JP2010155359A - インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料、ポリマー粒子、水溶性有機溶剤、滑り剤および水を有するインク組成物と、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な反応液と、を含むインクジェット記録用インクセット。
【選択図】なし
Description
また、定着性(耐擦性)に優れるとして、顔料、水溶性物質、樹脂又はワックスとを含む水性記録用インクが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、耐擦性に優れるとして、顔料、樹脂微粒子、及びワックス微粒子を含む記録液が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、記録液の滲みや浸透がなく、耐水性、吐出安定性に優れるとして、着色剤、2種類以上の樹脂微粒子、及びワックスを含有するインクプリンタ用記録液が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
顔料、ポリマー粒子、水溶性有機溶剤、滑り剤および水を有するインク組成物と、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な反応液と、を含むインクジェット記録用インクセット。
<2>
前記滑り剤が、ワックスであることを特徴とする上記<1>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<3>
前記滑り剤がワックスエマルジョンであることを特徴とする上記<2>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<4>
前記顔料が非水溶性ポリマーにより分散されていることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<5>
前記ポリマー粒子が自己分散性ポリマー粒子であることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<6>
前記ポリマー粒子のポリマーのガラス転移温度が20℃以上200℃以下であることを特徴とする上記<1>〜上記<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
<7>
上記<1>〜上記<6>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
<8>
前記画像形成工程後に前記画像を乾燥する乾燥工程と、乾燥後に前記画像面を加熱部材に接触させることにより画像を定着する熱定着工程と、を含むことを特徴とする上記<7>に記載のインクジェット記録方法。
<9>
前記画像形成工程は、前記記録媒体上に反応液を付与する反応液付与工程と、前記記録媒体に付与された反応液上に前記インク組成物を付与して接触させて凝集体を形成する凝集体形成工程と、を含むことを特徴とする上記<7>又は<8>に記載のインクジェット記録方法。
本発明は、インクジェット記録用インクセットを上記構成とすることにより、特に、ポリマー粒子及び滑り剤を組合せたインク組成物に反応液を組合せて用いることにより、紙変形を抑制し、耐擦性に優れた画像を記録可能なインクジェット記録用インクセットとすることができる。
本発明におけるインク組成物は、顔料、ポリマー粒子、水溶性有機溶剤、滑り剤および水を含有する。
また、本発明におけるインク組成物は、必要に応じて、更に分散剤や界面活性剤、その他の成分を用いて構成することができる。
本発明におけるインク組成物は、色材として顔料の少なくとも1種を含有し、顔料は分散剤により分散された顔料分散物として含有することができる。前記顔料は、水系溶媒に分散されていることが好ましい。該顔料としては公知の顔料を用いることができる。
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能であれば、いずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能である。前記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・オレンジ31、C.I.ピグメント・オレンジ43、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー13、C.I.ピグメント・イエロー14、C.I.ピグメント・イエロー15、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー93、C.I.ピグメント・イエロー94、C.I.ピグメント・イエロー128、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー151、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブラック1、C.I.ピグメント・ブラック6、C.I.ピグメント・ブラック7等が挙げられる。
分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤の何れでもよい。ここで、非水溶性とは分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下である分散剤をいう。
前記低分子の界面活性剤型分散剤(以下、「低分子分散剤」ということがある)は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で添加することができる。ここでいう低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基またはカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
ノニオン性基は、マイナスまたはプラスの電荷を有しないものであれば特に制限はない。例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の反応液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、そのpKaは3以上であることが好ましい。低分子分散剤のpKaはテトラヒドロフラン−水=3:2(V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/Lの濃度で溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。
