JP2010208898A - 窒化珪素基板及びその製造方法並びにそれを使用した回路基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリーンシートを複数枚積層して焼成する製造方法を用いた場合に、信頼性の高い窒化珪素基板を得る。
【解決手段】窒化ホウ素からなる分離材を介して複数枚のグリーンシートを積層してから焼成することによって複数枚の窒化珪素焼結体を同時に得た後に当該窒化珪素焼結体を分離し、切断することによって得られた、Siを主成分とする窒化珪素基板であって、算術平均粗さが0.3μm以上であり、基板表面の残留BNに由来するBの蛍光X線強度とSiの蛍光X線強度の比(B/Si)を5×10−5〜2×10−3とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、パワー素子モジュール等の基板に用いられる窒化珪素基板の製造方法、及びこの製造方法によって製造される窒化珪素基板、これを用いた回路基板に関する。
近年、各種のセラミックス(焼結体)基板が半導体モジュール用基板や構造用部材として広く用いられている。例えば、大電力で発熱量の大きな半導体素子を実装する半導体モジュール用基板としては、機械的強度の高さ、熱伝導率の高さ、電気的絶縁性の高さが要求される。窒化アルミニウムや窒化珪素等の窒化物焼結体はこれらの特性に優れており、例えば焼結体の窒化物基板が広く用いられている。
窒化物基板の元となる窒化物焼結体は、窒化物(AlN、Si等)粉末を主成分としたグリーンシートを高温で窒素雰囲気中で焼成することによって作成される。この際、大面積の窒化物焼結体を製造し、この焼結体から所望の大きさをもつ上記の基板を複数枚切り出すという製造方法が一般的である。この焼成は電気炉等を用いて行われるが、製造コストを低減するために、複数の窒化物焼結体を焼成によって同時に得るという手法が用いられる。
図2は、この製造方法における特に焼成工程前後の状況を示す工程断面図である。図2(a)においては、窒化物焼結体とされるべきグリーンシート11が、窒化ホウ素(BN)等からなる分離剤12を塗布した上で積層される。このため、複数のグリーンシート11が薄い分離材12を介して積層された形態で固定される。従って、図2(b)に示されるように、この積層体を電気炉中に入れ、焼成すれば、図2(c)に示されるように、全てのグリーンシート11が窒化物焼結体13となる。この際、BNによって各グリーンシート11(窒化物焼結体13)は分離されるため、これらが付着することはなく、かつこれらが焼成される際に悪影響を及ぼさない。その後、図2(d)に示されるように、分離材12の層から各窒化物焼結体13を分離することができる。
従って、得られた窒化物焼結体13の表面には薄くなった分離材12が残されているが、ラッピング、あるいはホーニング等の研削処理を用いてこれを除去すればよい。窒化物焼結体13からは複数の窒化物基板が切り出され、窒化物基板の表面には、例えばろう材等を用いて銅板(金属回路板、放熱板)が接合されるが、その際に分離材12(BN)が表面に残っていると、この接合強度に悪影響を及ぼす。このため、熱サイクルによって銅板の剥離が発生することがある。従って、この悪影響が出なくなる程度まで分離材12の除去を行う必要がある。
これに対して、特許文献1には、窒化アルミニウム焼結体におけるBN除去の度合いをX線回折で評価する技術が記載されている。ここでは、表面粗さや、X線回折におけるBNに対応する回折線強度と窒化アルミニウムに対応する回折線強度との比率の上限値等を規定することにより、その後のBNの悪影響がない条件が示された。
また、特許文献2には、窒化アルミニウム焼結体、窒化珪素焼結体において、同様に蛍光X線スペクトルにおけるBとAl又はSiとの強度比率の上限値を規定することによって、同様にその後のBNの悪影響がない条件が示された。
こうした条件を用いて、銅板を接合した後でもその剥離が発生しにくい窒化物基板を得ることができた。
特開平6−53624号公報 特開平10−67586号公報
