JP2010225767A - 窒化物半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

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智弘 山崎
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啓 大野
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Abstract

【課題】基板裏面に形成された電極と基板とのコンタクト抵抗を低減しつつ、信頼性の高い窒化物半導体発光素子を実現する。
【解決手段】窒化物半導体発光素子は、窒化物半導体基板10と、窒化物半導体基板10の第1の主面上に形成され、光を生成する活性層13を有する窒化物半導体層と、窒化物半導体基板10の第2の主面上に形成された電極20とを備えている。窒化物半導体基板10と電極20との界面部分における酸素ピーク濃度が29原子%以上で、且つ炭素ピーク濃度が11原子%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関し、特に、窒化物半導体基板の裏面にn側電極が設けられた窒化物半導体発光素子に関するものである。
近年、光ディスク装置用の光源として、各種の半導体レーザ素子が広く利用されている。その中でも、窒化ガリウム(GaN)などのIII-V族(旧IUPAC表記;新IUPAC表記では13-15族)窒化物半導体を使用した青紫色半導体レーザダイオード(LD)は、赤色域(DVD用)や赤外域(CD用)の光に比べ、光ディスク上での集光スポット径を小さくする事が可能となる短波長域(400nm帯)で発光する。そのため、青紫色半導体LDは、光ディスクの再生、記録密度の向上に有効であり、次世代高密度光ディスク(Blu−Ray−Disc)の光源として世の中に広まりつつあり、必要不可欠なものとなってきている。
青紫色半導体LDにおいて、近年では裏面側にn側電極を形成したGaN基板を用いる構造が主流になっている。GaN基板の裏面にn側電極を形成する場合、基板を研磨することによって形成される変質層を、ハロゲンガスによるエッチングで除去するとともに、400℃以上の熱処理をする必要がある。変質層を除去するために、基板研磨後に塩素と酸素との混合ガスにてドライエッチングしてから、n電極を形成し、350℃〜390℃の熱処理を施すことが特許文献1に開示されている。この方法により変質層の除去とGaN基板の裏面に露出する窒素原子の除去がなされ、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。
特開2005−347534号公報
しかしながら、上述の従来技術では、塩素と酸素の混合ガスを用いてエッチング処理を施すため、上面電極等が混合ガスにより腐食される可能性があり、その回避策として保護膜を形成したり、窒化物半導体層の上面に支持基板を貼り付けたりする必要がある。裏面研磨後の基板上面上に保護膜を形成することは、基板が薄い状態での処理工程が増えるため、基板の割れ欠けの発生率を高くする。一方、基板(作製中の半導体発光素子)に支持基板を貼り付ける場合、基板の上面を確実にカバーするためには、貼り付けに使用する接着材料を基板上面の全体に塗布することが必要になり、支持基板から接着材料がはみ出すことになる。その状態で、塩素ガス等を用いたドライエッチングを実施すると、研磨された裏面に接着材料が再付着し、電極形成後の抵抗増加あるいは電極はがれが生じやすくなる。また、350〜390℃で熱処理を施しているため、熱処理により、p側電極が劣化し、コンタクト抵抗が増大する可能性がある。
以上の不具合に鑑み、本発明の目的は、基板裏面に形成された電極と基板とのコンタクト抵抗を低減しつつ、信頼性の高い窒化物半導体発光素子を実現することにある。
本発明の窒化物半導体発光素子は、互いに対向する第1の主面と第2の主面とを有する窒化物半導体基板と、前記窒化物半導体基板の前記第1の主面上に形成され、光を生成する活性層を有する窒化物半導体層と、前記窒化物半導体基板の前記第2の主面上に形成された電極とを備え、前記窒化物半導体基板と前記電極との界面部分における酸素ピーク濃度が29原子%以上で、且つ炭素ピーク濃度が11原子%以下である。
n側電極と窒化物半導体基板との間のコンタクト抵抗は、両者の界面部分における酸素ピーク濃度が高い方が低減でき、界面部分における炭素ピーク濃度が低い方が低減できる。そのため、窒化物半導体基板と電極との界面部分における酸素ピーク濃度を29原子%以上とし、且つ炭素ピーク濃度を11原子%以下とすることで、n側電極と窒化物半導体基板との間のコンタクト抵抗を大きく低減することができる。
前記電極は複数層で構成されており、前記電極のうち前記窒化物半導体基板に接する層は、Ti、Ni、Al、Ta、Zr、及びMoから選ばれた少なくとも1種類の金属で構成された層を有していることが好ましい。なお、ここでいう「金属」は、2種類以上の金属の合金であってもよい。これらの金属は窒化物半導体基板の第2の主面にある酸素と結合しやすいため、より密着性の良い電極構造が実現できる。
前記電極は、前記窒化物半導体基板に近い順に、Ti膜、Pt膜、及びAu膜で構成されていてもよい。Pt膜が設けられているので、半田を用いて窒化物半導体基板をサブマウント等に実装する際に半田材料が窒化物半導体基板へ拡散するのが防がれている。
前記Ti膜の膜厚は5nm以上15nm以下であり、且つ前記Au膜の膜厚は100nm以上であってもよい。これにより、低抵抗で且つ熱処理にも安定な電極を得ることができる。
前記電極のうち、少なくとも前記Ti膜は、前記第2の主面の全面上に形成されていてもよい。これにより、窒化物半導体基板と電極との接触面積を大きくすることができるの、良好なオーミック電極を形成できるようになる。
