JP2010144889A - グリース溜まり付き転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グリース溜まり形成部品を備えたグリース溜まり付き転がり軸受において、グリース溜まり形成部品が設けられている側から異物やクーラントが転がり軸受内に侵入することを防ぐ。
【解決手段】 内輪1、外輪2、および複数の転動体3を有する転がり軸受6と、この転がり軸受6の固定側軌道輪に隣接して配置される環状のグリース溜まり形成部品7と、回転側軌道輪に隣接して配置される回転側間座8とを備える。例えば、固定側軌道輪が外輪2、回転側軌道輪が内輪1とする。グリース溜まり形成部品7は、内部がグリース溜まり10として形成され、このグリース溜まり10に続き、外輪2の軌道面2aの近傍に開口してグリース溜まり10内のグリースまたはその基油を吐出する油吐出口14を有する。グリース溜まり形成部品7と回転側間座8との間の環状隙間20から転がり軸受6内に異物等が侵入するのを防ぐシール手段21を設ける。
【選択図】 図1

Description

この発明は、主に工作機械主軸等の高速で回転する軸の支持に用いられ、グリースで潤滑するグリース溜まり付き転がり軸受に関する。
工作機械主軸軸受の潤滑方法としては、主に、搬送エアに潤滑オイルを混合してオイルをノズルから噴射するエアオイル潤滑と、メンテナンスフリーで使用可能なグリース潤滑とがある。エアオイル潤滑は、付帯設備としてエアオイル供給装置が必要なことと、エアを必要とすることから、コスト、省エネ、省資源、騒音等の観点から問題がある。また、オイルの飛散によって環境を悪化させる問題もある。これらの問題を解決するために、近年では、グリース潤滑による高速化および長寿命化の試みが注目され始め、要望も多くなってきている。
グリース潤滑の一つ方式が、例えば特許文献1に開示されている。このグリース潤滑は、固定側軌道輪である外輪に隣接して、内部にグリース溜まりが形成されたグリース溜まり形成部品を設け、グリース溜まりに封入されたグリース中の基油が、運転によって生じるグリース溜まり内外の温度差によってグリース溜まりから吐出されて、内外輪の軌道面に供給されるようにしたものである。
特開2007−182917号公報
上記グリース潤滑方式では、内外輪間の軸受空間からグリースが外部へ漏れるのを防ぐために、グリース溜まり形成部品が設けられていない側の端がシールによって密封されている。しかし、グリース溜まり形成部品が設けられている側の端については、グリース溜まり形成部品が邪魔になってシールを設けることができないため、グリース溜まり形成部品自体がシールの代用とされ、グリース溜まり形成部品によってグリース漏れを防いでいる。この構造は、軸受空間からのグリースの漏れは防止できても、シールの無いグリース溜まり形成部品が設けられていない側からゴミ等の異物やクーラントが軸受空間へ侵入することが懸念される。
この発明の目的は、グリース潤滑のためのグリース溜まりを有するグリース溜まり形成部品を備えたグリース溜まり付き転がり軸受において、グリース溜まり形成部品が設けられている側から異物やクーラントが転がり軸受内に侵入することを防ぐことである。
この発明のグリース溜まり付き転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在する複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置される環状のグリース溜まり形成部品と、回転する回転側軌道輪に隣接して配置される回転側間座とを備え、前記グリース溜まり形成部品は、内部がグリース溜まりとして形成され、このグリース溜まりに続き、前記固定側軌道輪の軌道面の近傍に開口してグリース溜まり内のグリースまたはその基油を吐出する油吐出口を有し、前記グリース溜まり形成部品と前記回転側間座との間の環状隙間から前記転がり軸受内に異物等が侵入するのを防ぐシール手段を設けたことを特徴とする。
この構成のグリース溜まり付き転がり軸受は、グリース溜まりにグリースを充填して使用される。転がり軸受の運転と停止に伴うグリース溜まりでのヒートサイクルによる温度変化が発生し、グリース溜まり内のグリースから分離した基油が油吐出口から吐出されて、固定側軌道輪の軌道面に供給される。固定側軌道輪の軌道面に供給されたグリースは、転動体を介して回転側軌道輪の軌道面にも供給される。これにより、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。
