JP2010207180A - ノロウイルスrnaの精製用反応容器および精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な操作で、迅速多検体処理可能なノロウイルスRNAの精製方法を提供すること。
【解決手段】担体及び反応空間からなる反応容器であって、担体表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位を含む高分子物質を有し、かつノロウイルスゲノムに高度に保存された領域の遺伝子配列を含む核酸プライマーが固定化されたノロウイルスRNAの精製用反応容器で、好ましくは核酸プライマーがノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム1(ORF1)領域の3´末端約90bp及びオープンリーディングフレーム2(ORF2)領域の5´末端約20bpを含む領域において保存されている塩基配列に基づいて設定されているノロウイルスRNAの精製用反応容器。
【選択図】なし

Description

本発明はノロウイルスRNAを精製することを目的とする反応容器及び精製方法に関する。
RNAウイルスの一種であるノロウイルス(Norovirus)はヒトカリシウイルス科に属するウイルスであり、人に対し急性胃腸炎を起こすことが知られている。カキなどの貝類による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。ノロウイルスによる集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。
また、ノロウイルスは実験室的に増殖させる方法が未だ見つかっていないため、検査や治療に対する研究が他のウイルスと比べて格段に遅れている。このためノロウイルスの検査は、公衆衛生上および食品の品質管理上大きな課題となっている。現状では一般的に糞便を検体に用いたELISA法よる検出及びRT−PCR法による検出が多く用いられている(非特許文献1参照)。特に、高感度かつ迅速な検査方法としてRT−PCR法は注目されており、感染拡大するノロウイルスの遺伝子型の判定に用いることができる利点がある。近年では、ノロウイルスの遺伝子において高度に保存された領域が見出され、この領域を利用したノロウイルスの検出法が一般的な方法として広まっている。(非特許文献2、3参照)
しかしRT−PCRは細胞収集、生体サンプルからRNA抽出と精製、逆転写反応、PCR及び遺伝子検出など操作が非常に煩雑で、各工程におけるサンプルロスやコンタミネーションなどの問題点を有し、安定した遺伝子検出を行うには研究者の技術の熟練を要するのが現状である。とくに、完全な分子の精製はRT−PCRの成功を決定する第一のステップであり、これには細胞及び組織中のリボヌクレアーゼを除去または不活性化するための作業が要求される。
これらの問題を解決するため、自動RNA抽出装置、RNA精製キット等の製品開発が盛んに行なわれている。例えば、イオン交換樹脂、ガラスフィルター、ガラスビーズあるいはタンパク凝集作用を有する試薬等が使用されている。しかし、いかなる製品を用いても時間の懸かる困難な処理操作ステップが要求されるため、多検体の処理に対して困難を強いられる。さらに、感染の危険性がある試料をもちいるため精製方法はクリーンベンチ内などの隔離された場所で取り扱われる必要があるが、上記に示した方法では遠心分離機などの装置を必要とするために隔離された場所で利用することができない。
食品衛生検査指針 微生物編 (日本食品衛生協会編) Kageyama, T et al.: Broadly reactive and highly sensitive assay for Norwalk-like viruses based on real-time quantitative reverse transcription-PCR. J Clin Microbiol41: 1548-1557 (2003) ノロウイルスの検出法 食安監発第1105001号
本発明の目的は、安全且つ簡便な操作で、迅速に多検体処理可能なノロウイルスRNAの精製を目的とする反応容器および精製方法を提供することである。
本発明者らは、ノロウイルスゲノムに高度に保存されている領域の遺伝子塩基配列に基づいて設定された核酸プライマーを特定の反応容器に固定化することで本発明の完成に至った。
本発明は以下の通りである。
(1)担体及び反応空間からなる反応容器であって、担体表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位を含む高分子物質を有し、かつノロウイルスゲノムに高度に保存された領域の遺伝子配列を含む核酸プライマーが固定化されたことを特徴とするノロウイルスRNAの精製用反応容器。
(2)前記核酸プライマーがノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム1(ORF1)領域の3´末端約90bp及びオープンリーディングフレーム2(ORF2)領域の5´末端約20bpを含む領域において保存されている塩基配列に基づいて設定されている(1)記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器。