前記窒化物半導体基板と前記電極との界面部分における酸素ピーク濃度は75原子%以下であることが特に好ましい。
本発明の窒化物半導体発光素子の製造方法は、窒化物半導体基板の第1の主面上に、活性層を含む複数の層で構成された窒化物半導体層を形成する工程(a)と、前記工程(a)の後に、前記窒化物半導体基板を、前記第1の主面に対向する第2の主面側から研磨して薄膜化する工程(b)と、前記工程(b)で研磨された前記第2の主面に酸素プラズマ処理を施して、前記第2の主面上に存在する炭素を除去するとともに、前記第2の主面に酸素を吸着させる工程(c)と、前記工程(c)の後、酸素プラズマ処理を施された前記第2の主面上に電極を形成する工程(d)と備えている。
この方法によれば、工程(c)で酸素プラズマ処理を行うことにより、窒化物半導体基板の研磨面である第2の主面から炭素を除去するとともに、第2の主面に酸素を吸着させる。このため、窒化物半導体基板と電極とのコンタクト抵抗値を従来よりも大きく低減することができる。また、塩素ガスを用いたエッチングを行う必要がないので、窒化物半導体基板の第1の主面側に設けられた電極の劣化を防ぎ、信頼性の高い窒化物半導体発光素子を作製することが可能となる。
前記工程(d)では、前記電極の形成後、前記窒化物半導体基板と前記電極との界面部分の酸素ピーク濃度が29原子%以上で、且つ炭素ピーク濃度が11原子%以下となることが好ましい。
上述のように、前記工程(c)では、研磨された前記第2の主面をエッチングすることなしに酸素プラズマ処理を行ってもよい。
前記工程(b)の後で前記工程(c)の前に、前記窒化物半導体層の主面のうち前記窒化物半導体基板から遠い方の面上に接着材料を用い、前記接着材料が平面視において前記窒化物半導体基板の外形内に収まるように支持基板を固定する工程(e)をさらに備えていてもよい。
本発明の方法によれば、窒化物半導体基板の第2の主面に電極を形成する前に、当該第2の主面を酸素プラズマで処理することにより、コンタクト抵抗が低く抑えられ、かつ窒化物半導体基板との密着性が良く、熱処理によってもコンタクト抵抗の増加が抑えられるので、チップ状の窒化物半導体発光素子を実装する際に半田を溶融するための熱が印加された場合でも高い信頼性を確保することができる。また、高出力動作においても動作電圧が低減されることにより発熱が抑制され、高効率で信頼性の高い窒化物半導体発光素子を得ることができる。
以下、本発明の構成を半導体レーザ装置に適用した例として、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、n型GaN基板の主面のうち窒化物半導体層を設ける面を「第1の主面」と呼び、第1の主面に対向する面を、研磨工程の前後にわたって「第2の主面」と呼ぶ。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子であるレーザダイオード素子(LD素子)の断面図である。同図は、窒化物半導体発光素子の光共振器方向に垂直な縦方向断面を示している。
図1に示すように、本実施の窒化物半導体発光素子は、n型のGaN基板10のGa面である上面(第1の主面)上に窒化物半導体層を備えている。窒化物半導体層は、第1の主面に近い側から順に、それぞれ窒化物半導体材料で構成されたn型クラッド層11、n型光ガイド層12、多重量子井戸活性層13、p型光ガイド層14、p型クラッド層15、p型コンタクト層16が積層されてなっている。n型クラッド層11は例えばAlGaNで構成され、n型光ガイド層12は例えばGaNで構成され、多重量子井戸活性層13はInGaN等で構成され、p型光ガイド層14は例えばAlGaNで構成され、p型クラッド層15は例えばAlGaNで構成され、p型コンタクト層16は例えばGaNで構成されている。多重量子井戸活性層13で生成された光は窒化物半導体層の共振器端面から出射される。
窒化物半導体層のうち、p型クラッド層15の一部(上部)、及びp型コンタクト層16は、エッチングにより共振器方向(図1において紙面の手前と奥とを結ぶ方向)に沿って延びるリッジストライプ形状に加工されている。リッジストライプ幅は例えば1.5μm程度であり、共振器長は例えば800μm、チップ幅は例えば200μmである。
前記リッジストライプの上面上には、p型コンタクト層16と接するようにp側コンタクト電極18が設けられている。また、リッジストライプの側面上、及びリッジストライプ部分以外のp型クラッド層15の上面上に誘電体膜17が設けられている。p側コンタクト電極18及び誘電体膜17上にp側配線電極19が設けられている。p側コンタクト電極18は例えばPdまたはNiで構成され、p側配線電極19は例えば最上層がAuである多層構造で構成される。
一方、GaN基板10 のN面である裏面(第2の主面)上には、金属電極としてのn側電極(Ti膜/Pt膜/Au膜)20が設置されている。
図2は、図1に示す本実施形態の窒化物半導体発光素子において、GaN基板10の裏面(第2の主面)付近を示す拡大断面図である。同図に示すように、n側電極20は、GaN基板10の第2の主面上から順に、第1層目にTi膜21、第2層目にPt膜22、および第3層目にAu膜23を備えた3層構造を有している。Ti膜21はGaN基板10とのコンタクト抵抗を低減する役割を、Pt膜22はAuやGaの相互拡散を抑制するバリアメタルとしての役割を、Au膜23は半田接合またはワイヤーボンド等による外部機器との電気的、熱的接合を容易にする役割を有している。
次に、n側電極20内の各層の膜厚について説明する。まず、Ti膜21は20nm以上の膜厚ではコンタクト抵抗の熱安定性が損なわれるため、薄く設定されるのが好ましいが、成膜の安定性を考慮すると5nm以上が好ましい。膜厚が薄くなり、制御性が損なわれるとn側電極20とGaN基板10との密着性も低下するため、Ti膜21の膜厚は5nm以上15nm以下で設定するのがより好ましい。