理論上、低分子分散剤のpKaが3以上であれば、pH3程度の反応液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点から、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
また、顔料は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性であることが好ましい。
更に、本発明においては、凝集性の観点から、後述の自己分散性ポリマーの酸価が、前記ポリマー分散剤の酸価よりも小さいことが好ましい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
本発明のインク組成物は、滑り剤を少なくとも1種含有する。
本発明における滑り剤としては、印字された画像表面の摩擦係数を低下させる機能を有するものであれば限定されず用いることができるが、ワックス、シリコーン化合物、エステル化合物、脂肪酸アミド化合物(好ましくはカルボン酸アミド化合物)、フッ素化合物、高級脂肪族酸またはその塩、及び有機又は無機のマット剤から選択される1種以上が好ましい。
更に、上記以外のエステル化合物としては脂肪酸エステル類が好ましく、脂肪酸エステル類としては直鎖の高級脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
カルボン酸アミド化合物としては、特開昭55−79435号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
フッ素化合物としては、特開昭63−19647号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
高級脂肪族酸またはその塩としては、英国特許第1263722号明細書等に記載されている高級脂肪族酸またはその塩等が挙げられる。
有機マット剤としては、ポリマーとしては、ビニル重合体であることが好ましく、例えばポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどを主成分とするものが挙げられるが、特に架橋されたポリマーラテックスの好例としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(エチレングリコールジメタクリレートコ−メチルメタクリレート)が挙げられる。
・M−1:ポリエチレン粒子 比重0.90(フロービーズLE−1080 住友精化(株)製)
・M−2:ポリエチレン粒子 比重0.93(フロービーズEAー209 住友精化(株)製)
・M−3:ポリエチレン粒子 比重0.96(フロービーズHE−3040 住友精化(株)製)
・M−4:シリコーン粒子 比重0.97
・M−5:シリコーン粒子 比重1.00(E701 東レダウシリコーン(株)製)
・M−6:シリコーン粒子 比重1.03
・M−7:ポリスチレン粒子 比重1.05(SB−6 積水化成品工業(株)製)
・M−8:ポリ(St/MAA=97/3)共重合体粒子 比重1.05
・M−9:ポリ(St/MAA=90/10)共重合体粒子 比重1.06
・M−10:ポリ(St/MMA/MAA=50/40/10)共重合体粒子 比重1.09
・M−11:架橋ポリエチレン粒子 比重0.92
・M−12:架橋ポリエチレン粒子 比重0.95
・M−13:架橋ポリエチレン粒子 比重0.98
・M−14:架橋シリコーン粒子 比重0.99
・M−15:架橋シリコーン粒子 比重1.02
・M−16:架橋シリコーン粒子 比重1.04
・M−17:ポリ(St/DVB=90/10)粒子 比重1.06(SX−713 綜研化学(株)製)
・M−18:ポリ(St/DVB=80/20)粒子 比重1.06(SX−713 綜研化学(株)製)
・M−19:ポリ(St/DVB=70/30)粒子 比重1.07(SX−713 綜研化学(株)製)
・M−20:ポリ(St/MAA/DVB=87/3/10)共重合体粒子 比重1.06(SX−713α 綜研化学(株)製)
・M−21:ポリ(St/MAA/DVB=80/10/10)共重合体粒子 比重1.07(SX−713α 綜研化学(株)製)
・M−22:ポリ(St/MMA/MAA/DVB=40/40/10/10)共重合体粒子比重1.10
天然ワックスとしては、石油系ワックス、植物系ワックス、動植物系ワックスが挙げられる。
石油系ワックスとして、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等、また、植物系ワックスとしてはカルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ等、また、動物植物系ワックスとしてはラノリン、みつろう等を挙げることができる。
合成ワックスとしては、合成炭化水素系ワックス、変性ワックス系が挙げられる。
合成炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロブシュワックス等が挙げられ、また、変性ワックス系としてはパラフィンワックス誘導体、モンタンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等を挙げることができる。
前記ワックスの中でも、パラフィンワックスは炭素数20〜40の炭化水素を主成分とするもので、画像光沢感や、ノズル先端から水分蒸発防止、水分保持効果が優れている点で好ましい。
また、ポリエチレンワックスは、樹脂との相溶性が優れるため均質で良好な画像を形成しやすい点で好ましい。さらに、ポリエチレンワックスは変性し易いため、その変性されたグリコール変性ポリエチレンワックスは、グリコールに起因する湿潤性を付与することができ、ノズル先端でのインク組成物の湿潤性効果がみられ、よって吐出安定性が一層効果的に出来る点でより好ましい。
一般式(1) (R3)a−G−(D)d
式中、R3は炭素数10〜60の置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基である;Gは2〜7価の連結基を示す;Dは、(B)n−Eであり、Bは−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−又は−CH2CH(OH)CH2O−を表わし、nは1〜50の整数である。ここで、Eは、水素、炭素数1〜8の置換もしくは無置換のアルキル基,アリール基,アルキルカルボニル基またはアリールカルボニル基を表わす;aおよびdはそれぞれ1〜6の整数を表す;複数存在するR3、DおよびEは互いに同一でも相違していてもよい。
