JP2010175229A - 空調制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビル利用者が特に意識しなくても快適性指数が自動で変更され、快適性を維持しつつ省エネ性の向上を図るための空調制御装置を得る。
【解決手段】制御対象の室内機8の操作を行うリモコン1の操作履歴データを保持する操作履歴保持部4と、気象情報を取得し保存する気象データ保存部5と、操作履歴保持部4に保持された操作履歴データに基づいて室内環境目標値を計算する室内環境目標計算部6と、室内環境目標計算部6によって計算された室内環境目標値と気象データ保存部5に保持された気象情報とに基づいて室内機8を制御するための空調設定温度を計算する演算部7とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】制御対象の室内機8の操作を行うリモコン1の操作履歴データを保持する操作履歴保持部4と、気象情報を取得し保存する気象データ保存部5と、操作履歴保持部4に保持された操作履歴データに基づいて室内環境目標値を計算する室内環境目標計算部6と、室内環境目標計算部6によって計算された室内環境目標値と気象データ保存部5に保持された気象情報とに基づいて室内機8を制御するための空調設定温度を計算する演算部7とを備えている。
【選択図】図1
Description
この発明は空調制御装置に関し、特に、ビル/建物の空調制御装置に関するもので、例えば、家庭や事務所等の、空調の設定温度や換気装置の運転モードや風量が自由に変更できる場所での空調制御装置に関するものである。
(財)省エネルギーセンターによると、オフィスビルの空調の消費電力は全消費電力の約40%、家庭の空調の消費電力は全消費電力の約25%を占めている。従って、これらの空調消費電力を下げることが省エネの鍵となる。空調消費電力を下げるためには、空調機をOFFしたり、あるいは、設定温度を調整(夏季は高め、冬季は低めにする)したりすればいいが、単純なOFFや設定温度調整では室内環境が悪化し、快適性が犠牲になってしまう。一般的に省エネ性と快適性は相反関係にあり、両立させることは困難である。
快適性を犠牲にしない省エネ方法として、無駄な空調運転をなくすことを挙げることができる。無駄な空調運転とは、例えば冷房期における冷やしすぎや暖房期における暖めすぎを指す。暖めすぎや冷やしすぎに対して、設定温度に上下限値を設定したり、気象情報を元に設定温度を決定したりする装置や方法が提案されている。
更に、無駄な運転を抑制するために、利用者の申告を用いた運用計画立案方法が提案されている。下記の特許文献1では、サービス利用者に快適性指標の下限値または不快指標の上限値を入力してもらい、それらの入力値によって機器の運用計画を作成するエネルギー管理装置が提案されている。利用者の申告値に基づいて制御するため、快適性を犠牲にすることなく、冷やしすぎ/暖めすぎ等の無駄運転を省くことが可能となる。
このようなエネルギー管理装置では、サービス利用者の申告値が固定値となっており、値の変更のためには、サービス利用者により書類申請された内容をサービス提供者が専用入力システムを用いて変更するという手続きや、あるいは、サービス利用者がインターネットに接続されている端末のウェブブラウザにWWW(World Wide Web)として表示させて変更する等の手続きが必要である。また、サービス利用者として想定されているのは、建物のオーナーや管理者・管理組織、テナントのエネルギー費管理責任者、不動産会社の物件管理部門等であり、ビルの利用者ではない。以上より、ビルの利用者が快適性指数等の申告値を変更したいと思っても、オーナーや責任者へ要望をあげ、オーナーや責任者が承認した後に、オーナーや責任者による手続きが必要となるため、迅速な変更が困難である。また、事務所で席替えがあった場合には、設定の変更が必要になるため、オーナーや責任者の手間が増大することに加え、迅速な対応が困難である。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、ビル利用者が特に意識しなくても快適性指数が自動で変更され、快適性を維持しつつ省エネ性の向上を図ることが可能な空調制御装置を得ることを目的としている。
この発明は、制御対象の空調機の操作を行う操作装置の操作履歴データを保持する操作履歴保持部と、気象情報を取得し保存する気象データ保存部と、前記操作履歴保持部に保持された前記操作履歴データに基づいて室内環境目標値を計算する室内環境目標計算部と、前記室内環境目標計算部によって計算された室内環境目標値と前記気象データ保存部に保持された気象情報とに基づいて前記空調機を制御するための空調設定温度を計算する演算部とを備えた空調制御装置である。