Pt膜22は窒化物半導体発光素子をサブマウント等に実装する際の温度(例えば300℃以上)下で、AuやGaの拡散をバリアする役割を果たすため、Pt膜22の膜厚は10nm以上100nm以下であると好ましいが、膜厚が厚いと応力により膜剥がれを発生させるリスクが高くなるため、10nm以上50nm以下であればさらに好ましい。Au膜23は半田接合やワイヤー剥がれの防止等を考慮して、100nm以上が好ましい。
また、n側電極20の平面面積について、特にコンタクト形成を担うTi膜21は、チップ状の窒化物半導体発光素子(LDチップ)においてGaN基板10の第2の主面全体上に形成されていることが電気的特性の面からは理想的である。これは、GaN基板10と接触する面積が広いほうが、n側電極20とGaN基板10とのコンタクト抵抗値をより小さくできるためである。しかし、Au膜23の平面面積をTi膜21と同様にGaN基板10の第2の主面の平面面積とほぼ同じ大きさにすると、チップ形成工程において、劈開領域にAu膜23がかかって劈開によるチップの個片化が難しくなる場合がある。このため、少なくともAu膜23の平面形状は、GaN基板10の平面形状から周辺領域を除いた形状とし、Au膜23の平面面積はGaN基板10の第2の主面の平面面積よりもやや小さくするのが好ましい。
本実施形態に係る窒化物半導体発光素子では、後述の製造工程においてGaN基板10の第2の主面に前処理を施すことで、GaN基板10のTi膜21との界面部分における酸素濃度と炭素濃度を調整し、n側電極20とGaN基板10とが低抵抗なオーミック接触をとることが可能である。ここで、「GaN基板10のTi膜21との界面部分」とは、GaN基板10のうち、GaN基板10とTi膜21との界面(GaとTiの濃度比が1:1)からの距離が10nm以内の部分のことをいう。
また、300℃以上の熱印加時もコンタクト抵抗が増加することなく安定なn側電極20を実現できる。この時の界面部分の酸素ピーク濃度は29原子%以上であり、炭素ピーク濃度は11原子%以下である。
また、本実施形態に係るn側電極20では、GaN基板10の第2の主面と接する第1層としてTi膜21を用いたが、代わりに、酸化物を形成する金属を用いても構わない。第1層を構成する金属の例としては、例えばTi、Ni、Al、Ta、Zr、Mo、の少なくとも1種類の金属(2種類以上の金属の合金である場合を含む)が挙げられる。
次に、本実施形態の窒化物半導体発光素子の製造方法について説明する。図3(a)〜(d)、図4(a)〜(c)は、本実施形態の窒化物半導体発光素子の製造方法を示す図である。図3(a)〜(d)、図4(b)、(c)は、窒化物半導体発光素子の光共振器方向に垂直な縦方向断面を示す図であり、図4(a)は斜視図である。
まず、図3(a)に示すように、GaN基板10の第1の主面(Ga面)上に窒化物半導体層からなる多層膜構造を有機金属気相成長法(MOCVD)により結晶成長する。ここで、多層膜構造は、n型GaNに近い順に、n型クラッド層11、n型光ガイド層12、多重量子井戸活性層13、p型光ガイド層14、p型クラッド層15、及びp型コンタクト層16を有している。多層膜構造は、例えば一般的なダブルヘテロ構造を有している。
次に、図3(b)に示すように、リッジ状のストライプ部を形成した後、誘電体膜17、p側コンタクト電極18、p側配線電極19を形成する。
具体的には、多層膜構造の上面上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSiO等からなる誘電体膜を形成した後、フォトリソグラフィー法によりストライプ状のレジストマスクパターンを形成し、当該誘電体膜をフッ酸(HF)などにより除去することで、ストライプ状のSiO膜を形成する。このSiO膜をマスクにして、塩素系ガスを用いたドライエッチングを行い、p型クラッド層15の途中の所望の深さまでエッチングし、リッジ状のストライプ部を形成する。その後、マスクとして使用した誘電体膜を除去し、CVD法により基板(作製中の窒化物半導体発光素子)の上面上の全体に例えばSiOなどで構成された誘電体膜を形成する。その後、リッジストライプ部のみをフォトリソグラフィー法で開口し、誘電体膜をフッ酸(HF)などにより選択的に除去する。これにより、電流阻止層としての誘電体膜17が形成される。続いて、p側コンタクト電極18を電子ビーム(EB)蒸着法により形成した後、リッジストライプ部上に設けられた部分を残してp側コンタクト電極18を除去することで、リッジストライプ部上にp側コンタクト電極18を形成する。続いて、p側配線電極19を電子ビーム(EB)蒸着法でp側コンタクト電極18上及び誘電体膜17の上に形成し、第1の主面上方における構成が形成される。p側コンタクト電極18の材料としては、PdまたはNiを使用することが好ましい。p側配線電極19は、例えばTi膜、Pt膜、Au膜からなる三層構造とする。
次に、図3(c)に示すように、研削機等を用いて、GaN基板10を裏面(第2の主面)側から研磨し、GaN基板10を薄膜化する。研削後の厚さは例えば80μmとする。研磨処理法の例としては、ダイヤモンドスラリーを用い、研削面を研磨する手法等が挙げられる。
研磨により薄膜化する目的は、チップ成形時に一対の光共振器端面を形成する必要があり、その光共振器端面を劈開により形成するためである。すなわち、基板が厚いと安定して劈開できないためである。
