JP2010196109A - 全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶など構造安全性が強く求められる溶接構造物に好適な、全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた板厚20mm以下の薄物の厚鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03%以上、0.10%未満、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、必要に応じて、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B、Caの一種または二種以上Ceq(={C}+{Mn}/6+{Cu+Ni}/15+{Cr+Mo+V}/5、但し、各元素は含有量(質量%)):0.3〜0.4、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、1000℃以上、1250℃以下に加熱し、Ar点以上での累積圧下率が50%以上となるように、Ar点以上の圧延終了温度で圧延後、引続きオンラインで、Ar点以上の温度域より600℃以下300℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなど構造安全性が強く求められる溶接構造物用に適用される、疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法に関し、特に伸びの低下が問題となる板厚20mm以下の薄物の厚鋼板のオンライン製造方法として好適なものに関する。
船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなどの構造物に使用される鋼材は、強度、靭性などの機械的性質や溶接性に優れていることに加えて、常時稼動における繰返し荷重や風、地震等による震動に起因する繰返しに対して構造物の構造安全性を担保しなければならない。
繰返し荷重に対しては疲労特性に優れていることが要求され、特に部材の破断といった終局的な破壊を防止するためには、鋼材の有する疲労き裂の伝播抵抗性を向上することが効果的と考える。
一般的な溶接構造物の場合、溶接止端部は応力集中部になりやすく、溶接による引張残留応力も作用するため疲労き裂の発生源となることが多く、その防止策として、止端部をなめ付け溶接したり、ショットピーニングにより圧縮残留応力を導入することが知られている。
しかしながら、溶接構造物には多数の溶接止端部があり、またコスト的にも負担が大きいため、これらの方法は工業的規模での実施には不適当で、溶接構造物の耐疲労特性は使用される鋼材自体の疲労き裂伝播特性の向上により図られることが多い。
これら鋼構造物においては鋼板に対して様々な方向、例えば、圧延方向に対して様々な方向から自由に溶接施工される場合が多く、それゆえ疲労き裂発生・伝播の方向も様々であるため、鋼板の疲労き裂伝播抵抗性能も鋼中における方向を問わずに高い性能をもつことが望ましい。
特許文献1はタンカー用鋼板に関し、その組織をフェライトの第一相ならびにベイナイトおよび/またはパーライトの第二相の混合組織からなり、前記フェライトの平均粒径が20μm以下とすることで湿潤硫化水素環境で耐疲労き裂進展特性に優れることが記載されている。
特許文献2には組織を硬質部の素地とこの素地に分散した軟質部とで構成し、両者の硬度差がビッカース硬度で150以上であることを特徴とする疲労き裂進展抑制効果を有する鋼板が記載されている。
特許文献3には断面の鋼組織がフェライトとベイナイトであって、フェライト相は面積率で38%以上52%以下で、そのフェライト相部分の硬さが80HV0.02〜150HV0.02であり、かつフェライト相とベイナイト相の境界が断面内任意の場所に引いた直線上において50〜300カ所/mmの密度で存在することを特徴とする、疲労き裂進展抵抗性に優れた引張り強さが55kgf/mm以上のフェライト・ベイナイト二相鋼が記載されている。
特許文献4には疲労き裂進展方向の第二相間の界面から次の第二相への界面との間隔が25μm以下であり、板厚方向の断面組織が面積率で60〜90%のフェライト母相と第二相からなり、第二相の硬さ:Hv(SP)とフェライトの硬さ:Hv(F)が特定の式で示される値を満足し、かつ第二相のアスペクト比:1(長軸長さ)/d(短軸長さ)が1/d>3.42であることを特徴とする疲労き裂伝播特性の優れた鋼材が記載されている。