しかしながら、窒化アルミニウム焼結体の場合と比べて、特に窒化珪素焼結体表面に残った分離材(BN)を除去することは困難である。図3(a)はホーニング処理後の窒化珪素焼結体の断面構造の模式図であり、図3(b)は、同じく窒化アルミニウム焼結体の断面構造の模式図である。窒化珪素焼結体は窒化珪素粒子21が焼結して構成され、窒化アルミニウム焼結体は窒化アルミニウム粒子31が焼結して構成される。これらの表面においては、凹凸が存在するため、大部分のBNがホーニング処理によって除去された後でも、この凹部の中にBN40が残る。
ここで、窒化珪素焼結体を構成する窒化珪素粒子21は、窒化アルニミウム粒子31と比べて細長い形状をもつ。従って、窒化アルミニウム焼結体の表面が比較的平坦となるのに対して、窒化珪素焼結体の表面粗さは大きい。窒化珪素粒子21の平均粒子径を小さくすればこの表面粗さを小さくすることができるが、その場合には、結晶粒界相が多くなりこの窒化珪素焼結体の熱伝導率が低下するため、半導体モジュールの基板として用いる場合には好ましくない。従って、窒化アルミニウムの場合と比較して、窒化珪素焼結体の表面の凹部に残ったBNの除去は困難である。
こうした表面粗さの大きな窒化珪素焼結体表面のBN残留量を減らすためには、積層前に塗布するBN量を減らす、すなわち、BN塗布量を減らすことと、分離後のホーニング処理時間や回数等を長くしてBNの除去能力を高めるという2種類の方法がある。
前者の方法を用いた場合、焼成時に窒化珪素焼結体間の反応が生じやすくなる。従って、BN塗布量が不充分である場合、BN層が薄い箇所において窒化珪素焼結体間の相互作用によりガラス層が濃縮された部分が表面に形成されやすくなり、この部分が窒化珪素焼結体における欠陥となる。そのため、BN塗布量が少ないと曲げ強度の低下が発生する。
従って、曲げ強度の大きな窒化珪素焼結体を得るためには、BN塗布量は充分であることが必要となるが、前記の通り、このBNを後で悪影響が出ない程度まで除去することが必要である。すなわち、ホーニング処理を充分に行うことが不可欠となる。ところが、ホーニング処理は窒化珪素焼結体全体に対して行われるため、BNだけでなく、窒化珪素焼結体自身もダメージを受ける。この際、特に窒化珪素の粒界にはダメージが入りやすく、これに起因して、曲げ強度が低下する。
従って、上記の方法で窒化珪素焼結体を製造した場合には、BNの残留量を減らすと、曲げ強度が低下するという問題があった。従って、グリーンシートを複数枚積層して焼成する製造方法を用いた場合には、信頼性の高い窒化珪素基板を得ることは困難であった。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1に記載の発明の要旨は、窒化ホウ素からなる分離材を介して複数枚のグリーンシートを積層してから焼成することによって複数枚の窒化珪素焼結体を同時に得た後に当該窒化珪素焼結体を分離することによって得られた、Siを主成分とする窒化珪素基板であって、算術平均粗さが0.3μm以上であり、基板表面の残留BNに由来するBの蛍光X線強度とSiの蛍光X線強度の比(B/Si)が5×10−5〜2×10−3であることを特徴とする窒化珪素基板に存する。
請求項2に記載の発明の要旨は、窒化ホウ素からなる分離材を介して複数枚のグリーンシートを積層してから焼成した後に分離することによって複数枚の窒化珪素焼結体を得て、該窒化珪素焼結体から窒化珪素基板を得る、窒化珪素基板の製造方法であって、分離された窒化珪素焼結体表面を機械的に研削する研削処理工程とを具備し、ホウ素のシリコンに対する蛍光X線強度比を5×10−5〜2×10−3の範囲、かつ窒化珪素焼結体表面の算術平均粗さを0.3μm以上とするように前記研削処理工程を行うことを特徴とする窒化珪素基板の製造方法に存する。
請求項3に記載の発明の要旨は、前記研削処理工程において、ホーニング処理が行われることを特徴とする請求項2に記載の窒化珪素基板の製造方法に存する。
請求項4に記載の発明の要旨は、前記ホーニング処理において、アルミナ砥粒が用いられることを特徴とする請求項3に記載の窒化珪素基板の製造方法に存する。
請求項5に記載の発明の要旨は、請求項1に記載の窒化珪素基板と、該窒化珪素基板の少なくとも一方の面に接合された銅板と、を具備することを特徴とする回路基板に存する。
