JP2010163988A - 内燃機関の排気構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関1の排気の流れを制御可能とする排気構造において、比較的簡単な構成で、排気の分散作用の向上と圧力損失の低減とを高次元で両立可能とする。
【解決手段】排気攪拌装置20は、排気通路7内で円周方向に並べて配置されかつ排気通路7の中心線P2に対して円周方向に捩じられた形状の多数の捩れ円錐パイプ22を有する。多数の捩れ円錐パイプ22内を排気が通過すると、排気が旋回されて流出される。また、多数の捩れ円錐パイプ22で囲まれる内径側空間から排出される排気流と、前記旋回流とが衝突することによって、排気通路7の全域に分散されるので、排気が効率良く攪拌される。
【選択図】図2
【解決手段】排気攪拌装置20は、排気通路7内で円周方向に並べて配置されかつ排気通路7の中心線P2に対して円周方向に捩じられた形状の多数の捩れ円錐パイプ22を有する。多数の捩れ円錐パイプ22内を排気が通過すると、排気が旋回されて流出される。また、多数の捩れ円錐パイプ22で囲まれる内径側空間から排出される排気流と、前記旋回流とが衝突することによって、排気通路7の全域に分散されるので、排気が効率良く攪拌される。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関の排気を制御可能とする排気構造に関する。また、本発明は、内燃機関の排気通路に排気浄化装置や添加剤供給装置が設けられる排気構造に関する。
従来から、車両等に搭載される内燃機関において、排気を浄化するために、排気通路に触媒を設けている(例えば特許文献1,2参照。)。
特許文献1に係る従来例では、内燃機関の排気通路E1,E2に、触媒A2を設け、この触媒A2の排気導入口側に整流体Bを設けている。この整流体Bについては、この特許文献1の図2に示されているように、多数の中空細管1を円周方向に並べた構成になっている。
特許文献2に係る従来例では、内燃機関の排気通路に、触媒3,23を設け、この触媒3,23の排気導入側に整流体4,24を設けている。この整流体4,24としては、この特許文献2の図2および図9に示されているように、多数の円錐台形流路モジュール91を円周方向に並べた構成になっている。円錐台形流路モジュール91は、その小径側開口が排気流れ方向の上流側に配置されることによって排気流入口とされている。
ところで、内燃機関からの排気中には、窒素酸化物(NOx)等が含まれている。ここで、前記内燃機関とは、ディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンも含む。参考までに、いわゆる筒内直接噴射方式のガソリンエンジンの場合には、運転条件によって排気中にNOxが含まれる。
従来から、内燃機関からの排気中のNOxを減少させるために、内燃機関の排気通路に、還元剤供給装置と選択還元触媒とを設置することが知られている(例えば特許文献3,4参照。)。
選択還元触媒は、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させる性質を備えている。還元剤供給装置は、選択還元触媒の上流側に必要量の還元剤を供給する。還元剤供給装置により供給された還元剤を選択還元触媒上で排気ガス中のNOxと還元反応させることにより、NOxの排出濃度が低減される。
特許文献3に係る従来例では、図1に示されているように、内燃機関の排気通路1に、還元剤供給装置(尿素水溶液噴射装置)3,4,5と触媒コンバータ(NOx選択還元触媒)7とを設けているとともに、還元剤供給装置3,4,5と触媒コンバータ7との間に、排気流れ方向上流側から順に、混合器2とディフューザ6とを設けている。なお、還元剤供給装置3,4,5から供給された還元剤(尿素)は、触媒コンバータ7に一旦吸着し、吸着した尿素が加水分解することでアンモニアが生じる。このアンモニアが還元剤となって排気中のNOxが還元される。
この特許文献3に係る従来例において、混合器2は、排気が貫流する多数の通路9を有し、また、ディフューザ6は、排気が貫流する多数の通路21を有する。これら混合器2の通路9とディフューザ6の通路21は、多数の板金を層状に組み合わせることで構成されている。
ディフューザ6の通路21は、段落番号0028に記載されているように、排気流れ方向に横断面積を増大するようになっている。また、ディフューザ6の通路21を形成する板金19,20は、図6に示されているように、螺旋形状に形成されている。
