JP2010185560A - 歯車変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯車変速機において、係合クラッチに設けられた弾性係合部を有する緩衝構造により、歯車変速機のコスト削減を図ると共に変速時の衝撃および衝撃音の低減効果の向上を図る。
【解決手段】変速機の係合クラッチ31は、変速歯車11bに設けられた複数の歯車側係合部38とシフタ21に設けられた複数のシフタ側係合部39とを有する。歯車側係合部38は、弾性材料から形成された弾性部80を有する弾性係合部Bと、弾性係合部Bよりも剛性が大きい剛性係合部Aとから構成される。変速操作装置26で操作されたシフタ21が軸方向に移動して係合クラッチ31が接続完了状態になるまでの間に、弾性係合部Bである歯車側係合部38と、剛性係合部Aであるシフタ側係合部39が互いに当接することにより弾性係合部Bが弾性変形した後に、いずれも剛性係合部Aである歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が互いに当接するように、弾性係合部Bが配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転軸に設けられた変速歯車と、該回転軸に軸方向に移動可能に設けられると共に変速操作装置により操作されるシフタと、変速歯車に設けられた歯車側係合部とシフタに設けられたシフタ側係合部とを有する係合クラッチとを備える歯車変速機に関し、さらに詳細には、係合クラッチの係合部の構造に関する。そして、該歯車変速機は、例えば車両に搭載される。
例えば車両に搭載される歯車変速機であって、係合クラッチ(いわゆるドッグクラッチ)を備えるものにおいては、変速時に、変速操作装置で操作されたシフタが軸方向に移動して、係合クラッチの歯車側係合部とシフタ側係合部とが互いに周方向で当接することより、変速歯車およびシフタが一体に回転して該変速歯車で規定される変速比が確立される。
しかしながら、係合クラッチの係合部同士が当接する直前での変速歯車の回転速度とシフタの回転速度とが異なるため、歯車側係合部とシフタ側係合部との当接の際に、衝撃および該衝撃に起因する衝撃音が発生する。そこで、この衝撃および衝撃音を低減するために、変速歯車が設けられる回転軸を囲むリング状の緩衝部材が該変速歯車に取り付けられた歯車変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−98164号公報
ところで、緩衝部材が、リング状で金属製の内側スリーブおよび外側スリーブと、径方向で該1対のスリーブの間に固着されて設けられたリング状でゴム製の弾性部材とから構成される場合、緩衝部材自体の部品点数が多く、さらに該緩衝部材を変速歯車に圧入により取り付ける必要があるため、該緩衝部材が設けられた歯車変速機の製造コストが増加する。
さらに、緩衝部材がリング状であることや金属製のスリーブを備えることから、緩衝部材自体の重量が大きくなるので、緩衝部材を設けることが、衝撃および衝撃音の増大の原因となる変速歯車の慣性質量の増加を招来して、緩衝部材による衝撃および衝撃音の低減効果が減じることになる。
また、前述の緩衝部材では、リング状の弾性部材の捩れによる剪断方向での弾性変形を利用して緩衝作用が行われるため、弾性部材がスリーブから剥離することがあり、耐久性の点で改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜6記載の発明は、歯車変速機において、係合クラッチに設けられた弾性係合部を有する緩衝構造により、歯車変速機のコスト削減を図ると共に変速時の衝撃および衝撃音の低減効果の向上を図ることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、複数の弾性係合部が設けられる場合の変速の迅速性の向上を図ることを目的とし、請求項3〜6記載の発明は、さらに、弾性係合部の耐久性の向上を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、回転軸(4)に設けられた変速歯車(11b)と、前記回転軸(4)に軸方向に移動可能に設けられると共に変速操作装置(26)により操作されるシフタ(21)と、前記変速歯車(11b)に設けられた複数である所定数の歯車側係合部(38)からなる歯車側係合群と前記シフタ(21)に設けられた前記所定数のシフタ側係合部(39)からなるシフタ側係合群とを有する係合クラッチ(31)とを備え、前記係合クラッチ(31)が、前記所定数の前記歯車側係合部(38)と前記所定数の前記シフタ側係合部(39)とがそれぞれ互いに周方向で当接している接続完了状態にあるとき、前記変速歯車(11b)および前記シフタ(21)が一体に回転することにより前記変速歯車(11b)で規定される変速比が確立される歯車変速機(M)において、前記歯車側係合群または前記シフタ側係合群は、弾性材料から形成された1以上の弾性係合部(B)と、前記弾性係合部(B)よりも剛性が大きい1以上の剛性係合部(A)とから構成され、前記変速操作装置(26)により操作された前記シフタ(21)が軸方向に移動して前記係合クラッチ(31)が前記接続完了状態になるまでの間に、少なくとも一方が前記弾性係合部(B)である前記歯車側係合部(38)および前記シフタ側係合部(39)が互いに当接することにより前記弾性係合部(B)が弾性変形した後に、いずれも前記剛性係合部(A)である前記歯車側係合部(38)および前記シフタ側係合部(39)が互いに当接するように、前記弾性係合部(B)が配置される歯車変速機(M)である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の歯車変速機(M)において、前記弾性係合部(B)の周方向形成範囲(W5,W5a)は、前記剛性係合部(A)の周方向形成範囲(W3,W3a)よりも大きく、周方向で1対の前記剛性係合部(A)の間に1つの前記弾性係合部(B)が配置されるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