請求項1乃至4に記載の発明によれば、複数枚のグリーンシートを積層してから焼成することによって複数枚の窒化珪素焼結体を得た後に窒化珪素焼結体を分離し、切断することによって窒化珪素基板を得た場合でも、信頼性の高い高熱伝導の窒化珪素基板を得ることができる。
請求項5の発明によれば、信頼性の高い窒化珪素回路基板を低コストで得ることができる。
本発明の実施の形態に係る製造方法を示すフロー図である。 従来の窒化物焼結体の製造方法の一例を示す工程断面図である。 窒化珪素焼結体(a)と、窒化アルミニウム焼結体(b)の表面の微細構造の模式図である。
以下、本発明について具体的な実施形態を示しながら説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態は、上述したパワー半導体モジュール等に使用される絶縁性セラミックス基板としての窒化珪素基板であって、Siを主成分とする算術平均粗さが0.3 μm以上の窒化珪素基板であり、基板表面の残留BNに由来するBの蛍光X線強度とSiの蛍光X線強度の比(B/Si)が5×10−5〜2×10−3である。
ここで、B/Si蛍光X線強度比は、XRF(蛍光X線分析:X−ray Fluorescence Analysis)を用いて、窒化珪素基板表面における特にホウ素(B)とシリコン(Si)の組成分析を行い、XRFの測定結果からB/Si蛍光X線強度比を求めた。これを所定の範囲とするという点では、例えば特許文献2に記載の基板と同様である。しかしながら、この実施の形態に係る窒化珪素基板においては、表面粗さRaについて下限値を設定し、更にB/Si蛍光X線強度比については、上限だけではなく下限も設けたことが特徴である。ここで、蛍光X線としては、BのKα線(エネルギー0.183keV)、SiのKα線(エネルギー 1.74keV)が対象となり、これらの強度比がB/Si蛍光X線強度比である。
また、表面分析においては、窒化珪素焼結体表面の粗さも、例えば触針式の表面粗さ計を用いて測定される。この表面粗さは、例えばその算術平均粗さRa、すなわち、表面高さf(x)の平均値からの偏差の絶対値のサンプル長Lにおける算術平均であり、次式(I)で表される量を用いることができる。
Figure 2010208898
上記のRaの範囲における下限値は0.3μmとする。すなわち、Raがこれ以上である粗さをもつ窒化珪素焼結体を得るように研削処理が行われる。ここで、Raはグリーンシート11中の窒化珪素粒子の粒子径、及び焼成条件により決まる窒化珪素焼結体表面の平均粒子径に依存することは明らかである。しかしながら、例えば特開2006−96661号公報に記載されるように、この平均粒子径が小さい場合には熱伝導率が低くなるため、基板として用いる場合には平均長軸径が1μm以上の窒化珪素粒子が用いられる。従って、少なくとも焼成直後における窒化珪素焼結体におけるRaは例えば1.5μm以上と、大きくすることが好ましい。すなわち、表面粗さの大きな窒化珪素焼結体(窒化珪素基板)とすることが好ましい。
上記のB/Si蛍光X線強度比の範囲における上限値は、2000ppm(2000×10−6)とする。この値は特許文献2に記載の値(50×10−6)よりも高い。この理由は、表面粗さの大きな、すなわちRaが前記の範囲である窒化珪素焼結体の表面においては、凹部の深いところに入り込んだBNは除去しにくい一方で、ろう付け等における接合に対する悪影響も少ないためである。従って、特にRa≧0.3μmの場合において、この上限値を高くすることができる。B/Si蛍光X線強度比がこの上限値よりも大きい場合には、この窒化珪素焼結体(基板)にろう付け等によって接合を行った場合に、残留BNによる接合不良が発生する。