R3は炭素数10〜60の置換もしくは無置換の直鎖、分岐、環状を含むアルキル基、アルケニル基、アラルキル基および置換もしくは無置換のアリール基である。好ましいR3の例としてはCgH2g+1(gは12〜60の整数を表す)、エイコシル、ドコサニルである。さらには、ドデシル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、エイコシル、ドコサシル、トリアコンタシル、テトラコンタシル、ヘプタコンタシル、ジノニルフェニル、ジドデシルフェニル、テトラデシルフェニル、トリペンチルフェニル、ドデシルナフチルなどである。Dは、一般式−(B)n−Eのポリオキシアルキレン基を表す。ここでBは−CH2CH2O−、−CH2CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−又は−CH2CH(OH)CH2O−を表わし、nは1〜50の数である。Bとして好ましいのは−CH2CH2O−であり、好ましいnは5〜30の整数である。又、Eは水素、置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基,アリール基、アルキルカルボニル基またはアリールカルボニル基を表わす。アルキル基としては、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシルであり、特に好ましいのはメチル、エチル、プロピルである。アルキルカルボニル基としては、好ましくはアセチル、プロピオニル、ブチロイル、ピバロイル、シクロヘキサンカルボニルであり、特に好ましいのはアセチルである。アリール基としてはフェニル基が,またアリールカルボニル基としてはベンゾイル基を挙げられる。Eで特に好ましいのは、水素、メチル、メチル、プロピル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルである。
本発明においては、滑り剤と一般式(1)の分散剤からなる滑り剤分散粒子における両成分の構成比は特に限定されないが、25〜99質量%の滑り剤と1〜75質量%の分散剤から作製される滑り剤分散粒子を使用することが好ましい。これは、滑り剤の含有量が多いほどその滑り剤分散粒子としての特性を最外層で発現するためである。
したがって滑り剤分散粒子における一般式(1)の分散剤はできるだけその含有比が小さい方が好ましい。
本発明で用いる滑り剤分散粒子は、予め分散される前にその化合物の融点の高いほうよりも更に高温度で混合され、いわゆる溶融混合することが好ましい。そして、分散媒となる溶剤を同様に高温に加温しておき、この中に溶融混合物を添加し各種の分散方法にて微細分散化すればよい。なお、溶融混合物中に加温した溶剤を添加して分散・粒子化することも好ましい。また滑り剤または分散剤を溶解する非水系有機溶剤にこれらを溶解したのち、水の中で他の水溶解性の界面活性剤を利用して微細分散し、そのまま滑り剤の分散粒子として最外層に添加してもよく、例えば非水系有機溶媒として酢酸エチルなどが好ましい。
さらに有機溶剤を分散後に除去して滑り剤粒子分散物として利用することも有用である。この場合の優位点として、滑り剤および一般式(1)の化合物の融点が100℃以上でも、低温度で有機溶剤中で溶解混合することができ、水系での高融点滑り剤分散粒子を作製できることである。ここで、滑り剤および一般式(1)の融点は特に大きな制約を受けないが、有効な融点としては、50℃以上200℃以下、さらに60℃以上が好ましく、特に80℃以上150℃以下が好ましい。溶剤としては、本発明のインク組成物の作製にあたって環境にやさしい観点で、水が最も好ましい。したがって、融点80℃の滑り剤を使用する場合は、水の温度を80℃以上として分散する必要がある。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、上記の乳化分散剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調製の目的でα−メチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
特に好ましいのは、乳化分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。
本発明のインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含有する。ポリマー粒子を含有することにより、安定した吐出性が得られる。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
特に、酸価は、25以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100以下であると凝集性が向上する。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、並びにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリルエステル系モノマー;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、並びにN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等、等の(メタ)アクリルアミド系モノマーが挙げられる。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
インク組成物は、水を溶媒として含むと共に、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有する。この水溶性有機溶剤をポリマー粒子と共に含有することにより、インク組成物中ではポリマー粒子の最低像膜温度を低めに維持することができ、吐出性などを良好に保つことができる。本発明において、水溶性とは20℃の水に1質量%以上溶解することを意味する。
有機溶媒を乾燥防止剤として用いる場合、インク組成物をインクジェット法で吐出して画像記録する際に、インク吐出口でのインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
乾燥防止のためには、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。乾燥防止に好適な水溶性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
また、浸透促進のためには、インク組成物を記録媒体により良く浸透させる目的で有機溶媒を用いてもよい。浸透促進に好適な有機溶媒の具体例として、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、水溶性有機溶剤は、上記以外にも粘度の調整に用いることができる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶剤の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、アセトニトリル、アセトンなど)が挙げられる。
インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェット法による吐出を良好に行なうため、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。一方、インクの付与をインクジェット法以外の方法で行なう場合には、20〜60mN/mの範囲が好ましく、30〜50mN/mの範囲がより好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
インク組成物の粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計を用いて測定することができる。
本発明における反応液は、既述のインク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、反応液は、インク組成物中の色材粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に反応液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
反応液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に反応液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、反応液のpH(25℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
酸性化合物の反応液中における含有量としては、凝集効果の観点から、反応液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、更に好ましくは15〜50質量%であり、特に好ましくは18〜30%である。
中でも、2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
本発明における反応液は、凝集成分に加え、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。水溶性有機溶剤の詳細については、既述のインク組成物におけるものと同様である。
なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
本発明のインクジェット記録方法は、前述のインクジェット記録用インクセットを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成工程を含むことを特徴とするインクジェットによる画像記録方法である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、前記画像形成工程後に前記画像を乾燥する乾燥工程と、乾燥後に前記画像面を加熱部材に接触させることにより画像を定着する熱定着工程と、を含むことが好ましい態様である。
更に、前記画像形成工程は、前記記録媒体上に反応液を付与する反応液付与工程と、前記記録媒体に付与された前記反応液上に前記インク組成物を付与して接触させて凝集体を形成する凝集体形成工程と、を含むことがより好ましい態様である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記の工程以外に、必要に応じて、更に他の工程を設けて構成することができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法を構成する各工程を説明する。
本発明における画像形成工程は、インクジェット記録用インクセットを用いて記録媒体上に画像を形成する工程であり、前記記録媒体上に反応液を付与する反応液付与工程と、前記記録媒体に付与された反応液上に前記インク組成物を付与して接触させて凝集体を形成する凝集体形成工程と、を少なくとも構成される。
反応液付与工程は、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な反応液を記録媒体に付与し、反応液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、反応液における各成分の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
凝集体形成工程は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体にインクジェット法で付与する工程である。本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインク組成物における各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェット記録方法として、(1)静電吸引方式とよばれる方法がある。静電吸引方式は、ノズルとノズルの前方に配置された加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に噴射させ、そのインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えることによって、インク滴を記録媒体上に向けて飛ばしてインクを記録媒体上に定着させて画像を記録する方法、又はインク滴を偏向させずに、印刷情報信号に従ってインク滴をノズルから記録媒体上にむけて噴射させることにより画像を記録媒体上に定着させて記録する方法である。また、(2)小型ポンプによってインク液に圧力を加えるとともに、インクジェットノズルを水晶振動子等によって機械的に振動させることによって、強制的にノズルからインク滴を噴射させる方法がある。ノズルから噴射されたインク滴は、噴射されると同時に帯電され、このインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えてインク滴を記録媒体に向かって飛ばすことにより、記録媒体上に画像を記録する方法である。次に、(3)インク液に圧電素子によって圧力と印刷情報信号を同時に加え、ノズルからインク滴を記録媒体に向けて噴射させ、記録媒体上に画像を記録する方法(ピエゾ)、(4)印刷信号情報にしたがって微小電極を用いてインク液を加熱して発泡させ、この泡を膨張させることによってインク液をノズルから記録媒体に向けて噴射し、記録媒体上に画像を記録する方法(バブルジェット(登録商標))がある。
本発明のインクジェット記録方法は、前記凝集体形成工程の後、インク組成物の付与により形成されたインク画像を乾燥する乾燥工程と、乾燥後に加熱部材を接触させて定着する熱定着工程を有することが好ましい。乾燥・熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
<インク組成物の調製>
