JP2010188724A - 廃相変化インクのリサイクル - Google Patents

Abstract

【課題】廃インクをリサイクルし得るプリントヘッドを提供する。
【解決手段】インク供給源からインクを受け取るように構成されたリザーバ６１と、複数のインクジェット孔１３４を含む孔プレート１４０と、ジェットスタック１００とを含む、画像形成装置で用いるためのプリントヘッド２０で、インクジェット孔１３４から放出された廃インクを捕捉するリサイクルポケット１５８と、リサイクルポケット１５８内の孔プレート１４０に、リサイクル孔１５０を設け、捕捉した廃インクをリザーバ６１の中に引き込む。
【選択図】図４

Description

本発明は、一般に、インクジェット画像形成装置に関し、特に、こうしたインクジェット画像形成装置における廃インク（ｗａｓｔｅ ｉｎｋ）の処理に関する。

一般に、インクジェット印刷機又はプリンタは、液体インクの滴又はジェットを記録媒体又は画像形成媒体の上に噴射する少なくとも１つのプリントヘッドを含む。相変化インクジェット・プリンタは、常温では固体であるが、高温で液相に移行する相変化インクを用いる。次に、溶融インクを、プリントヘッドにより、画像受け取り基材の上に直接的に、又は、画像が画像受け取り基材の上に転写される前に中間画像部材の上に間接的に印刷媒体の上に噴射することができる。噴射されたインクが画像受け取り基材に接触すると、インク小滴が急速に固化して、画像を形成する。

種々の動作モードにおいては、インクをプリントヘッドからパージし、プリントヘッドの適切な動作を保証することができる。固形インクプリンタが最初に作働されたとき、固形インクは、溶融又は再溶融され、プリントヘッドを通ってパージされ、気泡を除去し、各ジェットをプライミングする。ここで用いられる「プリンタ」という用語は、任意の目的の印刷出力機能を実行するデジタルコピー機、ブックマーク機械、ファクシミリ装置、多機能機械などの任意の装置を含む。インクがプリントヘッドを通してパージされるとき、インクは、プリントヘッドの面を伝って流れ落ち、典型的には、プリントヘッドの下方に配置された廃インク・トレイ又は容器に向けて流出し、そこで、廃インクを冷却し、再固化することが可能になる。廃インク収集容器は、典型的には、便利にアクセスできる場所に配置されるので、容器を取り外し、廃インクを廃棄することができる。

別の実施形態においては、画像形成装置で用いるためのプリントヘッドが、インク供給源からインクを受け取るように構成されたリザーバと、複数のインクジェット孔を含む孔プレートと、ジェットスタックとを含む。ジェットスタックは、該ジェットスタック内の第１の位置に複数のインクジェットを含む。ジェットスタックは、リザーバからインクを受け取り、インクを複数のインクジェットに連通させるように構成される。複数のインクジェットが、孔プレート内の複数のインクジェット孔を通してインクを噴射するように構成される。少なくとも１つのリサイクル・ポケットが、ジェットスタック内の第２の位置に形成され、複数のインクジェット孔を通して複数のインクジェットにより放出された廃インクを捕捉するように構成される。複数のリサイクル孔が、少なくとも１つのリサイクル・ポケットの壁内に形成され、複数のリサイクル・チャネルが、複数のリサイクル孔の間に延びて、これらの複数のリサイクル孔をリザーバに流体接続する。リザーバに負圧を加えて、複数のリサイクル・ポケットに捕捉された廃インクを、複数のリサイクル孔、関連したリサイクル・チャネルを通してリザーバの中に引き込むように、負圧源が構成される。

オンボード・インク・リザーバを含むインクジェット印刷装置の実施形態の概略的なブロック図である。 オンボード・インク・リザーバを含むインクジェット印刷装置の別の実施形態の概略的なブロック図である。 図１及び図２のインクジェット印刷装置のインク配送コンポーネントの実施形態の概略的なブロック図である。 リサイクル孔及びリサイクル・チャネルを含むプリントヘッドの実施形態の簡単化された側断面図である。 インクジェットの概略的な立面図である。 リサイクル孔及びリサイクル・チャネルの概略的な立面図である。 リサイクル孔カバー・プレートを示す孔プレートの前部立面図である。 カバー・プレートが取り外された状態の、図７の孔プレートの前部立面図である。 リサイクル孔及びリサイクル・チャネルを含むプリントヘッドの別の実施形態の簡単化された側断面図である。 リサイクル孔及びリサイクル・チャネルを含むプリントヘッドの実施形態の更に別の簡単化された側断面図である。

