JP2010196810A - 車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スリップ制御中にジャダが発生した場合に、スリップ制御を中止することなく且つ燃料消費率の悪化を殆ど招くことなく、ジャダを解消することが可能な車両用駆動装置の制御装置を提供する。
【解決手段】車両前後Gセンサによって車両前後Gの変化を検出することでジャダの発生の有無を判断する。ジャダが発生していると判断された場合には、スロットル開度や燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に減少させるエンジントルク減少制御を実施し、これによってジャダを解消する。この場合、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルに応じてトルク減少量及びトルク減少時間を変更する。
【選択図】図6
【解決手段】車両前後Gセンサによって車両前後Gの変化を検出することでジャダの発生の有無を判断する。ジャダが発生していると判断された場合には、スロットル開度や燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に減少させるエンジントルク減少制御を実施し、これによってジャダを解消する。この場合、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルに応じてトルク減少量及びトルク減少時間を変更する。
【選択図】図6
Description
本発明は、車両用駆動装置の制御装置に係る。特に、本発明は、動力伝達系にロックアップクラッチが備えられ、このロックアップクラッチのスリップ制御が可能とされた車両用駆動装置において、ロックアップクラッチにジャダが発生した場合のジャダ解消制御の改良に関する。
近年、トルクコンバータを備える自動変速機(オートマチックトランスミッション)では、このトルクコンバータに、その入力側(ポンプ側)と出力側(タービン側)とを直結させるためのロックアップクラッチが設けられている。
このロックアップクラッチは、係合状態とすることによりトルクコンバータの入力側と出力側とを直結し、また、解放状態とすることによりトルクコンバータの入力側と出力側とを切り離す(所謂流体クラッチとして機能させる)。また、これら係合状態と解放状態との中間である半係合状態にする所謂スリップ制御が行われるものもある(例えば下記の特許文献1を参照)。
このスリップ制御は、所定のスリップ制御実行条件(例えば車速とアクセル開度とにより定められた条件)が成立したときに開始される。そして、トルクコンバータのポンプ回転数(エンジン回転数に相当)とタービン回転数との回転数差に応じて、例えばこの回転数差が一定(目標回転数差)になるように、ロックアップクラッチの係合力をフィードバック制御することによって、トルクコンバータの動力伝達状態を管理するようになっている。
以下、このスリップ制御を実行する場合の一例について簡単に説明する。
一般的に、車両が減速状態にある際、燃料消費量の削減を図るためにフューエルカットつまりインジェクタによる燃料供給を停止させるようにしている。このフューエルカットは、エンジン回転数が所定の閾値以下まで低下すると、エンジンストールを防止するために解除される(燃料噴射を復帰させる)。
このような車両減速時において、トルクコンバータのロックアップクラッチを解放状態にしていると、トルクコンバータの出力側から入力側へのトルク(回転動力)伝達ロスがあるためにエンジンブレーキの効きが不十分になる可能性があるので、従来、ロックアップクラッチを係合状態にして、車両減速時のエンジンブレーキの効きを強くするようにしていた。
この場合、車両減速に伴うフューエルカットとロックアップクラッチの係合とにより、エンジンブレーキの効きは強くなるが、その反面、エンジン回転数や車速が急速に低下することになって、比較的短時間でエンジン回転数がフューエルカット解除用の閾値に到達してしまい燃費改善効果が不十分になってしまう。上記フューエルカット解除用の閾値を低く設定すればフューエルカット時間を延長することは可能であるが、あまり低く設定し過ぎると、エンジンがストールしやすくなり好ましくない。
そこで、フューエルカット中に、ロックアップクラッチをスリップ制御(減速フレックスロックアップ制御とも呼ばれる)することにより、エンジン回転数の低下を緩やかにし、エンジン回転数が上記フューエルカット解除用の閾値に低下するまでに要する時間を長くすることが行われている(例えば特許文献2を参照)。
一方、車両が加速状態にあるときに、従来であればロックアップクラッチを解放状態としていた運転領域においてもロックアップクラッチをスリップ制御することにより、トルクコンバータの入力側から出力側へのトルク(回転動力)伝達ロスを低減することができ、燃料消費率の改善を図ることができる。
ところで、例えば特許文献3にも開示されているように、上記スリップ制御の実行中にロックアップクラッチにジャダ(自励振動)が発生することがある。このジャダは、自動変速機などの車両駆動系に振動を招き、乗員には車両振動として感知され、ドライバビリティの悪化を招いてしまう。
上記ジャダは、ロックアップクラッチの摩擦特性などに起因するもので、特にロックアップクラッチの摩擦特性(一般にμ−V特性と呼ばれている)が滑り速度(トルクコンバータのポンプ回転速度とタービン回転速度との差)Vに対して負勾配の場合に発生し易い。すなわち、滑り速度Vが大きくなると摩擦力が低下するため滑り速度Vが更に増加し易く、反対に滑り速度Vが小さくなると摩擦力が増大するため滑り速度Vが更に小さくなり易い。このため、エンジンの回転変動などに起因する滑り速度Vの変化に起因してジャダが発生する恐れがある。
このジャダを解消するための技術として、例えば特許文献3に開示されているように、ジャダの発生を検知した際には、上記スリップ制御を中止したり、目標スリップ量を変更したりすることが提案されている。
しかしながら、この特許文献3に開示されているようにスリップ制御を中止することでジャダの発生を解消するものにあっては、ジャダが発生する度にスリップ制御による効果、つまり、燃料消費率の改善や伝達ロスの低減といった効果は得られないことになる。また、スリップ制御の開始と中止とが頻繁に行われる状況では、ロックアップクラッチの耐久性に悪影響を与えてしまう可能性もある。
また、ジャダが発生した際に目標スリップ量を変更するものにあっては、例えば、目標スリップ量を小さくする場合、ロックアップクラッチの作動油圧を継続的に大きく得る必要があり、また、ロックアップクラッチの係合力が高まることに起因して、こもり音が生じ、乗員に違和感を与えてしまう可能性がある。一方、目標スリップ量を大きくする場合には、ロックアップクラッチを解放側に作動させるため、駆動力伝達ロスが増大するなどして燃料消費率の悪化を招いたり、ロックアップクラッチの耐久性に悪影響を与えてしまう可能性がある。また、目標スリップ量の変更は、燃料消費率や排気エミッションの悪化を招く可能性が高いため、法規上不適合となってしまう可能性もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スリップ制御中にジャダが発生した場合に、スリップ制御を中止したり目標スリップ量を変更したりすることなく上記ジャダを解消することが可能な車両用駆動装置の制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、ロックアップクラッチにジャダが発生した場合、一時的に入力トルクを変化させたり、一時的に振動系の剛性を変化させることによって車両に発生している振動(ジャダの発生に起因する振動)を収束させるようにしている。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、ロックアップクラッチにジャダが発生した場合、一時的に入力トルクを変化させたり、一時的に振動系の剛性を変化させることによって車両に発生している振動(ジャダの発生に起因する振動)を収束させるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、駆動力入力側と駆動力出力側とを半係合状態とするスリップ制御が可能なロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置を介して、内燃機関と変速機とが連結された車両用駆動装置の制御装置を前提とする。この車両用駆動装置の制御装置に対し、車両の振動を検知することによりロックアップクラッチにジャダが発生したか否かを判定するジャダ発生判定手段と、上記スリップ制御の実行中にジャダが発生したと判定された際、上記内燃機関の出力トルクを、ジャダ発生状態での出力トルクとは異なる出力トルクとなるように一時的なトルク変更動作を行うトルク変更手段とを備えさせている。
