JP2010173510A - ステアリング制御装置、ステアリング制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転舵角θwを自動修正するときには(ステップS22の判定が“Yes”)、この修正と同一方向の操舵反力Trを生成する。具体的には、修正量Δθに応じて付加反力Taを算出し(ステップS24)、この付加反力Taに応じて操舵反力Trを減少補正し(ステップS25)、この操舵反力Trに付加反力Taを加算することで(ステップS26)、最終的な操舵反力Trを生成する。このとき、修正量Δθが大きいほど、操舵反力Trを減少補正すると共に、付加反力Taを大きくする。一方、運転者のステアリング操作が速いほど、付加反力Taを小さくする。
【選択図】図6
Description
本発明の課題は、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて転舵輪の転舵角を修正するときに、運転者に修正操舵を促すことである。
《構成》
図1は、ステアリングバイワイヤの概略構成図である。
ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2に連結され、転舵輪(操向輪)3L及び3Rは、ナックルアーム4、タイロッド5、及びラックアンドピニオン6を順に介してピニオンシャフト7に連結される。ステアリングシャフト2及びピニオンシャフト7は、機械的に分離された非連結状態にあり、夫々、図示しないハウジング等によって回動自在に保持される。
ステアリングシャフト2には、運転者によるステアリング操作に対して擬似的な操舵反力を発生させる反力モータ8が設けられ、ピニオンシャフト7には、ステアリングシャフト2の操舵角に応じてピニオンシャフト7を転舵させる転舵モータ9が設けられている。
これら操舵角センサ11、転舵角センサ12、ハブセンサ13、車速センサ14、及びヨーレートセンサ15で検出される各種信号が、例えばマイクロコンピュータで構成されたコントローラ20へ入力される。なお、ハブセンサ13で検出される左右輪のタイヤ横力は、その合計値Yfが入力される。
転舵角制御部21は、ステアリングシャフト2の操舵角θs及びピニオンシャフト7の転舵角θwを入力し、通常時は、操舵角θwに応じて転舵モータ9を駆動することで転舵角θwを制御する。一方、旋回挙動制御部24から後述する修正量Δθが入力されたときには、この修正量Δθに応じて転舵角θwを自動修正する。
推定値算出部23は、下記(1)式に従い、タイヤ横力Yf及び車速Vに応じてヨーレートの推定値γeを算出する。
γe={Yf×(L/Lr)}/(m×V) …………(1)
γe :ヨーレートの推定値
Yf :転舵輪のタイヤ横力
L :ホイールベース
Lr :車両重心点と後輪車軸との距離
m :車両重量
V :車速
但し、車速Vが低速の所定値V1以下であるときには、上記(1)式には、所定値V1を代入することとする。この所定値V1は、例えば20km/h程度の値である。
一般車両の車両運動方程式は下記(2)式で表される。
may=Yf+Yr
Iγ=YfLf+YrLr …………(2)
ay :横加速度
I :ヨーイング慣性モーメント
Yr :後輪タイヤ横力
Lf :車両重心点と前輪車軸との距離
may=Yf+Yr=mVγ
YfLf=YrLr …………(3)
上記(3)式を整理すると下記(4)式が導かれる。
Yf{(Lf+Lr)/Lr}=mVγ …………(4)
上記(4)式をγ(ヨーレート)について解くと前記(1)式が導かれる。
図3は、オーバーステア傾向の具体例であり、例えばブレーキによる荷重移動により、後輪のタイヤ横力Yrが飽和し、前輪のタイヤ横力Yfが増加すると、ヨーレートが増加し、オーバーステア傾向となる。
ステップS1では、下記に示すように、実測値γsと推定値γeとの差分E1を算出する。
E1=γs−γe
続くステップS2では、制御フラグがF=0にリセットされているか否かを判定する。なお、初期設定ではF=0にリセットされている。ここで、制御フラグがF=0にリセットされていれば、まだカウンターステアは開始されていないと判断してステップS3に移行する。一方、制御フラグがF=1にセットされていれば、既にカウンターステアが開始されていると判断して後述するステップS6に移行する。
γ* ← γe
続くステップS5では、制御フラグをF=1にセットする。
続くステップS6では、下記に示すように、実測値γsと目標値γ*との差分E2を算出する。
E2=γs−γ*