次に、図3(d)に示すように、GaN基板10の研磨面(裏面;第2の主面)にn側電極20を形成する準備としての表面処理を実施する。具体的には、GaN基板の第2の主面に対して酸素プラズマ処理を行う。酸素プラズマ処理により、GaN基板10の裏面の汚染源である炭素の除去が可能となる。また、炭素除去と同時にGaN基板10の裏面(第2の主面)に酸素を吸着させ、Gaと酸素の結合を形成させる。なお、Gaと酸素とが結合する領域はGaN基板10の裏面から結晶格子1〜2層分程度の深さの範囲内にあると考えられるが、条件を調節することでこれ以上深い範囲にまで形成されることも可能である。
Gaと酸素とが結合することで、GaN基板10とn側電極20との界面におけるバリアハイト(Barrier Height)の減少及びこれに伴うキャリアトンネリングの増加や、結晶構造に欠陥を導入にすることよって擬似的にキャリア濃度を増加させるといった効果も得られる。酸素プラズマ処理の条件は、例えば真空度(チャンバー内圧力)20Pa、ガス流量400mL/min(sccm)、プラズマパワーは300W程度である。上記の酸素プラズマ処理により、GaN基板10の裏面部分(例えば、裏面から結晶格子1〜2層分程度の深さの範囲にある部分)での酸素原子ピーク濃度が29原子%以上、かつ炭素原子ピーク濃度が11原子%以下程度となる。なお、GaN基板10の裏面部分における炭素および酸素の原子濃度は、ガス流量、プラズマパワー、処理時間等を変えることにより調整が可能である。
次に、図4(a)に示すように、GaN基板10を支持基板24に貼り付ける。支持基板24の例としては、シリコン基板や石英基板等が挙げられ、GaN基板10と支持基板24とを接着するための接着材料25の例として、有機系ワックスや両面シールタイプのテープ等が挙げられる。支持基板24への貼り付け手順としては、先ず、支持基板24の上面に接着材料25を付着させ、支持基板24の上面にGaN基板10(p側配線電極19)を接触させ、GaN基板10を固定させる。この際には、GaN基板10の第1の主面を接着面に向けて支持基板24に接着させる。
本工程で、研磨により薄くなったGaN基板10は非常に割れやすいので、支持基板24のパターン形成に必要なフォトリソグラフ工程やエッチング工程に耐えることが難しい。そのため、支持基板24に接着させることで、ウエーハ割れが多発するのを防いでいる。また、n側電極20の貼り付けを行う前の酸素プラズマ処理時に、接着剤から発生した有機物によるGaN基板10裏面の汚染が発生するとコンタクト抵抗が高くなる。したがって、本工程はn側電極20形成の直前に行われることが好ましい。
次に、図4(b)に示すように、GaN基板10を支持基板24に貼り付けた状態で、電子ビーム蒸着法等により、GaN基板10の裏面上に、Ti膜21、Pt膜22、Au膜23を順次堆積する。これにより、Ti膜/Pt膜/Au膜の3層構造を有するn側電極20がGaN基板10の裏面上に形成できる。Ti膜21の膜厚は5nm以上15nm以下程度が好ましく、本実施形態では例えば10nmとする。このTi膜21の膜厚に関しては、データを用いて後述する。
Pt膜22は、後の熱処理の際にTi膜21とAu膜23とが反応するのを防ぐためと、GaN基板10からのGa拡散を防ぐために設けられる。この効果を得るために、Pt膜22の膜厚は10nm以上50nm以下程度であることが好ましい。本実施形態ではPt膜22の膜厚は35nmとする。
また、Au膜23は、チップ状に分割された窒化物半導体発光素子(LDチップ)をサブマウント上にジャンクションアップ(多重量子井戸活性層13から見てGaN基板10と同じ側にサブマウントが来るように実装する方式)で実装する場合はAuSn等の半田と反応する層となる。また、Au膜23は、LDチップをジャンクションダウン(多重量子井戸活性層13から見てGaN基板10と逆側にサブマウントが来るように実装する方式)でサブマウント上に実装する場合はワイヤーボンド用のパッド電極になる。前者の場合、半田(たとえばAuSn)の組成を大きく変化させることなく良好な接合を得ることが要求される。後者の場合は、ワイヤー(一般的には金線)との良好な接合を得ることが要求される。ジャンクションアップの場合にはAu膜23の膜厚は薄い方が好ましいため膜厚の上限を設定することができる。一方、ジャンクションダウンの場合にはAu膜23の膜厚は厚いほうが好ましいため膜厚の下限を設定することができる。したがって、Au膜23の膜厚が100nm以上500nm以下程度であれば両方の実装方式に対応することができるので好ましい。本実施形態においてはAu膜23の膜厚を300nmとする。
次に、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィによってn側電極20の上にマスクパターンを形成したレジスト26を設け、当該レジスト26をマスクとしてn側電極20をエッチングし、n側電極20のパターン形成を行う。図4(c)ではPt膜22やTi膜21をAu膜23と共にエッチングする例を示しているが、最上層のAu膜23のみエッチングを行っても構わない。Au膜23のエッチングにはヨード液や王水等のウェットエッチングやイオンミリング等のドライエッチングを用いる。その後、レジスト26を除去して、n側電極20のパターン形成を完了する。
なお、上述のエッチング手法に代えて、所定パターンを有するレジストをn側電極20の構成材料の蒸着前に予め形成しておき、蒸着後に剥がす手法(リフトオフ法)を行うこともできる。ただし、リフトオフ法では、レジストに含まれる有機成分が第2の主面側に付着する可能性があり、n側電極20とGaN基板10との界面部分の炭素原子濃度が増加し、コンタクト抵抗が増大するおそれがあるため、リフトオフよりもウェットエッチングやイオンミリングなどで処理することがより好ましい。この後、図示しないが、ウエハ状のGaN基板10を劈開し、窒化物半導体発光素子をLDチップへと個片化し、当該LDチップをサブマウント上に実装する。LDチップをサブマウント上に搭載する際には、半田溶融に必要な温度まで加熱される。
