JP2010201599A - 携帯用切断機 - Google Patents

Abstract

【課題】ロアガード２５の軸筒２８の肉厚を確保すると同時に、切り込み深さを大きくする。
【解決手段】モータ２の出力軸７の回転を減速させてのこ刃１を回転自在に固定した最終軸９に伝達させるとともに、のこ刃１のうち最終軸９よりも下方の部分を定盤６の下面から露出させ、露出したのこ刃１の外周をロアガード２５で覆うとともに、ギアケース１４の側部に短筒状の軸ケース１６を連続的に固定し、ギアケース１４内に設けた軸受部２０と軸ケース１６とにより最終軸９を回転自在に支持し、軸ケース１６の外周には、ロアガード２５の回転中心を構成する軸筒２８を回転可能に嵌合させた携帯用切断機において、ロアガード２５の軸心となる軸ケース１６の外径の中心Ｏ２を、最終軸９の軸心となる軸ケース１６の内径の中心Ｏ１よりも上方にずらした。
【選択図】図２

Description

本発明は携帯用切断機に関する。

従来の携帯用切断機は、特許文献1、２に示されるように、のこ刃の下方の部分を被切断材に載置される定盤の下面から露出させ、露出したのこ刃の外周を、切断機本体側に回動可能に設けられたロアガードで覆う構成となっている。

モータの出力軸の回転を減速させてのこ刃を回転自在に固定した最終軸に伝達させるとともに、のこ刃のうち最終軸よりも下方の部分を、切断時に被切断材に載置される定盤の下面から露出させ、露出したのこ刃で被切断材を切断するようになっている。

定盤はのこ刃の最終軸（回転軸）よりも下方に配置されるべきものであるが、定盤の下面が最終軸に近ければ近いほど定盤下面からののこ刃の出量が大きくなるため、切り込み深さも大きくなる。

ところで、のこ刃の最終軸は上記特許文献１、２に示されるように、切断機本体のギアケースとその側部に連続して設けられた円筒状の軸ケースの内部に設けられている。また、軸ケースはロアガードの回転軸としても兼用され、軸ケースの外側にはロアガードの軸筒（軸孔）が回転自在に嵌合している。

特開２００２−７９４１６号公報 特開２０００−５２３０１号公報

上記構成においては、最下部に配置される部品は、ギアケースと軸ケースとロアガードの下面である。この中でギアケースと軸ケースは下面が面一になるように嵌合することができる。

しかしながら、ロアガードは軸ケースの外周に回転自在に嵌合しているから、構造的にロアガードの下面は軸ケースの下面よりも下方に突出せざるを得ない。しかも、近年は本体の軽量化の要望からロアガードは合成樹脂によって構成されている場合が多い。しかも、ロアガードを合成樹脂から構成する場合、ロアガードの中心の軸孔を軸ケースに回転可能に嵌合させるとき、軸孔が単なる円孔であると、回転時に安定して支持できないためにロアガードが左右に振れやすく、のこ刃にぶつかってのこ刃が破損したり変形したりする危険がある。そのため、ロアガードの中心には、軸孔の周縁部から軸筒を突出させ、この軸筒を軸ケースに嵌合させるによってロアガードが安定的に回転できるように構成されている。

ところが、ロアガードの回転を安定させるためには、軸筒にはある程度の剛性が要求される。このため、軸筒の肉厚は一定以上となるように確保しなければならない。その反面、軸筒の肉を厚くすると、この厚み部分は軸ケースの下方に突出することになる。軸筒は定盤の下面から出ないようにしなければならないから、軸筒の肉厚が大きくなると、軸筒に対して定盤の位置を下げなければならない。定盤の位置が下がれば軸筒の肉厚を大きくして安定回転を行わせることはできるが、切り込み深さはむしろ小さくなってしまう。

このように、ロアガードの軸筒を肉厚にすると、切り込み深さを大きくすることはできない。軸筒を肉薄にすると切り込み深さを大きくすることは可能であるが、ロアガードの剛性を確保することができない。安全上の品質を低下させることはできないから、切り込み深さよりも剛性を確保する方が優先される。したがって、切り込み深さを現状以上に大きくすることはできなかった。