(3)前記核酸プライマーが配列番号1または配列番号2に示す塩基配列を含む(2)記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器。
TCGACGCCATCTTCATTCACA(配列番号1)
CTTAGACGCCATCATCATTYAC (配列番号2)
(4)前記反応容器がPCRチューブ形状又はマイクロタイタープレート形状である(1)〜(3)いずれか記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器。
(5)(a)標的サンプル中のノロウイルスのキャプシドタンパク質を溶解しノロウイルスRNAを遊離した溶液を作製する工程、
(b)前記溶液を(1)〜(4)いずれか記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器に移す工程、
(c)溶液中のノロウイルスRNAを担体表面の核酸プライマーによってハイブリダイズする工程、
(d)緩衝液を用いて反応容器を洗浄する工程、
を含むことを特徴とするノロウイルスRNAの精製方法。
(6)(a)の工程において、グアニジンを含む溶解液を用いる(5)記載のノロウイルスRNAの精製方法。
(7)(5)又は(6)記載のノロウイルスRNAの精製方法により精製したノロウイルスRNAを、核酸増幅反応によって増幅し、増幅された核酸を検出することによってノロウイルスを検出するノロウイルスRNAの検出方法。
(8)前記核酸増幅反応が、PCR、NASBA、LAMP、SMAP、又はTRCである(7)記載のノロウイルスRNAの検出方法。
本発明によれば、迅速に多検体処理可能なノロウイルスRNAの精製が可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に使用する反応容器の担体の表面には、リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質が存在するようになっている。
このリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を含む第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを有する高分子物質は、DNA鎖の非特異的吸着を抑制する性質とDNA鎖を固定化する性質とを併せ持つポリマーである。特に、第一単位に含まれるリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基は鋳型核酸断片の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基はプライマーを化学的に固定化する役割を果たす。すなわち、プライマーは、この高分子物質からなるコーティング層のカルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当該の表面に固定化される。
第一の単位は、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホリルコリン基;
2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン基および10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン基等の(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキルホスホリルコリン基;
アリルホスホリルコリン基、ブテニルホスホリルコリン基、ヘキセニルホスホリルコリン基、オクテニルホスホリルコリン基、およびデセニルホスホリルコリン基等のアルケニルホスホリルコリン基;
等の基を有し、ホスホリルコリン基がこれらの基中に含まれている構成とすることができる。
また、これらの基のうち、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する構成とすることにより、表面における鋳型RNA断片の非特異的吸着をより一層確実に抑制することができる。
カルボン酸誘導体は、カルボン酸のカルボキシル基が活性化されたものであり、C=Oを介して脱離基を有するカルボン酸である。カルボン酸誘導体は、具体的には、アルコキシル基よりも電子求引性の高い基がカルボニル基に結合して求核反応が活性化された化合物である。カルボン酸誘導基は、アミノ基、チオール基、水酸基等に対する反応性を有する化合物である。
活性化されたカルボン酸誘導体として、さらに具体的には、カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基が、酸無水物、酸ハロゲン化物、活性エステル、活性化アミドに変換された化合物が挙げられる。カルボン酸誘導基は、こうした化合物に由来する活性化された基であり、たとえば、p−ニトロフェニル基やN−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基;