特許文献4に係る従来例では、図1に示されているように、内燃機関1の排気通路11に、燃料ノズル(還元剤供給装置)14とNOx触媒(NOx吸蔵還元触媒)15とを設けているとともに、燃料ノズル14の上流に攪拌装置13を設けている。NOx触媒15は、主として酸素(O2)の存在する酸化雰囲気でNOxを吸蔵し、主としてHC,COの存在する還元雰囲気中でNOxを放出、還元する機能を有する。また、NOx触媒15に吸蔵されたNOxを効率良くパージするために、燃料ノズル14から燃料を供給するようにしている。
この特許文献4に係る従来例において、攪拌装置13は、図5に示されているように、2つのベーン23,23で構成されており、このベーン23,23で排気を旋回させることにより、燃料ノズル14から供給される燃料を排気と混合するものである。ベーン23は、鋼板を螺旋形状に湾曲したものである。
上記特許文献1〜4に係る従来例では、排気を拡散させて触媒に導入することが可能であるものの、さらなる改良の余地がある。
また、特許文献3に係る従来例では、混合器2の通路9を形成する多数の板金を層状に組み合わせるようにしているが、そのような組み合わせの作業は手間がかかり、製造コストが嵩むことが懸念される。また、ディフューザ6の通路21を形成する板金19,20を螺旋形状に形成しているが、この場合も、製造に手間がかかり、製造コストが嵩むことが懸念される。
また、特許文献4に係る従来例では、その段落番号0030に記載されているように、攪拌装置13としてのベーン23の形状を精密に特定する必要があり、その製造や加工が面倒で手間がかかり、製造コストが嵩むことが懸念される。
このような事情に鑑み、本発明は、内燃機関の排気の流れを制御可能とする排気構造において、比較的簡単な構成で、排気の分散作用の向上と圧力損失の低減とを高次元で両立可能とすることを目的としている。
本発明に係る内燃機関の排気構造は、内燃機関の排気通路に排気の流れを攪拌する排気攪拌装置が設けられ、この排気攪拌装置は、排気通路内で円周方向に並べて配置されかつ前記排気通路の中心線に対して円周方向に捩じられた形状の多数の捩れ円錐パイプを有する、ことを特徴としている。
この構成によれば、内燃機関の運転に伴い排気通路に排出される排気の流れが排気攪拌装置により旋回されるようになる。これにより、排気の旋回流によって排気が排気通路の径方向に広がるようになる。
特に、捩れ円錐パイプの小径側開口を排気流れ方向の下流側に配置して排気流出口にすると、排気が捩れ円錐パイプを通過することで加速されて流出されるようになり、旋回流がより遠くまで持続するようになる。
一方、捩れ円錐パイプの大径側開口を排気流れ方向の下流側に配置して排気流出口にすると、各捩れ円錐パイプの大径側開口から排気が流出された直後に排気がそれぞれ拡散されつつ、旋回されるようになる。そのために、排気の旋回流が排気通路の径方向に広がりやすくなる。
しかも、捩れ円錐パイプが、排気の流れに直交する面を備えていないので、排気の圧力損失が小さなものとなり、内燃機関の背圧が増大することを抑制または防止することが可能になる。
このように、排気攪拌装置について、多数の捩れ円錐パイプを備える構成とすることによって、排気の分散作用の向上と圧力損失の低減とを高次元で両立することが可能になる。
好ましくは、前記多数の捩れ円錐パイプは、それらの内径側に排気を貫流させるための空間を作るように配置される。
この構成によれば、内径側空間を直線的に通過する排気貫流と、前記各捩れ円錐パイプを通過して生起される排気旋回流とが衝突することにより、排気が排気通路の広域に分散されるようになる。
好ましくは、前記排気攪拌装置は、前記多数の捩れ円錐パイプを覆った状態で固定するカバーをさらに有し、この排気攪拌装置を前記排気通路に設置する際に、前記カバーが前記排気通路の途中に、当該カバーの中心線と排気通路の中心線とを一致させるようにするとともに連ねるような状態で接続される。
このようなユニット化された排気攪拌装置であれば、排気通路に対して比較的容易に設置することが可能になり、設置コストを安く抑えるうえで有利となる。
好ましくは、前記排気通路には、排気浄化装置が設けられるとともに、この排気浄化装置の上流側に浄化作用を高めるための添加剤を供給する添加剤供給装置が設けられ、前記排気攪拌装置は、前記排気通路において前記添加剤供給装置の上流側または下流側に設置される。
