以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTは、露光装置EXの各種測定手段(例えば、後述する干渉計42、44、フォーカス・レベリング検出系120)や駆動装置(例えば、後述するマスクステージ駆動装置MSTD、基板ステージ駆動装置PSTD)等に接続されており、それらとの間で測定結果や駆動指令の伝達が可能なように構成されている。露光装置EX全体は、電力会社から供給される商用電源(第1駆動源)100Aからの電力によって駆動されるようになっている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する第1液体回収機構20及び第2液体回収機構30とを備えている。また、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側の気体を排出する排気機構60を備えている。排気機構60は、投影光学系Lの像面側の気体を排出するとともに、液浸領域AR2の液体LQ中の気泡(気体部分)を排出する。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側端部の光学素子2と、その像面側に配置された基板P表面との間に液体LQを満たす局所液浸方式を採用し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによってマスクMのパターンを基板Pに投影露光する。
また、投影光学系PLの像面側近傍、具体的には投影光学系PLの像面側端部の光学素子2の近傍には、後に詳述する第1ノズル部材70が配置されている。第1ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において光学素子2の周りを囲むように設けられた環状部材である。第1ノズル部材70はノズル保持機構90に分離可能に保持されている。また、投影光学系PLの投影領域AR1に対して第1ノズル部材70の外側には、第1ノズル部材70とは別の第2ノズル部材80が配置されている。第2ノズル部材80は、基板P(基板ステージPST)の上方において第1ノズル部材70の周りを囲むように設けられた環状部材である。第2ノズル部材80もノズル保持機構90に分離可能に保持されている。本実施形態において、第1ノズル部材70は、液体供給機構10、第1液体回収機構20、及び排気機構60それぞれの一部を構成している。第2ノズル部材80は、第2液体回収機構30の一部を構成している。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、例えばマスクMを真空吸着(又は静電吸着)により固定している。マスクステージMSTは、リニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDにより、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。そして、マスクステージMSTは、X軸方向に指定された走査速度で移動可能となっており、マスクMの全面が少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができるだけのX軸方向の移動ストロークを有している。
マスクステージMST上には移動鏡41が設けられている。また、移動鏡41に対向する位置にはレーザ干渉計42が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計42によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計42の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置を制御する。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子2は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。
本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、その光学素子2には液浸領域AR2の液体LQが接触する。光学素子2は螢石で形成されている。螢石表面は水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面(端面)2Aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2Aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性が高く、光学素子2と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお、光学素子2は、水との親和性が高い石英であってもよい。また、光学素子2の液体接触面2Aに、MgF2、Al2O3、SiO2等を付着させる等の親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。あるいは、本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液化処理(親水化処理)としては、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、この光学素子2の液体接触面2Aに親水性を付与することもできる。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを前記液体接触面2Aに設ける処理が可能である。
基板ステージPSTは、基板Pを基板ホルダPHを介して保持して移動可能であって、XY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。基板Pは基板ホルダPHに例えば真空吸着等により保持されている。基板ステージPSTは、制御装置CONTによって制御されるリニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。
基板ステージPST上には移動鏡43が設けられている。また、移動鏡43に対向する位置にはレーザ干渉計44が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計44によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計44の計測結果に基づいてリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDを駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板Pの位置決めを行う。
基板ステージPST上には凹部50が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部50に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部50以外の上面51は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。また本実施形態においては、移動鏡43の上面も、基板ステージPSTの上面51とほぼ面一に設けられている。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面51を設けたので、基板Pのエッジ領域を液浸露光するときにおいても、基板Pのエッジ部の外側には段差部がほぼ無いので、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、基板Pのエッジ部とその基板Pの周囲に設けられた平坦面(上面)51との間には0.1〜2mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pの周縁近傍を露光する場合にも、上面51により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
また、上面51を撥液性にすることにより、液浸露光中における基板P外側(上面51外側)への液体LQの流出を抑え、また液浸露光後においても液体LQを円滑に回収できて上面51に液体LQが残留する不都合を防止できる。上面51を撥液性にするためには、基板ステージPSTの上面51を、例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))などの撥液性を有する材料によって形成することで、上面51を撥液性にすることができる。あるいは、上面51に対して、例えば、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する等の撥液化処理を行ってもよい。また、撥液性材料の塗布領域(撥液化処理領域)としては、上面51全域であってもよいし、撥液性を必要とする一部の領域のみであってもよい。
ここで、上記親液化処理及び撥液化処理を含む表面処理のための膜は、単層膜であってもよいし複数の層からなる膜であってもよい。親液性にするための親液性材料又は撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。
また、露光装置EXは、基板ステージPSTに支持されている基板Pの表面の位置情報を検出する後述するフォーカス・レベリング検出系(120)を備えている。フォーカス・レベリング検出系の受光結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出することができる。基板ステージPSTは、基板Pのフォーカス位置及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計44の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
露光装置EXは、投影光学系PLを支持する鏡筒定盤5と、鏡筒定盤5及びマスクステージMSTを支持するメインコラム1とを備えている。メインコラム1は、床面上に設けられたベース9上に設置されている。基板ステージPSTはベース9上に支持されている。メインコラム1には、内側に向けて突出する上側段部7及び下側段部8が形成されている。
照明光学系ILは、メインコラム1の上部に固定された支持フレーム3により支持されている。メインコラム1の上側段部7には、防振装置46を介してマスク定盤4が支持されている。マスクステージMST及びマスク定盤4の中央部にはマスクMのパターン像を通過させる開口部(開口部の側壁をMK1、MK2で表す)が形成されている。マスクステージMSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)45が複数設けられている。マスクステージMSTはエアベアリング45によりマスク定盤4の上面(ガイド面)に対して非接触支持されており、マスクステージ駆動装置MSTDによりXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。
投影光学系PLを保持する鏡筒PKの外周にはフランジPFが設けられており、投影光学系PLはこのフランジPFを介して鏡筒定盤5に支持されている。鏡筒定盤5とメインコラム1の下側段部8との間にはエアマウントなどを含む防振装置47が配置されており、投影光学系PLを支持する鏡筒定盤5はメインコラム1の下側段部8に防振装置47を介して支持されている。この防振装置47によって、メインコラム1の振動が、投影光学系PLを支持する鏡筒定盤5に伝わらないように、鏡筒定盤5とメインコラム1とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTの下面には複数の非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)48が設けられている。また、ベース9上には、エアマウント等を含む防振装置49を介して基板定盤6が支持されている。基板ステージPSTはエアベアリング48により基板定盤6の上面(ガイド面)に対して非接触支持されており、基板ステージ駆動装置PSTDにより、XY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。この防振装置49によって、ベース9(床面)やメインコラム1の振動が、基板ステージPSTを非接触支持する基板定盤6に伝わらないように、基板定盤6とメインコラム1及びベース9(床面)とが振動的に分離されている。