の歯車変速機(M)において、前記弾性係合部(B)は、前記変速歯車(11b)または前記シフタ(21)に一体に設けられて径方向に延びているコア部(70)と、前記弾性材料から形成されると共に前記コア部(70)に固着された弾性部(80)とを有し、前記弾性部(80)は、周方向での前記コア部(70)の両側の少なくとも一方の側に配置され、前記弾性部(80)は、前記シフタ側係合部(39)または前記歯車側係合部(38)が周方向で当接すると共に前記接続完了状態で前記コア部(70)との間において周方向に圧縮されて弾性変形する緩衝部(81)を有し、前記弾性変形前の前記緩衝部(81)の径方向での延長上には、前記緩衝部(81)が前記シフタ側係合部(39)または前記歯車側係合部(38)により圧縮されたときに前記弾性部(80)が弾性変形して膨出することを許容する空間(91)が形成されるものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の歯車変速機(M)において、前記コア部(70)は、前記変速歯車(11b)または前記シフタ(21)に設けられた周壁(42)から径方向に延びており、前記弾性部(80)は、前記緩衝部(81)に連なると共に径方向で前記周壁(42)との間に配置されて前記緩衝部(81)に対して周方向で括れた括れ部(82)を有し、前記空間(91)は、前記括れ部(82)により形成され、前記コア部(70)に固着された前記括れ部(82)の周方向形成範囲(W6,W6a)は、径方向で前記周壁(42)に近づくにつれて大きくなるものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の歯車変速機(M)において、前記コア部(70)は、前記弾性部(80)が固着される固着面(F1)となる周方向でのコア側面(71)を有し、前記コア側面(71)は、前記コア側面(71)と軸方向に直交する平面とのコア交線(L3)が円弧状となるコア湾曲面(71a)を有し、周方向での前記括れ部(82)の括れ側面(82a)は、前記括れ側面(82a)と前記直交平面との括れ交線(L4)が円弧状となる括れ湾曲面(82e)を有し、前記コア交線L3の曲率は、前記括れ交線(L4)の曲率よりも小さく、前記コア部(70)の周方向形成範囲(W4,W4a)は、径方向で前記周壁(42)に近づくにつれて大きくなるものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の歯車変速機(M)において、前記コア交線(L3)の一部は、径方向で前記緩衝部(81)と重なる位置にあるものである。
請求項1記載の発明によれば、係合クラッチの歯車側係合群およびシフタ側係合群の少なくとも一方の係合群は、弾性係合部および剛性係合部の2種類の係合部から構成される該所定数の係合部を有し、変速時には、歯車側係合群およびシフタ側係合群の剛性係合部同士が当接して変速歯車とシフタとが一体に回転する係合クラッチの接続完了状態に先だって、歯車側係合群およびシフタ側係合群の少なくとも一方の係合群の弾性係合部が他方の係合群の係合部との当接により弾性変形することで、歯車側係合部およびシフタ側係合部が当接する際に発生する衝撃が緩和されて、該衝撃および衝撃音が低減する。
そして、この衝撃および衝撃音を低減する緩衝構造では、弾性変形するのは、係合部自体である弾性係合部であるので、回転軸を囲むリング状の緩衝部材を設ける場合に比べて、構造が簡単化されて、コスト削減ができる。しかも、該緩衝構造を設けたことによる変速歯車またはシフタの軽量化または重量増の防止が可能になるので、緩衝構造に起因する変速歯車またはシフタの慣性質量の減少または増加防止が可能になって、緩衝構造による衝撃および衝撃音の低減効果を向上できる。さらに、弾性係合部の個数を変更することにより、衝撃および衝撃音の低減効果を調整することができる。
請求項2記載の事項によれば、周方向で1対の剛性係合部の間に1つの弾性係合部が配置されることから、周方向で弾性係合部に隣接する係合部は、弾性係合部の周方向形成範囲に比べて小さい周方向形成範囲を有する剛性係合部であるので、周方向で隣接する係合部間の間隔は、弾性係合部が周方向で隣接している場合に比べて大きくなる。この結果、歯車側係合群およびシフタ側係合群において、弾性係合部を有する一方の係合群の周方向で隣接する係合部の間に、他方の係合群の係合部が入り易くなるので、変速に要する時間が短くなって、変速が迅速化される。
請求項3記載の事項によれば、弾性係合部において、弾性材料から形成された弾性部の緩衝部は、係合部との当接により、周方向でコア部との間で周方向に圧縮されるので、弾性部とコア部とが剥離し難くなって弾性係合部の耐久性が向上し、ひいては歯車変速機の耐久性が向上する。
また、緩衝部が圧縮されて弾性部が弾性変形したとき、弾性部の一部が空間に膨出することから、弾性部の弾性変形が容易になって、弾性部に過大な応力の発生が抑制されるので、この点でも弾性係合部の耐久性が向上する。
請求項4記載の事項によれば、括れ部の周方向幅がコア部が突出する周壁に近づくほど大きくなることにより、弾性部の弾性変形を容易にする空間を形成する括れ部を利用して、弾性部とコア部との固着面、または、弾性部とコア部および周壁との固着面を大きくできる。この結果、コア部と弾性部との固着力が大きくなって、コア部と弾性部とが剥離し難くなるので、弾性係合部の耐久性が向上する。
請求項5記載の事項によれば、周壁から径方向に延びているコア部において、その側面の形状を規定するコア交線の曲率は、括れ部の側面を規定する括れ交線の曲率よりも小さく、しかもコア部の周方向幅は径方向で周壁に近づくほど大きくなるので、コア部の剛性が高められて、弾性係合部の耐久性が向上する。
また、弾性部の固着面となるコア部の側面が、径方向で周壁に近づくにつれて周方向に大きくなるので、コア部と弾性部との固着力が大きくなり、コア部と弾性部とが剥離し難くなって、弾性係合部の耐久性が向上する。