また、グリース溜まり形成部品と回転側間座との間の環状隙間から転がり軸受内に異物等が侵入するのを防ぐシール手段を設けたことにより、転がり軸受内のグリースの劣化や、軌道輪の軌道面への異物のかみ込み等を軽減することができる。それにより、長期的な軸受への潤滑剤の供給が期待でき、さらなる長寿命化が可能になる。シール手段は、前記環状隙間を塞ぐ接触式のシール部材からなるものであっても、ラビリンスシールであってもよい。
前記シール手段が接触式のシール部材である場合、前記シール部材を、前記グリース溜まり形成部品に嵌合させて設けることができる。また、前記グリース溜まり形成部品に対し前記回転側間座の径方向反対側に位置し前記固定側軌道輪に隣接して配置される固定側間座を有する場合には、前記シール部材を、前記固定側間座に嵌合させて設けることができる。何れも、シール部材を容易に設けられる。
前記シール手段としてのラビリンスシールは、前記グリース溜まり形成部品に対し前記回転側間座の径方向反対側に位置し前記固定側軌道輪に隣接して配置される固定側間座を有する場合に、この固定側間座における前記グリース溜まり形成部品よりも前記転がり軸受に対し軸方向反対側に突出している箇所を前記回転側間座の近傍まで延ばし、これら回転側間座と固定側間座との間の間座間隙間を狭くすることで構成できる。その場合、前記回転側間座の前記固定側間座と対向する周面に固定側間座から離れる段差部を設け、この段差部から前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ続く周面を固定側間座の側に傾斜した傾斜面とするのが望ましい。
回転側間座の固定側間座と対向する周面に固定側間座から離れる段差部を設けることにより、回転側間座と固定側間座との間の間座間隙間を屈曲した経路状にすることができる。さらに、段差部から転がり軸受に対し軸方向反対側へ続く周面を固定側間座の側に傾斜した傾斜面とすることにより、前記間座間隙間に存在する異物等を遠心力で転がり軸受に対し軸方向反対側へ飛散させる作用が生じる。これらにより、転がり軸受内に異物やクーラントが侵入するのを防止する効果が高められる。
また、前記シール手段としてのラビリンスシールは、前記グリース溜まり形成部品と前記回転側間座との間の環状隙間を狭くすることによっても構成できる。その場合、前記回転側間座の前記グリース溜まり形成部品に対向する周面に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記グリース溜まり形成部品の側に傾斜した傾斜面を有するテーパ溝を設けるのが望ましい。
テーパ溝を設けると、このテーパ溝の傾斜面により、グリース溜まり形成部品と回転側間座との間の環状隙間に存在する異物等を遠心力で転がり軸受に対し軸方向反対側へ飛散させる作用が生じる。これにより、転がり軸受内に異物やクーラントが侵入するのを防止する効果が高められる。
前記回転側間座の周面に前記テーパ溝を設けるのに代えて、前記回転側間座は、前記グリース溜まり形成部品よりも前記転がり軸受に対し軸方向反対側に突出した突出部を有し、この突出部に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記固定側間座の側に傾斜した傾斜面を有するフランジを設けてもよい。
この場合は、フランジの傾斜面により、異物等を遠心力で転がり軸受に対し軸方向反対側へ飛散させる作用が生じるため、異物等がグリース溜まり形成部品と回転側間座との間の環状隙間に侵入しにくくなる。
さらに、前記回転側間座の前記グリース溜まり形成部品に対向する周面に、転がり軸受に対し前記軸方向反対側へ行くに従い前記グリース溜まり形成部品の側に傾斜した傾斜面を有するテーパ溝を設け、かつ前記回転側間座は、前記グリース溜まり形成部品よりも前記転がり軸受に対し軸方向反対側に突出した突出部を有し、この突出部に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記固定側間座の側に傾斜した傾斜面を有するフランジを設けてもよい。
この場合は、前記テーパ溝による効果と前記フランジによる効果とが相乗的に得られるので、転がり軸受内に異物やクーラントが侵入するのを防止する効果がより一層高められる。
この発明において、例えば前記回転側軌道輪を内輪、前記固定側軌道輪を外輪とすることができる。逆であってもよい。
この発明のグリース溜まり付き転がり軸受は、上記作用効果が得られるため、工作機械主軸の支持に好適に用いることができる。