特許文献5は延性と耐疲労き裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法に関し、圧延後の加速冷却の途中で一時冷却を停止し、所定時間保持した後に再び加速冷却をすることにより、板厚方向に均質な微細なフェライトとミクロ組織中に分散した微細構造パーライトを主体とするミクロ組織とすることが記載されている。
特許文献6は板厚方向の強度差が小さい疲労き裂伝播特性に優れた鋼材の製造方法に関し、特許文献5より高強度厚肉材の製造が可能なようにC量を0.10〜0.16%とし、加速冷却もAr点以上での熱間圧延終了後に一定時間空冷した後、高温から冷却開始することが記載されている。
特許文献7は耐延性き裂発生特性と耐疲労き裂伝播特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法に関し、ミクロ組織が微細フェライトを面積分率で10〜40%含む、ベイナイト、マルテンサイト若しくは両者の混合組織で、引張強度550MPa以上の厚肉材を、熱間圧延をAr点以上で終了後、一定時間空冷した後、直接焼入れにより製造することが記載されている。
特許第2785643号公報 特許第2962134号公報 特許第3489243号公報 特許第3434434号公報 特開2005−314811号公報 特開2005−314812号公報 特開2007−197777号公報
ところで、特許文献1〜4、6,7記載の発明に係る鋼板はいずれも、疲労き裂伝播抵抗性を向上するために硬質相としてベイナイトあるいはマルテンサイトなどを導入しているが、これら硬質相の利用は全伸びの劣化をもたらす。
特に、本発明で対象としている、圧延と加速冷却制御によるオンラインプロセスにより、疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板を製造する場合、このような硬質相を得るため、冷却停止温度を下げることが必要で、板厚20mm以下の薄物においては、冷却停止温度低下のために全伸びが顕著に低下する問題があった、すなわち、板厚20mm以下になると疲労き裂伝播抵抗性と全伸びの両立が困難であった。板厚20mm(18mm)超えでは、この両立は比較的容易である。
船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなどの構造物に使用される鋼材では、規格において全伸び値が規定されることが多く、疲労き裂伝播抵抗性を向上させる場合も、全伸びが規格値を満たすことが前提であるが、従来、疲労き裂伝播抵抗性と全伸びの両者を制御できる製造指針は得られていない。尚、特許文献5〜7記載の発明は、板厚20mm以上も対象で、圧延後、冷却開始まで一定時間空冷を必要とし、板厚20mm以下の薄板材の製造方法として最適なものとは言い難い。このように、板厚20mm以下の板厚において、疲労き裂伝播抵抗性と全伸びの両立を適切に制御する技術が望まれている。
そこで、本発明は、全伸びに優れ、かつ疲労き裂伝播抵抗性に優れた板厚20mm以下、特に板厚18mm未満の薄物の厚鋼板の製造に好適な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、可逆式圧延機による圧延と搬送ライン上に設けた加速冷却装置で加速冷却を行うオンラインプロセスによって製造される厚鋼板を対象に、全伸びならびに疲労き裂伝播におよぼす化学成分と製造条件の影響を詳細に検討し、板厚20mm以下の厚鋼板を製造する場合は、C添加量を低くしてCeqを特定の範囲に制御し、冷却停止温度を低くすることで、圧延後加速冷却開始前に一定時間の空冷を必要とせずに、優れた伸びと疲労き裂伝播抵抗性とを両立させることを知見した。
本発明は、得られた知見に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は
1.質量%で、C:0.03%以上、0.10%未満、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Ceq(={C}+{Mn}/6+{Cu+Ni}/15+{Cr+Mo+V}/5、但し、各元素は含有量(質量%)):0.3〜0.4、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、1000℃以上、1250℃以下に加熱し、Ar点以上での累積圧下率が50%以上となるように、Ar点以上の圧延終了温度で圧延後、引続きオンラインで、Ar点以上の温度域より600℃以下300℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却することを特徴とする、全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法。