この発明は、制御対象の空調機の操作を行う操作装置の操作履歴データを保持する操作履歴保持部と、気象情報を取得し保存する気象データ保存部と、前記操作履歴保持部に保持された前記操作履歴データに基づいて室内環境目標値を計算する室内環境目標計算部と、前記室内環境目標計算部によって計算された室内環境目標値と前記気象データ保存部に保持された気象情報とに基づいて前記空調機を制御するための空調設定温度を計算する演算部とを備えた空調制御装置であるので、ビル利用者が特に意識しなくても快適性指数が自動で変更され、快適性を維持しつつ省エネ性の向上を図ることができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による空調機の空調制御装置の構成を示したものである。図1において、1は、ユーザが室内機8の操作を行うためのリモコンであり、空調制御装置3にリモコン操作履歴のデータを送信するものである。2は、空調制御装置3に気象情報を気象配信会社または気象サイト等の外部通信装置、3は、空調制御装置、8は、空調制御装置3によって制御される空調機としてのエアコンの室内機である。
図1は本発明の実施の形態1による空調機の空調制御装置の構成を示したものである。図1において、1は、ユーザが室内機8の操作を行うためのリモコンであり、空調制御装置3にリモコン操作履歴のデータを送信するものである。2は、空調制御装置3に気象情報を気象配信会社または気象サイト等の外部通信装置、3は、空調制御装置、8は、空調制御装置3によって制御される空調機としてのエアコンの室内機である。
図1に示すように、空調制御装置3は機能的に4つの部分からなる。すなわち、室内環境目標計算部6、演算部7、気象データ保存部5、操作履歴保持部4の4つである。室内環境目標計算部6は、室内環境目標値の初期値を求めるとともに、リモコン1から送信されてきた操作履歴に基づいて室内環境目標値を更新するものであり、演算部7は、計算された室内環境目標値に基づいて設定温度を計算するものである。気象データ保存部5は、気象配信会社または気象サイト等の外部通信装置2から気象データを入手し保存するものであり、操作履歴保持部4は、ユーザの人手でなされたリモコン1のリモコン操作履歴をリモコン1から入手し保持するものである。以下、動作の詳細を示す。
まずはじめに、気象データ保存部5が、気象配信会社または気象サイト等の外部通信装置2から気象データ(例えば、天気予報(天候、予想最高気温、予想最低気温、予想湿度等)、最高気温(直近の実績)、最低気温(直近の実績)、湿度(直近の実績)等のデータのいずれか必要なもの)を入手し、それを保存する。一方、操作履歴保持部4は、リモコン1から、ユーザの人手でなされたリモコン1のリモコン操作履歴のデータを入手し、それを保持する。なお、これらのデータは、空調制御装置3からの要求を受けて、空調制御装置3に送信するようにしてもよいが、あるいは、一定周期で自動的に、空調制御装置3に送信されるようにしてもよい。
一般的に、人間の快適性は、温度だけでなく、湿度の影響も受ける。よって、室内環境目標値としては温度と湿度の両方を考慮したものにする必要がある。ここで、室内環境目標値の指数として不快指数を用いた例を示す。不快指数DIは、温度T(°C)と相対湿度H(%)の関数として、下式(1)で求められ、その値は表1のように評価される。なお、このときに、湿度計等がなく、室内/室外の湿度が測定できない場合には、外気の相対湿度を用いて絶対湿度を計算し、外気の絶対湿度に基づいて室内の絶対湿度を計算して導出した室内の相対湿度を用いるようにしてもよい。また、その場合には、外気の相対湿度のデータは、気象配信会社や気象サイト等の外部通信装置から取得するようにする。なお、相対湿度から絶対湿度を求める計算方法については後述する。
DI = 0.81T + 0.01H(0.99T - 14.3) + 46.3 (1)
室内環境目標計算部6は、上記の式(1)を用いて、室内環境目標値の初期値を設定する。空調運用により室内環境目標値は随時更新されるため、初期値にそれ程こだわる必要はなく、適当な値を設定すればよい。ただし、室内環境目標値はここで設定された初期値を元に更新されるため、初期値としては大きすぎる値や小さすぎる値は望ましくない。従って、不快指数DIとして、65〜75の間の値を設定することが望ましい。