具体的に、本発明は、駆動力入力側と駆動力出力側とを半係合状態とするスリップ制御が可能なロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置を介して、内燃機関と変速機とが連結された車両用駆動装置の制御装置を前提とする。この車両用駆動装置の制御装置に対し、車両の振動を検知することによりロックアップクラッチにジャダが発生したか否かを判定するジャダ発生判定手段と、上記スリップ制御の実行中にジャダが発生したと判定された際、上記内燃機関の出力トルクを、ジャダ発生状態での出力トルクとは異なる出力トルクとなるように一時的なトルク変更動作を行うトルク変更手段とを備えさせている。
この特定事項により、ロックアップクラッチにジャダが発生すると、それに起因して車両に振動が生じ、この振動を検知することによりジャダの発生が認識される。そして、ジャダの発生が認識されると、スリップ制御を継続したまま(スリップ制御の目標値(目標スリップ量)を維持したまま)、上記内燃機関の出力トルクを一時的に変化させる。つまり、ジャダ発生状態での出力トルクとは異なる出力トルクとなるように、内燃機関の出力トルクの減少または増加を行う。例えばスロットルバルブ開度変更や燃料噴射量変更などによって内燃機関の出力トルクを変更する。これにより、ロックアップクラッチの入力トルクが変化し、言い換えると、ジャダ発生状態において、外乱としての入力トルクの変化がロックアップクラッチに与えられ、それに伴ってジャダが解消されて、車両の振動が収束する。このように、本解決手段では、スリップ制御を中止したり目標スリップ量を変更したりすることなしに、迅速にジャダを解消することができる。また、内燃機関の出力トルクの変更は一時的であって、トルク変更期間が長くなることで運転者に違和感を生じさせるといったことがない。そのため、ジャダの早期解消によってドライバビリティを良好に確保することができると共に燃料消費率の悪化が防止でき、且つロックアップクラッチの耐久性に悪影響を与えることもなくなる。
また、他の解決手段として以下のものも挙げられる。先ず、駆動力入力側と駆動力出力側とを半係合状態とするスリップ制御が可能なロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置を介して、内燃機関と変速機とが連結された車両用駆動装置の制御装置を前提とする。この車両用駆動装置の制御装置に対し、車両の振動を検知することによりロックアップクラッチにジャダが発生したか否かを判定するジャダ発生判定手段と、上記スリップ制御の実行中にジャダが発生したと判定された際、上記ロックアップクラッチの係合力を、ジャダ発生状態での係合力とは異なる係合力となるように一時的に変更動作を行うロックアップクラッチ係合力変更手段とを備えさせている。
この特定事項においても、ジャダ発生が認識されると、スリップ制御を継続したまま、上記ロックアップクラッチの係合力を一時的に変化させる。つまり、ジャダ発生状態での振動系の剛性とは異なる剛性となるようにロックアップクラッチの係合力の減少または増加を行う。これにより、ジャダが解消されて、車両の振動が収束する。このように、本解決手段によっても、スリップ制御を中止したり目標スリップ量を変更したりすることなしに、迅速にジャダを解消することができる。そのため、ジャダの早期解消によってドライバビリティを良好に確保することができると共に燃料消費率の悪化が防止でき、且つロックアップクラッチの耐久性に悪影響を与えることもなくなる。
上述した一時的なトルク変更動作によってジャダを解消する場合の具体的な動作としては以下の各動作が挙げられる。
先ず、上記トルク変更手段による一時的なトルク変更動作の期間を、上記ジャダの発生に起因する車両振動の2周期分に相当する期間以下に設定するものである。
これによれば、トルク変更動作の期間を必要最小限に抑えることができ、トルクが変更されている期間が長くなることで運転者に違和感を生じさせてしまうといったことがなく、ドライバビリティの悪化を招くことなしにジャダを解消することができる。
また、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的なトルク変更動作を行う際のトルク変更幅を大きく設定したり、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的にトルク変更動作を行う時間を長く設定することが挙げられる。
これらによれば、車両の振動レベルに応じてジャダ解消効果の大きさを適切に設定することができ、車両の振動レベルに関わりなく迅速にジャダを解消することが可能になる。
更に、一時的なトルク変更動作を行う際、車両の振動周期に対して逆位相の周期で振動が発生するように上記内燃機関の出力トルクを周期的に変化させるようにしてもよい。
これによれば、ジャダの発生に伴う車両の振動と内燃機関の出力トルクの周期的な変化に伴う車両の振動とを相殺することが可能になり、車両の振動を大幅に低減することが可能になる。
上述した一時的なロックアップクラッチ係合力変更動作によってジャダを解消する場合の具体的な動作としては以下の各動作が挙げられる。
先ず、上記ロックアップクラッチ係合力変更手段による一時的な係合力変更動作の期間を、上記ジャダの発生に起因する車両振動の2周期分に相当する期間以下に設定するものである。
これによれば、係合力変更動作の期間を必要最小限に抑えることができ、係合力を小さくする場合には、入力側から出力側へのトルクの伝達ロスが低減する期間も最小限に抑えられ、燃料消費率の改善を図りながらもジャダを解消することができる。また、係合力を大きくする場合には、それに伴うこもり音の発生期間が最小限に抑えられ、乗員に違和感を与えることなしにジャダを解消することができる。
また、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的な係合力変更動作を行う際の係合力変更幅を大きく設定したり、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的に係合力変更動作を行う時間を長く設定することが挙げられる。
これらによっても、車両の振動レベルに応じてジャダ解消効果の大きさを適切に設定することができ、車両の振動レベルに関わりなく迅速にジャダを解消することが可能になる。
更に、一時的な係合力変更動作を行う際、車両の振動周期に対して逆位相の周期で振動が発生するように上記ロックアップクラッチの係合力を周期的に変化させるようにしてもよい。
これによれば、ジャダの発生に伴う車体の振動と上記係合力の周期的な変化に伴う車両の振動とを相殺することが可能になり、車両の振動を大幅に低減することが可能になる。
本発明では、ロックアップクラッチにジャダが発生した場合、一時的に入力トルクを変化させたり、一時的に振動系の剛性を変化させることによって車両に発生している振動を収束させるようにしている。このため、スリップ制御を中止したり目標スリップ量を変更したりすることなしに、迅速にジャダを解消することが可能になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明を自動車用4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明する。