2.更に、鋼成分として、質量%で、Cu:0.4%以下、Ni:0.8%以下、Cr:0.4%以下、Mo:0.4%以下、Nb:0.05%以下、V:0.05%以下、Ti:0.03%以下、B:0.003%以下、Ca:0.005%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする1記載の全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法。
3.板厚20mm以下であることを特徴とする1または2記載の全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、全伸びに優れ、かつ高い疲労き裂伝播抵抗性を有した、板厚20mm以下、最適には板厚18mm未満の薄物厚鋼板の製造方法が得られ、例え、応力集中部や溶接部等から疲労き裂が経年的に発生したとしても、その後の伝播を遅らせて、鋼構造物の安全性を高めることが可能であり、産業上極めて有用である。
片側切欠単純引張型疲労試験片の形状を示す図(板厚12mmの場合)。
本発明の成分組成、製造条件の規定について詳細に説明する。
[成分組成]説明において%は質量%とする。

Cは強度を確保するため0.03%以上添加する。0.10%以上添加すると、圧延・加速冷却制御によるオンラインプロセスにおいて、全伸びの劣化を伴うとともに、溶接性が劣化するため、0.03%以上0.10%未満を添加する。
Si
Siは脱酸作用と強度を確保するため0.05%以上添加する。0.50%を超えて添加すると溶接性、靭性が劣化するため、0.05〜0.50%(0.05%以上、0.50%以下)、好ましくは0.10〜0.40%とする。
Mn
Mnは焼入れ性の増加により、強度、靭性を確保させるため、0.5%以上添加する。2.0%を超えると全伸びが低下するとともに溶接性を劣化させるため、0.5〜2.0%、好ましくは0.8〜1.6%を添加する。

Pは不可避的不純物で、靭性を劣化させるため、その含有量は少ないほど良く、製造コスト上、0.05%以下、好ましくは0.03%以下とする。

Sは不可避的不純物で、靭性を劣化させるため、その含有量は少ないほど良く、製造コスト上、0.02%以下、好ましくは0.01%以下とする。
Ceq(={C}+{Mn}/6+{Cu+Ni}/15+{Cr+Mo+V}/5、但し、各元素は含有量(質量%)):0.3〜0.4
Ceq(={C}+{Mn}/6+{Cu+Ni}/15+{Cr+Mo+V}/5)は、本発明が対象とする、圧延と加速冷却制御を行うオンラインプロセスにより、疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板を製造するに際し、570MPa級の強度を確保するために規定する。Ceqが0.3未満であると570MPa級の強度を確保するのが困難になり、一方0.4を超えると強度の不必要な上昇と全伸びの劣化を招くため、0.3〜0.4とする。
以上が本発明に係る鋼の基本成分組成であるが、更に強度、靭性、溶接性および耐候性を向上させたり、付与する場合、Cu,Ni、Cr,Mo、Nb,V,Ti,B、Caの一種または二種以上を添加する。
Cu
Cuは固溶により強度を上昇させ、また耐候性を向上させるので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.4%を超えると溶接性が損なわれ、鋼材製造時に疵が生じやすくなるので添加する場合は、0.4%以下とし、好ましくは、0.3%以下とする。
Ni
Niは低温靭性や耐候性を向上させ、またCuを添加した場合の熱間脆性を改善するので、所望する特性に応じて添加する。0.8%を超えると溶接性が損なわれ、鋼材コストが上昇するので添加する場合は、0.8%以下とし、好ましくは、0.6%以下とする。
Cr
Crは強度を上昇させ、また耐候性を向上させるので、所望する特性に応じて添加する。0.4%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので添加する場合は、0.4%以下とし、好ましくは、0.3%以下とする。
Mo
