JP2010214858A - 特定の樹脂の粉末を用いた粉末焼結積層造形方法 - Google Patents

特定の樹脂の粉末を用いた粉末焼結積層造形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱により十分に流動化する樹脂および該樹脂を用いた粉末焼結積層造形方法を提供すること。
【解決手段】特定の樹脂の粉末を用いる粉末焼結積層造形方法であって、前記特定の樹脂が、前記樹脂を、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットとし、該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)に対してT=t/Tgで定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して得られる、加熱前のペレットが変形した物の最大投影面積をa2とし、加熱前のペレットの最大投影面積をa1とし、a2とa1との比(a2/a1)をAとし、1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAの値を3点以上求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、該一次関数が特定の条件を満たすことを特徴とする粉末焼結積層造形方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉末焼結積層造形方法に関する。より詳しくは本発明は、加熱することにより高流動性になる、粉末焼結積層造形法に適した樹脂を使用する粉末焼結積層造形法に関する。
粉末焼結積層造形法(Selective Laser Sintering、以下単にSLSともいう)は、あらかじめ目的とする造形物の一定間隔の断面形状のデータ(第1〜第n番目の断面のデータ)を作成し、前記一定間隔の厚さに敷き詰められた樹脂・金属粉末の薄層に、レーザーを前記第1番目の断面のデータに対応する断面形状に走査照射して加熱することにより、樹脂や金属を融着・焼結し、その上に再び一定間隔の厚さに樹脂・金属粉末を敷き詰め、レーザーを前記第2番目の断面のデータに対応する断面形状に走査照射して積層するということを繰り返して目的の造形物を製造する技術であり、例えば特許文献1にその技術が開示されている。
SLSおいては、レーザーを照射されたことにより、樹脂粉末または金属粉末が流動化・融着して焼結するが、この流動化が不十分であると、SLSにより得られる造形物において気泡(樹脂粉末同士または金属粉末同士の融着が不十分であることによりできる隙間である)が存在し、造形物の透明性が悪化し、またその強度が不十分となる。例えばポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等は本来透明な樹脂であるが、このような樹脂からなる粉末をSLSに使用した場合でも、樹脂の流動性が不十分であったり、造形条件の最適化が不十分であったりすると、粉末と粉末との融着が十分に進行せず融着部分近傍に空隙を生じて不透明となる。これは空隙部分が空気や窒素等の造形雰囲気中のガス成分であり樹脂との屈折率が著しく異なり光が乱反射するためである。従って、このような気相部分を生じにくい、即ちSLS造形環境下において樹脂の充填率が高くなるような樹脂を使用したSLSの開発が強く望まれている。
WO1997/029148号パンフレット
本発明は、加熱により樹脂粉末間の融着が容易に進行し、十分に流動化することで、空隙の少ない透明性に優れた造形物を製造し得る樹脂を用いたSLSを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の条件を満たす樹脂がSLSに適していることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち本発明の粉末焼結積層造形方法は、
特定の樹脂の粉末を用いる粉末焼結積層造形方法であって、
前記特定の樹脂が、
前記樹脂を、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットとし、
該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)(結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))に対してT=t/Tg(Tm)で定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して得られる、加熱前のペレットが変形した物の最大投影面積をa2とし(Kは絶対温度を表す)、加熱前のペレットの最大投影面積をa1とし、a2とa1との比(a2/a1)をAとし、
1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAの値を3点以上求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、
該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上であることを特徴とする粉末焼結積層造形方法である。
前記特定の樹脂は、非晶性樹脂または透明性を有する半結晶性樹脂であることが好ましい。
また前記特定の樹脂のガラス転移温度(結晶性樹脂の場合は融点)は、100〜200℃であることが好ましい。
前記特定の樹脂の粉末の体積平均粒子径は、通常1〜200μmである。
本発明の粉末焼結積層造形方法によって、透明性及び強度に優れた造形物が得られる。
また本発明の粉末焼結積層造形方法からは、SLSに適した樹脂をスクリーニングする方法が導かれ、そのスクリーニング方法は、
試験樹脂から、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットを製造するステップ1と、
該ペレットの最大投影面積a1を求めるステップ2と、
該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)(結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))に対してT=t/Tg(Tm)で定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して変形させるステップ3と(Kは絶対温度を表す)、
ステップ3で得られた加熱前のペレットの変形物の最大投影面積a2を求めるステップ4と、
前記温度tから対応するTを算出するステップ5と、
a2とa1との比A(a2/a1)を算出するステップ6と、
ステップ1〜6を、前記温度tを変えて2回以上繰り返すステップ7と、
前記ステップ5〜7から得られた複数のTおよび各Tに対応するAの関係から、直線回帰によりAをTの一次関数として表すステップ8と、
該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上である場合には、前記試験樹脂を粉末焼結積層造形方法に用いるのに適した樹脂であると判定するステップ9とを有することを特徴とする。
本発明によれば、加熱により十分に流動化する、空隙の少ない透明性に優れた造形物を製造し得る樹脂を用いたSLSが提供される。
[本発明の粉末焼結積層造形方法]
本発明の粉末焼結積層造形方法は、樹脂粉末の薄層にレーザー光を走査照射して加熱することにより、前記樹脂粉末の薄層を融着・焼結させ、該焼結した薄層を順次積層、すなわち焼結した薄層の上に再び樹脂粉末の薄層を設け、レーザー光を走査照射して該薄層を融着・焼結させるということを繰り返して3次元造形物を作成する、特定の樹脂の粉末を用いる粉末焼結積層造形方法であって、
前記特定の樹脂が、