請求項6記載の事項によれば、コア部は、径方向で緩衝部と重なる部分から周方向幅が次第に大きくなるので、緩衝部に当接するシフタ側係合部または歯車側係合部が加える周方向での力が緩衝部を介して作用するコア部の剛性が高められて、弾性係合部の耐久性が向上する。
本発明が適用された歯車変速機の断面図であり、係合クラッチの弾性係合部が設けられた変速歯車について、図2のI−I線断面図である。 弾性係合部が設けられた変速歯車を軸方向から見たときの図1のII矢視での拡大図である。 図2の弾性係合部からなる歯車側係合部付近の拡大図であり、対比のために剛性係合部からなる歯車側係合部が二点鎖線で示されている。 図3のIV−IV線断面図である。 図2の要部拡大図である。 本発明の別の実施形態を示し、図3に相当する図である。 図6のVII−VII線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図1〜図7を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明の一実施形態を説明する図である。
図1を参照すると、本発明が適用された歯車変速機Mは、常時噛合式の歯車変速機であり、該変速機Mに入力される動力を発生する動力発生装置としての内燃機関Eと共に、機械である車両としての自動二輪車に搭載される。
変速機Mは、内燃機関Eの出力軸である駆動回転軸としてのクランク軸1からの動力が変速クラッチ2を介して入力される入力回転軸としてのメイン軸3と、メイン軸3の回転速度が変速された後の回転速度で回転する出力回転軸としてのカウンタ軸4と、メイン軸3の回転速度を変速してカウンタ軸4に伝達する複数である設定数の変速歯車対11〜16から構成される変速歯車群10と、変速操作装置26により操作される1以上のシフタ21〜24と、前記設定数の変速比を確立するための変速比確立手段としての該設定数の係合クラッチ31〜36とを備える。
ここで、変速機ケース(図示されず)に軸受5を介して回転可能に支持されるメイン軸3およびカウンタ軸4は、内燃機関Eにより回転駆動される回転軸であり、その回転中心線L1,L2が互いに平行となるように配置される。
なお、明細書または特許請求の範囲の記載において、軸方向は、回転軸の回転中心線に平行な方向であるとし、径方向および周方向は、それぞれ、該回転中心線を中心とする径方向および周方向であるとし、中心半平面とは、前記回転中心線を含むと共に該回転中心線から径方向に延びている平面であるとする。
クランク軸1の動力をメイン軸3に伝達する動力伝達経路に配置される変速クラッチ2は、制御装置7により制御されることでメイン軸3へのクランク軸1の動力の伝達および遮断を行う動力断続手段であり、この実施形態では、第1,第2変速クラッチ2a,2bから構成される。
メイン軸3は、第1変速クラッチ2aを介してクランク軸1からの動力が入力される第1メイン軸3aと、第2変速クラッチ2bを介してクランク軸1からの動力が入力される第2メイン軸3bとから構成される。第2メイン軸3bは、第1メイン軸3aと同軸に配置されて、第1メイン軸3aの外周に相対回転可能に支持される。
カウンタ軸4の動力は、該カウンタ軸4に設けられてカウンタ軸4と一体に回転する出力回転体としての出力歯車6を有する減速機構を介して、自動二輪車の駆動輪である後輪に伝達される。
なお、別の例として、変速クラッチおよびメイン軸はそれぞれ1つであってもよい。
変速歯車群10は、前記設定数としての6つの変速歯車対である第1〜第6変速歯車対11〜16から構成される。各変速歯車対11〜16は、メイン軸3に設けられる第1〜第6入力側変速歯車11a〜16aと、カウンタ軸4に設けられると共に第1〜第6入力側変速歯車11a〜16aとそれぞれ常時噛み合う第1〜第6出力側変速歯車11b〜16bとからなる。各変速歯車11a〜16a,11b〜16bの外周には、多数の歯を有する歯部19が形成されている。
第1〜第6変速歯車対11〜16は、最大変速比としての第1変速比から、最小変速比としての第6変速比まで、同一のメイン軸3の回転速度に対してカウンタ軸4の回転速度が順次大きくなる変速比をそれぞれ確立する。
なお、変速時には、第1,第2変速クラッチ2a,2bが、それぞれ第1,第2メイン軸3a,3bに対するクランク軸1の動力の伝達を遮断する。
第1,第3変速歯車11a,13aは、第1メイン軸3aと一体に回転するように設けられ、第5変速歯車15aは、第1メイン軸3aに回転可能に設けられる。第2,第4変速歯車12a,14aは、第2メイン軸3bと一体に回転するように設けられ、第6変速歯車16aは、第2メイン軸3bに回転可能に設けられる。
一方、第1〜第4変速歯車11b〜14bは、カウンタ軸4に相対回転可能に設けられ、第5,第6変速歯車15b,16bは、カウンタ軸4と一体に回転するように設けられる。
この実施形態では、複数のシフタ21〜24は、カウンタ軸4に軸方向に移動可能に設けられる第1,第2シフタ21,22と、第1メイン軸3aに軸方向に移動可能に設けられる第3シフタ23と、第2メイン軸3bに軸方向に移動可能に設けられる第4シフタ24である。各シフタ21〜24は、カウンタ軸4、第1メイン軸3aまたは第2メイン軸3bにスプライン結合されて、それら軸4,3a,3bと一体に回転する。変速操作装置26が備える複数のシフトフォーク29(図1には、第1,第2シフタ21,22をそれぞれ操作するシフトフォーク29が模式的に示されている。)が係合する係合部としての環状溝25が設けられた各シフタ21〜24は、シフトフォーク29により駆動されて軸方向に平行に移動する。
第1シフタ21は第5変速歯車15bに、第2シフタ22は第6変速歯車16bに、第3シフタ23は第3変速歯車13aに、第4シフタ24は第4変速歯車14aに、それぞれ一体成形により一体に設けられて、各変速歯車15b,16b,13a,14aが各シフタ21,22,23,24を兼ねる。
変速操作装置26は、シフトフォーク29のほかに、軸方向でのシフトフォーク29の位置を定める案内用カム溝が設けられたシフトドラム28と、シフトドラム28を回転駆動するアクチュエータとしての電動モータ27とを備える自動式の変速操作装置である。ここで、シフトフォーク29およびシフトドラム28は、軸方向での各シフタ21〜24の位置を設定するシフタ位置設定部材を構成する。
