JP2010190674A - トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

トルク検出装置及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トルク検出装置において、複数のコイル対を用いることにより発生する磁束の干渉による影響を低減すること。
【解決手段】トルクセンサ20は、ねじれ棒24で連結された第1回転軸22と第2回転軸26との相対的な変位をインピーダンスの変化に反映させて検出する第1コイル対22A及び第2コイル対22Bを備える。第1コイル対22Aと第2コイル対22Bとには、それぞれ第1発振器60A、第2発振器60Bから、異なる励磁周波数f1、f2の励磁電流が供給される。励磁周波数f1とf2との差は、トルクセンサ20が検出するトルクの信号の周波数帯域よりも大きくなるように設定される。第1信号処理回路57A及び第2信号処理回路57Bには、励磁周波数f1とf2との差に相当する周波数の通過を阻害するローパスフィルタ53A、53Bが設けられる。
【選択図】図6

Description

本発明は、回転軸に作用しているトルクをコイルのインピーダンス変化に反映させて検出するものにおいて、複数のコイルを備えることで冗長性を持たせたトルク検出装置及び電動パワーステアリング装置に関する。
トルクセンサは、回転軸に作用しているトルクを検出するものである。トルクセンサには、例えば、回転軸に作用しているトルクをコイルのインピーダンス変化に反映させ、そのインピーダンス変化を検出することにより前記トルクを検出するものがある。特許文献1には、複数のリング状のコイルを回転軸方向に配列し、コイルの時分割励磁によりコイル間の干渉の問題を回避する技術が開示されている。
特開2002−310816号公報[0047]、図1
しかし、特許文献1に開示された技術において、磁性体で構成されたケーシングを用いる場合、磁気シールド効果は得られない。また、反磁性体で構成されたケーシングを用いる場合でも、反磁性効果自体が非常に小さいため、磁気シールド効果は非常に小さい。このように、特許文献1に開示された技術は、トルク検出装置において、複数のコイルが発生する磁束の干渉による影響を低減することについては改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トルク検出装置において、複数のコイル対を用いることにより発生する磁束の干渉による影響を低減することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るトルク検出装置は、トーションバーのねじれを利用してトルクを検出するものであり、トルクが入力されることでねじれが発生するトーションバーで連結された第1回転軸と第2回転軸との相対的な変位をインピーダンスの変化に反映させて検出する少なくとも2組のコイル対と、それぞれの前記コイル対に対応して別個に設けられ、異なる励磁周波数でそれぞれの前記コイル対に励磁電流を供給するとともに、前記励磁周波数の差である励磁周波数差は、検出されるトルクの信号の周波数帯域における最大値よりも大きい複数の発振器と、それぞれの前記コイル対に対応して別個に設けられ、それぞれの前記コイル対の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、それぞれの当該信号処理回路に設けられて、前記励磁周波数差に相当する周波数の通過を阻害するローパスフィルタと、を含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様としては、前記トルク検出装置において、前記第1回転軸の外周部に形成される、当該第1回転軸の軸方向に向かう凹部と、前記第1回転軸の外周部を囲む円筒部材と、前記円筒部材の側部であって、それぞれの前記コイル対と対向する位置に設けられて、前記第1回転軸と前記第2回転軸との相対的な変位に応じて前記凹部との重なり具合が変化する窓と、を有し、前記第1回転軸は、前記トーションバーの一端部に設けられ、前記第2回転軸は、前記トーションバーの他端部に設けられ、かつ、前記円筒部材が設けられ、それぞれの前記コイル対は、前記円筒部材の外側に、当該円筒部材の軸方向に向かって設けられることが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記トルク検出装置において、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記励磁周波数差よりも小さく、前記トルク検出装置が検出するトルクの信号の周波数帯域における最大値よりも大きいことが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記トルク検出装置において、前記励磁周波数差は、前記トルク検出装置が検出するトルクの信号の周波数帯域における最大値の10倍以上であることが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記トルク検出装置において、複数の前記コイル対の間に設けられて、複数の当該コイル対が発生する磁束により渦電流を発生させる導電性かつ非磁性の磁気遮蔽体を備えることが望ましい。
本発明の好ましい態様としては、前記トルク検出装置において、前記磁気遮蔽体は、少なくとも当該磁気遮蔽体の軸方向に対しては一つの構造体として構成されることが望ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記トルク検出装置の第1回転軸と第2回転軸とをステアリングシャフトに取り付けて、操舵トルクを検出することを特徴とする。
本発明は、トルク検出装置において、複数のコイル対を用いることにより発生する磁束の干渉による影響を低減できる。