―Cl、−F等のハロゲン;
等の基を有することができる。
また、カルボン酸誘導基は、下記式(1)に示される基とすることができる。
Figure 2010207180
(ただし、上記式(1)において、Aは水酸基を除く脱離基である。)
上記式(1)に示される一価の基は、たとえば下記式(p)または式(q)から選択されるいずれかの基とすることができる。
Figure 2010207180
(ただし、上記式(p)および式(q)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、一価の有機基であり、直鎖状、分岐状、および環状のいずれであってもよい。また、上記式(p)において、R1はCとともに環を形成する二価の基であってもよい。また、上記式(q)において、R2はNとともに環を形成する二価の基であってもよい。)
上記式(p)に示される基として、たとえば下記式(r)、(s)、および(w)に示される基が挙げられる。また、上記式(q)に示される基として、たとえば下記式(u)に示される基が挙げられる。
上記式(1)に示される基は、たとえば下記式(r)、式(s)等に示される酸無水物由来の基;
下記式(t)に示される酸ハロゲン化物由来の基;
下記式(u)、式(w)に示される活性エステル由来の基;または
下記式(v)に示される活性化アミド由来の基とすることができる。
Figure 2010207180
カルボン酸誘導基のうち、活性エステル基は、穏やかな条件における反応性に優れるため、好ましく用いられる。穏やかな条件としては、たとえば中性またはアルカリ性の条件、具体的にはpH7.0以上10.0以下、さらに具体的にはpH7.6以上9.0以下、さらにまた具体的にはpH8.0とすることができる。
また、本明細書において規定するところの「活性エステル基」は、その定義について厳密な規定はなされていないが、慣用の技術表現としては、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。なお、ペプチド合成の分野においては、泉屋信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典著、「ペプチド合成の基礎と実験」、1985年発行、丸善、に記載されているように、活性エステル法はアミノ酸またはペプチドのC末端を活性化する方法の一つとして用いられている。
実際的には、エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
ここでは、高分子物質中の活性化カルボン酸誘導体基が活性エステル基である場合を例に、説明する。活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド基等が挙げられるが、たとえばp−ニトロフェニル基が好ましく用いられる。
表面にプライマーが固定化される担体の場合、第一単位と第二単位のさらに具体的な構成の組み合わせとして、たとえば、ホスホリルコリン基を含む第一単位が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基を有し、活性エステル基がp−ニトロフェニル基である構成とすることができる。
また、本実施形態の担体のコーティング層に使用される高分子物質は、ホスホリルコリン基およびカルボン酸誘導基以外に他の基を含んでもよい。また、高分子物質は共重合体とすることができる。具体的には、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む共重合体であることが好ましい。こうすることにより、高分子物質を適度に疎水化し、この高分子物質の担体表面への吸着性をさらに好適に確保することができる。
具体的には、高分子物質を、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体とすることができる。これらの共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)は、模式的に下記一般式(2)で示される。
Figure 2010207180
ただし、上記一般式(2)において、a、b、およびcは、それぞれ独立して、正の整数である。また、上記一般式(2)において、第一〜第三単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
上記一般式(2)で示される共重合体は、高分子物質の適度な疎水化と、鋳型核酸断片の非特異吸着を抑制する性質と、プライマーを固定化する性質とのバランスとに、より一層優れた構成である。このため、このような共重合体を用いることにより、担体表面をより一層確実に高分子物質で被覆するとともに、高分子物質がコーティングされた担体上への鋳型核酸断片の非特異的吸着を抑制しつつ、プライマーをさらに確実に共有結合により固定化して担体上に導入することができる。