第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80のそれぞれはノズル保持機構90に分離可能に保持されている。ノズル保持機構90は、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80とを離した状態で保持している。ノズル保持機構90はメインコラム1の下側段部8に連結部材52を介して支持されている。連結部材52はメインコラム1の下側段部8に固定されており、その連結部材52にノズル保持機構90が固定されている。
そして、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80をノズル保持機構90及び連結部材52を介して支持しているメインコラム1と、投影光学系PLの鏡筒PKをフランジPFを介して支持している鏡筒定盤5とは、防振装置47を介して振動的に分離されている。したがって、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80で発生した振動が投影光学系PLに伝達されることは防止されている。また、メインコラム1と、基板ステージPSTを支持している基板定盤6とは、防振装置49を介して振動的に分離している。したがって、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80で発生した振動が、メインコラム1及びベース9を介して基板ステージPSTに伝達されることが防止されている。また、メインコラム1と、マスクステージMSTを支持しているマスク定盤4とは、防振装置46を介して振動的に分離されている。したがって、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80で発生した振動がメインコラム1を介してマスクステージMSTに伝達されることが防止されている。
液体供給機構10は、液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管17とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、供給する液体LQの温度を調整する温調装置、液体LQ中の異物を除去するフィルタ装置、及び加圧ポンプ等を備えている。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は液体LQを基板P上に供給する。
第1液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な第1液体回収部21と、第1液体回収部21にその一端部を接続する回収管27とを備えている。第1液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、第1液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
第2液体回収機構30は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な第2液体回収部31と、第2液体回収部31にその一端部を接続する回収管37とを備えている。第2液体回収部31は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。
また、第2液体回収機構30は、第1液体回収機構20を含む露光装置EX全体の駆動源である商用電源100Aとは別の無停電電源(第2駆動源)100Bを有している。無停電電源100Bは、例えば商用電源100Aの停電時に、第2液体回収機構30の駆動部に対して電力(駆動力)を供給する。
排気機構60は、投影光学系PLの像面側の気体を排出するためのものであって、気体を吸引可能な排気部61と、排気部61にその一端部を接続する排気管67とを備えている。排気部61は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。ここで、排気部61は真空系及び気液分離器を備えているため、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収することもできる。
次に、図2〜図5を参照しながら第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80について説明する。図2は第1、第2ノズル部材70、80を下面70A、80A側から見た平面図、図3は図2のA−A線断面矢視図、図4は図2のB−B線断面矢視図、図5は図2のC−C線断面矢視図である。
第1ノズル部材70は、投影光学系PLの先端部の光学素子2の近傍に配置されており、基板P(基板ステージPST)の上方において光学素子2の周りを囲むように設けられた環状部材である。第1ノズル部材70は、液体供給機構10、第1液体回収機構20、及び排気機構60それぞれの一部を構成するものである。第1ノズル部材70は、その中央部に投影光学系PL(光学素子2)を配置可能な穴部70Hを有している。
図2に示すように、基板Pに対向する第1ノズル部材70の下面70Aには、Y軸方向を長手方向とする凹部78が形成されている。投影光学系PL(光学素子2)を配置可能な穴部70Hは凹部78の内側に形成されている。したがって、穴部70Hに配置された投影光学系PLの光学素子2の端面2Aは、凹部78の内側に配置される。本実施形態において、投影光学系PLの投影領域AR1はY軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状に設定されている。
凹部78の内側には、XY平面と略平行であり、基板ステージPSTに支持された基板Pと対向する面78Aが設けられている。以下の説明においては、凹部78の内側に形成され、基板Pと対向する面78Aを適宜、「キャビティ面」と称する。
第1ノズル部材70の下面70Aのうち、凹部78の内側のキャビティ面78Aには、液体供給機構10の一部を構成する供給口12(12A、12B)が設けられている。供給口12(12A、12B)は、下面70A(キャビティ面78A)に形成された液体LQが流れる開口である。本実施形態においては、供給口12(12A、12B)は2つ設けられており、投影光学系PLの光学素子2(投影領域AR1)を挟んでY軸方向両側のそれぞれに設けられている。また、本実施形態における供給口12A、12Bは略円形状に形成されている。なお供給口12A、12Bとしては円形状に限らず、楕円形状や矩形状など任意の形状に形成されていてもよい。また、本実施形態においては、供給口12A、12Bは互いにほぼ同じ大きさを有しているが、互いに異なる大きさであってもよい。
また、第1ノズル部材70の下面70Aのうちキャビティ面78Aには、排気機構60の一部を構成する排気口62(62A、62B)が設けられている。排気口62(62A、62B)は、下面70A(キャビティ面78A)に形成された気体又は液体LQが流れる開口である。本実施形態においては、排気口62(62A、62B)は2つ設けられており、投影光学系PLの光学素子2(投影領域AR1)を挟んでY軸方向両側のそれぞれに設けられている。また、本実施形態における排気口62A、62Bは略円形状に形成されている。なお排気口62A、62Bとしては円形状に限らず、楕円形状や矩形状など任意の形状に形成されていてもよい。また、本実施形態においては、排気口62A、62Bは互いにほぼ同じ大きさを有しているが、互いに異なる大きさであってもよい。
また本実施形態においては、キャビティ面78Aにおいて供給口12Aと排気口62AとがX軸方向に関して並んで設けられ、供給口12Bと排気口62BとがX軸方向に関して並んで設けられている。また、供給口12及び排気口62のそれぞれは、投影光学系PLの投影領域AR1近傍に設けられており、投影光学系PL(投影領域AR1)と排気口62との距離は、投影光学系PL(投影領域AR1)と供給口12との距離とほぼ等しいか、あるいは投影光学系PL(投影領域AR1)と供給口12との距離に対して短くなるように設けられている。
第1ノズル部材70の下面70Aにおいて、投影光学系PL(光学素子2)の投影領域AR1を基準として凹部78の外側には第1液体回収機構20の一部を構成する第1回収口22が設けられている。
第1回収口22は、ノズル部材70の下面70Aに形成された液体LQが流れる開口である。第1回収口22は、基板Pに対向するノズル部材70の下面70Aにおいて投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の供給口12A、12B及び排気機構60の排気口62A、62Bの外側に設けられており、投影領域AR1、供給口12A、12B、及び排気口62A、62Bを囲むように環状に形成されている。したがって、排気口62A、62Bは、投影光学系PLの投影領域AR1に対して第1回収口22よりも近くに設けられた構成となっている。第1回収口22には複数の孔が形成された多孔体74が配置されている。
第2ノズル部材80は、基板P(基板ステージPST)の上方において第1ノズル部材70の周りを囲むように設けられた環状部材である。第2ノズル部材80は、第2液体回収機構30の一部を構成している。第2ノズル部材80は、その中央部に第1ノズル部材70の一部を配置可能な穴部80Hを有している。
第2ノズル部材80の下面80Aには、第2液体回収機構30の一部を構成する第2回収口32が設けられている。第2回収口32は、第2ノズル部材80のうち基板Pに対向する下面80Aに形成された液体LQが流れる開口である。第2ノズル部材80は第1ノズル部材70の外側に設けられており、第2ノズル部材80に設けられた第2回収口32は、投影光学系PLの投影領域AR1を基準として、第1ノズル部材70に設けられた第1回収口22の更に外側に設けられた構成となっている。第2回収口32は、第1回収口22を囲むように環状に形成されている。第2回収口32にも、複数の孔が形成された多孔体75が配置されている。
供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1と第1回収口22との間に設けられている。液浸領域AR2を形成するための液体LQは、供給口12A、12Bを介して、投影光学系PLの投影領域AR1と第1回収口22との間で、基板Pの上方より供給される。また、第1回収口22は、第1ノズル部材70の下面70Aのうち凹部78の外側の離れた領域に形成されている。凹部78と第1回収口22との間にはほぼ平坦な平坦領域77が設けられている。平坦領域77はXY平面と略平行であり、基板ステージPSTに支持された基板Pと対向する。以下の説明においては、凹部78の周りに設けられた平坦領域77を適宜、「ランド面」と称する。
第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80のそれぞれはノズル保持機構90に分離可能に保持されている。図3及び図4に示すように、ノズル保持機構90は第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80を分離可能に保持するノズルホルダ92を備えている。ノズルホルダ92は、その中央部に投影光学系PLを配置可能な穴部92Hを有している。第1ノズル部材70は、ノズルホルダ92の下面92Aに接続される。ノズル保持機構90が第1ノズル部材70を保持したとき、ノズルホルダ92の穴部92Hと第1ノズル部材70の穴部70Hとが接続されるようになっており、投影光学系PL(光学素子2)は、前記穴部92H及び70Hの内側に配置される。
連結部材52を介してメインコラム1の下側段部8に支持されたノズル保持機構90(ノズルホルダ92)及びそのノズル保持機構90に保持された第1ノズル部材70は、投影光学系PL(光学素子2)とは離れている。すなわち、第1ノズル部材70の穴部70Hの内側面70Tと投影光学系PLの光学素子2の側面2Tとの間には間隙が設けられており、ノズルホルダ92の穴部92Hの内側面92Tと投影光学系PLの鏡筒PKとの間にも間隙が設けられている。これら間隙は、投影光学系PLと第1ノズル部材70及びノズル保持機構90とを振動的に分離するために設けられたものである。これにより、第1ノズル部材70やノズル保持機構90で発生した振動が、投影光学系PL側に伝達することが防止されている。また、上述したように、メインコラム1(下側段部8)と鏡筒定盤5とは、防振装置47を介して振動的に分離している。したがって、第1ノズル部材70やノズル保持機構90で発生した振動がメインコラム1及び鏡筒定盤5を介して投影光学系PLに伝達されることは防止されている。