本実施形態の一般的な理解のために図面を参照する。図面においては、全体にわたって同じ参照番号が同じ要素を示すように用いられる。

ここで用いられる「画像形成装置」という用語は、一般に、画像を印刷媒体に適用するための装置を指す。「印刷媒体」は、事前に切断されたものであろうと、又はウェブ状で供給されたものであろうと、物理的な一枚の紙、プラスチック、或いは画像に適した他の物理的な印刷媒体基材とすることができる。画像形成装置は、仕上げ機、給紙装置等といった種々の他のコンポーネントを含むことができ、コピー機、プリンタ、又は多機能機械として具体化することができる。「印刷ジョブ」又は「文書」とは、通常は、特定のユーザからの、１組のオリジナルの印刷ジョブシート又は電子文書ページ画像からコピーされた１つ又はそれ以上の丁合いされたコピーの組であるか、或いは別の方法により関連された、１組の関連するシートである。画像は、一般に、マーキングエンジンにより印刷媒体上にレンダリングされる電子形態の情報を含むことができ、テキスト、グラフィックス、絵等を含むことができる。

図１及び図２は、コントローラ１０と、プリントヘッド２０とを含むインクジェット印刷装置の実施形態の概略的なブロック図であり、プリントヘッド２０は、インク３３の液滴を直接印刷出力媒体１５上又は中間転写面３０上に放出するための複数の液滴放出液滴生成器を含む。印刷出力媒体搬送機構４０は、印刷出力媒体をプリントヘッド２０に対して移動させることができる。プリントヘッド２０は、このプリントヘッド２０に取り付けられた複数のオンボード・インク・リザーバ６１、６２、６３、６４からインクを受け取る。オンボード・インク・リザーバ６１−６４は、それぞれ、それぞれのインク供給チャネル７１、７２、７３、７４を介して、複数の遠隔インク容器５１、５２、５３、５４からインクを受け取る。

図１又は図２には示されないが、インクジェット印刷装置は、インクを遠隔インク容器５１−５４に供給するためのインク配送システムを含む。一実施形態においては、インクジェット印刷装置は、相変化インク画像形成装置である。従って、インク配送システムは、固形の相変化インクの少なくとも１つのカラーの少なくとも１つの供給源を有する相変化インク配送システムを含む。相変化インク配送システムはまた、固体の相変化インクを溶融して液状にし、溶融インクを適切な遠隔インク容器に配送するための溶融・制御装置（図示せず）も含む。

遠隔インク容器５１−５４は、内部に保持される溶融相変化インクをオンボード・インク・リザーバ６１−６４に連通させるように構成される。一実施形態においては、遠隔インク容器５１−５４は、例えば、複数の弁８１、８２、８３、８４を介して、加圧空気供給源７６により与えられる加圧空気により、選択的に加圧することができる。遠隔容器５１−５４からオンボード・リザーバ６１−６４へのインクの流れは、例えば、加圧又は重力によるものとすることができる。出力弁９１、９２、９３、９４を形成して、オンボード・インク・リザーバ６１−６４へのインクの流れを制御することができる。

オンボード・インク・リザーバ６１−６４はまた、例えば、遠隔インク容器５１−５４を選択的に加圧し、弁８５を介してエアチャンネル７５を加圧することによっても、選択的に加圧することができる。或いは、インク供給チャンネル７１−７４を、例えば、出力弁９１−９４を閉じることによって閉鎖し、エアチャンネル７５を加圧することができる。オンボード・インク・リザーバ６１−６４を加圧して、例えば、プリントヘッド２０における洗浄動作又はパージ動作を実行することができる。オンボード・インク・リザーバ６１−６４及び遠隔インク容器５１−５４は、溶融固体インクを含有することができ、加熱することができる。インク供給チャンネル７１−７４及びエアチャンネル７５を加熱することもできる。