図1は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 図2は、本実施形態に係るトルク検出装置が備えるトルクセンサを示す斜視図である。 図3は、本実施形態に係るトルク検出装置が備えるトルクセンサを示す断面図である。 図4は、本実施形態に係るトルク検出装置が備えるトルクセンサを示す斜視図である。 図5は、本実施形態に係るトルク検出装置が備えるトルクセンサの円筒部材の側面図である。 図6は、本実施形態に係るトルク検出装置の信号処理回路を示す図である。 図7−1は、差動アンプから出力されたコイルの信号を示す模式図である。 図7−2は、整流されたコイルの信号を示す模式図である。 図7−3は、平滑化されたコイルの信号を示す模式図である。 図8−1は、差動アンプから出力されたコイルの信号を示す模式図である。 図8−2は、整流されたコイルの信号を示す模式図である。 図8−3は、平滑化されたコイルの信号を示す模式図である。 図9は、本実施形態の変形例に係るトルクセンサを示す斜視図である。 図10は、本実施形態の変形例に係るトルクセンサを示す断面図である。 図11は、本実施形態の変形例に係るトルクセンサを示す一部断面図である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。本実施形態では、本発明に係るトルク検出装置を電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)に適用した例を説明するが、本発明の適用対象は電動パワーステアリング装置に限定されるものではない。また、本発明を電動パワーステアリング装置に適用する場合でも、その方式は問わない。
まず、図1を用いて、本実施形態に係るトルク検出装置を備える電動パワーステアリング装置の概要を説明する。図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール1の操作によりステアリングシャフト2に発生する操舵トルクをトルク検出手段であるトルクセンサ20で検出し、その検出信号に基づいて、ECU(Electric Control Unit)50が電動機12を駆動制御して補助操舵トルクを発生させて、ステアリングホイール1の操舵力を補助する。
ステアリングホイール1に連結されたステアリングシャフト2は、運転者の操舵力が入力される入力軸2aと、入力された操舵力を出力する出力軸2bとを有する。本実施形態において、入力軸2a及び出力軸2bは、鉄等の磁性材料から形成されている。入力軸2aと出力軸2bとの間には、トルクセンサ20及び減速ギヤ11が設けられる。
ステアリングシャフト2の出力軸2bに伝達された運転者の操舵力は、操舵機構に伝達される。具体的には、出力軸2bに伝達された運転者の操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらにユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。ピニオンシャフト7に伝達された前記操舵力は、ステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、操舵輪を転舵させる。
ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aと、ピニオン8aに噛み合うラック8bとを有するラックアンドピニオン形式として構成される。このようなステアリングギヤ8によって、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、補助操舵トルクを出力軸2bに伝達する補助操舵機構3が連結されている。補助操舵機構3は、出力軸2bに連結された減速ギヤ11と、減速ギヤ11に連結されかつ補助操舵トルクを発生させる電動機12とを有している。なお、ステアリングシャフト2及びトルクセンサ20及び減速ギヤ11によりステアリングコラムが構成されており、電動機12は、前記ステアリングコラムの出力軸2bに補助操舵トルクを与える。すなわち、本実施形態における電動パワーステアリング装置10は、コラムアシスト方式となっている。
トルクセンサ20は、ステアリングホイール1を介して入力軸2aに伝達された運転者の操舵力を操舵トルクとして検出するものである。トルクセンサ20の構成については後述する。電動機12の駆動を制御するECU50には、電源(例えば車載のバッテリ)15から電力が供給される。なお、イグニッションスイッチ14がオンの状態で、電源15からECU50へ電力が供給される。
ECU50は、トルクセンサ20で検出された操舵トルクT及び車速センサ16で検出された走行速度Vに基づいてアシスト指令の補助操舵指令値を算出し、その算出された補助操舵指令値に基づいて電動機12への供給電流値を制御する。本実施形態において、トルク検出装置100は、トルクセンサ20と、ECU50内に設けられてトルクセンサ20へ励磁電流を供給する発振器と、同じくECU50内に設けられるトルクセンサ20の信号処理回路が有するローパスフィルタとを含んで構成される。トルク検出装置100の構成については、後述する。
次に、図2〜図5を用いて、上述した電動パワーステアリング装置10が備えるトルクセンサ20の構成を説明する。トルクセンサ20は、トーションバー24のねじれを利用してトルクを検出するものである。図2〜図5に示すように、トルクセンサ20は、トーションバー24と、第1回転軸21と、円筒部材25と、第2回転軸26と、コイル対22A、22Bと、円筒部材25に設けられる窓25A、25Bとを含む。
トーションバー24は、一端部が第1回転軸21に、他端部(第1回転軸21に取り付けられる側の端部とは反対側の端部)が第2回転軸26に取り付けられる。トーションバー24の一端部には第1回転軸21が設けられ、他端部には第2回転軸26が設けられる。第1回転軸21は、その連結部21iが図1に示すステアリングシャフト2の入力軸2aに連結される。また、第2回転軸26は、その連結部26oが図1に示すステアリングシャフト2の出力軸2bに連結される。第1回転軸21及び第2回転軸26は、電動パワーステアリング装置10の筐体に、軸受を介して回転可能に支持される。