同様に、のこ刃を固定する最終軸の軸径を小さくするとともに軸ケースの内径を小さくすれば、軸を保持するベアリングの外径を小さくでき、ロアガードの軸筒の内外径も小さくすることができるので、軸筒の肉厚を十分に確保することはできるが、最終軸やベアリングの強度が損なわれるので、現実的な解決策にはならない。したがって、軸ケースの内径も小さくすることはできなかった。

本発明は上記問題点を解消し、ロアガードの軸筒の肉厚を安定的回転が可能な程度に確保することができると同時に、切り込み深さを大きくして切断能力を向上させることができる携帯用切断機を提供することをその課題とする。

前記課題を解決するため、請求項１に係る発明は、モータの出力軸の回転を減速させてのこ刃を回転自在に固定した最終軸に伝達させるとともに、のこ刃のうち最終軸よりも下方の部分を被切断材に載置される定盤の下面から露出させ、露出したのこ刃の外周を、切断機本体側に回動可能に設けられたロアガードで覆うとともに、上記切断機本体のギアケースの側部に短筒状の軸ケースを連続的に固定し、上記ギアケース内に設けた軸受部と上記軸ケースとにより上記最終軸を回転自在に支持し、上記軸ケースの外周には、上記ロアガードの回転中心を構成する軸筒を回転可能に嵌合させた携帯用切断機において、上記ロアガードの軸心となる軸ケースの外径の中心を、上記最終軸の軸心となる軸ケースの内径の中心よりも上方にずらしたことを特徴とする。

請求項２に係る発明は、請求項１において、上記軸ケースは金属製で、上記ロアガードは合成樹脂製若しくは軽金属製であることを特徴とする。

請求項１に係る発明によれば、ロアガードの軸心となる軸ケースの外径の中心が、上記最終軸の軸心となる軸ケースの内径の中心よりも上方にずらした位置に設けられているから、軸ケースの下部の肉厚は従来のものよりも薄くなる。下部の肉厚が薄くなれば、その分だけ軸ケースの下面の位置が高くなる。軸ケースの下面の位置が高くなれば、その分だけロアガードの軸筒の肉厚を薄くしなくしても、軸筒の下部位置を高くすることができる。したがって、定盤の位置もその分だけ高くすることができる。定盤の位置が高くなれば、定盤の下面から突出するのこ刃の出量も大きくなるから、切り込み深さを大きくすることができ、切断能力を向上させることができる。

請求項２に係る発明によれば、軸ケースは金属製であるから、軸ケースの下部の肉厚を薄くしても、上部は逆に肉厚になるので、全体の強度は十分に得られる。また、ロアガードは合成樹脂製であるから、軸筒の厚さが薄くなれば強度は低下するが、軸筒の厚さは損なわれないので、十分な強度を確保することができる。

本発明に係る携帯用切断機の側面図 図１のＸ−Ｘ線上の断面図 図２の要部の拡大図 軸ケースの斜視図 （ａ）は軸ケースの側面図、（ｂ）は（ａ）のＹ−Ｙ線上の断面図 従来構造の軸ケースを採用した場合の一部拡大断面図

図１〜図３において符号Ａは携帯用切断機を示す。この切断機は、のこ刃（丸鋸）１とこののこ刃１を駆動するモータ２とを左右に並設した切断機本体３の上部に操作用ハンドル４をのこ刃１の切断方向と平行に、つまり前後方向に配置し、上記ハンドル４の後端４ａの下部にモータ駆動用のバッテリパック５を着脱自在に設けたものである。

モータ２の出力軸７には中間軸８の一端に固定した第１減速歯車１０が噛合し、さらに中間軸８の他端に固定した第２減速歯車１１が最終軸９に固定された第３減速歯車１２に噛合し、最終軸９にはのこ刃１が固定されている。これにより、モータ２が回転すると、その回転力は第１、第２、第３減速歯車１０、１１、１２を介して最終軸９に伝達され、のこ刃１が回転する。

