JP2010150800A - 断熱防水構造および断熱防水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性に優れた樹脂発泡体を用いた構造物の断熱防水構造および断熱防水工法を提供する。
【解決手段】 断熱防水構造1は、構造物の下地2に積層された断熱材3と、断熱材3の表面側に露出される面に熱融着材を有し、下地2にアンカー固定されて断熱材3を下地2に固定する固定金具4と、断熱材3に積層され、かつ熱融着材により固定金具4と接着された塩化ビニル樹脂系シート5とを具備する。断熱材3は、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 断熱防水構造1は、構造物の下地2に積層された断熱材3と、断熱材3の表面側に露出される面に熱融着材を有し、下地2にアンカー固定されて断熱材3を下地2に固定する固定金具4と、断熱材3に積層され、かつ熱融着材により固定金具4と接着された塩化ビニル樹脂系シート5とを具備する。断熱材3は、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、構造物の下地面に適用される断熱防水構造および断熱防水工法に関する。
従来より、コンクリート構造物の陸屋根やバルコニー、ベランダ、水槽類(蓄熱、受水、防火各槽など)において、断熱性および防水性を付与するために、断熱材および防水層が積層された断熱防水構造が適用されている。例えば、コンクリート構造物の陸屋根の下地に、円盤状固定金具(ディスク)と称される固定部材により断熱材や塩化ビニル樹脂系シートが固定される構造が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献3)。これらのように、固定金具を用いて、断熱材や塩化ビニル樹脂系シートを機械的に下地に固定する方法は、一般的に機械式固定工法と称される。機械式固定工法は、接着剤を用いる接着工法と比較して、下地の凹凸や水分などの状態に左右されずに断熱材を固定できる、施工者の技量による品質の不安定が少ない、溶剤を使用しない、もしくは非常に限られた領域しか使用しない(シート接合部での溶剤溶着等)といったことから、作業環境がよいなどのメリットがある。
特許文献1記載の方法によれば、コンクリート構造物などの下地に、断熱材、絶縁材および塩化ビニル樹脂製の防水シートを順次積層させた断熱防水構造にて、断熱材および絶縁材を貫通して埋没されたアンカーボルトの頂部に取付けられたディスク板と防水シートを貼着固定する。なお、このように防水シートを用いた防水方法は、一般にシート防水と称される。シート防水においては、防水シートが表皮として露出される構造があり、一般に露出工法と称される。
特許文献2および特許文献3記載の方法によれば、下地にアンカー固定された固定プレートと塩化ビニル樹脂製の防水シートとを重ね合わせた状態において、防水シートの上から電磁誘導加熱することにより固定プレートを加熱して、該固定プレートの被覆材を溶融させることにより、固定プレートと防水シートとを融着する。
また、特許文献1〜特許文献3記載の方法によれば、下地と防水シートとの間に断熱材が介設されており、該断熱材を固定プレートにより下地に固定する。このように断熱材および防水シートが下地に積層される構造が、断熱防水構造と称される。
断熱防水構造においては、断熱材としてポリスチレンフォームや架橋ポリエチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、イソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム等が使用される。
機械式固定工法が採用された断熱防水構造において、電磁誘導加熱により固定プレートの被覆材と防水シートとを融着させる場合には、防水シートの下側に積層される断熱材に、電磁誘導加熱により生ずる熱伝導に対する耐熱性が要求される。また、露出工法においては、表皮となる防水シートの表面温度が夏場では最大で約80〜90℃程度まで上昇するので、太陽光により熱せられた防水シートから伝導される熱に対する耐熱性が、断熱材に要求される。
断熱材として汎用される硬質ポリウレタンフォームは、耐熱性に優れるという特性を有する。したがって、被覆材を加熱して溶融する機械式固定工法や、防水シートが表皮とされる露出工法において、耐熱性の高い断熱材として硬質ポリウレタンフォームが採用されている。
しかし、硬質ポリウレタンフォームは、吸水性(吸湿性)が高いという特性をも有する。したがって、保管の際や施工後に、断熱材が吸水するおそれがある。吸水した硬質ポリウレタンフォームは耐熱性が極度に悪化し、反りや膨れなどの熱変形が生じやすいという問題がある。特に、機械式固定工法では、断熱材と防水シートとが固定プレートの位置のみで接着される所謂点接着であるので、防水シートの継ぎ目などから雨水が浸水するおそれがある。また、硬質ポリウレタンフォームはリサイクル性がなく、廃棄の際の環境負荷が大きいというデメリットや、例えばポリスチレンフォームと比較して高価であるというデメリットがある。
これに対し、ポリスチレンフォームは、強度が高く、安価であり、リサイクル性もあるが、耐熱性に劣るというデメリットがある。したがって、加熱を伴う機械式固定工法や、日照による加熱が大きい露出工法が採用される断熱防水構造、さらには防水シートに塩化ビニル樹脂系シートを用いるシート防水工法に対し、ポリスチレンフォームからなる断熱材は種々問題を抱える場合があった。
このような状況において、断熱防水構造に用いられる断熱材として、強度に優れ、安価でリサイクルが可能なポリスチレンフォームの利点と、耐熱性に優れた硬質ポリウレタンフォームの利点とを併せ持つものが待ち望まれている。
特開平10−152947号公報
特開2005−146774号公報
特開2005−264481号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れた樹脂発泡体を用いた構造物の断熱防水構造および断熱防水工法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述された課題を解決するために鋭意研究した結果、加熱を伴う機械式固定工法や日照による加熱が大きい露出工法を採用した断熱防水構造が可能となる樹脂組成を見出し、その樹脂組成物を発泡させてなる発泡体を断熱材として用いることにより、本発明に係る断熱防水構造及び断熱防水工法を完成するに至った。
[1]本発明に係る断熱防水構造は、構造物の下地に積層された断熱材と、上記断熱材の表面側に露出される面に熱融着材を有し、上記下地にアンカー固定されて上記断熱材を該下地に固定する固定部材と、
上記断熱材に積層され、かつ上記熱融着材により上記固定部材と接着された塩化ビニル樹脂系シートと、を具備してなり、
上記断熱材が、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。
[2]上記共重合体を構成する芳香族ビニル単位が、スチレン単位であるものが好適である。
[3]上記共重合体を構成する脂肪族カルボン酸誘導体単位が、メタクリル酸単位或いは無水マレイン酸単位が好適である。