この構成によれば、内燃機関の運転に伴い排気通路に排出される排気の流れが排気攪拌装置により旋回されることになって排気が排気通路の径方向に広がるようになるので、この排気が、排気通路内に供給される添加剤を排気通路の径方向広域に分散させるように作用する。
これにより、添加剤が排気浄化装置の流入口の径方向全域から流入しやすくなり、そのために、排気浄化装置の径方向ならびに長手方向における広範囲に添加剤が付着しやすくなる。これにより、排気浄化装置による浄化作用が向上するようになる。
ところで、参考までに、前記排気浄化装置は、例えばNOx選択還元触媒を含む構成とされ、前記添加剤供給装置は、例えば還元剤供給装置を含む構成とされる。
NOx選択還元触媒は、周知のように酸素共存下でも選択的に排気中のNOxを還元剤(添加剤)と反応させてNOxから酸素(O2)を取り除き窒素(N)に戻す還元作用を行う性質を有している。このNOx選択還元触媒は、一般的に、SCR触媒と呼ばれるもので、SCRは、Selective Catalytic Reductionの略である。
還元剤供給装置は、NOx選択還元触媒の排気流入側に還元剤(または添加剤)としての尿素水溶液を供給するものである。この尿素水溶液は、排気通路内の排気熱により加水分解されてアンモニア(NH3)を容易に発生する。この発生したアンモニアは、NOx選択還元触媒において排気中のNOxと反応して、水(H2O)と無害な窒素(N)とに分解される。
この場合、前記排気の旋回流が還元剤(尿素水溶液)を広域に拡散させてNOx選択還元触媒内に流入させるように作用し、それによってNOx選択還元触媒の径方向ならびに長手方向における広範囲に付着するようになる。これにより、NOx選択還元触媒による反応が広範囲で生起されるようになるから、浄化作用が高まるようになり、ひいてはNOx選択還元触媒からのNOx通過量や還元剤通過量を低減するうえで有利となる。
なお、排気攪拌装置における多数の円錐パイプの配置関係については、以下のように特定することが可能である。
まず、前記多数の捩れ円錐パイプは、それらの大径側開口が排気流れ方向の上流側に配置される。この場合には、捩れ円錐パイプの小径側開口が排気流出口となるので、排気が捩れ円錐パイプを通過することで加速されて流出されるようになり、旋回流による排気分散作用が、より遠くまで持続するようになる。
また、前記多数の捩れ円錐パイプは、それらの小径側開口が排気流れ方向の上流側に配置される。この場合には、各捩れ円錐パイプの大径側開口が排気流出口となるので、当該大径側開口からの排気の圧力が流出直後に解放されることになって排気が排気通路内で径方向に拡散されるようになる。
さらに、前記多数の捩れ円錐パイプのうちの一部は、それらの大径側開口が排気流れ方向の上流側に配置され、また、前記多数の捩れ円錐パイプのうちの残りは、それらの小径側開口が排気流れ方向の上流側に配置される。この場合には、大径側開口を排気流出口とした捩れ円錐パイプは、その大径側開口からの排気の圧力が流出直後に解放されることになって排気が排気通路内で径方向に拡散されるようになる。その一方で、小径側開口を排気流出口とした捩れ円錐パイプは、その小径側開口からの排気が加速されて旋回されるようになる。これらの相乗作用によって、排気が効率良く攪拌されることになる。
本発明によれば、内燃機関の排気の流れを制御可能とする排気構造において、比較的簡単な構成で、排気の分散作用の向上と圧力損失の低減とを高次元で両立することが可能になる。
また、本発明は、排気通路に排気浄化装置が設けられるとともに、この排気浄化装置の上流側に浄化作用を高めるための添加剤を供給する添加剤供給装置が設けられる構成において、排気攪拌装置により旋回分散される排気が、添加物を広域に拡散させて排気浄化装置の径方向ならびに長手方向における広範囲に付着させるように作用するから、浄化効率を高めることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図4に本発明の一実施形態を示している。ここでまず、図5を参照して、本発明に係る内燃機関の排気構造を適用した内燃機関の概略構成を説明する。
図5に示す内燃機関1は、例えば筒内直接噴射型の直列四気筒ディーゼルエンジンとされている。この内燃機関1には、インテークマニホールド2、エキゾーストマニホールド3、ターボチャージャ(過給機)4、インタークーラ5、EGR装置6等が装備されている。