オンボード・インク・リザーバ６１−６４は、通常の印刷動作中、例えば、弁８５を制御して、エアチャンネル７５を大気に通気することによって、大気に通気される。オンボード・インク・リザーバ６１−６４はまた、遠隔インク容器５１−５４からのインクの非加圧転写中（すなわち、オンボード・インク・リザーバ６１−６４を加圧することなくインクが転写される場合）に大気に通気することもできる。

図２は、図１の実施形態に類似しており、プリントヘッド２０により放出された液滴を受け取るための転写ドラム３０を含むインクジェット印刷装置の実施形態の概略的なブロック図である。印刷出力媒体搬送機構４０は、転写ドラム３０に対して、出力印刷媒体１５と係合して、転写ドラム上に印刷された画像が印刷出力媒体１５に転写されるようにする。

図３に概略的に示すように、インク供給チャンネル７１−７４及びエアチャンネル７５の一部を、多導管ケーブル７０における導管７１Ａ、７２Ａ、７３Ａ、７４Ａ、７５Ａとして実装することができる。

インク供給チャネルを介して加圧されたインクがプリントヘッドに到達すると、加圧されたインクは、オンボード・リザーバ内に回収される。オンボード・リザーバは、印刷媒体（図１）又は転写ドラム３０（図２）のような中間転写部材上にインクを噴射するための複数のインクジェットを含むジェットスタックにインクを連通させるように構成される。図４は、少なくとも１つのオンボード・リザーバ６１を含むプリントヘッド２０の実施形態を示す。ジェットスタック１００は、多くの方法で形成することができるが、この例では、ステンレス鋼プレートのような多数の積層シート又は積層プレートの形状をなす。各プレート内にエッチングされたキャビティが位置合わせされて、プリントヘッドのためのインクジェットを定めるチャンバ及び通路を形成する。大きいキャビティは、ジェットスタックの全長にわたる大きい通路を形成するように位置合わせされる。これらの大きい通路は、インクをインクジェット１０８に供給するように構成されたインク・マニホルド１０４である。ジェットスタック１００のプレートは、互いに突き合わせて位置合わせされた状態で積層され、互いに蝋付け又は他の方法で接着されて、機械的に一体の動作可能なジェットスタックを形成する。

図５は、ジェットスタック１００の複数のプレートにより形成することができるインクジェット１０８の実施形態の概略的な立面図を示す。液滴生成器１０８は、マニホルド、リザーバ、又は他のインク収容構造から受け取る入口チャネル１１０を含む。インクは、例えば、可撓性ダイアフラム１１８により片側に接合された、本体チャンバとも呼ばれる圧力チャンバ１１４に流れ込む。電気機械式トランスジューサ１２０が可撓性ダイアフラム１１８に取り付けられ、例えば、本体チャンバ１１４の上に重なる。電気機械式トランスジューサ１２０は、例えば、コントローラ１０から液滴ファイヤリング信号及び非ファイヤリング信号を受け取る電極１２８間に配設された圧電素子１２４を含む圧電トランスジューサとすることができる。電気機械式トランスジューサ１２０の作働により、インクが圧力チャンバ１１４から液滴形成出口チャンネル１３０に流れるようにする。出口チャネルは、ジェットスタック孔プレート１４０内に形成された孔１３４を含み、これを通して、インク滴１３８が放出される。述べたように、インクは、溶融した相変化インクとすることができる。電気機械式トランスジューサ１２０は、例えば、曲げモードで動作される圧電トランスジューサとすることができる。