[4]本発明に係る断熱防水工法は、構造物の下地に、芳香族ビニル単位と脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を積層する第1工程と、
上記断熱材の表面側に露出される面に熱融着材を有する固定部材を、上記下地にアンカー固定して上記断熱材を該下地に固定する第2工程と、
上記断熱材に、塩化ビニル樹脂系シートを積層する第3工程と、
上記熱融着材を加熱して、上記固定部材と上記塩化ビニル樹脂系シートとを接着する第4工程と、を含む。
上記断熱材に積層され、かつ上記熱融着材により上記固定部材と接着された塩化ビニル樹脂系シートと、を具備してなり、
上記断熱材が、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。
[2]上記共重合体を構成する芳香族ビニル単位が、スチレン単位であるものが好適である。
[3]上記共重合体を構成する脂肪族カルボン酸誘導体単位が、メタクリル酸単位或いは無水マレイン酸単位が好適である。
[4]本発明に係る断熱防水工法は、構造物の下地に、芳香族ビニル単位と脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体とを含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を積層する第1工程と、
上記断熱材の表面側に露出される面に熱融着材を有する固定部材を、上記下地にアンカー固定して上記断熱材を該下地に固定する第2工程と、
上記断熱材に、塩化ビニル樹脂系シートを積層する第3工程と、
上記熱融着材を加熱して、上記固定部材と上記塩化ビニル樹脂系シートとを接着する第4工程と、を含む。
本発明によれば、断熱防水構造を構成する断熱材を、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものとしたので、塩化ビニル樹脂系シートを用いたシート防水において、耐熱性が要求される機械式固定工法や露出工法を採用することができる。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本実施形態に係る断熱防水構造1を示す部分断面図である。図2は、断熱材3を固定する固定金具4を示す分解斜視図である。図3から図6は、断熱防水構造1の施工方法を説明するための図である。図7は、別の実施形態に係る断熱防水構造11の構成を示す部分断面図である。なお、各図においては、構造物の全体は示されておらず、断熱防水構造1が施工される下地2の一部のみが示されている。また、図7においては、補強シート16により覆われる固定金具15を示すために、補強シート16の一部が切り欠かれている。
断熱防水構造1は、構造物の下地2に積層されてなる。構造物は、鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造の建築物に代表されるものであるが、構造物の工法や形状などは特に限定されるものではない。また、構造物の下地2は、陸屋根や屋上、バルコニー、外壁などの構造物の外面である。例えば、鉄筋コンクリート構造物の陸屋根を下地2として、断熱防水構造1が施工される。下地2は、平面に限定されず、折れ板のような面形状や湾曲面であってもよい。
下地2上には断熱材3が敷かれる。断熱材3は、断熱防水構造1において、主に断熱性能を確保する目的で用いられるものである。断熱材3は、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。この樹脂組成物の詳細については後述される。断熱材3は、所定の厚みの平板形状の直方体であり、例えば、厚みが20〜100mm、縦横寸法が600〜2000mmのものが用いられる。このような一定形状の断熱材3が、下地2に隙間無く敷き詰められて、固定金具4により下地2に固定される。固定金具4は、本発明における固定部材の一例である。なお、断熱材3は、必ずしも下地2に対して直接敷き込まれる必要はなく、絶縁シートなどの他の部材が介在した状態で下地2に積層されてもよい。
以下、断熱材3に用いられる樹脂組成物について詳細に説明する。前述されたように、断熱材3は、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。
芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を構成する芳香族ビニル単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンが挙げられる。これらのうち、工業的に安価である点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、さらに安価であるスチレンが最も好ましい。
芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を構成する脂肪族カルボン酸誘導体単位としては、一般的に脂肪族酸ハロゲン化物、脂肪族酸無水物、脂肪族カルボン酸、脂肪族エステル、脂肪族アミドからなる群より構成される。
前述された脂肪族カルボン酸誘導体単位のうち、芳香族ビニル単位と共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ソルビン酸、ヘプテン酸、ウンデシレン酸、リノレン酸、リノール酸、オレイン酸等の不飽和モノカルボン酸単位や、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物が一般的であり、重合の容易性および加工性の面から、不飽和カルボン酸単位であるメタクリル酸単位、或いは不飽和カルボン酸無水物単位である無水マレイン酸単位等が好ましく、最も好ましくはメタクリル酸単位である。
断熱材3を構成する樹脂組成物には、上記共重合体以外に、必要に応じて、他の樹脂を用いてもよい。他の樹脂としては、例えば、スチレンホモポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−αメチルスチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
特に、スチレンホモポリマーと併用しても、成形加工性を損なうことなく、スチレンホモポリマー単独のポリスチレンフォームよりも、耐熱性を向上させることができる点で好ましい。
他の樹脂を混合する場合の、共重合体と他の樹脂との混合比率は、重量比として、25/75〜100/0が好ましく、50/50〜100/0がより好ましい。
上記樹脂組成物には、上記共重合体100重量部または上記共重合体を含有する熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、塩素原子を含有しない発泡剤を3〜10重量部用いることができる。また、このような発泡剤として、物理系発泡剤、化学系発泡剤の1種又は2種以上を使用できる。塩素原子を有しないことにより、環境への負荷が低減されるので好ましいが、本発明の目的を達成するためには、必ずしも塩素原子を含有しないことは必要ではない。