−エンジンの構成説明−
先ず、図1を参照して、本実施形態に係るエンジン(内燃機関)、並びにその周辺装置の概略構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、4気筒分(図1では1気筒分のみを示す)のシリンダボア2を有するシリンダブロック1aと、シリンダヘッド1bとを備えている。各シリンダボア2内には上下動可能に設けられたピストン3が備えられ、このピストン3が、コンロッド(コネクティングロッド)3aを介してエンジン1の出力軸であるクランクシャフト10に連結されている。そして、シリンダボア2の内部において、ピストン3とシリンダヘッド1bとにより囲まれた空間によって燃焼室4が区画形成されている。
先ず、図1を参照して、本実施形態に係るエンジン(内燃機関)、並びにその周辺装置の概略構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、4気筒分(図1では1気筒分のみを示す)のシリンダボア2を有するシリンダブロック1aと、シリンダヘッド1bとを備えている。各シリンダボア2内には上下動可能に設けられたピストン3が備えられ、このピストン3が、コンロッド(コネクティングロッド)3aを介してエンジン1の出力軸であるクランクシャフト10に連結されている。そして、シリンダボア2の内部において、ピストン3とシリンダヘッド1bとにより囲まれた空間によって燃焼室4が区画形成されている。
シリンダヘッド1bには、各燃焼室4に対応して点火プラグ11が取り付けられている。また、シリンダヘッド1bには、各燃焼室4に通じる吸気ポート5a及び排気ポート6aがそれぞれ設けられ、これら吸気ポート5a及び排気ポート6aには、吸気通路5及び排気通路6がそれぞれ接続されている。吸気ポート5a及び排気ポート6aの燃焼室4に通じる各開口端には、吸気バルブ7及び排気バルブ8がそれぞれ設けられている。吸気バルブ7及び排気バルブ8は、クランクシャフト10の動力によってそれぞれ回転する吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト32によって開閉される。クランクシャフト10の動力は、タイミングベルト35及び各タイミングプーリー33,34を介して、上記吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト32に伝達されている。
また、上記吸気ポート5aの近傍には、各気筒に対応してインジェクタ(燃料噴射弁)9がそれぞれ備えられている。各インジェクタ9には図示しない燃料供給系を介して所定圧力の燃料が供給されている。
一方、吸気通路5にはサージタンク16が設けられ、このサージタンク16の上流側には、アクセルペダル18の操作等に応じて開閉駆動されるスロットルバルブ19が設けられている。このスロットルバルブ19の開度に応じて吸気通路5へ導入される吸入空気量が調整される。
エンジン1の運転が開始されると、吸気通路5内への吸入空気の導入とともにインジェクタ9から燃料が噴射されることにより、それら吸入空気と燃料とが混合されて混合気となる。そして、エンジン1の吸入行程において、吸気バルブ7により吸気ポート5aが開かれることにより混合気が吸気ポート5aを通じて燃焼室4に取り込まれる。この燃焼室4に取り込まれた混合気は、圧縮行程において圧縮された後、点火プラグ11によって着火され、その混合気が爆発・燃焼してクランクシャフト10に駆動力が付与される(膨張行程)。燃焼後の排気ガスは、排気バルブ8により排気ポート6aが開かれることによって排気通路6に排出され(排気行程)、更に触媒12を経て浄化された後、外部に放出される。なお、上記点火プラグ11は、イグナイタ13から出力される高電圧の印加タイミングに応じて混合気への点火動作を実行している。
エンジン1には、その運転状態を検出するための以下に述べるような各種のセンサが設けられている。
上記クランクシャフト10の近傍には、その回転角(クランク角CA)及び回転速度(エンジン回転速度NE)を検出するためのクランク角センサ21が配設されている。このクランク角センサ21は、所定のクランク角(例えば30°)毎にパルス信号を出力する。このクランク角センサ21によるクランク角の検出手法の一例としては、クランクシャフト10と回転一体の図示しないロータ(NEロータ)の外周面の30°おきに外歯を形成しておき、この外歯と対面して電磁ピックアップで成る上記クランク角センサ21を配置する。そして、クランクシャフト10の回転に伴って外歯がクランク角センサ21の近傍を通過した際に、このクランク角センサ21が出力パルスを発生するようになっている。尚、このロータとしては、外周面に形成される外歯が10°おきに形成されたものが適用される場合もある。この場合、エンジン制御装置(エンジンECU)40内で分周して30°CA毎の出力パルスを発生する。
上記吸気カムシャフト31の近傍には、カム角センサ22が配設されている。このカム角センサ22は、通常、気筒判別センサとして用いられ、例えば第1番気筒#1の圧縮上死点(TDC)に対応してパルス信号を出力する。つまり、このカム角センサ22は、吸気カムシャフト31の1回転毎にパルス信号を出力する。このカム角センサ22によるカム角の検出手法の一例としては、吸気カムシャフト31と回転一体のロータの外周面の1箇所に外歯を形成しておき、この外歯と対面して電磁ピックアップで成る上記カム角センサ22を配置し、吸気カムシャフト31の回転に伴って外歯がカム角センサ22の近傍を通過した際に、このカム角センサ22が出力パルスを発生するようになっている。このロータはクランクシャフト10の1/2の回転速度で回転するため、クランクシャフト10が720°回転する毎に出力パルスを発生する。言い換えると、ある特定の気筒が同一行程(例えば第1番気筒♯1が圧縮上死点に達した時点)となる度に出力パルスを発生する構成である。
上記サージタンク16には、吸気通路5内の圧力(吸気管内圧力PM)を検出するための圧力センサ23が設けられている。この圧力センサ23は、サージタンク16内の圧力に応じた信号を出力する。
以上が、本実施形態に係るエンジン1の概略構成である。
−自動変速機−
次に、上記エンジン1からの回転動力が伝達され、且つ変速動作を行う自動変速機について説明する。図2は、上記エンジン1と自動変速機50との接続状態を示す概略構成図である。また、図3は、トルクコンバータ(流体式動力伝達装置)53の概略構成を示す図である。
次に、上記エンジン1からの回転動力が伝達され、且つ変速動作を行う自動変速機について説明する。図2は、上記エンジン1と自動変速機50との接続状態を示す概略構成図である。また、図3は、トルクコンバータ(流体式動力伝達装置)53の概略構成を示す図である。
これらの図に示すように、自動変速機50は、エンジン1から入力軸51に入力される回転動力を変速し、出力軸52を介して駆動輪に出力するもので、主として、トルクコンバータ53、変速機構部54、油圧制御装置55等を含んで構成されている。
トルクコンバータ53は、エンジン1に回転連結されるもので、ポンプインペラ53a、タービンランナ53b、ステータ53c、ワンウェイクラッチ53d、ステータシャフト53e、ロックアップクラッチ53fを含んで構成されている。
上記ロックアップクラッチ53fは、トルクコンバータ53のポンプインペラ53a(入力側)とタービンランナ53b(出力側)とを直結可能とするものであり、必要に応じて、ポンプインペラ53aとタービンランナ53bとを直結する係合状態と、ポンプインペラ53aとタービンランナ53bとを切り離す解放状態と、これら係合状態と解放状態との中間の半係合状態(スリップ状態)との間で切り換えられる。この切り換えのための条件については後述する。
このロックアップクラッチ53fの係合力制御は、ロックアップコントロールバルブ56でポンプインペラ53a(入力側)とタービンランナ53b(出力側)とに対する作動油圧をコントロールすることによって行われる。