(ポリマー分散剤P−1の合成)
下記スキームにしたがって、以下に示すようにしてポリマー分散剤P−1を合成した。
得られたポリマー分散剤P−1の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製;シアン顔料)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心管を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物C(シアンの分散物C)を得た。
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、ピグメント・レッド122(CROMOPHTAL Jet Magenta DMQ、チバスペシャルティケミカルズ(株)製;マゼンタ顔料)を用いた以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物M(マゼンタの分散物M)を調製した。
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、ピグメント・イエロー74(Irgalite Yellow GS、チバスペシャルティケミカルズ(株)製;イエロー顔料)を用いたこと以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物Y(イエローの分散物Y)を調製した。
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、カーボンブラック(NIPEX160−IQ、デグッサ社製;黒色顔料)を用いたこと以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物K(ブラックの分散物K)を調製した。
−合成例1−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート180g、メトキシエチルアクリレート32.4g、ベンジルメタクリレート126.0g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温してさらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=50/9/35/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
上記で得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物(シアンの分散物C、マゼンタの分散物M、イエローの分散物Y、ブラックの分散物K)、自己分散性ポリマー粒子(B−01)の分散物B−01Lxを用いて、下記のインク組成となるように各成分を混合し、インク組成物を調液した。得られたインク組成物は、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成インクとした。
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−01の水分散物B−01Lx : 4質量%
・サンニックスGP250 :10質量%
(三洋化成工業社製、水溶性有機溶剤)
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) : 6質量%
(和光純薬社製、水溶性有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1質量%
上記成分にイオン交換水を加えて100質量%となるように調整した。
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−01の水分散物B−01Lx : 4質量%
・サンニックスGP250 :10質量%
(三洋化成工業社製、水溶性有機溶剤)
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) : 6質量%
(和光純薬社製、水溶性有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1質量%
・0.5μm真球状シリカマット剤(シーホスター KE−P50:日本触媒社製、無機マット剤) : 2質量%
上記成分にイオン交換水を加えて100質量%となるように調整した。
前記シアンインクC2の組成中の無機マット剤を有機マット剤(綜研化学(株)製 MP−1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm、有機マット剤)に変更したこと以外は、シアンインクC3と同様の組成とした。
前記シアンインクC2の組成中の無機マット剤をワックス1(カルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール524)融点83℃)に変更したこと以外は、シアンインクC3と同様の組成とした。
前記シアンインクC2の組成中の無機マット剤をワックス2(下記調製方法にて調製した。)に変更したこと以外は、シアンインクC3と同様の組成とした。
マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋(株)製HI−MIC1090、融点88℃)を60gと、化合物WA−2(本文記載の分散剤)を40gを2リットルのステンレス分散機に添加し、100℃に加温して混合して均一にして粘性のある混合物を得た。この溶融混合物に95℃の熱水800gを加え、高速でホモジナイザー(日本精機(株)製;10000回転、10分、)で分散した。撹拌を継続しつつ分散機を冷却して内温を徐々に低下し固形状分散物のワックス2を得た。前記分散物の平均粒子サイズは0.2μmであった。
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
表面張力の測定は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて、白金プレートを用いたウィルヘルミ法にて25℃の条件下で行なった。
粘度の測定は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて30℃の条件下で行なった。
体積平均粒子径の測定は、得られたインク組成物を測定に適した濃度に適宜希釈し、超微粒子粒度分布測定装置ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により各インク組成物を全て同一測定条件で体積平均粒子径を測定した。
pHは、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用い、インク組成物を原液のまま25℃にて測定した。