次に、室内環境目標計算部6によって上述のようにして室内環境目標値の初期値が設定された場合の演算部7の動作を示す。演算部7は、設定された室内環境目標値を満たすような設定温度を決定する。すなわち、演算部7は、室内環境目標値を満たす範囲で電力使用量を最小にするために、冷房期の場合は設定温度をなるべく高く(室内環境目標値を満たす最大の値に設定)、暖房期の場合はなるべく低く(室内環境目標値を満たす最小の値に設定)する。式(1)に、設定された室内環境目標値(不快指数DI)と室内湿度(H%)とを入力し、温度Tを求める。例えば、室内環境目標値が73、室内湿度が60%の場合、温度は25.13°Cとなる。冷房期の場合、25.13°C以下の室内温度で室内環境目標値を満たすため、設定温度は25°Cとすればよい。逆に、暖房期の場合は、25.13°C以上の室内温度で室内環境目標値を満たすため、設定温度は26°Cにすればよい。なお、室内湿度は、例えば、湿度計(湿度計)を室内に設けておいて、それで室内湿度を検出し、当該検出値を演算部7に送信するようにする。あるいは、湿度計がない場合には、上記のように、外気の相対湿度から求めるようにする。また、室内湿度は時間により変化するため、このような計算を30分ごとや1時間ごと等、定期的に行い、設定温度を計算する。演算部7は、こうして計算した設定温度に基づいて、室内機8の動作を制御する。具体的には、室内環境目標値と実際の室内環境の値との差に応じて、室内機8のON/OFFの切り替え、風量の大/小の切り替え、運転モードの変更などを行う。なお、冷房期か暖房期かの判断については、気象配信会社または気象サイト等の外部通信装置2から最高気温(予想値/実績値)および最低気温(予想値/実績値)のデータを入手し、それらの値と予め設定してある閾値とを比較して、暖房期および冷房期のいずれであるかを判定するようにする。あるいは、4月〜9月は冷房期、10月〜3月は暖房期というように、当日の日付により自動的に判定できるように予め設定しておいてもよいが、季節外れの気温となる日もあるので、気象データに基づいて冷房期/暖房期の別を判定した方が、より最適な設定温度に設定することができる。
次に、室内環境目標計算部6による室内環境目標値の更新の動作について示す。室内環境目標値の初期値を用いて計算された設定温度で運転した場合、ビル利用者の反応は暑い場合は設定温度を下げ、一方、寒い場合は設定温度を上げるというものになる。また、空調ON/OFFに関しては、冷房期では、暑い場合はOFF→ON、寒い場合はON→OFFという動きになり、一方、暖房期では、暑い場合はON→OFF、寒い場合はOFF→ONという動きになる。つまり、設定温度がビル利用者によって変更されたかどうかやON/OFF操作がビル利用者によってなされたかどうかを判定することにより、室内環境目標値が高すぎるのか低すぎるのかを判断することができる。設定温度変更操作やON/OFF操作がなされるタイミングは、当初は多少我慢をしていたビル利用者が耐えられなくなった瞬間である。よって、設定温度変更操作や空調ON/OFF操作の直前の室内状態が、耐えられる限界の環境である。設定温度変更操作や空調ON/OFF操作は、すべてリモコン1の操作によって行われるので、リモコン1の操作履歴のデータを入手すれば、それらの操作が行われた時点がいつかを検出することができる。以上の観点から、リモコン1の操作履歴のデータに基づいて、室内環境目標値を、設定温度が変更された直前の時点、もしくは、空調のON/OFF操作がなされた直前の時点の室内環境の値に更新する。演算部7は、更新後の室内環境目標値が室内環境目標計算部6から入力され、設定された室内環境目標値を満たす設定温度を決定する。なお、このとき、冷房期と暖房期とでは、設定温度変更操作や空調ON/OFF操作の直前にビル利用者が暑いと感じたか寒いと感じたかが異なるので、気象データ保存部5に保持された気象データに基づいて、冷房期か暖房期かを判断して、設定温度を決定するようにする(すなわち、設定温度を、ビル利用者の操作直前の室温(室内環境)よりも所定温度だけ高くするか、あるいは、所定温度だけ低くするかについては、冷房期/暖房期の別と操作履歴データとに応じて適宜設定する。)。
ところで、設定温度は、ビル利用者によって手動操作で変更される場合もあるが、それとは別に、演算部7で定期的に計算され変更される構成となっている。よって、本発明の室内環境目標値の更新については、設定温度の変更が、ビル利用者によって手動操作されたのか、あるいは、演算部7によって自動操作されたのかを判断し、手動操作分のみを抽出して行う必要がある。このためには、演算部7が設定した(最終の)設定温度のデータを保持しておけばよい。現在の設定温度と保持されている設定温度のデータとを比較して、差があれば、現在の設定温度はビル利用者の手動操作によって設定されたものであると判断する。当該判断は、操作履歴保持部4で行ってもよく、あるいは、室内環境目標計算部6か演算部7で行うようにしてもよい。