出口チャネルの組み合わされた長さは、液滴生成器及びインク・マニホルドを形成するジェットスタックのプレートにわたる。一実施形態においては、出口チャネル１３０は、約７５．０ミルの全長Ｌを有することができる。出口チャネルの直径Ｄは、約８．０ミルから約２０．０ミルまでの間とすることができる。孔１３４は、約１．５ミルとすることができる孔プレート１４０の厚さに対応する長さを有し、孔は、約３８−４２μｍの直径を有することができる。動作中、毛管作用により、オンボード・プリントヘッド・リザーバ６１からのインクは、インクジェット１０８のインク・マニホルド、入口チャネル、圧力チャンバ、及び出口チャネルを満たし、小滴の形態で孔から吐出される前に、各孔においてメニスカス（図示せず）を形成する。インクジェットの孔及びチャネルのサイズにより、空気が孔を介してプリントヘッドの中に入るのを防ぎながら、インクジェットが作働されるまで、孔においてインク・メカニカスを留めることが可能になる。

述べたように、インクをプリントヘッドからパージするために、開口部又は通気口１４４を通して、圧力供給源６７を用いて、オンボード・プリントヘッド・リザーバ６１内の溶融相変化インクに正圧を加えて、リザーバ６１内のインクを、ジェットスタック１００内の複数のインクジェット１０８を通して、孔プレート１４０内の対応する複数のインク孔１３４から外に排出させることができる。孔プレート１４０にわたってスクレーパ又はワイパー・ブレード１４８を引き込み、あらゆる余分な液相変化インク、及び、孔プレート１４０上に集められたあらゆる紙、ごみ、又は他の屑を拭き取り去ることができる。既知の画像形成装置においては、プリントヘッドの面から拭き取られた又は他の方法で除去された廃インク（典型的には、依然として液状の）は、溝の中に閉じ込められ、この溝は、最終的に、廃インクを、廃インク回収容器に向けて流すか又は他の方法で指向させ、廃インク回収容器において、例えば、廃インクを冷却し再固化することが可能になるというものであった。次に、容器が取り外され、廃棄されるか又は空にされた。

画像形成装置のプリントヘッドにより生成された廃相変化インクを収集し、廃棄することの代案として、孔プレート内に、ここではリサイクル孔１５０と呼ばれる第２の複数の孔が、図４のプリントヘッドに設けられた。リサイクル孔１５０は、必ずしもではないが、サイズ及び形状がインクジェット孔１３４に類似したものとすることができる、孔プレート１４０内に形成された開口部を含む。各リサイクル孔１５０は、リサイクル孔１５０からジェットスタック１００を形成するプレートを引き返し、オンボード・リザーバ６１に通じる対応するリサイクル・チャネル１５４により、オンボード・プリントヘッド・リザーバ６１に流体接続される。プリントヘッドのインクジェット孔１３４を通して放出される廃インクを、例えば、リサイクル孔カバー・プレート１６０によって形成された、リサイクル孔の前方にある１つ又はそれ以上のポケット又はキャビティ１５８内に集めることができる。次に、例えば、通気口１４４を介してオンボード・リザーバにわずかな負圧を加えて、孔カバー１６０の１つ又はそれ以上のポケット１５８内に集められた廃インクを、リサイクル孔１５０を通して、再びオンボード・リザーバの中に引き込むこと又は吸引することができる。

例えば、図７及び図８は、インクジェット１０８が転写面又は印刷媒体のようなインク受け上にインクを噴射する複数のインクジェット孔１３４を示す、孔プレートの実施形態を示す。図７は、リサイクル孔カバー・プレートを有する孔プレートを示し、図８は、リサイクル孔を示すために、リサイクル孔カバー・プレートが取り外された状態のリサイクル孔を示す。図４−図８の実施形態において、孔プレート１４０は、インクジェット孔１３４の下方の孔プレート１４０内に配置された複数のリサイクル孔１５０を含む。以下に説明されるように、リサイクル孔は、インク孔の上方など、孔プレート上の他の適切な位置に配置してもよい。リサイクル孔は、いずれの適切な数、構成、及び／又は密度を有してもよい。例えば、リサイクル孔は、図８に示されるような線形格子状配列で配置してもよく、或いは、例えば千鳥配列（図示せず）を有してもよい。プリントヘッド内に組み込まれるリサイクル孔の数及び密度は、オンボード・リザーバを通して、リサイクル・ポケット又はキャビティ内に捕捉された廃インクの再循環を可能にするいずれの数の孔にしてもよい。リサイクル孔に関する密度という用語は、単位面積当たりの孔の数を言う。図８の実施形態においては、リサイクル孔は、平方インチ当たり約２０の孔とする密度で、孔プレート１４０内に形成される。