物理系発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,2−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタンなどのフッ素化炭化水素、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フラン、フラフール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
化学系発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビス−ベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、テレフタルアジド、5−フェニルテトラゾール、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
前述された発泡剤のうち、オゾン層保護の観点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルなどの塩化アルキル類、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類が好ましい。
また、前述された発泡剤のうち、断熱材3の軽量化、押出発泡の安定性を考慮すると、発泡剤としては、上記共重合体100重量部または上記共重合体を含有する熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、a)エーテル、塩化アルキルよりなる群から選ばれる1種以上を0.5〜10重量部と、b)炭化水素を0〜6重量部とを含有するものが好ましい。
エーテルとしては、前述されたエーテル類が挙げられるが、これらのうち、ジメチルエーテルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造されるので好ましい。エーテルの使用量としては、上記共重合体100重量部または上記共重合体を含有する熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。エーテルの使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、発泡性がよい。
塩化アルキルとしては、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化イソプロピルが挙げられる。これらのうち、塩化メチル、塩化エチルが、押出発泡の際の押出圧力が低減され、安定して押出発泡体が製造されるので好ましい。塩化アルキルの使用量としては、上記共重合体100重量部または上記共重合体を含有する熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。塩化アルキルの使用量が上記範囲内であれば、樹脂組成物へのガス分散性がよく、発泡性がよい。
炭化水素としては、前述された炭化水素が挙げられるが、沸点が低すぎると、押出発泡の際に樹脂組成物における蒸気圧が高くなり、高圧の樹脂組成物を制御することになるので、製造上問題となり、沸点が高すぎると、発泡剤が断熱材3の気泡中に液状で残留し、断熱材3の耐熱性を低下させる傾向にある。したがって、炭化水素としては、−50〜85℃の範囲に沸点を有する飽和炭化水素が好ましい。このような飽和炭化水素としては、プロパン、シクロプロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、1,2−ジメチルブタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。これらのうち、製造安定性の点から、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。炭化水素の使用量としては、上記共重合体100重量部または上記共重合体を含有する熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して0〜6重量部が好ましく、より好ましくは2〜5重量部である。炭化水素の使用量が上記範囲内であれば、発泡性、成形性が良好な発泡体が得られやすい傾向にある。
なお、本発明においては、樹脂組成物に難燃剤が添加されることが好ましい。難燃剤として、ハロゲン系難燃剤から選ばれる少なくとも1種が用いられることがさらに好ましい。また、リン酸エステル系化合物、窒素含有化合物を上記難燃剤と共存させてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲内で、シリカ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、帯電防止剤、着色剤などの添加物が用いられてもよい。
また、本発明においては、必要に応じて安定剤が用いられてもよい。本発明に使用される安定剤としては、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤などが挙げられる。
断熱材3は、上記樹脂組成物を用いて公知の押出発泡法により得られる。例えば、上記熱可塑性樹脂混合物を公知の押出機に供給して高温高圧下で加熱溶融してゲル状にし、押出機内に発泡剤を圧入して混練し、押出発泡に適した樹脂温度まで冷却し、高圧領域からスリットダイなどのダイを通して低圧領域に押出発泡して、板状の断熱材3を得る。
押出発泡の条件として、スリットダイにおける圧力は、3MPa以上であることが好ましく、より好ましくは4MPa以上である。発泡剤が気化しないように、また、樹脂組成物に十分溶解するように押出系内圧力を高圧に保持することは勿論である。スリットダイにおける圧力が上記範囲外であると、ガスの吹出し、ボイドの発生、押出系内の圧力変動による押出発泡体の断面プロファイルの変動が生じる傾向にある。
熱可塑性樹脂混合物に難燃剤などの添加剤を添加する手順として、例えば、熱可塑性樹脂混合物に対して難燃剤などを添加して混合した後、押出機に供給して加熱溶融し、さらに発泡剤を添加して混合する手順が挙げられるが、各種添加剤を熱可塑性樹脂混合物に添加するタイミングや混練時間は特に限定されない。
熱可塑性樹脂混合物の加熱温度は、そのガラス転移温度又は融点以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間当たりの樹脂組成物の押出量や押出機の種類により異なるので一義的に規定することはできず、熱可塑性樹脂混合物と発泡剤や添加剤とが均一に分散混合されるに要する時間として適宜設定される。
樹脂組成物の加熱溶融手段としては、例えば、スクリュー型の押出機などが挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に制限されない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるためには、押出機のスクリュー形状を低剪断タイプのものとすることが好ましい。
押出発泡法は、例えば、押出成形用に使用される開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを通じて、高圧領域から低圧領域へ圧力開放して得られた押出発泡体を、スリットダイと密着または接して設置された成形金型、および該成形金型の下流側に隣接して設置された成形ロールなどを用いて、断熱材3に成形する方法が用いられる。成形金型の流動面形状調整および金型温度調整によって、所望の発泡体の断面形状、発泡体表面性、発泡体品質が得られる。
