JP2010159489A - 7000系アルミニウム合金材の成形加工方法及び該7000系アルミニウム合金材の成形加工方法により成形される成形加工品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Zn:2.0質量%(以下、「%」という。)以上、10%以下、Mg:0.10%以上、5.0%以下、Cu:5.0%以下、Mn:1.5%以下、Si:1.0%以下、Fe:1.0%以下、Cr:0.50%以下、Zr:0.50%以下、Ti:0.30%以下を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる7000系アルミニウム合金材に対して、溶体化処理を行う工程と、金型内で成形加工を行う工程と、該金型で250℃以下まで焼入れ工程を含む7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。
【選択図】なし
Description
なお、ここで、成形加工とは、プレス成形、ハイドロフォーミング(液圧成形)、バルジ成形、超塑性成形(熱間ブロー成形)等の、金型によって三次元に加工を行うもの全てを意味する。
Zn:2.0質量%(以下、「%」という。)以上、10%以下、Mg:0.10%以上、5.0%以下、Cu:5.0%以下、Mn:1.5%以下、Si:1.0%以下、Fe:1.0%以下、Cr:0.50%以下、Zr:0.50%以下、Ti:0.30%以下を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる7000系アルミニウム合金材に対して、
溶体化処理を行う工程と、
金型内で成形加工を行う工程と、
該金型で室温まで急速に冷却する焼入れ工程を含むものである。
なお、本願発明において、成分範囲を規定している元素のうち、Cu以外は、「以下」のみの表記であるが、これは、0も含むものである。
また、後述の第2、第3の特徴と共通するのだが、250℃超えの状態で焼入れを完了してしまうと、焼入れ不十分となり、成形加工性が劣化するとともにその後の自然、人工時効で十分な強度を得ることが困難となる。
第1の特徴の化学成分を有する7000系アルミニウム合金材に対して、
溶体化処理を行う工程、250℃以下まで焼入れを行う工程、焼入れ後、120時間以内に金型内で成形加工を行う工程を含むものである。
ここで、焼入れ後、成形加工までの時間が120時間を超えてしまうと、自然時効により強度が高くなりすぎ、成形加工が困難となる。そのため、12時間以内が望ましく、さらには2時間以内がより望ましい。
第1の特徴の化学成分を有する7000系アルミニウム合金材に対して、
溶体化処理を行う工程、加熱した金型内で成形加工を行う工程、該金型から離型して250℃以下まで焼入れを行う工程を含むものである。
この場合の焼入れは、該成形加工で用いる金型とは異なる金型で行う方法でもよいし、エアブローなどの強制空冷やミスト冷却でもよく、焼入れ効果が得られるあらゆる手段が好適に採用される。
また、溶体化処理時間は、溶体化の効果が得られれば、溶体化処理温度に応じて適宜設定できる。例えば融点近くであれば1秒であっても溶体化の効果は得られるが、敢えて溶体化処理温度範囲全てを満足する時間を設定するとしたら、5秒以上、600秒以下が採用される。尚、5秒未満であると十分な強度が得にくく、600秒超えの場合は、製造コストが上昇してしまう。そのため450℃以上がより望ましい。
そして、溶体化処理をは複数回行った後に成形加工を行っても良い。例えば、1回目の溶体化処理を行った材料について室温まで冷却後に2回目の溶体化処理を行うことで2回目の保持時間が短時間でも必要強度、成形加工性が得られやすくなる。この場合、溶体化処理後の冷却は、第1の特徴の溶体化処理では成形加工中の冷却温度のみ規定し、第2の特徴の溶体化処理では成形加工直前の冷却温度のみ規定し、第3の特徴の溶体化処理では成形加工後の冷却速度のみ規定すれば必要性能を得ることができる。
なお、400℃未満の場合、成形加工中に固溶元素の析出が起こり、成形加工性が劣化するとともに成形加工後の強度が低下してしまうものである。
主として、鋳造、均質化処理、熱間加工、冷間加工の工程が採られる。
ここで板材の場合は、熱間加工は熱間圧延、冷間加工は冷間圧延が一般に適用される。但し、必ずしも冷間圧延は必要ではない。
また押出材の場合は、熱間加工は押出、冷間加工は抽伸が一般に適用される。但し、抽伸を省いた押出のままで溶体化処理されることもよく行われる。