続くステップS9では、修正量Δθを転舵角制御部21へ出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS11では、制御フラグをF=0にリセットしてから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS21では、図7のマップを参照し、タイヤ横力Yfに応じて操舵反力Trを算出する。このマップは、タイヤ横力Yfが大きいほど、これに比例して操舵反力Trが大きくなるように設定されている。
続くステップS22では、旋回挙動制御処理により、転舵角θwが修正されているか否かを判定する。転舵角θwが修正されていなければステップS23に移行する。一方、転舵角θwが修正されていればステップS24に移行する。
ステップS23では、操舵反力Trを操舵反力制御部22へ出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
続くステップS25では、図9を参照し、付加反力Taに応じて操舵反力Trを減少補正する。このマップは、付加反力Taが大きいほど、操舵反力Trの減少補正量が大きくなるように設定されている。
続くステップS26では、操舵反力Trに付加反力Taを加算し、最終的な操舵反力Trを算出してから前記ステップS23に移行する。
先ず、推定値γeの算出について説明する。
一般に、車速Vや操舵角θsに基づいてヨーレートを推定することが知られているが、 実際に発生するヨーレートは、路面摩擦係数の影響を受けるので、車速Vや操舵角θsに基づいて算出したヨーレートの推定値には、摩擦係数に応じた補正が必要となる。しかしながら、摩擦係数を正確に検出すること自体が難しいため、ヨーレートの正確な推定が難しかった。
差分E1を算出し(ステップS1)、差分E1が第一の所定値th1より小さいとき(ステップS3の判定が“No”)、つまり推定値γeに対して実測値γsが近似しているときには、車両がオーバーステア傾向にはなく、カウンターステアは不要であるので、タイムチャートの区間T1で示すように、旋回挙動の制御はOFFとなる。
そして、差分E2を算出し(ステップS6)、この差分E2が第二の所定値th2より大きいときに(ステップS7の判定が“Yes”)、差分E2に応じて転舵角θwの修正量Δθを算出し(ステップS8)、修正量Δθに応じてカウンターステアを行うことで、タイムチャートの区間T2で示すように、旋回挙動の制御がONとなる。
そして、再びオーバーステア傾向が現れ、差分E2が第二の所定値th2より大きくなったら(ステップS7の判定が“Yes”)、修正量Δθに応じてカウンターステアを再開することで、タイムチャートの区間T4で示すように、もう一度、旋回挙動の制御がONとなる。
通常は、図7のマップに従って、運転者のステアリング操作に応じた操舵反力Trを算出する(ステップS21)。一方、車両のオーバーステア傾向を検知し、カウンターステアによって転舵角θwを自動修正するときには、この自動修正に合わせた修正操舵を運転者に促すような操舵反力Trを生成する。
ところで、転舵角θwが中立位置を越えて反転するようなカウンターステアを行うと、タイヤ横力Yfに応じた操舵反力Trの方向が反転することで、図11に示すように、修正操舵を阻む方向に作用してしまう。
なお、本実施形態では、ホール素子と着磁式のエンコーダを用いてタイヤ横力Yfを検出しているが、この種のハブセンサ13は、車速が極低速である場合に、精度よくタイヤ横力Yfを検出できない可能性がある。そこで、車速Vが低速の所定値V1以下であるときには、転舵モータ9の駆動電流を検出したり、ラック軸力を検出したり、ピニオントルクを検出したりして、これらを代用してヨーレートの推定値γeを算出してもよい。これにより、車速Vが低速であっても、ヨーレートの推定を継続して実行することができる。
γe={{Yf×(L/Lr)}/(m×V)}
×(1/1+Ts) …………(5)
また、本実施形態では、ステアリングバイワイヤについて説明したが、これに限定されるものではなく、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて転舵角θwを修正するものであれば、舵角比可変機構(VGR)によって転舵輪の転舵角θwを制御するものにも適用可能である。
以上より、転舵角制御部21が「舵角制御手段」に対応し、旋回挙動制御部24が「転舵角補正手段」に対応し、ステップS21、S23の処理が「第一の反力制御手段」に対応し、ステップS22〜S26の処理が「第二の反力制御手段」に対応している。