述べられたように、リサイクル孔１５０は、廃インクを再びプリントヘッドのオンボード・リザーバ内に引き込むことを可能にする、孔プレート１４０を貫通する開口部を含む。図４−図８の実施形態において、リサイクル孔の形状は円形である。しかしながら、リサイクル孔を定める開口部は、いずれの適切な断面形状を有してもよい。リサイクル孔１５０は、実質的には、インクジェット孔と同じサイズとすることができる。従って、一実施形態においては、円形のリサイクル孔は、それぞれ約３８−４４μｍの直径を有することができる。しかしながら、リサイクル孔１５０は、いずれの適切なサイズを有してもよく、孔プレート１４０内のインクジェット孔１３４より大きいものであっても又は小さいものであってもよい。例えば、リサイクル孔は、唯１つの長い矩形の孔で構成することができる。

ここで図４及び図６を参照すると、各々のリサイクル孔１５０が、リサイクル孔１５０からジェットスタック１００を形成するプレートを引き返し、オンボード・リザーバ６１に通じる対応するリサイクル・チャネル１５４により、オンボード・プリントヘッド・リザーバ６１に流体接続される。各々のリサイクル・チャネル１５４は、それぞれのリサイクル・チャネル１５４を形成するように位置合わせされた、プリントヘッド・ジェットスタック１００のプレート内の開口部により定められる。一実施形態においては、リサイクル・チャネル１５４を定めるジェットスタック１００の各プレート内の開口部は、実質的には、インクジェット出口チャネル１３０を定める開口部と同じサイズ及び形状である。しかしながら、リサイクル・チャネル・プレートの開口部が、対応するインクジェット開口部と独立したものであってもよく、従って、いずれの適切なサイズ及び形状を有することができる。一般に、リサイクル・チャネル１５４を定めるジェットスタック１００内の開口部は、円形とすることができる。代替的に、チャネル１５４を定める開口部は、楕円形状又は正方形の形状のような、非円形の形状を有することもできる。さらに、リサイクル・チャネル１５４を定める開口部のそれぞれが同じサイズのもの又は異なるサイズのものであってもよい。例えば、チャネル１５４が孔１５０からオンボード・リザーバ６１に向かって延びるに従って徐々に大きくなるように、プレート内の開口部が異なるサイズを有してもよい。

リサイクル・チャネルの各々は、リサイクル孔１５０から、実質的に、チャネルが形成されるジェットスタック１００の全厚に対応するオンボード・リザーバ６１までの長さＬを有する。従って、一実施形態においては、リサイクル・チャネル１５４は、約７５．０ミルの全長Ｌを有することができる。リサイクル・チャネルの直径Ｄは、実質的にインクジェットの出口チャネルの直径と同じとすることができ、従って、約８．０ミルから約２０．０ミルまでの間とすることができる。しかしながら、リサイクル・チャネルは、いずれの適切な長さ及び／又は直径を有してもよい。

図４の実施形態においては、プリントヘッドのインクジェット１０８により放出された廃インクは、リサイクル孔カバー・プレート１６０によって、リサイクル孔１５０の前方にある孔プレート１４０上のポケット又はキャビティ１５８内に集められる。カバー・プレート１６０は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムで形成できるが、いずれの適切な材料を用いてもよく、任意の適切な方法で孔プレート１４０に固定することができる。孔プレート１４０は、リサイクル孔１５０の前方にある１つ又はそれ以上のキャビティ又はポケット１５８を形成し、１つ又はそれ以上のキャビティ又はポケット１５８により、カバー・プレート１６０により廃インクが集められたとき、リサイクル孔１５０を廃インク中に浸漬させることが可能になる。カバー・プレートにより形成されたリサイクル・ポケットは、プリントヘッドのインクジェットにより放出される任意の適切な量の廃インクを捕獲し、保持することができる。パージ動作中、プリントヘッドのインクジェットを通して、約１０グラムのインクを押し込むことができる。孔プレートと、例えば転写ドラムなどの画像受け取り面との間の物理的空間が限られているため、一般に、リサイクル・ポケット１５８が保持できるのは、少量のリサイクル・インクであり、そのことにより、パージ・サイクル中に生成することができるパージ・インクの量が制限されることがある。従って、少量のパージを多数回行なって、リサイクル・ポケット１５８がインクで一杯になり、インクがポケットから漏れ、画像形成装置の内部コンポーネント上に滴り落ちないようにすることができる。