なお、上記一般式(2)で示される共重合体は、MPC、BMA、およびNPMAの各単量体を混合し、ラジカル重合等の公知の重合方法により得ることができる。上記一般式(2)で示される共重合体をラジカル重合により作製する場合、たとえば、Ar等の不活性ガス雰囲気にて、30℃以上90℃以下の温度条件で溶液重合を行うことができる。
溶液重合に使用される溶媒は適宜選択されるが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールや、ジエチルエーテル等のエーテル、クロロホルム等の有機溶媒を単独でまたは複数混合して用いることができる。具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒とすることができる。
また、ラジカル重合反応に使用されるラジカル重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができる。たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系開始剤;
過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート等の油溶性の有機過酸化物;
などが用いられる。
さらに具体的には、ジエチルエーテルとクロロホルムを体積比で8対2とした混合溶媒およびAIBNを用い、Ar中、60℃にて2〜6時間程度重合を行うことができる。
なお、本実施形態では、高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を有する例を説明したが、ホスホリルコリン基を含む第一単位とカルボン酸誘導基を含む第二単位とを有する高分子物質を第一の高分子物質とし、これに加えて、ホスホリルコリン基を含む第一単位とブチルメタクリレート基を含む第三単位とを有する第二の高分子物質を含んでいてもよい。
なお、上記第一の高分子物質の第一単位と上記第二の高分子物質の第一単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。また、上記第一の高分子物質がブチルメタクリレート基を含む第三単位を含むとき、この第一の高分子物質の第三単位と上記第二の高分子物質の第三単位とは同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
このような第二の高分子物質は、鋳型DNA断片の非特異的吸着を抑制するポリマーとして用いられる。このようなポリマーとしては、たとえばホスホリルコリン基が30モル%、ブチルメタクリレート基が70モル%の割合で含まれているものであるMPCポリマー(日本油脂社製)を用いることができる。
なお、高分子物質が上記第一の高分子物質、第二の高分子物質からなる場合、これらの高分子物質が混合されている構成とすることができる。各々の高分子物質のポリマーは、たとえばエタノール溶液に溶解できるため、それぞれのポリマー溶液を混合することにより容易に混合ポリマーを得ることができる。
以上のような高分子物質からなるコーティング層を表面に含む担体は、所定の形状に加工された担体の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得られる。また、高分子物質を含む液体中に担体を浸漬し、乾燥してもよい。
また、担体として、プラスチック材料を用いた場合には、形状やサイズの変更に対する柔軟性が確保される上に、ガラス担体のものに比べて安価で提供することができるという観点から好ましい。このようなプラスチック材料としては、表面処理の容易性および量産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、ある程度耐熱性があれば特に制限はない、耐熱性のある樹脂としてたとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン;環状ポリオレフィン;含フッ素樹脂;
等を用いることができる。
次に、担体の表面へのプライマーの固定化方法について説明する。
例えば、(i)担体上の高分子物質に含まれる複数の活性エステル基のうち、少なくとも一部の活性エステル基とプライマーとを反応させて共有結合を形成させることにより、担体表面でプライマーを固定化し、続いて(ii)プライマーを固定化した以外の担体表面の活性エステル基を不活性化する、すなわち残りの活性エステル基を不活性化することにより、プライマーを担体の表面に固定することができる。以下、それぞれの工程について説明する。
上記工程(i)において、鋳型核酸断片とアニールするプライマーを担体上に固定化する際には、プライマーを溶解または分散した液体を接触させることにより、高分子物質に含まれる活性エステル基の一部がプライマーと反応して、プライマーの間で共有結合が形成される。
このプライマーを溶解または分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、接触後、担体表面に固定化されなかったプライマーを除去するため、純水や緩衝液で洗浄してもよい。