変速機構部54は、例えば、複数のプラネタリギヤ、クラッチ、ブレーキ、ワンウェイクラッチ等を含んで構成されており、例えば、前進6段、後進1段の変速が可能になっている。上記油圧制御装置55によって、変速機構部54のクラッチやブレーキが個別に係合、解放されることにより適宜の変速段(前進1〜6速段、後進段)を成立させるように構成されている。この変速機構部54の構成及び油圧制御装置55による制御動作は公知であるので、ここでは詳細な図示や説明を割愛する。
−エンジン制御装置40、トランスミッション制御装置45−
上記油圧制御装置55は、トランスミッション制御装置45により制御される。つまり、このトランスミッション制御装置45による油圧制御装置55の制御により、変速機構部54における適宜の変速段つまり動力伝達経路を成立させるようになっている。
上記油圧制御装置55は、トランスミッション制御装置45により制御される。つまり、このトランスミッション制御装置45による油圧制御装置55の制御により、変速機構部54における適宜の変速段つまり動力伝達経路を成立させるようになっている。
また、図4に示すように、上記エンジン制御装置40とトランスミッション制御装置45とは、エンジン制御やトランスミッション制御に必要な情報を互いに送受可能に接続されている。
エンジン制御装置40及びトランスミッション制御装置45は、図示していないが、共に一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされており、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAMなどを備えている。
ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
エンジン制御装置40には、図4に示すように、上記クランク角センサ21、カム角センサ22、圧力センサ23の他、スロットル開度センサ24などのエンジン1の運転状態を検出する各種センサが接続されており、その各センサの信号が入力される。また、このエンジン制御装置40は、スロットルバルブ19のアクチュエータ19a、及び、インジェクタ9などのエンジン1の各部を制御する。
トランスミッション制御装置45には、上記入力軸51の回転数を検出する入力軸回転数センサ61、出力軸52の回転数を検出する出力軸回転数センサ62、ドライバにより操作されるアクセルペダル18の開度を検出するアクセル開度センサ63、自動変速機50のシフトレバー位置を検出するシフトポジションセンサ64、駆動輪の速度(車輪速度)を検出する車輪速センサ65、車両の前後G変化を検出する車両前後Gセンサ66などが接続されている。
また、このトランスミッション制御装置45は、上記ロックアップコントロールバルブ56にロックアップクラッチ制御信号を出力する。このロックアップクラッチ制御信号に基づいてロックアップコントロールバルブ56がロックアップクラッチ53fの係合圧を制御し、上述したロックアップクラッチ53fの係合状態(トルコン状態)、解放状態(完全スリップ状態)、半係合状態(スリップ状態:フレックスロックアップ状態とも呼ばれる)が切り換えられるようになっている。
さらに、トランスミッション制御装置45は、自動変速機50の油圧制御装置55にソレノイド制御信号(油圧指令信号)を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて油圧制御装置55の油圧制御回路に備えられているリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定の変速段(第1変速段〜第6変速段、後退変速段など)を達成するように、自動変速機50の各クラッチ、各ブレーキなどが所定の状態に係合または解放される。
−ロックアップクラッチ作動マップ−
上述したロックアップクラッチ53fの係合状態、解放状態、半係合状態の切り換え動作は、例えば図5に示すようなロックアップクラッチ作動マップに従って行われる。このロックアップクラッチ作動マップは、車速V及びアクセル開度θTHをパラメータとし、それら車速V及びアクセル開度θTHに応じて、ロックアップクラッチ53fを、係合状態(ロックアップ状態)、解放状態(トルコン状態)、半係合状態(スリップ状態:フレックスロックアップ状態)の間で切り換えるためのマップであって、上記トランスミッション制御装置45のROM内に記憶されている。
上述したロックアップクラッチ53fの係合状態、解放状態、半係合状態の切り換え動作は、例えば図5に示すようなロックアップクラッチ作動マップに従って行われる。このロックアップクラッチ作動マップは、車速V及びアクセル開度θTHをパラメータとし、それら車速V及びアクセル開度θTHに応じて、ロックアップクラッチ53fを、係合状態(ロックアップ状態)、解放状態(トルコン状態)、半係合状態(スリップ状態:フレックスロックアップ状態)の間で切り換えるためのマップであって、上記トランスミッション制御装置45のROM内に記憶されている。
つまり、車速V及びアクセル開度θTHに基づいて、係合領域(ロックアップ作動領域)、解放領域(トルコン作動領域)、スリップ制御領域(フレックスロックアップ作動領域)のいずれの領域に属するかを判定し、その判定された領域の作動となるように上記ロックアップコントロールバルブ56を制御してロックアップクラッチ53fを係合、解放、或いは半係合のいずれかの状態とする制御を実行する。尚、上記アクセル開度θTHに代えてスロットル開度に応じたロックアップクラッチ作動マップ(車速とスロットル開度とに応じてロックアップクラッチ53fを制御するためのマップ)によりロックアップクラッチ53fの状態を切り換えるようにしてもよい。
上記スリップ制御領域では、運転性を損なうことなく燃料消費率を可及的に良くすることを目的としてエンジン1の回転変動を吸収しつつトルクコンバータ53の動力伝達損失を可及的に抑制するために、ロックアップクラッチ53fのスリップ制御を実行する。ロックアップクラッチ53fのスリップ制御については、タービン回転速度NTとエンジン回転速度NEとの回転速度差(スリップ量)NSLP(=NE−NT)を目標回転速度差(目標スリップ量:例えば50rpm)に制御するために、ロックアップクラッチ53fを制御するソレノイド弁に対して駆動信号を出力する。このスリップ制御のうちの減速走行時スリップ制御は、たとえば、アクセル開度θTHが略零で惰性走行(減速走行)する前進走行時において生じる駆動輪側からの逆入力をエンジン1側へ伝達する変速段、すなわちエンジンブレーキ作用が得られる変速段で行われ、タービン回転速度NT及びエンジン回転速度NEは、車両の減速にしたがって緩やかに減少させられる。このようにロックアップクラッチ53fがスリップ係合させられると、エンジン回転速度NEがタービン回転速度NT付近まで引き上げられるため、エンジン1に対する燃料供給量を抑制する制御状態(フューエルカット状態)がさらに長い期間維持されて燃費が向上する。
−ジャダ発生時の制御−
次に、本実施形態の特徴とする制御であるロックアップクラッチ53fにジャダが発生した場合の制御についての複数の実施形態を説明する。
次に、本実施形態の特徴とする制御であるロックアップクラッチ53fにジャダが発生した場合の制御についての複数の実施形態を説明する。
このジャダ(自励振動)は、上記スリップ制御の実行中にロックアップクラッチ53fにおいて発生することがある。このジャダは、ロックアップクラッチ53fの摩擦特性(一般にμ−V特性と呼ばれている)などに起因するもので、この摩擦特性が滑り速度(トルクコンバータ53のポンプ回転速度とタービン回転速度との差)Vに対して負勾配の場合に発生し易い。すなわち、滑り速度Vが大きくなると摩擦力が低下するため、滑り速度Vが更に増加し易くなり、これによってジャダは継続的に発生することになる。以下の各実施形態で述べる制御は、このジャダが発生した場合に、それを解消するための制御である。
(第1実施形態)