上記のB/Si蛍光X線強度比の範囲における下限値は、窒化珪素焼結体の曲げ強度の低下から求まる。研削処理においては、例えばホーニングの際の圧力を高くする、あるいは処理時間を長くすることによってBNの残存量を少なくすることができる。しかしながら、ホーニング処理によってBNだけでなく窒化珪素焼結体自身もダメージを受ける。特に、窒化珪素粒界がダメージを受けやすくなり、その結果として曲げ強度が低くなる。ホーニング処理だけでなく、他の研削処理が行われた場合も同様である。従って、B/Si蛍光X線強度比を、このダメージの度合いを表す指針としても用いることができる。また、分離材塗布においては、例えばBNの塗布時間を短くすることによっても、BNの残存量を少なくすることができる。しかしながら、焼結時に基板間の相互作用によってガラス層が濃縮された部分が表面に形成されやすくなり、この部分が窒化珪素焼結体における欠陥となる。そのため、BN塗布量が少ないと曲げ強度の低くなる。従って、B/Si蛍光X線強度比を、この欠陥生成の度合いを表す指針としても用いることができる。このため、B/Si蛍光X線強度比の下限は50ppm(50×10−6)とする。すなわち、BNを分離材12として用いた場合、B/Si蛍光X線強度比がこの値未満になるまで研削処理を行うと、窒化珪素焼結体の曲げ強度が低下する。
上記のB/Si蛍光X線強度比の範囲は、特許文献2に記載の範囲とは大きく異なる。これは、前記の通り、この実施の形態に係る窒化珪素基板では、表面粗さRaが0.3μm以上である、すなわち、粗い表面を具備した窒化珪素焼結体である。Raが大きな窒化珪素焼結体を対象とするのは、平均粒子径が大きく熱伝導率が高い窒化珪素焼結体を対象とするためである。この点は窒化珪素焼結体に特有であり、特許文献2に主に記載された窒化アルミニウムの場合とは状況が大きく異なる。
具体的には、B/Si蛍光X線強度比を上記の範囲とすることによって、曲げ強度が750MPa以上と高く、かつこの窒化珪素基板に対してろう付け等を行った場合にも接合不良が発生しない。また、この窒化珪素基板の熱伝導率は80W/(m・K)以上と高い。すなわち、信頼性が高く、半導体モジュールの基板として好適な窒化珪素焼結体となる。
次に、本実施形態にかかる窒化珪素基板の製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る窒化珪素基板の製造方法を示すフロー図である。この製造方法においては、図2に示された従来の窒化物焼結体の製造方法が利用される。ここでは、まず、窒化珪素焼結体とされるグリーンシート11を多数枚製造する(S1)。このグリーンシート11表面に分離材12(BN)を塗布して、図2(a)に示されるように、所定の枚数だけ順次積層する(S2)。この積層体に対して、図2(b)に示されるように電気炉中で焼成を行う(S3)。これにより、図2(c)に示されるように、グリーンシート11が窒化珪素焼結体13となった積層体が得られる。その後、図2(d)に示されるように、1枚ずつこの窒化珪素焼結体13を分離して取り出す(S4)が、この際にその表面には薄い分離材12の層が残っている。この分離材12を除去するため、この窒化珪素焼結体13に対して、ホーニング等の研削処理を行う(S5)。その後、窒化珪素焼結体を切断し、所望の大きさ、形状の窒化珪素基板を得る(S6)。
なお、得られた窒化珪素基板の表面には、その後でろう付け等によって金属回路板や放熱板となる銅板が接合される。
ここで、グリーンシート製造工程(S1)において、グリーンシート11は、窒化珪素粉末を主成分とし、焼結助剤となる酸化マグネシウム粉末等を混合して、ポリビニルブチラール樹脂等からなる有機バインダ、及びジ−n−ブチルフタレート等からなる可塑剤中に分散させたスラリーをシート状に成形することによって得られる。その厚さは、100〜1000μm程度とすることができる。主成分となる窒化珪素粉末における平均粒子径は0.3μm以上が好ましい。なお、グリーンシート11は焼成工程(S4)後に窒化珪素焼結体13となるが、窒化珪素焼結体が得られる限りにおいて、焼結助剤、有機バインダ、可塑剤の材料を適宜選択することができ、場合によってはこれらのうちのいずれか、あるいは全てを省略することもできる。
分離材塗布・積層工程(S2)において、分離材12は窒化ホウ素(BN)が用いられる。BNは常温で固体(粉末)の物質であるため、これを直接グリーンシート11の表面に塗布してもよく、アルコールや水等の溶媒中に溶かしてスラリー化したものを塗布、乾燥させてもよい。BNは積層されたグリーンシート11同士の反応が生じない程度の充分な厚さとなるように塗布する。また、グリーンシート11の積層枚数は任意であり、数枚から数十枚とすることができる。この所定の枚数を積層した後で、例えば500〜900℃の温度で乾燥、脱脂することによって、安定した積層体とすることができる。