なお、第1回転軸21の連結部21iをステアリングシャフト2の入力軸2aと一体に、第2回転軸26の連結部26oをステアリングシャフト2の出力軸2bと一体に形成してもよい。また、第1回転軸21の連結部21iを図1に示すステアリングシャフト2の出力軸2bに連結し、第2回転軸26の連結部26oを入力軸2aに連結してもよい。
上記構成によりステアリングシャフト2の入力軸2aと、第1回転軸21と、トーションバー24と、第2回転軸26と、ステアリングシャフト2の出力軸2bとは同軸に配置される。本実施形態において、第1回転軸21とトーションバー24の一端部とは回転不動に結合され、また、トーションバー24の他端部と第2回転軸26とは回転不動に結合される。トーションバー24は、トルクが入力されることでねじれが発生する。本実施形態では、図1に示すステアリングシャフト2の入力軸2aから第1回転軸21を介して入力された操舵トルクによって、トーションバー24にねじれが発生する。ここで、運転者が図1に示すステアリングホイール1を操舵することによって発生した操舵力は、ステアリングシャフト2の入力軸2a、トーションバー24、ステアリングシャフト2の出力軸2bを介して、図1に示すステアリングギヤ8へ伝達される。
図2、図4に示すように、第1回転軸21は、略円筒形状の部材である。第1回転軸21は、その軸Zs方向に向かう凹部21Uが外周部に形成される。本実施形態においては、複数の凹部21Uが第1回転軸21の周方向に向かって配置されており、隣接する凹部21Uの間には凸部21Tが形成される。図3に示すように、第1回転軸21は、円筒部材25の内部に配置されている。そして、第1回転軸21は、少なくとも円筒部材25と対向する部分が鉄等の磁性材料で構成される。
円筒部材25は、第2回転軸26の連結部26oとは反対側に設けられる。円筒部材25は、非磁性の導電体(例えばアルミニウムやアルミニウム合金等)で構成されており、本実施形態では、第2回転軸26とは別部品で構成されて、第2回転軸26に取り付けられる。円筒部材25の内部には第1回転軸21が配置されており、これによって、円筒部材25は、第1回転軸21の外周部を囲んでいる。また、円筒部材25の側部には、複数の窓(開口)25Aa、25Ab、25Ba、25Bbが設けられる。
図2〜図3に示すように、円筒部材25の外側には、円筒部材の軸Zs方向に向かって、少なくとも2組のコイル対22A、22Bが配列されて設けられる。本実施形態では、2組のコイル対22A、22Bが設けられるが、コイル対の数はこれに限定されるものではない。コイル対22Aは、同一規格の一対のコイル22Aa、22Abが組み合わされてコイル対を構成し、円筒形状のヨーク23A内に配置される。また、コイル対22Bは、同一規格の一対のコイル22Ba、22Bbが組み合わされてコイル対を構成し、円筒形状のヨーク23B内に配置される。ヨーク23A、23Bは、磁性体で構成される。以下において、コイル対22Aを第1コイル対22Aといい、コイル対22Bを第2コイル対22Bという。
トルクセンサは、トーションバー24で連結された第1回転軸22と第2回転軸26との相対的な変位(回転変位)を、第1コイル対22Aあるいは第2コイル対22Bのインピーダンスの変化に反映させて検出するものである。本実施形態において、第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Ab(第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbも同様)は、第1回転軸22と第2回転軸26との相対的な変位によって、インピーダンスが互いに逆方向に変化するように構成される。これによって、温度等によるトルク以外の要因によるコイルのインピーダンス変化を相殺する。ここで、第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Ab及び第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbは、環状のコイルであって、プラスチック等の不導体かつ非磁性の材質からなる環状の部材に、その周方向に向かって巻き線が巻き付けられて構成される。
トルクセンサ20は、第1コイル対22A及び第2コイル対22Bを備える。これによって、トルク検出装置100は、一方のコイル対及びその信号処理回路に不具合が発生した場合でも不具合の発生していないコイル対及びその信号処理回路を用いてトルクの検出を継続する。このように、トルクセンサ20は、第1コイル対22A及び第2コイル対22Bを備えることで、冗長化されている。
図4に示すように、円筒部材25の側部に設けられる窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbは、円筒部材25の外周部に配置される第1コイル対22A及び第2コイル対22Bと対向する位置に設けられる。窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbは、円筒部材25の周方向に向かって等間隔で複数(本実施形態ではそれぞれ9個)形成される長方形の開口である。窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbは、長辺が円筒部材25の軸Zsと平行になるように、円筒部材25に設けられる。
窓25Aaは、第1コイル対22Aのコイル22Aaと対向する位置に形成され、窓25Abは、第1コイル対22Aのコイル22Abと対向する位置に形成される。また、窓25Baは、第2コイル対22Bのコイル22Baと対向する位置に形成され、窓25Bbは、第2コイル対22Bのコイル22Bbと対向する位置に形成される。ここで、図4のINは、トルクセンサ20の第1回転軸21側を示し、OUTは第2回転軸26側を示す。
図2、図4に示すように、窓25Aaと窓25Abとは、円筒部材25の周方向における位相が180度ずれるように配置される。同様に、窓25Baと窓25Bbとは、円筒部材25の周方向における位相が180度ずれるように配置される。また、窓25Aaと窓25Baとは、円筒部材25の周方向における位相が一致し、同様に、窓25Abと窓25Bbとは、円筒部材25の周方向における位相が一致する。