孔プレート１４０がインクで濡れてないとき、毛管力が、リサイクル孔１５０におけるインク・メニスカスを維持し、空気がリサイクル孔１５０を介してプリントヘッド内に引き込まれるのを防止する。しかしながら、孔がインクで濡れたとき、インクが孔に流入し得ることが、試験により示された。従って、一実施形態においては、リサイクル孔を介してインクをプリントヘッド・リザーバ内に引き込むために、リサイクル孔１５０が、該リサイクル孔１５０の前方にあるリサイクル・ポケット１５８内に捕捉された廃インクで濡らされ、次に、わずかな負圧がオンボード・リザーバ６１に加えられ、この負圧により、ポケット１５８又はキャビティ内に集められたインクが、濡れたリサイクル孔１５０及び対応するリサイクル・チャネル１５４を通って、オンボード・リザーバ６１内に引き込まれる又は吸引される。ここで用いられる廃インクとは、画像形成装置のプリントヘッドを通り、印刷基材上に付着されなかったインクを言う。例えば、廃インクは、プリントヘッドを通ってパージされた又は流されたインク、及び、画像形成操作中にプリントヘッドのノズル・プレート上に集められたインクを含む。

一実施形態においては、オンボード・リザーバ６１内の開口部又は通気口１４４を通して、例えば真空生成装置などの圧力源を用いて、オンボード・プリントヘッド・リザーバ６１内のインクに負圧すなわち真空を加えることができる。オンボード・プリントヘッド・リザーバ６１内に負圧を導入する通気口１４４は、パージ作業のために正圧を導入するのと同じ通気口とすることができる。従って、圧力源６７は、双方向の圧力源、真空源、又は正圧及び負圧の両方をオンボード・プリントヘッド・リザーバ６１に供給するように構成されたエアポンプとすることができる。しかしながら、別個の圧力源を用いて、正圧及び負圧をオンボード・プリントヘッド・リザーバに導入することもできる。オンボード・リザーバ６１内のインクに加えられる負圧は、廃インクを、リサイクル孔及びリサイクル・チャネルを通してオンボード・リザーバ内に引き込むのを可能にする任意の適切な大きさを有することができる。

廃インクがプリントヘッド内に引き込まれるとき、小さいサイズのリサイクル孔１５０は、該リサイクル孔１５０が、廃インクからゴミ及び屑などのあらゆる大きい粒子を取り除くための粗いフィルタとして働くことを可能にする。プリントヘッドのジェットスタック１００は、インクジェットに到達する前に、オンボード・リザーバ６１から入ってくるインクをフィルタにかけるフィルタ・プレート１６４を含むことができる。フィルタ・プレート１６４を用いて、リサイクル孔を通して引き込まれたリサイクル・インクをフィルタにかけることができる。リサイクル・インクをフィルタにかけるために、プリントヘッド内の１つ又はそれ以上の場所において、プリントヘッドに付加的な又は代替的なフィルタを設けることができる。