先ず、ジャダ解消のための制御についての第1実施形態を説明する。本実施形態は、ジャダ発生時において、このジャダを迅速に解消するための制御を行う。具体的には、上記車両前後Gセンサ66によって車両の前後Gの変化を検出することでジャダの発生の有無を判断する(ジャダ発生判定手段によるジャダ発生判定動作)。そして、ジャダが発生していると判断された場合には、スロットルバルブ19の開度やインジェクタ9からの燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に変化させ、これによってジャダを解消するようにしている(トルク変更手段による一時的なトルク変更動作)。この実施形態にあっては、ジャダ解消制御として、エンジントルクを一時的に減少させる(以下、エンジントルク減少制御と呼ぶ)場合について説明する。
先ず、ジャダ解消のための制御についての第1実施形態を説明する。本実施形態は、ジャダ発生時において、このジャダを迅速に解消するための制御を行う。具体的には、上記車両前後Gセンサ66によって車両の前後Gの変化を検出することでジャダの発生の有無を判断する(ジャダ発生判定手段によるジャダ発生判定動作)。そして、ジャダが発生していると判断された場合には、スロットルバルブ19の開度やインジェクタ9からの燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に変化させ、これによってジャダを解消するようにしている(トルク変更手段による一時的なトルク変更動作)。この実施形態にあっては、ジャダ解消制御として、エンジントルクを一時的に減少させる(以下、エンジントルク減少制御と呼ぶ)場合について説明する。
尚、上記エンジントルクを一時的に変化させる手段としては、上述したスロットル開度や燃料噴射量に限らず、点火プラグ11の点火タイミングや、吸排気各バルブ7,8のバルブタイミングを制御するようにしてもよい。
以下、図6のフローチャートに沿ってジャダ発生時の制御手順について具体的に説明する。この図6に示すルーチンは、所定時間毎、または、クランクシャフト10の所定角度回転毎に実行される。
先ず、ステップST1において、現在、スリップ制御中であるか否かを判定する。この判定動作としては、上記出力軸回転数センサ62によって検出される出力軸52の回転数に基づいて算出される車速Vと、上記アクセル開度センサ63によって検出されるアクセル開度θTHとが、上述したロックアップクラッチ作動マップ(図5)においてスリップ制御領域にあるか否かを判定することによって行われる。
そして、スリップ制御中ではなく、ステップST1でNO判定された場合には本ルーチンを終了する。
一方、スリップ制御中である場合には、ステップST1でYES判定され、ステップST2に移る。このステップST2では、ロックアップクラッチ53fのジャダ検出動作が行われる。具体的には、上記車両前後Gセンサ66によって車両の前後G変化を検出することでジャダの発生の有無を判断する。つまり、ロックアップクラッチ53fにジャダが発生している場合、タービンランナ53bに回転変動が生じ、その回転変動はそのまま駆動輪の回転変動として現れ、車両の前後Gが大きく変化することになる。このため、この車両の前後Gを検出することでジャダの発生の有無が判断可能である。尚、このジャダの発生の有無を判断するための手法としては、上述した車両の前後Gを検出するものに代えて、上記入力軸回転数センサ61によって検出される入力軸51の回転数の変動に基づいて判断するようにしてもよい。
車両の前後Gの変動が所定量未満であってジャダが発生していないと判定された場合(ステップST2でNO判定された場合)には本ルーチンを終了する。
一方、車両の前後Gの変動が所定量以上であってジャダが発生していると判定された場合(ステップST2でYES判定された場合)には、ステップST3に移る。このステップST3以降の制御動作では、ジャダの発生に伴う車両の振動(車両の前後Gの変動)が、予め設定された3段階のうちの何れの段階にあるかを判定する。以下の説明では、レベル1、レベル2、レベル3の順で車両の振動レベルが大きくなっている。
先ず、ステップST3は、ジャダの発生に伴う車両の振動が、レベル1を超えているか否かを判定する。そして、車両の振動がレベル1を超えておらず、ステップST3でNO判定された場合には、ジャダ解消のための制御は未だ必要ないとして、本ルーチンを終了する。
一方、車両の振動がレベル1を超えている場合には、ステップST3でYES判定され、ステップST4に移る。このステップST4では、ジャダの発生に伴う車両の振動が、レベル2を超えているか否かを判定する。そして、車両の振動がレベル2を超えておらず、ステップST3でNO判定された場合、つまり、車両の振動がレベル1を超えており且つレベル2以下である場合には、ステップST6に移り、ジャダ解消のための制御を実行する。この場合、車両の振動は比較的小さいとして、一時的なエンジントルク減少制御としては、その減少量及び減少時間(一時的にトルクを減少させておく時間)を共に比較的小さく設定する。ここでは、エンジントルク減少制御におけるトルク減少量(トルク変更量)をX1とし、減少時間(トルク変更時間)をY1とする。これら値については後述する。
上記ジャダの発生に伴う車両の振動が、レベル2を超えており、ステップST4でYES判定された場合には、ステップST5に移る。このステップST5では、ジャダの発生に伴う車両の振動が、レベル3を超えているか否かを判定する。そして、車両の振動がレベル3を超えておらず、ステップST5でNO判定された場合、つまり、車両の振動がレベル2を超えており且つレベル3以下である場合には、ステップST7に移り、ジャダ解消のための制御を実行する。この場合、車両の振動は中程度であるとして、一時的なエンジントルク減少制御としては、その減少量及び減少時間を共に中程度に設定する。ここでは、エンジントルク減少制御におけるトルク減少量をX2とし、減少時間をY2とする。これら値については後述する。
一方、ジャダの発生に伴う車両の振動が、レベル3を超えており、ステップST5でYES判定された場合には、ステップST8に移り、ジャダ解消のための制御を実行する。この場合、車両の振動は非常に大きいとして、一時的なエンジントルク減少制御としては、その減少量及び減少時間を共に大きく設定する。ここでは、エンジントルク減少制御におけるトルク減少量をX3とし、減少時間をY3とする。
上記ステップST6〜ステップST8において設定されるエンジントルク減少制御におけるトルク減少量及び減少時間として、具体的に、エンジントルク減少制御の開始前におけるエンジントルクが120Nmであった場合には、上記X1は「−30Nm」、上記X2は「−40Nm」、上記X3は「−50Nm」に設定される。これら値はこれに限定されるものではなく、車両の共振周波数、エンジン特性、その他の要件に応じて適宜設定される。
また、上記Y1は「振動の1周期分」、上記Y2は「振動の1.5周期分」、上記Y3は「振動の2周期分」に設定される。これら値もこれに限定されるものではなく、適宜設定される。具体的な制御時間としては、車体の振動が20Hzであった場合、上記Y1では50msec、上記Y2では75msec、上記Y3では100msecとなる。これは、エンジントルクが減少する時間が、例えば300msec程度にまで達すると、ドライバに違和感を生じさせることになりドライバビリティの悪化に繋がるため、この違和感を生じさせない極めて短い時間に限って上記ジャダ解消制御(エンジントルク減少制御)を行うようにしている。これら値もこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
尚、上述した説明では、ジャダ解消制御としてエンジントルクを減少させるようにしていたが、エンジントルクを増大させるようにしても同様のジャダ解消を行うことが可能である(エンジントルク増大制御)。この場合にも、ジャダの発生に伴う車体の振動が大きいほど、一時的なエンジントルク増大制御を行う際のトルク増大量及び増大時間を大きく設定するようにする。
具体的には、エンジントルク増大制御の開始前におけるエンジントルクが120Nmであった場合には、上記X1は「+30Nm」、上記X2は「+40Nm」、上記X3は「+50Nm」に設定される。これら値はこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
