素な機構によって構成することであり、その目的は上記課題を解決する翼胴結合部騒音低減デバイスを提供することである。
上記翼胴結合部騒音低減デバイスでは、上記構成とすることにより、翼前縁において各翼面から生じた渦と渦が早く干渉し、下流側で生じた渦が上流側で生じた渦に早く巻き込まれ、安定した渦を形成する。これにより気流の不安定な圧力変動が抑制され、騒音が抑制される。
上記翼胴結合部騒音低減デバイスでは、上記構成とすることにより、翼の空力性能を低下させずに、翼前縁から発生する空力騒音を好適に低減することが可能となる。
上記翼胴結合部騒音低減デバイスでは、上記構成とすることにより、翼の空力性能を低下させずに、翼前縁から発生する空力騒音を好適に低減することが可能となる。
上記翼胴結合部騒音低減デバイスでは、上記構成とすることにより、翼の空力性能を低下させずに、翼前縁から発生する空力騒音を好適に低減することが可能となる。また、上記翼デバイスは、その形状に特徴を有するデバイスである。従って、駆動機構及びその駆動源が不要な簡素な機構によって構成することが可能となる。
上記翼胴結合部騒音低減デバイスでは、上記構成とすることにより、翼の空力性能を低下させずに、翼前縁から発生する空力騒音を好適に低減することが可能となる。
(1)翼胴結合部先端の急激な形状の変化を緩和し、これにより気流方向の変化が小さくなり、騒音が発生し難くなる。
(2)翼と胴体の結合部先端に小さい翼のデバイスを取り付け、翼の前縁を部分的に前方へ延長することにより、翼前縁の直交方向に対し胴体との距離が局所的に短くなり、胴体の効果が支配的となり、翼前縁から渦が形成してはすぐに抑制されるため、騒音が発生し難くなる。
(3)翼と胴体の結合部の先端付近で翼の前縁後退角が大きくなり、縦渦が形成する初期段階で渦を安定させて、圧力変動が発生しにくくなり、渦騒音を抑制する。
(4)翼と胴体の結合部の先端付近で翼の前縁後退角が大きくなり、翼前縁に沿って徐々に渦を形成させることによって、圧力変動が発生し難くなり、渦騒音を抑制する。
(5)翼根に取り付ける本デバイスのサイズが小さく、翼のアスペクト比が殆ど変化しないため、離着陸時において機体の空力性能に対する影響が小さくなる。
(6)翼前縁に取り付けた本デバイスは大きな前縁後退角を有するため、超音速巡航時において、元の翼より強い衝撃波が発生しなくなり、更にサイズが小さいため、空力性能に悪い影響を与えなくなる。
(7)小さい翼のデバイスを取り付け、若しくは翼の前縁を部分的に前方へ延長するだけで、非常に簡素な機構で構成されている。そのため、従来のデバイスに見られた駆動機構と駆動エネルギーが不要となり、従来のデバイスに比べて軽量と省エネルギーとなる。さらに、小さいデバイスなので、重量が殆ど増加しなくなる。
(8)本発明のもう一つの利点は、翼形状の変更が少ない、取り付けるデバイスの形状が簡単であり、特別な材料を使う必要がないため、設計・製造コストを下げることが可能となる。
・翼と胴体の結合部先端に小さい翼のデバイスを取り付け、若しくは翼の前縁を部分的に前方へ延長して、急激な形状変化を緩和して、気流方向の変化が小さくする装置を提供する。
・翼と胴体の結合部先端に小さい翼のデバイスを取り付け、若しくは翼の前縁を部分的に前方へ延長して、機軸方向に沿う胴体の断面面積に比べて翼の断面面積の変化がより小さくなる装置を提供する。
・翼と胴体の結合部の先端付近で翼の前縁後退角を大きくする装置を提供する。
・翼と胴体の結合部の先端付近で小さい翼のデバイスを取り付け、若しくは翼の前縁を部分的に前方へ延長した部分が翼と相似する断面形状を有する装置を提供する。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
図2(a)に示すように、翼平面において、一様流速度7は翼前縁に平行する翼前縁平行速度成分8と翼前縁4に垂直する翼前縁垂直速度成分9に分解される。一方、図2(b)に示すように、翼前縁垂直速度成分9は更に翼平面垂直速度成分11と翼平面前縁垂直速度成分12に分解される。前縁垂直翼断面における局所迎角14は、翼前縁垂直速度成分9から反時計方向に翼中心線13までの角度と定義される。従って、翼前縁後退角が大きいほど、翼前縁垂直速度成分9及び翼平面前縁垂直速度成分12が小さくなり、且つ同じ迎角で翼平面垂直速度成分11が同じであるため、前縁垂直翼断面における局所迎角14が増加する。
図3(a)に示すように、翼前方から来た気流(流線15)は機体迎角16で翼前縁に衝突して、翼上面と翼下面に分離される。翼上面側で粘性境界層が前縁付近で剥離し、剥離渦が生じる。この前縁剥離渦が形成される初期段階で不安定な圧力変動17によって騒音が発生すると考えられる。気流は翼前縁に衝突した後に、翼前縁垂直成分が減少するため、翼前縁より大きな角度で下流方向に行く。翼前縁後退角5が大きいほど、翼前縁平行速度成分8が大きくなり、気流方向の変化が小さい。