インクをリサイクルするために、他の場所において、リサイクル孔１５０をプリントヘッド内に組み込むこともできる。図９及び図１０は、廃インクをリサイクルするためのリサイクル孔及びリサイクル・チャネルを含む、プリントヘッドの代替的な実施形態を示す。図９の実施形態においては、リサイクル孔１５０は、ジェットスタック１００の底部において、リサイクル・プレート１６８と呼ばれる、プリントヘッド・ジェットスタックを形成する内部プレート１６８の１つの中に形成される。リサイクル・プレート１６８の前方のプレート内に大きい開口部を形成して、リサイクル・プレート１６８内のリサイクル孔の前方に内部リサイクル・ポケット１７０を形成することができる。前部プレート１６０は、孔プレートとしてもよく、或いは、プリントヘッドは、インクジェット孔１３４から放出された廃インクを集め、かつ、内部リサイクル・ポケット１７０のための前壁として働く、上記の孔カバー・プレートと類似した前部プレート１６０を含むことができる。内部リサイクル・ポケット１７０を使用することにより、孔プレート１４０（図４）上に形成されたリサイクル・ポケット１５８とは対照的に、リサイクルのために、大きい質量の廃インクを集めることが可能になる。図４の実施形態と同様に、リサイクル孔１５０を介してインクをプリントヘッド・リザーバ６１内に引き込むために、リサイクル孔１５０は、該リサイクル孔１５０の前方にある内部リサイクル・ポケット１７０内に捕捉された廃インクで濡らされ、次いで、通気口１４４を介してわずかな負圧がオンボード・リザーバ６１に加えられ、それにより、ポケット又はキャビティ１７０内に集められたインクが、濡れたリサイクル孔１５０及び対応するリサイクル・チャネル１５４を通して、オンボード・リザーバ６１内に引き込まれる又は吸引される。

図１０は、リサイクル孔１５０がインクジェット孔１３４の上方でプリントヘッド内に組み込まれた、廃インク・リサイクル・システムの実施形態を示す。図１０の実施形態において、ジェットスタックの上部においてジェットスタック１００の内部プレート又はリサイクル・プレート１６８内に、リサイクル孔１５０が形成される。リサイクル・プレート１６８の前方にあるプレート内に大きい開口部を形成して、内部リサイクル・ポケット１７０を形成することができる。図１０の実施形態においては、孔プレート１４０を、インクジェット孔１３４から放出された廃インクを集めるリサイクル・ポケット１７０のための前壁１６０として用いることができる。リサイクル・ポケット１７０は、ジェットスタック１００の上部に配置されているので、スクレーパ又はワイパー・ブレード１４８のような装置を孔プレート１４０にわたって上向きに（例えば、矢印１７４で示される方向に）引き上げ、廃インクを、プリントヘッドの上部及び内部リサイクル・ポケット１７０内に移動させることができる。プリントヘッドの上部に配置されたリサイクル孔を用いるとき、上述したような負圧、重力、又はその両方の組み合わせを用いて、廃インクをオンボード・リザーバの中に引き込むこと又は再び供給することができる。

上述した実施形態においては、孔プレートの表面の表面エネルギーを変更して、プリントヘッドのインク・リサイクル能力をさらに高めることができる。当技術分野において知られているように、表面エネルギーは、液体の表面を濡らす能力を指し、固体表面の表面エネルギーが高い程、表面の濡れ性が高くなり、その逆も同様である。孔プレートは、典型的には、画像形成装置に用いられるインク（例えば、液体状態になるまで加熱された相変化インク）の表面張力と比べて低い表面エネルギーを有するように変更され、少なくとも孔の周りの領域におけるインクの濡れ能力、又は孔プレートへの接着能力を制限する。従って、これまで知られている孔プレートを用いると、プリントヘッドのノズルにより放出された廃インクは、孔プレートの表面を必要以上に急速に流れ落ちる。

本開示の孔プレートのインク・リサイクル能力を高めるために、孔プレートに、表面エネルギーが低い領域と表面エネルギーが高い領域の混合領域を設けて、例えば、廃インクを孔プレート上の特定の領域に流したり、或いは、プレートへのインクの流れをさらに失速又は減速させたりし、インク・リサイクルのための切り替え時間（ｈｅａｄ ｔｉｍｅ）を与えることができる。例えば、図７及び図８を参照すると、インクの表面張力より低く、かつ、孔１３４の周りの領域における孔プレートの表面エネルギーより高い表面エネルギーを有するように、インク噴射孔１３４とリサイクル孔１５０の間の孔プレート１４０内の領域を変更することができる。噴射孔とリサイクル孔との間の孔プレート上に高表面エネルギー領域を設けることにより、十分な質量のインクが合体して、インクが高表面エネルギー領域を超えてリサイクル孔１５０に流れるのを可能にするまで、孔１３４により放出された廃インクが、高表面エネルギー領域内に集められるようにされる。従って、孔プレート１４０の高表面エネルギー領域を用いて、噴射孔１３４からリサイクル孔までのインクの流れを遅くし、プリントヘッドが、例えばカバー・プレート１６０により、リサイクル孔の前方に集められたインクをリサイクルしなければならない時間を増やすことができる。