以上の工程により、GaN基板10の裏面上に所定のn側電極構造が形成され、GaN基板10の上面(第1の主面)上に窒化物半導体層が形成された、図1に示す本実施形態の窒化物半導体発光素子を作製することが可能となる。
図5は、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、n側電極とGaN基板との界面部分(界面領域部)をオージェ電子分光(AES)法により解析した結果を示す図であり、図6は、比較例に係る窒化物半導体発光素子において、n側電極とGaN基板との界面部分(界面領域部)をAES法により解析した結果を示す図である。図6で解析された窒化物半導体発光素子は、n側電極形成前に酸素プラズマ処理をしていないことを除き図5で解析された窒化物半導体発光素子と同様の方法で作製された窒化物半導体発光素子である。図5及び図6において、横軸は深さを表しており、縦軸はオージェ電子のカウント数の微分大きさを表している。
図5と図6との比較から、n側電極20とGaN基板10の第2の主面との界面部分において、酸素および炭素ピークの強度が、酸素プラズマ処理の有無で、明らかに変化していることが確認できる。すなわち、酸素プラズマ処理によって界面部分の炭素濃度は減少し、酸素濃度は上昇することが分かる。
図7は、図5に示す電子微分スペクトルを用いて、O(酸素)およびC(炭素)の原子濃度の算出手法を説明するための図である。なお、本明細書に記載した酸素及び炭素の原子濃度は、全て以下の手法で算出したものである。
はじめに、基準となる元素濃度%を決定する。電子微分スペクトルにおいてGaN基板内の「Ga微分ピーク強度」・・・(i)にGaの感度係数を乗じた値が「Ga原子濃度」・・・(ii)である。GaN基板内のGa原子濃度%は既知で50元素%であり、本算出手法では(ii)を基準として、CおよびO原子濃度を相対的に表す。
次に、O原子濃度%の定義について説明する。GaN基板とn側電極との界面部分で最大となる「O微分ピーク強度」・・・(iii)にOの感度係数を乗じた値が「O原子濃度」・・・(iv)である。GaN基板とn側電極との界面部分でのO原子濃度%は、(ii)を50原子濃度%と設定(補正)した時のO原子濃度%で示し、この濃度は(50/(ii))*(iv)で求められる。
Cに関しても同様で、GaN基板とn側電極との界面部分で最大となる「C微分ピーク強度」・・・(v)にCの感度係数を乗じた値が「C原子濃度」・・・(vi)である。GaN基板とn側電極との界面部分でのC原子濃度%は、(ii)を50原子濃度%と設定した時のC原子濃度で示し、この濃度は(50/(ii))*(vi)で求められる。
図5と上記原子濃度の決定手法とを用い、本実施形態の窒化物半導体発光素子におけるC原子濃度%およびO原子濃度%を求めたところ、O原子濃度%は29%、C原子濃度%は11%であった。
次に、n側電極20とGaN基板10との間のコンタクト抵抗と界面部分のC及びOの原子濃度との関係について検討した結果を説明する。
図8(a)、(b)は、n側電極20とGaN基板10との間のコンタクト抵抗の測定方法を示す図である。図8(a)はn側電極20の平面形状を模式的に示し、(b)は測定用素子を縦方向に切断した場合の断面を示している。ここでは、GaN基板10の裏面に一対のn側電極20を、電極間隔が500μmになるように形成し、両n側電極20間に10mAの電流を流した時の電圧値を測定し、コンタクト抵抗を算出した。なお、n側電極20の平面形状は100μm×500μmの矩形形状とした。後述するコンタクト抵抗の測定データは全てこの方法で行ったものである。
図9は、n側電極20とGaN基板10との間のコンタクト抵抗と、界面部分でのC原子濃度及びO原子濃度との関係を示す図である。ここで、コンタクト抵抗は、図8(a)、(b)に示す測定用素子を用いて算出されたものであり、C原子濃度およびO原子濃度は上述の手法で算出されたものである。また、縦軸に示すコンタクト抵抗値(Ω・cm)は、測定用素子に熱処理を施さない場合の初期コンタクト抵抗値である。
実際の製造工程では、LDチップをサブマウント上に実装する際に半田を溶かすための加熱処理が施されるが、この程度の加熱では界面近傍での原子の拡散状態はほとんど影響受けない。よって、加熱後のC原子濃度及びO原子濃度は加熱前とほとんど変化していないと考えられる。
図9より、界面部分のC原子濃度が11%(図中:実線)である場合、O原子濃度が29%以上の条件でコンタクト抵抗値が1×10−4Ω・cm程度の良好な値を示し、O原子濃度が29%より小さくなるとコンタクト抵抗値が急激に上昇する傾向があることが分かった。また、C原子濃度が増えるにつれて、O原子濃度を大きくしてもコンタクト抵抗が十分低減しない傾向があり、C原子濃度が31%(図中:点線)の場合には、O原子濃度に関係なくコンタクト抵抗値が1×10−2Ω・cm程度の高い値を示した。
実用上、LD素子の電圧値は4〜5V程度にする必要があり、本実施形態の窒化物半導体発光素子において、C原子濃度が11%以下で、且つO原子濃度が29%以上の条件で得られるコンタクト抵抗で実現が可能である。以上より、酸素プラズマ処理を用い、n側電極20とGaN基板10との界面において炭素を除去し、酸素を吸着させることにより、具体的には、O原子濃度を29%以上とし、且つC原子濃度を11%以下とすることにより、低抵抗のn側電極を提供することができる。
図10は、本実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、n側電極とGaN基板との間のコンタクト抵抗の熱安定性を評価した結果を示す図である。横軸は熱処理温度を表し、縦軸はコンタクト抵抗値を表している。熱処理の条件は、窒素雰囲気中で30秒間、設定の温度下でデバイスを保持することとし、熱処理の温度は25℃〜500℃の範囲とした。実際のLDチップはサブマウント等のヒートシンク材に半田を介して接合されるため、その際の半田溶融温度を想定して、熱処理温度の範囲を設定した。