電動モータ27は、シフトドラム28の回転位置としての位置を検出する位置検出手段8と、車速および内燃機関Eの機関運転状態を含む運転状態を検出する運転状態検出手段9からの検出信号が入力される制御装置7により制御される。
制御装置7は、検出手段8,9により検出されるシフトドラム28の回転位置、車速および機関運転状態に基づいて、第1,第2変速クラッチ2a,2bを制御する一方、電動モータ27の作動を制御することにより、シフトドラム28の回転位置を設定し、したがってシフトフォーク29の位置を設定する。
係合クラッチ31〜36は、変速機Mで得られる変速比の数と同数の6つの第1〜第6係合クラッチ31〜36であり、基本構造として、それぞれクラッチ本体と係合部とを有する。そして、第1〜第6係合クラッチ31〜36のそれぞれは、クラッチ本体としての第1,第6,第3,第4,第5,第6変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aのそれぞれに一体に、かつ周方向に間隔をおいて設けられた複数の歯車側係合部38からなる歯車側係合群と、クラッチ本体としての第1,第2,第1,第2,第3,第4シフタ21,22,21,22,23,24のそれぞれに一体に、かつ周方向に間隔をおいて設けられて歯車側係合部38と同数のシフタ側係合部39からなるシフタ側係合群とを有する。
図2を併せて参照すると、各変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aに一体成形された各歯車側係合部38は、変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aの、軸方向でシフタ21,22,21,22,23,24に対向する面において、軸方向でシフタ21,22,21,22,23,24に向かって開口して各シフタ側係合部39を1つずつ収容可能な複数の収容空間41を形成する形成部である凹部40の、周方向での側壁である。各歯車側係合部38は、周方向で隣接する収容空間41の間に位置して、径方向に延びていている。そして、各変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aの凹部40は、歯車側係合部38のほかに、径方向外方および径方向内方でそれぞれ歯車側係合部38に連なる外周壁42および内周壁43を、その周壁として有し、さらに、軸方向での歯車側係合部38と外周壁42と内周壁43の、軸方向での各端部に連なる底壁44を有する。各外周壁42の外周には歯部19が形成されている。
各シフタ21,22,21,22,23,24に一体成形された各シフタ側係合部39は、シフタ21,22,21,22,23,24の、軸方向で変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aに対向する面において、軸方向に突出する凸部である。
係合クラッチ31〜36が接続完了状態(以下、「接続完了状態」という。)にあるとき、すなわち同数の歯車側係合部38およびシフタ側係合部39がそれぞれ互いに周方向で当接または係合している状態にあるとき、変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aとシフタ21,22,21,22,23,24とが相対回転することなく一体に回転して、該変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aにより規定される変速比が確立され、該変速比でメイン軸3の回転速度が変速された回転速度でカウンタ軸4が回転する。ここで、互いに当接する1つの歯車側係合部38と1つのシフタ側係合部39とは、1組の係合対を構成する。
一方、係合クラッチ31〜36が非接続状態(以下、「非接続状態」という。)にあるとき、すなわち各歯車側係合部38と各シフタ側係合部39とが周方向で互いに当接していない状態にあるとき、通常、変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aとシフタ21,22,21,22,23,24とは異なる回転速度となる。
第1〜第6係合クラッチ31〜36のうちで、任意の、少なくとも1つの係合クラッチ、ここでは最大変速比を確立する第1係合クラッチ31は、該係合クラッチ31が非接続状態から接続完了状態になるときに、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が当接する際に発生する衝撃および衝撃音を低減する緩衝構造を有する。
図2を参照すると、該緩衝構造は、歯車側係合群およびシフタ側係合群の少なくとも一方、この実施形態では歯車側係合群を構成する複数である所定数の、ここでは5つの歯車側係合部38が、弾性材料から形成された弾性係合部Bと、弾性係合部Bよりも剛性が大きい剛性係合部Aとの、それぞれ別個の2種類の係合部から構成される構造である。このため、歯車側係合群は、1以上の、この実施形態では同一形状の2つの弾性係合部Bと、1以上の、この実施形態では同一形状の3つの剛性係合部Aとを有する。そして、周方向で1対の剛性係合部Aの間に1つの弾性係合部Bが配置される。
一方、シフタ側係合群では、前記所定数としての5つのシフタ側係合部39の全てが剛性係合部Aから構成される。そして、係合クラッチ31におけるトルク伝達のための強度は、これら剛性係合部Aにより確保される。なお、各第2〜第6係合クラッチ32〜36(図1参照)の全ての歯車側係合部38および全てのシフタ側係合部39は、剛性係合部Aから構成される。