この内燃機関1は、インテークマニホールド2を含む吸気系から吸入される空気が燃焼室(図示省略)に供給されるとともに、燃焼室に燃料噴射弁(図示省略)から燃料を直接噴射し、適宜のタイミングで燃焼させるようになっており、燃焼後の排気がエキゾーストマニホールド3およびマフラー7を含む排気通路から排出される。
エキゾーストマニホールド3に連結されるマフラー7には、排気浄化装置が設けられている。
この実施形態での排気浄化装置は、主として、酸化触媒8、パティキュレートフィルタ9、NOx選択還元触媒10、還元剤供給装置11を含んで構成されている。マフラー7において、排気流れ方向上流側から順に、酸化触媒8と、パティキュレートフィルタ9と、NOx選択還元触媒10とが配置されている。
酸化触媒8は、排気中に含まれる炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)を酸化して浄化する。パティキュレートフィルタ9は、排気通路としてのマフラー7を通過する排気中に含まれるPMを主として捕集する。PMは、Particulate Matterの略であり、カーボンを主成分とする粒子状物質のことである。
このパティキュレートフィルタ9としては、例えば一般的に公知のDPF(Diesel Particulate Filter)、DPR(Diesel Particulate active Reduction system)あるいはDPNR(Diesel Particulate−NOx Reduction system)等とすることが可能である。
なお、DPFは、多孔質部材を設けた構成とされている。また、DPRは、例えば多孔質セラミックからなるハニカム構造体に酸化触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とするもの)を担持させた構成である。
DPNRは、前記DPRの機能に加えて窒素酸化物(NOx)を除去することが可能なものであり、例えば多孔質セラミック構造体に酸化触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とするもの)とNOx吸蔵還元触媒とを担持させたものである。このDPNRは、排気ガス中のPMを多孔質の壁を通過する際に捕集され、また、排気ガスの空燃比がリーンの場合、排気ガス中のNOxはNOx吸蔵還元触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると吸蔵したNOxは還元・放出される。
また、パティキュレートフィルタ9の上流側に酸化触媒8を設置しているのは、パティキュレートフィルタ9を効率良く再生可能とするためである。つまり、酸化触媒8の上流側で排気中に燃料(HC)を添加すると、この燃料が酸化触媒8で酸化反応されることになり、その反応熱で昇温した排気でパティキュレートフィルタ9の触媒床温度が昇温されるようになり、これによってパティキュレートフィルタ9に蓄積したPMが燃焼除去されるのである。
NOx選択還元触媒10は、周知のように酸素共存下でも選択的に排気中のNOxを還元剤(添加剤)と反応させてNOxから酸素(O2)を取り除き窒素(N)に戻す還元作用を行う性質を有している。このNOx選択還元触媒10は、SCR触媒と呼ばれるもので、SCRは、Selective Catalytic Reductionの略である。
還元剤供給装置11は、NOx選択還元触媒10の排気流入側に還元剤(または添加剤)としての尿素水溶液を供給するものであり、噴射ノズル12と、尿素水溶液を貯留するタンク13と、タンク13から尿素水溶液を噴射ノズル12へ供給するためのポンプ14とを含んでいる。
噴射ノズル12は、マフラー7の周壁部に斜め姿勢で取り付けられていて、この噴射ノズル12から尿素水溶液をマフラー7内の排気流れ方向に対し斜め下流側へ向けて噴射するようになっている。
この噴射ノズル12からマフラー7内に噴射供給された尿素水溶液は、マフラー7内の排気熱により加水分解されてアンモニア(NH3)を容易に発生する。この発生したアンモニアは、NOx選択還元触媒10において排気中のNOxと反応して、水(H2O)と無害な窒素(N)とに分解される。
なお、還元剤供給装置11により供給する還元剤(添加剤)としては、尿素水溶液の他に、アンモニア水溶液や炭化水素水溶液等とすることも可能である。
なお、マフラー7においてパティキュレートフィルタ9と噴射ノズル12との間、およびNOx選択還元触媒10の下流側には、それぞれNOxセンサ15,16が設けられている。上流側のNOxセンサ15を、前段NOxセンサと呼び、また、下流側のNOxセンサ16を後段NOxセンサと呼ぶことにする。