下記のようにして、反応液(1)を調製した。なお、表面張力、粘度、及びpHの測定は、上記と同様の方法により測定した。
下記組成となるように各成分を混合し、反応液(1)を調製した。反応液(1)の物性値は、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6であった。
<反応液(1)の組成>
・マロン酸(2価のカルボン酸、和光純薬工業(株)製) 15.0質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製) 20.0質量%
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム(界面活性剤) 1.0質量%
・イオン交換水 64.0質量%
(インクセット1の調製)
上記インク組成物(シアンインクC1、マゼンタインクM1、イエローインクY1、ブラックインクK1)と反応液(1)とを組合せてインクセット1を得た。
(インクセット2〜5の調製)
インクセット1の調製において、シアンインクC1、マゼンタインクM1、イエローインクY1、ブラックインクK1の代わりに、表1に記載のそれぞれ対応するシアンインクC2〜5、マゼンタインクM2〜5、イエローインクY2〜5、ブラックインクK2〜5を用いた以外は同様にしてインクセット2〜5を得た。
以下に示すように、インクセット1〜5を用いて表2のように画像を記録すると共に、下記評価を行なった。評価結果は、下記表2に示す。
<A.熱定着工程を含まない場合の評価>
(a)GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用意し、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアンインクC1〜C5、マゼンタインクM1〜5、イエローインクY1〜5、ブラックインクK1〜5にそれぞれ詰め替えた。記録媒体としては、特菱アート両面N(水吸収係数Ka=0.21mL/m2・ms1/2;三菱製紙(株)製)を準備した。
(b)そして、特菱アート両面Nを、記録時の副走査方向となる所定の直線方向に500mm/秒で移動可能なステージ上に固定し、これに上記で得た反応液(1)をワイヤーバーコーターで約1.5μm(マロン酸0.34g/m2相当)の厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。
(c1)その後、GELJET GX5000プリンターヘッドを、前記ステージの移動方向(副走査方向)と同一平面上で直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7°傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量2.8pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×1200dpi、ステージ速度50mm/sの吐出条件にてライン方式で吐出し、ベタ画像を印字して評価サンプルを得た。印字直後、60℃で3秒間乾燥させた。
(d)続いて、ステージの移動速度を100mm/s、250mm/s、500mm/sに変更し、打滴量が上記と同じになるように吐出周波数を変更した条件にて吐出し、それぞれ評価サンプルを作成した。
上記<A.熱定着工程を含まない場合の評価>の工程において、(c1)工程の後に下記(c2)工程を加えた以外は同様に行なった。
(c2)工程
更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。
なお、定着ローラは、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆された加熱ロールと、該加熱ローラに圧接する対向ロールとで構成されたものである。
上記<A.熱定着工程を含まない場合の評価>の工程において、(c1)工程の後に下記(c3)工程を加えた以外は同様に行なった。
上記<B.熱定着工程を含む場合の評価>の工程において、(c1)工程の後(c2)工程の前に下記(c3)工程を加えた以外は同様に行なった。
(c3)工程
0.5μm真球状シリカマット剤(シーホスター KE−P50:日本触媒社製)15質量%、イオン交換水85質量%を含む液を、前記反応液(1)が塗布された記録媒体にワイヤーバーコーターで約8.8μm(真球状シリカマット剤2.0g/m2相当)の厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。
<評価基準>
◎:500mm/sで打滴干渉はみられなかった。
○:250mm/sで打滴干渉はみられなかった。
△:100mm/sで打滴干渉はみられなかった。
×:50mm/sで打滴干渉はみられなかった。
インク塗設量が5g/m2となる量でシアンインクのベタ印画した後の記録媒体を、5×50mmに裁断し、(1)温度30℃、湿度80%RH、(2)温度25℃、湿度50%RHのそれぞれの条件下で24時間放置し、評価サンプルとした。この評価サンプルについて、カールの挙動を確認し、以下のように求めたカール値を指標として下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は表1に示す。
〜カール値の測定〜
カール方向が長辺になるように5×50mmに裁断したサンプルをカール測定板にあててカール値(曲率C)を読み取る。すなわち、カールを半径Rの円の弧とみなし、カール測定板からRを求めて、次のように表す。
C=1/R(m)
<評価基準>
○:曲率Cが20以下だった。
△:曲率Cが20〜25だった。
×:曲率Cが25〜30だった。
××:曲率Cが30を超えた。
GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用い、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアンインクC1〜C5、マゼンタインクM1〜M5、イエローインクY1〜Y5、ブラックインクK1〜K5に詰め替えて、インク液滴量3.5pL、吐出周波数24kHz、ノズル配列方向75dpi×搬送方向1200dpiの解像度にて記録媒体に96本のラインを10cm印字し、評価サンプル1を作成した。記録媒体には、画彩写真仕上げPro(富士フイルム(株)製)を用いた。そして、評価サンプルの打滴開始部から5cmの部位の96本のライン間の距離を、ドットアナライザーDA−6000(王子計測機器(株)製)にて測定し、その標準偏差を算出した(初期吐出性)。
次に、前記評価サンプルの作成の際に行なった印字後、プリンターヘッドをそのままの状態で25℃、55%RHの環境下、10分間打滴を休止し、その後再び同様の条件で印字して評価サンプル2を作成した。この評価サンプル2の打滴開始部から5cmの部位の96本のライン間の距離の標準偏差を、上記と同様に算出し、この休止後の算出値を吐出信頼性を評価する指標とした。