また、各歯車側係合部38は、該歯車側係合部38と交わる1つの中心半平面である基準面P1を対称面とした面対称な形状であり、同様に各シフタ側係合部39も、該シフタ側係合部39と交わる1つの中心半平面である基準面P2を対称面とした面対称な形状である。そして、歯車側係合群およびシフタ側係合群の各係合群の全ての基準面P1,P2は、周方向に等しい間隔を形成するように、または回転中心線L2を中心として等しい角度を形成するように配置され、クラッチ31が有する全ての歯車側係合部38および全てのシフタ側係合部39は周方向に等しい間隔で配置されている。なお、第1係合クラッチ31以外の、係合部38,39の数が前記所定数と同数または異なる数である係合クラッチ32〜36においても、基準面P1,P2に相当する基準面は周方向に等間隔または等角度で配置されている。
このように、基準面P1は、歯車側係合群における歯車側係合部38の周方向での配置を定める面であり、基準面P2は、シフタ側係合群におけるシフタ側係合部39の周方向での配置を定める面である。なお、別の例として、各係合部38,39は基準面P1,P2に対して面対称でなくてもよい。
図2〜図4を参照すると、第1係合クラッチ31の歯車側係合群の剛性係合部Aからなる歯車側係合部38は、周方向での両側の側面51,52の一部としての、シフタ側係合部39と周方向で当接可能な第1,第2当接面51a,52aを有する。第1当接面51aは、シフタ側係合部39が剛性係合部Aに対して相対的に第1回転方向R1に回転するときに、シフタ側係合部39の第1当接面61aと当接し、第2当接面52aは、シフタ側係合部39が剛性係合部Aに対して相対的に第1回転方向R1とは反対方向の第2回転方向R2に回転するときに、シフタ側係合部39の第2当接面62aと当接する。
第1,第2当接面51a,52aは、シフタ側係合部39の周方向での両側の側面61,62の一部としての第1,第2当接面61a,62aとのそれぞれの当接開始時に、各当接面61a,62aと面接触する形状に形成されている。
弾性係合部Bは、該弾性係合部Bによるトルク伝達を可能とする剛性を確保するためのコア部70と、周方向でのコア部70の両側に配置されてコア部70に一体に設けられる弾性部80とを有する。コア部70および弾性部80は、基準面P1に対して面対称の形状である。
剛性係合部Aと同様に変速歯車11bに一体成形されて一体に設けられるコア部70は、径方向に延びており、ここでは外周壁42から径方向内方に突出している。コア部70は、周方向での両コア側面71と、径方向での内側端面72とを有する。
図3〜図5を参照すると、前記弾性材料から形成される弾性部80は、コア部70および凹部40(したがって該凹部40を構成する変速歯車11b)に、固着手段、例えば焼付けにより固着される。より具体的には、弾性部80は、周方向での両側および径方向内方からコア部70を覆うように、径方向で、コア部70に、またはコア部70と外周壁42とに渡って固着され、軸方向で凹部40の底壁44に固着される。そして、この実施形態では、弾性部80は、両側面71および内側端面72をコア部70での固着面F1として、径方向でコア部70のみに固着され、底壁44の壁面である底面44aを固着面F2として、軸方向で底壁40に固着される。
ここで、前記弾性材料は、ゴム状弾性を有する材料、例えばゴムであり、剛性係合部Aは、変形しないまたは弾性係合部Bの変形量に比べて変形しないに等しい程度の剛性を有し、ここでは金属、例えば鋼で形成されている。
そして、コア部70の軸方向幅W1および弾性部80の軸方向幅W2(図4参照)は等しく、コア部70の軸方向端面73および弾性部80の軸方向端面84は、回転中心線L2に直交する平面(以下、「直交平面」という。)のうちの一つである特定の直交平面P3に位置する平面である。なお、別の例として、両軸方向幅W1、W2は異なっていてもよく、軸方向端面73,84が同一の直交平面上になくてもよい。
弾性部80は、周方向での両側に、シフタ側係合部39が周方向で当接すると共に係合クラッチ31の接続完了状態でシフタ側係合部39により周方向に圧縮されて弾性変形する1対の緩衝部81と、各緩衝部81に連なると共に緩衝部81に対して周方向で括れた1対の括れ部82とを有する。括れ部82は、緩衝部81に対して径方向に、ここでは径方向外方に位置し、径方向で緩衝部81と外周壁42との間に位置する。
図5に示されるように、各緩衝部81は、係合クラッチ31が接続完了状態にあるときと仮定したときのシフタ側係合部39と弾性部80とが重なる部分であり、シフタ側係合部39との当接開始(図5に、そのときのシフタ側係合部39が一点鎖線で示される。)の後に、シフタ側係合部39により押圧された弾性部80が弾性変形して、接続完了状態でのシフタ側係合部39(図5に、二点鎖線で示される。)により押し込められる部分である。
このため、弾性係合部Bの基準面P1と剛性係合部Aの基準面P1とを一致させたと仮定した場合の剛性係合部A(以下、「仮想剛性係合部」という。)が二点鎖線で示される図3を参照することで明らかなように、緩衝部81が形成されている径方向範囲S1において、弾性係合部Bの、後述する第1,第2当接面81a,81bにより規定される周方向形成範囲(または周方向角度)W5は、各剛性係合部Aの周方向形成範囲(または周方向角度)W3よりも大きく、また両コア側面71により規定されるコア部70の周方向形成範囲(または周方向角度)W4は、周方向形成範囲W3よりも小さい。同様に、基準面P1に対する第1,第2当接面81a,81bの周方向形成範囲(または周方向角度)W5aは、基準面P1に対する各剛性係合部Aの周方向形成範囲(または周方向角度)W3aよりも大きく、また基準面P2に対するコア部70の周方向形成範囲(または周方向角度)W4aは、周方向形成範囲W3aよりも小さい。
図3〜図5を参照すると、1対の緩衝部81は、周方向での両側にシフタ側係合部39と周方向で当接可能な第1,第2当接面81a,81bをそれぞれ有する。第1当接面81aは、シフタ側係合部39が弾性係合部Bに対して相対的に第1回転方向R1に回転するときに、シフタ側係合部39の第1当接面61aと当接し、第2当接面81bは、シフタ側係合部39が弾性係合部Bに対して相対的に第2回転方向R2に回転するときに、シフタ側係合部39の第2当接面62aと当接する。
第1,第2当接面81a,81bは、シフタ側係合部39の第1,第2当接面61a,62aとのそれぞれの当接開始時に、該第1,第2当接面61a,62aとそれぞれ面接触する形状に形成されている。