第1ノズル部材70と第2ノズル部材80とは互いに独立した部材であって、ノズル保持機構90のノズルホルダ92は、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80とを離した状態で保持している。ここで、第1ノズル部材70は、ノズルホルダ92に接続する鍔部70Cを有しており、第2ノズル部材80は、第1ノズル部材70の鍔部70Cの下方に配置された構成となっている。そして、図4に示すように、第2ノズル部材80は、接続機構89を介してノズル保持機構90のノズルホルダ92に接続されている。接続機構89を介してノズルホルダ92に接続されている第2ノズル部材80の内側面80Tと、第1ノズル部材70の外側面70Sとの間には間隙が設けられており、第2ノズル部材80の上面80Jと第1ノズル部材70の鍔部70Cの下面70Uとの間にも間隙が設けられている。これら間隙は、第1ノズル部材70と第2ノズル部材80とを振動的に分離するために設けられたものである。これにより、第2ノズル部材80で発生した振動が、第1ノズル部材70側に伝達することが防止されている。
接続機構89は、接続部材81と弾性体84、85とを備えている。弾性体84、85は、接続部材81の一端部とノズル保持機構90のノズルホルダ92の下面92Aとを接続しており、接続部材81の他端部は第2ノズル部材80の外側面80Sに接続している。本実施形態において、弾性体84、85はゴムあるいはベローズ部材等により構成されている。図2に示すように、本実施形態においては、接続部材81は、第1〜第4接続部材81A〜81Dの4つの部材で構成されている。弾性体84、85を有する接続機構89は、第2ノズル部材80をノズル保持機構90のノズルホルダ92に対して柔らかく接続している。また、弾性体84、85によって、第2ノズル部材80はノズルホルダ92に対して揺動可能となっている。すなわち、弾性体84、85を有する接続機構89は、ノズル保持機構90のノズルホルダ92に対して第2ノズル部材80を可動に接続している。
また、弾性体84、85は防振機構として機能し、その弾性体84、85を有する接続機構89は、第2ノズル部材80とノズルホルダ92とを振動的に分離している。したがって、接続機構89は、第2ノズル部材80で発生した振動がノズル保持機構90のノズルホルダ92に伝達されないように減衰することができる。また上述したように、連結部材52を介してノズル保持機構90を支持しているメインコラム1(下側段部8)と鏡筒定盤5とは、防振装置47を介して振動的に分離している。したがって、第2ノズル部材80やノズル保持機構90で発生した振動がメインコラム1及び鏡筒定盤5を介して投影光学系PLに伝達されることは防止されている。このように、弾性体84、85と防振装置47との双方を設けることで、第2ノズル部材80で発生した振動が投影光学系PLに伝達されることを確実に防止することができる。
接続機構89の弾性体84、85は、パッシブ型の防振機構として機能し、第2ノズル部材80で発生する振動のうち、特に高周波域の振動成分を減衰させることができる。後述するように、第2ノズル部材80は、液体LQを回収する際に、液体LQとともにその周囲の気体も一緒に回収するため、高周波域の振動が発生する可能性がある。本実施形態では、そのような高周波域の振動を弾性体84、85で効果的に減衰させることができる。また、低周波域の振動に対しては、例えば、防振装置47にアクチュエータ等を設けてアクティブ型の防振機構を構成し、このアクチュエータを制御することで低周波域の振動を減衰させることが可能である。なお、接続機構89にアクチュエータ等を付加して、アクティブ型の防振機構としてもよい。また、弾性体84、85に代えて、あるいはこれらと併用して、磁石等の磁力によって第2ノズル部材80をノズルホルダ92に接続してもよい。例えば、第2ノズル部材80とノズルホルダ92との間に複数の磁石を配置し、互いに対向する各磁石間の吸引力と反発力とをバランスさせることで、非接触で第2ノズル部材80をノズルホルダ92に接続することが可能となる。
図3及び図4に示すように、ノズルホルダ92の内部には、供給流路15、第1回収流路25、第2回収流路35、及び排気流路65が形成されている。供給流路15は液体供給機構10の一部を構成し、第1回収流路25は第1液体回収機構20の一部を構成し、第2回収流路35は第2液体回収機構30の一部を構成し、排気流路65は排気機構60の一部を構成している。したがって、ノズル保持機構90(ノズルホルダ92)は、液体供給機構10、第1液体回収機構20、第2液体回収機構30、及び排気機構60それぞれの一部を構成している。
ノズルホルダ92の内部に形成された供給流路15の一端部は、継手16を介して供給管17の他端部に接続されており、供給流路15の他端部は、第1ノズル部材70の内部に形成された供給流路14の一端部に接続している。ノズルホルダ92の供給流路15の一端部はノズルホルダ92の側面に設けられており、他端部はノズルホルダ92の下面92Aに設けられている。また、第1ノズル部材70の供給流路14の一端部は第1ノズル部材70の上面に設けられている。一方、供給流路14の他端部は、第1ノズル部材70の下面70A(キャビティ面78A)に形成された供給口12に接続されている。ここで、第1ノズル部材70の内部に形成された供給流路14は、複数(2つ)の供給口12(12A、12B)のそれぞれにその他端部を接続可能なように途中から分岐している。
そして、第1ノズル部材70をノズルホルダ92で保持することで、第1ノズル部材70の供給流路14の一端部とノズルホルダ92の供給流路15の他端部とが接続される。
ここで、ノズルホルダ92の内部に形成された供給流路15の一端部は、供給管17を介して液体LQを供給可能な液体供給部11に接続しており、供給流路15の他端部は、第1ノズル部材70の内部に形成された供給流路14を介して投影光学系PLの像面側に液体LQを供給可能な供給口12に接続している。したがって、ノズルホルダ92の供給流路15は、液体供給部11と第1ノズル部材70とを接続した構成となっている。
また、図4に示すように、ノズルホルダ92の供給流路15と第1ノズル部材70の供給流路14との接続部には、液体LQの漏洩を阻止するシール部材130が設けられている。本実施形態において、シール部材130はOリングによって構成されている。なお、液体LQの漏洩を阻止可能であれば、Oリングに限らず、シーリングテープなど任意のシール部材を用いることができる。シール部材130を設けたことにより、供給流路14、15を流れる液体LQの前記接続部からの漏洩が防止されている。
液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。液浸領域AR2を形成するために、制御装置CONTは、液体供給機構10の液体供給部11より液体LQを送出する。液体供給部11より送出された液体LQは、供給管17を流れた後、ノズルホルダ92の内部流路である供給流路15に流入する。ノズルホルダ92の供給流路15を流れた液体LQは第1ノズル部材70の内部に形成された供給流路14の一端部に流入する。そして、供給流路14の一端部に流入した液体LQは途中で分岐した後、第1ノズル部材70の下面70A(キャビティ面78A)に形成された複数(2つ)の供給口12A、12Bより、投影光学系PLの像面側に配置された基板P上に供給される。液体供給機構10は、供給口12A、12Bのそれぞれより液体LQを同時に供給可能である。
本実施形態においては、第1ノズル部材70に形成された供給流路14の供給口12近傍は鉛直方向(Z軸方向)に沿って形成されているとともに、供給口12はノズル部材70の下面70Aにおいて−Z方向を向くように(下向きに)設けられている。液体供給機構10は、供給口12を介して、基板P表面に対して上方から鉛直下向き(−Z方向)に液体LQを供給する。
図4に示すように、供給口12に接続された供給流路14のうち供給口12近傍は、供給口12に向かって漸次拡がる傾斜面13となっている。第1ノズル部材70の内部に形成され、供給口12に接続された供給流路14のうち供給口12近傍を、供給口(出口)12に向かって漸次拡がるように形成したので、基板P(基板ステージPST)上に供給される液体LQの基板Pに対する力が分散される。したがって、供給した液体LQが基板Pや基板ステージPSTに及ぼす力を抑制することができる。したがって、供給された液体LQにより基板Pや基板ステージPSTが変形を生じる等の不都合を防止することができ、高い露光精度及び計測精度を得ることができる。
なお、本実施形態においては、ラッパ状の供給口12は基板Pの上方より鉛直下向きに液体LQを供給しているが、基板P表面(XY平面)に対して傾斜方向から供給してもよい。すなわち、供給口12をXY平面に対して傾斜するように形成してもよい。
また、供給管17の途中など、液体LQの供給流路の所定位置に、液体供給部11から送出され、供給口12A、12Bのそれぞれに対する単位時間あたりの液体供給量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器を設けることが可能である。制御装置CONTは、上記流量制御器を介して、供給口12A、12Bを介した液体供給量を制御することができる。また、供給管17の途中など、液体LQの供給流路の所定位置に、この供給流路を開閉するバルブを設けることが可能である。制御装置CONTは、上記バルブを使って、所定のタイミングで供給流路を閉じることで、供給口12A、12Bを介した液体供給を停止することができる。
ノズルホルダ92の内部に形成された第1回収流路25の一端部は、継手26を介して回収管27の他端部に接続されており、第1回収流路25の他端部は、第1ノズル部材70の内部に形成された第1回収流路であるマニホールド流路24の一端部に接続している。ここで、ノズルホルダ92の第1回収流路25の一端部はノズルホルダ92の側面に設けられており、他端部はノズルホルダ92の下面92Aに設けられている。また、ノズル部材70のマニホールド流路24の一端部は第1ノズル部材70の上面に設けられている。一方、マニホールド流路24の他端部は、第1回収口22に対応するように平面視環状に形成され、その第1回収口22に接続する環状流路23の一部に接続している。
そして、第1ノズル部材70をノズルホルダ92で保持することで、第1ノズル部材70のマニホールド流路(第1回収流路)24の一端部とノズルホルダ92の第1回収流路25の他端部とが接続される。ここで、ノズルホルダ92の内部に形成された第1回収流路25の一端部は、回収管27を介して液体LQを回収可能な第1液体回収部21に接続しており、第1回収流路25の他端部は、第1ノズル部材70の内部に形成された第1回収流路であるマニホールド流路24及び環状流路23を介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収可能な第1回収口22に接続している。したがって、ノズルホルダ92の第1回収流路25は、第1液体回収部21と第1ノズル部材70とを接続した構成となっている。
また、図3に示すように、ノズルホルダ92の第1回収流路25と第1ノズル部材70のマニホールド流路24との接続部には、液体LQの漏洩を阻止するシール部材131が設けられている。シール部材131は、シール部材130同様、Oリング等によって構成可能である。シール部材131を設けたことにより、第1回収流路24、25を流れる液体LQの前記接続部からの漏洩が防止されている。
第1液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTに制御される。制御装置CONTは、液体LQを回収するために、第1液体回収機構20の第1液体回収部21を駆動する。真空系を有する第1液体回収部21の駆動により、基板P上の液体LQは、その基板Pの上方に設けられている第1回収口22を介して環状流路23に鉛直上向き(+Z方向)に流入する。環状流路23に+Z方向に流入した液体LQは、マニホールド流路24で集合された後、マニホールド流路24を流れる。その後、ノズルホルダ92の第1回収流路25を流れ、回収管27を介して第1液体回収部21に吸引回収される。