また、実際の運用の際には、ビル利用者の手動操作がおこなわれる度に室内環境目標値を更新してもよいし、あるいは、一定時間内に所定回数以上の手動操作がおこなわれた場合にのみ、室内環境目標値を更新するようにしてもよい。所定回数以上の手動操作で更新する場合は、室内環境目標値として、全手動操作の直前の室内環境の平均を取ってもよいし、最大を取ってもよいし、最小を取ってもよい。なお、一定時間内の手動操作回数で室内環境目標値を更新するのは、室内に暑がりや寒がりの人がいて、特定の人物が設定温度の変更を過剰におこなう場合に、その影響を小さくする場合に特に有効である。また、設定温度の変更をおこなった人物がIDやパスワードまたは生体認証等で特定できる構成にすれば、操作履歴のデータから各操作が誰の操作かが判定できるので、統計的に見て過剰運転をおこなった社員の操作は無視し、事前に登録された顧客連れの社員や重役の行った操作については、即、室内環境目標値の更新に用いるなどの運用も可能になる。
場合によっては設定温度の変更が全くなされない期間というのも存在する。その場合、室内環境が理想的であるとして室内環境目標値を更新せずにそのまま使用する。ただし、人が快適に感じる環境には幅があるため、現在の室内環境目標値を調整することにより、更なる省エネを実現できる可能性もある。設定温度が変更されなかった場合は、室内環境目標値である不快指数を+0.5等微小な値だけ増加させ、増加後の値を新たな室内環境目標値としてもよい。
室内環境目標値の計算には室内温度だけでなく室内相対湿度の値が必要である。室内温度はほとんどの空調機で測定しているが、室内相対湿度を測定している空調機は少ない。そのため追加測定が必要となるが、室内相対湿度が測定できない場合は、気象データ保存部5で保存している外気温度と外気相対湿度から外気の絶対湿度を計算し、室内外の絶対湿度が同じとして室内の相対湿度を計算すればよい。下式(2)に、温度T(°C)と相対湿度H(%)から絶対湿度x(kg/kg(DA))を計算する計算式の例を示す。
以上、室内環境目標値として、主に不快指数を用いた例について記述したが、室内環境目標値の指標は不快指数に限ったものではない。予想平均申告、新有効温度、新標準有効温度等の指標を用いても同様な効果を奏する。
以上の内容を実際のビルで実験し、省エネ効果を確認した。実験結果を図2に示す。実験は都内某ビルのあるフロアでおこない、フロア面積は約450m2、フロア利用者数は約80名である。図2は24時間あたりの空調消費電力量を示しており、梅雨季は6/14〜7/13までの期間、夏季は8/1〜8/29までの期間の実験結果である。梅雨季、夏季ともに無制御時と比較して、20%以上の省電力効果が確認できた。なお、この実験においては、1日のリモコン操作履歴を元に翌日の室内環境目標値を決定している。複数回のリモコン操作があった場合、複数回のリモコン操作直前の室内環境の平均を翌日の室内環境目標値としている。また、リモコン操作がなかった場合は当日の室内環境目標値に+0.5した値を翌日の室内環境目標値とした。
以上のように、本実施の形態1に係る空調制御装置においては、リモコン1の操作履歴を保持する操作履歴保持部4と、気象情報を取得し保存する気象データ保存部5と、リモコン操作履歴から室内環境目標値を計算する室内環境目標計算部6と、気象情報と室内環境目標値とから空調設定温度を計算する演算部7とを備えるようにしたので、リモコン1の操作履歴データを用いて、室内にいる人員の嗜好に基づいた値に調整するように当該部屋の室内環境目標値を決定し、所定時間ごとに決定した室内環境目標値を元に、室内環境目標値を実現するためのぎりぎりの設定温度(冷房期は最大値、暖房期は最小値)を設定することができ、省エネ性と快適性の両立が可能となる。また、設定温度の決定の際には気象情報を考慮するため、外気状態に応じた設定が可能となる。
また、室内環境目標値として、不快指数もしくは予想平均申告もしくは新有効温度もしくは新標準有効温度を用いるようにしたので、これらの指標を用いることにより、室内温度と室内湿度の値から簡便に室内環境目標値を計算することができる。
また、リモコン1の操作履歴を用い、リモコン操作がなされる直前の室内環境を室内環境目標値とするようにした。これは、一般的に、暑い/寒いと感じてもすぐに設定温度を変更せずにしばらく我慢した後、耐えられなくなってから設定温度を変更する人がほとんどであるため、設定温度変更直前の環境を室内環境目標値とすることにより、耐えられる限界の環境を室内環境目標値とすることができ、省エネ性を向上することができる。