断熱材3の気泡構造として、均一気泡構造や大小気泡が混在した複合気泡構造が挙げられる。気泡の平均径は、主として0.05〜2.0mmであることが好ましい。気泡径は、例えば、押出発泡体の断面の一部をサンプリングし、それを走査型電子顕微鏡にて拡大撮影して得られた写真から平均気泡径をASTM D−3576に準じて測定することができる。気泡径は、必ずしもすべてが上記範囲内である必要はなく、少なくとも気泡径の平均値が上記範囲内であればよい。気泡径が上記範囲未満であれば、断熱材3の成形性が悪くなって、安定した製造が困難になる傾向にある。気泡径が上記範囲を超えると、断熱材3表面の外観が悪化する傾向にある。
断熱材3の発泡体密度は、20〜100kg/m3であることが好ましい。発泡体密度が上記範囲内にあれば、平面圧縮強度に代表される面圧縮強度が発現される傾向にある。
なお、断熱材3の製造方法は押出発泡法に限定されず、例えば、予備発泡された発泡性ビーズを用いて成形金型で発泡成形を行う方法など、公知の他の方法が用いられてもよい。
断熱材3は、固定金具4により下地2に固定される。図2に示されるように、固定金具4は、ディスク40とビス41とからなる。ディスク40は円板形状の平板であり、中央に孔42が穿たれている。ディスク40の形状は特に限定されず、矩形の平板などの他の形状であってもよい。また、ディスクの40の大きさや厚みも特に限定されないが、一般に、円板形状の直径が60〜100mm程度、厚みが0.2〜1.5mm程度のものが用いられる。孔42は、ディスク40の厚み方向に貫通されており、表面側、即ち断熱材3の表面に露出される側が、その内径が連続的に拡がるようにテーパー形状に拡径されている。孔42には、ビス41の軸部43が挿通され、テーパー形状に拡径された孔42の表面側に、ビス41の頭部44が嵌り込むようにして係止される。
ディスク40は、基板が熱融着材により被覆されたものである。基板としては、電磁誘導加熱により発熱する素材から成形されたものが好適である、例えば、ステンレス、亜鉛メッキ鋼板、ガルバニウム鋼板などの金属が用いられる。
熱融着材は、少なくともディスク40の表面側に被覆されている。換言すれば、熱融着材はディスク40の全体に被覆されていてもよい。熱融着材は、加熱により溶融し、冷却により固化するものであり、溶融および固化の過程において接している塩化ビニル樹脂系シート5と融着する。この熱融着材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などのオレフィン系樹脂や、それらを変成した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの変性オレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、などが挙げられる。なお、断熱材3は、必ずしも単体で固定金具4により下地2に固定される必要はなく、断熱材3上に絶縁シートなどの他の部材を積層した状態で固定金具4により固定されてもよい。
固定金具4により下地2に固定された断熱材3には、塩化ビニル樹脂系シート5が積層される。塩化ビニル樹脂系シート5は、主に防水性能を確保する目的で用いられるものであり、本断熱防水構造1において表皮として露出される。塩化ビニル樹脂系シート5は、例えば、厚みが1〜3mm、幅が1000〜1500mmの帯状のものが断熱材3に隙間無く敷き詰められる。塩化ビニル樹脂系シート5は、固定金具4の熱融着材により融着されて断熱材3上に固定される。また、塩化ビニル樹脂系シート5の継ぎ目は重ねられて熱融着あるいは溶剤溶着された後、更に必要に応じてテープなどで目張りされる。
塩化ビニル樹脂系シート5は、JIS A6008に規定されている塩化ビニル樹脂系シート、具体的には塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体などに可塑剤、安定剤、着色剤などを加えて混練し、カレンダーロールや押出機でシート状に成形したものが挙げられる。
塩化ビニル樹脂系シート5の表面には、仕上げ塗料6が塗布される。仕上げ塗料6は、構造物の外観の意匠に合わせて用いられるものである。構造物の外観から、塩化ビニル樹脂系シート5の素材の色や質感が許容される場合には、仕上げ塗料6は省略されてもよい。なお、本発明において断熱防水構造の表皮とは、仕上げ塗料6のように塩化ビニル樹脂系シート5に塗布されるものを含まない概念である。したがって、本断熱防水構造1における表皮は、塩化ビニル樹脂系シート5により構成される。
以下に、断熱防水構造1の施工方法(断熱防水工法)が説明される。この施工方法は、一般にシート防水の機械式固定工法に分類される。また、塩化ビニル樹脂系シートが表皮として露出される場合は、露出工法に分類される。まず、鉄筋コンクリート構造物の陸屋根などの下地2を清掃および洗浄し、下地2を十分に乾燥する。そして、図3に示されるように、下地2上に断熱材3を敷き詰める。断熱材3は、下地2の広さに応じて複数枚を用い、隣接する断熱材3同士を密着させて並べる。この工程が本発明に係る断熱防水工法の第1工程に相当する。
続いて、下地2に敷かれた断熱材3を固定金具4により固定する。断熱材3の固定は、1枚の断熱材3を下地2に敷く度に固定しても、複数枚の断熱材3を下地2に敷いた後にその複数枚の断熱材3に対して1度に固定を行ってもよい。1枚の断熱材3に対する固定金具4の個数および位置は特に限定されず、風などを受けて断熱材3が捲れ上がらない固定強度となるように、固定金具4の個数および位置が適宜設定される。
図4に示されるように、固定金具4を、断熱材3の表面側(図4の上側)から断熱材3を貫通して、下地2に断熱材3をアンカー固定する。詳細に説明するに、ドリルなどを用いて、断熱材3の所定位置に固定金具4のビス41を挿入するための孔を穿つ。この孔は、断熱材3を貫通して下地2に到達させる。穿たれた孔の内部にある粉塵などを除去し、当該孔に併せてディスク40を断熱材3の表面に載置する。そして、ディスク40の孔42にビス41を挿通して、穿たれた上記孔にビス41を打ち込む。この作業を断熱材3の所定位置において繰り返すことにより、図4に示されるように、断熱材3を固定金具4によって下地2にアンカー固定する。この状態において、固定金具4のディスク40は断熱材3の表面に固定され、ディスク40の熱融着材は、断熱材3の表面側に露出される。この工程が本発明に係る断熱防水工法の第2工程に相当する。
なお、固定金具4によるアンカー固定の作業方法は、例えば、下地2および断熱材3に予め孔を穿つことなく、エアー式鋲打ち機などを用いてビス40を打ち込むなど、公知の他の方法を採用してもよい。また、ビス41の引抜強度を増すために、下地2および断熱材3に穿たれた孔にナイロンプラグなどを挿入してからビス41を打ち込んでもよい。
続いて、図5に示されるように、断熱材3上に塩化ビニル樹脂系シート5が敷き詰める。塩化ビニル樹脂系シート5は、下地2の広さに応じて複数枚を用いる。例えば、一定幅の帯状の塩化ビニル樹脂系シート5を用いる場合には、隣接する塩化ビニル樹脂系シート5を一部重ね合わせて隙間なく敷き詰める。この工程が、本発明に係る断熱防水工法の第3工程に相当する。