図10から、熱処理温度が25℃から500℃までの間で、いずれもコンタクト抵抗は低い値を維持していることが確認できる。この結果から、本実施形態の窒化物半導体発光素子では、GaN基板とn側電極との界面において、炭素および酸素原子量を最適化することで、熱処理をしなくてもコンタクト抵抗を低い値にすることができ、また、サブマウント等への実装の際に熱処理を施してもコンタクト抵抗を低い値に維持することが可能であることが分かる。
次に、本願発明者らが初めて見出した、炭素及び酸素原子濃度とコンタクト抵抗との関係について、以下に考察する。
GaN基板10の裏面とn側電極20との界面における炭素の濃度を低減することで、蒸着等によりn側電極20を形成する際、当該界面にて電極材料のカーバイド(炭化物)の形成が抑制される。これにより、カーバイド形成に起因するGaN基板10とn側電極20との間でのバリアハイトの増加が抑えられ、ひいてはトンネル効果によるトンネリングキャリアの減少が抑制される。その結果、GaN基板10の第2の主面でのキャリアの減少を抑制できると考えられる。
一方で、電極のカーバイド層はGaN基板10との密着性が低いため、その形成を抑制することでGaN基板10とn側電極20間の密着性を向上できる効果も期待できる。さらに、GaN基板10裏面とn側電極20との界面における酸素濃度を意図的に多くすることにより、GaN基板10のうちn側電極20との界面付近の部分ではGaと窒素の結合以外にGaと酸素との結合が生じる。そのため、GaN基板10の第2の主面に吸着された酸素とn側電極20の第1層(Ti膜21)との間で、安定した金属酸化物が形成され、密着性を向上させることができると考えられる。
本実施形態では、窒化物半導体発光素子において、O原子濃度が29%である例を示したが、本願発明者らはO原子濃度が29%より大きい、33%の素子についても同様に25℃以上500℃以下の温度範囲で良好なコンタクト抵抗値が得られることを確認している。O原子濃度の上限値は、GaN基板10とn側電極20との界面部分において、酸素の導入が過剰になり、Ga膜が形成された場合で、この値は本願の原子濃度の算出手法の値を用いると75%である。従って、O原子濃度は29%以上且つ75%以下であれば特に好ましい。
図11は、本実施形態の窒化物半導体発光素子において、コンタクト抵抗値の熱処理温度依存性を評価した結果を示す図である。同図において、横軸は熱処理温度であり、縦軸はGaN基板とn側電極との間のコンタクト抵抗値を示している。熱処理温度は25℃〜400℃の範囲で変化させ、n側電極内のTi膜21の膜厚を5〜100nmの範囲で段階的に変化させて測定を行った。
図11より、Ti膜厚が5nm〜15nmの条件では、25℃におけるコンタクト抵抗値が1×10−4Ω・cm程度の良好な値を示し、400℃までの温度で熱処理を施してもコンタクト抵抗値は低い値を維持できることが分かった。一方、Ti膜厚が50nm〜100nmの条件では、Ti膜厚が5〜15nmの条件の場合に比べて25℃におけるコンタクト抵抗値が著しく増加していた。これは、Ti膜厚が厚いとTi酸化膜が厚く形成され、これが抵抗層として働くからだと考えられる。さらに、Ti膜厚が50nm〜100nmの条件では、熱処理温度を高くするにつれて、コンタクト抵抗値が急激に上昇する傾向を確認できた。以上の結果から、本実施形態において、Ti膜21の膜厚は5nm以上10nm以下であることが特に好ましいことが分かる。
したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、GaN基板の研磨後に当該GaN基板の研磨された面に酸素プラズマ処理を施してから、Ti膜、Pt膜、及びAu膜順次形成することで、熱処理を行わなくても、密着性が良く低抵抗のn側電極構造が実現できる。また、熱処理を加えたとしてもGaN基板とn側電極間のコンタクト抵抗を低く維持することが可能である。このため、本実施形態の窒化物半導体発光素子では、半田溶融に伴う熱印加を経ても、コンタクト抵抗が増加せず動作電圧を低く維持でき、延いてはレーザ光の高出力化を実現することが可能となる。
また、本実施形態の製造方法によれば、GaN基板の研磨に伴ってGaN基板の裏面に生じる炭素を、塩素ガスを用いることなく酸素プラズマ処理によって除去しているので、塩素ガスによるp側配線電極19やp側コンタクト電極18の腐食等は起こさない。
また、本実施形態の窒化物半導体発光素子のn側電極において、第1層目にTi膜を用いた例を説明したが、Ti膜に代えて、酸化物を構成する金属を用いても構わない。n側電極の第1層目を構成する金属として、例えばTi、Ni、Al、Ta、Zr、Mo、のうち少なくとも1種類の金属または合金から形成された層が挙げられる。これらの金属はGaN基板10の第2の主面にある酸素と結合しやすいため、より密着性の良い電極構造を実現できる。
なお、窒化物半導体発光素子の例としてp側配線電極及びn側電極を備えたレーザ素子を挙げて説明したが、窒化物半導体素子は半導体基板の裏面にn側電極を備えたLED(Light Emitting Device)であってもよい。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態に係る方法では、GaN基板の研磨後に、GaN基板のみの状態で酸素プラズマ処理を実施した後、GaN基板を支持基板に貼り付ける工程を行っていたが、本発明はそのような場合に限定されない。本実施の第2の実施形態として、GaN基板を支持基板に貼り付けた状態で、酸素プラズマ処理、n側電極の蒸着による形成、n側電極に対するパターン形成を順次行うことにより、GaN基板とのコンタクト抵抗が低く抑えられたn側電極を形成する方法を説明する。