ノズルホルダ92の内部に形成された第2回収流路35の一端部は、継手36を介して回収管37の他端部に接続されており、第2回収流路35の他端部は、第1〜第4接続部材81A〜81Dのうち第2接続部材81Bの内部に形成された内部流路82の一端部に接続管83を介して接続している。接続管83は接続機構89の一部を構成している。ノズルホルダ92の第2回収流路35の一端部はノズルホルダ92の側面に設けられており、他端部はノズルホルダ92の下面92Aに設けられている。ここで、第2接続部材81Bの一端部とノズルホルダ92の下面92Aとは離れており、接続管83は、ノズルホルダ92の下面92Aに設けられた第2回収流路35の他端部と、第2接続部材81Bの一端部に設けられた内部流路82の一端部とを接続している。第2接続部材81Bとノズルホルダ92との間に設けられている弾性体84は環状に形成されており、その環状に形成された弾性体84の内側に接続管83が配置されている。ここで、接続管83は可撓性を有する可撓性部材により構成されている。したがって、弾性体84の弾性変形、ひいてはノズルホルダ92と第2ノズル部材81との相対移動は妨げられない。なお、第2接続部材81B以外の接続部材81A、81C、81Dには内部流路は無い。したがって、それら接続部材81A、81C、81Dとノズルホルダ92の下面92Aとを接続する弾性体85は、環状である必要はないが、もちろん環状であってもよい。
第2接続部材81Bに形成された内部流路82の他端部は、第2ノズル部材80の内部に形成された第2回収流路であるマニホールド流路34の一端部に接続している。一方、マニホールド流路34の他端部は、第2回収口32に対応するように平面視環状に形成され、その第2回収口32に接続する環状流路33の一部に接続している。
そして、第2ノズル部材80を接続機構89を介してノズルホルダ92に接続することで、第2ノズル部材80のマニホールド流路(第2回収流路)34の一端部と、ノズルホルダ92の第2回収流路35の他端部とが、接続機構89を構成する接続管83及び第2接続部材81Bの内部流路82を介して接続される。ここで、ノズルホルダ92の内部に形成された第2回収流路35の一端部は、回収管37を介して液体LQを回収可能な第2液体回収部31に接続しており、第2回収流路35の他端部は、接続管83、内部流路82、第2ノズル部材80の内部に形成された第2回収流路であるマニホールド流路34、及び環状流路33を介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収可能な第2回収口33に接続している。したがって、ノズルホルダ92の第2回収流路35は、第2液体回収部31と第2ノズル部材80とを接続した構成となっている。
なお、ノズルホルダ92の第2回収流路35と接続管83との接続部や、第2接続部材81Bの内部流路82と接続管83との接続部にも、液体LQの漏洩を阻止するシール部材を設けることが可能である。シール部材は、上記シール部材130、131同様、Oリング等によって構成可能である。
図4に示すように、第2回収口32に接続するマニホールド流路34には、第2回収口32を介して液体LQが回収されたか否かを検出する液体有無センサからなる検出器150が設けられている。検出器150の検出結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、検出器150の検出結果に基づいて、露光装置EXの動作を制御する。
なお検出器150の設置位置としては、第2回収口32を介して液体LQが回収されたか否かを検出可能な位置であればよく、第2回収口32近傍、内部流路82、接続管83、及び回収管37の内部などであってもよい。また、例えば回収管37の一部に透過窓を設け、その透過窓を介して回収管37の外側より検出光を照射し、回収管37に液体LQが流れているか否かを光学的に検出する検出器を設けるようにしてもよい。制御装置CONTは、その検出器の検出結果に基づいて、第2回収口32を介して液体LQが回収されたか否かを判断することができる。また、検出器として、例えば回収管37の途中にマスフローコントローラ等を設けておき、マスフローコントローラの検出結果に基づいて、第2回収口32を介して液体LQが回収されたか否かが判断されるようにしてもよい。
第2液体回収部31の液体回収動作は制御装置CONTに制御される。制御装置CONTは、液体LQを回収するために、第2液体回収機構30の第2液体回収部31を駆動する。真空系を有する第2液体回収部31の駆動により、液体LQは、基板Pの上方に設けられている第2回収口32を介して環状流路33に鉛直上向き(+Z方向)に流入する。
環状流路33に+Z方向に流入した液体LQは、マニホールド流路34で集合した後、マニホールド流路34を流れる。その後、液体LQは、第2接続部材81Bの内部流路82、接続管83、及びノズルホルダ92の第2回収流路35を順次流れ、第2回収管37を介して第2液体回収部31に吸引回収される。
ここで、第2液体回収機構30は無停電電源100Bにより常時駆動している。そして、第1液体回収機構20と第2液体回収機構30とは別の電源100A、100Bでそれぞれ駆動されるようになっている。例えば、商用電源100Aが停電した場合、第2液体回収機構30の第2液体回収部31は、無停電電源100Bより供給される電力で駆動される。この場合、第2液体回収部31を含む第2液体回収機構30の液体回収動作は、制御装置CONTに制御されず、例えば第2液体回収機構30に内蔵された別の制御装置からの指令信号に基づいて制御される。あるいは、商用電源100Aの停電時においては、無停電電源100Bは、第2液体回収機構30に加えて制御装置CONTにも電力を供給するようにしてもよい。この場合、その無停電電源100Bからの電力によって駆動される制御装置CONTが、第2液体回収機構30の液体回収動作を制御するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては第1回収口22は環状に形成されており、その第1回収口22に接続する回収流路23、24、25、回収管27、及び第1液体回収部21のそれぞれは1つずつ設けられた構成であるが、第1回収口22を複数に分割し、複数に分割された第1回収口22の数に応じて、回収流路や回収管、あるいは第1液体回収部21を設けるようにしてもよい。なお、第1回収口22を複数に分割した場合であっても、それら複数の第1回収口22が、投影領域AR1、供給口12、及び排気口62を囲むように配置されていることが好ましい。同様に、第2回収口32も複数に分割して配置されてもよい。
ノズルホルダ92の内部に形成された排気流路65の一端部は、継手66を介して排気管67の他端部に接続されており、排気流路65の他端部は、第1ノズル部材70の内部に形成された排気流路64の一端部に接続している。ノズルホルダ92の排気流路65の一端部はノズルホルダ92の側面に設けられており、他端部はノズルホルダ92の下面92Aに設けられている。また、第1ノズル部材70の排気流路64の一端部は第1ノズル部材70の上面に設けられている。一方、第1ノズル部材70の排気流路64の他端部は、第1ノズル部材70の下面70A(キャビティ面78A)に形成された排気口62に接続されている。ここで、第1ノズル部材70の内部に形成された排気流路64は、複数(2つ)の排気口62(62A、62B)のそれぞれにその他端部を接続可能なように途中から分岐している。
そして、第1ノズル部材70をノズルホルダ92で保持することで、第1ノズル部材70の排気流路64の一端部とノズルホルダ92の排気流路65の他端部とが接続される。
ここで、ノズルホルダ92の内部に形成された排気流路65の一端部は、排気管67を介して排気部61に接続しており、排気流路65の他端部は、第1ノズル部材70の内部に形成された排気流路64を介して投影光学系PLの像面側の気体を排出可能な排気口62に接続している。したがって、ノズルホルダ92の排気流路65は、排気部61と第1ノズル部材70とを接続した構成となっている。
また、図4に示すように、ノズルホルダ92の排気流路65と第1ノズル部材70の排気流路64との接続部には、気体あるいは液体LQの漏洩を阻止するシール部材133が設けられている。シール部材133は、シール部材130同様、Oリング等によって構成可能である。シール部材133を設けたことにより、排気流路64、65を流れる気体あるいは液体LQの前記接続部からの漏洩が防止されている。
排気部61の排気動作は制御装置CONTに制御される。制御装置CONTは、投影光学系PLの像面側の気体を排出するために、排気機構60の排気部61を駆動する。真空系を有する排気部61の駆動により、投影光学系PLの像面側の所定空間の気体は、排気口62を介して排気流路64に流入する。排気流路64に流入した液体LQは、ノズルホルダ92の排気流路65を流れた後、排気管67を介して排気部61に吸引回収される。
また、制御装置CONTは、真空系を有した排気部61を駆動し、投影光学系PLの像面側の光学素子2の近傍に配置されている排気口62A、62Bを介して、投影光学系PLの像面側の気体を排出(吸引)することで、その像面側の空間を負圧化することができる。
また、上述したように、排気部61は真空系及び気液分離器を備えているため、排気口62A、62Bを介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収することもできる。したがって、排気機構60は、排気口62を介して、投影光学系PLの像面側の気体を排出可能であるとともに、液浸領域AR2の液体LQ中の気泡(気体部分)を液体LQとともに排出(回収、除去)可能である。
排気機構60を使って液浸領域AR2の液体LQ中の気泡を回収する場合、制御装置CONTは、排気機構60の排気部61を駆動する。真空系を有する排気部61の駆動により、投影光学系PLの像面側に形成された液浸領域AR2の液体LQの一部が排気口62を介して吸引回収される。液体LQ中に気泡が存在する場合、その気泡は液体LQとともに排気口62を介して吸引回収される。
図4に示すように、排気口62に接続された排気流路64のうち排気口62近傍は、排気口62に向かって漸次拡がる傾斜面63となっている。更に、ノズル部材70の下面70Aのうち排気口62の周囲の所定領域は、基板Pよりも離れるように形成された凹部68となっている。凹部68の内側に排気口62が設けられていることにより、その排気口62は、凹部68周囲の下面70Aよりも基板Pに対して高い位置に設けられた構成となっている。更に、凹部68には、基板P側に向かって漸次拡がる傾斜面69が形成されている。換言すれば、凹部68の内側面が、基板P側に向かって漸次拡がるように形成されている。
排気口62を凹部68の内側に形成し、周囲の下面70A(キャビティ面78A)よりも高い位置に設けたので、液浸領域AR2の液体LQ中に気泡(気体部分)が存在していても、その気泡は液体LQとの比重差により液体LQ中を上方に移動して排気口62より円滑且つ迅速に回収されるようになっている。また、ノズル部材70に形成され、排気口62に接続された排気流路64のうち排気口62近傍を、排気口(出口)62に向かって漸次拡がるように形成するとともに、その排気口62の周囲に形成された凹部68の内側面も、基板P側に向かって漸次拡がるように傾斜させて形成したので、例えば光学素子2近傍にある気泡や下面70Aに付着した気泡は、傾斜面69や傾斜面63に沿って排気口62まで円滑に移動し、排気口62より円滑且つ迅速に回収される。更に、本実施形態においては、傾斜面63と凹部68との接続部などに丸みを持たせ、角部が無い構成としたので、気泡が下面70A(キャビティ面78A)に沿って排気口62に移動するとき、その移動は円滑に行われる。
また、上述したように、排気口62は投影光学系PL(光学素子2)の投影領域AR1の近傍に設けられているため、光学素子2に付着した気泡や、液浸領域AR2の液体LQ中のうち光学素子2近傍を浮遊している気泡は、排気口62を介して円滑且つ迅速に回収される。したがって、投影光学系PLの像面側の液体LQ中に気泡が存在する不都合を防止することができる。
なお排気機構60に、液体供給機構10から供給された液体LQに更に液体LQを追加する機能、及び液体LQの一部を回収する機能を持たせておき、排気口62を介して液体LQの追加及び一部回収を行うことで、液体供給機構10から供給された液体LQの圧力を調整するようにしてもよい。