前段NOxセンサ15は、NOx選択還元触媒10に流入する排気中のNOx濃度に対応する電気信号を出力するものである。この前段NOxセンサ15からの出力は、図示していない電子制御装置(ECU)により、NOx選択還元触媒10によるNOx分解作用を適正とするように、還元剤供給装置11による尿素水溶液の噴射供給量をフィードフォワード制御するのに利用される。
後段NOxセンサ16は、NOx選択還元触媒10を通過した排気中のNOx濃度に対応する電気信号を出力するものである。この後段NOxセンサ16からの出力は、図示していない電子制御装置(ECU)により、NOx選択還元触媒10によるNOx分解作用を補正するために、還元剤供給装置11による尿素水溶液の噴射供給量をフィードバック制御するのに利用される。
次に、図1から図4を参照して、この実施形態において本発明の特徴を適用した部分を詳細に説明する。
この実施形態では、排気通路であるマフラー7においてパティキュレートフィルタ9と前段NOxセンサ15との間の領域に、排気攪拌装置20が設けられている。
排気攪拌装置20は、排気と噴射ノズル12から噴射された尿素水溶液とを効率良くかつ万遍なく混合させるためのものである。
具体的に、排気攪拌装置20は、カバー21内に多数の捩れ円錐パイプ22・・・を円周方向に並べて配置した状態で固定した構成になっている。
カバー21は、中空の円錐台形状とされている。このカバー21は、その中心線P1がマフラー7の中心線P2と一致するようにかつ連なるような状態でマフラー7に接続されている。
なお、カバー21の大径側開口が排気流れ方向の上流側に配置されることによって排気流入側とされており、また、カバー21の小径側開口が排気流れ方向の下流側に配置されることによって排気流出側とされている。このようなカバー21をマフラー7に連続的に接続するために、マフラー7においてパティキュレートフィルタ9とNOx選択還元触媒10との間の領域については、大小のパイプを組み合わせた構造にしている。
捩れ円錐パイプ22は、カバー21の中心線P1あるいはマフラー7の中心線P2に対して円周方向に捩じられた形状になっている。その捩れの度合いは、任意である。また、多数の捩れ円錐パイプ22は、それらの内径側に内径側に排気を貫流させるための空間23を作るように配置されている。この空間23は、カバー21の中心線P1に沿って貫通している。
次に、排気攪拌装置20の作用について説明する。
つまり、内燃機関1の運転に伴い内燃機関1からエキゾーストマニホールド3を経てマフラー7へ排出される排気は、酸化触媒8、パティキュレートフィルタ9ならびにNOx選択還元触媒10により浄化される。
ここで、パティキュレートフィルタ9からNOx選択還元触媒10に排気が流入する際には、その排気に対し、還元剤供給装置11により噴射供給される還元剤としての尿素水溶液の粒子が混合される。このように尿素水溶液の粒子が混合された排気がNOx選択還元触媒10に流入することで、NOx選択還元触媒10による排気中のNOxの分解作用が高められる。
このとき、NOx選択還元触媒10の上流側に設置してある排気攪拌装置20に排気が流入すると、排気が多数の捩れ円錐パイプ22内を通過することにより旋回されて流出される。さらに、カバー21において多数の捩れ円錐パイプ22で囲まれる内径側空間23からもカバー21の中心線P1に沿って直線的に貫流される。これらの排気旋回流と排気貫流とが衝突することによって、排気がマフラー7の広域に分散される。
そして、還元剤供給装置11により尿素水溶液は、前記のように排気攪拌装置20によってマフラー7の広域に分散された排気に対して噴射供給されるので、マフラー7内の排気全体に尿素水溶液の粒子が拡散されるようになる。つまり、尿素水溶液の粒子がマフラー7内の広域に万遍なく行き届くようになる。
このように排気全体に拡散された尿素水溶液の粒子がNOx選択還元触媒10内に流入することになるので、NOx選択還元触媒10の内部における前記粒子の吸着分布が大きく広がるようになる。
しかも、捩れ円錐パイプ22の小径側開口を排気流れ方向の下流側に配置しているので、排気が捩れ円錐パイプ22を通過することで加速されて流出されるようになり、旋回流による排気分散作用が、より遠くまで持続するようになる。