前記樹脂を、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットとし、該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)(前記特定の樹脂が結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))に対してT=t/Tg(Tm)で定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して得られる、該加熱前のペレットが変形した物の最大投影面積をa2とし(Kは絶対温度を表す)、加熱前のペレットの最大投影面積をa1とし、a2とa1との比(a2/a1)をAとし、1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAの値を3点以上求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上であることを特徴としている。以下本発明に用いられる特定の樹脂の前記各構成について詳細に説明する。
<T(絶対温度の比)>
Tは、前記特定の樹脂のペレットを加熱する温度t(K)と該樹脂のガラス転移温度Tg(K)(結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))との比(t/Tg(Tm))である。前記Kは絶対温度である。たとえば樹脂ペレットを加熱する温度が250℃であるとすれば、tは523Kである。
なお、本明細書においてガラス転移温度とは、示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製、商品名:DSC6220)を用いて、日本工業規格K7121に従って求めた補外ガラス転移温度である。また融点は、K7121に従って求めた融解ピーク温度である。
前記特定の樹脂のペレットを加熱する温度tは、樹脂の種類(ガラス転移温度または融点)に応じて、Tが1.10〜1.40の範囲内となるように任意に決めることができる。
後述するように本発明は、Tが1.10〜1.40の範囲内となる加熱温度で前記特定の樹脂のペレットを加熱してペレットを変形させ、任意のTに対応するA(加熱前後のペレットの最大投影面積の比)の値を少なくとも3点求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上である樹脂をSLSに用いれば、該樹脂は低加重でもSLS加熱条件下において良好な流動性を示し、空隙の少ない透明性に優れた造形物を製造し得ることを見出したことに基づくものである。
<A(最大投影面積の比)>
Aは、前記ペレットの最大投影面積をa1、該ペレットを前記温度tで30分加熱して得られる該加熱前のペレットが変形した物の最大投影面積をa2としたときの、a2とa1との比(a2/a1)である。
ペレットとは、前述のように楕円柱形状の樹脂固形物であって、楕円の長径は2〜5mm、短径は1〜4mm、高さは1〜5mmである。
最大投影面積とは、あらゆる角度からペレットを投影したときの投影図において、面積が最大になる投影図の面積である。「投影」とは数学において用いられる「投影」と同義であり、すなわち物体に平行光線をあてて、その影を平面上に写すことである。したがって、投影面積は正面視面積と同じである。正面視面積というのは、物体を見たときの正面図を作成し、その正面図に描かれた図形の面積である。
よって最大投影面積は、物体をあらゆる角度から見たときの正面視面積のうち、最大の面積を意味する。
a2は前述のように樹脂ペレットを温度tで30分加熱して得られる該加熱前のペレットが変形した物の最大投影面積である。tは前述のように1.10≦T≦1.40となるように設定されるので、tは樹脂のガラス転移温度Tgまたは融点Tmよりも高い。したがって樹脂ペレットを温度tで30分加熱すると、一般に樹脂ペレットは流動化し、固形物の状態から円板状に変形して広がる。よってa2は通常はその円板の面積である。
<一次関数>
本発明に用いられる特定の樹脂は、以上説明したように定義されるAおよびTについて、1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAの値を3点以上求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上であることを特徴としている。
すなわち、たとえばT1に対応するAをA1、T2に対応するAをA2、T3に対応するAをA3とすると、(T1, A1)、(T2, A2、)、(T3, A3)という3点を基に、最小二乗法によって直線回帰してAをTの一次関数として表す。求められた一次関数は、たとえば以下のように表される。
A=xT+B(Bは定数)
本発明に用いられる特定の樹脂は、上記一次式においてxが5.0以上であり、1.25x+Bが1.05以上なのである。直線回帰により一次関数を求める際のAおよびTのデータの数に特に上限はないが、通常3点データを求めれば十分である。
A(ペレットの加熱前後の最大投影面積の比)とT(加熱温度と樹脂のガラス転移温度もしくは融点との比)は、通常T=1.10〜1.40の範囲内では直線関係となる。樹脂種にも依存するが、過度に高い温度域では樹脂が比表面積を小さくしようとするため球状に変形し、AとTが直線関係から逸脱する場合がある。SLSでの使用を前提とした本発明では、樹脂が熱により溶融して広がる環境、即ち直性関係を発現する温度域(200〜350℃程度)で樹脂を使用する。
Aは、樹脂が加熱によって流動化して円板状に変形したことで最大投影面積がどれだけ大きくなったかを示す数値であり、Aが大きいほど、その樹脂が加熱によって流動性が高くなった、すなわち樹脂の流動化能力が高いということになる。Aが小さいと、樹脂が加熱によってあまり流動化しないため、[背景技術]で述べたように、SLSにより得られる造形物において気泡(樹脂粉末同士の融着が不十分であることによりできる隙間)が存在し、造形物の透明性や強度が不十分となる。
またx(一次関数の傾き)は、加熱温度を上げることによってどれだけ樹脂がより流動化するかを示す数値であり、xが大きいほど樹脂の流動化能力が高いということになる。
以上より数値Aおよびxが大きい樹脂がSLSに適しているといえるが、本発明者らは種々の検討を加えた結果、xが5.0以上であり、かつTが1.25のときに、対応するA(=1.25x+B)が1.05以上である樹脂が、流動化能力に優れ、従ってSLS加工により、気泡を含有せず透明性に優れ、十分な強度を有する造形物を製造することができることを見出したのである。xが5.0未満であるか、またはTが1.25のときにAが1.05未満である樹脂は、流動化能力が不十分であり、粉末焼結積層造形に適用した時に気泡を含有し、造形物において透明性の悪化または強度不足を生じることになるので好ましくない。
なお、A値は本発明に用いられる樹脂の流動化能力の観点から、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.3以上であり、通常4以下である。またx(一次関数の傾き)は流動化能力の観点から好ましくは6.0以上、より好ましくは7.0以上、特に好ましくは8.0以上であり、通常20以下である。
<特定の樹脂>
本発明に用いられる特定の樹脂は、以上説明した要件を満たす樹脂であり、流動化能力に優れるため、SLSに適用した際に透明性及び強度に優れた造形物を製造することができる。
本発明に用いられる特定の樹脂のガラス転移温度(前記特定の樹脂が結晶性樹脂の場合は融点)は、通常100〜200℃、好ましくは100〜190℃、より好ましくは100〜185℃、特に好ましくは100〜180℃である。ガラス転移温度(融点)が200℃を超えると、SLSにおける加工温度が高くなる等加工性が悪くなることがあり、一方、100℃未満であると耐熱性が不十分となり実用性を欠くことがある。