更にDC鋳造法により造塊を行い、均質化熱処理は430℃以上、融点未満の温度で2時間以上、100時間以下の条件が好ましい。ここで均質化熱処理の温度は430℃未満であると成形加工時に割れが発生し易い。また均質化熱処理の時間は2時間未満であると強度が不十分であり、100時間を超えると製造コストが著しく上昇するおそれがある。
次に、480℃まで加熱後に板厚3mmまで熱間圧延を行った。
そして、480℃で2時間の中間焼鈍を行うと共に、室温まで炉内冷却を行った後、板厚1mmまで冷間圧延を行った。
さらに、板厚1mm、板幅200mm、長さ250mmに切断して成形加工に供するアルミニウム合金板材とした。
まず第1の成形加工法として、予めアルミニウム合金板材に対して二硫化モリブデン系の離型剤を塗布した上で、該アルミニウム合金板材を上型と下型からなるアイロン加熱装置で昇温速度15℃/秒で加熱するとともに、溶体化処理のため480℃で300秒(昇温時間を含む)保持した後、50℃とした金型を構成する上型と下型との間に挟持固定してプレス成形と同時に、同じ金型内で急速に冷却し焼入れを行い、長方形状の底面を有する断面コ字形状のプレス成形品を作製する。
次に第2の成型加工法としては、予めアルミニウム合金板材に対して、該アルミニウム合金板材を上型と下型からなるアイロン加熱装置で昇温速度15℃/秒で加熱するとともに、溶体化処理のため480℃で300秒(昇温時間を含む)保持した後、素材挟持冷却装置において急速(冷却速度40℃/秒)に50℃まで冷却して焼入れを行った後、焼入れ10分後に室温とした金型を構成する上
型と下型との間に挟持固定しつつ低粘度潤滑油を用いてプレス成形して、長方形状の底面を有する断面コ字形状のプレス成形品を作製する。
さらに、第3の成形加工法としては、予めアルミニウム合金板材に対して二硫化モリブデン系の離型剤を塗布した上で、該アルミニウム合金板材を上型と下型からなるアイロン加熱装置で昇温速度15℃/秒で加熱するとともに、溶体化処理のため480℃で300秒(昇温時間を含む)保持した後、480℃とした金型を構成する上型と下型との間に挟持固定してプレス成形し一旦プレス成形品を取り出す。そして、該プレス成形品を室温である上型と下型からなる金型内に収め、急速に冷却(40℃/秒)して焼入れを行い、長方形状の底面を有する断面コ字形状のプレス成形品を作製する。
なお、均質化熱処理についての検討を行う試験片は実施例E1の成分を有するアルミニウム合金を用いて試験片を(均質化処理以外)前述のように作製した。
なお、熱間圧延温度についての検討を行う試験片は実施例E1の成分を有するアルミニウム合金を用いてプレス成形を行い、(熱間圧延温度以外)前述のように試験片を作製した。
なお、溶体化処理についての検討を行う試験片は実施例E1の成分を有するアルミニウム合金を用いて(溶体化処理条件以外)前述のように試験片を作製した。
なお、溶体化処理後の冷却についての検討を行う試験片は実施例E1の成分を有するアルミニウム合金を用いて(冷却条件以外)前述のように試験片を同様に作製した。
これらの合金をDC鋳造により造塊し、470℃で12時間の均質化熱処理を行った。次に、均質化処理温度からそのまま熱間圧延を行い、板厚6mmとした。そして、360℃で1時間の中間焼鈍を行った後、板厚2mmまで冷間圧延を行った。さらに、板厚2mm、板幅200mm、長さ250mmに切断してプレス成形に供するアルミニウム合金板材とした。
このアルミニウム合金板材に対して予め離型剤を塗布した上で、表13の条件で該アルミニウム合金板材を加熱装置で加熱によって溶体化処理した後、
第1の成形加工方法に関しては同一金型内にてプレス成形と表13の条件で冷却(冷却速度は400〜250℃で測定)を行うことによって、成形、焼入れを実施し、底面を有する断面コ字形状のプレス成形品を作製した。
第3の成形加工方法に関しては420℃の金型内にてプレス成形を行い、離型後に表13の条件で冷却(冷却速度は400〜250℃で測定)を行うことによって、成形、焼入れを実施し、底面を有する断面コ字形状のプレス成形品を作製した。尚、E55の条件は予め470℃で120sの溶体化処理を行い、水冷(1000℃/s)した材料を再溶体化処理した条件である。
ところが、比較例(C29乃至C34)は、溶体化処理温度が高すぎるため局部融解によるプレス割れや溶体化処理が低温または短時間すぎることによって溶質元素の固溶不足による延性の低下によってプレス割れが生じた。