また、上記増大時間としては、上述したエンジントルク減少制御の場合と同様に、上記Y1は「振動の1周期分」、上記Y2は「振動の1.5周期分」、上記Y3は「振動の2周期分」に設定される。これら値もこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
図7は、本実施形態のジャダ発生時における車両振動とエンジントルクを変化させるためのトルク指令値(エンジン制御装置40からのトルク指令信号)との一例を示す波形図である。
この図7において、タイミングT1で車両振動が所定値以上に達してジャダの発生が認識され、その時点からエンジントルク減少制御が開始されている。尚、この図7に示す波形は、車両振動の2周期分の時間だけエンジントルク減少制御が行われている。つまり、図6で示したフローチャートにおいて、車両の振動がレベル3を超えており、トルク減少量がX2に設定され減少時間がY2に設定された場合(ステップST8のエンジントルク減少制御)の例を示している。尚、図7の一点鎖線は、本実施形態に係るエンジントルク減少制御が行われず、ジャダが継続して発生する場合の車両振動波形を示している。
以上のように本実施形態では、ロックアップクラッチ53fにジャダが発生した場合には、そのジャダの発生に伴う振動レベルに応じて所定のトルク減少量及び減少時間でのエンジントルク減少制御が行われる。これにより、ロックアップクラッチ53fの入力トルクが変化し、それに伴ってジャダが解消されて、車両の振動が収束する。このように、本実施形態では、スリップ制御を中止したり目標スリップ量を変更したりすることなしに、迅速にジャダを解消することができる。また、エンジントルクの変更は一時的であって、トルク変更期間が長くなることで運転者に違和感を生じさせるといったことがない。そのため、ジャダの早期解消によってドライバビリティを良好に確保することができ、燃料消費率の悪化が防止でき、ロックアップクラッチ53fの耐久性に悪影響を与えてしまうこともなくなる。
また、本実施形態に係るジャダ解消制御(エンジントルク減少制御)では、予めプリセットされた(上記エンジン制御装置40のROMに記憶された)トルク減少量及び減少時間に従ってエンジントルクをフィードフォワード的に変化させるようにしている。このため、フィードバック制御では対応が難しい高周波数の振動に対しても適切に対応することが可能である。例えば、上記ジャダの発生に伴う車両振動の周波数が20Hz〜40Hzと比較的高い周波数であったとしても、本実施形態によれば、十分に振動を解消することが可能である。また、複雑なアルゴリズムにより制御プログラムを構築しておく必要がないので、極めて制御性が良好である。
尚、エンジン1の特性バラツキや燃料性状等によりトルクの応答性や実トルクが変化する可能性があることを考慮し、これらに応じて上記トルク変更量やトルク変更時間を調整するようにしてもよい。これによれば、エンジン1の個体差などに応じた適切なジャダ解消制御を実施することが可能になる。
(第2実施形態)
次に、ジャダ解消のための制御についての第2実施形態を説明する。本実施形態も上述した第1実施形態の場合と同様に、ジャダの発生時には、スロットルバルブ19の開度やインジェクタ9からの燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に変化させ、これによってジャダを解消するものである。そして、本実施形態では、上記ジャダの発生に伴う車両の振動の周期に対して逆位相の周期でエンジントルクを周期的に変化させるようにしている。
次に、ジャダ解消のための制御についての第2実施形態を説明する。本実施形態も上述した第1実施形態の場合と同様に、ジャダの発生時には、スロットルバルブ19の開度やインジェクタ9からの燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に変化させ、これによってジャダを解消するものである。そして、本実施形態では、上記ジャダの発生に伴う車両の振動の周期に対して逆位相の周期でエンジントルクを周期的に変化させるようにしている。
図8は、本実施形態のジャダ発生時における車両振動とエンジントルク(ロックアップクラッチ53fの入力トルク)の変化とを示す波形図である。
この図8に示すように、ジャダ発生時における車両振動の周期に対して逆位相の周期で振動(車両前後方向の振動)が発生するようにエンジントルクを周期的に変化させる(エンジントルクの変化勾配を調整する)ことにより、これらジャダの発生に伴う車両の振動とエンジントルクの周期的な変化に伴う車両の振動とを相殺することが可能になり、車両の振動を大幅に低減することが可能になる。つまり、ジャダの発生に起因して車両前後Gが車両加速側に発生する際にはエンジントルクを減少させ、ジャダの発生に起因して車両前後Gが車両減速側に発生する際にはエンジントルクを増大させる。これにより、車両前後Gが互いに相殺されることになり、車両の振動を大幅に低減することが可能になる。
具体的には、予め実験やシミュレーションなどによって、エンジントルクの周期的な変化と車両の振動(車両前後Gの大きさ)の変化とを認識しておき、上記車両前後Gセンサ66によって検出した車両の前後G変化に起因する車両振動とは逆位相の車両前後振動が発生するように、スロットルバルブ19の開度やインジェクタ9からの燃料噴射量を制御することで、両振動を相殺するようにしている。
この場合、エンジン制御装置40からの指令信号に応じてエンジントルクの調整動作が行われることになるが、その制御指示に対して実トルクの応答遅れが生じるため、予め、この応答遅れ時間を求めておき、その時間を考慮したタイミングでエンジン制御装置40から指令信号が発信されるようにしておく。この応答遅れ時間は、実験やシミュレーション等によって予め求めておく。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、ジャダの発生時には、燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に変化させ、これによってジャダを解消するようにしていた。本実施形態では、これに代えて、ジャダの発生時には、ロックアップクラッチ53fの油圧指令値を一時的に変更することで、係合力を変化させ、これによって、スリップ制御を継続しながらも振動系の剛性を変化させてジャダを解消するものである(ロックアップクラッチ係合力変更手段による一時的な係合力変更動作)。ここでは、ロックアップクラッチ53fの係合油圧(以下、スリップ油圧と呼ぶ場合もある)を高めるように油圧指令値を変更し、係合力を増加させる場合について説明する。
次に、第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、ジャダの発生時には、燃料噴射量を制御するなどして、スリップ制御を継続しながらもエンジントルクを一時的に変化させ、これによってジャダを解消するようにしていた。本実施形態では、これに代えて、ジャダの発生時には、ロックアップクラッチ53fの油圧指令値を一時的に変更することで、係合力を変化させ、これによって、スリップ制御を継続しながらも振動系の剛性を変化させてジャダを解消するものである(ロックアップクラッチ係合力変更手段による一時的な係合力変更動作)。ここでは、ロックアップクラッチ53fの係合油圧(以下、スリップ油圧と呼ぶ場合もある)を高めるように油圧指令値を変更し、係合力を増加させる場合について説明する。
本実施形態に係るジャダ解消制御動作としては、上述した第1実施形態において図6のフローチャートを用いて説明した動作に対して、上記ステップST6〜ステップST8の動作が異なるのみである。従って、ここでは、これらステップST6〜ステップST8に代わる動作についてのみ説明する。