第1ノズル部材70の下面70Aのうち投影領域AR1に対して第1回収口22の外側には環状の壁部141が形成されている。壁部141は基板P側に突出する凸部である。
本実施形態において、壁部141の下面と基板Pとの距離は、ランド面77と基板Pとの距離とほぼ同じである。壁部141は、その内側の領域の少なくとも一部に液体LQを保持可能である。また、第2ノズル部材80の下面80Aにおいて、投影領域AR1に対して壁部141の外側には第2壁部142及び第3壁部143が形成されている。第2回収口32は、第2壁部142及び第3壁部143の間に形成された溝部の内側に設けられている。これら第2、第3壁部142、143によって、第2ノズル部材80の下面80Aの外側(基板Pの外側)への液体LQの流出を防止している。
また、第2ノズル部材80は、基板ステージPST(もしくは基板ステージPSTに支持された基板P)に対して第1ノズル部材70よりも近くに設けられている。換言すれば、第2ノズル部材80の下面80Aと基板ステージPSTの上面51(もしくは基板ステージPSTに支持された基板Pの表面)との距離は、第1ノズル部材70の下面70Aと基板ステージPSTの上面51との距離よりも小さくなっている。
図5において、露光装置EXは、基板ステージPSTに保持されている基板P表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系120を備えている。フォーカス・レベリング検出系120は、所謂斜入射方式のフォーカス・レベリング検出系であって、液浸領域AR2の液体LQを介して基板Pに斜め方向から検出光Laを投光する投光部121と、基板Pで反射した検出光Laの反射光を受光する受光部122とを備えている。なお、フォーカス・レベリング検出系120の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。
フォーカス・レベリング検出系120の投光部121は、投影光学系PLに対して+Y側に離れた位置に設けられ、受光部122は投影光学系PLに対して−Y側に離れた位置に設けられている。すなわち、投光部121及び受光部122は投影光学系PLの投影領域AR1を挟んでその両側にそれぞれ設けられている。
ノズルホルダ92の下面のうち、穴部92H、70Hに配置された投影光学系PLを挟んで−Y側及び+Y側のそれぞれには、第1ノズル部材70の上面に対して離れるように形成された凹部92K、92Kがそれぞれ形成されている。同様に、第1ノズル部材70の上面のうち、投影光学系PLをを挟んで−Y側及び+Y側のそれぞれには、ノズルホルダ92の下面に対して離れるように形成された凹部70K、70Kがそれぞれ形成されている。そして、ノズルホルダ92と第1ノズル部材70との間であって投影光学系PLを挟んで−Y側及び+Y側のそれぞれには、凹部70K、92Kにより空間128、129が形成されている。
第1ノズル部材70には、フォーカス・レベリング検出系120の一部を構成する第1光学部材123及び第2光学部材124が保持されている。第1光学部材123は、フォーカス・レベリング検出系120の投光部121から射出された検出光Laを透過可能であり、第2光学部材124は、基板P上で反射した検出光Laを透過可能である。第1、第2光学部材123、124はプリズム部材により構成されている。第1ノズル部材70は、第1、第2光学部材123、124を配置可能な穴部123H、124Hを有しており、第1、第2光学部材123、124は、穴部123H、124Hに配置された状態で、ホルダ機構125、126によって第1ノズル部材70に固定されている。また、本実施形態においては、第1ノズル部材70に固定された第1光学部材123は投影光学系PLに対して+Y側に設けられ、第2光学部材124は−Y側に設けられている。
また、第1ノズル部材70に保持された第1光学部材123の上部は、空間128に露出(突出)しており、第1光学部材123の下部は、第1ノズル部材70の下面70Aのキャビティ面78Aに形成された開口部123Kより露出している。同様に、第1ノズル部材70に保持された第2光学部材124の上部は、空間129に露出(突出)しており、第2光学部材124の下部は、第1ノズル部材70の下面70Aのキャビティ面78Aに形成された開口部124Kより露出している。
投光部121から射出された検出光Laは、空間128を通過した後、第1光学部材123の上部に入射する。第1光学部材123の上部に入射した検出光Laは、第1光学部材123によって光路を折り曲げられ、開口部123Kを通過し、基板P上の液体LQを介して基板P表面に、投影光学系PLの光軸AXに対して所定の入射角で斜め方向から照射される。基板P上で反射した検出光Laの反射光は、開口部124Kを通過し、第2光学部材124に入射し、光路を折り曲げられ、第2光学部材124の上部より射出される。第2光学部材124の上部より射出した検出光Laは、空間129を通過した後、受光部129に受光される。また、フォーカス・レベリング検出系120は、投光部121より基板P上に複数の検出光Laを照射することで、基板P上における例えばマトリクス状の複数の各点(各位置)での各フォーカス位置を求めることができ、求めた複数の各点でのフォーカス位置に基づいて、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出することができる。
制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系120の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTを駆動することにより、基板ステージPSTに基板ホルダPHを介して保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。すなわち、基板ステージPSTは、フォーカス・レベリング検出系120の検出結果に基づく制御装置CONTからの指令に基づいて動作し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して、基板Pの表面(被露光面)をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に対して最適な状態に合わせ込む。
なお、本実施形態においては、フォーカス・レベリング検出系120の検出光Laは、YZ平面に略平行に照射されるが、XZ平面に略平行に照射されてもよい。その場合において、投光部121及び受光部122を投影領域AR1を挟んで±X側のそれぞれに設けるとともに、第1光学部材123及び第2光学部材124を投影領域AR1を挟んで±X側のそれぞれに設けるようにしてもよい。
上述したように、第1光学部材123及び第2光学部材124はフォーカス・レベリング検出系120の光学系の一部を構成しているとともに、第1ノズル部材70の一部を構成している。換言すれば、本実施形態においては、第1ノズル部材70の一部がフォーカス・レベリング検出系120の一部を兼ねている。
そして、第1ノズル部材70の下面70Aに凹部78を設けたことにより、フォーカス・レベリング検出系120は検出光Laを所定の入射角で基板P上の所望領域に円滑に照射することができる。第1ノズル部材70の下面70Aに凹部78を設けない構成の場合、つまり第1ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面(液体接触面)2Aとが面一の場合、フォーカス・レベリング検出系120の検出光Laを所定の入射角で基板Pの所望領域(具体的には、例えば基板P上の投影領域AR1)に照射しようとすると、検出光Laの光路上に例えば第1ノズル部材70が配置されて検出光Laの照射が妨げられたり、あるいは検出光Laの光路を確保するために入射角や投影光学系PLの光学素子2の下面(液体接触面)2Aと基板P表面との距離(ワーキングディスタンス)を変更しなければならないなどの不都合が生じる。しかしながら、第1ノズル部材70の下面70Aのうち、フォーカス・レベリング検出系120の一部を構成する第1ノズル部材70の下面70Aに凹部78を設けたことにより、投影光学系PLの光学素子2の下面(液体接触面)2Aと基板P表面との距離(ワーキングディスタンス)を所望の値に保ちつつ、フォーカス・レベリング検出系120の検出光Laの光路を確保して基板P上の所望領域に検出光Laを照射することができる。
上述したように、ノズル保持機構90(ノズルホルダ92)と第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80とは分離可能である。図6(a)は、ノズル保持機構90に第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80のそれぞれが保持された状態を示す斜視図、図6(b)は、ノズル保持機構90に保持されている第1ノズル部材70に対して第2ノズル部材80が分離された状態を示す斜視図である。
メインコラム1に固定されたノズル保持機構90に対して第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80のそれぞれを分離可能に設けたので、それら第1、第2ノズル部材70、80をメンテナンスしたり、あるいは第1、第2ノズル部材70、80を新しいものと交換するときの作業性を向上することができる。そして、第1、第2ノズル部材70、80に不具合が生じたときにも適切な処置を迅速に施すことができる。すなわち、第1、第2ノズル部材70、80に直接配管17、27、37、67等を取り付けた構成では、第1、第2ノズル部材70、80をメンテナンスしたり交換するとき、その配管(継手)と第1、第2ノズル部材70、80とを分離する作業が必要となり煩雑である。ところが、配管をノズル保持機構90(ノズルホルダ92)に接続し、ノズルホルダ92に対して第1、第2ノズル部材70、80を容易に取り付け・外し可能としたので、煩雑な作業は不要となる。
また、上述したように、ノズルホルダ92と第1、第2ノズル部材70、80とを所定の位置関係で接続することで、ノズルホルダ92に形成された内部流路と、第1、第2ノズル部材70、80に形成された内部流路とのそれぞれを容易に接続することができる。
ここで、露光装置EXは、ノズルホルダ92とノズル部材70とを位置決めする位置決め機構91を備えている。ノズルホルダ92とノズル部材70とを接続するときは、位置決め機構91を使って、ノズルホルダ92に対してノズル部材70を所定の位置関係で接続する。
本実施形態においては、位置決め機構91は、図2に示すように、ノズルホルダ92の下面に固定され、ノズルホルダ92と第1ノズル部材70とを接続したときに第1ノズル部材70の側面に当接可能な複数(3つ)の位置決め部材91A〜91Cを備えている。
本実施形態においては、位置決め部材91Aは第1ノズル部材70の−Y側の側面に当接し、位置決め部材91B、91Cのそれぞれは第1ノズル部材70の+X側の側面に当接するように設けられている。
ノズルホルダ92と第1ノズル部材70とを位置決めする位置決め機構91を設けたので、ノズルホルダ92に形成された内部流路と、第1ノズル部材70に形成された内部流路とのそれぞれを良好に接続することができる。また、上述したように、本実施形態においては第1ノズル部材70はフォーカス・レベリング検出系120の一部を構成する第1、第2光学部材123、124が固定されているため、その第1、第2光学部材123、124を設けられた第1ノズル部材70の位置がずれると、フォーカス・レベリング検出系120の検出精度が劣化する可能性がある。ところが、メインコラム1に固定されているノズルホルダ92(ノズル保持機構90)に対して第1ノズル部材70を位置決めする位置決め機構91によって、第1ノズル部材70をノズルホルダ92(ひいてはメインコラム1)に対して所定の位置関係で設置することができるので、その第1ノズル部材70に設けられた第1、第2光学部材123、124の位置も所望状態にすることができる。
したがって、フォーカス・レベリング検出系120の検出精度が劣化する不都合を防止できる。
また、位置決め機構91を設けたことにより、第1ノズル部材70をノズルホルダ92から外した後、そのノズルホルダ92に再び取り付けた場合などにおいても、供給口12や第1回収口22の位置の変動を防止することができる。したがって、第1ノズル部材70をメンテナンス後にノズルホルダ92に取り付けたときや新たなものと交換したとき、供給口12による液体供給位置や第1回収口22による液体回収位置の変動を防止することができ、常に同じ液体供給位置条件及び液体回収位置条件で液体LQの供給及び回収を行うことができる。