図5に示されるように、各緩衝部81は、係合クラッチ31の非接続状態での第1,第2当接面81a,81bにおいて基準面P1から周方向で最も遠い部位と交わる中心半平面P4と、緩衝部81で基準面P1に周方向で最も近い部位と交わる中心半平面P5とがなす角度である緩衝範囲θ内で、シフト側係合部39により、周方向でコア部70との間において周方向に圧縮されて、弾性部80が弾性変形する。この実施形態では、周方向でコア部70または基準面P1の両側で、緩衝範囲θは同じ値であるが、異なる値に設定されてもよい。そして、この緩衝範囲θを調整することにより、弾性係合部Bによる衝撃の緩和の程度を調整でき、また過大な応力の発生を防止して耐久性を向上させるための圧縮量の調整が簡単にできる。
そして、この弾性変形を生じさせるために、弾性係合部Bは、変速機Mの変速時に、変速操作装置26(図1参照)により駆動された第1シフタ21が軸方向に移動して第1係合クラッチ31が非接続状態から接続完了状態に達するまでの間に、少なくとも一方が弾性係合部Bである歯車側係合部38およびシフタ側係合部39からなる係合対である緩衝係合対(この実施形態では、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39のうちで歯車側係合部38のみが弾性係合部Bである。)において歯車側係合部38とシフタ側係合部39とが当接して弾性係合部Bが弾性変形した後に、いずれも剛性係合部Aである歯車側係合部38およびシフタ側係合部39からなる係合対である剛性係合対において歯車側係合部38とシフタ側係合部39とが当接するように、配置される。
このため、変速時の第1係合クラッチ31における歯車側係合群およびシフタ側係合群の係合部38,39同士の当接の際の衝撃が、弾性部80の前述の弾性変形により緩和されて、該当接時に発生する衝撃および衝撃音が低減する。
弾性部80において周方向で凹んいると共に周方向で基準面P1から遠ざかる方向に開放している各括れ部82は、第1,第2当接面81a,81bに対して周方向で基準面P1寄りに位置し、周方向での括れ部82の側面である凹状の括れ側面82aにおいて、その最奥部82c寄りの一部である最奥部82c付近は、周方向で前記仮想剛性係合部の側面51,52よりも基準面P1寄りに位置する(図3参照)。
そして、弾性部80は周方向での両側に1対の側面83を有し、緩衝部81の当接面81aおよび括れ側面82aのそれぞれは、一方の側面83の一部であり、緩衝部81の当接面81bおよび括れ側面82aのそれぞれは、他方の側面83の一部である。
また、係合クラッチ31が非接続状態にあって、シフタ側係合部39との当接による弾性変形が生じる前の各緩衝部81に対して、径方向での延長上には、緩衝部81が押し込められたことにより弾性変形した弾性部80が膨出することを許容する径方向空間91が軸方向に延びて形成されている。該空間91は括れ部82により形成される。
図5を参照すると、括れ部82の、両括れ側面52aにより規定される周方向形成範囲(または周方向角度)W6、および、基準面P1に対する周方向形成範囲(または周方向角度)W6aは、径方向で最奥部82cから外周壁42に近づくにつれて大きくなる。
各コア側面71は、コア側面71と直交平面との交線であるコア交線L3が円弧状となるコア湾曲面71aを有する。コア交線L3は、括れ部82の径方向での形成範囲S2(図5参照)の全体に渡って、径方向で外周壁42に近づくにつれて、両コア交線L3の周方向間隔(または周方向角度)である周方向形成範囲W4および基準面P1と各コア交線L3との周方向間隔(または周方向角度)である周方向形成範囲W4aが、連続的に大きくなる円弧状である。このため、コア部70において、その周方向形成範囲W4および基準面P1からの周方向形成範囲W4aは、径方向で外周壁42に近づくにつれて連続的に大きくなる。
一方、各括れ側面52aは、括れ側面52aと直交平面との交線である括れ交線L4が円弧状となる括れ湾曲面82eを有する。そして、コア交線L3の曲率は、括れ交線L4の曲率よりも小さい。括れ部82は、外周壁42の壁面である内周面42aから径方向でのコア湾曲面71aの形成範囲S3(図5参照)の過半に渡って形成されている。
また、図5に示されるように、コア交線L3の一部(したがって、コア湾曲面71aの一部)は、径方向で緩衝部81と重なる位置、換言すれば、径方向で、径方向での緩衝部81の位置と同じ位置にある。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
変速機Mにおいて、変速歯車11bに周方向に間隔を置いて設けられた前記所定数の歯車側係合部38とシフタ21に周方向に間隔を置いて設けられた前記所定数のシフタ側係合部39とを有する係合クラッチ31の該所定数の歯車側係合部38は、弾性材料から形成された1以上の、ここでは2つの弾性係合部Bと、弾性係合部Bよりも剛性が大きい1以上の、ここでは弾性係合部Bの数よりも多い数の剛性係合部Aとから構成され、変速操作装置26により操作されたシフタ21が軸方向に移動して係合クラッチ31が接続完了状態になるまでの間に、弾性係合部Bである歯車側係合部38と、剛性係合部Aであるシフタ側係合部39が互いに当接することにより弾性係合部Bが弾性変形した後に、いずれも剛性係合部Aである歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が互いに当接するように、弾性係合部Bが配置される。
この構造により、係合クラッチ31の歯車側係合群は、弾性係合部Bおよび剛性係合部Aの2種類の係合部から構成される所定数の歯車側係合部38を有し、変速時には、歯車側係合群およびシフタ側係合群の剛性係合部A同士が当接して変速歯車11bとシフタ21とが一体に回転する係合クラッチ31の接続完了状態に先だって、歯車側係合群の弾性係合部Bがシフタ側係合群の剛性係合部Aとの当接により弾性変形することで、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が当接する際に発生する衝撃が緩和されて、該衝撃および衝撃音が低減する。