車両の振動がレベル1を超えており且つレベル2以下である場合(図6のフローチャートにおけるステップST6に相当)には、車両の振動は比較的小さいとして、一時的なスリップ油圧上昇制御としては、その油圧上昇量及び油圧上昇時間(一時的にスリップ油圧を上昇させる時間)を共に比較的小さく設定する。ここでは、スリップ油圧上昇制御における油圧上昇量をX1とし、油圧上昇時間をY1とする。これら値については後述する。
上記ジャダの発生に伴う車両の振動がレベル2を超えており且つレベル3以下である場合(図6のフローチャートにおけるステップST7に相当)には、車両の振動は中程度であるとして、一時的なスリップ油圧上昇制御としては、その油圧上昇量及び油圧上昇時間を共に中程度に設定する。ここでは、スリップ油圧上昇制御における油圧上昇量をX2とし、油圧上昇時間をY2とする。これら値については後述する。
一方、ジャダの発生に伴う車両の振動が、レベル3を超えている場合(図6のフローチャートにおけるステップST8に相当)には、車両の振動は非常に大きいとして、一時的なスリップ油圧上昇制御としては、その油圧上昇量及び油圧上昇時間を共に大きく設定する。ここでは、スリップ油圧上昇制御における油圧上昇量をX3とし、油圧上昇時間をY3とする。
上述した油圧上昇量及び油圧上昇時間として、具体的に、スリップ油圧上昇制御の開始前におけるスリップ油圧が210kPaであった場合には、上記X1は「+30kPa」、上記X2は「+40kPa」、上記X3は「+50kPa」に設定される。これら値はこれに限定されるものではなく、車両の共振周波数、エンジン特性、その他の要件に応じて適宜設定される。
また、上記Y1は「振動の1周期分」、上記Y2は「振動の1.5周期分」、上記Y3は「振動の2周期分」に設定される。これら値もこれに限定されるものではなく、適宜設定される。具体的な制御時間としては、上述した実施形態の場合と同様に、車両の振動が20Hzであった場合、上記Y1では50msec、上記Y2では75msec、上記Y3では100msecとなる。これは、油圧上昇時間が150msec未満であれば、油圧上昇に伴うこもり音や排気エミッションへの悪影響は殆ど無いため、極めて短い時間に限って上記ジャダ解消制御動作(スリップ油圧上昇制御)を行うようにしている。これら値もこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
尚、上述した説明では、ジャダ解消制御としてはスリップ油圧を上昇させるようにしていたが、スリップ油圧を下降させるようにしても同様のジャダ解消を行うことが可能である(スリップ油圧下降制御)。この場合にも、ジャダの発生に伴う車体の振動が大きいほど、一時的なスリップ油圧下降制御を行う際の油圧下降量及び油圧下降時間を大きく設定するようにする。
具体的には、スリップ油圧下降制御の開始前におけるスリップ油圧が210kPaであった場合には、上記X1は「−30kPa」、上記X2は「−40kPa」、上記X3は「−50kPa」に設定される。これら値はこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
また、上記油圧下降時間としては、上述したスリップ油圧上昇制御の場合と同様に、上記Y1は「振動の1周期分」、上記Y2は「振動の1.5周期分」、上記Y3は「振動の2周期分」に設定される。これら値もこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
図9は、本実施形態のジャダ発生時における車両振動とスリップ油圧を変化させるための油圧指令値(トランスミッション制御装置45からの油圧指令信号)との一例を示す波形図である。
この図9において、タイミングT1で車両振動が所定値以上に達してジャダの発生が認識され、その時点からスリップ油圧上昇制御が開始されている。尚、この図9に示す波形は、車体振動の2周期分の時間だけスリップ油圧上昇制御が行われている。つまり、車両の振動がレベル3を超えており、油圧上昇量がX3に設定され油圧上昇時間がY3に設定された場合の例を示している。尚、図9の一点鎖線は、本実施形態に係るスリップ油圧上昇制御が行われず、ジャダが継続して発生する場合の車体振動波形を示している。
以上のように本実施形態においても、ロックアップクラッチ53fにジャダが発生した場合には、そのジャダの発生に伴う振動レベルに応じて所定の油圧上昇量及び油圧上昇時間でのスリップ油圧上昇制御が行われる。これにより、振動系の剛性が変化し、それに伴ってジャダが解消されて、車両の振動が収束する。このように、本実施形態では、スリップ制御を中止したり目標スリップ量を変更したりすることなしに、迅速にジャダを解消することができる。また、スリップ油圧の変更は一時的であって、ジャダの早期解消によってドライバビリティを良好に確保することができ、燃料消費率の悪化が防止でき、ロックアップクラッチ53fの耐久性に悪影響を与えてしまうこともなくなる。また、こもり音の発生期間が最小限に抑えられ、乗員に違和感を与えることなしにジャダを解消することができる。
また、本実施形態に係るジャダ解消制御(スリップ油圧上昇制御)においても、予めプリセットされた(上記トランスミッション制御装置45のROMに記憶された)スリップ油圧上昇量及びスリップ油圧上昇時間に従ってスリップ油圧(ロックアップクラッチの係合力)をフィードフォワード的に変化させるようにしている。このため、フィードバック制御では対応が難しい高周波数の振動に対しても適切に対応することが可能である。また、複雑なアルゴリズムにより制御プログラムを構築しておく必要がないので、極めて制御性が良好である。
(第4実施形態)
次に、ジャダ解消のための制御についての第4実施形態を説明する。本実施形態も上述した第3実施形態の場合と同様に、ジャダの発生時には、スリップ油圧を変更することにより、スリップ制御を継続しながらジャダを解消するものである。そして、本実施形態では、上記ジャダの発生に伴う車両の振動の周期に対して逆位相の周期でスリップ油圧を周期的に変化させる(スリップ油圧の変化勾配を調整する)ようにしている。
次に、ジャダ解消のための制御についての第4実施形態を説明する。本実施形態も上述した第3実施形態の場合と同様に、ジャダの発生時には、スリップ油圧を変更することにより、スリップ制御を継続しながらジャダを解消するものである。そして、本実施形態では、上記ジャダの発生に伴う車両の振動の周期に対して逆位相の周期でスリップ油圧を周期的に変化させる(スリップ油圧の変化勾配を調整する)ようにしている。
このようにして車両の振動の周期に対して逆位相の周期でスリップ油圧を周期的に変化させるようにした場合に、スリップ油圧の変化によって発生する振動と車両の振動を相殺することが可能になり、車両の振動を大幅に低減することが可能になる。例えば、ジャダの発生に起因して車両前後Gが車両加速側に発生する際にはスリップ油圧を低くする一方、ジャダの発生に起因して車両前後Gが車両減速側に発生する際にはスリップ油圧を高くする。これにより、車両前後Gが互いに相殺されることになり、車両の振動を大幅に低減することが可能になる。
具体的には、予め実験やシミュレーションなどによって、スリップ油圧の周期的な変化と車両の振動(車両前後Gの大きさ)の変化とを認識しておき、上記車両前後Gセンサ66によって検出した車両の前後G変化に起因する車両振動とは逆位相の車両前後振動が発生するように、上記ロックアップコントロールバルブ56への油圧指令値を調整してスリップ油圧を制御することで、両振動を相殺するようにしている。
この場合、トランスミッション制御装置45からの指令信号に応じてスリップ油圧の調整動作が行われることになるが、その制御指示に対して実際の油圧変化の応答遅れが生じるため、予め、この応答遅れ時間を求めておき、その時間を考慮したタイミングでトランスミッション制御装置45から指令信号が発信されるようにしておく。この応答遅れ時間は、実験やシミュレーション等によって予め求めておく。
また、本実施形態において、変速機構部54に備えられたクラッチやブレーキ(摩擦係合要素)の作動学習制御を実施している場合には、その学習値により、自動変速機50のバラツキ(油圧の応用性や摩擦材の摩擦係数などのバラツキ)を予測してスリップ油圧変更量を補正するようにしてもよい。