また、本実施形態においては、第1ノズル部材70はノズル保持機構90のノズルホルダ92に堅固に取り付けられている。したがって、ノズル保持機構90が第1ノズル部材70を保持しているときに、ノズル保持機構90に対する第1ノズル部材70の位置がずれ、第1、第2光学部材123、124の位置や供給口12による液体供給位置や第1回収口22による液体回収位置が変動するといった不都合の発生を防止することができる。
第1ノズル部材70の第1回収口22には、多孔体74が配置される。多孔体74は親液性であることが望ましく、多孔体74に形成される孔径や、多孔体74と液体LQとの接触角はできるだけ小さいことが好ましい。そして、液体LQを回収する際は、第1回収口22から液体LQのみを吸引回収することで、第1ノズル部材70での振動の発生を抑制するようにする。
第2液体回収機構30は、第1液体回収機構20で回収しきれずに第1回収口22よりも外側に流出した液体LQを回収するものであって、上述したように液体LQの回収動作(吸引動作)を常時行っている構成である。すなわち、第1液体回収機構20が液体LQを回収しきれているときは、第2ノズル部材80の第2回収口32からは液体LQは回収されず、気体(空気)のみが回収される。一方、第1液体回収機構20が液体LQを回収しきれず、第1回収口22よりも外側に液体LQが流出したとき、第2ノズル部材80の第2回収口32からは、液体LQとともにその周囲の気体も一緒に(噛み込むようにして)回収される。第2回収口32から液体LQを回収するとき、その液体LQの周囲の気体も一緒に(噛み込むようにして)回収した場合、回収した液体LQが液滴状となって回収流路や回収管の内壁に当たり、第2ノズル部材80で振動(特に高周波振動)が発生する可能性がある。そこで本実施形態においては、接続機構89にパッシブ防振機構として機能する弾性体84、85を設け、第2ノズル部材80をノズル保持機構90に対して柔らかく接続することで、第2ノズル部材80で発生した振動がノズル保持機構90に伝達されないように効果的に減衰することができる。また、本実施形態においては、第2ノズル部材80の第2回収口32にも多孔体75が配置されており、その多孔体75によって、第2回収口32を介して回収された液体LQの液滴の大きさを小さくすることができる。
したがって、第2回収口32を介して回収した液体LQが液滴状となって回収流路や回収管の内壁に当たって振動を発生する場合においても、その振動レベルを小さく抑えることができる。
なお、本実施形態においては、第1、第2ノズル部材70、80は、メインコラム1に固定されたノズル保持機構90に保持されるようになっているが、所定の連結機構を介して、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80のそれぞれを互いに離した状態でメインコラム1(下側段部8)に直接的に取り付ける構成であってもよい。その場合においても、連結機構を、メインコラム1に対して第1、第2ノズル部材70、80を容易に分離可能な構成とすることが好ましい。
なお本実施形態においては、多孔体74、75は第1、第2回収口22、32のそれぞれに設けられているが、多孔体を供給口12に設けてもよい。
ここで、本実施形態においては、第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80のそれぞれは、ステンレス鋼によって形成されている。また、多孔体74、75もステンレス鋼によって形成されている。具体的には、多孔体74、75を含む第1、第2ノズル部材70、80は、SUS316(Cr18%+Ni12%+Mo2%)により構成されている。
第1、第2ノズル部材70、80のうち液浸領域AR2の液体LQに接触する液体接触面は、投影光学系PL(光学素子2)の液体接触面同様、液体LQに対する親和性が高い(親液性である)ことが望ましい。投影光学系PL(光学素子2)の液体接触面及び第1、第2ノズル部材70、80の液体接触面を親液性にすることにより、投影光学系PL(光学素子2)の液体接触面及び第1、第2ノズル部材70、80の液体接触面と基板P(基板ステージPST)との間に液体LQを良好に保持して液浸領域AR2を形成することができる。また、第1、第2回収口22、32に配置される多孔体74、75を親液性にすることにより、液浸領域AR2の液体LQを良好に回収することができる。ステンレス鋼(SUS316)は親液性を有しているため、第1、第2ノズル部材70、80及び多孔体74、75を形成する材料として好ましい。
また、ステンレス鋼(SUS316)は液体LQへの不純物の溶出量が少なく、耐食性に優れている。また、ステンレス鋼(SUS316)は高い剛性を有しているため、そのステンレス鋼によって形成された第1、第2ノズル部材70、80の共振周波数を高くすることができる。一般に、発生する力によって励起する振動成分の周波数が高いほど露光精度への影響が少ないと考えられる。したがって、第1、第2ノズル部材70、80を剛性の高いステンレス鋼(SUS316)で形成し、第1、第2ノズル部材70、80の共振周波数を高くすることが望ましい。また、ステンレス鋼(SUS316)は、高い強度を有しているため、変形や破損する不都合を防止することができる。
また、第1、第2ノズル部材70、80に、液体LQへの不純物の溶出を抑えるための処理を施すことが好ましい。そのような処理としては、第1、第2ノズル部材70、80に酸化クロムを付着する処理が挙げられ、例えば神鋼パンテック社の「GOLDEP」処理あるいは「GOLDEP WHITE」処理が挙げられる。このような表面処理を施すことにより、第1、第2ノズル部材70、80や多孔体74、75から液体LQに不純物が溶出する不都合を更に抑制することができる。また、前記酸化クロムを付着する処理は、多孔体74、75、第1、第2ノズル部材70、80の下面70A、80A、第1、第2ノズル部材70、80に形成された内部流路など、液体LQに接触する領域に施すことができる。
また、第1、第2ノズル部材70、80や多孔体74、75に限らず、ノズルホルダ92をステンレス鋼(SUS316)で形成し、そのノズルホルダ92のうち少なくとも液体に接触する領域(例えばノズルホルダ92の内部流路)に対して上記処理を施してもよい。あるいは供給管17や回収管23、37、排気管67等、液体LQに接触する部材をステンレス鋼で形成するとともに、上記処理を施すことももちろん可能である。
なお、液体LQへの不純物の溶出を抑えるために第1、第2ノズル部材70、80に施す処理としては、フッ素系樹脂を付着する処理も挙げられる。フッ素系樹脂のうち、特にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を用いることが好ましい。もちろん、このフッ素系樹脂を、ノズルホルダ92や、供給管17、回収管23、37、排気管67などに付着させてもよい。
また、本実施形態においては、投影光学系PL(光学素子2)の端面2A、第1ノズル部材70の下面70Aのうち、第1回収口22を含む領域及び第1回収口22よりも内側のキャビティ面78A及びランド面77を含む領域、第2ノズル部材80の下面80Aのうち、第2回収口32を含む領域が親液性となっている。また、上述したように、第1回収口22及び第2回収口32のそれぞれに設けられた多孔体74、75も親液性である。
なお、本実施形態においてはランド面77は親液性であるが撥液性であってもよい。
上記領域を親液性にする親液化処理としては、MgF2、Al2O3、SiO2等を付着させる処理が挙げられる。あるいは、本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液化処理(親水化処理)としては、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、領域SRに親水性を付与することもできる。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを前記領域SRに設ける処理が可能である。
一方、本実施形態においては、第1、第2ノズル部材70、80の下面70A、80Aのうち、第1回収口22の外側の領域であって第1回収口22を含む親液領域と第2回収口32を含む親液領域との間の領域、第2回収口32の外側の領域、第2ノズル部材80の外側面80Sなどが撥液性となっている。
また、本実施形態においては、間隙を形成する第1ノズル部材70の内側面70T、及び光学素子2の側面2Tのそれぞれは撥液性となっている。第1ノズル部材70の内側面70T、及び光学素子2の側面2Tのそれぞれを撥液性にすることで、内側面70Tと側面2Tとで形成される間隙に液浸領域AR2の液体LQが浸入することが防止されている。同様に、間隙を形成する第1ノズル部材70の外側面70S、及び第2ノズル部材80の内側面80Tのそれぞれを撥液性にすることで、外側面70Sと内側面80Tとで形成される間隙に液浸領域AR2の液体LQが浸入することが防止される。
上記領域を撥液性にする撥液化処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料、シリコン系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する等の処理が挙げられる。あるいは、撥液化処理を施さずに、例えば第1、第2ノズル部材70、80の一部をポリ四フッ化エチレンやアクリル系樹脂などの撥液性を有する材料によって形成することで、撥液性にすることもできる。
また、上記親液化処理及び撥液化処理を含む表面処理のための膜は、単層膜であってもよいし複数の層からなる膜であってもよい。親液性にするための親液性材料又は撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について図7に示す模式図を参照しながら説明する。
マスクMがマスクステージMSTにロードされるとともに、基板Pが基板ステージPSTにロードされた後、基板Pの走査露光処理を行うに際し、制御装置CONTは液体供給機構10を駆動し、基板P上に対する液体供給動作を開始する。液浸領域AR2を形成するために液体供給機構10の液体供給部11から供給された液体LQは、図7(a)に示すように、供給口12より投影光学系PLの像面側に供給される。
なお、基板Pの露光を行う前であって、投影光学系PLの像面側に液浸領域AR2を形成するときの液体供給動作は、投影光学系PLと基板Pとを対向した状態で行ってもよいし、投影光学系PLと基板ステージPST上の所定領域(例えば上面51)とを対向した状態で行ってもよい。また、基板Pの露光を行う前に投影光学系PLの像面側に液浸領域AR2を形成するときは、基板ステージPSTを停止した状態で行ってもよいし、微動させた状態で行ってもよい。
制御装置CONTは、液浸領域AR2を形成するために液体供給機構10を使って液体LQの供給を開始するときに、第1液体回収機構20の第1液体回収部21を駆動するとともに、排気機構60の排気部61を駆動する。真空系を有する排気部61が駆動されることにより、投影光学系PLの像面側の光学素子2近傍に設けられている排気口62から、投影光学系PLの像面側近傍の空間の気体が排出され(排気され)、その空間が負圧化される。このように、制御装置CONTは、排気機構60の排気部61を駆動し、投影光学系PLの投影領域AR1の近傍に配置された排気口62を介して、投影光学系PLの像面側の気体の排出を行いながら、液浸領域AR2を形成するための液体供給機構10による液体供給を開始する。
なお上述したように、第2液体回収機構30は常時駆動しており、第2液体回収機構30による第2回収口32を介した吸引動作は常時行われている。