この発明のグリース溜まり付き転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在する複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置される環状のグリース溜まり形成部品と、回転する回転側軌道輪に隣接して配置される回転側間座とを備え、前記グリース溜まり形成部品は、内部がグリース溜まりとして形成され、このグリース溜まりに続き、前記固定側軌道輪の軌道面の近傍に開口してグリース溜まり内のグリースまたはその基油を吐出する油吐出口を有し、前記グリース溜まり形成部品と前記回転側間座との間の環状隙間から前記転がり軸受内に異物等が侵入するのを防ぐシール手段を設けたため、グリース溜まり形成部品が設けられている側から異物やクーラントが転がり軸受内に侵入することを防ぐことができる。
この発明の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1において、このグリース溜まり付き転がり軸受は、内輪1、外輪2、およびこれら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在する複数の転動体3を有する転がり軸受6と、この転がり軸受6の外輪2に隣接して配置されるグリース溜まり形成部品7と、内輪位置決め間座8と、外輪位置決め間座9とでなる。複数の転動体3は、保持器4に保持されている。内外輪1,2間の軸受空間の一端は、オイルシールからなるシール部材5によって密封されている。
転がり軸受6はアンギュラ玉軸受であり、前記グリース溜まり形成部品7は軸受正面側に設けられ、前記シール部材5は軸受背面側に設けられている。また、内輪位置決め間座8および外輪位置決め間座9は、共に軸受正面側に設けられている。内輪1は、図示しない主軸に嵌合して回転可能とされ、外輪2はスピンドルユニットにおける図示しないハウジングの内周に嵌合状態で固定支持される。図において交差したハッチングで示す部分は、グリースの充填された部分を示す。
回転側軌道輪となる内輪1の正面側の肩部1bは、グリース溜まり形成部品7の本体部7aとの干渉を避けるために、内外輪1,2の正面側端面よりも後退した形状としてある。
固定側軌道輪となる外輪2には、その軌道面2aに続く段差面2bが、転動体3から離れる外輪正面側、つまり軌道面2aにおける接触角が生じる方向に対し軸方向反対側の縁部に続いて設けられている。この段差面2bは、軌道面2aから外径側に延びて外輪正面側に対面する面である。段差面2bから外輪正面側に続く内周面部分2cは、円筒状の面とされている。
内輪位置決め間座8は、回転側間座であり、内輪1の正面側の端面に接して設けられている。内輪位置決め間座8の外周面は、グリース溜まり形成部品7の本体部7aの内周面と環状隙間20を介して対向している。
外輪位置決め間座9は、固定側間座であり、外輪2の正面側の端面に接して設けられている。外輪2および外輪位置決め間座9の合わせ面となるそれぞれの端面2d,9aは、外径縁では両者共に同径で、内径縁では外輪2よりも外輪位置決め間座9の方が小径である。
グリース溜まり形成部品7は、環状の部品であり、内部にグリース溜まり10が形成された本体部7aと、この本体部7aから前記段差部2b側へ延び、内部に前記グリース溜まり10に連通する流路11が形成された中空の隙間形成片7bとでなる。グリース溜まり10は、流路11のみで開口し、他は密封されている。流路11は、先端側が径方向幅の最も小さい最小幅部11aになっており、その先端が開口している。本体部7aは外輪位置決め間座9の内周に嵌合し、隙間形成片7bは外輪2の内周面部分2cに嵌合している。この実施形態では、グリース溜まり形成部品7は一体物とされているが、内径側の部材と外径側の部材とを接合した構成としてもよい。グリース溜まり形成部品7は、例えば合成樹脂製である。
組立状態では、グリース溜まり形成部品7の外周面における本体部7aと隙間形成片7bとの境界の段差部12が外輪位置決め間座9の合わせ面となる前記端面9aに当接することにより、グリース溜まり形成部品7の軸方向位置が位置決めされる。言い換えると、外輪位置決め間座9の端面9aと外輪2の段差面2bとで、隙間形成片7bを挟み込んだ状態となる。この組立状態では、外輪2の段差面2bと隙間形成片7bの先端面13との間に、油吐出口となる油吐出用隙間が形成される。この油吐出用隙間に面して、前記流路11の最小幅部11aが開口している。