本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の構成は、図1及び図2に示す第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子と同様であるので説明は省略する。本実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法のうち、第1の実施形態と異なる工程について以下説明する。
図12(a)は、支持基板24、接着材料25、GaN基板10の配置を模式的に示す平面図であり、(b)は、窒化物半導体発光素子の断面図である。
まず、n型のGaN基板10を準備し、所定の形状の窒化物半導体層をGaN基板10の上面(第1の主面)上に形成した後、GaN基板10の研削・研磨処理を行う。ここまでの工程は第1の実施形態に係る方法と同様の製造方法である(図3(a)〜(c)参照)。
次に、図12(a)、(b)に示すように、研削・研磨処理の後、GaN基板10を支持基板24に貼り付ける工程を行う。支持基板24としては例えば、シリコン基板や石英基板等が用いられ、GaN基板10と支持基板24とを貼り付ける接着材料25としては、例えば有機系ワックスや両面シールタイプのテープ等が挙げられる。貼りつけ手順としては、まず、支持基板24に接着材料を付着させ、GaN基板10の第1の主面が支持基板24に対向するように支持基板24とGaN基板10とを接触させ、GaN基板10を支持基板24上に固定させる。
ここで、支持基板24にGaN基板10を貼り付けた後、接着材料である有機系ワックスの付着面積がGaN基板の面積よりも小さく、かつ、接着材料がGaN基板の外周部からはみ出さず、平面視におけるGaN基板10の外形の内部に収まっていることが好ましい。接着材料の形状については、一般的なGaN基板10の形状と同様な円形が好ましく、円形の接着材料とGaN基板との中心を合わせるように接着、貼り付けることが好ましい。このようにするのは、次工程のn側電極20の形成の前処理時に、接着材料25から発生する有機物によってGaN基板10の裏面が汚染されないようにするためである。よって、GaN基板10を支持基板24に貼り付けた状態でn側電極20を形成するための前処理を行っても、GaN基板10とn側電極20との間のコンタクト抵抗を低く維持することが可能となる。また、n側電極20を形成するための前処理の前にGaN基板10の貼り付けを行うことで、次工程のn側電極20形成の前処理時における、薄膜化したウエーハの割れを低減する付加的な効果も得る。なお、上記では接着材料の例として有機系ワックスを挙げたが、シート形状のものであっても構わない。
続いて、n側電極20を形成するための前処理として酸素プラズマ処理を行う。本工程は第1の実施形態と同様な製造方法のため、説明は省略する。
図13は、酸素プラズマ処理後における、接着材料面積のGaN基板面積に対する割合(接着材料面積Sad/GaN基板面積Ssub)とコンタクト抵抗値との関係を示す図である。同図において、横軸は接着材料面積比を表し、縦軸はコンタクト抵抗値を表す。測定は熱処理温度が25℃の場合と300℃の場合とで行った。なお、ここでの接着材料及びGaN基板の面積は、平面面積を意味するものとする(図12(a)参照)。
図13から分かるように、接着材料面積のGaN基板面積に対する面積比(Sad/Ssub)が100%以下、つまりGaN基板面積と接着材料面積が同等以下であると、熱処理温度が25℃の場合にコンタクト抵抗値は十分低くなり、熱処理温度が300℃の場合であってもコンタクト抵抗値は低い値を維持していた。この結果から、接着材料25から有機物が発生しても、GaN基板10の裏面に回りこまず、当該裏面が汚染されないことが言える。
一方、接着材料面積のGaN基板面積に対する面積比が100%より大きいと、接着材料の有機物によるGaN基板10の裏面の汚染により、25℃の時点でコンタクト抵抗が大きくなる傾向にある。
以上から、本実施例形態の方法において、コンタクト抵抗の増加を防ぎ、かつ熱処理で低いコンタクト抵抗値を維持するには、接着材料の面積がGaN基板10の面積以下であり、酸素プラズマ処理時において接着材料が平面視でGaN基板10の外形内に収まっていることが好ましい。
次に、蒸着により例えばTi膜21、Pt膜22、及びAu膜23とで構成されるn側電極20をGaN基板10の裏面上に形成し、続けてn側電極20のパターニング処理を行う。これは第1の実施形態と同様の方法であるため、説明は省略する。
以上の製造方法により、GaN基板10の裏面上に本実施形態のn側電極構造が形成され、図1に示す構造を有する窒化物半導体発光素子を作製することが可能となる。
このように、本実施形態の窒化物半導体発光素子およびその製造方法によれば、第1の実施形態と同様に、熱処理を行わなくても、密着性が良く、GaN基板10とのコンタクト抵抗が低いn側電極構造が実現できる。また、支持基板24にGaN基板10を接着させた後に熱処理を加えたとしてもコンタクト抵抗を低く維持することが可能である。さらに、GaN基板10が薄い状態での取り扱いを避けることができるため、GaN基板10の割れや欠けを防止することができる。
本発明は、例えば電子機器の短波長光源として有用である。