そして、この衝撃および衝撃音を低減する前記緩衝構造では、弾性変形するのは、係合部自体である弾性係合部Bであるので、例えばカウンタ軸4を囲むリング状の緩衝部材を設ける場合に比べて、構造が簡単化されて、コスト削減ができる。しかも、該緩衝構造を設けたことによる変速歯車11bまたはシフタ21の軽量化または重量増の防止が可能になるので、該緩衝構造に起因する変速歯車11bまたはシフタ21の慣性質量の減少または増加防止が可能になって、該緩衝構造による衝撃および衝撃音の低減効果を向上できる。さらに、歯車側係合群での弾性係合部Bの個数を変更することにより、衝撃および衝撃音の低減効果を調整することができる。
弾性係合部Bの周方向形成範囲W5は、剛性係合部Aの周方向形成範囲W3よりも大きく、歯車側係合群において周方向で1対の剛性係合部Aの間に1つの弾性係合部Bが配置されることにより、周方向で1対の剛性係合部Aの間に1つの弾性係合部Bが配置されることから、周方向で弾性係合部Bに隣接する係合部は、弾性係合部Bの周方向形成範囲W5に比べて小さい周方向形成範囲W3を有する剛性係合部Aであるので、周方向で隣接する係合部A,B間の間隔は、弾性係合部Bが周方向で隣接している場合に比べて大きくなる。この結果、係合クラッチ31の歯車側係合群およびシフタ側係合群において、弾性係合部Bを有する一方の係合群である歯車側係合群の周方向で隣接する係合部である歯車側係合部38の間に、他方の係合群であるシフタ側係合群の係合部であるシフタ側係合部39が入り易くなるので、変速に要する時間が短くなって、変速が迅速化される。
弾性係合部Bは、変速歯車11bに一体に設けられて径方向に延びているコア部70と、弾性材料から形成されると共にコア部70に固着された弾性部80とを有し、弾性部80は、周方向でのコア部70の両側の両側に配置され、弾性部80は、シフタ側係合部39が周方向で当接すると共に係合クラッチ31の接続完了状態でコア部70との間において周方向に圧縮されて弾性変形する緩衝部81を有し、弾性変形前の緩衝部81の径方向での延長上には、緩衝部81がシフタ側係合部39または歯車側係合部38により圧縮されたときに弾性部80が弾性変形して膨出することを許容する空間91が形成されることにより、弾性係合部Bにおいて、弾性材料から形成された弾性部80の緩衝部81は、シフタ側係合部39との当接により、周方向でコア部70との間で周方向に圧縮されるので、弾性部80とコア部70とが剥離し難くなって弾性係合部Bの耐久性が向上し、ひいては変速機Mの耐久性が向上する。
また、緩衝部81が圧縮されて弾性部80が弾性変形したとき、弾性部80の一部が空間91に膨出することから、弾性部80の弾性変形が容易になって、弾性部80に過大な応力の発生が抑制されるので、この点でも弾性係合部Bの耐久性が向上する。
コア部70は、変速歯車11bに設けられた外周壁42から径方向に延びており、弾性部80は、緩衝部81に連なると共に径方向で外周壁42との間に配置されると共に緩衝部81に対して周方向で括れた括れ部82を有し、空間91は括れ部82により形成され、括れ部82はコア部70に固着され、コア部70に固着された括れ部82の周方向形成範囲W6,W6aは、径方向で外周壁42に近づくにつれて大きくなることにより、括れ部82の周方向形成範囲W6,W6aがコア部70が突出する外周壁42に近づくほど大きくなることにより、弾性部80の弾性変形を容易にする空間91を形成する括れ部82を利用して、弾性部80とコア部70との固着面F1を大きくできる。この結果、コア部70と弾性部80との固着力が大きくなって、コア部70と弾性部80とが剥離し難くなるので、弾性係合部Bの耐久性が向上する。
弾性部80は、周方向でのコア部70の両側に設けられ、コア部70は、弾性部80が固着される固着面F1となる周方向でのコア側面71を有し、コア側面71は、直交平面とのコア交線L3が円弧状となるコア湾曲面71aを有し、周方向での括れ部82の両括れ側面52aのそれぞれは、括れ側面52aと直交平面との括れ交線L4が円弧状となる括れ湾曲面82eを有し、コア交線L3の曲率は、括れ交線L4の曲率よりも小さく、コア部70の周方向形成範囲W4,W4aは外周壁42に近づくにつれて大きくなることにより、外周壁42から径方向内方に延びているコア部70において、そのコア側面71の形状を規定するコア交線L3の曲率は、括れ部82の括れ側面82aを規定する括れ交線L4の曲率よりも小さく、しかもコア部70の周方向形成範囲W4,W4aは径方向で外周壁42に近づくほど大きくなるので、コア部70の剛性が高められて、弾性係合部Bの耐久性が向上する。
また、弾性部80の固着面F1となるコア部70のコア側面71が、径方向で外周壁42に近づくにつれて周方向に大きくなるので、コア部70と弾性部80との固着力が大きくなり、コア部70と弾性部80とが剥離し難くなって、弾性係合部Bの耐久性が向上する。
コア交線L3の一部は、径方向で緩衝部81と重なる位置にあることにより、コア部70は、径方向で緩衝部81と重なる部分から周方向形成範囲W4,W4aが次第に大きくなるので、緩衝部81に当接するシフタ側係合部39が加える周方向での力が緩衝部81を介して作用するコア部70の剛性が高められて、弾性係合部Bの耐久性が向上する。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
図6,図7に示されるように、空間に加えて、軸方向での各緩衝部81の延長上に周方向で括れた軸方向括れ部86が形成されて、周方向での凹状の側面86aを有する括れ部86により軸方向空間92が径方向に延びて形成されてもよい。この空間92により、緩衝部81が押し込められたときの弾性部80の弾性変形が一層容易になって、弾性係合部Bの耐久性の向上に寄与する。
空間91が、括れ部82により形成されることなく、または弾性部80が括れ部82を有することなく、径方向で緩衝部81と外周壁42との間に形成されていてもよい。