隙間形成片7bを構成する内外の環状壁部7ba,7bbを比較して、非軌道輪側環状壁部7baの方が軌道輪側環状壁部7bbよりも、先端を段差面2b側へ突出させてある。言い換えると、隙間形成片7bの先端面13のうち、非軌道輪側環状壁部7baの先端面13aの方が軌道輪側環状壁部7bbの先端面13bよりも、段差面2bに接近している。そして、非軌道輪側環状壁部7baの先端面13aの周方向複数箇所(図2)に、組立状態において先端が段差面2bに当接した凸部15が設けられている。つまり、先端面13aの凸部15が存在しない箇所と段差面2bとの間が、実質上の前記油吐出用隙間14になっている。凸部15の突出量は、油吐出用隙間14の隙間量δが例えば0.05〜0.1mmになるように設定されている。
このグリース溜まり付き転がり軸受には、グリース溜まり形成部品7と回転側間座である内輪位置決め間座8との間の環状隙間20から転がり軸受6内に異物等が侵入するのを防ぐシール手段が設けられている。この実施形態の場合、シール手段は、上記環状隙間20を塞ぐ接触式のシール部材21であり、シール部材21は例えばオイルシールからなる。図示のシール部材21は、ばね無し外周ゴム型のオイルシールであり、外輪位置決め間座9の内周に嵌合させて設けられ、リップ21aを内輪位置決め間座8の外周に接触させてある。リップ21aの向きは、軸受空間に対して外向きとされている。詳しくは、外輪位置決め間座9の内周面に形成された拡径部9bにシール部材21を嵌合させてあり、シール部材21が転がり軸受6側に入り込まないにしている。このように、シール部材21を外輪位置決め間座9の内周に嵌合させることにより、シール部材21を容易に設けることができる。
この構成の作用を説明する。転がり軸受6内には、初期潤滑用としてグリースを封入しておく。軸受を回転すると、運転時の起動、停止により軸受に温度変化が発生し、グリース溜まり10内のグリースから基油が分離する。同時に、密閉状態にあるグリース溜まり10の内部の温度が上昇する。この温度上昇により、分離した基油が流路11を通って、油吐出口である油吐出用隙間14から軸受空間に吐出される。吐出された基油は、外輪2の軌道面2aに供給される。温度が上昇して定常状態になると、基油の吐出と並行して内部温度が徐々に下がり、単位時間当たりの基油吐出量も減少していく。その後、運転が停止されると、グリース溜まり10の温度も下降する。このとき、温度上昇による基油の吐出は無く、油吐出用隙間14には基油が満たされる。したがって、運転停止状態では、グリース溜まり10は密閉された状態にある。
その後、運転が再開されると、グリース溜まり10の温度変化が再度発生する。このような温度上昇と下降のヒートサイクルによって、グリース溜まり10内での温度変動が繰り返され、グリースから分離した基油が確実に油吐出用隙間14から吐出され、外輪2の軌道面2aに繰り返し供給される。
また、上記ヒートサイクルによる基油吐出作用とは別に、以下に示す毛細管現象による基油吐出作用も加わる。すなわち、軸受の停止時には、グリース中の増稠剤および前記油吐出用隙間14の毛細管現象により、グリースの基油が流路11から油吐出用隙間14に移動し、この毛細管現象と油の表面張力とが相まって油吐出用隙間14に基油が油状で保持される。軸受を運転すると、油吐出用隙間14に貯油されていた基油は、運転で生じる外輪2の温度上昇と、転動体3の公転・自転で生じる空気流とにより油吐出用隙間14から流出して、外輪2の軌道面2aに付着しながら移動して転動体接触部に連続的に補給される。
このように、このグリース溜まり付き転がり軸受では、運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜まり10でのヒートサイクルによる温度変動で、グリースから分離した基油が油吐出用隙間14を経て外輪2の軌道面2aに供給されるので、潤滑油の供給が確実に行われる。加えて、油吐出用隙間14での毛細管現象によっても基油が外輪2の軌道面2aに吐出されるので、潤滑が一層確実なものとなる。これにより、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリー化、および安定した潤滑油供給が可能である。
転がり軸受6の軸受空間は、軸方向両側がシール部材5,21により密封されているため、グリース漏れを確実に防げる。また、シール部材5,21により、外部からのゴミ等の異物やクーラントの軸受空間への侵入を防いで、転がり軸受6内のグリースの劣化や、内外輪1,2の軌道面1a,2aへの異物のかみ込みを軽減できる。それにより、長期的な転がり軸受6への潤滑剤の供給が期待でき、さらなる長寿命化が可能になる。