また本発明に用いられる前記特定の樹脂は、上述のように1.10≦T≦1.40の範囲において任意のTに対応するAの値を3点以上求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、該一次関数の傾きxが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上である。
傾きxを5.0以上とするためには、前記特定の樹脂の分子構造を、分子間の電子的相互作用が弱い分子構造とする、分子間での分子鎖の絡み合いが起こりにくい分子構造とする、または前記特定の樹脂の分子鎖を短くすることが望ましい。
またTが1.25のときにAが1.05以上となるようにするためには、前記特定の樹脂の分子構造を、分子間の電子的相互作用が弱い分子構造とする、分子間での分子鎖の絡み合いが起こりにくい分子構造とする、または前記特定の樹脂の分子鎖を短くすることが望ましい。
また、本発明に用いられる特定の樹脂は、非晶性樹脂または透明性を有する半結晶性樹脂であることが、前記特定の樹脂の粉末からSLSにより得られる造形物の透明性向上の観点から好ましい。
上記要件を満たし、流動化能力に優れ、SLSに適した本発明に用いられる特定の樹脂の例としては、本発明の流動化能力(上記一次関数における傾きが5.0以上であり、Tが1.25のときにAが1.05以上である特性)を有する公知の環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、結晶性透明樹脂を挙げることが出来る。
前記環状オレフィン系樹脂としてはノルボルネン系単量体を開環(共)重合した後に水素添加した環状オレフィン開環(共)重合水素添加物、ノルボルネン系単量体を付加(共)重合した環状オレフィン付加(共)重合体、ノルボルネン系単量体をエチレンまたはαオレフィン類と共重合した環状オレフィン共重合体およびスチレン系化合物を付加重合した後に核水添した環状オレフィン付加(共)重合体等を挙げることができる。
本発明に用いられる特定の樹脂としてより具体的には、ARTON(JSR(株)製)、ZEONEXおよびZEONOR(日本ゼオン(株)製)、APEL(三井化学(株)製)、TOPAS(ポリプラスチックス(株)製)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)およびポリ乳酸、PBT(ポリブチレンテレフタレート)が挙げられる。
<添加剤>
本発明に用いられる特定の樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、染料、顔料、蛍光増白剤、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を、本発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。これらの添加剤は一種単独で使用してもよく複数を併用してもよい。添加剤の添加量は、通常前記特定の樹脂100質量部に対して10質量部以下である。
前記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトおよび2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ペンチルフェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル4,6-ジ-t-ブチルフェノールおよび2,2'-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-[(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]〕などが挙げられる。
<本発明に用いられる特定の樹脂の粉末>
SLSでは樹脂の粉末を使用するため、上記特定の樹脂は、樹脂粉末の形態となってSLSに使用される。
{樹脂粉末とする方法}
上記特定の樹脂を樹脂粉末とする方法に特に制限はない。たとえば、樹脂を含有する樹脂組成物ペレットと、その樹脂組成物に非相溶性の異種高分子材料とを混練して前記ペレットを分散させた後に、前記樹脂組成物のみが溶解しない溶剤で前記異種高分子材料を溶解し、樹脂粉末を回収する方法(方法1)、樹脂の有機溶媒溶液を噴霧乾燥する方法(方法2)、樹脂の有機溶媒溶液または乳濁液を再沈殿させて回収・乾燥する方法(方法3)、機械的粉砕法または乳化法により樹脂を樹脂粉末とすることができる。
方法1は特開2007-217651号公報に開示されている。方法2は特表2000-504642号公報に開示されている。方法3は特許3260684号公報に開示されている。
機械的粉砕法では、樹脂を機械的に粉砕することにより、樹脂粉末を得る。機械的粉砕は、凍結粉砕でも常温での粉砕でもよい。機械的粉砕を実施する装置としては公知の種々の装置が挙げられるが、たとえばハンマーミル、ジェットミル、ボールミル、インペラーミル、カッターミル、ピンミル、2軸クラッシャーが挙げられる。機械的に粉砕する場合には樹脂が摩擦熱を発生し、温度上昇による融着を起こして所望の粒子径の粉末が得られない場合があるため、液体窒素等を用いて冷却すると共に脆化させて破砕することが好ましい。
次に、乳化法について説明する。
乳化法は、たとえば、樹脂を有機溶媒に溶解する工程1と、工程1で得られた溶液Pを、水中または界面活性剤を含有する水溶液Q中で乳化させる工程2と、工程2で得られた乳化液中に分散した樹脂粒子を回収し乾燥して粉末とする工程3とを有する。以下、これら各工程について説明する。
(工程1)
工程1で使用される有機溶媒は、本発明に使用される特定の樹脂を溶解できれば特に限定されないが、たとえば、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素類;
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどの環状炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;
ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;
ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類;
N,N−11ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;
を挙げることができる。これらは単独であるいは二種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いられる特定の樹脂の有機溶媒溶液(以下単に溶液Pともいう)中の特定の樹脂の濃度は、通常5〜40質量%であり、好ましくは7〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。濃度が5質量%未満であると樹脂粒子の生産性が低くなることがあり、また、40質量%を超えると、溶液Pの後述する水中または界面活性剤を含有する水溶液Q中への分散性が低下し、所望の粒子径の樹脂粒子が得られない等の問題を生じることがある。
(工程2)
工程2において、工程1で得られた溶液Pを水中または界面活性剤を含有する水溶液Q中で乳化させることにより、特定の樹脂が水中または水溶液Q中に分散し、粒子の形状をとる。
前記の乳化させる際の攪拌・分散手段としては、従来公知の攪拌装置を特に制限なく挙げることが出来る。このような装置として具体的には、インペラー式攪拌機、のこぎり歯状のブレードミキサー、閉式ローターミキサー、ローター/ステーター式ミキサー、スタティックミキサー、インラインプロペラ/タービン式ミキサー、インラインローター/ステーター式ミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を挙げることができる。