Moは強度を上昇させるので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.4%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので添加する場合は0.4%以下とし、好ましくは、0.2%以下とする。
Nb
Nbは圧延時のオーステナイト再結晶を抑制し細粒化を図ると同時に、加速冷却後の空冷時に析出し強度を上昇させるので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.05%を超えると靭性が損なわれるので0.05%以下とし、好ましくは0.03%以下とする。

Vは、加速冷却後の空冷時に析出し強度を上昇させるので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.05%を超えると溶接性と靭性が損なわれるので0.05%以下、好ましくは0.03%以下とする。
Ti
Tiは、強度を上昇させ、溶接部靭性を向上させるので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.03%を超えると鋼材コストが上昇するので0.03%%以下、好ましくは0.02%以下とする。

Bは焼入れ性を高め、強度を上昇させるので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.003%を超えると溶接性が低下するので、0.003%以下、好ましくは0.002%以下とする。
Ca
Caは硫化物形態制御により鋼鈑の靭性を改善するので、所望する特性に応じて添加する。添加する場合、0.005%を超えるとその効果が飽和するため、上限を0.005%とする。
[製造条件]
本発明に係る鋼材は上記記載の成分の鋼を、1000℃以上、1250℃以下に加熱し、Ar点以上で累積圧下率50%以上の圧延後、Ar点以上の温度域より600℃以下300℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却することにより得られる。
本発明に係る鋼材は板厚20mm以下と薄く、圧延後、鋼板温度は直ちに低下するため、搬送ライン上に圧延装置、加速冷却装置を設けたオンラインプロセスを用いて製造することが好ましい。
1.加熱温度
加熱温度は圧延温度を確保するため1000℃以上とする。1250℃を超えると鋼の結晶粒が粗大化するので上限を1250℃とする。
2.圧延条件
圧延終了温度がAr点を下回る場合、二相域圧延となり、全伸びが劣化するため、Ar点以上とする。また、Ar点以上での累積圧下率は、50%を下回る場合、オーステナイト粒の微細化を通じたフェライト粒の微細化や組織微細化が不十分となり鋼板の基本性能である靭性が劣化するため、50%以上とする。
3.加速冷却条件
加速冷却開始温度は、過剰なフェライト析出による強度低下を避けるため、その下限をAr点とする。
加速冷却停止温度は、未変態オーステナイトを硬質相に変態させるため、600℃以下、300℃以上とする。加速冷却停止温度が600℃を超える場合、疲労き裂伝播抵抗性が劣化するようになり、十分な強度、具体的には570MPa以上の強度が得られない場合がある。
一方、加速冷却停止温度が300℃を下回る場合、上述した成分系の鋼板では十分な全伸び、具体的には全厚引張試験(試験片形状JIS5号)で25%の伸びが得られなくなる。
冷却速度は、冷却中に疲労き裂伝播特性を劣化させるフェライトの粗大化やこれを通じた組織の粗大化を防ぐために10℃/s以上とする。
冷却速度の好適範囲は、十分な粗大化抑制効果を得るために30℃/s以上、鋼板の残留応力低減のため60℃/s以下である。
なお、上記規定において温度は鋼材の表面温度とし、冷却速度は鋼材の厚さ方向の平均冷却速度とする。また、Ar点はAr(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo(但し、元素記号は鋼材中の各元素の質量%での含有量)等で求めることができる。
上述した成分組成と製造条件の組合わせにより、全伸びに優れ、かつ高い疲労き裂伝播抵抗性を有した板厚20mm以下、特に板厚18mm未満の薄物の厚鋼鈑であっても、TSが570MPa以上、全伸びが25%以上(JIS5号)でΔK=15MPa√mでの疲労き裂伝播速度8.75x10−9m/cycle以下である、疲労き裂伝播抵抗性に優れた加速冷却型厚鋼板が得られる。
表1に示す成分組成の鋼片から、表2に示す製造条件にて板厚12mmから17mmの鋼板を作成し、得られた鋼板の機械的性質を調査した。