本実施形態においては、投影光学系PLの像面側には第1ノズル部材70の凹部78が形成されているため、液浸領域AR2を形成するために液体LQを供給した際、供給した液体LQが凹部78に入り込まず、液浸領域AR2の液体LQ中に気泡などの気体部分が生成されたり、液体LQ中に気体が混入する可能性が高くなる。しかし、本実施形態においては、投影光学系PLの投影領域AR1の近傍に配置された排気口62を介して投影光学系PLの像面側の気体の排出を行いながら、液体供給機構10による液体LQの供給を開始しているので、凹部78に液体LQを円滑に配置することができる。つまり、排気口62より排気することで排気口62近傍が負圧化されるので、供給した液体LQをその負圧化された負圧化領域(空間)に円滑に配置することができる。したがって、投影光学系PLの像面側に形成される液浸領域AR2に気体部分が生成されたり、液浸領域AR2を形成するための液体LQ中に気泡が混入する不都合を防止することができ、凹部78の内側に配置された投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2Aを液体LQで良好に覆うことができる。したがって、高い露光精度及び計測精度を得ることができる。また、液体LQ中に気泡などの気体部分が存在しても、排気口62よりその気泡(気体部分)を吸引して除去することができるので、液体LQ中に気泡が混入(存在)する不都合を防止することができる。
また、凹部78のキャビティ面78Aに設けられた排気口62から排気を行いつつ、凹部78のキャビティ面78Aに設けられた供給口12から液体LQを供給することにより、凹部78(露光光ELの光路)を液体LQで迅速に満たすことができる。したがって、スループットを向上することができる。
また、本実施形態においては、第1ノズル部材70の下面70A(キャビティ面78A)において、気体を排出可能な排気口62の周囲の所定領域は基板Pよりも離れるように形成された凹部68となっているので、投影光学系PLの像面側に液体LQの供給を開始したとき、供給した液体LQ中に仮に気泡(気体部分)が存在しても、その気体は液体LQとの比重差により上方に移動して排気口62より円滑且つ迅速に排出される。
液体供給機構10の供給口12を介した液体LQの供給と、第1液体回収機構20の第1回収口22を介した液体LQの回収とを並行して行うことにより、やがて、図7(b)に示すように、投影光学系PLと基板Pとの間に、投影領域AR1を含むように、基板Pよりも小さく且つ投影領域AR1よりも大きい液浸領域AR2が局所的に形成される。液体LQの液浸領域AR2は、投影領域AR1を含むように実質的に環状の第1回収口22で囲まれた領域内であって且つ基板P上の一部に局所的に形成される。なお、液浸領域AR2は少なくとも投影領域AR1を覆っていればよく、必ずしも第1回収口22で囲まれた領域全体が液浸領域にならなくてもよい。
液浸領域AR2を形成した後、図7(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLと基板Pとを対向した状態で、基板Pに露光光ELを照射し、マスクMのパターン像を投影光学系PLと液体LQとを介して基板P上に露光する。基板Pを露光するときは、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体LQの供給と並行して、第1液体回収機構20による液体LQの回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら、マスクMのパターン像を投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して基板P上に投影露光する。このとき制御装置CONTは、液体供給機構10の単位時間あたりの液体供給量を調整しつつ、供給口12A、12Bを介して、液体LQを供給する。また、基板Pを露光中においては、制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系120を使って、液体LQを介して基板P表面の位置情報を検出し、その検出結果に基づいて、投影光学系PLによる像面と基板P表面とを合致させるように、例えば基板ステージPSTを駆動しつつ、露光を行う。
本実施形態においては、液体供給機構10の供給流路14のうち供給口12近傍は、供給口12に向かって漸次拡がる傾斜面13となっており、基板P(基板ステージPST)上に供給される液体LQの基板Pに対する力が分散される。したがって、供給した液体LQが基板Pや基板ステージPSTに及ぼす力を抑制することができる。液体LQが及ぼす力によって基板Pが変形すると、基板P上に投影されるパターン像が劣化したり、フォーカス・レベリング検出系120の計測精度が劣化するなどの不都合が生じる。また、基板Pのエッジ領域を液浸露光するときに、液体LQの力により基板Pのエッジ領域が押されると、基板Pのエッジ領域と基板ステージPSTの上面51との高さ位置がずれ、投影光学系PLの像面側に液体LQを良好に保持することが困難となり、液体LQが漏出する可能性も高くなる。ところが、本実施形態においては、液体LQが基板Pに及ぼす力が抑制されているので、供給された液体LQにより基板Pが変形を生じたり、液体LQが漏出する等の不都合を防止することができ、高い露光精度及び計測精度を得ることができる。
基板Pを露光中においても、制御装置CONTは、排気機構60の排気口62を介した液浸領域AR2の液体LQの一部の回収を継続する。こうすることにより、基板Pの露光中に、何らかの原因で仮に液浸領域AR2の液体LQ中に気泡が混入したり、気体部分が生成されても、その気泡(気体部分)を、排気口62を介して回収、除去することができる。特に、排気口62は、第1回収口22よりも投影光学系PLの光学素子2の近傍に配置されているので、投影光学系PLの光学素子2近傍に存在する気泡などを素早く回収することができる。
なお、基板Pの露光中においては、排気機構60による排気口62を介した液浸領域AR2の液体LQの一部の回収を停止してもよい。
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、第1液体回収機構20の第1回収口22、第2液体回収機構30の第2回収口32、及び排気機構60の排気口62を介して、基板P上や基板ステージPST上に残留した液体LQを回収する。そして、基板P上の液体LQの回収動作を終了した後、露光処理を終えた基板Pは基板ステージPSTよりアンロードされる。
また、第1液体回収機構20が基板P上の液浸領域AR2の液体LQを第1回収口22を介して回収しきれなかった場合、その回収しきれなかった液体LQは第1回収口22の外側に流出するが、図7(d)に示すように、第2液体回収機構30の第2回収口32を介して回収されるので、液体LQの流出を防止することができる。第2液体回収機構30は常時駆動されており、回収動作(吸引動作)を常時行っているため、液体LQを確実に回収することができる。また、上述したように、第2液体回収機構30の第2ノズル部材80とノズル保持機構90とは接続機構89によって振動的に分離しているので、第2ノズル部材80の第2回収口32を介して液体LQを回収したときに振動が発生しても、その第2ノズル部材80で発生した振動がノズル保持機構90へ伝達されることは抑制される。
また、第1液体回収機構20に何らかの異常が生じて液体回収動作不能となった場合や、液体供給機構10に何らかの異常が生じて誤作動し、大量に液体LQが供給されてしまって第1液体回収機構20だけでは液体LQを回収しきれない場合でも、第2液体回収機構30で液体LQを回収することができ、液体LQの流出を防止することができる。したがって、流出した液体LQに起因する機械部品等の錆びや駆動系の漏電の発生、あるいは流出した液体LQの気化による基板Pの置かれている環境変動を防止することができ、露光精度及び計測精度の劣化を防止することができる。
また、制御装置CONTは、検出器150の検出結果に基づいて、第2回収口32を介して液体LQが回収されたと判断したとき、すなわち、第2液体回収機構30が液体LQを回収したと判断したとき、例えば液体供給機構10からの液体供給を停止するようにしてもよい。第2液体回収機構30が液体LQを回収したときは、液体LQが流出している可能性が高いので、その場合においては、液体供給機構10からの液体供給を停止することで、液体LQの流出を防止することができる。あるいは、第2液体回収機構30が液体LQを回収したと判断したとき、制御装置CONTは、例えば基板ステージPSTを駆動するアクチュエータ(リニアモータ)をはじめとする電気機器に対する電力供給を停止するようにしてもよい。第2液体回収機構30が液体LQを回収したときは、液体LQが流出している可能性が高いので、その場合においては、電気機器への電力供給を停止することで、流出した液体LQが電気機器にかかっても、漏電の発生を防止することができる。
また、第2液体回収機構30は無停電電源100Bを有しており、第1液体回収機構20を含む露光装置EX全体の駆動源である商用電源100Aが停電などの異常を生じても、第2液体回収機構30に対する電力の供給は無停電電源100Bに切り替わるので、第2液体回収機構30で液体LQを良好に回収することができる。したがって、液体LQの流出を防止することができ、また、基板P上に残留した液体LQを放置せずに第2液体回収機構30で回収できるので、基板Pを支持する基板ステージPST周辺の機械部品の錆びや故障、あるいは基板Pの置かれている環境変動等といった不都合の発生を防止することができる。
例えば商用電源100Aが停電したとき、無停電電源100Bは、第2液体回収機構230を構成する例えば真空系の電力駆動部、気液分離器の電力駆動部等に対してそれぞれ電力を供給する。具体的には、商用電源100Aが停電したとき、無停電電源100Bは、第2液体回収機構30に対する電力供給を、例えば内蔵バッテリに切り替えて無瞬断給電する。その後、無停電電源100Bは、長時間の停電に備えて、内蔵発電機を起動し、第2液体回収機構30に対する電力供給をバッテリから発電機に切り替える。こうすることにより、商用電源100Aが停電しても、第2液体回収機構30に対する電力供給が継続され、第2液体回収機構30による液体回収動作を維持することができる。なお、無停電電源100Bとしては上述した形態に限られず、公知の無停電電源を採用することができる。また、本実施形態では、商用電源100Aが停電したときのバックアップ電源として無停電電源装置を例にして説明したが、もちろん、バックアップ電源としてバックアップ用バッテリを用い、商用電源100Aの停電時に、そのバッテリに切り替えるようにしてもよい。
なお、商用電源100Aが停電したとき、無停電電源100Bは、基板Pを保持する基板ホルダPHの吸着機構に電力を供給するようにしてもよい。こうすることにより、商用電源100Aが停電した場合であっても基板ホルダPHによる基板Pの吸着保持を維持することができるので、停電によって基板ステージPSTに対する基板Pの位置ずれが生じない。したがって、停電復帰後において露光動作を再開する場合の露光処理再開動作を円滑に行うことができる。
また、商用電源100Aの停電時に、無停電電源100Bは、露光装置EXを構成する各機構(装置)のうち、第2液体回収機構30以外の機構に電力(駆動力)を供給するようにしてもよい。例えば商用電源100Aの停電時に、第2液体回収機構30に加えて、第1液体回収機構10に対しても電力を供給することで、液体LQの流出を更に確実に防止することができる。
なお、液体供給機構10の供給管17にノーマルクローズ方式のバルブを設けておき、商用電源100Aが停電したとき、そのノーマルクローズ方式のバルブが供給管17の流路を機械的に遮断するようにしてもよい。こうすることにより、商用電源100Aの停電後において、液体供給機構10から基板P上に液体LQが漏出する不都合がなくなる。
なお、上述した実施形態において、基板Pを露光する前の液体供給時(図7(a)、(b)の状態)における単位時間あたりの液体供給量と、基板Pを露光中の液体供給時(図7(c)の状態)における単位時間あたりの液体供給量とを互いに異なる値に設定してもよい。例えば、基板Pを露光する前の単位時間あたりの液体供給量を2リットル/分程度とし、基板Pを露光中の単位時間あたりの液体供給量を0.5リットル/分程度とするといったように、基板Pを露光する前の液体供給量を、基板Pを露光中の液体供給量よりも多くしてもよい。基板Pを露光する前の液体供給量を多くすることで、例えば光学素子2の液体接触面2Aや第1ノズル部材70の下面70A、あるいは基板P表面に気泡が付着していても、その気泡を液体の流れの勢いで除去することができる。そして、気泡(気体部分)を除去した後、基板Pを露光するときは最適な液体供給量で液浸領域AR2を形成することができる。