攪拌機の回転数等の攪拌条件は、設備や樹脂粒子の生産量およびその他の条件により変動するため一義的に決定することは出来ないが、一般的な攪拌条件(たとえば、10〜30000rpm)にて実施することが出来る。
攪拌時間についても同様に一義的に決定することは出来ないが、通常は5〜300分間、好ましくは10〜180分間、より好ましくは15〜120分間である。攪拌時間が5分よりも短いと樹脂の分散が不十分となり、所望の粒子径の樹脂粒子を得ることができない場合があり、また攪拌時間が300分よりも長いと樹脂粒子の生産性が低下する傾向がある。
溶液Pを、水中または水溶液Q中で乳化させる際の温度は、通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃、特に好ましくは10〜60℃である。乳化させる際の温度が100℃を超えると、樹脂粒子が、溶液Pが乳化した乳化液中で凝集しやすくなる傾向があり、0℃未満であると樹脂粒子の製造費用が高くなる傾向にある。
工程2における溶液Pと水または水溶液Qとの質量比(使用量の比)は、通常[溶液P]/[水または水溶液Q]=1/100〜5/1であり、好ましくは1/50〜4/1、特に好ましくは1/30〜3/1である。溶液Pと水または水溶液Qとの質量比が1/100よりも小さいと樹脂粒子の生産性が低下する傾向にあり、5/1よりも大きいと樹脂粒子が乳化液中で凝集しやすく、所望の粒子径を有する樹脂粒子が得られない場合がある。
溶液Pを分散させる媒体としては、水または水溶液Qが用いられるが、好ましくは水溶液Qである。界面活性剤が存在することにより、樹脂粒子の工程2で得られる乳化液中での安定性が高まる。
前記界面活性剤としては公知の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、等の陰イオン界面活性剤;
アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;
アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤;
しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等のノニオン系の界面活性剤;
などを特に制限なく用いることができる。
前記ノニオン系の界面活性剤の具体的例として、花王(株)製のエマルゲンシリーズ、レオドールシリーズ、エマノーンシリーズ、ライオン(株)製のレオックスシリーズ、レオコールシリーズ、ライオノールシリーズ、レオファットシリーズ、リオノンシリーズ等を列挙することができる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記界面活性剤のHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)は、本発明に用いられる特定の樹脂の種類や有機溶媒の種類により適宜選択されるため一義的には決定できないが、通常6〜20、好ましくは7〜19.5、特に好ましくは7.5〜19である。
前記界面活性剤の、水溶液Q中の濃度は、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜18質量%、特に好ましくは0.3〜15質量%である。濃度が0.1質量%未満であると樹脂粒子の工程2で得られる乳化液中における安定性が不足することがあり、濃度が20質量%を超えると、得られる樹脂粒子の粒子径が必要以上に小さくなるとともに樹脂粒子中に残留する界面活性剤量が増加する傾向にある。
(工程3)
上記の工程2において得られた乳化液中に分散した樹脂粒子をフィルターまたはメッシュ等により回収して乾燥することにより、本発明に用いられる特定の樹脂の粉末を得ることが可能である。
なお、この回収をする前に、工程1で用いた有機溶媒および水の両方と相溶し、且つ本発明に用いられる特定の樹脂を溶解しない溶媒Rと、工程2で得られた乳化液とを混合することが好ましい。
溶媒Rを用いることにより、球形状を保ったまま樹脂粒子を固化させることができ、さらに上記特定の樹脂を溶解するために用いた有機溶媒や界面活性剤を抽出除去することができるため好ましい。
前記の「特定の樹脂を溶解しない」とは、具体的には25℃の100gの溶媒Rに溶解する前記特定の樹脂が1g以下であるということである。
このような条件を満たす溶媒Rとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール、イソブタノール等のアルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
溶媒Rの使用量は、前記乳化液100質量%に対して通常30〜2000質量%、好ましくは50〜1000質量%である。
また溶媒Rと乳化液との混合は、攪拌機で撹拌することにより行うことが好ましく、その際の撹拌条件は、回転数10〜30000rpm、撹拌温度0〜60℃、撹拌時間5〜120分である。
また、工程2で得られた乳化液中に分散した樹脂粒子をフィルターまたはメッシュ等により回収する前、または上記溶媒Rと前記乳化液とを混合する前に、本発明に用いられる特定の樹脂を溶解させるために使用した有機溶媒を濃縮する工程を加えてもよい。濃縮工程を加えることによって、乾燥時に樹脂粒子中から揮発する有機溶媒の量が少なくなり、より真球形状に近い形状の樹脂粉末を得ることが出来る。
上述の樹脂粒子を回収するためのフィルターまたはメッシュの孔径は、必要な樹脂粒子の粒子径により選択される。回収した樹脂粒子を真空または熱風乾燥機等にて乾燥することにより形状の安定した樹脂粉末とすることが出来る。
乾燥温度は通常20〜160℃、好ましくは30〜140℃、更に好ましくは40〜120℃である。乾燥温度が20℃未満であると乾燥時間が長くなるため生産性が低下する傾向にあり、また、160℃を超えると樹脂粒子どうしが融着して所望の粒子径を有する樹脂粉末が得られないことがある。
以上説明した方法(方法1・2・3、機械的粉砕法、乳化法)などにより得られた特定の樹脂の粉末の粒度分布が所望の分布よりも広い場合には、公知の分級機により分級してもよい。分級方式は湿式でも乾式でもよい。分級機として具体的には、エアセパレーター等の慣性分級機、サイクロン、ミクロンセパレーター等の乾式遠心分級機、遠心沈降機、液体サイクロン等の湿式遠心分級機、ふるい分け機等を用いることができる。
{特定の樹脂の粉末}
本発明の粉末焼結積層造形方法に適用される特定の樹脂の粉末の体積平均粒子径は、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜120μm、より好ましくは10〜100μmである。体積平均粒子径がこの200μmよりも大きいと、粉末焼結積層造形方法による造形時に断面一層分(スライス)の厚みが厚くなり、立体造形物の精細性を欠くことがあり、一方、体積平均粒子径が1μm未満であると、粒子の流動性が不十分であったりスライスの数が多くなり過ぎて生産性を欠く場合がある。なお、本明細書において体積平均粒子径とは、日機装(株)製マイクロトラックMT3300を用いて測定した体積平均粒子径である。
このような樹脂粉末は加熱により十分に流動化するため、SLSに用いれば、気泡の存在しない、透明性及び強度に優れた造形物を与えることができる。
<粉末焼結積層造形方法>
本発明の粉末焼結積層造形方法は、以上説明した特定の要件(一次関数における傾きおよびTが1.25のときのA)を満たす特定の樹脂を用いることを特徴としており、その操作に特に制限はない。