焼成工程(S3)においては、窒化珪素焼結体を得るための一般的な条件を用いることができる。すなわち、窒素雰囲気中で1600〜2000℃程度の温度で、電気炉中でこの積層体に対して焼成を行う。
分離工程(S4)において、得られた窒化珪素焼結体13を1枚ずつ分離する。この際、図2(d)に示されるように、分離材12(BN)は分断されるが、各窒化珪素焼結体13の表面には薄くなった分離材12が残されている。
研削処理工程(S5)において、この分離材12を除去するために、窒化珪素焼結体13の表面に対して研削処理を行う。研削処理としては、ラッピングやホーニング等を行うことができる。ホーニング処理としては、アルミナ砥粒を窒化珪素焼結体表面に所定の圧力で所定の時間吹き付ける処理を行うことができる。この場合、アルミナ砥粒や除去されたBN粒子を除去するために、この処理後に超音波洗浄を行うことが好ましい。
その後の加工工程(S6)では、窒化珪素焼結体が機械的に切断加工され、所望の大きさ、形状の窒化珪素基板とされる。この際、1枚の窒化珪素焼結体から複数の窒化珪素基板を得ることもできる。
以上の工程において、分離材塗布・積層工程(S2)と研削処理工程(S5)の条件を調整することによって、B/Si蛍光X線強度比とRaを所定の範囲とした。
なお、XRFや粗さ測定は非破壊分析であり、これらの分析処理を行った後で再び研削処理工程(S5)を行うことができるため、B/Si蛍光X線強度比やRaが所望の範囲となるまで、研削処理工程(S5)を適宜繰り返すことが可能である。
(実施例)
実際に上記の製造方法における分離材(BN)塗布量やホーニング条件を変えて窒化珪素焼結体を製造し、B/Si蛍光X線強度比と曲げ強度を測定した。また、これを基板として、これに0.5mm厚の銅板を800℃のろう付け温度で真空中で接合して回路基板とした。その接合部における接合ボイド率を測定し、残留したBNの影響を調べた。また、この回路基板に対して熱サイクル試験を行い、金属回路板や放熱板の剥離が発生するか否かを調べた。
ここで、グリーンシートとしては、平均粒子径を変化させたα型窒化珪素粉末を主成分とし、酸化マグネシウム及び酸化イットリウムからなる焼結助剤、有機バインダ、及び可塑剤を用いた。
分離材としては窒化ホウ素(BN)粉末を用い、その量(塗布時間)を変化させた。また、図2(a)における積層層数は5層とした。焼結工程は1800℃で5時間、窒素雰囲気で行った。これにより、厚さ0.32mmの窒化珪素焼結体が5枚同時に得られた。
その後、各窒化珪素焼結体を分離し、その表面の残留BN層をホーニング処理によって除去した。ここで、ホーニング処理は時間を5sと一定とし圧力を変化させてアルミナ砥粒を照射することによって行った。
ホーニング処理後の窒化珪素焼結体表面の表面粗さRaは表面粗さ計(東京精密製 表面粗さ形状測定機 サーフコム130A)を用いて測定した。B/Si蛍光X線強度比は、XRF(リガク製 蛍光X線分析装置 ZSXPrimusII)を用いて測定した。
曲げ強度は、上記の窒化珪素焼結体を幅4mmに加工し、支持ロール間距離7mmである3点曲げ治具にセットし、JISR1601に準拠した方法で求めた。ここでは、クロスヘッド速度0.5mm/分で加重を印加して、破断時に印加された加重から算出した。この曲げ強度については、750MPa以上のものを合格とした。
熱伝導率は、上記の窒化珪素焼結体を5mm角に加工し、JISR1611に準拠したレーザーフラッシュ法で求めた。この熱伝導率については、80W/m・K以上のものを合格とした。
接合ボイド率は、超音波探傷法により、窒化珪素基板と銅板の接合界面を調べ、接合がなされていない箇所の面積比率を調べた。この面積比率が5%以下のものを合格とした。
熱サイクル試験は、上記の回路基板に対して、−55℃で20分、室温で10分、150℃で20分とする昇温/降温サイクルを3000回印加することにより行い、このサイクル後において銅板と窒化珪素焼結体との間に剥離が発生したか否かを調べた。剥離が全く確認できなかったものを合格とした。なお、曲げ強度もしくは熱伝導率が不合格のものは回路基板は作製せず、接合ボイド率の評価及び熱サイクル試験を行っていない。