また、上記工程(ii)に示したように、洗浄後はプライマーを固定化した以外のプラスチック担体表面の活性エステルの不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行う。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5-アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを用いることができる。これらのうち、アミノエタノール、グリシンを用いることが好ましい。
また、担体に固定化するプライマーには、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたプライマーを用いることにより、効率よくかつ強固に担体の表面上にプライマーを固定化することができる。アミノ基の導入位置はプライマーの分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型RNA断片とのアニーリングをより一層効率よく行うことができるという観点からは、好ましい。
以上により、表面上にプライマーが固定化された担体が得られる。
本発明によるノロウイルスRNAの精製法は、ノロウイルスに高度に保存された領域、特にノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム1(ORF1)領域の3´末端約90bp及びオープンリーディングフレーム2(ORF2)領域の5´末端約20bpを含む領域において保存されている塩基配列に基づいて設定された核酸プライマーを担体表面に固定化した精製用反応容器を用いた精製方法である。
すなわちノロウイルスが含まれる試料溶液内のノロウイルスRNAを反応容器に固定化された核酸プライマーとのハイブリダイズにより固相表面上に結合させ反応容器を適切な緩衝液で洗浄することにより、ノロウイルスRNAを試料サンプルから精製する方法である。この精製方法は、
(a)標的サンプル中のノロウイルスのキャプシドタンパク質を溶解しノロウイルスRNAを遊離した溶液を作製する工程、(b)前記溶液をノロウイルスRNAの精製用反応容器に移す工程、(c)溶液中のノロウイルスRNAを担体表面の核酸プライマーによってハイブリダイズする工程、(d)緩衝液を用いて反応容器を洗浄する工程、を含む。
近年ノロウイルスのゲノム全塩基配列が決定され、ゲノム中の最も高度に保存された領域を標的としたRT−PCRシステムにより、ノロウイルスゲノムを高感度に定量測定することが可能となった。ノロウイルスのゲノムにはオープンリーディングフレーム1、2、3(ORF1、2、3)をもっており、近年の研究により、ノロウイルスゲノムの中で最も高度に保存されている領域は、ORF1とORF2の境界領域とORF2にコードされる構造タンパク質領域が挙げられる。特に、ORF1とORF2の境界領域の保存性が高く、この領域の塩基配列を利用してRT−PCRのプライマーセットが選択され、ノロウイルスゲノムの検出に利用される。この領域のプライマー配列については、厚生労働省よりノロウイルスの検出方法として報告されている。かかる観点から、本精製方法に利用する担体に固定化された核酸プライマー配列は、上記のノロウイルスゲノム中の高度に保存されている領域の塩基配列から選ばれることができる。このように、本精製法における核酸プライマーの塩基配列は、少なくとも1種類以上の10塩基以上連続する塩基配列から選ばれ、15〜30塩基連続する塩基配列が好ましい。
固定化する核酸プライマーはノロウイルスの遺伝子型によって選択することができる。遺伝子型によって高度保存領域も異なるため、より精度の高いノロウイルスRNAの捕捉を行うことができ、特異性を高めることができる。
上記、固定化する核酸プライマーの好ましい例としては、RT−PCRにおける増幅プライマーまたは検出プローブに利用される塩基配列から選ばれる。更に好ましい例としては、ゲノグループIの場合では、配列番号1に示す塩基配列を有する核酸プライマーが挙げられ、ゲノグループIIの場合では、配列番号2に示す塩基配列を有する核酸プライマーが挙げられる。
TCGACGCCATCTTCATTCACA(配列番号1)
CTTAGACGCCATCATCATTYAC (配列番号2)
上記固定化する核酸プライマーは、塩基配列において複数のヌクレオチドを配したミックスプライマーにすることができる。ミックスプライマーすることにより、塩基の変異が存在する場合に、捕捉効率をあげることができる。また、担体に複数種類の核酸プライマーを設定し、固定化することができる。このことにより、遺伝子型の異なる遺伝子においても担体に捕捉することができ、捕捉効率を上げることができる。
本発明に使用する試料(標的サンプル)は、ノロウイルスを含むか又は含む可能性があるものであれば特に限定されないが、例としては、患者より採取された糞便や吐しゃ物などの臨床材料や、分離されたウイルス培養液及び、カキなどの食品や上下水道などを挙げることができる。なかでも臨床材料には多くのノロウイルスが含まれており、ノロウイルスは感染性が高いためにこれらの材料はクリーンベンチなどの隔離された作業場で、安全に留意して取り扱われなければならない。患者より採取された糞便については、きょう雑物が多くノロウイルスの検出に適さない。そこで、適切な緩衝液で懸濁した後、遠心分離により固形物を沈殿させ、ノロウイルス粒子を分離することが好ましい。