第1回転軸21の円筒部材25に包囲された部分の外周面に形成される凹部21U及び凸部21Tは、それぞれ周方向に向かって複数設けられる。第1回転軸21に設けられる凹部21U及び凸部21Tの数は、窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbの数と同数である。したがって、本実施形態では、凹部21U及び凸部21Tはそれぞれ9個である。ここで、円筒部材25の外周面を周方向にN(この例ではN=9)等分した角度を一周期角度θ(=360/N、この例ではθ=40度)とする。
そして、第1コイル対22Aのコイル22Aa及び第2コイル対22Bのコイル22Baと対向する円筒部材25の部分においては、一周期角度θの一方の端から所定角度の部分が窓25Aa、窓25Baとなり、残りの部分は塞がっている。また、第1コイル対22Aのコイル22Ab及び第2コイル対22Bのコイル22Bbと対向する円筒部材25の部分においては、窓25Aa、窓25Baとの位相が半周期(θ/2)ずれるように、一周期角度θの他方の端から所定角度の部分が25Ab、25Bbとなり、残りの部分が塞がっている。
ここで、トーションバー24にねじれが発生していないとき、すなわち、操舵トルクが0のときには、図5に示すように、窓25Aa、25Baの周方向幅中央部と、第1回転軸21の周方向における凹部21Uの一方の端部とが重なり、窓25Ab、25Bbの周方向幅中央部と、第1回転軸21の周方向における凹部21Uの他方の端部とが重なり合うようになっている。したがって、窓25Aa、25Baと凹部21Uとの重なり状態と、窓25Ab、25Bbと凹部21Uとの重なり状態とは、第1回転軸21及び円筒部材25の周方向で逆になっている。ここで、図5に示すように、窓25Aa、25Ba、25Ab、25Bbの短辺の長さはLなので、窓25Aa、25Ba、25Ab、25Bbの周方向幅中央部は、窓25Aa、25Ba、25Ab、25Bbの長辺から円筒部材25の周方向に向かってL/2の位置である。
トルクセンサ20の第1回転軸21からトルクが入力されて、すなわち、操舵トルクが発生して、トーションバー24にねじれが発生すると、第1回転軸21と円筒部材25との間に、相対的な変位(回転変位)が発生する。すなわち、トーションバー24にねじれが発生すると、第1回転軸21と円筒部材25が設けられる第2回転軸26との間に、相対的な変位(回転変位)が発生する。
すると、窓25Aa、25Baの周方向幅中央部からいずれかの長辺に向かって、第1回転軸21の周方向における凹部21Uの一方の端部が移動する。同様に、窓25Ab、25Bbの周方向幅中央部からいずれかの長辺に向かって、第1回転軸21の周方向における凹部21Uの他方の端部が移動する。これによって、窓25Aa、25Ba、25Ab、25Bbと凹部21Uとの重なり具合が変化する。このように、窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbは、第1回転軸21と第2回転軸26との相対的な変位(回転変位)に応じて、第1回転軸21の外周部に設けられた凹部21Uとの重なり具合が変化する。
次に、図6を用いて、トルク検出装置100の第1信号処理回路57A、第2信号処理回路57B及び電動パワーステアリング装置10の制御回路を説明する。これらは、ECU50内に設けられる。第1信号処理回路57Aは、第1コイル対22Aの出力信号に対して信号処理を行い、第2信号処理回路57Bは、第2コイル対22Bの出力信号に対して信号処理を行う。
第1コイル対22Aには、第1発振器60Aが電気的に接続され、第1発振器60Aによって第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Abに励磁電流が供給される。また、第2コイル対22Bには、第2発振器60Bが電気的に接続され、第2発振器60Bによって第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbに励磁電流が供給される。第1発振器60A及び第2発振器60Bは、所定の励磁周波数の交流電流を生成する。このように、トルク検出装置100は、第1コイル対22A及び第2コイル対22Bに対応して、それぞれ第1発振器60A及び第2発振器60Bを備えており、第1コイル対22Aと第2コイル対22Bとは、それぞれ異なる発振器から励磁電流が供給される。
第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Abの一方の端子は、それぞれ電気抵抗61Aa、61Abを介して第1発振器60Aと電気的に接続される。また、第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Abの他方の端子は接地される。同様に、第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbの一方の端子は、それぞれ電気抵抗61Ba、61Bbを介して第2発振器60Bと電気的に接続される。また、第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbの他方の端子は接地される。
第1コイル対22Aの出力信号は、第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Abの端子電圧であり、第2コイル対22Bの出力信号は、第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbの端子電圧である。第1信号処理回路57Aは、差動アンプ51A、整流・平滑回路52A、ローパスフィルタ53A及びノイズ除去フィルタ54Aを有する。また、第2信号処理回路57Bは、差動アンプ51B、整流・平滑回路52B、ローパスフィルタ53B及びノイズ除去フィルタ54Bを有する。ここで、それぞれのローパスフィルタ53A、53Bは、それぞれ整流・平滑回路52A、52Bに組み込んでもよい。