このようなことから、NOx選択還元触媒10によるNOxの分解作用が高められることになり、NOx選択還元触媒10を通過する排気中のNOx濃度が低減されるようになるとともに、アンモニアが排出されるアンモニアスリップ量も低減されるようになる。このことは、後段NOxセンサ16の出力に基づいて尿素水溶液の噴射量をフィードバック制御する際の補正量を小さくするうえで有利となる。
ところで、排気攪拌装置20を通過する排気のうち、カバー21の中心寄りの内径側空間23を通過する排気貫流については圧力損失がほとんど発生しないが、多数の捩れ円錐パイプ22内を通過する排気旋回流については、捩れ円錐パイプ22で排気進行方向が曲げられることに伴い圧力損失が多少発生すると考えられる。
しかしながら、捩れ円錐パイプ22が、排気の流れに直交する面を備えていないこと、また、捩れ円錐パイプ22の小径側開口を排気流出口にしていることに伴う排気加速作用が得られることとの相乗作用によって、圧力損失が軽減される。したがって、排気攪拌装置13を設けたことによる排気の圧力損失の増大を抑制または防止することが可能になり、内燃機関1の背圧上昇を抑制または防止することが可能になる。
このように、排気攪拌装置20について、多数の捩れ円錐パイプ22を備える構成とすることによって、排気の分散作用の向上と圧力損失の低減とを高次元で両立することが可能になる。
しかも、上述したように排気攪拌装置20は、カバー21内に多数の捩れ円錐パイプ22を固定してユニット化しているから、マフラー7の任意位置に対して容易に設置することが可能になる等、設置コストを安く抑えるうえで有利となる。
次に、排気攪拌装置20の設置場所は、任意であるが、前記の他に、例えば図6および図7に示すような場所に変更することが可能である。
まず、図6に示す例では、排気攪拌装置20を、排気通路としてのマフラー7において還元剤供給装置11の噴射ノズル12とNOx選択還元触媒10との間の領域に設置している。
一般的に、NOx選択還元触媒10の排気流入側には、マフラー7との接続性を高めるために、排気流れ方向の上流側から下流側へ向けて漸次大径とされるディフューザ10aが設けられている。また、NOx選択還元触媒10の排気流出側には、マフラー7との接続性を高めるために、排気流れ方向の上流側から下流側へ向けて漸次小径とされるコンフューザ10bが設けられている。
ここでは、前記のディフューザ10aの位置に、排気攪拌装置20を設置している。このようにすれば、図1から図4に示す実施形態のように、マフラー7を大小のパイプの組み合わせとする必要がない。
但し、この例で用いる排気攪拌装置20は、図1から図4に示す実施形態と全く同じ構成にしているものの、その設置の向きが逆向きにされている。
この例の場合、排気攪拌装置20における各捩れ円錐パイプ22の大径側開口が排気流れ方向の下流側に位置するために、還元剤供給装置11により噴射された尿素水溶液が各捩れ円錐パイプ22の小径側開口から流入することになる。
そして、各捩れ円錐パイプ22の大径側開口から尿素水溶液が混合された排気が流出されると、その流出直後に排気圧力が解放されることによって排気中において尿素水溶液の粒子が径方向に拡散されつつ、旋回されるようになって、効率良く攪拌される。
このように排気全域に攪拌された尿素水溶液の粒子がNOx選択還元触媒10内に流入するようになるので、NOx選択還元触媒10の内部における前記粒子の吸着分布が可及的に大きく広がるようになる。これにより、NOx選択還元触媒10による分解作用が高められることになり、NOx選択還元触媒10を通過する排気中のNOx濃度が低減されるようになる。
また、図7に示す例では、排気攪拌装置20を、排気通路としてのマフラー7においてNOx選択還元触媒10と後段NOxセンサ16との間の領域に設置している。
一般的に、NOx選択還元触媒10の排気流入側には、マフラー7との接続性を高めるために、排気流れ方向の上流側から下流側へ向けて漸次大径とされるディフューザ10aが設けられている。また、NOx選択還元触媒10の排気流出側には、マフラー7との接続性を高めるために、排気流れ方向の上流側から下流側へ向けて漸次小径とされるコンフューザ10bが設けられている。
ここでは、前記のコンフューザ10bの位置に、排気攪拌装置20を設置している。このようにすれば、図1から図4に示す実施形態のように、マフラー7を大小のパイプの組み合わせとする必要がない。
この例で用いる排気攪拌装置20は、図1から図4に示す実施形態と全く同じ構成にしている。
この例の場合、NOx選択還元触媒10から流出する排気が、各捩れ円錐パイプ22の大径側開口から流入し、小径側開口から流出されることになる。この各捩れ円錐パイプ22内を通過する過程では、排気が加速されつつ、旋回されるようになる。