続いて、断熱材3上に敷いた塩化ビニル樹脂系シート5を、熱融着により固定金具4に接着する。詳細に説明するに、図6に示されるように、断熱材3上に敷かれた塩化ビニル樹脂系シート5は、断熱材3の表面に露出された固定金具4のディスク40と接触している。塩化ビニル樹脂系シート5とディスク40とが接触している位置においては、ディスク40の厚み分だけ塩化ビニル樹脂系シート5が盛り上がるので、塩化ビニル樹脂系シート5の上側からディスク40の位置を目視により容易に確認できる。当該位置に、電磁誘導加熱装置10を載置して、ディスク40の基板に対して電磁誘導加熱を行う。基板が加熱されることにより、基板に被覆された熱融着材が溶融する。所定時間の電磁誘導加熱を終了すると、溶融した熱融着材が自然冷却されて固化する。これにより熱融着材を介して、固定金具4と塩化ビニル樹脂系シート5とが融着(接着)される。この工程が、本発明に係る断熱防水工法の第4工程に相当する。
なお、電磁誘導加熱により固定部材4と塩化ビニル樹脂系シート5との融着は、塩化ビニル樹脂系シート5を断熱材3上に敷きながら行っても、1枚または複数枚の塩化ビニル樹脂系シート5を断熱材3上に敷いた後に、1枚または複数枚の塩化ビニル樹脂系シート5に対してまとめて電磁誘導加熱を行ってもよい。
その後、塩化ビニル樹脂系シート5の継ぎ目を接着し、必要に応じて継ぎ目にテープなどを張り付けて水密性を確保する。このようにして断熱層と防水層とからなる断熱防水構造1が施工される。断熱防水構造1では、断熱材3が断熱層として機能し、塩化ビニル樹脂系シート5が防水層として機能する。断熱材3は、従来のポリスチレンフォームと比較して耐熱性に優れているので、電磁誘導加熱により固定金具4が加熱されても、固定金具4からの熱伝導によって変形することがない。したがって、作業者による品質の差が無くなるとともに、塩化ビニル樹脂系シート5が確実に固定金具4に融着される。また、断熱材3の耐熱性により、塩化ビニル樹脂系シート5が表皮として露出される露出工法を採用しても、日射による加熱により断熱材3が変形することがない。
また、断熱材3は、塩化ビニル樹脂系シート5に含まれる可塑剤の種類によっては耐性が無い為、樹脂系あるいは繊維系シートを断熱材3と塩化ビニル樹脂系シート5との間にポリエチレンシート等の絶縁シートを介在させ、断熱材3と塩化ビニル樹脂系シート5との間を絶縁することにより、可塑剤移行を防止させることが好ましく、絶縁シートは、事前に断熱材2に接着剤等で固定されていることがより好ましい。
なお、上記断熱防水構造1は、本発明に係る断熱防水構造の一例であり、例えば、防水層として、塩化ビニル樹脂系シート5が複数枚積層されたり、断熱材3の上下に絶縁シートなどの他の部材が介設されてもよい。また、断熱防水構造1は、断熱材3に積層された塩化ビニル樹脂系シート5が表皮として露出される露出工法であるが、本発明に係る断熱防水構造では、塩化ビニル樹脂系シート5にコンクリート板や合成樹脂板が積層されてもよい。シート防水においてコンクリート板や合成樹脂板が積層される工法は、一般に保護工法と呼ばれる。
以下に、別の実施形態に係る断熱防水構造が説明される。この断熱防水構造では、固定金具が塩化ビニル樹脂系シートの上から打ち込まれて、塩化ビニル樹脂系シートとともに断熱材が下地に固定される。このような固定方法は、ディスク後付け工法とも称される。図7は、別の実施形態に係る断熱防水構造11を示す部分断面図である。なお、図7においては、構造物の全体は示されておらず、断熱防水構造11が施工される下地12の一部のみが示されている。また、塩化ビニル樹脂系シート14により覆われる固定金具15を示すために、塩化ビニル樹脂系シート14の一部が切り欠かれている。
断熱防水構造11は、構造物の下地12に積層されてなる。構造物および下地12は、断熱防水構造1における説明と同様であるので、詳細な説明が省略される。下地12上には断熱材13が敷かれる。断熱材13は、断熱防水構造11において、主に断熱性能を確保する目的で用いられる。断熱材13は、芳香族ビニル単位と脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである。この樹脂組成物の詳細については、上記断熱材3と同様である。
断熱材13には、塩化ビニル樹脂系シート14が積層される。塩化ビニル樹脂系シート14は、主に防水性能を確保する目的で用いられる。また、塩化ビニル樹脂系シート14は、断熱防水構造11において表皮として露出される。塩化ビニル樹脂系シート14は、例えば、厚みが1〜3mm、幅が1000〜1500mmの帯状のものが断熱材13に隙間無く敷き詰められる。塩化ビニル樹脂系シート14の素材は上記塩化ビニル樹脂系シート5と同様である。
断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14は、固定金具15により下地12に固定される。固定金具15は、上記固定金具4と同様にディスクおよびビスからなるものであるが、断熱防水構造11においては、固定金具15と塩化ビニル樹脂系シート14との熱融着が行われないので、固定金具15のディスクは、熱融着材により被覆されたものに限定されない。また、ディスクの基板も、電磁誘導加熱により発熱する素材に限定されない。
下地12にアンカー固定された固定金具15は、その上側が補強シート16で覆われる。塩化ビニル樹脂系シート14に固定金具15が打ち込まれることにより、塩化ビニル樹脂系シート14に孔が穿たれる。この孔から断熱防水構造11の内部へ雨水が進入することを防水するために、塩化ビニル樹脂系シート14の表面に露出された固定金具15の全体を覆うようにして補強シート16が積層される。補強シート16は塩化ビニル樹脂系シート14と同様の素材のものが使用可能である。また、補強シート16の形状は特に限定されない。塩化ビニル樹脂系シート14と補強シート16との固定には接着剤を用いた溶剤溶着、あるいは熱融着が適用される。溶剤溶着の場合に使用される接着剤として、例えば、溶剤系接着剤や、合成ゴム系、合成樹脂系、又はポリマーセメント系の接着剤が挙げられる。
塩化ビニル樹脂系シート14、補強シート16の表面には、仕上げ塗料17が塗布される。仕上げ塗料17は、構造物の意匠にあわせて用いられるものである。構造物の外観から、塩化ビニル樹脂系シート14、補強シート16の素材の色や質感が許容される場合には、仕上げ塗料17は省略されてもよい。なお、本発明において断熱防水構造の表皮とは、補強シート16のように塩化ビニル樹脂系シート14の一部にのみ積層されるものや、仕上げ塗料17のように塩化ビニル樹脂系シート14に塗布されるものを含まない概念である。したがって、本断熱防水構造11における表皮は塩化ビニル樹脂系シート14により構成される。
以下に断熱防水構造11の施工方法(断熱防水工法)が説明される。この施工方法は、一般にシート防水の機械式固定工法に分類される。また塩化ビニル樹脂系シートが表皮として露出される場合は、露出工法に分類される。まず鉄筋コンクリート構造物の陸屋根などの下地12を清掃および洗浄し、下地12を十分に乾燥する。そして、下地12上に断熱材13を敷き詰める。断熱材13は、下地12の広さに応じて複数枚を用い、隣接する断熱材13同士を密着させて並べる。