差動アンプ51Aは、第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Abの出力差、すなわち、コイル22Aa、22Abの端子電圧の差(端子電圧差)を増幅して出力する。第1コイル対22Aのみに励磁電流を流した場合、その出力は、例えば、図7−1に示すようになる。整流・平滑回路52Aは、差動アンプ51Aの出力を整流、及び平滑して出力する。整流・平滑回路52Aによって整流された端子電圧差は、例えば、図7−2に示すようになり、これが整流・平滑回路52Aによって平滑化されると、図7−3に示すように、平滑化された出力(平滑化信号)Vtが得られる。ノイズ除去フィルタ54Aは、整流・平滑回路52Aの出力から高周波ノイズ成分を除去して出力する。第1信号処理回路57A及び第2信号処理回路57Bはいずれも同一の構成なので、第2コイル対22Bの出力信号も、第2信号処理回路57Bによって、第1信号処理回路57Aが第1コイル対22Aの出力信号を処理したように処理される。
図1に示す電動パワーステアリング装置10の電動機12を制御する場合、トルクセンサ20によって検出された操舵トルクが用いられる。この場合、通常は、トルクセンサ20を構成する第1コイル対22A又は第2コイル対22Bのいずれか一方の出力信号が、トルクセンサ20の出力信号として用いられる。トルク検出装置100は、第1コイル対22A及び第1信号処理回路57Aによる第1トルク検出系統と、第2コイル対22B及び第2信号処理回路57Bによる第2トルク検出系統とによって冗長化されている。これによって、第1トルク検出系統と第2トルク検出系統との一方に不具合が生じた場合、ECU50は他方に切り替えて、電動パワーステアリング装置10の操舵トルクの検出を継続する。
ECU50のトルク演算部55は、ノイズ除去フィルタ54A又はノイズ除去フィルタ54Bの出力(例えば、平均値)に基づいて、第1回転軸21と円筒部材25との相対回転変位の方向及び大きさを演算し、その演算結果に、例えば、所定の比例定数を乗じて、操舵系に発生している操舵トルクを求める。電動機制御部56は、トルク演算部55の演算結果に基づいて、運転者による操舵トルクを軽減する操舵補助トルクを発生できる駆動電流Icを電動機12に供給する。
次に、トルクセンサ20及びトルク検出装置100の動作を説明する。今、操舵系が直進状態にあり、運転者による操舵トルクが0であるものとすると、トルクセンサ20の第1回転軸21と第2回転軸26との間には相対回転は生じない。したがって、第1回転軸21と円筒部材25との間にも相対回転は生じない。一方、ステアリングホイール1を操舵してステアリングシャフト2の入力軸2aから第1回転軸21へ回転力が入力されると、その回転力は、トーションバー24を介して第2回転軸26へ伝達される。このとき、第2回転軸26には、操舵輪及び路面間の摩擦力やステアリングギヤ8の噛み合い等の摩擦力に応じた抵抗力が生じる。このため、第1回転軸21と第2回転軸26との間には、トーションバー24がねじれることによって第1回転軸21が遅れる相対回転が発生し、第1回転軸21と第2回転軸26及び円筒部材25との間には相対回転が生じる(図4の矢印R1、R2方向)。
円筒部材25は導電性、かつ非磁性の材料なので、円筒部材25に窓がない状態では、第1コイル対22Aあるいは第2コイル対22Bに交流電流を流してコイル内部に交番磁界を生じさせると、円筒部材25の外周面にコイル電流と反対方向の渦電流が発生する。この渦電流による磁界とコイルによる磁界とを重ね合わせると、円筒部材25の内側の磁界は相殺される。円筒部材25に窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbを設けた場合、円筒部材25の外周面に生じた渦電流は、窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbによって円筒部材25の外周面を周回できない。このため、窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbの端面に沿って円筒部材25の内周面側に回り込み、円筒部材25の内周面をコイル電流と同方向に流れ、また隣の窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbの端面に沿って外周面側に戻り、ループを形成する。
すなわち、コイルの内側に、渦電流のループを周方向に周期的に(θ=360/N)配置した状態となる。コイルに流れる電流が作る磁界と渦電流の作る磁界とは重ね合わされ、円筒部材25の内外には、円筒部材25の周方向に周期的な磁界の強弱と、さらに円筒部材25の中心、すなわち円筒部材25の軸Zsに向かうほど小さくなる勾配を持った磁界が形成される。円筒部材25の周方向における磁界の強弱は、隣り合う渦電流の影響を強く受ける窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbの中心部分で強く、そこから半周期(θ/2)ずれたところが弱くなる。
そして、円筒部材25の内側には、磁性材料からなる第1回転軸21が同軸に配設され、その第1回転軸21には、凹部21Uと凸部21Tとが窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbと同じ周期を持って形成されている。ここで、磁界中に置かれた磁性体(トルクセンサ20では、第1回転軸21)は磁化して、自発磁化(磁束)を発するが、その量は飽和に至るまでは磁界の強さに応じて大きくなる。このため、円筒部材25によって作られる円筒部材25の周方向に周期的な磁界の強弱と、円筒部材25の半径方向に勾配を持つ磁界とによって、第1回転軸21の自発磁化は、第1回転軸21と円筒部材25との相対的な位相が変化することによって増減する。ここで、第1回転軸21の自発磁化が最大となる位相は、窓25Aa、25Ab、25Ba、25Bbの中心と凸部21Tの中心とが一致した状態である。