疲労き裂伝播特性は、図1に示す片側切欠単純引張型疲労試験片にて、板厚方向にき裂が進展する時の疲労き裂伝播挙動を調査した。試験条件は、ASTM E647に準拠し、応力比0.1、周波数15Hz,室温大気中にて実施した。
引張強度は板幅方向に採取したJISZ22015号の全厚試験片を用いた引張試験により求めた。靭性はシャルピー衝撃試験により0℃の吸収エネルギー:vE(J)を求めた。シャルピー衝撃試験片(JISZ2202)は板厚中心より、圧延方向に平行に採取した。
引張、シャルピー、疲労き裂伝播試験結果を表2に製造条件と共に示す。成分組成、製造方法を本発明規定範囲内とした板番No.3〜No.6、No.15、17、18、No.20〜No.23の鋼板は、いずれにおいてもΔK=15MPa√mでの疲労き裂伝播速度8.75x10−9m/cycle以下であり、疲労き裂伝播抵抗性に優れる。
また、TSが570MPa以上、伸びが25%以上、また構造用鋼板の基本特性としてvE(J)が200J以上を満足し、優れた全伸びと疲労き裂伝播抵抗性を示し、かつ、構造用鋼として適当な強度、靭性を確保していることが認められた。
一方、C添加量が本発明範囲を超える鋼種A、Bを使った実施例No.1、2の鋼板は、疲労き裂伝播速度は本発明例程度と優れているものの、全伸びが低い。
Ceqが本発明範囲に満たない鋼種Gを使った実施例No.7の鋼板は、570MPa級鋼として必要な強度が得られていない。Ceqが本発明範囲を超える鋼種Hを使った実施例No.8の鋼板は、強度が高すぎて全伸びが劣化する。
Mn添加量が本発明範囲を超える鋼種Iを使った実施例No.9の鋼板も、強度が高すぎて全伸びが劣化する。
実施例No10から14は、鋼種Eをさまざまな製造条件で製造したものである。実施例10は、スラブ加熱温度が本発明範囲を超えており、オーステナイト粒径が粗大化したため、圧延後鋼板の靭性が劣化している。
Ar点以上の圧下率が本発明規定値:50%を下回るNo.11の鋼板も、オーステナイトの再結晶が十分でなく、冷却後に粗い組織となっているため、靭性が劣化している。
圧延終了温度がAr点を下回る(二相域圧延)No.12の鋼板は、全伸びが劣化している。加速冷却開始温度がAr点を上回るNo.13の鋼板は水冷開始前に初析フェライトが析出してフェライトが過剰となったため、570MPa級鋼として必要な強度が得られていない。
冷却速度が本発明範囲から外れるNo.14の鋼板は、強度が低下するとともに、組織の粗大化により靭性が劣化、また疲労き裂伝播抵抗性も低下している。加速冷却時の停止温度が本発明範囲を超えるNo.16の鋼板は、優れた全伸びを示すものの、570MPa級鋼として必要な強度が得られておらず、疲労き裂伝播抵抗性も劣る。
加速冷却時の停止温度が本発明範囲よりも低いNo.19の鋼板は、優れた疲労き裂伝播抵抗性を示すものの、全伸びに劣る。
Figure 2010196109
Figure 2010196109

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.03%以上、0.10%未満、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Ceq(={C}+{Mn}/6+{Cu+Ni}/15+{Cr+Mo+V}/5、但し、各元素は含有量(質量%)):0.3〜0.4、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、1000℃以上、1250℃以下に加熱し、Ar点以上での累積圧下率が50%以上となるように、Ar点以上の圧延終了温度で圧延後、引続きオンラインで、Ar点以上の温度域より600℃以下300℃以上まで、10℃/s以上で加速冷却することを特徴とする、全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法。
  2. 更に、鋼成分として、質量%で、Cu:0.4%以下、Ni:0.8%以下、Cr:0.4%以下、Mo:0.4%以下、Nb:0.05%以下、V:0.05%以下、Ti:0.03%以下、B:0.003%以下、Ca:0.005%以下の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法。
  3. 板厚20mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の全伸びと疲労き裂伝播抵抗性に優れた厚鋼板の製造方法。
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