本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子であるレーザダイオード素子(LD素子)の断面図である。 図1に示す第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、GaN基板の裏面(第2の主面)付近を示す拡大断面図である。 (a)〜(d)は、第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を示す図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を示す図である。 第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、n側電極とGaN基板との界面部分をオージェ電子分光(AES)法により解析した結果を示す図である。 比較例に係る窒化物半導体発光素子において、n側電極とGaN基板との界面部分(界面領域部)をAES法により解析した結果を示す図である。 図5に示す電子微分スペクトルを用いて、O(酸素)およびC(炭素)の原子濃度の算出手法を説明するための図である。 (a)、(b)は、n側電極とGaN基板との間のコンタクト抵抗の測定方法を示す図である。 n側電極とGaN基板との間のコンタクト抵抗と、界面部分でのC原子濃度及びO原子濃度との関係を示す図である。 第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、n側電極とGaN基板との間のコンタクト抵抗の熱安定性を評価した結果を示す図である。 第1の実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、コンタクト抵抗値の熱処理温度依存性を評価した結果を示す図である。 (a)は、第2の実施形態に係る窒化物半導体発光素子において、支持基板、接着材料、GaN基板の配置を模式的に示す平面図であり、(b)は、窒化物半導体発光素子の断面図である。 酸素プラズマ処理後における、接着材料面積のGaN基板面積に対する割合(接着材料面積Sad/GaN基板面積Ssub)とコンタクト抵抗値との関係を示す図である。
10 GaN基板
11 n型クラッド層
12 n型光ガイド層
13 多重量子井戸活性層
14 p型光ガイド層
15 p型クラッド層
16 p型コンタクト層
17 誘電体膜
18 p側コンタクト電極
19 p側配線電極
19 配線電極
20 n側金属
21 Ti膜
22 Pt膜
23 Au膜
24 支持基板
25 接着材料
26 レジスト

Claims (10)

  1. 互いに対向する第1の主面と第2の主面とを有する窒化物半導体基板と、
    前記窒化物半導体基板の前記第1の主面上に形成され、光を生成する活性層を有する窒化物半導体層と、
    前記窒化物半導体基板の前記第2の主面上に形成された電極とを備え、
    前記窒化物半導体基板と前記電極との界面部分における酸素ピーク濃度が29原子%以上で、且つ炭素ピーク濃度が11原子%以下である窒化物半導体発光素子。
  2. 請求項1に記載の窒化物半導体発光素子において、
    前記電極は複数層で構成されており、
    前記電極のうち前記窒化物半導体基板に接する層は、Ti、Ni、Al、Ta、Zr、及びMoから選ばれた少なくとも1種類の金属で構成された層を有する窒化物半導体発光素子。
  3. 請求項1に記載の窒化物半導体発光素子において、
    前記電極は、前記窒化物半導体基板に近い順に、Ti膜、Pt膜、及びAu膜で構成されている窒化物半導体発光素子。
  4. 請求項3に記載の窒化物半導体発光素子において、
    前記Ti膜の膜厚は5nm以上15nm以下であり、且つ前記Au膜の膜厚は100nm以上である窒化物半導体発光素子。
  5. 請求項4に記載の窒化物半導体発光素子において、
    前記電極のうち、少なくとも前記Ti膜は、前記第2の主面の全面上に形成されている窒化物半導体発光素子。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子において、
    前記窒化物半導体基板と前記電極との界面部分における酸素ピーク濃度は75原子%以下であることを窒化物半導体発光素子。
  7. 窒化物半導体基板の第1の主面上に、活性層を含む複数の層で構成された窒化物半導体層を形成する工程(a)と、
    前記工程(a)の後に、前記窒化物半導体基板を、前記第1の主面に対向する第2の主面側から研磨して薄膜化する工程(b)と、
    前記工程(b)で研磨された前記第2の主面に酸素プラズマ処理を施して、前記第2の主面上に存在する炭素を除去するとともに、前記第2の主面に酸素を吸着させる工程(c)と、
    前記工程(c)の後、酸素プラズマ処理を施された前記第2の主面上に電極を形成する工程(d)と備えている窒化物半導体発光素子の製造方法。
  8. 請求項7に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法において、
    前記工程(d)では、前記電極の形成後、前記窒化物半導体基板と前記電極との界面部分の酸素ピーク濃度が29原子%以上で、且つ炭素ピーク濃度が11原子%以下となる窒化物半導体発光素子の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法において、
    前記工程(c)では、研磨された前記第2の主面をエッチングすることなしに酸素プラズマ処理を行う窒化物半導体発光素子の製造方法。
  10. 請求項7〜9のうちいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子の製造方法において、
    前記工程(b)の後で前記工程(c)の前に、前記窒化物半導体層の主面のうち前記窒化物半導体基板から遠い方の面上に接着材料を用い、前記接着材料が平面視において前記窒化物半導体基板の外形内に収まるように支持基板を固定する工程(e)をさらに備えている窒化物半導体発光素子の製造方法。
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