(1)運転者のステアリング操作に応じて転舵輪の転舵角を制御可能な舵角制御手段と、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件で前記転舵角を修正する転舵角補正手段と、前記舵角制御手段が運転者のステアリング操作に応じて前記転舵角を制御するときに、前記転舵輪に作用する路面反力を検出し、当該路面反力に応じた第一の操舵反力を運転者に伝達する第一の反力制御手段と、前記転舵角補正手段が運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて前記転舵角を修正するときに、当該転舵角の修正方向に対応する方向の第二の操舵反力を運転者に伝達する第二の反力制御手段と、を備える。
このように、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて転舵輪の転舵角を修正するときには、この修正と同一方向の第二の操舵反力を運転者に伝達するので、運転者に対して修正操舵を促すことができる。
これにより、車両のオーバーステア傾向を抑制することができる。
(3)前記第二の反力制御手段は、前記転舵角の修正量が大きいほど、前記第二の操舵反力を大きくする。
これにより、転舵角の修正に合わせた修正操舵を運転者に促すことができる。
(4)前記第二の反力制御手段は、前記第一の操舵反力に付加反力を加算することで前記第二の操舵反力を算出するものであって、前記転舵角の修正量が大きいほど、前記第一の操舵反力を減少補正すると共に、前記付加反力を大きくする。
これにより、転舵角が中立位置を越えて反転しても、修正操舵を阻む方向の力を抑制できるので、転舵角の修正に合わせた修正操舵を運転者に促すことができる。
これにより、修正操舵の切り過ぎを防ぐことができる。
(6)前記第二の反力制御手段は、前記付加反力を所定の上限値以下に制限する。
これにより、付加反力の不必要な増加を防げると共に、微妙な修正操舵が行いやすくなる。
このように、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて転舵輪の転舵角を修正するときには、この修正と同一方向の第二の操舵反力を運転者に伝達するので、運転者に対して修正操舵を促すことができる。
8 反力モータ
9 転舵モータ
11 操舵角センサ
12 転舵角センサ
13 ハブセンサ
14 車速センサ
15 ヨーレートセンサ
20 コントローラ
21 転舵角制御部
22 操舵反力制御部
23 推定値算出部
24 ステアリング制御部
Claims (7)
- 運転者のステアリング操作に応じて転舵輪の転舵角を制御可能な舵角制御手段と、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件で前記転舵角を修正する転舵角補正手段と、
前記舵角制御手段が運転者のステアリング操作に応じて前記転舵角を制御するときに、前記転舵輪に作用する路面反力を検出し、当該路面反力に応じた第一の操舵反力を運転者に伝達する第一の反力制御手段と、
前記転舵角補正手段が運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて前記転舵角を修正するときに、当該転舵角の修正方向に対応する方向の第二の操舵反力を運転者に伝達する第二の反力制御手段と、を備えることを特徴とするステアリング制御装置。 - 前記転舵角補正手段は、車両のオーバーステア傾向を抑制するために前記転舵角を修正することを特徴とする請求項1に記載のステアリング制御装置。
- 前記第二の反力制御手段は、前記転舵角の修正量が大きいほど、前記第二の操舵反力を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング制御装置。
- 前記第二の反力制御手段は、前記第一の操舵反力に付加反力を加算することで前記第二の操舵反力を算出するものであって、前記転舵角の修正量が大きいほど、前記第一の操舵反力を減少補正すると共に、前記付加反力を大きくすることを特徴とする請求項3に記載のステアリング制御装置。
- 前記第二の反力制御手段は、運転者のステアリング操作が速いほど、前記付加反力を小さくすることを特徴とする請求項4に記載のステアリング制御装置。
- 前記第二の反力制御手段は、前記付加反力を所定の上限値以下に制限することを特徴とする請求項3〜5の何れか一つに記載のステアリング制御装置。
- 運転者のステアリング操作に応じて転舵輪の転舵角を制御するときに、前記転舵輪に作用する路面反力を検出し、当該路面反力に応じた第一の操舵反力を運転者に伝達し、運転者のステアリング操作とは異なる所定の条件に基づいて前記転舵角を修正するときには、当該修正に対応する方向の第二の操舵反力を運転者に伝達することを特徴とするステアリング制御方法。
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