なお、このグリース溜まり付き転がり軸受は、軸受正面側を外側にしてスピンドル装置に組み込まれる(図8)。そのため、軸受正面側のシール部材21のリップ21aの向きを軸受空間に対して外向きとすることにより、外部からのゴミ等の異物やクーラントの軸受空間への侵入を防ぐ効果を高くしている。
図3はこの発明の異なる実施形態を示す。このグリース溜まり付き転がり軸受も、シール手段が環状隙間20を塞ぐ接触式のシール部材21であるが、このシール部材21は、グリース溜まり形成部品7の外周に嵌合させて設けられている。詳しくは、グリース溜まり形成部品7の外周面に形成された縮径部7cにシール部材21を嵌合させてあり、それにより、シール部材21が外輪位置決め間座9と干渉することを避けている。この場合も、シール部材21を容易に設けることができ、前記同様の作用効果を奏する。
図4はこの発明のさらに異なる実施形態を示す。このグリース溜まり付き転がり軸受は、シール手段がラビリンスシール22からなる。ラビリンスシール22は、固定側間座である外輪位置決め間座9におけるグリース溜まり形成部品7よりも転がり軸受6に対し軸方向反対側に突出している箇所である軸受正面側端に、内径側へ延びるつば状部9cを設け、このつば状部9cと回転側間座である内輪位置決め間座8との間の間座間隙間23を狭くすることで構成している。さらに、内輪位置決め間座8の外周面に内径側へ段差部24を設け、この段差部24から転がり軸受6に対し軸方向反対側、すなわち軸受正面側へ続く外周面を外径側に傾斜した傾斜面25としている。
内輪位置決め間座8の外周面に段差部24を設けることにより、内輪位置決め間座8と外輪位置決め間座9のつば状部9cとの間の間座間隙間23を、屈曲した経路状にすることができる。さらに、段差部24から転がり軸受6に対し軸方向反対側へ続く周面を外輪位置決め間座9の側に傾斜した傾斜面25とすることにより、前記間座間隙間23に存在する異物等を遠心力で転がり軸受6に対し軸方向反対側へ飛散させる作用が生じる。これらにより、転がり軸受6内に異物やクーラントが侵入するのを防止する効果が高められる。
図5はこの発明のさらに異なる実施形態を示す。このグリース溜まり付き転がり軸受も、シール手段がラビリンスシール22からなる。ラビリンスシール22は、グリース溜まり形成部品7と内輪位置決め間座8との間の環状隙間20を狭くすることで構成している。さらに、内輪位置決め間座8のグリース溜まり形成部品7に対向する外周面に、転がり軸受6に対し軸方向反対側へ行くに従いグリース溜まり形成部品7の側に傾斜した傾斜面26aを有するテーパ溝26が設けられている。
テーパ溝26を設けると、このテーパ溝26の傾斜面26aにより、図5(B)に示すように、環状隙間20に存在する異物等を遠心力で転がり軸受6に対し軸方向反対側へ飛散させる作用が生じる。これにより、転がり軸受6内に異物やクーラントが侵入するのを防止する効果が高められる。
図6はこの発明のさらに異なる実施形態を示す。このグリース溜まり付き転がり軸受も、シール手段がラビリンスシール22からなり、ラビリンスシール22は、グリース溜まり形成部品7と内輪位置決め間座8との間の環状隙間20を狭くすることで構成している。さらに、内輪位置決め間座8は、グリース溜まり形成部品7よりも転がり軸受6に対し軸方向反対側に突出した突出部8aを有し、この突出部8aに、転がり軸受6に対し軸方向反対側へ行くに従い外径側に傾斜した傾斜面27aを有するフランジ27が設けられている。
この場合は、フランジ27の傾斜面27aにより、図6(B)に示すように、異物等を遠心力で転がり軸受6に対し軸方向反対側へ飛散させる作用が生じるため、異物等が環状隙間20に侵入しにくくなる。
図7はこの発明のさらに異なる実施形態を示す。このグリース溜まり付き転がり軸受は、図5の構成と図6の構成を組み合わせたものである。すなわち、ラビリンスシール22は、グリース溜まり形成部品7と内輪位置決め間座8との間の環状隙間20を狭くすることで構成し、内輪位置決め間座8のグリース溜まり形成部品7に対向する外周面に、転がり軸受6に対し軸方向反対側へ行くに従いグリース溜まり形成部品7の側に傾斜した傾斜面26aを有するテーパ溝26を設け、かつ内輪位置決め間座8は、グリース溜まり形成部品7よりも転がり軸受6に対し軸方向反対側に突出した突出部8aを有し、この突出部8aに、転がり軸受6に対し軸方向反対側へ行くに従い外径側に傾斜した傾斜面27aを有するフランジ27を設けてある。