続いて、断熱材13上に塩化ビニル樹脂系シート14を敷き詰める。塩化ビニル樹脂系シート14は下地12の広さに応じて複数枚用いる。例えば、一定幅の帯状の塩化ビニル樹脂系シート14を用いる場合には、隣接する塩化ビニル樹脂系シート14を一部重ね合わせて隙間無く敷き詰める。
続いて、下地12に積層された断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14を固定金具15により固定する。断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14に対する固定金具15の個数および位置は特に限定されず、風などを受けて断熱材13が捲で上がらない固定強度となるように、固定金具15の個数および位置が適宜設定される。特に、隣接する塩化ビニル樹脂系シート14を重ね合わせる部分には、固定金具15を配置することが好ましい。
固定金具15を、塩化ビニル樹脂系シート14の表面側から、断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14を貫通して、下地12に貫入する。固定金具15の施工例について説明するに、ドリルなどを用いて、断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14の所定位置に孔を穿つ。この孔は、断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14を貫通して下地12に到達させる。穿たれた孔の内部にある粉塵などを除去し、孔に固定金具15のビスを打ち込む。これにより、断熱材13および塩化ビニル樹脂系シート14が固定金具15によって下地12にアンカー固定される。
続いて、塩化ビニル樹脂系シート14の表面に露出された固定金具15のディスクを覆うようにして補強シート16を積層する。補強シート16は、塩化ビニル樹脂系シート14に対して接着固定して水密性を確保する。また、塩化ビニル樹脂系シート14の継ぎ目も接着し、必要に応じて、継ぎ目にテープなどを張り付けて水密性を確保する。そして、塩化ビニル樹脂系シート14、補強シート16に対して仕上げ塗料17が塗布される。このようにして、断熱層と防水層からなる断熱防水構造11が施工される。
断熱防水構造11では、断熱材13が断熱層として機能し、塩化ビニル樹脂系シート14、補強シート16が防水層として機能する。断熱材13は、従来のポリスチレンフォームと比較して耐熱性に優れているので、塩化ビニル樹脂系シート14が表皮として露出される露出工法が採用されても、日射による加熱により断熱材13が変形することがない。
以下、上記断熱材3についての実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことは勿論である。また、以下の実施例においては、特に断られない限り、「%」は「重量%」を表すものとする。
以下に示す実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例2で得られた断熱材について、発泡体密度、平均セル径、80℃耐熱性、85℃耐熱性、90℃耐熱性及び80℃耐湿性を、下記の方法に従って調べた。また、各断熱材を用いて塩化ビニル樹脂系シートとの積層構造を作製して簡易施工試験を行った。
(1)発泡体密度(kg/m3)
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
(2)平均セル径(mm)
断熱材を幅方向(押出方向と直交する水平方向)に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面においてサンプリングし、そのサンプルを走査型電子顕微鏡にて50〜100倍に拡大して写真撮影した。得られた写真から平均セル径をASTM D−3576に準じて測定し、各気泡において、厚み方向のセル径(HD)と幅方向のセル径(TD)とを測定して、各方向のセル径の積を3乗根した値を以下の式より算出した。
平均セル径=(HD×TD×MD)1/3
断熱材を幅方向(押出方向と直交する水平方向)に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面においてサンプリングし、そのサンプルを走査型電子顕微鏡にて50〜100倍に拡大して写真撮影した。得られた写真から平均セル径をASTM D−3576に準じて測定し、各気泡において、厚み方向のセル径(HD)と幅方向のセル径(TD)とを測定して、各方向のセル径の積を3乗根した値を以下の式より算出した。
平均セル径=(HD×TD×MD)1/3
(3)80℃耐熱性、85℃耐熱性、90℃耐熱性
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚みを25mm×幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、温度80±2℃、或いは85±2℃、或いは90±2℃に設定した熱風乾燥機で24時間加熱し、加熱前と加熱後の体積変化率を算出した。求められた体積変化率を以下の基準で判断した。
◎:体積変化率が1%以下である。
○:体積変化率が1%を超え、3%以下である。
△:体積変化率が3%を超え、5%以下である。
×:体積変化率が5%を超える。
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚みを25mm×幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、温度80±2℃、或いは85±2℃、或いは90±2℃に設定した熱風乾燥機で24時間加熱し、加熱前と加熱後の体積変化率を算出した。求められた体積変化率を以下の基準で判断した。
◎:体積変化率が1%以下である。
○:体積変化率が1%を超え、3%以下である。
△:体積変化率が3%を超え、5%以下である。
×:体積変化率が5%を超える。
(4)80℃耐湿性
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚みを25mm×幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、温度80±2℃、湿度90±2%に設定した恒温恒湿機で60日間加熱した後、断熱材の厚み方向の反りを測定した。測定された反りを以下の基準で判断した。
○:反りが、3mm以内である。
△:反りが、3mm超、6mm以下である。
×:反りが、6mmを超える。
断熱材を温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚みを25mm×幅100mm×長さ300mmのサンプルを切り出して、温度80±2℃、湿度90±2%に設定した恒温恒湿機で60日間加熱した後、断熱材の厚み方向の反りを測定した。測定された反りを以下の基準で判断した。
○:反りが、3mm以内である。
△:反りが、3mm超、6mm以下である。
×:反りが、6mmを超える。
(5)簡易施工試験