図７及び図８の実施形態においては、高表面エネルギー領域に、例えば、孔１３４とリサイクル孔１５０との間に孔プレートにわたって横方向に延びる１つ又はそれ以上の細片（ｓｔｒｉｐ）を設けることができる。当技術分野において周知の任意の適切な方法で所望の表面エネルギーを有するように、孔プレートの領域を変更することもできる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン（テフロン（登録商標））などの低表面エネルギー・コーティングが施された孔プレートにおいて、例えば、ポリテトラフルオロエチレン被覆プロセス中に所望の領域をマスキングすることにより、高表面エネルギー領域を設けることができる。

１０：コントローラ
１５：印刷出力媒体
２０：プリントヘッド
３０：転写ドラム
３３：インク
４０：印刷出力媒体搬送機構
５１、５２、５３、５４：遠隔インク容器
６１、６２、６３、６４：オンボード・インク・リザーバ
７１、７２、７３、７４：インク供給チャネル
７５：エアチャネル
７６：加圧空気供給源
８１、８２、８３、８４、８５：弁
９１、９２、９３、９４：出力弁
１００：ジェットスタック
１０４：インク・マニホルド
１０８：インクジェット
１１０：入口チャネル
１１４：圧力チャンバ
１１８：可撓性ダイアフラム
１２４：圧電素子
１３０：出口チャネル
１３４：インクジェット孔
１４０：ジェットスタック孔プレート
１４４：通気口
１４８：ワイパー・ブレード
１５０：リサイクル孔
１５８：ポケット又はキャビティ
１６０：リサイクル孔カバー・プレート
１６４：フィルタ・プレート
１６８：リサイクル・プレート
１７０：リサイクル・ポケット

Claims (4)

1. 画像形成装置で用いるためのプリントヘッドであって、
   インク供給源からインクを受け取るように構成されたリザーバと、
   複数のインクジェット孔を含む孔プレートと、
   ジェットスタックであって、
   前記ジェットスタック内の第１の位置にある複数のインクジェットであって、該ジェットスタックは、前記リザーバからインクを受け取り、前記インクを複数のインクジェットに連通させるように構成され、前記複数のインクジェットは、前記孔プレート内の前記複数のインクジェット孔を通してインクを噴射するように構成された、複数のインクジェットと、
   ジェットスタック内の第２の場所に形成され、かつ、前記複数のインクジェット孔を通して前記複数のインクジェットにより放出された廃インクを捕捉するように構成された少なくとも１つのリサイクル・ポケットと、
   前記少なくとも１つのリサイクル・ポケットの壁内に形成された複数のリサイクル孔と、
   前記複数のリサイクル孔の間に延びてこれらを前記リザーバに流体接続する複数のリサイクル・チャネルと、
   を含むジェットスタックと、
   負圧を前記リザーバに加えて、前記少なくとも１つのリサイクル・ポケットにより捕捉された廃インクを、前記複数のリサイクル孔、関連したリサイクル・チャネルを通って、該リザーバの中に引き込むようにする負圧源と、
   を備えることを特徴とするプリントヘッド。
2. 前記孔プレート内の前記リサイクル孔は、該孔プレート内の前記インクジェット孔と同じサイズを有することを特徴とする、請求項１に記載のプリントヘッド。
3. 前記孔プレートは、前記第１の位置において第１の表面エネルギーを有し、該第１の位置と第２の位置との間の該孔プレートの領域の少なくとも一部は、第２の表面エネルギーを有し、前記第２の表面エネルギーは、前記第１の表面エネルギーより大きいことを特徴とする、請求項１に記載のプリントヘッド。
4. 廃インクを前記第１の位置から前記第２の位置まで前記孔プレート上で上向きに移動させるように構成されたワイパーをさらに備えることを特徴とする、請求項１に記載のプリントヘッド。