本発明のSLSの一例をあげれば、上記特定の樹脂の粉末を薄層状に敷き詰め、その薄層にレーザー光を走査照射して加熱することにより、前記特定の樹脂の粉末の薄層を融着・焼結させ、該焼結した薄層を順次積層することにより、3次元造形物を作製することができる。
[本発明のスクリーニング方法]
本発明は粉末焼結積層造形方法に適した特定の樹脂の粉末を用いる粉末焼結積層造形方法であるため、本発明は、粉末焼結積層造形方法に用いるのに適した樹脂のスクリーニング方法も提供する。そのスクリーニング方法は、スクリーニングの対象になる試験樹脂から、上記のような楕円柱状のペレットを製造し、上記加熱温度tで加熱して変形させ、その加熱前後のペレットの最大投影面積の比であるA、ならびにtと試験樹脂のガラス転移温度(試験樹脂が結晶性樹脂である場合は融点)との比であるTの関係から上記一次関数を求め、試験樹脂がSLSに適した樹脂であるか判定するものである。
より具体的に説明すれば、本発明のスクリーニング方法は、
試験樹脂から、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットを製造するステップ1と、該ペレットの最大投影面積a1を求めるステップ2と、該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)(結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))に対してT=t/Tg(Tm)で定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して変形させるステップ3と(Kは絶対温度を表す)、ステップ3で得られた加熱前のペレットの変形物の最大投影面積a2を求めるステップ4と、前記温度tから対応するTを算出するステップ5と、a2とa1との比A(a2/a1)を算出するステップ6と、ステップ1〜6を、前記温度tを変えて2回以上繰り返すステップ7と、前記ステップ5〜7から得られた複数のTおよび各Tに対応するAの関係から、直線回帰によりAをTの一次関数として表すステップ8と、該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上である場合には、前記試験樹脂を粉末焼結積層造形方法に用いるのに適した樹脂であると判定するステップ9とを有する。
本発明のスクリーニング方法において、上記ステップ1〜6およびステップ7において実施されるステップ1〜6は、番号が小さいステップから順に行う必要はない。たとえばステップ1および3を実施した後にステップ2、4、5および6を実施してもよいし、また、ステップ7において実施されるステップ1および3を含めて、すべてのステップ1および3を先に実施し、その後で計算に関するステップ2、4、5および6を実施してもよい。
ステップ1において楕円柱状のペレットを製造する手段に特に制限はなく、たとえば公知の押出機によって前記ペレットを製造することができる。
またステップ3における加熱の手段に特に制限はない。
ステップ7ではステップ1〜6を、加熱温度tを変えて2回以上繰り返す。これによって、1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAが3点以上求められる。ステップ7では、ステップ1〜6を2回繰り返せば十分であり、通常ステップ1〜6を繰り返す回数は10回以下である。
このような本発明のスクリーニング方法により、SLSに適した樹脂を選別することができ、本発明の粉末焼結積層造形方法は、そのような選別された樹脂を使用したSLSなのである。したがって本発明の粉末焼結積層造形方法によれば、樹脂粉末間の融着が容易に進行し、十分に流動化することで、空隙の少ない透明性に優れた造形物を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
GPC:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(東ソー(株)製HLC-8220GPC、カラム;東ソー(株)製ガードカラムHXL-H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒;テトラヒドロフラン、流速;1mL/min、サンプル濃度0.7〜0.8wt%、サンプル注入量;70μL、測定温度;40℃、検出器;RI(40℃)、標準物質;東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
NMR:超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中で1H−NMRを測定し、樹脂の共重合組成比および水素添加率を算出した。
対数粘度:ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した。
Tg:示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製、商品名:DSC6220)を用いて、日本工業規格K7121に従って補外ガラス転移温度を求めた。
体積平均粒子径:日機装(株)製マイクロトラックMT3300を用いて測定した。
最大投影面積の測定:加熱はヤマト科学製イナートオーブンDN6101を用い、窒素流速30L/min下で30分間行った。加熱前の樹脂ペレットは楕円柱形状であり、最大投影面積は、縦が楕円柱の高さで横が楕円の長径である長方形または楕円形のうち面積の大きいほうの面積とした。辺または直径等の寸法はデジタルノギスを用いて測定し少なくとも3個のペレットの加熱前後の投影面積を測定してその平均値を採用した。
[合成例1]
単量体として下記式(1a)に示す8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン100g、分子量調節剤として1−へキセン7.2g、およびトルエン200gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。
これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液0.21mL、およびメタノール変性WCl6トルエン溶液(0.025モル/L)0.86mLを加え、80℃で1時間反応させることにより開環重合体を得た。
次いで、得られた開環重合体溶液に水素添加触媒であるクロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(RuHCl(CO)[P(C6533)を0.04g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。
反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[ガラス転移温度(Tg)=436K、重量平均分子量(Mw)=6.7×104、分子量分布(Mw/Mn)=5.0、対数粘度0.45dL/g、収量90g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であった。以後、得られた開環重合水添体を樹脂1Aとする。なお、樹脂1Aは非晶性の樹脂であった。
Figure 2010214858
[合成例2]
分子量調節剤として1−へキセン3.6gを用いたこと以外は合成例1と同様にして開環重合水添体を得た[ガラス転移温度(Tg)=440K、重量平均分子量(Mw)=14.4×104、分子量分布(Mw/Mn)=5.0、対数粘度0.79dL/g、収量90g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水添体の水素添加率は99.0%以上であった。以後、得られた開環重合体水添体を樹脂2Aとする。なお、樹脂2Aは非晶性の樹脂であった。