この場合は、テーパ溝26による効果とフランジ27による効果とが相乗的に得られるので、転がり軸受6内に異物やクーラントが侵入するのを防止する効果がより一層高められる。
図8は、図1および図2に示した実施形態のグリース溜まり付き転がり軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の例を示す。このスピンドル装置では、2個の上記グリース溜まり付き転がり軸受30を背面組合せで用いている。2個のグリース溜まり付き転がり軸受30A,30Bは、ハウジング32内で主軸31の両端を回転自在に支持する。各転がり軸受6の内輪1は、内輪位置決め間座36および内輪間座37により位置決めされ、内輪固定ナット39により主軸31に締め付け固定されている。外輪2は、外輪位置決め間座を兼ねるグリース溜まり形成部品7、外輪間座40および外輪押え蓋41,42によりハウジング32内に位置決め固定されている。ハウジング32は、ハウジング内筒32Aとハウジング外筒32Bとを嵌合させたものであり、その嵌合部に冷却のための通油溝43が設けられている。
主軸31は、その前端の端部31aに工具またはワーク(図示せず)を着脱自在に取付けるチャック(図示せず)が設けられ、後ろ側の端部31bは、モータ等の駆動源が回転伝達機構(図示せず)を介して連結される。モータは、ハウジング32に内蔵してもよい。このスピンドル装置は、例えばマシニングセンター、旋盤、フライス盤、研削盤等の各種工作機械に適用できる。
この構成のスピンドル装置によると、この実施形態のグリース溜まり付き転がり軸受30A,30Bにおける高速化、長寿命化、メンテナンスフリー化の作用が効果的に発揮される。さらに、転がり軸受6に対してグリース溜まり形成部品7が設けられている側にシール部材21からなるシール手段を設けたことにより、転がり軸受6内のグリースの劣化や、軌道輪の軌道面への異物のかみ込み等を軽減することができる。それにより、長期的な軸受への潤滑剤の供給が期待でき、さらなる長寿命化が可能になる。
なお、このスピンドル装置は、図1および図2に示す実施形態に係るグリース溜まり付き転がり軸受を適用した場合につき説明したが、他のいずれかの実施形態に係るグリース溜まり付き転がり軸受を用いてもよい。
また、この実施形態では、グリース溜まり形成部品7は、油吐出口である油吐出用隙間14からグリースの基油を吐出するものとしたが、グリース自体を吐出してもよい。
さらに、上記各実施形態では、転がり軸受6をアンギュラ玉軸受としたが、この発明は、転がり軸受6が円筒ころ軸受または円すいころ軸受である場合にも適用できる。
(A)はこの発明の実施形態に係るグリース溜まり付き転がり軸受の断面図、(B)はその部分拡大図である。 同グリース溜まり付き転がり軸受のグリース溜まり形成部品の側面図である。 この発明の異なる実施形態にかかるグリース溜まり付き転がり軸受の断面図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかるグリース溜まり付き転がり軸受の断面図である。 (A)はこの発明のさらに異なる実施形態にかかるグリース溜まり付き転がり軸受の断面図、(B)はそのVB部の部分拡大図である。 (A)はこの発明のさらに異なる実施形態にかかるグリース溜まり付き転がり軸受の断面図、(B)はその部分拡大図である。 この発明のさらに異なる実施形態にかかるグリース溜まり付き転がり軸受の断面図である。 この発明のグリース溜まり付き転がり軸受を備えたスピンドル装置の構成図である。
符号の説明
1…内輪(回転側軌道輪)
1a…軌道面
2…外輪(固定側軌道輪)
2a…軌道面
3…転動体
4…保持器
6…転がり軸受
7…グリース溜まり形成部品
8…内輪位置決め間座(回転側間座)
8a…突出部
9…外輪位置決め間座(固定側間座)
10…グリース溜まり
14…油吐出用隙間(油吐出口)
20…環状隙間
21…シール部材(シール手段)
22…ラビリンスシール(シール手段)
23…間座間隙間
24…段差部
25…傾斜面
26…テーパ溝
26a…テーパ面
27…フランジ
27a…テーパ面

Claims (13)

  1. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在する複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置される環状のグリース溜まり形成部品と、回転する回転側軌道輪に隣接して配置される回転側間座とを備え、