ところで、上記中間軸８と第２減速歯車１１及び第３減速歯車１２とは切断機本体３の金属製ギアケース１４に収納配置されている。また、図３に示すように、ギアケース１４の右側部には開口部１５が形成され、開口部１５には金属製の軸ケース１６が連続的に設けられている。軸ケース１６の内部には最終軸９が収納され、最終軸９の左端部はギアケース１４に設けられたニードルベアリング１８に軸受けされ、最終軸９の右部は軸ケース１６の内側に嵌合されたベアリング（軸受部）２０に軸受けされている。最終軸９の右端部は軸ケース１６の右方に突出し、軸端にはのこ刃１が固定されている。

なお、図３〜図５（ａ）（ｂ）に示されるように、軸ケース１６の主部１６ａは筒状に形成されているが、その外方には固定用鍔部１７が張り出し形成され、鍔部１７はギアケース１４の開口部１５の外周にネジ止め固定されている。筒状主部１６ａのギアケース側の端部３０ａの外径はギアケース１４の開口部１５の内径と略同じに形成されている。また、筒状主部１６ａの内周面には環状リブ３１が形成され、ベアリング２０は環状リブ３１に当接した状態で筒状主部１６ａ内に嵌合されている。さらに、筒状主部１６ａの他端部３０ｂの外周には止め輪取付け用の係止溝３２が形成されている。

また、モータ２はモータハウジング２１に内装され、のこ刃１のほとんど半周部分は安全確保用のソーカバー２２（図２参照）によって覆われている。モータ２の出力軸７にはモータ冷却用のファン２３も取付けられている。

また、定盤６は切断機本体３の下部に設けられた金属製の板状部材で、その一部には開口部２４が貫通形成され、開口部２４の下方にはのこ刃１の一部が露出し、後述のロアガード２５によって覆われている。

さらに、操作用ハンドル４は、切断機本体３の上部に配置され、その前部は切断機本体３の前部のややモータハウジング２１側に連続的に配置され、その後部は屈曲し、屈曲端部は切断機本体３の後面に連続的に配置されている。ハンドル４の後端４ａの下部と定盤６との間にはバッテリパック５の装着部が形成され、バッテリパック５は公知の機構により装着部の後方から差し込んで装着し、ロックを解除した後に引き抜いて外すことができるようになっている。

なお、定盤６の前端部は切断機本体３の前部に設けられた回動軸２７（図１参照）により回動自在に支持され、この回動軸２７を中心に定盤６を回動させることにより定盤６の下面からののこ刃１の出量が変わるので、この出量を調整することによって被切断材の切り込み深さを調整することができる。切込み深さ調整機構は公知のものを採用すればよい。

また、上述のように定盤６の下面から露出したのこ刃１の外周は、切断機本体３側に回動可能に設けられたロアガード２５で覆われている。ロアガード２５は合成樹脂製（軽金属製でもよい）で、図３に示されるように、断面がＵ字形で円弧状に形成されたガード部２５ａの基部から径方向にアーム２５ｂを延出し、円弧の中心部に対応する部位に回転中心を構成する軸筒２８を形成してなるものである。軸筒２８は十分な剛性を確保できる厚さに形成されている。そして、ロアガード２５の軸筒２８は軸ケース１６の外周に回転可能に嵌合し、その一端は軸ケース１６の鍔部１７に係合し、他端は軸筒２８は軸ケースの係止溝３２に係止した止め輪３３（図３参照）によって抜け出ないように保持されている。したがって、ロアガード２５は上記軸筒２８を中心に回動し、ガード部２５ａはのこ刃１の外周を移動する。

上記構成の切断機によって木材等の被切断材を切断するときは、まず切込み深さ調整機構により被切断材の厚さに合わせてのこ刃１の出量を調整した後、被切断材の端部上に定盤６を載置し、モータ２を作動させる。モータ２が回転すると、その回転力は図２に示されるように、第１、第２、第３減速歯車１０、１１、１２を介して最終軸９に伝達され、のこ刃１が回転し、被切断材が切断されていく。