上記のノロウイルスを含む試料からのノロウイルスRNAの精製は、抽出等の公知の方法によっても行うことができる。例えば、AGPC(Acid-Guanidium-Phenol-Chloroform)法や、シリカメンブレンやガラスフィルターに吸着させる方法などが挙げられる。近年では自動RNA抽出装置、RNA精製キット等の製品開発が行なわれている。これら公知の方法は、試料からノロウイルスRNAを精製するにあたり遠心分離機などの装置を必要とするため、煩雑かつ時間のかかる作業でありハイスループットな作業を行うことができない。更に、クリーンベンチ内のみで作業することができず、感染性の高いノロウイルスにとっては、危険な作業である。
本発明の精製方法に使用する反応容器は、反応空間と担体からなり、ノロウイルスRNAを捕捉する核酸プライマーが担体に固定化されている。反応容器は洗浄可能であればいかなる形状でもよく、PCRチューブ形状、マイクロタイタープレート形状などが挙げられる。この場合チューブ内面又はプレート表面が担体となる。また、ノロウイルスRNAの精製方法を行うためには、ノロウイルスRNAを捕捉する為の核酸プライマーが固定化された担体があればよいため、容器状の形状に限らずビーズ形状、カラム形状なども同様に挙げられる。精製後の操作性の観点から、PCRチューブ形状、マイクロタイタープレート形状が好ましい。特にPCRチューブ形状は、既存のPCRサーマルサイクラー装置との適合性がよいため、精製されたノロウイルスRNAを直接RT−PCR反応することができる。

ノロウイルスを初めとするウイルスにはキャプシドと呼ばれるウイルスゲノムを覆っているタンパク質があり、ウイルス粒子が細胞外にあるときに内部のゲノムを様々な障害から守る殻の役割をしている。ウイルスが宿主細胞に進入した後に、キャプシドが壊れて内部のウイルスゲノムが放出され、ウイルスの複製が始まるとされている。
前記担体上の核酸プライマーとハイブリダイゼーションを行うために、キャプシドタンパク質を変性処理することで、内部のノロウイルスRNAを遊離する必要がある。この処理方法としては、タンパク質変性方法から選ばれることができ、加熱、界面活性剤、グアニジン、尿素などのタンパク質変性剤を利用することでタンパク質を変性し、ノロウイルスRNAを遊離することができる。検討の結果、中でもグアニジンはタンパク質変性能力が高く、患者より採取された糞便や吐しゃ物など臨床材料中に含まれるノロウイルス核タンパク質の変性に適している。さらに、グアニジンはRNA分解酵素の非活性化にも効果的であり、遊離されたノロウイルスRNAを安定的に精製することができる。
反応容器を洗浄する際に使用する緩衝液は、通常、遠及びpHを一定に維持するための緩衝剤が含まれる液のことを示す。緩衝液としては、生化学的試験に通常使用される緩衝液等を使用することができ、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グッドの緩衝液等が挙げられる。さらに特異的な凝集反応を阻害しない範囲で非特異的反応を減じる目的で界面活性剤を含有させることが可能である。
界面活性剤としては、TritonX−100、Triton X-100(商品名):ポリエチレングリコールモノ−р−イソオクチルフェニルエーテル、Tween 20:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、Tween 80:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、Nonidet P-40:ノニデットP-40、ZWITTERGENT3-14:n−テトラデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネ−ト、CHAPS:3−〔(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕プロパンスルホン酸、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等あるいはこれらを2種類以上混合したものを用いることができる。
担体にハイブリダイゼーションによって捕捉されたノロウイルスRNAは、pH、塩濃度、温度を変化させることにより液中に再遊離することができ、遊離されたノロウイルスRNAは診断、研究等に用いられることができる。また、反応容器形状がPCRチューブ形状等のPCRサーマルサイクル装置に適した形状である場合、捕捉、精製されたノロウイルスRNAが存在する反応容器に直接検出試薬を加え反応を行うことで、ノロウイルスRNAを遊離することなく簡便に検出することができる。例えば、検出試薬に逆転写反応試薬が含まれる場合、ノロウイルスRNAからcDNAを作製することができ、核酸増幅反応試薬との組み合わせによってノロウイルスの検出が可能となる。検出を行うための増幅反応の好ましい例としては、RT−PCR、RT−LAMP、NASBA、TRC等が挙げられる。特に、RT−PCR、RT−LAMPは感度が高く検出方法に適している。