該アルミニウム合金板材を加熱装置で470℃−90sの加熱によって溶体化処理した後、急速(400〜250℃の冷却速度50℃/秒)に室温まで冷却して焼入れを行った後、焼入れ後の時間を変化させ、金型を構成する上型と下型との間に挟持固定しつつ低粘度潤滑油を用いてプレス成形して、底面を有する断面コ字形状のパンチ半径:R(mm)を変えた金型でプレス成形品を作製した。
ところが、比較例(C35)は、室温時効時間が長すぎたためパンチプレス半径が15mmでも成形品において割れが発生した。
該アルミニウム合金形材を加熱装置で表17の条件で溶体化処理した後、
第1の成形加工方法に関しては同一金型内にてプレス成形と表17の条件で冷却(冷却速度は400〜250℃で測定)を行うことによって、成形、焼入れを実施し、プレス成形品を作製した。
第2の成形加工方法に関しては表17の条件で冷却(冷却速度は400〜250℃で測定)を行った後、室温で10分後にプレス成形することによってプレス成形品を作製した。
第3の成形加工方法に関しては450℃の金型内にてプレス成形を行い、離型後に表17の条件で冷却(冷却速度は400〜250℃で測定)を行うことによって、成形、焼入れを実施し、プレス成形品を作製した。
Claims (9)
- Zn:2.0質量%(以下、「%」という。)以上、10%以下、Mg:0.10%以上、5.0%以下、Cu:5.0%以下、Mn:1.5%以下、Si:1.0%以下、Fe:1.0%以下、Cr:0.50%以下、Zr:0.50%以下、Ti:0.30%以下を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる7000系アルミニウム合金材に対して、
溶体化処理を行う工程と、
金型内で成形加工を行う工程と、
該金型で250℃以下まで焼入れ工程を含むことを特徴とする7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。 - 上記請求項1記載の化学成分を有する7000系アルミニウム合金材の成形加工方法であって、
該7000系アルミニウム合金材に対して、
溶体化処理を行う工程と、
250℃以下まで焼入れを行う工程と、
該焼入れを行った後、120時間以内に金型内で成形加工を行う工程を含むことを特徴とする7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。 - 上記請求項1記載の化学成分を有する7000系アルミニウム合金材の成形加工方法であって、
該7000系アルミニウム合金材に対して、
溶体化処理を行う工程と、
加熱をした金型内で成形加工を行う工程と、
該金型から離型して250℃以下まで焼入れを行う工程を含むことを特徴とする7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。 - 上記請求項1及び請求項2記載の溶体化処理において、400℃以上、融点未満の温度で溶体化処理を行うことを特徴とする7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。
- 上記請求項3記載の溶体化処理及び金型の加熱において、400℃以上、融点未満の温度で溶体化処理を行うと共に、400℃以上、融点未満の温度で金型の加熱を行うことを特徴とする7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。
- 上記焼入れにおいて、400℃から250℃における冷却温度を20℃/秒以上とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。
- 上記7000系アルミニウム合金材が、圧延材であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。
- 上記7000系アルミニウム合金材が、押出材であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の7000系アルミニウム合金材の成形加工方法。
- 上記請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の7000系アルミニウム合金材の成形加工方法により成形される成形加工品。
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