[合成例3]
前記式(1a)で表される単量体133.5g、下記式(2a)で表される単量体16.5g、分子量調節剤として1−へキセン19.8g、およびトルエン225gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。
これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液0.34mL、およびメタノール変性WCl6トルエン溶液(0.025モル/L)1.37mLを加え、80℃で1時間反応させることにより開環共重合体を得た。
次いで、得られた開環共重合体溶液に水素添加触媒であるクロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(RuHCl(CO)[P(C6533)を0.06g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。
反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[ガラス転移温度(Tg)=399K、重量平均分子量(Mw)=5.0×104、分子量分布(Mw/Mn)=4.2、対数粘度0.43dL/g、収量90g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であり、共重合組成比は[(1a)由来の構造]/[(2a)由来の構造]=89/11(重量比)であった。以後、得られた開環共重合水添体を樹脂1Bとする。なお、樹脂1Bは非晶性の樹脂であった。
Figure 2010214858
[合成例4]
分子量調節剤として1−へキセン13.6gを用いたこと以外は合成例3と同様にして開環共重合水添体を得た[ガラス転移温度(Tg)=403K、重量平均分子量(Mw)=6.8×104、分子量分布(Mw/Mn)=5.0、対数粘度0.53dL/g、収量90g(収率90%)]。共重合組成比は[(1a)由来の構造]/[(2a)由来の構造]=(89/11)(重量比)であった。以後、得られた開環共重合水添体を樹脂2Bとする。なお、樹脂2Bは非晶性の樹脂であった。
[合成例5]
前記式(1a)で表される単量体113.2g、前記式(2a)で表される単量体1.5g、下記式(3a)で表される単量体35.3g、分子量調節剤として1−へキセン20.4g、およびトルエン225gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。
これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液0.34mL、およびメタノール変性WCl6トルエン溶液(0.025モル/L)1.39mLを加え、80℃で1時間反応させることにより開環共重合体を得た。
次いで、得られた開環共重合体溶液に水素添加反応触媒である(4−ペンチルベンゾイロキシ)カルボニル(ヒドリド)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム{RuH(OCO-Ar-CH2CH2CH2CH2CH3)(CO)[P(C6532 (式中Arはパラフェニレン基を表す)}を0.06g添加し、90℃に昇温した後、水素ガス圧を9〜10MPaとし、更に160〜165℃まで昇温して3時間反応させた。
反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[ガラス転移温度(Tg)=410K、重量平均分子量(Mw)=3.8×104、分子量分布(Mw/Mn)=5.1、対数粘度0.36dL/g、収量90g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であり、共重合組成比は[(1a)由来の構造]/[(2a)由来の構造]/[(3a)由来の構造]=75.3/23.6/1.1(重量比)であった。以後、得られた開環共重合体水添体を樹脂1Cとする。なお、樹脂1Cは非晶性の樹脂であった。
Figure 2010214858
[合成例6]
分子量調節剤として1−へキセン7.6gを用いたこと以外は合成例5と同様にして開環共重合水添体を得た[ガラス転移温度(Tg)=417K、重量平均分子量(Mw)=9.4×104、分子量分布(Mw/Mn)=5.0、対数粘度0.64dL/g、収量90g(収率90%)]。共重合組成比は[(1a)由来の構造]/[(2a)由来の構造]/[(3a)由来の構造]=(75.5/23.5/1.0)(重量比)であった。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であった。以後、得られた開環共重合水添体を樹脂2Cとする。なお、樹脂2Cは非晶性の樹脂であった。
[実施例1]
合成例1で得た樹脂1A(ガラス転移温度は436K)を二軸押し出し機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融させ、ペレット状の重合体を得た。シリンダー温度は280℃、軸回転速度は100rpm、押出し速度は10〜20kg/hrであった。得られたペレットの外観は透明であり、楕円柱状の形状をしていた。尚、加熱前ペレットの寸法は、楕円の長径=2.96mm、楕円の短径=2.77mm、楕円柱の高さ=3.07mmであり、楕円柱を楕円断面部を真上から見た投影形状は楕円なので投影面積は楕円の面積=(2.96/2)×(2.77/2)×π=6.44mm2である。一方、楕円柱の側面柱部を真上から見た場合の投影形状は楕円部長径と楕円柱高さとからなる長方形なので、その場合の投影面積は2.96×3.07=9.09mm2である。従ってこのペレットの最大投影面積a1は9.09 mm2である。このようにして求めた加熱前ペレットの最大投影面積は下表1の通りであった。
Figure 2010214858
このペレットをオーブンを用いて513K(T=513K/436K=1.18)、533K(T=1.22)または553K(T=1.27)で30分間加熱したところ、ペレットは楕円板の形状に変形した。513Kの加熱を受けたペレットは長径=3.82mm、短径=3.21mmの楕円板に変形したため、この楕円板状樹脂の投影面積a2は(3.82/2)×(3.21/2)×π=9.63mm2であった。従ってA=a2/a1=1.06である。同様にして3粒のペレットを評価してその平均値を算出すると1点目のデータ(T,A)=(1.18, 1.07)が得られた。同様にして加熱後の楕円の長径および短径、投影面積を求めたところ上記表1の通りであった。533K、553Kで加熱したペレットについても同様にして、(T,A)を求めた。結果は表1に示されている。
以上の結果よりTとA(a2/a1)の関係について(T, A)=(1.18,1.07)、(1.22,1.26)、(1.27,1.83)というデータが得られた。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=8.28T−8.78(相関係数r=0.96)
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.570である。
この樹脂(樹脂1A)を凍結粉砕機により体積平均粒子径49μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
本試験では、粉末の自重のみの荷重において粉末が熱で融解し広がり、他の粉末と融着する事で均一で透明な融着体を形成することができた。従って本試験で使用した樹脂粉末をSLSに用いれば、気泡や不均一さに基づく欠陥のない任意の形状の一体の造形物を得ることができる。
[実施例2]