本発明の騒音低減デバイス100は、翼前縁より大きな後退角を有し、且つ翼幅の小さい翼形のデバイスであり、翼胴結合部3の先端に取り付けられ、翼側の一部だけを前方に延長するものである。一例として図3(b)に示すように、本発明の騒音低減デバイス100の前縁後退角により、騒音発生源である翼胴結合部付近で気流方向の変化が小さくなり、不安定波な圧力変動17が発生しにくくなるため、より安定した渦が形成され、騒音の発生が好適に抑制される。
翼前縁の各断面から粘性境界層が剥離し、一様流の外乱や胴体から流れて来た乱流により、剥離せん断層が不安定となり、多数の小さい渦が連続的に放出されて、さらに、前縁から下流側の近くで渦と渦が干渉し、騒音が発生する。
本発明の騒音低減デバイス100の場合、大きな前縁後退角により、前縁垂直翼断面における局所迎角14(図3(b))が大きくなる。翼前方から来た流れは前縁付近で各翼断面から生じた渦がより強くなり、前縁により近い位置となるため、渦と渦が早く干渉し、下流側で生じた渦が上流側で生じた渦に早く巻き込まれる。合併した渦がより安定になり、不安定な圧力変動が発生し難く、騒音が抑制される。
本発明の騒音低減デバイスのサイズは胴体と翼の形状、更には流れの条件(レイノルズ数と機体迎角)によって決定される。翼胴結合部付近で発生する騒音を低減するために、一定な大きさにする必要がある。それと同時に、翼の空力性能を低下させないように、本発明の騒音低減デバイスを取り付けた後の翼断面形状が、取り付け前の翼断面形状に相似となるようにする。本発明の騒音低減デバイスの翼幅は、一般的に、全翼の1/2に相当する全翼セミ・スパンの5%から15%に制限される。
この風洞試験モデルは、胴体半径が50[mm]、内翼セミ・スパンは230[mm]、全翼セミ・スパンは419[mm]ある。内翼の前縁後退角は66度、外翼の前縁後退角は42度である。騒音低減デバイス110は幅42[mm]、前縁後退角75度を有する直線型である。なお、風速は40m/s、機体迎角は20度、レイノルズ数は1.24×106である。
図から、上側の翼胴結合部前縁付近からレベルの高い騒音が発生し、空間にも伝播している様子が見られる。一方、下側の翼胴結合部前縁付近からレベルの高い騒音は発生していない。定量的には、上側と下側の翼胴結合部前縁付近の騒音レベルの差は4dblとなった。本発明の騒音低減デバイス110を取り付けることによって、騒音レベルが顕著に低減していることが分かる。
翼胴結合部前縁に騒音低減デバイスの有と無の両形態で空気力を各々計測し、各形態における抵抗係数(CD)および揚力係数(CL)を算出し、横軸に抵抗係数(CD)を、縦軸に揚力係数(CL)を表したグラフにプロットし、空力性能を比較した。騒音低減デバイスを装着した形態が騒音低減デバイスを装着しないクーリン形態とほほ同等な空力性能を有することを確認できた。これにより、本発明の騒音低減デバイスを装着することによる空力性能の低下は殆どないことを確認することが出来た。
2 胴体
3 翼胴結合部
4 翼前縁
5 前縁後退角
6 機軸
7 一様流速度
8 翼前縁平行速度成分
9 翼前縁垂直速度成分
10 前縁垂直翼断面
11 翼平面垂直速度成分
12 翼平面前縁垂直速度成分
13 翼中心線
14 前縁垂直翼断面における局所迎角
15 流線
16 機体迎角
17 圧力変動
19 剥離渦
100,110,120,130 騒音低減デバイス
Claims (5)
- 超音速航空機の翼と胴体の結合部先端に取り付けられる小さい翼デバイスであって、前記翼の前縁を部分的に前方へ延長することによって、前記結合部先端の急激な外郭形状変化を緩和し、超音速航空機の空力騒音を低減することを特徴とする翼胴結合部騒音低減デバイス。
- 前記翼デバイスを取り付けた後の翼の断面形状が、取り付ける前の前記翼の断面形状に相似であるように構成されている請求項1に記載の翼胴結合部騒音低減デバイス。
- 前記翼デバイスを取り付けた後の、前記翼の機軸に沿った断面積が徐々に増加するように構成されている請求項1又は2に記載の翼胴結合部騒音低減デバイス。
- 前記翼デバイスの平面形状は、前縁または後縁の後退角が前記翼のそれより大きく、且つ該翼の全翼幅の1/2に相当する全翼セミ・スパンの5〜10%の翼幅を有する請求項3に記載の翼胴結合部騒音低減デバイス。
- 前記翼デバイスの前縁形状が直線または曲線であるように構成されている請求項1から4の何れかに記載の翼胴結合部騒音低減デバイス。
Priority Applications (1)
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JP2009078566A JP2010228598A (ja) | 2009-03-27 | 2009-03-27 | 翼胴結合部騒音低減デバイス |
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- 2009-03-27 JP JP2009078566A patent/JP2010228598A/ja active Pending
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