また、リモコン1の操作履歴のデータから、所定の期間、リモコン操作がなされなかった場合に、室内環境目標値を所定の値だけ大きくするようにした。これは、リモコン操作がなされない場合は、室内環境が理想的であると推定されるが、不快指数をもう少しだけ上げても、問題ない可能性があるため、室内環境目標値を所定の値だけ大きくした値を新たな室内環境目標値とすれば、更なる省エネを実現することができるためである。このようにすれば、耐えられる限界の環境を室内環境目標値とすることができ、省エネ性をさらに向上することができる。
また、空調設定温度を、冷房期は室内環境目標値を満たす最大の値に調整し、暖房期は室内環境目標値を満たす最小の値に調整するようにしたので、過剰運転を防止し快適性と省エネ性の両立を図ることができる。
また、室内環境目標値と実際の室内環境の差に応じて運転モードを変更するようにしたので、運転モードを自動で変更することにより、快適性を向上させることができる。
また、室内環境目標値を計算する際に、外気の相対湿度を用いて絶対湿度を計算し、外気の絶対湿度から室内の絶対湿度を計算して導出した室内の相対湿度を用いるようにしたので、高価な湿度計を室内に設置することなく、気象情報と室内温度から室内環境目標値を計算することができる。
実施の形態2. 上述の実施の形態1は主に室内機を制御対象としたものであった。本実施の形態2では換気装置、特に、熱交換換気と普通換気の切り替えや、風量の変更が可能な換気装置を制御対象とした例を示す。図2に実施の形態2による構成を示す。図2に示すように、本実施の形態2は、上述の図1に示した実施の形態1とほぼ同じ構成で実現することが可能であり、実施の形態1との構成の違いは、制御対象が、図1の室内機8の代わりに、換気装置9となっている点である。
換気装置9による外気取り入れ方法や取り入れ量を、室内環境目標値、室外環境、及び、室内環境に応じて変更する。換気の場合の室内環境目標値として、ここでは比エンタルピーを用いた例を示す。
比エンタルピーh(kJ/kg(DA))は、温度T(°C)と絶対湿度x(kJ/kg(DA))を用いて、下式(3)で求めることができる。
h = 1.0006T + (2501 + 1.805T) x (3)
実施の形態1と同様、ビル利用者によって室内機(図2では図示省略)のリモコン1のリモコン操作がなされる直前の環境を室内環境目標値とする。また、リモコン操作が複数回なされた場合の室内環境目標値は、直前の環境の最大をとってもよいし、最小をとってもよいし、あるいは、平均を取ってもよいことも同様である。このようにして得られた室内環境目標値がビル利用者にとって省エネ性と快適性のバランスが最もとれた値である。本実施の形態においては、この室内環境目標値を満たす範囲内で空調負荷が小さくなるように換気装置9を調整する。
具体的には、リモコン1が所定回数(1回または複数回)操作されたときに、室内環境目標計算部6は、まず、外気の温度と絶対湿度から外気の比エンタルピーを求める。また、当該操作直前の室内環境のデータ(温度と絶対湿度)から、室内の空気の比エンタルピーを求めて、それを、室内環境目標値とする。なお、このときに、室外および室内の湿度が測定できない場合には、外気の相対湿度を用いて絶対湿度を計算し、外気の絶対湿度に基づいて室内の絶対湿度を計算して導出した室内の相対湿度を用いるようにしてもよい。また、その場合には、外気の相対湿度のデータは、気象配信会社や気象サイト等の外部通信装置から取得するようにする。
次に、演算部7が、外気の比エンタルピーと室内環境目標値とを比較する。このとき、外気の比エンタルピー≦室内環境目標値の場合は、外気を導入すればするほど空調負荷が小さくなる。よって、積極的に外気を導入するために換気装置9の換気モードを普通換気にし、換気量を大に調整する。逆に、外気の比エンタルピー>室内環境目標値の場合は、外気を導入すればするほど空調負荷が増大するため、外気導入量を小さくする方が望ましい。よって、換気装置9の換気モードを熱交換換気にし、換気量を小に調整する。このように、室内環境に基づいて定めた室内環境目標値と室外環境とに応じて、換気モードと換気量とを調整することにより、快適性を犠牲にせずに空調負荷を小さくすることが可能になり、省エネ性の向上を図ることができる。
以上、換気モードと風量の2つのパラメータを調整する例を示したが、どちらか一方のパラメータしか調整できない換気装置に対しては調整可能なパラメータを調整することにより、快適性を犠牲にしない省エネを期待できる。
また、以上の例では室内環境目標値として比エンタルピーを用いたが、比エンタルピーではなく、不快指数等の任意の別の指標を用いても同様の効果を奏する。