−他の実施形態−
以上説明した各実施形態では、ガソリンエンジンを搭載した自動車に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、ディーゼルエンジンを搭載した自動車にも適用可能である。また、自動車用以外の用途に利用されるエンジンに対しても本発明は適用が可能である。また、直列型エンジンに限らず、V型エンジン、水平対向型エンジン等に対しても本発明は適用可能である。更に、気筒数、燃料噴射方式、その他、エンジンの仕様は特に限定されるものではない。
以上説明した各実施形態では、ガソリンエンジンを搭載した自動車に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、ディーゼルエンジンを搭載した自動車にも適用可能である。また、自動車用以外の用途に利用されるエンジンに対しても本発明は適用が可能である。また、直列型エンジンに限らず、V型エンジン、水平対向型エンジン等に対しても本発明は適用可能である。更に、気筒数、燃料噴射方式、その他、エンジンの仕様は特に限定されるものではない。
また、ジャダ解消制御として、変速機構部54に備えられたクラッチやブレーキ(摩擦係合要素)を一時的に解放することによりジャダを解消して車両振動を抑制するようにすることも可能である。具体的には、上述した実施形態の場合と同様に車両前後Gセンサ66によってジャダの発生を検出し、ジャダの発生時には、車両振動の2周期分だけ上記クラッチまたはブレーキを解放する。これによっても迅速にジャダを解消することが可能である。
尚、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、ジャダ解消制御として、トルク変更量及びトルク変更時間を共に振動レベルの大きさに応じて変更するようにしていた。本発明はこれに限らず、トルク変更量及びトルク変更時間のうち一方のみを振動レベルの大きさに応じて変更するようにしてもよい。同様に、上述した第3実施形態及び第4実施形態では、ジャダ解消制御として、スリップ油圧変更量及びスリップ油圧変更時間を共に振動レベルの大きさに応じて変更するようにしていた。本発明はこれに限らず、スリップ油圧変更量及びスリップ油圧変更時間のうち一方のみを振動レベルの大きさに応じて変更するようにしてもよい。
本発明は、スリップ制御が可能なロックアップクラッチにおいてジャダが発生した場合のジャダ解消制御に適用することが可能である。
1 エンジン(内燃機関)
40 エンジン制御装置
45 トランスミッション制御装置
50 自動変速機
53 トルクコンバータ(流体式動力伝達装置)
53f ロックアップクラッチ
40 エンジン制御装置
45 トランスミッション制御装置
50 自動変速機
53 トルクコンバータ(流体式動力伝達装置)
53f ロックアップクラッチ
Claims (10)
- 駆動力入力側と駆動力出力側とを半係合状態とするスリップ制御が可能なロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置を介して、内燃機関と変速機とが連結された車両用駆動装置の制御装置において、
車両の振動を検知することによりロックアップクラッチにジャダが発生したか否かを判定するジャダ発生判定手段と、
上記スリップ制御の実行中にジャダが発生したと判定された際、上記内燃機関の出力トルクを、ジャダ発生状態での出力トルクとは異なる出力トルクとなるように一時的なトルク変更動作を行うトルク変更手段とを備えていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 駆動力入力側と駆動力出力側とを半係合状態とするスリップ制御が可能なロックアップクラッチを有する流体式動力伝達装置を介して、内燃機関と変速機とが連結された車両用駆動装置の制御装置において、
車両の振動を検知することによりロックアップクラッチにジャダが発生したか否かを判定するジャダ発生判定手段と、
上記スリップ制御の実行中にジャダが発生したと判定された際、上記ロックアップクラッチの係合力を、ジャダ発生状態での係合力とは異なる係合力となるように一時的に変更動作を行うロックアップクラッチ係合力変更手段とを備えていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項1記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記トルク変更手段による一時的なトルク変更動作の期間は、上記ジャダの発生に起因する車両振動の2周期分に相当する期間以下に設定されていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項1または3記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記トルク変更手段は、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的なトルク変更動作を行う際のトルク変更幅を大きく設定するよう構成されていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項1、3または4記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記トルク変更手段は、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的にトルク変更動作を行う時間を長く設定するよう構成されていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項1、3、4または5記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記トルク変更手段は、一時的なトルク変更動作を行う際、車両の振動周期に対して逆位相の周期で振動が発生するように上記内燃機関の出力トルクを周期的に変化させる構成とされていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項2記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記ロックアップクラッチ係合力変更手段による一時的な係合力変更動作の期間は、上記ジャダの発生に起因する車両振動の2周期分に相当する期間以下に設定されていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項2または7記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記ロックアップクラッチ係合力変更手段は、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的な係合力変更動作を行う際の係合力変更幅を大きく設定するよう構成されていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項2、7または8記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記ロックアップクラッチ係合力変更手段は、ジャダの発生に伴う車両の振動レベルが大きいほど、一時的に係合力変更動作を行う時間を長く設定するよう構成されていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。 - 上記請求項2、7、8または9記載の車両用駆動装置の制御装置において、
上記ロックアップクラッチ係合力変更手段は、一時的な係合力変更動作を行う際、車両の振動周期に対して逆位相の周期で振動が発生するように上記ロックアップクラッチの係合力を周期的に変化させる構成とされていることを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。
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