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出した。各断熱材の中央部1箇所に固定金具(アーキヤマデ(株)製、商品名:IHディスク)を設置し、その上から塩化ビニル樹脂系シート(アーキヤマデ(株)製、商品名:リベットルーフ)を敷いた後、高周波電磁誘導加熱器を用いて、塩化ビニル樹脂系シートの上から固定金具を500W×10秒間加熱して、塩化ビニル樹脂系シートと固定金具を融着させて積層構造体とした。この積層構造体について、固定金具との融着部分における断熱材、および塩化ビニル樹脂系シートの表面状態を観察して、以下の基準で行った。
○:断熱材の表面の変形が見られず、固定金具と塩化ビニル樹脂系シートとが十分に融着されていた。
△:断熱材の表面の一部が溶融し、固定金具が若干埋没したが、固定金具と塩化ビニル樹脂系シートとは十分に融着されていた。
×:断熱材の表面が陥没して固定金具が埋没し、固定金具と塩化ビニル樹脂系シートとが十分に融着されていなかった。
断熱材を成形後、温度23℃、湿度55%の恒温室にて10日間状態調整した後、厚み25mmのままとして幅100mm×長さ300mmの試験片を切り出した。各断熱材の中央部1箇所に固定金具(アーキヤマデ(株)製、商品名:IHディスク)を設置し、その上から塩化ビニル樹脂系シート(アーキヤマデ(株)製、商品名:リベットルーフ)を敷いた後、高周波電磁誘導加熱器を用いて、塩化ビニル樹脂系シートの上から固定金具を500W×10秒間加熱して、塩化ビニル樹脂系シートと固定金具を融着させて積層構造体とした。この積層構造体について、固定金具との融着部分における断熱材、および塩化ビニル樹脂系シートの表面状態を観察して、以下の基準で行った。
○:断熱材の表面の変形が見られず、固定金具と塩化ビニル樹脂系シートとが十分に融着されていた。
△:断熱材の表面の一部が溶融し、固定金具が若干埋没したが、固定金具と塩化ビニル樹脂系シートとは十分に融着されていた。
×:断熱材の表面が陥没して固定金具が埋没し、固定金具と塩化ビニル樹脂系シートとが十分に融着されていなかった。
(実施例1)
芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体としてPSJ株式会社製、商品名:G9001(メタクリル酸変性率7%)、ポリスチレン樹脂としてPSJ株式会社製、商品名:G9401を用い、該共重合体25重量部およびポリスチレン樹脂75重量部を混合して、熱可塑性樹脂混合物とした。この熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク(林化成株式会社製、商品名:タルカンパウダー)0.3重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約230℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤として、ジメチルエーテル2.0重量部、イソブタン4.0部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約140℃付近まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより大気中へ押し出した。スリットダイにおける吐出量は50kg/時間、樹脂温度は130℃、スリット圧力は6.3MPaとした。吐出された樹脂を、成形金型及び成形ロールにより、厚さ約45mm×幅約140mmの断面プロファイルであって、表面にスキン層を有する断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例1における断熱材は、発泡体密度が32kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「○」、90℃耐熱性は「×」であった。80℃耐湿性は「△」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「△」であった。
芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体としてPSJ株式会社製、商品名:G9001(メタクリル酸変性率7%)、ポリスチレン樹脂としてPSJ株式会社製、商品名:G9401を用い、該共重合体25重量部およびポリスチレン樹脂75重量部を混合して、熱可塑性樹脂混合物とした。この熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、造核剤としてタルク(林化成株式会社製、商品名:タルカンパウダー)0.3重量部、添加剤としてステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドし、得られた樹脂組成物を二段連結型押出機へ供給した。一段目押出機に供給した樹脂組成物を約230℃に加熱して溶融混練した後、発泡剤として、ジメチルエーテル2.0重量部、イソブタン4.0部を一段目押出機の先端付近で樹脂組成物に圧入した。その後、一段目押出機に連結された二段目押出機において樹脂組成物を混練しながら樹脂温度を約140℃付近まで冷却し、二段目押出機の先端に設けられたスリットダイより大気中へ押し出した。スリットダイにおける吐出量は50kg/時間、樹脂温度は130℃、スリット圧力は6.3MPaとした。吐出された樹脂を、成形金型及び成形ロールにより、厚さ約45mm×幅約140mmの断面プロファイルであって、表面にスキン層を有する断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例1における断熱材は、発泡体密度が32kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「○」、90℃耐熱性は「×」であった。80℃耐湿性は「△」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「△」であった。
(実施例2)
発泡剤としてジメチルエーテル5.0重量部とし、スリット圧力を6.1MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例2における断熱材は、発泡体密度が32kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「○」、90℃耐熱性は「×」であった。80℃耐湿性は「△」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「△」であった。
発泡剤としてジメチルエーテル5.0重量部とし、スリット圧力を6.1MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例2における断熱材は、発泡体密度が32kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「○」、90℃耐熱性は「×」であった。80℃耐湿性は「△」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「△」であった。
(実施例3)