これにより、NOx選択還元触媒10を通過するNOxも排気中に万遍なく分散されるので、後段NOxセンサ16による検出出力の信頼性が向上する結果となる。したがって、この後段NOxセンサ16の検出出力を用いるフィードバック制御がより正確に行えるようになり、好ましい。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)上記各実施形態で例示した内燃機関1は、ターボチャージャ4およびEGR装置6を装備したものを例に挙げているが、それらのいずれか一方または両方を無くしたものであっても本発明を適用できる。
(2)上記各実施形態では、排気流れ方向の上流側から順に、酸化触媒8と、パティキュレートフィルタ9と、NOx選択還元触媒10とを配置した例を挙げているが、本発明は、これに限定されず、図示していないが、例えば排気流れ方向上流側から順に、NOx選択還元触媒10と、酸化触媒8と、パティキュレートフィルタ9とを配置することが可能である。
この場合も、排気攪拌装置20の設置場所は、NOx選択還元触媒10を基準として、図1、図6あるいは図7に示したように適宜に決定することができる。
(3)上記各実施形態に示した排気攪拌装置20は、例えば図8から図10に示すような構成とすることも可能である。
つまり、この例の排気攪拌装置20では、多数の捩れ円錐パイプ22のうちの半分が、それらの大径側開口を排気流れ方向の上流側に位置させるように配置され、また、残り半分が、それらの小径側開口を排気流れ方向の上流側に位置させるように配置されている。言い換えると、カバー21内の円周方向に多数の捩れ円錐パイプ22が円周方向交互に反対向きに配置されている。
そして、ここでの排気攪拌装置20においては、カバー21を図1から図4に示す実施形態で示したような円錐台形状とせずに円筒形にしている。さらに、多数の捩れ円錐パイプ22の内径側に、図1から図4に示す実施形態で示したような空間23の代わりに、ストレートな円筒パイプ24が取り付けられている。
この場合、前記したいろいろな実施形態と同様に、捩れ円錐パイプ22により排気を旋回させる作用が得られる。その他に、大径側開口を排気流出口にした半数の捩れ円錐パイプ22は、その大径側開口からの排気の圧力が流出直後に解放されることになって排気がマフラー7内で径方向に拡散されるようになる。その一方で、小径側開口を排気流出口にした半数の捩れ円錐パイプ22は、その小径側開口からの排気が加速されて旋回されるようになる。これらの相乗作用によって、排気が効率良く攪拌されることになる。
(4)上記各実施形態に示した排気攪拌装置20は、例えば図11から図13に示すような構成とすることも可能である。
つまり、この例で示す排気攪拌装置20は、捩れていない形状の多数の円錐パイプ22Aが用いられている。そのうえで、上記(3)の例と同様に多数の円錐パイプ22Aのうちの半分が、それらの大径側開口を排気流れ方向の上流側に位置させるように配置され、また、残り半分が、それらの小径側開口を排気流れ方向の上流側に位置させるように配置されている。言い換えると、カバー21内の円周方向に多数の円錐パイプ22Aが円周方向交互に反対向きに配置されている。
そして、ここでの排気攪拌装置20においては、カバー21を図1から図4に示す実施形態で示したような円錐台形状とせずに円筒形にしている。さらに、多数の円錐パイプ22Aの内径側に、図1から図4に示す実施形態で示したような空間23の代わりに、ストレートな円筒パイプ24が取り付けられている。
この例の排気攪拌装置20では、上記各実施形態での排気旋回作用は得られない。しかし、大径側開口を排気流出口にした半数の円錐パイプ22Aは、その大径側開口からの排気の圧力が流出直後に解放されることになって排気がマフラー7内で径方向に拡散されるようになる。その一方で、小径側開口を排気流出口にした半数の捩れ円錐パイプ22Aは、その小径側開口からの排気が加速されて旋回されるようになる。これらの相乗作用によって、排気が効率良く攪拌されることになる。
1 内燃機関
2 インテークマニホールド
3 エキゾーストマニホールド(排気通路の一構成要素)
7 マフラー(排気通路の一構成要素)
8 酸化触媒
9 パティキュレートフィルタ
10 NOx選択還元触媒
11 還元剤供給装置
12 噴射ノズル
15 前段NOxセンサ
16 後段NOxセンサ
20 排気攪拌装置
21 カバー