以上のように、本実施の形態2においては、上記の実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態2においては、リモコン1の操作履歴より室内目標エンタルピーを計算し、室内目標エンタルピーと外気エンタルピーの差に応じて換気装置9の換気モードを変更するようにしたので、外気が暑すぎるまたは寒すぎる場合に、熱交換換気をおこなうことにより、熱負荷を小さくし省エネ性を向上させることができる。
さらに、リモコン1の操作履歴より室内目標エンタルピーを計算し、室内目標エンタルピーと外気エンタルピーの差に応じて、換気装置9の換気量を変更するようにしたので、外気が快適な場合に換気量を大きくすることにより、熱負荷を小さくし省エネ性を向上させることができる。
上述の実施の形態1および2においては、制御対象の空調機の操作を行う操作装置として、リモコン1を例に挙げて説明したが、その場合に限定されるものではなく、操作装置としては、例えば、空調機本体に設けられた操作盤(操作ボタン)でもよく、あるいは、室内の壁等に固定された操作盤(操作ボタン)でもよく、任意の種類の操作装置でよいことは言うまでもない。
また、上述の実施の形態1および2においては、制御対象の空調機として、エアコンの室内機および換気装置を例に挙げて説明したが、その場合に限定されるものではなく、空調機であれば、いずれの種類のものにでも、本発明が適用できることは言うまでもない。
1 リモコン、2 外部通信装置、3 空調制御装置、4 操作履歴保持部、5 気象データ保存部、6 室内環境目標計算部、7 演算部、8 室内機、9 換気装置。
Claims (9)
- 制御対象の空調機の操作を行う操作装置の操作履歴データを保持する操作履歴保持部と、
気象情報を取得し保存する気象データ保存部と、
前記操作履歴保持部に保持された前記操作履歴データに基づいて室内環境目標値を計算する室内環境目標計算部と、
前記室内環境目標計算部によって計算された室内環境目標値と前記気象データ保存部に保持された気象情報とに基づいて前記空調機を制御するための設定温度を計算する演算部と
を備えたことを特徴とする空調制御装置。 - 前記室内環境目標値として、不快指数、予想平均申告、新有効温度、および、新標準有効温度のいずれかの指標を用いることを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
- 前記室内環境目標計算部は、前記操作装置の操作履歴データを用い、前記操作装置の操作がなされる直前の室内環境を前記室内環境目標値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の空調制御装置。
- 前記室内環境目標計算部は、前記操作装置の操作履歴データを用い、所定の期間、前記操作装置の操作がなされなかった場合に、前記室内環境目標値を所定の値だけ大きくすることを特徴とする請求項1ないし3のいずか1項に記載の空調制御装置。
- 前記演算部は、前記設定温度を、冷房期は前記室内環境目標値を満たす最大の値に設定し、暖房期は前記室内環境目標値を満たす最小の値に設定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空調制御装置。
- 前記演算部は、前記室内環境目標値と実際の室内環境の値との差に応じて、前記空調機の運転モードを変更することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の空調制御装置。
- 前記室内環境目標計算部は、前記室内環境目標値を計算する際に、外気の相対湿度を用いて絶対湿度を計算し、外気の絶対湿度に基づいて室内の絶対湿度を計算して導出した室内の相対湿度を用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空調制御装置。
- 前記空調機には、2以上の換気モードが設定されており、
前記操作装置の操作履歴データを用い、前記操作装置の操作があった場合に、室内環境と外気環境との差に応じて前記空調機の換気モードを変更することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の空調制御装置。 - 前記空調機には、換気量が可変であり、
前記操作装置の操作履歴データを用い、前記操作装置の操作があった場合に、室内環境と外気環境との差に応じて前記空調機の換気量を変更することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の空調制御装置。
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