該精製用反応容器、ノロウイルス溶解液及び緩衝液を組成とする洗浄液の組み合わせにより、ノロウイルスRNAの簡易精製キットとして利用することができる。さらに、このキットに逆転写反応試薬や核酸増幅反応試薬等を加えることにより、ノロウイルスRNAの簡易検出キットとして利用することができる。また、このキットにノロウイルスRNAの標準物質を利用することにより、より精度の高い検出を行うことができる。
以下、この担体を用いたRNAウイルス検出方法の具体的な態様について説明する。ただし、いかなる意味においても本発明を限定的に解釈するための意味を有するものではない。
(ノロウイルスRNAの精製用反応容器の作製)
市販PCR用8連チューブ(ポリプロピレン製)に対し各チューブを2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンブチルメタクリレートp−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(poly(MPC−co−BMA−co―NPMA)(PMBN)、各基は、モル%で25:74:1)の0.5重量%エタノール溶液に浸漬することにより、チューブ表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、PMBNコ−トチューブを得た。
反応空間に固定化するプライマーの塩基配列は、すでにヒトから検出され、GeneBankに登録されているノロウイルスのゲノムの塩基配列(M87661、AF145896)と、厚生労働省から通知されている「ノロウイルスの検出法 食安監発第1105001号」を用いて設定した。即ち、ゲノグループIのプライマーとして、5’ TCGACGCCATCTTCATTCACA3’(配列番号1)、を選択した。ゲノグループIIのプライマーとして、5’ TCGACGCCATCTTCATTCACA3’(配列番号2)を選択した。
プライマーとして、5’末端がアミノ基で修飾されたオリゴDNAを各々0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのオリゴDNA溶液を調製した。各オリゴDNA溶液を上記PMBNコートチューブに10μL分注し、チューブを室温で1時間放置した。超純水により洗浄を行った後、各チューブに1規定の水酸化ナトリウム溶液で処理することにより、活性エステルを不活性化処理をおこなった。ブロッキング処理後、PBSに0.05%の濃度でTween20を含有する洗浄溶液を300μL分注し吸引除去を3回で洗浄を行った後、チューブを乾燥させた。
このブロッキング処理は、担体表面にオリゴDNAを固定化させて、固定化プライマーとした後に、担体の表面に存在する未反応の活性エステルを不活性化して、試料中のDNA鎖およびRNA鎖、その他たんぱく質などの生体由来物質などが非特異的に結合することを防止するための処理である。
(ヒト糞便中からノロウイルスRNAの精製方法)
検体としてヒト糞便中を用いノロウイルスRNAの精製方法について以下に記載する。
ヒト糞便1gに対し約10mLのPBSを加え混合、攪拌を行い、ヒト糞便の10%乳濁液を調製した。この溶液を12,000rpm、10分間、遠心分離を行い、乳濁液中に含まれる固形物を全て沈降させ上清を回収した。この上清に75μLに対し、25μLのグアニジン(1〜4M)を含む適当な緩衝液を添加、混合し、上清に含まれるタンパク質を変性させた。この溶液を、前記作製したプライマーを固定化したチューブに添加し、室温で30分以上静置した。静置後、チューブ内の溶液を除去し、PBS等の適当な緩衝液でチューブ内を洗浄した。一連の操作を行うことにより、ヒト糞便に含まれるノロウイルスRNAはチューブ表面のプライマーとハイブリダイゼーションを行い捕捉、精製した。
(検出反応)
本チューブに対し、反応液として、OneStep RT−PCR 試薬(東洋紡製)、10μM PCR Forwardプライマー、10μM PCR Reverseプライマー、5μM TaqManプローブ、DEPC処理水を加えて調製したものをチューブに50μLを分注し、定量的PCRを行った。なお、ゲノタイプIのノロウイルスに対しセンスプライマーとして5’CGYTGGATGCGNTTYCATGA3’(配列番号3)、アンチセンスプライマーとして5’CTTAGACGCCATCATCATTYAC3’(配列番号4)、プローブプライマーとして5’AGATYGCGATCYCCTGTCCA3’(配列番号5) を用いた。また、ゲノタイプIIのノロウイルスに対しセンスプライマーとして5’CARGARBCNATGTTYAGRTGGATGAG3’(配列番号6) 、アンチセンスプライマーとして5’TCGACGCCATCTTCATTCACA3’(配列番号7) 、プローブプライマーとして5’TGGGAGGGCGATCGCAATCT3’を用いた(配列番号8) 。RT−PCR反応条件は48℃20分を行った後、95℃5分の熱処理を行い、95℃15秒、56℃45秒の反応を40回行った。