のこ刃１の上部はソーカバー２２によって覆われ、またのこ刃１の下部はロアガード２５によって覆われているので、通常の状態では安全が確保されるとともに、のこ刃１の外周上の刃は外部からの衝撃から保護される。被切断材を切断するにあたって被切断材の端部上に定盤６を載せ、のこ刃１によって被切断材を切断していくと、被切断材の端部がロアガード２５に当り、ロアガード２５を後方に押し出す。このため、切断が進むにつれてロアガード２５は軸筒２８の中心、つまり最終軸９の中心のまわりに後方から上方に回動していき、最終的には定盤の上方に退避動するから、切断作業に障害になることはない。このようにして切断が終了する。

ところで、図３及び図５（ａ）（ｂ）に示されるように、モータ２の回転に伴うのこ刃１の回転軸（最終軸９）の中心は軸ケース１６の内部のベアリング２０の中心であり、軸ケース１６の内径の中心となるが、切断の進行に伴って回動するロアガード２５の回転軸の中心は軸筒２８の中心であり、軸ケース１６の外径の中心となっている。つまり、軸ケース１６の内径の中心は最終軸９の軸心Ｏ１となり、また、軸ケース１６の外径の中心はロアガード２５の軸筒２８の軸心Ｏ２となっている。

上記２つの軸心Ｏ１、Ｏ２は同軸上には設定されていない。ロアガード２５の軸心となる軸ケース１６の外径の中心Ｏ２の方が、上記最終軸９の軸心となる軸ケース１６の内径の中心Ｏ１よりも上方にずれた偏心位置に設けられている。

つまり、ロアガード２５の軸心Ｏ２を最終軸９の軸心Ｏ１よりも上方に偏心させたので、図５（ｂ）に示されるように、軸ケース１６の軸筒受け部の下部３３ａの肉厚を従来のものよりも薄くすることができる。軸ケース１６の下部の肉厚が薄くなれば、その分だけ軸ケース１６の外側下面の位置が高くなる。軸ケース１６の下面の位置が高くなれば、その分だけロアガード２５の軸筒２８の肉厚を薄くしなくしても、軸筒２８の下部になる部位が高くなる。したがって、定盤６の位置もその分だけ高くすることができる。定盤６の位置が高くなれば、定盤６の下面から突出するのこ刃１の出量も大きくなるから、切り込み深さを大きくすることができる。

上記構造を図６に示す従来構造と比較すると、同図の構造においては、前述のように、最終軸９と軸筒２８の中心は軸ケース１６´の軸心と同じであり、また、強度確保上、軸ケース１６´や軸筒２８の肉を薄くすることはできなかった。したがって、軸筒２８の下部は軸ケース１６´の下面と同じかそれよりも下方に突出せざるを得ず、その分だけ定盤６の位置もＨ分だけ下げざるを得なかった。しかし、図３に示した構造によれば、軸筒２８の位置を上げることができるので、定盤６の位置もあげることができるのである。

なお、軸ケース１６の下部は肉薄になるが、軸ケース１６自体は金属であり、上部３３ｂは逆に肉厚になるので、全体の強度は十分に得られる。

したがって、上記携帯切断機によれば、ロアガード２５の軸筒２８の肉厚を損なうことなく、十分な強度を確保することができると同時に、切り込み深さを大きくすることができる。

１ のこ刃
９ 最終軸
１４ ギアケース
１６ 軸ケース
２０ ベアリング
２５ ロアガード
２８ 軸筒

Claims (2)

1. モータの出力軸の回転を減速させてのこ刃を回転自在に固定した最終軸に伝達させるとともに、のこ刃のうち最終軸よりも下方の部分を被切断材に載置される定盤の下面から露出させ、露出したのこ刃の外周を、切断機本体側に回動可能に設けられたロアガードで覆うとともに、上記切断機本体のギアケースの側部に短筒状の軸ケースを連続的に固定し、上記ギアケース内に設けた軸受部と上記軸ケースとにより上記最終軸を回転自在に支持し、上記軸ケースの外周には、上記ロアガードの回転中心を構成する軸筒を回転可能に嵌合させた携帯用切断機において、
   上記ロアガードの軸心となる軸ケースの外径の中心を、上記最終軸の軸心となる軸ケースの内径の中心よりも上方にずらした
   ことを特徴とする携帯用切断機。
2. 上記軸ケースは金属製で、上記ロアガードは合成樹脂製若しくは軽金属製であることを特徴とする、請求項１に記載の携帯用切断機。

Images