同様に、基板Pを露光する前の排気口62を介した吸引力(単位時間あたりの液体吸引量)と、基板Pを露光中の排気口62を介した吸引力とを互いに異なる値に設定してもよい。例えば、基板Pを露光する前の排気口62を介した吸引力を、基板Pを露光中の吸引力よりも強くすることで、光学素子2や第1ノズル部材70の液体接触面に付着している気泡、基板P表面に付着している気泡、あるいは液浸領域AR2の液体中を浮遊している気泡(気体部分)を確実に吸引回収、除去することができる。そして、基板Pを露光するときは、最適な吸引力で排気口62を介した吸引動作を行うことにより、吸引動作に伴う振動の発生を抑えた状態で、排気口62より液体LQ及び液体LQ中の気泡を回収、除去することができる。
なお、上述したように、排気機構60に、液体供給機構10から供給された液体LQに更に液体LQを追加する機能、及び液体LQの一部を回収する機能を持たせておき、排気口62を介して液体LQの追加及び一部回収を行うことで、液体供給機構10から供給された液体LQの圧力を調整することができる。この場合、例えば第1ノズル部材70の下面70Aの一部など、液浸領域AR2の液体LQに接触する部分に圧力センサを設けておき、基板Pを液浸露光中、液浸領域AR2の液体LQの圧力を圧力センサで常時モニタしておく。そして、制御装置CONTは、基板Pの液浸露光中に、圧力センサの検出結果に基づいて、液体供給機構10から基板P上に供給された液体LQの圧力を排気機構60を使って調整するようにしてもよい。これにより、液体LQが基板Pに及ぼす力が低減される。
なお、上述した実施形態においては、液体LQの液浸領域AR2を基板P上に形成する場合について説明したが、基板ステージPST上に、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような基板アライメント系によって計測される基準マーク、及び特開平7−176468号公報に開示されているようなマスクアライメント系によって計測される基準マークを備えた基準部材を配置し、その基準部材上に液体LQの液浸領域AR2を形成する構成が考えられる。そして、その基準部材上の液浸領域AR2の液体LQを介して各種計測処理を行う構成が考えられる。そのような場合においても、本実施形態に係る露光装置EXによれば、基準部材に及ぼす力を抑制した状態で精度良く計測処理を行うことができる。同様に、基板ステージPST上に、光学センサとして、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ、特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ、特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)を設ける構成が考えられ、それら光学センサ上に液体LQの液浸領域AR2を形成し、その液体LQを介して各種計測処理を行う構成が考えられる。その場合においても、本実施形態に係る露光装置EXによれば、光学センサに及ぼす力を抑制した状態で精度良く計測処理を行うことができる。
ところで、上述したように、第2ノズル部材80は、基板ステージPST(あるいは基板P)に対して第1ノズル部材70よりも近くに設けられている。こうすることにより、例えば基板ステージPSTのZ軸方向に関する位置制御が不能となるなど何らかの原因で、基板ステージPSTと投影光学系PL及びノズル部材70、80との位置関係に異常が生じた場合でも、第1ノズル部材70及び投影光学系PLと基板ステージPSTとの衝突を防止することができる。
図8は、基板ステージPSTに支持された基板Pと第1ノズル部材70及び第2ノズル部材80との位置関係を説明するための模式図である。図8(a)に示すように、第2ノズル部材80の下面80Aと基板Pとの距離Hは、第1ノズル部材70の下面70Aと基板Pとの距離WDよりも小さく、第2ノズル部材80は基板Pに対して第1ノズル部材70よりも近くに設けられている。その場合において、例えば基板Pを支持する基板ステージPSTの位置制御が不能となって、図8(b)に示すように基板Pが上昇した場合、基板Pは第2ノズル部材80に当たるが、投影光学系PLや第1ノズル部材70には当たらない。基板P(基板ステージPST)が投影光学系PLの光学素子2に当たると、光学素子2を損傷したり、投影光学系PL全体を揺らして投影光学系PLを構成する光学素子を変位させ、投影光学系PLの光学特性を変化させてしまう等の不都合が生じる。また、基板P(基板ステージPST)が、第1ノズル部材70に当たると、その第1ノズル部材70の下面70Aを損傷したり、第1ノズル部材70の位置を変動させてしまう等の不都合が生じる。第1ノズル部材70の下面70Aには、液浸領域AR2を形成するための供給口12及び第1回収口22が形成されており、その第1ノズル部材70の下面70Aが損傷すると、液浸領域AR2を円滑に形成できなくなる可能性がある。また、第1ノズル部材70の位置が変動すると、供給口12による液体供給位置及び第1回収口22による液体回収位置が変動したり、第1ノズル部材70の内側面70Tと光学素子2の側面2Tとが当たって光学素子2の位置が変動する等の不都合が生じる。また、第1ノズル部材70は、フォーカス・レベリング検出系120の一部を構成する第1光学部材123及び第2光学部材124を保持しているため、その第1ノズル部材70の位置が変動すると、フォーカス・レベリング検出系120の計測精度が劣化する。
本実施形態においては、第2ノズル部材80を、基板ステージPST(基板P)に対して第1ノズル部材70及び投影光学系PLよりも近くに設けることで、基板ステージPST(基板P)と第1ノズル部材70及び投影光学系PLとの衝突を回避しており、こうすることにより、上記不都合の発生を防止することができる。また、第2ノズル部材80とノズル保持機構90との間には、弾性体84、85が設けられているが、この弾性体84、85は、基板ステージPST(基板P)が第2ノズル部材80に衝突した際の衝撃を吸収する緩衝機構としての機能を有している。したがって、基板ステージPST(基板P)が第2ノズル部材80に衝突した際にも、弾性体84、85が衝撃を吸収することで、ノズル保持機構90及びそれを支持する下側段部8(メインコラム1)を大きく振動させることがない。したがって、下側段部8に鏡筒定盤5を介して支持されている投影光学系PLを大きく振動させることもない。
図9は、本発明のノズル保持機構90の別の実施形態を示す図である。図9に示す実施形態の特徴的な部分は、第1、第2ノズル部材70、80を保持するノズル保持機構90のノズルホルダ92は、鏡筒定盤5にフレーム52’を介して支持されている点にある。
図9に示すフレーム52’はその上部に鍔部52Tを有しており、鍔部52Tは鏡筒定盤5上に設置されている。投影光学系PLの鏡筒PKのフランジ部PFは、支持部材52Kを介してフレーム52’の鍔部52T上にキネマティック支持されている。そして、フレーム52’の下部にノズル保持機構90のノズルホルダ92が固定されている。このように、第1、第2ノズル部材70、80を保持するノズル保持機構90は、投影光学系PLを支持するための鏡筒定盤5に支持された構成であってもよい。
また、第1ノズル部材70において、液体LQの供給口12及び回収口22を有する部分と第1、第2光学部材123、124とを分離して支持するように構成してもよい。図10は、第1、第2光学部材123、124と第1ノズル部材70とを分離し、第1、第2光学部材123、124はノズルホルダ92に固定し、第1ノズル部材70はノズルホルダ92に対して柔らかく(弾性的に)支持する構成の一例を示す概略図である。なお、図10では、説明を分かり易くするために、第2ノズル部材80を図示せずに省略してある。図10に示すように、第1ノズル部材70は、接続部材301A、301Bによってノズルホルダ92に対してZ軸方向に支持され、接続部材301Cによってノズルホルダ92に対してY軸方向(水平方向)に支持されている。接続部材301A〜301Cは、比較的弱いバネ、ゴム、又はベローズ等の弾性部材を含む構成となっている。また、接続部材201A〜201Cは、ダンパ等の粘性特性を有する部材を備えていてもよい。第1ノズル部材70の下面は、基板ステージPST(あるいは基板P)に対して、第1、第2光学部材123、124よりも近くに設けられている。
先に説明した第2ノズル部材80における弾性体84、85と同様、接続部材301A〜301Cは、防振機構として機能するので、第1ノズル部材70とノズルホルダ92とは、振動的に分離されている。したがって、第1ノズル部材70で発生した振動をノズルホルダ92に伝達しないように減衰させることができる。その結果、第1ノズル部材70で発生した振動が、第1、第2光学部材123、124や投影光学系PLに伝達するのを抑制できる。これら接続部材301A〜301Cは、パッシブ型の防振機構として高周波域の振動を減衰させることができる。また、第2ノズル部材80の接続機構89と同様、接続部材301A〜301Cにアクチュエータ等を付加してアクティブ型の防振機構を構成し、低周波域の振動を減衰させるようにしてもよい。
以上のような構成により、仮に第1ノズル部材70と基板ステージPST(基板P)とが衝突したとしても(前述の第2ノズル部材80による第1ノズル部材70の衝突回避動作が機能しなかった場合)、第1ノズル部材70は、接続部材301A〜301Cが有する弾性作用によって衝突後の退避的な動作(例えばZ軸方向への移動)を行うことができる。そのため、衝突時の衝撃を吸収することができ、第1ノズル部材70及びこれを支持するノズルホルダ92を大きく振動させることがない。また、このとき、第1、第2光学部材123、124や光学素子2は、第1ノズル部材70よりも先に基板ステージPST(基板P)には衝突しない。これにより、衝突による投影光学系PLや第1、第2光学部材123、124への影響を抑制することができる。
基板ステージPSTの移動速度を速くして露光装置EXのスループットを向上させる場合、液浸領域AR2を所定の状態に維持するためには、ノズル部材下面と基板PとのZ軸方向の距離(ワーキングディスタンス)はできるだけ小さい方が好ましい。しかし、ワーキングディスタンスを小さくすると、ノズル部材と基板ステージPST(基板P)とが衝突(接触)する可能性が高まるので、衝突した場合にその影響を最小限に抑える構成が必要となる。図10のような構成を採ることで、ワーキングディスタンスを小さくしつつ、衝突時の影響を抑えることが可能となる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
なお、液体供給機構10は、液体の温度調整機構(図示せず)を備えており、露光装置EXが収容されるチャンバ内の温度と略同じ温度(23℃)の液体LQが基板P上に供給されるようになっている。この温度調整機構は、前記チャンバ内のスペースが十分でない場合、供給口12を備えた第1ノズル部材70から離れた位置に設置される。この場合、液体LQの温度が、液体LQが温度調整機構から第1ノズル部材70までの流路(供給管17)を進む途中で変化しないように、流路(供給管17)を周囲の空間から断熱しておくことが好ましい。前記チャンバ内が所定の温度に設定されていても、例えば局所的な発熱が起こり、その近傍に液体の流路(供給管17)が配置されているような場合には、チャンバの温度調整機構がチャンバ内の温度を設定値に戻すまでの間に、前記発熱の影響を受けて、液体LQの温度が調整値から変化してしまう可能性がある。そこで、流路(供給管17)をベローズ内部に収容するとともに、そのベローズ内部を真空状態にして、流路(供給管17)が外部から熱の影響を受けないようにしてもよい。また、供給管17の周囲を断熱材で覆うことで供給管17内部を流れる液体LQが熱の影響を受けないようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなる。そのため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイボール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイボール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイボール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイボールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。