PCR反応液中の反応産物量は、反応溶液中の蛍光強度として数値化を行うことができる。さらに、一定量に増幅される反応サイクル数を比較することにより、PCR反応前の初期鋳型RNA量を知ることができる。これを利用することにより、例えば40サイクル以内に一定量に増幅が確認された場合、検体のヒト糞便中にノロウイルスが存在したことになり、陽性と診断される。
《比較例》
上記の糞便乳濁液を遠心分離した上清を、厚生労働省から通知されている方法「ノロウイルスの検出法 食安監発第1105001号」に基づきノロウイルスRNAの検出を行った。
本実施例で示すノロウイルスRNAの精製及び検出方法(本法)と、通知法との検査一致を表1、2に示す。定量的PCRによって40サイクル以内に目的とする増幅産物が得られた場合、陽性と判断した。また、増幅産物が得られなかった場合、陰性と判断した。
Figure 2010207180
Figure 2010207180
結果の説明
本法陽性かつ通知法陽性:本発明で示すノロウイルスRNAの精製及び検出方法によって陽性と判定され、厚生労働省から通知されている方法によって陽性と判定された場合、
本法陰性かつ通知法陰性:本発明で示すノロウイルスRNAの精製及び検出方法によって陰性と判定され、厚生労働省から通知されている方法によって陰性と判定された場合、
本法陽性かつ通知法陰性:本発明で示すノロウイルスRNAの精製及び検出方法によって陽性と判定され、厚生労働省から通知されている方法によって陰性と判定された場合、
本法陰性かつ通知法陽性:本発明で示すノロウイルスRNAの精製及び検出方法によって陰性と判定され、厚生労働省から通知されている方法によって陽性と判定された場合
この結果より各ゲノグループでの検査一致率を計算した。検査一致率とは両検査方法において全検査数に対して陽性、陰性が一致した割合を示す。ゲノグループIの場合、全45検査中45の検査結果が一致したため100%となった。また、ゲノグループIIの場合、全103検査中98の検査結果が一致したため95.1%となった。本発明で示すノロウイルスの精製及び検出方法は、通知法と高い一致率でヒト糞便検体よりノロウイルスが検出可能であることが示された。従って、ノロウイルスゲノムに高度に保存された領域の遺伝子配列を含む核酸プライマーを担体表面に固定化した反応空間を用いて、試料溶液からノロウイルスRNAの精製できることを確認された。

Claims (8)

  1. 担体及び反応空間からなる反応容器であって、担体表面にリン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位を含む高分子物質を有し、かつノロウイルスゲノムに高度に保存された領域の遺伝子配列を含む核酸プライマーが固定化されたことを特徴とするノロウイルスRNAの精製用反応容器。
  2. 前記核酸プライマーがノロウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム1(ORF1)領域の3´末端約90bp及びオープンリーディングフレーム2(ORF2)領域の5´末端約20bpを含む領域において保存されている塩基配列に基づいて設定されている請求項1記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器。
  3. 前記核酸プライマーが配列番号1または配列番号2に示す塩基配列を含む請求項2記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器。
    TCGACGCCATCTTCATTCACA(配列番号1)
    CTTAGACGCCATCATCATTYAC (配列番号2)
  4. 前記反応容器がPCRチューブ形状又はマイクロタイタープレート形状である請求項1〜3いずれか記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器
  5. (a)標的サンプル中のノロウイルスのキャプシドタンパク質を溶解しノロウイルスRNAを遊離した溶液を作製する工程、
    (b)前記溶液を請求項1〜4いずれか記載のノロウイルスRNAの精製用反応容器に移す工程、
    (c)溶液中のノロウイルスRNAを担体表面の核酸プライマーによってハイブリダイズする工程、
    (d)緩衝液を用いて反応容器を洗浄する工程、
    を含むことを特徴とするノロウイルスRNAの精製方法。
  6. (a)の工程において、グアニジンを含む溶解液を用いる請求項5記載のノロウイルスRNAの精製方法。
  7. 請求項5又は請求項6記載のノロウイルスRNAの精製方法により精製したノロウイルスRNAを、核酸増幅反応によって増幅し、増幅された核酸を検出することによってノロウイルスを検出するノロウイルスRNAの検出方法。
  8. 前記核酸増幅反応が、PCR、NASBA、LAMP、SMAP、又はTRCである請求項7記載のノロウイルスRNAの検出方法。
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