合成例3で得た樹脂1B(ガラス転移温度は399K)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて514K、534K、554Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.29, 1.54)、(1.34, 1.94)、(1.39, 2.22)というデータが得られた(下表2参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=6.70T−7.07(相関係数r=0.99)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.295である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径46μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例3]
合成例5で得た樹脂1C(ガラス転移温度は410K)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて514K、534K、554Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.25, 1.87)、(1.30, 2.40)、(1.35,2.69)というデータが得られた(下表3参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=8.38T−8.59(相関係数r=0.99)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.885である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例4]
日本ゼオン(株)製のZEONEX 480R(ガラス転移温度は412K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて513K, 533K, 553Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.24,1.13)、(1.29,1.59)、(1.34,2.03)というデータが得られた(下表4参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=9.32T−10.46(相関係数r=0.99)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.190である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例5]
日本ゼオン(株)製のZEONEX E48R(ガラス転移温度は413K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて513K, 533K, 553Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.24,1.20)、(1.29,1.56)、(1.34,1.97)というデータが得られた(下表5参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=7.95T−8.68(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.258である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例6]
日本ゼオン(株)製のZEONEX 330R(ガラス転移温度は399K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて497K、513K, 553Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.25,1.07)、(1.29,1.84)、(1.39,3.07)というデータが得られた(下表6参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=13.86T−16.12(相関係数r=0.99)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.205である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例7]
日本ゼオン(株)製のZEONEX 340R(ガラス転移温度は397K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて497K、513K, 533Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.25,1.07)、(1.29,2.00)、(1.34,3.01)というデータが得られた(下表7参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=21.28T−25.55(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.050である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例8]
日本ゼオン(株)製のZEONOR 1420R(ガラス転移温度は412K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて497K、513K, 533Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.21,1.02)、(1.25,1.29)、(1.29,1.56)というデータが得られた(下表8参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=6.17T−6.41(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.303である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例9]
三井化学(株)製のAPEL 5014DP(ガラス転移温度は408K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて513K, 533K,553Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.26,1.82)、(1.31,2.21)、(1.36,2.61)というデータが得られた(下表9参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=8.10T−8.37(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.755である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[実施例10]
帝人化成(株)製のパンライトAD5503(ガラス転移温度は417K)を用いた事以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて513K, 533K,553Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.23,3.66)、(1.28,3.90)、(1.33,4.14)というデータが得られた(下表10参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=5.00T−2.49(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は3.760である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果透明であった。