そして、第1回転軸21の自発磁化の増減に応じて、第1コイル対22Aを構成するコイル22Aa、22Ab、あるいは第2コイル対22Bを構成するコイル22Ba、22Bbのインダクタンスも増減し、その変化は、ほぼ正弦波状となる。ここで、本実施形態において、トルクセンサ20にトルクが作用しない状態においては、第1回転軸21の自発磁化(インダクタンス)が最大となる位相に対して1/4周期(θ/4)ずれた状態となっている。さらに、ステアリングシャフト2の入力軸2aに近い側の窓列と他方の窓列との位相は、前述のように1/2周期(θ/2)の位相差としてある。
このため、トルクセンサ20へ与えられるトルクによって円筒部材25と第1回転軸21とに位相差が生じると、第1コイル対22Aを構成する二つのコイル22Aa、22Ab、あるいは第2コイル対22Bを構成する二つのコイル22Ba、22Bbのインダクタンスの一方は増加し、他方は同じ割合で減少する。二つのコイル22Aa、22Ab、あるいは二つのコイル22Ba、22Bbのインダクタンスがこのように変化すれば、第1発振器60Aあるいは第2発振器60Bから供給される励磁電流の励磁周波数が一定という条件下では、二つのコイル22Aa、22Ab、あるいは二つのコイル22Ba、22Bbのインピーダンスも同様の傾向で変化する。その結果として、二つのコイル22Aa、22Ab、あるいは二つのコイル22Ba、22Bbの自己誘導起電力も同様の傾向で変化する。
したがって、二つのコイル22Aa、22Ab、あるいは二つのコイル22Ba、22Bbの端子電圧の差を求める差動アンプ51Aあるいは51Bの出力は、操舵トルクの方向及び大きさにしたがって変化するようになる。また、差動アンプ51Aあるいは51Bにおいて、二つのコイル22Aa、22Ab、あるいは二つのコイル22Ba、22Bbの端子電圧の差を求めているため、温度等による自己インダクタンスの変化は相殺される。
そして、トルク演算部55は、ノイズ除去フィルタ54Aあるいは54Bを介して供給される整流・平滑回路52A、52Bの出力に基づいて操舵トルクを求め、その結果を電動機制御部56に供給する。電動機制御部56は、操舵トルクの方向及び大きさに応じた駆動電流Icを電動機12に供給する。すると、電動機12には、操舵系に発生している操舵トルクの方向及び大きさに応じた回転力が発生し、その回転力が減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2の出力軸2bに伝達されるので、出力軸2bに操舵補助トルクが付与されたことになる。これによって、操舵トルクが減少し、操縦者の負担が軽減される。
ところで、本実施形態においては、トルク検出装置100の冗長化を図るため、トルク検出装置100に第1トルク検出系統と第2トルク検出系とを設ける。上述したように、第1トルク検出系統と第2トルク検出系とは、それぞれ独立にコイル対と信号処理回路とを有し、異なる発振器によってそれぞれのコイル対に励磁電流を供給する。
例えば、図6に示す第1発振器60Aの励磁周波数をf1、第2発振器60Bの励磁周波数をf2とし、両者に差がある場合には、第1コイル対22Aの発生する磁束と第2コイル対22Bの発生する磁束との干渉によって、ビート(うなり)が発生する。この場合、例えば、図8−1に示すように、図6の差動アンプ51A、51Bの出力信号電圧Vは、コイル対の端子電圧の最大値及び最小値が一定であっても、最大値及び最小値が周期的に変化する。出力信号電圧Vの最大値及び最小値が変化する周波数は、それぞれの発振器からそれぞれのコイル対に供給される励磁電流の励磁周波数の差(励磁周波数差)Δf(=|f1−f2|)、すなわち、ビート周波数となる。
最大値及び最小値が周期的に変化する出力信号電圧Vを整流すると、図8−2に示すように、整流した結果も最大値が周期的に変化する。その結果、図6に示す整流・平滑回路52A、52Bから出力される信号(平滑化信号)Vtには、図8−3に示すようにビート周波数で発振するAM変調ノイズが含まれて、平滑化信号Vtの値は周期的に変動する。その結果、トルクセンサ20によるトルクの検出精度の低下を招く。このように、本実施形態では、トルク検出装置100の発振器を複数備えるため、それぞれの発振器からそれぞれのコイル対に供給される励磁電流の励磁周波数差Δfに起因するビート(うなり)周波数で発振するAM変調ノイズが発生し、トルクセンサ20の出力に影響を与える。
AM変調ノイズは、第1発振器60Aの励磁周波数f1と第2発振器60Bの励磁周波数f2とが同一であれば発生しない。したがって、励磁周波数f1とf2とが同一の第1発振器60A及び第2発振器60Bを用いれば、平滑化信号VtのAM変調ノイズを低減できる。しかし、異なる発振器で同一の励磁周波数を発生させることは極めて難しい。
そこで、本実施形態では、第1発振器60Aの励磁周波数f1と第2発振器60Bの励磁周波数f2とを敢えて異ならせる。この場合、励磁周波数差Δf(=|f1−f2|)は、トルクセンサ20が検出するトルク(本実施形態では操舵トルク)の信号の周波数帯域における最大値よりも大きくする。そして、図6に示すように、第1信号処理回路57A及び第2信号処理回路57Bのそれぞれに、励磁周波数差Δf(=|f1−f2|)に相当する周波数の成分の通過を阻害するローパスフィルタ53A、53Bを設ける。ここで、ローパスフィルタ53A、53Bのカットオフ周波数fcは、励磁周波数差Δfよりも小さく設定するとともに、トルクセンサ20が検出するトルクの信号の周波数帯域(トルク信号帯域)における最大値よりも大きくする。これによって、トルク信号帯域は、ローパスフィルタ53A、53Bを通過する。
このようにすれば、励磁周波数差Δfに起因して発生するAM変調ノイズは、ローパスフィルタ53A、53Bによって通過が阻害され、整流・平滑回路52A、52Bからは、図7−3に示すような、AM変調ノイズが低減された平滑化信号Vtが出力される。その結果、トルクセンサ20によるトルクの検出精度の低下を抑制できる。ここで、トルク信号帯域はほぼ一定である。このため、AM変調ノイズの周波数であるビート周波数に相当する励磁周波数差Δfを大きくする。