    前記グリース溜まり形成部品は、内部がグリース溜まりとして形成され、このグリース溜まりに続き、前記固定側軌道輪の軌道面の近傍に開口してグリース溜まり内のグリースまたはその基油を吐出する油吐出口を有し、
    前記グリース溜まり形成部品と前記回転側間座との間の環状隙間から前記転がり軸受内に異物等が侵入するのを防ぐシール手段を設けたことを特徴とするグリース溜まり付き転がり軸受。
  2. 請求項1において、前記シール手段は、前記環状隙間を塞ぐ接触式のシール部材からなるグリース溜まり付き転がり軸受。
  3. 請求項2において、前記シール部材は、前記グリース溜まり形成部品に嵌合させて設けられているグリース溜まり付き転がり軸受。
  4. 請求項2において、前記グリース溜まり形成部品に対し前記回転側間座の径方向反対側に位置し前記固定側軌道輪に隣接して配置される固定側間座を有し、前記シール部材は、前記固定側間座に嵌合させて設けられているグリース溜まり付き転がり軸受。
  5. 請求項1において、前記シール手段はラビリンスシールであるグリース溜まり付き転がり軸受。
  6. 請求項5において、前記グリース溜まり形成部品に対し前記回転側間座の径方向反対側に位置し前記固定側軌道輪に隣接して配置される固定側間座を有し、この固定側間座における前記グリース溜まり形成部品よりも前記転がり軸受に対し軸方向反対側に突出している箇所を前記回転側間座の近傍まで延ばし、これら回転側間座と固定側間座との間の間座間隙間を狭くすることでラビリンスシールとしたグリース溜まり付き転がり軸受。
  7. 請求項6において、前記回転側間座の前記固定側間座と対向する周面に固定側間座から離れる段差部を設け、この段差部から前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ続く周面を固定側間座の側に傾斜した傾斜面としたグリース溜まり付き転がり軸受。
  8. 請求項5において、前記グリース溜まり形成部品と前記回転側間座間の環状隙間を狭くすることでラビリンスシールとしたグリース溜まり付き転がり軸受。
  9. 請求項8において、前記回転側間座の前記グリース溜まり形成部品に対向する周面に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記グリース溜まり形成部品の側に傾斜した傾斜面を有するテーパ溝を設けたグリース溜まり付き転がり軸受。
  10. 請求項8において、前記回転側間座は、前記グリース溜まり形成部品よりも前記転がり軸受に対し軸方向反対側に突出した突出部を有し、この突出部に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記固定側間座の側に傾斜した傾斜面を有するフランジを設けたグリース溜まり付き転がり軸受。
  11. 請求項8において、前記回転側間座の前記グリース溜まり形成部品に対向する周面に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記グリース溜まり形成部品の側に傾斜した傾斜面を有するテーパ溝を設け、かつ前記回転側間座は、前記グリース溜まり形成部品よりも前記転がり軸受に対し軸方向反対側に突出した突出部を有し、この突出部に、前記転がり軸受に対し軸方向反対側へ行くに従い前記固定側間座の側に傾斜した傾斜面を有するフランジを設けたグリース溜まり付き転がり軸受。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記回転側軌道輪が内輪であり、前記固定側軌道輪が外輪であるグリース溜まり付き転がり軸受。
  13. 請求項12において、工作機械主軸の支持に用いられるグリース溜まり付き転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015034564A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 株式会社ジェイテクト 軸受装置
DE102013218500A1 (de) * 2013-09-16 2015-03-19 Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg Dauergeschmiertes Wälzlager für Hochgeschwindigkeitsanwendungen

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