緩衝部81および括れ部82は、周方向で、コア部70の一方側または基準面P1の一方側のみに設けられてもよい。この場合、係合クラッチの歯車側係合群またはシフタ側係合群において、複数、例えば2つの弾性係合部Bが設けられる場合、1つの弾性係合部Bには、周方向での一方側に緩衝部81および括れ部82が設けられ、別の弾性係合部Bには、周方向での他方側に緩衝部81および括れ部82が設けられる。
緩衝部81の当接面81a,81bは、弾性材料以外の材料、例えば金属や合成樹脂で形成された表面層(例えば、板状の表面層)により形成されてもよい。
括れ部82は、緩衝部81に対して径方向内方に配置されてもよい。
歯車側係合群の前記所定数の歯車側係合部が、全て剛性係合部Aで構成され、かつシフタ側係合群の前記所定数のシフタ側係合部39が、弾性係合部Bおよび剛性係合部Aから構成されてもよい。
また、歯車側係合群の前記所定数の歯車側係合部38が、弾性係合部Bおよび剛性係合部Aから構成され、かつシフタ側係合群の前記所定数のシフタ側係合部39が、弾性係合部Bおよび剛性係合部Aから構成されてもよい。この場合、少なくとも1つの剛性係合対ができるように、弾性係合部Bの配置および数が設定される。
複数の弾性係合部Bが、周方向で隣接して配置されてもよい。
歯車変速機が備える前記設定数の係合クラッチのうちで、1以上の一部の係合クラッチまたは全ての係合クラッチが、前記緩衝構造を有していてもよく、したがって、前記設定数の係合クラッチの任意の係合クラッチが、弾性係合部Bを有する歯車側係合群または弾性係合部Bを有するシフタ側係合群を有していてもよい。
前記実施形態では、弾性部80の径方向での内側端面87(図3,図6参照)は、コア部70よりも径方向内方に位置するが、コア部70の内側端面72と同じ位置または該内側端面72よりも径方向外方に位置してもよい。
歯車変速機は、車両以外の機械に備えられてもよい。
3…メイン軸、4…カウンタ軸、11a〜16a,11b〜16b…変速歯車、21〜24…シフタ、31〜36…係合クラッチ、38…歯車側係合部、39…シフタ側係合部、40…凹部、42…外周壁、70…コア部、80…弾性部、81…緩衝部、82,86…括れ部、91,92…空間、
M…歯車変速機、E…内燃機関、A…剛性係合部、B…弾性係合部。

Claims (6)

  1. 回転軸に設けられた変速歯車と、前記回転軸に軸方向に移動可能に設けられると共に変速操作装置により操作されるシフタと、前記変速歯車に設けられた複数である所定数の歯車側係合部からなる歯車側係合群と前記シフタに設けられた前記所定数のシフタ側係合部からなるシフタ側係合群とを有する係合クラッチとを備え、
    前記係合クラッチが、前記所定数の前記歯車側係合部と前記所定数の前記シフタ側係合部とがそれぞれ互いに周方向で当接している接続完了状態にあるとき、前記変速歯車および前記シフタが一体に回転することにより前記変速歯車で規定される変速比が確立される歯車変速機において、
    前記歯車側係合群または前記シフタ側係合群は、弾性材料から形成された1以上の弾性係合部と、前記弾性係合部よりも剛性が大きい1以上の剛性係合部とから構成され、
    前記変速操作装置により操作された前記シフタが軸方向に移動して前記係合クラッチが前記接続完了状態になるまでの間に、少なくとも一方が前記弾性係合部である前記歯車側係合部および前記シフタ側係合部が互いに当接することにより前記弾性係合部が弾性変形した後に、いずれも前記剛性係合部である前記歯車側係合部および前記シフタ側係合部が互いに当接するように、前記弾性係合部が配置されることを特徴とする歯車変速機。
  2. 請求項1記載の歯車変速機において、
    前記弾性係合部の周方向形成範囲は、前記剛性係合部の周方向形成範囲よりも大きく、
    周方向で1対の前記剛性係合部の間に1つの前記弾性係合部が配置されることを特徴とする歯車変速機。
  3. 請求項1または2記載の歯車変速機において、
    前記弾性係合部は、前記変速歯車または前記シフタに一体に設けられて径方向に延びているコア部と、前記弾性材料から形成されると共に前記コア部に固着された弾性部とを有し、
    前記弾性部は、周方向での前記コア部の両側の少なくとも一方の側に配置され、
    前記弾性部は、前記シフタ側係合部または前記歯車側係合部が周方向で当接すると共に前記接続完了状態で前記コア部との間において周方向に圧縮されて弾性変形する緩衝部を有し、
    前記弾性変形前の前記緩衝部の径方向での延長上には、前記緩衝部が前記シフタ側係合部または前記歯車側係合部により圧縮されたときに前記弾性部が弾性変形して膨出することを許容する空間が形成されることを特徴とする歯車変速機。
  4. 請求項3記載の歯車変速機において、
    前記コア部は、前記変速歯車または前記シフタに設けられた周壁から径方向に延びており、
    前記弾性部は、前記緩衝部に連なると共に径方向で前記周壁との間に配置されて前記緩衝部に対して周方向で括れた括れ部を有し、
    前記空間は、前記括れ部により形成され、
    前記コア部に固着された前記括れ部の周方向形成範囲は、径方向で前記周壁に近づくにつれて大きくなることを特徴とする歯車変速機。
  5. 請求項4記載の歯車変速機において、
    前記コア部は、前記弾性部が固着される固着面となる周方向でのコア側面を有し、
    前記コア側面は、前記コア側面と軸方向に直交する平面とのコア交線が円弧状となるコア湾曲面を有し、
    周方向での前記括れ部の括れ側面は、前記括れ側面と前記直交平面との括れ交線が円弧状となる括れ湾曲面を有し、
    前記コア交線の曲率は、前記括れ交線の曲率よりも小さく、
    前記コア部の周方向形成範囲は、径方向で前記周壁に近づくにつれて大きくなることを特徴とする歯車変速機。
  6. 請求項5記載の歯車変速機において、
    前記コア交線の一部は、径方向で前記緩衝部と重なる位置にあることを特徴とする歯車変速機。
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