このように、AM変調ノイズの周波数帯域と、トルク信号帯域との差を大きくすることで、AM変調ノイズの周波数帯域とトルク信号帯域とを確実に分離できるので、ローパスフィルタ53A、53BでAM変調ノイズの通過を確実に阻害できるとともに、トルクセンサ20が検出するトルクの信号は確実に通過させることができる。その結果、本実施形態では、それぞれのコイルが発生する磁束の干渉による影響、すなわち平滑化信号VtのAM変調ノイズを低減できる。これによって、本実施形態では、トルク検出装置100によるトルクの検出精度の低下を抑制できる。平滑化信号VtのAM変調ノイズを効果的に低減するため、励磁周波数差Δfは、トルク信号帯域における最大値の5倍以上、望ましくは10倍以上とすることが好ましい。
図6に示すトルク検出装置100において、例えば、第1発振器60Aの励磁周波数f1を8kHz、第2発振器60Bの励磁周波数f2を7kHzとする。これによって、励磁周波数差Δfは1kHzとなる。トルク信号帯域は80Hz程度である。この場合、ローパスフィルタ53A、53Bのカットオフ周波数を100Hzとすれば、1kHzの周波数、すなわち、AM変調ノイズの周波数の通過はローパスフィルタ53A、53Bによって阻害されるので、AM変調ノイズのみを低減させることができる。
このように、本実施形態では、敢えて励磁周波数差Δfを大きく設定して、トルクセンサ20が検出するトルクの信号の周波数帯域とAM変調ノイズの周波数帯域とを分離して、ローパスフィルタでAM変調ノイズを確実に低減させる。これによって、複数の発振器を用いても、それぞれの発振器の周波数を厳密に合わせる必要はないので、発振器の製造コストを低減できる。また、トルクセンサ20の信号処理回路にローパスフィルタを設けるのみなので、容易かつ低コストでAM変調ノイズを低減して、トルクセンサ20によるトルクの検出精度の低下を抑制できる。その結果、低コストでトルク検出装置100の冗長化を図ることができる。
発振器が3以上ある場合、すべての発振器間で励磁周波数差を設けてもよい。また、隣接する発振器間でのみ励磁周波数差を設けてもよい。例えば、コイル対A、B、Cがこの順で配置されており、それぞれのコイル対A、B、Cへ発振器a、b、cで励磁周波数fa、fb、fcの励磁電流を供給するものとする。この場合、隣接するコイル対を2組有するコイル対の励磁周波数から、それぞれの隣接するコイル対の励磁周波数を減算した励磁周波数差が同一(すなわち、絶対値及びその符号が同一)となるように、それぞれの励磁周波数を設定することが好ましい。
例えば、コイル対Bに隣接するコイル対はコイル対A、Cなので、コイル対Bは隣接するコイル対を2組有する。一方、コイル対A、Cに隣接するコイル対はコイル対Bのみなので、これらは隣接するコイル対を1組のみ有する。コイル対A、B、Cの励磁周波数はそれぞれfa、fb、fcなので、コイル対Bの励磁周波数fbから、それぞれ隣接するコイル対A、Cの励磁周波数fa、fbを減算した励磁周波数差Δfa、Δfcは、それぞれfb−fa、fb−fcとなる。したがって、励磁周波数差ΔfaとΔfcとを同一にするためには、fa=fcとする必要があることがわかる。例えば、fbが7kHzである場合、fa及びfcは、それぞれ8kHz又は6kHzとすればよい。このようにすれば、fa、fb、fcをすべて異ならせる場合と比較して、それぞれのコイル対に供給される励磁電流の励磁周波数の最大値と最小値との差を小さくできるので、励磁周波数が異なることによるコイル対毎の特性差を小さく抑えることができる。
次に、図9〜図11を用いて本実施形態の変形例に係るトルクセンサを説明する。本変形例に係るトルクセンサ20aは、上述したトルクセンサ20と略同様の構成であるが、図9、図10に示すように、第1コイル対22Aと第2コイル対22Bとの間に、第1コイル対22A及び第2コイル対22Bが発生する磁束により渦電流を発生させる磁気遮蔽体27を配置する点が異なる。
磁気遮蔽体27は、非磁性の導電体(例えば、常磁性体のアルミニウム)であり、図11に示すように、高周波信号である励磁電流によって第1コイル対22A及び第2コイル対22Bが発生する磁束M1、M2を渦電流として消費させる。これによって、磁気シールド効果が得られるので、第1コイル対22Aの発生する磁束M1と第2コイル対22Bの発生する磁束M2との干渉が抑制される。その結果、上述したローパスフィルタ53A、53BによるAM変調ノイズの低減効果に加え、それぞれのコイルが発生する磁束の干渉の影響であるAM変調ノイズをさらに低減できるという効果が得られる。
図11に示すように、磁気遮蔽体27は、第1コイル対22A及び第2コイル対22Bが発生する磁束M1、M2は、磁気遮蔽体27の内面27iから磁気遮蔽体27へ向かう。磁気遮蔽体27がその軸方向に向かって複数の部材で分割されていると、磁気遮蔽体27による渦電流の発生が低減されるので、第1コイル対22Aの発生する磁束M1と第2コイル対22Bの発生する磁束M2との干渉を抑制する作用が低くなる。このため、磁気遮蔽体27は、少なくともその軸方向に対しては一つの構造体として構成されることが好ましく、さらには、一体の構造体で構成されることがより好ましい。これによって、渦電流による磁束の干渉を抑制する作用を効果的に発揮させることができる。ここで、軸方向に対しては一つの構造体として構成されるとは、環状の磁気遮蔽体27の周方向に対しては、分割されていてもよいが、軸方向に対しては、一つの構造体として構成されるということである。
図9に示すように、磁気遮蔽体27は、環状の構造体である。図11に示すように、磁気遮蔽体27の内面27iは、ヨーク23A、ヨーク23Bの内面23Ai、23Biと同一面とすることが好ましい。また、本実施形態では、磁気遮蔽体27の外面27oを、ヨーク23A、ヨーク23Bの外面23Ao、23Boよりも磁気遮蔽体27の径方向外側に張り出させている。これによって、例えば、磁気遮蔽体27がヨーク23A、23Bから張り出した部分を用いて磁気遮蔽体27やトルクセンサ20aを固定することができる。一方、磁気遮蔽体27の外面27oを、ヨーク23A、ヨーク23Bの外面23Ao、23Boと同一面、又はヨーク23Bの外面23Ao、23Boよりも磁気遮蔽体27の径方向内側としてもよい。このようにすれば、トルクセンサ20aからの張り出し部がなくなるので、トルクセンサ20aを配置するスペースが限られる場合には好ましい。