実施例1〜7においては、ホーニング条件、BN塗布時間、すなわち、BN量を制御し、B/Si蛍光X線強度比が上記の範囲になるべく調整した。また、原料となる窒化珪素粉末の平均粒子径を選択し、表面粗さRaが上記の範囲になるようにした。ここで、実施例1と2、3と4とはそれぞれ同一条件であるが、試料間のばらつきによってB/Si蛍光X線強度比及び表面粗さRaは異なっている。また、実施例5、7ではBN塗布時間を長くし、実施例6ではBN塗布時間を短くかつホーニング時間を長くした。
比較例1ではBN塗布時間を短くすることにより、比較例2ではホーニング圧力を高くすることにより、それぞれB/Si蛍光X線強度比を上記の範囲よりも小さくした。比較例3ではBN塗布時間を長くすることにより、比較例4ではホーニング圧力を小さくすることにより、それぞれB/Si蛍光X線強度比を上記の範囲よりも大きくした。比較例5では原料となる窒化珪素粉末の平均粒子径を小さくすることにより、表面粗さを小さくした。
実施例1〜7、比較例1〜5における上記の条件、B/Si蛍光X線強度比、窒化珪素焼結体の表面粗さRa、曲げ強度、熱伝導率、接合ボイド率、熱サイクル試験結果について表1に示す。
Figure 2010208898
この結果より、B/Si蛍光X線強度が50ppm〜2000ppm、表面粗さRaが0.3μm以上の範囲である実施例1〜7において、750MPa以上の高い曲げ強度、80W/m・K以上の高い熱伝導率、5%以下の小さな接合ボイド率、及び3000回の熱サイクル印加後においても銅板との間の剥離を生じない、信頼性の高い窒化珪素焼結体が得られることが確認された。
これに対して、B/Si蛍光X線強度が50ppmよりも小さい比較例1、2は曲げ強度が低下した。この原因は、前記の通り、窒化珪素の粒界においてホーニング処理によるダメージが発生したためである。一方、B/Si蛍光X線強度が2000ppmよりも大きい比較例3、4は曲げ強度は充分であるものの、接合ボイド率が高いために、熱サイクル試験後に剥離が生じた。また、表面粗さRaが0.3μm未満である比較例5は、窒化珪素の結晶粒子径が小さいため、熱伝導率が低下した。
なお、上記の例では、研削処理工程においてホーニングを行った例について記載したが、窒化珪素焼結体表面のBN層を除去できる限りにおいて、他の機械的研磨手段を用いることもできる。この場合においても、本願発明が同様に適用されることは明らかである。
11 グリーンシート
12、40 分離材(BN)
13 窒化珪素焼結体
21 窒化珪素粒子
31 窒化アルミニウム粒子

Claims (5)

  1. 窒化ホウ素からなる分離材を介して複数枚のグリーンシートを積層してから焼成することによって複数枚の窒化珪素焼結体を同時に得た後に当該窒化珪素焼結体を分離することによって得られた、Siを主成分とする窒化珪素基板であって、
    算術平均粗さが0.3μm以上であり、基板表面の残留BNに由来するBの蛍光X線強度とSiの蛍光X線強度の比(B/Si)が5×10−5〜2×10−3であることを特徴とする窒化珪素基板。
  2. 窒化ホウ素からなる分離材を介して複数枚のグリーンシートを積層してから焼成した後に分離することによって複数枚の窒化珪素焼結体を得て、該窒化珪素焼結体から窒化珪素基板を得る、窒化珪素基板の製造方法であって、分離された窒化珪素焼結体表面を機械的に研削する研削処理工程とを具備し、ホウ素のシリコンに対する蛍光X線強度比を5×10−5〜2×10−3の範囲、かつ窒化珪素焼結体表面の算術平均粗さを0.3μm以上とするように前記研削処理工程を行うことを特徴とする窒化珪素基板の製造方法。
  3. 前記研削処理工程において、ホーニング処理が行われることを特徴とする請求項2に記載の窒化珪素基板の製造方法。
  4. 前記ホーニング処理において、アルミナ砥粒が用いられることを特徴とする請求項3に記載の窒化珪素基板の製造方法。
  5. 請求項1に記載の窒化珪素基板と、該窒化珪素基板の少なくとも一方の面に接合された銅板と、を具備することを特徴とする回路基板。
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