上記共重合体/ポリスチレン樹脂の混合比50重量部/50重量部の熱可塑性樹脂混合物とし、スリットダイにおける吐出量を52kg/時間、スリット圧力を6.0MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例3における断熱材は、発泡体密度が32kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「◎」、90℃耐熱性は「△」であった。80℃耐湿性は「○」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「△」であった。
上記共重合体/ポリスチレン樹脂の混合比50重量部/50重量部の熱可塑性樹脂混合物とし、スリットダイにおける吐出量を52kg/時間、スリット圧力を6.0MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例3における断熱材は、発泡体密度が32kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「◎」、90℃耐熱性は「△」であった。80℃耐湿性は「○」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「△」であった。
(実施例4)
熱可塑性樹脂として上記共重合体単体を用い、スリットダイにおける吐出量を52kg/時間、樹脂温度を135℃、スリット圧力を6.2MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例4における断熱材は、発泡体密度が35kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「◎」、90℃耐熱性は「○」であった。80℃耐湿性は「○」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「○」であった。
熱可塑性樹脂として上記共重合体単体を用い、スリットダイにおける吐出量を52kg/時間、樹脂温度を135℃、スリット圧力を6.2MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、実施例4における断熱材は、発泡体密度が35kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「◎」、90℃耐熱性は「○」であった。80℃耐湿性は「○」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「○」であった。
(比較例1)
ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社、商品名:G9401)を用い、一段目押出機において約230℃、二段目押出機において約140℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を50kg/時間、樹脂温度を123℃、スリット圧力を5.5MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、比較例1における断熱材は、発泡体密度が35kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「△」、85℃耐熱性は「×」、90℃耐熱性は「×」であった。80℃耐湿性は「△」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「×」であった。
ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社、商品名:G9401)を用い、一段目押出機において約230℃、二段目押出機において約140℃に加熱溶融し、スリットダイにおける吐出量を50kg/時間、樹脂温度を123℃、スリット圧力を5.5MPaとした以外は、実施例1と同様にして断熱材を得た。
得られた断熱材の特性を、表1に示す。表1に示されるように、比較例1における断熱材は、発泡体密度が35kg/m3、平均セル径が0.3mmであった。また、80℃耐熱性は「△」、85℃耐熱性は「×」、90℃耐熱性は「×」であった。80℃耐湿性は「△」であった。簡易施工試験による試験体の状態は「×」であった。
(比較例2)
市販の硬質ポリウレタンフォーム(東洋ゴム株式会社製、商品名:ソフランULボード、面材あり)を用いて、80℃耐熱性、85℃耐熱性、90℃耐熱性、80℃耐湿性、簡易施工試験を行った。
その結果を、表1に示す。表1に示されるように、比較例2では、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「◎」、90℃耐熱性は「○」であった。80℃耐湿性は「×」であった。簡易施工試験による固定金具の融着部分の表面状態は「○」であった。
市販の硬質ポリウレタンフォーム(東洋ゴム株式会社製、商品名:ソフランULボード、面材あり)を用いて、80℃耐熱性、85℃耐熱性、90℃耐熱性、80℃耐湿性、簡易施工試験を行った。
その結果を、表1に示す。表1に示されるように、比較例2では、80℃耐熱性は「◎」、85℃耐熱性は「◎」、90℃耐熱性は「○」であった。80℃耐湿性は「×」であった。簡易施工試験による固定金具の融着部分の表面状態は「○」であった。
1,11 断熱防水構造
2,12 下地面
3,13 断熱材
4,15 固定金具
5,14 塩化ビニル樹脂系シート
16 補強シート
6,17 仕上げ塗料
2,12 下地面
3,13 断熱材
4,15 固定金具
5,14 塩化ビニル樹脂系シート
16 補強シート
6,17 仕上げ塗料
Claims (4)
- 構造物の下地に積層された断熱材と、
上記断熱材の表面側に露出される面に熱融着材を有し、上記下地にアンカー固定されて上記断熱材を該下地に固定する固定部材と、
上記断熱材に積層され、かつ上記熱融着材により上記固定部材と接着された塩化ビニル樹脂系シートと、を具備してなり、
上記断熱材が、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなるものである、断熱防水構造。 - 上記共重合体を構成する芳香族ビニル単位が、スチレン単位である、請求項1に記載の断熱防水構造。
- 上記共重合体を構成する脂肪族カルボン酸誘導体単位が、メタクリル酸単位或いは無水マレイン酸単位である、請求項1または2に記載の断熱防水構造。
- 構造物の下地に、芳香族ビニル単位および脂肪族カルボン酸誘導体単位からなる共重合体を含有する樹脂組成物を発泡させてなる断熱材を積層する第1工程と、
上記断熱材の表面側に露出される面に熱融着材を有する固定部材を、上記下地にアンカー固定して上記断熱材を該下地に固定する第2工程と、
上記断熱材に、塩化ビニル樹脂系シートを積層する第3工程と、
上記熱融着材を加熱して、上記固定部材と上記塩化ビニル樹脂系シートとを接着する第4工程と、を含む断熱防水工法。
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-
2008
- 2008-12-25 JP JP2008329600A patent/JP2010150800A/ja active Pending
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