22 捩れ円錐パイプ
23 内径側空間
P1 カバーの中心線
P2 マフラーの中心線
2 インテークマニホールド
3 エキゾーストマニホールド(排気通路の一構成要素)
7 マフラー(排気通路の一構成要素)
8 酸化触媒
9 パティキュレートフィルタ
10 NOx選択還元触媒
11 還元剤供給装置
12 噴射ノズル
15 前段NOxセンサ
16 後段NOxセンサ
20 排気攪拌装置
21 カバー
22 捩れ円錐パイプ
23 内径側空間
P1 カバーの中心線
P2 マフラーの中心線
Claims (6)
- 内燃機関の排気通路に排気の流れを攪拌する排気攪拌装置が設けられ、この排気攪拌装置は、排気通路内で円周方向に並べて配置されかつ前記排気通路の中心線に対して円周方向に捩じられた形状の多数の捩れ円錐パイプを有する、ことを特徴とする内燃機関の排気構造。
- 請求項1に記載の内燃機関の排気構造において、
前記多数の捩れ円錐パイプは、それらの内径側に排気を貫流させる空間を作るように配置される、ことを特徴とする内燃機関の排気構造。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の排気構造において、
前記排気攪拌装置は、前記多数の捩れ円錐パイプを覆った状態で固定するカバーをさらに有し、
この排気攪拌装置を前記排気通路に設置する際に、前記カバーが前記排気通路の途中に、当該カバーの中心線と排気通路の中心線とを一致させるようにするとともに連ねるような状態で接続される、ことを特徴とする内燃機関の排気構造。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気構造において、
前記排気通路には、排気浄化装置が設けられるとともに、この排気浄化装置の上流側に浄化作用を高めるための添加剤を供給する添加剤供給装置が設けられ、
前記排気攪拌装置は、前記排気通路において前記添加剤供給装置の上流側または下流側に設置される、ことを特徴とする内燃機関の排気構造。 - 請求項1から4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気構造において、
前記多数の捩れ円錐パイプは、それらの大径側開口が排気流れ方向の上流側に配置される、ことを特徴とする内燃機関の排気構造。 - 請求項1から4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気構造において、
前記多数の捩れ円錐パイプのうちの一部は、その大径側開口が排気流れ方向の上流側に配置され、また、前記多数の捩れ円錐パイプのうちの残りは、その小径側開口が排気流れ方向の上流側に配置される、ことを特徴とする内燃機関の排気構造。
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JP2009007388A JP2010163988A (ja) | 2009-01-16 | 2009-01-16 | 内燃機関の排気構造 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102720602A (zh) * | 2012-06-26 | 2012-10-10 | 郭荣民 | 一种新型油管及其应用 |
JP2013514487A (ja) * | 2009-12-16 | 2013-04-25 | エフピーティ モトーレンフォアシュンク アクチェンゲゼルシャフト | 尿素ベースの還元剤の排気ガス流への投与方法 |
KR101291258B1 (ko) * | 2011-04-13 | 2013-07-30 | 삼성중공업 주식회사 | 배기관 배압손실 저감 장치 |
JP2014105664A (ja) * | 2012-11-28 | 2014-06-09 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の排気浄化システム |
JP2016203032A (ja) * | 2015-04-15 | 2016-12-08 | 三菱日立パワーシステムズインダストリー株式会社 | 流体の混合装置及び該流体の混合装置を備えた脱硝装置 |
-
2009
- 2009-01-16 JP JP2009007388A patent/JP2010163988A/ja active Pending
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