上記の評価に際しては、シアンインクを予め30℃の温浴中で保温してからプリンターヘッドと繋がる貯留タンク内に充填すると共に、30℃の吐出温度が維持できるようにプリンターヘッドを恒温室内に設定し、30℃の各吐出温度でインクを吐出できるようにした。上記のようにして得られた休止後の標準偏差の算出値から、下記の評価基準にしたがって吐出信頼性を評価した。
<評価基準>
◎:3μm以上4μm未満
○:4μm以上5μm未満
×:5μm以上
<A.熱定着工程を含まない場合の評価>
(a)GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用意し、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアンインクC1〜C5、マゼンタインクM1〜M5、イエローインクY1〜Y5、ブラックインクK1〜K5に詰め替えた。記録媒体として特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、これに上記で得た反応液(1)をワイヤーバーコーターで約1.5μm(マロン酸0.34g/m2相当)の厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。
(b)その後、GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7°傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量3.5pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×600dpiの吐出条件にてライン方式で吐出し、ベタ画像を印字して評価サンプルを得た。印字直後、60℃で3秒間乾燥させた。
10mm×50mmに裁断した未印字の特菱アート両面Nを文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アート両面Nと評価サンプルが接触する面積は150mm2)、上記で作成した評価サンプルを3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の印字面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
上記<A.熱定着工程を含まない場合の評価>の工程において、(b)工程の後に下記(b2)工程を加えた以外は同様に行なった。
(b2)更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。
なお、定着ローラは、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆された加熱ロールと、該加熱ローラに圧接する対向ロールとで構成されたものである。
上記<A.熱定着工程を含まない場合の評価>の工程において、(b)工程の後に下記(b3)工程を加えた以外は同様に行なった。
上記<B.熱定着工程を含む場合の評価>の工程において、(b)工程の後(b2)工程の前に下記(b3)工程を加えた以外は同様に行なった。
(b3)工程
0.5μm真球状シリカマット剤(シーホスター KE−P50:日本触媒社製)15質量%を含みイオン交換水で100質量%となるように調整した液をワイヤーバーコーターで約8.8μm(真球状シリカマット剤2.0g/m2相当)の厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。
<評価基準>
◎:印字面の画像の剥れは全く視認できなかった。
○:印字面の画像の剥れが、わずかに視認されたが、実用上問題ないレベル。
×:印字面の画像の剥れが視認でき、実用上問題があるレベル。
耐擦性の評価において、熱定着工程を含む場合の評価を行う。このあと、定着ローラーを観察し、定着ローラーの汚れを目視で観察した。
<評価基準>
○:定着ローラーへの画像の転写が生じていない。
×:定着ローラーへの画像の転写が発生している。
耐擦性と同様にしてベタ画像を作成し、表面の60°鏡面光沢を光沢度計(IG−331、株式会社堀場製作所製)にて測定した。
(評価基準)
◎:ベタ画像の光沢度が70%以上
○:ベタ画像の光沢度が60%以上
△:ベタ画像の光沢度が50%以上
インクジェット画像記録評価前の未処理の紙(記録媒体)の光沢と、上記3.吐出信頼性の評価において作成された評価サンプルでインクが打滴されていない非画像部分の光沢と、をHORIBA GLOSS CHECKER IG−331を用いて、入射角60度の条件で測定し、下記評価基準に従って評価した。
<評価基準>
○:元の紙の光沢と画像記録後の白地部の光沢との差が±5%未満であり、元の紙の風合いを保っている。
×:元の紙の光沢と画像記録後の白地部の光沢との差が±5%以上であり、元の紙の風合いを損ねている。
Claims (9)
- 顔料、ポリマー粒子、水溶性有機溶剤、滑り剤および水を有するインク組成物と、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な反応液と、を含むインクジェット記録用インクセット。
- 前記滑り剤が、ワックスであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記滑り剤がワックスエマルジョンであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記顔料が非水溶性ポリマーにより分散されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記ポリマー粒子が自己分散性ポリマー粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記ポリマー粒子のポリマーのガラス転移温度が20℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記画像形成工程後に前記画像を乾燥する乾燥工程と、乾燥後に前記画像面を加熱部材に接触させることにより画像を定着する熱定着工程と、を含むことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 前記画像形成工程は、前記記録媒体上に反応液を付与する反応液付与工程と、前記記録媒体に付与された反応液上に前記インク組成物を付与して接触させて凝集体を形成する凝集体形成工程と、を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のインクジェット記録方法。
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