[比較例1]
合成例2で得た樹脂2A(ガラス転移温度は440K)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて515K, 535K, 555Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.17,0.89)、(1.22, 1.00)、(1.26, 1.10)というデータが得られた(下表11参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=2.30T−1.80(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.075である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径50μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果、多数の気泡を含有しており白濁していた。
[比較例2]
合成例4で得た樹脂2B(ガラス転移温度は403K)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し変形させて加熱前後の最大投影面積を求め、オーブンを用いて515K, 535K, 555Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.28,1.09)、(1.33, 1.34)、(1.38, 1.59)というデータが得られた(下表12参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=5.00T−5.30(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は0.950である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径49μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果、透明感はあるものの多数の気泡を含有しており白濁していた。
[比較例3]
合成例6で得た樹脂2Cを用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを作成し、オーブンを用いて515K, 535K, 555Kで加熱し変形させて加熱前後のペレットの最大投影面積を求め、(T, A)=(1.24, 1.00)、(1.28, 1.20)、(1.33, 1.39)というデータが得られた(下表13参照)。これを最小二乗法により直線回帰したところ、得られた一次関数は以下の通りであった。
A=3.90T−3.80(相関係数r=1.00)
Figure 2010214858
前記一次関数において、T=1.25におけるA値は1.075である。
この樹脂を凍結粉砕機により体積平均粒子径47μmに粉砕後、得られた粉末をガラス瓶に入れTg+70℃の温度にて30分間加熱処理し、粉末融着性の外観試験を行った結果、透明感はあるものの多数の気泡を含有しており白濁していた。
以上の結果を下記表14にまとめて示す。
Figure 2010214858
以上の結果から、1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAの値のデータから直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、該一次関数の傾きが5.0以上であり、かつ該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上である樹脂から得られる粉末の流動化能力が優れていることが判明した。このような樹脂を用いたSLSにより、透明性および強度に優れた造形物が得られることが期待される。

Claims (6)

  1. 特定の樹脂の粉末を用いる粉末焼結積層造形方法であって、
    前記特定の樹脂が、
    前記樹脂を、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットとし、
    該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)(結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))に対してT=t/Tg(Tm)で定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して得られる、加熱前のペレットが変形した物の最大投影面積をa2とし(Kは絶対温度を表す)、加熱前のペレットの最大投影面積をa1とし、a2とa1との比(a2/a1)をAとし、
    1.10≦T≦1.40の範囲において、任意のTに対応するAの値を3点以上求め、得られたAおよびTの関係から直線回帰によりAをTの一次関数として表した場合に、 該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上であることを特徴とする、特定の樹脂の粉末を用いる粉末焼結積層造形方法。
  2. 前記特定の樹脂が、非晶性樹脂または透明性を有する半結晶性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の粉末焼結積層造形方法。
  3. 前記特定の樹脂のガラス転移温度(結晶性樹脂の場合は融点)が100〜200℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末焼結積層造形方法。
  4. 前記特定の樹脂の粉末の体積平均粒子径が1〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末焼結積層造形方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の粉末焼結積層造形方法によって造形して得られる造形物。
  6. 粉末焼結積層造形方法に用いるのに適した樹脂のスクリーニング方法であって、
    試験樹脂から、楕円の長径が2〜5mm、短径が1〜4mm、高さが1〜5mmである楕円柱状のペレットを製造するステップ1と、
    該ペレットの最大投影面積a1を求めるステップ2と、
    該ペレットを、前記樹脂のガラス転移温度Tg(K)(結晶性樹脂の場合は融点Tm(K))に対してT=t/Tg(Tm)で定義されるTが1.10≦T≦1.40の範囲になる温度t(K)で30分加熱して変形させるステップ3と(Kは絶対温度を表す)、
    ステップ3で得られた加熱前のペレットの変形物の最大投影面積a2を求めるステップ4と、
    前記温度tから対応するTを算出するステップ5と、
    a2とa1との比A(a2/a1)を算出するステップ6と、
    ステップ1〜6を、前記温度tを変えて2回以上繰り返すステップ7と、
    前記ステップ5〜7から得られた複数のTおよび各Tに対応するAの関係から、直線回帰によりAをTの一次関数として表すステップ8と、
    該一次関数の傾きが5.0以上であり、該一次関数においてTが1.25のときにAが1.05以上である場合には、前記試験樹脂を粉末焼結積層造形方法に用いるのに適した樹脂であると判定するステップ9と
    を有することを特徴とする、粉末焼結積層造形方法に用いるのに適した樹脂のスクリーニング方法。
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