本実施形態では、コイル及びその信号処理回路及び発振器を2系統以上備えるものにおいて、それぞれのコイルに供給される励磁電流の励磁周波数差に相当する周波数の通過を阻害するローパスフィルタを、それぞれのコイルの信号処理回路に設ける。そして、本実施形態では、励磁周波数に敢えて大きな励磁周波数差を設けるとともに、その励磁周波数差は、トルク信号帯域における最大値よりも大きくする。そして、ローパスフィルタのカットオフ周波数を、トルク信号帯域における最大値と励磁周波数差に相当する周波数との間に設定することにより、それぞれのコイルが発生する磁束の干渉による影響であるAM変調ノイズを効果的に低減できるので、トルク検出装置の冗長化を実現できる。また、本実施形態では、上記構成によってケーシングに磁性体や反磁性体を用いる必要はなく、磁気回路を構成するヨークとしてケーシングを利用することができるので、磁気効率の低下を効果的に抑制できる。
また、本実施形態では、共通の発振器を用いた時分割制御を行う必要はないので、低コストでAM変調ノイズを低減して、トルク検出装置の冗長化を実現できる。さらに、発振器は、それぞれのコイルに対応して別個独立で設けられるので、仮に一つの発振器に不具合が発生した場合であっても、他の発振器、コイル及びその信号処理回路によりトルクを検出できる。その結果、本実施形態に係るトルク検出装置は、高い信頼性が確保される。
以上のように、本発明に係るトルク検出装置及び電動パワーステアリング装置は、コイルのインダクタンス変化を利用してトルクを検出するものに対して有用であり、特に、コイル及びその信号処理回路及び発振器を2系統以上備えて冗長化されたものに有用である。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
2a 入力軸
2b 出力軸
3 補助操舵機構
4 ユニバーサルジョイント
5 ロアシャフト
6 ユニバーサルジョイント
7 ピニオンシャフト
8 ステアリングギヤ
9 タイロッド
10 電動パワーステアリング装置
11 減速ギヤ
12 電動機
20、20a トルクセンサ
21 第1回転軸
21T 凸部
21i、26o 連結部
22A 第1コイル対
22Aa、22Ab、22Ba、22Bb コイル
22B 第2コイル対
23A、23B ヨーク
23Ao 外面
23Ai 内面
24 トーションバー
25 円筒部材
25A、25B、25Aa、25Ab、25Ba、25Bb 窓
26 第2回転軸
27 磁気遮蔽体
27i 内面
27o 外面
51A、51B 差動アンプ
52A、52B 整流・平滑回路
53A、53B ローパスフィルタ
54A、54B ノイズ除去フィルタ
55 トルク演算部
56 電動機制御部
57A 第1信号処理回路
57B 第2信号処理回路
60A 第1発振器
60B 第2発振器
61Aa、61Ab、61Ba、61Bb 電気抵抗
100 トルク検出装置

Claims (7)

  1. トーションバーのねじれを利用してトルクを検出するものであり、
    トルクが入力されることでねじれが発生するトーションバーで連結された第1回転軸と第2回転軸との相対的な変位をインピーダンスの変化に反映させて検出する少なくとも2組のコイル対と、
    それぞれの前記コイル対に対応して別個に設けられ、異なる励磁周波数でそれぞれの前記コイル対に励磁電流を供給するとともに、前記励磁周波数の差である励磁周波数差は、検出されるトルクの信号の周波数帯域における最大値よりも大きい複数の発振器と、
    それぞれの前記コイル対に対応して別個に設けられ、それぞれの前記コイル対の出力信号に対して信号処理を行う信号処理回路と、
    それぞれの当該信号処理回路に設けられて、前記励磁周波数差に相当する周波数の通過を阻害するローパスフィルタと、
    を含むことを特徴とするトルク検出装置。
  2. 前記第1回転軸の外周部に形成される、当該第1回転軸の軸方向に向かう凹部と、
    前記第1回転軸の外周部を囲む円筒部材と、
    前記円筒部材の側部であって、それぞれの前記コイル対と対向する位置に設けられて、前記第1回転軸と前記第2回転軸との相対的な変位に応じて前記凹部との重なり具合が変化する窓と、を有し、
    前記第1回転軸は、前記トーションバーの一端部に設けられ、前記第2回転軸は、前記トーションバーの他端部に設けられ、かつ、前記円筒部材が設けられ、それぞれの前記コイル対は、前記円筒部材の外側に、当該円筒部材の軸方向に向かって設けられる請求項1に記載のトルク検出装置。
  3. 前記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記励磁周波数差よりも小さく、前記トルク検出装置が検出するトルクの信号の周波数帯域における最大値よりも大きい請求項1又は2に記載のトルク検出装置。
  4. 前記励磁周波数差は、前記トルク検出装置が検出するトルクの信号の周波数帯域における最大値の10倍以上である請求項1から3のいずれか1項に記載のトルク検出装置。
  5. 複数の前記コイル対の間に設けられて、複数の当該コイル対が発生する磁束により渦電流を発生させる導電性かつ非磁性の磁気遮蔽体を備える請求項1から4のいずれか1項に記載のトルク検出装置。
  6. 前記磁気遮蔽体は、少なくとも当該磁気遮蔽体の軸方向に対しては一つの構造体として構成される請求項5に記載のトルク検出装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のトルク検出装置の第1回転軸と第2回転軸とをステアリングシャフトに取り付けて、操舵トルクを検出することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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